【発明の詳細な説明】
繊維製品柔軟化組成物技術分野
本発明は、繊維製品の洗濯サイクルのすすぎ段階で投入される液体繊維製品柔
軟化組成物に関する。特に、いわゆる濃縮タイプの繊維製品柔軟化組成物に関す
る。従来技術
従来の繊維製品柔軟化組成物は、一般に、その活性成分として、窒素原子に長
鎖アルキル基を有する第四アンモニウム基を含む水に比較的不溶性の陽イオン化
合物を含む。そのような化合物の例としては、二水素添加のジメチルタローアン
モニウム塩および対応する未水素添加タロー誘導体が挙げられる。これらの化合
物は通常水性分散液として使用されている。
洗濯用品の収容空間が限られていたり、包装すべき製品の容量を減らすのが好
ましい場合は、活性成分を高レベルで含む濃縮タイプの繊維製品柔軟化組成物が
好ましい。水性分散液に含まれる陽イオン化合物の量を増やすために、電解質、
粘度調節ポリマーおよび補助活性剤を添加することは知られている。しかし、陽
イオン成分の濃度を30重量%以上にすることは依然
として困難である。陽イオン成分の濃度が高いと、組成物は、特に保管時に不安
定になったり、望ましくないほど高粘度となる傾向がみられる。
別の方法は、組成物に有機溶媒を配合することにより、陽イオン繊維製品柔軟
化成分の溶液を作る方法である。この方法では多量の水不溶性成分を配合するこ
とができるが、得られる組成物は一般に引火性が望ましくないほど高く、不快な
臭いもする。
しかし、本発明者らは、陽イオン繊維製品柔軟化化合物を適切に選択すること
により、引火性の低い有機溶媒を使用して高濃度の繊維製品柔軟剤を含む組成物
を作ることができることを見出した。さらに、本発明者らは、陽イオン化合物お
よび溶媒を適切に選択することにより、引火性が低くかつ、凝固温度も低い組成
物が得られることを見出した。このことは、低い凝固温度の組成物を得るために
は、引火点の低い有機溶媒を多く使用する必要があるという今までの経験に反す
るものである。低い凝固温度の組成物は、日本のような洗濯用品を外の冷たい条
件下のマーケットで保管する場合には興味深いことである。発明の開示
本発明によれば、
(1)10〜70重量%の式(I):
[式中、各aは独立して1〜5、好ましくは1〜3であり、bも1〜5、好まし
くは1〜3であり、cは1〜10、好ましくは1〜6、より好ましくは1〜3で
あり、各Rは独立して、炭素数14〜22、好ましくは14〜18の飽和および
不飽和アルキル基から選択され、Yは例えばハロゲン化物、メチル硫酸塩および
エチル硫酸塩から選択される陰イオンである。]の陽イオン繊維製品柔軟剤、
(2)10〜60重量%の有機溶媒または有機溶媒混合物、および所望により、
(3)水
を含む繊維製品柔軟化組成物であって、該陽イオン繊維製品柔軟剤は該有機溶媒
または有機溶媒混合物および任意に存在する水に可溶性であり、該溶媒または溶
媒混合物は、組成物の引火
点が少なくとも25℃、好ましくは少なくとも30℃、特に好ましくは少なくと
も40℃、理想的には少なくとも50℃であるように選択されることを特徴とす
る繊維製品柔軟化組成物が提供される。好ましくは、陽イオン繊維製品柔軟剤が
有機溶媒または溶媒混合物および任意に存在する水に溶解すると実質的に等方性
溶液が生ずる。すなわち、溶液は好ましくは透明であるか、ほんのわずか濁って
いるのみである。
引火点とは、密閉したカップに閉じ込めて製品を加熱したとき、その蒸気が標
準的条件(例えば、平衡時間および圧力)下で炎の存在下で瞬間的に発火する最
低温度を意味する。本明細書で規定する引火点は、Setaflash(商標;Stanhope-
Seta(Chertsey)製)装置を使用し、1分の平衡時間および大気圧を使用して測
定した温度である。
式(I)の陽イオン繊維製品柔軟剤は、好ましくは、繊維製品コンディショナ
ー組成物中に20〜60重量%、特に好ましくは40〜50重量%の量で配合さ
れる。陽イオン繊維製品柔軟剤は単一化合物であってもよいが、化合物の混合物
、例えば異なる鎖長および飽和度のR基を有する化合物の混合物であってもよい
。市販されている適当な繊維製品柔軟剤の一例として、
Varisoft 222(商標;Rewo Sherex製)がある。これは、式(I)(式中、a=
1、b=1およびc=1.7であり、Y-はメチル硫酸塩イオンである)の陽イ
オン繊維柔軟剤を90重量%含み、Varisoft 222のR基の長鎖分布は、
(=は二重結合が1個存在することを意味し、2=は2個の二重結合が存在する
ことを意味する。)である。
実質的に等方性の液体組成物を確実に作るためには、鎖長および飽和度の分布
を適切に選択する必要があると考えられる。一般に、陽イオン化合物の分子量が
高いほど、またR基が長いほど、不飽和の割合が高く、あるいは不飽和R基が増
えてより好ましくなる。一般に、炭素数18以上の飽和炭素鎖の割合は、好まし
くは10%未満、特に5%未満、特に好ましくは3%以下である。
繊維製品柔軟化組成物は、好ましくは20〜50重量%、特に好ましくは20
〜40重量%の有機溶媒または有機溶媒混合物を含む。
溶媒混合物に、陽イオン繊維製品柔軟剤に由来したり、陽イ
オン繊維製品柔軟剤の製造または加工の結果該柔軟剤中に存在する低沸点溶媒が
含まれることがある。そのような溶媒の例としては、イソプロピルアルコールお
よびエタノールが挙げられる。例えば、上記で挙げたVarisoft 222(商標)は、
10%のエタノールを含む90%活性系として市販されている。低分子量アルコ
ール(例えば、C1〜C3モノアルコール)などの低沸点溶媒も繊維製品柔軟化組
成物に添加することができる。しかし、繊維製品柔軟化組成物に含まれる沸点が
100℃未満の溶媒は合わせて10重量%以下であるのが好ましい。低沸点溶媒
が多すぎると、組成物の引火点が余りにも低くなりすぎる。
本発明者らは、多数の比較的高沸点である溶媒が式(I)の陽イオン繊維製品
柔軟剤に対して効果的な溶媒であることを見出した。溶媒および溶媒混合物が効
果的であるか否かは、繊維製品柔軟剤、テスト溶媒またはテスト溶媒混合物およ
び水を含む三成分系の相図をプロットすることにより確認することができる。好
ましい溶媒は、繊維製品柔軟化成分の濃度が広範囲にわたっても等方性液体を容
易に製造することができるものである。
溶媒の有効性は、溶媒を含む三成分系の凝固温度に対する溶
媒の効果を調べることによってもわかる。一般に、凝固温度が降下すると、溶媒
の有効性が高くなることを意味する。本発明者らが見出した、式(I)の化合物
を組成物を配合したときに驚くほど低い凝固温度が得られることから、モデル系
において種々のタイプの繊維製品柔軟剤化合物を使用し、凝固温度に対する溶媒
の効果を調べるのが便利である。例えば、40%のPrapagen 3445(商標;市販
の塩化ジタロージメチルアンモニウム)、テスト溶媒および残部が水の組成物の
凝固温度を測定することができる。このテスト系に30%以下のレベルで存在す
るとき凝固温度が10℃以下になる溶媒が好ましい溶媒である。特に好ましい溶
媒は、少なくともジエチレングリコールブチルエーテル(ブチルカルビトールと
しても知られている。)と同等の効果を有する溶媒である。ジエチレングリコー
ルブチルエーテルの、40%のPrapagen 3445、30%のジエチレングリコール
ブチルエーテル、30%の水を含む系における凝固温度は約9〜10℃である。
好ましい溶媒は、上に概説したテストにより効果的であり、繊維製品柔軟化組
成物の引火点が少なくとも40℃、好ましくは少なくとも60℃であるように沸
点が充分高い溶媒である。
好ましくは、有機溶媒または有機溶媒混合物の大部分を、沸点が100℃以上、
好ましくは150℃以上、特に好ましくは180℃以上の溶媒で構成する。好ま
しくは、組成物中の高沸点溶媒(100℃以上)と低沸点溶媒(100℃未満)
との重量比が少なくとも2:1、好ましくは少なくとも3:1、特に好ましくは
少なくとも5:1である。
適当な高沸点溶媒の例としては、ポリオール、特にプロピレングリコール、ブ
チレングリコール、ペンチレングリコールおよびヘキシレングリコールなどのジ
オール;グリコールもしくはポリグリコールのアルキルエーテル、特にブチルカ
ルビトールなどのジエチレングリコールのアルキルエーテル;ならびにC2〜C6
モノ−、ジ−またはトリ−カルボン酸などの少量の有機酸(例えば、プロピオン
酸または乳酸)が挙げられる。多くの場合、高沸点溶媒の混合物を使用して、例
えば溶媒混合物の有効性を高めたり、個々の成分の望ましくない影響を少なくす
るのが好ましい。例えば、一般に、大量の有機酸を組成物に配合することは、刺
激性を生じる可能性があるので好ましくない。
価格の点で特に好ましい高沸点溶媒は、プロピレングリコー
ルである。しかし、プロピレングリコールのみでは、式(I)の化合物の溶媒と
して特に効果的であるとはいえない。従って、プロピレングリコールを別のさら
に有効な高沸点溶媒と組み合わせて使用するのが好ましい。好ましくは、組成物
におけるプロピレングリコールと他の高沸点溶媒との重量比が20:1〜1:1
0、好ましくは10:1〜1:5、特に好ましくは5:1〜1:1である。プロ
ピレングリコールと組み合わせて使用するのに好ましい溶媒としては、ブチルカ
ルビトール、ヘキシレングリコールおよびプロピオン酸が挙げられる。
本発明の特に好ましい組成物は、30〜60重量%の式(I)の繊維製品コン
ディショナー、20〜40重量%のプロピレングリコール、5〜15重量%の他
の高沸点溶媒(ブチルカルビトールまたはヘキシレングリコールなど)、および
0〜10重量%の低沸点溶媒(エタノールまたはイソプロピルアルコールなど)
を含む。
本発明の組成物は、好ましくは−5℃以下、特に−10℃以下、理想的には−
15℃以下の凝固温度を有する。
いくつかの態様では、本発明の組成物は式(I)の繊維製品柔軟剤の他に、他
の公知の陽イオン繊維製品コンディシ
ョナーを少量含むことができる。ただし、これらは、溶媒混合物に溶解して実質
的に等方性またはほとんど透明な液体を生じるものである。好ましくは、式(I
)の繊維製品柔軟剤と他の全部の陽イオン繊維製品柔軟剤との重量比は、少なく
とも1:2、好ましくは少なくとも1:1、特に好ましくは少なくとも2:1で
ある。
他の陽イオン繊維製品柔軟剤は、pH2.5および20℃の水における溶解度
が10g/l未満である繊維製品付着性(fabric-substantive)陽イオン化合物
であれば何でもよい。かなり好ましい物質は、所望により−OH、−O−、−C
ONH−、−COO−などの官能基で置換または中断された、2個のC12〜C14
アルキルまたはアルケニル鎖を有する第四アンモニウム塩である。
実質的に水不溶性の周知の第四アンモニウム化合物は、下記式:
[式中、R1およびR2は炭素数12〜24の炭化水素基を表し、R3およびR4は
炭素数1〜4の炭化水素基を表し、Xはアニオンであり、好ましくはハロゲン化
物、メチル硫酸塩およびエチル硫酸塩ラジカルから選択される。]を有する。
これらの第四アンモニウム柔軟剤の代表例としては、塩化ジタロージメチルア
ンモニウム、メチル硫酸ジタロージメチルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジ
メチルアンモニウム、塩化ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウム、
塩化オクタデシルジメチルアンモニウム、塩化ジエイコシルジメチルアンモニウ
ム、塩化ジドコシルジメチルアンモニウム、メチル硫酸ジ(水素化タロー)ジメ
チルアンモニウム、塩化ジヘキサデシルジエチルアンモニウム、塩化ジ(ココナ
ツアルキル)ジメ
チルアンモニウムが挙げられる。また、軟質または硬質脂肪酸をベースとする硫
酸ジアルキルエトキシルメチルアンモニウムも好ましい。塩化ジタロージメチル
アンモニウム、塩化ジ(水素化タローアルキル)ジメチルアンモニウム、塩化ジ
(ココナツアルキル)ジメチルアンモニウムおよびメト硫酸ジ(ココナツアルキ
ル)ジメチルアンモニウムが好ましい。
水不溶性の別の種類の好ましい陽イオン化合物は、下記式:
[式中、R6は炭素数1〜4、好ましくは1または2のアルキルまたはヒドロキ
シアルキル基であり、R7は炭素数8〜25のアルキルまたはアルケニル基であ
り、R8は炭素数8〜25のアルケニル基であり、R9は水素または炭素数1〜4
のアルキル基であり、A-はアニオンであり、好ましくはハロゲン化物、メト硫
酸塩およびエト硫酸塩から選択される。]を有する
と考えられるアルキルイミダゾリニウム塩である。好ましいイミダゾリニウム塩
としては、メト硫酸1−メチル−1−(タローイルアミド)エチル−2−タロー
イル−4,5−ジヒドロイミダゾリニウムおよび塩化1−メチル−1−(パルミ
トイルアミド)エチル−2−オクタデシル−4,5−ジヒドロイミダゾリニウム
が挙げられる。他の有用なイミダゾリニウム化合物は、塩化2−ヘプタデシル−
1−メチル−1−(2−ステアリルアミド)−エチル−イミダゾリニウムおよび
塩化2−ラウリル−1−ヒドロキシエチル−1−オレイル−イミダゾリニウムで
ある。また、USP 4127489のイミダゾリニウム繊維製品柔軟化成分も
適当である。種々の陽イオン繊維製品柔軟剤の混合物も、式(I)の化合物とと
もに使用することができる。
組成物はまた、弱酸、例えばリン酸、安息香酸またはクエン酸などのpH緩衝
剤(組成物のpHは、好ましくは6.0未満である。)、再湿潤剤、20〜60
00ppmのレベルで配合される電解質およびC9〜C24脂肪酸などの粘度調節
剤、抗ゲル化剤、香料、香料担体、蛍光剤、着色剤、ヒドロトロープ、消泡剤、
再付着防止剤、酵素、けい光増白剤、乳白剤、グアーガムおよびポリエチレング
リコールなどの安定剤、縮み防止剤、
しわ防止剤、繊維製品巻縮(crisping)剤、しみ防止剤、汚れ放出剤、
殺菌剤、酸化防止剤、腐食防止剤、2−ブロモ−2−ニトロプロパン−1,3−
ジオールである市販のBronopol(商標)などの保存剤、染料、漂白剤お
よび漂白前駆体、ドレープ付与剤、静電防止剤ならびにシリコーンなどのアイロ
ンかけ助剤から選択される1種以上の所望の成分を含むこともできる。
これらの所望の成分を配合する場合は,各々、組成物の5重量%までのレベル
で存在させる。所望の成分の種類および量は、好ましくは、好ましい繊維製品柔
軟化組成物の実質的に等方性という性質に影響を及ぼすことなく溶媒混合物に溶
解し得るように選択する。本発明の組成物で使用するのに適したシリコーンとし
ては、主として鎖状のポリジアルキルまたはアルキルアリールシロキサン(アル
キル基の炭素数は1〜5である。)が挙げられる。シロキサンは、アミドまたは
アミノで置換されていてもよい。シロキサンがアミノ置換されている場合、その
アミン基は第四アミンであってもよい。
組成物はまた、陽イオン繊維製品柔軟剤の他に、非イオン繊維製品柔軟剤など
の非陽イオン性の他の繊維製品柔軟剤を配合
することができる。そのような物質は、典型的には、組成物の5〜10重量%の
範囲のレベルで存在する。
使用の際には、本発明の繊維製品コンディショニング組成物を多量の水に添加
して水溶液を作り、これを処理すべき繊維製品と接触させる。一般に、この水溶
液中の繊維製品柔軟剤の全濃度は30〜500ppmである。繊維製品と水溶液
との重量比は、好ましくは25:1未満、最も好ましくは10:1〜4:1であ
る。
本発明の組成物は、当業者には自明である種々の方法によって作ることができ
る。成分を室温で単に混合するのが便利であり、好ましくは、陽イオン化合物お
よび有機溶媒をまず混合し、次いで、任意成分の水を混合する。図面の簡単な説明
図1Aおよび1Bは、Varisoft 222(図では、「V」で示す。)、水(図では
、「W」で示す。)および有機溶媒の三成分系の相図を示し、テスト溶媒は、(
i)エタノール(E);(ii)プロピレングリコール(P.G.);(iii)ブ
チルカルビトール(B.C.);および(iv)4:1のプロピレングリコール
:ブチルカルビトール(P.G./B.C.)であり、
相図において「L」は等方性液体を示し、「Lα」はラメラ相、「G」はゲルを
示す。
図2は、40%のPrapagen 3445、種々のテスト溶媒および残部が水の系にお
ける、y軸上の凝固温度のx軸上の有機溶媒の重量%による変化を示し、図中、
「P.G.」はプロピレングリコールを示し、「B.C.」はブチルカルビトー
ルを示し、「H.G.」はヘキシレングリコールを示し、「IPA」はイソプロ
ピルアルコールを示し、「P.A.」はプロピオン酸を示す。
本発明の態様を、図面を参照して実施例により下記に記載する。本発明の実施態様 実施例1 適する溶媒の同定
A.相図
Varisoft 222/溶媒/水の三成分系を、成分を室温で単に混合し、最後に水を
添加することにより作った。Varisoft 222は、使用する前に凍結乾燥してアルコ
ールを除去した。
三成分系の相図を図1に示す。相図のLで指定する領域は、
等方性の液体が形成される濃度範囲を示す。有機溶媒としてエタノールのみを使
用した相図(i)は、エタノールがVarisoft 222の非常に効果的な溶媒であり、
広範囲のVarisoft 222濃度で等方性の液体を形成することが可能であることを示
す。しかし、エタノールのみでは、本発明の組成物に配合するのに適切な溶媒と
はいえない。なぜならば、エタノールのみでは、引火点が非常に低くなるからで
ある。
相図(ii)は、エタノールの代わりに、引火性が非常に小さい溶媒であるプロ
ピレングリコールを使用したときの効果を示す。その図は、低濃度のVarisoft 2
22においてのみ等方性の液体が形成されることを示す。すなわち、プロピレング
リコールは、望ましい引火性を付与するが、それ単独で使用した場合本発明の組
成物に使用するための理想的な溶媒とはいえない。
相図(iii)は、引火性が低い別の溶媒であるブチルカルビトールを使用した
場合、等方性の液体が広範囲のVarisoft濃度で形成されることを示す。図(iv
)は、少量のブチルカルビトールを含むプロピレングリコールを主とする溶媒混
合物(4:1のプロピレングリコール:ブチルカルビトール)の場合、相図はブ
チルカルビトールのみで得られる相図と似ている
ことを示す。すなわち、溶媒混合物を使用することにより、より高価であるブチ
ルカルビトールを大量に使用しなくて済む。
B.凝固温度
図2は、40%のPrapagen 3445、x%の有機溶媒および(60−x)%の水
のテスト系における有機溶媒の凝固温度に対する影響を示す。この系における溶
媒の凝固温度に対する影響は、Prapagen 3445の代わりにVarisoft 222または式
(I)の他の陽イオン柔軟剤を含む系におけるその溶媒の有効性の指標とみなす
ことができる。一般に、凝固温度が低いほど、溶媒はより効果的であって、図は
ランキングを示し、有効性の減少する順に、プロピオン酸>イソプロピルアルコ
ール>ヘキシレングリコール>ブチルカルビトール>プロピレングリコールであ
る。
凝固温度の測定は、テスト溶液をエチレングリコール−水浴に入れ、溶液の固
化が認められるまで温度を2時間ごとに1℃だけ下げることにより行った。
既に述べたように、式(I)の化合物をベースとする組成物は、このテストに
よる有効性がブチルカルビトールに等しいかそれ以上である有機溶媒を少なくと
もいくつか含むのが望まし
い。
C.引火点
沸点の異なる一連の溶媒を下記の組成物においてテストし、その組成物の引火
点を調べた。
Varisoft 222 40%
プロピレングリコール 30%
テスト溶媒 10%
エタノール(Varisoft製) 4.44%
水 100%となる量
引火点の測定は、Setaflash(商標)装置で、適切な英国基準〔BS390−
A14(1986),BS6664 part IV(1986)およびBS3
679(1983)〕に従って行った。
例として、沸点の異なる一連のテスト溶媒を使用して得られた製品の引火点を
下記(表I)に示す。
これらの結果は、溶媒の沸点が100℃よりかなり低い場合、40℃以上の引
火点の組成物を得ることが困難であることを示す。
要するに、これらの結果は、Varisoft 222などの式(I)の化合物を繊維製品
柔軟剤として使用する場合、溶媒を適切に選択することにより、引火点が高くか
つ引火性の低い等方性の液体を作ることができることを示す。実施例2
本発明の組成物ならびにそれらの引火点および凝固温度の例を下記表IIに示す
。組成物は全て30℃以上の引火点、−15℃付近またはそれ以下の凝固温度を
示す。Varisoft 222は、10%のエタノールを含む90%活性系として市販され
ている。Varisoftに対して下記に示す%は、活性成分の重量%を示す。その組成
物の引火点を、Setaflash装置を使用して測定した。凝固温度は、上述したよう
にエチレングリコール−水浴中で測定した。
これらの結果は、満足できる引火点および凝固温度を有する等方性液体繊維製
品コンディショナー組成物が、広範囲の濃度で得られることを示す。
濃縮タイプの有機溶媒をベースとする組成物が洗濯機中で水で希釈したときに
満足のいく挙動を示すことを確かめるために、下記のテストを行った。柔軟化テ
ストを、日本型洗濯機において洗濯/すすぎ工程の後に行った。柔軟化効果を、
有機溶媒をべースとする40%活性製品と、同じ活性レベルで使用した対応する
5%Varisoft LT90水性分散液との間で直接比較した。これらのテストによ
り、製品を識別することはできず、このことは、有機溶媒をベースとする組成物
により得られる柔軟化効果が水性組成物のものと同等であることを示す。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1995年2月20日
【補正内容】
別の方法は、組成物に有機溶媒を配合することにより、陽イオン繊維製品柔軟
化成分の溶液を作る方法である。この方法では多量の水不溶性成分を配合するこ
とができるが、得られる組成物は一般に引火性が望ましくないほど高く、不快な
臭いもする。
しかし、本発明者らは、陽イオン繊維製品柔軟化化合物を適切に選択すること
により、引火性の低い有機溶媒を使用して高濃度の繊維製品柔軟剤を含む組成物
を作ることができることを見出した。さらに、本発明者らは、陽イオン化合物お
よび溶媒を適切に選択することにより、引火性が低くかつ凝固温度も低い組成物
が得られることを見出した。このことは、低い凝固温度の組成物を得るためには
、引火点の低い有機溶媒を多く使用する必要があるという今までの経験に反する
ものである。低い凝固温度の組成物は、日本のような洗濯用品を外の冷たい条件
下のマーケットで保管する場合には、興味深いものである。
EP−A−0,234,082は、陽イオン界面活性剤およびC4-7飽和ジカ
ルボン酸を含む固体の繊維製品柔化組成物を開示している。実施例で使用してい
る界面活性剤は、塩化アルキルアンモニウムである。
EP−A−0,038,862は、繊維製品柔軟剤として特定のアミンの使用
を開示している。アミンは、ジエチレントリアミンまたはその高級類似体を2倍
モルの脂肪酸と反応させ、次いでモノ−エトキシ化し、所望により全体または部
分的に中和することにより合成する。アミンを、イソプロパノール、ヘキシレン
グリコール、プロピレングリコール、エチレングリコール、モノメチルエーテル
およびそれらの混合物などの水混和性有機溶媒とともに使用してもよい。
GB−A−2,168,392は、陽イオン繊維製品柔軟剤の液体担体として
、ヘキシレングリコールを単独であるいは低級アルカノールまたは別のグリコー
ルもしくはグリコールエーテルと組み合わせて使用することを開示している。そ
の柔軟剤は、第四アンモニウム化合物でもよく、典型的な例として、アルキルア
ンモニウム化合物が挙げられている。
請求の範囲
1.(i)20〜60重量%の式(I):
[式中、aおよびbは各々独立して1〜5であり、cは1〜10であり、各Rは
独立して炭素数14〜22の飽和および不飽和アルキル基から選択され、Y-は
陰イオンである。]の陽イオン繊維製品柔軟剤、
(ii)10〜60重量%の有機溶媒または有機溶媒混合物、および、所望により
、
(iii)水
を含む繊維製品柔軟化組成物であって、該陽イオン繊維製品柔軟剤は該有機溶媒
または有機溶媒混合物および任意に存在する水に可溶性であり、該溶媒または溶
媒混合物は組成物の引火点が少なくとも25℃であるように選択され、該組成物
は、沸点が100℃未満である溶媒を10重量%以下しか含まず、沸点
が100℃以上の溶媒と沸点が100℃未満の溶媒との重量比が少なくとも2:
1であることを特徴とする繊維製品柔軟化組成物。
2.引火点が少なくとも30℃であることを特徴とする請求項1に記載の組成物
。
3.引火点が少なくとも40℃であることを特徴とする請求項2に記載の組成物
。
4.引火点が少なくとも50℃であることを特徴とする請求項3に記載の組成物
。
5.有機溶媒または有機溶媒混合物の全部もしくは大部分が、沸点が100℃以
上である1種以上の溶媒からなることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項
に記載の組成物。
6.有機溶媒混合物が、沸点が100℃未満である少なくとも1種の溶媒と沸点
が少なくとも100℃である少なくとも1種の溶媒からなり、沸点が100℃未
満である溶媒は組成物の10重量%以下を占め、沸点が少なくとも100℃であ
る溶媒と沸点が100℃未満である溶媒との重量比が少なくとも2:1であるこ
とを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の組成物。
7.沸点が少なくとも100℃である溶媒を有機酸、ポリオール、グリコールも
しくはポリグリコールのアルキルエーテルおよびそれらの混合物から選択するこ
とを特徴とする請求項5または6に記載の組成物。
8.溶媒をプロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール
、ヘキシレングリコール、ブチルカルビトール、プロピオン酸、乳酸およびそれ
らの混合物から選択することを特徴とする請求項7に記載の組成物。
9.溶媒をプロピレングリコール、ヘキシレングリコール、ブチルカルビトール
およびそれらの混合物から選択することを特徴とする請求項8に記載の組成物。
10.有機溶媒混合物が、プロピレングリコールと沸点が100℃以上である少
なくとも1種の他の溶媒からなり、プロピレングリコールと少なくとも1種の他
の溶媒との重量比が20:1〜1:10の範囲であることを特徴とする請求項1
〜9のいずれか一項に記載の組成物。
11.30〜60重量%の式(I)の繊維製品コンディショナー、20〜40重
量%のプロピレングリコール、5〜15重量%の沸点が100℃以上である他の
少なくとも1種の溶媒、お
よび0〜10重量%の沸点が100℃未満の少なくとも1種の低沸点溶媒を含む
ことを特徴とする請求項1〜10のいずれか一項に記載の組成物。
12.凝固温度が−5℃以下であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか
一項に記載の組成物。
13.凝固温度が−15℃以下であることを特徴とする請求項12に記載の組成
物。
14.実質的に等方性の液体であることを特徴とする請求項1〜13のいずれか
一項に記載の組成物。
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(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G
B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV
,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,
RO,RU,SD,SE,SK,UA,UZ,VN,
(72)発明者 ネイリー,ウイリアム・フレデリツク・ソ
ウター
イギリス国、エル・48・2・ジエイ・テイ
ー、マージーサイド、ウイラル、カルデ
イ、ビーテイ・クローズ・2