JPH0850872A - 試料表面の観察方法、原子間力顕微鏡、微細加工方法および微細加工装置 - Google Patents

試料表面の観察方法、原子間力顕微鏡、微細加工方法および微細加工装置

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JPH0850872A
JPH0850872A JP18574594A JP18574594A JPH0850872A JP H0850872 A JPH0850872 A JP H0850872A JP 18574594 A JP18574594 A JP 18574594A JP 18574594 A JP18574594 A JP 18574594A JP H0850872 A JPH0850872 A JP H0850872A
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JP
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probe
sample
thin film
conductive material
voltage
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JP18574594A
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English (en)
Inventor
Kyoji Yano
亨治 矢野
Masabumi Kiyougaku
正文 教學
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Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 試料表面とプローブ先端との間に有効に電位
差を生じさせた状態で試料の形状と電気的特性を同時に
測定可能とする。 【構成】 カンチレバー2の自由端部にはプローブ1が
設けられる。プローブ1は、先端が尖鋭なベースプロー
ブ21の表面に形成されたW薄膜22と、W薄膜22を
覆って形成されたポリイミドLB膜23とで構成され
る。プローブ1を試料(不図示)の表面に接触させる
と、両者間には原子間力が働き、カンチレバー2がたわ
む。このたわみから、原子間力顕微鏡の原理を利用して
試料の表面形状のを測定する。一方、プローブ1のW薄
膜22と試料との間に電圧を印加し、両者間に流れる電
流を測定することにより、試料の表面の電気的情報を測
定する。W薄膜22と試料との間にはポリイミドLB2
3膜が存在しているので、プローブ1と試料とを接触さ
せても、両者間に電位差が集中した状態で試料の表面の
電気的情報が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、試料表面とプローブと
の間に有効な電位差を生じさせて、試料表面の形状に関
する情報と電気的情報とを同時に測定する、試料表面観
察方法および原子間力顕微鏡に関する。さらに本発明
は、試料表面に高いエネルギーを持った電子を注入する
ことにより試料表面に微細な加工を行なう微細加工方法
および微細加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年において、試料表面の原子構造を直
接観察できる走査型トンネル顕微鏡(以下、「STM」
という)が開発され(G.Binnigら、Physical Review Le
tters誌、第49巻57頁(1982年)参照)、単結晶、非結
晶を問わず実空間像を著しく高い分解能(ナノメートル
以下の分解能)で観察できるようになった。STMは、
金属のプローブと導電性物質との間に電圧を印加して両
者を1nm程度の距離まで近付けると、両者間にトンネ
ル電流が流れることを利用している。この電流は両者の
距離変化に非常に敏感で指数関数的に変化するので、ト
ンネル電流を一定に保つようにプローブを試料の表面上
で走査させると、実空間の表面構造を原子オーダーの分
解能で観察することができる。
【0003】しかし、STMによる観察は試料が導電性
のものに限られ、絶縁性の試料を観察することは困難で
ある。そこで、二つの物質間に働く力を検出して、試料
表面を観察する原子間力顕微鏡が開発された(G.Binnig
ら、Physical Review Letters 誌、第56巻 930頁(1986
年)参照)。原子間力顕微鏡は、プローブが一体的に設
けられたカンチレバーと、このプローブの先端を試料に
近付けた際にプローブの先端と試料表面との間に発生す
る原子間力によってもたらされるカンチレバーのたわみ
を測定する手段とを有する。このプローブは、カンチレ
バーの自由端にカンチレバーとは別体で設けてもよい
し、カンチレバー自体の自由端をプローブとして利用し
てもよい。
【0004】一般に物質表面間には、比較的遠距離にお
いては微弱な引力が働き、近距離では斥力が働き、その
力に比例してカンチレバーがたわむ。したがって、カン
チレバーのたわみ量を一定にするようにフィードバック
をかけながら、カンチレバーと試料とを走査させること
で、試料表面の微小な凹凸形状を観察できる。カンチレ
バーのたわみを検出する方法としては、STM技術を応
用する方法、試料とカンチレバーとの間の静電容量を検
出する方法、光の干渉を用いる方法、カンチレバーに光
を入射し、その反射角の変化からプローブのたわみを検
出する方法(光てこ方式)等が挙げられる。その中で
も、操作性や検出感度等の観点から光てこ方式による方
法が一般的である。
【0005】また、導電性のプローブを用いて原子間力
顕微鏡を構成し、原子間力顕微鏡の動作を行なうと同時
にプローブに流れる電流を検出することにより、原子、
分子オーダーで試料表面の凹凸情報と電気的特性の情報
とを同時に得る原子間力顕微鏡が、特開平3−2779
03号公報に開示されている。これにより、試料の形状
と試料の電気的特性とを同時に測定できる。
【0006】一方、原子間力顕微鏡を応用した微細加工
装置も知られている。この種の微細加工装置では、試料
(加工材料)として、導電性を有し、電子の注入により
表面の形状が変化したり、化学反応が発生したり、導電
率等の物性が変化するものを用い、プローブの先端から
上述したような試料に電子を注入することで、試料の表
面に微細な加工が施される。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、電気的
特性を同時に得ることのできる従来の原子間力顕微鏡で
は、上述したように導電性のプローブを用いているの
で、試料とプローブとの間は電気的に接触することにな
る。そのため、試料に接触しているプローブと試料表面
との間に大きな電位差を生じさせることが難しい。
【0008】このような状態では、例えば、試料の状態
密度を測定しようとしたときにプローブの先端と試料表
面との間に電位差が生じないので、試料表面のフェルミ
エネルギーよりも十分に高い空き準位に電子を注入する
ことができず、正確な測定が難しいという問題点があっ
た。
【0009】一方、プローブを用いて試料表面に局所的
に電子を注入して微細加工を行なう場合も、電子がプロ
ーブから試料に到達したときに持つエネルギーがそれほ
ど大きくないので、局所的な加工が難しいという問題点
があった。
【0010】そこで本発明の目的は、試料表面とプロー
ブ先端との間に有効に電位差を生じさせた状態で試料の
形状と電気的特性を同時に測定可能な試料表面観察方法
および原子間力顕微鏡を提供することにある。また、本
発明のもう一つの目的は、試料表面に高いエネルギーを
持った電子を注入して試料を局所的に加工可能な微細加
工方法および微細加工装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
本発明の試料表面の観察方法は、弾性体に支持され少な
くとも先端部が導電性材料で構成されたプローブを試料
の表面に近接配置し、前記プローブと前記試料とを相対
的に走査しながら前記プローブと前記試料との間に電圧
を印加することにより、前記試料の表面と前記プローブ
の先端との間に生じる物理的現象を利用して前記試料の
表面を観察する、試料表面観察方法において、前記プロ
ーブとして、少なくとも先端部の前記導電性材料上に絶
縁性薄膜が形成されたプローブを用い、前記絶縁性薄膜
が前記試料の表面に接触するように前記プローブを前記
試料の表面に接触させ、この状態で前記プローブと前記
試料との間に電圧を印加し、両者間に流れる電流を測定
することにより、前記試料の電気的情報を測定すること
を特徴とする。
【0012】また、前記試料の表面形状情報を、前記電
気的情報の測定が行なわれた場所で、前記電気的情報の
測定と併せて測定してもよく、この場合、前記電気的情
報の測定と前記表面形状情報の測定とを同時に行なって
もよい。
【0013】さらに、前記電気的情報を、前記試料と前
記プローブとの間に流れる電流値に関するデータを演算
処理して測定してもよく、この場合には、前記演算処理
は、前記電流値の、前記試料と前記プローブとの間に印
加された電圧に対する微分値を求める処理であってもよ
い。
【0014】また、前記導電性材料は金属または貴金属
であってもよいし、前記絶縁性薄膜がLB法により形成
されたものや、前記絶縁性薄膜がポリマーからなるもの
であってもよい。
【0015】本発明の原子間力顕微鏡は、弾性体に支持
されて試料の表面に近接配置され、少なくとも先端部が
導電性材料で構成され、かつ、少なくとも先端部の前記
導電性材料上に絶縁性薄膜が形成されたプローブと、前
記プローブと前記試料とを相対的に走査する走査手段
と、前記試料と前記プローブとの間に電圧を印加する電
圧印加手段と、前記電圧印加手段により電圧を印加する
ことで前記試料と前記プローブとの間に流れる電流を検
出する電流検出手段と、前記プローブと前記試料との間
に働く原子間力による前記弾性体のたわみから前記試料
に対する前記プローブの相対位置を検出するプローブ位
置検出手段とを有することを特徴とする。
【0016】また、前記電流検知手段により得られた電
流値に関するデータを演算処理する演算処理手段を有す
るものであってもよく、この場合には、前記演算処理
は、前記電流検出手段により検出された電流値の、前記
電圧印加手段により印加された電圧値に対する微分値を
求める演算処理であってもよい。
【0017】さらに、前記導電性材料は金属または貴金
属であってもよいし、前記絶縁性薄膜がLB法により形
成されたものや、前記絶縁性薄膜がポリマーからなるも
のであってもよい。
【0018】本発明の微細加工方法は、弾性体に支持さ
れ少なくとも先端部が導電性材料で構成されたプローブ
を加工材料の表面に近接配置し、前記プローブと前記加
工材料とを相対的に走査しながら前記プローブと前記試
料との間に電圧を印加して前記加工材料の表面を加工す
る微細加工方法において、前記プローブとして、少なく
とも先端部の前記導電性材料上に絶縁性薄膜が形成され
たプローブを用い、前記絶縁性薄膜が前記加工材料の表
面に接触するように前記プローブを前記加工材料の表面
に接触させ、この状態で前記プローブと前記加工材料と
の間に電圧を印加することことを特徴とする。
【0019】また、前記導電性材料は金属または貴金属
であってもよいし、前記絶縁性薄膜がLB法により形成
されたものや、前記絶縁性薄膜がポリマーからなるもの
であってもよい。
【0020】本発明の微細加工装置は、弾性体に支持さ
れて導電性を有する加工材料の表面に近接配置され、少
なくとも先端部が導電性材料で構成され、かつ、少なく
とも先端部の前記導電性材料上に絶縁性薄膜が形成され
たプローブと、前記プローブと前記加工材料とを相対的
に走査する走査手段と、前記加工材料と前記プローブと
の間に電圧を印加する電圧印加手段と、前記プローブと
前記加工材料との間に働く原子間力による前記弾性体の
たわみから前記加工材料に対する前記プローブの相対位
置を検出するプローブ位置検出手段とを有することを特
徴とする。
【0021】また、前記導電性材料は金属または貴金属
であってもよいし、前記絶縁性薄膜がLB法により形成
されたものや、前記絶縁性薄膜がポリマーからなるもの
であってもよい。
【0022】
【作用】上記のとおり構成された本発明の試料表面の観
察方法では、プローブの先端部の導電性材料上には絶縁
性薄膜が形成されているので、絶縁性薄膜が試料の表面
に接触するようにプローブを試料の表面に接触させて
も、試料の表面とプローブの導電性材料とは電気的に接
触しない。この状態で、プローブと試料とを相対的に走
査しながらプローブと試料との間に電圧を印加し、両者
間に流れる電流を測定することにより、試料表面とプロ
ーブの導電性材料との間に電位差が集中した状態で、試
料の電気的情報が得られる。
【0023】また、試料とプローブとを接触させること
により、両者間には原子間力が働いている。そこで、こ
の原子間力が一定となるようにプローブの位置を制御し
たり、前記原子間力によるプローブの位置変化を検出す
ることにより、試料の表面形状情報が測定される。この
試料の表面形状情報を、電気的情報の測定が行なわれた
場所で、電気的情報の測定と併せて測定することで、試
料の電気的情報が試料の表面形状と対応して測定され
る。特に、電気的情報の測定と表面形状情報の測定とを
同時に行なうことで、電気的情報と表面形状情報とのず
れがなくなり、より正しい測定が行なえる。
【0024】さらに、電気的情報を、試料とプローブと
の間に流れる電流値に関するデータを演算処理して測定
することで、得られた電気的情報から試料表面の物理的
情報が得られる。特に、演算処理が、電流値の、試料と
プローブとの間に印加された電圧に対する微分値を求め
る処理とすることで、試料表面の状態密度に関する情報
が得られる。
【0025】本発明の原子間力顕微鏡では、プローブと
試料とを接触させることにより両者間には原子間力が働
き、プローブを支持する弾性体がたわむ。このたわみか
ら、プローブ位置検出手段により、プローブと試料との
相対位置を検出しつつ、走査手段によりプローブと試料
とを相対的に走査することで、試料の表面形状が検出さ
れる。一方、試料とプローブとの間には電圧印加手段に
より電圧が印加され、これにより両者間に流れる電流が
電流検知手段により検知されるので、試料表面の電気的
情報を得ることもできる。このとき、プローブの先端部
の導電性材料上には絶縁性薄膜が形成されているので、
絶縁性薄膜が試料の表面に接触するようにプローブを試
料の表面に接触させても、試料の表面とプローブの導電
性材料とは電気的に接触しない。従って、試料表面とプ
ローブの導電性材料との間に電位差が集中した状態で、
試料の電気的情報が得られる。
【0026】本発明の微細加工方法では、プローブの先
端部の導電性材料上には絶縁性薄膜が形成されているの
で、絶縁性薄膜が加工材料の表面に接触するようにプロ
ーブを加工材料の表面に接触させても、加工材料の表面
とプローブの導電性材料とは電気的に接触しない。この
状態で、プローブと加工材料とを相対的に走査しながら
プローブと試料との間に電圧を印加することにより、加
工材料表面とプローブの導電性材料との間に電位差が集
中した状態で加工材料の表面が加工される。すなわち、
加工材料の表面とプローブの導電性材料との間に電圧が
有効に印加され、大きなエネルギーを有する電子が加工
材料に注入されるので、加工材料の局所的加工が行ない
易くなる。
【0027】本発明の微細加工装置では、プローブと加
工材料とを接触させることにより両者間には原子間力が
働き、プローブを支持する弾性体がたわむ。このたわみ
から、プローブ位置検出手段により、プローブと加工材
料との相対位置を検出しつつ、走査手段によりプローブ
と加工材料とを相対的に走査し、加工材料の表面形状に
関する情報を得る。そして、得られた情報に基づき加工
材料の表面の加工すべき位置を決定し、プローブの先端
がその位置に接触するようにプローブと加工材料とを相
対的に走査する。この状態で、加工材料とプローブとの
間には電圧印加手段により電圧が印加される。このと
き、加工材料の表面とプローブの導電性材料との間には
絶縁性薄膜が存在しているので、印加された電圧は加工
材料の表面とプローブの導電性材料との間に有効に印加
され、大きなエネルギーを有する電子が加工材料に注入
される。加工材料は導電性を有するもので、電子の注入
により表面形状が変化したり、化学反応が発生したり、
導電率などの物性が変化するものなので、加工材料に大
きなエネルギーを有する電子が注入されることにより、
加工材料の局所的加工が行ない易くなる。
【0028】また、上述した各発明において、導電性材
料として貴金属を用いることで、導電性材料の酸化に起
因する不具合が抑えられ、より長期間にわたって安定し
た測定または加工が行なえる。一方、絶縁性薄膜として
ポリマーを用いることにより絶縁性薄膜の機械的強度が
強くなり、走査に対する耐性に優れたものとなる。ま
た、絶縁性薄膜をLB法により形成することで、絶縁性
薄膜の膜厚が精密に制御できるので、試料または加工材
料の表面とプローブの導電性材料との間の距離が正確に
わかり、プローブの位置制御や得られた情報からの解析
が容易かつ正確になる。
【0029】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面を参照し
て説明する。
【0030】まず、本発明の原子間力顕微鏡の実施例に
ついて説明する。
【0031】図1は、本発明の原子間力顕微鏡の第1実
施例の概略構成図である。
【0032】図1に示すように、試料ステージ14に
は、金属などの導電性物質からなる試料3が搭載されて
いる。試料3には、マイクロコンピュータ15からの指
令により駆動される電源4が接続されており、この電源
4により試料3に電圧が印加される。
【0033】試料ステージ14は、試料ステージ駆動機
構13に搭載されている。試料ステージ駆動機構13
は、マイクロコンピュータ15からの指令に基づくX−
Y方向位置制御回路12からの制御信号によりX−Y方
向に駆動されるとともに、マイクロコンピュータ15か
らの指令に基づくZ方向位置制御回路11からの制御信
号によりZ方向に駆動される。これにより、試料3は試
料ステージ14とともにX−Y方向およびZ方向に移動
される構成となっている。
【0034】試料3の表面には、弾性体としてのカンチ
レバー2の自由端部に支持されたプローブ1が対向配置
されている。カンチレバー2としては従来の原子間力顕
微鏡に用いられているものと同様のものが用いられ、ば
ね定数が約0.1N/mの板ばね状の部材である。
【0035】ここで、プローブについて図2を参照して
説明する。図2は、図1に示した原子間力顕微鏡のプロ
ーブ近傍の拡大断面図である。プローブ1は、カンチレ
バー2の自由端部に固着された先端が尖鋭なベースプロ
ーブ21と、ベースプローブ21の表面に形成された導
電性材料としてのW(タングステン)薄膜22と、W薄
膜22の表面に形成された絶縁性薄膜としてのポリイミ
ドLB膜23とで構成される。ベースプローブ21の作
製方法としては、従来のプローブの作製方法と同様の方
法でよく、例えば、米国特許第5221415号明細書
に記載されている方法でよい。W膜22は、スパッタ法
により成膜形成されたもので、外部の電源(不図示)に
接続され試料に必要な電圧を印加できるとともに、電流
アンプ5(図1参照)に接続され、試料3に流れる電流
を測定可能となっている。また、W薄膜22の厚さは十
分な導電性が得られる厚さでよく、100nmの厚さで
十分である。ポリイミドLB膜23は、ポリイミド膜を
LB法により形成したもので、その厚さは、約1nm程
度である。
【0036】一方、プローブ1を挟んで試料3の反対側
には、レーザ用電源7により駆動され、カンチレバー2
の試料3とは反対の面にレーザ光を照射するためのレー
ザ6が配置されている。また、カンチレバー2で反射さ
れたレーザ光の進行方向には、2分割センサー8が配置
される。2分割センサー8は、レーザ光が入射される検
出面を2つの領域に分割し、それぞれの領域に入射され
たレーザ光の強度に応じた電気量をたわみ量検出装置9
に出力するものであり、カンチレバー2がたわんでいな
いときには、2つの領域に入射されるレーザ光の強度が
等しくなるように配置されている。たわみ量検出装置9
は、2分割センサー8からの2つの出力値を比較するこ
とによりカンチレバー2のたわみ量を検出するもので、
この方式は、通常、光てこ方式と呼ばれている。たわみ
量検出装置9で得られたたわみ量は、その値が一定にな
るように、サーボ回路10を介してZ方向位置制御回路
11にフィードバックされる。
【0037】また、たわみ量検出装置9で得られたたわ
み量および電流アンプ5で得られた電流値は、それぞれ
マイクロコンピュータ15に出力され、マイクロコンピ
ュータ15で画像化されてディスプレイ16に表示され
る構成となっている。
【0038】次に、本実施例の原子間力顕微鏡の動作に
ついて説明する。
【0039】まず、マイクロコンピュータ15の指令に
基づきX−Y方向位置制御回路12から制御信号を発生
させ、試料ステージ駆動機構13をX−Y方向に駆動し
て、試料3の観察しようとする位置をプローブ1の先端
に対向する位置へ移動させる。次に、マイクロコンピュ
ータ15の指令に基づきZ方向位置制御回路11から制
御信号を発生させ、試料ステージ駆動機構13をプロー
ブ1に向けて駆動して、試料3をプローブ1に接触させ
る。試料3をプローブ1に接触させると、カンチレバー
2がたわみ、たわみ量検出装置9の出力が変化するの
で、試料3とプローブ1との接触は、たわみ量検出装置
9の出力変化で検出できる。
【0040】試料3とプローブ1との接触が検出される
と、マイクロコンピュータ15は、そのときのたわみ量
検出装置9の出力をカンチレバー2のたわみ量として規
定し、その信号をサーボ回路10に送る。サーボ回路1
0は、たわみ量検出装置9の出力が、この規定値になる
ようにZ方向位置制御回路11に信号を送り、Z方向位
置制御回路11は、サーボ回路10から送られた信号に
基づき、試料ステージ駆動機構13をZ方向に駆動する
制御信号を発生する。このとき、Z方向位置制御回路1
1からの制御信号は、マイクロコンピュータ15に送ら
れる。この状態で、マイクロコンピュータ15はX−Y
方向位置制御回路12に指令を出し、試料ステージ駆動
機構13をX−Y方向に駆動させる。
【0041】上述した一連の動作により、カンチレバー
2のたわみ量が一定となった状態で、プローブ1と試料
3とがX−Y方向に相対的に二次元走査される。このと
きマイクロコンピュータ15は、X−Y方向の制御信号
およびZ方向の制御信号から試料3表面の形状を算出
し、ディスプレイ16に表示する。以下、この像を「A
FM像」という。ここまでは、通常の原子間力顕微鏡の
動作である。
【0042】一方、プローブ1と試料3との二次元走査
と同時に、試料3には電源4により電圧を印加する。試
料3に電圧が印加されることによりプローブ1には電流
が流れ、この電流は電流アンプ5で検出される。電流ア
ンプ5で検出された電流値はマイクロコンピュータ15
に送られ、マイクロコンピュータ15で画像化される。
これによりディスプレイ16には、前述のAFM像とあ
わせて、試料3表面の電流の流れ方を示す画像が同時に
表示される。以下、試料3表面の電流の流れ方を示す画
像を「電流像」という。
【0043】以上説明したように、本実施例の原子間力
顕微鏡では、AFM像と同時に、電流像を取得すること
ができる。この際、プローブ1と試料3とは互いに接触
しているが、プローブ1と試料3との接触は、ポリイミ
ドLB膜23と試料3表面との接触となる。すなわち、
プローブ1のW薄膜22と試料3との間には、絶縁性の
ポリイミドLB膜23が介在していることになり、プロ
ーブ1と試料3とは電気的にショートしていない。この
状態で試料3に電圧を印加すると、プローブ1のW薄膜
22と試料3表面との間に電位差を生じさせることがで
きる。したがって、本原子間力顕微鏡で得られる電流像
は、プローブ1と試料3表面との間に電位差が発生した
状態で得られた電流像であり、試料3表面の正確な電気
的情報を得ることができる。
【0044】本実施例では、カンチレバー2のたわみ量
が一定となるようにプローブ1と試料3とを走査し、試
料3の表面形状を算出した例を示したが、プローブ1と
試料3とが接触した後、試料3のZ方向の位置を固定し
てX−Y方向に走査し、そのときのたわみ量検出装置9
からの出力から、試料3の表面形状を算出してもよい。
【0045】図3は、本発明の原子間力顕微鏡の第2実
施例の概略構成図である。
【0046】本実施例の原子間力顕微鏡は、第1実施例
で示した原子間力顕微鏡に、電流アンプ105および電
源104の出力から電流の電圧に対する微分値を算出
し、マイクロコンピュータ115に出力する演算回路1
17を付加したものである。プローブ101の構成は図
2に示した構成と同様であり、また、その他の構成につ
いても第1実施例と同様である。さらに、プローブ10
1と試料103との接触動作や、Z方向の位置制御につ
いても第1実施例と同様である。
【0047】本実施例では、たわみ量検出装置109か
らの信号によりプローブ101と試料103との接触が
検知され、さらにこの信号が第1実施例で述べた規定値
に達したら、マイクロコンピュータ115は電源104
に、ランプ波状の電圧を出力するように指令する。本実
施例においても、試料103が導電性を示す限り、試料
103に電圧を印加することで試料103とプローブ1
01との間には電位差が生じ、試料103からプローブ
101へ電流が流れる。この電流は、電流アンプ105
で測定される。
【0048】電流アンプ105で測定された電流および
電源105で発生した電圧は、それぞれ演算回路117
に出力される。演算回路117では、入力された電流お
よび電圧より、電流の電圧に対する微分値が算出され
る。演算回路117で算出された微分値はマイクロコン
ピュータ115に出力され、マイクロコンピュータ11
5で試料の状態密度が求められる。
【0049】ここで、試料103の状態密度を測定する
方法について図4を参照しつつ説明する。試料103に
電圧を加えると、プローブ101のW薄膜(不図示)と
試料103との間には絶縁膜であるポリイミドLB膜
(不図示)が存在しているので、プローブ101側と試
料103側のフェルミレベルには、それらの差に相当す
るエネルギー差が発生し、高いフェルミレベル(プロー
ブ101側)から低いフェルミレベル(試料103側)
へ電子がトンネルする。すなわち試料103からプロー
ブ101へ電流が流れる。試料103に印加した電圧を
V、プローブ101へ流れる電流をI、試料103の状
態密度をρとすると、電流Iの大きさは、プローブ10
1側のフェルミレベル近傍の電子の占拠数を決めている
電子の状態密度ρに強く依存し、電流Iと電圧Vと状態
密度ρとの間には、(1)式の関係が成立する。
【0050】
【数1】 このような関係が成立するのは、プローブ101の導電
性材料として金属(W薄膜)を用いているからである。
(1)式のdI/dVは演算回路117で算出されるの
で、この結果から試料103の状態密度ρを求めること
ができる。
【0051】状態密度を求める方法としては、試料10
3のX−Y方向の移動を止めて数Vにわたるランプ波状
の電圧を印加し、電圧すなわちフェルミレベルからはか
ったエネルギーの関数として状態密度を求める方法があ
る。また、試料103のX−Y走査を一時停止し、ある
電圧Voの前後、数mV〜数十mVのランプ波電圧を印
加し、電圧Voの状態密度を測定した後、次の測定点に
移動し同様な測定を行なうという動作を繰り返して、電
圧Voに対応するエネルギーレベルの状態密度のマッピ
ングをとるという方法もある。
【0052】本実施例では、試料103の状態密度を測
定可能とするために演算回路117を別に設けている
が、演算回路117を別に設けずに、電流の電圧に対す
る微分値を算出する機能をマクロコンピュータ115に
もたせてもよい。また、電流の電圧に対する微分値を算
出しなくても、試料103に電圧Vを印加した状態で走
査を行なうことにより、試料103表面のフェルミエネ
ルギーと、そのフェルミエネルギーからe・Vだけ高い
エネルギーまでの間のエネルギーの状態密度の場所分布
を測定することが可能である。ここで、eは素電荷であ
る。
【0053】次に、本発明の微細加工装置の実施例につ
いて説明する。
【0054】図5は、本発明の微細加工装置の一実施例
の概略構成図である。
【0055】本実施例の微細加工装置は、図1に示した
原子間力顕微鏡において、電流アンプを設ける代りに、
プローブ201のW薄膜(不図示)を接地したものであ
る。また、試料ステージ214には、加工する材料とし
て加工材料600が搭載されている。加工材料600と
しては、シリコン基板602上に、P(リン)をドープ
した水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)層6
01を形成したものが用いられている。本実施例での加
工は、水素化アモルファスシリコン層601に対してプ
ローブ201で電流を流すことにより結晶化させて行な
うものである。
【0056】本実施例において、プローブ201と加工
材料600との接近、接触は上述した原子間力顕微鏡と
同様にして行なわれる。その後、X−Y方向の移動につ
いても上述した原子間力顕微鏡と同様にして行ない、加
工材料600の表面すなわち水素化アモルファスシリコ
ン層601の表面の形状を観察し、加工する位置を決定
する。マイクロコンピュータ215は、加工する位置に
プローブ201の先端が来るようにX−Y方向位置制御
回路212に指令を出し、X−Y方向位置制御回路21
2からの制御信号に基づいて試料ステージ機構213が
動作することによって、プローブ201の先端は加工す
る位置に設定される。このとき、加工材料600の表面
と接触しているのは、プローブ201のポリイミドLB
膜(不図示)の部分である。
【0057】この状態で、マイクロコンピュータ215
の指令に基づき、電源204により加工材料600とプ
ローブ201のW薄膜との間に電圧が印加される。この
とき、W薄膜が加工材料600に対して負極になるよう
に電圧を印加すると、W薄膜から加工材料600に電子
が注入される。加工材料600に注入された電子は、印
加された電圧に相当するエネルギーをもっているので、
十分なエネルギーを加工材料600の表面に与えること
が可能となり、従来のプローブを用いた場合に比較して
低い電圧で結晶化を実現することができる。
【0058】本実施例では、加工材料600として、シ
リコン基板602上に水素化アモルファスシリコン層6
01を形成したものを用いたが、それに限らず、導電性
を有し、電子の注入により表面の形状が変化したり、化
学反応が発生したり、導電率などの物性が変化するもの
であれば、どのようなものを用いてもよい。
【0059】また、上述した各実施例では、プローブの
構成要素である導電性材料および絶縁性薄膜として、そ
れぞれW薄膜およびポリイミドLB膜を用いた例を示し
たが、導電性材料および絶縁性薄膜の材料は、これらの
材料に限られるものではない。ただし、導電性材料とし
て金属を用いれば、得られた電流値に基づいて試料の電
子状態に関する情報を得るときの解析を容易とすること
ができる。また、導電性材料としては、金属の中でもP
t等の貴金属を用いることが望ましい。導電性材料が酸
化するとプローブ側の電子状態が変化してしまい、解析
に影響を与えたり、絶縁性の部分の厚みが厚くなりトン
ネル確率が減少して必要な電流が得られなくなってしま
う現象が発生するが、貴金属を用いることにより、この
ような現象が抑えられ、より長期間にわたって安定した
測定または加工が行なえるためである。一方、絶縁性薄
膜としては、機械的強度が強く、走査に対する耐性に優
れるという点で、ポリマーを用いることが好ましい。ま
た、絶縁性薄膜は、LB法により形成することで、膜厚
が精密に制御されたプローブを形成することが可能とな
るので、試料表面とプローブの導電性材料との間の距離
が正確にわかり、得られた情報からの解析が容易かつ正
確になる。
【0060】また、プローブの構成として、ベースプロ
ーブの表面に導電性材料を形成し、さらにその表面を絶
縁性薄膜で覆った構成のものを示したが、図6に示すよ
うに、導電性材料でベースプローブを構成し、その表面
を絶縁性薄膜で覆ってもよい。この場合においても、導
電性材料全体を絶縁性薄膜で覆う必要はなく、図7に示
すように、少なくとも導電性材料の先端部に絶縁性薄膜
が形成されていればよい。さらに、上述した各実施例で
はカンチレバーとベースプローブとを別体とした構成を
示したが、両者を一体に構成してもよい。
【0061】
【発明の効果】本発明は以上説明したとおり構成されて
いるので、以下に記載する効果を奏する。
【0062】本発明の試料表面の観察方法は、プローブ
の先端部の導電性材料上には絶縁性薄膜が形成され、絶
縁性薄膜が試料の表面に接触するようにプローブを試料
の表面に接触させるので、この状態でプローブと試料と
の間に電圧を印加し、両者間に流れる電流を測定するこ
とにより、試料表面とプローブの導電性材料との間に電
位差が集中した状態で、試料の電気的情報を得ることが
できる。その結果、試料の電気的情報をより正確に測定
できるようになる。
【0063】また、試料の表面形状情報を、電気的情報
の測定が行なわれた場所で、電気的情報の測定と併せて
測定することで、試料の電気的情報を試料の表面形状と
対応して測定することができる。特に、電気的情報の測
定と表面形状情報の測定とを同時に行なうことで、電気
的情報と表面形状情報とのずれがなくなり、より正しい
測定を行なうことができる。
【0064】さらに、電気的情報を、試料とプローブと
の間に流れる電流値に関するデータを演算処理して測定
することで、得られた電気的情報から試料表面の物理的
情報を得ることができ、特に、演算処理が、電流値の、
試料とプローブとの間に印加された電圧に対する微分値
を求める処理とすることで、試料表面の状態密度に関す
る情報を得ることができる。
【0065】本発明の原子間力顕微鏡は、試料とプロー
ブとの間に電圧を印加する電圧印加手段と、両者間に流
れる電流を検出する電流検出手段とを有するので、試料
とプローブとを接触させたときに生じる原子間力を利用
して試料表面の形状情報を測定するほかに、試料表面の
電気的情報を測定することができる。このとき、プロー
ブの先端部の導電性材料上には絶縁性薄膜が形成されて
いるので、試料の表面とプローブの導電性材料とは電気
的に接触せず、試料表面とプローブの導電性材料との間
に電位差が集中した状態で試料の電気的情報を得ること
ができる。その結果、試料の形状情報と併せて、試料の
電気的情報をより正確に測定できるようになる。
【0066】また、電流検知手段により得られた電流値
に関するデータを演算処理する演算処理手段を有するこ
とで、得られた電気的情報から試料表面の物理的情報を
得ることができ、特に、演算処理が、電流値の、試料と
プローブとの間に印加された電圧に対する微分値を求め
る処理とすることで、試料表面の状態密度に関する情報
を得ることができる。
【0067】本発明の微細加工方法は、プローブの先端
部の導電性材料上には絶縁性薄膜が形成され、絶縁性薄
膜が加工材料の表面に接触するようにプローブを加工材
料の表面に接触させるので、この状態でプローブと加工
材料との間に電圧を印加することにより、加工材料表面
とプローブの導電性材料との間に電位差が集中した状態
で、加工材料を加工することができる。その結果、加工
材料の局所的加工を行ない易くすることができる。
【0068】本発明の微細加工装置は、原子間力顕微鏡
の原理を応用して加工材料を微細加工するものである
が、プローブの先端部の導電性材料上には絶縁性薄膜が
形成されているので、加工材料の表面とプローブの導電
性材料とは電気的に接触せず、加工材料の表面とプロー
ブの導電性材料との間に電圧が有効に印加され、大きな
エネルギーを有する電子を加工材料に注入することがで
きる。その結果、加工材料の局所的加工を行ない易くす
ることができるようになる。
【0069】さらに、上述した各発明において、導電性
材料として貴金属を用いることで、導電性材料の酸化に
起因する不具合抑えられ、より長期間にわたって安定し
た測定または加工を行なうことができる。また、絶縁性
薄膜としてポリマーを用いることにより、走査に対する
耐性が優れたものとなるし、絶縁性薄膜をLB法により
形成することで、絶縁性薄膜の膜厚が精密に制御できる
ので、プローブの位置制御や、得られた情報からの解析
を容易かつ正確におこなうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原子間力顕微鏡の第1実施例の概略構
成図である。
【図2】図1に示した原子間力顕微鏡のプローブ近傍の
拡大断面図である。
【図3】本発明の原子間力顕微鏡の第2実施例の概略構
成図である。
【図4】試料の状態密度の測定方法を説明するための図
である。
【図5】本発明の微細加工装置の一実施例の概略構成図
である。
【図6】本発明の原子間力顕微鏡および微細加工装置に
用いられるプローブの他の構成例の断面図である。
【図7】本発明の原子間力顕微鏡および微細加工装置に
用いられるプローブの、さらに他の構成例の断面図であ
る。
【符号の説明】
1、101、201 プローブ 2 カンチレバー 3、103 試料 4、104、204 電源 5、105 電流アンプ 6 レーザ 7 レーザ用電源 8 2分割センサー 9、109 たわみ量検出装置 10 サーボ回路 11 Z方向制御回路 12、212 X−Y方向制御回路 13、213 試料ステージ駆動機構 14、214 試料ステージ 15、115、215 マイクロコンピュータ 16 ディスプレイ 21 ベースプローブ 22 W薄膜 23 ポリイミドLB膜 117 演算回路 600 加工材料 601 水素化アモルファスシリコン層 602 シリコン基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01J 37/28 Z 37/30 Z 9508−2G H01L 21/66 B 7514−4M

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弾性体に支持され少なくとも先端部が導
    電性材料で構成されたプローブを試料の表面に近接配置
    し、前記プローブと前記試料とを相対的に走査しながら
    前記プローブと前記試料との間に電圧を印加することに
    より、前記試料の表面と前記プローブの先端との間に生
    じる物理的現象を利用して前記試料の表面を観察する、
    試料表面観察方法において、 前記プローブとして、少なくとも先端部の前記導電性材
    料上に絶縁性薄膜が形成されたプローブを用い、 前記絶縁性薄膜が前記試料の表面に接触するように前記
    プローブを前記試料の表面に接触させ、この状態で前記
    プローブと前記試料との間に電圧を印加し、両者間に流
    れる電流を測定することにより、前記試料の電気的情報
    を測定することを特徴とする試料表面の観察方法。
  2. 【請求項2】 前記試料の表面形状情報を、前記電気的
    情報の測定が行なわれた場所で、前記電気的情報の測定
    と併せて測定する請求項1に記載の試料表面の観察方
    法。
  3. 【請求項3】 前記電気的情報の測定と前記表面形状情
    報の測定とを同時に行なう請求項2に記載の試料表面の
    観察方法。
  4. 【請求項4】 前記電気的情報を、前記試料と前記プロ
    ーブとの間に流れる電流値に関するデータを演算処理し
    て測定する請求項1、2または3に記載の試料表面の観
    察方法。
  5. 【請求項5】 前記演算処理は、前記電流値の、前記試
    料と前記プローブとの間に印加された電圧に対する微分
    値を求める処理である請求項4に記載の試料表面の観察
    方法。
  6. 【請求項6】 前記導電性材料は金属である請求項1な
    いし5のいずれか1項に記載の試料表面の観察方法。
  7. 【請求項7】 前記導電性材料は貴金属である請求項1
    ないし5のいずれか1項に記載の試料表面の観察方法。
  8. 【請求項8】 前記絶縁性薄膜はLB法により形成され
    た請求項1ないし7のいずれか1項に記載の試料表面の
    観察方法。
  9. 【請求項9】 前記絶縁性薄膜はポリマーからなる請求
    項1ないし8のいずれか1項にに記載の試料表面の観察
    方法。
  10. 【請求項10】 弾性体に支持されて試料の表面に近接
    配置され、少なくとも先端部が導電性材料で構成され、
    かつ、少なくとも先端部の前記導電性材料上に絶縁性薄
    膜が形成されたプローブと、 前記プローブと前記試料とを相対的に走査する走査手段
    と、 前記試料と前記プローブとの間に電圧を印加する電圧印
    加手段と、 前記電圧印加手段により電圧を印加することで前記試料
    と前記プローブとの間に流れる電流を検出する電流検出
    手段と、 前記プローブと前記試料との間に働く原子間力による前
    記弾性体のたわみから前記試料に対する前記プローブの
    相対位置を検出するプローブ位置検出手段とを有するこ
    とを特徴とする原子間力顕微鏡。
  11. 【請求項11】 前記電流検知手段により得られた電流
    値に関するデータを演算処理する演算処理手段を有する
    請求項10に記載の原子間力顕微鏡。
  12. 【請求項12】 前記演算処理は、前記電流検出手段に
    より検出された電流値の、前記電圧印加手段により印加
    された電圧値に対する微分値を求める演算処理である請
    求項11に記載の原子間力顕微鏡。
  13. 【請求項13】 前記導電性材料は金属である請求項1
    0、11または12に記載の原子間力顕微鏡。
  14. 【請求項14】 前記導電性材料は貴金属である請求項
    10、11または12に記載の原子間力顕微鏡。
  15. 【請求項15】 前記絶縁性薄膜はLB法により形成さ
    れた請求項10ないし14のいずれか1項に記載の原子
    間力顕微鏡。
  16. 【請求項16】 前記絶縁性薄膜はポリマーからなる請
    求項10ないし15のいずれか1項にに記載の原子間力
    顕微鏡。
  17. 【請求項17】 弾性体に支持され少なくとも先端部が
    導電性材料で構成されたプローブを加工材料の表面に近
    接配置し、前記プローブと前記加工材料とを相対的に走
    査しながら前記プローブと前記試料との間に電圧を印加
    して前記加工材料の表面を加工する微細加工方法におい
    て、 前記プローブとして、少なくとも先端部の前記導電性材
    料上に絶縁性薄膜が形成されたプローブを用い、 前記絶縁性薄膜が前記加工材料の表面に接触するように
    前記プローブを前記加工材料の表面に接触させ、この状
    態で前記プローブと前記加工材料との間に電圧を印加す
    ることことを特徴とする微細加工方法。
  18. 【請求項18】 前記導電性材料は金属である請求項1
    7に記載の微細加工方法。
  19. 【請求項19】 前記導電性材料は貴金属である請求項
    17に記載の微細加工方法。
  20. 【請求項20】 前記絶縁性薄膜はLB法により形成さ
    れた請求項17ないし19のいずれか1項に記載の微細
    加工方法。
  21. 【請求項21】 前記絶縁性薄膜はポリマーからなる請
    求項17ないし20のいずれか1項にに記載の微細加工
    方法。
  22. 【請求項22】 弾性体に支持されて導電性を有する加
    工材料の表面に近接配置され、少なくとも先端部が導電
    性材料で構成され、かつ、少なくとも先端部の前記導電
    性材料上に絶縁性薄膜が形成されたプローブと、 前記プローブと前記加工材料とを相対的に走査する走査
    手段と、 前記加工材料と前記プローブとの間に電圧を印加する電
    圧印加手段と、 前記プローブと前記加工材料との間に働く原子間力によ
    る前記弾性体のたわみから前記加工材料に対する前記プ
    ローブの相対位置を検出するプローブ位置検出手段とを
    有することを特徴とする微細加工装置。
  23. 【請求項23】 前記導電性材料は金属である請求項2
    2に記載の微細加工装置。
  24. 【請求項24】 前記導電性材料は貴金属である請求項
    22に記載の微細加工装置。
  25. 【請求項25】 前記絶縁性薄膜はLB法により形成さ
    れた請求項22ないし24のいずれか1項に記載の微細
    加工装置。
  26. 【請求項26】 前記絶縁性薄膜はポリマーからなる請
    求項22ないし25のいずれか1項にに記載の微細加工
    装置。
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