JPH085823Y2

JPH085823Y2 - 貴金属カード

Info

Publication number: JPH085823Y2
Application number: JP1990029781U
Authority: JP
Inventors: 敏昭小野; 正樹森川
Original assignee: Mitsubishi Materials Corp
Current assignee: Mitsubishi Materials Corp
Priority date: 1990-03-23
Filing date: 1990-03-23
Publication date: 1996-02-21
Anticipated expiration: 2005-03-23
Also published as: JPH03121870U

Description

【考案の詳細な説明】「産業上の利用分野」この考案は、貴金属または貴金属の合金からなる薄板
を樹脂製の保護膜で被覆してなる貴金属カードに関す
る。

「従来の技術」従来、小型の金塊は、コインやメダルに見られるよう
に金型を用いて刻印することにより、その表面に模様が
付与されていた。

ところで、近年、金の大衆化が進み、金の取り扱い単
位が小さくなってグラム単位での売買がされるようにな
った。しかしながら、このような少量の金をコインやメ
ダルとしてある程度厚さを持った状態でプレス成形した
ものは、形状が非常に小さいため見栄えがせず、記念品
や贈答品としての効果が薄いという難点があった。

そこで、本出願人は先に、金塊を厚さ15μｍ程度に薄
く圧延してなる金の薄板の表裏面を、透明な樹脂からな
る保護膜によりラミネート被覆してなる貴金属カードを
出願した。

このような貴金属カードでは、貴金属薄板が保護膜に
より被覆されて補強されるとともに、機械的化学的損耗
から保護されるので、数グラム程度の金を薄く延ばして
も、その変形、破損を防止することができ、比較的広い
面積（名刺程度）の見栄えのする装飾品を提供すること
ができ、しかも、取り扱いが簡単であり、所持、保管等
も容易に行える。

「考案が解決しようとする課題」ところで、上記のような貴金属カードは、4N（金の純
度99.99％以上）を保護膜に印刷された保証マークによ
り保証されており、市販されている通常サイズの金塊と
同等に市価の金価格で買い取りされるが、実際には、買
い取りの際に、金品位の鑑定を行う必要がある。この鑑
定は、金の薄板が保護膜ににより被覆されているため、
保護膜を金の薄板から剥がして行わなければならなら
ず、このため、貴金属カードを破壊してしまうという欠
点があった。

「考案の目的」この考案は上記事情に鑑みてなされたものであり、保
護膜により被覆されている貴金属薄板の貴金属品位を、
保護膜を剥がすすなわち破壊することなく鑑定すること
ができる貴金属カードを提供することを目的としてい
る。

「課題を解決するための手段」上記目的を達成するために、この考案の貴金属カード
は、貴金属または貴金属の合金からなる薄板を樹脂製の
保護膜で被覆するとともに、この保護膜に上記薄板の表
面に達する貴金属鑑定用の孔を２つ形成したものであ
る。

「作用」この考案の貴金属カードにあっては、保護膜の表面に
形成された２つの貴金属鑑定用の孔を通して貴金属薄板
に電子線やＸ線等を照射することにより、貴金属カード
を破壊することなく貴金属の品位を鑑定することができ
る。

「実施例」以下第１図ないし第３図を参照して、この考案の貴金
属カードの一実施例を説明する。

これらの図において符号１は貴金属薄板を示す。この
貴金属薄板１は、純度99.99％以上の金の塊状素材を圧
延を繰り返して厚さ15μｍに仕上げ、名刺大に切断され
た重さが1gの薄板状のものである。

この貴金属薄板１の両面には、透明の樹脂からなる保
護膜2a,2bが被覆されており、この保護膜2a,2bの周縁部
はトリミング加工されている。

この保護膜2a,2bは、４層構造のものであり、内側か
ら順に、アイオノマー樹脂（サーリン樹脂：商品名）層
（厚さ:30μｍ）３、ポリエチレン樹脂層（厚さ:20μ
ｍ）４、ポリエステル樹脂層（厚さ:100μｍ）５および
これらの樹脂より表面硬度の高い樹脂からなる硬度4Hの
ハードコート層（厚さ:15μｍ）６から構成されてい
る。この保護膜2a,2bは貴金属薄板１の両面に120℃で加
熱圧着することにより接着されている。

上記保護膜2aの表面には、装飾効果を高める絵文字７
が印刷されており、保護膜2bの表面には、金の品位、量
目等からなる保証文字８が印刷されている。

また、上記保護膜2aの下縁部には、その表面から裏面
に貫通して貴金属薄板１に開口する一対の貴金属鑑定用
の孔10,10が形成されている。この孔10,10は貴金属薄板
１の品位を鑑定するためのものであり、直径が約0.5mm
程度に設定されている。

そして、上記孔10,10により、貴金属薄板１の品位を
鑑定するには、例えば、電子線を孔10を通して貴金属薄
板１に照射し、その微少領域から放出される特性Ｘ線の
強度により定量分析を行ったり（XMA法）、また、Ｘ線
を孔10を通して貴金属薄板１に照射し、反射した蛍光Ｘ
線の強度により定量分析を行う（蛍光Ｘ線分析方法）こ
とにより行う。ここで、孔10の周囲の汚れ等により鑑定
結果が不合格になった場合、さらに別の孔10により再度
鑑定を行い、この鑑定結果が合格であれば該貴金属薄板
１の品位が規格内であると判断することができる。

しかして、上記構成の貴金属カードによれば、保護膜
2aに貴金属鑑定用の孔10,10を形成したので、この孔10,
10を通して貴金属薄板１に電子線やＸ線等を照射するこ
とにより、貴金属薄板１の貴金属の品位を鑑定すること
ができる。

したがって、貴金属薄板１から保護膜2a,2bを剥がす
ことなく、すなわち破壊することなく貴金属の品位を正
確に鑑定することができる。また、鑑定に２つの孔10,1
0を用いることにより、貴金属薄板１のバラツキを確認
することができる。さらに、この孔10,10の径は、貴金
属の鑑定を行うために用いられる電子線やＸ線のビーム
が通過する程度の大きさであればよいので、貴金属カー
ドの美術的価値を損なうおそれがない。

また、保護膜2a,2bの貴金属薄板１と接触する内側の
層が比較的低温で可塑化する熱可塑性樹脂のアイオノマ
ー樹脂層３で形成されているので、保護膜2a,2bを貴金
属薄板１に比較的低温で圧着することにより、これらを
強固に接合することができ、さらに、保護膜2a,2bの最
外層が内側の層より表面硬度の高いハードコート層６で
形成されているので、保護膜2a,2bの表面にスリ傷等が
付きにくく、透光性を長期に亙って維持することができ
る。

なお、上記実施例では、保護膜2aに鑑定用の一対の孔
10,10を形成したが、少なくとも１以上形成すればよ
く、また保護膜2a,2bのいずれか一方あるいは両方に形
成してもよい。

また、貴金属薄板１と保護膜2aとの間に装飾板を介在
させた貴金属カードの場合、保護膜2aおよび装飾板を貫
通するように鑑定用の孔を形成するか、または、裏側の
保護膜2bに孔を形成すればよい。

「考案の効果」以上説明したように、この考案の貴金属カードによれ
ば、保護膜の表面に貴金属薄板の表面に達する貴金属鑑
定用の孔を２つ形成したので、この孔を通して貴金属薄
板に電子線やＸ線等を照射することにより、貴金属カー
ドを破壊することなく貴金属の品位を正確に鑑定するこ
とができる。また、鑑定に２つの孔を用いることによ
り、貴金属薄板のバラツキを確認することができる。さ
らに、この孔の径は、貴金属の鑑定を行うために用いら
れる電子線やＸ線のビームが通過する程度の大きさであ
ればよいので、貴金属カードの美術的価値を損なうおそ
れがない。

【図面の簡単な説明】

第１図ないし第３図はこの考案の貴金属カードの一実施
例を示すものであり、第１図は貴金属カードの断面図、
第２図は第１図におけるII矢視図、第３図は第１図にお
けるIII矢視図である。１……貴金属薄板、2a,2b……保護膜、10……孔。

Claims

【実用新案登録請求の範囲】

【請求項１】貴金属または貴金属の合金からなる薄板を
樹脂製の保護膜で被覆するとともに、この保護膜の表面
に上記薄板の表面に達する貴金属鑑定用の孔を２つ形成
したことを特徴とする貴金属カード。