JPH08509865A - 耐熱性α1−抗トリプシンムテイン - Google Patents

耐熱性α1−抗トリプシンムテイン

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JPH08509865A JP6525260A JP52526094A JPH08509865A JP H08509865 A JPH08509865 A JP H08509865A JP 6525260 A JP6525260 A JP 6525260A JP 52526094 A JP52526094 A JP 52526094A JP H08509865 A JPH08509865 A JP H08509865A
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Abstract

(57)【要約】 野生型ヒトα1−抗トリプシン(AT)のアミノ酸配列中のいくつかのアミノ酸が他のアミノ酸で置換された本発明の突然変異された組換えATは、野生型ATに比べてその活性は維持しながらも向上された耐熱性を有する。前記組換えATをコードする遺伝子を含有するベクター、該ベクターで形質転換された微生物、及び該微生物を用いて更に高い耐熱性を有する組換えATを産生する方法も開示されている。

Description

【発明の詳細な説明】 耐熱性α1−抗トリプシンムテイン発明の属する技術分野 本発明は耐熱性が向上されたα1−抗トリプシン(以下“AT”と略する)及 びその産生方法に関するものである。 より詳細には、本発明は野生型ATの少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ 酸残基で置換されることによって活性は維持しながら耐熱性が向上されたATム テイン、前記ATをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含有 するベクター、前記ベクターで形質転換された微生物、及び前記微生物を用いて 耐熱性が向上されたATを産生する方法に関するものである。従来技術の説明 蛋白質の安定性は蛋白質の生体内寿命及び保存期間を決定するので、その機能 の維持に関して不可欠のものである。 従って、蛋白質を含む治療剤または診断試薬を工業製品として開発するために はその安定性を高めることが望ましい。 ヒトから分離され、精製された既存の蛋白質治療剤は、原料の制限の問題及び エイズ(AIDS)や肝炎ウイルスのような多様な感染性のウイルス等による汚 染の問題があるので、最近には組換えDNA技法を通じて治療剤を産生しようと する試みがなされることが多くなってきている。しかしながら、このような技法 で産生された組換え蛋白は、ヒトから分離されたものに比べ相対的に安定性が劣 るので、ヒトに投与した際半減期が著しく短くなる傾向がある。かかる安定性の 問題を克服するために、2つのアプローチで研究がなされてきた。1つは、安定 性減少の原因が微生物内で蛋白質の糖化が欠如しているか、または不充分な点に あるという事実を基にして、自然状態が完全糖化された形である蛋白質 を産生するもの、他の1つは、蛋白質のアミノ酸配列を変更して活性は維持しな がら安定性が高められた組換え蛋白を産生するものである。 これと関連して、蛋白質の耐熱性は変性に対するその安定性と密接な相関関係 があることが明らかになった(Pace,Trends in Biotech nology,93−98,1990)参照)。 一方、ATは肝の細胞で合成された後血液内に分泌され、トリプシン(try psin)、キモトリプシン(chymotrypsin)、エラスターゼ(e lastase)、コラゲナーゼ(collagenase)、トロンビン(t hrombin)及びプラスミン(plasmin)のようなセリン系プロテア ーゼに対する阻害剤等と共にセルピン族(serpin family)に属す る。ATは分子量が52KD(kilodalton)の糖蛋白で、生理的には 好中球内でエラスターゼに対する阻害剤として作用する。特に、肺胞に存在する 弾性繊維が好中球のエラスターゼにより分解されることを防止する。 ヒトのATを産生する能力に関しては、多様な遺伝的欠陥が周知となっている (Carrell et al.,Mol.Biol.Med.,35−4 2(1982)参照)。遺伝的欠陥のため血漿内のAT濃度が減少して、プロテ アーゼとその阻害剤との間の均衡が失われ、これによって肺が伸縮性を失うこと になり肺気腫が発生し得る(Gadek and Crystal,in Me tabolic Basis of Inherited Disease ,S tanbury et al.,Eds.,McGraw−Hill,New York,pp.1450−1467)。これ以外にも、過多な喫煙やはげしい 環境汚染によるATの不活性化から肺気腫が誘発されることもあり得る。 従って、このような疾患の治療のために、ATの需要は大きく増えつつあり、 ヒトの血液から採取したATではその需要をまかないきれない。 また、ATは急性ショック症候群(acute shock syndrome )(Robin W.Carrell,Biotechnology and Genetic Engineering Reviews,291−29 7(1986)参照)の治療にも使用できる。ショック症候群は、好中球のエラ スターゼがにわかに広範囲に放出され、血漿セルピンとプロテアーゼとの間の均 衡が壊れることによって生じることが知られている。 ATをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は既に知られており(Long et al.,Biochemistry23,4828(1984)参照) 、AT遺伝子はクローニングされ、大腸菌(Bollen et al.,FE RS Lett.166,67(1984):Courtney et al .,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81,669(1984 );Tessier et al.,FEBS Lett.208,183( 1986);Johnsen et al.,Mol.Biol.Med. ,291(1987);Sutiphong et al.,Mol.Biol .Med.,307(1987);Lee and Yu,Kor.J.B iochem.22,148(1989);及びLee et al.,Mo lecules and Cells,71−74(1993)参照)及び 酵母(Travis et al.,J.Biol.Chem.260,43 84(1985);Rosenberg etal.,Nature312, 77(1984);Cabezon et ao.,Proc.Natl.Ac ad.Sci.USA81,6594(1984);Moir et al. ,Gene56,209(1987);Kim et al.,Kor.J. Biochem.23,263(1990);及びKim et a l.,Kor.J.Microbiol.,30,108(1992)参照)で 発現された。 また、ATは、活性部位残基の358番目のメチオニン残基部位を特定部位突 然変異誘発法(site−specific mutagenesis)により 他のアミノ酸残基で置換することによって、エラスターゼ以外の他のセリン系プ ロテアーゼに対する阻害剤へ変異させるか、高められた耐酸化性を有するように 変異させることができることが報告された(Rosenberg et al. ,Nature312,77−80(1984);Courtney et al.,Nature313,149−151(1985);Barr et al.,米国特許第4,732,973号;Insley et al.,米 国特許第4,711,848号参照)。一方、酵母で産生された糖化されていな いATは試験管内での耐熱性が劣り、このような耐熱性の低下は生体内での半減 期の短縮と密接な相関関係があるということが報告され(Travis et al.,J.Biol.Chem.,260,4384(1985)参照)、酵 母で生成され糖化された野生型ATは耐熱性が低いことが明らかになった。AT の構造と機能との相関関係に対してはフバー(Huber)とカレル(Carr ell)によって確認されている(Biochemistry28,8951 −8963(1989)参照)。発明の要約 従って、本発明の目的は優れた耐熱性及び熱力学的安定性を有する突然変異さ れた組換えAT、即ちAT突然変異蛋白質(以下ATムテイン)を提供すること である。 本発明の他の目的は前記ATムテインをコードするポリヌクレオチドを提供す ることである。 本発明の更に別の目的は前記遺伝子を含むベクター及び該ベクターで形質転換 された宿主細胞を提供することである。 本発明の更に別の目的は該形質転換体を用いて耐熱性が向上されたATムテイ ンを産生する方法を提供することである。 本発明の1実施例によれば、野生型ATの51番目、56番目、59番目、6 8番乃至70番目、374番目、381番乃至387番目のアミノ酸中少なくと も1つが他のアミノ酸で置換されたATムテインが提供される。図面の簡単な説明 本発明の前記目的及び特徴は、添付された図面を参考として下記の望ましい実 施態様の記載から明らかになるであろう。 第1図は代表的な野生型ATのアミノ酸配列を示す。 第2図は大腸菌からATムテインを分離及び精製する段階から得た試料を12 %SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した結 果を示した写真である。 第3図は野生型AT、大腸菌内で発現された突然変異AT及びヒト血漿から分 離されたATに対して57℃で熱不活性化実験を行った結果を示したグラフであ る。 第4図は野生型ATと、51番目のアミノ酸残基がシステインである耐熱性A Tムテインとの集合現象を比較するために、55℃でATの保存中に生じる、高 分子量蛋白質のゲル透過クロマトグラフィーによる定量分析結果を示したグラフ であり; 第5図は酵母培養液からATムテインを分離及び精製する段階から得た試料を 12%SDS−PAGEした結果を示した写真である。 第6図は酵母で産生されたATムテインが糖化されているかを確認するために 、12%SDS−PAGEを行って得た結果の写真であり、エ ンドグリコシダーゼで処理した後の分子量の変化を示している。 第7図は酵母で産生されたAT、ヒト血漿AT及び大腸菌で産生されたATム テインの58℃での熱不活性化率を比較して示したグラフである。 第8図は大腸菌で発現された単一及び多重突然変異ATに対する熱不活性化実 験の結果を示したグラフである。発明の詳細な説明 本発明にしたがって製造された耐熱性ATムテインは、野生型ATの51番目 、56番目、59番目、68番乃至70番目、374番目、381番乃至387 番目のアミノ酸中少なくとも1つが他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を有 する。望ましい耐熱性ATムテインは野生型ATアミノ酸配列で1つ以上の下記 アミノ酸置換を起こしたものである。 51番目のフェニルアラニンのシステイン、バリン、ロイシン、イソロイシン またはアラニンによる置換; 56番目のセリンのアラニンによる置換; 59番目のトレオニンのアラニンまたはセリンによる置換; 68番目のトレオニンのアラニンによる置換; 69番目のリジンのグルタミンによる置換; 70番目のアラニンのグリシンによる置換; 374番目のメチオニンのイソロイシン、ロイシンまたはバリンによる置換; 381番目のセリンのアラニンによる置換;及び 387番目のリジンのアルギニンによる置換。 前記アミノ酸置換中1つのみが起った単一突然変異AT中で、最も望ましいも のは51番目残基のシステインであるもの及び374番目残基がイソロイシンで あるものである。前記単一突然変異ATは、大腸菌内 で糖化されない形態として産生される場合、野生型ATに比べて長い(10倍以 上)半減期を有し、酵母で糖化された形態として産生される場合、更に高い耐熱 性を有する。 2つ以上の前記アミノ酸置換がなされた典型的な多重突然変異ATは、51番 目及び374番目の残基がそれぞれロイシン及びイソロイシンで置換されたもの ;59番目、68番目及び70番目の残基がそれぞれアラニン、アラニン及びグ リシンで置換されたもの;381番目及び387番目の残基がそれぞれアラニン 及びアルギニンで置換されたものである。多重突然変異ATは単一突然変異AT に比べ著しく増加された耐熱性を示す。また、突然変異ATが糖化されていると 耐熱性は更に増加し得る。 耐熱性ATのアミノ酸配列は前記のように置換されたアミノ酸残基を除いては 野生型ATのアミノ酸配列と同様である。本発明に於いて代表的な野生型ATは 第1図で示すようなアミノ酸配列を有する。第1図の配列で101番目、204 番目、213番目、223番目、341番目、363番目及び376番目の残基 等中の少なくとも1つがアルギニン、リジン、アラニン、システイン、アスパラ ギン、リジン及びグルタミン酸でそれぞれ置換された亜型も野生型の範囲に含ま れ得る。本発明で使用できる野生型ATには、前記野生型AT等中何れかの1つ が含まれ、また、野生型ATの最初の連続した11個のアミノ酸残基等中少なく とも1つがその活性に大きな変化を起こさず削除されるか他のアミノ酸で置換さ れたものも含まれる。 また、ATを大腸菌で産生する場合は、ATのアミノ酸配列でN−末端のアミ ノ酸にMetが付加されるか、または置換されるが、これらも本出願で定義した “野生型AT”に含まれる。従って、前記野生型ATのアミノ酸配列を基にして 製造されたATムテインは本発明の範囲内に 含まれる。しかしながら、アミノ酸の削除または付加と関係なく、ATのアミノ 酸配列でのアミノ酸の番号は第1図で示したアミノ酸配列番号を基にしたもので ある。 本発明の耐熱性ATは、特定部位突然変異誘発法によって産生されたATムテ インをコードするポリヌクレオチドを有するベクターで宿主細胞を形質転換させ 、転換体から前記ポリヌクレオチドを発現させる方法、または化学的アミノ酸合 成による方法によって産生することができる。 本発明の耐熱性ATムテインをコードするポリヌクレオチドは既存の化学的合 成法によって、または例えば、特定部位突然変異誘発法によって野生型ATのc DNAを変異させることによって産生することができる。 一方、コドンの縮重(degeneracy)のために、1つのアミノ酸をコ ードする数個の相互相違したコドン等が存在することもでき、従って、同一なア ミノ酸配列をコードする遺伝子は相いに異なるヌクレオチド配列を有することが あり得る。 本発明のATムテインをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で周知で ある適当な原核または眞核生物の発現システムを使用して発現させることができ る(Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual ,2nd ed.,Cold Spr ing Harbor Laboratory Press,U.S.A.(1 989)参照)。 発現は、糖化されていないATの場合は、例えば大腸菌BL21(DE3)、 大腸菌JM109(DE3)または大腸菌NM522のような大腸菌で行われる ことが望ましいし、糖化されたATの場合は、例えば、サッカロミケス・セレビ シェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミケス ・ジアスタチカス(Sacchar omyces diastaticus )のような酵母で行うことが望ましい。 大腸菌及び酵母での発現に使用できる適当なベクターは前記引用したサンブル ック(Sambrook)の文献及びフィアス(Fiers)の論文“Proc ed,8th Int.Biotechnology Symposium”,Soc.Frac.de Microbiol. ,Paris,(Durand et al.,eds.),pp.680−697(1988)に記述されて いる。 前記ベクターによる宿主細胞の形質転換は、何らかの通常の方法を使用して行 うことができる(前記引用したサンブルックの文献及びIto et al.,J.Bacteriol.153,163(1983)参照)。大腸菌を宿主 細胞として使用する場合、ベクターDNAを吸収することができる感応細胞を準 備して、周知のCaCl2法によって処理できる。酵母の形質転換は、先ず宿主 細胞をスペロプラスト(spaeroplast)形態に作製した後、前記文献 等に記述されているような周知の方法を用いて行うことができる。 一般的に、目的の発現ベクターを含む宿主微生物を目的の蛋白質の産生を最大 化する最適条件の下で培養する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を選択マーカ ーとして含有するベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)を37℃ でアンピシリン含有LB培地(バクト−トリプトン10g、バクト−酵母抽出物 5g、NaCl 10gを水1リットルに溶解して製造)の中で培養する。酵母 の場合、文献(Sherman et al.,Methods in Yea st Genetics ,Cold Spring Harbor,N.Y., U.S.A.)に記述されている最適成長条件の下で培養することができる。 形質転換体を培養した後、目的のATの回収及び精製は、当該分野で 周知の方法またはそれらを組み合わせて使用することによって行うことができる 。 例えば、形質転換された大腸菌細胞で発現されたATムテインは、細胞培養物 から抽出するか、または蛋白質化学の分野で周知の任意の、適切な細胞を破壊す る方法によって回収できる。例えば、ATムテインを精製するのに、大韓民国特 許公開公報第93−686号の方法を用いることができる。即ち、大腸菌形質転 換体の培養物を遠心分離して細胞を得、その細胞をリゾチーム含有緩衝液に懸濁 させた後、超音波で破砕する。次いで、細胞破砕液を遠心分離して不溶性封入体 形態のATを含有した沈降物を得る。この沈降物をトリトン(Triton)X −100を含有する緩衝液に懸濁させた後懸濁液から回収する。前記過程を繰返 す。次いで、生成沈降物を尿素含有懸濁液に溶解させ、エチレンジアミン四酢酸 塩とメルカプトエタノールとを含有するリン酸カリウム溶液で希釈する。生成溶 液を、エチレンジアミン四酢酸塩とメルカプトエタノールとが添加された緩衝液 について透析し、同一緩衝液で平衡化されたDEAE−セファセルカラム(Ph armacia LKB Biotechnology)を通じて溶離させる。 溶離液をモノ−Qカラム(Pharmacia LKB Biotechnol ogy)上でFPLCすることによって精製する。 目的のATムテインを培養培地へ分泌するための宿主細胞として酵母を使用す る場合、ATムテインは、例えば、細胞培養液を遠心分離して細胞を除去し、上 澄液を濃縮し、濃縮液を硫酸アンモニウムで文画化し、生成溶液を遠心分離して 沈降物を得、前記沈降物を緩衝液について透析し、生成溶液をDEAE−セファ セルカラムと、それに続きモノ−Qカラム上で溶離させる方法によって分離及び 精製できる。ATムテインが酵母細胞内に蓄積される場合には、細胞を前記通常 の精製過程を行う前 に粉砕しなければならない。 本発明のATムテインは好中球エラスターゼに対する阻害剤として作用し、特 に肺胞内の弾性繊維がエラスターゼによって分解されることを防止できる。従っ て、ATムテインは遺伝子欠陥や環境汚染等による肺気腫の予防剤及び治療剤と して使用できる。特に、本発明のATムテインは耐熱性が著しく高められたもの で非常に有用である。 下記実施例は本発明を具体的に例示するためのもので、発明の範囲を制限する ものではない。 実施例で、全てのDNA操作は、特に言及しない限り、前記引用したサンブル ック等の文献を参照して行った。本原で使用された制限酵素は米国のニューイン グランドバイオレッブス社(New England Biolabs)やドイ ツのベリンガーマンハイム社(Boeringer/Mannheim)から購 入した。 下記参照例及び実施例でATの活性及び熱安定性の測定には次の方法を用いた 。 ATの活性は、文献(Travis & Johnson in Metho ds in Enzymol.80,754(1981)参照)の方法によっ てペプチドを分解するエラスターゼの活性がATによって阻害されることを評価 して測定した。具体的には、エラスターゼとAT抽出物とを混合して反応させた 後、ここに基質(ジメチルスルホキシドにスクシニル−アラニル−アラニル−ア ラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S4760)を溶解させ製造)を 添加し、残余エラスターゼの活性を決定するために410nmで吸光度の変化を 測定することによってATのエラスターゼ阻害活性を評価した。ATの熱安定性 は、細胞抽出物を使用する際は55℃で、精製されたATを使用する時は57℃ 乃至58℃で処理されたATを使用して、エラスターゼ阻害活 性を測定することによって評価した。対照用としては、大腸菌または酵母細胞で 産生された野生型ATまたはヒト血漿から分離−精製された天然ATを使用した 。 参照例1:AT遺伝子のクローニング ヒトの肝cDNAライブラリ(Clontech,U.S.A.)のクローン から、ローン(Long)等が報告したAT遺伝子中の50乃至72番目のヌク レオチドをプローブとして使用して32個の陽性クローンを分離した(Bioc hemistry 23,4828(1984)参照)。プローブとして前記遺 伝子の1150乃至1172番目のヌクレオチドを使用して、それから4個のク ローンを得た。これらのクローンからプラスミドpUC−AT(R)を得、プラ スミドから制限エンドヌクレアーゼEcoRIまたはBamHIを用いた切断に よって1.3kb断片としAT cDNAを分離した(Lee & Yu,Ko r.J.Biochem.22,148(1989)参照)。 参照例2:野生型大腸菌組換えATの発現 参照例1で得たpUC−AT(R)を制限エンドヌクレアーゼBamHIで切 断して1.3kb断片を分離し、この断片をpET−8cプラスミド(Stud ier and Moffatt,J.Mol.Biol.189,112( 1986)参照)のBamHI認識部位に挿入してプラスミドpEAT8を作製 した。次いで、前記プラスミドを使用して大腸菌BL21(DE3)を形質転換 させ、産生されたATを野生型大腸菌組換えATと命名した。産生された野生型 大腸菌組換えATは、第一残基がグルタミン酸のかわりにメチオニンであり、他 の残基等は野生型AT(第1図参照)と同じアミノ酸配列を有する。前記野生型 組換えATのアミノ酸配列は、文献(Applied Biosystem 4 77A)の方法を用いる蛋白質配列分析実験によって同定さ れた。pEAT 8で形質転換された大腸菌BL21(DE3)は、微生物寄託 の国際的承認に対したブダペスト条約によって1991年4月17日付で寄託番 号KCTC 0009BPで寄託された(大韓民国特許公開公報第93−686 号参照)。 製造例1:無作為突然変異遺伝子を含む形質転換体の産生 BamHIでプラスミドpEAT8を切断して得た1.3kb DNA断片を ベクターM13mp18の制限エンドヌクレアーゼBamHI認識部位に挿入し た。M13クローンから得た単一DNA、プライマー#1201及び#1212 (Sigma社から購入)を使用して、エッケルトら(Eckert et a l.)の文献(Eckert & Kunkel,PCR Chap.14, he fidelity of DNA polymerase chain reactions ,ed.by McPharson et al.,Oxf ord Univ.Press(1991)参照)の変形されたPCR法によっ て無作為突然変異を誘導したが、但し、反応溶液中のdATPの濃度を0.1m Mに低め、dCTP,dGTP及びdTTPをそれぞれ1mMにし、10mM塩 化マグシウムを添加した。前記PCRを25回繰返した。増幅されたDNAを制 限エンドヌクレアーゼBclI及びBstX1で切断して770bpの断片(1 7番目のコドンから273番目のコドンまで)を得、これで参照例2のpEAT 8中のBclI/BstX1断片を置換した。次いで、作製されたプラスミドで 大腸菌 BL21(DE3)を形質転換させ、アンピシリンに対する耐性を有す る形質転換体コロニー5×104個を収得した。 製造例2:耐熱性ATを産生するコロニーのスクリニング(screening )大腸菌で産生された耐熱性ATムテインをコプレンら(Coplen et al.)の文献(Proteins;Struct ure,funtion and genetics,16(1990)参 照)の変形された方法によってスクリニングした。製造例1で得たコロニーを、 1mMイソプロピルβ−チオガラクトシド(IPTG)を含有する培地(リン酸 二ナトリウム6g、リン酸カリウム3g、塩化アンモニウム1g、グルコース2 g、酵母抽出物0.2g及びカザミノ酸3gを水1リットルに溶かして調製した もの)0.1mlに注入した後、一夜培養した。産生培養液に25マイクロリット ルの溶菌液(250mMトリス、pH8.0、25mM EDTA、0.25% トリトンX−100、0.5mg/mlのリゾチーム)を加え、培養液を室温で1時 間振とう培養した。次いで、前記培養液を60℃で1時間熱処理し、ここに7n Mエラスターゼ溶液(SIGMA E0258)25マイクロリットルを添加し た。反応混合物を室温で1時間静置させ、ここに、1.2mMスクシニル−アラ ニル−アラニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S4760) を加え、室温で一夜反応させた。25マイクロリットルの亜窒酸ナトリウム(2 M HClに0.2%濃度で溶解してある)を加えた後、反応混合物を3分間静 置した。0.2%硫酸アンモニウム25マイクロリットルを加え、その溶液を3 分間更に静置した。次いで、50マイクロリットルのN−ナフチルエチレンジア ミン溶液(95%エタノール中の0.05%溶液)50マイクロリットルを加え て赤色反応を起こした。赤色を示さないクローンが耐熱性ATムテインを生成す るものであり、これを陽性と呼ぶものとした。製造例1で製造されたコロニー中 5,000個のクローンをスクリニングして41個の陽性クローンを得た。 実施例1.優れた耐熱性を有するATムテインを発現する大腸菌形質転換体の産 生 ATのエラスターゼ阻害活性はトラビスらの方法(Travis & Johnson,Methods in Enzymol.80,754(1 981)参照)の変形された方法を用いて評価した。反応緩衝液としては50m M NaClを含有する50mMトリス(pH8.0)を使用し、エラスターゼ に対する基質としてはジメチルスルホキシドに溶解した15mMスクシニル−ア ラニル−アラニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S4760 )を用いた。酵素液は50%グリセロールを含有する反応緩衝液にエラスターゼ を0.3μMの濃度になるように溶解することによって調製した。 製造例2で得た形質転換クローンをLB培地に接種し、37℃で600nmで の吸光度が0.8になるまで培養した。IPTGを0.4mM添加し、培養液を 3時間更に培養した。培養液を遠心分離して細胞を収穫し、その細胞を50mM NaCl含有50mMトリス緩衝液(pH8.0)に懸濁させた後、0℃で超 音波処理して細胞を破砕した。破砕細胞液を15分間遠心分離(10,000x g)して上澄液を取った後AT抽出液として使用した。 ATのエラスターゼ阻害活性は下記のように決定された:酵素液10マイクロ リットル、AT抽出液10乃至50マイクロリットル及び反応緩衝液を混合して 最終容量を60マイクロリットルにした後、10分間反応させた。反応緩衝液4 30マイクロリットル及び基質10マイクロリットルを添加し、直ちに410n mでの吸光度変化を3分間測定した。 耐熱性を評価するために、温度を55℃で維持しながら1分ごとにATのエラ スターゼ阻害活性を測定した。野生型組換えATに比べ熱安定性が高められたA Tムテインを産生する大腸菌形質転換体を分離した。この形質転換体を大腸菌B L21(DE3)(pEAT81)と命名し、1993年3月19日付で遺伝子 銀行(Korean Collection for Type Cultur es)に寄託番号KCTC 0077BPで寄託された。前記大腸菌BL21(DE3)に含有されているプ ラスミドをpEAT81と命名した。 実施例2.ATムテインをコードするDNAのヌクレオチド配列の決定 実施例1で得たプラスミドpEAT81をBamHIで切断させ単離した1. 3kb DNA切片をM13mp18ベクターのBamHI認識部位に挿入した 。35S−dATP及びセケナーゼキット(Sequenase Kit,US Biochemical Co.)を用い、サンガーの方法(Sanger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA74,546 3(1977)参照)を利用して配列分析をした結果、DNA配列の51番目の コドンTTC(フェニルアラニン)がTGC(システイン)で置換されたことを 確認した。 実施例3.ATムテインの分離及び精製 ATムテインの分離精製は、大韓民国特許公開公報第93−686号に開示し た方法を利用して行った。即ち、大腸菌形質変換体(KCTC 0077BP及 びKCTC 0009BP)をM9ZB培地(1gの塩化アンモニウム、3gの 一塩基性リン酸カリウム、6gの二塩基性リン酸ナトリウム、2gのグルコース 、0.2gの酵母抽出物及び3gのカザミノ酸を水1lに溶解して調製したもの )250mlにそれぞれ接種した後、37℃で、600nmでの吸光度が0.8 になるまで培養した。IPTGを0.4mM添加し、培養液を3時間更に培養し た。それぞれの培養液を遠心分離して細胞を収穫し、収穫した細胞を、0.1mg /mlのリゾチームを含有する緩衝液A(50mM NaCl)1mMエチレン ジアミン四酢酸塩、1mMメルカプトエタノール、50mMトリス、pH8.0 )に懸濁させた後、0℃で超音波処理して細胞を破砕した。それぞれの懸濁液を 10分間遠心分離(10,000xg)してATが含有された沈降物を不溶性封 入体形態として得た。かかる沈降物 をそれぞれ、0.5%トリトンX−100が添加された緩衝溶液A中に懸濁させ 、該懸濁液を遠心分離して沈降物を回収した。前記洗浄段階を更に1回繰返した 。沈降物を、8M尿素を含有する緩衝溶液5mlに溶解させた後、生成溶液を3 0分間静置し、1mMエチレンジアミン四酢酸塩及び1mMメルカプトエタノー ルを含有する50mMリン酸塩緩衝液(pH8.0)45mlを加え希釈した。 30分後、1mMエチレンジアミン四酢酸塩及び1mMメルカプトエタノールを 含有する10mMリン酸塩緩衝液(pH6.5)に対して前記希釈液を透析した 。このようにして得た透析液を、透析緩衝液で平衡化したDEAE−セファセル (Pharmacia LKB Biotechnology)カラムに注入し て、0−300mMの線形濃度勾配のNaClを含有する透析緩衝液で溶離した 。溶離液を再びFPLCと共にモノ−Qカラム(Pharmacia LKB Biotechnology)に付加し、0−200mMの線形濃度勾配のNa Clを含有する透析液で溶離させて、精製されたATを得た(第2図参照)。 第2図で、第1列は破砕された細胞抽出物を示し、第2列は破砕された細胞の 遠心分離によって得たATを含有する沈降物を示し、第3列は尿素に溶解された 沈降物を再生(refolding)して得た上澄液を示し、第4列は再生中に 産生された沈降物を示し、第5列はDEAE−セファセルカラムとモノQカラム を通過させた後の精製された組換えATを示し、第6列はアフィ−ゲルブルー( Affi−Gel Blue)カラムとモノQカラムを通過させたヒト血漿AT を示し、第7列は標準分子量の蛋白質を示す。 実施例4.部位特異性突然変異遺伝子とATムテインとの特性 〈4−1〉部位特異突然変異遺伝子の産生 51番目のアミノ酸残基がフェニルアラニン及びシステインの以外の 18個アミノ酸中1つで置換された突然変異されたAT等を得るために、オリゴ ヌクレオチドによる特定部位突然変異誘発法(Kunkel et al., ethods in Enzymology154,367−382(198 7)参照)を用いた。前記突然変異誘導に使用されたオリゴヌクレオチドは30 個の塩基からなっており、その配列は、次のように、51番目コドンに隣接した コドンが野生型ATの該当部分と同じアミノ酸をコードし、51番目のコドンが 18個のアミノ酸中1つをコードできるように設計されている。 ここで、G/Cは塩基GとCが同モル比で混ぜられたものであり、NはA、T 、G及びCが同モル比で混合されたことを意味する。 大腸菌CJ236(dut−,ung−,Boeringer/Mannhe im)を宿主として用いて、AT遺伝子を含有するM13クローンを、ウリジン (uridine)が0.25μg/ml添加された培地で3回増幅させてバク テリオファージ(bacteriopharge)粒子を生成し、この粒子から 単一鋳型DNAを得た。合成されたオリゴヌクレオチドを鋳型DNAに結合した 。生成されたファージDNAを使用して大腸菌JM109(ATCC 5332 3)を形質転換させた後、突然変異されたクローンを選別した。変異M13クロ ーンの配列を実施例2と同様に同定して、51番目の残基が18個のアミノ酸中 1つで置換されたことを確認した。前記突然変異されたクローンからRF(Re plicative Form)DNAを分離した後、制限エンドヌクレアーゼ BclI及びBstXIで処理して770bp断片を得て、これをプラスミドp EAT8のBclI/BstXI断片の代わりに置換して突然変異AT発現ベク ターを得た。前記ベクターで大腸菌BL21(DE3)を形質転換させた。 〈4−2〉ATムテインの熱安定性測定 ATムテインを産生する大腸菌の細胞抽出液を、実施例1と同様の耐熱性を評 価した。評価の結果、51番目のアミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシン、 またはアラニンで置換されたATムテインの熱安定性の増加が認められた。それ から、ATムテインを実施例3と同じ方法で精製した後、アフィ−ゲルブルーカ ラム(Bio−Rad)通過後モノQカラム上でFPLCを行って精製したヒト 血漿AT(A9204)と比較することによって、各ムテインのエラスターゼに 対する会合定数及び熱に対する不活性化率を決定した。会合定数はベアチらの方 法(Beatty et al.,J.Biol.Chem.255,393 1−3934(1980)参照)によって、次のようにして算出した。 同一濃度(8nM)のエラスターゼとATを含む反応混合液から10分間1分 おきに試料を採取した。基質として1mMのスクシニル−アラニル−アラニル− アラニル−p−ニトロアニリド(SIGMA S4760)をそれぞれの試料に 加えた。410nmでの吸光度を測定して各試料のエラスターゼ活性を決定した 後、時間に対するエラスターゼ濃度の逆数をグラフ化して得られた直線の傾き値 から会合定数を求めた。下記表Iで示したように、大腸菌で産生された野生型A T及び組換えATムテインはヒト血漿のATの値と類似した会合定数を有し、こ れは組換えATムテインの活性が正常であることを立証する。 熱安定性を比較するために、多様な種類のATムテインを57℃で培養し、培 養液から1分ごとに試料を採取した。ATムテインの残余活性を実施例1でのよ うな方法で測定し、時間に対する残余活性の対数値をグラフ化して得た直線(第 3図参照)から半減期と熱不活性化率を算出した。その結果は下記表1に示した 。 前記実施例でみられるように、ATムテインは野生型ATの活性に似た活性を有 しており、熱に対する安定性が大腸菌で産生された野生型組換えATに比べ著し く高められたことが分る。特に、51番目アミノ酸がシステインで置換されたA Tムテインは野生型組換えATに比べて熱安定性が13.5倍も高められ、ヒト 血漿のATに似ていた耐熱性を示した。 〈4−3〉ATムテインの集合抑制能力 ロマスらの方法(Lomas,D.A.,et al.,Nature35 ,605−607(1992);及びLomas,D.A.,et al.,Biochemistry32,500−508(1993)参照)によれば 、AT分子は高温(41℃以上)または弱い変性条件の下で重合され活性がない 形態に集合する傾向があり、これが熱不活性化を起こすことが知られている。A Tムテイン及び野生型ATの集合度を相互比較するために、集合反応を誘導した 後、ゲル透過クロマトグラフィー法によって高分子量蛋白質の形成を評価した。 より詳細に は、精製されたATを55℃で0.1mg/mlの濃度で適当な時間培養した後、ス ペロース(Superose)12カラム(Pharmacia LKB Bi otechnology)上でのFPLCによって分子量別に分画した。第4図 で示したように、51番目のアミノ酸がシステイン残基で置換された本発明のA Tムテインが、野生型ATに比べてずっと低い比率で重合されることが明らかに なった。従って、アミノ酸配列の51番目残基の突然変異は重合反応によるAT の不活性化度を減少させると考えられる。第4図で、12.5分で溶離された分 画は活性形蛋白であり、それより前に溶離された蛋白質は不活性の高分子量蛋白 質である。 実施例5.糖化されたATムテインの産生及び特定化 〈5−1〉酵母でのAT遺伝子発現用ベクターの作製 野生型AT遺伝子及びAT突然変異遺伝子をそれぞれ含有する大腸菌発現プラ スミドpEAT8(KCTC 0009BP)及びpEAT81(KCTC 0 077BP)を制限エンドヌクレアーゼBamHI及びSmaIで切断し、それ ぞれの切断されたプラスミドから1.3Kb DNA断片を分離した。それぞれ の断片をプラスミドpYES24(Ahn et al.,Kor.J.Mic robiol.30,403(1992)参照)のBamHI及びSmaI部 位へ挿入した。作製されたそれぞれのプラスミドをBamHIで切断した後マン ビーン(mungbean)ヌクレアーゼで処理し、連結反応させてプラスミド pGAT11(野生型)及びpGAT15(突然変異体)を作製した。プラスミ ドで、AT遺伝子は分泌シグナル配列とサッカロミケス・ジアスタチカス(Sa ccharomyces diastaticus)のSTA1遺伝子から誘導 されたプロモータ部分とを含む450bp配列の後に位置する。野生型AT遺伝 子を含有するpGAT11の作製は 既に報告されていた(Song et al.,Kor.J.Microbio l.31,203(1993)参照)。 〈5−2〉酵母形質転換体の産生及び培養 前記〈5−1〉で得たプラスミドによる酵母細胞の形質転換は、酢酸リチウム 法(Ito et al.,J.Bacteriol.153、163(19 83)参照)によって行った。サッカロミケス・ジアスタチカス(Saccha romyces diastaticus)YIY345(KCTC 1791 )(Yamashita et al.,J.Bacteriol.161, 574(1985)参照)を宿主として使用した。 pGAT15で形質転換されたサッカロミケス・ジアスタチカス(Sacch aromyces diastaticus)を次のように培養した:それぞれ 20mg/lのヒスチジン及びロイシンを含むYNB培地(0.67%アミノ酸欠 如酵母窒素基質及び2%グルコース水溶液)で形質転換体を30℃で16乃至1 8時間培養した後、YEPD培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%グルコ ース水溶液)で24時間培養した。 〈5−3〉酵母培養液からATの分離及び精製 前記〈5−2〉で得た各酵母培養液を遠心分離して細胞を除去し、生成上澄液 を限外濾過方法(Amicon PM30使用)によって濃縮した。この濃縮液 に、60%飽和されるまで硫酸アンモニウムを加えた後、生成液を15分間25 ,000×gの下で遠心分離して沈降物を除去した。飽和度75%となるように 硫酸アンモニウムを添加した。生成溶液を遠心分離して沈降物を得、この沈降物 を緩衝液B(10mMトリス、1mMエチレンジアミン四酢酸塩、1mMメルカ プトエタノール、pH8.0)に溶かした後、同一緩衝液に対して透析した。透 析産物に、 硫酸プロタミンを0.1%になるように加え、遠心分離して沈降物を除去し、前 記緩衝液Bに対して更に透析した。生成溶液を、緩衝液Bで平衡化されたDEA E−セファセル(Pharmacia LKB)カラムに投入し、0乃至200 mM線形濃度勾配のNaClを含む緩衝液Bで溶離させた後、更にモノ−Q−カ ラム(Pharmacia LKB)の上で0乃至150mM NaCl線形濃 度勾配で溶離させることによって精製した。 第5図は酵母培養液からのATの分離精製段階で得た試料に対するSDS−電 気泳動分析結果を示す。第1列は培養液を限外濾過した後得た濃縮液に対するも のであり;第2列は硫酸アンモニウムによる分画化及び硫酸プロタミンによる沈 降の後の上澄液に対するものであり;第3列はDEAE−セファセルカラムを通 過した後の活性AT含有分画に対するものであり;第4列はモノQカラムを通過 した後の精製されたATムテインに対するものであり;第5列は標準分子量蛋白 質に対するものである。 〈5−4〉酵母で産生されたATムテインの糖化の確認 前記〈5−3〉で得たATムテインが糖化されているかを確認するために、精 製されたATムテインをエンドグリコシターゼH(New England B iolabs社、以下“エンドH“と略する)で処理した後、SDS−電気泳動 した。エンドHはN−糖化された高マンノース(high−mannose)型 の炭水和物殘基を除去することによって糖蛋白の分子量を減少させ、この結果は SDS−PAGEで確認することができる。エンドHはヒトで産生される複合型 炭水和物を含む糖蛋白に対しては作用しない。一般的に、酵母で分泌された糖蛋 白は高マンノース型炭水和物を含有する。第6図でみるように、酵母で産生され たATムテインの分子量は、糖化された形態のヒト血漿ATのそれと近 似し、エンドH処理後は、大腸菌で産生された分子量45KDの糖化されていな いATムテインと近似した。従って、前記〈5−2〉での酵母で産生されたAT ムテインは高マンノース型のN−糖化されている糖蛋白であることを確認した。 第6図で、第1列は大腸菌で発現された糖化されていないATムテインに対する ものであり;第2列はヒト血漿ATに対するものであり;第3列はエンドH処理 したヒト血漿ATに対するものであり;第4列は酵母で産生された野生型組換え ATに対するものであり;第5列は酵母で産生されエンドHで処理した野生型A Tに対するものであり;第6列は酵母で産生されたATムテインに対するもので あり;第7列は酵母で産生されエンドH処理した変異形ATに対するものであり ;第8列は標準分子量蛋白質に対するものである。 〈5−5〉糖化されたATムテインの特定化 前記〈5−3〉で精製された野生型組換えATと51番目のアミノ酸がシステ インで置換され酵母から産生されたATムテインとの58℃での阻害活性及び耐 熱性を前記実施例4と同様の方法で測定し、これを実施例3及び4からそれぞれ 得た野生型大腸菌組換えAT及びヒト血漿ATとそれぞれ比較した。糖化された 組換えATは野生型ATに比べて、プロテアーゼ阻害活性については同等であり 、耐熱性は著しく増加した(第7図、表2参照)。酵母で産生された野生型組換 えATは大腸菌で発現された野生型組換えATに比べて耐熱性が5.3倍増加し たが、ヒト血漿のATよりは低かった。しかしながら、酵母で産生され糖化され たATムテインは、酵母で産生された野生型AT及びヒト血漿ATに比べ耐熱性 がそれぞれ31倍及び6倍も高かった。 実施例6.縮重されたオリゴヌクレオチドを用いた特定部位無作為突然変異誘発 及びATムテインの特性 ATの疏水性コア領域で多様な突然変異を誘発させることによって耐熱性突然 変異体を得るために、混合合成オリゴヌクレオチドを用いて、野生型ATのアミ ノ酸配列で51番目殘基の隣りの疏水性部位を無作為突然変異させた。突然変異 誘発のため選定された部位は野生型AT配列の48番目乃至70番目のアミノ酸 殘基と368番目乃至391番目の殘基であった。この部位の無作為突然変異誘 導のために、ハッチスンらの方法(Hutchison et al.,Pro c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,710−714(19 86)参照)によって混合合成オリゴヌクレオチドを使用した。即ち、オリゴヌ クレオチドの化学合成に使用された4種(A,T,C,G)のホスホラミジト( phosphoramidite)溶液それぞれを微量の残りの3つのホスホラ ミジト溶液で汚染されるようにした。汚染された溶液をオリゴヌクレオチドの合 成に用い、産生されたオリゴヌクレオチドの配列の上で微量の塩基を挿入させた 。このような混合合成オリゴヌクレ オチドを実施例4に記述されたように特定部位突然変異誘発法(Kunkel et al.,Methods in Enzymology154,367 −382(1987)参照)に使用すと、特定部位に対する無作為変異を効率的 に誘発することができる。 前記2つの変異部位をカバーするために、(a)48番目乃至60番目の残基 、(b)58番目乃至70番目の残基、(c)368番目乃至380番目の残基 及び(d)378番目乃至391番目の残基の配列に対して相補的な下記の4種 のオリゴヌクレオチドを合成して突然変異誘導に使用した。 変異頻度を最適化させるために、本実施例では、4種のホスホルアミジト溶液 それぞれと、他の3種のホスホルアミジトとをそれぞれ2.5%ずつ汚染される ように混合した。実施例4のような方法で、合成されたオリゴヌクレオチドを使 用して部位特異突然変異を誘導した。収得したM13クローンから分離したRF DNAからBamHI−切断及び突然変異されたAT遺伝子を発現ベクターp EAT8のBamHI部位に挿入して、突然変異AT遺伝子発現用ベクターを得 た。前記製造例2で記述したスクリニング法によって大腸菌で発現されたATム テインの耐熱性を調べて耐熱性の突然変異体を選別した。ATムテインの55℃ での耐熱性と大腸菌野生型組換えATのそれとを実施例1のように比較した。そ の結果、前記ATムテインは大腸菌野生型組換えATに比べて半減期が2.77 倍乃至15.73倍長くなったことが分った。その結 果を下記表3に示した。 実施例7.多重突然変異ATの産生 前記実施例等で産生された耐熱性ATのアミノ酸置換(表2及び表3)を選択 的に組み合わせることによって耐熱性が更に向上された突然変異ATを得るため に、前記実施例4に記述されたオリゴヌクレオチドを用いた部位特異突然変異法 を用いて2つまたはそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された多重突然変 異ATを得た。その結果51番目の残基がロイシンであり374番目の残基がイ ソロイシンである2つのアミノ酸が置換された多重突然変異ATはそれぞれの単 一突然変異ATに比べ卓越した耐熱性(300倍以上)を有する(第8図参照) 。また、59番目、68番目及び70番目の残基がそれぞれアラニン、アラニン 及びグリシンで、3つのアミノ酸が置換された多重突然変異ATは単一変異AT に比べ300倍以上の耐熱性を示す。第8図は大腸菌で発現され た単一突然変異AT及び多重突然変異ATに対する熱不活性化実験の結果を示し たグラフである。第8図で、●は実施例4のように55℃で毎分ごとに測定した 野生型組換えATの活性;▽は51番目のアミノ酸がロイシンで置換された突然 変異ATの活性;▼は374番目の殘基がイソロイシンで置換された突然変異A Tの活性;□は51番目及び374番目の残基がそれぞれロイシン及びイソロイ シンで置換された突然変異ATの活性である。 こうして、多重突然変異体が単一突然変異体より耐熱性を更に向上することが 明らかになった。また、多重突然変異ATが酵母で糖化された形態として産生さ れる場合は、耐熱性が更に高められよう。 本発明の特定の実施態様について記述したが、当業者によって下記の特許請求 範囲で定義した本発明の範囲内で、本発明の多様な改変が可能であることは勿論 である。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年12月6日 【補正内容】 明細書 耐熱性α1−抗トリプシンムテイン発明の属する技術分野 本発明は耐熱性が向上されたα1−抗トリプシン(以下“AT”と略する)及 びその産生方法に関するものである。 より詳細には、本発明は野生型ATの少なくとも1つのアミノ酸が他のアミノ 酸残基で置換されることによって活性は維持しながら耐熱性が向上されたATム テイン、前記ATをコードするポリヌクレオチド、前記ポリヌクレオチドを含有 するベクター、前記ベクターで形質転換された微生物、及び前記微生物を用いて 耐熱性が向上されたATを産生する方法に関するものである。従来技術の説明 蛋白質の安定性は蛋白質の生体内寿命及び保存期間を決定するので、その機能 の維持に関して不可欠のものである。 従って、蛋白質を含む治療剤または診断試薬を工業製品として開発するために はその安定性を高めることが望ましい。 ヒトから分離され、精製された既存の蛋白質治療剤は、原料の制限の問題及び エイズ(AIDS)や肝炎ウイルスのような多様な感染性のウイルス等による汚 染の問題があるので、最近には組換えDNA技法を通じて治療剤を産生しようと する試みがなされることが多くなってきている。しかしながら、このような技法 で産生された組換え蛋白は、ヒトから分離されたものに比べ相対的に安定性が劣 るので、ヒトに投与した際半減期が著しく短くなる傾向がある。かかる安定性の 問題を克服するために、2つのアプローチで研究がなされてきた。1つは、安定 性減少の原因が微生物内で蛋白質の糖化が欠如しているか、または不充分な点に あるという事実を基にして、自然状態が完全糖化された形である蛋白質 を産生するもの、他の1つは、蛋白質のアミノ酸配列を変更して活性は維持しな がら安定性が高められた組換え蛋白を産生するものである。 これと関連して、蛋白質の耐熱性は変性に対するその安定性と密接な相関関係 があることが明らかになった(Pace,Trends in Biotech nology,93−98,1990)参照)。 一方、ATは肝の細胞で合成された後血液内に分泌され、トリプシン(try psin)、キモトリプシン(chymotrypsin)、エラスターゼ(e lastase)、コラゲナーゼ(collagenase)、トロンビン(t hrombin)及びプラスミン(plasmin)のようなセリン系プロテア ーゼに対する阻害剤等と共にセルピン族(serpin family)に属す る。ATは分子量が52KD(kilodalton)の糖蛋白で、生理的には 好中球内でエラスターゼに対する阻害剤として作用する。特に、肺胞に存在する 弾性繊維が好中球のエラスターゼにより分解されることを防止する。 ヒトのATを産生する能力に関しては、多様な遺伝的欠陥が周知となっている (Carrell et al.,Mol.Biol.Med.,35−4 2(1982)参照)。遺伝的欠陥のため血漿内のAT濃度が減少して、プロテ アーゼとその阻害剤との間の均衡が失われ、これによって肺が伸縮性を失うこと になり肺気腫が発生し得る(Gadek and Crystal,in Me tabolic Basis of Inherited Disease ,S tanbury et al.,Eds.,McGraw−Hill,New York,pp.1450−1467)。これ以外にも、過多な喫煙やはげしい 環境汚染によるATの不活性化から肺気腫が誘発されることもあり得る。 従って、このような疾患の治療のために、ATの需要は大きく増えつつあり、 ヒトの血液から採取したATではその需要をまかないきれない。 また、ATは急性ショック症候群(acute shock syndrome )(Robin W. Carrell,Biotechnology and Genetic Engineering Reviews,291−2 97(1986)参照)の治療にも使用できる。ショック症候群は、好中球のエ ラスターゼがにわかに広範囲に放出され、血漿セルピンとプロテアーゼとの間の 均衡が壊れることによって生じることが知られている。 ATをコードする遺伝子のヌクレオチド配列は既に知られており(Long et al.,Biochemistry23,4828(1984)参照) 、AT遺伝子はクローニングされ、大腸菌(Bollen et al.,FE RS Lett.166,67(1984):Courtney et al .,Proc.Natl.Acad.Sci.USA81,669(1984 );Tessier et al.,FEBS Lett.208,183( 1986);Johnsen et al.,Mol.Biol.Med. ,291(1987);Sutiphong et al.,Mol.Biol .Med.,307(1987);Lee and Yu,Kor.J.B iochem.22,148(1989);及びLee et al.,Mo lecules and Cells,71−74(1993)参照)及び 酵母(Travis et al.,J.Biol.Chem.260,43 84(1985);Rosenberg etal.,Nature312, 77(1984);Cabezon et ao.,Proc.Natl.Ac ad.SciUSA81,6594(1984);Moir et al. ,Gene56,209(1987);Kim et al.,Kor.J. Biochem.23,263(1990);及びKim et a l.,Kor.J.Microbiol.,30,108(1992)参照)で 発現された。 また、ATは、活性部位残基の358番目のメチオニン残基部位を特定部位突 然変異誘発法(site−specific mutagenesis)により 他のアミノ酸残基で置換することによって、エラスターゼ以外の他のセリン系プ ロテアーゼに対する阻害剤へ変異させるか、高められた耐酸化性を有するように 変異させることができることが報告された(Rosenberg et al. ,Nature312,77−80(1984);Courtney et al.,Nature313,149−151(1985);Barr et al.,米国特許第4,732,973号;Insley et al.,米 国特許第4,711,848号参照)。一方、酵母で産生された糖化されていな いATは試験管内での耐熱性が劣り、このような耐熱性の低下は生体内での半減 期の短縮と密接な相関関係があるということが報告され(Travis et al.,J.Biol.Chem.,260,4384(1985)参照)、酵 母で生成され糖化された野生型ATは耐熱性が低いことが明らかになった。AT の構造と機能との相関関係に対してはフバー(Huber)とカレル(Carr ell)によって確認されている(Biochemistry28,8951 −8963(1989)参照)。発明の要約 従って、本発明の目的は優れた耐熱性及び熱力学的安定性を有する突然変異さ れた組換えAT、即ちAT突然変異蛋白質(以下ATムテイン)を提供すること である。 本発明の他の目的は前記ATムテインをコードするポリヌクレオチドを提供す ることである。 本発明の更に別の目的は前記遺伝子を含むベクター及び該ベクターで形質転換 された宿主細胞を提供することである。 本発明の更に別の目的は該形質転換体を用いて耐熱性が向上されたATムテイ ンを産生する方法を提供することである。 本発明の1実施例によれば、野生型ATの51番目、56番目、59番目、6 8番及び70番目、374番目、381番乃至387番目のアミノ酸中少なくと も1つが他のアミノ酸で置換されたATムテインが提供される。図面の簡単な説明 本発明の前記目的及び特徴は、添付された図面を参考として下記の望ましい実 施態様の記載から明らかになるであろう。 第1図は代表的な野生型ATのアミノ酸配列を示す。 第2図は大腸菌からATムテインを分離及び精製する段階から得た試料を12 %SDS(ドデシル硫酸ナトリウム)−ポリアクリルアミドゲル電気泳動した結 果を示した写真である。 第3図は野生型AT、大腸菌内で発現された突然変異AT及びヒト血漿から分 離されたATに対して57℃で熱不活性化実験を行った結果を示したグラフであ る。 第4図は野生型ATと、51番目のアミノ酸残基がシステインである耐熱性A Tムテインとの集合現象を比較するために、55℃でATの保存中に生じる、高 分子量蛋白質のゲル透過クロマトグラフィーによる定量分析結果を示したグラフ であり; 第5図は酵母培養液からATムテインを分離及び精製する段階から得た試料を 12%SDS−PAGEした結果を示した写真である。 第6図は酵母で産生されたATムテインが糖化されているかを確認するために 、12%SDS−PAGEを行って得た結果の写真であり、エ ンドグリコシダーゼで処理した後の分子量の変化を示している。 第7図は酵母で産生されたAT、ヒト血漿AT及び大腸菌で産生されたATム テインの58℃での熱不活性化率を比較して示したグラフである。 第8図は大腸菌で発現された単一及び多重突然変異ATに対する熱不活性化実 験の結果を示したグラフである。発明の詳細な説明 本発明にしたがって製造された耐熱性ATムテインは、野生型ATの51番目 、56番目、59番目、68番及び70番目、374番目、381番乃至387 番目のアミノ酸中少なくとも1つが他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列を有 する。望ましい耐熱性ATムテインは野生型ATアミノ酸配列で1つ以上の下記 アミノ酸置換を起こしたものである。 51番目のフェニルアラニンのシステイン、バリン、ロイシン、イソロイシン またはアラニンによる置換; 56番目のセリンのアラニンによる置換; 59番目のトレオニンのアラニンまたはセリンによる置換; 68番目のトレオニンのアラニンによる置換; 70番目のアラニンのグリシンによる置換; 374番目のメチオニンのイソロイシン、ロイシンまたはバリンによる置換; 381番目のセリンのアラニンによる置換;及び 387番目のリジンのアルギニンによる置換。 前記アミノ酸置換中1つのみが起った単一突然変異AT中で、最も望ましいも のは51番目残基のシステインであるもの及び374番目残基がイソロイシンで あるものである。前記単一突然変異ATは、大腸菌内で糖化されない形態として 産生される場合、野生型ATに比べて長い (10倍以上)半減期を有し、酵母で糖化された形態として産生される場合、更 に高い耐熱性を有する。 2つ以上の前記アミノ酸置換がなされた典型的な多重突然変異ATは、51番 目及び374番目の残基がそれぞれロイシン及びイソロイシンで置換されたもの ;59番目、68番目及び70番目の残基がそれぞれアラニン、アラニン及びグ リシンで置換されたもの;381番目及び387番目の残基がそれぞれアラニン 及びアルギニンで置換されたものである。多重突然変異ATは単一突然変異AT に比べ著しく増加された耐熱性を示す。また、突然変異ATが糖化されていると 耐熱性は更に増加し得る。 耐熱性ATのアミノ酸配列は前記のように置換されたアミノ酸残基を除いては 野生型ATのアミノ酸配列と同様である。本発明に於いて代表的な野生型ATは 第1図で示すようなアミノ酸配列を有する。第1図の配列で101番目、204 番目、213番目、223番目、341番目、363番目及び376番目の残基 等中の少なくとも1つがアルギニン、リジン、アラニン、システイン、アスパラ ギン、リジン及びグルタミン酸でそれぞれ置換された亜型も野生型の範囲に含ま れ得る。本発明で使用できる野生型ATには、前記野生型AT等中何れかの1つ が含まれ、また、野生型ATの最初の連続した11個のアミノ酸残基等中少なく とも1つがその活性に大きな変化を起こさず削除されるか他のアミノ酸で置換さ れたものも含まれる。 また、ATを大腸菌で産生する場合は、ATのアミノ酸配列でN−末端のアミ ノ酸にMetが付加されるか、または置換されるが、これらも本出願で定義した “野生型AT”に含まれる。従って、前記野生型ATのアミノ酸配列を基にして 製造されたATムテインは本発明の範囲内に含まれる。しかしながら、アミノ酸 の削除または付加と関係なく、AT のアミノ酸配列でのアミノ酸の番号は第1図で示したアミノ酸配列番号を基にし たものである。 本発明の耐熱性ATは、特定部位突然変異誘発法によって産生されたATムテ インをコードするポリヌクレオチドを有するベクターで宿主細胞を形質転換させ 、転換体から前記ポリヌクレオチドを発現させる方法、または化学的アミノ酸合 成による方法によって産生することができる。 本発明の耐熱性ATムテインをコードするポリヌクレオチドは既存の化学的合 成法によって、または例えば、特定部位突然変異誘発法によって野生型ATのc DNAを変異させることによって産生することができる。 一方、コドンの縮重(degeneracy)のために、1つのアミノ酸をコ ードする数個の相互相違したコドン等が存在することもでき、従って、同一なア ミノ酸配列をコードする遺伝子は相いに異なるヌクレオチド配列を有することが あり得る。 本発明のATムテインをコードするポリヌクレオチドは、当技術分野で周知で ある適当な原核または眞核生物の発現システムを使用して発現させることができ る(Sambrook et al.,Molecular Cloning: A Laboratory Manual ,2nd ed.,Cold Spr ing Harbor Laboratory Press,U.S.A.(1 989)参照)。 発現は、糖化されていないATの場合は、例えば大腸菌BL21(DE3)、 大腸菌JM109(DE3)または大腸菌NM522のような大腸菌で行われる ことが望ましいし、糖化されたATの場合は、例えば、サッカロミケス・セレビ シェ(Saccharomyces cerevisiae)、サッカロミケス ・ジアスタチカス(Saccharomyces diastaticus)の ような酵母で行うことが望 ましい。 大腸菌及び酵母での発現に使用できる適当なベクターは前記引用したサンブル ック(Sambrook)の文献及びフィアス(Fiers)の論文“Proc ed,8th Int.Biotechnology Symposium”,Soc.Frac.de Microbiol. ,Paris,(Durand et al.,eds.),pp.680−697(1988)に記述されて いる。 前記ベクターによる宿主細胞の形質転換は、何らかの通常の方法を使用して行 うことができる(前記引用したサンブルックの文献及びIto et al.,J.Bacteriol.153,163(1983)参照)。大腸菌を宿主 細胞として使用する場合、ベクターDNAを吸収することができる感応細胞を準 備して、周知のCaCl2法によって処理できる。酵母の形質転換は、先ず宿主 細胞をスペロプラスト(spaeroplast)形態に作製した後、前記文献 等に記述されているような周知の方法を用いて行うことができる。 一般的に、目的の発現ベクターを含む宿主微生物を目的の蛋白質の産生を最大 化する最適条件の下で培養する。例えば、アンピシリン耐性遺伝子を選択マーカ ーとして含有するベクターで形質転換された大腸菌BL21(DE3)を37℃ でアンピシリン含有LB培地(バクト−トリプトン10g、バクト−酵母抽出物 5g、NaCl 10gを水1リットルに溶解して製造)の中で培養する。酵母 の場合、文献(Sherman et al.,Methods in Yea st Genetics ,Cold Spring Harbor,N.Y., U.S.A.)に記述されている最適成長条件の下で培養することができる。 形質転換体を培養した後、目的のATの回収及び精製は、当該分野で周知の方 法またはそれらを組み合わせて使用することによって行うこと ができる。 例えば、形質転換された大腸菌細胞で発現されたATムテインは、細胞培養物 から抽出するか、または蛋白質化学の分野で周知の任意の、適切な細胞を破壊す る方法によって回収できる。例えば、ATムテインを精製するのに、大韓民国特 許公開公報第93−686号の方法を用いることができる。即ち、大腸菌形質転 換体の培養物を遠心分離して細胞を得、その細胞をリゾチーム含有緩衝液に懸濁 させた後、超音波で破砕する。次いで、細胞破砕液を遠心分離して不溶性封入体 形態のATを含有した沈降物を得る。この沈降物をトリトン(Triton)X −100を含有する緩衝液に懸濁させた後懸濁液から回収する。前記過程を繰返 す。次いで、生成沈降物を尿素含有懸濁液に溶解させ、エチレンジアミン四酢酸 塩とメルカプトエタノールとを含有するリン酸カリウム溶液で希釈する。生成溶 液を、エチレンジアミン四酢酸塩とメルカプトエタノールとが添加された緩衝液 について透析し、同一緩衝液で平衡化されたDEAE−セファセルカラム(Ph armacia LKB Biotechnology)を通じて溶離させる。 溶離液をモノ−Qカラム(Pharmacia LKB Biotechnol ogy)上でFPLCすることによって精製する。 目的のATムテインを培養培地へ分泌するための宿主細胞として酵母を使用す る場合、ATムテインは、例えば、細胞培養液を遠心分離して細胞を除去し、上 澄液を濃縮し、濃縮液を硫酸アンモニウムで文画化し、生成溶液を遠心分離して 沈降物を得、前記沈降物を緩衝液について透析し、生成溶液をDEAE−セファ セルカラムと、それに続きモノ−Qカラム上で溶離させる方法によって分離及び 精製できる。ATムテインが酵母細胞内に蓄積される場合には、細胞を前記通常 の精製過程を行う前に粉砕しなければならない。 本発明のATムテインは好中球エラスターゼに対する阻害剤として作用し、特 に肺胞内の弾性繊維がエラスターゼによって分解されることを防止できる。従っ て、ATムテインは遺伝子欠陥や環境汚染等による肺気腫の予防剤及び治療剤と して使用できる。特に、本発明のATムテインは耐熱性が著しく高められたもの で非常に有用である。 下記実施例は本発明を具体的に例示するためのもので、発明の範囲を制限する ものではない。 実施例で、全てのDNA操作は、特に言及しない限り、前記引用したサンブル ック等の文献を参照して行った。本原で使用された制限酵素は米国のニューイン グランドバイオレッブス社(New England Biolabs)やドイ ツのベリンガーマンハイム社(Boeringer/Mannheim)から購 入した。 下記参照例及び実施例でATの活性及び熱安定性の測定には次の方法を用いた 。 ATの活性は、文献(Travis & Johnson in Metho ds in Enzymol.80,754(1981)参照)の方法によっ てペプチドを分解するエラスターゼの活性がATによって阻害されることを評価 して測定した。具体的には、エラスターゼとAT抽出物とを混合して反応させた 後、ここに基質(ジメチルスルホキシドにスクシニル−アラニル−アラニル−ア ラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S4760)を溶解させ製造)を 添加し、残余エラスターゼの活性を決定するために410nmで吸光度の変化を 測定することによってATのエラスターゼ阻害活性を評価した。ATの熱安定性 は、細胞抽出物を使用する際は55℃で、精製されたATを使用する時は57℃ 乃至58℃で処理されたATを使用して、エラスターゼ阻害活性を測定すること によって評価した。対照用としては、大腸菌または酵 母細胞で産生された野生型ATまたはヒト血漿から分離−精製された天然ATを 使用した。 参照例1:AT遺伝子のクローニング ヒトの肝cDNAライブラリ(Clontech,U.S.A.)のクローン から、ローン(Long)等が報告したAT遺伝子中の50乃至72番目のヌク レオチドをプローブとして使用して32個の陽性クローンを分離した(Bioc hemistry 23,4828(1984)参照)。プローブとして前記遺 伝子の1150乃至1172番目のヌクレオチドを使用して、それから4個のク ローンを得た。これらのクローンからプラスミドpUC−AT(R)を得、プラ スミドから制限エンドヌクレアーゼEcoRIまたはBamHIを用いた切断に よって1.3kb断片としAT cDNAを分離した(Lee & Yu,Ko r.J.Biochem.22,148(1989)参照)。 参照例2:野生型大腸菌組換えATの発現 参照例1で得たpUC−AT(R)を制限エンドヌクレアーゼBamHIで切 断して1.3kb断片を分離し、この断片をpET−8cプラスミド(Stud ier and Moffatt,J.Mol.Biol.189,112( 1986)参照)のBamHI認識部位に挿入してプラスミドpEAT8を作製 した。次いで、前記プラスミドを使用して大腸菌BL21(DE3)を形質転換 させ、産生されたATを野生型大腸菌組換えATと命名した。産生された野生型 大腸菌組換えATは、第一残基がグルタミン酸のかわりにメチオニンであり、他 の残基等は野生型AT(第1図参照)と同じアミノ酸配列を有する。前記野生型 組換えATのアミノ酸配列は、文献(Applied Biosystem 4 77A)の方法を用いる蛋白質配列分析実験によって同定された。pEAT 8 で形質転換された大腸菌BL21(DE3)は、微 生物寄託の国際的承認に対したブダペスト条約によって1991年4月17日付 で寄託番号KCTC 0009BPで寄託された(大韓民国特許公開公報第93 −686号参照)。 製造例1:無作為突然変異遺伝子を含む形質転換体の産生 BamHIでプラスミドpEAT8を切断して得た1.3kb DNA断片を ベクターM13mp18の制限エンドヌクレアーゼBamHI認識部位に挿入し た。M13クローンから得た単一DNA、プライマー#1201及び#1212 (Sigma社から購入)を使用して、エッケルトら(Eckert et a l.)の文献(Eckert & Kunkel,PCR Chap.14, he fidelity of DNA polymerase chain reactions ,ed.by McPharson et al.,Oxf ord Univ.Press(1991)参照)の変形されたPCR法によっ て無作為突然変異を誘導したが、但し、反応溶液中のdATPの濃度を0.1m Mに低め、dCTP,dGTP及びdTTPをそれぞれ1mMにし、10mM塩 化マグシウムを添加した。前記PCRを25回繰返した。増幅されたDNAを制 限エンドヌクレアーゼBclI及びBstX1で切断して770bpの断片(1 7番目のコドンから273番目のコドンまで)を得、これで参照例2のpEAT 8中のBclI/BstX1断片を置換した。次いで、作製されたプラスミドで 大腸菌 BL21(DE3)を形質転換させ、アンピシリンに対する耐性を有す る形質転換体コロニー5×104個を収得した。 製造例2:耐熱性ATを産生するコロニーのスクリニング(screening )大腸菌で産生された耐熱性ATムテインをコプレンら(Coplen et al.)の文献(Proteins;Structure,funtion a nd genetics,16(19 90)参照)の変形された方法によってスクリニングした。製造例1で得たコロ ニーを、1mMイソプロピルβ−チオガラクトシド(IPTG)を含有する培地 (リン酸二ナトリウム6g、リン酸カリウム3g、塩化アンモニウム1g、グル コース2g、酵母抽出物0.2g及びカザミノ酸3gを水1リットルに溶かして 調製したもの)0.1mlに注入した後、一夜培養した。産生培養液に25マイク ロリットルの溶菌液(250mMトリス、pH8.0、25mM EDTA、0 .25%トリトンX−100、0.5mg/mlのリゾチーム)を加え、培養液を室 温で1時間振とう培養した。次いで、前記培養液を60℃で1時間熱処理し、こ こに7nMエラスターゼ溶液(SIGMA E0258)25マイクロリットル を添加した。反応混合物を室温で1時間静置させ、ここに、1.2mMスクシニ ル−アラニル−アラニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S4 760)を加え、室温で一夜反応させた。25マイクロリットルの亜窒酸ナトリ ウム(2M HClに0.2%濃度で溶解してある)を加えた後、反応混合物を 3分間静置した。0.2%硫酸アンモニウム25マイクロリットルを加え、その 溶液を3分間更に静置した。次いで、50マイクロリットルのN−ナフチルエチ レンジアミン溶液(95%エタノール中の0.05%溶液)50マイクロリット ルを加えて赤色反応を起こした。赤色を示さないクローンが耐熱性ATムテイン を生成するものであり、これを陽性と呼ぶものとした。製造例1で製造されたコ ロニー中5,000個のクローンをスクリニングして41個の陽性クローンを得 た。 実施例1.優れた耐熱性を有するATムテインを発現する大腸菌形質転換体の産 生 ATのエラスターゼ阻害活性はトラビスらの方法(Travis & Joh nson,Methods in Enzymol.80,7 54(1981)参照)の変形された方法を用いて評価した。反応緩衝液として は50mM NaClを含有する50mMトリス(pH8.0)を使用し、エラ スターゼに対する基質としてはジメチルスルホキシドに溶解した15mMスクシ ニル−アラニル−アラニル−アラニル−パラ−ニトロアニリド(SIGMA S 4760)を用いた。酵素液は50%グリセロールを含有する反応緩衝液にエラ スターゼを0.3μMの濃度になるように溶解することによって調製した。 製造例2で得た形質転換クローンをLB培地に接種し、37℃で600nmで の吸光度が0.8になるまで培養した。IPTGを0.4mM添加し、培養液を 3時間更に培養した。培養液を遠心分離して細胞を収穫し、その細胞を50mM NaCl含有50mMトリス緩衝液(pH8.0)に懸濁させた後、0℃で超 音波処理して細胞を破砕した。破砕細胞液を15分間遠心分離(10,000x g)して上澄液を取った後AT抽出液として使用した。 ATのエラスターゼ阻害活性は下記のように決定された:酵素液10マイクロ リットル、AT抽出液10乃至50マイクロリットル及び反応緩衝液を混合して 最終容量を60マイクロリットルにした後、10分間反応させた。反応緩衝液4 30マイクロリットル及び基質10マイクロリットルを添加し、直ちに410n mでの吸光度変化を3分間測定した。 耐熱性を評価するために、温度を55℃で維持しながら1分ごとにATのエラ スターゼ阻害活性を測定した。野生型組換えATに比べ熱安定性が高められたA Tムテインを産生する大腸菌形質転換体を分離した。この形質転換体を大腸菌B L21(DE3)(pEAT81)と命名し、1993年3月19日付で遺伝子 銀行(Korean Collection for Type Cultur es)に寄託番号KCTC0077BPで寄託された。前記大腸菌BL21(D E3)に含有さ れているプラスミドをpEAT81と命名した。 実施例2.ATムテインをコードするDNAのヌクレオチド配列の決定 実施例1で得たプラスミドpEAT81をBamHIで切断させ単離した1. 3kb DNA切片をM13mp18ベクターのBamHI認識部位に挿入した 。35S−dATP及びセケナーゼキット(Sequenase Kit,US Biochemical Co.)を用い、サンガーの方法(Sanger et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA74,546 3(1977)参照)を利用して配列分析をした結果、DNA配列の51番目の コドンTTC(フェニルアラニン)がTGC(システイン)で置換されたことを 確認した。 実施例3.ATムテインの分離及び精製 ATムテインの分離精製は、大韓民国特許公開公報第93−686号に開示し た方法を利用して行った。即ち、大腸菌形質変換体(KCTC 0077BP及 びKCTC 0009BP)をM9ZB培地(1gの塩化アンモニウム、3gの 一塩基性リン酸カリウム、6gの二塩基性リン酸ナトリウム、2gのグルコース 、0.2gの酵母抽出物及び3gのカザミノ酸を水1lに溶解して調製したもの )250mlにそれぞれ接種した後、37℃で、600nmでの吸光度が0.8 になるまで培養した。IPTGを0.4mM添加し、培養液を3時間更に培養し た。それぞれの培養液を遠心分離して細胞を収穫し、収穫した細胞を、0.1mg /mlのリゾチームを含有する緩衝液A(50mM NaCl)1mMエチレン ジアミン四酢酸塩、1mMメルカプトエタノール、50mMトリス、pH8.0 )に懸濁させた後、0℃で超音波処理して細胞を破砕した。それぞれの懸濁液を 10分間遠心分離(10,000xg)してATが含有された沈降物を不溶性封 入体形態として得た。かかる沈降物をそれぞれ、0.5%トリトンX−100が 添加された緩衝溶液A中に 懸濁させ、該懸濁液を遠心分離して沈降物を回収した。前記洗浄段階を更に1回 繰返した。沈降物を、8M尿素を含有する緩衝溶液5mlに溶解させた後、生成 溶液を30分間静置し、1mMエチレンジアミン四酢酸塩及び1mMメルカプト エタノールを含有する50mMリン酸塩緩衝液(pH8.0)45mlを加え希 釈した。30分後、1mMエチレンジアミン四酢酸塩及び1mMメルカプトエタ ノールを含有する10mMリン酸塩緩衝液(pH6.5)に対して前記希釈液を 透析した。このようにして得た透析液を、透析緩衝液で平衡化したDEAE−セ ファセル(Pharmacia LKB Biotechnology)カラム に注入して、0−300mMの線形濃度勾配のNaClを含有する透析緩衝液で 溶離した。溶離液を再びFPLCと共にモノ−Qカラム(Pharmacia LKB Biotechnology)に付加し、0−200mMの線形濃度勾 配のNaClを含有する透析液で溶離させて、精製されたATを得た(第2図参 照)。 第2図で、第1列は破砕された細胞抽出物を示し、第2列は破砕された細胞の 遠心分離によって得たATを含有する沈降物を示し、第3列は尿素に溶解された 沈降物を再生(refolding)して得た上澄液を示し、第4列は再生中に 産生された沈降物を示し、第5列はDEAE−セファセルカラムとモノQカラム を通過させた後の精製された組換えATを示し、第6列はアフィ−ゲルブルー( Affi−Gel Blue)カラムとモノQカラムを通過させたヒト血漿AT を示し、第7列は標準分子量の蛋白質を示す。 実施例4.部位特異性突然変異遺伝子とATムテインとの特性 〈4−1〉部位特異突然変異遺伝子の産生 51番目のアミノ酸残基がフェニルアラニン及びシステインの以外の18個ア ミノ酸中1つで置換された突然変異されたAT等を得るために、 オリゴヌクレオチドによる特定部位突然変異誘発法(Kunkel et al .,Methods in Enzymology154,367−382( 1987)参照)を用いた。前記突然変異誘導に使用されたオリゴヌクレオチド は30個の塩基からなっており、その配列は、次のように、51番目コドンに隣 接したコドンが野生型ATの該当部分と同じアミノ酸をコードし、51番目のコ ドンが18個のアミノ酸中1つをコードできるように設計されている。 ここで、G/Cは塩基GとCが同モル比で混ぜられたものであり、NはA、T 、G及びCが同モル比で混合されたことを意味する。 大腸菌CJ236(dut−,ung−,Boeringer/Mannhe im)を宿主として用いて、AT遺伝子を含有するM13クローンを、ウリジン (uridine)が0.25μg/ml添加された培地で3回増幅させてバク テリオファージ(bacteriopharge)粒子を生成し、この粒子から 単一鋳型DNAを得た。合成されたオリゴヌクレオチドを鋳型DNAに結合した 。生成されたファージDNAを使用して大腸菌JM109(ATCC 5332 3)を形質転換させた後、突然変異されたクローンを選別した。変異M13クロ ーンの配列を実施例2と同様に同定して、51番目の殘基が18個のアミノ酸中 1つで置換されたことを確認した。前記突然変異されたクローンからRF(Re plicative Form)DNAを分離した後、制限エンドヌクレアーゼ BclI及びBstXIで処理して770bp断片を得て、これをプラスミドp EAT8のBclI/BstXI断片の代わりに置換して突然変異AT発現ベク ターを得た。前記ベクターで大腸菌BL21(DE3)を形質転換させた。 〈4−2〉ATムテインの熱安定性測定 ATムテインを産生する大腸菌の細胞抽出液を、実施例1と同様の耐熱性を評 価した。評価の結果、51番目のアミノ酸がバリン、ロイシン、イソロイシン、 またはアラニンで置換されたATムテインの熱安定性の増加が認められた。それ から、ATムテインを実施例3と同じ方法で精製した後、アフィ−ゲルブルーカ ラム(Bio−Rad)通過後モノQカラム上でFPLCを行って精製したヒト 血漿AT(A9204)と比較することによって、各ムテインのエラスターゼに 対する会合定数及び熱に対する不活性化率を決定した。会合定数はベアチらの方 法(Beatty et al.,J.Biol.Chem.255,393 1−3934(1980)参照)によって、次のようにして算出した。 同一濃度(8nM)のエラスターゼとATを含む反応混合液から10分間1分 おきに試料を採取した。基質として1mMのスクシニル−アラニル−アラニル− アラニル−p−ニトロアニリド(SIGMA S4760)をそれぞれの試料に 加えた。410nmでの吸光度を測定して各試料のエラスターゼ活性を決定した 後、時間に対するエラスターゼ濃度の逆数をグラフ化して得られた直線の傾き値 から会合定数を求めた。下記表Iで示したように、大腸菌で産生された野生型A T及び組換えATムテインはヒト血漿のATの値と類似した会合定数を有し、こ れは組換えATムテインの活性が正常であることを立証する。 熱安定性を比較するために、多様な種類のATムテインを57℃で培養し、培 養液から1分ごとに試料を採取した。ATムテインの残余活性を実施例1でのよ うな方法で測定し、時間に対する残余活性の対数値をグラフ化して得た直線(第 3図参照)から半減期と熱不活性化率を算出した。その結果は下記表1に示した 。 前記実施例でみられるように、ATムテインは野生型ATの活性に似た活性を有 しており、熱に対する安定性が大腸菌で産生された野生型組換えATに比べ著し く高められたことが分る。特に、51番目アミノ酸がシステインで置換されたA Tムテインは野生型組換えATに比べて熱安定性が13.5倍も高められ、ヒト 血漿のATに似ていた耐熱性を示した。 〈4−3〉ATムテインの集合抑制能力 ロマスらの方法(Lomas,D.A.,et al.,Nature35 ,605−607(1992);及びLomas,D.A.,et al.,Biochemistry32,500−508(1993)参照)によれば 、AT分子は高温(41℃以上)または弱い変性条件の下で重合され活性がない 形態に集合する傾向があり、これが熱不活性化を起こすことが知られている。A Tムテイン及び野生型ATの集合度を相互比較するために、集合反応を誘導した 後、ゲル透過クロマトグラフィー法によって高分子量蛋白質の形成を評価した。 より詳細に は、精製されたATを55℃で0.1mg/mlの濃度で適当な時間培養した後、ス ペロース(Superose)12カラム(Pharmacia LKB Bi otechnology)上でのFPLCによって分子量別に分画した。第4図 で示したように、51番目のアミノ酸がシステイン残基で置換された本発明のA Tムテインが、野生型ATに比べてずっと低い比率で重合されることが明らかに なった。従って、アミノ酸配列の51番目殘基の突然変異は重合反応によるAT の不活性化度を減少させると考えられる。第4図で、12.5分で溶離された分 画は活性形蛋白であり、それより前に溶離された蛋白質は不活性の高分子量蛋白 質である。 実施例5.糖化されたATムテインの産生及び特定化 〈5−1〉酵母でのAT遺伝子発現用ベクターの作製 野生型AT遺伝子及びAT突然変異遺伝子をそれぞれ含有する大腸菌発現プラ スミドpEAT8(KCTC 0009BP)及びpEAT81(KCTC 0 077BP)を制限エンドヌクレアーゼBamHI及びSmaIで切断し、それ ぞれの切断されたプラスミドから1.3Kb DNA断片を分離した。それぞれ の断片をプラスミドpYES24(Ahn et al.,Kor.J.Mic robiol.30,403(1992)参照)のBamHI及びSmaI部 位へ挿入した。作製されたそれぞれのプラスミドをBamHIで切断した後マン ビーン(mungbean)ヌクレアーゼで処理し、連結反応させてプラスミド pGAT11(野生型)及びpGAT15(突然変異体)を作製した。プラスミ ドで、AT遺伝子は分泌シグナル配列とサッカロミケス・ジアスタチカス(Sa ccharomyces diastaticus)のSTA1遺伝子から誘導 されたプロモータ部分とを含む450bp配列の後に位置する。野生型AT遺伝 子を含有するpGAT11の作製は 既に報告されていた(Song et al.,Kor.J.Microbio l.31,203(1993)参照)。 〈5−2〉酵母形質転換体の産生及び培養 前記〈5−1〉で得たプラスミドによる酵母細胞の形質転換は、酢酸リチウム 法(Ito et al.,J.Bacteriol.153、163(19 83)参照)によって行った。サッカロミケス・ジアスタチカス(Saccha romyces diastaticus)YIY345(KCTC 1791 )(Yamashita et al.,J.Bacteriol.161, 574(1985)参照)を宿主として使用した。 pGAT15で形質転換されたサッカロミケス・ジアスタチカス(Sacch aromyces diastaticus)を次のように培養した:それぞれ 20mg/lのヒスチジン及びロイシンを含むYNB培地(0.67%アミノ酸欠 如酵母窒素基質及び2%グルコース水溶液)で形質転換体を30℃で16乃至1 8時間培養した後、YEPD培地(1%酵母抽出物、2%ペプトン、2%グルコ ース水溶液)で24時間培養した。 〈5−3〉酵母培養液からATの分離及び精製 前記〈5−2〉で得た各酵母培養液を遠心分離して細胞を除去し、生成上澄液 を限外濾過方法(Amicon PM30使用)によって濃縮した。この濃縮液 に、60%飽和されるまで硫酸アンモニウムを加えた後、生成液を15分間25 ,000×gの下で遠心分離して沈降物を除去した。飽和度75%となるように 硫酸アンモニウムを添加した。生成溶液を遠心分離して沈降物を得、この沈降物 を緩衝液B(10mMトリス、1mMエチレンジアミン四酢酸塩、1mMメルカ プトエタノール、pH8.0)に溶かした後、同一緩衝液に対して透析した。透 析産物に、 硫酸プロタミンを0.1%になるように加え、遠心分離して沈降物を除去し、前 記緩衝液Bに対して更に透析した。生成溶液を、緩衝液Bで平衡化されたDEA E−セファセル(Pharmacia LKB)カラムに投入し、0乃至200 mM線形濃度勾配のNaClを含む緩衝液Bで溶離させた後、更にモノ−Q−カ ラム(Pharmacia LKB)の上で0乃至150mM NaCl線形濃 度勾配で溶離させることによって精製した。 第5図は酵母培養液からのATの分離精製段階で得た試料に対するSDS−電 気泳動分析結果を示す。第1列は培養液を限外濾過した後得た濃縮液に対するも のであり;第2列は硫酸アンモニウムによる分画化及び硫酸プロタミンによる沈 降の後の上澄液に対するものであり;第3列はDEAE−セファセルカラムを通 過した後の活性AT含有分画に対するものであり;第4列はモノQカラムを通過 した後の精製されたATムテインに対するものであり;第5列は標準分子量蛋白 質に対するものである。 〈5−4〉酵母で産生されたATムテインの糖化の確認 前記〈5−3〉で得たATムテインが糖化されているかを確認するために、精 製されたATムテインをエンドグリコシターゼH(New England B iolabs社、以下“エンドH”と略する)で処理した後、SDS−電気泳動 した。エンドHはN−糖化された高マンノース(high−mannose)型 の炭水和物殘基を除去することによって糖蛋白の分子量を減少させ、この結果は SDS−PAGEで確認することができる。エンドHはヒトで産生される複合型 炭水和物を含む糖蛋白に対しては作用しない。一般的に、酵母で分泌された糖蛋 白は高マンノース型炭水和物を含有する。第6図でみるように、酵母で産生され たATムテインの分子量は、糖化された形態のヒト血漿ATのそれと近 似し、エンドH処理後は、大腸菌で産生された分子量45KDの糖化されていな いATムテインと近似した。従って、前記〈5−2〉での酵母で産生されたAT ムテインは高マンノース型のN−糖化されている糖蛋白であることを確認した。 第6図で、第1列は大腸菌で発現された糖化されていないATムテインに対する ものであり;第2列はヒト血漿ATに対するものであり;第3列はエンドH処理 したヒト血漿ATに対するものであり;第4列は酵母で産生された野生型組換え ATに対するものであり;第5列は酵母で産生されエンドHで処理した野生型A Tに対するものであり;第6列は酵母で産生されたATムテインに対するもので あり;第7列は酵母で産生されエンドH処理した変異形ATに対するものであり ;第8列は標準分子量蛋白質に対するものである。 〈5−5〉糖化されたATムテインの特定化 前記〈5−3〉で精製された野生型組換えATと51番目のアミノ酸がシステ インで置換され酵母から産生されたATムテインとの58℃での阻害活性及び耐 熱性を前記実施例4と同様の方法で測定し、これを実施例3及び4からそれぞれ 得た野生型大腸菌組換えAT及びヒト血漿ATとそれぞれ比較した。糖化された 組換えATは野生型ATに比べて、プロテアーゼ阻害活性については同等であり 、耐熱性は著しく増加した(第7図、表2参照)。酵母で産生された野生型組換 えATは大腸菌で発現された野生型組換えATに比べて耐熱性が5.3倍増加し たが、ヒト血漿のATよりは低かった。しかしながら、酵母で産生され糖化され たATムテインは、酵母で産生された野生型AT及びヒト血漿ATに比べ耐熱性 がそれぞれ31倍及び6倍も高かった。 実施例6.縮重されたオリゴヌクレオチドを用いた特定部位無作為突然変異誘発 及びATムテインの特性 ATの疏水性コア領域で多様な突然変異を誘発させることによって耐熱性突然 変異体を得るために、混合合成オリゴヌクレオチドを用いて、野生型ATのアミ ノ酸配列で51番目殘基の隣りの疏水性部位を無作為突然変異させた。突然変異 誘発のため選定された部位は野生型AT配列の48番目乃至70番目のアミノ酸 殘基と368番目乃至391番目の殘基であった。この部位の無作為突然変異誘 導のために、ハッチスンらの方法(Hutchison et al.,Pro c.Natl.Acad.Sci.U.S.A.83,710−714(19 86)参照)によって混合合成オリゴヌクレオチドを使用した。即ち、オリゴヌ クレオチドの化学合成に使用された4種(A,T,C,G)のホスホラミジト( phosphoramidite)溶液それぞれを微量の残りの3つのホスホラ ミジト溶液で汚染されるようにした。汚染された溶液をオリゴヌクレオチドの合 成に用い、産生されたオリゴヌクレオチドの配列の上で微量の塩基を挿入させた 。このような混合合成オリゴヌクレ オチドを実施例4に記述されたように特定部位突然変異誘発法(Kunkel et al.,Methods in Enzymology154,367 −382(1987)参照)に使用すと、特定部位に対する無作為変異を効率的 に誘発することができる。 前記2つの変異部位をカバーするために、(a)48番目乃至60番目の残基 、(b)58番目乃至70番目の残基、(c)368番目乃至380番目の残基 及び(d)378番目乃至391番目の残基の配列に対して相補的な下記の4種 のオリゴヌクレオチドを合成して突然変異誘導に使用した。 変異頻度を最適化させるために、本実施例では、4種のホスホルアミジト溶液 それぞれと、他の3種のホスホルアミジトとをそれぞれ2.5%ずつ汚染される ように混合した。実施例4のような方法で、合成されたオリゴヌクレオチドを使 用して部位特異突然変異を誘導した。収得したM13クローンから分離したRF DNAからBamHI−切断及び突然変異されたAT遺伝子を発現ベクターp EAT8のBamHI部位に挿入して、突然変異AT遺伝子発現用ベクターを得 た。前記製造例2で記述したスクリニング法によって大腸菌で発現されたATム テインの耐熱性を調べて耐熱性の突然変異体を選別した。ATムテインの55℃ での耐熱性と大腸菌野生型組換えATのそれとを実施例1のように比較した。そ の結果、前記ATムテインは大腸菌野生型組換えATに比べて半減期が2.77 倍乃至15.73倍長くなったことが分った。その結 果を下記表3に示した。 実施例7.多重突然変異ATの産生 前記実施例等で産生された耐熱性ATのアミノ酸置換(表2及び表3)を選択 的に組み合わせることによって耐熱性が更に向上された突然変異ATを得るため に、前記実施例4に記述されたオリゴヌクレオチドを用いた部位特異突然変異法 を用いて2つまたはそれ以上のアミノ酸が他のアミノ酸で置換された多重突然変 異ATを得た。その結果51番目の残基がロイシンであり374番目の残基がイ ソロイシンである2つのアミノ酸が置換された多重突然変異ATはそれぞれの単 一突然変異ATに比べ卓越した耐熱性(300倍以上)を有する(第8図参照) 。また、59番目、68番目及び70番目の残基がそれぞれアラニン、アラニン 及びグリシンで、3つのアミノ酸が置換された多重突然変異ATは単一変異AT に比べ300倍以上の耐熱性を示す。第8図は大腸菌で発現され た単一突然変異AT及び多重突然変異ATに対する熱不活性化実験の結果を示し たグラフである。第8図で、●は実施例4のように55℃で毎分ごとに測定した 野生型組換えATの活性;▽は51番目のアミノ酸がロイシンで置換された突然 変異ATの活性;▼は374番目の殘基がイソロイシンで置換された突然変異A Tの活性;□は51番目及び374番目の残基がそれぞれロイシン及びイソロイ シンで置換された突然変異ATの活性である。 こうして、多重突然変異体が単一突然変異体より耐熱性を更に向上することが 明らかになった。また、多重突然変異ATが酵母で糖化された形態として産生さ れる場合は、耐熱性が更に高められよう。 本発明の特定の実施態様について記述したが、当業者によって下記の特許請求 範囲で定義した本発明の範囲内で、本発明の多様な改変が可能であることは勿論 である。請求の範囲 1.野生型ヒトα1−抗トリプシンの51番目、56番目、59番目、68番目 及び70番目、374番目、381番目及び387番目アミノ酸中一つ以上が他 のアミノ酸で置換されたことを特徴とする野生型ヒトα1−抗トリプシンアミノ 酸配列を有した、耐熱性が向上されたヒトα1−抗トリプシンムテイン。 2.下記アミノ酸置換中1つ以上が生じた請求項1に記載のヒトα1−抗トリプ シン: 51番目のフェニルアラニンのシステイン、バリン、ロイシン、イソロイシン またはアラニンによる置換; 56番目のセリンのアラニンによる置換; 59番目のトレオニンのアラニンまたはセリンによる置換; 68番目のトレオニンのアラニンによる置換; 70番目のアラニンのグリシンによる置換; 374番目のメチオニンのイソロイシン、ロイシンまたはバリンによる置換; 381番目のセリンのアラニンによる置換;及び 387番目のリジンのアルギニンによる置換。 3.N−末端の連続的な11個のアミノ酸中1つ以上が削除されるか他のアミノ 酸で置換されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテ イン。 4.糖化されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテ イン。 5.野生型ヒトα1−抗トリプシンの51番目のフェニルアラニン及び374番 目のメチオニンがそれぞれロイシン及びイソロイシンで置換されたことを特徴と する請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテイ ン。 6.野生型ヒトα1−抗トリプシンの59番目のトレオニン、68番目のトレオ ニン及び70番目のアラニンがそれぞれアラニン、アラニン及びグリシンで置換 されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテイン。 7.請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテインをコードするポリヌクレ オチド。 8.請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。 9.pEAT81またはpGAT15の請求項8に記載の発現ベクター。 10.請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された 微生物。 11.大腸菌BL21(DE3)をpEAT81で形質転換することによって産 生された請求項10に記載の微生物形質転換体(寄託番号KCTC 0077B P)。 12.サッカロミケス・ジアスタチカス(Saccharomyces dia staticus )YIY345をpGAT15で形質転換することによって産 生された請求項10に記載の微生物。 13.請求項10に記載の微生物を適切な条件の下で培養し、該培養液から産生 されたATムテインを分離することを含む、耐熱性が向上された請求項1記載の ヒトα1−抗トリプシンムテインの産生方法。 14.pGAT15で形質転換されたサッカロミケス・ジアスタチカス(Sac charomyces diastaticus )YIY345を培養し、該培 養液から産生されたムテインを分離することによって糖化されたヒトα1−抗ト リプシンムテインを産生することを特徴とする請求項13に記載の方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI //(C12N 1/19 C12R 1:85) (C12N 1/21 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:19) (C12P 21/02 C12R 1:85) (72)発明者 ユー、ミョング−ヒー 大韓民国ソウル137―030・セオチョ―グ・ ジャムウォン―ドング 49―8・ハンカン グ アパートメント 3―1003 (72)発明者 クウォン、キ−サン 大韓民国テージョン305―333・ユセオング ―グ・オウン―ドング・ハンビットアパー トメント 130―1306 (72)発明者 リー、キー・ニュング 大韓民国テージョン305―333・ユセオング ―グ・オウン―ドング・ハンビットアパー トメント 105―1004 (72)発明者 シン、フワ・スー 大韓民国テージョン300―200・ドング― グ・ヨングジョング―ドング・シンドンガ アパートメント 3―303

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.野生型ヒトα1−抗トリプシンの51番目、56番目、59番目、68番目 乃至70番目、374番目、381番目及び387番目アミノ酸中一つ以上が他 のアミノ酸で置換されたことを特徴とする野生型ヒトα1−抗トリプシンアミノ 酸配列を有した、耐熱性が向上されたヒトα1−抗トリプシンムテイン。 2.下記アミノ酸置換中1つ以上が生じた請求項1に記載のヒトα1−抗トリプ シン: 51番目のフェニルアラニンのシステイン、バリン、ロイシン、イソロイシン またはアラニンによる置換; 56番目のセリンのアラニンによる置換; 59番目のトレオニンのアラニンまたはセリンによる置換; 68番目のトレオニンのアラニンによる置換; 69番目のリジンのグルタミンによる置換; 70番目のアラニンのグリシンによる置換; 374番目のメチオニンのイソロイシン、ロイシンまたはバリンによる置換; 381番目のセリンのアラニンによる置換;及び 387番目のリジンのアルギニンによる置換。 3.N−末端の連続的な11個のアミノ酸中1つ以上が削除されるか他のアミノ 酸で置換されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテ イン。 4.糖化されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテ イン。 5.野生型ヒトα1−抗トリプシンの51番目のフェニルアラニン及び374番 目のメチオニンがそれぞれロイシン及びイソロイシンで置換さ れたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテイン。 6.野生型ヒトα1−抗トリプシンの59番目のトレオニン、68番目のトレオ ニン及び70番目のアラニンがそれぞれアラニン、アラニン及びグリシンで置換 されたことを特徴とする請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテイン。 7.請求項1に記載のヒトα1−抗トリプシンムテインをコードするポリヌクレ オチド。 8.請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクター。 9.pEAT81またはpGAT15の請求項8に記載の発現ベクター。 10.請求項7に記載のポリヌクレオチドを含む発現ベクターで形質転換された 微生物。 11.大腸菌BL21(DE3)をpEAT81で形質転換することによって産 生された請求項10に記載の微生物形質転換体(寄託番号KCTC 0077B P)。 12.サッカロミケス・ジアスタチカス(Saccharomyces dia staticus )YIY345をpGAT15で形質転換することによって産 生された請求項10に記載の微生物。 13.請求項10に記載の微生物を適切な条件の下で培養し、該培養液から産生 されたATムテインを分離することを含む、耐熱性が向上された請求項1記載の ヒトα1−抗トリプシンムテインの産生方法。 14.pGAT15で形質転換されたサッカロミケス・ジアスタチカス(Sac charomyces diastaticus )YIY345を培養し、該培 養液から産生されたムテインを分離することによって糖化されたヒトα1−抗ト リプシンムテインを産生することを特徴とする請求項13に記載の方法。
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