JPH09501825A - 細菌細胞における組み換え遺伝子の複シストロン性発現 - Google Patents

細菌細胞における組み換え遺伝子の複シストロン性発現

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JPH09501825A
JPH09501825A JP7501321A JP50132195A JPH09501825A JP H09501825 A JPH09501825 A JP H09501825A JP 7501321 A JP7501321 A JP 7501321A JP 50132195 A JP50132195 A JP 50132195A JP H09501825 A JPH09501825 A JP H09501825A
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シュネッペ,ベルナルド
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アイヒナー,ヴォルフラム
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バイアースドルフ アーゲー
ゲーベーエフ ゲゼルシャフト フュア ビオテヒノロギッシュ フォルシュング エムベーハー
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、複シストロン性発現ベクターを用いる、細菌細胞におけるヘテロ量体タンパク質生産のための組み換え方法に関する。本発明に従う方法を使用して、全く同一の細菌細胞においてタンパク質の成分あるいはサブユニットを発現することが可能であり、発現率が個々に制御され得る。

Description

【発明の詳細な説明】 細菌細胞における組み換え遺伝子の複シストロン性発現 本発明は、複シストロン性発現ベクターによる、細菌細胞でのヘテロ量体タン パク質の組み換え生産に関する。 例えば成長因子のような、比較的多量の組み換えタンパク質を生産および単離 するための重要な全般的な戦略は、適切な発現系を用いるcDNA過剰発現である。 種々の系、特に、哺乳動物細胞、昆虫細胞でのバキュロウイルス系、酵母、ある いはBacillus subtilisおよびEscherichia coliのような細菌が、異種遺伝子発 現に使用される。これらの各系は利点および不都合を有するが、作業はE.coli 細菌によって最もよく実施される。この微生物は、外来遺伝子の過剰生産のため の戦略の展開に都合のよい条件を提供する一方、遺伝子工学観点から操作が容易 であり、経済的な観点から好ましく、また、その他全ての系に比較して最も完全 に研究されている。従って、学術的および経済的の両目的において、比較的容易 および迅速に高収量の組み換えタンパク質が得られる、規定の株(異種遺伝子発 現に適した変異を有する)およびよく特徴づけられた有効な制御エレメントを有 するベクター系が存在する。 組み換えタンパク質の収量レベルは、数個の因子によって制御あるいは影響さ れ得る(BuellおよびPanayotatos,1986 ; GlickおよびWhitney,1987; Gold,1990; McCarthy,1991)。しかし、E.col iでの異種遺伝子発現の主要な収量決定基準は、遺伝子の転写および翻訳効率で ある。従って、これらの過程の制御は、発現系の開発および使用時にかかわって くる。遺伝子の有効な転写を確実にするために、後者は一般的に「強」プロモー ターの制御下に置かれる。外来遺伝子発現が不必要に細胞代謝と相互作用せず、 おそらく細胞収量あるいはプラスミドの安定性を減少させないために、プロモー ターは制御され得るべきであり、すなわち、特定の細胞増殖期に活性化され得る べきである。最もよく使用されるプロモターは、E.coliのtrp-あるいはlac-オ ペロン、tac-プロモーター、λバクテリファージのPLおよびPRプロモーター、お よびT7バクテリオファージのプロモーターである(YansuraおよびHenner,1990; Yanisch-Perronら、1985; Stark,1987; de Boerら、1983; Remautら、1981; S chauderら、1987; TaborおよびRichardson,1985; StudierおよびMoffatt,1986 )。 E.coliでは、遺伝子の翻訳率は、遺伝子の翻訳開始領域(TIR)を介して、主 に開始段階で制御される。mRNAのこの領域は機能的に定義され、翻訳の開始部位 および効率の両方を決定する。シャイン・ダルガルノ配列およびそれから4-12塩 基の距離に配座する開始コドンに加えて、一次配列およびより高次の構造を介す るリボソーム結合の効率に影響し得る、mRNAのその他の隣接領域もまた含有する (下記を参照のこと)。遺伝子のTIRの5'領域は非翻訳「リーダー」、あるいは 、ポリ シストロンmRNAの場合には、上流に配座するシストロン末端もまた含有し得るが 、3'領域は関連のコーディング遺伝子部分それ自身に広がり得る(McCarthy,19 91; McCarthyおよびGualerzi,1990; Schererら、1980と比較のこと)。 原則的には、E.coliでの組み換え遺伝子の有効な翻訳を確実にする3つの戦 略が存在する。1つの可能性は、融合遺伝子部分としての組み換え遺伝子の発現 からなる(UhlenおよびMoks,1990; Yansura,1990)。それは、TIRの下流に読 み取り枠および容易に発現され得る原核遺伝子の5'領域を保持して、クローン化 される。この構築はまた翻訳融合と呼ばれる。TIRは変化されないので、比較的 高い翻訳率が、概して融合遺伝子に対しても確実にされ得る。この方法の助けに よって、細菌が真核コーディング配列を発現し得ることが初めて示された(Vill a-Komaroffら、1978; Seeburgら、1978,Martialら、1979)。このことは特に抗 原およびワクチンの生産に重要であり、それにより融合タンパク質が直接使用さ れ得(Kleidら、1981; Ellisら、1983; Van der Werfら、1983; StanleyおよびL uzio,1984; Jacobら、1985; Cabradillaら、1986; NilsonおよびAbrahmsen,19 90)、ならびに、E.coliにおける非常に小さなポリペプチドあるいはタンパク 質の安定な合成に重要であり、なぜなら後者は融合タンパク質部分として、細菌 のプロテアーゼによるタンパク質分解に対して防御され得るからである(Itakur aら、1977; Shineら、1980; Ohsuyeら、1983; StanleyおよびLuzio,1984; Wind engerら、1 988; Yansura,1990; NilssonおよびAbrahmsen,1990)。多くの場合において観 察される、封入体形態での融合タンパク質の凝集もまた、ある役割を果たしてい る(Marstonら、1986; KaneおよびHartley,1988)。融合タンパク質の精製が容 易であるように、N-末端タンパク質部分もまた選択され得る(Ullman,1984; Ge rminoおよびBastia,1984; BrewerおよびSassenfeld,1985; Moksら、1987; Nil ssonおよびAbrahmsen,1990)。細胞質中で融合タンパク質として発現される組 み換え遺伝子は、全細胞タンパク質の20%までに達し得る(Marst on,1986)。 しかし、この戦略の重大な不都合は、非融合組み換えタンパク質が、N-末端原 核融合タンパク質部分の除去後にしか得られず、これは、タンパク質の生物学的 活性を減少し得、その抗原特性を改変することである。この目的にしばしば使用 される、タンパク質鎖中のメチオニン基を攻撃する、臭化シアン試薬による融合 タンパク質の化学的切断は、切断が70%ギ酸中で実施されるので、内部メチオニ ン基を有さず酸耐性であるポリペプチドに限定される(Itakuraら、1977; Goedd elら、1979; Ohsuyeら、1983; Petersら、1985; Marston,1986; Hoppeら、1989 ,1990)。一方では、融合タンパク質の酸処理による(Szokaら、1986; Windeng erら、1989)、あるいは、適切に組み込まれたアミノ酸、アスパラギン酸および プロリン、あるいはアスパラギンおよびグリシン間のヒドロキシルアミン処理( Moksら、1987)による切断が、この組合せ を有さない組み換え遺伝子産物のみに対して再度使用され得る。他方、これらの 方法によって、改変タンパク質は、天然に存在するタンパク質に比較して、N-末 端に付加アミノ酸あるいはその他のアミノ酸を有するタンパク質(Szokaら、198 6; Wingenderら、1989)を、酸処理の場合には、アミド基を欠損したアスパラギ ン基を有するタンパク質(Marston,1986)を形成し得る。N-末端の付加アミノ 酸あるいはその他との置換は、組み換えタンパク質の活性に影響し得るか(Pott sら、1982; Szokaら、1986と比較のこと)、あるいは、計画され得る臨床適用に は適さないように抗原特性を変化し得る。その他の場合では、特異プロテアーゼ 切断部位をコードする配列が原核部分と組み換え融合遺伝子部分との間に組み込 まれ、その結果、天然組み換えタンパク質は酵素切断によって再度生産され得な かった(LeeおよびUllrich,1984; NagaiおよびThogersen,1984; Germinoおよ びBastia,1984; Vardarajanら、1985; Nambiarら、1987; BrewerおよびSassenf eld,1985; NilssonおよびAbrahmsen,1990)。しかしまた、プロテアーゼ感受 性領域が外来タンパク質中に含有されるとき(Shineら、1980; Nambiarら、1987 と比較のこと)、融合タンパク質が、プロテアーゼ活性に必要な条件下で可溶性 でないとき、あるいは、組み込まれたプロテアーゼ切断部位がその他のタンパク 質領域によってプロテアーゼ攻撃から隠蔽されるとき(Marston,1986; Windeng erら、1989)は、この形成に困難が生じ得る。さらに、工業規模での組み換えタ ンパク質の生 産のための融合遺伝子法の重要性は、一方では臭化シアンの毒性、および他方、 プロテアーゼに対する莫大な経費によって、低下している。 上記に考察された方法の変法は、いわゆる細菌シグナルペプチド配列と融合さ れた組み換えタンパク質の合成である(Marston,1986; Nicaudら、1986; Stade rおよびSilhavy,1990)。これらの配列は、タンパク質のE.coliの細胞質から 細胞周辺腔へ、あるいは、まれに培養培地への輸送を調整する。しかし、シグナ ルペプチドは、細胞膜を通って輸送されるうちに切断されるので、確実な組み換 えタンパク質は、融合が適切に実施されるときに、この方法によって直接得られ 得る。E.coli細胞周辺腔あるいは培養培地におけるタンパク質の局在化は、次 の精製をより容易にし、そして、その逆も公知であるが(Gentzら、1988; Strau chおよびBeckwith,1988)、タンパク質分解に対して防御し得る(Talmadgeおよ びGilbert,1982; SwamyおよびGoldberg,1982; Wongら、1988; Dalbogeら、198 9)。 それ以後、この方法の利用に成功した多数の例が存在する。培養培地への組み 換えタンパク質の分泌は、わずかの場合においてのみ成功したが(Nagahariら、 1985; Lorg,1985)、多くの報文で、異なる別の細菌シグナルペプチド配列を使 用した、組み換えタンパク質のE.coli細胞周辺腔への輸送が記載された(Talma dgeら、1980; Zemel-Dreasonおよびzamir,1984; Changら、1987; Dalbogeら、1 989)。いくつかの研究 チームは、ペリプラズムからのタンパク質の受動漏出を観察し(Wongら、1988; Obukowiczら、1988; Betterら、1988,StaderおよびSilhavy,1990と比較のこと )、あるいは、その産物がE.coliの外膜を透過させる、その他の遺伝子の共発 現を介して、タンパク質の放出を達成した(Katoら、1987; Hsiungら、1989)。 これに関連して、E.coliの細胞周辺腔への組み換えタンパク質の輸送のその他 の利点が出現する。細胞質中よりもこの部分に、より強い酸化条件が普及してい るので、ジスルフィド架橋を有するタンパク質は、このような結合をこの部分に 形成し得、従って、それらの適切なコンフォメーションを達成し得る(Chanら、 1981; PollittおよびZalkin,1983; Emerickら、1985; Grayら、1985; Hsiungら 、1986; Katoら、1987; Wongら、1988; Hsiungら、1989; Kleinら、1991)。掲 載されている報文において、シグナルペプチド配列は、各場合において適切にプ ロセスされ、得られる組み換えタンパク質は可溶性であり、そして調べられたと きは生物学的に活性であった。しかし、すでに不溶性のタンパク質凝集物もまた ペリプラズム中に観察された(Takagiら、1988; Wongら、1988; Obukowiczら、1 988)。例外的に、E.coli細胞中での適切なプロセシングおよびペリプラズムへ の輸送もまた、それらの天然のシグナル配列を有する真核タンパク質について検 出された(Talmadgeら、1980; Zemel-DreasenおよびZamir,1984; Grayら、1985 )。 生物学的に活性な抗体フラグメントの生産により、異なる サブユニットからなる組み換えタンパク質がペリプラズムで適切に組み立てられ 得ることが示された(Betterら、1988; しかし、Fab-からF(ab)2フラグメントへのさらなる二量体化はなされなかった( Carterら、1992)。 不運にも、E.coliによる組み換えタンパク質の輸送あるいは分泌に関する普 遍的な適切な標準方法がないことが、今までの結果から推定されている。逆に、 シグナルペプチドの存在が細胞膜を通っての輸送に不可欠であるが、成熟タンパ ク質の配列領域からのその他の情報もまたこの目的のために必要であるから、各 タンパク質は特別の場合を示すと考えられる。従って、いくつかの事例において 、シグナルペプチドを有するタンパク質の合成は、キメラタンパク質が細胞膜に はめ込まれた状態であり、輸送機構がブロックされるので、E.coliに対して障 害性であることが分かった(Bassfordら、1979; Ito,1981; Henningら、1983; Brosius,1984)。さらに、ただ1つの事例においてではあるが、真核細胞質タ ンパク質のE.coliペリプラズムへの輸送が報告された(Takaharaら、1988)。 これらの結果から、どのタンパク質も輸送可能であるとは限らないと結論され得 る。さらに、その他の報文は、E.coliの輸送機構は、組み換えタンパク質に対 する単に適度な合成率を与える、限られた能力のみを有することを示した(Obuk owiczら、1988)。速度を増大させると、各場合において、細胞質中においてプ ロセスされなかった前駆体タン パク質が蓄積し、そして細胞増殖の阻害が生じた(Hsiungら、1986; Hsiungら、 1989; Takagiら、1988; Kleinら、1991)。この事実は、今日まで、Katoら(198 7)(11.2 mg/リットル培養)を除くと、細胞質発現に比較して、極わずかの収 量の組み換えタンパク質(全細胞タンパク質の約7%あるいは約1-2 mg/リットル 培養)しか得られ得なかったという、この発現方法の別の重大な不都合を説明す る。しかし、小さなタンパク質にとっては、ペリプラズムへの輸送もまた、非常 に効率的であり得る(Dalbogeら、1989)。しかし、培養リットルあたり1-2 g F abフラグメントというCarterら(1992)によって報告された値は、特別に高細胞密 度の培養方法によってのみ達成された。組み換えタンパク質のペリプラズムへの 輸送あるいはその培養培地への分泌は、N-末端StphylococcusプロテインA配列の 使用によって、より新しい発現系において明らかにより効率的であった(Nilsso nおよびAbrahsen、1990)。しかし、このようにして得られた産物は、各場合に おいて、また融合タンパク質である(上記と比較のこと)。 E.coliにおける異種遺伝子発現(直接細胞質発現)の第三の基本方法は、細 胞質中で組み換え遺伝子によって独占的にコードされる非融合タンパク質の合成 に向けられている(McCarthy,1991)。この目的のために有効な細菌性翻訳制御 シグナルを有する組み換え遺伝子を提供するために、それは、一般に、有効な細 菌性TIRの非翻訳5'-「リーダー」配列に最適な距離で、開始コドンに接続される 。対応シストロンの発 現(codoenen)5'領域を含まないTIRのその領域(上記を参照のこと)は、一般 的に、この出願では、翻訳開始配列(TIS)と呼ばれる。 この構築(これはまた 転写融合とも呼ばれる)により、シャイン・ダルガルノ配列(TIS)を含む細菌 性「リーダー」および組み換え遺伝子の5'領域からなる新規なキメラTIRが得ら れる。翻訳の開始のために組み換え遺伝子配列の5'末端に開始コドンを必要とす ることは、この方法の場合には、各場合の翻訳過程の最初の産物がN末端として メチオニン基を有するという不都合を有する。遺伝子配列が細菌性「リーダー」 に適切に接続されているときには、所望の確実な組み換え遺伝子産物が得られる ように、これは、多くの場合、切断除去される(Georgeら、1985; Winklerら、1 985; Kronheimら、1986; Langleyら、1987A; Tanizawaら、1987; Meyersら、198 7)。逆に、この切断が見られなかった一連の組み換え遺伝子産物が存在する(G oeddelら、1979; Ikeharaら、1984; Buellら、1984; Kaytesら、1986; Ivanoff ら、1986; Mikiら、1987; Denefleら、1987; Saitoら、1987)。 この発現方法の別の不都合は、細胞質プロテアーゼによる発現産物への攻撃で あり得る。しかし、細胞質中でのプロテアーゼ感受性組み換え遺伝子産物の合成 は、htpR遺伝子あるいはプロテアーゼ遺伝子に欠損を有する特定のE.cloi株を 使用して達成され得る(Bossら、1984; Buellら、1985; Mandeckiら、1986)。 組み換えタンパク質の安定化もまた、外来タンパク質を防御するか(Simonら、1 983; Duvoisinら、1986)、 あるいは、これを沈澱させて不溶性凝集物とする(Saitoら、1987)産物をコー ドする遺伝子の共発現によって、達成され得る。後者の場合には、2つの重複遺 伝子からなる二シストロン系が、遺伝子産物のモル比が4.5:1になるように使用 された。 E.coliでの組み換え遺伝子の翻訳を開始するために使用された細菌性TIRおよ びTISの公知の天然「リーダー」配列の例は、E.coli由来のlacZ遺伝子(Tanigu chiら、1980; de Boerら、1983)、RNAファージMS2のレプリカーゼ遺伝子(Rema utら、1983; Sollazoら、1985)、E.coli由来のlpp遺伝子(NakamuraおよびIno uye,1982)、E.coli由来のatpE遺伝子(McCarthyら、1985; Schauderら、1987 ; Belevら、1991)、λファージのcro遺伝子(Sollazzoら、1985)、およびファ ージT7の遺伝子10(Studierら、1990; OlinsおよびRangwala,1990)のリーダー 配列である。合成「リーダー」もまた使用された(Jayら、1981; Crowlら、1985 ; Stanssensら、1985)。キメラTIRは、リボソームの有効な結合を行い得るため に、比較的開放されたコンフォメーションを有する。しかし、TIRがmRNAの二次 構造中にはめ込まれれば、その安定性は、インビトロ変異誘発あるいはその他の 細菌性「リーダー」配列の使用により減少させられ得、さらにインビトロにおい て合成あるいは改変され得、このため遺伝子発現は明確に増大され得る(Buell ら、1985; Stanssensら、1985; Leeら、1987; SchauderおよびMcCarthy,1989; Spanjaardら、1989; Grossら、 1990; McCarthy,1991)。このような最適化を簡素化する特定の発現ベクターが 存在し、これはまたインビトロ変異誘発を実施するための一本鎖DNAとして単離 され得るか(Solazzoら、1985; Belevら、1991)、あるいは、そこで細菌性「リ ーダー」がカセットとして置換され得る(Schauderら、1987; Belevら、1991) 。別の戦略において、活性化は、翻訳カップリングによる組み換え遺伝子の遮蔽 TIRのより高次の構造により達成された(Schonerら、1984; Spanjaardら、1989 )。TIRの二次構造は、組み換え遺伝子の上流に適切に配置された短いプレシス トロンを翻訳するリボソームを延長することにより、開かれる。 直接発現された組み換え遺伝子産物は、E.coliの全細胞タンパク質の約20-30 %にまで達し得る。多くの場合に、細胞質における封入体形態のタンパク質凝集 が観察された(Marston,1986によるまとめ; KaneおよびHartly,1988を参照の こと)。これらの不溶性凝集物の形成は、いくつかの理由により好都合であり得 る。組み換えタンパク質を含む封入体の単離は簡単であり、すでに50%を超える 純度の産物を生じる。一般には、単にもう一工程行うことによって90%を超える 純度のタンパク質調製物が得られるので、このことにより時間および経費を節約 する精製方法が可能になる。さらに、E.coli細胞中の外来タンパク質の凝集は プロテアーゼに対する防御を与え(Saitoら、1987)、それは、均質タンパク調 製に利点を与える。これは、タンパク質分解産物はしばしば除去するのが困難で あるからである。しかし、問題は、不溶性で生物学的に不活性なタンパク質を再 度可溶化すること、および、それらを天然および活性形態に変換することである 。しかし一方で、成功した復元が多くの組み換えタンパク質について記載されて いる(Bossら、1984; Cabillyら、1984; Marstonら、1984; simonsら、1984; Gi llら、1985; Georgeら、1985; Winklerら、1985; Zurawskiら、1986; Kronheim ら、1986; Tsujeら、1987; Langleyら、1987B; Denefleら、1987)。 その他の組み換えタンパク質が、細胞質中において可溶性形態で、高比率にて 直接発現された(Pennicaら、1985; Grossら、1985; Kishimotoら、1986; Meyer sら、1987; Tanizawaら、1987; Leviら、1987)。その産物は、生物学に活性で あったが、多くの場合、それらの精製に長い手順が要求された。可溶性組み換え タンパク質の部分は、組み換え細胞のインキュベーション温度に非常に影響され る(Schein,1989)。 概して、組み換えタンパク質は今まではいつも、E.coliあるいはその他の細 菌の細胞質で個別に発現された(上記を参照のこと)。しかし、特に、異なるタ ンパク質鎖のインビトロにおける二量体化あるいは異なるタンパク質サブユニッ トの複合体への取り込みが求められる場合に、細胞でタンパク質の共発現を可能 にする系がまた、望まれている。 しかし、そこに普及する還元条件(KaneおよびHartley,1988; TuggleおよびF uchs,1985; 上記と比較のこと)が、しばしば、細菌細胞質におけるジスルフィ ド架橋の形成を必要 とするタンパク質の多量体化に対して、直接関わる大きな問題となることが分か る。これは、E.coliでの抗体フラグメントの合成において特に明らかである。 活性な、すなわち適切に組み立てられた抗体フラグメントは、抗体の重鎖および 軽鎖についての遺伝子の細胞質共発現において得られなかった(Cabillyら、1984 ; Bossら、1984)が、その問題は、その鎖のペリプラズムへの分泌および得られ た機能性産物によって 1; SawyerおよびBlattner,1991)。最近の報文では、抗体ドメインの遺伝子が 、細菌性シグナルペプチドをコードする配列と融合され、一般のプロモーターに よって二シストロン性mRNA形態において転写された。2つの組み換え遺伝子を、 リボソーム結合部位を含む同じシグナル配列と融合させることにより、両遺伝子 の翻訳比率を制御するための同一の非改変細菌性TIR配列を得た(Betterら、198 8; SawyerおよびBlattner,1991; Carterら、1992)。遺伝子産物の化学量論比 はどの場合においても調べられなかったか、あるいは翻訳の開始段階でTIRある いはTIS配列を変えることにより、これに影響を及ぼさせる試みさえなされなか った。免疫グロブリンフラグメントの細胞質発現の場合には、共発現が2つの異 なるプラスミドを使用して達成された(Cabillyら、1984; Bossら、1984)。こ の方法によって、組み換えタンパク質の合成比率を互いに調和させることは可能 ではなく(おそらく望まれない)、それゆえに、異なる収量の抗体重鎖および軽 鎖が得ら れた。個別のプラスミド安定性もまた役割を果たした(Bossら、1984)。 要約すると、E.coliでの異種遺伝子発現について通例であり本明細書中で考 察されている戦略は、最終的に2つのより基本的な概念に帰することが、言明さ れ得る。1つの場合では、タンパク質サブユニットのペリプラズムへの分泌を通 して、生物学的に活性なタンパク質を得る試みがなされる。この戦略は普遍的に は適用されず、ほとんどの場合においてごく限られた産物収量を得るので、それ ゆえに、細胞質発現は概して生物工学的規模でのタンパク質生産に好ましい。異 なるE.coli株あるいは1つの株中の異なるプラスミドのいずれかが、ヘテロ量 体を得るために今日まで使用されてきた。外来タンパク質をコードするシグナル ペプチド非含有遺伝子の細菌細胞での複シストロン性発現は、今日まで当該分野 では知られていなかった。特に、ヘテロ量体の対応成分の発現比率を制御するこ とは可能ではない。 しかし、ヘテロ量体タンパク質の細胞質共発現サブユニットの合成比率をこの ように制御することは、経済的に大きな関心がある。従って、タンパク質単量体 が、天然形態あるいは変性形態でこの比を作るかあるいはとどめる一方で、とも に単離され得、そして/または再構成されて多量体を与え得る場合、続くインビ トロにおける二量体化(従って、例えば、1:1)または複サブユニットタンパク 質複合体を与えるための組立てに対して好ましいかあるいは必要である化学量論 比に 従って、合成比率を調整することは目的にかなっている。異なるシストロンによ りコードされるタンパク質サブユニットに対して、対応タンパク質の精製過程の 途中で生じる溶解性挙動あるいは選択的収量損失の差異は、相対合成比率の調整 に対して決定的な影響を有し得る。従って、例えば、ヘテロ二量体化に見かけ上 最適のサブユニットの1:1の化学量論的発現比を、低溶解性あるいは精製中の最 も多い相対収量損失を有するタンパク質サブユニットが、対応シストロンでの翻 訳効率の高度な調節により、問題の要求に対して量に関して合わせられるように 、変えることは好都合である。反対に、より良好に発現される、シストロンの負 の調節もまた、考慮される。 合成比率の制御はまた、すでに考察されている抗体成分に関して興味深く、特 に、ヘテロ量体タンパク質(例えば、VEGF、分散因子(HGF-SF)、TGF-βスーパ ーファミリーのメンバー、骨モルフォゲンタンパク質(BMP)、インテグリン/ カドヘリンファミリーの因子、組織適合性抗原、ヘモグロビン、T細胞レセプタ ー、あるいは血小板由来増殖因子(PDGF)のABヘテロ二量体、もしくはそれらの 天然または合成変異体)に関して興味深い。 血小板由来増殖因子(Platelet-Derived Growth Factor,PDGF)は、間充織起 源の細胞および平滑筋細胞に対して非常に活性なマイトジェンである(Kohlerお よびLipton,1974; Rossら、1974)。早くに、PDGFはインビボにおいて、局所創 傷治癒過程に明確な結果をもたらす様式で関与することが予測されていた(Ross ら、1974; DuelおよびHuang,1984)。この仮説は、最近の臨床学的所見により 裏付けされる(Mustoeら、1989; Pierceら、1989; Greenhalghら、1990,Pierce ら、1991A,1991B; Robsonら、1992)。 ヒト血小板から精製されたPDGFは、ジスルフィド架橋により互いに接続された 、異なるが非常に関連性のある2つのポリペプチド鎖からなる。還元条件下で、 二量体PDGFは、単量体の生物学的に不活性なサブユニットに分解し、その大きい 方(Mr 15,000 D-17,000 D)をPDGF-A鎖と称し、小さい方(Mr 14,000 D)をPDG F-Bと称した(Johnssonら、1984)。 タンパク質鎖PDGF-AおよびPDGF-Bは、異なる遺伝子によってコードされる。両 遺伝子産物の完全な構造は、cDNAクローニングによって説明された(Ratnerら、 1985,Betsholtzら、1986)。両PDGF分子は、特別に長い前駆体分子(いわゆる 前駆体)として最初に合成され、そして次いで、細胞内でプロセスされて成熟PD GF鎖にされたことが明らかになった。2つの異なるPDGF-A転写物は、代替スプラ イシングにより説明され得、これは3'領域における69 bpセグメントの存在ある いは非存在によって説明される(Betsholtzら、1986; Wiseら、1989)。この挿 入により、コーディング部分の変化を生じ、PDGF-A鎖の短い形態(PDGF-AK、110 アミノ酸)および長い形態(PDGF-AL、125アミノ酸)が形成される。両変異体は 、互いに隣りあって通常の細胞タンパク質として検出され、短い形 態がより一般的な種である(Matoskovaら、1989; Youngら、1990)。PDGF-αレ セプターに対するより強い親和性が、PDGF-ALに比較してPDGF-AKのより大きなマ イトジェン効力の理由であり得た。 両遺伝子は異なる染色体中に配座され、高度の相同性を示す。多くの報文は、 両遺伝子が異なる調節機構を受けていることを示している。このことの1つの結 果は、両PDGF鎖は、互いに比較して、通常異なる割合で、異なる細胞型によって 生産されることである。 PDGFの3つの可能な全イソ型(AA、AB、およびBB)は天然に存在し、血小板中 のいわゆるα-顆粒に蓄えられる。重なっているヒト血小板から、主要量を占め るPDGF-ABヘテロ二量体に加えて、PDGF-BBもまた約30%まで単離され得る(Hamma cherら、1988)。新しく調製された血小板はまた高い割合(27%)のPDGF-AAを含 有する(Hartら、1990)。従って、血小板の前駆細胞である巨核球内で、PDGFイ ソ型AA、AB、およびBBが互いに対して1:2:1の固定比で生産され、従って、2つ のホモ二量体の割合がABヘテロ二量体の割合にほぼ対応することが仮定され得る 。血小板中の各PDGF種の濃度は、創傷治癒過程での個々の重要性に直接関連して おり、その結果として、特に、PDGF-ABは、「創傷治癒ホルモン」についての研 究において顕著な役割を果たしている。 既知精製プロトコールで低収量であることは、天然供給源から著しい量のPDGF を単離することが非常に困難であるため である。ヒト血小板PDGFに含まれているイソ型を別々に単離する試み(PDGF-AA ,-AB,-BB; Hammacherら、1988)は、またしても成功の機会を得ることはずっ と少ない。異なるイソ型はすべて、インビトロにおいて生物学的活性を有する。 高純度の組み換えPDGFイソ型の入手可能性(Hoppeら、1989; Hoppeら、1990)に よってのみ、異なるPDGF種の異なる活性スペクトルの識別の比較研究が可能にな った。それ以来、一連の研究が、走化性およびDNA増殖テストにおけるPDGF-AA、 AB、およびBBの多様な効力(Hosangら、1989; Nisterら、1988; ReillyおよびBr oski,1989; Siegbahnら、1990)、ならびに、イノシトール1,4,5-三リン酸の放 出、ジアシルグリセロールの生成、および[Ca2+]iの動員におけるそれらの種々 の影響(Blockら、1989; Sachinidisら、1990A; Sachinidisら、1990B)を示し た。2つの異なるPDGFレセプター群(PDGF-αレセプターは全PDGFイソ型に結合 し、β-レセプターはPDGF-BBのみに結合する)(Hartら、1988; Heldinら、1988 )が存在することにより、レセプターの活性化に対するそれらの異なる能力のた めに、PDGFイソ型の活性の差異がいかに示されるかがもっともらしく説明される 。2つの異なるレセプター群の検出とともに、PDGFイソ型の測定可能な異なるイ ンビトロの効果が得られたので、PDGF-AA、AB、およびBBのインビボにおける活 性スペクトルが異なるという結論を引き出し得る。従って、付随するタンパク質 としてPDGF-BBあるいはPDGF-AAを伴わない純粋PDGF-ABの生産が望まれる。 最初に掲載されている多くの発現系(酵母、細菌、哺乳動物細胞)は、PDGFあ るいはPDGFアナログの発現に使用された。異種系で、PDGFのA鎖およびB鎖を発現 する試みは、今日まで、下記に示す例に本質的に限定されていた。 Kellyら(1985)は、酵母細胞中で生物学的に活性なPDGF-BBホモ二量体の発現 を最初に成功した。真核細胞(例えば組み 系(欧州特許第0259632号)を使用してのヘテロ二量体PDGF-ABあるいはPDGF-AB アナログを生産するための、今日までに報告された戦略の主な不利益は、下流タ ンパク質精製方法において除去されなければならない望ましくないホモ二量体PD GF副産物の、影響され得ない共発現である。CHO細胞中に発現された異なるPDGF 二量体の定量は、PDGF-AAに対しては19%、PD annら、1988)。 原核生物におけるPDGF-B鎖の発現の最初の試みは、単量体サブユニットの自然 会合に必要な媒体がこれらの細胞には存在しないので、生物学的に活性な産物を 導かなかった(Devareら、1984; WangおよびWilliams,1984)。PDGF-BBホモ二 量体の成功したインビトロ復元は、はじめてHoppeらによって記載された(1989 、WO 90/04035を参照のこと)。E.coliにおける融合タンパク質としての成熟PD GF-B鎖の発現、そして続く化学的切断による単量体PDGF-Bの解離の後に、単量体 を再構成して増殖刺激rPDGF-BBを得ることが成功した。増殖刺激 PDGF-AAおよびABもまた同じ方法で得られた(Hoppeら、1990、WO 90/08163もま た参照のこと)。融合タンパク質発現の結果として、この方法に従って単離され たPDGF-B鎖は、12アミノ酸短縮されたN末端および5アミノ酸伸長されたC末端を 有する。PDGF-ABの原核生物での生産についての非常に類似の方法が、WO 91/087 62に記載されている。両PDGF鎖は、ここでは直接細胞質発現によって得られた。 PDGF鎖の細菌での直接細胞質発現のための高性能発現系は今日まで存在せず、 このような細胞での両鎖の合同発現のための二シストロン性系も記載されていな い。 従って、本発明の目的は、細菌細胞中での多量体タンパク質の組み換え生産の ための方法、および、これらの方法に使用するための因子を提供することであり 、このことは、多量体タンパク質の成分および/またはサブユニットを全く同一 の細菌細胞において発現させ、そして同時に、ヘテロ量体タンパク質複合体を与 えるように続くインビトロ多量体化あるいは組立に対して望ましいかあるいは必 要とされる化学量論比に従って、細胞質共発現タンパク質サブユニットの合成比 率を制御することが可能であることによる。特に、この方法および因子は、経済 的な条件下に多量の組み換えタンパク質生産が可能であるように提供されるべき である。 この目的を達成するために、細菌細胞における多量体タンパク質の組み換え生 産のための方法が、本発明に従って提案される。上記方法は、以下の(a)、(b)、 および(c)によって特 徴付けられる: a)上記細胞は、下記の一般式の複シストロン性発現ユニットを含有する ベクターによって形質転換され、 p - (TIS - C)n ここで、 「p」は、細菌性転写プロモーターであり、そして 「(TIS - C)n」は、繰り返し基であり、この中で「C」は、各場合において、多 量体タンパク質のサブユニットあるいは成分をコードするDNA配列であり、これ は、シグナルペプチドをコードする領域を含まず、それによって、連続する「TI S -C」基の「C」配列は、同一および/または異なり得、 「TIS」は、各場合において、「C」とキメラ「TIR」を形成する合成および/ま たは天然の細菌性非翻訳「リーダー」配列であり、それによって、連続する「TI S - C」基の「TIS」配列は、同一および/または異なり得、そして、 nは、2以上の自然数であり、 ここで、「p」、「TIS」、および「C」は、各々互いに作動可能に連結され、そ してタンパク質をコードする「C」配列の発現比率は、各場合において関連「TIS 」配列の選択によって個別に制御され、 b)上記形質転換細胞は、適切な栄養培地中で培養され、そして次に、 c)上記細胞は培地から取り出されて、「C」配列の発現産物は、細胞の 細胞質から単離され、必要に応じて復元お よび再構成されて、機能性多量体タンパク質を得る。 本発明に従った方法では、組み換え遺伝子は、一般のプロモーターからポリシ ストロンmRNAの形態で転写される。さらなる復元および再構成実験に必要とされ る、遺伝子産物の所望の規定の合成比率あるいは互いに対する化学量論的比は、 翻訳開始レベルでの「遺伝的滴定」を使用して調整される。この目的のために、 共転写されるシストロンの各々に対して、一方では細菌性あるいは合成の非翻訳 「TIS」DNA配列および他方ではコーディング遺伝子の境界組み換えヌクレオチド 配列からなるキメラTIRが、所望の翻訳効率が達成されるように、選択されるか 、そうでなければ構築されるかあるいは改変される。これは、本発明に従う複シ ストロン性発現カセットの第一シストロンのために、効率的な天然由来のTIS、 あるいは合成「リーダー」(Jayら、(1981)、Crowlら、(1985)、Stanssensら、( 1985)およびその他と比較のこと)を使用し、そして、第二およびその他の全シ ストロンのTISを、以下のシストロンの発現レベルを所望の値に滴定するように 選択および必要に応じて改変することにより、達成され得る。この天然由来のTI Sは、例えば、E.coliからのlacZ遺伝子(Taniguchiら、1980; de Boerら、1983 )、MS2 RNAファージのレプリカーゼ遺伝子(Remautら、1983; Sollazoら、1985 )、E.coliからのlpp遺伝子(NakamuraおよびInouye、1982)、E,coliからのa ptE 遺伝子(McCarthyら、1985; Schauderら、1987; belveら、1991)、ファージ λのcro遺伝子(Sollazzoら、1985)、 およびT7ファージの遺伝子10(Studierら、1990; OlinsおよびRangwalaら、1990 )である。本発明に従って記載されているTIS B配列(配列番号15)は、特にこ れらの目的に適している。1つの遺伝子の翻訳効率に影響し得るその他の因子( 例えば、異なるシストロンのmRNA部分での異なる安定性)は、TIS配列の改変あ るいは転写ユニット遺伝子の翻訳開始効率を介し、組み換えDNA配列のコーディ ング領域に干渉する必要なく制御的に補整され得る。例えば、同一のTIS配列が 二シストロン性発現カセットの両シストロンに使用されるとき、遺伝子発現の1: 1化学量論は、概して予期されない。すでに表明されているように、TIRはまたそ の全体において、TISに加えて以下のシストロンのコーディング配列の末端5'領 域を含む。二シストロン性あるいは複シストロン性構築物における発現配列は通 常異なるので、異なるTIRは同じTIS配列をともなって存在しても、翻訳効率が概 して異なるという結果を有する。各場合において下流に配座されたシストロンの 前の異なるTIS配列の挿入および続く発現結果の決定に加えて、誘導されたmRNA の二次構造分析に従って、発現レベルの(微細な)調節を実施することもまた可 能である。TIR領域中のmRNA構造は、通常のコンピュータプログラムにより、例 えば、ZukerおよびStiegler(1981)に従って算出され、次に、翻訳開始を妨害す る二次構造について分析される。概して、塩基対、特に、TIR領域のG-C間(三重 水素架橋結合)を排除することにより、リボソームのリボソーム結合部位への接 近性の改良、それに よる翻訳開始効率の増大が、より高次の構造を脱安定化することにより、達成さ れる。例えば、付加的なG-C塩基対のTIRの同じ領域への導入は、逆の効果を有す る(McCarthy(1991)を参照のこと)。 本発明はまた、請求項1に記載の方法での使用のための特定の複シストロン性 発現ユニットにおける方法を実施するための因子を包含し、これは下記の一般式 により特徴づけられる: p - (TIS - C)n ここで、「p」、「TIS」、および「C」は、上記に記載の意味を有する。 本発明に従って、「n」は、好ましくは2から10までの自然数であり、特に好ま しくは2または3である。 プロモーター「p」として考慮されるのは、原核細胞中で有効である、すなわ ち、原核生物中で遺伝子発現を開始させ得る、全てのプロモーターである。特に 、全ての構成性および誘導性プロモーター、例えば、E.coliのtrp-あるいはlac -オペロンのプロモーター、tacプロモーター、λバクテリオファージのPLおよび PRプロモーター、T7バクテリオファージのプロモーターなどが使用され得る。本 発明に従って、λバクテリオファージのPRプロモーターが好ましい。 本発明の範囲内での使用のための複シストロン性発現ユニットは、細菌性転写 ターミネーターにより3'-末端で作動可能に接続され得る。その発現ユニットは また、プロモーター 「p」のリプレッサー分子をコードする、それ自身のプロモーターを有する「r」 遺伝子と連結され得る。 本発明の特に好ましい実施態様に従って、「p」は、λPRプロモーターあるい はλPLプロモーターであり、「r」は、温度感受性λリプレッサーのcI857遺伝子 である。 上記に詳細に記載されているように、本発明に従って使用される「TIS」配列 は、天然起源あるいは改変された天然あるいは合成の配列のものであり得る。本 発明に従って、「TIS」配列は、配列番号15のTIS Bおよび配列番号14のTIS Eが 特に好ましい。 「C」配列は、PDGF-AB、VEGF、分散因子(HGF-SF)、TGF-βスーパーファミリ ーのメンバー、骨モルフォゲンタンパク質(BMP)、インテグリン/カドヘリン ファミリーの因子、免疫グロブリン、組織適合性抗原、ヘモグロビン、あるいは T細胞レセプター、もしくはそれらの天然または合成の変異体のような、ヘテロ 量体タンパク質のサブユニットをコードする組み換えDNA配列であり得る。 本発明の特に好ましい実施態様に従って、使用される複シストロン性発現ユニ ットでは、「n」は2に等しく、2つの繰り返しユニット「(TIS - C)2」の「C」 配列は、交互に、PDGFのA鎖もしくはB鎖、あるいはその生物学的に活性なアナロ グ、あるいはフラグメントをコードする遺伝子を含み、それにより、両配列は同 時に発現ユニット中に示される。本発明の特に好ましい実施態様に従って、「C 」配列の1つは、PDGF-AK 配列(配列番号12)、あるいは成熟PDGF-A鎖をコードするPDGF-AL配列である。 このタイプの構築物において、各場合のもう一方の「C」配列は、好ましくは配 列番号10の全PDGF-B配列(これは成熟PDGF-B鎖(配列番号11)をコードする)あ るいはサル肉腫ウイルス由来のv-sis遺伝子、もしくはそれらの変異体である。 本発明はまた、本発明に従う複シストロン性発現ユニットを含有し、細菌細胞 を形質転換するための本発明に従う方法に使用される、組み換えDNAベクターを 包含する。本発明に従う特に好ましいベクターは図1に示されており、その生産 は2.1に示されている。最後に、本発明は、前述のベクターで形質転換される原 核宿主細胞に関し、これは本発明に従う発現ベクターを有する。本発明に従って 、E.coli細胞が宿主細胞として好ましい。 特に好ましい実施態様に従って、本発明はPDGF-ABの組み換え生産およびこれ らを含有する薬剤を提供する。本発明に従って、PDGF遺伝子AおよびBは、生物学 的に活性なヘテロ二量体を得るための続くインビトロ再構成に適した量比で、既 に変性形態の両遺伝子産物を得る目的をもって、初めて原核宿主細胞中で発現さ れた。PDGF-AおよびPDGF-B単量体のE.coli細胞質での合成比率を、ABヘテロ二 量体を得るための続くインビトロ二量体化に有利である化学量論比に従って制御 することは、この二量体の有効な新しい型の調製方法の開発の基礎を提供する。 それらの非常に近似の分子量のために、PDGF -AおよびPDGF-B鎖は合同で、ゲル濾過クロマトグラフィー工程を用いて、調製手 順中において、本発明に従う「遺伝的滴定」によって確立される異なる鎖の互い に対する比率を変えることなく、さらに精製、復元、および再構成され得て、生 物学的に活性なPDGF-ABヘテロ二量体を与える。それによって、別々に分離され たPDGFのA鎖およびB鎖の最適定量比がPDGF-ABを与える下流復元のために確立さ れた試料二量体化のような、その他の費用のかかる方法は、2つのPDGF鎖の互い に関する発現レベル、すなわち、個々の発現レベルが「遺伝的滴定」を介してす でに固定されているので考慮され得ない。他方では、全可溶化封入体タンパク質 を用いて、さらなる精製工程なしに、直接二量体化を実施しすることが可能であ る。この方法は、それらがより水溶性であるために、単量体より操作がより容易 であるPDGF二量体が、その他全ての必要な精製および分析工程に使用され得ると いう利点を提供する。PDGF二量体は次に、通常の補助剤およびキャリアと処方さ れて薬剤を得る。 PDGF-ABの本発明に従う生産に関連して、特に好ましい実施態様に従って、本 発明は、PDGF-AおよびPDGF-BをコードするDNA配列の細菌細胞における同時直接 発現のための二シストロン性発現ユニットに関し、該ユニットは下記の一般式に よって特徴づけられ、 p - TIS1 - C1 - TIS2 - C2 - t - r ここで、 「p」は、λPRプロモーターであり、 「C1」および「C2」は、交互に、PDGF-AあるいはPDGF-Bをコードする配列を含 有し、そして両遺伝子は同時に上記発現ユニットに含有され、 TIS1およびTIS2は、各場合において、配列TIS B(配列番号 15)あるいはTIS E(配列番号14)であり、そして互いに同じかあるいは異なり得、 「t」は、fdバクテリオファージのターミネーターであり、および、 「r」は、温度感受性λリプレッサーのcI857遺伝子である。 PDGF-ABヘテロ二量体の生産のための本発明に従う発現ユニットでは、シスト ロンC1およびC2は、交互に、配列番号10の成熟PDGF-B配列、それらのアナログ、 あるいは生物学的に活性なPDGF-B鎖をコードする任意のフラグメントを含有する ;これに関連して特に考慮されるのは、サル肉腫ウイルス産物である、成熟PDGF -B鎖に相同なv-sis遺伝子領域である。他方、もう一方のシストロンC1あるいはC2 は、各場合において長短のPDGF-A配列(配列番号12のPDGF-ALあるいはPDGF-AK )および生物学的に活性なPDGF-A鎖をコードする任意のフラグメントを含有する 。すなわち、配列C1あるいはC2の2つのうち1つはPDGF-B配列を含有し、他の1 つは各場合においてPDGF-A配列を含有する。 本発明に従う特に好ましい発現ユニットは、 a)「TIS1」が、配列番号15のTIS B配列であり、 「TIS2」が、配列番号14のTIS E配列であり、「C1」が、配列番号10のPDGF-B 配列であり、そして「C2」が、配列番号12のPDGF-A配列である; b)「TIS1」および「TIS2」が、配列番号15のTIS B配列であり、「C1」が、配列 番号10のPDGF-B配列であり、そして「C2」が、配列番号12のPDGF-A配列である; または c)「TIS1」および「TIS2」が、配列番号15のTIS B配列であり、「C1」が、配列 番号12のPDGF-A配列であり、そして 「C2」が、配列番号10のPDGF-B配列である ; 発現ユニットである。 本発明はまた、以前に記載した二シストロン性発現ユニットを含有するPDGF-A Bの生産での使用のためのベクターもまた包含する。特に好ましいベクターは図 1に示されており、2.1にその生産が示されている。このベクターのpBS/PDGF-BA 2誘導体(下記を参照のこと)は、湿重25 g/lの細菌を用いる培養1リットルあ たりPDGF-AおよびPDGF-B鎖150mgを超える非常に高い合成効率を制御する。従っ て、このベクターは、E.coli用の最も効率的であるとして知られる発現系の1 つである。これは特にPDGF鎖が小さなタンパク質であるという事実を考慮した場 合であり、従って、高モル量の組み換えタンパク質が得られる。高細胞密度の培 養方法では、図1に示されているプラスミドを有する細胞によって、さらに高収 量が得られ得る。 本発明はまた上記のベクターで形質転換される細菌細胞に 関する。本発明の特に好ましい実施態様に従って、細胞は図1のベクターで形質 転換される。好ましい宿主細胞はE.coli細胞である。下記に示される、本発明 に従って形質転換され kroorganismen und Zellkulturen GmbH DSMに寄託された。 1.TG2/pBS/PDGF-AB4 (DSM 8337) 2.TG2/pBS/PDGF-BA2 (DSM 8336) 3.TG2/pBS/PDGF-BA4 (DSM 8338) 本発明はまた、原核宿主細胞での単量体PDGF-AおよびBの直接細胞質共発現に よって、ヘテロ二量体rPDGF-ABを生産する方法を包含し、該方法は、その過程に おいて、本発明に従う作動可能に挿入された発現ユニットを含有する宿主細胞と して、E.coli細胞を適切な培地中で培養し、そしてこのようにして得られたrPD GFを、生物学的に不活性な単量体鎖AおよびBの形態で細菌封入体から共同で単離 し、そして活性なPDGF-ABヘテロ二量体を得るために復元させる。一般的に、本 発明の範囲内に、原核生物を培養するための既知培地のすべてが培地として考慮 され、合成のタンパク質非含有あるいは低タンパク質含有の生産培地が含まれる 。TBおよびLB培地が本発明に従って好ましい。ヘテロ量体復元タンパク質は次の 段階で通常の補助剤およびキャリアと処方されて、薬剤を得る。 原核宿主細胞の細胞質における、独立した単量体成分の形態でのヘテロ量体真 核タンパク質のサブユニットの直接共同複シストロン性発現は、当該分野では今 日まで知られておら ず、異なる宿主細胞または異なるプラスミドにおけるタンパク質サブユニットの 既知のモノシストロン性発現に比較して、これは、一連の明確な結果を示す生産 工学的な利点を与える。このような複シストロン性発現ユニットにおける外来遺 伝子翻訳の個々の調節を可能にするという本発明の教示背景に対して、本発明に 従う非常に経済的な方法が提供される。本発明に好ましいヘテロ二量体PDGF-AB の生産の実施態様に関して示されるように、個別成分の発現は、1:1比率で達成 され得、その上、PDGF-AおよびPDGF-B両鎖が1つの培養器培養によって大量規模 で合成され得るので、1つの原核宿主株のみが培養され、そして有効であればよ い。 本発明は、ヘテロ量体タンパク質の異なるタンパク質サブユニットが共同で発 現および単離され、そして/または再構成されて多量体を得るところにおいて、 まったく一般的に使用され得る。例えば、PDGF-ABに加えて、VEGF、分散因子(H GF-SF)、TGF-βスーパーファミリーのメンバー、骨モルフォルゲンタンパク質 (BMP)、インテグリン/カドヘリンファミリーの因子、免疫グロブリン、組織 適合性抗原、ヘモグロビン、あるいはT細胞レセプター、もしくはそれらの天然 あるいは合成変異体のようなタンパク質が、このようにして生産され得る。 最後に、本発明は、本発明に従う方法によって生産されたヘテロ量体タンパク 質の、薬学的あるいは化粧用の調製物の生産のための薬学的に適合性の補助剤お よび/またはキャリ アとの使用を包含する。本発明の特に好ましい実施態様に従って、薬学的および /または化粧用調製物は、本発明に従う方法によって生産されたPDGF-ABを含有 する。薬学的あるいは化粧用調製物は、当該分野で公知の方法によって生産され た、軟膏、スプレー、ゲル、創傷用包帯、硬膏、および/または創傷用手当用品 であり得る。 本発明は、実施例に関して下記に記載されている。 図1は、発現ベクターpCYTEX P3の概要図である。 TIS B = 合成TIS(配列番号15); fd = fdバクテリオファージの転写ターミ ネーター;cI857 = 温度感受性λリプレッサー。 図2は、pCYTEX P3に基づく異なる二シストロン性構築物の概要図である。 PDGF-A = 成熟ヒトPDGF-A鎖の遺伝子;PDGF-B = 成熟ヒトPDGF-B鎖の遺伝子; Pr = λバクテリオファージのPRプロモーター;TIS B = 合成TIS(配列番号15) ;TIS E = pCYTEX P1由来のatpE遺伝子のTIS(配列番号14);fd = fdバクテリ オファージの転写ターミネーター。 図3は、図2の二シストロン性構築物により形質転換されたE.coliTG2株の細 胞由来の、Hoppeら(1989)による封入体調製物である。 プラスミド含有細胞の100 ml振盪培養物からの封入体を、分析用に調製し、そ して、同量を、5%メルカプトエタノールの存在下に、15%アクリルアミドおよび0 .475%ビスアクリルア クリルアミドゲル電気泳動によって分離した。分離後に、ゲルをクーマシブルー で染色した。タンパク質標準(1)、pBS/PDGF-B(2)、pBS/PDGF-A(3)、pBS/P DGF-BA1(4)、pBS/PDGF-BA2(5)、pBS/PDGF-BA4(6)、pBS/PDGF-AB1(7)、p BS/PDGF-AB2(8)、およびpBS/PDGF-AB4(9)を有する細胞由来の封入体。 図4は、ゲル濾過による、可溶化封入体タンパク質からのPDGF-AおよびPDGF-B 単量体の合同精製を示す。 標準タンパク質(2)に加えて、カラム上に蓄積された、プラスミドpBS/PDGF- BA2を有する細胞を含有する粗封入体タンパク質(1)、およびクロマトグラフィ ーから得られたタンパク質含有画分(3-14)を示す。PDGF-AおよびPDGF-B鎖は、 遺伝的滴定により確立された化学量論比1:1をとどめながら、一緒に精製される (レーン11-13)。PDGF鎖は封入体調製段階ですでに比較的鮮明であるから(1 ;図3と比較のこと)、1回のゲル濾過工程は、90%以上の純度のタンパク質調 製物を得るために、これに対して十分である。試料は、5%メルカプトエタノール の存在下に、15%アクリルアミドおよび0.475%ビスアクリルアミドを含有するゲ ルを使用し、Lammli(1970)に従うSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって 分離した。分離後に、ゲルをクーマシブルーで染色した。 図5は、ゲル濾過によって合同精製されたPDGF-AおよびPDGF-B単量体の二量体 化を示す。 タンパク質標準(1);ゲル濾過によって合同精製されたPDGF-AおよびPDGF-B 鎖を含有する二量体化形成物(2;7 5%メルカプトエタノールによる試料の還元 後);イオン交換クロマトグラフィーによって二量体化形成物の単量体から分離 されたPDGF-ABヘテロ二量体(3、8、5%メルカプトエタノールによる試料の還元 後);モノシストロン性で発現され、個々に精製された単量体から再構成された PDGF-AB(4)、コントロールとしてのPDGF-BB(5)およびPDGF-AA(6)。試料は 、15%アクリルアミドおよび0.475%ビスアクリルアミドを含有するゲルを使用し たSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動によって分離した。分離後に、ゲルをク ーマシブルーで染色した。 図6は、モノクローナルおよびポリクローナル抗PDGF抗体によるPDGF-ABの検 出のためのサンドイッチELISAであり、PDGF標準の検量線を示す。 ポリスチレン製プレートをヒツジ-抗マウス-IgGで被覆し、次に、マウスハイ ブリドーマ上清(クローン1B3、PDGF-ABおよび-BB中のB鎖に対するモノクローナ ル抗体を含有する)とインキュベートし;別のPDGF標準とのインキュベーション 後に、結合されたPDGFをポリクローナルウサギ抗-PDGF-AAを用い、その後、ペル オキシダーゼ標識された抗ウサギ-IgGにて検出した。 PDGF標準の供給源: AB: ヒト血小板から、PROMEGA Corp.No.G 5161; あるいは、E.coli由来のWO 90/08163に類似する(PDGF-Aお よびPDGF-Bの融合タンパク質としてのモノシストロン性発現)。直接発現により 得た材料と異なり、融合タンパク質発現により得たPDGF-B鎖は、12アミノ酸短縮 されたN末端および5アミノ酸伸長されたC末端を有する。WO 90/08163に類似する 融合遺伝子発現の場合には、構築物pBXはPDGF-B鎖を含有するプラスミドpE-pF14 のかわりに使用された(また、WO 90/04035を参照のこと)。この構築物は、正 確なC末端を有するPDGF-B鎖の発現を導く。 BB: E.coli由来の組み換え体(pBS/PDGF-B) B : E.coli由来の組み換え体(pBS/PDGF-B) AA: E.coli由来の組み換え体(pBS/PDGF-A) A : E.coli由来の組み換え体(pBS/PDGF-A) 図7は、別のPDGF-AB調製物を分析するためのPDGF-AB-ELISAである。別のモノ シストロン性および二シストロン性PDGF発現構築物を調べた:(標準の検量線) (図6を参照のこと)。 2.実施例:E.coli細胞質における単量体PDGFのAおよびB鎖の二シストロン性 発現の制御、および、生物学的に活性なヘテロ二量体を得るための単量体の再構 成 2.1 発現ベクターおよび二シストロン性PDGF遺伝子構築物の調製 2.1.1 発現ベクターpCYTEX P3の調製 組み換えDNA法の標準的な方法(Sambrookら、1989; Maniatisら、1982)を、 表1に記載されているように、発現ベクタ ーの調製、および、さらに以下(2.1.4)に記載されている、種々の二シストロ ン性プラスミド構築物およびそれらの前駆体の構築のために、使用した。 制限部位NdeIとEcoRIと間にNotI/SmaIアダプターを組み込んだ後に、(後者が 破壊された結果として)サブクローニングされた発現カセットを、pUC18の制限 部位NotIとPvuIIとの間に挿入した。ベクターの概要図を図1に示し、そしてフ ランキング領域を含有するその発現カセットの配列を、配列番号16に示す。この ベクターでは、制限部位NdeIとXbaIとの間に挿入された遺伝子の転写は、λバク テリオファージのPRプロモーターから行われ、fdファージの転写ターミネーター で終わる。λプロモーターの温度感受性リプレッサーをコードする、転写制御に 必要なcI857遺伝子もまた、細胞内における染色体コード化リプレッサーの存在 に依存しないこの発現ベクターの使用をなすために、ベクター中に含有される。 λPRプロモーターの制御下での遺伝子の転写は、30℃において培養される細胞に おいて抑制され、そしてインキュベーション温度を40-42℃に上昇させることに よるリプレッサーの不活性化後に、効果的に誘導される。効果的な転写開始を確 実にするために、組み換え遺伝子は、その開始コドンによって、NdeI制限部位を 介してベクターの合成TIS Bに接続され得る。 2.1.2 ヒトPDGF-B遺伝子での変異誘発 プラスミドpMVW-2は、前駆配列の5'翻訳領域が不完全であるヒトPDGF遺伝子の cDNAを含有する(Weichら、1986; 配列番号1)。E.coliでの直接発現のために 、NdeI制限部位(開始アミノ酸メチオニンに対する情報を含有する)を、インビ ト ロ変異誘発によって、成熟PDGF-B遺伝子の5'-末端に導入し、終止コドンを、成 熟PDGF-B遺伝子の3'-末端に導入した。このために、まずpMVW-2由来の914 bp Ba mHI/NcoIフラグメントを、合成アダプター(オリゴマーNCCLSA1およびNCCLSA2( 配列番号5 + 6))を介して、BamHI/SalI切断されたM13mp19バクテリオファージ (Pharmacia)に挿入した。この構築物は、下流インビトロ変異誘発工程に必要 な一本鎖DNAを供給した。これは、Amershamオリゴマーに特異的なインビトロ変 異誘発系(バージョン2)を使用して、Ecksteinら[Taylor J.W.,Ott J.および Eckstein F.(1985)Nucl.Acids Res.13,8764-8785; Nakamaye K.およびEcks tein F.(1986)Nucl.Acids Res.14,9679-9698; Sayers J.R.,Schmidt W.お よびEckstein F.(1988)Nucl.Acids Res.16.,791-802]の方法に基づいて、 実施した。合成プライマーPDGBNDEおよびPDGBTGA(配列番号7および8)を変異誘 発プライマーとして使用した。付加メチオニンによってアミノ末端で伸長した成 熟PDGF-B鎖の配列(配列番号10)を、M13/PDGF-Bの変異誘発産物として得た。 2.1.3 ヒトPDGF-A遺伝子での変異誘発 プラスミドpODA(Eichnerら、1989)は、ヒトPDGF-A前駆体の全配列(配列番 号3)を含有する。E.coliでの直接発現のために、NdeI制限部位(開始アミノ酸 メチオニンに対する情報を含有する)を、インビトロ変異誘発によって、成熟PD GF-A遺伝子の5'末端に導入した。このために、まずpODAをEcoR Iで直鎖状にし、得られた末端を、E.coli由来のDNAポリメラーゼIのクレノウフ ラグメントによって満たして平滑末端を得、そしてBamHIによる切断後に得られ たフラグメントを、発現ベクターpCYTEX P1に挿入した。これを最初にSphIで切 断し、次にマングビーンヌクレアーゼで処理して、そして次にBamHIで切断した 。ヘルパーファージM13K07を使用して、この構築物であるpCYT-A-1から、下流イ ンビトロ変異誘発工程(Sambrookら、1989)のために、一本鎖DNAを調製した。 これは、Amershamオリゴマーに特異的なインビトロ変異誘発系(バージョン2) を使用して、Ecksteinら[Taylor J.W.,Ott J.およびEckstein F.(1985)Nucl .Acids Res.13,8764-8785; Nakamaye K.およびEckstein F.(1986)Nucl.Ac ids Res.14,9679-9698; Sayers J.R.,Schmidt W.およびEckstein F.(1988) Nucl.Acids Res.16.,791-802]の方法に基づいて、実施した。合成プライマー PDGANDE(配列番号No.9)を変異誘発プライマーとして使用した。付加メチオニ ンによってアミノ末端で伸長した成熟PDGF-A鎖の配列(配列番号12)を、pCYT-A -2の変異誘発産物として得た。 2.1.4 二シストロン性PDGF遺伝子構築物の調製 このベクター系に基づいて、図2に示す種々の二シストロン性PDGF遺伝子構築 物を調製した。これらのプラスミドの構築は、表2に記載されるように、個別の サブクローニングを包含して、実施した。全クローニングは、DNA配列決定によ っ て確かめた。 2.2 細胞の培養および操作 2.2.1 プラスミド含有細胞の培養 二シストロン性プラスミドの1つで形質転換されたE.coli細胞を、0.05-0.1 mg/mlアンピシリンを含有するLBあるいはTB培地で、30℃において、この温度で 活性なリプレッサーの作用を介して、λバクテリオファージのプロモーターを維 持するために、まず培養した。対数増殖期において培養物中で所望の細胞密度を 達成した後に、培養温度を42℃に上昇させ、PDGF遺伝子の発現を誘導した。誘導 は、振盪培養では、最適 密度約0.8、そして培養機培養では約10で行った。その細胞は、定常増殖期に到 達したときに、5000 × gで20分間遠心分離して回収した。 2.2.2 封入体の調製 封入体の調製はHoppeら(1989)と同様にして実施した。2.2.1に従って回収した 細胞を、培養物1リットルあたり、20 mM tris-HCl/0.5 mM EDTA、pH 7.8の20 m l中に取り出した。この方法の変法によって、細胞破壊を超音波処理によって行 った。封入体を、6000 × gで10分間遠心分離して回収し、20mM tris-HCl、0.5 mM EDTA、2% triton X-100で一度洗浄した。 PDGF遺伝子の直接細胞質発現のためにpCYTEX P3発現系を使用して、細胞質中 での封入体の形成を導く成熟PDGF-AおよびPDGF-B鎖の合成比率を達成した。PDGF -AおよびPDGF-B鎖の高純度(約90%)が封入体調製段階ですでに示されているこ とにより、Hoppeら(1989、WO 90/04035; 1990、WO 90/08163もまた参照のこと )による融合遺伝子法に比較して、発現ベクターpCYTEX P3を用いる対応遺伝子 の直接細胞質発現が重要な利点を有することは明らかである。上述の融合遺伝子 法では、タンパク質フラグメントは、望ましくない細菌融合遺伝子部の分断によ り、PDGF単量体の分子量範囲で形成する。この型のフラグメントは、直接細胞質 発現では形成しない。 種々の封入体調製物を使用した、クーマシブルーで染色されたゲルのデンシト メーターによる研究により、二シストロ ン性構築物について、表3に掲載されたPDGF-AモノマーとPDGF-Bモノマーとの比 を得た。プラスミドpBS/PDGF-BA2(図2、DSM寄託番号8336)を有する細胞では 、2つの成熟鎖PDGF-BおよびPDGF-Aが、同じ比率で効果的に合成され、封入体中 に蓄積されることが示された。従って、このプラスミドは生産工学的に利益を与 える。両鎖PDGF-AおよびPDGF-Bは、1つの培養機培養で大規模に生産され得る。 従って、遺伝子的に改変された1つの生物のみが特徴づけられればよく、そして 両鎖に対して1つのみの生産工程で有効であるとされる。ときには互いに著しく 異なるPDGF-AおよびPDGF-B遺伝子の発現比率は、各場合において、もう一方の二 シストロン性プラスミドにより制御される。特に、合成は、構築物pBS/PDGF-AB4 (DSM 寄託番号 DSM 8338)あるいはpBS/PDGF-AB4(DSM 寄託番号 DSM 8337、図 2を参照のこと)を使用して実施され得る。これらは、各場合において、TIS B 配列と融合された2つの可能な配置でPDGF-AおよびPDGF-B遺伝子を有し、明らか に一方はPDGF-A鎖よりPDGF-B、もう一方はPDGF-BよりPDGF-Aを有する。 2.3 PDGF単量体の精製およびPDGF-ABへの再構成 封入体タンパク質を、Hoppeら(1989)に従って可溶化しスルホン化した後に、 それをゲル濾過によって分離した。PDGF-AおよびPDGF-B鎖を精製するために、Ph armaciaのSuperdex 75 HR High Load 26/60カラムを、本発明に従って選択した 。展開溶媒である4 Mグアニジウム-HCl、50 mM tris-Cl、pH 7.4で平衡化した後 に、5-10 mlの試料を、流速2 ml/分で注入した。図4に示されるように、PDGF-A およびPDGF-B鎖は、分子量が非常に近似しているので、同じカラム画分にほぼ純 度90%以上で得られた。次に、画分を合わせて、5 lの水に一晩透析した。減圧乾 燥によって試料容量を15 mlに調整した後に、沈降したタンパク質物質を、最終 濃度がそれぞれに5 %および5 Mのギ酸および尿素を加えて可溶化した。新たに2 M 尿素5 lに透析した後に、PDGF含有試料を約0.5 mg/mlに調整した。 そして、二量体化をHoppeら(1989)に記載されているように行った。図5に示さ れるように、二量体化形成物の電気泳動による分離後に、単量体のバンドに加え て、分子量範囲約28000の顕著なバンドの出現が見られた。これは、ゲル上での 移動がPDGF-ABと同じであること、および、コントロールの目的のために、個別 に精製された鎖から再構成され、かつ種々の分析により確認されているPDGF-AA およびPDGF-BB二量体の1つとは明らかに異なることを示す。電気泳動により分 離された二量体化形成物の二量体バンドおよび単量体バンドの強度の比較は、50 %を超える二量体化比率を示す。 次に、二量体化産物を、Merckから入手のFraktogel TSK SP 650(S)を使用し、 Hoppeら(1990)に記載のように、イオン交換クロマトグラフィーによって単量体 から分離した。精製二量体(図5)をさらなる分析に使用した。 この点において、二シストロン性プラスミドpBS/PDGF-BA2もまた、PDGF-ABヘ テロ二量体の新しい型の有効な調製法の開発の基礎を提供することが明白になる 。このプラスミドは、化学量論比1:1でPDGF-AおよびPDGF-B単量体の合成を制御 し(図3、表3)、これは特にインビトロ二量体化によりPDGF-ABを得るのに好 ましい。それらの分子量が非常に近似するために、PDGF-AおよびPDGF-B鎖は合同 で、調製手順の間に遺伝的滴定によって確立された種々の鎖の互いに対する比を 変えることなく、さらに精製、復元、および再構成され得て、生物学的に活性な PDGF-ABヘテロ二量体を与える。一方では、P DGF鎖が封入体調製段階ですでに高純度であるために、さらなる精製工程を導入 することなく、全可溶化封入体タンパク質を使用して直接二量体化を実施する可 能性が存在する。この方法の主な利点は、その他全ての精製および分析工程に関 して、それがより水溶性であることから、PDGF単量体より操作がより容易である PDGF二量体が使用され得るということである。 2.4 特異PDGF-AB ELISAによる復元試料中のPDGF-ABヘテロ二量体の検出 PDGF-AAおよび-BBに加えてPDGF-ABの比定量を可能にする「2抗体サンドイッ チ法」を構成した。モノクローナルおよびポリクローナル抗PDGF抗体をこのため に使用した。 96穴のポリスチレン製プレート(Dynatech,U型プレート,No.M124B)を、次 の順序で被覆する(各場合に、各工程間に、各々、0.05 % Tween 20を含有するP BSで4回洗浄する)。 1)マウスモノクローナル抗体1B3[SP2/0ミエローマ細胞とマウス由来 脾細胞との融合により生産されたハイブリドーマ細胞の上清から得た。マウスを 組み換えPDGF-AB(Hoppeら(1990)に記載のE.col由来)によって免疫した。モノ クローナル抗体は特異的にPDGF二量体のB鎖に結合する];炭酸塩/重炭酸塩緩 衝液(pH 9.6)中の3μg/ml IgG2a、50μl、4℃にて一晩。 2)PBS(pH 7.5)中の1 % BSA(E.Merck,No.120 18)、100μl、室温にて1時間。 3)0.1 % BSAおよび0.05 % Tween 20を含有するPBS(PBS+)で希釈され たPDGF含有溶液、50μl、室温にて1時間。 4)ポリクローナルウサギ抗PDGF-AA-IgG(Genzyme,No.ZP-214、二量 体PDGFのA鎖に結合する)、PBS+中の2μg/ml、50μl、室温にて1時間。 5)POD標識ヤギ抗ウサギIgG(Pierce,No.31460)、PBS+中の0.1μg/ml 、50μl、室温にて1時間、E.S.BOSら(J.Immunoassay 2(1981),187-204)に 従った基質テトラメチルベンジジンによる検出。 2.5 復元および精製されたrPDGF-ABの生物学的活性 密度抑制された繊維芽細胞のDNA合成率の刺激を測定することにより、PDGFの マイトジェン活性の測定が可能になる。全PDGFイソ型がこのテスト系では活性で あるので、イソ型PDGF-AA、AB、およびBB間の識別は不可能である。 アッセイは、Shipleyら(1984)に従って、24ウエルプレート中で、AKR-2-Bマウ ス繊維芽細胞を使用して実施した。 純粋PDGFは、このテストにおいて、約3-5 ng/mlの濃度で半最大刺激を示す。 マイトジェンテストからの結果は、PDGF-AB ELISAからのEC50値(半最大効果を 生じる濃度)によって、表4中に比較されている。モノシストロン性あるいは二 シストロン性発現からの組み換えPDGF-ABの測定データは、ほとんど同じである 。 2.6 PDGFポリペプチドのアミノ末端配列決定 これらの研究を通して、PDGF鎖AおよびBは、細胞質共発現により得られた復元 PDGF二量体において、明らかに互いに隣あって検出される。これらの分析に使用 された材料は、二シストロン性構築物pBS/PDGF-BA2(表2)を使用して得られた 。 自動配列分析を、Model 477A(Applied Biosystems)で、サイクルNORMAL1を 用いて実施した。フェニルチオヒダントインアミノ酸誘導体を、オンライン接続 された120A PTH分析機で分析した。試料のジスルフィド架橋を、ジチオトレイト ールで還元し、4-ビニルピリジンでアルキル化した。 タンパク質測定の結果後に、10μgの試料を分析した。共発現されたPDGF単量 体のタンパク質配列分析の結果(表5)は、PDGF-AおよびPDGF-B鎖のN末端アミ ノ酸が、ほぼ同収量で検出され得ることを示す。これは、本発明に好ましい構築 物pBS/PDGF-BA2による発現が、両PDGF鎖の化学量論比1:1を導き、このため、2.3 に記載の調製方法の使用によって、主にPDGF-ABヘテロ二量体が得られることの さらなる立証である。1位のアミノ酸セリンの相対収量は96%以上で測定された 。従って、副次的な配列(例えば、N-末端メチオニンを有するPDGF鎖)は、全タ ンパク質の4 %未満である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/02 9051−4C A61K 37/02 ADA //(C12P 21/02 C12R 1:19) (72)発明者 マッカーシー,ジョーン イー.ジー. ドイツ連邦共和国 デー―38124 ブラウ ンシュウェイグ,ツッカーベルグウェーク 48 (72)発明者 アイヒナー,ヴォルフラム ドイツ連邦共和国 デー―22301 ハンブ ルク,ドロテーンシュトラーセ 49

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.細菌細胞において多量体タンパク質を組み換え生産するための方法であっ て、以下の(a)、(b)、および(c)により特徴づけられる、方法: a)該細胞は、一般式 p -(TIS - C)nの複シストロン性発現ユニットを 含有するベクターで形質転換され、 ここで、 「p」は、細菌性転写プロモーターであり、そして 「(TIS - C)n」は、繰り返し基であり、その中の 「C」は、各場合において、シグナルペブチドをコードする領域を含有しない 、多量体タンパク質のサブユニットあるいは成分をコードするDNA配列であり、 それにより連続する「TIS -C」基の「C」配列は同一および/または異なり得、 「TIS」は、各場合において、「C」とキメラ「TIR」を形成する、合成および /または天然の細菌性非翻訳「リーダー」配列であり、それにより連続する「TI S - C」基の「TIS」配列は同一および/または異なり得、そして、 nは、2以上の自然数であり、 ここで、「p」、「TIS」、および「C」は、各々互いに作動可能に連結され、 そしてタンパク質をコードする「C」配列の発現率は、各場合において関連「TIS 」配列の選択によって個々に制御され、 b)該形質転換細胞は適切な栄養培地中で培養され、そして次に、 c)該細胞は培地から取り出され、該「C」配列の発現産物は該細胞の細 胞質から単離され、必要に応じて、復元および再構成されて、機能性多量体タン パク質を得る。 2.請求項1に記載の方法における使用のための複シストロン性発現ユニット であって、以下の一般式により特徴づけられる、ユニット: p - (TIS - C)n ここで、 「p」は、細菌性転写プロモーターであり、そして 「(TIS - C)n」は、繰り返し基であり、その中の 「C」は、各場合に、シグナルペプチドをコードする領域を含有しない、多量 体タンパク質のサブユニットあるいは成分をコードするDNA配列であり、それに より連続する「TIS -C」基の「C」配列は同一および/または異なり得、 「TIS」は、各場合に、「C」とのキメラ「TIR」を形成する、合成および/ま たは天然の細菌非翻訳「リーダー」配列であり、それにより連続する「TIS - C 」基の「TIS」配列は同一および/または異なり得、そして、 nは、2以上の自然数であり、 ここで、「p」、「TIS」、および「C」は、各々互いに作動可能に連結される 。 3.「n」が2あるいは3であることで特徴づけられる、請求項2に記載の複シ ストロン性発現ユニット。 4.細菌性転写ターミネーターとその3'末端で作動可能に 連結されることで特徴づけられる、請求項2あるいは3に記載の複シストロン性 発現ユニット。 5.プロモーター「p」のリプレッサー分子をコードする、それ自身のプロモ ーターを有する遺伝子「r」に、作動可能に連結されていることで特徴づけられ る、請求項2から4のいずれかに記載の複シストロン性発現ユニット。 6.「p」が、λPRプロモーターあるいはλPLプロモーターであり、そして「r 」が、温度感受性λリプレッサーのcI857遺伝子であることで特徴づけられる、 請求項5に記載の複シストロン性発現ユニット。 7.「TIS」が、配列番号15に記載の配列TIS Bおよび/または配列番号14に記 載のTIS Eであることで特徴づけられる、請求項1から6のいずれかに記載の複 シストロン性発現ユニット。 8.前記「C」配列が、VEGF、分散因子(HGF-SF)、TGF-βスーパーファミリ ーのメンバー、骨モルフォゲンタンパク質(BMP)、インテグリン/カドヘリン ファミリーの因子、組織適合性抗原、ヘモグロビン、T細胞レセプター、あるい は血小板由来増殖因子(PDGF)のABヘテロ二量体、もしくはそれらの天然あるい は合成の変異体の、種々の成分あるいはサブユニットをコードすることで特徴づ けられる、請求項1から7のいずれかに記載の複シストロン性発現ユニット。 9.「n」が2であり、そして2つの繰り返しユニット「(TIS - C)2」の「C 」配列が、交互に、PDGFのAもしくは B鎖、あるいはその生物学的に活性なアナログ、あるいはフラグメントをコード し、それにより両配列が発現ユニット中に同時に表されることで特徴づけられる 、請求項1から8のいずれかに記載の複シストロン性発現ユニット。 10.前記「C」配列の1つが、成熟PDGF-A鎖をコードする、PDGF-AK配列(配 列番号12)あるいはPDGF-AL配列であることで特徴づけられる、請求項9に記載 の複シストロン性発現ユニット。 11.前記のもう一方の「C」配列が、各場合において、成熟PDGF-B鎖(配列 番号11)をコードする全PDGF-B配列(配列番号10)、あるいはサル肉腫ウイルス 由来のv-sis遺伝子、もしくはこれらの配列の変異体であることで特徴づけられ る、請求項9あるいは10に記載の複シストロン性発現ユニット。 12.請求項2から11のいずれかに記載の複シストロン性発現ユニットを含 有することで特徴づけられる、請求項1に記載の方法での使用のためのベクター 。 13.請求項12に記載のベクターによって形質転換された細菌細胞であるこ とで特徴づけられる、請求項1に記載の方法での使用のための宿主細胞。 14.前記宿主細胞がE.coli細胞であることで特徴づけられる、請求項13 に記載の宿主細胞。 15.細菌細胞における、PDGF-AおよびPDGF-BをコードするDNA配列の同時直 接発現のための二シストロン性発現ユニットであって、以下の一般式により特徴 づけられる、発現ユニ ット: p - TIS1 - C1 - TIS2 - C2 - t - r ここで、 「p」は、λPRプロモーターであり、 「C1」および「C2」は、交互に、PDGF-AあるいはPDGF-Bをコードする配列を含 有し、そして両遺伝子は発現ユニットに同時に含有され、 TIS1およびTIS2は、各場合において、配列TIS B(配列番号15)あるいはTIS E (配列番号14)であり、そして互いに同じかあるいは異なり得、 「t」は、fdバクテリオファージのターミネーターであり、そして、 「r」は、温度感受性λリプレッサーのcI857遺伝子である。 16.C1およびC2が、交互に、配列番号12に記載のPDGF-A配列、あるいは配列 番号10に記載のPDGF-B配列を含有し、そして、両遺伝子が発現ユニット中に同時 に含有されることで特徴づけられる、請求項15に記載の二シストロン性発現ユ ニット。 17.「TIS1」が、配列番号15に記載のTIS B配列であり、「TIS2」が、配列 番号14に記載のTIS E配列であり、「C1」が、配列番号10に記載のPDGF-B配列で あり、そして「C2」が、配列番号12に記載のPDGF-A配列であることで特徴づけら れる、請求項16に記載の二シストロン性発現ユニット。 18.「TIS1」および「TIS2」が、配列番号15に記載のTI S B配列であり、「C1」が、配列番号10に記載のPDGF-B配列であり、そして「C2 」が、配列番号12に記載のPDGF-A配列であることで特徴づけられる、請求項16 に記載の二シストロン性発現ユニット。 19.「TIS1」および「TIS2」が、配列番号15に記載のTIS B配列であり、「C1 」が、配列番号12に記載のPDGF-A配列であり、そして「C2」が、配列番号10に 記載のPDGF-B配列であることで特徴づけられる、請求項16に記載の二シストロ ン性発現ユニット。 20.請求項15から19のいずれかに記載の二シストロン性発現ユニットを 含有する、細菌細胞における発現のための組み換えベクター。 21.請求項20に記載のベクターによって形質転換された細菌細胞である、 宿主細胞。 22.前記宿主細胞がE.coli細胞であることで特徴づけられる、請求項21 に記載の宿主細胞。 23.前記宿主細胞が、クローンTG2/pBS/PDGF-BA2(寄託番号 DSM 8336)、T G2/pBS/PDGF-BA4(寄託番号 DSM 8338)、あるいはTG2/pBS/PDGF-AB4(寄託番号 DSM 8337)に由来するE.coli細胞であることで特徴づけられる、請求項22に 記載の宿主細胞。 24.細菌細胞におけるPDGF-ABの組み換え生産方法であって、請求項21か ら23のいずれかに記載の宿主細胞を適切な培地で培養し、次に該細胞を培地か ら分離し、タンパク質 成分PDGF-AおよびPDGF-Bを該細胞の細胞質から単離し、復元および再構成して、 機能性PDGF-ABを得ることで特徴づけられる、方法。 25.薬学的あるいは化粧用の調製物を調製するための、請求項1あるいは2 4に従って生産されたヘテロ量体タンパク質の使用。 26.前記ヘテロ異種タンパク質がPDGF-ABであることで特徴づけられる、請 求項25に記載の使用。 27.前記薬学的調製物が、軟膏、スプレー、ゲル、創傷用包帯、硬膏、ある いは創傷手当用品であることで特徴づけられる、請求項25あるいは26に記載 の使用。
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