JPH0852177A - 手動式電動車椅子 - Google Patents

手動式電動車椅子

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JPH0852177A
JPH0852177A JP5277186A JP27718693A JPH0852177A JP H0852177 A JPH0852177 A JP H0852177A JP 5277186 A JP5277186 A JP 5277186A JP 27718693 A JP27718693 A JP 27718693A JP H0852177 A JPH0852177 A JP H0852177A
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attendant
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Nobuyuki Sugano
信之 菅野
Atsushi Uchiyama
敦 内山
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Yamaha Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 介助者の肉体的負担を軽減することができる
手動式電動車椅子を提供すること。 【構成】 介助者の操作力の方向と大きさを検出する操
作力検出手段80と、車輪4を回転駆動する駆動手段
(電動モータ26、動力伝達機構27)と、前記操作力
検出手段80によって検出された介助者の操作力の方向
と大きさによって前記駆動手段を制御する制御装置70
を含んで手動式電動車椅子1を構成する。本発明によれ
ば、介助者の操作力はその大きさに応じた補助動力によ
って補われるため、介助者はより小さな力で楽に車椅子
1を操作することができ、その肉体的負担が軽減され
る。又、本発明によれば、介助者の操作力の方向も検出
されるため、介助者の押し引き動作の判別ができ、例え
ば、引き動作された側の車輪を逆転(後転)させれば、
車椅子1をその場で旋回させることも楽に行なうことが
できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人の操作力を電動モー
タによる補助動力で補うようにした手動式電動車椅子に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、身障者が移動の手段として利用す
る車椅子には手動車椅子と電動車椅子の2種があり、身
障者はその障害の程度に応じて何れかを使用しているの
が現状である。
【0003】ところで、筋力が次第に低下する疾患を負
った身障者にとっては、手動車椅子から電動車椅子への
切り換えには非常な精神的苦痛を伴うものである。
【0004】そこで、手動車椅子と電動車椅子との中間
的な存在としての手動式電動車椅子が提案されている。
この手動式電動車椅子は、車輪に加えられる人力(操作
力)を検知してその人力に応じた大きさの駆動力を補助
動力として車輪に与えることによって身障者の負担を軽
減するものであって、これによれば身障者は手動車椅子
の感覚で操作することができ、精神的苦痛も緩和され
る。
【0005】ところで、斯かる手動式電動車椅子を含め
て現行の車椅子には、介助者が該車椅子を押すためのハ
ンドル等が設けられており、例えば、身障者は室内等で
介助者に車椅子を押してもらって移動することができ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、手動式
電動車椅子を含めた現行の車椅子にあっては、介助者の
操作力を補助するための装置が設けられていないため、
体力の十分でない老齢な介助者等にとって車椅子を押す
動作には大きな肉体的負担を伴う。
【0007】本発明は上記問題に鑑みてなされたもの
で、その目的とする処は、介助者の肉体的負担を軽減す
ることができる手動式電動車椅子を提供することにあ
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく本
発明は、介助者の操作力の方向と大きさを検出する操作
力検出手段と、車輪を回転駆動する駆動手段と、前記操
作力検出手段によって検出された介助者の操作力の方向
と大きさによって前記駆動手段を制御する制御手段を含
んで手動式電動車椅子を構成したことをその特徴とす
る。
【0009】
【作用】本発明によれば、介助者の操作力はその大きさ
に応じた補助動力によって補われるため、介助者はより
小さな力で楽に車椅子を操作することができ、その肉体
的負担が軽減される。
【0010】又、本発明によれば、介助者の操作力の方
向も検出されるため、介助者の押し引き動作の判別がで
き、例えば引き動作された側の車輪を逆転(後転)させ
れば、車椅子をその場で旋回させることも楽に行なうこ
とができる。
【0011】
【実施例】以下に本発明の一実施例を添付図面に基づい
て説明する。
【0012】図1は本発明に係る手動式電動車椅子の側
面図、図2は同平面図、図3は同後面図、図4はハンド
リムと車輪との連結構造を示す図1の矢視A方向の破断
面図、図5は入力検知手段であるエンコーダの取付構造
を示す車軸部の半裁断面図、図6は補助動力装置部(電
動モータ及び動力伝達機構部)の構成を示す側面図、図
7は同破断平面図、図8はブレーキ装置部の側面図、図
9は同破断正面図、図10はバッテリの設置構造の別実
施例を示す斜視図である。
【0013】本発明に係る手動式電動車椅子1は、既存
の折り畳み式手動車椅子に補助動力装置(Power Assist
System )を組み付けたものであって、図1に示すよう
に、これのパイプ枠状のフレーム2の前後部は左右一対
のキャスタ3、車輪4によって移動自在に支持されてい
る。
【0014】又、上記フレーム2の中央部には、身障者
が着座すべき布製のシート5(図2及び図3参照)が張
設されており、該シート5の中央部下面には同じく布製
の袋状ボックス6が設けられており、該ボックス6内に
はバッテリ7が収納されている。尚、図3及び図10に
示すように、薄型のバッテリ7’をフレーム2の前後一
対のクロス部材2aにフック7a’を介して脱着自在に
取り付けても良い。
【0015】更に、図1乃至図3に示すように、フレー
ム2の後部から上方へ立設された左右一対のハンドルア
ーム2bの上端部は後方に折曲され、その折曲部には介
助者用のグリップ8が取り付けられている。又、フレー
ム2の中央上部には、身障者用の左右一対の肘掛9が取
り付けられ、同フレーム2の前端下部にはステップ10
が取り付けられている。そして、同フレーム2の下部に
前後方向に延びる左右一対のアーム2cの後端部には、
別のアーム2dが前後方向に移動自在に嵌装されてお
り、各アーム2dの後端部にはローラ11が回転自在に
軸支されている。尚、アーム2dは、アーム2cに突設
されたピン12に長孔係合することによって前後方向に
移動自在に構成され、これはアーム2cとの間に縮装さ
れた不図示のスプリングによって常時後方へ付勢されて
いる。
【0016】ところで、前記左右一対の車輪4の各々
は、図5に示すように、フレーム2に取り付けられたブ
ラケット13に支持された車軸14にボールベアリング
15を介して回転自在に支承されているが、各車輪4の
外側には、身障者が手でこれを回すべきリング状のハン
ドリム16が設けられている。このハンドリム16は、
4本のスポーク17及び軸受18と軸受15を介して車
軸14に車輪4とは独立に回転し得るよう支承されてい
る。
【0017】而して、上記ハンドリム16は、その全周
の4箇所が図4に示す構造によって車輪4に対して弾性
的に連結されている。
【0018】即ち、図4に示すように、ハンドリム16
の一部に画成される空間S内にはスライダ19が円周方
向に摺動自在に嵌装されており、ハンドリム16に力が
加えられない状態においては、スライダ19はこれの左
右に縮装されたスプリング20,21によって図示のよ
うに中立位置で静止している。
【0019】一方、車輪4のリム4aにはロッド22が
結着されており、該ロッド22はハンドリム16側(外
側方)へ延出し、その先部はハンドリム16に被着され
たカバー23に穿設された長孔23aを貫通して前記ス
ライダ19の中心部に挿入嵌合されている。
【0020】而して、身障者がハンドリム16を手で持
ってこれを例えば図4の矢印方向に回せば、スライダ1
9はハンドリム16に対して逆方向に摺動するため、一
方のスプリング21が縮み、他方のスプリング20が伸
び、スプリング21の反力がスライダ19及びロッド2
2を経て車輪4に伝達され、車輪4が矢印方向に回転駆
動される。このとき、ハンドリム16と車輪4との間に
は、スプリング20,21の伸縮量に対応する相対回転
が生じる。
【0021】ところで、スプリング20,21の伸縮量
は、身障者によってハンドリム16に加えられる力の大
きさに比例するため、ハンドリム16と車輪4との相対
回転量はハンドリム16に加えられる力の大きさに比例
し、従って、両者の相対回転量を測定すれば、ハンドリ
ム16に加えられる人力の大きさを検知することができ
る。尚、スプリング20,21の伸縮量の最大値は、ロ
ッド22がカバー23の長孔23aに係合するときのス
ライダ19の最大移動量Lであって、ロッド22がカバ
ー23の長孔23aに係合した状態では、ハンドリム1
6に加えられる力はハンドリム16からロッド22を経
て車輪4に直接伝達される。
【0022】而して、本実施例では、ハンドリム16に
加えられる人力を検知する入力検知手段として、図5に
示すような車輪4の回転角度を検出するための一対のエ
ンコーダ24A,24Bとハンドリム16の回転角度を
検出するための一対のエンコーダ25A,25Bを用い
ており、車輪4とハンドリム16の各回転角度の差を両
者の相対回転量としてこの値からハンドリム16に加え
られる人力の大きさを求めるようにしている。ここで、
エンコーダ24A,25Aは車軸14側に固定され、エ
ンコーダ24Bは車輪4側に、エンコーダ25Bはハン
ドリム16側にそれぞれ固定されている。
【0023】尚、車輪4とハンドリム16の回転角度の
検出手段としては、エンコーダの他、任意の位相検出手
段を使用することができる。
【0024】一方、図1及び図2に示すように、フレー
ム2の各車輪4の上部位置には、補助動力装置の動力発
生源を構成する左右一対の電動モータ26と、該電動モ
ータ26の駆動力を車輪4に伝達するための左右一対の
動力伝達機構27が取り付けられており、これらの構成
の詳細は図6及び図7に示されている。尚、各電動モー
タ26は、前記バッテリ7から電力の供給を受けて回転
駆動される。
【0025】即ち、図6及び図7において、28はフレ
ーム2に固着されたブラケットであって、該ブラケット
28には別のブラケット29が結着されており、該ブラ
ケット29には操作レバー30が軸31にて回動自在に
枢着されるとともに、伝動ケース32の一端が軸33に
て回動自在に枢着されている。
【0026】上記伝動ケース32の一端には、図6に示
すように円弧状の係合溝32aが形成されており、該係
合溝32aには前記ブラケット29に突設されたガイド
ピン34が摺動自在に係合している。
【0027】ところで、伝動ケース32には前記電動モ
ータ26が取り付けられており、該電動モータ26の出
力軸26aは伝動ケース32内に臨み、その端部にはギ
ヤ35が結着されている。
【0028】又、伝動ケース32内には、ウォーム36
を一体に形成して成るウォーム軸37が回転自在に収納
されており、該ウォーム軸37には前記ギヤ35に噛合
するギヤ38が結着されている。更に、伝動ケース32
内には駆動軸39がウォーム軸37に対して直角に、且
つ、回転自在に収納されており、該駆動軸39の一端に
は前記ウォーム36に噛合するウォームホイール40が
結着されている。そして、駆動軸39の伝動ケース32
外へ延出する他端には、車輪4のタイヤ4bに対して接
離されるローラ41が結着されている。尚、前記ウォー
ム36とウォームホイール40で構成されるウォームギ
ヤ機構は、車輪4から電動モータ26方向への動力の伝
達を阻止する逆駆動防止機構を構成している。
【0029】更に、伝動ケース32にはリンク42の一
端がピン43にて枢着されており、該リンク42の他端
は前記操作レバー30の先端に一体に結着されたアーム
44にピン45によって連結されている。そして、操作
レバー30の軸31の近傍と前記ピン43との間にはス
プリング46が張架されている。
【0030】而して、図6に実線にて示すように操作レ
バー30が上方へ押し上げられている状態では、該操作
レバー30は前記スプリング46の付勢力によって時計
方向に付勢されて上方のストッパ48に当接して静止し
ており、このとき、伝動ケース32に保持された前記ロ
ーラ41は図示のように車輪4のタイヤ4bに所定の力
で押圧されている。
【0031】そして、操作レバー30を図6の実線位置
から下方へ押し下げると、図6に鎖線にて示すように、
リンク42とアーム44の屈曲方向が逆となって操作レ
バー30はスプリング46から反時計方向の付勢力を受
けて下方のストッパ47に当接して静止し、伝動ケース
32は軸33を中心として反時計方向に回動し、これに
よってローラ41は車輪4のタイヤ4bから離脱する。
尚、伝動ケース32の反時計方向の回動は、ガイドピン
34の係合溝32aへの係合によって制限される。
【0032】ところで、上述のように操作レバー30を
操作してローラ41を車輪4のタイヤ4bから離脱させ
ると、電動モータ26から車輪4への補助動力の付与が
遮断されるが、斯かるローラ41の離脱は、当該車椅子
1を手動だけで走らせる場合、バッテリ7が上がった場
合等に必要である。
【0033】他方、図1に示すように、フレーム2の車
輪4の前方位置にはブレーキ装置50が設けられてい
る。
【0034】ここで、上記ブレーキ装置50の構成の詳
細を図8及び図9に基づいて説明する。
【0035】図において、51はフレーム2に固着され
たケースであって、該ケース51内には電動モータ52
が収納されており、該電動モータ52の出力軸52aの
端部にはギヤ53が結着されている。
【0036】又、ケース51内には回転軸54,55が
互いに平行、且つ、回転自在に収納されており、回転軸
54には大小異径のギヤ56,57が結着されている。
そして、ギヤ56は前記ギヤ53に噛合しており、ギヤ
57は前記回転軸55の一端に結着されたギヤ58に噛
合している。
【0037】ところで、上記回転軸55のケース51外
へ延出する他端にはブレーキレバー59が結着されてい
る。
【0038】一方、ケース51にはアーム60の一端が
軸61にて回動自在に枢着されており、アーム60の他
端には、車輪4のタイヤ4bに対して接離するブレーキ
シュー62が直角に取り付けられている。そして、アー
ム60の中間部はリンク63によって前記ブレーキレバ
ー59の一端に連結されている。そして、ブレーキレバ
ー59に突設されたピン64と前記リンク63をアーム
60に連結する軸65との間にはスプリング66が張架
されている。
【0039】而して、図8に実線にて示すようにブレー
キレバー59が前方(図8の左方)に押されているとき
には、該ブレーキレバー59は前記スプリング66の付
勢力によって反時計方向に付勢されて前方のストッパ6
8に当接して静止しており、このとき、アーム60の先
部に結着された前記ブレーキシュー62は図示のように
車輪4のタイヤ4bに所定の力で押圧されている。
【0040】そして、ブレーキレバー59を手動により
又は電動によって図8の実線位置から後方へ引くと、図
8に鎖線にて示すように、ブレーキレバー59とリンク
63の屈曲方向が逆となってブレーキレバー59はスプ
リング66から時計方向の付勢力を受けて後方のストッ
パ67に当接して静止し、アーム60は軸61を中心と
して時計方向に回動するため、ブレーキシュー62は車
輪4のタイヤ4bから離脱する。
【0041】ここで、ブレーキレバー59の電動による
動作について図9に従って説明すると、前記バッテリ7
から電力供給を受けて電動モータ52が回転駆動される
と、これの回転は前記ギヤ53,56,57,58を経
て回転軸55に伝達され、該回転軸55及びこれに結着
されたブレーキレバー59が所定角度だけ回動せしめら
れる。
【0042】更に、図1に示すように、フレーム2の一
方のブレーキ装置50の下方位置には前記電動モータ2
6,48の駆動を制御するための制御装置70が取り付
けられている。尚、制御装置70も前記バッテリ7から
の電力の供給を受けて駆動される。
【0043】ところで、本実施例においては、介助者用
の左右一対の前記グリップ8の各々には、該グリップ8
に加えられる介助者の操作力の方向と大きさを検出する
ための操作力検出手段80が設けられている。
【0044】ここで、各操作力検出手段80の構成を図
11及び図12に基づいて説明する。尚、図11はグリ
ップ部分の側面図、図12は図11のB−B線断面図で
ある。
【0045】図示のように、前記ハンドルアーム2bの
端部内には円柱状のスライダ81が摺動自在に嵌装され
ており、グリップ8に操作力が加わっていない状態で
は、該スライダ81はこれの両側に配されたスプリング
82,83によって中立位置に保持されている。
【0046】又、上記スライダ81の両側には、スライ
ダ81の前方(図の左方)への移動量(グリップ8の押
し量)を検出するためのリニアポテンショメータ84と
スライダ81の後方(図の右方)への移動量(グリップ
8の引き量)を検出するためのリニアポテンショメータ
85がそれぞれ設けられている。
【0047】一方、グリップ8は筒状のカラー8aを表
皮8bで被覆して構成され、これはハンドルアーム2b
の端部外周に摺動自在に被冠されている。そして、該グ
リップ8の内部に横架されたピン86は、ハンドルアー
ム2bに形成された長孔2b−1と前記スライダ81を
貫通しており、従って、スライダ31は、ピン86が長
孔2b−1内で摺動し得る範囲で、グリップ8と共にハ
ンドルアーム2b内を前後に移動する。
【0048】而して、介助者が左右のグリップ8を手で
持ってこれらを前方へ押すと、手動式電動車椅子1が介
助者によって前進せしめられるが、このとき、グリップ
8とスライダ81の前方への移動量は前記ニリアポテン
ショメータ84によって検出される。
【0049】ところで、グリップ8とスライダ81が前
方へ移動すると、これらの移動量だけ前側のスプリング
82は縮み、後側のスプリング83は伸びるが、スプリ
ング82の反力はその縮み量に正比例するため、リニア
ポテンショメータ84によって検出されるグリップ8と
スライダ81の移動量(スプリング82の縮み量)より
グリップ8に加えられる介助者の操作力(押し力)の大
きさが求められる。又、前側のリニアポテンショメータ
84によってグリップ8とスライダ81の移動量が検出
されることによって、操作力の方向が判別でき、グリッ
プ8が前方へ押されていることが分かる。
【0050】逆に、グリップ8とスライダ81が後方へ
移動すると、これらの移動量だけ後側のスプリング83
は縮み、前側のスプリング82は伸びるが、スプリング
83の反力はその縮み量に正比例するため、リニアポテ
ンショメータ85によって検出されるグリップ8とスラ
イダ81の移動量(スプリング83の縮み量)よりグリ
ップ8に加えられる介助者の操作力(引き力)の大きさ
が求められる。又、後側のリニアポテンショメータ85
によってグリップ8とスライダ81の移動量が検出され
ることによって、操作力の方向が判別でき、グリップ8
が後方へ引かれていることが分かる。
【0051】ここで、前記制御装置70の構成を図13
に基づいて説明する。
【0052】図13は制御装置70の構成を示すブロッ
ク図であり、該制御装置70は、車輪4の回転角度を検
出するための前記エンコーダ24A,24B、ハンドリ
ム16の回転角度を検出するための前記エンコーダ25
A,25Bからの信号を受けて車輪4、ハンドリム16
の回転方向を弁別するための位相弁別手段71,72
と、弁別された回転方向に対応してエンコーダ24A,
24B、25A,25Bからのパルスをup又はdow
nカウントするカウント手段73,74と、カウント手
段73,74又は操作力検出手段80からの信号に基づ
いて身障者によってハンドリム16に加えられる力又は
介助者によってグリップ8に加えられる操作力を算出し
て補助動力を求める演算手段75と、該演算手段75に
よって求められた補助動力を発生させるべく前記電動モ
ータ26を駆動制御するモータコントロール手段77を
含んで構成されている。
【0053】尚、上記演算手段75は、前記パルスカウ
ント手段73,74によってそれぞれカウントされたパ
ルス数の偏差によって車輪4とハンドリム16の相対回
転量を演算し、この結果に基づいてハンドリム16に加
えられた人力の大きさを求め、或いは前記操作力検出手
段80のリニアポテンショメータ84,85からの検出
信号を受けて各グリップ8に加えられる介助者の操作力
の方向と大きさを求め、求められた人力又は操作力に所
定の比率を乗じて車輪4に加えるべき補助動力を算出す
る。
【0054】ところで、図13は片方の車輪4に対する
制御装置70のみの構成を示したが、該制御装置70は
他方の車輪4に対する前記と同様の要素を含んで構成さ
れている。
【0055】而して、本発明に係る手動式電動車椅子1
においては、身障者によってハンドリム16に加えられ
る人力を検知する人力検知手段である前記エンコーダ2
4A,24B,25A,25Bと、介助者によってグリ
ップ8に加えられる操作力を検出する操作力検出手段8
0と、前記電動モータ26と、動力伝達機構27及び制
御装置70によって補助動力装置が構成されている。
【0056】次に、本手動式電動車椅子1の作用を図1
4を参照しながら以下に説明する。尚、図14は車椅子
1の速度と駆動力の時間的変化を示すタイミングチャー
トである。
【0057】前記操作レバー30を操作して図6に示す
ようにローラ41を車輪4のタイヤ4bに押圧し、且
つ、ブレーキ装置50のブレーキレバー59を操作して
ブレーキシュー62を車輪4のタイヤ4bから離脱させ
ると、当該手動式電動車椅子1は走行可能状態となる。
【0058】上記状態において身障者が左右一対のハン
ドリム16を手で回すと、各ハンドリム16に加えられ
る人力(駆動力)FM は前述のようにエンコーダ24
A,24B,25A,25Bによってハンドリム16と
車輪4の回転角度差として左右別々に検知され、この検
知信号は制御装置70に送られる。
【0059】ところで、ハンドリム16に加えられる人
力FM は、図14に示すように、サインカーブ状に変化
し、ハンドリム16にはこの人力FM が間欠的に加えら
れる。
【0060】而して、前述のように制御装置70に左右
の人力FM の検知信号が人力されると、制御装置70は
前述のようにハンドリム16に加えられる人力FM に比
例する大きさの駆動力FA を補助動力として求め、電動
モータ26の駆動をそれぞれ制御して該電動モータ26
に駆動力FA を発生せしめる。この結果、図14に示す
ように、各車輪4は人力FM に補助動力FA を加えた大
きさの駆動力F(=FM +FA )によって回転駆動さ
れ、これによって当該手動式電動車椅子1が走行せしめ
られ、身障者は、全駆動力Fの約1/2程度の小さな駆
動力FM で楽に、且つ、従来の手動車椅子の感覚で当該
手動式電動車椅子1を操作することができ、従来の電動
車椅子を使用するときのような精神的苦痛を伴うことも
ない。
【0061】ここで、補助動力FA の伝達経路を図7に
基づいて説明すると、電動モータ26の回転動力はギヤ
35,38、ウォーム36、ウォームホイール40及び
駆動軸39を経てローラ41に伝達されて該ローラ41
が回転駆動され、このローラ41の回転によって車輪4
が回転駆動されて該車輪4の駆動力Fの一部が補助動力
A によって負担される。
【0062】而して、図14に示すように、車輪4の駆
動は適当な時間間隔で間欠的に行なわれるが、駆動から
次の駆動の間においては手動式電動車椅子1は惰行す
る。
【0063】従って、本手動式電動車椅子1が走行する
場合、その速度Vは図14に示すように変化し、駆動力
Fが最大の時点で速度Vは最大値Vmax に達し、その後
は惰行時も含めて速度Vは徐々に下がる。
【0064】又、本実施例に係る手動式電動車椅子1に
は前述のように逆駆動防止機構が設けられているため、
登坂路での走行時に身障者が例えばハンドリム16を回
す動作を止めた場合には、惰行時に車椅子1の速度Vが
徐々に下がり、やがて速度が0になるが、その後の車輪
4の逆転は逆駆動防止機構によって阻止されて車椅子1
の後ずさりが防がれる。
【0065】ところで、本実施例においては、車椅子1
が惰行を開始すると電動モータ26の回転数が徐々に下
げられる制御がなされる。従って、本手動式電動車椅子
1によれば、現行の手動式車椅子で得られる惰行感覚が
そのまま得られる。
【0066】更に、降坂路での惰行においては、車椅子
1の惰行が開始されてから所定時間が経過するまで又は
車輪4が所定角度回転するまでの間、電動モータ26の
回転数が徐々に下げられる制御がなされるため、逆駆動
防止機構のために車輪4は決められた所定の回転数でし
か回転せず、エンジンブレーキに類似の制動力が作用し
て車椅子1のスピードの出過ぎが防がれる。そして、身
障者が新たにハンドリム16を回す操作を行なわなけれ
ば、車椅子1はやがて停止する。
【0067】而して、身障者が車椅子1に座った状態で
介助者に当該車椅子1を押してもらう場合、身障者はハ
ンドリム16を回す動作を行なわないため、該ハンドリ
ム16と車輪4とは一体に回転して両者の相対回転量は
0となり、制御装置70の演算手段75では身障者によ
るハンドリム16への入力は0とされる。
【0068】ところが、介助者が両手で左右のグリップ
8を同等の力で前方へ押すと、左右のグリップ8の前方
への移動量が前側の各リニアポテンショメータ84によ
ってそれぞれ検出され、それぞれの検出信号が制御装置
70の各演算手段75に送られる。すると、各演算手段
75は左右のグリップ8に加えられる操作力(押し力)
の方向と大きさを求め、その操作力の大きさに比例する
補助動力FA を算出してその結果を各モータコントロー
ル手段77に送り、モータコントロール手段77は各電
動モータ26に所要の補助動力FA を発生せしめる。
【0069】そして、左右の電動モータ26で発生した
補助動力FA は前記と同様の経路に沿って左右の車輪4
に伝達されて該車輪4が共に正転(車椅子1が前進する
方向の回転)せしめられるため、介助者の操作力は補助
動力FA によって補われ、介助者は従来の約1/2程度
の小さな操作力で楽に車椅子1を押すことができ、肉体
的負担が半減される。
【0070】一方、介助者が両手で左右のグリップ8を
同等の力で後方へ引くと、左右のグリップ8の後方への
移動量が後側の各リニアポテンショメータ85によって
それぞれ検出され、それぞれの検出信号が制御装置70
の演算手段75に送られる。すると、演算手段75は左
右のグリップ8に加えられる操作力(引き力)の方向と
大きさを求め、その操作力の大きさに比例する補助動力
A を算出してその結果をモータコントロール手段77
に送り、モータコントロール手段77は各電動モータ2
6に所要の補助動力FA を発生せしめる。
【0071】そして、左右の電動モータ26で発生した
補助動力FA は前記と同様の経路に沿って左右の車輪4
に伝達されて該車輪4が共に逆転(車椅子1が後進する
方向の回転)せしめられるため、前記と同様に介助者の
操作力は補助動力FA によって補われ、介助者は従来の
約1/2程度の小さな操作力で楽に車椅子1を引くこと
ができる。
【0072】又、介助者が車椅子1を左又は右に旋回さ
せる場合には、左右のグリップ8に加えられる力が異な
るため、その力に比例する大きさの補助動力FA が左右
の車輪4にそれぞれ加えられ、この結果、左右の車輪4
の駆動力が異なり、この駆動力の相違によって車椅子1
は所望の方向に容易に旋回せしめられる。
【0073】例えば、介助者が車椅子1を左旋回させる
場合には、自然の動作として右側のグリップ8を大きな
力で押すため、右側の車輪4の方がより大きな補助動力
Aを加えられ、これによって車椅子1は所望の通り左
旋回し、介助者は従来と同じ動作によって車椅子1を楽
に旋回させることができる。尚、介助者が車椅子1を右
旋回させる場合にも、同様にして介助者は従来と同じ動
作によって車椅子1を楽に右旋回させることができる。
【0074】そして、介助者が車椅子1をその場で旋回
させる場合には、自然の動作として一方のグリップ8を
引いて他方のグリップ8を押す動作を行なうが、本実施
例ではグリップ8を引いた場合には、その引く力に比例
した補助動力FA でその引いた側の車輪4が逆転せしめ
られ、押した側の車輪4がその押し力に比例する補助動
力FA によって正転せしめられるため、車椅子1は引い
た方向にその場で急旋回せしめられる。
【0075】例えば、車椅子1をその場で右方向に旋回
させる場合、介助者の自然な動作として右側のグリップ
8を引き、左側のグリップ8を押すが、このとき、右側
の車輪は引き量に比例する補助動力FA によって逆転せ
しめられ、左側の車輪4は押し力に比例する補助動力F
A によって正転せしめられるため、車椅子1はその場で
右方向に急旋回せしめられる。又、同様にして車椅子1
はその場で左方向に急旋回せしめられる。
【0076】ところで、介助者が握るグリップ8はこれ
に上下方向の力が作用しても動かないため、車椅子1が
段差部分を通過するときに介助者によってグリップ8に
上下方向の力が加えられても、当該車椅子1に誤作動が
生ずることはない。
【0077】尚、本実施例では、介助者によってグリッ
プ8に加えられる操作力の方向と大きさを検出する手段
としてリニアポテンショメータ84,85を用いたが、
その他任意な変位計を用いることができる。
【0078】
【発明の効果】以上の説明で明らかな如く、本発明によ
れば、介助者の操作力の方向と大きさを検出する操作力
検出手段と、車輪を回転駆動する駆動手段と、前記操作
力検出手段によって検出された介助者の操作力の方向と
大きさによって前記駆動手段を制御する制御手段を含ん
で手動式電動車椅子を構成したため、介助者は当該手動
式電動車椅子を楽に操作することができ、その肉体的負
担が軽減されるというこうが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る手動式電動車椅子の側面図であ
る。
【図2】本発明に係る手動式電動車椅子の平面図であ
る。
【図3】本発明に係る手動式電動車椅子の後面図であ
る。
【図4】ハンドリムと車輪との連結構造を示す図1の矢
視A方向の破断面図である。
【図5】入力検知手段であるエンコーダの取付構造を示
す車軸部の半裁断面図である。
【図6】補助動力装置部(電動モータ及び動力伝達機構
部)の構成を示す側面図である。
【図7】補助動力装置部(電動モータ及び動力伝達機構
部)の構成を示す破断平面図である。
【図8】ブレーキ装置部の側面図である。
【図9】ブレーキ装置部の破断正面図である。
【図10】バッテリの設置構造の別実施例を示す斜視図
である。
【図11】操作力検出手段の構成を示すグリップ部の側
面図である。
【図12】図11のB−B線断面図である。
【図13】制御装置の構成を示すブロック図である。
【図14】車椅子の速度と駆動力の時間的変化を示すタ
イミングチャートである。
【符号の説明】
1 手動式電動車椅子 26 電動モータ(駆動手段) 27 動力伝達機構(駆動手段) 70 制御装置(制御手段) 80 操作力検出手段 84,85 リニアポテンショメータ

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 介助者の操作力の方向と大きさを検出す
    る操作力検出手段と、車輪を回転駆動する駆動手段と、
    前記操作力検出手段によって検出された介助者の操作力
    の方向と大きさによって前記駆動手段を制御する制御手
    段を含んで構成されることを特徴とする手動式電動車椅
    子。
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