JP2937306B2 - 繊維製品柔軟化組成物及び該組成物の製造方法 - Google Patents

繊維製品柔軟化組成物及び該組成物の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明は繊維製品柔軟化組成物に係わり、
特に、濯ぎ液に添加する繊維製品柔軟化組成物として用
いるのに適当である、非水溶性のカチオン性繊維製品柔
軟剤とノニオン性安定剤とを含有する生分解性の繊維製
品柔軟化組成物の水性分散液に係わる。
【0002】濯ぎ液に添加する繊維製品柔軟化組成物は
公知である。この種の組成物は典型的には、水中に分散
させた非水溶性の第四アンモニウム繊維製品柔軟剤を該
柔軟剤のレベルが7重量%以下となる量か、または7〜
50重量%となる量で含有し、その際柔軟剤含量が前者
の組成物は稀釈物と看做され、後者の組成物は濃縮物と
看做される。繊維製品柔軟化組成物は、望ましくは柔軟
化以外の効果も発揮する。そのような効果の一つに、繊
維製品、特にポリエステル繊維から成る織物によごれ放
出特性を付与する効果が有る。
【0003】繊維製品柔軟化組成物に関連する問題の一
つとして、このような組成物の貯蔵時の物理的不安定性
が挙げられる。この問題は、組成物が濃縮物である場
合、及び貯蔵が低温で行なわれる場合に深刻化する。
【0004】しかし、濃縮物であってしかも低温で安定
に貯蔵できることが消費者の要望である。物理的不安定
性は貯蔵時、組成物が流動不能となり、更には非可逆的
ゲル状にもなりかねないようなレベルまで粘稠化する事
態として現われる。粘稠化は、組成物が好ましく用いら
れることを不可能にしてしまうので甚だ望ましくない。
【0005】過去に、濯ぎ液に添加する繊維製品柔軟化
組成物の物理的安定性は、粘度調整剤もしくはゲル化防
止剤の添加によって改善された。例えばヨーロッパ特許
第13780号(Procter & Gamble)
では、幾つかの濃縮組成物に粘度調整剤を添加する。こ
の粘度調整剤はC10〜C18脂肪アルコールを含有し得
る。最近、ヨーロッパ特許第280550号(Unil
ever)において、生分解性のエステル結合第四アン
モニウム化合物と脂肪酸とを含有する稀釈組成物の物理
的安定性をノニオン界面活性剤の添加によって改善する
ことが提案されている。
【0006】生分解性のエステル結合第四アンモニウム
化合物を含有する濃縮組成物では、物理的不安定性の問
題は従来の第四アンモニウム化合物を含有する組成物の
場合よりも重大である。
【0007】ヨーロッパ特許第0 040 562号
(Lesieur Cotelle)では、エステル結
合第四アンモニウム化合物を含有する濃縮物にノニオン
性の乳化剤/安定剤を添加して粘稠ゲルを生成する。用
いる安定剤は、酸化エチレン9分子でエトキシル化した
12〜C14アルコールである。しかし、アルコールの枝
分かれの程度については言及されていない。
【0008】或る種のノニオン性安定剤は、生分解性第
四アンモニウム化合物を含有する濃縮組成物を安定化す
るのみでなく環境に優しくもあり、即ちそれらの安定剤
は許容可能な生分解性を示し、実質的に水中生活系に有
毒でない。
【0009】繊維製品によごれ放出特性を付与すること
は通常、普通は高分子量ポリマーであるよごれ放出剤を
別の処理用の洗剤組成物に含有させることによって実現
する。例えばヨーロッパ特許公開第0 398 133
号(Procter & Gamble)には、繊維製
品コンディショニング組成物に含有させるカチオンポリ
マー性よごれ放出剤が開示されている。
【0010】よごれ放出剤を含有させた組成物は、配合
成分の数が増し、コストが上昇し、かつ環境的に許容さ
れにくくなるという点で不利である。
【0011】本願出願人は今や、生分解性のエステル結
合第四アンモニウム化合物を含有する繊維製品柔軟化組
成物が繊維製品に優れたよごれ放出特性を付与し得るこ
とを発見した。
【0012】即ち、本発明はその一態様において、非水
溶性のカチオン性繊維製品柔軟剤とノニオン性安定剤と
を含有する繊維製品柔軟化組成物を提供し、この組成物
は前記繊維製品柔軟剤が少なくとも一つのエステル結合
を有する生分解性の第四アンモニウム物質であること、
及びノニオン性安定剤が i) 10〜20モルの酸化アルキレンでアルコキシル
化した直鎖C8〜C22アルコール、または ii) C10〜C20アルコールもしくはその混合物 であることを特徴とする。
【0013】ノニオン性安定剤は、10〜20モルの酸
化アルキレンでアルコキシル化した直鎖C8〜C22アル
コールである方が有利である。
【0014】好ましくは、本発明の組成物は水性ベース
から成る液体である。
【0015】本発明の繊維製品柔軟化組成物が含有する
非水溶性のカチオン性繊維製品柔軟剤は、一つ以上のエ
ステル結合を介してN原子と結合した2個のC12〜C28
アルキルまたはアルケニル基を有する化合物であること
が有利である。
【0016】本発明による組成物中に好ましく用い得る
エステル結合第四アンモニウム物質は、式
【0017】
【化1】
【0018】によって表わすことができる〔式中2個の
基R1はC1〜C4アルキル、アルケニル及びヒドロキシ
アルキル基の中から互いに独立に選択され、また2個の
基R2はC8〜C28アルキル及びアルケニル基の中から互
いに独立に選択され、Tは
【0019】
【化2】
【0020】または
【0021】
【化3】
【0022】であり、nは0〜5の整数である〕。
【0023】式
【0024】
【化4】
【0025】〔式中R1、n及びR2は先に規定したとお
りである〕によって表わせる化合物も第二の好ましい第
四アンモニウム物質である。
【0026】上記のような好ましい物質とその製法と
は、例えば米国特許第4 137 180号(Leve
r Brothers)に開示されている。好ましく
は、上記物質は米国特許第4 137 180号に開示
されているような対応するモノエステル、即ち例えば1
−タロウオキシ,2−ヒドロキシトリメチルアンモニウ
ムプロパンクロリドを少量含む。
【0027】エステル結合第四アンモニウム化合物のレ
ベルは好ましくは組成物の1重量%以上で、更に好まし
くは3重量%を上回り、7重量%より多量のエステル結
合第四アンモニウム化合物を含有する濃縮組成物が特に
好ましい。エステル結合第四アンモニウム化合物のレベ
ル範囲は好ましくは1〜80重量%、更に好ましくは3
〜50重量%で、最も好ましいのは8〜50重量%であ
る。
【0028】本発明の組成物に用い得る適当なノニオン
性安定剤として、C〜C22第一直鎖アルコールと1
0〜20モルの酸化エチレンとの縮合物が挙げられる。
本明細書中で“直鎖アルコール”という語は、炭化水素
主鎖構造に直接結合した第一アルコールを意味する。上
記酸化エチレンの用量が10モル未満であると、特にア
ルキル鎖がタロウ(獣脂)範囲内に有る場合、安定剤の
水生生物毒性(aquatic toxicity)が
許容不能に増大してしまう。安定剤の水生生物毒性は酸
化エチレンのモル数とアルキル鎖の長さとの両方に関連
するので、水生生物毒性の指標としてHLB値を用い得
ることが判明した。HLBが約12より大きいと、1m
g/lを上回る許容能な急性水生生物毒性値(ミジン
コ及び藻類に関してはEC5048時間であり、魚類に
関してはEC5096時間である)がもたらされる。直
鎖アルコールを選択し、かつ20モル以下の酸化エチレ
ンを用いることによって、許容可能な生分解性を有する
ノニオン性安定剤を得ることができる。しかし、20を
越える酸化エチレン単位を含むノニオン性安定剤を用い
ても安定性には有益であろう。アルコールは飽和でも不
飽和でもよい。いずれもHoechst AGから入手
可能なGenapol T−110、Genapol
T−150、Genapol T−200及びGena
pol C−200、BASFのLutensol A
T18、HoechstのGenapol O−100
及びGenapol O−150、または、例えばAl
bright & WilsonのLaurex CS
やSherexのAdol 340といった脂肪アルコ
ールが好ましい。好ましくは、ノニオン性安定剤のHL
Bは10〜20であり、12〜20であれば更に好まし
い。
【0029】ノニオン性安定剤のレベルは好ましくは
0.1〜10重量%、更に好ましくは0.5〜5重量%
であり、1〜4重量%が最も好ましい。第四アンモニウ
ム化合物対ノニオン性安定剤のモル比は40:1から約
1:1で、好ましくは18:1から約3:1である。
【0030】本発明の組成物には、例えばC8〜C24
ルキルまたはアルケニルモノカルボン酸やそのポリマー
のような脂肪酸も含有させ得る。好ましくは飽和脂肪
酸、特に硬化獣脂C16〜C18脂肪酸を用いる。脂肪酸は
好ましくは未鹸化であり、更に好ましくは例えばオレイ
ン酸、ラウリン酸または獣脂脂肪酸を含まない。
【0031】脂肪酸物質のレベルは好ましくは0.1重
量%を上回り、更に好ましくは0.2重量%を上回る。
0.5〜20重量%、特に1〜10重量%の脂肪酸を含
有する濃縮物が特に好ましい。第四アンモニウム物質対
脂肪酸物質の重量比は、好ましくは10:1から1:1
0である。
【0032】本発明の組成物は2.0より大きいpHを
有することが好ましく、その際pHが5より小さければ
更に好ましい。
【0033】本発明の組成物には、非水性溶剤、pH緩
衝剤、香料、香料キャリヤ、蛍光剤、着色剤、ヒドロト
ロープ、消泡剤、再付着防止剤、酵素、蛍光増白剤、不
透明剤、防縮剤、皺防止剤、染み防止剤、殺菌剤、殺黴
剤、酸化防止剤、防食剤、襞付け剤、帯電防止剤及びア
イロン掛け補助剤の中から選択した1種以上の任意成分
も含有させ得る。
【0034】本発明の組成物には、ラノリンとその誘導
体のようなノニオン性の繊維製品柔軟剤を含有させるこ
とも可能である。
【0035】
【実施例】本発明を、以下の非限定的な実施例によって
詳述する。各実施例において、組成百分率は総て重量に
基づく。
【0036】実施例1 液状の繊維製品柔軟化組成物を次のように製造した。
【0037】カチオン性繊維製品柔軟剤と、脂肪酸と、
更に適宜にノニオン性安定剤とを予め混合し、かつ一緒
に加熱して、透明な溶融体を製造した。このように製造
した溶融混合物を70〜80℃の水に、一定の攪拌下に
少なくとも1分掛けて添加して、分散液を製造した。
【0038】得られた組成物の粘度を、周囲温度または
5℃で21日間貯蔵後にHaake回転式粘度計(ro
toviscometer)で測定した。
【0039】 組成物 A B C D E F G 成分 Arquad 2HT1) 12.8 − − − − − − HT TMAPC2) − 16 16 16 16 11.6 12.6 脂肪酸3) 3.2 2.7 2.7 2.7 2.7 1.9 2.
1 獣脂11EO4) − 3 − − − − − ヤシ油10EO5) − − 2 − − − − 獣脂20EO6) − − − 3 − − − アルコール7) − − − − − 1.5 1.5 水+微量物質 全体を100とする量110s -1 での粘度(mPa) 周囲温度 159 77 34 43 90 53 50 5℃ 155 66 38 47 ゲル 50 50 注記:組成物Aは、現在英国でLeverにより商標“COMFOR
T”の下に市販されている繊維製品柔軟化組成物に対応
する。
【0040】1); Arquad 2HTは、Akzo Chemieから入手
可能なジ硬化獣脂ジメチルアンモニウムクロリドであ
る。
【0041】2); HT TMAPCは、Hoechstから入手可能な
1,2ジ硬化タロウイルオキシ−3−トリメチル−アンモニ
オプロパンクロリドである。
【0042】3); Unichemaから入手可能な硬化獣脂脂
肪酸Pristerine 4916。
【0043】4); 11モルの酸化エチレンでエトキシル
化した獣脂アルコールで、HLB13。
【0044】5); 10モルの酸化エチレンでエトキシル
化したヤシ油アルコールで、HLB14。
【0045】6); 20モルの酸化エチレンでエトキシル
化した獣脂アルコールで、HLB20。
【0046】7); Albright & Wilsonから入手可能であ
る、65〜80%のC18及び20〜23%のC16を含有する獣脂ア
ルコールLaurex CS。
【0047】測定結果は、5℃での短期貯蔵で、通常の
第四アンモニウム化合物を含有する公知の繊維製品柔軟
化組成物(組成物A)が物理的不安定性を示さない一方
で、エステル結合第四アンモニウム化合物及び脂肪酸を
含有する組成物(組成物E)では問題が生起することを
示している。また、選択したノニオン性安定剤の添加に
よって安定性の低下が阻止でき、安定な濃縮組成物が得
られることも、上記の結果から明らかである。
【0048】実施例2 下記の組成を有する液状の繊維製品柔軟化組成物A及び
Bを、実施例1に述べた方法で製造した。得られた組成
物での処理によってポリエステル試験片に付与されるよ
ごれ放出特性を、染みを付けた試験片を有標洗剤組成物
中で洗濯した後に該試験片の反射率変化を測定すること
によって評価した。まず、試験片を、組成物AまたはB
を0.67ml含有する14°FHの水1l中で5分間
濯いだ。次に試験片を綱に吊して乾燥し、乾燥した試験
片にスダンレッド染料0.06%含有のオリーブオイル
100μlで染みを付けた。染みを最低2日間広がらせ
た後、染みを付けた試験片の反射率(R1)をICSマ
イクロマッチで測定した。その後試験片を、14°FH
の水にLeverから入手可能なNew System
Persil Automaticを5g/lの量で
用いて、15分の洗濯サイクルで洗い、濯ぎ、かつ綱に
吊して乾燥した。前処理した試験片の洗濯後の反射率
(R2)を測定し、洗浄率(%)を次の式 洗浄率(%)=[(Ks1−Ks2)/Ks1]×100 〔式中Ks1=(1−R12/2R1、Ks2=(1−
22/2R2〕に従って計算した。
【0049】上記洗浄率が高いほどよごれ放出効果は大
きい。
【0050】 組成物 A B 成分(重量%) Arquad 2HT1) − 12.8 HT TMAPC2) 11.6 − 脂肪酸3) 1.9 3.2 獣脂11EO4) 2.5 − 水及び微量物質 全体を100とする量洗浄率(%) 30 21 注記:組成物Bは、現在英国でLeverにより商標“COMFOR
T”の下に市販されている繊維製品柔軟化組成物に対応
する。1)2)3)及び4)は実施例1と同様である。
【0051】上記結果は、通常の第四アンモニウム化合
物を含有する公知組成物(組成物B)のよごれ放出効果
の方が本発明による組成物(組成物A)のよごれ放出効
果より小さいことを示している。
【0052】実施例3 本発明による組成物の好ましい組成例は次のとおりであ
る。
【0053】 組成物 A B C 成分(重量%) HT TMAPC2) 11.6 11.6 11.6 脂肪酸3) 1.9 1.9 1.9 獣脂11EO4) − 2.5 − 獣脂アルコール7) 1.5 − − 獣脂15EO8) − − 1.5 イソプロピルアルコール 1.6 1.6 1.6 グリセロール 1.6 1.6 1.6 香料、染料及び微量物質 0.8 0.8 0.8 水 全体を100とする量 注記:2)3)4)及び7)は実施例1と同様である。
【0054】8); 15モルの酸化エチレンでエトキシル
化した獣脂アルコール。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 グラハム・アンドリユー・ターナー イギリス国、エル・62・6・イー・エ イ、マージイーサイド、ウイラル、ブロ ウムボロウ、レツドブロツク・クロー ズ、2 (56)参考文献 特開 平1−162872(JP,A)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 非水溶性のカチオン性繊維製品柔軟剤と
    脂肪酸物質とノニオン性安定剤とを含有する繊維製品柔
    軟化水性且つ液体組成物であって、前記繊維製品柔軟剤
    が次式(1) : 【化1】 (式中、各R基はC〜Cアルキル、アルケニル及
    びヒドロキシアルキル基から独立に選択され、各R
    はC〜C28アルキル及びアルケニル基から独立に選
    択され、Tは 【化2】 または 【化3】 であり、nは0〜5の整数である)又は次式(2) : 【化4】 (式中、R、n及びRは上記の定義通りである)で
    表わされる生分解性の第四アンモニウム物質であり、ま
    たノニオン性安定剤はi) 11〜20モルの酸化アル
    キレンでアルコキシル化した直鎖C〜C22アルコー
    ル、またはii) ノニオン性安定剤i)とC10〜C
    20アルコールとの混合物であることを特徴とする前記
    繊維製品柔軟化水性且つ液体組成物。
  2. 【請求項2】 第四アンモニウム物質含量が1重量%以
    上であることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
  3. 【請求項3】 ノニオン性安定剤含量が0.1〜10重
    量%であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    組成物。
  4. 【請求項4】 0.1重量%より多量の脂肪酸物質を含
    有することを特徴とする請求項1からのいずれか1項
    に記載の組成物。
  5. 【請求項5】 3〜50重量%の第四アンモニウム物質
    と、0.5〜5重量%のノニオン性安定剤と、0.5〜
    20重量%の脂肪酸物質とを含有することを特徴とする
    請求項1からのいずれか1項に記載の組成物。
  6. 【請求項6】 ノニオン性安定剤i)のHLBが10〜
    20であることを特徴とする請求項1からのいずれか
    1項に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 請求項1からのいずれか1項に記載の
    液状の繊維製品柔軟化組成物を製造する方法であって、 i) カチオン性繊維製品柔軟剤と脂肪酸物質とノニオ
    ン性安定剤とを混合及び加熱して溶融体を製造するステ
    ップ、及び ii) 前記溶融体を水中に分散させるステップを含む
    繊維製品柔軟化水性且つ液体組成物製造方法。
JP4067575A 1991-03-25 1992-03-25 繊維製品柔軟化組成物及び該組成物の製造方法 Expired - Fee Related JP2937306B2 (ja)

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