【発明の詳細な説明】
キラルカルボン酸類の対掌体選択的製造
発明の背景
本発明はアルデヒドの酸化状態にあるラセミ前駆体からキラルカルボン酸を対
掌体選択的に製造する方法に関する。この前駆体のキラルカルボン酸への転化は
前駆体を微生物又は微生物に由来する酵素調製物に暴露することによって達成さ
れる。
アルデヒド類のカルボン酸類への酸化は有機化学の1つの古典的な手法である
。しかし、典型的な化学的オキシダント類は、出発原料がラセミ体である場合に
は、可能な対掌体生成物間に選択性をもたらさない。他の反応において、ある転
化が酵素を用いて実施できる場合、その転化が対掌体選択性であることが、時に
見いだされることがあることは知られている。かくして、例えばパターソン(P
atterson)ら[J.Org.Chem.、46、4682−4685(
1981)]は、グリオキサラーゼIとグリオキサラーゼIIを使用するα−ケ
トアルデヒド類の光学活性α−ヒドロキシ酸類への酵素転化について述べている
。本発明者らは、ラセミ体アルデヒド類のキラルカルボン酸類への、微生物又は
微生物に由来する酵素を使用する対掌体選択性転化の例を知らない。
ラセミ体アルデヒド類のキラル酸類への対掌体選択性転化は、製剤工業、特に
、NSAID群のキラル酸、例えばイブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキ
セン及びフルルピプロフェン(flurbiprofen)の単一対掌体の合成
工業において特に有用な方法であると思われる。NSAID類においては、ほと
んどの薬剤におけるように、ラセミ体の一方の対掌体は医療状態の治療において
他方の対掌体より活性であることが多い。例えばイブプロフェンについて言うと
、そのS体は鎮痛剤としてR体の約100倍も活性である。
現在、世界中の製薬会社は、当局から、全ての薬剤を純粋な活性形で供給する
よう管理しなければならないと言う圧力を受けている。その理由は、ある薬剤の
一方の対掌体は所望とされる活性を有するのに、他方は所望とされる活性を生み
出すことに関して不活性であるのみならず、無関係な性質や有害な薬理的性質さ
え有すると言う危険が常に存在することにある。これは、最も悲劇的なケースと
して、S体は有効な鎮痛剤であるが、R対掌体は催奇性物質である薬剤のサリド
マイドの場合に証明された。
イブプロフェンの純粋なS対掌体を得るようにイブプロフェンを合成し、或い
は分割する方法は知られている。
山本ら[Appl.Env.Microbiol.、56、3125−312
9(1990)]は、アシネトバクター属細菌を使用する2−(4’−イソブチ
ルフェニル)プロピオニトリル(II)のラセミ体からS−イブプロフェン(I
a)を95%を越える対掌体過剰率(enantiomeric excess
:ee)で合成することについて述べている:
コッブスら(米国特許第5,108,916号明細書)は、カンジダ・ルゴサ
(Candida rugosa)に由来するリパーゼを使用してフェノプロフ
ェン(III)及びイブプロフェン(XV)のメチルエステルを対掌体選択的に
加水分解して対応するS−酸を95%eeで生成させる方法を明らかにしている
:
ナプロキセン(IV)について同様の方法がグ(Gu)らによって述べられて
いる[Tet.Lett.、27、1763−1766(1986)]:
バートラ(Bertola)ら(米国特許第5,108,917号明細書)は
、ラセミ体イブプロフェンメチルエステルからアセトバクター属、バチルス属及
びブドウ球菌属の細菌を使用してR−異性体に富むイブプロフェンを製造する方
法を明らかにしている。
バートラら(欧州特許出願第274,146号明細書)は、2−(6−メトキ
シ−2−ナフチル)ヘプタン(V)の微生物指令酸化反応によりS−ナプロキセ
ンを70%を越える収率で製造する方法を明らかにしている。この酸化に有用な
微生物はエクソフィアラ属(Exophiala)及びリノクラディエラ属(R
hinocladiella)に見いだされた:
マトソン(Matson)ら(米国特許第5,077,217号明細書)及び
ワルド(Wald)ら(米国特許第5,057,427号明細書)は、膜反応器
でのラセミ体エステルの酵素分割法を明らかにしている。イブプロフェンとナプ
ロキセンについては、典型的な水溶性エステルが説明されている。好ましい酵素
はアルカリ性のプロテアーゼ類、エステラーゼ類及びリパーゼ類である。
以上の方法はプロフェン類としても知られるフェニルプロピオン酸NSAID
類の単一の異性体をニトリル類の加水分解によって、親酸のエステルの加水分解
によって、またアルキルベンゼン類のα−酸化によっても得るのに有用であると
思われる。ラセミ体イブプロフェンの商業的製造に現在使用されている方法は英
国特許第1,160,725号明細書に記載されるもので、その反応は反応式A
:
で示される。
気付かれるであろうに、ニトリル類、親酸のエステル類及び酸化性のアルキル
ベンゼン類は中間体の中には生成していない。従って、プロフェンの単一の異性
体を製造する現存する方法には、そのいずれを使用しても、ラセミ化合物の製造
に用いられる工程に加えて更なる工程が伴われる。
しかして、商業的製造の正規の過程で既に入手できるようになっている中間体
から進めるイブプロフェンのキラル合成の必要が存在する。
また、アルデヒド中間体を通して合成されるかもしれないその他のカルボン酸
類のキラル合成の必要も存在する。
発明の概要
本発明の1つの目的はラセミ体アルデヒド(例えば、VIII)又はグリシド
酸エステル(例えば、VII)をキラルカルボン酸(例えば、Ia)に対掌体選
択的に転化する方法を提供することである。
この目的及び他の目的、特徴及び利点は、キラルカルボン酸の単一の対掌体、
又はキラルカルボン酸の単一の対掌体に富む対掌体混合物を製造する方法に関す
る本発明により与えられる。この方法は、アルデヒド類、アルデヒド類の重亜硫
酸塩付加生成物及びグリシデート類から選ばれる前駆体を、微生物又は微生物に
由来する酵素調製物に暴露することによってその前駆体をキラルカルボン酸の単
一の対掌体、又はキラルカルボン酸の単一の対掌体に富む対掌体混合物に転化す
ることから成る。カルボン酸はイブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン
及びフルルビプロフェンより成る群から選ばれるα−置換プロピオン酸系薬剤(
プロフェン)であるのが好ましい。この転位反応の遂行能は微生物、特に細菌の
中にかなり広く認められる。前駆体がアルデヒド又は重亜硫酸塩付加生成物であ
る場合、好ましい酵素調製物はIUB命名法でオキシドレダクターゼと称される
デヒドロゲナーゼを含有するものでる。
1つの態様において、カルボン酸はイブプロフェンであり、単一の対掌体はS
−イブプロフェンである。本発明のイブプロフェンの態様に関して好ましい微生
物は細菌、特にグラム陰性の棹状菌である。シュードモナス属、アエロモナス属
、エシェリキア属、アクロモバクター属及びアルカリゲネス属の代表的なものが
好ましく、そしてシュードモナス・ポーシモビリス(paucimobilis
)とアルカリゲネス・ファエカリス(faecalis)が最も好ましい。所望
とされる生成物がイブプロフェンである場合、1つの前駆体はα−メチル−4−
(2−メチルプロピル)ベンゼンアセトアルデヒド(VIII)であり;もう1
つの前駆体はα−ヒドロキシ−β−メチル−4−(2−メチルプロピル)ベンゼ
ンエタンスルホン酸塩(VII)であり;更にもう1つの前駆体は3−メチル−
3−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]オキシラン−2−カルボン酸塩(
XIII)である。好ましい微生物はシュードモナス・ポーシモビリスとアルカ
リゲネス・ファエカリスである。
もう1つの態様において、カルボン酸はナプロキセンであり、好ましい前駆体
はα−ヒドロキシ−β−メチル−6−メトキシ−2−ナフタレンエタンスルホン
酸塩であり、そして微生物はアセトバクター属、アシネトバクター属、アルトロ
バクター属、アスペルギルス属、バチルス属、ブレビバクテリウム属、カンジダ
属、シュードモナス属、ロドコッカス属及びセラチア属である。
もう1つの態様において、カルボン酸はケトプロフェンであり、好ましい前駆
体はα−ヒドロキシ−β−メチル−3−ベンゾイルベンゼンエタンスルホン酸塩
であり、そして好ましい微生物はバチルス属及びサッカロミセス属である。
もう1つの側面では、本発明は式IX:
を有する前駆体の、式X:
を有するカルボン酸への対掌体選択性転化法に関する:但し、上記の式において
R1はアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R2は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R3は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
M+はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
ここで、R1、R2及びR3は異なる基である。
この方法は、前駆体をカルボン酸に対掌体選択的に転化する微生物又は微生物
に由来する酵素調製物の作用にその前駆体を付すことから成る。微生物は細菌、
酵母菌又は真菌であるのが好ましい。
本発明で使用されるラセミ体化合物、アンビスケール性(ambiscale
mic)化合物及びスケール性(scalemic)化合物又は対掌体的に純粋
な化合物の化学式の表示方法はマエール(Maehr)のJ.Chem.Ed.
、62、114−120(1985)による。かくして、黒塗りと破線のくさび
形(例えば、Ia)はキラル要素の絶対配置を示すために用いられ;線で囲まれ
たくさび形と点線又は折れ線(例えば、X)は不確定絶対配置(indeter
minate absolute configruration)の対掌体的
に純粋な化合物を示す。
1つの好ましい態様において、R1は置換アリールであり、R2はメチルであり
、そしてR3は水素である;ここで、R1が3−ベンゾイルフェニル、4−(2−
メチルプロピル)フェニル、3−フルオロ−4−フェニルフェニル又は6−メト
キシ−2−ナフチルであるものが最も好ましい。
もう1つの側面では、本発明は式XI:
を有する前駆体の、式Xa:
を有するカルボン酸への対掌体選択性転化法に関する:但し、上記の式において
R1はアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R2aはアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
M+はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
ここで、R1及びR2aは異なる基である。
R1が置換アリールであり、そしてR2aがメチルであるのが好ましい。この方
法は、前駆体を対応するカルボン酸に対掌体選択的に転化することができる細菌
、真菌及び酵母菌より成る群から選ばれる微生物又はこれら微生物に由来する酵
素調製物の作用にその前駆体を付すことから成る。
シュードモナス属、アエロモナス属、エシェリキア属、アセトバクター属、ア
ルトロバクター属、アシネトバクター属、セラチア属、フラボバクテリウム属、
クルイベラ属(Kluyvera)、ミクロコッカス属、ロドコッカス属、アル
カリゲネス属、バチルス属及びブレビバクテリウム属からの細菌、サッカロミセ
ス属及びカンジダ属からの酵母菌、並びにケカビ属、アブシディア属、アクチノ
ケカビ属、ユーペニシリウム属、アクレモニウム属(Acremonium)及
びアスペルギルス属からの真菌が前記の転位反応を行うことができるそのような
微生物に入る。
もう1つの側面において、本発明はラセミ体アルデヒド又はアルデヒド均等物
の光学的に実質的に純粋なプロフェンへの対掌体特異性転化法にして、次の:
(a)微生物の複数のコロニーを基質上の水性培地中で増殖させ;
(b)コロニーの上にやや溶けにくい上記のアルデヒド又はアルデヒド均等物
を懸濁含有するか、又は可溶性のアルデヒド均等物(重亜硫酸塩付加物又はグリ
シデート)を溶解含有する不透明な水性培地を重ね、そしてその微生物の増殖を
続け;
(c)その不透明な培地が透明になっているか、又はその逆になっているその
ようなコロニーを初めに選択し;
(d)そのアルデヒド又はアルデヒド均等物を初めに選択されたコロニーの各
培養物と共にインキュベートすることによってそのアルデヒド又はアルデヒド均
等物をプロフェンに転化し;
(e)生成したままのプロフェン異性体の対掌体比を測定し;
(f)その対掌体比に基づいて培養物について2回目の選択を行い;そして
(g)そのアルデヒド又はアルデヒド均等物を2回目に選択された培養物の内
の1つの培養物と共にインキュベートすることによってそのアルデヒド又はアル
デヒド均等物を光学的に実質的に純粋なプロフェンに転化することから成る上記
方法に関する。アルデヒド又はアルデヒド均等物は、例えば次の式VIII、X
II及びXIII:
及び
である。
1つの好ましい態様において、培養物について2回目の選択を行う工程(f)
では、実質的に純粋なケトプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン又は
イブプロフェンの各対掌体、特にS−イブプロフェンが最大収率で生成させるそ
のような培養物が選ばれる。
詳細な説明
本発明はアルデヒドの酸化状態にあるラセミ体前駆体をキラルカルボン酸に転
化する方法を包含する。前駆体はそのキラルカルボン酸に対応するアルデヒドで
あるか、又はグリシド酸であって、それらの転化は前者の場合は形式的には酸化
反応であり、後者の場合は脱カルボキシル基反応と形式的酸化反応の両反応であ
る。
ラセミ前駆体は、通常、形式的に酸化されている部位に対してキラル中心のα
−位における対掌体の混合物である。しかし、これは必要条件ではない。即ち、
キラル中心は、原則的には、前駆体分子の他の位置にあることもできると思われ
る。
上記の転位反応を行うことができる微生物は、グラム陰性細菌(シュードモナ
ス属、アエロモナス属、エシェリキア属、アセトバクター属、アシネトバクター
属、セラチア属及びアルカリゲネス属)、グラム陽性細菌(バチルス属及びブレ
ビバクテリウム属)、酵母菌(サッカロミセス属及びカンジダ属)及び糸状真菌
(ケカビ属、アブシディア属、アクチノムコア属(Actinomucor)、
ユーペニシリウム属、アクレモニウム属及びアスペルギルス属)の中に見いださ
れた。その高い試験成功率に基づいて、その能力は微生物に一般的であると予想
され、そして下記の選別法が与えられると、特定の微生物をどう同定するかはこ
の技術分野の通常の技能の範囲内である。
水にやや溶けにくいアルデヒド(プロフェン前駆体のようなアルデヒド)を転
位してかなりよく水に溶ける酸塩(プロフェン塩のような塩)にすることができ
る微生物の、特に速くかつ効率的な選択方法は転位反応でもたらされる溶解性の
変化を利用する方法である。しかして、アルデヒドの水性培地中の、例えばアガ
ロース中の懸濁液を微生物の1つ又は複数のコロニーに暴露し、そして初め不透
明な培地についてそのコロニー周辺が半透明になるか又は透明になるかの徴候を
観察する。次に、標準的な微生物学的方法を用いるもっと大規模なインキュベー
ションのために、そのやや溶けにくい前駆体を含有する水性培地に透明性をもた
らすコロニーを選択する。
別法として、前駆体が水溶性である場合(例えば、重亜硫酸塩付加物)は、そ
の可溶性前駆体のアガロース中溶液をコロニーを覆うように入れてもよく、そし
てその初め透明な培地について不透明状態と、それに続いて現れる透明状態の徴
候を観察してもよい。初め可溶性のプロフェンアルデヒド重亜硫酸塩に関して観
察される一般的な現象は、まず、重亜硫酸塩が不溶性の中間体に転化することに
起因する不透明状態とそれに続いて起こるアガロースが持つpHにおいて可溶性
であるプロフェンの形成に多分起因する澄明化の現象である。この現象は試験コ
ロニーを取り囲む同心の透明な環と不透明な環として目に見えるように示される
。ここで、本明細書で用いられている“やや溶けにくい”及び“水溶性”なる用
語は化合物が約2g/L、及び溶液が緩衝溶液となるpHにおいて透明な溶液を
もたらすか否かを意味する。しかして、やや溶けにくい化合物は不透明な懸濁液
か又は沈澱をもたらし、可溶性化合物は透明な溶液をもたらす。
更に大きなスケールでは、そのインキュベーションの生成物は適切な周知の化
学的方法で単離され、カルボン酸の所望とされる光学異性体の存在に関して測定
が行われる。分析はこの技術分野で公知の標準的な方法のいずれによって行って
もよい。本発明者らはキラル基質に対してはHPLCが多数の試料の急速、半定
量的な分析に関して特に有用であることを見いだした。プロフェンについては、
ダイセル・ケミカル・インダストリーズ社(Daicel Chemical
Industries,Ltd.)(日本)から市販されるキラルセル(Chi
ralcel)OJTMがよく適合する。
本発明の1つの態様において、前駆体をカルボン酸に対掌体選択的に転化する
ことができる微生物は天然微生物源から選択したものであることができる。天然
微生物源、特に土壌試料から単離される多数の微生物が上記の選別法に従って選
択され、そしてそれらは、後記において説明される更なる試験に付されたとき、
対掌体選択性転化能を示した。この転化反応を行うことができる微生物は、また
、この同じ選択法をアメリカン・タイプ・カルチャー・コレクション(Amer
ican Type Culture Collection)(ATCC)[
メリーランド州(MD)、ロックビル(Rockville)]から得られる試
料に適用することによっても同定することができる。また、外来遺伝物質の導入
により対掌体選択性転化能を獲得した微生物も上記の定義に包含される。これは
対掌体選択性転化の要因となるポリペプチド、例えば酵素を暗号解読するクロー
ン化された遺伝子を1つの適当な微生物からもう1つの微生物、特にエシェリキ
ア・コリに転移させることによって達成することができる。形質転換微生物はシ
ュードモナス属、マイコバクテリウム属、ストレプトミセス属、サッカロミセス
属、クルイベロミセス属、バチルス属、ノカルジア属、ロドコッカス属、エシェ
リキア属及びコリネバクテリウム属に属するものであることができる。
これらの微生物は、例えば重合体ゲルに固定化するのが有利であろう。固定化
は生細胞、死亡細胞及び/又は休止細胞を用いて、或いはそれら細胞に由来する
適当な酵素を用いて行うことができる。ここで、酵素は、より高特異性の活性が
必要とされる場合には、ある程度精製してもよい。
従って、“微生物又は微生物に由来する物質”なる用語は死亡した、生きてい
る又は休止している微生物、及び、所望によっては、濃縮され、精製され、そし
て固定化された酵素又は中間代謝物のような、それら微生物からの抽出物を意味
する。例えば、酵素は、所望によっては、例えば人工又は天然の補助因子と組み
合わせて使用することができる。生細胞又は死亡細胞に由来する酵素は、適当な
条件下で所望とされる異性体を生成させることができる。微生物又はそれら微生
物に由来する物質は数回使用することができる。微生物は、補基質(例えば、グ
ルコース)がなくても、活性を維持することができる。所望とされる光学異性体
の富化は適当な緩衝液中のみならず、生理的塩中でも起こり得る。
微生物の選択法は次の順序で行われる:
(a)微生物の複数のコロニーを基質上の水性培地中で増殖させる;好ましい
培地はブレーンーハート・インフュージョン(Brain−Heart Inf
usion)(BHI)であり、また好ましい基質は平板上に塗被された寒天で
ある;
(b)そのコロニーの上に水性培地、好ましくはアルデヒド又はアルデヒド均
等物を懸濁又は溶解して含有する燐酸塩系緩衝剤でpH7.0に調整されたアガ
ロースを重ねる;微生物をアルデヒド層の下で増殖し続けるようにする;
(c)その不透明な培地が透明になっているか、又は透明な培地が不透明にな
っているそのようなコロニーを初めに選択する。
この選択手順は一次の選択を構成する。
二次の選択を次に:
(a)そのアルデヒド又はアルデヒド均等物を初めに選択されたコロニーの各
各の培養物と共にインキュベートし;そして
(b)生成したままのカルボン酸異性体の対掌体比を測定する
ことによって行う。
分析から明らかになる、所望とされる対掌体を最大量で生成させる第二の選択
で得られたコロニーを次に予備的転化のために使用する。
本発明の1つの好ましい態様によれば、プロフェンの前駆体をプロフェンに転
化する能力を有する微生物は約0.5〜10日間培養される。その細胞を次に液
体栄養培地に懸濁させ、プロフェン前駆体を細胞の作用に付す。別法として、細
胞を、例えば溶菌性培地に懸濁させることによって死なせてもよく、次いで前駆
体を溶菌細胞から放出された物質の作用に付してもよい。
上記の約0.5〜10日間の培養後に、細胞を培養培地から単離してもよく、
その後それら細胞を液体栄養培地又は溶菌性培地に懸濁させる。
前駆体の選択的酸化に使用される微生物を増殖させるのに、同化性炭素源(例
えば、グルコース、ラクトース、スクロース等)、窒素源(例えば、硫酸アンモ
ニウム、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム等)を有機栄養源(例えば、酵母
抽出物、麦芽抽出物、ペプトン、獣肉抽出物等)及び無機栄養源(例えば、痕跡
量の燐酸塩、マグネシウム、カリウム、亜鉛、鉄、その他の金属)と共に含有す
る普通の培養培地を用いることができる。
所望によって1種又は2種以上の成分で富化されたジャップ(Jap)培地も
適当な培養培地として使用することができる。もう1つの培養培地は所望によっ
て1種又は2種以上の成分で富化されたTSB−培地2Xである。トリプチカー
ゼダイズブイヨン[オキソイド(Oxoid:登録商標)]60g/Lより成る
培地も使用することができる。もう1つの培地は所望によって1種又は2種以上
の成分で富化された2XTYである。トリプトン[ディフコ(Difco:登録
商標)]30g/L、酵母抽出物(ディフコ:登録商標)20g/L、NaCl
・3g/L、(NH4)2HPO4・1g/L及び(NH4)2SO4・1g/Lより
成る、pH6.8の培地も使用することができる。もう1つの培養培地は所望に
よって1種又は2種以上の成分で富化された脱脂乳培地である。
1つの好ましい培地はBHIを37g/L、寒天を15g/L含有するpH7
.0に調整されたBHI培地である。
微生物の増殖中は温度を0〜45℃、pHを3.5〜9に保つのが好ましい。
微生物は温度20〜37℃、pH5〜9で増殖させるのが更に好ましい。
微生物の増殖中に必要とされる好気性条件は、既に十分に確立された方法のい
ずれによっても与えることができる。但し、酸素の供給は微生物の代謝要件を満
足するに十分なものでなければならない。これは酸素を、適当には空気の形で供
給し、そして、所望によっては、同時にその反応液を振盪又は撹拌することによ
って、達成するのが最も好適である。前駆体のカルボン酸への転化中に、微生物
は上記の普通の培養培地を用いている増殖段階に存在していてもよいし、或いは
酵素の分解を予防するなんらかの系(培地又は緩衝液)中に保存しておいてもよ
い。
微生物又はそれら微生物に由来する物質により製造されるカルボン酸は、前記
のように、そのような生成物について自体公知の方法のいずれによっても回収、
精製することができる。
微生物は傾斜寒天上に保持し、50%グリセロール中で凍結する、即ち凍結乾
燥することができる。これら微生物は、必要とされるならば、既に十分に確立さ
れた方法のいずれによっても予備培養することができる。例えば、これら微生物
は回転シェーカー中、ブイヨン又はBHIにおいて30℃で24時間インキュベ
ートすることができる。
キラル中心がカルボキシレートに対してα−位にある場合、アルデヒドと重亜
硫酸塩との反応は式:
を有する前駆体の、式
を有するカルボン酸への転化反応として模式的に表すことができる:但し、上記
の式において
R1はアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R2は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R3は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
M+はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
ここで、R1、R2及びR3は異なる基である。
また別に、グリシデート類の反応は式:
を有する前駆体の、式:
を有するカルボン酸への転化反応として表すことができる:但し、上記の式にお
いてR2aはアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;ここでR1
とR2aは異なる基である。
明細書全体を通じて、置換基はそれらが持ち出される時に定義され、その定義
は続いて現れる所全てにおいて保持される。アルキルは1〜6個の炭素原子を持
つ直鎖、分枝鎖又は環式の炭化水素残基を意味し;アリールはフェニル、ナフチ
ル等の残基を意味し;アラルキルはアルキレン鎖に結合したアリール残基(例え
ば、ベンジル、フェネチル、α−メチルフェネチル等)を意味し;置換アリール
は1個又は2個以上のアルキル、アルコキシ、フェニル、フェノキシ、ベンゾイ
ル、ハロゲン及び同様の置換基で変換されたフェニル又はナフチルを意味する(
例えば、4−イソブチルフェニル;6−メトキシ−2−ナフチル;3−フルオロ
−4−フェニル;3−フェノキシフェニル;3−ベンゾイルフェニル 3−クロ
ロ−4−(2,5−ジヒドロ−1H−ピロール−1−イル)フェニル;4−(2
−チエニルカルボニル)フェニル;4−(1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H
−イソインドール−2−イル)。生成物がプロフェンである好ましい態様におい
て、R2又はR2aはメチルである。
キラル炭素が脱プロトン化反応のために活性化され、かつキラル炭素上の1個
の置換基が水素である場合、微生物又は酵素混合物の活性を実質的に阻害しない
条件下でキラル中心をラセミ化することが可能であろう。このような場合、本発
明の方法はラセミ前駆体のカルボン酸の単一の対掌体への転化を本質的に完了さ
せるように実施することができる。この目的のために、脱プロトン化反応の実験
をイブプロフェン(XII)の重亜硫酸塩付加生成物に対して行い、その結果p
H8.9以上でデュウテリウムがキラル炭素に組み込まれることが見いだされた
。しかして、微生物の触媒作用によるこの転化法には現場ラセミ化工程が含まれ
ることがあり、それによって前駆体XIIはイブプロフェンの単一の異性体に実
質的完全に転化される。
イブプロフェンの前駆体VIII、XII及びXIII並びに2−フェニルプ
ロピオン酸の重亜硫酸塩前駆体(XIV)、ケトプロフェンの前駆体(XVI)
及びナプロキセンの前駆体(XVII)を用いて実験を行った。土壌試料から得
られた、及びATCCから得られた多数の微生物を前記のように線状に接種し、
平板培養した。微生物源Aと表示される微生物はATCCから得られたものであ
った。それらのATCC識別番号を括弧の中に示す。微生物源Bと表示される微
生物は元々はATCCのコロニーから得られたものであったが、それらは実験室
で汚染物となってしまった;微生物源Cと表示される微生物はマサチューセッツ
州(Massachusetts)、マールボロ(Marlboro)の土壌試
料から得られたものであった。BHI/寒天上で48〜72時間増殖させた後、
それら試験コロニーの上に、前駆体XII・2.0g/Lの、燐酸塩緩衝剤20
mMを含有するpH7.0のアガロース中溶液を重ねた。これらのコロニーを更
に1〜2週間増殖させ、不透明な区域について観察した。
不透明な区域(続いて透明化する)を持つこのようなコロニーを以下に述べる
第二のスクリーンで更に培養した。即ち、微生物を125mLのシェーカーフラ
スコ中の滅菌されたBHIブイヨン25mLに接種し、そのフラスコを25℃、
150RPMで振った。24時間後に当該前駆体10mgを水性懸濁液として各
フラスコに加えた。そのフラスコをシェーカーに戻し、更に48〜72時間振っ
た。インキュベーション後、よく混合されたブイヨン3mLを取り出し、pH2
まで酸性化し、そしてジエチルエーテル2mLで抽出した。そのジエチルエーテ
ル溶液を移動相2mLを有するHPLCのバイアルに入れ、そして1つの試料を
キラルセルOJTMカラムの上に注加した。このカラムをヘキサン中酢酸0.5%
より成る移動相を用いて溶離させた。結果を表A、B、C及びDに示す。表中、
縦欄R及びSの中の数字はHPLCから得られたピーク面積を表す。但し、それ
らは無次元の相対的な数字である。それらを共に用いてR対Sの比(第4縦欄及
び第5縦欄に示される)を導き、かつ標準条件下での転化の程度を略定量化する
。
以上の実験で使用されたシュードモナス・ポーシモビリス(SEP54)はメ
リーランド州、ロックビルのアメリカン・タイプ・カルチュアー・コレクション
に寄託番号ATCC55369で寄託されたものである。
2回目のスクリーン操作は、生成物の対掌体をクロマトグラフィーで分離する
条件が一旦確かめられると、非常に容易に開始できるようになり、多くの微生物
はこの2回目のスクリーン操作で直接スクリーンされることが見いだされた。同
定されている微生物を使用しての、ナプロキセンの重亜硫酸塩前駆体(XVII
)の酸化結果は表Eに示され、またケトプロフェンの重亜硫酸塩前駆
体(XVI)の酸化結果は表Fに示される。
XVIIによる59種の接種物から、第一パスの選択(first pass
selection)で、44種の菌株(ある種の菌株は多重接種された)の
内ナプロキセンの一方又は他方の対掌体を100%eeで生成させる17種の菌
株が得られた。条件は最適化されなかったので、44種の内17種(33%)は
原料第一パス収率である。
前記の手順を用いると有用な微生物が容易に得られることを確認するために、
マサチューセッツ州の土壌試料から単離された土壌微生物の更に98種の培養物
を調べた。これらの培養物はこの技術分野で周知の日常的な方法で単離され、こ
れらを上記のミクロタイタ皿に接種した。これらの微生物は分類、同定されなか
ったので、ある種の培養物ではそれによって同一の菌株の多重発生を代表させる
ことが可能であり、実際それは確からしい。98種の培養物の内31種(31%
)がXVIIをナプロキセンの単一の対掌体に転化させることができた。
同様に、土壌微生物の培養物をXVIのケトプロフェンへの転化のために試験
した。土壌試料とATCCの両寄託培養物から成る合計250種の接種物で選択
性酸化をすることができる培養物が26種得られた。これらの内3種が純R又は
純Sのケトプロフェンを生成させた。
以上、本発明を特に示し、その好ましい態様を参照して説明したが、当業者で
あれば、本発明の精神と範囲から逸脱することなしに本発明の形態と細部に他の
変更を加え得ることは理解できるであろう。
【手続補正書】特許法第184条の8
【提出日】1994年10月27日
【補正内容】
請求の範囲
1.式:
を有する前駆体の、式:
を有するカルボン酸への対掌体選択性転化法にして、該前駆体を該カルボン酸に
対掌体選択的に転化することができる微生物又は該微生物に由来する酵素調製物
の作用に該前駆体を付すことから成る上記転化法:但し、上記の式において
R1はアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R2は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R3は水素、アルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
M+はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
ここで、R1、R2及びR3は異なる基である。
2.式:
を有する前駆体の、式:
を有するカルボン酸への対掌体選択性転化法にして、細菌、真菌及び酵母より成
る群から選ばれる、該前駆体を該カルボン酸に対掌体選択的に転化することがで
きる微生物又は該微生物に由来する酵素調製物の作用に該前駆体を付すことから
成る上記転化法:但し、上記の式において
R1はアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
R2aはアルキル、アラルキル、アリール又は置換アリールであり;
M+はアルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであり;
ここで、R1及びR2aは異なる基である。
3.微生物が細菌、酵母菌又は真菌である、請求の範囲第1項に記載の方法。
4.酵素調製物がオキシドレダクターゼを含有するものであることを更に特徴
とする、請求の範囲第1項に記載の方法。
5.キラルカルボン酸がα−置換プロピオン酸系薬剤である、請求の範囲第1
項又は第2項に記載の方法。
6.カルボン酸がイブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン及びフルル
ビプロフェンより成る群から選ばれる、請求の範囲第5項に記載の方法。
7.カルボン酸がイブプロフェンである、請求の範囲第6項に記載の方法。
8.微生物がシュードモナス属、アエロモナス属、エシェリキア属、アクロモ
バクター属及びアルカリゲネス属から選ばれる、請求の範囲第6項に記載の方法
。
9.イブプロフェンの単一の対掌体がS−イブプロフェンであり、前駆体がα
−メチル−4−(2−メチルプロピル)ベンゼンアセトアルデヒド、α−ヒドロ
キシ−β−メチル−4−(2−メチルプロピル)ベンゼンエタンスルホン酸塩又
は3−メチル−3−[4−(2−メチルプロピル)フェニル]オキシラン−2−
カルボン酸塩であり、そして微生物がシュードモナス・ポーシモビリス又はアル
カリゲネス・ファエカリスである、請求の範囲第8項に記載の方法。
10.カルボン酸がナプロキセンであり、前駆体がα−ヒドロキシ−β−メチル
−6−メトキシ−2−ナフタレンエタンスルホン酸塩であり、そして微生物がア
セトバクター属、アシネトバクター属、アルトロバクター属、アスペルギルス属
、バチルス属、ブレビバクテリウム属、カンジダ属、シュードモナス属、ロドコ
ッカス属及びセラチア属から選ばれる、請求の範囲第6項に記載の方法。
11.カルボン酸がケトプロフェンであり、前駆体がα−ヒドロキシ−β−メチ
ル−3−ベンゾイルベンゼンエタンスルホン酸塩であり、そして微生物がバチル
ス属及びサッカロミセス属から選ばれる、請求の範囲第6項に記載の方法。
12.R1が置換アリールであり、R2がメチルであり、そしてR3が水素である
、請求の範囲第1項に記載の方法。
13.R1が置換アリールであり、そしてR2aがメチルである、請求の範囲第2
項に記載の方法。
14.やや溶けにくいラセミ体アルデヒド、アルデヒドのやや溶けにくい重亜硫
酸塩付加生成物又はやや溶けにくいグリシデートの、光学的に実質的に純粋なα
−置換プロピオン酸への対掌体特異性転化法にして、次の:
(a)微生物の複数のコロニーを基質上の水性培地中で増殖させ;
(b)該コロニーの上に該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、
又はグリシデートを懸濁含有する不透明な水性培地を重ね、そして該微生物の増
殖を続け;
(c)該コロニーの、該不透明な培地が透明になっているそのようなコロニー
を初めに選択し;
(d)該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデート
を初めに選択された該コロニーの各々の培養物と共にインキュベートすることに
よって該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデートを
該α−置換プロピオン酸に転化し;
(e)生成したままの該α−置換プロピオン酸の異性体の対掌体比を測定し;
(f)その対掌体比に基づいて該培養物について2回目の選択を行い;そして
(g)該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデート
を2回目に選択された該培養物の内の1つの培養物と共にインキュベートするこ
とによって光学的に実質的に純粋なα−プロピオン酸に転化する
ことから成る上記方法。
15.培養物について2回目の選択を行う工程(f)で、実質的に純粋なイブプ
ロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン又はナプロキセンの各対掌体を
最大収率で生成させるそのような培養物が選ばれることを更に特徴とする、請
求の範囲第14項に記載の方法。
16.培養物について2回目の選択を行う工程(f)で、実質的に純粋なS−イ
ブプロフェンを最大収率で生成させるそのような培養物が選ばれることを更に特
徴とする、請求の範囲第14項に記載の方法。
17.可溶性のラセミ体アルデヒド、アルデヒドの可溶性重亜硫酸塩付加生成物
又は可溶性のグリシデートの、光学的に実質的に純粋なα−置換プロピオン酸へ
の対掌体特異性転化法にして、次の:
(a)微生物の複数のコロニーを基質上の水性培地中で増殖させ;
(b)該コロニーの上に該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、
又はグリシデートを溶解含有する透明な水性培地を重ね、そして該微生物の増殖
を続け;
(c)該コロニーの、該透明な培地が不透明になっているそのようなコロニー
を初めに選択し;
(d)該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデート
を初めに選択された該コロニーの各々の培養物と共にインキュベートすることに
よって該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデートを
α−置換プロピオン酸に転化し;
(e)生成したままの該α−置換プロピオン酸の異性体の対掌体比を測定し;
(f)その対掌体比に基づいて該培養物について2回目の選択を行い;そして
(g)該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデート
を2回目に選択された該培養物の内の1つの培養物と共にインキュベートするこ
とによって該アルデヒド、アルデヒドの重亜硫酸塩付加生成物、又はグリシデー
トを光学的に実質的に純粋なα−置換プロピオン酸に転化する
ことから成る上記方法。
18.培養物について2回目の選択を行う工程(f)で、実質的に純粋なイブプ
ロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン又はナプロキセンの各対掌体を
最大収率で生成させるそのような培養物が選ばれることを更に特徴とする、請求
の範囲第17項に記載の方法。
19.培養物について2回目の選択を行う工程(f)で、実質的に純粋なS−
イブプロフェンを最大収率で生成させるそのような培養物が選ばれることを更に
特徴とする、請求の範囲第17項に記載の方法。
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フロントページの続き
(51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI
C12R 1:02)
(C12P 41/00
C12R 1:05)
(C12P 41/00
C12R 1:025)
(C12P 41/00
C12R 1:185)
(C12P 41/00
C12R 1:01)
(C12P 41/00
C12R 1:66)
(C12P 41/00
C12R 1:07)
(C12P 41/00
C12R 1:13)
(C12P 41/00
C12R 1:72)
(C12P 41/00
C12R 1:38)
(C12P 41/00
C12R 1:425)
(C12P 41/00
C12R 1:85)
(C12P 7/40
C12R 1:01)
(C12P 7/40
C12R 1:02)
(C12P 7/40
C12R 1:025)
(C12P 7/40
C12R 1:05)
(C12P 7/40
C12R 1:06)
(C12P 7/40
C12R 1:07)
(C12P 7/40
C12R 1:13)
(C12P 7/40
C12R 1:185)
(C12P 7/40
C12R 1:38)
(C12P 7/40
C12R 1:425)
(C12P 7/40
C12R 1:66)
(C12P 7/40
C12R 1:72)
(C12P 7/40
C12R 1:85)
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY,
CA,CH,CZ,DE,DK,ES,FI,GB,H
U,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV,MG
,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT,RO,
RU,SD,SE,SK,UA
(72)発明者 ゼップ,チャールズ メルビン
アメリカ合衆国 01503 マサチューセッ
ツ州バーリン,ハイランド ストリート
19