JPH08509358A - 神経内分泌腫瘍で発現されるδ様遺伝子 - Google Patents

神経内分泌腫瘍で発現されるδ様遺伝子

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JPH08509358A JP6510414A JP51041494A JPH08509358A JP H08509358 A JPH08509358 A JP H08509358A JP 6510414 A JP6510414 A JP 6510414A JP 51041494 A JP51041494 A JP 51041494A JP H08509358 A JPH08509358 A JP H08509358A
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Abstract

(57)【要約】 ポリヌクレオチド分子dlkは、小細胞肺癌を含む神経内分泌腫瘍で発現される。dlkポリヌクレオチド分子によってコードされるDlkポリペプチドを使用して、原発性又は続発性神経内分泌腫瘍の存在を検出することができる。神経内分泌腫瘍の検出や治療で有用なDlkに対するモノクローナル抗体を産生する。

Description

【発明の詳細な説明】 神経内分泌腫瘍で発現されるδ様遺伝子 発明の背景 多能性又は前駆細胞から分化成熟細胞への発達中における遺伝子の発現は、こ のような前駆細胞に由来する腫瘍形成細胞の研究の手掛かりとなると考えられる 。ある種の造血又は上皮腫瘍において、悪性遺伝子発現は腫瘍が由来する組織の 正常発達中に観察される発現と実質的に相関する。Gordonら,J.Cel l Biol.108:1187(1989);Godalら,Adv.Can cer Res.36:211(1982)。実際に、細胞運動及び組織再生を 含む前駆細胞の多くの生物活性は、転移及び腫瘍浸潤等の癌細胞の病理活性に類 似する。 小児期のヒトに罹患する副腎腫瘍の1種である神経芽細胞腫においても、腫瘍 生態はその前駆細胞(神経芽細胞)の正常分化及び形態発生の生態と相関する。 神経芽細胞腫は未分化及び分化両者の組織病理を示す胚性腫瘍である。神経芽細 胞腫の発達は、その起源組織である副腎の組織発達中に認められる段階によく似 ている。Cooperら,Cell Growth and Diff.1:1 4 9(1989)。 ヒト副腎髄質神経芽細胞から成熟クロム親和性細胞への発達中には、4種の異 なる遺伝子が順次発現される。神経芽細胞が神経内分泌経路に沿って分化するよ うに誘導されると、クロム親和性成熟の進行段階は遺伝子TH、CGA、pG2 及びB2Mの一時的発現により表される(Cooper,前出,153頁)。C ooperは、神経芽細胞腫細胞におけるこれらの4種のマーカーの遺伝子発現 のパターンが、異なる3つの発達段階中に阻止される正常な副腎神経芽細胞の遺 伝子発現パターンによく似ていることを知見した。 これらのマーカー遺伝子の1種であるpG2は、成人副腎の腫瘍である褐色細 胞腫で最初に同定された(Helmanら,PNAS USA 84:2326 (1987))。Helmanは、pG2が正常なヒト副腎細胞でも高度に発現 されることを報告した。 Helmanはヒト副腎cDNAライブラリーから完全長cDNAを単離し、 30.6キロダルトン(kDa)の推定分子量を有する286アミノ酸を含む対 応するpG2タンパク質を同定した(Helmanら,Nucleic Acids Res.18(3):685(1990))。 特にpG2発現は副腎では非悪性組織に制限されるので、遺伝的方法により褐 色細胞腫又は神経芽細胞腫を検出するためには、pG2と同様の、発達過程で発 現が制御される遺伝子が有用であろう。 発明の要約 従って、本発明の目的は原発性もしくは続発性褐色細胞腫もしくは神経芽細胞 腫の検出方法又はこれらの腫瘍の段階の診断方法を提供するために遺伝子アッセ イで使用可能な新規単離ポリヌクレオチド分子dlkを提供することである。 本発明の別の目的は、遺伝子アッセイでdlkポリヌクレオチド分子を使用し て、原発性もしくは続発性小細胞肺癌(以下、SCLCと呼称する)を検出する 方法、又はSCLCの腫瘍進行段階を診断する方法を提供することである。 本発明の更に別の目的は、対応するDlkポリペプチドをコードするポリヌク レオチド分子dlkを提供することである。Dlkポリペプチドは、Dlkポリ ペプチドのエ ピトープに対して特異性を有するモノクローナル又はポリクローナル抗体を生成 するために有用である。 原発性又は続発性神経内分泌腫瘍の検出には、Dlk特異抗体、特に標識モノ クローナルDlk特異抗体が有用である。本発明によると、毒素に結合したDl k特異的モノクローナル抗体は、原発性又は続発性神経内分泌腫瘍の治療にも有 用である。 本発明の上記及び他の目的を達成するにあたり、本発明の1態様により、Dl kポリペプチドをコードするDNA配列を含む単離ポリヌクレオチド分子が提供 される。 本発明の目的は、図1B又は図1Aに示すアミノ酸配列から本質的に構成され る単離Dlkポリペプチドを提供することである。 本発明の別の目的は、夫々図1B又は1Aに示すアミノ酸配列から本質的に構 成されるヒト又はマウスDlkポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド 分子を提供することである。 本発明の更に別の目的は、dlkを発現する腫瘍の検出方法を提供することで あり、該方法は、dlkポリヌクレオチド分子とサンプルのハイブリダイゼーシ ョンを可能に する条件下で、腫瘍形成の疑いのあるサンプルからのRNAをdlkポリヌクレ オチド分子と接触させる段階と、ポリヌクレオチド分子とサンプルのハイブリダ イゼーションを検出する段階とを含む。 本発明の更に別の目的は、小細胞肺癌の検出方法を提供することであり、該方 法は、dlkポリヌクレオチド分子とサンプルのハイブリダイゼーションを可能 にする条件下で、腫瘍形成の疑いのある気管支上皮細胞のサンプルからのRNA をdlkポリヌクレオチド分子と接触させる段階と、ポリヌクレオチド分子とサ ンプルのハイブリダイゼーションを検出する段階とを含む。 図面の簡単な説明 図1はマウス(図1A)及びヒト(図1B)Dlkアミノ酸配列のアラインメ ントを示す。同一アミノ酸には符号(|)を付した。類似アミノ酸には(^)を 付し、A,S&T;D&E;N&Q;R&K; ,L,M&V;及びF,Y&W の群に分類した。データベースPROSITE(Intellige neti cs Inc.(Mountain View,CA)の市販品)に見いだされ る潜在的な生物学的に有意 な部位には次の番号:1=N−グリコシル化部位;2=プロテインキナーゼCリ ン酸化部位;3=N−ミリスチル化部位;4=アスパラギン酸及びアスパラギン ヒドロキシル化部位を付した。シグナルペプチドにおける潜在的切断部位には( *)を付した。 図2はヒトdlk DNA配列を示す。 図3はマウスdlk DNA配列を示す。 図4はdlk EGF様反復領域のコンセンサス配列と、数種の無脊椎動物ホ メオティック遺伝子に存在するEGF反復領域とのアラインメントを示す。実施 例4に記載するように、ヒト及びマウス両者からのdlkの12種のEGF様反 復領域のアラインメントにより、dlk EGF様反復領域コンセンサス配列を 得た。次に、このコンセンサス配列を(同様にして得た)数種の無脊椎動物ホメ オティック遺伝子及びマウスEGFのコンセンサス配列と整列させた。 好適態様の詳細な説明 ヒトポリヌクレオチド分子dlk及びdlkによりコードされる対応するヒト ポリヌクレオチドDlkが発見され、これを単離及び特徴付けした。ヒトdlk ポリヌクレオチ ド分子は、褐色細胞腫、神経芽細胞腫及びSCLC腫瘍で発現されることが判明 した。 Dlkタンパク質は約383アミノ酸長であり、約42kDaの分子量を有す る。本発明は、ヒトdlk以外に、マウスdlk(図3)及び本明細書中に記載 するように胎盤から単離したヒト変異体dlkを含めたdlkファミリーに属す る他のポリヌクレオチド分子も提供する。 本発明によると、SCLC及び神経内分泌癌の検出にはdlkファミリーに属 する単離ポリヌクレオチド分子又はそのフラグメントが有用である。dlkの発 現パターンを利用して、(1)dlkの存在により原発性又は続発性腫瘍細胞を 検出し、(2)dlk発現レベルを測定することによりdlkを発現する腫瘍の 段階を診断することができる。 Dlkは、副腎に制限される正常非胎児組織内発現パターンを有する膜貫通タ ンパク質である。従って、DlkはSCLC、褐色細胞腫及び神経芽細胞腫の抗 体撮像又は治療用として容易に入手可能なターゲットである。本発明によると、 Dlkタンパク質に対して特異性を有する抗体を製造及び使用して、Dlkタン パク質を産生する細胞を検 出又は治療する。 ヒトdlk cDNAは、ヌクレオチド配列分析により決定した図2に示す配 列を有するポリヌクレオチド分子を含む。オープンリーディングフレームである ヌクレオチド174(ATG)〜1322(TAA)は1149ヌクレオチド長 である。マウスdlkポリヌクレオチド分子は、図3に示すように1155ヌク レオチドのオープンリーディングフレームであるヌクレオチド134(ATG) 〜1288(TAA)を有するDNA配列を含む。マウスDlkタンパク質は約 385アミノ酸であり、約42kDaの分子量を有する。 本発明は、アミノ酸を欠失するヒトDlkの変異体にも関する。図1(B)に 示すアミノ酸配列のアミノ酸番号347を欠失する「変異体Dlk」をコードす るcDNAが完全ヒト胎盤cDNAライブラリーから単離された。347位アミ ノ酸はタンパク質の細胞内ドメインに存在する。変異体dlkを含む胎盤ライブ ラリーは相当量の非変異形、即ち図1Bに示すdlkポリヌクレオチド分子も含 んでいた。 dlkポリヌクレオチド分子は、リガンドとしてガスト リン放出ペプチド(GRP)−即ちGRPレセプターであるGタンパク質結合レ セプターとの相互作用を介してガストリンの放出に関与するニューロペプチド− による刺激に応答したヒトSCLC(hSCLC)系のcDNA発現産物を試験 することにより同定した。GRP(ペプチド)は正常肺上皮細胞及びSCLC細 胞の両者と、マウスSwiss 3T3繊維芽細胞のマイトジェンである。 GRP応答性hSCLC系を、GRPに対して示差的応答性を示したマウス繊 維芽細胞系と比較した。実施例1に詳述するこのアプローチで、応答性繊維芽細 胞及び応答性SCLC系の両者で発現される1.6Kb mRNAとハイブリダ イズする部分長cDNA分子を生成した。市販のSwiss 3T3繊維芽細胞 cDNAライブラリーをこの部分長cDNAでスクリーニングし、1.6Kbイ ンサートを有する数個のクローンを生成した後、その配列を決定した。 Devereuxら,Nuc.Acids Res.12(1):387(1 984)に記載されているデータベース“Swissprot”及び“NBRF Protein”のコンピューター検索によると、実施例3に記載 する数種のホメオティック遺伝子によりコードされるタンパク質とDlkの間に は高い相同度が確認された。ホメオティック遺伝子は、その形態発生的宿命に関 して細胞群に空間的位置を割り当てる発生制御調節遺伝子である。例えば体節動 物において、ホメオティック遺伝子は別個領域(例えば脚、又は触角)の適正な 形態発生に必要であり、発生中に他の遺伝子の活性を制御することにより作用す る。本発明のDlkタンパク質は、ショウジョウバエにおける正常な神経分化に 関与する神経原性遺伝子座であるδタンパク質との間に最高の相同を示した。従 って、本発明のタンパク質は「δ様」という意味で「Dlk」と命名した。 マウス及びヒトDlkタンパク質配列は86.2%の相同度を有しており、6 個の表皮成長因子(EGF)様反復単位、膜貫通ドメイン及びアミノ末端のシグ ナルペプチドドメインを含む多数の生物学的に重要な潜在部位を共有する。これ らの構造特徴によると、dlkは、表皮又は神経細胞に分化するために外胚葉の 発生決定に関与するショウジョウバエのEGF様神経原性遺伝子のファミリーの 新規構成員であると思われる。 dlkの発現パターン及びホメオティックタンパク質と のその配列相同は、dlkがクロム親和性細胞系の細胞分化経路で機能するとい う説を裏付けるものである。実施例2に詳述するように、dlkは原発性及び続 発性褐色細胞腫及び神経芽細胞腫細胞と、正常(非組織病理性)ヒト副腎及び胎 盤細胞で発現される。本発明によると、SCLC及び神経芽細胞腫は分化に応じ てdlkを発現することが知られている唯一の腫瘍である。 単離dlk、dlk変異体、並びにマウスdlkポリヌクレオチド及びタンパ ク質産物を(以下に詳述するような)診断法で使用し、以下の説明に従って製造 する。dlkポリヌクレオチド分子(DNA、RNA)及びDlkタンパク質に ついて以下に記載する技術及び適用は、マウスdlk及び変異体dlkのDNA 、RNA及びタンパク質にも有用である。 本発明のDlkポリペプチドは、Maniatisら,MOLECULAR CLONING A LABORATORY MANUAL,Cold Spr ing Harbor Laboratory(1982)に記載されているよ うな組換えDNA技術により製造される。dlkポリヌクレオチド分子のクロー ニングに特に適用可能な方 法については、実施例1に記載する。 図1Bのdlkポリヌクレオチド分子は、適切な発現ベクターにクローニング し、バキュロウイルス又は大腸菌を含む原核、昆虫又は真核発現系で発現させる ことができる(Boehringer Manhein)。従って、Dlkタン パク質をコードするポリヌクレオチド配列は、常法を使用して市販副腎もしくは Swiss 3T3繊維芽細胞ライブラリー、又はSCLC、神経芽細胞腫もし くは褐色細胞腫細胞系からのmRNAからcDNAとして得られる。mRNAは 、PCRに基づく方法を含む当業者に周知のcDNAクローニング法を使用して 2本鎖DNAに変換することができる。リンカー又はテールを2本鎖DNAの末 端に加え、適当な制限部位を形成する。制限酵素消化後、十分に適合可能な末端 を生成する制限酵素で消化しておいたプラスミド等のクローニングベクターにD NAを導入する。この関連で適切なプラスミドベクターはpGEX−λ(Pha rmacia)である。常法により連結後、DNAを細胞に導入し、その発現に より所望のタンパク質を産生させる。 あるいは、実施例1に詳述するようにNEN(Bost on,MA)から市販されているin vitro翻訳キットを使用してDlk ポリペプチドを製造する。このキットは、ウサギ網状赤血球溶解物に由来する翻 訳系(リボソーム、ポリメラーゼ、アミノ酸等を含む)を使用している。 dlkポリヌクレオチド分子に関して記載する「単離」なる用語は、この分子 が通常はこれと会合しているヒストン等のタンパク質を含まないことを意味する 。dlkの単離形態は、その発現を制御、促進、強化又は他の方法で調節する機 能をもたない他のDNAを実質的に含まない。 Dlkタンパク質に関連して記載する「単離」なる用語は、通常はこれと会合 している他のタンパク質を含まないポリペプチドを意味する。 原発性SCLC並びにSCLC及び他の神経内分泌癌の転移増殖を検出するた めには、単離dlkポリヌクレオチド分子が有用である。より特定的には、本発 明は腫瘍を含む疑いのあるサンプルをdlkポリヌクレオチド分子と接触させる 段階と、非副腎細胞中のdlkポリヌクレオチド産物(DNA、RNA、mRN A)の発現を検出する段階とを含む腫瘍検出方法を提供する。dlkポリヌクレ オチド産物が検出されたならば、細胞は神経芽細胞腫、褐色細 胞腫もしくはSCLCの転移細胞(続発性腫瘍)、又はSCLCの原発性腫瘍で あると診断される。 dlk発現細胞の検出能は腫瘍検出及び腫瘍診断の両者で有用である。dlk 発現の検出後、腫瘍特異的マーカー、腫瘍特異的形態を検出することにより、又 は神経芽細胞腫、褐色細胞腫もしくはSCLCを含む群から選択される腫瘍のい ずれかに明瞭に関連する臨床病理を患者から観察することにより、腫瘍型を決定 する。例えば、神経芽細胞腫、褐色細胞腫又はSCLCの腫瘍の1種に特異的な 細胞マーカー、組織特徴又は症状の確認等の情報を識別する。 dlk発現が肺から抽出した気管支上皮組織からのサンプルの細胞中で検出さ れるならば、原発性SCLCであると診断される。検出されたdlk発現腫瘍細 胞の起源がSCLCであると確認する第2段階は、この腫瘍に関連するマーカー 、組織特徴又は特徴的症状の出現の検出により実施するのが好ましい。例えば、 SCLCに通常関連する「燕麦形細胞」の組織を検出し、SCLCの存在を観察 する。 dlkの発現は、dlkポリヌクレオチドプローブとのハイブリダイゼーショ ンにより検出される。この方法は、 被疑腫瘍サンプルをdlkポリヌクレオチド分子と接触させる段階と、ポリヌク レオチド分子とサンプルのハイブリダイゼーションを検出する段階とを含む。陽 性ハイブリダイゼーションシグナルは、サンプルが腫瘍起源であることを示す。 dlk発現を検出するために使用されるポリヌクレオチド分子又は「dlkプ ローブ」は、dlkの標識フラグメント、又は好ましくは正常副腎及び神経内分 泌腫瘍細胞からのmRNAもしくはDNAとハイブリダイズする完全長dlk DNA分子である。常法によりdlkと相補的なプローブを製造し、好ましくは 慣用in situハイブリダイゼーション法を使用してmRNA又はDNAと ハイブリダイズさせる。ハイブリダイズしなかったプローブをヌクレアーゼ消化 により除去する。 当業者に公知のin situハイブリダイゼーション法では、夫々蛍光顕微 鏡測定又はオートラジオグラフィーにより容易に定量可能な蛍光標識及び放射性 標識を使用することができる。一般に、蛍光標識が好ましい。別の標識法として は、定量可能な比色又は化学発光シグナルを容易に発生する酵素タッグを使用し てもよい。これらの方法の 過程で検出されるハイブリダイゼーション強度は、生物サンプル内のdlkの量 を表す。 本発明のdlkポリヌクレオチドは、RNA(「ノーザン」)ブロット法でプ ローブとして使用することができる。この方法によると、多数の標準手順のいず れかによりまず最初にRNAを組織から単離する(Lehrach,H.,Bi ochemistry,16:4743(1975))。次にRNAサンプルを 変性ゲル電気泳動にかけ、ニトロセルロース膜又は他の固体支持マトリックスに 移す。dlk mRNAは、好ましくは当業者に周知の高ストリンジェンシー条 件下で放射性又は非放射性標識dlk又はdlkフラグメントのハイブリダイゼ ーションにより検出することができる。ハイブリダイゼーションの量はデンシト メトリーにより定量することができるる 本発明の更に別の態様によると、ポリメラーゼ連鎖反応(「PCR」)を使用 してサンプル中のdlk DNA又はmRNAを検出する。PCRを実施するた めには、二重螺旋上でずれた位置のdlk遺伝子の対向鎖とハイブリダイズする 1対のdlk配列特異的ポリヌクレオチドプライマーを使用する。本発明に従っ て提供されるdlkポリヌ クレオチド配列から誘導されるこのようなプライマーは、好ましくはdlkに固 有のフラグメント、例えばDlk以外のタンパク質との間に低い相同度を有する 配列に相当する。この関連で有用なdlk特異的プライマー配列の2例は、Dl kの細胞内領域の一部をコードする下記配列: である。他の類似のプライマー対も同様に選択及び使用することができる。 プライマーはDNA合成の開始点を提供する。いずれも当業者に周知であるD NAポリメラーゼ、4種のデオキシヌクレオチド三リン酸(「dNTP」)及び 他の必要な補因子の存在下で、プライマーとハイブリダイズした鋳型に相補的な 新しいDNA鎖を合成する。各回の間に2本鎖産物を変性させ、合成を数回実施 する。好ましくは、熱安定DNAポリメラーゼを使用すると、各合成回毎に新た に酵素を加える必要がない。 PCRにより、プライマー対配列の末端により規定されるdlk DNAの元 の配列と同一配列を有する2本鎖DNA増幅産物が生成される。PCR産物の量 は、サンプル 中のdlk DNA又はdlk mRNAの量に相当する。産物は、当業者に周 知の種々の方法により検出することができる。PCR産物をアガロース又はポリ アクリルアミド電気泳動により分解し、臭化エチジウム等の蛍光染色により検出 することができる。あるいは、dNTPの1種を標識し、標識dNTPの取り込 みを測定することによりPCR産物を定量することもできる。PCR産物を分解 、検出及び定量する他の種々の方法が当業者に周知である。 PCRをdlk DNAに特異的にしても、dlk mRNAに特異的にして もよい。例えば、RNAse又はDNAseを用いて、試料から一方の鋳型を除 去してもよいし、他方の鋳型を除去してもよい。遺伝子とメッセージとを区別す るプライマー、例えばプロモーターの非転写領域で配列にハイブリダイズするプ ライマーは、dlk mRNAではなく、dlk遺伝子に特異的である。 本発明の方法に適した他の技術は当業者には自明であり、ヌクレアーゼ保護ア ッセイ、ELISA及びウエスタンブロッティングを包含し得る。抗原と抗体と の免疫反応に基づく数種のアッセイ技術も本発明で使用可能である。特に、Dl kタンパク質に特異的な抗体を用いるアッセイが、D lkタンパク質を産生する細胞の検出で有用である。 動物をDlkタンパク質で免疫して、Dlk発現細胞に特異的な抗体を得る。 この場合“抗体”という用語は、モノクローナル抗体及びポリクローナル抗体の 両方を包含し、前述の抗体はどの抗体クラスであってもよい(IgG,IgM, IgA等)。本発明によれば、ポリクローナル抗体を得るため又はモノクローナ ル抗体産生用のリンパ球又は脾臓細胞を得るために、完全Dlkポリペプチドを 動物に注射する。 Kohler及びMilsteinがNature 256:495(197 5)に記載しているようなモノクローナル抗体(Mab)の一般的な産生技術を 適用して、Dlkタンパク質に対して特異的なモノクローナル抗体を産生する。 この手順は、Dlkポリペプチドで感作した又はこれを注射した動物のリンパ球 を単離し、これを骨髄腫パートナーと融合してハイブリドーマを産生し、次いで Dlkポリペプチドに対して結合特異性を示す“抗Dlk抗体”の産生について ハイブリドーマをスクリーニングする段階からなる。 “抗体”という用語は更に、抗Dlk抗体の断片(例え ばFAbやF(Ab12)、このような断片の結合体、及び例えば米国特許第4 ,704,692号に記載の抗Dlk抗体に基づくいわゆる“抗原結合タンパク 質”(一本鎖抗体)を包含する。前記特許は参考として本明細書に組み入れる。 あるいは、大腸菌のような宿主細胞(例えばWard等,Nature 341 :544−546(1989)を参照)又はトランスフェクトしたマウス骨髄腫 細胞中でのこのようなMabの可変領域をコードする遺伝子の発現によりMab 又はその断片を産生することができる。Verhoyen等,BioAssay s 8:74(1988);Gillies等,Biotechnol.7:7 99−804(1989):Nakatani等,Biotechnol.7: 805−10(1989)を参照。前記抗体が使用されるアッセイには、エンザ イムリンクドイムノソルベントアッセイ(ELISA)、ラジオイムノアッセイ 、免疫電気泳動等が含まれ得る。反応性が知られているモノクローナル抗体を用 いる免疫組織化学技術も診断では有用である。 本発明のこの態様によれば、ヒトから試料を入手して、(1)腫瘍を有すると 思われる体液又は組織(例えば気管 支洗浄液、鼻咽頭吸引液、咽喉スワブ等から得た肺胞、細気管支又は呼吸性上皮 細胞)を取出して小細胞肺ガンを検出し、また(2)(皮質や骨髄を含む)副腎 以外の組織から生検により採取した転移神経内分泌腫瘍を検出する。Dlkに特 異的なモノクローナル抗体を用いて、前述の細胞で免疫組織化学研究を実施する ことができる。 本発明によれば、これらの抗体の診断への適用の例としては、生物試料と反応 させる抗Dlk抗体を含むキットを用いたDlkタンパク質の検出が挙げられる 。このような反応は、結合を許容する条件下で抗Dlk抗体とDlk抗原とを結 合させることからなる。生物試料での抗体抗原複合体の観察は、陽性結果を示し ている。この種のキットを使用して、個体、動物又は細胞系に由来する特定生物 試料でDlkの発現の程度を検出することができる。 このような免疫診断キットは、抗Dlk抗体と、抗体を滅菌形態で収納するた めの容器とを含んでなり得る。キットは更に、抗Dlk抗体(Fc部分)を認識 し、酵素又は蛍光部分のようなラベルに結合する抗アイソタイプ血清抗体を含み 得る。 好ましい実施態様では、放射性標識した抗Dlk抗体を 提供する。このような抗体、好ましくはモノクローナル抗体を撮像のため動物又 はヒトに投与する。投与した抗体がDlk発現細胞と結合するのに適した時間が 経過した後、γカメラを用いて、生体内での標識抗体の存在を検出する。このよ うな手順で、原発性又は続発性Dlk発現神経内分泌腫瘍の生体内での位置に関 する情報が得られる。 抗Dlkモノクローナル抗体の治療への適用は、抗Dlk免疫毒素を投与する ことからなる。抗Dlkモノクローナル抗体を毒素(例えばPseudomon as外毒素又は通常は従来の抗体−毒素結合により抗体に結合されている他の毒 素)と結合する。Hertler等(J.Clin.Oncol.7(12): 1932(1989))は、抗体−毒素結合の生成方法を記載しており、参考と して本明細書に組み入れる。従って、前述の抗Dlkモノクローナル抗体−毒素 結合体を個体の標的に投与し、神経内分泌腫瘍に存在するDlk発現細胞を選択 的に死滅させる。同様に、容器に抗Dlk免疫毒素を含むキットを提供する。キ ットは、抗Dlk免疫毒素や医薬賦形剤を容器に含んでいてもよい。 以下の実施例を参照して本発明を更に詳しく説明する。 特に定義しない限り、本明細書で使用する全ての技術/科学用語の意味は、通常 当業者に理解されている通りとする。本発明の実施に当たっては、本明細書に記 載するのと同様の方法や材料を使用することができるが、好ましい方法や材料は 前述した通りである。特に明記しない限り、本明細書で使用する又は予測される 技術は当業界では公知の標準的な手法である。材料、方法及び実施例は一例にす ぎず、限定的なものではない。実施例1. dlkポリヌクレオチド及びポリペプチド分子の同定dlkの同定 ガストリン放出ペプチド(GRP)反応性表現型と関連する分子の研究で、( 1)反応性マウスSwiss及び非反応性マウスBalb/cの3T3線維芽細 胞間で特異的に発現されると共に、(2)GRP反応性ヒトSCLC細胞系で発 現される遺伝子を同定した。このアプローチの論拠は、GRP反応性表現型と相 関関係にある遺伝子産物がBalb/cや非反応性SCLC細胞系には存在しな いが、Swiss 3T3線維芽細胞や反応性SCLC細胞系には存在すること であった。 Balb/c 3T3線維芽細胞ではなく、Swiss 3T3線維芽細胞で 発現されるクローンに富むディファレンシャルcDNAライブラリーを構築した 。Timblin等が詳しく説明しているように(Nucleic Acids Res.18:1587(1990))、Balb/c 3T3線維芽細胞と 比較したSwiss 3T3のディファレンシャルライブラリーを構築した。D avis等が記載しているように(BASIC METHODS IN MOL ECULAR BIOLOGY,Elsevier,New York,(19 86))、RNAの単離、電気泳動、ノーザンブロット及びハイブリダイゼーシ ョン技術を実施した。Ausubel等が記載しているように(CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY,John Wiley and Sons,New York 3.5.9.−3.5. 10(1991))ランダムプライミングにより、核酸プローブを32P dCT P(Amersham,Arlington Heights,IL)で標識し た。 発現パターンを示す1.6kb mRNAとハイブリダ イズしたこのディファレンシャルライブラリーから単離した部分長クローン(1 50ヌクレオチド長)は、2つのスクリーニング要件との一貫性を示している。 次いで、この部分長クローンを使用して、λZAPIIベクター(Strata gene(La Jolla,CA))でSwiss 3T3線維芽細胞の市販 オリゴdT−プライムドcDNAライブラリーをスクリーニングして、全長クロ ーンを得た。 Short等が記載しているように(Nuc.Acids Res.16:7 583(1988))製造業者(Stratagene)のプロトコルに従って 陽性λZAPIIクローンのスクリーニング手順及びプラスミドレスキューを実 施した。このスクリーニング手順で、長さが約1.6kb対のインサートを含む 数個のクローンを得た。DNA配列決定 救済したプラスミドを、Tabor等が記載した製造業者のプロトコル(J. Biol.Chem.214:6447(1989))に従い、ジデオキシチェ インターミネーション法によりSequenase(USB,Clevelan d,OH)で配列決定した。ヌクレオチド配列分 析は、分子量41,320ドルトンの385アミノ酸の推定上のタンパク質(D lk)をコードする1155ヌクレオチドの読み取り枠を明示した。この読み取 り枠は、Fickett法及びShepherd法によりコード化として分類さ れている。Fickett等,NucleicAcids Res.10:53 03(1982);Shepherd等,Meth.Enzymol 188: 180(1990)。これらの方法を実行するソフトウエアプログラム(PC/ Geneソフトウエアパッケージ、Intelligenetics Inc. (Mountain View,CA);A.Bairoch,Ph.D th esis,University of Geneva,(1990))により この読み取り枠を同定した。Dlkポリペプチドのin vitro翻訳 Lockhard等が記載するように(Biochem.Biophys.R es.Comm.37:204(1969))、製造業者のプロトコルに従って 、NEN由来のウサギ網状赤血球溶解物系(Boston,MA)を用いてマウ スdlk mRNAからのin vitro翻訳アッセイを実施した。 Swiss 3T3線維芽細胞由来のポリA+RNAを、ニトロセルロースフ ィルター上に固定化した変性全長dlkとハイブリダイズしてdlk mRNA を選択した。(2μgのポリA+Swiss 3T3 RNAを、ニトロセルロ ースに固定化した5μgの変性dlkとハイブリダイズしてdlk mRNAを 選択した。)結合RNAを沸騰させて溶出した。pGEM4Z(Promega )にクローニングした2つの異なる全長dlk cDNAを用いて、マウスdl k mRNAもin vitro調製した。これら3個のmRNAをin vi tro翻訳の鋳型として使用した。 標識したタンパク質を12%ポリアクリルアミドゲル中で分析し、次いでフル オログラフィーにかけた。Dlkポリペプチドの予想分子量と一致して、3個全 ての試料に約42kDaのタンパク質バンドが存在していた。マウスとヒトとの比較 マウスとヒトのdlkポリヌクレオチド配列のアミノ酸配列は86.2%が同 一で、90.1%の類似性がある。前記ポリヌクレオチド配列は、(無脊椎動物 神経原性タンパク質で確認される反復領域との相同性が高い)6EGF 様反復領域、細胞膜内トランスメンブランドメイン及びシグナルペプチドドメイ ンを含む多数の潜在的な生物活性部位を保有している。 dlkの構造特性をPC/Geneプログラム(Intelligeneti cs Inc.(Mountain View,CA),A.Bairoch, Ph.D thesis,University of Geneva(199 0))で分析した。Rao及びArgos法(Biochim.Biophy. Acta 869:197(1986))を実行するRAOARGOSプログラ ムを用いて、トランスメンブランドメインを同定した。Von Heijne法 (Nucleic Acids Res14:4683(1986))に従って 、シグナルペプチドをPSIGNALプログラムで分析した。実施例2. マウスでのpPG2及びdlk遺伝子発現と、ヒトでのdlk遺伝子 発現との比較 ヒト、マウス及びハムスター由来の正常組織では、本発明に従って、副腎及び 胎盤組織でのみdlk発現が検出された。同様に、正常ヒト組織では、pG2発 現が副腎に限定されることが知られている。 dlk mRNAをノーザン分析によりヒト及びラットクロム親和性細胞腫( PC12)細胞系で検出した。pG2はHelman等により褐色細胞腫細胞系 で同定されている(PNAS USA 84:2336(1987))。 本発明では、dlkを神経芽腫(SK−N−SH)細胞で検出した。神経芽腫 細胞系でのpG2発現は分化した細胞では検出されたが、未分化神経芽腫細胞系 には存在しなかった。Cooper等,Cell Growth and Di ff.1:149(1989)。 更には、本発明で同定したdlkを発現する他の細胞には、特定のSCLC細 胞系が含まれる。厳密度の高い条件下でヒトdlkプローブを用いて、マウスS wiss 3T3線維芽細胞がdlkを発現することも知見された。厳密度の高 い条件下でヒトdlkプローブを用いて、Balb/c 3T3線維芽細胞がd lkを発現することが知見された。Balb/c 3T3線維芽細胞RNAは、 このような条件下ではdlk発現に対して陰性であった。 マウスdlkとヒトpG2との関係を探求するため、マウスdlkをハイブリ ダイゼーションプローブとして用いて、λgt10ヒト副腎ライブラリー(Cl ontech, Palo Alto,CA)からcDNAクローンを単離した。厳密度の低い条 件下でも、pG2について報告されているのと同様の構造特性を有するタンパク 質をコードするクローンは単離されなかった。陽性λクローン由来のcDNAイ ンサートをpGEM4Z(Promega,Madison WI)内にサブク ローニングし、実施例1の方法に従って配列決定した。数個の全長クローンのポ リヌクレオチド配列データは、これらのcDNAがマウスdlkの配列と82. 1%同一であり、マウスdlkタンパク質のヒト相同体をコードすることを示し ていた(図1)。 Dlkの構造特性は、pG2タンパク質で予想される構造特性とは非常に異な る(Helman等,上掲(1987))。前者のタンパク質は、286個のア ミノ酸配列(約30kDa)からなり、EGF様反復領域もシグナルペプチドも トランスメンブランドメインも含まない。dlkとpG2のヌクレオチド配列が 81.2%同一であるという知見が図1に示すdlkポリヌクレオチド分子のよ うに正確に同定されているにもかかわらず前述の結果が得られた。実施例3. 他の遺伝子やタンパク質とのdlk/Dlk相 同性 dlk核酸配列は、表皮細胞又は神経細胞への分化のために外胚葉細胞により 取られる決定に関与するDrosophilaのEGF様神経原性遺伝子との相 同性が高い。Dlkと最も高い相同性を有することが知見されている遺伝子には 、D.melanogasterのDelta,Notch及びSerrate 、C.elegansのlin−12及びglpl、並びにウニのuEGF1が 含まれる。相同性の程度は個々のタンパク質とDlkとの間で異なるが、最大相 同性領域は、33%までのアミノ酸同一性を示し、保存性(conservative)アミ ノ酸置換を考慮すれば、約75%に達した。 図4は、マウス又はヒトdlk EGF様反復配列と、数個のタンパク質のE GF配列反復領域のコンセンサス配列とのアラインメント(alignment)を示す 。EGF様反復領域のアラインメントを、Higgins等が記載する(Gen e 73:237(1988))CLUSTALプログラムを用いて実施した。 PROSITEプログラムで潜在的な生物学的重要性を示す部位を分析した。ホ メオチック(homeotic)遺伝子の間で高度に保存されている残 基はdlkでも保存されている。この知見により、dlkがEGF様ホメオチッ ク遺伝子ファミリーの一構成員であることが確定された。EGF様反復領域のア ミノ酸配列や構造、及びdlkの全構造は、以前は哺乳動物の無脊椎動物ホメオ チック遺伝子に対応するものと考えられていた他の脊椎動物非ホメオチックEG F様タンパク質(例えばEGF前駆体、TGFα、ラミニンのα、β1、β2鎖 、凝集因子又は補体タンパク質)よりも、無脊椎動物ホメオチック遺伝子に関係 する。 酵母、Drosophilia、Xenopus、マウス、ラット、ウサギ、 ニワトリ、イヌ、ウシ、サル及びヒトを含むトリからヒトに至る種でdlk遺伝 子が検出された。しかしながら、dlk遺伝子は、無脊椎動物タンパク質と構造 的な相同性があるにもかかわらず、無脊椎動物や下級脊椎動物には存在しない。 PC/Geneに含まれるNeedleman等の記載するPCOMPARE プログラム(Mol.Biol.48:443(1970))を相同性分析のた めに使用した。この方法では、2種のタンパク質間の最適アラインメントスコア を、100ランダムアラインメントの統計分布と比 較した。特に比較したタンパク質の間で機能的関係も構造的関係も認められない ときに、平均ランダムアラインメント分布からの標準偏差が+5以上のアライン メントスコアを有意とみなした。代表的なアラインメントスコアを決定した:D elta,20.2;Serratc,19.7;TAN−1,16.2;No tch,14.6;Xotch,13.6;Drosophila Lamin in β2,6.3;マウスLaminin β2,4.1;ヒト凝集因子XII ,2.8;及びヒトEGF前駆体,0.6。実施例4. dlk発現:ノーザンブロットmRNA分析 ノーザン分析により、SCLC系NCI−H510,NCI H69及びNC I−N592、ヒト神経芽腫系SK−N−SH並びにラット褐色細胞腫PC−1 2細胞系でdlkの発現を検出した。20μgの全RNA又は2μgのポリA+ を1%アガロースゲル中で分離し、次いでニトロセルロースフィルターにブロッ トした(実施例1に記載)。 dlkに相当する1.6kbバンドは、SCLC細胞系NCI−N592、N CI−H69及びNCI−H510に由来するRNA試料や、Swiss 3T 3線維芽細胞でのみ観察された。マウスSwiss 3T3線維芽細胞 RNAは更に、ヒトdlkをプローブとして用いて厳密度の高い条件下でハイブ リダイズしたときでも高度のdlk発現を示した。マウスdlkをプローブとし て用いて同様の結果が得られた。このような条件下で、Balb/c3T3線維 芽細胞RNAはdlkの発現に対して陰性であった。Ewingの肉腫細胞系S K−ES−1、A4573及びTC106はdlkを発現しなかった。 マウス、ハムスター及びヒトに由来する正常組織では、dlk発現は副腎での み検出された。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI G01N 33/574 8310−2J G01N 33/574 Z // C07K 16/28 C07K 16/28 C12P 21/02 9452−4B C12P 21/02 C

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.本質的に図1Bに示すアミノ酸配列からなる単離Dlkポリペプチド。 2.請求項1に記載のヒトDlkポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチ ド分子。 3.本質的に図2に示すポリヌクレオチド配列からなる単離ポリヌクレオチド分 子。 4.前記Dlkポリペプチドが図1Aに示すアミノ酸配列を含んでいる、マウス Dlkポリペプチドをコードする単離ポリヌクレオチド分子。 5.(a)腫瘍形成性であると思われる試料を、dlkポリヌクレオチド分子と 前記試料とのハイブリダイゼーションを許容する条件下でdlkポリヌクレオチ ド分子と接触させ、 (b)前記ポリヌクレオチド分子と前記試料とのハイブリダイゼーションの存在 を検出する 段階を包含するdlkを発現する腫瘍の検出方法。 6.前記dlkポリヌクレオチド分子が、請求項3に記載の単離ポリヌクレオチ ド分子である請求項5に記載の方法。 7.段階(a)で前記試料が気管支上皮細胞を含んでいる、 小細胞肺癌と同定された腫瘍を検出するための請求項5に記載の方法。
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