JPH08503121A - 中和反応性ヒト抗−gp120組換え抗体、それをコードするdnaおよびその使用 - Google Patents

中和反応性ヒト抗−gp120組換え抗体、それをコードするdnaおよびその使用

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JPH08503121A JP5511177A JP51117792A JPH08503121A JP H08503121 A JPH08503121 A JP H08503121A JP 5511177 A JP5511177 A JP 5511177A JP 51117792 A JP51117792 A JP 51117792A JP H08503121 A JPH08503121 A JP H08503121A
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デイナ・フアーバー・キヤンサー・インステイテユート
ニユー・イングランド・デイーカニス・ホスピタル・コーポレイシヨン
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Abstract

(57)【要約】 本発明は、HIV gp120エンベロープ糖タンパク質上の不連続なエピトープに結合し、gp120とCD4受容体との結合を阻害し、広範囲のHIV単離物を中和する組換えヒトモノクローナル抗体に関する。本発明はまた、本発明の組換えモノクローナル抗体の再配列したHおよびL鎖の主要ヌクレオチドおよび推定アミノ酸配列、ならびにエンベロープ糖タンパク質とCD4受容体との結合を阻害する抗体のスクリーニング法に関する。

Description

【発明の詳細な説明】 中和反応性ヒト抗−GP120組換え抗体、 それをコードするDNAおよびその使用 産業上の利用分野 本発明は、HIV gp120エンベロープ糖タンパク質上の不連続なエピト ープに結合し、gp120とCD4受容体との結合を阻害し、広範囲のHIV単 離物を中和する組換えヒトモノクーナル抗体に関する。本発明はまた、本発明の 組換えモノクーナル抗体の再配列したH鎖およびL鎖の主要ヌクレオチド配列お よび推定アミノ酸配列、ならびにエンベロープ糖タンパク質とCD4受容体との 結合を阻害する抗体のスクリーニング法に関する。発明の背景 ヒト免疫不全ウィルス(HIV1−:HTLV−III、LAVまたはHTLV −III/LAVともいう。)は、後天性免疫不全症候群(AIDS)および関連 疾患の病因物質である[Barre-Sinoussi,et al.,Science,220:868-871(198 3);Gallo,et al.,Science,224:500-503(1984);Levy,et al.,Science ,225:840-842(1984);Popovic,et al.,Science, 224:497-500(1984);Sarngadharan,et al.,Science,224:506-508(1984 );Siegal,et al.,New England Journal ofMedicine,305:1439-1444(1981 )]。この病気は無症候期間が長く、その後、免疫系および中枢神経系の機能低 下が進行することを特徴とする。そのウィルスの研究から、複製がかなり制御さ れること、およびT−リンパ球のCD4陽性ヘルパーサブセットの潜在的な溶解 感染が組織培養に生じることがわかっている。また、感染した患者におけるウィ ルスの発現は、発症の全期間中に感染ウィルスの力価が低い状態に制御されてい ると考えられる。HIV−1の複製およびゲノム構成に関する分子的研究から、 HIV−1が多数の遺伝子をコードしていることがわかる[Ratner,et al.,Na ture,313:277-284(1985);Sanchez-Pescador,et al.,Science,227:484- 492(1985);Muesing,et al.,Nature,313:450-457(1985);Wain-Hobson ,et al.,Cell,40:9-17(1985)]。3個の遺伝子、すなわちgag、pol およびenv遺伝子は全てのレトロウィルスに共通する。また、そのゲノムは、 ほとんどのレトロウィルスで共通しない他の遺伝子、すなわちtat、rev( 以前はartと称された)、nef、vif、vprおよびvpu遺 伝子もコードする[Sodroski,et al.,Science,231:1549-1553(1986);Ary a et al.,Science,229:69-73(1985);Sodroski et al.,Nature,321:412 -417(1986);Feinberg et al.,Cell,46:807-817(1986);Haseltine,Jou rnal ofAcquired Immune Deficiency Syndrome,1:217-240(1988);ohen,et al.,Nature,334:532-534(1988);Wong-Staal,et al.,AIDS Res.and Hu man Retro Viruses,3:33-39(1987)](これらは全て参考として本明細書中 に取り入れる。)。 他のレトロウィルス、特にHIV−2および同様の免疫不全ウィルスであるS IV(以前はSTLV−IIIと称された)のウィルスゲノムのヌクレオチド配列 も、envならびにtat、revおよびnefなどの調節配列を含む構造遺伝 子を含む[Guyader,et al.,Nature,326:662-669(1987);Chakrabarti,et al.,Nature,328:543-547(1987)](これらは参考として本明細書中に取り 入れる。)。これら3種類のHIVウィルスは、配列に変動があるとしても、同 様の遺伝子構成を有する。 HIV−1、HIV−2およびSIVのenv遺伝子は全て、エンベロープ糖 タンパク質を産生し、それは切断されて一部が外部ウィルスエンベロープタンパ ク質のサブユニットとなる。 これをgp120と称する。HIV−1、HIV−2およびSIVウィルスと細 胞との結合および融合は、このgp120ウィルスエンベロープタンパク質の外 部サブユニットと標的細胞表面上のCD4受容体との間の特定の相互作用により 仲介される[Berger et al.,PNAS,85:2357-2361(1988)]。 HIVによる感染の第一段階は、gp120、すなわちエンベロープ糖タンパ ク質とその細胞受容体であるCD4分子との特異的結合である[Dalgleish,et al.,Nature,312:763-767(1984);Klatzmann,et al.,Nature,312:767-7 68(1984)]。HIVによる感染は、ほとんどの場合、CD4+ T細胞の数お よび機能の漸次的低下を招き、その結果、日和見感染症および悪性疾患、すなわ ちAIDSなどの細胞性免疫不全が臨床的に発現する[Fauci et al.,Ann.Int .Med.,100:92-99(1984)]。 HIV−1 gp120と反応する血清抗体は、分子上のいくつかの部位に結 合することによってウィルス感染を中和することができる[Haigwood,et al., Vaccines,90:313-320(1990);Steimer,et al.,Science,254:105-108(1 991)]。ヒト抗体の最も早い中和反応は、gp120の第三超可変部に おけるエピトープ、すなわちジスルフィド結合によって形成されるループ内に含 まれる主要中和ドメインに特異的である[Rusche,et al.,PNAS,85:3198-320 2(1988);Goudsmit et al.,PNAS 85:4478-4482(1988);Palker,et al., 85:1932-1936(1988)]。これらの抗体は株に特異的である場合が多い[Kang ,et al.,PNAS,88:6171-6175(1991)]。線状エピトープ内およびエピトー プ外の両方でエンベロープ糖タンパク質が変化すると、ウィルスは、これらの抗 体による中和を逃れることができる[McKeating,et al.,AIDS,3:777-783(1 989);Looney,et al.,Science,241:357-360(1988)]。HIV感染が末期 になるほどより広範囲に中和する抗体が現れる[Ho,et al.,J.Virol.,61:2 024-2028(1987)]。患者の血清中に低濃度で存在するこれらの広範囲に中和す る抗体の大フラクションは、gp120上の立体構造に敏感なエピトープに特異 的である[Nara,et al.,J.Virol.,61:3173-3180(1987);Goudsmit,et a l.,Vaccine,6:229-238(1988)]。患者の血清に存在する広範囲に反応する 抗体のサブセットは、gp120とCD4との結合を阻害する[Steimer,et al .,supra;Rusche,et al.,supra;McDougal,et al.,J.Immunol.,137:293 7-2944 (1986);Ardman,et al.,J.AIDS,3:206-214(1990);Schnittman,et al .,J.Immunol.,141:4181-4186(1988)]。これらの抗体はCD4結合領域を 含むgp120上の不連続エピトープと反応すると考えられる[Oleshevsky,et al.,J.Virol.,64:5701-5707(1990);Thali,et al.,J.Viro.,65:618 8-6193(1991)。このgp120の領域は、不変ではないけれども、よく保存さ れている。 そのような抗体の一つであるモノクローナル抗体(Mab)はF105と称す るIgG1K Mabであり、多数の異なるHIV−1単離物を中和し、HIV −1/gp120上のCD4−結合部位内にあるかまたはその部位に位置的に近 いと思われる立体構造的に規定されたエピトープと反応する。さらに、F105 はHIVIII BとHT−H9細胞との結合を阻止することが報告されており、適 切な濃度でこれらの細胞の感染を防ぐ[Thali,et al.,supra;Posner,et al. ,J.Immunol.,88:6171-6175(1991)]。しかし、この抗体は、ハイブリドー マから単離されただけである。すなわち、入手できるのはほんの少量で、しかも 純度が低い。そのような抗体が組換えDNA法によって生産されるならば有益で ある。そうすれば、その抗体 をコードする組換えDNAが利用でき、より抗原親和性の大きい抗体の変異種の 生産が可能になるであろう。さらに、この抗体の結合親和力の増大が可能であり 、その抗体によって中和されるHIVおよびSIV株が増加するようにこの抗体 を作製することができるならば望ましい。また、この抗体をコードするDNAの ヌクレオチド配列を知ることも望ましい。免疫不全疾患の診断および治療に対し ては、gp120のCD4結合ドメインまたはその付近に特異的である中和域の 広いヒト抗体の分子的性質を理解することが重要である。発明の概要 本発明により、本発明者らは、gp120のCD4結合ドメインまたはその近 傍において結合活性を有する組換えモノクローナル抗体の作製を行った。また、 本発明の組換えモノクーナル抗体の再配列したH鎖およびL鎖の主要ヌクレオチ ド配列および推定アミノ酸配列も開示する。本発明の組換え抗体は、種々のHI VおよびSIV単離物、特にHIV−1単離物を広範囲で中和する。好ましくは 、HIV−1/gp120上の立体構造的に規定された(理論に縛られたくはな いが、CD4−結合部位と場所的に近いと思われる)エピトープと反応する。 また、哺乳動物、特にヒトの免疫不全疾患を治療したり最小にする方法も開示 する。この方法は、治療に有効な量の本発明の抗体を投与してHIV感染を予防 するか、および/または進行を抑えることを含む。 本発明の別の態様は、本発明の組換えモノクローナル抗体の接合体および細胞 毒成分(例えば、イムノトキシン)に関する。 別の態様によれば、本発明は、患者およびボランティアの病気の進行を、DN Aのスクリーニングによって診断および研究するための簡単なアッセイ法を可能 とする。 本発明はまた、gp120エピトープに対する結合親和力の程度が異なる他の 抗体をスクリーニングし、クローン化するための簡単なアッセイ法を可能にする 。好ましくは、gp120エピトープがCD4−結合部位またはその付近のもの である。 図面の簡単な説明 図1Aおよび1Bは、免疫グロブリン遺伝子およびPCRプライマーの位置を 示す図である。免疫グロブリン遺伝子のH鎖(図1A)およびL鎖(図1B)は 、指示したV、DおよびJセグメントならびに不変領域で示す。また、CDR領 域も示す。ゲノムDNAまたはcDNAのPCR増幅用プライマーは、F vおよびFabの両方の遺伝子増幅に対して示す。 図2は、VHおよびVL遺伝子をpEtpelBベクター内にクローン化するた めの方法を示す図である。 図3は、VHおよびVLを単一のベクターから発現する方法およびその一本鎖F v(sFv)発現体の構築を示す図である。 図4A〜4Cは、pETpelBベクター(rF105 Fab)を使用した F105 Fab抗体断片の調製を示す。プラスミドpETpelBTag(F 105の再配列したVHおよびVL遺伝子を含む)をBL21(DE3)に移入し て形質転換し、O.D.600が0.6に達した後、1mMのIPTGで誘発した (コントロールはIPTGを含まない)。37℃で2時間インキュベーションし た後、バクテリアを採取した。 図4Aは、全細胞溶解物の12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルのクー マシーブルー染色を示す図である。図4Bは、ウサギ抗−VH−4FR1〔Silve rman,et al.,Eur.J.Immunol.,20:351-356(1990)〕(Dr.Gregg Silverma n,University of California,San diegoからの供与)をプローブとするF10 5 VH−tag融合タンパク質のウェスタンブロットを示す図である。高レベ ルのVHタンパク質は、 IPTGで誘発した後にのみ、このプラスミド/宿主系で誘導された。pETp elBベクターを含みVH遺伝子は挿入しなかったコントロールのBL21(D E3)バクテリアのウェスタンブロットにおいては、たとえIPTG誘発後でも 、特定のタンパク質は検出されなかった(データは示さず)。ウサギ抗−アンギ オテンシン(anti-angiotension)I(抗−tag)を主要抗体として使用する と、同一の結果が得られた(データは示さず)。図4Cは、ヤギ抗−K鎖抗体( Souther Biotechnology Associates)をプローブとするF105 VLタンパク 質のウェスタンブロットを示す図である。上方のバンドは、pelBシグナルペ プチドが切断される前の前駆体タンパク質を表し、他の構築物にも見られる(Gl ockshuber,et al.,Biochem.,29:1362-1367(1990)〕。 図5は、BL21(DE3)で産生されたrF105 Fabとのgp120 の結合活性の検出を示す。ImMのIPTGによる誘発の2時間後、ペリプラズ ム細胞下画分が、F105 Fabカセットを含むpETpelB tagベク ターによって形質転換したBL21(DE3)から得られた。次いで、ペリプラ ズム画分の濃縮試料を、rgp120で被覆したEL ISAプレート(American Biotechnology,Inc.,Cambridge,MA)上でインキ ュベートした。F105 Fab(パパインの分解によって得た)およびrF1 05 Fab両者のgp120に対する結合は、ヤギの抗K鎖抗体により検出さ れ、次いで、酵素としてアルカリ性ホスファターゼを使用した免疫検出を行った 。 図6は、rF105 Fab抗体断片のアフィニティーカラム精製の結果を示 す。F105 Fabカセットを含むpETpelB tagベクターによって 形質転換したBL21(DE3)のペリプラズム調製物をgp120アフィニテ ィーカラムに通した。結合したrF105 Fabをグリシン−HCl(pH2 .6)で溶離し、次いで、1MのTris−HCl(pH8.0)で中和した。 次いで、プールした画分を図5のようにgp120を被覆したプレート上でEL ISAにより分析した。 図7は、sFvとして表されるランダムな組み合わせライブラリーを直接的に 生成するために使用する方法を示すものである。逆方向JHプライマーおよび正 方向VKプライマーの5’末端は、互いに完全に相補的であり、鎖間のリンカー 配列 (Gly4−Ser)3をコードする45個のヌクレオチドから成る。また、鎖間 のリンカーの内部制限部位BspEIが導入され、JHおよびVKプライマーの境 界には、後のリンカー交換実験を容易にするためにBstEIIおよびSacI部 位を含む。H鎖およびL鎖は個々にPCR法で増幅し、BspEIで消化し、B spEI付着末端によってフレーム内で連結する。こうすることにより、鎖間の リンカーを加える必要がないと同時に、sFvのランダムな組み合わせライブラ リーの生成が容易になる。750bp産物(sFv)はゲル精製し、適当な酵素 で消化した後、pETpelB発現ベクターまたは中間の二重鎖fd−tetフ ァージ抗体発現ベクター内に直接クローン化する。 図8は、単一段階のクローン化によるF105 sFvの産生を示す図である 。H鎖およびL鎖PCR断片を各々NotI/BspEIおよびBspEI/X baIで消化して連結すると、F105 sFvのpSL1180でのクローン 化が成功した。次いで、このカセットをNotI/BglIIで消化することによ って取り出し、小さいpETpelB発現ベクター内にクローン化した。なお、 このF105 sFv構築物の場合、 NcoI部位の代わりに5’VH NotI部位を含むPCRプライマーを使用 し、NotIクローニング部位を含む対応のpETpelBシグナル配列を使用 した。 図9A〜9Cは、pETpelBベクター(rF105 sFv)を使用した F105 sFv抗体断片の産生を示す。プラスミドpETpelB(F105 sFv遺伝子を含む)をBL21(DE3)に移入して形質転換し、O.D.600 が0.6に達すると1mMのIPTGによる誘発を行った(コントロールは IPTGを含まない)。バクテリアは37℃で2時間インキュベートした後、採 取した。図9Aは全細胞溶解物の12.5%SDS−ポリアクリルアミドゲルの クーマシーブル一染色を示す図である。図9Bは、ウサギ抗VH FRI抗血清 をプローブとするF105 sFvタンパク質のウェスタンブロットを示す図で ある。図9Cは、ヤギ抗K鎖抗体をプローブとするF105 sFvタンパク質 のウェスタンブロットを示す図である。 図10は、rF105 sFv抗体断片のアフィニティーカラム精製の結果を 示す。F105 sFvカセットを含むpETpelBベクターによって形質転 換したBL21(DE3) のペリプラズム調製物をgp120アフィニティーカラムに通した。結合したr F105 sFvをグリシン−HCl(pH2.6)で溶離し、次いで、1Mの Tris−HCl(pH8.0)で中和した。次いで、プールした画分をgp1 20を被覆したプレート上でELISAにより分析した。 図11は、階層的およびランダムな組み合わせのライブラリーの増幅のための 、F105から誘導される鎖間リンカープライマーの設計を示す。この態様では 、F105 sFvを、フランキング5’JH枠組み配列および3’VK枠組み配 列を含む(Gly4−Ser)3鎖間リンカーのPCR増幅のために使用する。 図12は、JHからの5’フランキング配列およびVKからの3’フランキング 配列を含む、F105 sFvから誘導される鎖間リンカーのPCR増幅を示す 。 図13は、ファージ抗体の生成を示す説明図である。複製−コンピテントfd ファージをコードするfd−tetプラスミドは、突然変異誘発のための一本鎖 DNAの生成に使用される。KpnIおよびEagI部位をバクテリアF線毛へ の付着のための吸収タンパク質をコードする遺伝子IIIに、遺伝子IIIの アミノ酸コード配列を変えることなく導入する。枠内の一本鎖sFv遺伝子と遺 伝子IIIとの連結部を導入する合成オリゴヌクレオチドをKpnIおよびEag I部位に挿入する。次いで、sFv挿入物の残りは、XhoIおよびPvuII部 位を使用してsFv中にクローン化する。 図14は、HIV−1感染患者HIV−51のPBLからの階層的およびラン ダムな組み合わせの免疫グロブリン遺伝子のPCR増幅を示す。VH階層的ライ ブラリーは、VH71−4およびHumvk325リーダー配列プライマーを使 用するPCR増幅によって作製するが、H鎖遺伝子の場合は、縮退VHプライマ ーを使用するPCR増幅によってランダムな組み合わせのライブラリーを作製す る。この実験では、PCRサイクルを30回とし、5%のcDNAを使用した。 プライマー=A VH 71−4リーダー、JH BssH IIプライマー;B VH NotI リーダー、JH BssH IIプライマー;cDNA=D Ig G、Hinge cDNA、Eオリゴdt cDNA。 図15は、HIV−1感染患者HIV−51のPBLからの階層的およびラン ダムな組み合わせの免疫グロブリン遺伝 子のPCR増幅を示す。VLライブラリーは、Humvkリーダー配列プライマ ーを使用して作製する。プライマー=AHumvk325リーダー、CK Ba mHIプライマー;cDNA=B Ck cDNA、Cオリゴdt cDNA。発明の詳細な説明 本発明は、組換え技術により生産されるモノクローナル抗体に関する。例えば 、H鎖またはL鎖の可変ドメインをコードする再配列遺伝子は、例えばクローン 化または遺伝子合成を行い、適当な発現ベクターに組み込むことにより得ること ができる。次いで、その発現ベクターを使用して受容可能な宿主細胞を形質転換 し、それを培養して免疫グロブリンまたはその断片を発現させ、好ましくは分泌 させる。当業者であれば一本鎖クローニング法または二本鎖法を使用することが できるが、一本鎖法が好ましい。 本発明によれば、可変領域のH鎖および可変領域のL鎖を再配列したF105 をコードするcDNAをクローン化し、それらのヌクレオチド配列および推測さ れるアミノ酸配列をSEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3およびSEQ ID NO:4として配列表に記載す る。 F105のH鎖またはL鎖可変領域(各々、VHおよびVL)のクローン化に使 用できる方法の一つは、SEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3 の合成またはスクリーニングを行うことである。その後、プロモータに作動可能 に連結したSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3を含むDNA セグメントを作製し、その配列を選択した原核および/または真核細胞宿主で発 現させる。該プロモータは、当業者であれば、当業者が宿主として使用しようと する特定の宿主細胞に応じて容易に選択することができる。例えば、z10また はSV40などのウィルスプロモータが好ましい。好ましくは、そのDNAセグ メントがSEQ ID NO:1およびSEQ ID NO:3の両方を含む。 SEQ ID NO:5(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3などの 可撓性リンカーペプチドを使用することもできる。SEQ IDNO:1および SEQ ID NO:3は同一のプロモータに作動可能に連結することができ、 あるいは別のプロモータに作動可能に連結してもよい。 そのようなDNAセグメントの作製法の一つは、下記要素を 組み合わせたものである[Huse,et al.,Science,246:1275-1281(1989)] : 1.免疫範囲の実質的部分を含む核酸の単離; 2.免疫グロブリンのVHおよび/またはVL領域の遺伝子を含むポリヌクレオチ ドセグメントをクローン化するためのポリヌクレオチドプライマーの作製; 3.その免疫範囲由来の複数の異なるVHおよびVL遺伝子を含む遺伝子ライブラ リーの作製。 その後、VHおよび/またはVLのポリヌクレオチドは原核および真核細胞宿主 などの適当な宿主で発現させることができる。宿主細胞は異なっても別々でも同 一でもよく、発現ベクターも同じでも異なっていてもよい。そして、発現させた ポリペプチドを予め選択した活性(例えば、gp120に対する親和結合性、H IV(および/またはSIV)単離物に対するin vitro 中和能力)に 対してスクリーニングし、スクリーニング工程で同定されたVHおよび/または VLをコードする遺伝子を分離する。上記の親和性および中和アッセイを以下で 詳細に述べる。 その免疫遺伝子範囲の実質的部分を含む核酸は、不均一集団 の抗体産生細胞、すなわちB−リンパ球(B細胞)、好ましくは、HIVもしく はHIVワクチンに感染した、またはHIVもしくはgp120エンベロープ糖 タンパク質で免疫感作もしくは部分的に免疫感作した脊椎動物の循環または脾臓 にある再配列B細胞から単離することができる。そのようなリンパ球としては、 例えば末梢血リンパ球(PBL)が挙げられる。 本発明によれば、好ましくは、免疫グロブリンをコードするDNA配列をモノ クローナル抗体を分泌するハイブリドーマから単離する。そのようなハイブリド ーマは、公知の利用できる方法により容易に得ることができる[Kohler,et al. ,Nature,256:495(1975)](これは参考として本明細書中に組み入れる)。 典型的には、抗体産生細胞とミエローマ細胞などの不死化細胞系との融合に関連 する。 一具体例では、マウスにgp120エンベロープ糖タンパク質を免疫感作させ ることによりハイブリドーマを得ることができる。マウスは、十分な量のペプチ ドにより腹腔内(i.p.)に免疫感作することができる。次いで、直ちに、例 えばシクロホスファミド/水のi.p.注射を行うことができる。シクロホスフ ァミド処理は、最初の注射の1日および2日後に繰り返 す。免疫感作の約2週間後、マウスに再び十分な量のペプチドを注射し、次いで 、さらに2週間休止する。第二注射の4日後、その動物を屠殺し、第一融合のた めに脾臓を取り出した。 ハイブリドーマは、ポリエチレングリコール(PEG)法によりSP2/0ミ エローマ細胞を、典型的な方法により例えば免疫感作したマウス由来の細胞と融 合することにより作る。細胞は免疫感作したマウスから無菌的に取り出し、脾臓 細胞の単細胞懸濁物は脾臓を無血清培地(例えば、DME)と予め融合すること により得る。脾臓細胞とミエローマ細胞とを例えば5:1(脾臓細胞:ミエロー マ細胞)の比で混合する。次いで、遠心分離を行ってその上清を吸引により取り 除く。次いで、常法により細胞を培地内で増殖させる。融合操作後に増殖したハ イブリドーマは、次いで、細胞溶解物に対するELISA法により、gp120 エピトープに特異的な抗体の分泌に対してスクリーニングを行う。陽性結果が得 られたハイブリドーマは限界希釈法により増殖・クローン化して、その細胞およ び得られる抗体が実際にモノクローナルであることを確認する。所望のgp12 0エピトープの一つに対する抗体の存在が陽性であるハイブリドーマコロニーは 、培地中で、例えば5個のハイブリ ドーマ細胞/mlの濃度まで希釈する。コロニーが成長したら、再びgp120 エピトープに対する抗体の存在に関してその上清をテストする。ELISA法で テストした結果が陽性である場合は、コロニーを再度限界希釈法によりクローン 化する。 好ましい態様によれば、抗体の産生を引き出すためにHIV−1またはHIV −2のgp120を使用する。HIV−1gp120の使用が好ましい。 好ましい態様では、EBV形質転換細胞を非分泌型ヒト−マウスメラノーマ類 似体であるHMMA2.11TG/0細胞系と融合することにより誘導されるF 105ハイブリドーマからDNAを得る[Posner,et al.,J.Immunol.,88:6 171-6175(1991)]。 本発明の免疫グロブリン遺伝子は、可変領域を発現する遺伝子を含むゲノム材 料または可変領域の転写を表すメッセンジャーRNA(mRNA)から単離する ことができる。再配列していないB−リンパ球以外から得たゲノムDNAを使用 する場合は、その配列がイントロンにより分離しているので、可変領域をコード する配列の位置付けには注意すべきである。これは、当業者であれば本明細書の 記載に基づいて容易に行うことがで きる。適切なエキソンを含むDNA断片を単離し、イントロンは切り取って適正 な順序および方向でスプライシングする。再配列したB細胞を使用する別の方法 は、CDおよびJ免疫グロブリン遺伝子領域が隣接するように移動しているので 好ましく、その結果、配列は可変領域全体に対して連続している(イントロンを 含まない)。mRNAを使用する場合、RNAseを阻害する条件下で細胞を溶 解しなければならない。mRNAは他のRNAからオリゴ−dTクロマトグラフ ィーにより分離することができる。次いで、相補鎖であるcDNAを、mRNA を鋳型にし、逆転写酵素および適当なプライマーを使用して合成し、RNA−D NAヘテロ二本鎖を得ることができる[Gubler,et al.,Gene,25:263-269(1 983)]。第二のDNA鎖は、いくつかの方法により作ることができ、例えば、 mRNA鎖のRNA断片(RNA−DNAヘテロニ本鎖をRNAseとともにイ ンキュベートすることにより得る)をプライマーとし、DNAポリメラーゼを使 用するか、あるいは、最初のDNA鎖の3’末端に対してアニールする合成オリ ゴデオキシヌクレオチドをプライマーとし、DNAポリメラーゼを使用して作る 。 上記ds cDNAを作る場合は、CH1ドメイン(H鎖可 変ドメインの場合)またはCGもしくはCXドメイン(L鎖可変ドメインの場合 )にある配列に対してアニールする正方向プライマーを使用することができる。 これらのプライマーは、標的とする配列に十分接近して位置してその配列をクロ ーン化することができ、本明細書の記載から容易に決定することができる。 逆方向(back)プライマーは、VH1、VXまたはVGドメインのN末端にあ る配列に対してアニールするものであればよい。逆方向プライマーは、公知の種 々のファミリーのVH1、VXまたはVG配列に対して相補的であるように設計 された種々の配列を有する多数のプライマーから構成されてもよい。あるいは、 逆方向プライマーが全ての可変領域遺伝子ファミリーから得られる認識配列を有 する単一プライマーであってもよい。 オリゴヌクレオチドプライマーは、特定の標的配列に関して使用するために、 例えばSEQ ID NO:1および/またはSEQ ID NO:3のような 配列に基づいて特定的に設計してもよい。 ポリメラーゼ連鎖反応(PCR法)を使用してVHおよびVLをコードするD NA相同体を増幅するためには、増幅すべ き核酸の各々のコーディング鎖に対して2個のプライマーを使用しなければなら ない。第一のプライマーは、一部が非センス(マイナスまたは相補的)鎖になり 、免疫レパートリー内のVH(プラス)鎖間で保存されるヌクレオチド配列とハ イブリッドする。従って、VHをコードするDNA相同体を得るには、第一プラ イマーを、免疫グロブリン遺伝子のJ領域、CH1領域、ヒンジ領域、CH2領 域またはCH3領域内の保存領域とハイブリダイズする(すなわち、相補的であ る)ように選択する。J、CH1およびヒンジ領域に対するプライマーが好まし い。VLをコードするDNA相同体を得るには、第一プライマーを、J領域内の 保存領域または免疫グロブリンL鎖遺伝子の不変領域とハイブリッド形成するよ うに選択する。VHをコードするDNA相同体を得るには、第二プライマーを、 例えばリーダーまたは第一枠組み領域をコードする領域におけるような、VHを コードする免疫グロブリン遺伝子の5’末端で保存されるヌクレオチド配列とハ イブリッド形成するように選択する。VHおよびVLをコードするDNA相同体の 増幅では、第二プライマーの保存される5’ヌクレオチド配列が、Loh,et al. ,Science,243:217-220(1989)に記載されているように、末端 デオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼを使用して外因的に付加した配列と 相補的であってもよい。第一および第二プライマーの一方または両方は、エンド ヌクレアーゼ制限部位を規定するヌクレオチド配列を含むことができる。その部 位は、増幅される免疫グロブリン遺伝子に対して異種であってもよく、典型的に はそのプライマーの5’末端またはその付近に位置する。制限部位を有するプラ イマーを使用すると、5’または3’に突出するヌクレオチドを残すDNAを少 なくとも1個の制限酵素で切断することができるという利点を有する。そのよう なDNAはベクター上の対応する部位に組み込むことにより、その方法から直接 得られる平滑末端を有する断片よりも容易にクローン化される。そのサイクルの 最後に得られる二本鎖cDNAは、本明細書の記載に基づいて経験的に選択でき る適切な制限酵素を使用してクローニングベクターに容易に挿入することができ る。好ましくは、その遺伝子によってコードされる免疫グロブリンまたはその断 片が発現される発現ベクターにおいてds cDNAが直接クローン化されるよ うに制限部位を選択する。 好ましくは、H鎖プライマー対がVHプライマーおよびJH プライマーから成り、各々がクローニングに都合の良い制限部位を含む。例えば 、免疫グロブリンに関するKabatのデータベース[Kabat,et al.,″Sequences of Proteins of Immunological Interest″,4th Ed.(U.S.Department of H ealth and Human Services)(1987)]を使用すると、6組の別個のヒトVHフ ァミリーに見られるアミノ酸およびコドン分布を分析することができる。例えば 、35塩基対の5’VHプライマーは、4箇所で2個の異なるヌクレオチドが縮 退するように設計した。NotI部位は増幅したDNAをクローン化するために 使用することができ、VH遺伝子の第一コドンのすぐ隣の5’側に位置する。図 1Aを参照。同様に、35塩基対のJH領域のオリゴヌクレオチドは、H鎖可変 遺伝子の3’末端で逆方向プライマーとなるよう設計することができる。6種類 のヒトJH領域のミニ遺伝子のヌクレオチド配列に基づくと、このプライマーは 、3個の縮退位置を含み、各箇所に2個のヌクレオチドを有する。J領域の最後 のアミノ酸を決定するコドンのすぐ隣の3’側にあるBssHII部位は、VH遺 伝子の3’末端でのクローン化に都合が良い。 同様の方法を使用して、ヒトL鎖可変領域遺伝子用のPCR プライマーを設計することができる。図1B参照。ヒトK(VK/JK対)または G(VG/JG対)のL鎖遺伝子の増幅用プライマーは、例えば、指針としてKaba tのデータベースを使用して合成する。KのL鎖領域のプライマーに関しては、 4組のヒトVK遺伝子ファミリーがあるため、5’VKプライマーが3箇所で退 縮(各々2個のヌクレオチド)するのが好ましく、上述したVH領域のプライマ ーと同様の位置にNotI部位を含む。5個のヒトJKミニ遺伝子の配列から設 計した39対の逆方向JKプライマーは、3箇所で退縮(各位置で2個のヌクレ オチド)するのが好ましく、JKをコードする領域のフランキング位置にBam HI部位を含む。同一の制限エンドヌクレアーゼ部位が、GのL鎖遺伝子用プラ イマー上に存在する。 プライマーは、アニールされる標的配列に対して正確に相補的である配列を有 する必要はなく、例えばヌクレオチドの変化または制限酵素部位の導入のため、 違いが生じる可能性がある。アニーリング混合物の条件は、アニーリング条件を あまり厳しくしないことによりプライマーがds核酸にアニールできるように調 節することができる。これは、当業者の力量内で十分で ある。 この方法で使用するDNAポリメラーゼは周知のDNAポリメラーゼであれば 何でもよく、例えば市販のものがある。各ポリメラーゼに対して使用する条件は 周知である。ポリメラーゼ反応は4種類のヌクレオシド三リン酸の存在下で行わ れる。これらおよびポリメラーゼ酵素は試料にすでに存在していてもよく、また は各サイクルごとに新しく供給してもよい。 DNA鎖の変性は公知のどんな方法で行ってもよく、例えば試料を加熱して行 う。加熱を使用して方法をコントロールする場合、加熱の適切なサイクルは、約 95℃で約1分の変性、30〜65℃で約1分のアニーリングおよび約75℃で 約2分のプライマー伸長を含む。伸長および再生を確実に完全に行うには、最終 サイクル後の混合物を約60℃で約5分保持するのが好ましい。 生成した二本鎖cDNAはその混合物から、例えばアガロースゲルを使用する ゲル−電気泳動により分離することができる。しかし、所望により、二本鎖cD NAを未精製のままで使用し、常法によって適当なクローニングまたは発現ベク ターに直接挿入してもよい。これは、プライマーが制限酵素認識部位を含む 場合は特に容易に行われる。 増幅されたVHおよびVL断片は、これらの配列のバクテリア発現用に設計した ベクター(pETpelBプラスミドなど)に組み込んで個々にクローン化する ことができる。図2および3参照。pETpelBベクターは、z10プロモー タ(T7 RNAポリメラーゼの場合)およびT7バクテリオファージ由来のT z転写終結シグナルとともに図2に示す[Rosenberg,et al.,Gene,56:125-1 35(1987)]。シグナルペプチド切断部位を含むシグナル配列[Lei,et al.,J .Bact.,169:4379-4383(1987)]は、「pelBシグナルペプチド」と命名 し、これは、NcoI(またはNotI)部位にクローン化されるN末端可変遺 伝子上に融合される。pelBシグナル配列のすぐ上流は、大腸菌において翻訳 するためのリボソーム結合部位である。このベクターによって発現されるいくつ かのタンパク質のC末端上に融合されるのは「tag」配列であり、抗tag血 清によって認識されるアンギオテンシンI由来の小さいペプチドである[Ward, et al.,Nature,341:544-546(1989)]。ベクター中へのH鎖遺伝子のクロー ン化はPCRプライマーのNcoI(またはNotI)およびBssHII部位を 利用し、 一方L鎖のクローン化は同じくNcoI(またはNotI)と3’BamHI部 位を利用する。なお、この方法を使用すると、H鎖のみがtag配列に融合され る。Amp=アンピシリナーゼ遺伝子;ori=大腸菌複製起点。わかりやすく するために、すべてのセグメントが一定の比率で描かれているわけではない。 抗体遺伝子断片のバクテリア発現に関するこのプラスミドの特徴を以下に述べ る。クローン化のために、pETpelBベクターは単一の5’NotI部位お よび単一の3’部位(VH遺伝子に対してはBssHIIであり、VL遺伝子に対し てはBamHI)を含む。このプラスミドを使用する場合は、PCR増幅遺伝子 をNotIおよびBssHII(またはBamHI)で消化した後、低融点アガロ ースゲルから精製し、ベクター中にクローン化するのが好ましい。クローン化さ れた可変領域配列のDNA配列を得るには、ジデオキシDNAのシークェンスを するためのプライマーとして、挿入物の隣のベクター配列に相補的なオリゴヌク レオチドを使用する[Sanger,et al.,PNAS,74:5463-5467(1977)]。プラ スミド挿入物の両鎖の配列は3個の独立したクローンに対して決定してシークェ ンス誤差またはPCRアーチファクトを最少にすることができる。 図3はVHおよびVL発現のための方法ならびに一本鎖Fv発現ベクターの構築を 示す。L鎖発現ベクター(図2)から得られるXbaI−Hind III断片は 、SpeI−Hind IIIで消化したH鎖ベクター中にクローン化される。と いうのは、XbaIおよびSpeIが5’端に適合する突き出た一本鎖を残すか らである。すなわち、単一のプラスミドを使用してH鎖およびL鎖の両方を単一 のバクテリアでdicistronicメッセージにより発現することができる。RIBI SI=リボソーム結合部位。一本鎖Fv(sFv)発現ベクターを作るには、VH /VL発現ベクターを、各々、H鎖遺伝子の3’端およびL鎖遺伝子の5’端内 で切断するBstEIIおよびSacIで消化する。合成リンカーを挿入するとVH の3’端およびVLの5’端が再構成され、可撓性リンカーペプチド(Gly− Gly−Gly−Gly−Ser)3(SEQ ID NO:5)によって二つ の鎖を連結することができる。すなわち、pelBシグナル配列、VHセグメン ト、リンカーペプチドおよびVLセグメントを含む1個のタンパク質がz10プ ロモータの制御下で合成される。 ムテイン(mutein)もこの方法により得ることができる。例 えば、これは、少なくとも一個のプライマーとして関連オリゴヌクレオチドプラ イマーの混合物を使用することにより達成することができる。好ましくは、プラ イマーの中央部が特に可変であり、5’端および3’端が比較的保存されたプラ イマーである。プライマーの両端が可変ドメインの枠組み領域に相補的であり、 プライマー中央部の可変領域がCDRの全部または一部をカバーするのが好まし い。好ましくは、正方向プライマーを第三CDRを形成する部分で使用する。そ の方法をそのようなオリゴヌクレオチドの混合物を使用して行う場合、産物は可 変ドメインをコードする配列の混合物になるであろう。いくつかの突然変異を誘 発するヌクレオシド三リン酸を混合すると配列の置き換えが生じ、その結果、点 突然変異が標的領域全体に散在する。あるいは、増幅サイクルを多くすることに よっても点突然変異が導入されるが、DNAポリメラーゼの自然のエラー率のた め、特に高濃度のヌクレオシド三リン酸を使用すると誤差が増幅される。以下で 述べるように、そのようなムテインは、スクリーニングすることにより、標準M ab(例えば、rF105 Mab)と比較して、発現する抗体の結合親和力を 増大させるかどうか、または抗体の中和力に影響を及ぼすか どうかをみることができる。 本発明のDNAセグメントを有する発現ベクターは容易に作ることができる。 例えば、DNAセグメントが二本鎖cDNAの場合は、発現ベクター中に直接ク ローン化することができる。宿主は原核生物でも真核生物でもよいが、バクテリ アが好ましい。好ましくは、プライマーおよびベクターの制限部位ならびにベク ターの他の特徴を選択することにより機能性免疫グロブリンまたはその断片を発 現させる。例えば、ムテイン遺伝子の発現では、プライマーを、少なくとも全部 で3個のCDR配列を含む標的配列のクローニングが可能であるように選択する 。クローニングベクターは、好ましくは、シグナル配列(分泌用)ならびに第一 枠組み領域のN=末端、クローニング用の制限部位および最後(第四)の枠組み 領域のC−末端をコードする配列をコードし、全ての配列は好ましくは連結して いる。DNAセグメントは、プロモータに連結して発現を可能にする。 H鎖の可変ドメインは、個々のドメインとして、または相補的なL鎖の可変領 域とともに発現する場合は抗原結合部位として発現することができる。好ましく は、二つの鎖を同一の細胞で発現するか同一の細胞から分泌し、そのタンパク質 は非共有 的に会合させてFv断片を形成する。 相補的な配列をコードする2個の遺伝子は、縦列に配置して、2組の制限部位 を有する単一のベクターから発現させることができる。 好ましくは、遺伝子を順次導入する。例えば、H鎖の可変ドメインを最初にク ローン化し、次いでL鎖の可変ドメインをクローン化することができる。あるい は、2個の遺伝子を一段階でベクターに導入する。これは、例えば、PCR法を 使用して、本明細書およびIanとFreed,Hybridoma Technology in theBioscienc es of Medicine,103-115(1985)の方法により、必要な介在配列とともに各々 の遺伝子を結合させることにより行う。 二つの鎖はまた、上記と同様のベクター(例えば、pETpelB)を使用す ることにより連結タンパク質として発現させて、一本鎖Fv断片(sFv)を得 ることもできる。さらに別の方法としては、2個の遺伝子を2種類のベクター( 例えば、一方のベクターがファージベクターで、他方がプラスミドベクター)に 組み込んでもよい。 また、クローン配列を発現ベクターに挿入して融合タンパク 質として発現させることもできる。可変ドメインをコードする配列は直接、また はリンカー配列を介して、タンパク質エフェクター分子(毒素、酵素、ラベルま たは他のリガンドなど)をコードするDNA配列に連結することができる。可変 ドメイン配列はまた、バクテリアまたはファージの外側のタンパク質に連結する こともできる。 うまく形質転換された細胞は、抗原に対する免疫グロブリンの結合を検出する ための適当な周知技術によって同定することができる。好ましいスクリーニング 法は、抗原と免疫グロブリン生成物との結合が検出可能なシグナルを直接または 間接的に生じる方法である。そのようなシグナルとしては、例えば、複合体の産 生、触媒反応生成質の形成およびエネルギーの放出または取り込みなどが挙げら れる。 H鎖およびL鎖の両方からDNA配列が得られると、VH、D、JHおよびVK 、JK再配列の詳細な遺伝分析を行うことができる。H鎖およびL鎖のサブグル ープ分類は、その配列をデータバンク(例えばKabatデータベース[Kabat,et a l.,上掲])で利用できるものと比較することにより行うことができる。再配列 した完全VH遺伝子の生成に使用される確認可能な 生殖系(germline)の可変領域遺伝子は決定することができる。また、選択した D領域遺伝子およびJ領域遺伝子のファミリーを同定することもできる。 VHおよびVL遺伝子の発現ベクター(例えば、pETpelB)内へのクロー ニングは、機能的抗体断片のバクテリア内での発現を可能にする。pETpel Bベクターは本発明者らにより設計されたものであり、Dr.F.William Studier (Brookhaven National Laboratory)[Rosenberg,et al.,supra]から得たp ETベクターから誘導される。これらのベクターはともにpBR322プラスミ ドから得られ、バクテリアの複製起点およびアンピシリン耐性遺伝子を含み、原 核生物および真核生物源の広範囲のDNAを発現することができる。図2参照。 転写はT7 RNAポリメラーゼ用の強力なz10プロモータおよびTz転写タ ーミネータによって制御される。発現に使用する大腸菌株、BL21は、溶原性 バクテリオファージDE3を含み、後者は、lacUV5プロモータおよびla c iリプレッサーの制御下にあるT7 RNAポリメラーゼ遺伝子を含む。イ ソプロピル−B−D−チオガラクトシド(IPTG)をBL21(DE3)溶原 菌に添加すると、 lacUV5プロモータが誘発され、高レベルのT7 RNAポリメラーゼが発 現される。これらの高レベルのT7 RNAポリメラーゼ発現は、次いで、z1 0プロモータ〔Rosenberg,上掲〕の制御により問題遺伝子の高レベル転写を指 示する。 プラスミドpETpelBTAG F105 FabおよびpETpelB F105 sFVは、1992年3月3日、ブタペスト条約下でAmerican Type Culture Collection(ATCC)に寄託し、各々、ATCC受託No.7520 9および75208を受けた。 pETpelBなどの発現ベクターを使用すると、独立した転写ユニットから VHおよびVL遺伝子を発現することができる。さらに、VHおよびVLタンパク質 の両方は、pel Bタンパク質のシグナル配列(バクテリア抽出物でのFab 又はFv産生をモニターするシグナルを含む)に由来するN末端を有する融合タ ンパク質として合成することができる。「tag配列」(DRVYIHPFHL (SEQ ID NO:6))はヒトのアンギオテンシンIに由来し、市販の高 力価抗血清(Peninsula Labs,Inc.)によって認識される。 PCR増幅したVHおよびVL遺伝子は、図2に示し、上述 したように、pETpelB中にクローン化される。V遺伝子を5’NotI部 位で連結すると、pel Bシグナルペプチドをコードする配列とともに枠組み 内に位置する遺伝子が得られ、組換え産物を得ることができる[Lei,et al., 上掲]。図1に示すように、異なる逆方向3’プライマーを使用すると、Fvま たはFab組換え断片を産生することができる。Fv断片を産生するためのプラ イマーは上述したが、Fab断片を産生するための逆方向プライマーは、ヒンジ 領域にちょうどN−末端がある不変域を含むように設計することができる。個々 にクローン化したら、pel Bシグナル−VH−tagおよびpel Bシグ ナル−VL融合蛋白の遺伝子を単一のプラスミドに導入することができ、その結 果、それらは、dicistronicメッセージの使用により単一のバクテリアで発現さ せることができる。図3を参照。[Skerra and Pluckthun,Science,240:1038 -1041(1988);Huse,et al.,supra;Glockshuber,et al.,上掲]。 また、発現系におけるVHおよびVL遺伝子の方向はバクテリアでの一本鎖Fv 断片(sFv)の合成を容易にしている。sFv断片の産生は、VHおよびVL断 片の有効で永続性の ある会合を可能にし、それらは鎖間リンカー、例えば、可撓性が最大になるよう に設計された(Gly−Gly−Gly−Gly−Ser)3(SEQ ID NO:5)によって連結される。このリンカーを使用することにより、抗原に対 する結合親和力を明白に変えることなく、VH断片のC末端がいくつかの無関係 な抗体のVL断片のN末端に連結されている[Huston,et al.,PNAS,85:5879- 5883(1988);Glockshuber,et al.,上掲]。リンカーは、得られる抗体を妨 害しない限り、どれでも使用できる。他の一般的な鎖間リンカーは、VL鎖のC 末端がVH鎖のN末端に結合する方向で研究されてきた[Bird,et al.,Science ,242:423-426(1988)]。VHおよびVL鎖の両方を発現するpETpelBプ ラスミドからBstEII−SacI断片を取り除き、合成DNA断片で置き換え ると、鎖間リンカーを含む一本鎖Fv断片を産生することができる。図3を参照 。 Fab、FvまたはsFv断片は、バクテリアのペリプラズムに分泌させるこ とができ、あるいは、より遅い速度では培地に分泌させることができる[Skerra and Pluckthum,et al.,supra;Huse,et al.,上掲;Glockshuber,et al., 上掲; Bird,et al.,supra;Huston,et al.,上掲]。tag配列(またはsFvの 場合は鎖間リンカー)に対する抗原を含むアフィニティーカラムを使用すると精 製された抗体断片を得ることができる。例えば、CD4結合に対して活性型のH IV−1 gp120糖タンパク質は市販されており(American BioTechnology ,Inc.またはCelltech,Ltd.)、容易にアフィニティーカラムに詰めることが できる。後者の場合は、マトリックスに結合したgp120が患者血清の広範囲 に反応する中和活性を吸収する能力を保持することが示された方法を使用するこ とが重要である[Haigwood,et al.,上掲]。 バクテリアにより産生されたFab、FvまたはsFv断片は、gp120に 対する結合親和力を精製モノクローナル抗体と比較してテストすることにより、 PCR増幅で生じたと考えられる突然変異か、または使用した特定の構築法が結 合親和力を変えたかどうかを決定することができる。結合親和力を低下させる突 然変異を使用しないのは明らかである。親和力は、American Biotechnology,In c.またはCelltech,Ltd.から得られるgp120をBolton-Hunter法によりヨ ウ素化して使用することにより測定することができる[McCarthy and Markowitz,Clin.Chim.Ata.,132-277-286(1983)]。結合したgp120と 遊離のgp120とを分離するために、免疫沈降法[Huston,et al.,上掲]ま たは多洞型ミクロ透析チャンバ[Skerra and Pluckthum,上掲]を使用した平衡 結合測定法を使用することができ、会合定数は、例えばスキャッチャードプロッ トまたはシップス(Sips)プロット[Scatchard,et al.,Ann.N.Y.Acad.Sc i.,51:660-672(1949);Smith,et al.,Biochemistry,9:331-337(1970) ]から計算することができる。さらに、ホースラディッシュペルオキシダーゼ( HRP)またはFITCに結合したgp120は、American Biotechnology,In c.から入手できる。また、これらの分子はCD4結合能を保持しており、抗体 断片−gp120結合を評価するための半定量的固相ELISAの確立に利用さ れる。 所望により、免疫グロブリンあるいはHIV単離物を中和し、および/または HIV gp120によるCD4結合に影響を及ぼすのに十分なその断片をコー ドする遺伝子を突然変異させて、発現するドメインの性質(例えば、抗体の親和 性もしくは特異性またはその中和力の増加)を改善することができる。そのよう な突然変異は、単一の点変異、多重点変異またはより広 い変化を含むことができ、種々の組換えDNA法、例えば遺伝子合成、部位特異 的突然変異誘発またはPCR法により導入することができる。 突然変異誘発に使用すべき特定の発現プラスミドは、改変すべき抗体断片がF ab、FvまたはsFv断片であるかどうかに依存する。どの抗体断片を使用す るかの選択は、上記したgp120に対する相対親和性の測定値に依存する。も し、sFv断片が少なくともモノクローナル抗体に匹敵する親和性を示すならば 、公知実施例[Huston,et al.,上掲;Ward,et al.,上掲;Glockshuber,et al.,上掲]の場合のように、突然変異の研究にこれらを使用することができる 。そうでなければ、部位特異的突然変異誘発に使用されるFabまたはFv断片 が好ましい。 突然変異誘発および表現型分析で選択されるベクターは、大腸菌複製起点(C ol E1)およびアンピシリナーゼ遺伝子または他の抗生物質マーカーを含む のが好ましい。また、発現プラスミドは、好ましくは、f1 ファージ起点を含 んで、ヘルパーファージ(M13)感染による一本鎖DNAの救出を可能にすべ きである。突然変異を誘発すべき遺伝子は、上記 z10プロモータなどのT7 RNAポリメラーゼ依存性プロモータの制御下に おくことができる。こうすると、野性型または突然変異型の抗体断片をBL21 (DE3)宿主でIPTG−誘導型発現することができる。これらの望ましい特 徴を有する発現ベクターは、図3に示すプラスミド上でf1 ファージ起点をク ローン化することにより容易に作製することができる。あるいは、後者プラスミ ド由来の転写ユニットをpBluescriptプラスミド(Stratagene)[He lseth,et al.,J.Virol.,64:2416-2420(1990);Olshevsky,et al.,上掲 ;Kowalski,et al.,PNAS,86:3346-3350(1989)]に組み込んでクローン化 してもよい。pBluescriptプラスミドはIPTG−誘導型lacZプ ロモータ/オペレータ(laciリプレッサーの制御下)および多重クローニン グ部位の上流方向のT3 RNAポリメラーゼプロモータを有する。Fvまたは Fab断片の突然変異誘発には、VHおよびVLセグメントを個々の転写ユニット 上に位置させるか、またはdicistronicメッセージを使用して産生することがで きる。 一態様では、抗体断片の発現およびgp120−結合力の測定のための二つの 方法を、野性型抗体遺伝子を使用して試みる ことにより、これらの方法の実用性および適合性を比較することができる。例え ば、第一法では、ELISA法を使用して固定化抗体に対するgp120結合を 検出する。まず、ELISAプレートを抗−tagまたは抗−Fab抗体で被覆 する。市販のヤギおよびウサギ抗−ヒトFab抗体を使用すると、それらが組換 え野性型タンパク質を認識するかどうかを測定することができる。例えば0.2 5Mの尿素の存在下、sFvが支持抗体に結合する条件を使用すると、sFv断 片は、可溶性抗原の検出においてFab断片と同様に有効であるはずである。バ クテリアのペリプラズム抽出物または上清(好ましくは一部精製する)は、固定 化抗体に結合する。ホースラディッシュペルオキシダーゼに結合したgp120 (American BioTechnology,Inc.)は、gp120に結合可能な抗体断片を検 出するために使用することができる。バクテリア発現に無関係な抗体断片(例え ば、抗−tat Fv)由来の抽出物はコントロールとして使用できる。 第二法では、抗体断片産生のためのin vitro転写−翻訳系を使用する [Cohen,et al.,Nature,supra;Salfeld,et al.,EMBO J.,9:965-970(19 90);Cohen,et al.,J.AIDS 3:11-18(1990)]。後者の方法の場合、sFv遺伝子は1個のプラスミドから 発現されるが、FabまたはFv遺伝子の場合は、VHおよびVL遺伝子セグメン トが個々のプラスミド上に位置する。pelBシグナル配列は、in vitr o翻訳系では切断されないので、これらの構築物から取り除く。抗体遺伝子セグ メントは、T7またはT3 RNAポリメラーゼに反応するプロモータを使用し て発現させることができる。VHおよびVL遺伝子を含む等モル量のプラスミド( またはsFv遺伝子含む1個のプラスミド)は線状化し、T7またはT3RNA ポリメラーゼを使用してin vitroで転写し、RNAはキャップして、i n vitro翻訳混合物中で使用する。標識抗体断片のgp120結合能は、 抽出物を種々の量のgp120とともにインキュベートし、抗−gp120抗体 とともにその混合物を沈降させることにより評価することができる。多数の抗− gp120ポリクローナル抗体およびモノクローナル抗体が利用でき、目的のモ ノクローナル抗体と競合しないことがわかっいてるものを使用する。あるいは、 in vitro翻訳混合物を上記のELISA法で使用することもできる。 機能的野性型抗体断片が発現されることが確認されると、一本鎖DNAを作り 、Kunkelら,Meth.Enzymology,154:367-382(1987)に記載されているように 、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発用の鋳型として使用する。この方法に より、二本鎖ハイブリッドDNAの突然変異誘発を受けていない鎖は選択しない で、所望の突然変異を含むコロニー(ベクターとしてファージを使用する場合は プラーク)を高い割合で得ることができる。 突然変異誘発すべき一本鎖の標的DNAをdut−ung−バクテリアで合成 すると標的DNAにウラシルを導入することができ、これによりムテインの選択 が有利になる。このウラシル含有鎖は、所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチ ドをプライマーとしDNAポリメラーゼで処理することによる、ウラシルを含ま ない突然変異体鎖のin vitro合成の鋳型として使用される。その結果得 られる二本鎖DNAは、野性型ウラシル含有鎖を不活性化するウラシルN−グリ コシラーゼによって細胞内に形質転換される。突然変異鎖は、プラスミドまたは ファージとして複製され生き残る。プラスミドベクターを使用する一本鎖DNA の合成は、M13ファージ系を使用する場合 よりも時間がかかるが、所望のセグメントを含む一本鎖DNAのストックが一旦 得られると、突然変異体(ムテイン)は非常に急速に産生することができる。 抗体遺伝子発現プラスミドからの一本鎖DNAの合成はファージの助けを借り て行うことができ、所望の突然変異を含むオリゴヌクレオチドプライマーにアニ ーリングされ、DNAポリメラーゼおよびリガーゼとともに完成されて、大腸菌 の形質転換に使用される。大腸菌BL21(DE3)はウラシルN−グリコシラ ーゼの受容能を有し、IPTG−誘導T7 RNAポリメラーゼを発現するので 、表現型の特徴からバクテリアでの発現を選択する場合は適切な宿主として使用 することができる。アンピシリンに関して選択される個々のバクテリアコロニー は、プラスミドDNA合成に使用され、突然変異の存在がDNAシークェンシン グにより確認される。好ましくは、独立して単離した所望の突然変異を含む3個 のコロニーについて、その抗体発現およびgp120結合を評価し、観察される 表現型に寄与する所望の突然変異とは別に自然に起こる突然変異の可能性を最少 にする。 突然変異抗体のgp120結合能は、バクテリア抽出物また はin vitro翻訳混合物において発現された突然変異タンパク質の量に対 して規格化する。発現レベルが十分であることがわかると、抽出物を泳動したS DS−アクリルアミドゲルをクーマシーブルーまたは銀染色すれば十分に定量で きる。抗体断片発現のレベルが低い場合は、抗−tag抗血清または市販のヤギ およびウサギ抗−ヒトFab抗体(後者は、野性型断片と反応することが示され た場合)を用いたウェスタンブロット法または免疫沈降法により規格化すること ができる。これらのポリクローナル抗体は、組換え分子上の多重エピトープに対 する反応性がより良好であることを示すと考えられ、ときどき見られる、組換え 抗体断片がバクテリアによるタンパク質分解の後、二次的に「tag」配列を失 うという問題は回避されるであろう[Ward,et al.,上掲]。抗体断片産生のレ ベルが評価されると、突然変異抗体断片のgp120結合能を上記野性型断片に 対して記載したように測定する。ELISA法では、固定化に使用した抗体によ り認識される突然変異抗体断片のレベルを免疫沈降法により独立して測定する。 すなわち、固定化抗体により結合された突然変異断片のレベルの相違が、gp1 20結合において認められる低下の原因ではないことが保証 される。gp120結合において認められる低下のいくつかは、突然変異の結果 としての抗体構造の全体的な立体構造上の変化により説明できるだろう。これは 、問題になるほどのものではない。なぜならば、抗体CDRループなどのタンパ ク質上の露出したターンにおけるアミノ酸のほとんどの変化は、タンパク質コア における疎水性残基での変化に比べてタンパク質の立体配座に対する影響が少な いからである[Creighton,″Proteins:Structureand Molecular Principals″ (Freedman and Company,New York(1984)]。最後に、F105イディオタイ プに対して特異的な立体配座依存性のモノクローナル抗体(例えば、抗−イディ オタイプモノクローナル抗体)は、突然変異タンパク質の立体配座の妥当性の評 価に使用することができる。 例えば、gp120に対して高い親和性を示すかより強い中和作用を有し、あ るいは異なる範囲のHIV単離物を認識してそれに結合するF105突然変異抗 体の同定ができれば、治療目的のため、およびin vivoでのそのような反 応性の発生を研究するための決定的試薬を提供するために大いに好ましいであろ う。 抗体の結合、例えば選択した抗原(例えば、HIV gp 120)に対するsFv断片の結合を選択し、106以上のタンパク質の出発集 団から所望の抗体を同定するために、ある系を使用することができる[McCaffer ty,et al.,Nature,348:552-554(1990)]。例えば、sFvとウィルス遺伝 子 III表面タンパク質との融合タンパク質を運ぶ繊維状バクテリオファージの 産生に関与する系を使用する(「ファージ抗体」)。遺伝子 IIIタンパク質は 、そのファージが標的バクテリアのF線毛に付着することに関与している[Korn berg,″DNA Replication″(Freeman,San Francisco)(1980)]。しかし、 遺伝子IIIタンパク質は、N末端付近に挿入されたポリペプチド(抗体のsFv 断片を含む)の存在を機能の損失なしに許容することができる[Smith,et al. ,Science,228:1315-1317(1985);Parmley and Smith,Gene,73:305-318 (1988);Scott and Smith,Science,249:386-390(1990);Devlin,et al. ,Science,249:404-406(1990)]。すなわち、表面に機能的抗体の可変領域 を示す複製−コンピテントファージを産生することができる。所望の表現型の機 能的抗体断片を含むファージは、アフィニティークロマトグラフィーを繰り返す ことにより濃縮することができる[McCafferty,et al.,上掲]。 この方法による最初の段階は、突然変異誘発の効率が高く、野性型sFv抗体 断片を遺伝子 IIIタンパク質との融合タンパク質として発現するのに適した繊 維状ファージの産生である。McCaffertyら(上掲)によるファージ抗体の産生で 以前に使用されたfdファージの使用が好ましい。まず、fd−tetベクター (American Type Culture Collection)をdut−ung−大腸菌(例えば、C J236、RZ1032)にトランスフェクションすることにより一本鎖のファ ージDNAを作製する。in vitro突然変異誘発[例えば、Kunkel,et a l.,上掲の方法]を使用して1611および1631の位置に単一のKpnIお よびEagI部位を作る(図11参照)。これらの変化は遺伝子 IIIコード配 列に影響を及ぼさない。合成オリゴヌクレオチドをKpnI/EagIで消化し たfd−tet DNAでクローン化して欠損したp IIIコード配列を再構成 し、sFv遺伝子の枠内セグメントを挿入する。sFv遺伝子のこれらのフラン キングセグメントはsFv遺伝子内にXhoIおよびPvuII部位を含み、完全 なsFvカセットをpETベクターからクローン化することができる。その結果 、fd−tet−sFvベクターになる。これは、(N末端から C末端へ)p IIIタンパク質シグナル配列(Ser−Ala−Gluシグナル ペプチターゼ切断部位を含む)、sFv、および残りのp III配列を含むp I II−sFv融合タンパク質をコードする。 ファージは、fd−tet−sFvベクターを大腸菌TG1にトランスフェク ションすることにより産生され、次いで、テトラサイクリン選択を保持しながら これらのバクテリアで増殖する。コントロールファージは、fd−tetプラス ミドのトランスフェクションにより産生される。高力価のファージの上清は、ポ リエチレングリコールで沈降させ、最初の容量の約1/100に再懸濁した後、 残留バクテリアおよび凝集ファージを遠心分離により取り除くことができる。s Fvファージおよびコントロールファージのgp120との結合能を、McCaffer tyら(上掲)の記載のように、濃縮ファージストックを使用してELISAによ り試験する。簡単に述べると、gp120を被覆したプレートを2%のスキムミ ルク粉末を含むリン酸緩衝塩水中で約2×1010ファージとともにインキュベー トする。プレートを0.5%のTween20/PBS、次いでPBSで洗浄し 、結合ファージをヒツジ抗−M13抗血清 (密接に関連するfdファージと交差反応することが知られている)およびホー スラディッシュペルオキシダーゼを結合した抗−ヒツジ血清(sigma)により検 出する。牛血清アルブミンを被覆したプレートをコントロールとして使用し、認 められる反応性がgp120に特異的であるかどうかを確かめる。 ファージ抗体が野性型sFv遺伝子挿入配列により産生できることが確証され たら、半ランダム突然変異ライブラリーを、例えば高親和性および/または特異 性に関して選択することができる。gp120に対する全体的な結合親和性に対 する各CDRループおよびそのループ内の特定の残基の相対的な寄与に関する情 報は、上記のプラスミド発現ベクターを使用した部位特異的突然変異誘発の研究 から得ることができる。ファージ抗体の半ランダム突然変異誘発では、CDRル ープ全体のコード配列をランダムに突然変異誘発しようとするよりもむしろ選択 的にこれらの領域が変えられるように標的が設定される。この方法では、出発点 がすでにgp120上の所望の標的に結合している抗体であるという点で最大の 利点を有する。この結果、全体的にランダムなCDRループを使用し、選択操作 のみに頼る方法に対して、親和性がより高い抗体を同定できるという確 実性が数段増す。 sFv遺伝子挿入体の変更は、例えば突然変異体を濃縮するためのKunkelら( 上掲)の方法を使用して、オリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発により行われ る。選択した各CDRループの突然変異誘発に対しては、1組の縮退オリゴヌク レオチドが生じる。各組のオリゴヌクレオチドは、n/2バッチから成り、nは 突然変異誘発のために選択したCDRループ中のアミノ酸の数である。オリゴヌ クレオチドの各バッチは、CDRアミノ酸を特定化する2個の隣接する内部コド ンの縮退を除いて、CDRコード領域およびすぐ隣の枠組み配列と同一の配列を 有する。これら2個のコドンは、NNS NNS(NはG、A、TおよびCの混 合物であり、SはGおよびCの混合物である。)の配列を有する。NNSコドン は、20個全てのアミノ酸をコードするが、3個の終結コドンの1個のみを生じ る。一度に各組のオリゴヌクレオチドを使用して突然変異体を生成させると、導 入できる置換は、CDRループ内で一度に高々2個のアミノ酸に限られる。最初 のスクリーニングで、所望の特徴を有する突然変異体ファージ抗体が生成されな いことが示されると、突然変異誘発のランダム度を下記1および2により増加す ること ができる。 1.異なるCDR残基の組み合わせに影響を及ぼす突然変異が生じるように、異 なる組のオリゴヌクレオチドを一本鎖の鋳型とともにアニーリング反応に同時に 導入する;および 2.縮退領域の長さを2個から3または4個のコドンに増加する。 親和性の高い抗体断片の生成にCDR同志の相互作用が必要であるならば、前 者の方法が重要であると考えられる。ファージ複製のためのF’、ウラシル−N −グリコシラーゼ−コンピテントバクテリア宿主(例えば、TG−1、MV11 90)を使用するこの方法は、組換えファージのほとんどが突然変異体sFvタ ンパク質を発現するように選択圧力を与えるものである。高力価ストックは、フ ァージ抗体が下記: a)gp120に対する高い親和性;および b)HIV−1、HIV−2またはSIV−1感染をin vitroで中和す る能力 の二つの表現型に関してスクリーニングできるように増殖させる。 gp120に対する親和性が野性型ファージ抗体よりも高い 突然変異ファージ抗体の同定には、いくつかの方法を使用することができる。抗 原を結合することができるファージ抗体を選択するためにアフィニティークロマ トグラフィーが使用されている[McCafferty,et al.,上掲]が、親和性の高い 抗体の選択にはELISA法を使用するのが好ましい。McCaffertyら(上掲)に 記載されているELISA法は、この選択のために野性型ファージ抗体を使用し て改良し、選択条件を確立することができる。ELISAプレートに先の研究で 示したgp120試料を、量を減少させていきながら被覆し、抗体断片を結合さ せる。ウェルを、増大する濃度の競合物としての精製したモノクローナル抗体ま たはFab断片の存在下または非存在下で、2%スキムミルク粉末/緩衝液に入 れた野性型ファージ抗体とともにインキュベートする。次いで、ウェルを、トリ エチルアミンによりpHが9.0から9.5まで高められた緩衝液で順次洗浄し 、最後に100mMのトリエチルアミンで溶離する。洗浄液および溶離液の両方 を0.5Mのリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.8)で中和し、バクテリア上で 滴定する。野性型ファージ抗体を使用する滴定は、野性型ファージ抗体がほとん ど、または全く検出されない最小緊縮条件(gp120濃度、競合 モノクローナル抗体および洗浄条件)を示すことができる。また、あまり緊縮で ない条件を使用して、野性型ファージ抗体を、無関係なsFv断片(例えば、認 識リゾチーム[McCafferty,et al.,上掲])を発現するコントロールファージ の大集団から選択することができるかどうかをテストすることもできる。これに より、ファージ抗体は、ウィルスストックにおける濃度が低くても確実に選択す ることができる。次いで、野性型ファージ抗体が全く選択されない条件を使用す る選択系を突然変異体ファージ抗体のプールに適用する。選択したウィルスを増 殖し、次いで、2回目、必要であれば3回目の選択を行う。選択回数は、選択し たファージ抗体集団の多様性により決定することができる。これは、突然変異誘 発の標的であるsFv断片におけるクローン化したファージのPCRシークェン シングにより求めることができる。多様性が高い場合は、より緊縮した選択条件 (競合抗体の濃度の増加、洗浄回数の増加、gp120濃度の減少)を使用して 最大親和性を有するファージ抗体を選択することができる。選択したsFv断片 はシークェンスし、バクテリアで発現し、gp120に対する親和性を測定して 、上記の野性型sFvと比較することができる。これらのより親 和性の高いsFv断片は、突然変異体の最初の発生で標的とならなかったCDR ループの他の要素に特異的な突然変異誘発のための出発点として有用である。出 発物質である「野性型」タンパク質として高親和性突然変異体を使用し、突然変 異誘発および選択を多数回行うと、さらに親和性が高まる可能性がある。 いくつかのより親和性の高いsFv断片に対しては、シンシチウム(syncytiu m)生成を阻害する能力をテストすることができる。複製−コンピテント実験お よび野性型HIV単離物を使用する中和測定法も行うことができる。これらの目 的に対しては、選択したsFv変異種をバクテリア内で発現させる。それは、抗 −tagまたは抗Fab抗体を使用するアフィニティークロマトグラフィーによ る最終的な精製のために多量に増殖させることができる。 これらの遺伝子の一つのヌクレオチド配列がわかると、哺乳動物での抗体の存 在に対してスクリーニングし、そのレベルを定量することができる。そのような スクリーニング法を使用すると、HIV感染患者の病気の進行を診断・研究する とともに、試験的ワクチン接種ボランティアの免疫反応を研究することができる 。例えば、PCRに基づくアッセイ方法は、患者のPB L試料における抗体の有無および転写量を測定することができる。そのようなス クリーニング法は、VH71−4H鎖およびHumvk325L鎖の両遺伝子の リーダーペプチド由来の5’PCRプライマーならびにK鎖の不変領域またはH 鎖のJ領域にアニールする非特異的3’プライマーを使用して行うことができる 。そのようなプライマーは、組織または体液、好ましくは体液に添加できる。体 液としては、例えば、血液、血清、血漿、尿、脳脊髄液、正常細胞溶解物の上清 、感染した細胞の溶解物の上清、好ましくはT細胞溶解物が挙げられる。5%の cDNAについてPCRを30回行った結果を図14に示す。 そのような診断テストは、使用するPCRプライマーを改変することによって より特異的にすることができる。例えば、3’プライマーは、CDRに相補的で あるように設計することによりより特異的にすることができる。例えば、CDR 3の3’端に3’プライマーを置くと、より特異的なPCR増幅産物を得ること ができる。あるいは、5’プライマーも、このPCRプライマーをCDR1に対 して相補的にすることにより、より特異的にすることができ、従って、CDR1 とCDR3との間のDNA配列を増幅することができる。この増幅はH鎖および L 鎖の両方に対して行うことができる。シグナルの相対的な量および/またはシグ ナルの有無はPCRによって測定することができる。 本発明の抗体は、HIV−1、HIV−2および/またはSIVのgp120 エピトープに対する結合活性を有し、細胞のウィルス感染を予防または最小にす るために使用することができる。より好ましくは、抗体がHIV−1および/ま たはHIV−2に対して結合活性を有する。さらに好ましくは、HIV−1に対 して結合活性を有する。好ましくは、細胞がヒトの細胞である。この方法は、治 療上有効な量の抗体をウィルスを有することが疑われる哺乳動物の体液または細 胞の試料に投与して、ウィルスが細胞に結合して入り込むのを阻止することを含 む。好ましくは、体液試料を使用する。体液としては、例えば、血液、血清、血 漿、尿、脳脊髄液、正常細胞の溶解物の上清、感染した細胞の溶解物の上清、好 ましくはT細胞溶解物が挙げられる。好ましくは、哺乳動物が霊長目の動物であ り、より好ましくはヒトである。in vivo治療に使用する場合は、本発明 の抗体を、ウィルスが他の細胞に入り込む能力を消去し、または低下させる量で 患者に投与する。抗体は、gp 120タンパク質の結合部位をブロックし、ウィルスが細胞に入って再生する能 力を低下させるように作用する。 抗体は、多くの方法で投与することができる。例えば、非経口注射(筋肉内( i.m.)、腹腔内(i.p.)、静脈内(i.v.)または皮下(s.c.) )、経口投与または周知の他の投与ルートのいずれかにより投与することができ る。非経口投与が好ましい。 使用量は、典型的には、約0.1mg〜約10mg/kg体重の範囲である。 抗体は、好ましくは単位投与形態に製剤化する。 例えば、経口投与に使用できる固体投与形態としては、カプセル、錠剤、丸剤 、粉末および顆粒状が挙げられる。そのような固体投与形態では、活性成分、す なわち抗体またはペプチドをショ糖、乳糖または澱粉などの少なくとも一種の不 活性担体と混合する。また、そのような投与形態は、不活性希釈剤以外の他の物 質、例えばステアリン酸マグネシウムなどの滑沢剤を含むことができる。さらに 、カプセル、錠剤および丸剤の場合の投与形態は、緩衝剤を含んでもよい。また 、錠剤、カプセルおよび丸剤は徐放性コーティングを含むことができる。 非経口投与の場合は、典型的には、滅菌水溶液または非水溶液、医薬的に許容 されうる非経ロビヒクルと会合した懸濁液またはエマルジョンが挙げられる。非 水性溶媒またはビヒクルの例としては、プロピレングリコール、ポリエチレング リコール、オリーブ油およびコーン油などの植物油、ゼラチンならびにオレイン 酸エチルなどの注入可能な有機エステルがある。また、これらの投与形態は、保 存剤、湿潤剤、乳化剤および分散剤などのアジュバントを含むことができる。そ れらは、抗体を不活性にしないよう注意を払う限り、例えば、バクテリア保持フ ィルターによる濾過、滅菌剤の組成物への混入、組成物への照射などにより滅菌 することができる。また、それらは、使用する前に滅菌水または他のいくつかの 注入可能な滅菌媒体で希釈して作ることもできる。さらに、これらのビヒクルの 例としては、生理食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液および5%ヒト血清 アルブミンが挙げられる。リポソームも担体として使用することができる。また 、等張性および化学的安定性を高める物質などの添加物質、例えば緩衝液および 保存剤を使用してもよい。 該ビヒクルにおける活性成分の好ましい範囲は、約1mg/ ml〜約10mg/mlの濃度である。より好ましくは、約3mg/ml〜約1 0mg/mlである。 また、これらの抗体は担体として使用してイムノトキシンを形成してもよい。 それらをそのようなものとして使用すると、gp120上のエピトープに所望の 化学的または細胞障害性部分を送達することができる。イムノトキシンの細胞障 害性部分は、細胞障害薬または酵素的に活性なバクテリア、真菌または植物起源 の毒素、またはそのような毒素の酵素的に活性なポリペプチド鎖または断片(「 A鎖」)であってもよい。酵素的に活性な毒素およびその断片が好ましく、例え ば、ジフテリアトキシンA断片、ジフテリアトキシンの非結合活性断片、エキソ トキシンA(Pseudomonas aeruginosa由来)、リシンA鎖、アブリンA鎖、モデ クシン(modeccin) A鎖、アルファサルシン(alphasarcin)、ある種のAleur ites fordiiタンパク、ある種のDianthinタンパク、Phytolacca americanaタン パク(PAP、PAPIIおよびPAP−S)、Momordicacharantia阻害剤、ク ルシン(curcin)、クロチン(crotin)、Saponaria officinalis阻害剤、ゲロ ニン(gelonin)、ミトゲリン(mitogellin)、レストリクトシン(restrictoci n)、 フェノマイシン(phenomycin)、およびエノマイシン(enomycin)が挙げられ、 リシンA鎖、緑膿菌外毒素AおよびPAPが好ましい。 モノクローナル抗体と該細胞障害性部分との接合体は、種々の二官能性タンパ ク質カップリング剤を使用して作ることができる。そのような物質としては、N −スクシンイミジル−3−(2−ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP) 、イミノチオラン(IT)、ジメチルアディピミデート(dimethyladeipimidate )・HClなどのイミドエステルの二官能性誘導体、スベリン酸ジスクシンイミ ジルなどの活性エステル、グルタルアルデヒドなどのアルデヒド、ビス(p−ジ アゾニウムベンゾイル)エチレンジアミンなどのビス−アジド化合物、トリレン 2,6−ジイソシアネートなどのジイソシアネートおよび1,5−ジフルオロ− 2,4−ジニトロベンゼンなどのビス−活性フッ素化合物が挙げられる。 本発明のイムノトキシンの酵素的に活性なポリペプチドは、組換え技術により 作製できる。組換え技術により作製したリシン毒素A鎖(rRTA)は、198 5年8月15日公開のPCT WO85/03508に開示された方法により作 製で きる。組換え技術により作製したジフテリア毒素A鎖およびその非結合活性断片 も1985年8月15日公開のPCT WO85/03508に開示されている 。 また、これらの抗体を使用すると、これらの部位の一つでgp120を切断す る、すなわちその結合部位を欠失させるであろう酵素を送達することができる。 別の態様では、これらの抗体を使用して、その部位または隣接部位をキャップす る分子を送達することができる。gp120とCD4受容体との結合を妨害する どんな分子を使用してもよい。 以下の実施例により本発明をさらに説明する。以下の実施例は本発明を説明す るものであって、本発明は以下の実施例により限定されるものではない。 実施例1 F105ハイブリドーマからのF105免疫グロブリン遺伝子のcDNA合成お よびPCR増幅 EBV形質転換体をHMMA2.11TG/0細胞系の非分泌ヒト−マウスミ エローマ類似体[Posner,et al.,上掲]と融合させることによりF105ハイ ブリドーマを誘導した。全RNAを、Chomczynakiら[Analytical Biochemisty ,162:156(1987)]の方法により、ハイブリドーマから採取した。第一cDN A鎖を、Gublerら(上掲)の方法に従って、オリゴ(dT)プライマーおよびモ ロニーマウス白血病ウィルス逆転写酵素(400U)を使用して、全RNA5μ gから25μlの反応物中で合成した。第一cDNA鎖の5〜10%を使用して PCR反応を行った。PCRに使用した温度は、融解:94℃、1分;プライマ ーのアニーリング:52℃、2分;プライマー伸長:72℃、2分であった。ラ ンプ(ramp)時間は、アニーリングと伸長との間を2分とした以外は1分を使用 した。臭化エチジウムで染色した2%のアガロースゲルを使用してPCR断片を 分離した。適切なバンドを切り取り、遺伝子を洗浄し(Bio 101,La Jolla,CA )、クレノウ修復して、制限酵素 で消化し、SUREバクテリア(Stratagene,LaJolla,CA)を宿主として使用 することによりpSL1180(Pharmacia LKB Biotech.Inc.,Piscataway,N J)内にクローン化した。少なくとも3個の別個の形質転換体について、正方向 および逆方向の両方のシークェンスプライマーを使用し、Sangerら(上掲)の方 法により塩基配列の決定を行い、シークェンスおよびPCRアーチファクトを最 少にした。ヌクレオチドの配列を配列表中のSEQ ID NO:1およびSE Q IDNO:3として示す。シークェンシングプライマーは、pSL1180 のポリリンカー配列に相補的であるように設計した。 H鎖対は、VHプライマーおよびJHまたはCH1プライマーから成り、各々、ク ローニングに都合の良い制限部位を含む。免疫グロブリンに関するKabatのデー タベースを使用して、6個の別個のヒトVHファミリーのアミノ酸およびコドン 分布を分析した[kabat,et al.,上掲]。この分析に基づいて、35塩基対の 万能な5’VHプライマーを設計した。すなわち、TTTGCGGCCGCTC AGGTGCA(G/A)CTGCTCGAGTC(T/C)GG(SEQ I D NO:7、SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9およびSE Q ID NO:10)である。これは、2箇所で2つの異なるヌクレオチドが 縮退しており、FRI配列の5’端にアニールする。5’NotI部位(左側下 線部)は増幅したDNAをクローン化するために導入したものであり、VH遺伝 子の第一コドンの5’側に位置する。内部XhoI部位も同様に導入した(右側 下線部)。同様に、JH領域のオリゴヌクレオチドを、H鎖可変域遺伝子の3’ 端で逆方向プライマーとなるよう設計した。すなわち、TTAGCGCGCTG AGGTGACCGTTGACC(A/G)(G/T)GGT(SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13およびSE Q ID NO:14)である。6個のヒトJH領域のミニ遺伝子のヌクレオチ ド配列に基づくと、このプライマーは2個の縮退位置を含み、各位置に2個のヌ クレオチドを有する。J領域の最後のアミノ酸を決定するコドンの3’側ですぐ 隣接したBssHII部位(左側下線部)は、VH遺伝子の3’端でのクローン化 に都合が良い。内部BstEII部位(右側下線部)も同様に導入した。JH領域 の公平な配列データを得るために、逆方向IgG1H1プライマーを、ヒンジ エキソンの第一システインコドンのちょうど3’で終結するよう に設計した。すなわち、TTAGCGCGCACAAGATTTGGGCTC( SEQ ID NO:15)[Kabat,et al.,上掲]である。BssHII部位 も同様にクローン化のために導入した。得られた遺伝子産物(H断片)は、Ig G1 イソタイプのFdに対応することを意図したものであり、H−Lジスルフ ィド結合を保存している[Mullinax et al.,PNAS,87:8095-8099(1990)]。 IgG1H1のアミノ酸183〜189に対応するプライマー:TGCTGA GGGAGTAGAGT(SEQ ID NO:16)は、DNAシークェンシ ングのために使用した。 同様の方法を使用して、ヒトVK鎖可変域の遺伝子に対するPCRプライマー を設計した。ヒトVK遺伝子は4ファミリーである。FR1配列の5’端にアニ ールする5’VKプライマー:TTTGCGGCCGCGAGCTC(G/C )(T/A)G(A/C)TGACCCAGTCTCCA(SEQ ID NO :17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ IDNO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23およびSEQ ID NO:24)は、3箇所で縮退があ り(各2個のヌクレオチド)、VH領域と同様の位置にNotI部位(左側下線 部)を含む。また、内部SacI部位も含む(右側の下線部)。5個のヒトJK ミニ遺伝子の配列から設計した39塩基対の逆方向JKプライマー:CGAGG ATCC TTATTAACGCGTGATCTCCA(C/G)(C/T)TT GGTCCC(SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27およびSEQID NO:28)は、3箇所で縮退があり( 各位置に2個のヌクレオチド)、JKコード領域のすぐ隣に内部MluI部位( 右側下線部)を含み、その後ろに2個の停止コドンおよびBamHIクローニン グ部位(左側下線部)を含む。JK領域の公平な配列データを得るために、2個 の逆方向K不変領域プライマーを設計した。第一プライマーであるCGAGGA TCC TTATTAACGCGTTGGTGCAGCCACAGT(SEQ I D NO:29)は、K不変領域の最も5’端にアニールし、JKプライマーと 同様のフランキング配列構造を有する。第二プライマーであるTGGGGATC TTATTAACACTCTCCCCTGTTGAA(SEQ ID NO: 30)は、K不変領域の最も3’側のヌクレオチドにア ニールするように設計し、その領域の後ろに2個の停止コドンおよびBamHI クローニング部位が続いた。 F105H鎖およびL鎖遺伝子の両方に対する主要なヌクレオチド配列を決定 し、生殖系遺伝子を同定した後、VH71−4[Lee,et al.,上掲]およびH umvk325[Radoux et al.,J.Exp.Med.,164:2119-2124(1986)]生 殖系遺伝子のリーダー配列に基づいてPCRプライマーを設計した。VH71− 4リーダープライマー:TTTACCATGGAACATCTGTGGTTC( SEQ ID NO:31)およびHumvk325リーダープライマー:GG AACCATGGAAACCCCAGCGCAG(SEQ ID NO:32) はともに5’NcoI部位(下線部)を含む。これらのリーダープライマーは、 PCR増幅実験のための各々のC領域プライマーとともに使用した。 実施例2 F105Fab抗体のクローニングおよび発現 F105Fab断片を実施例1と同じプロトコールを使用してpETpelB 発現ベクター中でクローン化した。PCR増幅に対しては、H鎖ヒンジプライマ ーおよび最も3’側のK領 域プライマーを3’プライマーとして使用した。図1参照。5’プライマーは実 施例1で使用したものと同じであった。実施例1と同じアニーリングおよびPC R条件下でPCR増幅産物が得られた。 pETpelBベクターはz10プロモータ(T7 RNAポリメラーゼの場 合)およびT7バクテリオファージ由来のTz転写終結シグナルを有する[Rose ngerg,et al.,上掲]。シグナルペプチド切断部位[Lei,et al.,上掲]を含 むシグナル配列は図2では「pelBシグナルペプチド」と命名し、NcoI( またはNotI)部位内にクローン化した可変遺伝子のN末端上で融合される。 pelBシグナル配列のすぐ上流は大腸菌で翻訳するためのリボソーム結合部位 である。それは、このベクターで発現したいくつかのタンパク質のC末端上で融 合する「tag」配列であり、抗−tag血清によって認識されるアンギオテン シンI由来の小さいペプチドである[Ward,et al.,上掲]。そのベクターでの H鎖遺伝子のクローン化は、PCRプライマーからのNcoI(またはNotI )およびBssHII部位を利用し、L鎖のクローン化は、同じくNcoI(また はNotI)および3’BamHI部位を利用 する。このベクターを使用すると、H鎖のみがtag配列に融合する。 F105H鎖のクローン化の場合は、PCR産物を2%の低融点アガロースゲ ルにより精製した。適切なバンドを切り取り、NotIおよびBssHIIによる 制限酵素消化を行い、NotIおよびBssHIIで消化してあるベクターpET pelB内にクローン化してH鎖ベクターを得た。図2参照。 得られたプラスミドを使用して、SUREバクテリア(Stratagene,La Jolla ,CA)を形質転換した。個々のコロニーのプラスミドミニ調製物(mini preps) をクローン化で使用した制限酵素により消化して適切な挿入物の確認を行った。 F105L鎖のクローン化に対しても同じ方法を使用したが、PCR産物はN otIおよびBamHIで消化し、NotIおよびBamHIで消化してあるベ クターpETpelBでクローン化してL鎖ベクターを得た。L鎖ベクターをX baIおよびHind IIIで消化すると、適切なフランキング配列を有するL 鎖断片が得られた。図3参照。 次に、H鎖ベクターをSpaIおよびHind IIIで消化し てL鎖断片と連結した。XbaIおよびSpaIは付着末端を有するので、dici stronicメッセージを生成することができた。次いで、得られたベクターをSU REバクテリアに移入して形質転換し、dicistronicカセットが適切にクローン 化されたことを確認した。 得られたプラスミドをBL21(DE3)に移入して形質転換し、適切な条件 下、37℃で培養し、O.D.600が0.6に達した後、1mMのIPTGで細 胞を誘発した(コントロールはIPTGを含まない)。37℃で2時間インキュ ベートした後、バクテリアを採取した。図4に示すように、F105Fab抗体 断片(rF105 Fab)のBL21(DE3)での発現は、IPTG誘発後 、SDS−アクリルアミドゲルのクーマシーブルー染色(図4A)およびウェス タンブロット(図4Bおよび4C)の両方により容易に情報が得られる。タンパ ク質を検出するために、全細胞溶解物を12.5%のSDS−ポリアクリルアミ ドゲルにより分離した。全細胞抽出物のクーマシーブルー染色では、各々、VL およびVH−tag融合タンパク質に対応する22kDおよび25kDに2個の タンパク質のバンドが見られる。ウェスタンブロットの場合、ウサ ギ抗VH4−FR1[Silverman,et al.,Eur.J.Immuno.,上掲]またはVH IV枠組みペプチドに対する抗血清のいずれかを使用し、次いでアルカリ性ホス ファターゼを酵素として使用するVector Labs免疫検出キットを使用した。高レ ベルのVHタンパク質は、IPTGによる誘発後のみ、このプラスミド/宿主系 で誘発された。VH遺伝子の挿入がないpETpelBベクターを含むコントロ ールBL21(DE3)バクテリアのウェスタンブロットでは、たとえIPTG 誘発の後でも特定のタンパク質は検出されなかった(データは示さない)。ウサ ギ抗アンギオテンシン(抗−tag)を第一抗体として使用すると、同一の結果 が得られた(データは示さない)。図4のパネルCはヤギ抗−K鎖抗体でプロー ブしたF105VLタンパク質のウェスタンブロットを示す(Southern Biotechn ology Associates)。両方のパネルとも、上方のバンドはpelBシグナル切断 前の前駆体タンパク質を表す。 図5は、BL21(DE3)で産生したrF105 Fabによるgp120 結合活性の検出を示す。1mMのIPTGによる誘発の2時間後、F105 F abカセットを含むpETpelB tagベクターで形質転換したBL21( DE3) からサブ細胞性(sub-cellular)のペリプラズム断片を得た。次いで、濃縮した ペリプラズム断片の試料を、rgp120を被覆したELISAプレート(Amer ican Biotechnology,Inc.,Cambridge,MA)上でインキュベートした。F10 5 Fab(パパインの分解により作製)およびrF105 Fabのgp12 0への結合を、ヤギ抗−K鎖抗体、次いでアルカリ性ホスファターゼを酵素とし て使用する免疫検出により検出した。 図6は、rF105 Fab抗体断片のアフィニティーカラムによる精製結果 を示す。F105カセットを含むpETpelB tagベクターで形質転換し たBL21(DE3)からのペリプラズム試料をgp120アフィニティーカラ ムに通した。結合したrF105 Fabをグリシン−HCl(pH2.6)で 溶離し、次いで、1Mのトリス−HCl(pH8.0)で中和した。次いで、プ ールした画分を、上述したgp120を被覆したプレート上でELISAにより 分析した。 実施例3 F105−本鎖Fv(sFv)のクローニングおよび発現 F105一本鎖Fvをクローン化するために、逆方向JHプライマーおよび正 方向VK PCRプライマーの5’末端を、 互いに完全に相補的であり、鎖間リンカー配列(Gly4−Ser)3をコードす る45個のヌクレオチドを有するように設計した。そのプライマーを表1に示す 。 また、内部鎖間リンカーの切断部位BspEIを導入し、JHおよびVKリンカ ーの境界には、この後に行うクローン化を容易にするためにPstEIIおよびS acI部位を含めた。 これらの伸長アームを有するF105H鎖およびL鎖の増幅を可能にするアニ ーリング条件を確立した。これらの条件は、アニーリング温度を50℃に拘束す ることのみに関与した。H鎖およびL鎖は個々にPCR法で増幅し、PCR産物 を消化した。H鎖のPCR産物はNotIおよびBspEIで消化し、L鎖のP CR産物はBspEIおよびXbaIで消化した。これら2個の産物は、Not IおよびXbaIで消化してあるプラスミドベクターpSL1180を使用し、 3片連結してクローン化した。 図8の左パネルは、F105 sFvのクローニングがうまく達成されたこと を示す。これは、NotI/BspEI(H鎖)およびBspEI/XbaI( L鎖)(図8、右パネル、図8A)による消化により確認した。このFv一本鎖 抗体構築 物を制限酵素消化により取り出し、pETpelB発現ベクター内に直接クロー ン化した。得られたプラスミドを使用して、F105一本鎖Fvを発現するため のBL21(DE3)を形質転換した。 図9に示すように、F105sFv抗体断片(rF105sFv)のBL21 (DE3)における発現は、IPTG誘発後、SDS−アクリルアミドゲルのク ーマシーブルー染色(図9A)およびウェスタンブロット(図9Bおよび9C) の両方により容易に情報が得られる。プラスミドpETpelB(F105sF v遺伝子を含む)をBL21(DE3)で形質転換し、適切な条件下、37℃で 培養した。O.D.600が0.6に達した後、1mMのIPTGで細胞を誘発し た(コントロールはIPTGを含まない)。37℃で2時間インキュベートした 後、バクテリアを採取した。タンパク質を検出するために、全細胞溶解物を12 .5%のSDS−ポリアクリルアミドゲルにより分離した。全細胞抽出物のクー マシーブルー染色では、rF105 sFvタンパク質に対応する28kDに強 いタンパク質のバンドの出現が見られる。ウェスタンブロットの場合は、ウサギ 抗VH4−FR1またはヤギ抗−ヒトK抗血 清を第一抗体として使用し、次いでアルカリ性ホスファターゼを酵素として使用 する免疫検出を行った(図9C)。 図10は、rF105 sFv抗体断片のアフィニティーカラムによる精製結 果を示す。F105 sFvカセットを含むpETpelBベクターで形質転換 したBL21(DE3)からのペリプラズム調製物をgp120アフィニティー カラムに通した。結合したrF105 sFvをグリシン−HCl(pH2.6 )で溶離し、次いで、1Mのトリス−HCl(pH8.0)で中和した。次いで 、プールした画分を、gp120を被覆したプレート上でELISAにより分析 した。図10に示すように、粗ペリプラズム画分をアフィニティーカラム精製す るとgp120結合活性が溶離されたが、溶出液(effluent)は結合活性に欠け ていた。 実施例4 階層およびランダム結合一本鎖抗体のファージ抗体としての発現 gp120に対して高い親和性を示すsFvの同定は、患者の抗体反応の血清 学的(gp120エピトープおよび抗体親和性)および分子的(使用する抗体遺 伝子の選択、体細胞突然変異による多様性の発生)性質の理解を含む多くの理由 、in vivoでのそのような反応性の発生を研究するための重要な物質の提 供および治療目的のために大いに望ましい。sFv抗体断片を、遺伝子 IIIタ ンパク質との融合タンパク質として発現するのに適する繊維状ファージを作製す るために、ファージ抗体を調製するために以前、McCaffertyら(上掲)により使 用されたfdファージを使用する。ヒトsFv遺伝子は、McCaffertyらが使用し て成功したfd遺伝子 IIIの同じ位置に導入する。まず、一本鎖ファージDN Aの作製を、fd−tetベクター(American Type Culture Collection)をF ’dut−ung大腸菌(例えば、CJ236、RZ1032)にトランスフェ クションすることにより行う。in vitro突然変異を使用して、1611 および1631の位置にユニークなKpnIおよびEagI部位を作る(図13 参照)。これらの変化は、遺伝子 IIIのコード配列に影響を及ぼさない。合成 オリゴヌクレオチドをKpnI/EagIで消化したfed−tetDNAでク ローン化して、欠失したp IIIコード配列を再構成し、枠内のsFv遺伝子セ グメントを挿入する。sFv遺伝子のこれらのフランキングセグメントは、sF v遺伝子内にXhoIおよびPvuII部位を含み、完全なsFvカセットのクロ ーン化が可能である。その結果、(N末端からC末端へ)p IIIタンパク質シ グナル配列(Ser−Ala−Gluシグナルペプチダーゼ切断部位を含む)、 sFvおよび残りのp III配列を含むp III−sFv融合タンパク質をコード するfd−tet sFvベクターが得られる。gp120反応性ファージ抗体の特徴付け ファージは、fd−tet−sFvベクターを大腸菌TG1へトランスフェク ションすることにより作製し、次いで、テトラサイクリン選択を保持しながらこ れらのバクテリア内で増殖する。コントロールファージはfd−tetプラスミ ドのトランスフェクションにより作製する。高力価ファージの上清をポ リエチレングリコールで沈殿させ、最初の体積の約1/100に再懸濁した後、 残留バクテリアを除去し、遠心分離によりファージを集める。sFvファージお よびコントロールファージのgp120結合力は、McCaffertyら(上掲)に記載 されているように、濃縮ファージストックを使用してELISAによりテストす る。簡単に述べると、gp120を被覆したプレートを、2%のスキムミルク粉 末を含むリン酸緩衝塩水中、約2×1010ファージとともにインキュベートする 。プレートを0.5%Tween20/PBS、次いでPBSで洗浄し、結合し たファージをヤギ抗−M13抗血清(Sigma)により検出する。牛血清アルブミ ンを被覆したプレートをコントロールとして使用し、認められる反応性がgp1 20に特異的なものであるかどうか確かめる。F105ヒト抗−gp120sF vについて、このF105発現ファージの結合、溶離および濃縮のための条件を 求める。典型的には、1回のアフィニティー精製で高親和性クローンが1000 倍に濃縮される。2回目(必要であれば3回目)のアフィニティー精製で得られ る溶離液のファージをクローン化し、増殖して、そのDNAをシークェンスする 。 同様の実験を、レパートリーライブラリーを使用して行う。実施例5を参照。 一度に一人の患者を分析する。上述の方法を使用して、高親和性をもってgp1 20と結合するクローンを選択する。各クローンは、DNAのシークェンシング を行って、余分なクローンでないことを確認する。選択される抗−gp120s Fvをさらに機能分析するために、sFvカセットをfd−tetベクターから 取り出し、pET発現ベクターでクローン化する。これらのベクターは、BL2 1(DE3)バクテリアで個々に形質転換し、10kDカットオフを有するAmic on stir cellを使用して濃縮した後、これらの部分的に精製した抗体画分を、以 下に記載する種々の活性について分析し、あるいは、gp120アフィニティー カラムによりさらに精製する。 これらの抗gp120sFv抗体によるウィルス中和を測定する。濃縮したペ リプラズム画分または一夜培養した上清(適切な負のコントロールとともに)ま たはアフィニティーカラム精製したsFvを0.45mフィルターに通し、ウ ィルス中和に関して、特定目標(specific aim)1にあるように分析する。gp 120に対するsFv抗体の親和性は、125I−gp 120によるラジオイムノアッセイを使用し、sFv/gp120複合体を市販 のウサギ抗−(ICL)鎖間リンカー(Gly−Gly−Gly−Gly−Se r)3(SEQ IDNO:5)抗血清により沈降させて測定する。さらに、エ ピトープマッピングを、回収されるsFv抗体に対して行う。上述したPND ELISAおよびF105競合試験を行って、gp120上の結合についてエピ トープマッピングを行う。gp120上の立体配座決定因子を認識すると考えら れる抗体については、gp120/sCD4結合の阻害能をさらに分析する。こ れらの研究において、組換え可溶性CD4(sCD4)は、American Biotechno logy,Inc.から入手し、ELISAプレートの被覆に使用する。HRPで標識 したgp120は、これらのsFv抗体がHRP−gp120結合を阻害するこ とができるかどうかを、プレート上のHRP反応性の低下を測定して求めるため に使用する。 実施例5 末梢血白血球(PBL)からの再配列ヒト免疫グロブリン遺伝子のレパートリー クローニングHIV−1感染患者における抗gp120抗体の特徴付け 抹消血白血球の再配列した免疫グロブリン遺伝子の階層(hierarchical)およ びランダム結合ライブラリーを作製するために、健康なHIV感染患者が反映さ れた。これらの患者の選択基準は、彼らの血清学的反応性(すなわち、中和活性 、F105エピトープ阻害、V3ループ反応性)および全体的な臨床状態に基づ く。健康なHIV感染患者の血清を、組換えgp120 MN(5〜10μg/m l)または個々のV3ループペプチド(2〜5μg/ml)で被覆し、0.5% のBSAでブロックしたEIAプレート上でELISA法によりテストする。H IVの種々の株のPND V3ループ(307〜319の位置)に対応する13 個のアミノ酸のペプチドをAmerican Biotechnology,Inc.,Cambridge,Massach usettsから入手する。患者の血清を、IIIB、MN、SF2、RFおよびCCな どのいくつかのPNDに対してスクリーニングする。37℃で2時間インキュベ ートして洗浄した後、プレートをHRP結合ヤギ抗−ヒトIgGとともにインキ ュベートし、0.03%のH22を含むアジノビス(3−エチルベンゾチアゾリ ンスルホン酸)を使用して発色させる。マルチスキャンプレート読み 取り機(Dynatech)を使用して410nmでの吸光度を読み取る。これらの研究 により、V3ループ反応性およびgp120に対する全抗体力価の両方が求めら れる。 F105によって認識される、gp120上の広範囲に中和する立体配座決定 因子と反応する抗体の存在を調べる[Posner,et al.,上掲;Thali,et al., 上掲]。これらの研究では、ELISAプレートを、F105結合を可能にする 最適濃度のgp120MNで被覆する。患者の血清の種々の希釈物について、その ビオチニル化したF105との競合をテストする。競合は、アビジン−HRP反 応性の低下によりその情報が得られる。競合がF105への直接の抗−id反応 性に劣らない(すなわち、F105結合を直接阻害する)ことを確かめるために 、タンパク質Aを被覆したELISAプレートを患者の血清とともにインキュベ ートし、洗浄し、正常なヒト血清の添加によってブロックし、再び洗浄した後、 正常なヒト血清と混合してあるビオチニル化したF105を添加する。検出され たどのアビジン−HRP反応性もF105に対する抗−id反応性に劣るもので ある。 血清の種々の臨床検査用菌株に対する中和能力は、異なる二 つの方法でテストすることができる。 1.7日間アッセイでのHT−H9細胞による逆転写酵素活性の生成を使用する 方法;および 2.MT−細胞中和アッセイによる方法 [Posner,et al.,supra;Pawells,et al.,J.Viro.Methods,20:309(198 8);Mosmann,et al.,J.Immunol.Methods,65:55(1983)]。簡単に述べ ると、逆転写酵素測定では、患者血清(またはコントロール血清)の種々の希釈 物をHIVIIIBまたはMNストックウィルスの5%TCIDとともにインキュべ ートした後、HT−H9細胞を抗体とウィルスとの混合物とともにインキュベー トする。次いで、感染細胞を単一栄養とともに7日間培養し、上清の逆転写酵素 活性を評価する[Posner,et al.,上掲]。第二の中和アッセイは、MT−2細 胞毒性アツセイ[Pawels,et al.,上掲;Mosmann,et al.,上掲]を少し変形 したものである。患者血清の連続した希釈物をウェルの50μlの完全培地中に 調製し、50μlの適切に希釈したウィルスストックを各ウェルに添加する。4 ℃で1時間後、4×104個のMT−2細胞を有する培地100μlを添加する 。プレートを5日間インキュベートした後、生存可能な細胞を、 ホルマザン染料MTTの代謝変換を使用して比色定量的に測定する[Rossi,et al.,PANS,86:8055-8059(1990)]。20μlのMTT(5mg/ml PB S)を各ウェルに添加する。4時間インキュベートした後、100μlの上清を 取り出し、130μlの10%TRITONX−100/酸イソプロパノールを 添加し、試料をピペットで取って析出物を溶解する。ウェルの吸光度を540n mで測定し、バックグラウンドとしてのマイナス分は690nmで測定する。阻 害率(%)を、式:1−〔(ウィルスコントロール−実験値)/(ウィルスコン トロール−培地コントロール)〕で計算する。MT−2法はRT法よりも労力が 少なく、より大がかりの実験に適切であり、これらのスクリーニング研究で使用 される主要測定法である。 レパートリークローニングに対しては、約1〜3×108個のリンパ球(約2 50ml)を得るために各患者の静脈切開を行う[Persson,et al.,PNAS,88: 2432-2436(1991)]。白血球画分を密度勾配分離(Ficoll-Hypaque;Pharmacia )により、さらに精製する。この方法で処理した血液1mlにおける1×106 個のリンパ球は、その約10%がB細胞であると予想される。RNAをグアニジ ニウム イソチオシアネート 法[Chomczynski,et al.Analytical Biochemisty,162:156(1987)]により 直ちに単離する。単離完了後、RNAを、2−メルカプトエタノールを含む50 %イソプロパノール/3Mグアニジニウム イソチオシアネートにより沈殿させ 、逆転写に使用するまで−20℃で保存する。 免疫グロブリン遺伝子ライブラリーの構築(図7)に関しては、全RNA(2 0〜50g)を60pmolのQ1、KまたはG遺伝子に添加する。反応混合 物を25〜30回の増幅にかける。階層ライブラリーの生成に対しては、JHお よびJK(またはCK)プライマーとともに、各々、VH71−4およびHumv k325リーダー配列プライマーを使用する。プライマー配列に関しては実施例 1を参照。最初の20〜25回の増幅後、PCR産物をゲル精製し、縮退VHお よびVKプライマーにより再増幅する。こうして、ファージ抗体ベクターでクロ ーン化するための制限sFvライブラリーを作ることができる。ランダム結合ラ イブラリーに対しては、縮退VHおよびVKプライマーを最初に使用する。 実施例6 再配列したF105VH遺伝子の特徴付け DNA配列分析により、再配列したF105VH遺伝子が、Lee,et al.,[Ie e,et al.,J.Mol.biol.,195:761-768(1987)]によって最近確認された生 殖細胞系VH遺伝子の全ての同定因子との類似性が88%以上であることにより 決定されたVHIV遺伝子ファミリーの一つから誘導されることが示された(デ ータは示さない)。この新しく発見されたVH遺伝子ファミリーは約10個の構 成要素を有する。F105VHは、生殖細胞系遺伝子VH71−4との配列類似性 が最も大きい(94.8%、285/297ヌクレオチド)(表2)。71−4 と比較すると、F105には全部で12個のヌクレオチドの置換があり、これら の置換を表2にまとめる。9個の置換は枠組み構造残基にあり、これらは、3個 の全枠組み領域に分布する3個の全枠組み残基に分布する。これらの置換は、4 個のトランジションおよび5個のトランスバージョンを含む。残り3個の置換は 全てトランジションであり、CDRI(1個)およびCDR2(2個)領域に生 じる。表2は、F105VHのヌクレオチド配列と、再配列していない3個の別 のVHIV生殖細胞系遺伝子(VH4.11、4.15および4.16)との比較 も行う。後者は、健康なコーカサス成人のドナーから得 たゲノムDNAのPCR増幅により同定した。これら3個の生殖細胞系遺伝子は 、VH71−4と最も密接に関連している[Sanz,et al.,EMBO J.,8:3741-374 8(1989)]。明らかなように、これら3個の全生殖細胞系遺伝子およびF10 5は、G→Aヌクレオチドを共有し、ポジション29のVal→Ileのアミノ 酸置換は、この置換が対立遺伝子多型性を表す可能性があることを支持する。し かし、F105は、これらの遺伝子(1個:4.11;または2個:4.15お よび4.16)と比較してヌクレオチドの置換が多く[Goudsmit,et al.,PNAS ,supra]、さらに別の体細胞突然変異が組換え技術後のF105に生じる可能 性があることを示唆するものである。 アミノ酸レベルでみると、F105VHの4個のヌクレオチド置換は、3個の 枠組み領域の各々に等しく分布する(ポジション26:FR1;49:FR2; 94:FR3)無変化変異およびCDR2(ポジション52)の1個の無変化変 異になる。残りの8個のヌクレオチド置換はアミノ酸の変化となり、その変化は CDRよりも3個の枠組み領域において頻繁に生じる(表3)。2個の非保存置 換はFR2領域に生じ(ポジション40:Pro→Ser;46:Glu→Gl n)、3個の保存置換はFR3領域に生じる(ポジション72:Asp→Glu ;82A:Ser→Thr;82C:Val→Met)。保存置換Val→Il eを与えるポジション29の1個のFRI領域枠組み残基は、Kabat,et al., [Kabat,et al.,上掲]により定義されたCDRのすぐ隣に位置する。この領 域は、抗体結合部位の位置関係にも寄与すると考えられる[Clothia,et al.,J .Mol.Biol.,196:901-907(1987)]。7個の生殖細胞系VHIV遺伝子のうち の4個(全て、G→Aヌクレオチド置換)にあるポジション29のIleの存在 は、IIeが対立遺伝子の相違を表し、体細胞突然変異ではないことを示唆する [Lee,et al.,上掲;Sanz,et al.,上掲]。CDR領域では、 CDR1のポジション32におけるTry→Hisの非保存置換およびCD2の ポジション60におけるAsn→Aerの半保存変化とともに2個の置換が生じ る。全体的に、置換と無変化変異との比は2:1である。置換変異はFR/CD Rにおいて3:1の比で生じる。F105VHと他のVH71−4由来の再配列したVH遺伝子との比較分析 表4のパネルAは、F105VHのヌクレオチド配列を2個のモノクローナル 抗体と比較したものである。後者は、ヌクレオチド配列分析により、再配列した VH71−4遺伝子を使用していることが明らかである。一方のIgMモノクロ ーナル抗体(Ab26)は健康なドナーのCD5+B細胞由来のものであり、多 くの抗原に結合する自然のポリ反応性抗体の代表である[Sanz,et al.,J.Imm unol.,142:4054-4061(1989)]。Ab26は、次に最も関連した生殖細胞遺伝 子VH71−2(89.5%)と比較してVH71−4(92.3%)との類似性 が最も大きい配列を有する。また、表3に示すように、抗体268−Dは、HI V−1菌株MNのgp120の主要中和ドメインに対して特異的で、VH71− 4と88.5%が同 一であるIgGImAbである[Andris,et al.,PNAS,88:7783-7787(1991) ]。表4に見られるように、これらのVH71−4に関連するH鎖は3個とも全 て、広範囲にわたる体細胞突然変異を受け、F105のヌクレオチド置換数が最 も少ない。モノクローナル抗体Ab26および268−Dの場合は、各々19個 および42個のヌクレオチドの置換がある。これらの例では全て、ヌクレオチド の置換がCDRおよびFR領域の両方に分散している。3個の抗体はどれも、F 105と同様に29番目のアミノ酸においてG→Aのヌクレオチド置換がある。 表4の後半のパネルでは、これら3個のモノクローナル抗体の対応するアミノ酸 の変化を示す。抗体Ab26および268−Dの場合は、各々、11および23 個のアミノ酸変化があり、一方、F105は8個の変化がある。3個の抗体に共 通な唯一の変化は、29番目のVal→Ileである。 CDR IIIをコードするF105DH遺伝子の分析H−DH−JH構造のDH部分は、H鎖の相補性決定部位(CDR)IIIに対応 する[Schilling,et al.,Nature,283:35-40(1980)]。20を超えるヒト生 殖細胞系遺伝子が同定されており、DH遺伝子の全数は約30であると推定され ている[Ichihara,et al.,EMBO J.,7:4141-4150(1988)]。表5(パネルA )に示すように、F105DH部位は、D−D融合物質から成ると考えられる[M eek,et al.,J.Exp.Med.,170:39-57(1989);Eilat,et al.,supra;Yama da,et al.,J.Exp.Med.,173:395-407(1991);Sanz,et al.,J.Immunol. ,上掲]。F105DH遺伝子の中心にある7個のヌクレオチド配列は、生殖細 胞系DH遺伝子dlr4と同一である。この同一領域は、その5’端のすぐ隣に dlr4と同一のヌクレオチドがさらに2個ある。F105DHにあるさらに5 ’側のヌクレオチドはGおよびCが多いが、これらは、その酵素のターミナルデ オキシヌクレオチジルトランスフェラーゼ(Tdt)に都合がよいヌクレオチド であるため、ランダムな「Nセグメント」ヌクレオチド付加を表していると考え られる[Kipps,et al.,J.Clin.Invest.,87:2087-2096(1991)]。 F105DH領域の3’端を調べると、11/13のヌクレオチドがda4/d al生殖細胞系遺伝子と同一であることがわかる。このヌクレオチド配列の3’ 端はJH領域の5’端に伸びていると考えられるが、その明確な境界を正確に定 義するのは、これがda4/dal生殖細胞系DH遺伝子と同一であるため、困 難である。これらのDH遺伝子は両方とも転写方向が同じであるので、再配列は 恐らく、逆位よりも欠失により生じると考えられる[Meek,et al.,上掲]。 F105DH遺伝子と相同性のあるヌクレオチド配列を有する他の再配列した ヒトH鎖遺伝子に関する遺伝子銀行調査では、2個の再配列遺伝子(L17およ びL37)が示された。これらは、F105と比較して比較的短いDHセグメン ト(約24ヌクレオチド)を有するが、それらの5’端付近には、F105DH 遺伝子の3’端にある12個のヌクレオチド(表4、パネルB)と同一の12個 のヌクレオチド「核」を含む[Alt,et al.,PNAS,79:4118-4122(1982)]。 1個の読み取り枠の好ましい使用は、抗−DNA抗体[Dersimonian,et al.,J ,Immunol.,142:4027-4033(1989)]およびある生殖細胞系DH遺伝子[Yamada ,et al.,上掲]によって説明されている が、上記知見は、3個のコード枠が全てヒトにおいて等しく使用されると考えら れるということを示す他の研究[Ichihara,et al.,上掲;Yamada,et al.,上 掲]と一致する。 F105 JH領域遺伝子の分析 F105 JH領域と6個のヒトJH生殖細胞系遺伝子とを比較すると、JH5と の配列類似性が最も大きいことがわかる(表6)。F105 JH領域は、JH5 と6個のヌクレオチドが異なる。これらの相違のうち5個は、JH遺伝子の5’ 端でかたまっている。これら5個の相違により4個のアミノ酸が変化する。非保 存変化がポジション100E:Asn→Tyr;100F:Trp→Arg;1 01:Phe→Leu;および103:Ser→Proで生じる。6番目のヌク レオチドの置換は、CDR3の外側に位置するアミノ酸ポジション106にあり 、無変化置換である。JH5のポジション100Eに対応するアミノ酸は、F10 5JHでは欠失させることができる。 CDR2イディオタイプHV2aにおけるF105H鎖の持ち分 Silverman,et al.,[Silverman,et al.,Eur.J.Immunol.,上掲]は、ヒ トVHIVH鎖の第一枠組み(FR1)および第二CDR領域(CDR2)の共通 ペプチドに対するペプチド抗血清を使用して、寒冷凝集素およびリウマトイド因 子抗体のH鎖のクラス指定を行った[Silverman,et al.,Eur.J.Immunol.,s upra;Silverman,et al.,Arthritis Rheum.上掲]。これらの抗体に対するC DR2共通ペプチドHV2aは、3個の異なるVHIV生殖細胞系遺伝子(V71 −2、V71−4およびV79)を区別できなかった[Silverman,et al.,Eur .J.Immunol.,上掲]。その結果は、寒冷凝集素およびリウマトイド因子サブ グループのH鎖はともにFR1抗体と反応するが、寒冷凝集素抗体のみは抗−VH 4−HV2a抗血清と反応することを示した。F105によるウェスタンブロ ット実験では、明らかなように、抗−VH4−FR1抗血清はF105と反応す るが、抗−VH3−FR1抗血清はF105と反応しない。また、F105は抗 −VH4−HV2aと反応し、この結合は、抗−VH4−HV2aとVH4−HV 2aペ プチドとの予備インキュベーションによりかなり阻害されるが、密接に関連する VH4−2cペプチドでは阻害されない。この結果は、F105 VHの構造が、 リウマトイド因子のH鎖よりも寒冷凝集素のH鎖により密接に関連することを示 す。F105L鎖VK遺伝子の生殖細胞系Humvk325からの誘導 DNA配列分析により、再配列したF105 VK遺伝子はVKIIIサブグルー プ遺伝子ファミリーの一つに由来することがわかった[Kabat,et al.,上掲] 。VKIIIサブグループはさらにサブ−サブグループに分けることができ、その一 つがVKIII bサブ−サブグループである。F105は、VKIII b生殖細胞系遺 伝子Humvk325との配列類似性が最も大きい(97.7%;343/35 1ヌクレオチド)(表7、パネルA)。Humvk325と比較して、F105 VKには全部で8個のヌクレオチド置換があり、これらの置換を表3にまとめ る。このうち、ともにトランスバージョン変異である2個の置換は、枠組み領域 FR1およびFR3に位置する。他の6個の置換は4個のトランジション変異お よび2個のトランスバージョン変異を含み、CDR1[Gallo,et al.,上掲] お よびCDR3[Patterson,et al.,J.Gen.Virol.,68:1177-1181(1987)] に位置する。 アミノ酸レベルでは、1個のヌクレオチド置換のみが無変化変異である。残り の7個のヌクレオチド置換のうち、2個は枠組み領域に生じ、5個はCDR領域 に生じる(表3および7、パネルB)。2個の枠組みでの置換は、FR1での非 保存置換(ポジション15:Pro→Ala)およびFR3での保存置換(ポジ ション78:Leu→Val)を含む。CDR領域では、一つの変化として、C DR1のポジション31にSer→Argの非保存置換が生じる。CDR3では 3個の非保存アミノ酸置換があり、各々、ポジション94、95Aおよび95B のGly→Asp、Ser→AsnおよびPro→Valである。最後のアミノ 酸置換は、1:2のFR/CDR比で生じる2個の点変異の結果である。これは 、F105VH配列に対して見られる置換パターンとはかなり対照的である(表 3)。 F105 JK領域遺伝子の分析 F105 JK領域は、生殖細胞系JK2遺伝子と最も類似している(表7、パ ネルA)。コドンポジション96は、VKおよびJKの組換えにより生成し、Ty r→Cysの非保存置換となる2個のヌクレオチド置換を有する。また、無変化 T→Aヌクレオチド置換はポジション108で生じ、そうでなければ、F105 JK遺伝子はJK生殖細胞系配置となる。F105の再配列したK鎖と他の再配列したHumvk325関連K鎖との比較 分析 リウマトイド因子抗体は、典型的にはIgMk抗体であり、IgG抗体に対し て特異的である。多くのIgMkリウマトイド因子は、生殖細胞系の突然変異の ない配置のHumvk325遺伝子を使用し[Goni,et al.,J.Immunol.,135 :4073-4079(1985);Silverman,et al.,J.Clin.Invest.,82:469-475(198 8)]、いくつかは、F105のような未突然変異形のJK2遺伝子を使用する[G oni,et al.,上掲]。表7(パネルB)では、再配列したF105 K鎖と、 密接に関連するIgMkリウマトイド因子neuのk鎖とのアミノ酸およびヌク レオチド配列を比較している。明らかなように、neuはF 105と類似しており、2個の同一の点変異(ポジション31のSer→Arg およびポジション96のTyr→Cys)を有する。後者の置換は異常なV/J 結合の結果生じたものである。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1994年1月18日 【補正内容】 26. HIV gp120エピトープに対する親和性を有する抗体の存在を検 出する方法であって、ヒト由来の生物学的流体を前記抗体をコードするmRNA またはDNAの存在に関して、 (a)mRNAまたはDNAをPCR増幅にかけ、および (b)増幅産物を反応物から単離する ことによりテストすることを含む前記方法。 27. 生物学的流体が血液であることを特徴とする請求項26に記載の方法。 28. 5’PCRプライマーが、配列表中に記載のSEQID NO:11〜 14および17〜24から成る群から選択されることを特徴とする請求項26に 記載の方法。 29. 3’プライマーがF105H鎖および/またはL鎖CDR3に相補的で あり、5’プライマーがH鎖および/またはL鎖CDR1に相補的であることを 特徴とする請求項25に記載の方法。 30. 請求項26に記載の増幅産物を発現し、得られた抗体を単離することを 含む、高められたHIV gp120エピトープ結合活性またはHIV−1、H IV−2もしくはSIVの in vitroアッセイにおける高められた中和能を有する抗体の選択方法。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI C07K 16/10 8318−4H C12P 21/08 9358−4B C12Q 1/68 A 9453−4B //(C12P 21/08 C12R 1:19) (72)発明者 マラスコ,ウエイン・エイ アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02181、ウエルズリー、ライス・ストリー ト・43 (72)発明者 ソドロウスキ,シヨーゼフ・ジー アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02155、メドフオード、アシユフオード・ プレイス・10 (72)発明者 ポスナー,マーシヤル・アール アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02026、デダム、コート・ストリート・19 (72)発明者 ヘイゼルチン,ウイリアム・エイ アメリカ合衆国、マサチユーセツツ・ 02138、ケンブリツジ、フオーレン・スト リート・8

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1. 配列表中のSEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3によっ て定義されるヌクレオチド配列を有する単離されたDNAセグメント。 2. SEQ ID NO:1もしくはSEQ ID NO:3のDNA配列あ るいは、HIV gp120エピトープに対する親和性またはHIV−1、HI V−2もしくはSIVのin vitroアッセイにおける中和能を有する抗体 の発現が得られるのに十分な前記DNA配列の断片に作動可能なように結合され たプロモータを含んで成るDNA配列。 3. 得られる抗体がH鎖可変領域断片であることを特徴とする請求項2に記載 のDNA配列。 4. 得られる抗体がL鎖可変領域断片であることを特徴とする請求項2に記載 のDNA配列。 5. 得られる抗体がFab断片であることを特徴とする請求項2に記載のDN A配列。 6. 得られる抗体が一本鎖Abであることを特徴とする請求項2に記載のDN A配列。 7. HIV gp120エピトープに対する結合親和性またはHIV−1、H IV−2もしくはSIVのin vitroアッセイにおける中和能を有する組 換えモノクローナル抗体。 8. SEQ ID NO:1のヌクレオチド配列によってコードされるH鎖可 変領域を有することを特徴とする請求項7に記載の組換えモノクローナル抗体。 9. SEQ ID NO:2のヌクレオチド配列によってコードされるL鎖可 変領域を有することを特徴とする請求項7に記載の組換えモノクローナル抗体。 10. SEQ ID NO:2もしくはSEQ ID NO:4の少なくとも 一方のアミノ酸配列あるいは、結合親和性または中和能を有するのに十分な前記 アミノ酸配列の断片を有することを特徴とする請求項7に記載の組換えモノクロ ーナル抗体。 11. 抗体がrF105であることを特徴とする請求項7に記載の組換えAb 。 12. rF105がrF105 Fabであることを特徴とする請求項11に 記載の組換えAb。 13. rF105がrF105一本鎖Fvであることを特徴とする請求項11 に記載の組換えAb。 14. SEQ ID NO:1またはSEQ ID NO:3に結合するmR NAまたはDNA配列のスクリーニング方法。 15. 高められたHIV gp120エピトープ結合活性またはHIV−1、 HIV−2もしくはSIVのin itroアッセイにおける高められた中和能 を有する抗体の選択方法であって、請求項14に記載の方法を使用して、発現ベ クター内に前記選択配列をクローニングするmRNAまたはDNA配列を選択し 、その配列を発現させ、得られた抗体を単離し、得られた抗体を、HIV gp 120結合親和性または中和能を有する標準Abと比較することを含む前記方法 。 16. 標準抗体がrF105であることを特徴とする請求項15に記載の方法 。 17. ファージ抗体選択法を用いて、得られた抗体を単離することを特徴とす る請求項15に記載の方法。 18. さらに、抗体をコードするDNA配列を突然変異誘発することを含むこ とを特徴とする請求項15に記載の方法。 19. 突然変異誘発を、H鎖可変部遺伝子のCDR1、2または3領域に対し て特異的に行うことを特徴とする請求項18に記載の方法。 20. 突然変異誘発を、L鎖可変部遺伝子のCDR1、2または3領域に対し て特異的に行うことを特徴とする請求項18に記載の方法。 21. 請求項15、16、17、18、19または20に記載の方法により製 造された抗体。 22. 細胞毒性部分および請求項7に記載の組換え抗体を含むイムノトキシン 。 23. 細胞毒性部分がバクテリア、植物または真菌起源の酵素的に活性な毒素 であることを特徴とする請求項18に記載のイムノトキシン。 24. 治療上有効な量の請求項7に記載の抗体を含む医薬組成物。 25. 治療上有効な量の範囲が1mg〜10mgの抗体であることを特徴とす る請求項24に記載の医薬組成物。 26. その抗体をコードするmRNAまたはDNAの存在を、 (a)mRNAまたはDNAをPCR増幅にかけ;および (b)増幅産物を反応物から単離する ことにより 27. 生物学的流体が血液であることを特徴とする請求項 26に記載の方法。 28. 5’PCRプライマーが、配列表中に記載のSEQ ID NO:11 〜14および17〜24から成る群から選択されることを特徴とする請求項26 に記載の方法。 29. 3’プライマーがF105H鎖および/またはL鎖CDR3に相補的で あり、5’プライマーがH鎖および/またはL鎖CDR1に相補的であることを 特徴とする請求項25に記載の方法。 30. 請求項26に記載の増幅産物を発現し、得られた抗体を単離することを 含む、高められたHIV gp120エピトープ結合活性またはHIV−1、H IV−2もしくはSIVのin vitroアッセイにおける高められた中和能 を有する抗体の選択方法。
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