【発明の詳細な説明】
PDGFレセプタに対する抗体を使用した脈管内膜過形成の阻害
技術分野
本発明は、血管損傷後の哺乳動物における再狭窄(restenosis)を含む脈管内
膜過形成(intimal hyperplasia)阻害のための方法、及びこれらの方法におい
て有用な組成物に関する。
発明の背景
血管壁内の平滑筋細胞(SMCs)の増殖は、血管再構築後のアテローム性硬化症
(atherosclerosis)における血管病変の形成において、又は他の血管損傷に対
する応答において重要な事件である。例えば、アテローム性硬化症の治療は、し
ばしば、血管形成術(angioplasty)動脈内膜切除術(endarterectomy)又は整
復アテローム切除(atherectomy)による、又はバイパス移植、アテローム性硬
化症斑がカテーテル法(血管形成術)を通じて狭まれ又は除去され、切除(動脈
内膜切除術)を通じて動脈壁からはがされ又は天然の又は合成の移植片によりバ
イパスされるような外科手順による、閉塞した血管からのクリアリングを含む。
これらの手順は、血管内皮を除去し、下にある脈管内膜層を侵し、そして内側(
midial)SMCsの死をもたらす。この損傷の後に、内側SMCの増殖、そしてその脈
管内膜への転移が続き、これは特徴的には、損傷後最初の数週間〜6ケ月以内に
生じ、そして重層内皮層が再確立されたとき停止する。ヒトにおいては、これら
の病変は、約20%の細胞と80%の細胞外マトリックスから成る。
血管形成術により治療された患者の約30%以上において、動脈内
膜切除術又はバイパス移植、血栓症及び/又は脈管内膜中のSMC増殖は、血管の
再閉塞及び再構築外科手術のその後の失敗を引き起こす。外科手術後のこの血管
閉塞は、再狭窄として知られている。
SMC増殖の同様の過程も、臓器移植において観察され、そして移植アテローム
性硬化症及び臓器不全に寄与することができる。この過程における脈管内膜の肥
厚は移植された臓器だけを含む。
血小板マイトゲン、例えば、血小板誘導成長因子(platelet derived growth
factor(PDGF))は、アテローム性硬化症の顕出において役割を演じると仮定さ
れている(Ross et al.,Cell 46:155-169,1986;Harker,Am.J.Cardiol. 6 0:
20B-28B,1987参照)。斑形成についての1つの提案された機構は、SMC成長
を剌激する成長因子の、内皮露出の部位における、血小板による放出である(Ro
ss and Glomset,N.Eng.J.Med. 295:369-377,420-425,1976;Ross,Arteri osclerosis
1:293-311,1981)。内在するカテーテル損傷モデルを使用して
、Moore et al.(Thrombos.Haemostas.(Stuttg.) 35:70,1976)及びFried
man et al.(J.Clin.Invest. 60:1191-1201,1977)は、抗−血小板血清の投
与により誘導される遅延化された血小板減少症(thrombocytopenia)によるウサ
ギ動脈内の、実験的に誘導された脈管内膜病変形成の阻害について報告した。SM
Csがそれ自体オートクライン(autocrine)機構を通じて病変顕出を剌激するPDG
Fを作り出すことができるということも仮定されている(Ross et al.,ibid;Wa
lker et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 83:7311-7315,1986)。Fingerle et
al.(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:8412-8416,1989)は、血小板減少症ラット
における脈管内膜病変形成について調査し、そして血小板はバルーン損傷後の初
期SMC増殖において役割をもたないがその脈管内膜へのSMC転移を調節することが
できると結論付けた。現在、血小板は、PDGF、上皮
増殖因子(EGF)、トランスフォーミング増殖因子アルファ及びベータ(TGFα及
びTGFβ)、インシュリン−様成長因子I(IGF−I)及び血小板誘導内皮細胞成
長因子、並びにいくつかの化学誘引物質分子を含む多数の増殖因子を放出するこ
とが知られている。特定の研究が病変顕出に関係する過程におけるPDGFを含意す
るけれども、霊長類におけるこれらの過程におけるPDGFの関与を示す研究はない
。
血管形成術又は動脈内膜切除術によるアテローム性硬化症斑の除去は、限られ
た効果をもち、そして治療された血管の再狭窄又はバイパス移植の狭窄について
の有効な治療法は全く開発されていない。それ故、本分野において、血管損傷、
例えば、バルーン・カテーテル法、動脈内膜切除術又は整復atherectomy後の血
管の狭窄を含む血管壁において、並びに血管移植、臓器移植及びカテーテル挿入
において、SMC−豊富病変の顕出を減少させ又は妨ぐ方法についての必要性が存
在する。本発明は、このような方法を提供し、そして他の関連する要求を達成す
る。
本発明の開示
本発明は、哺乳類、特に霊長類の脈管構造(vasculature)における脈管内膜
過形成を阻害するための方法を提供する。脈管内膜過形成の例は、血管形成術、
動脈内膜切除術又はアテローム性硬化症斑が血管が除去される他の手順の後の再
狭窄を含む。これらの方法は、一般的に、哺乳動物に、抗−血小板誘導増殖因子
(PDGF)レセプタ抗体を、平滑筋細胞の有糸分裂誘発及び/又は転移を阻害する
のに充分な量において、投与することを含んで成る。
本発明の1つの態様においては、脈管内膜過形成は、哺乳動物に、有効量の、
抗−PDGFレセプタ抗体、例えば抗−PDGF−アルファ・レセプタ抗体、抗−PDGF−
ベータ・レセプタ抗体、又は1パネルの
抗−PDGFレセプタ抗体を投与することにより阻害される。1の態様においては、
このパネルの抗体が、PDGFレセブタへのAA,AB及びBBイソ形態の結合を中和する
ことができる。
本発明の他の態様においては、抗−PDGFレセプタ抗体が、哺乳動物における急
性血管損傷の発生に先立って哺乳動物に投与される。急性血管損傷の例は、血管
再構築手順、例えば、血管形成術、動脈内膜切除術、整復(reduction)atherec
tomy及び血管移植の吻合(anastomosis)を含む。関連態様においては、抗体は
、血管移植に先立って又は組合せにおいて投与される。
本発明の他の態様においては、抗体は、血管移植又は移植臓器内で生じる脈管
内膜過形成を阻害するために使用される。
本発明において有用な抗体は、モノクローナル抗体及び遺伝子操作された抗体
を含み、後者は、一本鎖抗体、キメラ抗体、2価抗体及び免疫結合体を含む。
本発明の上記及び他の態様は、以下の詳細な説明及び添付図面を参照して明ら
かになるであろう。
図面の簡単な説明
図1は、組換え体PDGF−ベータ・レセプタを発現する細胞への、抗−PDGFレセ
プタ・モノクローナル抗体の結合を示している。結果は、3連測定についての12 5
I−ウサギ抗−マウスIgGの平均cpm結合として表されている。バーは、標準偏
差を示す。
図2は、組換え体PDGF−アルファ・レセプタを発現する細胞への、抗−PDGFレ
セプタ・モノクローナル抗体の結合を示している。結果は、3連測定について12 5
I−ウサギ抗−マウスIgGの平均cpm結合として表されている。バーは、標準偏
差を示す。
図3A−3Cは、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体による
ヒト皮膚繊維芽細胞に対するPDGF有糸分裂誘発活性の中和について示している。
これらの結果は、PDGFリガンド・テスト条件のそれぞれについての〔3H〕チミ
ジン取込みの平均レベルとして表されている。標準偏差を、各バーの上にTによ
り示す。各パネルは、PDGFリガンド単独についての標準線を示す。A)PDGF-AA
剌激、B)PDGF-AB刺激、C)PDGF-BB剌激。
図4は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体によるヒヒ平滑筋細胞に対す
るPDGF-AA有糸分裂誘発活性の中和について示している。リガンド単独について
の標準曲線を左側に示す。結果は、〔3H〕チミジンの取込みの平均レベルとし
て表される。標準偏差を、各バーの上にTにより示す。
図5は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体によるヒヒ平滑筋細胞に対す
るPDGF-AB有糸分裂誘発活性の中和について示している。リガンド単独について
の標準曲線を、左側に示す。結果を図4中に表す。
図6は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体によるヒヒ平滑筋細胞に対す
るPDGF-BB有糸分裂誘発活性の中和について示す。リガンド単独についての標準
曲線を、左側に示す。結果を図4中に表す。
図7AとBは、ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGF-AAの有糸分裂誘発活性の中和の
ための、代表的なモノクローナル抗体の滴定について示す。結果を、PDGF-AAテ
スト条件のそれぞれについての〔3H〕チミジン取込みの平均レベルとして表す
。標準偏差を、PDGF-AA標準曲線サンプルについてTにより示す。(A)PDGF-AA
有糸分裂誘発活性、(B)〔3H〕チミジンの取込みのレベルにおける減少によ
り示されるようなPDGF-AA有糸分裂誘発活性についてのMAbs 169.14と169.31の阻
害効果。
図8は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体によるヒヒ平滑筋細胞に対す
るヒヒ血清の有糸分裂誘発活性の中和について示している。血清単独についての
標準曲線を左側に示す。結果を、〔3H〕チミジンの平均レベルとして表す。標
準偏差を各バーの上にTにより示す。
図9は、ヒヒ平滑筋細胞に対するモノクローナル抗体169.31の存在中での、ヒ
ヒ血清の有糸分裂誘発活性について示している。
発明の詳細な説明
先に記載したように、血管の再狭窄は、血管形成術又は動脈内膜切除術を経験
した患者において共通の問題である。再狭窄は、脈管内膜過形成の一つの例であ
り、これは、外科手術により、及び細胞外マトリックスの生産により損傷を受け
た領域内の血管平滑筋細胞の増殖(有糸分裂)と転移の両方を含む過程を介して
進行すると信じられている。この増殖過程は、血管移植(自己及び同種を含む天
然、と合成の両方)の閉塞において、そして移植臓器内において現われる。この
増殖過程は、平滑筋細胞内で豊富な病変の顕出をもたらし、そして本明細書中、
脈管内膜過形成といわれる。
本発明は、PDGFレセプタに対する抗体の使用を通じてSMC−豊富病変の顕出を
阻害するための方法を提供する。このような病変は、脈管内膜肥厚(過形成)を
通じこの血管の部分的又は完全な遮断をもたらす。脈管内膜過形成の阻害は、細
胞転移、細胞の有糸分裂、及び細胞外マトリックス形成の中の1以上を減少させ
又は防止することによりその増殖を妨害することを含むと理解されるであろう。
PDGFとそのレセプタとの相互作用の妨害を通しての有糸分裂及び/又は転移の遮
断により、SMC増殖及びその後のマトリックス沈着が減少される。
本発明において有用な抗体は、免疫感作と精製の慣用の手順により作られるこ
とができる。簡単に言えば、好ましくは精製された、PDGFレセプタ、レセプタ断
片又はレセプタ・ポリペプチドを含んで成る融合タンパク質を、免疫応答を引き
起こすのに充分な量において、動物、例えば、マウス、ラット、ウサギ又はヤギ
に投与する。その免疫応答を強化するために、アジュバント、例えば、Freund'
sアジュバントと共に上記成長因子レセプタを投与することが好ましい。抗原の
単一注射が上記動物における抗体産生を誘導するのに充分であることができるけ
れども、数週間〜数カ月の期間にわたり、大量の開始の注射の後に1回以上のブ
ースター注射を投与することが一般的には好ましい。例えば、Hurrell,J.G.R.
,ed.,Monoclonal Hybridoma Antibodies:Techniques and Applications,CRC
Press Inc.,Boca Raton,FL,1982(これを引用により本明細書中に取り込む
)を参照のこと。次に、血液をその動物から採取し、そして凝固させ、そして抗
体を、慣用の技術、例えば、塩析、イオン交換クロマトグラフィー、アフィニテ
ィー・クロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーを使用してその血清
から単離する。本発明の1態様においては、モノクローナル抗体が使用される。
モノクローナル抗体は、ポリクローナル抗体に比べて、より容易な産生及びより
低い治療的投与量の利点を提供する。なぜなら、所望の特異性の抗体だけが使用
されるからである。モノクローナル抗体の産生方法は、本分野においてよく知ら
れており、そして、例えば、Kohler and Milstein(Nature 256:495,1975;E ur.J.Immunol.6
:511-519,1976)により開示されている。また、Hurrell,J.G
.R.,ed.,Monoclonal Hybridoma Antibodies:Technique and Applications,C
RC Press Inc.,Boca Raton,FL,1982及びHart,米国特許第5,094,941号を参照
のこと。当業者には自明であろうが、抗体
断片、例えば、Fabフラグメントも使用できる。
患者と同系であり又は同系の定常領域を含む抗体を使用することが一般的には
好ましい。この理由のために、遺伝子操作された抗体が、ヒトの治療において一
般的に使用されるであろう。組換えヒト抗体又はヒト化非−ヒト(すなわち、キ
メラ)抗体を産生する方法は、Cabilly et al.(米国特許第4,816,567号)、Ro
binson et al.(WO 87/02671)及びNeumaier(WO 90/00616)(これらを引用
により本明細書中に取り込む)により開示されている。簡単に言えば、ヒト定常
領域遺伝子を、適当なヒト又は非−ヒト可変領域遺伝子に結合させる。例えば、
親ネズミ・モノクローナル抗体の抗原結合部位(CDRs、又は相補性決定部位(co
mplementarity-determining regions))を提示するアミノ酸配列を、そのDNAレ
ベルにおいてヒト可変領域のフレームワーク配列上に移植する。この工程は、“
ヒト化(humanization)”として知られる。この技術の方法は、本分野において
公知であり、そして例えば、Jones et al.(Nature 326:522-525,1986),Ri
echmann et al(Nature 322:323-327,1988)及びQueen et al.(Proc.Natl.A cad.Sci.USA
86:10029-10033,1989)により開示されている。
次に、結合された遺伝子を宿主細胞内にトランスフェクトし、そして慣用の手
順に従って培養する。他の方法においては、モノクローナル抗体産生細胞を、ク
ローン化されたヒト定常領域遺伝子、及び相同的組換えにより作られたキメラ抗
体遺伝子により、トランスフェクトすることができる。従って、その構造のかな
りの部分がヒトであるモノクローナル抗体を組み立て、それにより、ヒト患者へ
の多数投与により好適である抗体を提供することが可能である。
あるいは、一本鎖抗体を、典型的にはリンカー・ポリペプチドを介して可変重
鎖配列に結合された可変軽鎖配列から一般的に成る組
換えポリペプチドの発現を通して開発することができる。一本鎖抗体を作り出す
方法は、本分野において公知であり、そして、例えば、David et al.(BioTech nology 9
:165-169,1991)により開示されている。
本発明においては、中和抗体を使用することが好ましい。“中和抗体(Neutra
lizing antibody)”は、本明細書中、インビトロにおけるテスト系における抗
原の生物学的活性、例えば、1以上のPDGFとPDGFレセプタ(単数又は複数)との
相互作用を遮断する能力の全てを本質的に遮断するのに充分な抗体の量を指すた
めに使用される。好適なインビトロにおけるテスト系は、とりわけ、有糸分裂誘
発検定及びレセプタ結合性検定を含む。例えば、25μg/mlの、本明細書中に記
載するモノクローナル抗−PDGF−アルファ・レセプタ MAbは、10ng/mlの PDGF
-AAの有糸分裂誘発活性を遮断することができる。当業者に理解されるように、
所定量の抗原を中和するのに必要な抗体の量は、抗体特異性と、アフィニティー
のような要因に依存するであろう。
2つのPDGFレセプタ・ポリペプチドが、記載されている。これらは、“アルフ
ァ・レセプタ(alpha receptor)”(Kelly et al.,WO 90/14425;Claesson-W
elsh et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 86:4917-4921,1989)と“ベータ・レ
セプタ(beta receptor)”(Claesson-Welsh et al.,Mol.Cell.Biol.8:3476
-3486,1988;Gronwald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:3435-3439,198
8)と言われる。PDGFリガンドの存在中、これらのレセプタ・ポリペプチドは、
2量体となる。それ故、3つのレセプタ・サブタイプ:αα,αβ及びββが可
能である。このβレセプタは、PDGFのB−鎖に特異的であり、一方、このαレセ
プタは、そのA−鎖とB−鎖に結合する。本発明において使用される抗−PDGFレ
セプタ抗体は、好
ましくは、3つのPDGFレセプタ・イソ形態(αα,ββ及びαβ)のすべてを中
和することができる抗体のパネルあろう。本明細書中に使用するとき、用語“パ
ネル(panel)”とは、異なる特異性をもつ2以上の抗体の組合せをいう。これ
らの抗体は、異なる抗原に又は単一抗原上の異なるエピトープに特異的であるこ
とができる。モノクローナル抗体(MAbs)が好ましい。
抗−レセプタ・モノクローナル抗体を、治療的に重要な化合物のデリバリーの
ための標的化剤として使用することもできる。このような化合物は、非限定的に
、毒素(toxins)、細胞増殖抑制性化合物、又はその潜在的機能が内因性プロ酵
素を活性化し、外来源から添加されたプロ酵素を活性化し、又はプロドラッグ上
の酵素解裂部位を活性化することができるであろうプロ酵素を含む。抗−レセプ
タ抗体は、画像形成剤としての使用のための、放射性核種、染料、蛍光化合物等
により標識されることもできる。上記の例は、例えば、細胞−表面レセプタを発
現する血管平滑筋細胞の露出が存在する血管損傷の部位又は血栓症の部位を画像
形成することを含む。
モノクローナル抗体を、それぞれの免疫グロブリン分子上に2つの独立した抗
原結合が存在する2価抗体を開発するために使用することもできる。この技術は
、本分野において公知であり、そして文献(Thromb.Res.Suppl.X:83,1990)中
に開示されている。さらに、2特異的抗体も一本鎖抗体から構築することができ
る。この技術は本分野において公知であり、そして例えば、George(The Second Annual IBC International Conference on Antibody Engineering
,Dec.16-18
,1991,San Diego CA)により開示されている。
抗−PDGFレセプタ抗体は、外科手術前(一般的に外科手術前24時間以内に)
、そして場合により1〜2週間以上の経過にわたり数時間〜数日間の間隔で外科
手術後継続して、ボーラス注射(静脈内、
筋中、腹膜内又は皮下)により投与されることができる。多くの場合、入院中毎
日の投与量を、退院治療の期間の間より頻度の少ないボーラス注射を投与するこ
とが好ましいであろう。抗体は、遅延放出デリバリー・システム、例えば、血管
移植片又はステント(stents)内に取り込まれ又は潅流又は2バルーン・カテー
テルによるシステムを含むものによりデリバリーされることもできる。
本発明の方法は、急性血管損傷による脈管内膜過形成の治療において特に有用
である。急性血管損傷は、生涯にわたり顕出する慣性血管損傷(例えば、アテロ
ーム性硬化症)に対して、急速に(すなわち、数日〜数カ月にわたり)生じるも
のである。急性血管損傷は、しばしば、血管形成術、動脈内膜切除術、atherect
omy、血管移植片据え付け等が使用される外科手術、例えば血管再構築から生じ
る。過形成は、例えば、移植片据え付け又は臓器移植に応答する遅延化された応
答として生じることもできる。
抗体の投与量は、先に記載したような中和基準に基づいて選択されるであろう
。投与量レベルは、血液からの抗体のクリアランスを測定した後の中和データか
ら計算される。一般的に、投与量は、放出されたPDGFのいずれをも中和するのに
充分な抗体の循環レベルを維持する目標をもって選択される。一般的に、投与量
は、1日当り患者の体重1kg当り約20μg〜500mg以上の抗体の、好ましくは約0
.1mg〜20mg/kg/日、より好ましくは約1mg〜10mg/kg/日のレンジ内にあるで
あろう。いくぶん高い投与量が、2以上の抗体が組み合わされて投与される場合
に、要求されることができる。治療は、最初の損傷の6カ月後までにわたり続け
られることができる。
抗−PDGFレセプタ抗体の“有効量”は、血管平滑筋細胞の有糸分裂誘発及び/
又は転移を有意に阻害するのに充分な量として定められる。“有意な(signific
ant)”減少は、インビトロ検定において
有糸分裂誘発又は転移の50%以上の減少である。実際の量は、特定抗体の特異性
及び結合アフィニティーのような要因に一部依存するであろうけれども、有効量
は、本分野において公知であり、そして本明細書中に開示するインビトロ及びエ
クスビボ(生体外)手続により経験的に決定されることができる。一般的に、治
療用途のための抗体の量は、インビトロ又はエクスビボにおいて有効であること
が示されるものに少なくとも等しい血流中又は作用部位における濃度を提供する
のに充分なものであろう。しかしながら、大きさの増加のオーダーまでの又はこ
れを超える、インビボにおけるより高い量を使用することが好ましい。
本発明における使用のために、抗−PDGFレセプタ抗体が、慣用の手順に従って
注射可能な組成物中に配合され、そして無菌容器内に包装される。抗体は、好適
な希釈剤、例えば、滅菌生理食塩水又は滅菌水と併合されることができる。抗体
組成物は、さらに担体、安定剤及び賦形剤、例えば糖(例えば、マンニトール)
又はアルブミンを含むことができる。変種においては、抗体は、凍結乾燥形態で
提供され、そして使用に先立って好適な希釈剤中で再構築されることができる。
これらの組成物は、例えば、シールされたアンプル又はバイアル中で、単一又は
多投与形態において包装されることができる。
血管移植における狭窄の阻害のために、抗−PDGFレセプタ抗体が、それらの定
常領域を通してその移植片に共有結合により付着され又は遅延放出配合物中の移
植片内に取り込まれることができる。
以下の実施例を、限定によらず説明により提供する。
実施例
実施例1は、PDGFレセプタ・アルファ及びベータ・ポリペプチドに対するモノ
クローナル抗体を産生するハイブリドーマの調製につ
いて開示する。実施例2,3及び4は、抗−PDGF−ベータ・レセプタ・モノクロ
ーナル抗体の同定及び特徴付けについて開示する。実施例5は、抗−PDGF−アル
ファ・レセプタ・モノクローナル抗体の同定及び特徴付けについて開示する。実
施例6は、特定の代表的モノクローナル抗体の結合特異性の決定について開示す
る。実施例7は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体を使用したヒト皮膚繊
維芽細胞上のPDGF有糸分裂誘発活性の中和について立証する。実施例8は、抗−
PDGFレセプタ・モノクローナル抗体を使用したヒヒ平滑筋細胞上のPDGF有糸分裂
活性の中和について立証する。実施例9と10は、ヒヒ血清有糸分裂誘発活性を中
和するための抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体の使用について開示する。
実施例11は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体によるヒヒ大動脈平滑筋細
胞転移の阻害について立証する。実施例12は、リガンドがレセプタに結合した後
8時間までの、抗−PDGFレセプタMAbsがPDGFを中和する能力について立証する。
実施例13は、抗−PDGFレセプタMAbsによるヒト骨肉腫細胞からのレセプタ結合PD
GFの置換について開示する。
組換え体PDGF AA及びBBは、米国特許第4,889,919号;第4,845,075号及び第5,0
37,743号(これらを全体として引用により本明細書中に取り込む)中に本質的に
開示されているように酵母内で生産され、そしてカチオン交換クロマトグラフィ
ー、逆相クロマトグラフィー、ゲル濾過及び(NH4)2SO4分別の組合せにより濃
縮細胞培養基から同質まで精製された。PDGF ABは、Hart et al.,(Biochemist ry
29:166-172,1991)(これを引用により本明細書中に取り込む)により開
示されるように旧ヒト血小板から調製した。PDGF-AA,AB及びBBを、先に記載し
たように(Hart et al.ibid.)ヨードビーズ(Iodo beads)(Pierce Chemical
Co.,Rockford,IL)の使用
により125Iにより標識付けした。フェニルアラニンの代わりにその成熟コーデ
ィング配列の23位においてチロシン残基をもつBBtyr’といわれるB−鎖の突然
変異形態を、PDGF-BBのヨウ素化のために使用した。ウサギ抗−マウスIgGを、ヨ
ウ素ビーズを使用して125Iにより同様に標識付けした。
PDGF−アルファ・レセプタ又はPDGF−ベータ・レセプタのいずれかの細胞外ド
メインに結合されたヒトIgG重又は軽鎖を含んで成る融合タンパク質を、米国特
許第5,155,027号;米国特許出願逐次番号第07/634,510号及び欧州特許第325,22
4号(これらを全体として引用により本明細書中に取り込む)中に本質的に開示
されているように調製した。1の場合においては、マウス・ミエローマ細胞は、
重鎖及び軽鎖/PDGFレセプタ細胞外ドメイン融合タンパク質の両方のためのcDNA
sによりトランスフェクトさせた。これらの細胞は、それが2つの軽鎖と2つの
重鎖の融合タンパク質から成るヒトIgGに類似する分子を、それらの培養基中に
分泌する。この化合物は、テトラマーIgG/PDGFrと命名される。他の場合におい
ては、軽鎖/PDGFレセプタ細胞外ドメイン融合タンパク質のためのcDNAを、その
細胞単独内にトランスフェクトした。これらの細胞は、モノマー軽鎖融合タンパ
ク質を、それらを培養基中に分泌する。これをモノマーIgG/PDGFrという。この
アルファー及びベータ−レセプタ融合タンパク質は、それぞれ、IgG/PDGFr−ア
ルファ(テトラマー)及びIgG/PDGFr−ベータ(モノマー及びテトラマー)と命
名される。これらの融合タンパク質は、抗−PDGFレセプタ・モノクローナル抗体
を使用した免疫アフィニティー精製、又はタンパク質A−セファロース・クロマ
トグラフィーのいずれかにより精製された。
実施例1 PDGFレセプタ・モノクローナル抗体の調製
PDGF−アルファ・レセプタ又はPDGF−ベータ・レセプタのいずれかの細胞外ド
メインに結合したIgG定常領域を含んで成る融合タンパク質を、米国特許第5,155
,027号(これを全体として引用により本明細書中に取り込む)中に本質的に開示
したように調製した。このアルファとベータ・レセプタ融合物を、それぞれ、Ig
G/PDGFr−アルファとIgG/PDGFr−ベータと名付けた。モノマーIgG/PDGFr−ベ
ータは、ヒト・カッパ軽鎖定常領域とPDGF−ベータ・レセプタ細胞外ドメインと
の融合物として発現された。このテトラマーIgG/PDGFr−ベータは、上記モノマ
ー構築物と、細胞外ドメインと融合したヒトIgG重鎖定常領域プラス、ヒンジ配
列との同時発現により調製された。アルファ・レセプタ融合物を、同様の手段に
より調製した。
8週齢のBalb/cマウスを、精製されたモノマー又はテトラマーIgG/PDGFr−
ベータ又は精製されたテトラマーIgG/PDGFr−アルファのいずれかにより免疫感
作させた。マウスに、完全Freund'sアジュバントと混合した約10μgの精製IgG
/PDGFrの腹膜内(ip)注射を与えた。約2週間の間隔で、マウスは、不完全Fre
und'sアジュバントと混合したIgG/PDGFr−ベータ又はIgG/PDGFr−アルファの
追加のip注射を受容した。
ハイブリドーマを、米国特許第5,094,941号(これを全体として引用により本
明細書中に取り込む)中に本質的に開示されているように免疫感作されたマウス
から調製した。簡単に言えば、脾臓細胞を、そのマウスから単離し、そして洗浄
する。汚染赤血球を、蒸留水により溶解することにより除去し、そしてその脾臓
細胞を洗浄する。残りの汚染組織材料のいずれをも遠心分離により除去する。
NS−1マウス・ミエローマ細胞系(ATCC TIB 18)を、融合のため
に使用した。融合効率を最適化するために、細胞を、融合効率について検定し、
そして高融合効率をもつクローンを選択した。このNS−1細胞を、37℃、7% C
O2においてNS-1培地(表I)中で増殖させた。
赤ちゃんマウスから得た胸腺細胞を、その細胞融合のための培養基をならすた
めのフィーダー(feeder)層として使用した。胸腺を、3−〜4−週齢のBalb/
cマウスから得て、そして胸腺細胞を、米国特許第5,094,941号中に開示されたよ
うに単離した。
NS−1細胞を、調製された免疫感作マウス脾臓細胞に添加し、そして融合を、
米国特許第5,094,941号中に本質的に開示されたように行った。これらの細胞を
、1ml当り1×HAT(表I)及び2.5×106胸腺細胞を含むNS−1培地中で培養し
た。ハイブリドーマを、特異的抗体の産生について9〜14日間にわたり、テスト
した。
実施例2 PDGFベータ・レセプタに対する抗体の同定及び特徴付け
細胞融合162からのハイブリドーマを、PDGF−ベータ・レセプタに対する抗体
の産生についてテストした。陽性ハイブリドーマの同定のために使用した検定法
は、酵素結合イムノソルベント検定(ELISA)、IgG/PDGFr−ベータへの125I-P
DGF-BB結合の中和、及びヒト皮膚繊維芽細胞への125I-PDGF-BB結合の中和を包
含した。
ELISA検定は、モノマーIgG/PDGFr−ベータによりコートされた96−ウェル・
マイクロタイター・プレート内で行われた。これらのウェルをコートするために
、IgG/PDGFr−ベータを、ELISA Aバッファー(表I)中200ng/mlに希釈し、そ
して100μlを各ウェルに添加した。これらのプレートを、37℃において2時間
インキュベートした。インキュベーション後、これらのプレートを、ELISA Cバ
ッファー(表I)で洗浄した。次にこれらのプレートを、37℃において150μl
/ウェルのELISA Bバッファー(表I)と共にインキュベートして、非特異的結
合部位を遮断した。このバッファーを除去し、そしてウェルをELISA Cバッファ
ーで洗浄した。
テスト・ハイブリドーマ上清を2群にプールし、そして100μlのプールされ
たサンプルを、各マイクロタイター・ウェルに添加し
た。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次に、ビオチン−結合
ウサギ抗−マウスIgG(Vector Labs,Burlingame,CA)と共に37℃において1.5
時間インキュベートした。各ウェルを、100μl/ウェルのストレプトアビジン
−ホースラディッシュ・ペルオキシダーゼ(Amersham International,Amersham
,U.K.)と共に37℃において30分間インキュベートした。各ウェルを、ELISA C
バッファーで再び洗浄し、次に反応バッファー(表I)と共にインキュベートし
た。反応を、1N H2SO4の添加により停止させ、そしてプレートを、490nmにお
ける吸光度をモニターするためのフィルターを使用してDynatech ELISAプレート
・リーダー(Dynatech Laboratories,Inc.Alexandria,VA)内で読んだ。0.2
よりも大きいA490の読みをもつウェルを陽性とした。陽性候補を先に記載した
ようにELISAにより再検定して、IgG/PDGFr−ベータに対する抗体を産生するハ
イブリドーマ細胞を含む個々の培養ウェルを決定する。
細胞融合物162からのハイブリドーマを、IgG/PDGFr−ベータへの125I-PDGF-
BB結合の中和についてもスクリーニングした。ヤギ抗−ヒトIgG(Cappel Labs,
Malvern,PA)を、ELISA Aバッファーにより、2μg/mlの最終濃度に希釈した
。次にこの混合物を、96−ウェル・マイクロタイター・プレート、100μl/ウ
ェルに添加し、そしてそれらのプレートを、37℃において1.5時間インキュベー
トした。これらのウェルを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次に、ウェル当り200
μlのELISA Bバッファーと共にインキュベートして、非特異的結合部位を遮断
した。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次にテトラマーIgG/
PDGFr−ベータと共に1.5時間インキュベートして、25ng/mlの最終濃度にELISA
Bバッファー中で希釈した。これらのウェルを、ELISA Cバッファー
で洗浄して、非結合IgG/PDGFr−ベータを除去した。
ハイブリドーマ上清を、2群にプールし、そして100μlのプールされたサン
プルを、マイクロタイター・ウェルのそれぞれに添加した。これらのウェルを、
37℃において1時間インキュベートした。次に、各ウェルに、50μlの125I-PD
GF-BB(ウェル当り約50,000cpm)を添加した。37℃における1時間のインキュベ
ーションの後、これらのウェルを、結合培地(表I)で3回洗浄した。100μl
の0.1Mクエン酸Na、pH 2.5を、室温において5分間それらのウェルに添加し、
その溶液を、収穫し、そして12×75mm管に移し、そしてそれらの管を、125I-PD
GF-BB結合のレベルを測定するためにガンマ線カウンタ内でカウントした。IgG/
PDGFr−ベータに結合し、そして125I-PDGF-BB結合を遮断する抗体を、培養基に
対する、125I-PDGF-BB結合のレベルにおける減少により検出した。
IgG/PDGFr−ベータ中和抗体について陽性であると決定された培地のプールを
、その中和抗体を産生するハイブリドーマを含む個々のウェルを同定するため先
に記載したものと同様の検定形式を使用して再スクリーニングした。
ELISA又は125I-PDGF-BB結合の中和のいずれかにより陽性であった培養ウェル
を、その後、ヒト皮膚繊維芽細胞に対するPDGF−ベータ・レセプタの能力につい
てダウン−レギュレーション検定形式(Hart et al.,J.Biol.Chem. 262:107
80-10785,1987)において、検定した。37℃におけるPDGF−ベータ・レセプタへ
のPDGF-BBの結合は、その細胞表面からのレセプタのインターナリゼーション(i
nternalization)、及び細胞−表面レセプタの数におけるその後の減少、ダウン
−レギュレーションといわれる現象を導く。繊維芽細胞を、ウェル当り10,000細
胞において96−ウェル培養皿内にプレートし、そして使用に先立ち1−2日間、
培養基中で維持した。1セ
ットのウェルに、その細胞に対し、100ng/mlの最終濃度においてPDGF-BBを添加
した。これらの細胞を、37℃において1.5時間インキュベートした。培養基を細
胞から除去し、そして細胞を、ホスフェート・バッファー生理食塩水(PBS)で
洗浄した。次に、ハイブリドーマ細胞からのテスト培養基を、上記PDGF-BB処理
を受けたか又は、未処理のままにされたかのいずれかの細胞の2連ウェルに添加
した。その後これらの細胞を、4℃において2時間インキュベートし、次にPBS
で洗浄した。100μl/ウェルの125I−ウサギ抗マウスIgG(100,000cpm/ウェ
ル)を、これらのウェルに添加し、そしてそれらの細胞を、4℃においてさらに
1.5時間インキュベートした。これらの細胞を、PBSで洗浄し、次に、室温におい
て5分間、100μl/ウェルの抽出バッファー(表I)と共にインキュベートし
た。抽出物を、収穫し、12×75mm管に移し、そして125I−ウサギ抗−マウスIgG
結合のレベルを測定するためにガンマ線カウンタ内でカウントした。細胞−表面
PDGF−ベータ・レセプタを認識することができるハイブリドーマ培養上清中に抗
体が存在する場合、そのレセプタをダウン−レギュレートするためにPDGF-BBに
より処理された細胞への、125I−ウサギ抗−マウスIgG結合のレベルにおける減
少が存在するであろう。
いくつかのハイブリドーマを、PDGF−ベータ・レセプタに対する抗体を作るよ
うな融合物162から同定した。同定されたハイブリドーマを、モノクローナル抗
体を作る個々のクローンを得るために限界希釈法により2回クローン化した。こ
れらのクローンを、先に記載した検定法により抗体産生についてスクリーニング
した。162.62と名付けられた1つのハイブリドーマを、さらなる特徴付けのため
に選択した。
実施例3 抗−PDGFベータ・レセプタ抗体を産生するハイブリドーマの同定及び特徴付け
細胞融合物163からのハイブリドーマを、組合せELISA/PDGF結合競合検定によ
りPDGF−ベータ・レセプタに対する抗体の産生についてテストした。これらの検
定を、96−ウェル・マイクロタイター・プレート内で行った。これらのプレート
を、37℃において2時間、ELISA Aバッファー中の2μg/mlの、ヤギ抗−ヒトI
gGにより最初にコートした。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し
、次にELISA Bバッファーで37℃において11/2時間インキュベートして、非特異
的結合部位を遮断した。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次
に直ちに使用するか又は使用まで4℃において1−4日間放置するかのいずれか
とした。この検定の時に、これらのプレートを、ELISA Cバッファーで1回洗浄
し、次に、結合培地中25ng/mlに希釈されたテトラマーIgG/PDGFr−ベータと共
に37℃において11/2時間インキュベートした。次にこれらのプレートを、ELISA
Cバッファーで洗浄して、未結合IgG/PDGFr−ベータを除去した。
ハイブリドーマ上清を、2群のウェル内にプールし、そして100μlのプール
されたサンプルを、マイクロタイター・ウェルのそれぞれに添加した。これらの
プレートを、37℃において1時間インキュベートし、次に結合培地で洗浄した。
それらのウェルに、結合培地により1:1000希釈されたホースラディッシュ・ペ
ルオキシダーゼ−結合ヤギ抗−マウスIgG(Tago,Burlingame,CA)を添加した
。これらのウェルを、37℃において1時間インキュベートし、次に結合培地で洗
浄して、未結合HRP−結合ヤギ抗−マウスIgGで洗浄した。次に、125I-PDGF-BB
、約26,000cpm/ウェルを、37℃においてさらに1時間、それらのウェルに添加
した。これらのウェルを、
結合培地で洗浄し、次にELISAの顕出のために、反応バッファーと共にインキュ
ベートした。反応を、100μl/ウェルの1N H2SO4の添加により停止させ、そ
してそれらのプレートを、フィルターを使用してDynatech ELISAプレート・リー
ダー内で読んで、490nmにおける吸光度をモニターした。
次に、これらのウェルの内容物を、12×75mm試験管に移し、そしてそれらのサ
ンプルをガンマ・カウンタ内でカウントして、 125I-PDGF-BB結合のレベルを
測定した。
先に記載した検定は、ELISAにより、並びにテトラマーIgG/PDGFr−ベータの1 25
I-PDGF-BBの結合を遮断する能力により、IgG/PDGFr−ベータに対する抗体を
産生するハイブリドーマ・カルチャーを同定した。陽性であったこれらのプール
されたサンプルを、その後、IgG/PDGFr−ベータに対する抗体を産生するハイブ
リドーマ細胞を含む個々のカルチャー・ウェルを測定するために先に記載したよ
うなものと同じプロトコールを使用して再検定した。
IgG/PDGFr−ベータへの結合について陽性であると判明した個々のウェルを、
その後、ヒト皮膚繊維芽細胞への125I-PDGF-BB結合を中和する能力について検
定した。ヒト皮膚繊維芽細胞を、ウェル当り約20,000細胞において24−ウェル培
養皿内にプレートした。培養基を、細胞から除去し、そしてハイブリドーマ・テ
スト培養基、ウェル当り0.5mlを、2連ウェルに添加した。陰性対照として、NS
−1培地だけを、1セットのウェルに添加した。第2セットのウェルに、NS−1
培地中20ng/mlの最終濃度においてPDGF-BBを添加して、 125I-PDGF-BBの非特
異的結合について測定した。これらの細胞を、4℃において1時間インキュベー
トし、次に125I-PDGF-BB、100μl/ウェル(約26,000cpm)を各ウェルに添加
した。これらの細胞を、4℃においてさらに1時間インキュベートし、PBSで
洗浄し、次に抽出バッファーと共にインキュベートした。抽出物を、12×75mm管
に収穫し、そしてガンマ・カウンタ内でカウントした。NS−1培地サンプルに対
して125I-PDGF-BB結合における減少を引き起こしたテスト・サンプルを、ヒト
皮膚繊維芽細胞の単層上の生来のPDGF−ベータ・レセプタへのPDGF-BB結合を阻
害する能力について陽性として検定した。
PDGF−ベータ・レセプタに対する抗体を作るであろういくつかのハイブリドー
マを、融合物163から同定した。同定されたハイブリドーマを、限界希釈法によ
り2回クローン化して、モノクローナル抗体を作る個々のクローンを得た。これ
らのクローンを、先に記載した検定法により抗体産生についてスクリーニングし
た。163.31と名付けられた1のハイブリドーマを、さらなる特徴付けのために選
択した。
実施例4 抗−PDGFベータ・レセプタMAbs 162.62及び163.31の特徴付け
MAbs 162.62と163.31を、テトラマーIgG/PDGFr−ベータ又はヒト皮膚繊維芽
細胞上のPDGF−ベータ・レセプタのいずれかへの125I-PDGF-BBの結合を遮断す
る能力について比較した。IgG/PDGFr−ベータへの125I-PDGF-BB結合の中和を
、融合物163の最初のスクリーニングについて本質的に先に記載したように行っ
た。ならし培養基を添加する代わりに、NS−1培地中に希釈された既知量の抗体
を、125I-PDGF-BBと同時に、IgG/PDGFr−ベータ・コート・ウェルに添加した
。NS−1培地単独を、陰性対照として使用した。PDGF-BB、500ng/mlの、NS-1培
地への添加を、 125I-PDGF-BBによる非特異的結合のレベルを測定するために
使用した。これらのウェルを、4℃において21/2時間インキュベートし、次にP
BSで洗浄した。100μlの0.1Mクエン酸塩pH2.5を、各ウェルに添
加して、結合された125I-PDGF-BBを除去し、それらのサンプルを、12×75mm管
に移し、そしてそれらの管を次にガンマ・カウンタ内でカウントした。
ヒト皮膚繊維芽細胞への結合を検定するために、繊維芽細胞を、24−ウェル培
養皿内で約20,000細胞/ウェルにおいてプレートした。これらの細胞を、プレー
ティング後2−7日間、検定のために使用した。抗体を、表II中に示す濃度まで
結合培地中で希釈し、次に125I-PDGF-BBと混合し、そして、0.5mlアリコートを
、繊維芽細胞の2連ウェルに添加した。結合培地単独を、陰性対照として使用し
、そして500ng/mlのPDGF-BBの添加を、125I-PDGF-BBについての非特異的結合
を測定するために使用した。これらの細胞を、4℃において21/2時間インキュ
ベートし、次に結合培地で洗浄して、未結合リガンドを除去した。次にこれらの
細胞を、抽出バッファーと共にインキュベートし、そして抽出物を、収穫し、そ
してガンマ・カウンタ内でカウントした。
結合試験の結果を、表II中に示す。125I-PDGF-BBについての比cpm結合して表
す。500mg/mlの非標識PDGF-BBの添加により測定された非特異的結合は、IgG/P
DGFr−ベータ・ウェルについて260cpm、そしてヒト皮膚繊維芽細胞について105c
pmであり、そして提示されたデータから差し引きされた。
%CB=パーセント対照結合
これらの結果は、MAb 162.62と163.31の両方が、IgG/PDGFr−ベータへのPDGF
-BB結合の有効な阻害剤であることを立証する。これに対し、MAb 162.62は、ヒ
ト皮膚繊維芽細胞へのPDGF-BB結合について、MAb 163.31よりも有効な阻害剤で
ある。
MAb 162.62は、ヒト皮膚繊維芽細胞の単層上のレセプタに結合した125I-PDGF
を置換する能力についても分析された。125I-PDGF-BBを、24−ウェル培養プレ
ート内でヒト皮膚繊維芽細胞の単層と最初にインキュベートした。これらの細胞
を、PBSで洗浄し、次に引き続き、MAb 162.62、5μg/ml、又は結合培地単独
のいずれかと4℃において1時間、インキュベートした。これらの細胞を、洗浄
し、抽出バッファーと共にインキュベートし、そして抽出物を、ガンマ・カウン
タ内でカウントして、125I-PDGF-BB結合のレベルについて測定した。非特異的
結合を測定するために、500ng/mlの非標識PDGF-BBを、その最初のインキュベー
ション段階の間に添加
した。表III中に表す結果は、MAb 162.62の添加が、前結合した125I-PDGF-BBの
47%置換を導いたことを示している。従って、MAb 162.62は、ヒト皮膚繊維芽細
胞の表面からレセプタ結合PDGF-BBを置換することができる。
MAb 162.62と163.31についてのサブクラスを、IgG/PDGFr−ベータ・コート・
ウェル及びサブクラス特異的2次抗体を使用するELISAにより測定した。MAb 162
.62は、IgG2bイソタイプであることが発見され、一方、MAb 163.31は、IgG1イソ
タイプであることが発見された。
実施例5 抗−PDGFアルファ・レセプタ抗体を産生するハイブリドーマの同定及び特徴付け
細胞融合物169からのハイブリドーマを、組合せELISA/PDGF結合競合検定によ
り、PDGF−アルファ・レセプタに対する抗体の産生についてテストした。これら
の検定を、96−ウェル・マイクロタイター・プレート内で行った。これらのプレ
ートを、4℃において一夜、ELISA Aバッファー中のヤギ抗−ヒトIgG、2μg/
mlにより最初にコートした。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し
、次にELISA Bバッファーと共にインキュベートして、非特異
的部位を遮断した。これらのプレートを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次に、
結合培地中25ng/mlに希釈したテトラマーIgG/PDGFr−アルファと共に4℃にお
いて一夜インキュベートした。次に、これらのプレートを、ELISA Cバッファー
で洗浄して、未結合IgG/PDGFrを除去した。
ハイブリドーマ上清を、2群においてプールし、そして75μlのプールされた
サンプルを、マイクロタイター・ウェルのそれぞれに添加した。これらのプレー
トを、37℃において1時間インキュベートし、次にELISA Cバッファーで洗浄し
た。これらのウェルに、結合培地により1:1000希釈したホースラディッシュ・
ペルオキシダーゼ−結合ヤギ抗−マウスIgG(Tago)を添加した。これらのウェ
ルを、37℃において1時間インキュベートし、次にELISA Cバッファーで洗浄し
て、未結合抗体を除去した。次に、125I-PDGF-AA、約25,000cpm/ウェルを、37
℃においてさらに1時間それらのウェルに添加した。これらのウェルを、結合培
地で洗浄し、次にELISAの顕色のために反応バッファーと共にインキュベートし
た。反応を、100μl/ウェルの1N H2SO4の添加により停止させ、そしてそれ
らのプレートを、フィルターを使用してDynatech ELISAプレート・リーダー内で
読んで、490nmにおける吸光度をモニターした。
次に、それらのウェルの内容物を、12×75mm試験管に移し、そしてそれらのサ
ンプルを、ガンマ・カウンタ内でカウントして、125I-PDGF-AA結合のレベルを
測定した。
この検定は、ELISAによりIgG/PDGFr−アルファに対する抗体を産生するハイ
ブリドーマ・カルチャーを同定し、そしてテトラマーIgG/PDGFr−アルファへの125
I-PDGF-AAの結合を遮断することができた抗体についてモニターした。この
最初の検定において陽性であった上記のプールされた細胞を、先に記載したもの
と同じプ
ロトコールを使用して再検定して、IgG/PDGFr−アルファのための抗体を産生す
るハイブリドーマ細胞を含む個々の培養ウェルを決定した。いくつかのウェルが
、IgG/PDGFr−アルファに対して向けられた抗体の存在について同定された。こ
れらの中で、2つ、169.14と169.31が、さらなる分析のために選択された。これ
らのウェルからのハイブリドーマを、PDGF−アルファ・レセプタに対するモノク
ローナル抗体を産生する単一クローンを得るために限界希釈法により2回クロー
ン化した。これらのクローンを、本質的に先に記載したように、組合せELISA/1 25
I-PDGF-AA結合競合検定を使用してスクリーニングした。
MAb 169.14と169.31が哺乳動物細胞の単層上の生来のPDGF−アルファ・レセプ
タを認識するかどうかを確認するために、上記2抗体を、アルファT−7細胞へ
の125I-PDGF-AA結合を遮断する能力について分析した。これらの細胞は、自然
にはPDGF−アルファ・レセプタを発現しないが、完全長PDGF−アルファ・レセプ
タをコーディングしているcDNAによりトランスフェクトされているイヌ腎臓上皮
細胞である(米国特許出願逐次番号第07/355,018号;PCT公開WO 90/14425)。
これらの細胞は、細胞当り約100,000の組換え体レセプタを発現する。アルファ
T−7細胞を、約95%の集密まで96−ウェル・プレート内で培養した。この培養
基を、除去し、そしてMAb 169.14と169.31の希釈物を、それらの細胞に添加した
。対照は、NS−1培地、及び125I-PDGF-AAについての非特異的結合成分を測定
するために500ng/mlのPDGF-BBを含むNS−1培地であった。各ウェルに、100μl
のテスト・サンプル、加えて、10μlの125I-PDGF-AA(ウェル当り約22,000cpm
)を添加した。これらの細胞を、4℃において2時間、上記サンプルと共にイン
キュベートし、PBSで洗浄し、次に100μl/ウェルの抽出バッファーにより抽出
した
。抽出物を、収穫し、そしてガンマ・カウンタ内でカウントした。結果を、表IV
中に示す。これらの結果は、これらの2つのMAbsが、IgG/PDGFr−アルファに加
えて哺乳動物細胞内の膜−結合PDGF−アルファ・レセプタを認識することを立証
している。
MAb 169.14と169.31についてのサブクラスを、IgG/PDGFr−アルファ・コート
・ウェル及びサブクラス特異的2次抗体を使用したELISAにより測定した。MAb 1
69.14と169.31の両方は、 IgG2aイソタイプについて陽性と検定された。
実施例6 抗−PDGFレセプタMAbの結合特異性
PDGF−レセプタ・サブユニット結合特異性を証明するために、MA
b 162.62,163.31,169.14及び169.31を、クローン8細胞及びアルファ1−10細
胞への結合について分析した。クローン8細胞は、完全長ヒトPDGF−ベータ・レ
セプタをコードしている遺伝子によりトランスフェクトされているBHK 570(ATC
C CRL 10314)細胞である(Gronwald et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:343
5-3439,1988)。これらの細胞は、細胞当り約500,000のヒトPDGF−ベータ・レ
セプタを発現する。アルファ1−10細胞は、完全長ヒトPDGF−アルファ・レセプ
タをコードしているcDNAによりトランスフェクトされているBHK 570細胞である
(米国特許出願逐次番号第07/355,018号;PCT公開WO 90/14425)。これらの細
胞は、細胞当り約1,000,000のヒトPDGF−アルファ・レセプタを発現する。PDGF
−アルファ又はベータ・レセプタのいずれかについての結合特異性を証明するた
めに、抗−PDGFレセプタMAbを使用した細胞表面結合試験を、これらの2細胞系
を用いて行った。
上記クローン8とアルファ1−10細胞の両方を、24−ウェル・プレート内で集
密まで培養した。PDGF-BB(200ng/ml)を、PDGFレセプタのダウン・レギュレー
ションを刺激するために、上記細胞の1/2に添加し、そして媒質対照(10mm酢酸
、0.25%ウサギ血清アルブミン)を、他の半分に添加した。これらの細胞を、37
℃において1−2時間インキュベートし、次に4℃に冷却されたPBSで洗浄した
。結合培地中5μg/mlに希釈した精製MAb 162.62,163.31,169.14、及び169.
31を、PDGF-BB処理と非処理対照細胞の3連ウェルに添加した。これらの細胞を
、氷上で約2時間インキュベートし、次に冷PBSで洗浄して、未結合抗体を除去
した。次に、テスト・ウェルを、約400,000cpm/ウェルまで結合培地中で希釈し
た125I−標識ウサギ抗−マウスIgGと共に30分間氷上でインキュベートした。こ
れらのウェルを、PBSで洗浄し、次に抽出バッファーと共にイン
キュベートした。抽出物を収穫し、そしてガンマ・カウンタ内でカウントした。
図1中に示す結果は、MAb 162.62と163.31だけが、非処理対照と比較したときに
PDGF-BB処理クローン8細胞への結合における有意な減少により立証されるよう
に、PDGF−ベータ・レセプタに特異的に結合することを、立証した。MAb 169.14
による高レベルの結合は、この抗体による上昇レベルの非特異的結合による。な
ぜなら、PDGF-BB処理細胞への125I−ウサギ抗−マウスIgG結合において有意な
減少が存在しないからである。これに対して、MAb 169.14と169.31だけが、アル
ファ1−10細胞への特異的結合により立証されるように、PDGF−アルファ・レセ
プタへの結合を示した(図2)。
その抗体が細胞表面PDGFレセプタに結合する能力のために、これらの結果は、
これらの抗体がPDGFレセプタ上の細胞外エピトープを認識することを確信させた
。
実施例7 ヒト皮膚繊維芽細胞に対するPDGF有糸分裂活性の中和
ヒト皮膚繊維芽細胞を、24−ウェル培養皿内でウェル当り約20,000細胞におい
てプレートし、そして2%胎児ウシ血清を含むDMEM(GIBCO BRL)中、静止(qui
escent)まで増殖させた。これらの細胞を、PDGF-AA,AB又はBBのいずれかで剌
激した。標準曲線を、それらの細胞について、5,1.25,0.31及び0ng/mlの最
終濃度の濃度を用いて走らせた。ストックPDGF希釈を、0.25%ウサギ血清アルブ
ミンを含む10mM酢酸により行い、そして50μlの保存サンプル、又は媒質単独を
、培養ウェルに添加して、所望の最終濃度を得た。3つのPDGFリガンドのそれぞ
れの有糸分裂活性を中和する、MAb 162.62と169.14の能力を分析するために、5
ng/mlのPDGFを、20μg/ml(細胞に対する最終濃度)のMAb 162.62と169.14単
独、又は20μg
/mlの上記2抗体のプールと一緒にウェルに添加した。これらの細胞を、37℃に
おいて約20時間上記テスト・サンプルと共にインキュベートした。培地を吸収し
、次に5%胎児ウシ血清を含む1mlのDMEMにより置換し、そして1μCi/mlの〔3
H〕チミジンを補った。これらの細胞を、37℃において4時間インキュベート
し、PBSで洗浄し、次にトリプシンにより収穫し、そしてWallac(Turku,Finlan
d)Betaplateベータ・カウンタ内で〔3H〕チミジンの取込みについてカウント
した。図3A中に表す結果は、PDGF-AA有糸分裂活性がMAb 169.14及びそのプー
ルにより中和されたが、MAb 162.62によっては中和されなかったということを立
証している。PDGF-AB有糸分裂誘発活性(mitogenic activity)は、MAb 162.62
により約80%阻害され、そしてMAb 169.14又はその抗体プールにより92%以上阻
害された(図3B)。これに対し、PDGF-BBは、MAb 169.14によりほんのわずか
に阻害されたが、MAb 162.62により約80%、そしてその抗体プールにより92%以
上阻害された(図3C)。
これらの結果は、PDGF-AAがPDGF−アルファ/アルファ・レセプタ・ダイマー
に結合し、PDGF-ABがPDGF−アルファ/アルファ及び−アルファ/ベータ・レセ
プタ・ダイマーに結合し、そしてPDGF-BBが3つのPDGFレセプタ・ダイマーのす
べて;−アルファ/アルファ、−アルファ/ベータ及び−ベ−タ/ベータに結合
することについて記載するPDGFリガンド結合のモデルと矛盾しない(Hart et al
.,J.Invest.Derm.94:535-575,1990中にレビューされている)。従って、MAb
169.14がアルファ・レセプタに結合し、そしてこれに結合するPDGFを中和する
場合には、PDGF-AA及びABの有糸分裂活性の本質的に100%を中和すると予想され
るであろう。なぜなら、アルファ・レセプタ結合がこれらのリガンドの両方につ
いて必要とされるからである。このモデルは、先に記載した結果と矛盾しない
。MAb 162.62によるPDGF−ベータ・レセプタへの結合及びその中和は、次に、PD
GF-AAと矛盾しないレベルまでPDGF-AB及びBBの有糸分裂誘発性の量を限定すると
予想されるであろう。なぜなら、AB及びBBは、アルファ/アルファ・ダイマーに
結合することができるだけであるからである。再び、これは、先に記載した研究
の発見と矛盾しない。
簡単に言えば、抗−PDGF−レセプタMAb 162.62及び169.14は、上記3PDGFリガ
ンドによるPDGFレセプタ結合に関する最近の仮説と矛盾しないやり方でPDGFのこ
の3形態の有糸分裂活性を阻害することができる。さらに、結合した2抗体の使
用は、ヒト皮膚繊維芽細胞に対するPDGF有糸分裂活性の本質的に100%を阻害す
ることができる。
実施例8 ヒヒ平滑筋細胞に対するPDGF有糸分裂誘発活性の中和
抗−PDGFレセプタMAbを、ヒヒ平滑筋細胞上でPDGF−刺激有糸分裂誘発活性を
中和する能力について分析した。ヒヒ平滑筋細胞上で行ったすべての有糸分裂誘
発検定を、培養中3〜7継代の間の細胞の1次カルチャー上で行った。最初のカ
ルチャーを、大動脈組織体外移植片を生長物から樹立した。ヒヒ平滑筋細胞を、
24−ウェル培養皿内へ、10%胎児ウシ血清を補ったDMEM中でウェル当り約30,000
細胞においてプレートした。使用2日前に、その培養基を除去し、そして1mlの
Mito Media(表I)を、各ウェルに添加して、それらの細胞が静止することを許
容した。本実験時に、細胞を、PDGF-AA,AB又はBBのいずれかにより刺激した。
標準曲線を、図4−6中に示す最終濃度を使用して上記3リガンドのそれぞれに
ついて走らせた。20倍保存溶液を、0.25%アルブミンを含む10mM酢酸中の希釈に
よりPDGF濃度のそれぞれについて行い、そして50μlのPDGF又は希
釈媒質単独を、それらの培養ウェルに添加した。上記抗体中和試験のために、10
,2及び1.25ng/mlの最終PDGF濃度を、それぞれ、PDGF-AA,AB及びBBのために使
用した。MAb 163.31と169.31を、25μg/mlの最終濃度において、PDGF含有ウェ
ルに添加した。この2抗体のプールについて、細胞上の抗体の最終濃度は、全体
として25μg/ml、又は、MAbのそれぞれについて、12.5μg/mlであった。こ
れらの細胞を、37℃において20〜24時間の間、インキュベートした。PDGF-AAとA
B試験のために、50μlの、〔3H〕チミジンの40μCi/ml溶液を、各ウェルに添
加した。PDGF-BB試験のために、培地を吸収し、次に、5%胎児ウシ血清を含む0
.5mlのDMEMにより置換し、そして2μCi/mlの〔3H〕チミジンを補った。これ
らの細胞を、37℃において2〜4時間の間、インキュベートし、PBSで洗浄し、
次にトリプシンにより収穫し、そしてWallac Betaplateベータ・アウンタ内での
〔3H〕チミジンの取込みについてカウントした。図4中に示すように、PDGF-AA
有糸分裂誘発活性は、MAb 169.31及びその抗体プールにより100%中和されたが
、MAb 163.31により中和されなかった。PDGF-AB有糸分裂誘発活性は、個々のMAb
とその抗体プールの両方により完全に阻害された(図5)。MAbの存在中〔3H〕
チミジンの取込みレベルが、媒質対照だけの添加により得られたレベルよりも下
であったということに留意すべきである。これは、PDGF-AAプーレート上のMAb 1
69.31によっても同様に見られた(図4)。PDGF-BB剌激細胞について、MAb 169.
31とMAb 163.31は、個々に、50%未満の中和を支え、一方、この2抗体のプール
は、その有糸分裂活性の約75%を中和することができた(図6)。
ヒヒ平滑筋細胞上のPDGFの有糸分裂誘発応答を中和する、これらの抗体の阻害
能力をさらに証明するために、2つの抗-PDGF-アルフ
ァ・レセプタMAb 169.14と169.31を、PDGF-AA有糸分裂誘発活性を阻害する能力
について分析した。ヒヒ平滑筋細胞を、本質的に先に記載したようにプレートし
、そして処理した。1セットのウェルに、PDGF-AA有糸分裂誘発活性の標準曲線
を作るためにPDGF-AAの増加濃度を添加した(図7A)。このPDGF-AAサンプルは
、10ng/mlから0.31ng/mlまでのレンジにあった。第2セットのウェルに、PDGF
-AAの標準希釈物を、添加して、10ng/mlの最終濃度を得た。MAb 169.14と169.3
1の減少濃度を、次に、それらのウェルに添加して、〔3H〕チミジンのレベルに
おける減少により測定されるような、MAbのそれぞれについての中和能力につい
て測定した(図7B)。この発見は、8ng/mlの抗体においても、PDGF-AAの10n
g/ml溶液の90%を上廻る阻害が存在した。
実施例9 ヒヒ平滑筋細胞に対するヒヒ血清有糸分裂誘発活性の中和
抗−PDGFレセプタMAbを、ヒヒ平滑筋細胞に対するヒヒ血清の有糸分裂誘発能
力を中和するその能力について分析した。ヒヒ平滑筋細胞を、24−ウェル培養血
内に、10%胎児ウシ血清を補ったDMEM中、ウェル当り約30,000細胞においてプレ
ートした。使用3日前に、その培養基を除去し、そして1mlのMito Media(表1
)を、各ウェルに添加して、それらの細胞が静止するようになることを許容した
。この実験の時に、それらの細胞を、さまざまな量のヒヒ血清により刺激した。
標準曲線を、上記血清サンプルについて作った。20倍の保存溶液を、その血清濃
度のそれぞれについて調製し、そして50μlの上記血清希釈物又は希釈媒質、PB
Sを、それらの培養ウェルに添加して、2.5%〜0.15%のレンジにある細胞上の最
終血清濃度を得た。MAb 169.31と163.31を、ヒヒ血清有糸分裂誘発活性を中和す
る能力について分析した。2.5%の最終血清濃度を、上記抗体中
和試験のために使用した。MAb 169.31と163.31を、25μg/mlの最終濃度におい
て上記血清含有ウェルに添加した。これら2抗体のプールについて、それらの細
胞上の抗体の最終濃度は、全体について25μg/ml、又はMAbのそれぞれについ
て12.5μg/mlであった。これらの細胞を、37℃において約20時間、上記血清サ
ンプルと共にインキュベートした。この時、培地を細胞から吸引し、次に5%胎
児ウシ血清を含む0.5mlのDMEMにより置換し、そして2μCi/mlの〔3H〕チミジ
ンを補った。これらの細胞を、37℃において約3時間インキュベートし、PBSで
洗浄し、次にトリプシンにより収穫し、そしてWallac Betaplateベーター・カウ
ンタ内で〔3H〕チミジンの取込みについてカウントした。表8に表す結果は、
ヒヒ血清有糸分裂誘発活性が、MAb 169.31により最小に中和されたが、MAb 163.
31により50%を上廻る程中和されたことを立証している。これらの2抗体のプー
ルは、その血清有糸分裂誘発活性の75%以上を阻害した。
これらの結果は、その有糸分裂誘発活性の大部分が、抗−PDGFレセプタ・モノ
クロナール抗体の使用を通して阻害されることができるということを立証した。
本発明者らによる試験は、ヒヒ血小板内のPDGFの優位形態がPDGF-BBであること
を示している。ヒヒ平滑筋細胞上のPDGFベータ・レセプタの大きなパーセンテー
ジのために、抗−PDGF−ベータ・レセプタMAbが、ヒヒ血清に向っての最大の阻
害活性をもつであろう。
実施例10 ヒヒ血清有糸分裂誘発活性に対する循環MAb 169.31の効果
ヒヒ内への25mg静脈内ボーラス注射の投与後のMAb 169.31の循環レベルをモニ
ターするための試験を行った。血清を、抗体注射後さまざまな間隔において得て
、そして循環抗体のレベルを、ELISAに
より測定した。ヒツジ抗−マウスIgGを、2μg/mlの濃度においてELISAバッフ
ァ−A中、96−ウェル・マイクロタイター皿に添加した。これらのプレートを4
℃において一夜インキュベートし、ELISA Cバッファーで洗浄し、次にELISA Bバ
ッファーと共にインキュベートして、非特異的結合部位を遮断した。これらのプ
レートを、ELISA Cバッファーで洗浄し、次に100μl/ウェルのテスト・サンプ
ルと共にインキュベートした。モノクロナール抗体169.31を含むヒヒ血漿又は血
清を、ELISA Bバッファーにより1:1000希釈し、そしてそれらのテスト・ウェ
ルに添加した。対照ヒヒ血漿又は血清中にスパイクされた精製MAb 169.31から成
る標準を、そのテスト血漿/血清サンプルと同様に、1:1000希釈し、次にそれ
らのテスト・ウェルに添加した。標準は、テスト・ウェル内で100ng/ml〜1.56n
g/mlの最終濃度のレンジ内にあった。これらの血漿/血清サンプルを、37℃に
おいて1〜2時間ウェル内でインキュベートし、それらのウェルをELISA Cバッ
ファーで洗浄し、次にホースラディッシュ・ペルオキシダーゼと結合したヤギ抗
−マウスIgGを添加した。
これらのウェルを、37℃において1時間インキュベートし、ELISA Cバッファ
ーで洗浄し、次に反応バッファーと共にインキュベートした。この反応を、IN
H2SO4の添加により停止させ、そしてこれらのプレートを、490nmにおいてELISA
プレート・リーダー内で読んだ
さらに、注射1時間及び18時間後に得られた血清サンプルの比有糸分裂誘能力
を、測定した。この時に、ヒヒ内の抗体の循環レベルは、それぞれ、46μg/ml
と21μg/mlであると測定された。次にこの1時間と18時間の血清サンプルを、
比有糸分裂誘発活性について対照血清サンプルと比較した。血清サンプルの希釈
物を、先に提
示したヒヒ血清試験において本質的に記載したように培養されたヒヒ平滑筋細胞
に添加した。平滑筋細胞上の最終血清濃度は、1.25%〜0.15%のレンジにあった
。ヒヒ平滑筋細胞を、平均として、〔3H〕チミジンの取込みのレベルについて
モニターして、本質的に先に記載したように、有糸分裂誘発活性を測定した。
表9に表す結果は、対照サンプルと比べて、上記1時間と18時間血清サンプル
の両方についてその比有糸分裂誘発能力において有意な減少があり、その18時間
サンプルが、対照と1時間サンプルとの間に有糸分裂誘発活性において中間にあ
るということを示している。18時間血清サンプル中に存在したMAb 169.31による
中和のレベルは、この抗体がエクスビボにおいて対照ヒヒ血清に添加されるとき
に得られた中和のレベルと矛盾しない(図8)。従って、これらの結果は、ヒヒ
血液中の少なくとも18時間にわたり循環するMAb 169.31が、ヒヒ平滑筋細胞上、
ヒヒ有糸分裂誘発活性を中和するためのその生物学的能力の本質的に全てを保持
しているということを立証している。
実施例11 ヒヒ大動脈体外移植片からの細胞生長物の中和
抗−PDGFレセプタ・モノクロナール抗体を、ヒヒ大動脈組織の体外移植片から
の平滑筋細胞の外への移動の速度を減少させる能力についてテストした。ヒヒの
胸部大動脈の内部媒質を、10mM Hepesを含むDMEM培養基中で切開した。この大動
脈組織を、1平方mmセクションに分け、そしてその体外移植片を、組織培養フラ
スコ上に置いた。その体外移植片がそのフラスコに接着するための時間を与える
10分間のインキュベーション後、培養基、DMEMプラス6μg/mlインシュリン、
5μg/mlトランスフェリン及び10mM Hepesを、その体外移植片に添加し、そし
てそれらのサンプルを、5%CO2と共に
37℃においてインキュベートした。全部で15体外移植片を、各培養フラスコ内に
設置した。体外移植片の樹立後さまざまな時間に、それらの体外移植片を高倍率
の顕微鏡下で検査して、その培養皿上の可視細胞生長をもった体外移植片の数を
カウントした。体外移植片は、少なくとも1の細胞がその培養皿表面上でその体
外移植片組織から外に移動する場合に陽性としてカウントされた。体外移植片は
、少なくとも7日間続いた。実験番号1において、体外移植片を、以下のテスト
・サンプルを含むインシュリン及びトランスフェリンを補ったDMEM培養基中で培
養した:1)50μg/mlにおける抗−PDGFアルファ・レセプタMAb(169.31);
2)50μg/mlにおける抗−PDGFベータ・レセプタMAb(163.31);又は3)DME
M培地単独(対照)。実験番号2においては、抽出物を、DMEMプラス、インシュ
リン及びトランスフェリン、並びに1)各25μg/mlにおける抗−PDGFアルファ
とベータ・レセプタMAb(169.31と163.31)のプール;又は2)DMEM培地単独(
対照)のいずれかの中で培養した。
各テスト条件について細胞生長について陽性な体外移植片の平均パーセンテー
ジ+/−SEMとして表した結果(表V)は、個々の、そしてプールにおける抗−P
DGFレセプタ・モノクロナール抗体が、4及び7日目において測定された時ヒヒ
大動脈体外移植片からの平滑筋細胞生長のレベルを減少させることができるとい
うことを立証している。これらの発見は、これらの抗体が、現存血管組織を通し
て脈管内膜過形成の部位へ向って細胞が移動するのに必要とされるであろうよう
な、固体マトリックスを通しての細胞転移に必要な過程を阻害するとができると
いうことを示している。
実施例12 抗−PDGFレセプタ・モンクロナール抗体の遅い添加によるヒト皮膚繊維芽細胞上 の、PDGF有糸分裂誘発活性の中和
ヒト皮膚繊維芽細胞を、12−ウェル培養皿内でウエル当り約20,000細胞におい
てプレートし、そして2%胎児ウシ血清を含むDMEM中に静止まで増殖させた。こ
れらの細胞を、PDGF-AA,AB又はBBのいずれかにより剌激した。PDGFリガンドの
それぞれの増加濃度を、細胞に添加して、上記3つのPDGFイソ形態について有糸
分裂誘発能力の標準曲線を作った。標準のために使用した最終PDGF濃度は、5,
2.5,1.25,0.62,0.31,0.15及び0.0ng/mlであった。PDGFの50倍保存溶液を、
0.25%ウサギ血清アルブミンを含む10mM酢酸中で調製した。25μlの各保存溶液
を、3連テスト・ウェルに添加した。
MAb 162.62と169.14による中和活性を見るために、繊維芽細胞を含むウェルを、
5ng/mlのPDGF、最終濃度をもってインキュベートした。PDGFサンプルの添加後
のさまざまな時間間隔(1,2,4,6及び8時間)において、MAb 162.62とMA
b 169.14のプールされたサンプル、各MAbについて25μg/mlの最終濃度を、5n
g/mlのPDGFにより処理した。PDGFサンプルの添加9時間後に、1%胎児ウシ血
清を含むDMEM中20μCi/mlの、5Oμlの〔3H〕チミジンを、各ウェルに添加し
た。これらのサンプルを、37℃においてさらに13−15時間インキュベートした。
これらの細胞を、PBSで洗浄し、次にトリプシンにより収穫し、そしてBetaプレ
ート・カウンタ内でカウントした。
表VI中に表す結果を、3連測定についての、取込み〔3H〕チミジンの平均cpm
,+/−標準偏差として与えた。これらのデータは、PDGF標準曲線と、抗体添加
の時間経過の両方のために与えられる。これらの結果は、抗−PDGFレセプタ抗体
がPDGFリガンドの添加遅くとも8時間後にそれらの細胞に添加された時にPDGF-A
Aについての有糸分裂誘発活性において75%減少が存在したことを立証している
。PDGF-ABとBBの両方について、PDGFリガンドの添加の8時間後の抗PDGFレセプ
タの添加が、PDGF有糸分裂誘発活性において90%以上の減少を引き起こした。こ
れらの試験は、抗−PDGFレセプタ・モノクロナール抗体が、PDGFリガンドの存在
後延長された時間において細胞に添加されることができ、そして未だ、PDGF有糸
分裂誘発活性に対する有効な中和効果をもつことを証明した。
実施例13 抗−PDGFレセプタMAbによるヒト骨肉腫細胞からのレセプタ−結合125I-PDGFの置 換
4つのMAb 162.62,163.31,169.14及び169.31を、ヒト骨肉腫細
胞(ATCC CRL 1427)の単層上のPDGFレセプタに結合した125I-PDGF-AA及び125I-
PDGF-BBを置換する能力について分析した。24−ウェル培養プレート内で増殖さ
せたヒト骨肉腫細胞の単層を、結合培地中で希釈した125I-PDGF-AA又は125I-PDG
F-BBと共に4℃において1時間インキュベートした。これらの細胞を、PBSで洗
浄し、次に1mlの、いずれかの結合培地単独、MAb 169.14,169.31,162.62,16
3.31,又は169.31と162.62のプールを、各ウェルに添加した。これらの抗体を、
結合培地中で希釈し、そして5μg/mlの濃度、1mg/ウェルにおいてそれらの
細胞に添加した。これらの細胞を、4℃において1時間洗浄し、次にPBSで洗浄
し、抽出バッファーと共にインキュベートし、次に収穫し、そしてガンマ・カウ
ンタ内でカウントして、125I-PDGF結合のレベルをモニターした。100 ng/mlのP
DGF-BBを、125I-PDGF-AA及び125I-PDGF-BBを含む3連ウェルに添加して、非特異
的結合のレベルを測定した。表VII中に表す結果を、列記したテスト化合物によ
る第2インキュベーション後、125I-PDGF-AA及び125I-PDGF-BBについての比cpm
結合(標準偏差)として示す。%置換値を、結合培地単独ウェル中で結合したcp
mに対して、テストサンプルについての結合したcpmを比較することにより決定し
た。これらの結果は、抗−PDGFアルファ・レセプタMAb,169.14及び169.31が、
前結合した125I-PDGF-AAの約63%を置換することができたことを立証している。
これに対して、抗−PDGFベータ・レセプタMAb 162.62及び163.31は、本質的に効
果を全くもたず、それらのカウントの10%未満を置換する。125I-PDGF-BB結合に
ついては、MAb 169.14と169.31は、前結合カウントの22−25%の間を置換するこ
とができ、一方、MAb 162.62は、それらのカウントの34%を置換することができ
た。169.31と162.62のプールは、前結合125I-PDGF-BBの44%を置換した。これら
の結果は、PDGF結合を遮断することがで
きることに加えて、抗−PDGFレセプタMAbが、細胞−表面レセプタから前結合PDG
F-AA及びBBを置換することもできることを示している。
これまで、本発明を、理解の明確さを目的として説明及び実施例によりいくぶ
ん詳細に説明してきたけれども、特定の変更及び修正が添付のクレームの範囲内
で行われることができるということは自明であろう。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12N 15/09
C12P 21/08 9358−4B
// C07K 16/22 8318−4H
(C12P 21/08
C12R 1:91)
(72)発明者 ケナギー,リチャード ディー.
アメリカ合衆国,ワシントン 98125,シ
アトル,ワンハンドレッドサード ストリ
ート ノースイースト 3018―ビー
(72)発明者 クロウズ,アレクサンダー ダブリュ.
アメリカ合衆国,ワシントン 98122,シ
アトル,フラートン アベニュ 702