JPH085824Y2 - 貴金属カード - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 「産業上の利用分野」 この考案は、貴金属または貴金属の合金からなる薄板
を樹脂製の保護膜で被覆してなる貴金属カードに関す
る。

「従来の技術」 従来、小型の金塊は、コインやメダルに見られるよう
に金型を用いて刻印することにより、その表面に模様が
付与されていた。

ところで、近年、金の大衆化が進み、金の取り扱い単
位が小さくなってグラム単位での売買がされるようにな
った。しかしながら、このような少量の金をコインやメ
ダルとしてある程度厚さを持った状態でプレス成形した
ものは、形状が非常に小さいため見栄えがせず、記念品
や贈答品としての効果が薄いという難点があった。

そこで、本出願人は先に、金塊を厚さ15μｍ程度に薄
く圧延してなる金の薄板の表裏面を、透明な樹脂からな
る保護膜によりラミネート被覆してなる貴金属カードを
出願した。

このような貴金属カードでは、貴金属薄板が保護膜に
より被覆されて補強されるとともに、機械的化学的損耗
から保護されるので、数グラム程度の金を薄く延ばして
も、その変形破損を防止することができ、比較的広面積
（名刺程度）の見栄えのする装飾品を提供することがで
き、しかも、取り扱いが簡単であり、所持、保管等も容
易に行える。

「考案が解決しようとする課題」 ところで、上記のような貴金属カードは、4N（金の純
度99.99％以上）を保護膜に印刷された保証マークによ
り保証されており、市販されている通常サイズの金塊と
同等に市価の金価格で買い取りされるが、実際には、偽
造されている可能性もあるため、買い取りの際に金品位
の鑑定を行う必要がある。この鑑定は、金の薄板が保護
膜により被覆されているため、保護膜を金の薄板から剥
がして行わなければならず、このため、貴金属カードを
破壊してしまうとともに、手間もかかり現実的ではない
という問題があった。

「考案の目的」 この考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、保
護膜により被覆されている貴金属薄板の貴金属品位を、
保護膜を剥がすすなわち破壊することなく、容易に鑑定
することができる貴金属カードを提供することを目的と
している。

「課題を解決するための手段」 上記目的を達成するために、この考案の貴金属カード
は、貴金属または貴金属の合金からなる薄板を樹脂製の
保護膜で被覆するとともに、この薄板の表側または裏側
のいずれかの側の保護膜の表面に、レーザを照射するこ
とにより、目視で情報内容が確認不能なマークを施して
なるものである。

このマークとしては、肉眼では見えない程度の極く微
少なマークや、バーコード等がある。

「作用」 この考案の貴金属カードにあっては、貴金属または貴
金属の合金からなる薄板の表側または裏側のいずれかの
側の保護膜の表面にレーザにより施されたマークを所定
の読取手段により確認することにより、貴金属カードを
破壊することなく、容易に鑑定することができる。

「実施例」 以下第１図ないし第４図を参照してこの考案の貴金属
カードの一実施例を説明する。

これらの図において符号１は貴金属薄板を示す。この
貴金属薄板１は、純度99.99％以上の金の塊状素材を圧
延を繰り返して厚さ15μｍに仕上げ、名刺大に切断され
た重さが1gの薄板状のものである。

この貴金属薄板１の両面には、透明の樹脂からなる保
護膜2a,2bが被覆されており、この保護膜2a,2bの周縁部
はトリミング加工されている。

この保護膜2a,2bは、４層構造のものであり、内側か
ら順に、アイオノマー樹脂（サーリン樹脂：商品名）層
（厚さ:30μｍ）３、ポリエチレン樹脂層（厚さ:20μ
ｍ）４、ポリエステル樹脂層（厚さ:100μｍ）５および
これらの樹脂より表面硬度の高い樹脂からなる硬度4Hの
ハードコート層（厚さ:15μｍ）６から構成されてい
る。この保護膜2a,2bは貴金属薄板１の両面に120℃で加
熱圧着することにより接着されている。

上記保護膜2aの表面には、装飾効果を高める絵文字７
が印刷されており、保護膜2bの表面には、金の品位、量
目等からなる保証文字８が印刷されている。

また、上記保護膜2aの表面の所定の位置には肉眼では
見えない程度の極く微小なマーク10が施されている。こ
のマーク10は、保護膜2aの表面にYAG（イットリウム−
アルミニウム−ガーネット）レーザマーキング装置（図
示せず）からYAGレーザを照射して施されたものであ
り、例えば「金」という文字が描かれている。

ここで、上記マーク10をレーザビームにより保護膜2a
に施す場合、レーザビームをマーク10の形状に沿って移
動させるが、この移動手段としては、レーザビームの発
生源をＸ−Ｙ軸面内で移動させるか、あるいは貴金属カ
ードを同様にＸ−Ｙ軸面内で移動させる周知の方法が採
用される。

上記構成の貴金属カードにおいては、保護膜2aの所定
の位置に肉眼では見えないマーク10が施されているの
で、マーク10が施されるべき部分を拡大レンズ等で見て
マーク10を確認することにより、貴金属カードを破壊す
ることなく、容易に鑑定することができる。また、保護
膜2aの表面にマークを施したので、マークが残存し易
く、また判定も容易である。

また、レーザによりマーク10を施すので、微少なマー
クでも容易に描くことができる。

また、保護膜2a,2bは貴金属薄板１と接触する内側の
層が比較的低温で可塑化する熱可塑性樹脂のアイオノマ
ー樹脂層３で形成されているので、保護膜2a,2bを貴金
属薄板１に比較的低温で圧着することにより、これらを
強固に接合することができ、さらに、保護膜2a,2bの最
外層が内側の層より表面硬度の高いハードコート層６で
形成されているので、保護膜2a,2bの表面にスリ傷等が
付きにくく、透光性を長期に亙って維持することができ
る。

なお、上記実施例では、保護膜2aに鑑定用のマーク10
を１つ形成したが、少なくとも１以上形成すればよく、
また保護膜2a,2bのいずれか一方あるいは両方に形成し
てもよい。

また、貴金属薄板１と保護膜2aとの間に装飾板を介在
させた貴金属カードの場合においても、同様に保護膜に
マーク10を形成すればよい。

第５図はこの考案の貴金属カードの他の実施例を示す
ものである。この図に示す貴金属カードは、保護膜2a,2
bの少なくともいずれか一方に、バーコード（マーク）1
1を形成したものである。

このバーコード11は、保護膜の表面にYAGレーザを照
射して施されたものであり、このバーコード11には、貴
金属の量目、品位、メーカ名等の所定の情報が書き込ま
れている。

したがって、上記貴金属カードにおいては、バーコー
ド11を読取装置により読み取ることにより貴金属カード
を破壊することなく、容易に鑑定することができる。

「考案の効果」 以上説明したように、この考案の貴金属カードによれ
ば、貴金属または貴金属の合金からなる薄板の表側また
は裏側のいずれかの側の保護膜の表面に、目視で情報内
容が確認不能なマークをレーザにより施したので、この
マークを所定の読取手段により確認することにより、貴
金属カードを破壊することなく、容易に鑑定することが
できる。しかも、薄板の表側または裏側のいずれかの側
の保護膜の表面にマークを施したので、マークが残存し
易く、また判定も容易である。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第４図はこの考案の貴金属カードの一実施
例を示すものであり、第１図は貴金属カードの平面図、
第２図は断面図、第３図は裏面図、第４図は第１図にお
けるＸ円部の拡大図、第５図は他の実施例を示し貴金属
カードの裏面図である。 １……貴金属薄板、2a,2b……保護膜、10……マーク、1
1……バーコード（マーク）。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】貴金属または貴金属の合金からなる薄板を
   樹脂製の保護膜で被覆するとともに、この薄板の表側ま
   たは裏側のいずれかの側の保護膜の表面にレーザを照射
   することにより、目視で情報内容が確認不能なマークを
   施してなることを特徴とする貴金属カード。