JPH08503362A - ヒトNMDA−R2Aレセプターサブユニット及びヒトNMDA−R1レセプターサブユニット同形体をコードするcDNA、並びにそれを発現させるトランスフェクト細胞系 - Google Patents

ヒトNMDA−R2Aレセプターサブユニット及びヒトNMDA−R1レセプターサブユニット同形体をコードするcDNA、並びにそれを発現させるトランスフェクト細胞系

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JPH08503362A JP6511856A JP51185693A JPH08503362A JP H08503362 A JPH08503362 A JP H08503362A JP 6511856 A JP6511856 A JP 6511856A JP 51185693 A JP51185693 A JP 51185693A JP H08503362 A JPH08503362 A JP H08503362A
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、少なくとも1種のR1サブユニット同形体、または少なくとも1種のR1サブユニット同形体及び1種もしくは2種のR2サブユニットを含む、N−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)レセプター、特にヒトNMDAレセプターを発現させ得る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系;ヒトNMDA R2Aサブユニットをコードし、またヒトNMDAR1サブユニットの様々な同形体をコードする新規なcDNA配列のクローニング;並びにNMDAレセプターサブタイプ選択型薬物の設計及び開発への前記細胞系の使用に係わる。

Description

【発明の詳細な説明】ヒトNMDA-R2Aレセプターサブユニット及びヒトNMDA-R1レセプターサブユニット 同形体をコードするcDNA、並びにそれを発現させるトランスフェクト細胞系 本発明は細胞系に係わり、特にヒトまたは動物のN−メチル−D−アスパラギン 酸(NMDA)レセプターを発現させ得る安定な細胞系に係わる。本発明は、新規な ヒトNMDAレセプターサブユニットをコードする相補的DNA(cDNA)にも係わり、 特にヒトNMDA R2Aレセプターサブユニット及びヒトNMDA R1レセプターサブユニ ットの様々な同形体(isoforms)のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列に係 わる。 NMDAレセプターは、中枢神経系におけるグルタミン酸伝達を媒介する主要な興 奮性アミノ酸レセプターである。このレセプターは、海馬における長期増強を含 めたニューロン調節(neuronal modulation)に関係付けられている(Colーlingr idge及びSinger,TIPS 11,p.290,1990)。従ってNMDAレセプターは、記憶獲 得及び学習において主要な役割を果たすと考えられる。 NMDAレセプターの必須(integral)チャンネルはNa+及びK+と同様にCa2+も透 過させ、少なくとも七つの薬理学的に異なる部位を有する。それらの部位にはグ ルタミン酸 結合部位、グリシン結合部位、ポリアミン部位、ジゾシルピン結合部位、電圧依 存性Mg2+部位、Zn2+結合部位(Wong及びKemp,Ann.Rev.Pharmacol.Toxicol. 31 ,p.401,1991)、及びイフェンプロジル結合部位(Carter等,J.Pharmacol .Exp.Ther.247 ,p.1222,1988)が含まれる。 脳に浸透する強力でかつ選択的なNMDAレセプター拮抗物質の開発は、興奮性ア ミノ酸による神経伝達物質放出の過剰刺激に起因して生じると考えられる状態を 治療及び/または予防するための好ましい方策として最近著しく注目されている 。上記のような状態には特に、発作、低血糖症、脳性麻痺、一過性脳虚血発作、 心肺手術または心臓停止中の脳虚血、周産期仮死、癲癇、ハンチントン舞踏病、 アルツハイマー病、筋委縮性側索硬化症、パーキンソン病、オリーブ橋小脳萎縮 、溺れなどに起因する無酸素症、脊髄及び頭部の損傷、並びに外因性及び内因性 NMDAレセプター作用物質及び環境神経毒を含めた神経毒による中毒などの病的状 態の結果として起こる神経変性障害が含まれる。 NMDAレセプター拮抗物質は抗痙撃薬及び制吐薬としても有用であり得、また麻 酔薬などの依存症誘発薬剤への依存 を予防または低減するうえで重要な物質でもある。 最近、NMDAレセプター拮抗物質は鎮痛作用(例えばDickenson及びAydar,Neur osciense Lett.121 ,p.263,1991;Murray等,Pain 44,p.179,1991;並び にWoolf及びThompson,Pain 44,p.293,1991参照)及び不安緩解作用(例えば 米国特許第5,145,866号;及びKehne等,Eur.J.Pharmacol.193,p.283,1991 参照)を有することが判明し、従ってこのような化合物は疼痛、抑制及び不安の 管理に有用であり得る。 国際特許出願公開第91/19493号には、NMDAレセプター複合体(complex)に対 する拮抗物質としての機能特性を有する化合物が、重症の鬱病、双極性(bipola r)障害、胸腺機能不全及び季節性情動障害を含めた気分障害の治療に有効であ ると述べられている(Trullas及びSkolnick,Eur.J.Pharmacol.185,p.1,1 990も参照)。従って、上記のような化合物は上記気分障害の治療及び/または 予防に有益であり得る。 最近、NMDAレセプター拮抗物質がドーパミン作用系の調節に関係することが報 告されている(例えばWerling等,J.Pharmacol.Exp.Ther.255,p.40,1990 ;Graham 等,Life Sciences 47,PL-41,1990;Hutson等,Br.J.Pharmacol.103,p.2 037,1991;及びTurski等,Nature(London)349,p.414,1991参照)。このこ とは、上記のような化合物が精神分裂病及びパーキンソン病のようなドーパミン 作用系の障害を予防及び/または治療するのに役立ち得ることを示唆している。 NMDAレセプター拮抗物質が皮質性拡延性抑制(CSD)を遮断することも最近報 告されており(Lauritzen等,Journal of Cerebral Blood Flow and Metabolism ,vol.11,supーpl.2,Abstract XV-4,1991参照)、このことは臨床的に重要 であり得、なぜならCSDは片頭痛の可能な一機構であるからである。ヨーロッパ 特許出願公開第0420806号に開示された置換2−アミノ−4−ホスホノメチルア ルク−3−エンカルボン酸類とそのエステル類は選択的NMDAレセプター拮抗物質 であると述べられており、それによって特に片頭痛の治療に使用可能であるとさ れている。 ヨーロッパ特許出願公開第0432994号では、特にNMDAレセプターの拮抗物質を 含めた興奮性アミノ酸レセプター拮抗物質が嘔吐の抑制に有用であるとされてい る。 文献中の最近の報告は、或る種のウイルスの神経毒性と、 興奮性アミノ酸レセプターを介しての神経伝達増強に起因して該ウイルスが生物 に及ぼす有害な作用との関連性を示唆している。従って、NMDAレセプターの拮抗 物質は、麻疹、狂犬病、破傷風(Bagetta等,Br.J.Pharmacol.101,p.776, 1990参照)及びAIDS(Lipton等,Society for Neuro -science Abstracts 16,12 8.11,1990参照)などの神経ウイルス性疾患の発病を制御するのに有効であり得 る。 そのうえ、NMDAレセプター拮抗物質は神経内分泌系に作用することも判明して おり(例えばvan den Pol等,Sci-ence 250,p.1276,1990;及びUrbanski,En docrinology 127 ,p.2223,1990参照)、従ってこのような化合物は哺乳類の季 節繁殖の制御にも有効であり得る。 ラットNMDAレセプターの、“NMDA R1”と呼称されるサブユニットをコードす るcDNAが発現クローニングによってクローン化されている(Moriyoshi等,Natur e(London)354 ,p.31,1991)。アフリカツメガエル卵母細胞において発現さ せると、上記cDNAは真正のNMDAレセプターに期待される電気生理学的及び薬理学 的特性を表わすが、発現レベルはきわめて低い。更に最近、ラットNMDA R1レセ プターサブユニットの、択一的(alternative)RNAスプライシン グによって生成する幾つかの個別同形体の存在が報告されている(Sugihara等,BBRC 185 ,p.826,1992)。低ストリンジェンシーハイブリダイゼーション法と 遺伝子増幅反応(polymerase chain reaction)法との両方を用いて、更に4種 の齧歯類NMDAレセプターサブユニットcDNAがクローン化されており、これらのcD NAがコードするサブユニットはε1即ちNMDA R2A、ε2即ちNMDA R2B、ε3即ち NMDA R2C、及びε4即ちNMDA R2Dである(Monyer等,Science 256,p.1217,19 92;Kutsuwada等,Nature(London)358,p.36,1992;Ikeda等,FEBS Lett.3 13 ,p.34,1992;及びIshii等,J.Biol.Chem.268,p.2836,1993参照)。 NMDA R1サブユニットが上記R2A、R2B、R2CまたはR2Dサブユニットのうちのいず れか一つと、アフリカツメガエル卵母細胞かまたは一時的にトランスフェクトさ れた細胞において同時発現されると、NMDA R1サブユニットのみから成るものよ り堅固(robust)なNMDAレセプターが生成する(Monyer等,Science 256,p.12 17,1992)。そのうえ、このようにして得られる4種の推定NMDAレセプター(R1 /R2A;R1/R2B;R1/R2C;及びR1/R2D)は薬理学的及び電気生理学的に区別可能で あることが観察される。これらのデータは、 脳には異なるサブユニット同士の組み合わせにより別個の薬理学的プロフィール を有する一群のNMDAレセプターサブタイプが存在し得るという仮説を支持する。 ヒトNMDAレセプターcDNAの分子クローニングには様々な方法を任意に用い得る 。それらの方法には、適当な発現ベクター系におけるヒトNMDAレセプターを含む cDNAライブラリーの構築とそれに続く、ヒトNMDAレセプターcDNAの直接機能発現 とが非限定的に含まれる。別の方法に、バクテリオファージまたはプラスミドシ ャトルベクターにおいて構築されたcDNAライブラリーを有するヒトNMDAレセプタ ーを、精製NMDAレセプタータンパク質のアミノ酸配列からか、または既知のNMDA レセプターcDNAのDNA配列から設計し、かつ標識したオリゴヌクレオチドプロー ブを用いてスクリーニングすることがある。好ましい方法は、バクテリオファー ジまたはプラスミドシャトルベクターにおいて構築された、ヒトNMDAレセプター を含むcDNAライブラリーを、齧歯類NMDAレセプターサブユニットcDNAの、32Pで 標識したcDNAオリゴヌクレオチド感作断片を用いてスクリーニングすることから 成る。好ましいヒトcDNAライブラリーは市販のヒト海馬cDNAライブラリーである 。 ヒトNMDAレセプターをコードするDNAの単離に他の種類のライブラリー、及び 他の脳領域から構築されたライブラリーも有用であり得ることは、当業者には直 ちに明らかである。他の種類のライブラリーには、他の組織、ヒト海馬細胞以外 の細胞または細胞系に由来するcDNAライブラリー、及びゲノムDNAライブラリー が非限定的に含まれる。 cDNAライブラリーの作製は、当業者に良く知られた標準的な技術で行ない得る 。良く知られたcDNAライブラリー構築技術は、例えばT.Maniatis、E.F.Frits ch及びJ.Sambrookの“Molecular Cloning: A Laboratory Manual”(Cold Spr ing Harbor Press,New York,2nd edition,1989)の中に見出すことができる 。 ヒトNMDAレセプターをコードするDNAが適当なゲノムDNAライブラリーからも単 離可能であるということも、当業者には直ちに明らかである。 ゲノムDNAライブラリーの構築は、当業者に良く知られた標準的な技術で行な い得る。良く知られたゲノムDNAライブラリー構築技術はManiatis等の上掲書中 に見出せる。 上記好ましい方法を用いて、ヒトNMDAレセプターをコードするcDNAクローンを cDNAライブラリースクリーニング によって単離した。ヒト海馬組織に由来する市販cDNAライブラリーからヒトNMDA レセプターcDNAを単離するためのプローブとして、齧歯類NMDAレセプターのNMDA R1及びNMDA R2AサブユニットをコードするcDNAの、32Pで放射性標識した断片を 用いた。 NMDA R1サブユニットに関しては幾つかの陽性にハイブリダイズするクローン を、齧歯類NMDA R1サブユニットcDNAプローブを用いて検出した。これらのcDNA クローンのうち、公表されているNMDA R1e同形体(Sugihara等,BBRC 185,p.8 26,1992)と相同であった最長のものは、コーディング領域の5′末端部の約30 0塩基対を欠いていた。消失した配列は、截頭(truncated)NMDA R1eクローンの 5′末端部の最後の300ヌクレオチドをコードするEcoRI−SmaI断片を用いて、 同じ海馬cDNAライブラリーをスクリーニングすることを実質的に含む通常技術で 回復し得た。実施例1に後述するように、消失配列を含むcDNAクローンを標準的 な方法で単離及び操作して截頭NMDA R1e cDNAの内部のSmaI部位に組み込むこと により、完全長のNMDA R1e cDNAを生成させることができた。 ヒト海馬cDNAライブラリーから単離した他の陽性クロー ンに類似技術を適用して、公表されているラットNMDA R1a及びNMDA R1d同形体( Sugihara等の上掲記事)に対応するヒトNMDA R1レセプターサブユニット同形体 をコードするcDNAを得た。 NMDA R2Aサブユニットに関しては幾つかのハイブリダイズするクローンを、齧 歯類NMDA R2AサブユニットcDNAプローブを用いて検出した。上述のR1サブユニ ットに関連して出会った状況のように、ヒト海馬cDNAライブラリーから得られた これらのcDNAはいずれも完全なヒトNMDA R2A推定アミノ酸配列をコードしなかっ た。このような理由で、実施例2に後述するように、重なり合った(overlappin g)截頭cDNAから完全長cDNAを構築した。 第1図に、ヒトNMDA R1レセプターサブタイプのR1a、R1d及びR1e同形体の構造 を概略的に示す。四つの推定トランスメンブランセグメント(TMI〜IV)を、塗 り潰した四角形によって表わす。R1dは、R1a cDNAの2701〜3056番目のヌクレオ チド残基に対応する領域に欠失部(欠失部II)を有する。この欠失によって、R1 a配列のアミノ酸残基900に後続する22アミノ酸のカルボキシル末端(Ct)配列が 新たに生成する。R1eは別の欠失部(欠失部I)も有し、従って欠失部 I及びIIの両方の配列を欠き、その結果R1a配列の863位に新しい22アミノ酸カル ボキシル末端配列が連結した構造を持つ。択一的スプライシングにより創出され る上記22アミノ酸カルボキシル末端配列は第1図中に、斜線を付した四角形によ って示してある。 ヒトNMDAレセプターのR1e同形体をコードする完全長cDNAの配列を第2A図に示 す。第2A図には、cDNA配列に並べて推定アミノ酸配列も示してある。図中、四つ の推定トランスメンブランセグメント(TM1〜4)の位置、及び予測されるシグナ ルペプチド(SP)の位置を実線で示す。 第2B図に、ヒトNMDA R1レセプターサブタイプのR1a、R1d及びR1e同形体をコー ドするcDNAがカルボキシル末端側に択一的に有する配列を示す。第2B図にはヌク レオチド配列と推定アミノ酸配列とが各同形体毎に示してある。図示したアミノ 酸位863及びヌクレオチド位2589は、第2A図に示したR1e同形体の配列中の対応す る位置に関連する。第2B図には、欠失部I(37アミノ酸)及び欠失部II(38アミ ノ酸)のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列も示す。R1d及びR1e同形体はR1 a同形体から、欠失部II及び欠失部I+IIがそれぞれ消失し、その後、第1図に おいて斜線を 付した四角形によって表わし、かつ第2B図にそのヌクレオチド配列及び推定アミ ノ酸配列を示した22アミノ酸カルボキシル末端配列が代わりに付加されることに よって生成する。非翻訳領域は小文字で表わしてある。 ヒトNMDA R2AレセプターサブユニットをコードするcDNAの完全なヌクレオチド 配列と、推定されるアミノ酸配列とを第3図に示す。上記cDNAは4858塩基の長さ を有する。読み取り枠は塩基47〜4438である。塩基1〜46は5′側の非翻訳配列 、塩基4439〜4858は3′側の非翻訳配列である。推定アミノ酸配列は1464残基の 長さを有し、公表されているラットNMDA R2A配列(Monyer等,Science 256,p. 1217,1992)とは81箇所で相違する。 先に述べた方法によって得たクローン化ヒトNMDAレセプターcDNAは、適当なプ ロモーターその他の適当な転写調節要素を有する発現ベクター中への分子クロー ニングと、続く前記発現ベクターの原核または真核宿主細胞への導入とによって 組み換え発現させ、それによって組み換えNMDAレセプターを生産させることがで きる。上記のような操作のための技術はManiatis等の上掲書に詳述されており、 当業者に公知である。 発現ベクターに挿入したクローン化NMDAレセプターをコードするDNAはその後 、組み換え宿主細胞に移入して発現させ得る。組み換え宿主細胞は原核細胞であ っても真核細胞であってもよく、細菌、酵母、(ヒト、ウシ、ブタ、サル及び齧 歯類由来の細胞系を非限定的に含めた)哺乳動物細胞及び(ショウジョウバエ由 来の細胞系を非限定的に含めた)昆虫細胞を非限定的に包含する。適当であり得 る市販の哺乳動物種由来細胞系には、L-M(ATCC CCL 1)、HEK293(ATCC CCL 15 55)、CV-1(ATCC CCL 70)、COS-1(ATCC CRL 1650)、COS-7(ATCC CRL 1651 )、CHO-K1(ATCC CCL 61)、3T3(ATCC CCL 92)、NIH/3T3(ATCC CRL 1658) 、HeLa(ATCC CCL 2)、C127I(ATCC CRL 1616)、BS-C-1(ATCC CCL 26)及びM RC-5(ATCC CCL 171)が非限定的に含まれる。 発現ベクターは、形質転換、トランスフェクション、プロトプラスト融合及び エレクトロポレーションを非限定的に含めた幾つかの技術のうちのいずれか一つ を介して宿主細胞に導入し得る。発現ベクター保有細胞をクローン増殖させ、か つ個々に分析してNMDAレセプタータンパク質を産生するかどうか決定する。NMDA レセプターを発現させる宿主細胞クローンの同定は、抗NMDAレセプター抗体との 免疫 学的反応性、及び宿主細胞に関連するNMDAレセプター活性の存在を非限定的に含 めた幾つかの手段を用いて行ない得る。 NMDAレセプターDNAの発現は、in vitroで調製した合成mRNAを用いても可能で ある。合成mRNAは、コムギ胚抽出物及び網状赤血球抽出物を非限定的に含めた様 々な無細胞系において、またカエル卵母細胞へのマイクロインジェクションを非 限定的に含めた細胞主体の系においても効率的に翻訳され得る。 結合活性レベル及び/またはNMDAレセプタータンパク質レベルを最適にする一 つ以上のNMDAレセプターcDNA配列を決定するべく、第2A図または第3図に示した ヒトNMDAレセプターcDNAの完全長の読み取り枠と、生物学的に活性なヒトNMDAレ セプタータンパク質をコードするcDNAの一部分を含む構築物とを非限定的に含む NMDAレセプターcDNA分子を構築し得る。上記構築物はいずれも、ヒトNMDAレセプ ターcDNAの5′側及び3′側非翻訳領域を含まないか、総て含むか、または一部 含むように設計し得る。適当な宿主細胞に上記のような構築物を単独で、乃至組 み合わせて導入して、NMDAレセプター活性及びタンパク質発現レベルを測定し得 る。最適の発現を実現するNMDAレセプターcDNAカセットが決定したら、そのcDNA 構築物を噛乳動物細胞、バキュロイウルスに感染させた昆虫細胞、大腸菌及び酵 母S. cerevi ーsiaeを非限定的に含めた様々な発現宿主細胞に移入し得る。 組み換え宿主細胞におけるヒトNMDAレセプターの発現は、活性形態のNMDAレセ プタータンパク質をもたらす。幾つかの精製法が使用可能であり、かつ使用に適 している。組み換えNMDAレセプターは、塩分画、イオン交換クロマトグラフィー 、サイズ排除クロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイト吸着クロマトグラフ ィー及び疎水的相互作用クロマトグラフィーを様々に組み合わせてかまたは単独 で適用することにより細胞溶解物及び抽出物から、または馴らし培地から適宜精 製し得る。 加えて、組み換えヒトNMDAレセプターは他の細胞性タンパク質から、NMDAレセ プターまたはそのポリペプチドフラグメントに特異的なモノクローナルまたはポ リクローナル抗体を用いて製造された免疫アフィニティーカラムを用いることに よって分離し得る。NMDAレセプターまたはそのポリペプチドフラグメントに特異 的なモノクローナルまたはポリクローナル抗体の製造及び精製は、当業者に公知 の通 常技術で可能である。典型的方法には、例えばManiatis等が“Molecular Clonin g:A Laboratory Manual,”Cold Spring Harbor Press,New York,2nd edition ,1989の第18章に述べている方法が含まれる。 本発明は、NMDAレセプターを有する、恒常的にトランスフェクトされた細胞で あって、前記レセプターに作用する薬物のスクリーニングに有用な細胞の製造に 係わる。NMDAレセプターは以前、アフリカツメガエル卵母細胞(Ishii等,J.Bi ol.Chem.268 ,p.2836,1993)及び一時的にトランスフェクトされた哺乳動物 細胞(Monyer等,Science 256,p.1217,1992)において発現された。しかし、 上記系は両方とも一時的な発現しか実現せず、スクリーニング用としては不適当 である。 本発明者は今や、上記レセプターの安定な発現を達成した。 従って本発明は、少なくとも1種のR1サブユニット同形体を含むか、または少 なくとも1種のR1サブユニット同形体と1種もしくは2種のR2サブユニットとを 含むNMDAレセプターを発現させ得る、安定に同時トランスフェクトされた真核細 胞系を提供する。 この課題は、少なくとも1種のR1サブユニット同形体か、または少なくとも1 種のR1サブユニット同形体及び1種もしくは2種のR2サブユニットをそれぞれコ ードするcDNAをそれぞれ含む発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトするこ とにより達成した。従って本発明は、更に別の構成において、NMDAレセプターを 発現させ得る真核細胞系を調製する方法も提供し、この方法は真核宿主細胞を1 個以上の発現ベクターで安定に同時トランスフェクトすることを含み、前記ベク ターのうち少なくとも1個はNMDA R1レセプターサブユニット同形体(当分野に おいて“キーサブユニット”と呼称)をコードするcDNA配列を含み、その他のベ クターは場合によっては1種または2種のNMDA R2レセプターサブユニットをコ ードするcDNA配列を含む。上記方法で確立した安定な細胞系ではR1型またはR1+ R2型NMDAレセプターが発現される。このように発現される、1種以上のR1サブユ ニット同形体、または1種以上のR1サブユニット同形体及び1種もしくは2種の R2サブユニットの新規な組み合わせを含む各レセプターを、以後“サブユニット 組み合わせ型”NMDAレセプターと呼称する。薬理学的及び電気生理学的データか ら、本発明の細胞が発現させるR1型またはR1+ R2型組み換えレセプターは天然型NMDAレセプターに期待される諸特性を有するこ とが確認された。 先に指摘したように、NMDAレセプターの発現は、様々に異なる宿主細胞におい て様々に異なるプロモーター発現系により実現可能である。真核宿主細胞は、酵 母、昆虫細胞及び哺乳動物細胞を適宜包含する。好ましくは、レセプター発現の ための宿主を提供し得る真核細胞は哺乳動物細胞である。適当な宿主細胞には、 齧歯類線維芽細胞系、例えばマウスLtk-、チャイニーズハムスター卵巣(CHO) 及びハムスター乳児腎臓(BHK)細胞;HeLa細胞;並びにHEK293細胞が含まれる 。必要なレセプターの産生のためには、細胞系内に1種以上のR1サブユニット同 形体(“R1”と表記)を存在させるか、または1種以上のR1サブユニット同形体 及び1種もしくは2種のR2サブユニット(“R1+R2”と表記)を存在させなけれ ばならない。このような制限内でレセプターサブユニットの組み合わせを、スク リーニングに用いる活性または選択性の種類に従って選択する。 本発明を最も有効にスクリーニングに用いるためには、それぞれ異なる組み合 わせのサブユニットを保有する複数の細胞系のライブラリーを作製することが好 ましい。典型 的には11種類の細胞系のライブラリーが上記目的に適う。サブユニットの好まし い組み合わせには、R1、R1+R2A、R1+R2B、R1+R2C、R1+R2D、R1+R2A+R2B、 R1+R2A+R2C、R1+R2A+R2D、R1+R2B+R2C、R1+R2B+R2D及びR1+R2C+R2Dが 含まれる。記号“R1”は、NMDA R1サブユニットの報告されている7種の同形体R 1a、R1b、R1c、R1d、R1e、R1f及びR1g(Sugihara等,BBRC 185,p.826,1990) のうちのいずれか1種を表わす。サブユニットの特定の組み合わせの一つにR1a +R2Aが有る。 特定の一具体例において本発明は、R1aサブユニット同形体を含むヒトNMDAレ セプターを発現させ得る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系を提供 する。 別の具体例では本発明は、R1aサブユニット同形体とR2Aサブユニットとの組み 合わせを含むヒトNMDAレセプターを発現させ得る、安定に同時トランスフェクト された真核細胞系を提供する。 先に指摘したように、レセプターサブユニットをコードするcDNAは公知のソー スから取得可能であり、通常、例えばManiatis等の上掲書に述べられているよう な標準的なクローニングベクターに組み込まれた特異的ヌクレオチド配 列として得られる。好ましくは、上記cDNA配列はヒト遺伝子に由来する。しかし 、スクリーニング用にはウシまたはラットDNAといった、他の種に由来するcDNA も適当である。公知のNMDAレセプターサブユニットcDNAソースは次のとおりであ る。 ・R1同形体(ラット): Sugihara等,BBRC 185,p.826,1992 Durand等,PNAS 89,p.9359,1992 Hollmann等,Neuron 10,p.943,1993 ・R2A、R2B、R2C、R2D(ラット): Ishii等,J.Biol.Chem.268,p.2836,1993 ・R2A、R2B,R2C(ラット): Monyer等,Science 256,p.1217,1992 ・Rle(ヒト): Planells-Cases,PNAS 90,p.5057,1993 ・Rla(ヒト): Karp等,J.Biol.Chem.268,p.3728,1993 ・Rla=ζ1、R2A=ε1、R2B=ε2、R2C=ε3(マウス): Kutsuwada等,Nature 358,p.36,1992 更に別の構成において、本発明は組み換え体発現ベクターも提供し、このベク ターはNMDAレセプターサブユニットのヌクレオチド配列を、安定に同時トランス フェクトされた真核細胞の培養物中で前記NMDAレセプターサブユニットの合成を 導き得る付加的な配列と共に含む。 本明細書中に用いた“発現ベクター”という語は、適当な宿主内での組み換え 体DNA配列もしくは遺伝子のクロー ン化コピーの転写、及びそのmRNAの翻訳に必要なDNA配列を意味する。このよう なベクターは、真核生物遺伝子を細菌、藍藻、酵母細胞、昆虫細胞、植物細胞及 び動物細胞などの様々な宿主において発現させるのに用い得る。ベクターに特定 の設計を施せば、DNAを細菌と酵母細胞、植物細胞または動物細胞との間で移動 させることが可能となる。適当に構築された発現ベクターは、宿主細胞内での自 律複製のための複製起点;選択マーカー;限られた数の有用な制限酵素部位;大 コピー数の潜在性;及び強いプロモーターを有するべきである。プロモーターは 、RNAポリメラーゼをDNAに結合させてRNA合成を開始させるDNA配列と定義される 。強いプロモーターとは、mRNAの合成開始を高頻度で惹起するプロモーターのこ とである。発現ベクターには、クローニングベクター、改変クローニングベクタ ー、特定的に設計したプラスミドやウイルスが非限定的に含まれる。 本明細書中に用いた“クローニングベクター”という語は、宿主細胞への異種 DNA断片の導入に用いられる、宿主生物において自律複製可能なDNA分子を意味し 、このDNA分子は普通小型のプラスミドまたはバクテリオファージDNAである。ベ クターDNAに結び付いた異種DNAは、組み換え技 術によって得られる組み換え体DNA分子を構成する。クローニングベクターには プラスミド、バクテリオファージ、ウイルス及びコスミドが含まれ得る。 組み換えNMDAレセプターを哺乳動物細胞において発現させるべく、様々な哺乳 動物由来発現ベクターを用い得る。組み換えNMDAレセプターの発現に適し得る市 販の哺乳動物由来発現ベクターには、pCDNAneo(Invitrogen)、pCDNAI-Amp(In vitrogen)、pCDM8(Invitrogen)、pMSGneo(Proc.Natl.Acad.Sci.USA 89 ,p.6378,1992)、pMC1neo(Stratagene)、pXT1(Stratagene)、pSG5(Stra tagene)、EBO-pSV2-neo(ATCC 37593)、pBPV-1(8-2)(ATCC 37110)、pdBPV -MMTneo(342-12)(ATCC 37224)、pRSVgpt(ATCC37199)、pRSVneo(ATCC 371 98)、pSV2-dhfr(ATCC 37146)、pUCTag(ATCC 37460)及びgZD35(ATCC 37565 )が含まれる。 本発明による組み換え体発現ベクターは、選択したNMDAレセプターサブユニッ トのヌクレオチド配列を適当な前駆体発現ベクター(以後“前駆体ベクター”と 呼称)に、当業者に公知である通常の組み換えDNA法を用いて挿入することによ り作製し得る。前駆体ベクターは市販のものを入手しても、また公知の発現ベク ターから標準的な技術によっ て構築してもよい。前駆体ベクターは選択マーカー、典型的にはネオマイシンま たはアンピシリン耐性遺伝子などの抗生物質耐性遺伝子を適宜有する。前駆体ベ クターは好ましくは、SV40初期スプライシング及びポリアデニル化領域の近傍に 位置するネオマイシン耐性遺伝子;アンピシリン耐性遺伝子;及び複製起点、例 えばpBR322 oriを含む。ベクターはまた、本発明の細胞系において転写が制御可 能であるように、MMTV-LTR(デキサメタゾンで誘導可能)やメタロチオニン遺伝 子(亜鉛で誘導可能)といった誘導性プロモーターも好ましく含む。このように すれば、イオンチャンネルがNMDAレセプターに内在するために、細胞の毒性の問 題が軽減または回避される。 適当な前駆体ベクターの一つに、Clontech Laborato-ries Inc.から入手可能 なpMAMneoが有る(Lee等,Nature 294,p.228,1981;及びSardet等,Cell 56 ,p.271,1989)。あるいはまた、本明細書中の実施例3に述べたように、ベク ターpMSG及びpSV2neoから前駆体ベクターpMSGneoを構築することも可能である。 そこで、上記前駆体ベクターにNMDAレセプターサブユニットcDNAを挿入してク ローニングすることにより、本発 明の組み換え体発現ベクターを作製する。必要なレセプターサブユニットcDNAを 、該cDNAを含むベクターからサブクローン化し、かつ当業者に公知の標準的なク ローニング法、特に本明細書中の実施例3、ステップ(b)に述べたものに類似 の技術によって前駆体ベクター、例えばpMAMneoまたはpMSGneoのポリリンカーの 制限酵素部位に連結する。 本発明の発現ベクターの適当な一例を添付図面の第4図に示す。図中、記号R はNMDAレセプターの、選択されたR1またはR2サブユニットのヌクレオチド配列を 表わしており、図示した発現ベクターのその他の部分は前駆体ベクターpMSGneo に由来し、本明細書中の実施例3、ステップ(a)及び(b)に述べたように構 築されている。 本発明の各細胞系には上記のようなベクターが1個以上必要となる。それらの ベクターのうちの少なくとも1個は、R1サブユニット同形体をコードするcDNA配 列を含む。1種または2種の異なるR2サブユニットをコードするcDNA配列を含む ベクターも用い得る。 次に、所望のように組み合わせた1個以上、典型的には1個、2個または3個 の発現ベクターで細胞を同時トランスフェクトする。真核細胞のin vitroトラン スフェクション に通常用いられる技術は幾つか存在する。最も普通に用いられるのはDNAのリン 酸カルシウム沈澱であり(Bachetti等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,pp.1 590-1594,1977;Maitland等,Cell 14,pp.133-141,1977)、本発明の場合に もこの技術が好ましい。 組み換え体DNAは、低いパーセンテージでしか宿主細胞に取り込まれない。そ れらのごく一部のみの宿主細胞では、前記DNAは宿主細胞染色体に組み込まれる 。前記組み込みの起こった宿主細胞は、ネオマイシン耐性遺伝子を導入されたこ とになるので、ネオマイシンの存在下でも増殖する個々のクローンを単離するこ とにより選択することができる。その後、単離したクローンをそれぞれ試験して 、レセプターを産生するものを同定する。この試験は、例えばデキサメタゾンで 産生を誘導し、その後レセプターの存在を放射性リガンド結合によって検出する ことにより実施する。 更に別の構成において本発明は、安定にトランスフェクトされた真核細胞の培 養物に由来するNMDAレセプターサブユニットの組み合わせ、特にヒトNMDAレセプ ターサブユニットの組み合わせから成るタンパク質調製物を提供する。本発明は また、安定にトランスフェクトされた真核細胞の培 養物に由来するNMDAレセプターのサブユニットの組み合わせ、特にヒトNMDAレセ プターサブユニットの組み合わせを含有する膜調製物も提供する。本発明による タンパク質調製物及び膜調製物は特に、ヒトNMDAレセプターのサブユニットをR1 、R1+R2A、R1+R2B、R1+R2C、R1+R2C、R1+R2A+R2B、R1+R2A+R2C、R1+R2 A+R2D、R1+R2B+R2C、R1+R2B+R2DまたはR1+R2C+R2Dの組み合わせで適宜含 有し、その際記号“R1”はR1サブユニットの、先に挙げた幾つかの同形体のうち のいずれか1種を表わす。サブユニットの好ましい組み合わせは、R1a+R2Aの組 み合わせである。特に好ましい一具体例において、本発明は、安定にトランスフ ェクトされたマウスLtk-線維芽細胞から単離された、R1a+R2Aサブユニットの組 み合わせから成るヒトNMDAレセプターを含有する細胞膜を提供する。 本発明による細胞系及び該細胞系由来の膜調製物は、NMDAレセプターに作用す る薬物のスクリーニング及び設計に有用である。従って本発明は、先に述べた細 胞系、該細胞系に由来する膜調製物、及び本明細書に開示したようにクローン化 したヒトNMDAレセプターの、NMDAレセプターと選択的に相互作用する薬物を得る ためのスクリーニング及 び前記薬物の設計への使用を提供する。これに関連して特に重要であるのは、サ ブユニットの組み合わせを変化させたNMDAレセプターと選択的に相互作用し得る 分子である。直ちに明らかであろうが、本発明による細胞系及び該細胞系に由来 する膜調製物は、様々なNMDAレセプターサブタイプの構造、薬理特性及び機能の 研究にとって理想的な系をもたらす。 本発明は、ヒトNMDAレセプターをコードするmRNA分子の任意の配列と特異的に 結合し、それによって前記mRNA分子の翻訳を阻止し得る配列を有するアンチセン スオリゴヌクレオチドを提供する。このアンチセンスオリゴヌクレオチドは、例 えば第2A図または第3図にその配列を示したcDNA分子の任意の配列と特異的に結 合し得る配列を有し得る。アンチセンスオリゴヌクレオチドの特定例に、ヌクレ オチドの化学類似体を含むアンチセンスオリゴヌクレオチドが有る。 本発明は、ヒトNMDAレセプターをコードするトランスジェニック非ヒト哺乳動 物発現DNAを提供する。本発明はまた、正常なレセプター活性を示せないように 突然変異させた、天然型NMDAレセプターが発現されないトランスジェ ニック非ヒト哺乳動物も提供し、この哺乳動物はそれにもかかわらず、ヒトNMDA レセプターをコードするDNAを発現させ得る。更に本発明は、天然型NMDAレセプ ターをコードするDNAと相補的なアンチセンスDNAを含むゲノムを有するトランス ジェニック非ヒト哺乳動物も提供し、前記アンチセンスDNAは、前記レセプター をコードするmRNAと相補的であり、かつ前記レセプターをコードするmRNAとハイ ブリダイズして、それによりその翻訳を低下させるアンチセンスmRNAに転写され るように配置されている。このDNAは、発現が誘導され得、または特定種類の細 胞に制限され得るように、誘導性プロモーターか、または組織特異的な調節要素 を付加的に含み得る。DNAの例には、例えば第2A図または第3図に示したコーデ ィング配列と実質的に同じコーディング配列を有するDNAまたはcDNA分子が有る 。トランスジェニック動物とは、例えばトランスジェニックマウスである。組織 特異性決定領域の例としては、メタロチオネインプロモーター(Low等,Science 231 ,pp.1002-1004,1986)及びL7プロモーター(Oberdick等,Science 248, pp.223-226,1990)が挙げられる。 本発明を、以下の非限定的実施例によって詳述する。実施例1 ヒトNMDA R1レセプターサブユニットの3種の異なる同形体をコードするcDNAの 単離 1.方法 公表されているラットNMDA R1レセプターサブユニット配列(Moriyoshi等,Na ture(London)354 ,pp.31-37,1991)に由来するオリゴヌクレオチドプライマ ー[O1;5′GAC/CCC/AGG/CTC/AGA/ATT/CCC/TCA/GAC/AAG3′及びO2;5′CAC/CAG/ GAA/GAA/GTC/TGC/CAT/GTT/CTC/A3′]を遺伝子増幅反応(PCR)に用いて、ヒトN MDA R1レセプターサブタイプの推定大型細胞質ループをコードする420bpのcDNA を単離した。この部分PCR cDNAを0.5×106cpm/ml含む[32P]標識プローブとし て用い、ヒト海馬cDNAライブラリーを低ストリンジェンシースクリーニングした (5倍SSPE、5倍Denhardt溶液、0.1% SDS、100μg/mlサケ精子DNA中で55℃ )。推定NMDAレセプターをコードする20個の陽性クローンを単離した。公表され ているNMDA Rleと相同である、長さ0.6kbの最長クローンは、コーディング領域 の5′末端部の約300bpを欠いていた。この消失配列は、截頭NMDA R1eクローン の5′末端部の最後の300ヌクレオチドをコードするEcoRI−Sma I断片で同じヒト海馬cDNAライブラリーをスクリーニングすることによって取 得した。消失配列を含むcDNAクローンを単離及び操作して截頭NMDA R1e cDNAの 内部のSmaI部位に組み込み、それによって完全長のNMDA R1e cDNAを生成させた 。得られた完全長のヒトNMDA R1eクローンは2.8kbのコーディング配列を有し、 この配列の両側に0.05kb及び0.6kbの5′側及び3′側非翻訳領域がそれぞれ位 置する。2.結果 ヒトNMDA R1e cDNAの配列(第2A図)は公表されているラットNMDA R1e cDNAの もの(Sugihara等,BBRC 185,pp.826-832,1992)と相同である(相同率98.6 %)。このNMDA R1eサブユニットのC末端ドメインのアミノ酸配列は、オリジナ ルの、公表されているラットNMDA R1aサブユニットのもの(Moriyoshi等,Natur e(London)354 ,pp.31-37,1991)とは相違する。長さ420bpのPCR断片でスク リーニングしてヒト海馬cDNAライブラリーから単離した20個の陽性クローンの うち、上記以外に2個のクローンがラットNMDA R1eと相同の配列を示したが、こ れらのクローンは公表されているラットNMDA R1a及びNMDA R1d(Sugihara等,BB RC 185 ,pp. 826-832,1992)それぞれのヒト版である。第1図に、ヒトNMDAの3種の同形体R 1a、R1d及びR1eの概略的構造を、オリジナルのNMDA R1(現在はR1aと呼称)との 構造比較に基づいて示す。R1dは、R1a cDNAの2701〜3056番目のヌクレオチド残 基に対応する領域に欠失部(欠失部II;この部分のヌクレオチド配列及び推定ア ミノ酸配列を第2B図に示す)を有する。この欠失によって、R1a配列のアミノ酸 残基900に後続する22アミノ酸のカルボキシル末端配列が新たに生成する。22個 のアミノ酸から成るこの新しい配列のヌクレオチド配列及び推定アミノ酸配列を 第2B図に示す。R1eは別の欠失部(欠失部I;この部分のヌクレオチド配列及び 推定アミノ酸配列を第2B図に示す)も有し、従って欠失部I及びIIの両方の配列 を欠き、その結果R1a配列の863位に新しい22アミノ酸カルボキシル末端配列(第 2B図参照)が連結した構造を持つ。実施例2 ヒトNMDA R2AサブユニットをコードするcDNAの単離 公表されているラットNMDA R2A cDNA配列(Monyer等,Science 256,p.1217 ,1992)に由来するオリゴヌクレオチドプライマーをポリメラーゼ連鎖反応(PC R)に用いて、 N末端及びC末端cDNAプローブを生成させた。(残基Leu16〜Met74をコードする )N末端プローブのためのプライマーは、 5′TGCCGGGAATTCTGGTCTGGCGCGATCCGG3′及び 5′GGGTCAAGCTTTTCATCAATAACGCCAC3′であった。(残基Leu898〜G1n1209をコー ドする)C末端プローブのためのプライマーは、 5′TGCTAAGATTCTTCGGTCAGCTAAAAAC3′及び 5′AATGTGAAGCTTTCTGCCGGTATCGATCAC3′であった。センスオリゴヌクレオチド( 上記各対の第一のオリゴヌクレオチド)はその内部にEcoRI制限酵素部位を有し 、アンチセンスオリゴヌクレオチドの方はその内部にHindIII制限酵素部位を有 した。鋳型としてラット脳cDNAを用いるPCR法を、標準的な技術(例えばWhiting 等,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 87,pp.9966-9970,1990)を用いて実施し、 長さ185塩基及び950塩基のPCR生成物(それぞれN末端cDNAプローブ及びC末端c DNAプローブ)を得た。これらの生成物をpBlue-script Sk-(Stratagene)に挿 入してサブクローン化した。ヒト海馬cDNAライブラリー(Stratagene)を、標準 的な技術(例えばManiatis等,“Molecular Cloning:A LaboratoryManual,”2 nd edition,Cold Spring Harbor Press,New York,1989)を用いて穏和なストリンジェンシー条件(5倍SSPE、5倍Denhardt 溶液、100mg/mlサケ精子DNA、0.1%ドデシル硫酸ナトリウム、30%ホルムアミド 中で42℃)の下にスクリーニングした。幾つかのcDNAクローンを単離し、その特 性を解明した。得られたcDNAはヒトNMDA R2Aレセプターサブユニットのほぼ全体 をコードしたが、コーディング領域のおよそ300番目から900番目までの塩基の配 列を欠いていた。この消失配列はPCRによって獲得した。即ち、ヒトNMDA R2Aレ セプターサブユニットcDNA配列の5′側非翻訳領域に由来するオリゴヌクレオチ ドプライマー(5′CCCCACTGCATCCGGTACCTTCTCGGGCTACA3′)、及びヒトNMDAR2A レセプターサブユニットcDNA配列のコーディング領域である第3図の塩基873〜9 02に由来するオリゴヌクレオチドプライマー(5′AGTCCCAGTCATATGAGACAGAAATGA 3′)を用い、かつ鋳型としてヒト海馬cDNAを用いて5′末端部のcDNA断片を生 成させた。標準的な分子生物学的技術と、PCRで生成させた5′末端部cDNA断片 とを用いて重なり合ったcDNA同士を接合することにより完全長のヒトNMDA R2Aレ セプターサブユニットcDNAを生成させ、その2本の鎖の両方に関しTaqジデオキ シターミネーターサイクル配列決定法(Applied BioSystems)及びApplied BioSystems 373A DNA配列決定装置を用いて配列決定 した。完全なヌクレオチド及び推定アミノ酸配列を第3図に示す。実施例3 R1aトランスフェクト細胞及びR1a+R2Aトランスフェクト細胞の調製 a)真核発現ベクターpMSGneoの構築 ベクターpMSG(Pharmacia Biosystems Limited,Milton Keynes,United King domから市販)のgpt構造遺伝子及びSV40ポリアデニル化シグナルを含む約2500塩 基対のHindIII−EcoRI断片を、pSV2neo(P.J.Southern及びP.J.Berg,Molec ular and Applied Genetics 1 ,pp.327-341,1982)のネオマイシン耐性遺伝子 Neor及びSV40ポリアデニル化シグナルを含む約2800塩基対のHindIII−EcoRI断片 によって置き換えた。次に、EcoRI及びHindIII部位を制限消化、Klenowポリメラ ーゼでのブラント末端形成及び再結合によって取り出した。その後、EcoRI及びH in dIIIクローン化部位をポリリンカーのXhoI及びSmaI部位に、EcoRI及びHindIII リンカーを用いる通常の技術によって挿入した。 b)pMSGneo中へのサブユニットcDNAのクローニング ヒトR1a及びR2A cDNAを、先の実施例1及び2にそれぞれ述べたようにクロー ニングした。ヒトR1aはpBluescript Sk-(Stratagene,San Diego,CA,USA)か ら、SalI及びEcoRIで消化し、かつpMSGneoのSalI及びEcoRI部位に結合させるこ とによってサブクローン化した。ヒトR2AはpBluescript Sk-から、NheI及びXhoI で制限消化し、かつpMSGneoのNheI及びXhoI部位に結合させることによってサブ クローン化した。 c)マウスLtk-細胞の同時トランスフェクション Salk Institute for Biological Studies,San Diego,CaliforniaからLtk-細 胞を入手した。この細胞を、ペニシリン、ストレプトマイシン及び10%ウシ胎児 血清を含有する改変イーグル培地中で5〜8%のCO2の存在下に37℃で増殖させ た。同時トランスフェクションに用いる、NMDAレセプターサブユニットDNAを含 む発現ベクターを標準的な手順(C.Chen及びH.Okayama,BioTechniques 6,pp .632-638,1988)で調製した。同時トランスフェクションのためにLtk-細胞を 、培養皿に植え込んで(約2×105細胞/皿)一晩増殖させた。トランスフェク ションは、キット(5 Prime→3 Prime Products,Westchester,Pennsylvaniaか ら 市販)を用いるリン酸カルシウム沈澱法で実施した。製造者の指示に従い、各サ ブユニットDNA構築物を10cm培養皿1枚の細胞に5μgずつ用いて同時トランス フェクションを行なった。2日間培養後、細胞を、1mg/mlのネオマイシンを含 有する培地[Geneticin(Gibco BRL,Paisley,Scotland,United Kingdomから 入手可能)]に1:8の量で添加した。その1週間後に濃度を1.5mg/mlに高め、 更にその1週間後2mg/mlに高めた。細胞の耐性クローンを単離し、クローニン グシリンダーを用いてサブクローン化した。サブクローンを、放射性リガンド結 合法を用いて分析した。即ち、サブクローンを10cm培養皿内で増殖させ、集密状 態となったところで1μMのデキサメタゾンを含有する培地(Sigma Chemical Co mpany,Poole,Dorset,United Kingdomから入手可能)に移した。R1a+R2A型組 み換えレセプターの発現によって誘発される細胞死を防止するべく、上記培地に はデキサメタゾンに加えて10mMのMgCl2及び100μMのD-AP5(D-2-アミノ−5−ホ スホノバレレート;Tocris-Neuramin,Essex,United Kingdom)も添加した。Mg Cl2及びD-AP5は、NMDAレセプターに対して拮抗物質として作用することが知られ ている物質である(Wong及びKemp,Ann.Rev.Pharmacol. Toxicol.31 ,p.401,1991)。3〜5日後に細胞を回収し、膜を調製してこの 膜を、R1型組み換えレセプターの特性解明にはグリシン部位拮抗物質[3H]-L- 689,560(Amersham International plc,Amersham,United Kingdomが注文に応 じて合成)を用い、R1a+R2A型組み換えレセプターの特性解明にはチャンネル遮 断物質[3H]−ジゾシルピン(New England Nuclear,Du Pont Ltd.,Stevenag e,United Kingdomから入手)を用いる放射性リガンド結合法(下記実施例4、 ステップ(a)参照)に用いた。 [3H]-L-689,560結合が最も多いR1a型組み換えレセプターを有する細胞を 、限界稀釈による単一細胞からのサブクローニングによってサブクローン化した 。このようにして得られた上記細胞のクローン集団を、以後“集団A”と呼称す る。 [3H]−ジゾシルピン結合が最も多いR1a+R2A型組み換えレセプターを有す る細胞を、限界稀釈による単一細胞からのサブクローニングによってサブクロー ン化した。このようにして得られた上記細胞のクローン集団を、以後“集団B” と呼称する。実施例4 R1aトランスフェクト細胞及びR1a+R2Aトランスフェクト細胞の特性解明 a)放射性リガンド結合法 実施例3に述べたように調製したR1a型組み換えNMDAレセプターの性質を、グ リシン部位拮抗物質[3H]-L-689,560を用いてグリシン部位結合の薬理学的特 性を解明することにより確認した。放射性リガンド結合アッセイのために、デキ サメタゾン含有培地中での3〜5日間の培養によって生じた細胞を掻き取ってpH 7.0、温度4℃の5mM Tris酢酸塩(緩衝液1)中に投じ、かつペレット化した(S orvall RC5C遠心機;20,000rpm)。細胞ペレットを緩衝液1中に再懸濁させ、Ul tra-Turraxホモジナイザーを用いてホモジネート化し、その後上記と同様にして ペレット化した。前記操作を再度繰り返した後、細胞をpH7.0、温度4℃の50mM Tris酢酸塩(緩衝液2)中にタンパク質濃度1mg/mlで再懸濁させた。放射性リ ガンド結合は、1nMの[3H]-L-689,560及び100μgのタンパク質を含有する 最終量0.5mlの緩衝液2中で実現させた。氷上で2時間インキュベーション後、 膜を、Brandel細胞回収装置を用いてフィルター上に回収し、かつ低温の緩衝液 2で洗浄し、結合した放射能をシンチレーション計数 によって測定した。10mMのグリシンを収容した平行インキュベーション装置にお いて非特異的結合を測定した。R1a型組み換えレセプターは[3H]-L-689,560 を、3700fmol/mgタンパク質に達するレベルで結合させた。トランスフェクトし なかったLtk-細胞では結合がみられず、この事実によって[3H]-L-689,560は R1型の組み換えNMDAレセプターに結合することが確証された。 実施例3に述べたように調製したR1a+R2A型組み換えNMDAレセプターの性質を 、チャンネル遮断物質[3H]−ジゾシルピンの結合を証明することにより確認 した。放射性リガンド結合アッセイのために、デキサメタゾン、MgCl2及びD-AP5 を含有する培地中での3〜5日間の培養によって生じた細胞を掻き取ってpH7.0 、温度4℃の5mM Tris酢酸塩(緩衝液1)中に投じ、かつペレット化した(Sorv all RC5C遠心機;20,000rpm)。細胞ペレットを緩衝液1中に再懸濁させ、Ultra -Turraxホモジナイザーを用いてホモジネート化し、その後上記と同様にしてペ レット化した。前記操作を再度繰り返した後、細胞をpH7.4、温度25℃の5mM Tri s酢酸塩(緩衝液3)中にタンパク質濃度1mg/mlで再懸濁させた。放射性リガン ド結合は、2nMの[3H]−ジゾシルピン及び100 μgのタンパク質を含有する最終量0.5mlの緩衝液3中で実現させた。30μMの グリシン及び30μMのL−グルタミン酸の存在下に25℃で2時間経過後、膜を緩 衝液1で洗浄し、結合した放射能をシンチレーション計数によって測定した。R1 a+R2A型組み換えレセプターは[3H]−ジゾシルピンを、200fmol/mgタンパク 質に達するレベルで結合させた。トランスフェクトしなかったLtk-細胞では結合 がみられず、この事実によって[3H]−ジゾシルピンはR1a+R2A型組み換えNMD Aレセプターに結合することが確証された。100μMのジゾシルピンを収容した平 行インキュベーション装置において非特異的結合を測定した。R1a+R2A型組み換 えレセプターは[3H]-L-689,560も500fmol/mgタンパク質に達するレベルで結 合させたが、このことは集団Bの細胞にグリシン結合部位が存在することを確証 している。 b)電気生理学的特性 集団Bの細胞が発現させたNMDAレセプターの特性を、全細胞パッチクランプを 用いる電気生理学的技術によって広範に解明した。デキサメタゾンの存在下での 培養によって生じた細胞のみがNMDAへの応答を示した。グリシンが飽和濃度(10 μM)に有る時のグルタミン酸に対する濃度応答の 曲線からは、5.77のlogEC50値と1.1のヒル係数とが得られた。グルタミン酸及び グリシンへの応答は競合的グルタミン酸レセプター拮抗物質CGS 19,755(Resear ch Biochemi-cal International,MA,USA)によって拮抗させた。これらの電気 生理学的データは総て、集団Bの細胞が発現させたR1a+R2A型組み換えNMDAレセ プターが真正のNMDAレセプターに期待される特性を有することを確証している。 【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2621 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:33..2621 配列 配列番号:2 配列の長さ:863 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 配列番号:3 配列の長さ:111 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1..111 配列 配列番号:4 配列の長さ:37 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 配列番号:5 配列の長さ:184 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1..114 配列 配列番号:6 配列の長さ:38 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 配列番号:7 配列の長さ:103 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:1..66 配列 配列番号:8 配列の長さ:21 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 配列番号:9 配列の長さ:4858 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 特徴を表わす記号:CDS 存在位置:47..4441 配列 配列番号:10 配列の長さ:1464 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年1月27日 【補正内容】 【配列表】 配列番号:1 配列の長さ:2621 配列の型:核酸 鎖の数:一本鎖 トポロジー:直鎖状 配列の種類:cDNA 配列の特徴 配列番号:2 配列の長さ:863 配列の型:アミノ酸 トポロジー:直鎖状 配列の種類:タンパク質 配列 【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年10月27日 【補正内容】請求の範囲 1.少なくとも1種のR1サブユニット同形体を含むか、または少なくとも1種の R1サブユニット同形体と1種もしくは2種のR2サブユニットとを含むNMDAレセプ ターを発現させ得る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系。 2.発現させるレセプターがヒトNMDAレセプターであることを特徴とする請求項 1に記載の細胞系。 3 R1aサブユニット同形体を含むヒトNMDAレセプターを発現させ得る、安定に 同時トランスフェクトされた真核細胞系。 4.R1a+R2Aサブユニットの組み合わせを含むヒトNMDAレセプターを発現させ得 る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系。 5.NMDAレセプターを発現させ得る真核細胞系を調製する方法であって、真核宿 主細胞を1個以上の発現ベクターで安定に同時トランスフェクトすることを含み 、前記ベクターのうち少なくとも1個はNMDA R1レセプターサブユニット同形体 をコードするcDNA配列を含み、その他の任意のベクターは1種または2種の異な るNMDA R2レセプターサブユニットをコードするcDNA配列を含む方法。 6.用いる真核宿主細胞を齧歯類線維芽細胞とすることを特徴とする請求項5に 記載の方法。 7.添付図面の第2B図に示した、配列番号1+3+5の配列を含む、ヒトNMDA R 1レセプターサブタイプのR1aサブユニット同形体をコードする単離されたDNA分 子。 8.添付図面の第2B図に示した、配列番号1+3+7の配列を含む、ヒトNMDA R 1レセプターサブタイプのR1dサブユニット同形体をコードする単離されたDNA 分子。 9.添付図面の第2A図に示した、配列番号1+7の配列を含む、ヒトNMDA R1レ セプターサブタイプのR1eサブユニット同形体をコードする単離されたDNA分子。 10.添付図面の第3図に示した、配列番号9の配列を含む、ヒトNMDAレセプター のR2Aサブユニットをコードする単離されたDNA分子。 11.NMDAレセプターサブユニットのヌクレオチド配列を、安定に同時トランスフ ェクトされた真核細胞の培養物中で前記NMDAレセプターサブユニットの合成を導 き得る付加的な配列と共に含む組み換え体発現ベクター。 12.請求項1に記載の安定に同時トランスフェクトされた真核細胞の培養物に由 来するNMDAレセプターサブユニット の組み合わせから成るタンパク質調製物。 13.請求項1に記載の安定に同時トランスフェクトされた真核細胞の培養物に由 来するNMDAレセプターのサブユニットの組み合わせを含有する膜調製物。 14.前記培養物由来のサブユニットの組み合わせがヒトNMDAレセプターサブユニ ットの組み合わせであることを特徴とする請求項12または13に記載の調製物。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/02 C 9282−4B // A61K 38/00 AAM (C12P 21/02 C12R 1:91) 9455−4C A61K 37/02 AAM (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT),AU,CA,JP,US (72)発明者 マイアーズ,ジヤニス・アン イギリス国、エセツクス・イー・4・9・ エヌ・エツクス、チングフオード、ハイア ムズ・パーク、ビーチ・ホール・ロード・ 66 (72)発明者 ホワイテイング,ポール・ジヨン イギリス国、エセツクス・シー・エム・ 24・8・エイチ・ワイ、スタンステツド・ マウントフイチエツト、ベントフイール ド・グリーン、テイス・バーン(番地な し)

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.少なくとも1種のR1サブユニット同形体、または少なくとも1種のR1サブユ ニット同形体及び1種もしくは2種のR2サブユニットを含むNMDAレセプターを発 現させ得る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系。 2.発現させるレセプターがヒトNMDAレセプターであることを特徴とする請求項 1に記載の細胞系。 3.R1aサブユニット同形体を含むヒトNMDAレセプターを発現させ得る、安定に 同時トランスフェクトされた真核細胞系。 4.R1a+R2Aサブユニットの組み合わせを含むヒトNMDAレセプターを発現させ得 る、安定に同時トランスフェクトされた真核細胞系。 5.NMDAレセプターを発現させ得る真核細胞系を調製する方法であって、真核宿 主細胞を1個以上の発現ベクターで安定に同時トランスフェクトすることを含み 、前記ベクターのうち少なくとも1個はNMDA R1レセプターサブユニット同形体 をコードするcDNA配列を含み、その他の任意のベクターは1種または2種のNMDA R2レセプターサブユニットをコードするcDNA配列を含むことを特徴とする方法 。 6.用いる真核宿主細胞を齧歯類線維芽細胞とすることを特徴とする請求項5に 記載の方法。 7.添付図面の第2B図に示した配列、配列番号1+3+5の配列、または修飾さ れたヒトの配列を実質的に含む、ヒトNMDA R1レセプターサブタイプのR1aサブユ ニット同形体をコードするDNA分子。 8.添付図面の第2B図に示した配列、配列番号1+3+7の配列、または修飾さ れたヒトの配列を実質的に含む、ヒトNMDA R1レセプターサブタイプのR1dサブユ ニット同形体をコードするDNA分子。 9.添付図面の第2A図に示した配列、配列番号1+7の配列、または修飾された ヒトの配列を実質的に含む、ヒトNMDA R1レセプターサブタイプのR1eサブユニッ ト同形体をコードするDNA分子。 10.添付図面の第3図に示した配列、配列番号9の配列、または修飾されたヒト の配列を実質的に含む、ヒトNMDAレセプターのR2AサブユニットをコードするDNA 分子。 11.NMDAレセプターサブユニットのヌクレオチド配列を、安定に同時トランスフ ェクトされた真核細胞の培養物中で前記NMDAレセプターサブユニットの合成を導 き得る付加的 な配列と共に含む組み換え体発現ベクター。 12.安定に同時トランスフェクトされた真核細胞の培養物に由来するNMDAレセプ ターサブユニットの組み合わせから成るタンパク質調製物。 13.安定に同時トランスフェクトされた真核細胞の培養物に由来するNMDAレセプ ターのサブユニットの組み合わせを含有する膜調製物。 14.前記培養物由来のサブユニットの組み合わせがヒトNMDAレセプターサブユニ ットの組み合わせであることを特徴とする請求項12または13に記載の調製物。 15.安定に同時トランスフェクトされたマウスLtk-線維芽細胞から単離されたヒ トR1aサブユニット同形体を含むヒトNMDAレセプターを含有することを特徴とす る請求項14に記載の調製物。 16.安定に同時トランスフエクトされたマウスLtk-線維芽細胞から単離された、 R1a+R2Aサブユニットの組み合わせを含むヒトNMDAレセプターを含有することを 特徴とする請求項14に記載の調製物。 17.NMDAレセプターに作用する薬物を得るためのスクリーニング及び前記薬物の 設計への、請求項1から4のいずれか 1項に記載の細胞系並びに該細胞系由来のタンパク質調製物及び膜調製物の使用 。
JP6511856A 1992-11-12 1993-11-11 ヒトNMDA−R2Aレセプターサブユニット及びヒトNMDA−R1レセプターサブユニット同形体をコードするcDNA、並びにそれを発現させるトランスフェクト細胞系 Pending JPH08503362A (ja)

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