JPH0857871A - ワックスパターンの製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 微細な線等を表した薄い平面状のワックスパ
ターンの製造方法を提供する。 【構成】 凹部５を形成した型板４、凹部７を形成した
蓋型板６の間にワックスＷを充填する。型板４、蓋型板
６をホットプレスの熱板８，９間に設置して、加熱する
と共に加圧して、余分なワックスＷを流し出す。この
後、固化して造形されたワックスパターンを取出す。 【効果】 凹部５，７の隅々までワックスＷが行き渡
り、薄い平面状のワックスパターン11を精密に製作する
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、貴金属等金属製の装身
具、工芸品、工業用小物等を鋳造するためのワックスパ
ターンの製造方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、装身具等の金属製品の精密鋳造法
におけるワックス模型の製造方法として、ワックスイン
ジェクション方法が周知である。このワックスインジェ
クション方法は原形を型取りして内部に成形空間を形成
した分割可能な弾性材からなる型に、溶融したワックス
を所定の圧力で充填して、冷却固化させ、この後に前記
型を分割してワックス模型を取出す方法である。尚、こ
の後に取出したワックス模型を例えばロストワックス鋳
造法により鋳造する。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】前記ワックスインジェ
クション方法により、例えば厚みが１ｍｍ以下、さらに
は０．６ｍｍ以下の薄い平面状の原形、例えば木の葉や
布等を原形としてワックス模型を製作しようとしても、
原形が曲がりやすいために原形の型取りが困難であるこ
と、また仮に原形を型取りしても型内に圧力をかけて溶
融ワックスを充填した際に、細部までワックスを充填で
きないという問題があった。

【０００４】そこで、本願発明は前記問題を解決して薄
板状のワックスパターンを精密に製造するワックスパタ
ーンの製造方法を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１記載の本発明
は、成形空間を上面に形成した型板に溶融ワックスを充
填した後に、前記型板を蓋板により閉じ、これら型板、
蓋板に圧力を加えて冷却固化することを特徴とするワッ
クスパターンの製造方法である。

【０００６】請求項２記載の本発明は、前記型板は、薄
い平面状の原形を枠に設置し、この後前記枠に液状弾性
材を充填、固化して製造することを特徴とする請求項１
記載のワックスパターンの製造方法である。

【０００７】

【作用】前記請求項１記載の構成により、溶融ワックス
が成形空間の隅々まで充填でき、精密なワックスパター
ンを製造することができる。

【０００８】前記請求項２記載の構成により、薄い平面
状の原形を精密に型取りすることができる。

【０００９】

【実施例】以下、本発明の第１実施例を図１乃至図５を
参照して説明する。図１は第１工程を示しており、該第
１実施例では薄い平面状の原形１として木の葉を用いた
場合を示している。まず原形１を型枠２の底部３に設置
する。実施例では葉の表面を上向きとしている。次に前
記型枠２に液状シリコーンゴム等合成ゴムＧ、天然ゴム
等の弾性材を充填し、この後に冷却して固化させる。
尚、前記材料のうち耐熱性、耐圧性に優れるシリコーン
ゴムが好ましものであり、硬化剤と共に液状シリコーン
ゴムを充填するものである。

【００１０】図２は第２工程を示しており、前述のよう
にして製作した型板４から原形１を除去することにより
型板４の表面には、前記原形１により成形空間たる凹部
５が形成される。

【００１１】図３は第３工程を示しており、全面的に上
方を開放した型板４の前記凹部５に溶融したワックスＷ
をやや多めに流し込み、固化させる。この際、全面的に
開放した凹部５にワックスＷがほぼ全面的に細部まで充
填される。このワックスＷとしてはパラフィンにみつろ
う、松やに等を混ぜたものである。そして蓋板たる蓋型
板６により前記型板４を閉じる。前記蓋型板６にも前記
型板４と同様に製造されたものであって、葉の下面が成
形空間たる凹部７が下面に形成されている。尚、前記蓋
型板６もシリコーンゴム等合成ゴム、天然ゴム等からな
る弾性材からなる。特に前記材料のうち耐熱性、耐圧性
に優れるシリコーンゴムが好ましい。

【００１２】図４は第４工程を示しており、前記型板
４、蓋型板６を一組としてホットプレスの熱板８，９間
に設置し、可動定盤10を、手動、液圧等により作動させ
て前記熱板８，９の熱により加熱し、同時に圧縮して、
溶融した余分なワックスＷを流し出し前記原形１に対応
してワックスＷの厚みを調節する。

【００１３】図５は第５工程を示しており、前記凹部
５，７内のワックスＷを冷却、固化させ、この後造形さ
れたワックス模型たるワックスパターン11を取出す。

【００１４】尚、前記ワックスパターン10を利用してロ
ストワックス鋳造法により鋳造する。すなわちワックス
模型たる薄い平面状のワックスパターン10の周囲に石膏
等の鋳型材料（図示せず）を詰め、この後加熱してワッ
クスを流し出した後に溶融金属を流し込んで造型するも
のである。尚、ワックスパターン10を詰める前に定温室
内で予め曲げたりして加工してもよい。

【００１５】以上のように、前記実施例では型板４の上
面に全面的に開放した凹部５に溶融ワックスＷを充填し
て、この後蓋型板６で型板４を閉じた状態で熱、圧力を
かけて冷却、固化することにより、平面の微細な箇所ま
で確実にワックスＷが充填し、精密な薄い平面状のワッ
クスパターン10を製造することができる。

【００１６】さらに、型板４、蓋型板６は、薄い平面状
の原形１を枠２の底部３に設置し、この後前記枠２に液
状シリコーンゴム等合成ゴムＧを充填、固化して製造す
ることにより、葉や布等の曲がりやすいような原形１で
も確実に型取りすることができる。

【００１７】また、前記型板４、蓋型板６はシリコーン
ゴム等の弾性材により成形することにより、ホットプレ
ス等で圧力を加えた際に弾性変形して精密にワックスパ
ターン10を製造することができる。

【００１８】図６乃至図１３は本発明の第２実施例を示
しており、図６は第１工程を示しており、 101は鋳型加
工における版下であり、白紙或いは半透明のプラスチッ
クベース等の版下本体 102に、手書き原稿、印刷等によ
り所望の下図、下絵等の模様、文字等を表した黒色系部
103が表されている。

【００１９】図７は第２工程を示しており、 104はワー
クフィルムであり、前記版下 101をカメラ（図示せず）
により撮影し、カメラワーク誤差を補正等して作成した
フィルム原版（図示せず）より作成されるものである。
そして感光性樹脂層 105を形成し原形である版材 106と
前記ワークフィルム 104を密着させる。前記版材 106は
亜鉛、真鍮等の金属或いはプラスチック等の平板状のも
のである。そして超高圧水銀灯やメタルハライドランプ
（図示せず）の紫外線エネルギーにより露光させ、スプ
レー法、浸漬法等で現像を行い、ポストベーク（ｐｏｓ
ｔ ｂａｋｅ）により強固なレジストパターン 105Ａを
形成する。尚、前記レジストパターン 105Ａは感光性樹
脂層 105が溶剤に可溶性となるポジ形と、不溶性となる
ネガ形とに大別される。特に、版下 101に濃淡がある場
合には、点面積の大小を利用した網点撮影を利用して、
濃淡に応じてのレジストパターンを調節することによ
り、一層精密化を図ることができる。

【００２０】図８は第３工程を示し、この第３工程では
前記版材 106の表面を化学的又は電気化学的に腐食させ
るエッチング法による工程を示しており、前記版材 106
にシャワー式、浸漬式、或いはスピレー式によりエッチ
ング液（図示せず）を作用させる。図８においては前記
版下 101の黒色系部 103に相当する前記版材 106の部位
が周囲部位 107に比較して突出部 108となっている。特
に、版下 101に濃淡がある場合には、点面積の大小を利
用した網点撮影を利用し、濃淡に応じてエッチングによ
る腐食を精密に調節することができる。

【００２１】次に図９及び図10に示した第４及び第５工
程を説明する。図９の一点鎖線で示すように、前記版材
106を型枠 109の底に設置させた後に、該形枠 109に、
液状シリコーンゴム等合成ゴムＧ、天然ゴム等の弾性材
を充填する。尚、前記材料のうち耐熱性、耐圧性に優れ
るシリコーンゴムが好ましい。図10は前記形枠 109より
取出した型板たるゴム版 110を示しており、このゴム版
110には前記周囲部位107に対応して浅い凹部 111が形
成され、前記突出部 108に対応して深い凹部 112が形成
されている。

【００２２】図11に示す第６工程においては、前記ゴム
版 110に溶融したワックスＷを流し込む。このワックス
Ｗとしてはパラフィンにみつろう、松やに等を混ぜたも
のである。そして蓋板である上側ゴム型 113を配置し
て、前記凹部 111等を閉じる。

【００２３】次に、図12に示す第７工程においては、前
記ゴム型 110， 112を、ホットプレス装置の熱板 114間
に設置し、可動定盤（図示せず）を手動、液圧等により
作動させて加熱圧縮して、余分なワックスＷを流しだし
前記凹部 111等に対応するワックスＷの厚みを調節す
る。この後前記凹部 111等内のワックスＷを冷却、固化
させてワックスパターンたるワックス模型 115を造形す
る。

【００２４】この後に図13の第８工程に示すように、ゴ
ム型 111， 113を開いて前記ワックス模型 115を取出す
ものである。前記ワックス模型 114には前記黒色系部 1
03に対応して平板状部 116に凸部 117が形成されてい
る。尚、取出した薄板状のワックス模型 115をさらに加
工する場合には、例えば平板状部 116を彎曲状に加工す
るような場合には、ワックス模型 115を定温室内で加工
すればよい。

【００２５】以上のように、前記実施例では溶融ワック
スＷを成形空間たる凹部 111等の隅々まで充填でき、精
密な平面状のワックスパターンたるを製造ワックス模型
115製造でき、また薄い平面状の原形たる版材 106を精
密に型取りすることができる他、ワックス模型 115、ゴ
ム版 110を版材 106の表面を、レジストパターン 105Ａ
の形成後にエッチッング法により形成することにより、
例えば凸部23の正確な平面における曲線等を簡単に表す
ことができる。

【００２６】また、版下 101を写真撮影し、このワーク
フィルム 104を利用して版材 106に焼き付けて画像を作
成するフォトレジストによりレジストパターン 105Ａを
形成することにより、版下 101と同一状のものを製作で
きる。

【００２７】尚、本発明は前記実施例に限定されるもの
ではなく、例えば鋳造品を製作する型の表面を直接レジ
ストパターン形成後にエッチッング法により形成しても
よく、またレジストパターン形成の手段としては型に直
接レジストインクを印刷形成する印刷法を利用してもよ
い。この印刷法でもフォトレジストと同様に版下に基づ
いて正確なレジストパターンを製作することができる等
種々の変形が可能である。さらに、実施例では一方の型
製作用の型たるゴム版 110のための版材 106をレジスト
パターン形成、エッチッング加工したものを示したが、
上側ゴム型 113も同様に製作してもよい。さらに、前記
実施例では液状弾性材は硬化材を使用して固化するもの
を示したが、熱で溶融した弾性材を使用してもよい。

【００２８】

【発明の効果】請求項１記載の本発明は、成形空間を上
面に形成した型板に溶融ワックスを充填した後に、前記
型板を蓋板により閉じ、これら型板、蓋板に圧力を加え
て冷却固化することを特徴とするワックスパターンの製
造方法であり、溶融ワックスを成形空間の隅々まで充填
でき、精密な平面状のワックスパターンを製造すること
ができる。

【００２９】請求項２記載の本発明は、前記型板は、薄
い平面状の原形を枠に設置し、この後前記枠に液状弾性
材を充填、固化して製造することを特徴とする請求項１
記載のワックスパターンの製造方法であり、薄い平面状
の原形を精密に型取りすることができ、薄く精密な平面
状のワックスパターンを製造することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例を示す第１工程の斜視図で
ある。

【図２】本発明の第１実施例を示す第２工程の斜視図で
ある。

【図３】本発明の第１実施例を示す第３工程の断面図で
ある。

【図４】本発明の第１実施例を示す第４工程の断面図で
ある。

【図５】本発明の第１実施例を示す第５工程の斜視図で
ある。

【図６】本発明の第２実施例を示す第１工程の平面図で
ある。

【図７】本発明の第２実施例を示す第２工程の断面図で
ある。

【図８】本発明の第２実施例を示す第３工程の断面図で
ある。

【図９】本発明の第２実施例を示す第４工程の斜視図で
ある。

【図10】本発明の第２実施例を示す第５工程の斜視図で
ある。

【図11】本発明の第２実施例を示す第６工程の断面図で
ある。

【図12】本発明の第２実施例を示す第７工程の断面図で
ある。

【図13】本発明の第２実施例を示す第８工程の斜視図で
ある。

【符号の説明】

１ 原形 ２ 型枠 ４ 型板 ５ ７ 凹部（成形空間） ６ 蓋型板 10 ワックスパターン Ｇ 合成ゴム（液状弾性材） Ｗ ワックス

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 成形空間を上面に形成した型板に溶融ワ
   ックスを充填した後に、前記型板を蓋板により閉じ、こ
   れら型板、蓋板に圧力を加えて冷却固化することを特徴
   とするワックスパターンの製造方法。
2. 【請求項２】 前記型板は、薄い平面状の原形を枠に設
   置し、この後前記枠に液状弾性材を充填、固化して製造
   することを特徴とする請求項１記載のワックスパターン
   の製造方法。