JPH10503091A - アセチルコリン作動性イオンチャネル受容体サブユニットのクローニングと発現 - Google Patents

アセチルコリン作動性イオンチャネル受容体サブユニットのクローニングと発現

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JPH10503091A
JPH10503091A JP8505839A JP50583996A JPH10503091A JP H10503091 A JPH10503091 A JP H10503091A JP 8505839 A JP8505839 A JP 8505839A JP 50583996 A JP50583996 A JP 50583996A JP H10503091 A JPH10503091 A JP H10503091A
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ベレン エルゴイヘン,アナ
エス. ジョンソン,デビッド
リチャード ボールター,ジェームズ
フォックス ハイネマン,スチーブン
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ザ ソールク インスチチュート フォア バイオロジカル スタディズ
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットをコードする単離された核酸、およびこれにコードされる受容体サブユニットタンパク質を提供する。また、本発明の核酸を含有するベクター、これで形質転換される宿主細胞、アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニット、および本発明の受容体サブユニットおよびその突然変異体を発現する宿主細胞ならびにトランスジェニック非ヒト哺乳動物中で組換え発現される少なくとも1つのアルファ9サブユニットよりなる機能性ニコチン性アセチルコリン受容体が提供される。本発明の受容体は、少なくとも1つのアルファ9ニコチン性アセチルコリンサブユニットよりなり、アセチルコリンに活性化されるが、ニコチンとムスカリンにより阻止される陽イオン性受容体チャネルを形成する。本発明はまた、少なくとも1つの本発明のサブユニットを含有する、機能的な本発明の受容体のイオンチャネル活性を調節する化合物の同定方法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】 アセチルコリン作動性イオンチャネル受容体サブユニットのクローニングと発現 発明の背景 細胞間コミュニケーションは、多細胞系の機能にとって必須である。脳、内分 泌系、腸神経系および神経筋接合内の情報伝達のメディエーターとしてのイオン チャネルタンパク質は、細胞膜を通過する電圧変化を生成するイオン流量(ion flux)を調節し、同時に生理的シグナル(例えば、リガンド濃度や経膜的電圧の 変化)のセンサーとしても作用する。リガンド作動性イオンチャネル(ligand-g ated ion channels)は、中枢神経系の細胞間の迅速な対話を可能にし、1つの 細胞から放出される化学的神経伝達物質シグナルを標的細胞の細胞膜に沿って伝 搬する電気シグナルに変換する。リガンド作動性イオンチャネルは、成分サブユ ニットが関連遺伝子にコードされるマルチマータンパク質複合体である。 現在多くのファミリーのリガンド作動性受容体が同定され、配列の同一性に基 づいて性状解析されている。陽イオン性チャネルを形成するものには、例えば興 奮性ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChRs)、興奮性グルタミン酸活 性化受容体、5−HT3セロトニン受容体、ATP受容体および筋形質リアノジ ン(ryanodine)受容体がある。陰イオン性チャネルを形成するものには、例え ば阻害性GABAおよびグリシン活性化受容体がある。 神経伝達物質アセチルコリン(ACh)は、薬理学的に異なる2つのタイプの 受容体を活性化する:リガンド作動性イオンチャネルスーパーファミリーのニコ チン性アセチルコリン受容体(nAChR)と、G−タンパク質結合受容体スー パーファミリーのムスカリン性アセチルコリン受容体(mAChR)(テーラー 、エー・グッドマン−ギルマン、ティー・エィチ・ラル、エー・エス・ニーズお よびピー・テーラー(Taylor,A.Goodman-Gilman,T.H.Rall,A.S.Nies and P.Taylor)編(ニューヨーク:パーガモン・プレス(Pergamon Press))、pp .166−186,1990);(テーラー、エー・グッドマン−ギルマン、テ ィー・エィチ・ラル、エー・エス・ニーズおよびピー・テーラー(Taylor,A. Goodman-Gilman,T.H.Rall,A.S.Nies and P.Taylor)編(ニューヨーク:パ ーガモン・プレス(Pergamon Press))、pp.122−149,1990)。 多くの病理および症状がnAChRに関係がある(例えば、重症筋無力症、精神 分裂病、アルツハイマー病、トウーレット病およびニコチン中毒)。生化学的お よび電気生理的データは、ニコチン性およびムスカリン性受容体は、機能的に異 なるものであることを証明している(ボナー(Bonner)ら、Science,2 37,527−532,1987)。nAChRは、原形質膜を4回またがる関 連するタンパク質サブユニットよりなる5量体であり、mAChRは、原形質膜 を7回またがると考えられている単一のポリペプチド鎖により形成される。 5つのサブユニットよりなる糖タンパク質であるニコチン性アセチルコリン受 容体は、アセチルコリンの結合を陽イオン性チャネルに伝達する。5つの受容体 サブユニットは、中央のチャネルの周りに擬対象性の環を形成する。ニューロン のニコチン性AChR(NnAChR)は、多くの中枢および抹消シナプスでの 神経伝達を仲介し、10個の異なるニューロン遺伝子にコードされる2つのタイ プのサブユニット(アルファとベータ)よりなる。卵母細胞中のサブユニットR NAの特定の組合せが発現すると、生物物理的に異なるチャネルが得られる(こ れらのチャネルは、そのチャネルを調節するリガンドに基づき薬理学的に区別さ れる)。 組換えDNA技術により、脊椎動物の筋肉のnAChRサブユニットであるア ルファ1、ベータ1、ガンマ、デルタ、およびイプシロン、ならびにニューロン のサブユニットであるアルファ2、アルファ3、アルファ4、アルファ5、アル ファ6、アルファ7、アルファ8、ベータ2、ベータ3、およびベータ4(ラッ トの命名法)の同定が可能になった。これらのサブユニットの種々の組合せによ り、AChとニコチンに活性化される機能性組換え受容体チャネル複合体が得ら れる。神経筋接合部のnAChRは、(αl)2βlγδ化学量論を有すると考 えられている(ガルジ(Galzi)ら、Annu.Rev.Pharmacol., 31,37−72,1991)。これに対して、ニューロンnAChRサブユニ ットのアルファ2、アルファ3、およびアルファ4は、ベータ2またはベータ4 と協同して機能性nAChRに集合させる(ボウルター(Boulter)ら、 Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7763−7767, 1987;バリベット(Ballivet)ら、Neuron,1,847−852,1 988;ワダ(Wada)ら、Science,240,330−334,1988 ;デネリス(Deneris)ら、Neuron,1,45−54,1988;ヅボイ ジン(Duvoision)ら、Neuron,3,487−496,1989;クツリ エ(Couturier)ら、J.Biol.Chem.265,17560−1756 7,1990)が、ニューロンのアルファ7およびアルファ8サブユニットは、 他のサブユニットの非存在下で機能性nAChRを形成することができる(クツ リエ(Couturier)ら、J.Biol.Chem.265,17560−175 67,1990;セグエラ(Seguela)ら、J.Neurosci,13,59 6−604,1993;ゲルザニッチ(Gerzanich)ら、Molec.Phar macol.,45,212−220,1994)。 10個の異なるニコチン性アセチルコリンサブユニット遺伝子が存在するため 、機能性受容体を生成するサブユニットの多くの組合せが可能である。すでにク ローン化された遺伝子から調製することができるサブユニットの多くの組合せに もかかわらず、未変性のnAChRの性質は、必ずしも組換え受容体の性質と一 致しない(サージェント(Sargent)、Annu.Rev.Neurosci. ,16,403−443,1993)。例えば、ウシのクロム親和性細胞、ラッ ト中のコリン作動性受容体やヒヨコの蝸牛有毛細胞中のコリン作動性受容体は、 既知のサブユニットのいかなる組合せにも一致しない薬理学的プロフィールを示 し(シルバン(Shirvan)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA .,88,4860−4864,1991:ホウスレイ(Housley)ら、Pro c.R.Soc.Lond.B,244,161−167,1991;フックス (Fuchs)ら、Proc.R.Soc.Lond.B,248,35−40,1 992;エロステグイ(Erostegui)ら、Hearing Res.,74,1 35−147,1994)、従って別のまだ同定されていないサブユニットの存 在を示唆している。 従って、ニコチン性アセチルコリン受容体スーパーファミリーの別のメンバー を同定し、そのようなnAChRサブユニットおよびそこから構築される機能性 受容体を性状解析するニーズがあり、これには機能性受容体の産生における種々 のサブユニットの構築(すなわち、リガンド結合部位およびリガンド作動性経膜 的チャネルを含有するサブユニット構築)の本質を解明し、サブユニット構築体 の構造と対応する受容体の薬理学的プロフィールの間の関係を解明することが含 まれる。本発明は、これらのニーズを満足し、同時に関連する利点を与える。 発明の要約 本発明は、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブユニットをコ ードする単離された核酸、これにコードされる単離された受容体サブユニット、 ならびに組換え発現したアルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体(nACh R)を提供する。さらに、そのような核酸を含有するベクターとプローブ、その ような核酸で形質転換された宿主細胞、アンチセンスオリゴヌクレオチドおよび そのようなオリゴヌクレオチドを含有する組成物、本発明の受容体に特異的に結 合する抗体、およびそのような抗体を含有する組成物、ならびにトランスジェニ ック非ヒト哺乳動物が、提供される。 本発明のアルファ9nAChRサブユニットは、アセチルコリンに活性化され る陽イオン(カルシウムを含む)に透過性の陽イオン性受容体チャネル複合体を 形成する。本発明の機能性アルファ9nACh受容体は、ホモマー受容体として 発現(すなわち、1つのタイプのサブユニットのみが機能に必要である)される か、または本発明の受容体は、機能性受容体を形成するのに2つ以上のタイプの サブユニットが必要であるヘテロマー受容体として発現される。さらに本発明は 本発明の受容体の活性、そのような受容体をコードする核酸の活性を調節する化 合物の同定方法を提供する。 図面の簡単な説明 図1は、アルファ9nAChRサブユニットをコードするcDNAクローンの ヌクレオチド配列とアミノ酸配列を示す。アミノ酸配列は、ヌクレオチド配列の 下に示す。シグナルペプチドの切断は、アミノ酸1位で起きることが予測される (フォン−ヘイネ(Von-Heijne)、Nucl.Acid.Res.,14,46 83−4691,1986)。シグナルペプチドをコードするアミノ酸に、負の 数を割り当てた。ヌクレオチドは5’から3’の方向に、成熟タンパク質の推定 N−末端残基のコドンの最初のヌクレオチドから開始して、番号を付けた。アミ ノ酸残基1の5’側のヌクレオチドは、負の数で示す。矢尻は、ゲノム配列決定 により決定されたイントロンの位置を示す。膜にまたがる領域には下線を引いて ある。図1に示す配列情報はまた、配列番号1と2にパテントイン(Patentin) フォーマットで記載してある。 図2Aは、アルファ9サブユニット遺伝子の制限酵素地図を示し、図2Bは、 アルファ9サブユニット遺伝子の全コード配列にまたがる重複ゲノムクローンで あるM6とMNANOの部分的制限酵素地図を示す。NcoIとNheI制限部 位はpMNANO中でマッピングされておらず、SacI制限部位はpM6中で マッピングされていない。 図3は、既知のnAChRアルファサブユニットのアミノ酸配列を並べたもの である。ヒヨコのサブユニットであるアルファ8以外のすべての配列は、ラット のサブユニットに相当する。すべての配列で同じ残基は、黒い背景に白文字で示 してある。相同性を最大にするために、スペースを入れてある。予測されるシグ ナルペプチドと膜をまたぐ可能性のある4つの領域を示してある。星印は、すべ てのnAChRアルファサブユニットで保存されているシステイン残基127、 141、191、および192(成熟ペプチドのアルファ9の番号付け、シグナ ルペプチドよりなる28アミノ酸残基が欠如している)を示す。 図4Aと4Bは、アルファ9を注入した卵母細胞のコリン作動性アゴニストに 対する電気生理的応答を示す。図4Aは、アルファ9cDNAを注入し電圧クラ ンプで−50mVに維持した卵母細胞において、ACh、ニコチン、ムスカリン 、1,1−ジメチル−4−フェニルピペラジニウム(DMPP)、およびオキソ トレモリン−M(OXO−M)により、誘発された電流応答を示す。 図4Bは、ACh、DMPPおよびOXO−Mに対する濃度−応答曲線を示す 。示した値は、1つの薬剤について少なくとも4つの卵母細胞で得られたピーク 電流値の平均と平均の標準誤差である。標準誤差が記号より小さい場合は、誤差 棒は示していない。各細胞の応答は、AChにより誘発された最大電流に対して 標準化した。ACh濃度−応答曲線にヒル(Hill)式(EC50=9.7μM;傾 き=1.3)を当てはめた。 図5Aと5Bは、種々のアンタゴニストによるアルファ9注入卵母細胞中のA Ch応答の遮断を示す。阻害曲線は、10μMのAChと、増加する濃度の(− )ニコチンもしくは(+)ムスカリン(図5A参照)およびストリキニーネ、d −ツボクラリン(d−TC)もしくはアトロピン(図5B参照)のいずれかを同 時添加して得られた。応答は、10μMのAChに誘発される対照電流のパーセ ント(%)で表した。1つの薬剤について少なくとも4つの卵母細胞で得られた ピーク電流値の平均と平均の標準誤差が示してある。標準誤差が記号より小さい 場合は、誤差棒は示していない。 図6は、α−およびκ−ブンガロトキシンに対するアルファ9注入卵母細胞中 の、AChで誘発した電流の感度を示す。−50mVの保持電圧で記録した10 0μMのAChに対する代表的電流応答を示す。卵母細胞をα−ブンガロトキシ ン(α−BTX、A)またはκ−ブンガロトキシン(κ−BTX、B)で30分 プレインキュベート後、AChの第2の試験濃度を添加した。 図7A〜7Cは、アルファ9注入卵母細胞中のACh誘発電流の電圧依存性と 、組換えアルファ9受容体のCa2+透過性を示す。図7Aにおいて、アルファ9 注入卵母細胞中のACh誘発電流の電圧−電流関係は、電流応答のプラトー期に 電圧ランプ(2秒継続、+50mV〜−120mV)を適用して測定した。トレ ースは、4つの異なる卵母細胞で得られたものの代表である。 図7Bは、20mMの1,2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N ,N1,N1−四酢酸(BAPTA)50nlの注入の前後の、アルファ9注入卵 母細胞の100μMのAChで誘発した代表的電流のトレースを示す。 図7Cは、350mMNaCl含有リンゲル液に浸けて電圧クランプで−10 mVに保持したアルファ9注入卵母細胞中の、AChで誘発した電流を示す。 図8は、ラット蝸牛におけるアルファ9転写体の検出を示す。増幅反応は、鋳 型として総RNAから転写したcDNAとアルファ9特異的プライマーを用いて 、例6に記載のように行なった。増幅産物の分離は、1.5%アガロースゲルで 行い臭化エチジウムで染色した。各反応混合物の10μM分を、各レーンにのせ た。レーン1、DNAラダー(ladder);レーン2、DNA鋳型無し;レーン3 、嗅上皮cDNAからの増幅産物;レーン4、嗅上皮cDNAからの増幅産物; レー ン5、座骨神経cDNAからの増幅産物。 図9A〜9Fは、ラット胚の矢状断面と成体脳の冠状断面のin situ ハイブリダイゼーション、およびアルファ9の同定と転写体の局在の結果を示す 。図9Aと9Bは、ラット胚のステージE16の下垂体、嗅上皮、胸骨舌骨筋お よび舌における、アルファ9転写体の存在を示す。図9Cと9Dは、ステージE 16におけるラット胚の下垂体の高倍率画面であり、アルファ9転写体が、神経 部の前葉ではなく隆起部に局在化している。図9Eと9Fは、成体ラットの脳の 下垂体隆起部におけるアルファ9転写体の存在を示す。 発明の詳細な説明 分子クローニング研究により、ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR )の構造および機能的多様性が証明された。現在まで、脊椎動物の神経系に7つ のアルファサブユニット(アルファ2〜アルファ8)と3つのベータサブユニッ ト(ベータ2〜ベータ4)が性状解析されている。本発明は、神経伝達物質アセ チルコリン(ACh)により活性化されるこのファミリーの受容体サブユニット 遺伝子の新しいメンバーの同定と機能的性状解析を示す。この新しいメンバーは 、アルファ9と呼ばれる。アルファ9の分子構造は、これがメタボトロピック( ムスカリン性)ACh受容体ファミリーよりもイオノトロピック(ニコチン性) ACh受容体ファミリーに属することを示す。しかし、組換えアルファ9受容体 の混合ニコチン性−ムスカリン性の性質は、すべての既知の機能性ニコチン性受 容体の薬理学的プロフィールとは異なる。 本発明の新規なnAChRサブユニット遺伝子の単離と同定は、ラットnAC hRアルファ7サブユニットcDNAをプローブとして用いて、ラットゲノムラ イブラリーをスクリーニングすることにより行われた。DNA配列解析により、 1つの単離されたゲノムクローンがタンパク質をコードし、大部分のアミノ酸配 列はリガンド作動性イオンチャネル遺伝子スーパーファミリーのメンバーである ことが明らかにされた。既知のサブユニットとの相同性から、これはGABAA 、グリシンまたは5−HT3受容体サブユニットよりnAChRサブユニットに 、より関連していた。細胞外ドメイン中の保存された連続システイン残基の存在 (これは、すべてのnAChRアルファサブユニットの証明であり、アセチルコ リン結合ドメインの一部であると考えられている(ポポトとチャング(popot an d Changeux)、Physiol.Rev.64,1162−1193,1984 ))は、この遺伝子がnAChRアルファサブユニットをコードすると示唆して いた。従って、現在の命名法に従って、この新しく発見されたサブユニットは、 nAChR遺伝子ファミリーのアルファ9サブユニットと命名された。 単離されたゲノムクローンから得られたポリメラーゼチェイン反応(PCR) 断片を使用して、ラット嗅上皮cDNAライブラリーをスクリーニングした。4 つの独立したcDNAクローンを単離し、その1つはアルファ9サブユニットの 読みとり枠をコードする1937塩基対挿入体を含有した。そのヌクレオチドと 推定アミノ酸配列を図1に示す(および、パテントイン(Patentin)フォーマッ トで配列番号1と2に示す)。全長アルファ9cDNAは、451アミノ酸残基 の成熟タンパク質をコードし、前に28残基のリーダー配列がある。これは、n AChR遺伝子ファミリーの他のメンバーの特徴を有する(膜にまたがる可能性 のある領域を予測する4つの疎水性領域、MSRI〜IV(カイトとドリトル(Ky te and Doolitle)、J.Mol.Biol.,157,105−132,19 82)、すべてのnAChRアルファサブユニットに存在する127、141、 191および192位のシステイン残基(成熟ペプチドのアルファ9の番号付け 、シグナルペプチドよりなる28アミノ酸残基が欠如している)を含む)。 全長アルファ9cDNAをプローブとして用いて、ファージベクターラムダD ASH IIとラムダFIX II中で作成したマウスゲノムライブラリーをスクリ ーニングした。2つの重複するゲノムクローンを得た(図2参照)。アルファ9 サブユニット遺伝子の全コード配列にまたがるこれらのクローンを、プラスミド ベクター中にクローン化し、アルファ9サブユニット遺伝子構造を、イントロン −エキソン境界の配列決定により決定した。この遺伝子は、5つのエキソンから 構成され、すべての既知のnAChR遺伝子とは異なるイントロン−エキソン構 造を有する(ノダ(Noda)ら、Nature,305,818−823,198 3;ネフ(Nef)ら、EMBO J.,7,595−601,1988;ワダ(W ada)ら、Science,240,330−334,1988;ブオナンノ(B uonanno)ら、J.Biol.Chem.264,7611−7616,19 89;ボウルター(Boulter)ら、J.Biol.Chem.265,4472 −4482,1990)。例えば、最初の4つのエキソンのイントロン−エキソ ン境界が保存されている他のnAChRサブユニット遺伝子に対して、アルファ 9遺伝子のエキソンIIIとIVは融合している。 アルファ9cDNAクローンを配列決定し、その配列を他のnAChRアルフ ァサブユニットの配列と比較した(図3参照)。配列の類似性に基づき、アルフ ァ9サブユニットは、nAChRサブユニット遺伝子ファミリーの遠いメンバー のようである。これは、ニューロン性アルファ2〜アルファ6(36〜39%ア ミノ酸配列同一性)サブファミリーまたは筋肉のアルファサブユニット(37% )から遠いのと同様に、ニューロン性アルファ7〜アルファ8サブファミリー( 38%)からは遠い。アルファ9は、ファミリーの他のメンバーと最も高度に保 存された配列成分を共有するが、いくつかのアミノ酸残基は、他のアルファサブ ユニット中の不変体中に存在するものとは異なる。例えば、保存された疎水性残 基Phe−99とVal−230(成熟ペプチドのアルファ9の番号付け、シグ ナルペプチドよりなる28アミノ酸残基が欠如している)は、アルファ9タンパ ク質の極性残基Ser−99とSer−230に変化しており、保存された陽性 荷電の残基Lys−144は非荷電残基Thr−144により置換されている。 MSR II中に存在する疎水性残基Leu−255(アルファ1〜アルファ6サ ブユニット)またはMet−255(アルファ7〜アルファ8サブユニット)は 、アルファ9サブユニット中の極性アミノ酸Gln−255により置換されてい る。さらに、他のnAChRサブユニットと比較すると、アルファ9はMSR IIとMSR IIIの間のThr残基の欠失を有する。 ツノガエル(Xenopus)卵母細胞の発現研究に適した全長アルファ9cDNA は、ヌクレオチド−94〜1766(図1;すなわち、配列番号1に示す残基7 9〜1938)から、発現ベクターpGEMHE(リマン(Liman)ら、Neu ron,9,861−871,1992)中にサブクローニングして作成した。 cDNAは、メサージ・マシーン(mMessage mMachine)転写キットを用いて、N heIで線状化したプラスミドで合成した。 アルファ9cRNAの注入の2日後、95%以上の電圧クランプしたツノガエ ル(Xenopus)卵母細胞がアセチルコリンに応答した。100μMのアセチルコ リンに応答する内部電流は、20〜500nAの範囲であった。図4Aは、アセ チルコリン添加に応答した代表的電流トレースを示す。このアゴニストの高濃度 (>10μM)は、急速なピーク応答を誘発し、これは急速にプラトーレベルに 崩壊した。アルファ9を発現する卵母細胞は、グルタミン酸、GABA、グリシ ン、セロトニン、ATP、ヒスタミン、およびアデノシンに対して非感受性であ った。 アルファ9サブユニットのクローニングの前にクローン化したすべての機能性 nAChRアルファサブユニットは、ツノガエル(Xenopus)卵母細胞中での発 現時に、ニコチンに活性化されるヘテロマーまたはホモマー性の受容体チャネル 複合体を形成する(ボウルター(Boulter)ら、Proc.Natl.Acad .Sci.USA,84,7763−7767,1987;ズボイジン(Duvoisi n)ら、Neuron,3,487−496、1989;クツリエ(Couturier) ら、Neuron,5,847−856,1990;ルエジとパトリック(Luet je and patrick)、J.Neurosci.11,837−845,1991; セグエラ(Seguela)ら、J.Neurosci.,13,596−604,1 993;ゲルザニッチ(Gerzanich)ら、Molec.Pharmacol., 45,212−220,1994)。驚くべきことにニコチン(0.1μM〜1 mM)は、アルファ9を注入した卵母細胞中でいかなる応答も誘発しなかった( 図4A)。ベクター2またはベクター4nAChRサブユニットとともにアルフ ァ9を同時発現しても、ニコチンに活性化される受容体チャネルは形成されなか った。アルファ9受容体チャネル複合体はまた、ムスカリンにより活性化されな かった(図4A)。さらに、ニコチン性アゴニストのシトシンもムスカリン性ア ゴニストのベタネコル(bethanecol)およびプロカルピン(pilocarpine)も、 電流応答を誘発しなかった。しかし、ニコチン性アゴニスト1,1−ジメチル− 4−フェニルピペラジニウム(DMPP)、およびムスカリン性M1アゴニスト であるオキソトレモリン−M(OXO−M)ともに、アルファ9注入卵母細胞で 内部電流を誘発した(図4A)。図4Bは、これらのコリン作動性アゴニストに 対する濃度応答曲線を示す。アセチルコリンの見かけの親和性(EC50)は、1 0μMであった。DMPPとOXO−Mにより誘発された最大電流応答は、アセ チルコリンで観察されたものの約5%であった。 ニコチンもムスカリンも、アルファ9cRNAを注入した卵母細胞で応答を誘 発しなかった(図4A参照)が、いずれの古典的コリン作動性アゴニストも、ア セチルコリンに誘発される電流を低下させた。図5Aは、10μMのアセチルコ リンと増加する濃度のニコチンもしくはムスカリン(それぞれ、IC50=30μ Mと75μM)の同時添加により得られる阻害曲線を示す。図5Bに示すように 、アルファ9受容体チャネル複合体はまた、ニコチン性アンタゴニストであるd −ツボクラリン(IC50=0.3μM)、ならびにムスカリン性アンタゴニスト であるアトロピン(IC50=1.3μM)により阻止された。アルカロイドのス トリキニーネ(グリシン作動性クロリドチャネルのブロッカーとして古典的に使 用されている)は、IC50が0.02μMのアルファ9ホモマーの強力なアンタ ゴニストであることがわかった(図5B)。α−ブンガロトキシン(100nM )とκ−ブンガロトキシン(100nM)は、100μMアセチルコリンに対す る応答を阻止した(図6)。これらのトキシンによる阻止は、カエルのリンゲル 溶液で卵母細胞を10分間洗浄することによりほぼ完全に逆転した。 電気生理的性質は、アルファ9注入卵母細胞で注入後2〜7日目に測定した。 アセチルコリンのプラトー応答で2秒の電圧ランプの適用で得られた電流−電圧 (I−V)関係は、図7Aに示す。I−V曲線は非線形であり、−50mVでア セチルコリンにより誘発される最大の内部電流を示した。電流応答はマイナス〜 −50mVの電圧で低下した。100μMのアセチルコリンで誘発される内部電 流と1μMのアセチルコリンで誘発される内部電流との比は、−80mV(1. 0)より−50mV(2.1)で大きかったという事実は、過分極電位での電流 応答の低下は、アゴニスト濃度に依存するかも知れないことを示している。−5 0mVより陽性の保持電流において、アセチルコリンに活性化される内部電流は −25mVまで低下し、そこで+20mVの保持電流までの強い整流作用が観察 された。保持電流を段階的に増加させた時に得られるピークとプラトー応答のI −V曲線は、図7Aに示すものと同じ形を示した。 このI−V関係から、見かけの逆電流−25mVが予測された。この値は、非 選択的陽イオン性電流または陰イオン性(Cl-)電流と一致する。50mMか ら150mMへの外部NaCl濃度の変化は、アセチルコリン誘発電流の逆電位 を陽性にシフトさせた。これは、アルファ9チャネルが、Na+に対して透過性 であることを示している。アルファ9発現卵母細胞中の100mMアセチルコリ ンに誘発されるピーク応答のほとんどは、卵母細胞にカルシウムキレート剤であ る1、2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N1,N1−四酢酸( BAPTA)を注入した時消失した(図7B)。すなわち、他のnAChRサブ ユニットで示唆されているように(ゲルザニッチ(Gerzanich)ら、Molec .Pharmacol.,45,212−220,1994)、この結果は、ア セチルコリンに誘発される電流の一部は、卵母細胞中に存在することが知られて いるCl-電流からCa2+活性化Cl-チャネルが担っていることを示している( ミレジとパーカー(Miledi and Parker)、J.Physiol.(Lond) .,357,173−183,1984)。アセチルコリンに応答したCa2+活 性化Cl-電流の参加をさらに試験するために、外部NaCl濃度を一時的に3 50mMに上げ2つの電極電圧クランプの間で卵母細胞を−10mVに保持して 、Cl-とNa+の逆電流を反対の方向へシフトさせた。この条件を用いると、1 00μMのアセチルコリンは外部電流の後に内部電流を誘発した(図7C)。他 のニューロン性nAChRについて報告されているように(ヴェルニノ(Vernin o)ら、Neuron,8,127−134,1992;セグエラ(Seguela)ら 、J.Neurosci.,12,596−604,1993)、内部電流はお そらくアルファ9受容体チャネルを介する陽イオンの流入の結果であり、外部電 流はおそらくCa2+活性化Cl-チャネルを介するCl-の流出の結果であろう。 1、2−ビス(2−アミノフェノキシ)エタン−N,N,N1,N1−四酢酸を注 入した卵母細胞で得られるI−V曲線は、前述のものと同じ形を有しており、実 験の条件下ではCl-電流はI/V曲線に寄与しないことを示唆していた。 前記ツノガエル(Xenopus)卵母細胞の発現実験は、アルファ9タンパク質サ ブユニットは、アセチルコリンにより活性化されるイオンチャネルを形成し、N a+とCa2+の両方に透過性であることを証明している。アルファ7とアルフ ァ8ニューロン性サブユニット(クツリエ(Couturier)ら、Neuron,5 ,847−856,1990;ゲルザニッチ(Gerzanich)ら、Molec.P harmacol.,45,212−220,1994)と同様に、アルファ9 は集合してホモマー受容体チャネル複合体になることができる。これは、受容体 チャネル複合体を形成するのにベータサブユニットの同時集合を必要とする他の 機能性ニューロン性nAChRアルファサブユニットとは異なる(ボウルター( Boulter)ら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA,84,776 3−7767,1987;バリベット(Ballivet)ら、Neuron,1,84 7−852,1988;ワダ(Wada)ら、Science,240,330−3 34,1988)。 アルファ9注入卵母細胞中でアセチルコリンにより誘発される電流は、保持電 位マイナス〜−50mVで低下した。これは、アセチルコリン、または卵母細胞 を維持するために使用される溶液中に存在する陽イオンにより、チャネルの電位 依存性阻止により得られる。この阻止は高アゴニスト濃度でより顕著であったと いう事実は、この作用の少なくとも一部は、アセチルコリンによる電位依存性チ ャネル阻止が原因であることを示している。高濃度のアセチルコリンとカルバミ ルコリンは、BC3H−1細胞中に存在する筋肉nAChRの電位依存性および 濃度依存性チャネル阻止を引き起こすことが知られている(サインとステインバ ック(Sine and Steinbach)、Biophys.J.,46,277−284, 1984)。 一次構造と電気生理的性質に基づくと、アルファ9タンパク質は、リガンド作 動性イオンチャネルのニコチンファミリーに属し、このファミリーには、nAC hR、GABAA、グリシンおよび5−HT3受容体がある。しかしすでに記載さ れているように、アルファ9注入卵母細胞では、ニコチン、ムスカリン、d−ツ ボクラリンおよびアトロピンは、アセチルコリン誘発電流応答を阻止した。従っ て、アルファ9受容体チャネル複合体は、コリン作動性受容体の薬理学的分類の ニコチン亜分画やムスカリン亜分画にも入らない(ピー・テイラー(P.Taylor )治療薬の薬理学的基礎、エー・グッドマン−ギルマン、ティー・エィチ・ラル 、エー・エス・ニーズおよびピー・テーラー(Taylor,A.Goodman- Gilman,T.H.Rall,A.S.Nies and P.Taylor)編(ニューヨーク:パーガモン ・プレス(Pergamon Press))、pp.122−149と166−186,19 90)。ニコチン性アゴニストであるDMPPとムスカリン性アゴニストである OXO−Mは両方とも、アルファ9注入卵母細胞中で電流応答を誘発することが できるという知見は、アルファ9受容体が混合ニコチン性−ムスカリン性薬理作 用を示すことを示している。さらにグリシン受容体アンタゴニストであるストリ キニーネによるアルファ9受容体の阻止は、異常である。ツノガエル(Xenopus )卵母細胞中で発現されたアルファ7とアルファ8ホモマーで、ストリキニーネ の同様の作用が報告されている(セグエラ(Seguela)ら、J.Neurosc i.,12,596−604,1993;ゲルザニッチ(Gerzanich)ら、Mo lec.Pharmacol.,45,212−220,1994)。 アルファ9タンパク質サブユニットは、nAChRアルファサブユニットの推 定アセチルコリン結合部位内に、最も保存されたアミノ酸残基を含有する(デニ ス(Dennis)ら、Biochem,27,2346−2357,1988;ガル ジ(Galzi)ら、J.Biol.Chem.265,10430−10437, 1990)。しかし、アルファ9タンパク質中の2つの非保存性置換であるPh e−99からSerへの置換とLys−144からThrへの置換(成熟タンパ ク質の番号付け、リーダー配列よりなる28アミノ酸残基が欠如している)は、 nAChRの推定されるアゴニスト結合部位の第1のおよび第2のドメインの近 くにある。これらのアミノ酸置換は、アルファ9受容体チャネル複合体の明確な 薬理的性質を担う。 アルファ9遺伝子の組織発現パターンを測定するために、in situ ハ イブリダイゼーション試験を行なった。アルファ9ゲノムクローンのコード配列 から得られるインビトロ合成したRNAを、ラット胚の矢状断面と成体ラットの 脳の冠状断面にハイブリダイズさせた。転写体の存在は、ステージ16のラット 胚の下垂体に観察された(図9Bと9Dを参照)。アルファ9遺伝子発現は、下 垂体の隆起部に限定して観察され、前葉と神経下垂体は検出できるシグナルを示 さない。アルファ9mRNAはまた、成体ラットの隆起部に存在しており、正中 隆起の下側表面に存在している(図9Fを参照)。アルファ9発現はまた、E1 6ラットの嗅覚粘膜中に観察される(図9Bを参照)。アルファ9転写体は、嗅 覚器の各鼻甲介の内側をおおう多列円柱上皮に検出される。さらに成長している ラットの舌にも発現が見られる(図9B)。最後に、成体の脳の180mm毎の 20mmの冠状断片について行なったin situ ハイブリダイゼーション は、ラットの中枢神経系でアルファ9遺伝子発現はなかった。 ラット蝸牛の凍結切片について行なったin situ ハイブリダイゼーシ ョンは、すべての蝸牛回転部の外有毛細胞領域でもアルファ9遺伝子が発現され ることを示している。アルファ9遺伝子の発現は、蝸牛のらせん神経節ニューロ ンまたは他の蝸牛の支持構造では見られなかった(図9Bを参照)。 すでに公表されているニューロン性nAChR遺伝子は、脊椎動物の中枢神経 系で発現されるとして報告されている(サージェント(Sargent)、Annu. Rev.Neurosci.,16,403−443,1993)。前記で開示 したように、ラット脳の冠状断片について行なったin situ ハイブリダ イゼーション試験は、中枢神経系でアルファ9遺伝子発現を示さなかった。低レ ベルのアルファ9転写体または検出を逃れた非常に限定された発現パターンを否 定できないが、結果は、他のnAChRサブユニットに比較して、アルファ9は インビボのコリン作動性機能の明確なサブセットに関与しているかも知れないこ とを示唆する。in situ ハイブリダイゼーション試験は、ラットにおい て下垂体の隆起部、嗅上皮、蝸牛の外有毛細胞および舌の骨格筋でアルファ9サ ブユニット遺伝子が発現されることを示した。 隆起部は、ペプチド分泌細胞、性腺刺激ホルモン分泌細胞および甲状腺刺激ホ ルモン産生細胞より構成される、脊椎動物下垂体の解剖学的に明確に規定された 部分を構成する(ウィットウスキー(Wittkowski)ら、Acta Endocr inol,126,285−290,1992)。ニコチンへの接触に応答した 神経内分泌作用(例えば、黄体形成ホルモン、甲状腺刺激ホルモン分泌の阻害) は、ヒトやラットで報告されている(フクセ(Fuxe)ら、Psychoneur oendocrinol.,14,19−41,1989)。これらの作用は、 視床下部nAChRの活性化が原因であるとされている が、アルファ9nAChRサブユニットの下垂体での存在は、ニコチンが下垂体 に直接作用するかも知れないことを示す。 嗅覚細胞が、嗅覚機能を調節する遠心性の神経支配を受ける可能性がある(シ ャーレイ(Shirley)、Olfaction.Intl.Rev.Neurob iol.,33,1−53,1992)。アセチルコリンの添加は、ゆっくりし た電位を引き起こし、嗅覚受容体ニューロンのスパイク活性を調節するため、コ リン作動性調節が示唆されている(ボウベット(Bouvet)ら、Neurosci .Res.,5,214−223,1988)。嗅覚ニューロンのアセチルコリ ン応答のさらなる薬理的性状解析および嗅上皮内のアルファ9サブユニットのよ り正確な局在化が必要であるが、嗅上皮中のアルファ9転写体の存在は、記載さ れたコリン作動性作用の分子的基礎を提供するかも知れない。 舌の成長している筋肉のアルファ9遺伝子発現は興味深い。実施したin s itu ハイブリダイゼーションでは、シグナルが実際に筋肉繊維に局在化され ているか、または周りの結合組織にあるかを区別することができない。しかし、 アルファ9転写体は、すべての成長する骨格筋に存在するのではないようである 。例えば、ラット胚の矢状中断面について行なったin situ ハイブリダ イゼーション試験は、体軸筋の肋間にアルファ9転写体の証拠を示さなかった。 卵母細胞中で発現されるホモマー性アルファ9受容体の全体の薬理的特徴は、 他のクローン化nAChRのものとは異なる(ボウルター(Boulter)ら、Pr oc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7763−7767,19 87;バリベット(Ballivet)ら、Neuron,1,847−852,198 8;ワダ(Wada)ら、Science,240,330−334,1988;ク ツリエ(Couturier)ら、Neuron,5,847−856,1990;ゲル ザニッチ(Gerzanich)ら、Molec.Pharmacol.,45,212 −220,1994)。 ラット蝸牛のアルファ9遺伝子の発現パターンを試験するために、蝸牛の総R NAから逆転写されたcDNAについてPCRを行なった。アルファ9遺伝子の イントロン−エキソン境界をまたがる断片を増幅するために、アルファ9配列に 特異的なプライマーを設計し使用した。図8に示すように、予測されるサイズ (573塩基対)の断片を、アルファ9プライマーでラット蝸牛cDNAから増 幅した。AccI、HinfI、およびNcoIによる断片の制限エンドヌクレ アーゼ解析は、これがアルファ9転写体由来であることをさらに確認した。アル ファ9遺伝子はまた、ラットの嗅上皮中で転写されるため、この組織から得られ るRNAを陽性対照として用いた。PCRに使用されたパラメータとともに非常 に低レベルの転写体が、試験した任意の組織に検出された可能性を排除するため に、陰性対照としてラットの座骨神経cDNAを使用した。アルファ9の特異的 プライマーを用いて座骨神経からDNAは増幅されず(図8参照)、アルファ3 とアルファ4サブユニットの両方が各特異的プライマーとともにこの組織中に検 出された。 アルファ9受容体チャネルの可能性のある薬理学的役割は、蝸牛有毛細胞の遠 心性の神経支配である。蝸牛の外有毛細胞は、脊椎動物の音の機械的増幅に関与 すると言われている(フロック、アール・クリンケとアール・ハートマン(Floc k,R.Klinke and R.Hartmann)編(ベルリン:スプリンガー−フェアラーク( Springer-Verlag),pp.2−8,1983)。これらの細胞はコリン作動性 の遠心性の神経支配を受ける。これらの遠心性ニューロンの電気刺激により、聴 神経繊維の感度の低下とチューニングが行われ、これが次に聴覚の外傷からの保 護を誘発する(ブラウンとヌッタル(Brown and Nuttal)、J.Physiol .(Lond.),354,625−646,1984;クリンケ(Klinke), Hearing Res.,22,235−243,1986;ラジャンとジョ ンストン(Rajan and Johnstone),Brain Res.,458,241− 255,1988)。蝸牛有毛細胞の遠心性神経支配に関与するアセチルコリン 受容体の分子的性質は記載されていない。非選択的陽イオンチャネルおよびG− タンパク質結合受容体の両方が提唱されているが、この受容体をニコチン性また はムスカリン性として性状解析するのにコリン作動性アゴニストおよびアンタゴ ニストはほとんど役に立たない(ホウスレイとアシュモア(Housley and Ashmor e)、Proc.R.Soc.Lond.B,244,161−167,199 1;フックスとムロフ(Fuchs and Murrow)、Proc.R.Soc.Lond .B,248,35−40,1992;フックスとムロフ (Fuchs and Murrow)、J.Neurosci.,12,800−809,19 92;カケハタ(Kakehata)ら、J.Physiol.(Lond.),463 −,227−244,1993;エロステグイ(Erostegui)ら、Hearin g Res.,74,135−147,1994)。従って、このコリン作動性 受容体の一次構造に関わらず、そのユニークな薬理学的特徴に基づき、これは従 来記載されていないタイプの受容体であると示唆されている(フックスとムロフ (Fuchs and Murrow)、Proc.R.Soc.Lond.B,248,35− 40,1992;エロステグイ(Erostegui)ら、Hearing Res., 74,135−147,1994)。 ここで提示した結果は、アルファ9受容体は、蝸牛遠心系のコリン作動性成分 であることを示唆する。この結論は、主にラット蝸牛の有毛細胞中のアルファ9 転写体の存在に基づく。これまでの証拠は、蝸牛遠心系が、バックグランドノイ ズ内のシグナルの検出の改良、ノイズ障害からの蝸牛の保護、および注意が別の ところになければならない時聴覚刺激から蝸牛応答を減弱させることに関与して いることを示唆する。 種々の実験は、蝸牛遠心系のコリン作動性成分もまた、アミノ配糖体高分子の 内耳神経毒性に関与することを証明した。高用量で投与した時、これらの抗生物 質は外有毛細胞(OHC)を変性させる(ゴバエルツ(Govaerts)ら、Toxi cology Letters,52,227−251,1990)。この変性 の結果は、耳鳴りから聴力の完全な喪失まである。アミノ配糖体がOHCにその 内耳神経毒性を及ぼす機序に関する現在の理論は、細胞内メッセージ伝達システ ムの阻止のために代謝が不安定になるというものである。同時に遠心性のシナプ スも不安定化され、刺激後に放出されるAChの量をモニタリングおよび制御で きなくなる。その結果、不安定化されたOHCが過剰に刺激(AChの過剰)さ れて変性が観察される(ウィリアムズ(Williams)ら、Hearing Res l,30,11−18,1987)。従って、遠心性末端から有毛細胞への遠心 性のシグナルの伝達を受け持つアルファ9受容体は、アミノ配糖体抗生物質の内 耳神経毒性能の発揮に密接に関与している。従って、少なくとも1つのアルファ 9受容体サブユニットよりなる受容体に対するアンタゴニスト(すなわ ち、アルファ9ブロッカー)は、アミノ配糖体誘導性の内耳神経毒性の副作用を 低下または排除する。 本発明は、アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットをコード する単離された核酸を提供する。「核酸」(ポリヌクレオチドとも呼ばれる)と いう語句は、RNAならびに1本鎖および2本鎖DNAおよびcDNAを包含す る。本明細書において、「単離されたポリヌクレオチド」という用語は、天然の 環境から分離または取り出されたポリヌクレオチドを意味する。アルファ9nA ChR受容体サブユニットをコードするポリヌクレオチドを単離する1つの方法 は、当該分野で公知の方法を用いてDNAプローブと哺乳動物ゲノムライブラリ ーをプローブ結合させることである。アルファ9受容体遺伝子から得られるDN Aプローブは、この目的に特に有用である。アルファ9受容体をコードするDN AおよびcDNA分子を用いて、ヒト、哺乳動物、または他の動物供給源から相 補的なゲノムDNA、cDNAまたはRNAを得ることができる。そのような分 子はまた、下記で詳述する方法により、cDNAまたはゲノムライブラリーをス クリーニングして、関連するcDNAまたはゲノムクローンを単離するのに使用 することができる。本発明の核酸には、図1に示す核酸配列(配列番号1も参照 )と実質的に同じヌクレオチド配列が包含される。本発明はまた、図1(および 配列番号1)に示すヌクレオチド配列の縮重変種である核酸を包含する。 「縮重変種」とは、遺伝コードのために、特定のハイブリダイゼーション条件 下で本発明の核酸と必ずしもハイブリダイズしないアルファ9nAChRサブユ ニットをコードする核酸を意味する。本発明のポリペプチドまたはタンパク質を コードする好適な核酸は、図1(配列番号2も参照)に示すアミノ酸配列と実質 的に同じアミノ酸配列をコードするヌクレオチドよりなる。あるいは、本発明の ポリペプチドをコードする好適な核酸は、高厳密性条件下で、図1(および配列 番号1)に示すヌクレオチド配列の実質的に全配列、または実質的な部分(すな わち、典型的には少なくとも25〜30の連続するヌクレオチド)とハイブリダ イズする。 本明細書においてハイブリダイゼーションの厳密性とは、ポリヌクレオチドハ イブリッドが安定である条件を意味する。当業者に公知のように、ハイブリッド の安定性は、ナトリウムイオン濃度と温度の関数である(例えば、サムブルーク (Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)(第2版)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラト リー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1989;参考のため本明細書に引 用される)参照)。 本発明は、本発明の核酸によりコードされる単離されたアルファ9ニコチン性 アセチルコリン受容体サブユニットペプチド、ポリペプチドおよび/またはタン パク質、および該サブユニットよりなるアルファ9ニコチン性アセチルコリン受 容体を提供する。アルファ9nAChRサブユニットは、長さが約451アミノ 酸であるタンパク質よりなる。アルファ9サブユニットのアミノ酸配列は、図1 (および配列番号2)に示す。 本明細書において、「単離されたタンパク質」という語句は、通常その本来の インビボの環境でタンパク質と結合している細胞性成分および/または汚染物質 を含まないタンパク質を意味する。本発明のポリペプチドおよび/またはタンパ ク質は、天然に存在するアレレ性変種、ならびにその組換え型を含む。アルファ 9nAChRポリペプチドは、当業者に公知の種々の方法を用いて単離すること ができる。本発明のタンパク質の単離と精製に利用できる方法には、沈降法、ゲ ル濾過、イオン交換クロマトグラフィー、逆相クロマトグラフィー、および親和 性クロマトグラフィーがある。他の公知の方法は、ドイチャー(Deutscher)ら 、タンパク質精製のガイド:酵素学の方法(Guide to Protein Purification: M ethods in Enzymology)Vol.182(アカデミックプレス(Academic Press )、1990)に記載されている(参照により本明細書に取込まれる)。あるい は、本発明の単離されたポリペプチドは、すでに記載されている公知の方法、例 えばサムブルーク(Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Mole cular Cloning: A Laboratory Manual)(第2版)、コールド・スプリング・ハ ーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、1989;参考の ため本明細書に引用される)を用いて得ることができる。 本発明のポリペプチドは、適当な宿主細胞(例えば、細菌細胞、酵母細胞、両 生類細胞(すなわち、卵母細胞)、または哺乳動物細胞)中で、当該分野で公知 の方法を用いて、アルファ9nAChRサブユニットをコードする核酸を発現す ることにより産生することができる。発現されたポリペプチドは、公知の方法を 用いて回収できる。本発明のポリペプチドは、発現ベクター(以下の詳述)で形 質転換された細胞から直接単離できる。本発明のポリペプチド、その生物活性を 有する断片、および機能性同等物は、化学的合成により産生することもできる。 本明細書において、「生物活性を有する断片」とは、集合して、アセチルコリン に活性化されカルシウムに対して透過性の陽イオン性チャネルになることができ る、図1(配列番号2も参照)に記載のアミノ酸配列で示されるアルファ9ポリ ペプチドの任意の部分を意味する。合成ポリペプチドは、例えばアプライド・バ イオシステムズ(Applied Biosystems,Inc.)モデル430Aまたは431A自 動ペプチド合成機(フォスターシティー、カリホルニア州)を用いて、製造業者 の試薬を用いて産生することができる。 本明細書において、「ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブユ ニット」という用語は、膜にまたがる領域を予測させる高度に疎水性の4つの領 域と、127、141、191、および192位(成熟ペプチドに関するもので あり、28個のアミノ酸リーダー配列を含まない)にシステイン残基を含有する 、組換え発現/産生した(すなわち、単離されたまたは実質的に純粋な)タンパ ク質を意味する。そのようなタンパク質サブユニットは、集合して陽イオン性チ ャネルになり、これはアセチルコリンにより活性化される。本発明のnAChR サブユニットには、一次転写体の副スプライシングにより産生されるmRNAに よりコードされるその変異体、ならびに生物活性を有する断片を含む。 本発明のアルファ9nAChRサブユニットは、本明細書に記載の方法により 評価すると、同じかまたは異なるタイプの少なくとも1つの追加のnAChRサ ブユニットと組合わさって、機能性受容体の形成に寄与する。本明細書において 、「機能性受容体」という用語は、例えばアセチルコリン(ACh)のようなリ ガンドの結合により、受容体イオンチャネルが開き、このためCa2+およびNa+ やK+のような陽イオンが細胞内に入ることができるようになるものを意味する 。「機能性の本発明の受容体」のアゴニスト活性化により、受容体が誘導される 。 「組換え発現/産生された」、「単離された」、または「実質的に純粋な」と いう用語による、本発明の核酸、ポリペプチドまたはタンパク質の修飾は、ヒト の手によりそのような形で産生され、その本来のインビボの細胞性環境から分離 された核酸、ペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質を包含する。このヒトの 介入の結果、本発明の組換え核酸、ポリペプチドおよびタンパク質は、対応する 天然に存在する分子では役に立たない方法(例えば、薬剤の可能性のある化合物 の同定)で有用である。 「実質的な配列相同性」を有する配列は、典型的には本発明の核酸と少なくと も約90%の同一性を共有するヌクレオチド配列、および典型的には本発明のポ リペプチドと少なくとも約95%のアミノ酸同一性を共有するアミノ酸配列を意 味する。しかし、スプライス変種、保存的アミノ酸置換、または縮重コドンの置 換により上記レベルより低い相同性を有するポリペプチドまたは核酸もまた、本 発明の範囲に包含されることを認識すべきである。 本発明はまた、プロモーターに機能的に結合したアルファ9受容体サブユニッ トをコードする核酸、および他の制御配列を提供する。本明細書において「機能 的に結合した」という用語は、制御配列およびエフェクター配列(例えば、プロ モーター、エンハンサー、転写停止部位および翻訳停止部位、および他のシグナ ル配列)との、核酸の機能的関係を意味する。プロモーターへの核酸の特異的に 機能的な結合とは、プロモーターを特異的に認識しそこに結合するRNAポリメ ラーゼにより、DNAの転写がプロモーターから開始されるような、核酸とプロ モーターの間の物理的および機能的関係を意味する。 適当なプロモーターには、RNAポリメラーゼの認識、結合および転写開始に 充分な特異的配列がある。さらに、適当なプロモーターには、RNAポリメラー ゼの認識、結合および転写開始活性を調節する配列がある。そのような配列は、 cis作用性であるかまたは、トランス活性化因子に応答性であってもよい。制 御の性質に依存して、プロモーターは構成性または制御性である。プロモーター の例には、SP6、T4、T7、SV40初期プロモーター、サイトメガロウイ ルス(CMV)プロモーター、マウス乳癌ウイルス(MMTV)ステロイド誘導 性プロモーター、モロニーマウス白血病ウイルスなどがある。 本発明で使用されるベクターは、アルファ9受容体サブユニットをコードする 核酸が機能的に結合できるプロモーターとクローニング部位の両方を有する。当 該分野で公知のそのようなベクターは、インビトロまたはインビボでRNAを転 写することができ、ストラタジーン(Stratagene)(ラホイア(La Jolla)、カ リホルニア州)やプロメガ・バイオテク(Promega Biotech)、マジソン、ウィ スコンシン州)などから市販されている。発現および/またはインビトロ転写を 最適化するために、クローンの5’および/または3’非翻訳部分を除去、添加 または改変して、余分の、不適当な可能性のある副翻訳開始コドンまたは転写ま たは翻訳レベルで発現を妨害または低下させる他の配列を除去することが必要か も知れない。あるいは、コンセンサスリボゾーム結合部位を開始コドンのすぐ5 ’に挿入して発現を増強することができる(例えば、コザク(Kozak)、J.B iol.Chem.266:19867(1991))。同様に、転写を増強す るために、同じアミノ酸をコードする別のコドンを、アルファ9nAChRサブ ユニットの本来のコドンの代わりに使用することができる(例えば、宿主細胞の コドンの好み、G−Cの豊富なドメインの存在を低下させるなど)。 本発明で使用できる適当なベクターの例としては、ウイルス(例えば、バキュ ロウイルスやレトロウイルス)、バクテリオファージ、コスミッド、プラスミド 、および当該分野で典型的に使用される組換えビヒクルがある。本発明の核酸は 、当該分野で公知の方法を用いてベクターゲノム中に挿入される。例えば、挿入 体とベクターDNAは、適当な条件下で制限酵素と接触させて、互いに対合して リガーゼと結合できる相補的な末端を、各分子に作成させる。あるいは、合成リ ンカーを、制限酵素処理された本発明の核酸の末端に結合させる。これらの合成 リンカーは、ベクターDNA中の特定の制限部位に対応する核酸配列を含有する 。さらに、停止コドンおよび適当な制限部位を含有する核酸を、例えば以下のい くつかまたはすべてを含有するベクターに結合することができる:選択マーカー 遺伝子(例えば、哺乳動物細胞中での安定なまたは一過性転写体の選択のための ネオマイシン遺伝子;高レベルの転写のためのヒトCMVの前初期遺伝子からの エンハンサー/プロモーター配列;mRNA安定性のためのSV40からの転写 停止およびRNA処理シグナル;正しいエピソーム複製のためのSV40ポリオ ーマ複製開始点およびColEl;多機能の複数のクローニング部位;およびセ ン スおよびアンチセンスRNAのインビトロ転写のためのT7およびSP6RNA ポリメラーゼ。他の方法も当該分野で公知であり、利用できる。 また、アルファ9nAChRサブユニットをコードする核酸よりなるベクター が提供され、このベクターは、細菌細胞、酵母細胞、両生類細胞(すなわち、卵 母細胞)、哺乳動物細胞または他の動物細胞での発現に適するようになっている 。このようなベクターはさらに、アルファ9nAChRサブユニットをコードす る核酸に対してその発現を可能にするように位置する細菌細胞、酵母細胞、両生 類細胞、哺乳動物細胞または動物細胞の発現に必要な制御成分を含有してよい。 本明細書において、「発現」とは、核酸がmRNAに転写され、そしてペプチド 、ポリペプチドまたはタンパク質に翻訳される過程を意味する。核酸がゲノムD NA由来の場合、適当な真核細胞宿主が選択されるなら、発現にはmRNAのス プライシングを含んでもよい。発現に必要な制御成分には、RNAポリメラーゼ に結合するプロモーター配列、およびリボゾーム結合のための転写開始配列があ る。例えば、細菌性発現ベクターには、lacプロモーター、シャイン−ダルガ ルノ(Shine-Dalgarno)転写開始配列、および開始コドンAUGのようなプロモ ーターがある(サムブルーク(Sambrook)ら、分子クローニング:実験室マニュ アル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)(第2版)、コールド・スプ リング・ハーバー・ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)、198 9;参考のため本明細書に引用される)。同様に、真核細胞発現ベクターには、 RNAポリメラーゼIIのための異種または同種プロモーター、下流のポリアデニ ル化シグナル、開始コドンAUG、およびリボゾームの分離のための停止コドン がある。このようなベクターは、市販されているか、または当該分野で公知の方 法を用いて入手できる配列から構築される。 本発明はまた、組換えアルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体を発現する 形質転換された宿主を提供する。このような宿主は、アルファ9nAChRサブ ユニットをコードする核酸で形質転換される。本発明の形質転換宿主の例は、哺 乳動物細胞中での発現に特異的に適合させたプラスミドを含む哺乳動物細胞であ る。このプラスミドは、アルファ9nAChRサブユニットをコードする核酸、 およびサブユニットの発現に必要な制御成分を含有する。本発明で使用される適 当な哺乳動物細胞には、例えばマウス繊維芽細胞NIH3T3細胞、CHO細胞 、HeLa細胞、Ltk-細胞、PC12およびN2Aニューロン細胞、HEK −293腎細胞およびCG4神経膠細胞がある。宿主細胞は、リン酸カルシウム 沈殿法、DEAE−デキストラン、電気穿孔法、微量注入法、またはリポフェク チン法などの当該分野で公知の方法を用いて、前述のようなプラスミドにより形 質転換される。本発明で使用できる他の適当な宿主には、卵母細胞、特にツノガ エル(Xenopus)卵母細胞がある。 本発明において、ニコチン性アセチルコリン受容体は、少なくとも1つのアル ファ9サブユニットを含有する宿主細胞中で組換え法で発現される。組換え受容 体はホモマーまたはヘテロマーである。すなわち、形質転換される宿主細胞は、 アルファ9サブユニットを含有する受容体、または少なくとも1つのアルファ9 サブユニットと1つまたはそれ以上の他のnAChRサブユニットを含有する受 容体を発現することができる。 本発明はまた、核酸プローブを提供する。このようなプローブは、アルファ9 nAChRサブユニットをコードする配列と特異的にハイブリダイズすることが できるポリヌクレオチドよりなる。本明細書において、「プローブ」という語句 は、図1(また配列番号1も参照)に記載の少なくとも14個の連続塩基を含有 するヌクレオチド配列を有する、1本鎖または2本鎖DNAまたはRNAを意味 する。アルファ9サブユニットを他のアルファnAChRサブユニットから区別 するために使用されるプローブは、好ましくはアルファ9ヌクレオチド配列の細 胞質性ループ領域からの少なくとも14個の連続塩基から構成される。あるいは 、nAChRファミリーの追加のサブユニットを見つけるために使用されるプロ ーブは、好ましくはアルファ9ヌクレオチド配列の膜にまたがる領域からの少な くとも14個の連続塩基から構成される。 本明細書において、「特異的にハイブリダイズする」という用語は、相補的な 核酸配列を認識し、相補的な塩基対の間で水素結合を介して2重らせん部分を形 成するポリヌクレオチドの能力を包含する。核酸プローブ技術は、当業者に公知 であり、そのようなプローブは長さが異なり、検出物質(例えば、放射性同位元 素、蛍光色素など)で標識してプローブの検出を促進することは、当業者は容易 に理解できるであろう。本発明のプローブは、アルファ9nAChRサブユニッ トをコードする核酸の存在の検出に有用である。例えば、プローブをin si tu ハイブリダイゼーションに使用して、アルファ9nAChRサブユニット を発現する特異的組織を同定することができる。さらに、アルファ9nAChR サブユニットをコードする核酸に相補的なオリゴヌクレオチドは、アルファ9遺 伝子および関連mRNAの検出、または相同性スクリーニングまたはゲノムライ ブラリーもしくはcDNAライブラリーまたは当該分野で公知増幅法を用いて関 連遺伝子を単離するのに有用である。 本発明はさらに、アルファ9nAChRサブユニットをコードするmRNAの 任意の部分と特異的にハイブリダイズしてmRNAの翻訳を妨害することができ る配列を有するアンチセンスオリゴヌクレオチドを提供する。アンチセンスオリ ゴヌクレオチドはまた、アルファ9サブユニットをコードするcDNAの任意の 部分と特異的に結合できる配列を含有する。本明細書において、「特異的に結合 する」という用語は、相補的な核酸配列を認識して、相補的な塩基対の間で水素 結合を形成して、これと2重らせん部分を形成する、核酸配列の能力を意味する 。 また本発明において、アンチセンスオリゴヌクレオチドが、アルファ9nAC hR受容体をコードするmRNAに結合してその翻訳を妨害することができる、 アルファ9nAChRサブユニットの発現を低下させるのに有効な量の本発明の アンチセンスオリゴヌクレオチドよりなる組成物が提供される。本発明により提 供される組成物は、細胞膜を通過することができる許容される疎水性担体よりな り、また選択された型の細胞に特異的な受容体に結合し、こうして選択された型 の細胞により接種される構造よりなる。この構造は、細胞の型に特異的な受容体 に結合することが公知のタンパク質の一部であってもよい。 本発明のアンチセンスオリゴヌクレオチド組成物(AOC)は、注入により被 験体に投与するために血流中で、または実験室の細胞培養条件下で安定であるよ うに設計される。AOCの物理的および化学的性質は、組成物が細胞膜を通過し て細胞質の中に入ることができるように選択される。そのような組成物は、AO Cを細胞内に促進および輸送する、小さい疎水性化学構造、または特異的細胞輸 送系を含むように設計することができる。さらに、AOCは、選択された細胞集 団にのみ結合して接種されるようにAOCをターゲティングすることにより、あ る選択された細胞集団にのみ投与できるように設計される。ターゲティングは、 前述のようなある特異的な細胞型中にのみ存在する受容体に、細胞特異的AOC を設計することにより行われる。あるいは、AOCは、標的mRNA配列を選択 的に認識して結合するように設計することもできる。後者の例では、ターゲティ ングは、例えば図1(配列番号1)に示す配列内に含有される配列を用いて行わ れる。AOCは、(1)標的mRNAに結合し、RNaseI消化によりmRN Aの変性を誘導することにより、または(2)翻訳制御因子またはリボゾームの 結合を妨害、または他の化学的構造(例えば、リボゾーム配列、または標的mR NAを変性させるかもしくは化学的に修飾する反応性の化学的な基)を含有させ ることにより、標的mRNAの翻訳を阻害することにより、標的mRNA配列を 不活性化するように設計される。AOCは、mRNA標的に向かわせた時、その ような性質を示すことができることは証明されている(コーエン(Cohen)ら、 TIPS,10:435(1989)およびウェイントラウブ(Weintraub)、 Sci.American,January(1990),pp.40;いずれ も参照により本明細書に取込まれる)。 本発明はまた、本発明のアルファ9nAChRポリペプチドおよび/またはタ ンパク質との特異的反応性を有する抗体を提供する。抗体の活性断片は、「抗体 」の定義の中に包含される。 本発明の抗体は、当該分野で公知の方法により産生される。例えば、ポリクロ ーナル抗体およびモノクローナル抗体は、例えば、ハーローとレーン(Harlow a nd Lane)、抗体:実験室マニュアル(Antibodies:A Labroratory Manual)(コ ールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor Labroatory),1 988)(参照により本明細書に取込まれる)に記載の方法により、産生するこ とができる。本発明のアルファ9タンパク質またはその部分は、そのような抗体 を産生するための免疫原として使用することができる。あるいは、合成ペプチド を調製(市販の合成機を用いて)して、免疫原として使用することができる。ア ミノ酸配列は、当該分野で公知の方法で解析して、対応するアルファ9の本発明 のタンパク質の親水性または疎水性ドメインを含有するかどうかを決定するこ とができる。キメラ、ヒト化、CDR−移植または2官能性抗体のような改変抗 体も、当該分野で公知の方法で産生することができる。そのような抗体はまた、 ハイブリドーマ、化学的合成または組換え法(例えば、サムブルーク(Sambrook) ら、分子クローニング:実験室マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)(第2版)、コールド・スプリング・ハーバー・ラボラトリー(Cold S pring Harbor Laboratory)、1989)(参照により本明細書に取込まれる) 、およびハーローとレーン(Harlow and Lane)、同上)により産生することも できる。抗−ペプチドおよび抗−融合蛋白を使用することができる(例えば、バ ホウス(Bahouth)ら、Trends Pharmacol.Sci.12:3 38(1991);アウスベル(Ausubel)ら、Current Protoc ols in Molecular Biology(ジョン・ワイリー・アン ド・サンズ(John Wiley and Sons)、参照により本明細書に取込まれる)。 本発明の抗体は、例えばアルファ9本発明の受容体の単離などの種々の用途を 有する。さらに該抗体は、アルファ9受容体の存在および受容体の局在化、サブ ユニット組成および機能性ドメインの構造の解析のための有用である。細胞表面 上のアルファ9nAChRの存在の検出方法は、アルファ9nAChR受容体に 特異的に結合する抗体に細胞を接触させ、細胞表面上の結合抗体の存在を検出す ることよりなる。アルファ9受容体の検出に関して、本発明の抗体は、例えばイ ンビトロ診断法またはインビボイメージング法に使用することができる。 試料中のアルファ9受容体のインビトロ検出に有用な免疫学的方法には、検出 できる抗体を用いる免疫測定法がある。そのような免疫測定法には、例えば、当 該分野で公知のELISA、パンデックス(Pandex)微量蛍光測定法、凝集法、 フローサイトメトリー、血清診断法、および免疫組織学的染色法がある。抗体は 、当該分野で公知の種々の手段により検出することができる。例えば、検出マー カーは、抗体に直接または間接に結合することができる。有用なマーカーには、 例えば放射性核種、酵素、蛍光性、発色性および化学発光性標識物がある。 さらに、本発明の抗体は、動物およびヒトならびにこれらから単離される生物 組織中のアルファ9受容体のイオンチャネル活性を調節するのに使用することが できる。従って、本発明は、担体、および天然に存在するリガンドが受容体に結 合するのを阻止するのに有効な量の、アルファ9受容体に特異性を有する抗体よ りなる組成物を提供する。細胞の表面に存在するアルファ9受容体のエピトープ に対するモノクローナル抗体(この抗体は、配列番号2に記載のものと実質的に 同じアミノ酸配列を有する)は、この目的のために有用である。 本発明はさらに、アルファ9タンパク質をコードする核酸を発現することがで きるトランスジェニック非ヒト哺乳動物を提供する。また、生物学的に機能性の アルファ9タンパク質をコードする核酸を発現することができないか、またはあ る意味で生物学的に欠損しているアルファ9タンパク質を発現することができる トランスジエニック非ヒト哺乳動物が提供される。機能不全の程度は、突然変異 したタンパク質をコードするようにアルファ9核酸を操作することにより、変更 することができる。 本発明はまた、アルファ9mRNAに相補的なアンチセンスmRNAに転写で きるアンチセンス核酸よりなるゲノムを有する、トランスジェニック非ヒト哺乳 動物を提供する。このようなアンチセンスmRNAは、アルファ9mRNAにハ イブリダイズし、その翻訳を低下させる。 本発明のトランスジェニック動物に使用される核酸は、特定の型の細胞に発現 が誘導または限定されるように、誘導性プロモーターおよび/または組織特異的 制御成分に結合していてもよい。適当なプロモーターの例には、メタロチオネイ ンプロモーターおよびL7プロモーターがある。 トランスジェニック動物を作成するための哺乳動物宿主への核酸物質の移動は 、適当な受精胚に物質を、微量注入法、レトロウイルス感染法または他の当該分 野で公知の方法で移動させて行われる。(例えば、ホーガン(Hogan)ら、マウ ス胚の操作:実験室マニュアル(Manipulating the Mouse Embryo:A Laboratory Manual)(コールドスプリングハーバーラボラトリー(Cold Spring Harbor La boratory)、1986を参照)。本発明のトランスジェニック動物の作成のため に相同的組換えも使用することができる。相同的組換え法は、当該分野で公知で ある。相同的組換え法は、組換えまたは突然変異遺伝子で本来の(内因性)遺伝 子を置換して、本来の(内因性)アルファ9受容体サブユニットを発現できな いが、例えば突然変異受容体サブユニットを発現することができる動物を産生す る。相同的組換え法に対して、微量注入法は、宿主遺伝子を除去することなく宿 主ゲノムに遺伝子を加える。微量注入法は、内因性および外因性アルファ9受容 体サブユニットを発現することができるトランスジェニック動物を産生すること ができる。トランスジェニック動物モデル系は、受容体応答を活性化または阻害 する受容体特異的リガンド(すなわち、アゴニストおよびアンタゴニスト)の同 定のための化合物のインビボスクリーニングに有用である。 核酸、オリゴヌクレオチド(アンチセンスを含む)、これらを含有するベクタ ー、形質転換宿主、受容体サブユニットおよびこれらの組合せ、ならびに本発明 の抗体は、本発明のアルファ9受容体サブユニットのアゴニストまたはアンタゴ ニストとして機能する化合物を同定するために、インビトロで化合物をスクリー ニングするために使用することができる。このようなインビトロスクリーニング 測定法は、本発明のアルファ9受容体サブユニットの機能と活性に関する有用な 情報を提供し、これは1つまたはそれ以上の型の受容体サブユニットまたは受容 体サブタイプと特異的な相互作用をすることができる薬剤の同定と設計を促進す ることができる。 本発明はまた、アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットに結 合する化合物の同定法を提供する。このような方法では、本発明の受容体サブユ ニットは競合的結合測定法において使用される。このような測定法は、多数の化 合物を迅速にスクリーニングして、どの化合物が(もし存在すれば)アルファ9 nAChRサブユニットに結合することができるかを決定することができる。次 に、結合することが見いだされた化合物でより詳細な測定法を行い、本発明の受 容体(すなわち、少なくとも1つのアルファ9サブユニットよりなるnAChR )のアゴニストまたはアンタゴニストとして作用する化合物を決定することがで きる。 本発明はさらに、本発明の受容体(すなわち、少なくとも1つのアルファ9サ ブユニットよりなるnAChR)の活性を調節する化合物の同定のためのバイオ アッセイを提供する。1つの態様において、バイオアッセイは、少なくとも1つ のアルファ9サブユニットよりなる受容体を発現する細胞に、少なくとも1つの 可能性のあるアゴニストを与え、次にイオンチャネル活性について細胞をモニタ リングすることにより行われる。さらに別の態様において、バイオアッセイは、 少なくとも1つのアルファ9サブユニットよりなる受容体を発現する細胞に、一 定量の既知のアルファ9アゴニストと、少なくとも1つの可能性のあるアンタゴ ニストの増加する量を接触させ、次にイオンチャネル活性について細胞をモニタ リングすることにより行われる。 本発明はまた、アルファ9nAChRサブユニット遺伝子の制御領域を調節す る化合物を同定するためのバイオアッセイを提供する。そのような測定法は、受 容体遺伝子に機能的に結合したアルファ9遺伝子の制御領域の少なくとも一部よ りなる核酸作成体で形質転換した哺乳動物細胞を用いて行われる。形質転換され た細胞は、少なくとも1つの化合物(この化合物が制御領域を調節する能力は不 明である)と接触される。次に細胞を、レポーター遺伝子の発現についてモニタ リングする。使用される適当なレポーター遺伝子には、クロラムフェニコールア セチルトランスフェラーゼ遺伝子、ルシフエラーゼ遺伝子などがある。 本発明の受容体の「活性を調節する」化合物またはシグナルとは、アルファ9 受容体の活性を変化させて、化合物またはシグナルの存在下では受容体は化合物 またはシグナルの非存在下とは異なるようにする、化合物またはシグナルを意味 する。調節に影響する化合物には、アゴニストやアンタゴニストがある。アゴニ ストは、アルファ9受容体機能を活性化するアセチルコリンのような化合物を包 含する。また、アンタゴニストは、アルファ9受容体の機能を妨害する化合物を 包含する。典型的にはアンタゴニストの作用は、アゴニストに誘導された受容体 活性化の阻止として観察される。アンタゴニストには、競合的および非競合的ア ンタゴニストがある。競合的アンタゴニスト(または競合的ブロッカー)は、ア ゴニスト結合に特異的な部位またはその近傍と相互作用する。非競合的アンタゴ ニストまたはブロッカーは、アゴニスト相互作用部位とは異なる部位と相互作用 して、受容体の機能を不活性化する。 当業者に理解されているように、nAChR活性を調節する化合物の同定のた めのバイオアッセイ法は、一般的に対照との比較が必要である。1つのタイプの 「対照」は、化合物に接触させた試験細胞または試験培養物と実質的に同じよう に処理した細胞または培養物であるが、「対照」細胞または培養物は化合物に接 触されていない点が異なる細胞または培養物である。例えば、電圧クランプ電気 生理的方法を用いる方法では、細胞を浸している外部溶液を単に変化させること により、化合物の存在下でまたは非存在下で同じ細胞を試験することができる。 使用される他のタイプの「対照」細胞または培養物は、トランスフェクションさ れた細胞と同一の細胞または培養物であるが、「対照」細胞または培養物は機能 的アルファ9nAChR受容体サブユニットを発現しない点が異なる細胞または 培養物である。従って、トランスフェクションされた細胞の化合物に対する応答 は、同じ反応条件下で同じ化合物に対する「対照」細胞または培養物の応答(ま たは応答の欠如)と比較される。 本発明のさらに別の態様において、アルファ9nAChRのイオンチャネル活 性は、上記の任意のバイオアッセイにより同定される少なくとも1つの化合物の 有効量に受容体を接触させることにより調節することができる。 以下の例は本発明を例示するものであり、決してこれを限定するものではない 。 例1 ゲノムライブラリーのスクリーニング 全長アルファ7nAChRサブユニットcDNA(セグエラ(Seguela)ら、 J.Neurosci.,13,596−604,1993)を用いて、5×1 05クローンのラムダチャロン(lambdaCharon)4Aラットゲノムライブラリー (ジェームズ・エバーワイン(James Eberwine)博士、ペンシルバニア大学医学 部、薬学部、フィラデルフィア、ペンシルバニア州、より得た)をスクリーニン グした。ハイブリダイゼーションは、65℃で、1MNaCl、50mMトリス −塩酸、pH8.0、0.5%SDS、100mg/ml変性サケ精子DNAお よび0.1%(w/v)ずつのフィコール、ポリビニルピロリドンおよびウシ血 清アルブミン中で行なった。フィルターを、45℃で2×SSPE(1×SSP Eは、180mMNaCl、9mMNa2HPO4、0.9mMNaH2PO4、お よび1mMEDTA、pH8.0)で洗浄した。アルファ9サブユニット遺伝子 のエキソンIVとVを含有する約16kbのクローンを単離した。 例2 cDNAライブラリーのスクリーニング 例1に記載のラットゲノムクローンのコード配列から得られたPCR断片(ヌ クレオチド283〜806、図1;すなわち、配列番号1のヌクレオチド455 〜979)をプローブとして用いて、1×106プラークのラムダNM1149 成体ラット嗅上皮cDNAライブラリー(ヘインツ・ブレア(Heinz Breer)博 士とクラウス・ラミング(Klaus Raming)博士から得た、スタットガアルト−ホ ーヘンハイム(Stuttgart-Hohenheim)大学、動物生理学研究所(Institute of Zoophysiology)、スタットガアルト(Stuttgart)、ドイツ)をスクリーニング した。ハイブリダイゼーションは例1で記載したように行い、フィルターを65 ℃で0.2×SSPEで洗浄した。4つの独立クローンを単離し、1つが全長ア ルファ9cDNAを含有していた(図1)。アルファ9cDNAは、87塩基対 の5’非翻訳領域、1437塩基対の読みとり枠、および413塩基対の3’非 翻訳領域から構成される。全長アルファ9cDNAをプローブとして用いて、フ ァージベクターラムダDASHIIおよびラムダFIXIIで作成した2つのマウス (129SvJ)ゲノムライブラリーをスクリーニングした。2つの重複するゲ ノムクローンを得た(図2)。アルファ9サブユニット遺伝子の全コード配列に またがるこれらのクローンをプラスミドベクター中にクローン化し、イントロン −エキソン境界にわたる配列を決定してアルファ9サブユニット遺伝子構造を決 定した。 例3 ヌクレオチド配列測定と解析 シーケナーゼ2.0キット(米国バイオケミカル(United States Biochemica l)、クリーブランド、オハイオ州)と合成オリゴヌクレオチドプライマーを用 いて、アルファ9サブユニットcDNAクローンを配列決定した。ウイスコンシ ン大学遺伝学コンピューターグループ(Genetics Computer Group)[デベロ(D evereux)ら、Nucl.Acids.Res.,12,387−395,19 84]の配列解析ソフトウェアを用いて、アルファ9アミノ酸配列と他のnAC hRアルファサブユニットとを比較した。対になった配列の間の配列 の同等%を、同一の残基の数を短い配列中の残基の総数で割って、この計数に1 00を掛けて計算した。 例4 電気生理的方法 ヌクレオチド−94〜1766(図1;すなわち、配列番号1の残基79〜1 938)を、発現ベクターpGEMHE(リマン(Liman)ら、Neuron, 9,861−871,1992)中にサブクローニングして、ツノガエル(Xeno pus)卵母細胞発現試験に適した全長アルファ9cDNAを作成した。cRNA は、メサージ・マシーン(mMessage mMachine)転写キットを用いて、NheIで 線状化したプラスミドで合成した。 卵母細胞の単離と維持は既に記載されている(ボウルター(Boulter)ら、P roc.Natl.Acad.Sci.USA,84,7763−7767,1 987)。各卵母細胞に、1〜10ngのcRNAを注入した。2〜7日後、ア クソクランプ2A増幅器(Axoclamp 2A amplifier)(アクソン・インスツルメ ンツ(Axon Instruments)、フオスターシティー、カリホルニア州)を用いて2 電極電圧クランプで、電気生理的記録を行なった。電圧電極は3MKClが充填 され、抵抗は約10Mオームであった。電流電極は0.3MKClが充填され、 抵抗は約1Mオームであった。特に明記しなければ、保持電圧は−50mVであ った。I−V関係は、pClamp5.5ソフトウェア(アクソン・インスツル メンツ(Axon Instruments))を用いて、アゴニストの存在下で2秒間電圧ラン プをかけて、アゴニスト添加の前と後に得られた対照の平均値を引いて求めた。 すべての記録をデジタル化し、コンピューターに保存した。エス・トライネリス (S.Traynelis)博士(ソーク生物試験研究所(Salk Institute for Biologica l Studies)、ラホイア、カリホルニア州)により設計され供与されたソフトウ ェアを用いて、データを解析した。 卵母細胞に連続的にカエルリンゲル液(10mMヘペス、pH7.2、115 mMNaCl、1.8mMCaCl2および2.5mMKCl)を注いだ。卵母 細胞を注入しないものでは薬剤の添加による応答は観察されなかった。阻害曲線 (図4B、5Aおよび5Bを参照)のために、アンタゴニストを10μMのアセ チルコリンと同時に加えた。α−ブンガロトキシンとκ−ブンガロトキシン(図 6Aと6Bを参照)の場合は、卵母細胞をこれらの薬剤と30分間プレインキュ ベートした。1回の実験あたり少なくとも4個の卵母細胞のピーク電流の平均と 平均の標準誤差を、図に示した。すべての曲線フィッティングは、シグマ・プロ ット(Sigma Plot)ソフトウェア(ヤンデル・サイエンティフィック(Jandel S cientific))を用いて以下の式により行なった: (i)応答(濃度−応答曲線用)=[(最大−最小)/(1+(EC50/濃度)n )]+最小、および (ii)応答(濃度−阻害曲線用)=[(最大−最小)/(1+(濃度/IC50n )]+最小。 硫酸アトロピン、二酒石酸(−)−ニコチン、塩化(+)−ムスカリン、塩酸 ストリキニーネ、およびオキソトレモリン−Mは、アールビーアイ(RBI)( ナチック(Natick)、マサチューセッツ州)から得、カッパ−ブンガロトキシン は、ブイ・チアピネリ(V.Chiappinelli)博士(セントルイス大学メディカル センター、セントルイス、ミズーリ州)より供与された。すべての他の薬剤は、 シグマ・ケミカル社(Sigma Chemical Co.)(セントルイス、ミズーリ州)から 得た。薬剤は、カエルリンゲル液に溶解した。トキシン溶液にウシ血清アルブミ ン(100mg/ml)を加えた。 例5 in situ ハイブリダイゼーション ラットE16胚の矢状中断面(ハイブリッド−レディ組織(Hybrid-ready tis sue)、ノバゲン(Novagen)、マジソン、ウィスコンシン州)の切片と成体ラッ ト脳の20μm厚の冠状切片を用いて、シモンズ(Simmons)ら(J.Hist otechnol.,12,169−181,1989)の記載したプロトコー ルにより実験を行なった。35S−または32P−標識物RNAプローブを、アルフ ァ9cDNAから得た(例えば、ヌクレオチド283〜806、図1;すなわち 、配列番号1のヌクレオチド455〜979)。ハイブリダイゼーションは65 ℃で行い、最終洗浄は、72℃で0.1×SSC(1×SSCは、180mMN aCl、17mMクエン酸ナトリウム、pH8.0)中で行なった。スラ イドを、コダックNTB−2エマルジョンに浸し、4℃で3週間露光した後コダ ックD19で現像し、次にニス1(Niss1)染色した。 例6 増幅反応 成体のスプラーグ−ドーレイ(Sprague-Dawley)ラットから組織を得た。ラッ トを断頭し、組織を迅速に分離し、液体窒素に浸漬した。チョムクジンスキーと サッキ(Chomczynski and Sacchi)(Analytical Biochem. ,162,156−159,1987を参照)に従って、トリゾール(TRIzol) 試薬(ギブコ・ビーアールエル(GIBCO BRL)、ゲーサーズバーグ(Gaithersbur g)、メリーランド州)を用いて総RNAを単離した。スーパースクリプト・プ レアンプリケーション・システム(Superscript Preamplification System)( ギブコ・ビーアールエル(GIBCO BRL))を用いて、2μgの総RNAから第1 の鎖のcDNAを合成した。50ngのcDNAを含む画分を増幅反応の鋳型と して用いた。アルファ9の以下の特異的プライマーを用いた:センスプライマー 、ヌクレオチド778〜802;アンチセンスプライマー、ヌクレオチド135 3〜1327(図1;それぞれ、配列番号1のヌクレオチド951〜975およ びヌクレオチド1526〜1500)。予測された断片は、1つのイントロン− エキソン境界にまたがる。cDNAからの増幅の場合は573塩基対バンドが予 測され、汚染しているゲノムDNAの増幅からは、約1450塩基対の断片が得 られるであろう。反応は以下の反応混合物中で行なった:5UのTaqDNAポ リメラーゼ、5UのTaqエンハンサー(ストラタジーン(Stratagene)、ラホ イア(La Jolla)、カリホルニア州)、5μMの各プライマー、50μMの各d ATP、dGTP、dCTP、およびdTTP、20mMトリス−塩酸、pH8 .5、10mM(H4N)2SO4、2mMMgSO4、0.1%トリトンX−10 0および0.1mg/mlウシ血清アルブミン。サイクルパラメータは:95℃ で2分の後、次に各55℃で1分、72℃で1分、95℃で30秒を34サイク ル、そして最後に、55℃で1分、72℃で5分を1サイクル。 例7 ラット蝸牛中のアルファ9転写体の検出 アルファ9遺伝子がラット蝸牛中で発現されるかどうかを測定するために、蝸 牛の総RNAから逆転写されたcDNAについて増幅反応を行なった。例5に記 載のように、イントロン−エキソン境界をまたぐ断片を増幅し、さらにゲノムD NAの増幅を避けるために、アルファ9配列に特異的な2つのプライマーを用い た。アルファ9は嗅上皮に存在するため、この組織から得られたcDNAを陽性 対照として使用した。増幅反応に使用したパラメータで、試験した任意の組織中 に非常に少量の転写体が検出される可能性を排除するために、座骨神経cDNA を含めた。アルファ9の特異的プライマー(図8)を用いると座骨神経からDN Aは増幅されなかったが、各特異的プライマーによりこの組織中にアルファ3お よびアルファ4サブユニットが検出された。 アルファ9cDNAからの増幅について、ラットの蝸牛で予測されたサイズ( 573塩基対)の断片が得られた。AccI、HinfIおよびNcoIによる 断片の制限エンドヌクレアーゼ解析により、この断片はアルファ9転写体から得 られたことが確認された。 具体的な態様について本発明を説明したが、本明細書に記載の具体例は本発明 を例示するためのものであることは当業者に容易に理解されるであろう。本発明 の精神と範囲を逸脱することなく、種々の修飾や変更が可能であることは理解す べきである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C12P 21/08 7823−4B C12Q 1/68 A C12Q 1/68 9735−4B C12N 5/00 B (72)発明者 ジョンソン,デビッド エス. アメリカ合衆国 92037 カリフォルニア 州ラ ジョラ,リージェンツ ロード 9152 − エル. (72)発明者 ボールター,ジェームズ リチャード アメリカ合衆国 92075 カリフォルニア 州サン ディエゴ,サウス リオス アベ ニュー 147 (72)発明者 ハイネマン,スチーブン フォックス アメリカ合衆国 92037 カリフォルニア 州ラ ジョラ,クリフリッジ レーン 8481

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体(nAChR)サブユニット をコードする単離された核酸。 2.核酸はDNAを含む、請求の範囲第1項に記載の単離された核酸。 3.DNAはcDNAである、請求の範囲第2項に記載のDNA。 4.DNAは配列番号2に記載のアミノ酸配列をコードする、請求の範囲第2 項に記載のDNA。 5.DNAは、高厳密性条件下で配列番号1に記載のヌクレオチド配列とハイ ブリダイズする、請求の範囲第2項に記載のDNA。 6.DNAのヌクレオチド配列は、配列番号1に記載のヌクレオチド配列と実 質的に同じである、請求の範囲第2項に記載のDNA。 7.請求の範囲第2項に記載のDNAを含むベクター。 8.請求の範囲第7項に記載のベクターを含有する宿主細胞。 9.細胞は、少なくとも1つのアルファ9nAChRサブユニットを含む機能 性nACh受容体を発現する、請求の範囲第8項に記載の宿主細胞。 10.受容体はホモマーである、請求の範囲第9項に記載の宿主細胞。 11.受容体はヘテロマーである、請求の範囲第9項に記載の宿主細胞。 12.請求の範囲第2項に記載の少なくとも14個の連続ヌクレオチドを含む 核酸プローブ。 13.請求の範囲第2項に記載のDNAに相補的な単離されたmRNA。 14.請求の範囲第13項に記載のmRNAに特異的に結合しその翻訳を調節 する、アンチセンスオリゴヌクレオチド。 15.単離されたアルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニット、 およびその生物活性を有する断片。 16.サブユニットは、配列番号2に記載のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列 を有する、請求の範囲第15項に記載の単離されたアルファ9ニコチン性アセチ ルコリン受容体サブユニット。 17.サブユニットは、配列番号2に記載のアミノ酸配列と実質的に同じアミ ノ酸配列を有する、請求の範囲第15項に記載の単離されたアルファ9ニコチン 性アセチルコリン受容体サブユニット。 18.宿主細胞中で組換え発現される機能性ニコチン性アセチルコリン受容体 であって、 (i)下垂体、嗅上皮、蝸牛および舌で発現され、 (ii)アセチルコリンにより活性化されるが、ニコチンとムスカリンにより阻 止され、そして (iii)少なくとも1つのアルファ9アセチルコリン受容体サブユニットを含 む、上記受容体。 19.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットは、配列番号 2に記載のアミノ酸配列と同じアミノ酸配列を有する、請求の範囲第18項に記 載の受容体。 20.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットは、配列番号 2に記載のアミノ酸配列と実質的に同じアミノ酸配列を有する、請求の範囲第1 8項に記載の受容体。 21.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットに特異的に結 合する抗体。 22.抗体はモノクローナル抗体である、請求の範囲第21項に記載の抗体。 23.抗体はポリクローナル抗体である、請求の範囲第21項に記載の抗体。 24.少なくとも1つのアルファ9サブユニットを含むニコチン性アセチルコ リン受容体の発現を調節するのに有効な量の請求の範囲第14項に記載のオリゴ ヌクレオチド、および 細胞膜を通過できる許容される疎水性担体、を含む組成物。 25.少なくとも1つのアルファ9サブユニットを含むニコチン性アセチルコ リン受容体への、天然に存在するリガンドの結合を阻止するのに有効な量の請求 の範囲第21項に記載の抗体、および許容される担体、を含む組成物。 26.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットをコードする DNAを発現するトランスジェニック非ヒト哺乳動物。 27.発現される受容体が野生型のアルファ9ニコチン性アセチルコリン受容 体サブユニットを含有しないように、受容体をコードするDNAが突然変異され ている、請求の範囲第26項に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳動物。 28.トランスジェニック非ヒト哺乳動物はマウスである、請求の範囲第26 項に記載のトランスジェニック非ヒト哺乳動物。 29.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニットをコードする 核酸の同定方法であって、 核酸の集団を含有する試料に請求の範囲第12項に記載のプローブを接触させ( ここで、接触は高厳密性ハイブリダイゼーション条件下で行われる)、そして該 プローブにハイブリダイズする核酸を同定することよりなる、上記方法。 30.請求の範囲第9項に記載の細胞に試験化合物を接触させ、そこに結合す る化合物を同定することよりなる、アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体 サブユニットに結合する化合物の同定方法。 31.少なくとも1つのアルファ9サブユニットを含むニコチン性アセチルコ リン受容体の活性を調節する化合物の同定のためのバイオアッセイであって、請 求の範囲第9項に記載の細胞に、少なくとも1つの化合物(この化合物が受容体 のイオンチャネルを調節する能力は未知である)に接触させ、その後にイオンチ ャネル活性の変化について細胞をモニタリングすることよりなる、上記バイオア ッセイ。 32.細胞が少なくとも1つの可能性のあるアゴニストと接触する、請求の範 囲第31項に記載の方法。 33.細胞が、一定量のアゴニストと増加する量の少なくとも1つの可能性の あるアンタゴニストと接触する、請求の範囲第31項に記載の方法。 34.アルファ9ニコチン性アセチルコリン受容体サブユニット遺伝子の制御 領域を調節する化合物の同定方法であって、 アルファ9遺伝子の制御領域の少なくとも一部(制御遺伝子の該部分は受容体遺 伝子に機能的に結合している)を含む核酸構築体で哺乳動物を形質転換し、形質 転換した細胞に、少なくとも1つの化合物(ここで、この化合物がアルファ9受 容体サブユニット遺伝子の制御領域を調節する能力は未知である)を接触させ、 そして レポーター遺伝子の発現について細胞をモニタリングすることよりなる、上記バ イオアッセイ。
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