JPH0852842A - 積層樹脂被覆体およびそれからなる耐熱 クリープ性フレキシブルコンテナ - Google Patents
積層樹脂被覆体およびそれからなる耐熱 クリープ性フレキシブルコンテナInfo
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- JPH0852842A JPH0852842A JP6211932A JP21193294A JPH0852842A JP H0852842 A JPH0852842 A JP H0852842A JP 6211932 A JP6211932 A JP 6211932A JP 21193294 A JP21193294 A JP 21193294A JP H0852842 A JPH0852842 A JP H0852842A
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】 フレキシブルコンテナ等を用いる可撓性の樹
脂被覆体であって、熱接合が可能で、しかも耐熱クリ−
プ性のすぐれた積層樹脂被覆体、およびそれを用いたフ
レキシブルコンテナ。 【構成】 織物等のシ−ト状基材に直接積層される被覆
樹脂として高温でも軟化しがたい架橋型樹脂を用い、そ
の表面最外層には、この架橋型樹脂と親和性のある熱可
塑型樹脂を被覆する。 【効果】 本発明の積層樹脂被覆体は、たとえばフレキ
シブルコンテナに用いた場合、縫製が容易で、かつ10
0℃程度の内容物を直接収納しても破袋を起こさない。
脂被覆体であって、熱接合が可能で、しかも耐熱クリ−
プ性のすぐれた積層樹脂被覆体、およびそれを用いたフ
レキシブルコンテナ。 【構成】 織物等のシ−ト状基材に直接積層される被覆
樹脂として高温でも軟化しがたい架橋型樹脂を用い、そ
の表面最外層には、この架橋型樹脂と親和性のある熱可
塑型樹脂を被覆する。 【効果】 本発明の積層樹脂被覆体は、たとえばフレキ
シブルコンテナに用いた場合、縫製が容易で、かつ10
0℃程度の内容物を直接収納しても破袋を起こさない。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フレキシブルコンテ
ナ、テント、あるいはルーフィング等に好適に使用され
る可撓性の樹脂被覆体に関し、特に熱接合が可能で、し
かも耐熱クリ−プ性のすぐれた積層樹脂被覆体に関す
る。また、この積層樹脂被覆体を用いたフレキシブルコ
ンテナに関するものである。
ナ、テント、あるいはルーフィング等に好適に使用され
る可撓性の樹脂被覆体に関し、特に熱接合が可能で、し
かも耐熱クリ−プ性のすぐれた積層樹脂被覆体に関す
る。また、この積層樹脂被覆体を用いたフレキシブルコ
ンテナに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、フレキシブルコンテナに用いられ
るシートは、主として補強材としてのポリエステルフィ
ラメント織物に軟質の可塑化ポリ塩化ビニル,エチレン
−酢酸ビニルコポリマー、または熱可塑性ポリウレタン
等の熱可塑型樹脂膜を被覆したもの、あるいは天然ゴ
ム、合成ゴム等を被覆したゴム引布が使用されている。
前者の熱可塑型樹脂の場合は、熱による接合が可能であ
り、高周波ウエルダー機により接合されて製品化され、
後者のゴム引布は接着剤により接合して製品化されてい
る。
るシートは、主として補強材としてのポリエステルフィ
ラメント織物に軟質の可塑化ポリ塩化ビニル,エチレン
−酢酸ビニルコポリマー、または熱可塑性ポリウレタン
等の熱可塑型樹脂膜を被覆したもの、あるいは天然ゴ
ム、合成ゴム等を被覆したゴム引布が使用されている。
前者の熱可塑型樹脂の場合は、熱による接合が可能であ
り、高周波ウエルダー機により接合されて製品化され、
後者のゴム引布は接着剤により接合して製品化されてい
る。
【0003】製品化工程は、熱可塑型樹脂膜被覆シート
の方が高周波ウエルダー等で、熱接合できて作業性にす
ぐれているが、フレキシブルコンテナとしての使用に当
たって、高温下では樹脂の軟化によって接合部で織物と
樹脂の界面破壊が生じ接合が剥れてしまう。ゴム引布で
は、加硫された熱硬化型のため軟化による接合剥離の現
象はないが、製品化工程は接着剤による接合のため手間
がかかり効率が悪い。
の方が高周波ウエルダー等で、熱接合できて作業性にす
ぐれているが、フレキシブルコンテナとしての使用に当
たって、高温下では樹脂の軟化によって接合部で織物と
樹脂の界面破壊が生じ接合が剥れてしまう。ゴム引布で
は、加硫された熱硬化型のため軟化による接合剥離の現
象はないが、製品化工程は接着剤による接合のため手間
がかかり効率が悪い。
【0004】近年、合成樹脂ペレット等をフレキシブル
コンテナに充填する場合、工程省略と省エネルギー、省
人のためペレットを十分冷却することなく100℃以上
の高温のまま充填することが要求される。これに対し、
現在主流であるポリ塩化ビニル樹脂被覆あるいはエチレ
ン−酢酸ビニルコポリマー被覆のフレキシブルコンテナ
では、高温で被覆樹脂が軟化し接合部分の破壊を生じ
る。これらの樹脂被覆材を使った場合の安全使用温度は
60℃である。比較的軟化温度の高い熱可塑型ポリウレ
タン樹脂で被覆したシート使用のフレキシブルコンテナ
では安全使用温度は80℃と高いが、100℃での使用
は危険である。
コンテナに充填する場合、工程省略と省エネルギー、省
人のためペレットを十分冷却することなく100℃以上
の高温のまま充填することが要求される。これに対し、
現在主流であるポリ塩化ビニル樹脂被覆あるいはエチレ
ン−酢酸ビニルコポリマー被覆のフレキシブルコンテナ
では、高温で被覆樹脂が軟化し接合部分の破壊を生じ
る。これらの樹脂被覆材を使った場合の安全使用温度は
60℃である。比較的軟化温度の高い熱可塑型ポリウレ
タン樹脂で被覆したシート使用のフレキシブルコンテナ
では安全使用温度は80℃と高いが、100℃での使用
は危険である。
【0005】フレキシブルコンテナ以外でも、テント、
ルーフイングその他使用中、あるいは施工時に高温下で
張力を受ける用途においては耐熱クリープ性が重要な性
能であるが、縫製作業の効率上有利な熱接合性と耐熱ク
リープ性とを満足する適当なシート材料はこれまでなか
った。
ルーフイングその他使用中、あるいは施工時に高温下で
張力を受ける用途においては耐熱クリープ性が重要な性
能であるが、縫製作業の効率上有利な熱接合性と耐熱ク
リープ性とを満足する適当なシート材料はこれまでなか
った。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、従来の
フレキシブルコンテナ用シートは、熱接合が可能で縫製
作業の効率にすぐれているが耐熱クリープ性が低く高温
での使用に制約がある熱可塑性樹脂被覆シートか、また
は耐熱クリープ性がすぐれているが縫製作業の効率が劣
るゴム引布しかなかった。本発明は熱接合が可能で、し
かも耐熱クリープ性の積層樹脂被覆体および、かかる積
層樹脂被覆体を用いた耐熱クリ−プ性フレキシブルコン
テナの提供を目的とするものである。
フレキシブルコンテナ用シートは、熱接合が可能で縫製
作業の効率にすぐれているが耐熱クリープ性が低く高温
での使用に制約がある熱可塑性樹脂被覆シートか、また
は耐熱クリープ性がすぐれているが縫製作業の効率が劣
るゴム引布しかなかった。本発明は熱接合が可能で、し
かも耐熱クリープ性の積層樹脂被覆体および、かかる積
層樹脂被覆体を用いた耐熱クリ−プ性フレキシブルコン
テナの提供を目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、従来の熱
可塑性樹脂被覆シートの熱接合部の高温荷重下における
接合破壊の機構を詳細に解析し、接合の破壊は熱接合さ
れた界面ではなく、被覆樹脂層と繊維基布との界面で起
こることを見出した。さらにその原因は被覆樹脂が高温
のため軟化して繊維基布を拘束する力が低下し、両者の
間にずれを生じることにあることを確認した。したがっ
て、熱接合部の耐熱クリ−プ性の向上には、樹脂と繊維
の間の接着性の向上ではなく、樹脂自体の軟化の抑制が
必要であるとの結論に達した。この知見に基づき本発明
者らは、繊維等の基材に接し界面を構成する樹脂層には
軟化が起こりにくい架橋型樹脂を用いて基材と積層一体
化させ、その表面最外層には架橋型樹脂と親和性をも
ち、かつ熱接合が可能な熱可塑型樹脂を積層する構成を
採用することにより本発明の課題の解決に成功した。表
面樹脂層と繊維基布との間に熱硬化させたポリウレタン
層を介在させる複合膜が特開昭56−162647号公
報に開示されているが、この発明はポリフッ化ビニル等
の高耐候フィルムを高強度織物と複合するに当り、中間
クッション層を兼ねた接着剤として硬化型ポリウレタン
を用いるもので、耐熱クリ−プ性については全く関係の
ない発明である。基布との関係においても、本願発明で
は架橋型樹脂はシ−ト状基材と積層一体化されることが
必要であるが、この発明では織物が硬化ポリウレタン層
へ喰い込まないことを目的としている。本願発明の如く
架橋型樹脂を基材と積層一体化させることにより耐熱ク
リ−プ性を向上させる技術思想と構成はこれまで見られ
ないものである。すなわち本発明は、シ−ト状基材の少
なくとも片面に架橋型樹脂が積層一体化され、さらにこ
の架橋型樹脂層の少なくとも片面の最外層に、この架橋
型樹脂と親和性のある熱可塑型樹脂が積層されてなるこ
とを特徴とする積層樹脂被覆体を要旨とする。さらに具
体的には、繊維性シ−ト状基材の、少なくとも片面に二
液性熱硬化型ポリウレタン樹脂層が積層一体化され、さ
らにこの二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂が積層されて
なることを特徴とする積層樹脂被覆体を要旨とするもの
である。また、さらに、袋体の主要な構成材料が上記の
積層樹脂被覆体からなる耐熱クリ−プ性フレキシブルコ
ンテナをも要旨とするものである。
可塑性樹脂被覆シートの熱接合部の高温荷重下における
接合破壊の機構を詳細に解析し、接合の破壊は熱接合さ
れた界面ではなく、被覆樹脂層と繊維基布との界面で起
こることを見出した。さらにその原因は被覆樹脂が高温
のため軟化して繊維基布を拘束する力が低下し、両者の
間にずれを生じることにあることを確認した。したがっ
て、熱接合部の耐熱クリ−プ性の向上には、樹脂と繊維
の間の接着性の向上ではなく、樹脂自体の軟化の抑制が
必要であるとの結論に達した。この知見に基づき本発明
者らは、繊維等の基材に接し界面を構成する樹脂層には
軟化が起こりにくい架橋型樹脂を用いて基材と積層一体
化させ、その表面最外層には架橋型樹脂と親和性をも
ち、かつ熱接合が可能な熱可塑型樹脂を積層する構成を
採用することにより本発明の課題の解決に成功した。表
面樹脂層と繊維基布との間に熱硬化させたポリウレタン
層を介在させる複合膜が特開昭56−162647号公
報に開示されているが、この発明はポリフッ化ビニル等
の高耐候フィルムを高強度織物と複合するに当り、中間
クッション層を兼ねた接着剤として硬化型ポリウレタン
を用いるもので、耐熱クリ−プ性については全く関係の
ない発明である。基布との関係においても、本願発明で
は架橋型樹脂はシ−ト状基材と積層一体化されることが
必要であるが、この発明では織物が硬化ポリウレタン層
へ喰い込まないことを目的としている。本願発明の如く
架橋型樹脂を基材と積層一体化させることにより耐熱ク
リ−プ性を向上させる技術思想と構成はこれまで見られ
ないものである。すなわち本発明は、シ−ト状基材の少
なくとも片面に架橋型樹脂が積層一体化され、さらにこ
の架橋型樹脂層の少なくとも片面の最外層に、この架橋
型樹脂と親和性のある熱可塑型樹脂が積層されてなるこ
とを特徴とする積層樹脂被覆体を要旨とする。さらに具
体的には、繊維性シ−ト状基材の、少なくとも片面に二
液性熱硬化型ポリウレタン樹脂層が積層一体化され、さ
らにこの二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂が積層されて
なることを特徴とする積層樹脂被覆体を要旨とするもの
である。また、さらに、袋体の主要な構成材料が上記の
積層樹脂被覆体からなる耐熱クリ−プ性フレキシブルコ
ンテナをも要旨とするものである。
【0008】本発明において、シート状基材は、通常積
層樹脂被覆体の補強あるいは寸法安定の目的で用いら
れ、織物、編物、不織布、フイルム等の可撓性シ−トが
使用される。フレキシブルコンテナ、テント、ル−フィ
ング等の用途にはポリエステルフィラメントが多く使わ
れるが、製品に要求される強度、伸度、或いは耐熱性、
寸法安定性等に応じて、アラミドなどの超高強力繊維、
ガラス繊維などの無機繊維、その他任意の繊維素材を選
ぶ他、糸の太さ、織編物の密度、組織等を適切に設定す
ることができる。
層樹脂被覆体の補強あるいは寸法安定の目的で用いら
れ、織物、編物、不織布、フイルム等の可撓性シ−トが
使用される。フレキシブルコンテナ、テント、ル−フィ
ング等の用途にはポリエステルフィラメントが多く使わ
れるが、製品に要求される強度、伸度、或いは耐熱性、
寸法安定性等に応じて、アラミドなどの超高強力繊維、
ガラス繊維などの無機繊維、その他任意の繊維素材を選
ぶ他、糸の太さ、織編物の密度、組織等を適切に設定す
ることができる。
【0009】本発明に使用される相互に親和性のある熱
可塑型樹脂および架橋型樹脂として多くの組合わせが可
能であるが、両樹脂層界面の接着力を考慮すると両者と
もポリウレタン系とする組合わせが好適なものの一つで
ある。以下、ポリウレタン系を主に説明する。最外層を
形成し、高周波ウエルダ−等による接合が可能な熱可塑
型ポリウレタン樹脂としては、溶剤に溶かした商品とし
て、例えば大日本インキ製「クリスボンシリ−ズ」や大
日精化製「レザミンシリ−ズ」がある。また、樹脂ペレ
ットとしては、住友バイエルウレタン製「デスモパ
ン」、大日本インキ製「パンデックス」、日本ミラクト
ラン製「ミラクトラン」、クラレ製「クラミロン」等が
入手可能である。一方、繊維素材に積層され熱によって
軟化しない強固な界面を形成する架橋型ポリウレタン樹
脂としては、ポリオ−ルとジイソシアネ−トを熱硬化反
応させてポリウレタンとする技術が、ウレタンフォ−ム
やウレタンモ−ルディング(RIM)および注型方式お
いて確立しているが、これらの中からポリオ−ルの種
類、ジイソシアネ−トの種類、架橋剤および触媒を厳選
することにより、常温ではコ−ティングに適した粘度を
保持して急激な硬化反応をを起さず、昇温時には速やか
に硬化反応が進行して適当な弾性と強度と柔軟性を有す
る皮膜を形成する二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂の配
合を見出し、繊維基材に熱硬化型ポリウレタン被膜の形
成を可能にした。具体的には、ポリオ−ルは耐加水分解
性を考慮してエ−テル系のポリエ−テルポリオ−ルを用
い、ジイソシアネ−トはイソシアネ−ト含有率10〜3
0%の変性MDI(ジフェニ−ルメタンジイソシアネ−
ト)、架橋剤としてはジエチレングリコ−ル、エチレン
グリコ−ル、1,4ブタンジオ−ル等を、そして触媒に
は温度依存性の大きな特殊アミン系を選定することによ
って前記の条件を満足することができた。熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂層の厚さとしては、高周波ウエルダ−等に
よる接合の目的を達成する為に少なくとも2μm,望ま
しくは5μm以上が必要であり、かつ耐熱クリ−プ性の
上からは50μm以下、望ましくは30μm以下が適し
ている。また熱硬化型ポリウレタン樹脂層の厚さは、耐
熱クリ−プ性を確実ににするためには20μm以上、好
ましくは50μm以上が望ましい。厚さの上限は特にな
く用途に応じて適宜設定すればよいが、通常1000μ
m程度迄が一般的である。
可塑型樹脂および架橋型樹脂として多くの組合わせが可
能であるが、両樹脂層界面の接着力を考慮すると両者と
もポリウレタン系とする組合わせが好適なものの一つで
ある。以下、ポリウレタン系を主に説明する。最外層を
形成し、高周波ウエルダ−等による接合が可能な熱可塑
型ポリウレタン樹脂としては、溶剤に溶かした商品とし
て、例えば大日本インキ製「クリスボンシリ−ズ」や大
日精化製「レザミンシリ−ズ」がある。また、樹脂ペレ
ットとしては、住友バイエルウレタン製「デスモパ
ン」、大日本インキ製「パンデックス」、日本ミラクト
ラン製「ミラクトラン」、クラレ製「クラミロン」等が
入手可能である。一方、繊維素材に積層され熱によって
軟化しない強固な界面を形成する架橋型ポリウレタン樹
脂としては、ポリオ−ルとジイソシアネ−トを熱硬化反
応させてポリウレタンとする技術が、ウレタンフォ−ム
やウレタンモ−ルディング(RIM)および注型方式お
いて確立しているが、これらの中からポリオ−ルの種
類、ジイソシアネ−トの種類、架橋剤および触媒を厳選
することにより、常温ではコ−ティングに適した粘度を
保持して急激な硬化反応をを起さず、昇温時には速やか
に硬化反応が進行して適当な弾性と強度と柔軟性を有す
る皮膜を形成する二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂の配
合を見出し、繊維基材に熱硬化型ポリウレタン被膜の形
成を可能にした。具体的には、ポリオ−ルは耐加水分解
性を考慮してエ−テル系のポリエ−テルポリオ−ルを用
い、ジイソシアネ−トはイソシアネ−ト含有率10〜3
0%の変性MDI(ジフェニ−ルメタンジイソシアネ−
ト)、架橋剤としてはジエチレングリコ−ル、エチレン
グリコ−ル、1,4ブタンジオ−ル等を、そして触媒に
は温度依存性の大きな特殊アミン系を選定することによ
って前記の条件を満足することができた。熱可塑性ポリ
ウレタン樹脂層の厚さとしては、高周波ウエルダ−等に
よる接合の目的を達成する為に少なくとも2μm,望ま
しくは5μm以上が必要であり、かつ耐熱クリ−プ性の
上からは50μm以下、望ましくは30μm以下が適し
ている。また熱硬化型ポリウレタン樹脂層の厚さは、耐
熱クリ−プ性を確実ににするためには20μm以上、好
ましくは50μm以上が望ましい。厚さの上限は特にな
く用途に応じて適宜設定すればよいが、通常1000μ
m程度迄が一般的である。
【0010】上記2種類のポリウレタン樹脂皮膜、すな
わち熱可塑型ポリウレタン樹脂皮膜と熱硬化型ポリウレ
タン樹脂皮膜を積層し、皮膜同士を高周波ウエルダ−で
接着すると、両者の界面からは全く剥離できないほど一
体化する。したがって、図1に示すごとく織物の両面
に、内層に熱硬化型ポリウレタン、最外層に熱可塑型ポ
リウレタンの被覆を形成させたシ−ト同士を高周波ウエ
ルダ−で接合した場合、これを剥離すると織物と熱硬化
型ポリウレタン層との界面で剥離が生じ、シ−ト同士の
接合面および両タイプのポリウレタン樹脂層の積層界面
での剥離は発生しない。熱可塑型樹脂と架橋型樹脂の組
合わせとして、ポリウレタン系の組合わせがすぐれてい
ることが実証された。架橋型樹脂と繊維基材の組合わせ
による耐熱クリ−プ性改良の効果については後記の実施
例に示されるごとく、従来の可塑化軟質ポリ塩化ビニル
被覆体の場合の60℃、熱可塑型ポリウレタン単一層の
被覆体の80℃に対し、本発明の熱可塑型ポリウレタン
と熱硬化型ポリウレタンの積層被覆体では110℃まで
向上する。
わち熱可塑型ポリウレタン樹脂皮膜と熱硬化型ポリウレ
タン樹脂皮膜を積層し、皮膜同士を高周波ウエルダ−で
接着すると、両者の界面からは全く剥離できないほど一
体化する。したがって、図1に示すごとく織物の両面
に、内層に熱硬化型ポリウレタン、最外層に熱可塑型ポ
リウレタンの被覆を形成させたシ−ト同士を高周波ウエ
ルダ−で接合した場合、これを剥離すると織物と熱硬化
型ポリウレタン層との界面で剥離が生じ、シ−ト同士の
接合面および両タイプのポリウレタン樹脂層の積層界面
での剥離は発生しない。熱可塑型樹脂と架橋型樹脂の組
合わせとして、ポリウレタン系の組合わせがすぐれてい
ることが実証された。架橋型樹脂と繊維基材の組合わせ
による耐熱クリ−プ性改良の効果については後記の実施
例に示されるごとく、従来の可塑化軟質ポリ塩化ビニル
被覆体の場合の60℃、熱可塑型ポリウレタン単一層の
被覆体の80℃に対し、本発明の熱可塑型ポリウレタン
と熱硬化型ポリウレタンの積層被覆体では110℃まで
向上する。
【0011】このような積層被覆体を形成する方法とし
て、目の詰まった織物の場合は、織物にポリオ−ルとジ
イソシアネ−トの配合液を塗布し、十分にキュアリング
して皮膜化した後、さらに熱可塑型ポリウレタンのDM
F/MEK溶液を塗布して溶剤を除去して製膜する方法
をとることができる。一方、目の粗い織物の場合には離
型効果のある樹脂フィルムまたは離型紙の上に先ず熱可
塑型ポリウレタンの溶液を塗布し、溶剤を乾燥除去し、
その上にポリオ−ルとジイソシアネ−トの配合液を塗布
し適切な温度条件で処理後、粘着性を残した状態で織物
を積層し押圧してエイジングを行なう。または、ペレッ
ト状熱可塑型ポリウレタンを押出法またはカレンダ−法
でフィルム化し、これにポリオ−ルとジイソシアネ−ト
の配合液を塗布し、適切な条件のキュアリング後、織物
を積層押圧してエイジングする。
て、目の詰まった織物の場合は、織物にポリオ−ルとジ
イソシアネ−トの配合液を塗布し、十分にキュアリング
して皮膜化した後、さらに熱可塑型ポリウレタンのDM
F/MEK溶液を塗布して溶剤を除去して製膜する方法
をとることができる。一方、目の粗い織物の場合には離
型効果のある樹脂フィルムまたは離型紙の上に先ず熱可
塑型ポリウレタンの溶液を塗布し、溶剤を乾燥除去し、
その上にポリオ−ルとジイソシアネ−トの配合液を塗布
し適切な温度条件で処理後、粘着性を残した状態で織物
を積層し押圧してエイジングを行なう。または、ペレッ
ト状熱可塑型ポリウレタンを押出法またはカレンダ−法
でフィルム化し、これにポリオ−ルとジイソシアネ−ト
の配合液を塗布し、適切な条件のキュアリング後、織物
を積層押圧してエイジングする。
【0012】
【作用】本発明は、フレキシブルコンテナ等の用途にお
いて要望されている、高温荷重下における接合強度が大
で、かつ熱接合縫製が可能なシ−ト状樹脂被覆体として
織物等のシ−ト状基材に直接積層される樹脂層に架橋型
樹脂、たとえば二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂を用い
ることにより、樹脂の軟化による接合破壊をおさえ、ま
た架橋型樹脂層の表面最外層には熱可塑型樹脂、たとえ
ば熱可塑型ポリウレタン樹脂を積層することにより、こ
の積層樹脂被覆体同士の熱接合縫製を可能とするもので
ある。
いて要望されている、高温荷重下における接合強度が大
で、かつ熱接合縫製が可能なシ−ト状樹脂被覆体として
織物等のシ−ト状基材に直接積層される樹脂層に架橋型
樹脂、たとえば二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂を用い
ることにより、樹脂の軟化による接合破壊をおさえ、ま
た架橋型樹脂層の表面最外層には熱可塑型樹脂、たとえ
ば熱可塑型ポリウレタン樹脂を積層することにより、こ
の積層樹脂被覆体同士の熱接合縫製を可能とするもので
ある。
【0013】
【実施例】離型紙(リュテック製)に熱可塑型ポリウレ
タン溶液(大日本インキ製,商品名クリスボン7376
SL)をコンマコ−タ−によって塗布し、80℃、3分
の乾燥で厚さ約10μmのキャスティングフィルムをつ
くり、その上にポリオ−ル(住友バイエルウレタン製、
商品名ポリオ−ル0265)9.0部、ジエチレングリ
コ−ル10部、触媒(サンアプロ製,商品名SA10
2)0.1部の混合液に対し、ジイソシアネ−ト(住友
バイエルウレタン製,スミジュ−ルPF)46部を添加
してよく混合した液を、コンマコ−タ−によって200
μmのクリアランスで塗布し、80℃、2分間熱処理
後、ポリエステル織物(経・緯糸共500d,密度は2
5.4mm当り経22本、緯21本)をロ−ル上で積層
し、120℃の金属ロ−ルとゴムロ−ルの間で押圧した
後、40℃で2時間エイジングし、積層樹脂被覆体を得
た。
タン溶液(大日本インキ製,商品名クリスボン7376
SL)をコンマコ−タ−によって塗布し、80℃、3分
の乾燥で厚さ約10μmのキャスティングフィルムをつ
くり、その上にポリオ−ル(住友バイエルウレタン製、
商品名ポリオ−ル0265)9.0部、ジエチレングリ
コ−ル10部、触媒(サンアプロ製,商品名SA10
2)0.1部の混合液に対し、ジイソシアネ−ト(住友
バイエルウレタン製,スミジュ−ルPF)46部を添加
してよく混合した液を、コンマコ−タ−によって200
μmのクリアランスで塗布し、80℃、2分間熱処理
後、ポリエステル織物(経・緯糸共500d,密度は2
5.4mm当り経22本、緯21本)をロ−ル上で積層
し、120℃の金属ロ−ルとゴムロ−ルの間で押圧した
後、40℃で2時間エイジングし、積層樹脂被覆体を得
た。
【0014】この積層樹脂被覆体の表面同士を合せて高
周波ウエルダ−(山本ビニタ−製,7KW高周波ウェル
ダ−,同調50〜60,電流1〜1.5A,溶着時間3
秒,冷却時間4秒)で接合した。この試料(ラップ幅4
cm,測定幅3cm)を東洋精機製作所製,クリ−プテ
スタ−で25kgの荷重で雰囲気温度を変えてクリ−プ
テストを行なった。比較試料として、下記のカレンダ−
トッピング加工による樹脂被覆体を同時にテストした結
果は表1のとおりであった。数値はクリ−プ破壊に至る
時間を示す。 比較例1 可塑化ポリ塩化ビニル樹脂 (日本ビニル製3000M,DOP60部) 比較例2 熱可塑型ポリウレタン樹脂 (住友バイエルウレタン製,商品名デスモパン786) (基布はいずれも750dポリエステルフイラメント使
い)
周波ウエルダ−(山本ビニタ−製,7KW高周波ウェル
ダ−,同調50〜60,電流1〜1.5A,溶着時間3
秒,冷却時間4秒)で接合した。この試料(ラップ幅4
cm,測定幅3cm)を東洋精機製作所製,クリ−プテ
スタ−で25kgの荷重で雰囲気温度を変えてクリ−プ
テストを行なった。比較試料として、下記のカレンダ−
トッピング加工による樹脂被覆体を同時にテストした結
果は表1のとおりであった。数値はクリ−プ破壊に至る
時間を示す。 比較例1 可塑化ポリ塩化ビニル樹脂 (日本ビニル製3000M,DOP60部) 比較例2 熱可塑型ポリウレタン樹脂 (住友バイエルウレタン製,商品名デスモパン786) (基布はいずれも750dポリエステルフイラメント使
い)
【0015】
【表1】
【0016】
【発明の効果】本発明は、主として補強等の目的で使用
するシ−ト基材に直接積層される被覆樹脂として高温で
も軟化し難い架橋型樹脂を用い、その表面最外層には、
この架橋型樹脂と親和性のある熱可塑型樹脂を被覆した
積層樹脂被覆体の構成をとることにより、被覆体同士は
熱可塑性樹脂の表面層の間で熱溶着縫製が可能であり、
しかも高温下の使用でも接合部の破壊が起こりにくく、
たとえばフレキシブルコンテナとして100℃以上の内
容物の充填に耐えることができる。
するシ−ト基材に直接積層される被覆樹脂として高温で
も軟化し難い架橋型樹脂を用い、その表面最外層には、
この架橋型樹脂と親和性のある熱可塑型樹脂を被覆した
積層樹脂被覆体の構成をとることにより、被覆体同士は
熱可塑性樹脂の表面層の間で熱溶着縫製が可能であり、
しかも高温下の使用でも接合部の破壊が起こりにくく、
たとえばフレキシブルコンテナとして100℃以上の内
容物の充填に耐えることができる。
【図1】本発明の1実施例の断面説明図である。
1 ポリエステル織物基布 2 二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂層 3 熱硬化型ポリウレタン樹脂層
Claims (3)
- 【請求項1】 シート状基材の、少なくとも片面に架橋
型樹脂が積層一体化され、さらにこの架橋型樹脂層の少
なくとも片面の最外層に、この架橋型樹脂と親和性のあ
る熱可塑型樹脂が積層されてなることを特徴とする積層
樹脂被覆体。 - 【請求項2】 繊維性シート状基材の、少なくとも片面
に二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂が積層一体化され、
さらにこの二液性熱硬化型ポリウレタン樹脂層の少なく
とも片面の最外層に、熱可塑型ポリウレタン樹脂が積層
されてなることを特徴とする積層樹脂被覆体。 - 【請求項3】 袋体の主要な構成材料が請求項1あるい
は2記載の積層樹脂被覆体からなる耐熱クリ−プ性フレ
キシブルコンテナ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6211932A JPH0852842A (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 積層樹脂被覆体およびそれからなる耐熱 クリープ性フレキシブルコンテナ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP6211932A JPH0852842A (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 積層樹脂被覆体およびそれからなる耐熱 クリープ性フレキシブルコンテナ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0852842A true JPH0852842A (ja) | 1996-02-27 |
Family
ID=16614073
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP6211932A Pending JPH0852842A (ja) | 1994-08-12 | 1994-08-12 | 積層樹脂被覆体およびそれからなる耐熱 クリープ性フレキシブルコンテナ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH0852842A (ja) |
-
1994
- 1994-08-12 JP JP6211932A patent/JPH0852842A/ja active Pending
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