JPH085759B2 - 半絶縁性GaAs基板の製造方法 - Google Patents

半絶縁性GaAs基板の製造方法

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JPH085759B2
JPH085759B2 JP2048881A JP4888190A JPH085759B2 JP H085759 B2 JPH085759 B2 JP H085759B2 JP 2048881 A JP2048881 A JP 2048881A JP 4888190 A JP4888190 A JP 4888190A JP H085759 B2 JPH085759 B2 JP H085759B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明はLSIやIC用基板とする抵抗率が107Ωcm以上の
半絶縁性GaAs基板の製造方法に関する。
〔従来の技術〕
GaAsはSiよりも電子移動度が大きいことから、マイク
ロ波通信素子用の基板として使われており、又次世代の
超高速集積回路素子の基板として用途を広げつつある。
このGaAs基板は通常液体封止引き上げ法(以下LEC法と
略記)、又はクロム添加を行なう水平ブリツジマン法
(以下HB法と略記)により得られたインゴツトから製造
されている。ところがGaAs基板状にエピタキシヤル膜を
成長させて製造する素子では、HB法により得られたGaAs
基板は、転位密度は低いが基板中に添加されているクロ
ムのエピタキシヤル膜への悪影響があり、クロムを添加
しない半絶縁性GaAs基板の供給が望まれている。又、LE
C法により得られたGaAs基板は、不純物無添加で半絶縁
性ではあるが、転位密度が高いために用いられない。
これらの問題点を解決すべく垂直温度勾配法(以下VG
F法と略記)が試みられているが、VGF法で得られたGaAs
基板はHB法で得られたGaAs基板と同等の転位密度はある
ものの、比抵抗は105Ωcm台に留まつている。
LSIやIC用基板にとつては、素子間の電気的分離が良
好で、高集積化を可能にするため比抵抗の高いことが重
要で、一般に107Ωcm以上が要求されている。しかし、V
GF法で得られる無添加GaAs基板は比抵抗が上記のように
低過ぎ、そのため素子間の電気的分離が不完全となり基
板を介しての漏れ電流が問題となる。
〔発明が解決しようとする課題〕
本発明の課題は、クロム添加によらず低転位密度で且
つ比抵抗が107Ωcm以上の半絶縁性GaAs基板を得る方法
を提供することにある。
〔課題を解決するための手段〕
上記課題を達成するため、本発明はVGF法によりGaAs
結晶を育成する際、原料中或いは原料と共に育成用ルツ
ボに炭素、銅、亜鉛、ベリリウム、マグネシウム、カド
ミウム、リチウム、金、銀、鉛、コバルト、ニツケルの
うちの少なくとも一つのアクセプタとなる不純物を、シ
リコン、硫黄などのドナとなる不純物の濃度を差し引い
た上で育成後の結晶中で1×1015個cm-3〜3×1016個cm
-3の原子濃度となるように添加して結晶を製造し、その
後ウエハー状に切断する点に特徴がある。
〔作用〕
LEC法により得られたGaAs結晶において、アクセプタ
である残留炭素の原子濃度が1×1015個cm-3よりも低い
場合が稀にあるが、その場合は図に示すように、500〜6
50℃の温度範囲で熱処理すると伝導帯下0.43eVに位置す
る深いドナ準位(以下深いドナ準位と略記)が生成して
比抵抗が107Ωcm以下に低下し、又これを700℃以上で熱
処理し450℃まで急冷すると深いドナ準位が消滅し比抵
抗が107Ωcm以上に回復することが本発明者等により確
かめられている。しかし一般にLEC法で得られた結晶で
は、結晶育成中に炉内部材(特にカーボンヒーター)か
らの汚染があるため炭素原子濃度は1×1015個cm-3より
も高く、比抵抗が107Ωcm以下に低下することは極めて
少ない。
一方、VGF法で得られたGaAs結晶では、結晶育成系内
に炭素部材を含まないので汚染が無く炭素原子濃度は常
に1×1015個cm-3以下であり、且つ育成後徐冷するため
に上述のように深いドナ準位が生成し、比抵抗が105Ωc
m台に低下する。この比抵抗を107Ωcm以上にするため
に、VGF法によりGaAs結晶を育成する際、原料結晶中或
いは原料と共に育成用ルツボに前記の炭素等のアクセプ
タとなる不純物を、育成後の結晶中で、シリコン、硫黄
などのドナとなる不純物の濃度を差し引いた上で1×10
15個cm-3〜3×1015個cm-3となる様添加して結晶を製造
するのである。アクセプタ、ドナ、EL2(伝導帯下0.78e
Vに位置するドナ準位)の間の濃度バランスが上記のよ
うになることは、ドナを電気的に補償して残つたアクセ
プタが、EL2に電気的に補償されることを示しており、
この場合GaAs結晶は107Ωcm以上の比抵抗を示す半絶縁
性となる。
このような濃度バランスで不純物添加してGaAs結晶を
製造することにより、クロムを添加しなくても安定して
半絶縁性の基板が得られる。
〔実施例〕
比較例〔無添加GaAsの製造) 内径52mmの熱分解窒化ボロンるつぼに、GaAs原料700g
とB2O314gとを種結晶であるGaAs単結晶の上になるよう
に置き、又圧力制御用の金属Asを15g、他にリザーバを
設けて入れ、10-6torrに内部を減圧して封止した石英封
管を、VGF炉にセツトした。Asリザーバを615℃に、種結
晶の上端とその上の原料結晶部を1238〜1350℃に昇温し
融解した後、毎時0.6℃で降温した。結晶育成終了後、
引き続いてるつぼ全体を毎分1.0〜1.5℃の冷却速度で室
温まで冷却することにより単結晶を得るVGF法により育
成を行なつた。VGF法により得られた炭素原子濃度1×1
015個cm-3未満のGaAs結晶を、厚さ0.6mmのウエハー状に
切断し、更にこれを4mm角のチツプに整形して引抵抗を
測定した。比抵抗測定は、ホール係数測定法を用いて行
なつた。結果を第1表に示す。
実施例1(亜鉛添加GaAsの製造) VGF法により得られる炭素原子濃度1×1015個cm-3
満のGaAs結晶を育成する際、原料結晶中に亜鉛を、シリ
コンなどのドナとなる不純物原子の濃度を差し引いた上
で尚育成後の結晶中で3×1016個cm-3以下となるように
添加して結晶を製造し、その後ウエハー状に切断して引
抵抗を測定した。比抵抗は、ホール係数測定法を用いて
行なつた。結果を第1表に示す。
第1表から明らかなように、無添加のウエハーは5×
1014個cm-3の炭素原子濃度で比抵抗は5×105Ωcmであ
るのに比べ、本発明により製造したウエハーでは2×10
15個cm-3の亜鉛原子濃度を得ると共に3×107Ωcmの半
絶縁性を示している。
実施例2(銅添加GaAsの製造) 実施例1と同様のVGF法により銅を、シリコン等のド
ナとなるように不純物原子の濃度を差し引いた上でなお
育成後の結晶中で3×1016個cm-3以下となるよう添加し
て結晶を製造し、その後ウエハー状に切断して比抵抗を
測定した。比抵抗は、ホール係数測定法を用いて行なつ
た。実施例1で得られたと同様に、銅を添加したウエハ
ーでは2×1015個cm-3の銅原子濃度を得ると共に3×10
7Ωcmの半絶縁性を示した。
〔発明の効果〕
このように本発明によれば、クロムを添加しないで低
転位密度の半絶縁性GaAs基板を得ることができ、GaAsの
IC、LSI化に大きく貢献することが出来る。又、本発明
はVGF法と原理を同じくする垂直ブリツジマン法にも適
用できることは云うでもない。
【図面の簡単な説明】
図は本発明の基本となる深いドナ準位の生成、消滅によ
る比抵抗変化の温度依存性を示すグラフである。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】垂直温度勾配法によりGaAs結晶を育成する
    際、原料中域は原料と共に育成用ルツボに炭素、銅、亜
    鉛、ベリリウム、マグネシウム、カドミウム、リチウ
    ム、金、銀、鉛、コバルト、ニツケルのうち少なくとも
    一つのアクセプタとなる不純物を、シリコン、硫黄など
    のドナとなる不純物の濃度を差し引いた上でなお育成後
    の結晶中で1×1015個cm-3〜3×1016個cm-3の原子濃度
    となるように添加して結晶を製造し、その後ウエハー状
    に切断することを特徴とする比抵抗が107Ωcm以上の半
    絶縁性GaAs基板の製造方法。
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