JPH08503858A - 生物活性ポリペプチド融合ダイマー - Google Patents

生物活性ポリペプチド融合ダイマー

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JPH08503858A
JPH08503858A JP6522402A JP52240294A JPH08503858A JP H08503858 A JPH08503858 A JP H08503858A JP 6522402 A JP6522402 A JP 6522402A JP 52240294 A JP52240294 A JP 52240294A JP H08503858 A JPH08503858 A JP H08503858A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、2つ以上のモノマーサブユニットが単一のポリペプチド(「融合マルチマー」)として互いに連鎖している生物学的に活性なマルチマーポリペプチド分子を提供する。これらの融合マルチマーは、ポリペプチドの生物学的に活性なマルチマー形態を産生するために必要とされる反応が二次以上のものではなく一次反応速度で進行するために、非融合マルチマーに比べてより容易且つ速やかに折りたたまれる。融合マルチマーはさらに、復元の間に不要なポリペプチド副生成物が同時形成されることを防ぐ。本発明の融合マルチマーは特異的にPDGF融合ダイマーを含む。

Description

【発明の詳細な説明】 生物活性ポリペプチド融合ダイマー 背景 ヒト血小板由来成長因子(“PDGF”)は、結合組織細胞に作用する主要な 血清中有糸分裂誘発性成長因子であると考えられる。PDGFの有糸分裂誘発活 性は多くの研究で実証されており、その際PDGFは動脈平滑筋細胞、線維芽細 胞系及びグリア細胞における有糸分裂生起に正の影響を及ぼすことが判明した。 Deuel等,J.Biol.Chem.256(17),pp.8896−8 899,1981参照。Heldin等,J.Cell Physiol.10 ,p.235,1980(脳グリア細胞);Raines及びRoss,J. Biol.Chem.257 ,p.5154,1982(サル動脈平滑筋細胞) なども参照されたい。PDGFはまた、線維芽細胞、平滑筋細胞、単球及び顆粒 球に作用する化学走性誘因物質であるとも考えられる。PDGFは、結合組織創 傷の部位において有糸分裂生起を誘発する能力も、また前記のような部位に線維 芽細胞を誘因する能力も明らかに有するので、損傷もしくは外傷を生じた結合組 織の修復における治療用途に適した特別の潜在能力 を有すると考えられる。 PDGF群に属する他の成長因子に、血管内皮細胞成長因子(“VEGF”; 時に“血管透過性因子”即ち“VPF”とも呼称)及び胎盤成長因子(“PLG F”)が含まれる。Tischer等,Biochem.Beophys.Re s.Comm.165(3) ,pp.1198−1206,1989及びMag lione等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 88,pp. 9267−9271,1991をそれぞれ参照。VEGF及びPLGFはいずれ も、PDGF群に属するこれらの成長因子の各モノマー単位のPDGF相同領域 に出現する、高度に保たれた8個のシステイン残基からジスルフィド結合ダイマ ーを構成する。Tischer等及びMaglione等の上掲文献参照。また 、VEGF及びPLGFのレセプターはPDGFレセプターと同じレセプター亜 群に属する。従って、これらの“比較的新しい”PDGF群所属成長因子は、P DGFほど広範に研究されてはいないが、創傷修復において治療物質として潜在 的に有用であると考えられる。 天然PDGFは2本のポリペプチド鎖、即ち“A”鎖及 び“B”鎖を有するジスルフィド結合ダイマーであり、A鎖はB鎖に対して約6 0%相同である。天然PDGFは3種のダイマー形態で見出され、即ちPDGF −ABヘテロダイマーか、PDGF−BBホモダイマーか、またはPDGF−A Aホモダイマーである。Hannink等, Mol.cell.Biol.6 ,pp.1304―1314,1986参照。主要な天然形態として同定された のはPDGF−ABであるが、創傷治癒研究において最も広く用いられているの はPDGF−BBホモダイマーである。生物活性ダイマーの各モノマーサブユニ ットは、A鎖モノマーであろうとB鎖モノマーであろうと関係なく8個のシステ イン残基を有する。これらのシステイン残基のうちの幾つかが、ダイマーを一体 的に保持する鎖間ジスルフィド結合を形成する。 ヒト血小板中に見出されるPDGF−Bは、241アミノ酸前駆ポリペプチド の109アミノ酸開裂物(PDGF−B109)として同定された。Johnss on等,EMBO Journal 3(5),pp.921−928,198 4参照。この109アミノ酸相同配列は、c−sisによってコードされるPD GF−B前駆タンパ ク質の109アミノ酸開裂物に一致し、ヒトのPDGFの成熟形態であると多く の人々によって考えられている。c―sisによってコードされる前駆タンパク 質との相同性は、241アミノ酸前駆タンパク質のアミノ酸82から始まってア ミノ酸109個分続く。c−sisによってコードされるPDGF−B前駆タン パク質の最初の119個のアミノ酸に対応する別の形態のPDGF−B(PDG F―B119)も、トランスフェクト哺乳動物宿主においてc―sis遺伝子の全 体が発現する場合の、c−sisによってコードされる前駆タンパク質の主要な 開裂物として同定された。米国特許第5,149,792号参照。成熟形態のP DGF−Bのアミノ酸13〜99に対応する領域は“PDGF相同領域”と呼称 されている。Tischer等及びMaglione等の上掲文献を参照された い。 組み換えPDGFが哺乳動物、酵母及び細菌(大腸菌)宿主細胞において作製 された。ヨーロッパ特許第0282317号(哺乳動物宿主細胞)、米国特許第 4,766,073号(酵母宿主細胞)及び同第5,149,792号(大腸菌 宿主細胞)を参照されたい。哺乳動物及び酵母宿主細胞はいずれもin viv でモノマーサブユニット からダイマー分子を、該タンパク質がその生物活性ダイマー形態で発現されるよ うに構成する。他方、大腸菌などの細菌宿主細胞はPDGFモノマーを合成する 。合成されたそれら個別のモノマーサブユニットは、所望のダイマー形態のポリ ペプチドを得るべく単離及び復元し、更にin vitroで加工しなければな らない。 より高度に発達した哺乳動物及び酵母宿主細胞系はマルチマーポリペプチドを その生物活性マルチマー形態で産生する能力を有するので望ましいが、所望の組 み換え産物の分泌レベルは細菌宿主細胞の分泌レベルに比較して低い。大腸菌な どの細菌系はより高発現性であるが、その代わりより高収量の組み換え産物を得 るために組み換えタンパク質を封入体から単離しなければならず、かつPDGF のようなマルチマータンパク質の場合、生物活性産物を生じさせるべく復元しな ければならない。 ヨーロッパ特許第0460189号に開示されたものなど、最近開発された復 元方法は細菌宿主細胞でのPDGF生産の望ましさを高めたが、(比較的高次の 反応速度に起因する)復元の間の収量低下、及びヘテロダイマー、または同じP DGF鎖の異なる類似サブユニットを有するホモ ダイマーを復元する場合の望ましくないポリペプチド副産物の生成がなお障害と して残る。(例えば上掲ヨーロッパ特許第0460189号を参照されたい。こ の文献では、2個の異なるトランスフェクト細菌宿主細胞から得たPDGF−A 及びPDGF−Bモノマーサブユニットの復元によってPDGF−ABヘテロダ イマーを生成させたが、ホモダイマーのPDGF−AA及びPDGF−BB副産 物も生成した)。 本発明は、改善された復元速度を有するマルチマーポリペプチドを提供するこ とを目的とする。 本発明はまた、望ましくないポリペプチド副産物の生成を伴わずに組み換え技 術によって生成させ得るマルチマーポリペプチドの提供も目的とする。発明の概要 本発明は、天然マルチマータンパク質の少なくとも2個のモノマーポリペプチ ドサブユニットを互いに連結して1個のポリペプチド(“融合マルチマー”)と した生物活性ポリペプチド分子を提供する。このポリペプチドは好ましくは、P DGF群に由来するダイマーポリペプチドである。本発明の融合マルチマーは非 融合マルチマーより容易かつ 急速に復元され、なぜなら生物活性マルチマー形態のポリペプチドの生成に必要 な反応が二次以上ではなく一次の反応速度で進行するからである。本発明の融合 マルチマーはまた、復元時の望ましくないポリペプチド副産物の同時生成を排除 する。本発明の融合マルチマーの個々のサブユニットは互いに縦列式に連結され る。個々のサブユニットは互いに直接連結されても、スペーサー部分を介して連 結されてもよい。 本発明は、互いに縦列式に連結されて1個の連続するポリペプチドを構成する 融合マルチマーの各モノマーサブユニットそれぞれのコーディング配列を有する DNA配列で宿主細胞をトランスフェクトすることにより生物活性融合マルチマ ーを作製する方法も提供する。図面の簡単な説明 図1は、PDGF−B119サブユニットをPDGF−B109サブユニットに、P DGF−B前駆タンパク質のプレプロ領域のアミノ酸−54〜−1から成るスペ ーサーを介して連結したPDGF融合ダイマーのアミノ酸配列である。 図2は図1に示したPDGF−B119109融合ダイマーの産生をコードする発 現プラスミドの構築に用いるステッ プの説明図である。 図3はPDGF−B119に関する核酸コーディング配列である。 図4はPDGF−B前駆タンパク質の全プレプロ領域(81アミノ酸)に後続 するPDGF−B109に関する核酸コーディング配列である。 図5はそのアミノ酸配列を図1に示したPDGF−B119109融合ダイマーの 電気泳動ゲルの写真である。 図6はPDGF−B119109融合ダイマーの活性をPDGF−B119と比較し て示すグラフである。発明の詳細な説明 本発明は、天然マルチマータンパク質の少なくとも2個のモノマーポリペプチ ドサブユニットを互いに連結して1個のポリペプチド(“融合マルチマー”)と した生物活性ポリペプチド分子を提供する。好ましくは、この融合マルチマーは PDGF群に属する。 本発明の理解の一助となるように、本明細書中に用いた幾つかの語を次のよう に定義する。 “マルチマー”もしくは“マルチマー”ポリペプチドという語は、その天然の 生物活性形態において2個以上の機 能性ポリペプチドサブユニットを有するポリペプチド分子を意味する。機能性モ ノマーサブユニットはジスルフィド結合などを介して互いに共有結合し得るが、 マルチマーポリペプチドを還元条件下に置く、即ちジスルフィド結合を開裂させ ることによって分離可能である。 “ダイマー”もしくは“ダイマー”ポリペプチドという語は、その天然の生物 活性形態において2個の機能性サブユニットを有するポリペプチド分子を意味す る。 “モノマー”及び“モノマー”ポリペプチドもしくは“モノマー”サブユニッ トという語はマルチマーポリペプチドの1個のサブユニットを意味する。モノマ ーサブユニットは天然モノマーサブユニットの正確なコピーであり得、あるいは また生物活性な類似体か、または生物不活性な(インヒビター)類似体であり得 る。“還元”ポリペプチドは、融合ダイマーでないかぎり必ずモノマーであると 理解される。 “融合マルチマー”という語は、その天然生物活性形態においてマルチマーと して存在するが、構成モノマーサブユニットが互いに直接、またはスペーサー部 分を介して連結されて1個の連続するポリペプチドを構成するように加 工されたポリペプチドを意味する。 “融合ダイマー”という語は、その天然生物活性形態においてダイマーとして 存在するが、2個の構成モノマーサブユニットが互いに直接、またはスペーサー 部分を介して連結されて1個の連続するポリペプチドを構成するように加工され たポリペプチドを意味する。 本明細書中に用いた“ホモダイマー”という語は、各モノマーサブユニットが 同じ天然モノマーサブユニットと同一であるか、または同じ天然モノマーサブユ ニットの類似体であるダイマー分子を意味する。例えば、PDGFは幾つかの成 熟形態を有することが知られている。従って、PDGF−B109119ダイマーは モノマーサブユニット同士が厳密に同じではないが、PDGF−BBホモダイマ ーと看做される。 “スペーサー部分”という語は、融合マルチマーにおいて2個のモノマーサブ ユニットを互いに隔てるポリペプチドアミノ酸配列を意味する。 “生物活性”ポリペプチドという語は、対応する天然ポリペプチドと同じ有糸 分裂誘発性生物活性、化学走化性生物活性、酵素性生物活性、及び/または他の 検出可能な生 物活性を有するポリペプチドを意味する。 “インヒビター”類似体または“インヒビター”ポリペプチドという語は、対 応する天然ポリペプチドの有糸分裂誘発性生物活性、化学走化性生物活性、酵素 性生物活性、及び/または他の検出可能な生物活性を抑制する生物不活性ポリペ プチドを意味する。 本明細書中に用いた“復元”という語は、変性し、還元し、または部分還元し たポリペプチドを生物活性構造に戻すことを意味する。復元には、変性形態で産 生されたポリペプチドに実際上初めて生物活性構造を付与する場合が含まれる。 “復元”という語は“折り畳み(folding)”という語と交換可能に用い 得る。 本明細書中に用いた“鎖間ジスルフィド結合”という語は、ダイマーポリペプ チドの2個のシステイン部分間に形成されたジスルフィド結合であって、ジスル フィド結合を形成するシステイン部分が異なるモノマーサブユニットに由来する ものを意味する。 本明細書中に用いた“鎖内ジスルフィド結合”という語は、ダイマーポリペプ チドの2個のシステイン部分間に形成されたジスルフィド結合であって、ジスル フィド結合を 形成するシステイン部分が同じモノマーサブユニットに由来するものを意味する 。 特に断らないかぎり、PDGFとは、還元または非還元、生物活性または生物 不活性、組み換えまたはそれ以外のPDGFモノマー及び/またはダイマー並び にその類似体の任意の組み合わせのこととする。“PDGF”という語は、天然 PDGFのアミノ酸配列の数及び/または同等性に一つ以上の改変を有するPD GF類似体を包含するものとする。 “PDGF相同領域”という語は、天然PDGF−Bのアミノ酸13からアミ ノ酸99までのアミノ酸配列を意味する。 “PDGF群”という語は、PDGF相同領域に対して少なくとも約20%の アミノ酸配列相同性を有し、かつPDGF相同領域内の全部で8個のシステイン 残基を、それらのシステイン残基が高度に保たれるように有する天然ダイマーポ リペプチドを意味する。 本明細書中で、PDGF群内で“高度に保たれる”システイン残基とは、多数 のアミノ酸の付加または欠損に関して、PDGF群に属するポリペプチドのPD GF相同配列 内のシステイン残基を天然PDGF−BのPDGF相同領域内のシステイン残基 に対して正確に整列させるのに五つ以下の調節しか必要でないようなPDGF相 同領域内のシステイン残基のことである。 “PDGF前駆タンパク質”という語は、プロセッシングによってポリペプチ ドをより短い成熟形態(例えばPDGF−B109及びPDGF−B119)とする以 前の、c−sisによってコードされる完全な241アミノ酸前駆タンパク質を 意味する。 “プレプロ”領域という語はPDGF前駆タンパク質の、成熟PDGFタンパ ク質のアミノ末端側に位置する部分を意味する。Devare等のナンバリング システム(Devare等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 80 ,p.732,1983)を用いると、上記プレプロ領域はアミノ酸−81 からアミノ酸−1まで伸長し、アミノ酸1からアミノ酸160までである残りの アミノ酸配列を表わすアミノ酸は様々な成熟形態のPDGF中に見出されるもの で、そのような成熟形態のPDGFのうちで最も普通のものがPDGF−B109 (アミノ酸1〜109)及びPDGF−B119(アミノ酸1〜 119)である。 本発明の融合マルチマーは、その天然生物活性形態においてマルチマーとして 存在するが、構成モノマーサブユニットが互いに直接、またはスペーサー部分を 介して連結されて1個の連続するポリペプチドを構成するように本発明の教示に 従い加工された任意のポリペプチドであり得る。 本発明の融合マルチマーは、復元時の望ましくないポリペプチド副産物の同時 生成を実質的に排除する。このことは、組み換えマルチマータンパク質の発現に 高発現性の細菌宿主細胞を用いる場合特に重要である。例えば、二つの異なる大 腸菌宿主株から発生したPDGF−A及びPDGF−Bモノマーサブユニットか らPDGF−ABヘテロダイマーを復元する場合、望ましくないPDGF−AA 及びPDGF−BBホモダイマー形態を所望のPDGF−ABヘテロダイマー生 成物から分離しなければならない。(上掲のヨーロッパ特許第0460189号 参照)。これに対して、本発明の教示に従いPDGF−AB融合ヘテロダイマー を1個の連続するポリペプチドとして大腸菌から発現させると、上記のようなポ リペプチド副産物は生成しない。このことは大量のマルチマータンパク質の商業 生産にきわ めて有益である。 哺乳動物及び酵母宿主細胞においても同じことが有益であり得、なぜならこれ らの高レベル発現系も、マルチマータンパク質を生成させたい場合に状況次第で は望ましくないポリペプチド副産物を分泌することが知られているからである。 本発明の融合マルチマーは、上記望ましくない副産物の生成を実質的に排除する 。 本発明の融合マルチマーは非融合マルチマーより容易かつ急速に復元されると 予測され、なぜなら生物活性マルチマー形態の融合ポリペプチドの生成に必要な 反応は一次の反応速度で進行するからである。他方、非融合マルチマーポリペプ チドは典型的には二次以上の反応速度に従い復元される。所望のマルチマータン パク質をその生物活性構造に復元するのに必要な2個以上のサブユニットの一体 化に必要な力を低減できれば、復元は著しく促進されるはずである。 本発明の融合マルチマーは、インヒビターポリペプチドとして機能するように 加工することもできる。このような加工が可能であるのは、多くのマルチマーポ リペプチドが何等かの方法で2個以上の標的分子と同時に相互作用する ことにより機能するからである。融合マルチマーを、モノマーサブユニットとし て少なくとも1個のインヒビター類似体を有するように設計した場合、得られる マルチマーインヒビターポリペプチドは一度に2個以上ではなく1個の有効標的 分子と相互作用し得る。実現する“非生産的”相互作用は、天然生物活性形態の マルチマータンパク質との生産的相互作用に有効な標的分子の数を減少させ、そ の結果前記タンパク質はその正常な生物学的応答を行なうべく機能し得なくなる 。 “スペーサー”もしくは“スペーサ一部分”とも呼称する介在領域は、或る種 の融合マルチマーでは適正な折り畳みに必要であり、または必要でない。スペー サー部分は普通、スペーサーの存在が融合マルチマーの構成モノマーサブユニッ ト同士のより自由な相互作用を可能にし、その結果生物活性形態の折り畳まれた マルチマータンパク質を生成させると考えられる場合に用いる。 融合マルチマーをヒト用の治療物質として用いるつもりであり、かつスペーサ ー部分を存在させたい場合はスペーサー部分をヒトポリペプチドの中から選択す ることが好ましく、なぜならヒトポリペプチド配列は異種ポリペプチド 配列に比べて免疫反応を誘起する恐れがはるかに小さいからである。スペーサー 部分として用いるポリペプチド配列は、融合ダイマーの構成モノマーサブユニッ ト同士の必要な相互作用を妨害するほど長く邪魔な存在とならなければ、任意の アミノ酸数の長さを有し得る。他の残基(例えばシステイン残基)と相互作用す ることが知られているアミノ酸残基、及びアミノ酸配列中に異常な捩じれや回転 を創出しかねないアミノ酸を回避することも好ましい。 本発明の融合マルチマーは好ましくは、PDGF群に属するダイマーである。 更に好ましくは、融合ダイマーはPDGF、VEGFまたはPLGFのダイマー 形態である。更に好ましくは、融合ダイマーはPDGFのダイマー形態である。 最も好ましくは、本発明の融合マルチマーはPDGF−BB融合ダイマーである 。好ましいPDGF−BB融合ダイマーは生物活性ポリペプチドまたはインヒビ ターポリペプチドである。 PDGF融合ダイマーの場合、スペーサー部分は必要とは考えられない。それ にもかかわらず、PDGF融合ダイマー中にスペーサー部分を存在させることが 所望である場合は、c−sisによってコードされるPDGF前駆タン ク質の部分の中から選択したスペーサー部分を用いることが好ましい。更に好ま しくは、スペーサー部分の選択はPDGF前駆タンパク質の“プレプロ”領域か ら行なう。PDGF前駆タンパク質のプレプロ領域は該タンパク質のアミノ末端 部において、アミノ酸−81に始まりアミノ酸―1に終わる。これはPDGF前 駆タンパク質の、普通完全なv−sisまたはc−sisコーディング配列でト ランスフェクトされた宿主細胞によるプロセッシングの間に切り落とされる領域 であり、PDGF融合ダイマーの復元を妨害したり、該領域自体の好ましくない 特性を融合ダイマーに付与したりするとは考えられない。PDGF前駆タンパク 質のプレプロ領域がシステイン残基を一切有しないことは重要である。 2個のPDGF−B鎖を用い、これらをPDGF前駆タンパク質の“プレプロ ”領域の一部から成るスペーサー部分を介して結合して、生物活性融合ダイマー を本発明に従い作製した。生物活性PDGF−BB融合ダイマーの生成にスペー サー部分が必要とは考えられないが、この特別の融合ポリペプチドは入手可能な 出発物質から都合よく作製され、かつ生物活性を示した。 後述の実施例において証明した、PDGF−BB融合ダイマーなどの融合マル チマーに生物活性が存在するということは、生物活性融合ダイマーを作製した先 例が無いという事実に照らして幾分意外であった。(アミノ末端に高発現タンパ ク質を用いた)融合タンパク質が、抗体応答を誘起する目的で生成させるポリペ プチドの発現を促進するうえで有効であることは知られているが、この融合タン パク質は生物活性を有する必要は無く、抗体によって認識されるエピトープを有 しさえすればよい。また、二つの異なるが関連するタンパク質を結合して1個の 融合タンパク質とすると、前記二つのタンパク質がその天然非融合形態において 互いに独立に機能する場合には観察されない相乗作用が生起し得ることが示唆さ れている。(Williams及びPark,Cancer 67,pp.27 05―2707,1991;顆粒球マクロファージコロニー剌激因子及びインタ ーロイキン−3を融合タンパク質として調製)。しかし、天然では直接相互作用 して生物活性を示すはずの2個のモノマーサブユニットを互いに連結して1個の 連続するポリペプチドとし得、その際前記サブユニットは得られる融合マルチマ ーの生物活性に必要な、同 じ必須の相互作用を行なう能力をなお維持し得ることは示唆されていない。 本発明は更に、単一連続ポリペプチドをコードするように次から次へと連結さ れた(即ち、サブユニットが開始及び終結コドンによって分離されていない)マ ルチマーポリペプチドの各モノマーサブユニットの個々のコーディング配列を有 するDNA配列を用いて宿主細胞をトランスフェクトすることにより、生物学的 に活性な融合マルチマーを製造する方法を提供する。融合ダイマー産物中にスペ ーサー部分が所望であれば、スペーサー部分のコーディング配列を、構成モノマ ーサブユニットのコーディング配列間に挿入する。 本発明の融合マルチマーは通常は、当業者には公知の多数の組換えタンパク質 生産方法のいずれかにより製造し得る。多くの場合、融合ダイマーのモノマーサ ブユニットのコーディング配列は既に入手可能である。かかるサブユニットは、 スペーサーを含んでまたは含まずに、当業者には公知の標準結合技術を使用して DNAリンカーを介して容易に相互に結合し得る。また、DNAシークエネータ ーを使用して所望の融合マルチマーコーディング配列を合成する こともできる。融合ダイマーのコーディング配列を生成するのに使用される特定 の方法は一般的には出発材料の入手可能性を含む多数の実施要件に左右される。 融合マルチマー産物のコーディング配列を構築したならばそれをベクター中に挿 入し、当業者には公知の標準的な技法により、得られたベクターを使用して適当 な宿主細胞をトランスフェクトする。 PDGF−BB融合ホモダイマーの場合では、例えばまずv−sis遺伝子を 修飾してヒトの対応物c−sisを得るか、またはc−sisを出発材料として 使用することができる。次いで2つの修飾されたコーディング配列を相互に結合 し、適当な開始及び終結コドンを置き、適当なベクター中に挿入し、それを使用 して所望の宿主細胞をトランスフェクトする。 或いは、PDGF−BB融合ホモダイマーコーディング配列を合成するか、ま たは、まずc−sis遺伝子または修飾v−sis遺伝子をカルボキシ末端に近 い適当な制限部位で切断し、次いでPDGF前駆体タンパク質コーディング配列 のカルボキシ末端を、使用される特定のベクター及び宿主細胞に好ましいコドン を使用して所望の末端部分 に再構築する。c−sis遺伝子または修飾v−sis遺伝子をアミノ末端に近 い適当な制限部位で切断し、やはり選択したベクター及び宿主細胞系に好ましい コドンを使用してアミノ末端を所望の開始部位に再構築することもできる。即ち 、合成方法と天然出発材料のin vitro突然変異誘発とを任意の組合せで使用し、 PDGF−BB融合ダイマーのごとき融合マルチマーを生成することができる。 本発明のPDGF−BB融合ダイマーを生成する好ましい方法においては、v −sis遺伝子を修飾してc−sis遺伝子を得るが、これをPDGF−B前駆 体タンパク質コーディング配列と称する。次いでPDGF−B前駆体タンパク質 コーディング配列を修飾し、PDGF−BB融合ダイマーの2つのモノマーユニ ットに所望のコーディング配列を得る。各モノマーユニットは全体で241アミ ノ酸からなるPDGF−B前駆体タンパク質より小さいのが好ましい。これらの ユニットは同一でもよいし、若干異なってもよい。例えば、一方のモノマーサブ ユニットが119アミノ酸形態のPDGF−Bであり、他方のサブユニットが1 09アミノ酸形態のPDGF−BであるPDGF−B119109融合ホモダイマー を構築することができる。PD GF−BB融合ホモダイマーのモノマーユニットはPDGF前駆体タンパク質の おおよそアミノ酸1から始まり、おおよそアミノ酸109とアミノ酸119の間 で終わるのが、必須ではないが、一般的に好ましい。所望の2つのモノマーサブ ユニットのコーディング配列を、スペーサーを含んでまたは含まずに、所望の位 置で相互に結合する。 v−sis遺伝子は、本発明のPDGF−BB融合ホモダイマーの所望のモノ マーサブユニットのコーディング配列を生成するのに使用し得る前駆体タンパク 質コーディング配列を得るのに優れた出発材料を与える。例えば、アミノ酸1〜 119をコードする領域においては、v−sis遺伝子によってコードされるタ ンパク質とc−sisにコードされるPDGF−B前駆体タンパク質との間では 5つのアミノ酸の相違しかない。v−sis遺伝子中のこれら5つのアミノ酸の うち2つは、in vitro突然変異誘発法によって変更し、これら2つのアミノ酸が PDGF−B前駆体タンパク質の対応残基と同じであるタンパク質をコードする DNA配列を生成することができる。多数のDNAin vitro突然変異誘発方法を 、コドン101及び107に所望の変更を導入するために使用し得る。かかる方 法は当業 者には公知である。例えばEckstein及び協同研究者(Taylorら, Nucl.Acids Res.,13,8764−8785(1985);N akamae及びEckstein,Nucl.Acids Res.,14, 9679−9698(1986))の方法は、Amersham(Arling ton Heights,Illinois)“Oligonucleotid e−Directed In Vitro Mutagenesis Syst em”キットの手引書に記載されているように、アミノ酸101にあるイソロイ シン残基をトレオニン残基に、アミノ酸107にあるアラニン残基をプロリン残 基に変換する上で特に有効である。 アミノ酸101及び107をin vitro突然変異誘発したのち、変更されたv− sisDNAを、アミノ酸24に対応する位置で切断する制限酵素BglIIを用 いてアミノ末端で切断することができる。最初の24個のアミノ酸を含む遺伝子 の上流部分は、BglIIで切断した下流の突然変異誘発v−sisDNAを、( 1)ATG翻訳開始コドン;(2)アミノ酸1にあるセリン残基;及び(3)c −sisにコードされる前駆体タンパク質の最初の24個のア ミノ酸をコードする合成DNAフラグメントと連結することにより回復し得る。 このようにして、他の3つの変異アミノ酸のうちの2つ、即ちアミノ酸6にある セリン残基とアミノ酸7にあるバリン残基はヒトPDGF−B形態(それぞれト レオニン及びイソロイシン)に変換され、v−sisによってコードされる上流 の前駆体アミノ酸は除去される。 PDGF−B前駆体タンパク質のアミノ酸113より長いPDGF−Bモノマ ーユニットがPDGF−B融合ダイマーに所望される場合、v−sis遺伝子の アミノ酸位置114にあるコドンは、PDGF−B前駆体タンパク質中の適当な アミノ酸をコードするコドンで置換される必要がある。これは、アミノ酸101 及び107に対するコドンを置換したときと同様の方法で、修飾v−sis遺伝 子のカルボキシ末端から切断することにより行い得る。融合ダイマーにおける第 2モノマーユニットとしてPDGF−B119形態が所望であるならば、アミノ酸 114の変更とアミノ酸120の終結コドンによる置換とを同時に行う合成フラ グメントでカルボキシ末端を置換することができる。この場合には突然変異誘発 v−sisDNAを、アミノ酸 112に対応する位置で切断する制限酵素SmaIで切断することが好ましい。 PDGF−B前駆体タンパク質のアミノ酸112〜119をコードする合成DN Aフラグメントと位置120にある翻訳終結コドンとを、SmaIで切断した突 然変異誘発v−sisDNAに連結し得る。この合成DNAは更にアミノ酸11 4にトレオニン残基ではなくてグリシン残基をコードし、5番目の変異アミノ酸 が、PDGF−B前駆体タンパク質の対応アミノ酸に変換される。 本発明のPDGF−BB融合ホモダイマーを製造するためには、任意の2つの 所望のPDGF−Bモノマーサブユニットのコーディング配列を、スペーサーを 含んでまたは含まずに相互に連結し、完全な融合ダイマーコーディング配列を生 成する。次いで完全なコーディング配列を適当な発現ベクター、例えばpCFM 1156に連結し、適当な宿主細胞系、好ましくはE.coliのごとき細菌宿 主中に形質転換またはトランスフェクトする。宿主細胞中ではN末端のメチオニ ンがin vivoで合成され、次いで除去されるが、ある種のE.coli株はN末 端メチオニンを除去できず、従ってアミノ末端に付加アミノ酸残基を含む組 換え産物が産生される。 本発明の融合ダイマーの製造に好ましい宿主細胞系は細菌宿主、好ましくはE .coliである。本明細書に記載した特定の発現系に加え、他の系も本発明に 考えられ、例えば、限定的ではないが、プロテアーゼ切断部位の修飾及び/また は本発明の融合ダイマーの宿主細胞の産生レベルを高めるための別の先導配列の 使用が挙げられる。 本発明の生物学的に活性な融合ダイマーの治療目的の施用では、外科医及び/ または獣医によって哺乳動物種の多様な創傷の治療に使用し得る。かかる治療に 使用される生物学的に活性なPDGFの量は、当然ながら、治療する創傷の重症 度、選択される投与経路、及び融合ダイマーの比活性または純度に従い、担当の 外科医または獣医によって決定される。「融合ダイマーの治療上有効な」量なる 用語は、哺乳動物において治療応答を生成するように決定される、外部から与え られた他の成長因子の不在下での融合ダイマーの量を指す。かかる治療上有効量 は当分野の常用技術により容易に確定される。 本発明に従って製造される融合ダイマーは、治療される創傷または病状に適し た任意の経路で投与し得る。PDG F融合ダイマーを治療目的で施用して有利に治療される病状としては、上述の皮 膚開創、皮膚切創、及び胃腸切創が挙げられる。PDGF融合ダイマーは、骨、 軟骨、腱、靭帯、及び上皮(例えば腸壁、胃壁)の治癒、並びにグリア修復に使 用し得る。 PDGF融合ダイマーは創傷に外部から施用するのが好ましい。外部施用は、 一回だけ施用または服用してもよいし、指示された様々な間隔で複数回服用して もよい。本発明のPDGF融合ダイマーを外部施用するための組成物は、当分野 の常用技術により容易に確定される。好ましい経路は治療される創傷または病状 によって変わることは当業者には容易に理解される。PDGF融合ダイマーは純 粋または実質的に純粋な化合物として投与し得るが、医薬組成物または製剤とし て与えるのが好ましい。 動物及びヒトに使用される本発明の組成物は、上述のごとき治療上有効量のP DGFを、1種以上の医薬上容認可能な担体及び必要によっては他の治療成分と 一緒に含む。担体は、組成物の他の成分と相容性であると共にそのレシピエント に対して不利でないという意味で「容認可能」であらねばならない。望ましくは 組成物は、酸化剤または還 元剤、及びペプチドが非相容性であることが公知の他の物質を含むべきではない 。該組成物は単位剤形で都合良く与えることができ、当分野において公知の任意 の方法で製造することができる。全ての方法が、有効成分を、1種以上の補助成 分を構成する担体と混合するステップを含む。通常は組成物は、融合ダイマーを 液体担体または微粉末固体担体または両方と均密に混合することにより製造され る。 本発明の理解の助けとなるように以下の実施例を与えるが、本発明の真の範囲 は付随の請求の範囲に示される。本発明の主旨から離れずとも、記載の方法には 変更を行い得ることが理解される。 実施例1 PDGF−B119コーディング配列の構築 出発材料としてv−sis遺伝子を使用し、図3に示したPDGF−B199コ ーディング配列を構築した。 A.アミノ酸101及び102の変換 サル肉腫(simian sacroma)ウイルスのレトロウイルスゲノム のクローンであるプラスミドpC60(Wong−Staalら,Scienc e,213,226−228(1981))1μgを制限エンドヌクレ アーゼSalI及びXbaIを用いて消化し、得られた1183塩基対のフラグ メントを、Maniatisら,Mo1ecular Cloning−A L aboratory Manual, Cord Spring Harbor Laboratory(1982)に記載の方法に従って低融点アガロースゲ ル中で電気泳動分離することによって精製した。精製フラグメントをゲルから切 り出した。同時に、0.2μgのM13mp19 DNAをSalI及びXba Iで消化し、7245塩基対の大きなバンドを同様に低融点ゲルから単離した。 切り出した両ゲル薄片を65℃で融解し、37℃に冷却した。7245塩基対の M13mp19フラグメントを含むゲル全てと、1183塩基対のv−sisフ ラグメントを含むゲルの1/4とを混合し、Struhl,Biotechni ques,3,452−453(1985)に従って連結した。連結したDNA をE.coli K12株TG1中に形質転換し、透明なプラークを選択し、液 体培地中で増殖させた。M13mp19ベクター中の1183塩基対のv−si sフラグメントの存在を、ファージDNAのRF形態の調製及び制限マップ分析 によて確認した。Messingら, Nucl.Acids Res.,9,309−321(1981)。 このように得られたM13mp19/v−sisファージを液体培地中で増殖 させ、一本鎖DNAを単離した。Messingら,前出。このDNAをオリゴ ヌクレオチドin vitro突然変異誘発用の鋳型として使用し、残基101及び10 7にあるアミノ酸をPDGF−Bの対応アミノ酸に変換した。即ち、イソロイシ ン101をコードするATAコドンを(トレオニンをコードする)ACAに変換 し、アラニン107をコードするGCTコドンを(プロリンをコードする)CC Tに変換した。 10μgのM13mp19/v−sis一本鎖DNAを、配列: を有する8pmolのリン酸化オリゴヌクレオチドを用いてアニーリングした。 上記配列はv−sis遺伝子のヌクレオチド4283〜4316と相同である (Devareのナンバリングシステム,前出)。該オリゴヌクレオチドの下線 を引いた塩基 は、v−sisからヒトPDGF−B配列への変更を示す。突然変異オリゴヌク レオチドにおいてDNA合成を開始し、完全突然変異鎖を、チオヌクレオチド三 リン酸を使用し、E.coliDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメントに よって合成し、T4 DNAリガーゼを用いて連結した。残った全ての一本鎖鋳 型M13mp18/v−sis DNAをニトロセルロースフィルターで濾過することにより除去した。非突然 変異鎖は、制限エンドヌクレアーゼIIIと一緒にインキュベートすることにより ニックした。次いでニックした非突然変異鎖を、突然変異鎖を鋳型として使用し てデオキシヌクレオチド三リン酸を用いて再度重合した。その結果、最終産物中 の両DNA鎖は所望の突然変異を含んでいた。DNAをE.coli K12株 TG1中に形質転換した。プラークを選択し、液体培地中で増殖させ、一本鎖D NAを単離した。DNAの配列をSangerら,Proc.Natl.Aca d.Sci.USA,74,5463−5467(1977)の方法で決定し、 所望の突然変異体が得られたことを確認した。 B.アミノ酸6及び7の変換 次のステップでは、突然変異v−sis遺伝子の5’末 端を、アミノ酸6及び7をv−sisからヒトPDGF−B形態に変更する合成 DNAフラグメントで置換した。この合成フラグメントにより更に、ヒトPDG F−Bのセリン1のコドンの直前の翻訳開始ATGコドンが与えられると共に、 E.coliリボソームに結合するための配列及び所望のE.coli発現ベク ター(後述)中に連結するための制限部位が与えられる。合成DNAフラグメン トを、v−sis遺伝子のヌクレオチド4061(Devareらのナンバリン グシステム,前出)に位置するBglII部位に連結した。M13mp19中に存 在するBglII部位はこのステップを複雑にする上に妨害し得るので、突然変異 v−sis遺伝子をまず、BglII部位を含まない市販のプラスミドベクターp UC18に移した。M13mp19/v−sis突然変異体RF DNAをSa lI及びBamH1で制限し、得られた1139塩基対のフラグメントを低融点 アガロースゲルを使用した電気泳動によって単離した。このフラグメントを、や はりSalI及びBamH1で制限しておいたプラスミドpUC18に連結した 。連結したDNAを市販のE.coli K12株DH5中に形質転換し、形質 転換体をアンピシリン存在下で増殖さ せることにより選択した。コロニーを選択し、液体培地中で増殖させ、プラスミ ドDNAを単離し、制限マッピングによってv−sis挿入物の存在について分 析した。 pUC18/v−sis突然変異DNAを、pUC18のポリリンカーを突然 変異v−sis挿入物のすぐ上流で切断するHindIIIと、成熟タンパク質産 物のアミノ酸番号24に対応するヌクレオチド4061(Devareらのナン バリングシステム,前出)でv−sis DNAを切断するBglIIとで制限し た。この反応で得られた3365塩基対の大フラグメントを低融点アガロースゲ ル中で電気泳動することにより単離した。このフラグメントを、配列: を有する合成二本鎖DNAフラグメントに連結した。 上記合成DNAフラグメントは、上流(左側)末端にHindIII「付着」末 端を含み、下流(右側)末端にBglII「付着」末端を含んでいる。更に、Xb aI部位(TCTAGA)が合成DNAのHinIII「付着」末端の すぐ下流に存在し、後述の発現ベクターのXbaI部位に連結するためのXba Iによる制限が可能になる。連結したDNAをE.coli K12株DH5中 に形質転換し、形質転換体をアンピシリン含有培地上で増殖させることにより選 択した。得られたコロニー由来のプラスミドDNAにおける合成DNAフラグメ ントの存在を制限マッピングによって分析した。ここで、pUC18/v−si s構築物は突然変異v−sis遺伝子を含んでおり、アミノ酸番号6、6、10 1及び107はヒトPDGF形態に変更されており、5’末端は、セリン1の直 前のATGコドンから翻訳を開始するように変更されていた。 C.アミノ酸114の変換及びアミノ酸120にある終結コドンの置換 次のステップにおいては、アミノ酸番号114のコドンをACTからGGTに 変更し、その結果として最終的なタンパク質産物においてグリシンをトレオニン に置換した。更に、v−sisにおいてはGCCがアラニンをコードするコドン 番号120をTAA翻訳終結コドンに変更した。この構築物で得られたタンパク 質産物は、残基119のアルギニンを末端とする。両変更は、コドン番号112 に位 置するSmaI部位のあとに合成DNAフラグメントを挿入することにより1ス テップで行った。 上記で生成したpUC18/v−sis突然変異DNAを、v−sis配列の ヌクレオチド4324(Devareらのナンバリングシステム,前出)で切断 するSmaIと、pUC18のポリリンカーをv−sis挿入物のすぐ下流で切 断するEcoRIとで制限した。v−sisタンパク質のC末端部分及び3’― 非翻訳配列をコードするSmaI部位とEcoRI部位の間の小フラグメント( 510塩基対)を、低融点アガロースゲル上で電気泳動することにより除去した 。大フラグメント(約3530塩基対)を、配列: を有する合成DNAフラグメントに連結した。 上記配列には、位置114にある新たなグリシン残基をコードするGGTコド ンと、位置120に導入されたTAA終結コドンとに下線が引いてある。この合 成DNAフラグメントは、v−sis突然変異配列をSmaIで制限することに より生成されるブラント末端に連結するためのブ ラント末端を上流(左側)に含んでおり、pUC18ポリリンカーをEcoRI で制限することにより生成されるEcoRI末端に連結するためのEcoRI「 付着」末端を下流(右側)末端に含んでいる。連結したDNAをE.coli K12株DH5中に形質転換し、形質転換体をアンピシリン含有培地上で増殖さ せることにより選択した。得られたコロニー由来のプラスミドDNAにおける合 成DNAフラグメントの存在を制限マッピングによって分析した。 実施例2 PDGF−B109前駆体コーディング配列の構築 PDGF−B前駆体タンパク質のプレ−プロ領域のアミノ−84〜−1及び成 熟PDGF−B配列の最初の109個のアミノ酸を含む図4に示したPDGF− B109前駆体コーディング配列を、天然v−sis遺伝子を出発材料として使用 し、天然及び合成核酸配列の組合せを使用して構築した。 特に、PDGF−B109前駆体コーディング配列は以下のように誘導した。ヌ クレオチド1〜98由来のDNAは、ヌクレオチド1〜5が(完全コーディング 配列をプラスミ ドベクター中に連結することに使用するための)SalI制限部位をコードし、 ヌクレオチド6〜98が、アミノ酸−81の翻訳開始ATGから始まってアミノ 酸−55の読み枠内SacI制限部位で終わるヒトPDGF−Bの領域に全く一 致する合成DNAフラグメントであった。 ヌクレオチド99〜220のDNAは、PDGF−Bプレープロ領域のアミノ 酸−54〜−13に対応するv−sisのプレープロ領域(サル肉腫ウイルスの ヌクレオチド3833〜3953,Devareら,前出)由来のSacI−B stXIフラグメントから誘導した。ヌクレオチド221〜269の配列は、ヒ トPDGF−B前駆体タンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸−12〜+5をコー ドする、上流末端にBstXI部位を有し且つ下流末端にHpaI半部位を有す る合成DNAフラグメントから誘導した。ヌクレオチド270〜326の配列は 、ヒトPDGF−Bタンパク質のアミノ酸配列のアミノ酸+6〜アミノ酸+24 をコードする、上流末端にHpaI半部位を有し且つ下流末端にBglII部位を 有する合成DNAフラグメントから誘導した。ヌクレオチド327〜1087の 配列は、ヒトPDGF−Bのアミノ酸+25〜+160に対応するv ―sisのBagII−XbaIフラグメント(サル肉腫ウイルスのヌクレオチド 4225〜4820,Devareら,前出)及び全3’非翻訳領域から誘導し た。この後者のv−sisフラグメントの配列は(PDGF−B119コーディン グ配列に関して実施例1に記載したような)in vitro突然変異誘発によって変更 してヌクレオチド557をTからCに変換し、それによってv−sisのイソロ イシン−101をヒトPDGF−Bにおけるようにトレオニンに変換し、且つヌ クレオチド574をGからCに変換し、それによってv−sisのアラニン−1 07をヒトPDGF−Bにおけるようにプロリンに変換した。更にin vitro突然 変異誘発を使用し、ヌクレオチド583をCからTに、ヌクレオチド586をA からTに、ヌクレオチド587をGからAに、及びヌクレオチド588をCから Aに変換し、PDGF−Bのアミノ酸109のあとに縦列する2つの翻訳終結コ ドンを作製した。 PDGF−B前駆体タンパク質をコードする複合DNA配列(PDGF前駆体 タンパク質の全プレープロ領域に続くPDGF−B109)をSalI〜XbaI フラグメントとして市販プラスミドpGEM3中にクローニングした。 pGEM3プラスミドはXbaI部位のすぐ下流にSacI制限部位を含む。以 下の実施例3に記載するようにPDGF−B融合ダイマーDNA配列を構築する 際に、PDGF−Bプレ−プロ領域のアミノ酸−54〜−1、成熟PDGF−B タンパク質のアミノ酸1〜109、及びv−sisの3’非翻訳DNA配列をコ ードするpGEM3/PDGF−B109/前駆体プラスミドをSacI−Sac Iフラグメント源として使用した。 実施例3 pUC18ベクターにおけるPDGF−B119/プレ−プロ/109プラスミドの構 A.PDGF−B119コード配列+合成JリンカーのpUC18への挿入 実施例1のPDGF−B119コード配列及び実施例2のPDGF−B109コード 配列をスペーサーコード配列を介して互いに連鎖させてPDGF−B119109融 合ホモダイマー用コード配列を形成した。 PDGF−B119コード配列を含む前駆体ベクターはバクテリオファージM1 3mp19であった。E.coliDNAポリメラーゼIのクレノウフラグメン トを用い、標 準的な試験管内反応により一本鎖コード配列を二本鎖にした。この二本鎖コード 配列を制限酵素XbaI及びSmaIで消化して、アミノ酸112のSmaI部 位までのPDGF−B119コード配列を含む約380塩基対挿入体を遊離させた 。従って、最後の7アミノ酸をコードするDNAはこのDNAフラグメント中に は不在であった。該フラグメントを、Seaplaqueブランドの低融解温度 アガロースゲルを介した電気泳動及び該ゲルからの抽出により精製した。分離し たPDGF−B119DNAフラグメントを、その上流末端にブラントエンドSm aI半部位を、またその下流末端にSacIアダプター部位を含む合成DNAリ ンカーと混合した。リンカー自身は、PDGF−B119モノマーユニットのアミ ノ酸113〜119+PDGF―B前駆体タンパク質のプレ−プロ領域のアミノ 酸番号−54及び−53をコードした。PDGF−B119DNAフラグメント+ リンカーをXbaI及びSacIで切断されたベクターpUC18に連結した。 連結されたDNAをE.coliK−12株DH5αに形質転換した(図2を参 照されたい)。 得られた形質転換細胞コロニーのいくつかからプラスミ ドDNAを分離し、DNA挿入体をアガロースゲル電気泳動により分析した。正 配向の挿入体を有する一つのプラスミドを同定し、次の段階に用いた。 B.スペーサー部分及びPDGF−B119サブユニットコード配列の下流のPD GF−B109サブユニット並びにリンカー用のコード配列の挿入 PDGF−B前駆体タンパク質のプレ−プロ領域のアミノ酸番号−52〜−1 +成熟PDGF−B配列(PDGF−B109)のアミノ酸番号1〜109、続く 2つの翻訳停止コドン及びv−sis遺伝子の3′―非翻訳配列をコードするD NAセグメントを上記構築物のSacI部位に挿入した。この挿入は、先ずPD GF−B119をコードするDNAを含む上記pUC18構築物とリンカーとをS acIで線状化して行った。次いで、全PDGF−B前駆体タンパク質(アミノ 酸109に続く2つの停止コドンを含み、それによってタンパク質翻訳生成物が アミノ酸109の後で終端した)をコードするDNAを含むプラスミド(pGE M3/PDGF−B109/前駆体)をSacIIで制限した。この制限により、そ の上流末端がPDGF−B前駆体タンパク質のプレ−プロ領域のアミノ酸番号− 52用のコ ドンで始まり、その後にタンパク質コード領域の残りの部分及び3′―非翻訳領 域が続き且つその下流末端にpGEM3の多重クローン化部位の一部を含む10 10塩基対フラグメントが遊離した。PDGF−B前駆体タンパク質のプレ−プ ロ領域の一部並びに成熟PDGF−Bの109アミノ酸形態をコードするこのフ ラグメントを、本実施例のA部に記載のSacI−切断pUC18/PDGF− B119構築物に連結した。連結反応混合物をE.coli株DH5αに形質転換 し、得られたコロニー由来のプラスミドを酵素Bg1IIを用いた制限分析により 分析した(図2を参照されたい)。 実施例4 E.coliにおけるPDGF−B119109融合ダイマーの発現 プレ−プロスペーサーを含むPDGF−B119109融合ダイマーをコードする 実施例3に記載のpUC18の挿入体をXbaIを用いて制限することによりp UC18から除去した。1369塩基対XbaIフラグメントをSeaplaq ue低融解温度アガロースゲル上の電気泳動により精製し、E.coli発現ベ クターpCFM1156に 連結した。プラスミドpCFM1156PLは公知のプラスミドpCFM836 から調製する。プラスミドpCFM836の調製は、米国特許第4,710,4 73号明細書に記載されており、該明細書中の関連部分、特に実施例1〜7はこ こに引用して本明細書の一部とする。pCFM1156及びpCFM836を調 製するためには、2つの内在NdeI制限部位を切断し、露出した末端をT4ポ リメラーゼで充填し、充填した末端をブラントエンド連結する。 次いで得られたプラスミドをClaI及びKpnIで消化し、切り出されたD NAフラグメントを以下の配列のDNAオリゴヌクレオチドで置換する: 5′→3′ ClaI KpnI 3′→5′ pCFM1156ベクターは、上流のXbaI部位といくつかの下流制限部位 の一つとの間に外来遺伝子挿入用領域を含んでいる。この実施例の場合には、ち ょうどXbaI部位を用いた。 連結反応混合物をE.coli株FM−5(ATCC番 号67545)に形質転換し、形質転換細胞を制限マッピングにより分析した。 正配向の挿入体フラグメントを含むクローンを同定した。次に、このプラスミド 中に存在するDNA挿入体の配列を検査したが、観察された配列は図1に記載の タンパク質をコードする予測配列と一致した。 この最終発現プラスミドは、開始メチオニンで始まり、ヒトPDGF−B配列 のアミノ酸1〜119、次にヒトPDGF−B前駆体タンパク質配列のプレ−プ ロ領域のアミノ酸−54〜−1のスペーサー、次にヒトPDGF−B配列のアミ ノ酸1〜109が続くタンパク質をコードする挿入DNA配列を含んでいた。合 成後に原核E.coli宿主細胞からN−末端メチオニンが除去され、それによ って産生した最終タンパク質は、54アミノ酸からなるスペーサーを有するPD GF−B119109融合ホモダイマーに相当する。 PDGF−B119109融合ダイマー用挿入体を含むE.coliクローンを、 30℃で2時間、次いで42℃の誘導温度に変えて4時間、液体培養中で増殖さ せた。誘導の前と後の細胞のアリコートをSDS中で沸騰させて溶解反応させ、 タンパク質を、SDSゲル電気泳動、次いでクー マシーブルー染料で染色して分析した。誘導後の細胞由来のレーンにPDGF− B119109融合ダイマーのほぼ正確な予測サイズ(31Kd)のバンドを認めた が、該バンドは非誘導細胞由来のレーンには存在しなかった。ウエスターン法に よりタンパク質をゲルからニトロセルロースメンブランに移し、ブロットをPD GF−Bに対する抗体と共にインキュベートして分析した。PDGF−B1191 09 融合ダイマープラスミドを含む誘導細胞中の新規なタンパク質は該抗体と特異 的に反応したが、これは、該タンパク質が実際にPDGF−B119109融合ダイ マーであることを実証している。 実施例5 非精製PDGF−B119109融合ダイマーのマイトジェン活性 PDGF−B119109融合ダイマーの潜在的マイトジェン活性についての最初 の試験として、該タンパク質を発現するE.coli細胞をフレンチプレス中で 溶解させた。PDGF−B119109融合ダイマータンパク質の殆どを含む不溶物 質を遠心によりペレット化した。ペレットを0.8mlの6Mグアニジン−HC lに溶解し、次いで8ml の50mM Tris−HCl(pH8.0)に希釈した。電気泳動分析により 、この試料が約30μg/mlのPDGF−B119109融合ダイマーを含むもの と推定された。該物質をNRK線維芽細胞のマイトジェン刺激について数種の濃 度で分析した。用量依存性剌激は、約34ng/mlのPDGF−B119109融 合ダイマー用量を用いた場合に最大剌激が起こることが観察された。これは、該 タンパク質が生物学的に活性であり、この大ざっぱな手順で「折りたたまれた」 ときでさえ、活性レベルが野生型PDGF―BBの活性に匹敵することを初めて 示した。 実施例6 PDGF−B119109融合ダイマーの精製及び復元 PDGF−B119109融合ホモダイマーを含む実施例5のE.coli発酵培 地由来の細胞を2つのバッチにわけて精製した。どちらの場合も、先ず細胞を約 10容量(湿潤重量/容量)の水に懸濁し、次いで9000psiのGauli nホモジナイザーに3回通した。次いでホモジナイズされた細胞を5000×g で1時間4℃で遠心し、上清を廃棄した。 得られた沈降物(PDGF−B119109融合ホモダイマ ーを含む封入体)を、最初の細胞の懸濁に用いた水の容量の約60%の容量の6 Mグアニジン−HCl、100mM Tris塩化物(pH7.5)に懸濁した 。β−メルカプトエタノールを約0.08%(v/v)の濃度になるまで加え、 懸濁液を90分間周囲温度で混合した。5容量の水を約15分かけてゆっくり加 え、約16時間周囲温度で混合を継続した。水をゆっくり加えてグアニジン−H Clの濃度を0.6Mにした。酢酸を用いてpHを約3.5に調整し、4℃で約 3時間混合した。次いで懸濁液を17,700×gで15分間4℃で遠心し、混 合物を清澄にした。次いで得られた上清を、0.1M酢酸ナトリウム(pH4) で平衡にしたS−Sepharose(登録商標)カラム(Pharmacia Biotech ,Piscataway,New Jersey)に充填した。充填したカラムを、(1)20mMリ ン酸ナトリウム(pH7.5)、次いで(2)20mMリン酸ナトリウム(pH 7.5)、0.1M塩化ナトリウム、さらに(3)20mMリン酸ナトリウム( pH7.5)、1.0M塩化ナトリウムで洗浄した。 PDGF−B119109融合ホモダイマーを含む最終洗浄における分画をプール し、モノクローナル抗体認識PDG F−BBを含むイムノアフィニティーカラムに入れた。充填したアフィニティー カラムを、(1)0.5M塩化ナトリウム、25mM Tris塩化物(pH7 .5)、次いで(2)0.5M塩化ナトリウムで洗浄した。次いでPDGF−B119109融合ホモダイマーを、1M酢酸、0.15M塩化ナトリウムで溶離し、 溶媒を水と交換したAmicon(登録商標)−YM10(Amicon,Beverly,M assachusetts)メンブラン上で濃縮した。 次いでPDGF−B119109融合ホモダイマーをポリスルホエチルアスパルト アミドカラム(The Nest Group,South Boro,Massachusetts)に入れ、20m Mリン酸ナトリウム(pH6.8)中、0〜1M塩化ナトリウムの線勾配を用い て展開した。PDGF融合ダイマーを含む該分画をプールして濃縮し、次いで1 0mM酢酸ナトリウム(pH4)/0.15M塩化ナトリウムに交換した。 実施例7 精製且つ折りたたまれたPDGF−B119109融合ダイマーのマイトジェン活性 実施例6の精製PDGF−B119109融合ダイマーの第1のバッチをNRK細 胞に関するマイトジェン活性につい て検定し、該ダイマーが野生型PDGF−BBの活性に近似した活性を有するこ とを見いだした。 実施例6の精製PDGF−B119109融合ダイマーの第2のバッチをゲル電気 泳動によりNRK細胞に関するマイトジェン活性について分析した。該タンパク 質は、還元の前と後で約31Kdのダイマーとして移動したが、これは、該タン パク質が図5に示されているような真正融合ダイマーであることを示している。 PDGF−B119109融合ダイマー及び野生型PDGF−BBホモダイマーのN RKマイトジェン活性アッセイにおける用量応答曲線は、図6に示されているよ うに極めて近似したものであった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 19/00 8318−4H C12P 21/02 H 9282−4B (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AT,AU,BB,BG,BR,BY, CA,CH,CN,CZ,DE,DK,ES,FI,G B,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LU,LV ,MG,MN,MW,NL,NO,NZ,PL,PT, RO,RU,SD,SE,SK,UA,VN

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.天然産生マルチマータンパク質の2つ以上のポリペプチドサブユニットを含 む生物学的に活性なタンパク質であって、該サブユニットが単一の連続ポリペプ チドに組み込まれたタンパク質。 2.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれPDGFファミリーのメンバーで ある請求項1に記載の生物学的に活性なタンパク質。 3.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれ、PDGF−A、PDGF−B、 VEGF及びPLGFアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含 む請求項2に記載の生物学的に活性なタンパク質。 4.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれ、PDGF−A及びPDGF−B アミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む請求項3に記載の生 物学的に活性なタンパク質。 5.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれヒトPDGF−B配列である請求 項4に記載の生物学的に活性なタンパク質。 6.前記サブユニットがスペーサー部分によって互いに分離されている請求項1 に記載の生物学的に活性なタンパク質。 7.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれPDGFファミリーのメンバーで ある請求項6に記載の生物学的に活性なタンパク質。 8.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれ、PDGF−A、PDGF−B、 VEGF及びPLGFアミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含 む請求項7に記載の生物学的に活性なタンパク質。 9.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれ、PDGF―A及びPDGF−B アミノ酸配列からなる群から選択されたアミノ酸配列を含む請求項8に記載の生 物学的に活性なタンパク質。 10.前記ポリペプチドサブユニットがそれぞれヒトPDGF−B配列である請 求項9に記載の生物学的に活性なタンパク質。 11.前記ポリペプチドサブユニットの中の一つがPDGF−B109であり、そ して前記ポリペプチドサブユニットの中の一つがPDGF−B119である請求項 10に記載の 生物学的に活性なタンパク質。 12.前記生物学的に活性なタンパク質が図1に示されているアミノ酸配列を有 する請求項11に記載の生物学的に活性なタンパク質。 13.天然産生マルチマータンパク質の2つ以上のポリペプチドサブユニット用 コード配列を含む生物学的に活性なタンパク質用のコード配列であって、該サブ ユニット用コード配列が単一の連続ポリペプチドをコードするように互いに連結 されているコード配列。 14.前記コード配列がPDGF−BB融合ダイマーをコードする請求項13に 記載のコード配列。 15.天然産生マルチマータンパク質の2つ以上のポリペプチドサブユニット用 コード配列を含む生物学的に活性なタンパク質用のコード配列であって、該サブ ユニット用コード配列が単一の連続ポリペプチドをコードするように互いに連結 されているコード配列を含有するトランスフェクト宿主細胞。 16.前記コード配列がPDGF−BB融合ダイマーをコードする請求項15に 記載のトランスフェクト宿主細胞。 17.請求項1に記載の生物学的に活性なタンパク質及び 医薬上許容可能な担体を含む医薬組成物。 18.前記生物学的に活性なタンパク質がPDGF−BB融合ダイマーである請 求項17に記載の医薬組成物。 19.前記生物学的に活性なタンパク質が図1に示されているアミノ酸配列を有 する請求項18に記載の医薬組成物。 20.天然産生マルチマータンパク質の2つ以上のポリペプチドサブユニットを 含むポリペプチド性インヒビターであって、該サブユニットが単一の連続ポリペ プチドに組み込まれており且つ該サブユニットの少なくとも一つが生物学的に不 活性であるインヒビター。 21.前記ポリペプチドサブユニットの中の一つがPDGFファミリーの生物学 的に活性なメンバーであり且つ該サブユニットの中の一つがPDGFファミリー の生物学的に不活性なメンバーである請求項20に記載のポリペプチド性インヒ ビター。
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