JPH08503708A - イオン交換媒体によるタキサンの抽出 - Google Patents
イオン交換媒体によるタキサンの抽出Info
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- JPH08503708A JPH08503708A JP6513385A JP51338594A JPH08503708A JP H08503708 A JPH08503708 A JP H08503708A JP 6513385 A JP6513385 A JP 6513385A JP 51338594 A JP51338594 A JP 51338594A JP H08503708 A JPH08503708 A JP H08503708A
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Abstract
(57)【要約】
本発明は、遊離タキサンとして通常検出されないタキサンの開裂及び回収のために吸着カラムを使用する方法である。その方法は、標準の検出可能なタキサン及び他の検出不可能なタキサン化合物を含有する第1の溶液を処理して、第1の溶液よりも高い割合で検出可能な標準タキサンを含有する第2の溶液を生成させる。この方法の第1の工程は、第1開口部及び第2開口部を有するカラムにイオン交換媒体を装填する工程である。次の工程は、カラムの第1開口部に第1の溶液を置き、第1の溶液をカラムの中のイオン交換媒体を通して第2開口部へ流す工程である。この様に、タキサン化合物はイオン交換反応によって標準タキサンに転化され、第2の溶液が形成される。次いで次の工程は、カラムの第2開口部から第2の溶液を収集し、第2の溶液から第1の溶液で検出可能であった標準タキサンよりも高い割合で標準タキサンを回収する。本溶液のイオン交換媒体は、イオン交換樹脂である。イオン交換樹脂は陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂からなる混合物であってもよい。陰イオン交換樹脂はOH-の形である。陽イオン交換樹脂はH+の形である。好ましくは、イオン交換樹脂はアルミナである。
Description
【発明の詳細な説明】
イオン交換媒体によるタキサンの抽出発明の分野
本発明は、天然草木の抽出物からのタキサン(taxane)の回収及び開裂に関す
るものである。より詳細には、本発明は、検出可能なタキサン及び検出不可能な
タキサンを含有する抽出されたタキサン物質から検出不可能なタキサンの単離方
法である。本発明の方法はより詳細には、検出可能な遊離タキサンに結合した一
般には検出されないタキサンの開裂及び回収のための、吸着カラムの使用に関す
るものである。発明の背景
試験研究において、タキソールが様々な癌腫瘍に抗ガン活性を有することが示
されている。タキソールは天然物質であり、残念なことにセイヨウイチイの木等
のTaxus brevifolia種にほんの少しの濃度でしか見いだされていない。タキサン
の供給に制限があること及びタキサンに対する商業的な需要が大きいことを考慮
して、化学者はイチイの木の抽出物からタキサンの収率を増やすために様々な方
法を探索するのにかなりのエネルギーを費やしている。特には、タキソール、バ
カティンIII(BaccatinIII)、10−デアセチルバカティンV、7−エピタキソ
ール、10−デアセチルバカティンIII及びセファロマニン(cephalomannine)
(標準的なタキサン)及びタキサン科の他のものは、癌研究者の興味を引きつけ
ている。タキソールは下記構造式を有する。
上記の同定された構造は、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)によって
タキソールとして認識されている。しかしながら、タキソール又はタキソール環
、即ち炭素数20の環状構造を含有する(標準的なタキサンではない)化合物の
中には、HPLCによってタキソールとして認識されていないものもある。タキ
サン環は他の大きい分子に結合し得るので、標準的な試験によっては標準的なタ
キサンとして認識されないために、これらの化合物は承認されないであろう。例
えば、糖が結合したタキソールはHPLCによって標準的なタキサンとして容易
には認識されない。
文献(V.Senilh等、Journal of Natural Products、47巻、131−13
7頁、1984年参照)では単離され認識された7−キシロシルタキソール及び
7−キシロシル−10デアセチルタキソール等の糖が結合したタキソールがある
。不溶性のタキソールは可溶性の結合された形でイチイの木の中で移動させられ
ている可能性が高い。糖分子をタキソールに付加することにより、タキソールを
非常により可溶性にし、この様により容易に生のイチイの木の針状葉や小枝じゅ
うに移動させることが期待されるであろう。
上述したと同様の論文には、アルミナ吸着カラムをタキサンを含有する抽出物
の精製に使用することが述べられている。Senilh等のJournal of Natural Produ
cts、47巻、第1号、131頁、1月〜2月、1984年の論文では、相対的
に精製されたタキサン試料をアルミナカラムを通したことが明らかである。この
論文によると、ミセル即ち粗タキサン試料をエタノールでTaxus brevifoliaのバ
イオマスから抽出したことが報告されている。次いで、粗抽出物を蒸発させて、
次いでH2O/CH2Cl2を使用して液/液分配させた。次に分離した水相を捨
てて、分離した有機相を様々な溶媒と混合した。その後は、比較的精製された状
態にあるタキサン物質をシリカゲルカラムを次いでアルミナカラムを通した。
この論文によると、抽出物から回収されたタキソールが増加するかについて報
告されているかは明らかでない。増加に関する報告がないのは多分、液/液分配
の水相を捨てるという事実のためである。検出不可能なタキサンは水に可溶であ
ると推定されるので、次いでこれら水可溶性タキサンはH2O/CH2Cl2に
よる液/液分配工程の水相と共に多分捨てられた。この様に、糖が結合したタキ
サン等の可溶性タキサンが捨てられてしまっているので、収率の増加については
報告され得なかった。抽出物中に存在するが容易には検出できないタキサンを単
離、精製及び開裂させる方法の必要が残っている。本発明の要約
本発明の利点は、未精製のタキサン混合物中に存在するタキサンを単離するこ
とである。
更に他の本発明の利点は、これらタキサンの大部分がバカティンIIIに転化さ
せられるように抽出物中のタキサンを処理することである。
更に本発明の他の利点は、期待される基準の収率よりも抽出物中のタキサンの
収率を増加させることである。
本発明の他の利点は、遊離タキソール又は遊離バカティンIII又は他の遊離し
た標準タキサンに結合した結合タキサン物質を転化することである。
最も広い形の本発明によると、検出可能な標準タキサンを一定割合含有する第
1の溶液を処理して、第1の溶液よりも検出可能な標準タキサンを高い割合で含
有する第2の溶液を生成させる方法において、第1開口部と第2開口部とを有す
るカラムに吸着剤充填媒体を装填する工程;カラムの第1開口部に第1の溶液を
置き、第1の溶液を充填媒体を通して第2開口部へ送りそれによって第2の溶液
を形成する工程;カラムの第2開口部から第2の溶液を収集する工程;及び第2
の溶液から第1の溶液で検出可能であった標準タキサンよりも高い割合で回収す
る工程を含有する方法が含まれる。好ましい実施態様の詳細な説明
最も広い形において本発明は、天然草木からタキサン物質を回収する方法に関
するものである。より詳細には本発明は、イオン交換媒体を使用して第1の溶液
に存在する検出可能なタキサンだけでなく、検出不可能なタキサンを回収する方
法に関するものである。本発明の好ましい実施態様において、タキサン物質を含
有するTaxus brevifolia種からの樹皮又は針状葉の両方のバイオマスにメタノー
ル又はエタノール等の溶媒を流すことによって、ミセルを生じさせている。ミセ
ルは多量の溶媒と低濃度のタキサン物質を含有する。ミセル又は第1の溶液中に
含有されるタキサンの量は、バイオマスに利用可能なタキサンが100%である
と見なされる。針状葉抽出物を使用するとより収率が高くなる。針状葉は大量の
糖が結合したタキサン(即ち水可溶性タキサン)を、木の中でタキサンを移動さ
せるのに必要とすることが仮説されている。
バイオマスから抽出された第1の溶液を、外標準又は内標準を使用して高圧液
体クロマトグラフィー(HPLC)によって、タキソール、バカティンIII、1
0−デアセチルタキソール及び10−デアセチルバカティンIII等の標準タキサ
ン類として分析する。HPLCの結果を、元のバイオマス中のこれらのタキサン
の量lg当たりのマイクログラムに変換した。この第1の溶液中のタキサンのマ
イクログラムは、元のバイオマス中のタキソール、バカティンIII、10−デア
セチルタキソール及び10−デアセチルバカティンIII等の標準タキサンの収率
を100%と見なす基準収率である。更に、本発明に従ってこの第1の溶液を処
理すると、理論上の100%収率を超えることもあるほどこれらの標準タキサン
が思いもかけずに高収率で得られる。
第1の溶液の基準収率を上回るという結果を生じる本発明の能力は2つのこと
を意味する。1つは、元のミセル抽出物中で標準タキサンとして検出されなかっ
たタキサンを含有する物質が第1の溶液中にあるに違いないということである。
2つ目は、本発明はこれらの検出不可能なタキサン物質からタキソール又はバカ
ティンIII又は10−デアセチルタキソール又は10−デアセチルバカティンIII
を生じさせているに違いないということである。この検出不可能なタキサン物質
は、タキサン環を含有するが、その環に結合する他の化合物のために容易には標
準タキサンとして認識されないタキサン化合物から最も誘導されそうである。こ
の型の検出不可能なタキサン物質の例としては、前述した7−キシロシルタキソ
ールが挙げられ得る。
結合したタキサンとは一般に、タキソール環即ち炭素数20の環構造を含有す
るが分子が標準タキサンとして分析しないような余分な化学的構造を有する分子
のことを呼ぶ。一方遊離タキサンとは、タキソール、10−デアセチルバカティ
ンIII、バカティンIII、10−デアセチルタキソール等のタキサンとして、外標
準によって確立されている保持時間でHPLCによって検出可能なタキサンのこ
と
である。
現在、本発明を使用して遊離標準タキサンとなる第1の溶液中の結合したタキ
サンは単離されていない。しかしながら、結合したタキサンを遊離標準タキサン
に転化する方法を見いだした。
第1の溶液を処理して結合したタキサンを遊離タキサンを含有する第2の溶液
に転化する方法では、イオン交換媒体が使用される。アルミナ及びイオン交換樹
脂、イオン交換媒体の両型をミセル抽出物のタキサン収率を増加させるために上
手に使用した。アルミナカラム
タキサンを含有する抽出物を精製する試みの過程において、様々なアルミナカ
ラムを使用した。タキサンの収率は驚くことに様々であった。商業的に入手可能
なアルミナの中には低収率を示すものもあったが、一方タキサンの理論上の基準
収率を超える収率を示すものもあった。必要な塩基特性を有するようにアルミナ
を注意深く製造すると、高収率が得られることが徐々に明らかになった。更に、
第1の溶液をアルミナと接触させる温度及び時間を望ましい結果を得るために調
節し得ることを見いだした。
一般に、第1の溶液を室温(25〜27℃)でアルミナカラムで通す場合、結
合したタキソールを遊離タキソールに転化するために必要な接触時間は1〜4時
間であった。しかしながら、アルミナゲルの温度が30〜70℃まで上げられた
場合、10〜600秒程の短い接触時間で十分にタキサンの収率を増加させられ
た。従来技術で一般に使用されている方法によって接触時間を短くする。例えば
、カラムを通る流体を速く引くために真空を使用し得るし、又は流体がカラムを
通る速度を加速するために流体の高圧流を使用し得る。
実験の過程の間、アルミナの温度を70℃よりも上げた。これらの温度は驚く
ことに期待していなかった結果を示した。カラムから抜き出した第2の溶液を分
析し、その結果は遊離タキソールが高収率を示していなかった。その代わりに、
加熱したアルミナによると全てのタキソールが遊離のバカティンIIIに、また1
0−デアセチルタキソールが遊離の10−デアセチルバカティンIIIに実質的に
転化された。驚いたことに、遊離のバカティンIIIがほんの少しだけエピマー化
してい
た。これらのタキサンの収率の増加は、まず初めに1つの活性を有するアルミナ
物質によって生じた。
「最高の1つの活性」として呼ばれている活性を有する第2のアルミナを使用
すると、この第2のアルミナ(商業的に入手可能)は第1のアルミナよりもより
驚くべき結果を示した。第2のアルミナを通した後の第2の溶液は、僅か50℃
で遊離のバカティンIIIの収率が449%であった。実験過程の終わりの頃に、
外部加熱を加えることは結合したタキサンをバカティンIII等の遊離標準タキサ
ンに速く転化するのに必要ではないことを見いだした。アルミナカラムを使用前
に調整しない場合、第1の溶液をアルミナと接触させると発熱反応を起こす。こ
の発熱反応は制御されないが、タキサンを遊離したタキソールの形に転化するの
に十分な熱を効果的に与える。
また、第1の溶液を注意深く調製したイオン交換樹脂を通すことによって、遊
離タキソール及び遊離バカティンIIIが思いもかけない高収率で生じた。イオン
交換樹脂を通した樹皮抽出物から得る第1の溶液の収率はしばしば基準収率の1
15%であり、針状葉の抽出から得る第1の溶液の収率はしばしば基準収率の1
50%であった。
イオン交換樹脂が結合したタキソールを遊離タキソールに転化する機構は、ア
ルミナが結合したタキソールを遊離タキソールに転化する機構と同じであると考
えられる。その機構は多分、塩基性触媒作用による大きな分子からタキサン環の
開裂である。この機構は多分、タキサンの7位から糖分子を開裂させるのに作用
する。キシロール環はこの様に開裂させるのが難しいとして知られており、陰イ
オン交換樹脂がこの機構の触媒として最も適当である。
陰イオン及び陽イオン交換樹脂としてイオン交換媒体において使用される樹脂
の最も一般的な型は、ジビニルベンゼンを架橋したポリスチレンポリマーである
。陽イオン交換樹脂はスルホン酸で誘導され、陰イオン交換樹脂は4級アンモニ
ウム基で誘導される。陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂は、どんな陰イオ
ン及び陽イオンでも望まれているもので装荷させられ得る。例えば、典型的な脱
イオン水精製系では、H+及びOH-に変えるように予め調整された陰イオン及び
陽イオンを含有する混合床脱イオンカートリッジを含む。
陰イオン交換樹脂は結合したタキソールを遊離タキソールへ転化する際に使用
される触媒であると仮定されている。この仮定は更には、単独で陰イオン交換樹
脂を使用すると遊離タキサンの収率が増加するという事実によっても支持されて
いる。しかしながら、タキサン物質のエピマー化を避けるために、脱イオン水精
製系の様に、H+及びOH-に変えるように予め調整された陰イオン及び陽イオン
からなる混合床が望ましい。
OAc-(アセテート)等のOH-よりも弱い陰イオン交換体を陰イオン樹脂に
装荷する場合は、陽イオン交換(H+)の存在を除き得るということが予想され
ていた。弱い陰イオン樹脂が使用される場合は、OAc-(アセテート)陰イオ
ン交換体がタキサンの収率を増加させることが示されたが、これらの収率はOH-
及びH+交換を有する樹脂からなる混合床から得られる収率程印象的ではなかっ
た。
イオン交換物質の再生は、陽イオン交換樹脂及び陰イオン交換樹脂が分離され
混合されていない場合には簡単であるので、第1の溶液を別々に陰イオン樹脂及
び陽イオン樹脂を通す実験を行った。陰イオン交換樹脂(OAc-)及び陽イオ
ン交換樹脂(H+)を2つの別々のカラムに装填し、抽出物をそれぞれに通した
。驚いたことに、抽出物を通す順序に係わらず、樹脂の混合床によって示された
タキサン物質の大幅な増加は見られなかった。事実、第1の通過の後別々の物質
に溶液を通過させると遊離タキサンに減少が見られた。
別な方法で定義されなくても、本明細書中で使用される科学的また技術的用語
は全て一般に本発明が属する当業者に理解される通りの意味を有する。本明細書
中に記載されたものと同様の又は等しい方法及び物質は本発明の範囲内と考えら
れる。以下にそれに制限されないが実施例を与える。実施例I
残渣0.05g/mlを含有するTaxus brevifoliaの樹皮からのメタノール抽
出物65mlを試料物質とした(試料I)。この試料はHPLCで検出されたタ
キソールを6085μg有していた。バカティンIIIはこの試料には検出されな
かった。この試料を加熱したアルミナカラムを通した。15mm×30cmのカ
ラム、被覆されたウエストコンデンサーにアルミナ(商業的に入手可能な)を2
5
g装填した。このアルミナは活性1を有していた。活性数を下げれば下げるほど
より強力にアルミナが結合する。このアルミナの表面積は150〜200m2/
g、メッシュサイズは50〜200μ、pH範囲は7.4〜9.0であった。ア
ルミナを55〜60℃に再循環熱浴で加熱し、次いで純粋なメタノール50ml
をカラムを通して調整した。乾燥した吸着媒体と接触させて置く場合溶媒が熱を
生じるので、調整は温度の制御をするために必要である。アルミナを調整した後
、試料を5〜15分間カラムを通させた。その後カラムをメタノール20mlで
すすいだ。全混合溶液(溶液I)を収集し、HPLCで分析した。
タキソールの基準収率を超える遊離のタキソールの付加的な収率は、アルミナ
がタキサン環から分子を開裂させて、HPLCで検出可能な遊離のタキソールを
第2の溶液中に形成するからであると推定される。比較的に遊離タキソールの増
加が低いのは、試料抽出物を形成するために使用したバイオマスのためである。
イチイ種の樹皮は多分、イチイ種の針状葉よりも結合したタキソール、特には糖
が結合したタキソールを非常に低い量でしか含有していない。実施例II
Taxus brevifoliaの針状葉からの三種のメタノール抽出物を試料物質とした。
第1の試料は65mlで、タキソールを250μg及びバカティンIIIを334
μg有していた(試料1)。第2の試料は20mlで、タキソールを144.2
μg及びHPLCで検出されたバカティンIIIを25.5μg有していた(試料
2)。第3の試料はタキソールを5.04g及びHPLCで検出されたバカティ
ンIIIを1.23g有していた(試料3)。試料をアルミナカラムを通した。1
5mm×30cmのカラムにアルミナ(商業的に入手可能な)を25g装填した
。
アルミナを再循環熱浴で加熱し、次いで純粋なメタノール50mlをカラムを
通して調整した。アルミナを調整した後、試料1を15〜20psiの真空圧力
下で1分間カラムを通させた。好ましい実施態様において、接触時間が短いのは
加圧された試料(20〜40psi)をカラムを通すからである。その後、カラ
ムをメタノール20mlですすいだ。全混合溶液(溶液1)をHPLCで分析し
た。その結果によると、元の試料1で検出不可能であった遊離バカティンIIIが
1000μg以上あることが示されている。
このアルミナを室温で保持し、純粋なメタノール20mlをカラムを通して調
整した。アルミナを調整した後、試料2をカラムを通した。その後、カラムを室
温でメタノール20mlですすいだ。全混合溶液(溶液2)をHPLCで分析し
た。HPLCの結果により、遊離タキソールが8μg、遊離バカティンIIIが2
1μg増えたことが示された。
しかしながら、アルミナカラムを加熱せずに、この実験はどんな調整もせずに
行った。それ故に、この実験は熱の制御もせずに行なわれた。試料3がアルミナ
にあたると発熱反応が起こった。熱を制御しなかったので、遊離タキソールが驚
くべき収率となった。タキサン環からのタキソールの側鎖が開裂しない程熱は不
充分であったが、タキソール環からの大きい結合した分子が開裂する程に熱は十
分であったことが明らかである。すすいで引っ張りだされた溶液(溶液3)のH
PLC分析では、遊離タキソールが約4g増えたことを示していた。実施例III
1つの試料、Taxus brevifoliaの針状葉からのメタノール抽出物が試料物質で
あった。この試料を加熱したアルミナカラムを通した。15mm×30cmのカ
ラムは、カラムに装填されたアルミナ(商業的に入手可能な)25gを保持する
ために綿栓を有していた。このアルミナを50℃に再循環熱浴で加熱し、次いで
水10%及びメタノール90%からなる溶液50mlをカラムを通して調整した
。アルミナを調整した後、試料を短時間即ち約10〜600秒間カラムを通させ
た。その後カラムをメタノール20mlですすいだ。全混合溶液をHPLCで分
析し、その結果は元の第1の溶液の基準収率100%と比較してバカティンIII
が400%に増加していた。全ての遊離タキソールがバカティンIIIに転化され
たことが明らかである。これは、タキソール及びおそらく他のタキサンを含有す
る粗タキサン抽出物をバカティンIIIに転化させることのできる方法である。実施例IV
Dowex-1x8として商業的に入手可能な陰イオン交換樹脂をOH-の形になる
ように処理した。陰イオン交換樹脂を2Mの水酸化ナトリウム200mlを樹脂
に通すことによってOH-の形に転化した。次いで、濾液のpHが8未満になる
まで脱イオン水を樹脂に通すことによって、残りの塩基性溶液をその樹脂から洗
い落とした。
Dowex-50x8として商業的に入手可能な陽イオン交換樹脂をH+の形になる
ように処理した。陽イオン交換樹脂を1M〜3Mの塩酸を多量に樹脂に通すこと
によってH+の形に転化した。次いで、濾液のpHが6を超えるようになるまで
脱イオン水を樹脂に通すことによって、残りの酸性溶液をその樹脂から洗い落と
した。
次に、Dowex-50x8(H+)2gをDowex-1x8(OH-)2gと混合して、
均一な混合樹脂床を形成した。HPLC分析による遊離タキソールを433mg
含有するTaxus brevifoliaの樹皮からのメタノール抽出物25ml(溶液IV)を
、
5分間室温で樹脂からなる混合床を通して濾過した。次いで、樹脂を純粋なメタ
ノール25mlですすぎ、得られた混合溶液をHPLCで分析した(溶液IV)。
イオン交換樹脂によって示された遊離バカティンIII及び遊離タキソールの収
率の増加は、アルミナカラムを使用して得られた結果の収率の増加と同様である
。実施例V
Dowex-1x8として商業的に入手可能な陰イオン交換樹脂をOAc-(アセテ
ート)の形になるように処理した。陰イオン交換樹脂を2Mの水酸化ナトリウム
200mlを樹脂に通すことによってOH-の形にまず初めに転化した。次いで
、濾液のpHが8未満になるまで脱イオン水を樹脂に通すことによって、残りの
塩基性溶液をその樹脂から洗い落とした。この陰イオン交換樹脂を希酢酸溶液(
0.5〜2M)を樹脂に通すことによってOAc-の形に転化し、酸残渣を脱イ
オン水で洗い落とした。
Dowex-50x8として商業的に入手可能な陽イオン交換樹脂をH+の形になる
ように処理した。陽イオン交換樹脂を1M〜3Mの塩酸を多量に樹脂に通すこと
によってH+の形に転化した。次いで、濾液のpHが6を超えるようになるまで
脱イオン水を樹脂に通すことによって、残りの酸性溶液をその樹脂から洗い落と
した。
Dowex-50x8(H+)4g及びDowex-1x8(OAc-)4gを使用して、2
つの別々の樹脂床を形成した。HPLC分析による遊離タキソールを2149μ
g、遊離バカティンIIIを218μg、遊離10−デアセチルバカティンIIIを1
200μg含有するTaxus brevifoliaの樹皮からのメタノール抽出物76ml(
試料V)を、室温で樹脂からなる陰イオン床を通して濾過した。濾過時間は約5
分であった。次いで、樹脂を純粋なメタノール25mlですすぎ、得られた混合
溶液をHPLCで分析した。結果を溶液V1として示す。
次に、溶液V,を室温で樹脂からなる陽イオン床を通し、純粋なメタノール2
5mlですすぎ、得られた混合溶液(溶液V2)をHPLCで分析した。次いで
、溶液V2を再度陰イオン床次いで再度陽イオン床を通した。陰イオン床を最初
に通したことによって、遊離タキソールが増加した。しかしながら、結果は、最
初に陰イオン床を通した後それぞれのカラムに通すと、遊離タキソール、遊離バ
カティンIII及び遊離10−デアセチルバカティンIIIが一貫して減少することを
示した。
陰イオンOAc-交換樹脂は、第1の通過で遊離タキサンの増加を示す。遊離
バカティンIII及び10−デアセチルバカティンIIIタキソールは陽イオンH+交
換体に通すと減少し始める。陰イオン床を最初に通して得られた収率の増加は、
樹脂の混合床又はアルミナの実験で示されたものよりも実質的に少なかった。
従って、本発明は本発明の好ましい実施態様に関してある程度詳細に記載され
ている。しかしながら、本発明は従来技術に照らして解釈される以下の請求項に
よって定義されるので、本明細書中に含まれる発明の概念から逸脱しない限り、
本発明の好ましい実施態様を修正又は変更しても良いことを認識すべきである。
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フロントページの続き
(81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE,
DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M
C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG
,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN,
TD,TG),AU,BB,BG,BR,CA,CZ,
FI,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,MG,M
N,MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD,SK
,UA,UZ
(72)発明者 ワークマン,クリストファー ティー.
アメリカ合衆国 80302 コロラド州ボウ
ルダー,ナンバー 201,エイティーンス
ストリート 903
(72)発明者 ヘンダーソン,ドニア エル.
アメリカ合衆国 80304 コロラド州ボウ
ルダー,ナンバー 595,ナインティーン
ス ストリート 4500
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1.検出可能な標準タキサン及び他のタキサン化合物を含有する第1の溶液を 処理して、該第1の溶液よりも検出可能な標準タキサンを高い割合で含有する第 2の溶液を生成させる方法において、以下の工程、 第1開口部と第2開口部とを有するカラムにイオン交換媒体を装填する工程、 カラムの第1開口部に第1の溶液を置き、第1の溶液をイオン交換媒体を通し て該開口部へ送り、それによって該タキサン化合物を第2の溶液が形成されるイ オン交換反応によって標準タキサンに転化する工程、 カラムの該第2開口部から該第2の溶液を収集する工程、及び、 第2の溶液から該第1の溶液で検出可能であったよりも高い割合の標準タキサ ンを回収する工程を特徴とする前記方法。 2.該イオン交換媒体が鉄イオン交換樹脂である、請求項1に記載の方法。 3.該イオン交換樹脂が陰イオン交換樹脂と陽イオン交換樹脂からなる混合物 である、請求項2に記載の方法。 4.該陰イオン交換樹脂がOH-の形である、請求項3に記載の方法。 5.該陽イオン交換樹脂がH+の形である、請求項3に記載の方法。 6.該イオン交換媒体がアルミナである、請求項1に記載の方法。 7.該アルミナを50℃より高い温度に加熱して、それによて第2の溶液が主 としてバカティンIIIの形のタキサンを含有する、請求項6に記載の方法。 8.該イオン交換媒体が25℃である、請求項1に記載の方法。 9.第1の溶液が該検出可能な標準タキサン、他のタキサン化合物、残渣及び 溶媒を含有する、請求項1に記載の方法。 10. 該溶媒がアルコールである、請求項9に記載の方法。 11. 該第2の溶液中の該標準タキサンがタキソールの形である、請求項1に 記載の方法。 12. 該第2の溶液中の該標準タキサンがバカティンIIIの形である、請求項 1に記載の方法。 13. 基準量の遊離標準タキサン及び少量の結合したタキサンを含有する抽出 物を処理して、基準量を超える遊離標準タキサンを含有する第2の溶液を生成さ せる方法において、以下の工程、 カラムに装填させられるように適合させられたイオン交換媒体を供給する工程 、 媒体をカラムに装填する工程、 抽出物をカラムを通すようにして、抽出物を媒体とカラム内で接触させて、結 合したタキサンを遊離標準タキサンに転化する工程、及び、 抽出物中の基準量のタキサンを超える量の遊離標準タキサンを含有する第2の 溶液をカラムから収集する工程を特徴とする前記方法。 14. 該基準量の標準タキサンが収率100%であり、該第2の溶液中の該遊 離標準タキサンの量がタキサンの収率115%を超える、請求項13に記載の方 法。 15. 該媒体がイオン交換樹脂である、請求項13に記載の方法。 16. 該媒体がアルミナゲルである、請求項13に記載の方法。 17. 該イオン交換媒体を125℃より高い温度まで上げ、かつ該第2の溶液 中の該遊離標準タキサンがバカティンIIIの形である、請求項13に記載の方法 。
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