JP2012503490A - 単鎖抗体ライブラリー設計 - Google Patents

単鎖抗体ライブラリー設計 Download PDF

Info

Publication number
JP2012503490A
JP2012503490A JP2011529240A JP2011529240A JP2012503490A JP 2012503490 A JP2012503490 A JP 2012503490A JP 2011529240 A JP2011529240 A JP 2011529240A JP 2011529240 A JP2011529240 A JP 2011529240A JP 2012503490 A JP2012503490 A JP 2012503490A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
site
polynucleotide
restriction
seq
sequence
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP2011529240A
Other languages
English (en)
Inventor
エヴァン ハフトン シモン
ジェームス ジョナサン フィンレイ ウィリアム
デイヴィッド ブロードベント イアン
ブルーム レアード
Original Assignee
ワイス・エルエルシー
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by ワイス・エルエルシー filed Critical ワイス・エルエルシー
Publication of JP2012503490A publication Critical patent/JP2012503490A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K16/00Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies
    • C07K16/005Immunoglobulins [IGs], e.g. monoclonal or polyclonal antibodies constructed by phage libraries
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C12BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
    • C12NMICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
    • C12N15/00Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/10Processes for the isolation, preparation or purification of DNA or RNA
    • C12N15/1034Isolating an individual clone by screening libraries
    • C12N15/1037Screening libraries presented on the surface of microorganisms, e.g. phage display, E. coli display
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/55Fab or Fab'
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/50Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments
    • C07K2317/56Immunoglobulins specific features characterized by immunoglobulin fragments variable (Fv) region, i.e. VH and/or VL
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C07ORGANIC CHEMISTRY
    • C07KPEPTIDES
    • C07K2317/00Immunoglobulins specific features
    • C07K2317/60Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments
    • C07K2317/62Immunoglobulins specific features characterized by non-natural combinations of immunoglobulin fragments comprising only variable region components
    • C07K2317/622Single chain antibody (scFv)

Landscapes

  • Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Genetics & Genomics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Biophysics (AREA)
  • Biotechnology (AREA)
  • Biochemistry (AREA)
  • Zoology (AREA)
  • Molecular Biology (AREA)
  • General Health & Medical Sciences (AREA)
  • Wood Science & Technology (AREA)
  • Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
  • General Engineering & Computer Science (AREA)
  • Virology (AREA)
  • Biomedical Technology (AREA)
  • Proteomics, Peptides & Aminoacids (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Plant Pathology (AREA)
  • Crystallography & Structural Chemistry (AREA)
  • Microbiology (AREA)
  • Immunology (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)
  • Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)

Abstract

本発明は、単鎖可変断片(「ScFv」)ライブラリーを設計および作製するためのポリヌクレオチドベクターおよびリンカーならびに方法を提供する。また、本発明は、ハイスループットな産生およびスクリーニングのためにScFvライブラリーをFab形態およびIgG形態に再編成するためのポリヌクレオチドベクターおよびリンカーならびに方法も提供する。
【図5】

Description

本発明は、単鎖Fv(ScFv)ライブラリーならびにそれらのライブラリーをスクリーニングおよび再編成するためのベクターおよび方法に関する。
タンパク質治療物質は、創薬の重要な部分である。タンパク質変種の大型ライブラリーのハイスループットなスクリーニングにより、結合親和性、安定性、および特異性などの望ましい特性に関してタンパク質治療物質を効率的に発見または最適化することが可能になる。
治療的抗体は、抗原に対する親和性および特異性が高く、かつインビトロおよびインビボでの安定性が比較的高いため、特に魅力的である。抗体は、2つの重鎖および2つの軽鎖からできており、これらはN末端に可変領域を含有し、ジスルフィド架橋によって連結されている。単鎖抗体は、重鎖可変領域および軽鎖可変領域の断片(ScFv)を連結することによって人工的に作り出される。
ScFvを作るための典型的な手順は、一般に、抗体の可変領域をコードする遺伝子領域の増幅、ScFv遺伝子配列の組立て、および宿主細胞におけるScFv遺伝子配列の発現を伴う。これらの宿主細胞は、抗原に結合し、したがって、所望の特異性を有する機能的なScFvを発現する細胞を同定するための標的抗原を用いてスクリーニングされる。
特異的抗原に結合する単鎖抗体を同定するために最もよく使用される技術は、ファージディスプレイおよびその変形法によるものである(Hoogenboomら、1998を参照されたい)。一般に、ファージディスプレイ法は、ランダムなオリゴヌクレオチドをファージゲノム中に挿入することを伴い、その結果、ファージコートタンパク質(例えば、繊維状ファージpIII、pVI、またはpVIII)に融合されたペプチドライブラリーを細菌宿主が発現するようにそれらが指示する。最高1010個の個別メンバーからなるライブラリーが、このようにしてごく普通に調製され得る。成熟ファージコート配列中にScFv配列を組み入れることにより、異種配列にコードされたScFv抗体が生じ、ファージの外表面に提示される。関連する(1つまたは複数の)抗原標的を表面に固定化することにより、他のものは洗浄によって除去されるのに対し、表面上のそれらの標的の内の1つに結合するScFvを提示するファージは残ると考えられる。
しかし、ScFvは、二量体化する傾向を有する場合があり、これは、選択されたクローンの定量的区別が望まれる場合に特に、スクリーニングアッセイを複雑にする場合がある。
本発明は、他の免疫グロブリン形態、例えば、Fab、IgG、ScFv−Fc融合物へのScFv抗体の「大量(bulk)」再編成を容易にする一般的制限部位を用いた、タンパク質発現またはディスプレイのための単鎖抗体(ScFv)ライブラリー設計を提供する。すなわち、本発明は、薬物の発見または最適化プロセスの早い段階における望ましい分子形態のScFvの大型プールの移送(トランスファー)およびスクリーニングを可能にし、それによって、薬物発見の予定表を短縮する。
1つの態様において、本発明は、抗体重鎖可変領域(「VH」)ポリヌクレオチド断片および抗体軽鎖可変領域(「VL」)のクローニング(挿入およびライゲーション)を受け入れるための少なくとも4つの制限酵素認識部位を含む、マルチクローニング部位またはリンカー(以下、ポリヌクレオチドリンカー、ポリリンカー、またはMCSとも呼ぶ)としての機能を果たすポリヌクレオチドを提供する。
1つの実施形態において、VHポリヌクレオチドをクローニングするための部位は、VLポリヌクレオチドをクローニングするための部位の5プライム(5’)側に位置している。この特定の実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、VHポリヌクレオチドのための部位の5’末端に位置した第1の制限部位(「部位1」)、VHポリヌクレオチドのための部位の3プライム(3’)末端に位置した第2の制限部位(「部位2」)、部位2の3’側かつVLポリヌクレオチドのための部位の5’末端に位置した第3の制限部位(「部位3」)、およびVLポリヌクレオチドのための部位の3プライム(3’)末端に位置した第4の制限部位(「部位4」)を含む。いくつかの実施形態において、部位1は、SfiI、BssHII、ApaLI、およびMfeIを含む群から選択され、部位2は、XhoI、SalI、BclI、BstEII、MluI、SmaI、およびXbaIを含む群から選択され、部位3は、XhoI、SalI、BspEI、ApaLI、BssHII、およびEcoRVからなる群から選択され、部位4は、SfiI、BclL、AvrII、BsiWI、およびBamHIを含む群から選択される。いくつかの態様において、部位1はBssHIIであり、部位2はXhoIであり、部位3はBspEIであり、部位4は、VLポリヌクレオチドがλ軽鎖ポリペプチドをコードする場合、AvrIIであり、VLポリヌクレオチドがκ軽鎖ポリペプチドをコードする場合、BsiWIである。
別の実施形態において、VLポリヌクレオチドをクローニングするための部位は、VHポリヌクレオチドをクローニングするための部位の5プライム(5’)側に位置している。この特定の実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、VLポリヌクレオチドのための部位の5’末端に位置した第1の制限部位(「部位1」)、VLポリヌクレオチドのための部位の3プライム(3’)末端に位置した第2の制限部位(「部位2」)、部位2の3’側かつVHポリヌクレオチドのための部位の5’末端に位置した第3の制限部位(「部位3」)、およびVHポリヌクレオチドのための部位の3プライム(3’)末端に位置した第4の制限部位(「部位4」)を含む。いくつかの実施形態において、部位1は、SfiI、BssHII、およびApaLIを含む群から選択され、部位2は、XhoI、SalI、BclI、SacI、AvrII、BsiWI、およびMluIを含む群から選択され、部位3は、MfeI、BspEI、ApaLI、BssHII、XhoI、およびSalIからなる群から選択され、部位4は、SfiI、BclI、XhoI、SalI、およびBstEIIを含む群から選択される。いくつかの実施形態において、部位1はBssHIIであり、部位2は、VLポリヌクレオチドがλ軽鎖ポリペプチドをコードする場合、AvrIIであり、VLポリヌクレオチドがκ軽鎖ポリペプチドをコードする場合、BsiWIであり、部位3はBspEIであり、部位4はXhoIである。
別の態様において、本発明は、二本鎖となった場合、例えば、5’から3’に向かって、ApaLI部位、SacI部位、XhoI部位、およびSfiI部位を含む制限酵素認識部位を形成するヌクレオチド配列を含有する、マルチクローニング部位またはリンカー(以下、ポリヌクレオチドリンカー、ポリリンカー、またはMCSとも呼ぶ)としての機能を果たすポリヌクレオチドを提供する。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、XhoI部位の3’側かつSfiI部位の5’側にBstEII部位をさらに含む。
別の態様において、本発明は、二本鎖となった場合、例えば、5’から3’に向かって、AscI部位、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AvaI部位、XhoI部位、MfeI部位、XmaI部位、SmaI部位、BstEII部位、BclI部位、およびSfiI部位を含む制限酵素認識部位を形成するポリヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドリンカーを提供する。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、本発明のこの態様のポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む。
さらに別の態様において、本発明は、二本鎖となった場合、例えば、5’から3’に向かって、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AscI部位、XhoI部位、AvaI部位、MfeI部位、BstEII部位、およびSfiI部位を含む制限酵素認識部位を形成するポリヌクレオチド配列を含有するポリヌクレオチドリンカーを提供する。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号2のヌクレオチド配列を含有する。
いくつかの実施形態において、本発明のこの態様のポリヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一のヌクレオチド配列を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む。
本発明はさらに、上記の様々な実施形態において説明したようなポリヌクレオチドリンカーを含有するベクターも提供する。
1つの態様において、本発明は、可変重鎖(VH)遺伝子および可変軽鎖(VL)遺伝子を含有する核酸構築物を提供する。この核酸構築物はさらに、VH遺伝子の5’末端のXhoI制限部位、VH遺伝子の3’末端のSfiI制限部位またはBstEII制限部位、VL遺伝子の5’末端のApaL1制限部位、およびVL遺伝子の3’末端のSac1制限部位を含有する。
いくつかの実施形態において、VL遺伝子およびVH遺伝子は、VL−VH形態で存在する。他の実施形態において、核酸構築物は、VH遺伝子とVL遺伝子の間にリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、DGGGSGGGGSGGGGSS(配列番号3)などの配列を含む。
別の態様において、本発明は、複数の核酸構築物を含む単鎖Fv(ScFv)ライブラリーを提供し、各核酸構築物は、VH遺伝子およびVL遺伝子、VH遺伝子の5’末端のXhoI制限部位、VH遺伝子の3’末端のSfiI制限部位またはBstEII制限部位、VL遺伝子の5’末端のApaL1制限部位、ならびにVL遺伝子の3’末端のSac1制限部位を含有する。
いくつかの実施形態において、VL遺伝子およびVH遺伝子は、各核酸構築物においてVL−VH形態で存在する。いくつかの実施形態において、複数の核酸構築物はそれぞれ、VH遺伝子とVL遺伝子の間にリンカーを含む。いくつかの実施形態において、リンカーは、DGGGSGGGGSGGGGSS(配列番号3)などの配列を含む。
別の態様において、本発明は、単鎖Fv(scFv)ライブラリーを構築するための方法を提供する。この方法は、(1)VH遺伝子のコレクションの5’末端にXhoI制限部位を、3’末端にSfiI制限部位またはBstEII制限部位を導入するステップと、(2)XhoIと適合性がある第1の制限部位およびSfi1またはBstEIIと適合性がある第2の制限部位を用いて、複数のベクター中にVH遺伝子のコレクションをクローニングするステップと、(3)VL遺伝子のコレクションの5’末端にSacI制限部位を、3’末端にApaLI制限部位を導入するステップと、(4)ApaL1およびSac1と適合性がある制限部位を用いて、複数のベクター中にVL遺伝子のコレクションをクローニングするステップとを含む。
いくつかの実施形態において、単鎖Fv(ScFv)ライブラリーを構築するための方法は、単離された全RNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、XhoI制限部位を含有するフォワードプライマーおよびSfiI制限部位またはBstEII制限部位を含有するリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVH遺伝子を増幅するステップとを含んでよい。
いくつかの実施形態において、単鎖Fv(ScFv)ライブラリーを構築するための方法は、単離された全RNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、ApaL1制限部位を含有するフォワードプライマーおよびSac1制限部位を含有するリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVL遺伝子を増幅するステップとを含んでよい。
本発明はさらに、本発明のこの態様の方法を用いて構築した単鎖Fv(ScFv)ライブラリーも提供する。
さらに別の態様において、本発明は、単鎖Fv(ScFv)ライブラリーをFab発現系に再編成するための方法を提供する。この方法は、(1)本発明のScFvライブラリーを提供するステップと、(2)1つまたは複数の制限酵素を用いてScFvライブラリーを消化することによって、VH遺伝子およびVL遺伝子をそれぞれが含む複数の断片を作製するステップと、(3)ステップ(2)で作製した複数の断片を、適合性制限部位を有する複数のFab発現ベクターにクローニングするステップとを含む。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の制限酵素としては、ApaLIおよびBstEIIが挙げられる。いくつかの実施形態において、VH遺伝子およびVL遺伝子は、VL−VH形態で存在する。いくつかの実施形態において、複数の断片はそれぞれ、VH遺伝子とVL遺伝子の間にリンカーをさらに含む。いくつかの実施形態において、この方法は、リンカーの少なくとも一部分を、Ck配列、リボソーム結合部位(rbs)、およびシグナルペプチド配列を含有する配列で置き換えるステップをさらに含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチド配列は、PelBリーダー配列を含有する。
さらに別の態様において、本発明は、単鎖Fv(ScFv)ライブラリーをIgG発現系に再編成するための方法を提供する。この方法は、(1)本発明のScFvライブラリーを提供するステップと、(2)1つまたは複数の制限酵素を用いてScFvライブラリーを消化することによって、VH遺伝子およびVL遺伝子をそれぞれが含む複数の断片を作製するステップと、(3)ステップ(2)で作製した複数の断片を、適合性制限部位を有する複数のIgG発現ベクターにクローニングするステップとを含む。
いくつかの実施形態において、1つまたは複数の制限酵素としては、ApaL1およびBstEIIが挙げられる。いくつかの実施形態において、VH遺伝子およびVL遺伝子は、VL−VH形態で存在する。いくつかの実施形態において、複数の断片はそれぞれ、VH遺伝子とVL遺伝子の間にリンカーをさらに含む。いくつかの実施形態において、この方法は、リンカーの少なくとも一部分を、Ck配列、配列内リボソーム進入部位(IRES)、およびシグナルペプチド配列を含有する配列で置き換えるステップをさらに含む。
本発明のその他の特徴、目的、および利点は、以下の詳細な説明、図面、および特許請求の範囲において明らかである。しかし、詳細な説明、図面、および特許請求の範囲は、本発明の実施形態を示すが、限定としてではなく、例証として与えられるにすぎないことを理解すべきである。本発明の範囲内の様々な変更および修正は、当業者に明らかになると考えられる。
例示的なV遺伝子増幅戦略を示す図である。 ScFvダミー構築物を含有する例示的なベクターを示す図である。 ScFvライブラリーを構築するための、制限に基づいた例示的なクローニング戦略を示す図である。 ハイスループットなタンパク質発現のためにScFvライブラリーをFabライブラリーに大量に再編成する、例示的な2ステップの手順を示す図である。Fabベクターの例示的なポリリンカーも示す。 ハイスループットなタンパク質発現のためにScFvライブラリーをIgG発現系に大量に再編成する、例示的な2ステップの手順を示す図である。
本発明は、ハイスループットな発現およびライブラリーディスプレイの両方のために、異なる分子形態、例えば、Fab、IgG、またはFc融合物へのScFvポリペプチドのプールのスムーズにつながった変換を可能にする、適合性制限部位を用いた単鎖Fv(ScFv)ライブラリー設計を提供する。特に、本発明は、適合性制限部位に基づいてScFvライブラリーを作製するためのベクターおよび方法、ならびに適合性制限部位を用いて、Fab、IgG、または他の免疫グロブリン形態に本発明のScFvライブラリーを再編成する方法を提供する。
本発明の様々な態様を、以下のセクションにおいて詳細に説明する。セクションの使用は、本発明を限定することを意図していない。各セクションは、本発明の任意の態様に当てはまり得る。
単鎖可変(ScFv)ポリペプチド
典型的な単鎖可変断片(ScFv)は、免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の可変領域を含有し、リンカーによって1つに連結された組換えポリペプチドである。典型的には、リンカーは短く柔軟である。いくつかの実施形態において、リンカーは、VLのカルボキシル末端をVH配列のアミノ末端に連結する(VL−VH配置)。他の実施形態において、リンカーは、VHのカルボキシル末端をVL配列のアミノ末端に連結する(VH−VL配置)。他の実施形態において、ScFvポリペプチドは、元の免疫グロブリンの特異性を保持する。ScFvポリペプチドをコードするDNAを構築するための一般的方法は公知である。ScFvポリペプチドは、ScFvポリヌクレオチドにコードされる。
本出願において使用される場合、ScFvポリペプチドは、ディスプレイもしくは発現されるポリペプチド、関心対象のポリペプチド、または異種ポリペプチドとも呼ばれる。さらに、「ポリペプチド」、「ペプチド」、または「タンパク質」という用語は、本出願において同義的に使用される。
ベクター
本明細書において使用される場合、「ベクター」または「ポリヌクレオチドベクター」という用語は、連結されている別の核酸断片または配列をある場所(例えば、宿主、系)から別の場所に運搬および移送することができる核酸分子を意味する。この用語は、例えばポリヌクレオチド発現ベクターなどのインビボまたはインビトロの発現系用のベクターを含む。例えば、本発明のベクターは、「プラスミド」の形態でよく、これは、典型的にはエピソームによって維持されている、環状二本鎖DNAループを意味する。本発明のベクターは、直線状形態でもよい。さらに、本発明は、等価な機能を果たし、かつ本明細書の後に当技術分野において公知になる他の形態のベクターも含むと意図される。
本発明のベクターは、ポリヌクレオチドおよびポリペプチドの発現のために使用され得る。一般に、本発明のベクターは、発現しようとするポリヌクレオチドに作動可能に連結されたシス作用性調節領域を含む。調節領域は、構成的でも誘導性でもよい。適切なトランス作用性因子は、インビトロの翻訳系により、宿主によって、補完的(complementing)ベクターによって、または宿主中に導入される際にベクターそれ自体によって、供給される。
本発明のベクターは、細菌プラスミド、バクテリオファージ、酵母エピソーム、酵母染色体エレメント、哺乳動物ウイルス、哺乳動物染色体、およびそれらの組合せに由来してよく、例えば、限定されるわけではないがコスミドおよびファージミドを含めて、プラスミドおよびバクテリオファージの遺伝子エレメントに由来するものでよい。
本発明のベクターは、発現ベクターまたはディスプレイベクターに典型的に含まれる任意のエレメントを含んでよく、これらとしては、限定されるわけではないが、複製起点配列、抗生物質耐性遺伝子、リーダー配列またはシグナルペプチド配列、様々なタグ配列、スタッファー配列および制限部位が挙げられる。
本発明のベクターを構築するための一般的方法は、当技術分野において周知である。例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual、第2版、Sambrookら、1989、Cold Spring Harbor Laboratory Press。例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入、および遺伝子発現における核酸の操作ならびにタンパク質の解析のための多くの公知の技術およびプロトコールは、Current Protocols in Molecular Biology、第2版、Ausubelら編、John Wiley&Sons、1992に詳細に記載されている。SambrookらおよびAusubelらの開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
本発明はまた、本発明のベクターを含有する、宿主細胞または他の生物も提供する。例えば、本発明は、本発明のベクターを含有する細菌、哺乳動物細胞、酵母、および他の細胞系を提供する。適切な哺乳動物細胞としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓細胞、NSOマウス黒色腫細胞、ならびにその他の多くのものが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。例示的な一般的細菌宿主は、大腸菌(E.coli)である。
ポリヌクレオチドリンカー
典型的には、本発明のベクターは、制限部位に基づいたクローニング戦略を用いたライブラリー間での抗体重鎖可変(VH)遺伝子および抗体軽鎖可変(VL)遺伝子の移送を容易にする1つまたは複数の適合性制限部位を含有するポリヌクレオチドリンカーを含む。本明細書において使用される場合、「ポリヌクレオチドリンカー」または「ポリリンカー」という用語は、少なくとも1つの制限酵素認識部位を含有するポリヌクレオチド配列、または、二本鎖となった場合、少なくとも1つの制限酵素認識部位を形成する一本鎖ポリヌクレオチド配列を意味する。
本明細書において使用される場合、「適合性制限部位」という用語は、異なる分子形態(例えば、Fab形態またはIgG形態)を有するベクター上の少なくとも1つの制限部位と適合性がある、1つの形態のベクター(例えば、ScFvファージディスプレイベクター)上の制限部位を意味する。本明細書において使用される場合、制限部位は、適切な制限酵素によって切断された後に、DNAリガーゼによってライゲーションできる場合は、「適合性がある」。いくつかの実施形態において、適合性制限部位としては、適切な制限酵素によって切断された後に、DNAリガーゼによって結合できる相補的オーバーハング配列を有する「粘着末端」を生じるような二本鎖配列が挙げられる。粘着末端断片は、元来切断された元の断片だけでなく、適合性粘着末端を有する他の任意の断片にもライゲーションされ得る。粘着末端は、付着末端または相補的末端とも呼ばれる。制限酵素が、変性していない(non−degenerate)パリンドローム切断部位を有する場合、それによって産生される末端はすべて適合性である。また、異なる酵素によって産生される末端が適合性である場合もある。本明細書において使用される場合、適合性制限部位としては、適切な制限酵素によって切断された後に、DNAリガーゼによって結合できる「平滑末端」を生じるような二本鎖配列も挙げられる。本出願において使用される場合、適合性制限部位は、一般的制限部位または普遍的制限部位とも呼ばれる。本明細書において使用される場合、「制限部位」とは、制限エンドヌクレアーゼによって認識される特定のヌクレオチド配列を意味する。制限エンドヌクレアーゼ(制限酵素)は、一般に、パリンドロームであり二本鎖である制限部位を認識する。本出願の文脈において、制限部位配列は、一本鎖または二本鎖と呼ばれてよい。
一般に、1型、2型、または3型の任意の制限酵素によって切断可能な任意の制限部位が、本発明のために使用され得る。いくつかの実施形態において、2型制限酵素によって切断可能な任意の制限部位が使用され得る。制限酵素およびそれらの認識配列は、当技術分野において周知である。例示的な制限認識部位を表1に列挙する。適切な制限部位の配列は、標準的な組換え技術を用いてポリヌクレオチドリンカー配列中に組み入れることができる。
適合性制限部位の使用により、配列情報に依存せずに、ScFvのプールを他の分子形態に再編成することが可能になる。これは、抗体のVH遺伝子配列もVL遺伝子配列も切断しないか、もしくは頻繁には切断せず、VL遺伝子およびVH遺伝子の5’末端もしくは3’末端に位置するか、またはVH遺伝子とVL遺伝子の間に置かれた柔軟なリンカーをコードするポリヌクレオチド内に組み入れられた一般的制限部位を用いて実現することができる。したがって、選択されたScFvのプールを発現またはディスプレイのために移送し、この移送の間、VLとVHの連結を維持することができる。移送中のVLとVHの連結の保持は、再編成期間中のV遺伝子のシャッフリングおよび選択された結合対の損失を防ぐために重要な選択肢である。コンビナトリアルシャッフリング(VHおよびVLの連結されていない移送)を可能にする代替のクローニング手順は、移送中に余分な多様性が望まれる場合、使用してよい。
いくつかの実施形態において、本発明に適した適合性制限部位としては、抗原VHまたはVL遺伝子配列を切断しないか、または頻繁には切断しない制限酵素によって切断可能な制限部位が挙げられる。例えば、適切な適合性制限部位は、平均で、VHまたはVL遺伝子集団の30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、3%、2%、1%、0.08%、0.06%、0.04%、0.02%、0.01%、または0.005%未満を切断する制限酵素によって切断可能な任意の部位でよい。制限酵素の切断頻度は、コード領域のヌクレオチド組成またはDNA供給源に依存する。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドリンカーは、限定されるわけではないが、ApaLI、AscI、AvaI、AvrII、MfeI、BamHI、BcII、BsiWI、BspEI、BssHII、BstEII、EcoRV、HindIII、MIuI、NcoI、NotI、XbaI、XhoI、XmaI、PciI、PstI、NheI、SacI、SaII、SfiI、およびSmaIを含めて、抗体VHまたはVL遺伝子を切断しないか、または頻繁には切断しない制限酵素によって切断可能な1つまたは複数の適合性制限部位を含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、上記の酵素のいずれか1つによって切断可能な制限部位を含有してよい。例えば、ポリヌクレオチドリンカーは、SfiIによって切断可能な1つまたは複数の適合性制限部位を含有してよい。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、SfiIによって切断可能な第1の適合性制限部位およびSfiIによって切断可能な第2の適合性制限部位を含有してよく、その際、第1の適合性制限部位および第2の適合性制限部位は互いに適合性ではない。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、AscIおよびMfeI、AscIおよびSfiI、ApaLIおよびNotI、ApaLIおよびNheI、またはApaL1およびBstEIIなど、上記の酵素のいずれかによって切断可能な制限部位の組合せを含有してよい。他の実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、SfiI、BssHII、ApaLI、またはMfeI、XhoI、SalI、BclI、BstEII、MluI、SmaI、またはXbaI、XhoI、SalI、BspEi、ApaLI、BssHII、またはEcoRV、およびSfiI、BclL、AvrII、BsiWI、またはBamHIなどの上記の酵素のいずれかによって切断可能な制限部位の組合せを含有してよい。さらに別の実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、SfiI、BssHII、またはApaLI、XhoI、SalI、BclI、SacI、AvrII、BsiWI、またはMluI、MfeI、BspEI、ApaLI、BssHII、XhoI、またはSalI、およびSfiI、BclI、XhoI、SalI、またはBstEIIなどの上記の酵素のいずれかによって切断可能な制限部位の組合せを含有してよい。
いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドリンカーは、決まった相対的位置に存在する制限部位の組合せを含有する。例えば、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、ApaLI部位、SacI部位、XhoI部位、およびSfiI部位を含む、適合性制限部位の組合せを含んでよい。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、ApaLI部位、SacI部位、XhoI部位、BstEII、およびSfiI部位を含む、適合性制限部位の組合せを含む。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、AscI部位、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AvaI部位、XhoI部位、MfeI部位、XmaI部位、SmaI部位、BstEII部位、BclI部位、およびSfiI部位を含む、適合性制限部位の組合せを含む。1つのこのような例示的なポリリンカーを実施例3において説明し、この例示的なポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を配列番号1に示す。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、SfiI、BssHII、ApaLI、またはMfeI部位、XhoI、SalI、BclI、BstEII、MluI、SmaI、またはXbaI部位、XhoI、SalI、BspEi、ApaLI、BssHII、またはEcoRV部位、およびSfiI、BclL、AvrII、BsiWI、またはBamHI部位を含む、適合性制限部位の組合せを含む。1つの例示的なポリリンカーは、5’から3’に向かって、BssHII、XhoI、BspEI、およびAvrIIまたはBsiWIを含む。他の実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、SfiI、BssHII、またはApaLI部位、XhoI、SalI、BclI、SacI、AvrII、BsiWI、またはMluI部位、MfeI、BspEI、ApaLI、BssHII、XhoI、またはSalI部位、およびSfiI、BclI、XhoI、SalI、またはBstEII部位を含む、適合性制限部位の組合せを含む。1つの例示的なポリリンカーは、5’から3’に向かって、BssHII、AvrIIまたはBsiWI、BspEI、およびXhoIを含む。
適合性制限部位間のヌクレオチド配列は変更されてよい。したがって、いくつかの実施形態において、制限部位の同じ組合せ(すなわち、5’から3’に向かって、AscI部位、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AvaI部位、XhoI部位、MfeI部位、XmaI部位、SmaI部位、BstEII部位、BclI部位、およびSfiI部位)を含有するポリヌクレオチドリンカーは、配列番号1と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一のポリヌクレオチド配列を有してよい。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチドリンカーは、5’から3’に向かって、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AscI部位、XhoI部位、AvaI部位、MfeI部位、BstEII部位、およびSfiI部位を含む、適合性制限部位の組合せを含む。1つのこのような例示的なポリリンカーを実施例5において説明し、この例示的なポリヌクレオチドのヌクレオチド配列を配列番号2に示す。
適合性制限部位間のヌクレオチド配列は変更されてよい。したがって、いくつかの実施形態において、制限部位の同じ組合せ(すなわち、5’から3’に向かって、PciI部位、HindIII部位、ApaLI部位、SacI部位、AscI部位、XhoI部位、AvaI部位、MfeI部位、BstEII部位、およびSfiI部位)を含有するポリヌクレオチドリンカーは、配列番号2と少なくとも50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または99.5%同一のポリヌクレオチド配列を有してよい。いくつかの実施形態において、ポリヌクレオチド配列は、配列番号2と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む。
いくつかの実施形態において、ダミーVL遺伝子またはダミーVH遺伝子を適合性制限部位の間に組み入れてよい。ダミーVL遺伝子またはダミーVH遺伝子は、既存のVL遺伝子またはVH遺伝子のそれぞれに、典型的には3つのフレームすべてに停止コドンを導入することによって構築することができる。適合性制限部位は、ダミーVL遺伝子およびダミーVH遺伝子の5’末端および3’末端に導入し、適合性制限部位を用いて、ポリヌクレオチドリンカー中にクローニングすることができる。ダミーVH遺伝子およびダミーVL遺伝子は、後述するように適合性制限部位を用いて、関心対象のVH遺伝子およびVL遺伝子でそれぞれ置き換えることができる。例示的なScFvダミー構築物を実施例3において説明し、図2に示す。
したがって、本発明は、決まった位置に存在する適合性制限部位を用いて、異なるエレメント(例えば、VH遺伝子またはVL遺伝子)を独立にクローニングおよび交換できる、モジュール式ポリリンカー設計を提供する。また、このポリリンカー設計により、配列情報に依存せずに、制限に基づいたクローニング手順を用いて、連結された形態のVHおよびVLの大きなプールを異なる形態(例えば、FabおよびIgG)のベクターに移動することが容易になる。後述するように、典型的には、再編成は、外部の制限部位を最初に用いた両V遺伝子の移送、続いて、Fab発現またはIgG発現のいずれかのための適切な配列断片によるScFvリンカー配列の置換を含む、2ステップのクローニング手順を伴う。
Figure 2012503490
Figure 2012503490
Figure 2012503490
Figure 2012503490
Figure 2012503490
ファージディスプレイベクター
典型的には、本発明のファージディスプレイベクターは、例えば、ファージタンパク質(例えばファージ表面タンパク質)との融合タンパク質として、異種ポリペプチドを発現または条件付きで発現することができるファージ由来核酸配列を含有するベクターである。いくつかの実施形態において、本発明のファージディスプレイベクターは、繊維状ファージ(例えば、ファージf1、fd、およびM13)またはバクテリオファージ(例えば、T7バクテリオファージおよびλ型ファージ)に由来するベクターである。繊維状ファージおよびバクテリオファージは、例えば、Santini(1998)J.Mol.Biol.282:125〜135、Rosenbergら(1996)Innovations 6:1〜6、Houshmandら(1999)Anal Biochem 268:363〜370)に記載されている。
特に、本発明のファージディスプレイベクターは、次のエレメントを含んでよい:(1)構成的発現または誘導性発現に適したプロモーター(例えば、lacプロモーター)、(2)ディスプレイされるペプチドをコードする配列の前のリボソーム結合部位およびシグナル配列、ならびに(3)前述したような適合性制限部位を含有するポリヌクレオチドリンカー、(4)任意選択により、ヒスチジン5〜6個のストレッチまたは抗体によって認識されるエピトープなどのタグ配列、(5)抑制可能なコドン(suppressible)(例えば、終止コドン)、ならびに(6)ディスプレイしようとするペプチドとの融合物を形成するようにインフレームに位置する、ファージ表面タンパク質をコードする配列。
一般に、本発明のファージディスプレイベクターは、異種ポリペプチドをコードする核酸配列およびファージ表面タンパク質をコードする配列に作動可能に連結されたプロモーターおよび/または調節領域を含有する。「作動可能に連結される」という用語は、連結されたプロモーターおよび/または調節領域がコード配列の発現を機能的に制御するような、核酸配列間の機能的連結を意味する。また、これは、同じ連結されたプロモーターおよび/または調節領域にコード配列が制御され得るような、コード配列間の連結も意味する。コード配列間のこのような連結は、それらのコード配列にコードされるアミノ酸を含む融合タンパク質が発現され得るように、インフレームで、または同じコーディングフレーム中で連結されていると呼ぶこともできる。
本発明の他の実施形態において、融合タンパク質を発現する能力は、調節的プロモーターまたは他の調節領域(例えば、誘導がない場合、それらによって制御される発現が低いか、または検出不可能である、誘導性プロモーター)の使用によってある程度調節される。誘導性プロモーターの非限定的な例としては、lacプロモーター、lac UV5プロモーター、アラビノースプロモーター、およびtetプロモーターが挙げられる。いくつかの実施形態において、リプレッサー(例えば、lacI)またはターミネーター(例えば、tHPターミネーター)を組み入れることによって、誘導性プロモーターをさらに拘束することができる。例えば、リプレッサーlacIは、Lacプロモーターと共に使用される。いくつかの実施形態において、lacI遺伝子とLacプロモーターの間に強力なtHPターミネーターをさらに挿入することができる。
本明細書において使用される場合、「ファージ表面タンパク質」という用語は、繊維状ファージ(例えば、ファージf1、fd、およびM13)またはバクテリオファージ(例えば、λ、T4、およびT7)の表面に通常存在し、異種ポリペプチドとの融合タンパク質として発現されるように適合され、それでもなお、集合してファージ粒子を構築することができ、その結果、そのポリペプチドがファージ表面にディスプレイされる、任意のタンパク質を意味する。繊維状ファージに由来する適切な表面タンパク質としては、遺伝子IIIタンパク質および遺伝子VIIIタンパク質など繊維状ファージに由来するマイナーコートタンパク質、遺伝子VIタンパク質、遺伝子VIIタンパク質、遺伝子IXタンパク質、T7由来の遺伝子10タンパク質、およびバクテリオファージλのカプシドDタンパク質(gpD)など繊維状ファージに由来する主要コートタンパク質が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの実施形態において、適切なファージ表面タンパク質は、天然に存在する表面タンパク質のドメイン、切断型変種、断片、または機能的変種である。例えば、適切なファージ表面タンパク質は、遺伝子IIIタンパク質のドメイン、例えば、アンカードメインまたは「断端(stump)」でよい。その他の例示的なファージ表面タンパク質は、その開示内容が参照により本明細書に組み入れられるWO00/71694に記載されている。当業者は認識するように、ファージ表面タンパク質は、ファージディスプレイベクターおよびその増殖のために使用する細胞の考慮と組み合わせて、選択するべきである。
ディスプレイされるポリペプチドは、典型的には、ファージ表面タンパク質に共有結合されている。この連結は、表面タンパク質に融合されるポリペプチド構成要素をコードする核酸の翻訳の結果、生じる。この連結は、柔軟なペプチドリンカー、プロテアーゼ部位、または停止コドンの抑制の結果として組み入れられるアミノ酸を含んでよい。
抑制可能なコドンは、当技術分野において公知である。例えば、抑制可能なコドンは、UAG(アンバーコドンと呼ばれる)、UAA(オーカーコドンと呼ばれる)、およびUGAを含めて、終始コドンでよい。UAG、UAA、およびUGAは、mRNAコドンを示す。ベクター中に存在する対応するヌクレオチド配列は、それぞれ、TAG、TAA、およびTGAである。また、終止コドンの選択は、コドンの周囲に特定の配列を導入することによって強化することもできる。
コード配列の翻訳をさらに調節するために、特殊な開始シグナルを組み入れてもよい。これらのシグナルとしては、ATG開始コドンまたは隣接配列が挙げられる。ATG開始コドンを含めて、外因性翻訳制御シグナルが提供される必要がある場合がある。当業者は、これを判定し、必要なシグナルを提供することが容易にできるはずである。開始コドンは、挿入配列全体の翻訳を確実にするために、所望のコード配列のリーディングフレームと「インフレーム」でなければならないことは周知である。これらの外因性翻訳制御シグナルおよび開始コドンは、天然でも合成でもよい。誘導なしでのタンパク質産生をさらに減少させるために、低効率のリボソーム結合配列または翻訳開始シグナルが使用され得る。
発現されたタンパク質またはポリペプチドの分泌を推進または指示することができる任意のペプチド配列が、ファージディスプレイベクター用のリーダー配列として使用され得る。例示的なリーダー配列としては、PelBリーダー配列およびOmp Aリーダー配列が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
さらに、任意選択により、融合ポリペプチドは、精製、検出、および/またはスクリーニングにおいて有用であり得るタグを含んでもよい。適切なタグとしては、FLAG、ポリhis、gDタグ、c−myc、蛍光タンパク質、またはβ−ガラクトシダーゼが挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
ファージディスプレイベクター、ファージディスプレイライブラリーを構築するための一般的方法、および使用方法は、例えば、Ladnerら、米国特許第5,223,409号、Smith(1985)Science 228:1315〜1317、WO92/18619、WO91/17271、WO92/20791;WO92/15679、WO93/01288、WO92/01047、WO92/09690、WO90/02809、de Haardら(1999)J.Biol.Chem.274:18218〜30、Hoogenboomら(1998)Immunotechnology 4:1−20、Hoogenboomら(2000)Immunol.Today2:371〜8、Fuchsら(1991)Bio/Technology 9:1370〜1372、Hayら(1992)Hum Antibod Hybridomas 3:81〜85、Huseら(1989)Science 246:1275〜1281、Griffithsら(1993)EMBO J 12:725〜734、Hawkinsら(1992)J.Mol.Biol.226:889〜896、Clacksonら(1991)Nature 352:624〜628、Gramら(1992)PNAS 89:3576〜3580、Garrardら(1991)Bio/Technology 9:1373〜1377、Rebarら(1996)Methods Enzymol.267:129〜49、Hoogenboomら(1991)Nuc.Acid Res.19:4133〜4137、およびBarbasら(1991)PNAS 88:7978〜7982において説明されている。
例示的な本発明のファージディスプレイベクターは、以下の実施例のセクションにおいて説明する。
リボソームディスプレイベクター
本発明のリボソームディスプレイベクターとしては、原核生物ディスプレイ系または真核生物ディスプレイ系に適したベクターが挙げられる。原核生物リボソームディスプレイ系は、ポリソームディスプレイ系とも呼ばれる。
本発明のリボソームディスプレイベクターは、典型的には、プロモーターまたはRNAポリメラーゼ結合配列、リボソーム結合部位、翻訳開始配列、ディスプレイされるペプチドをリボソームから離してペプチドの正確なフォールディングを補助するアミノ酸スペーサー配列、および前述の1つまたは複数の適合性制限部位を含有するポリヌクレオチドリンカーを含む。任意選択により、リボソームディスプレイベクターは、検出タグをコードする1つもしくは複数の配列、合成されたmRNAを保護するための3’ステムループ構造および/もしくは5’ステムループ構造、翻訳エンハンサー、または「アクチベーター」配列(複数可)も含んでよい。典型的には、本発明のリボソームディスプレイベクターは、ディスプレイされるポリペプチドのインフレームの停止コドンを欠いている。
本発明に適したプロモーターまたはRNAポリメラーゼ結合配列としては、インビトロでの翻訳に適した任意のプロモーターを挙げることができる。例示的なプロモーターとしては、T7プロモーター、T3プロモーター、もしくはSP6プロモーター、またはRNAポリメラーゼT7、T3、もしくはSP6によって認識される任意の配列が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。いくつかの実施形態において、本発明のリボソームディスプレイベクターは、T7プロモーターとSP6プロモーターの双方など、2つのプロモーターを含んでよい。
リボソーム結合部位は、プロモーター領域の下流、または内部に位置してよい。このリボソーム結合部位は、原核生物翻訳手順が使用される場合には、原核生物リボソーム複合体(シャイン・ダルガノ配列など)に特異的でよい。適切な原核生物翻訳系としては、大腸菌(E.coli)S30系が挙げられるが、それに限定されるわけではない。また、リボソーム結合部位は、真核生物翻訳手順が使用される場合、真核生物翻訳系(コザックコンセンサス配列など)に特異的でよい。適切な真核生物翻訳系としては、ウサギ網状赤血球系(Krawetzら、Can.J.Biochem.Cell.Biol.61:274〜286、1983、Merrick、Meth.Enzymol.101:38、1983)が挙げられるが、それに限定されるわけではない。1つの例示的なコザックコンセンサス配列は、GCCGCCACCATGG(配列番号12)である。
また、その他の翻訳エンハンサーまたは「アクチベーター」配列も含まれてよい。例えば、アフリカツメガエルβグロビン遺伝子の翻訳エンハンサーを、プロモーターと翻訳開始部位の間に挿入してよい。他の例示的な翻訳エンハンサーまたはアクチベーター配列としては、タバコモザイクウイルスに由来する非翻訳「リーダー配列」(Joblingら Nucleic Acids Res.16:4483〜4498、1988)、アルファルファモザイクウイルスRNA4(JoblingおよびGehrke、Nature 325:622〜625、1987)、ゴキブリウイルス(ノダウイルス(Nodavirus))RNA2(FriesenおよびRueckert、J.Virol.37:876〜886、1981)、ならびにカブモザイクウイルスおよびブロムモザイクウイルスのコートタンパク質mRNA(Zagorskiら、Biochimie 65:127〜133、1983)に由来する5’非翻訳領域が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
アミノ酸スペーサー配列をC末端に人工的に作り出して、ディスプレイされるペプチドをリボソームから離すことができる。いかなる理論にも拘泥するものではないが、スペーサー配列は、ディスプレイされるポリペプチドがリボソーム「トンネル」から完全に出て行き、正確にフォールディングするのを可能にすると予想される。典型的には、適切なスペーサー配列は、少なくとも20アミノ酸長をコードする。特に、スペーサーの適切な長さとしては、少なくとも30アミノ酸、40アミノ酸、50アミノ酸、60アミノ酸、70アミノ酸、80アミノ酸、90アミノ酸、100アミノ酸を挙げることができる。いくつかの実施形態において、スペーサーは、23個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、スペーサーは、69個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態において、スペーサーは、116個のアミノ酸を含む。適切なスペーサー配列は、任意の公知のタンパク質に由来してよく、例えば、免疫グロブリンκ鎖の定常領域(C1c)、繊維状ファージM13の遺伝子III、およびヒトIgMのCH3ドメインなどに由来してよい。
本発明のリボソームベクター中にタグ配列を組み入れてもよい。典型的には、タグ配列は、ディスプレイされるペプチドのN末端またはC末端に組み入れられる。適切なタグとしては、ヒスチジンのストレッチ(例えば、5〜6個のヒスチジン)、抗体によって認識されるエピトープ(例えば、サブスタンスPまたはFlag)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
また、リボソームディスプレイベクターは、ステムループ構造を形成することができるパリンドローム配列を有する3’領域も含んでよい。いかなる理論にも拘泥するものではないが、ステムループ構造は、転座(translocation)を妨害することができ、したがって、パリンドローム配列は、翻訳期間中のリボソームの移動を減速させ、リボソームがmRNAから「脱落する」のを防ぎ、それによって、インビトロの翻訳ステップにおいて、合成されたmRNAを保護し、ポリソームの数を増加させる。同様に、リボソームディスプレイベクターは、5’ステムループ構造を含んでもよい。
さらに、3’領域は、相補的なホモポリマー配列へのハイブリダイゼーションによるインビトロ翻訳反応に由来するmRNAを後で精製するために、ポリAまたは他のポリヌクレオチドストレッチを含有してもよい。
リボソームディスプレイベクターは、当業者に周知のプロトコールによって化学合成することができる。あるいは、上記の各エレメントは、1つまたは複数のプラスミド中に組み入れ、微生物中で増幅させ、標準手順によって精製し、制限酵素で切断して適切な断片にした後で、ベクターに組み立ててもよい。リボソームディスプレイベクター、リボソームディスプレイライブラリーを構築するための一般的方法、および使用方法は、米国特許第5,643,768号、第5,658,754号、および第7,074,557号、ならびにMattheakisら、(1994)PNAS USA 91、9022 9026、Mattheakisら、(1996)Methods Enzymol.267、195 207、Gersukら、(1997)Biotech and Biophys.Res.Com.232、578 582、HanesおよびPluckthun(1997)PNAS USA 94、4937 4942、Hanesら、(1998)PNAS USA 95、14130 50、HeおよびTaussig(1997)NAR 5132 5234において説明されており、これらすべての文献の教示は、参照により本明細書に組み入れられる。
コレクション
本明細書において使用される場合、例えば、VH遺伝子のコレクションまたはVL遺伝子のコレクションのような「遺伝子のコレクション」、「核酸のコレクション」、「ポリヌクレオチドのコレクション」、および「ポリペプチドのコレクション」という語句は、多様な変種、例えば、ヌクレオチド配列が異なる核酸変種またはアミノ酸配列が異なるポリペプチド変種の集団である。
ライブラリー
本明細書において使用される場合、「ライブラリー」という用語は、異種ポリペプチドまたは異種核酸の混合物を意味する。典型的には、ライブラリーは、それぞれがポリペプチド配列または核酸配列を含有する複数のメンバーを含む。典型的には、各ポリペプチド配列または核酸配列は、ベクター中に組み入れられる。本発明によるライブラリーは、典型的には、ポリペプチドまたは核酸のコレクションを包含する。ライブラリーメンバー間の配列の相違は、ライブラリーに存在する多様性の原因である。ライブラリーは、ポリペプチドもしくは核酸の単純な混合物の形態をとってもよく、または、核酸ライブラリーを用いて形質転換された生物もしくは細胞、例えば、細菌、ウイルス、および動物細胞もしくは植物細胞などの形態であってもよい。本明細書において使用される場合、「生物」という用語は、原核生物および真核生物など細胞性のあらゆる生き物、ならびにバクテリオファージおよびウイルスなど非細胞性の核酸含有実体を意味する。
特に、抗体ライブラリーは、合成核酸、未処置の核酸、患者(例えば、免疫化されたヒト対象または病気にかかったヒト対象)、および動物(例えば、免疫化された動物)からのものを含めて、様々な供給源からの多様性を組み入れることができる。
いくつかの実施形態において、免疫細胞は、抗体、MHC複合体、およびT細胞受容体の差異に対する多様性の天然供給源として使用され得る。免疫細胞のいくつかの例は、B細胞およびT細胞である。免疫細胞は、例えば、ヒト、霊長類、マウス、ウサギ、ラクダ、またはげっ歯動物から得ることができる。これらの細胞は、特定の特性に関して選択することができる。例えば、CD4+およびCD8−であるT細胞を選択することができる。様々な成熟度段階のB細胞を選択することができる。
天然に多様な配列は、対象から得られた細胞および試料、例えば、末梢血白血球(PBL)より単離された全RNAから作製されたcDNAとして得ることができる。第1の(アンチセンス)鎖の逆転写は、任意の適切なプライマーを用いて任意の様式で実施することができる。例えば、de Haardら(1999)J.Biol.Chem 274:18218〜30を参照されたい。プライマー結合領域は、例えば、免疫グロブリンの異なるアイソタイプを逆転写するために、異なる免疫グロブリンにおいて不変であってよい。また、プライマー結合領域は、免疫グロブリンの特定のアイソタイプに対して特異的であってもよい。典型的には、プライマーは、少なくとも1つのCDRをコードする配列の3’側にある領域に特異的である。ポリdTプライマー(例えば、重鎖遺伝子に対する)またはmRNA鎖にライゲーションされた合成配列にハイブリダイズする合成プライマーもまた、使用することができる。cDNAを増幅し、改変し、断片化し、またはベクター中にクローニングして、抗体ライブラリーを形成させることができる。例えば、前記のde Haardら(1999)を参照されたい。
ScFvライブラリーの構築
典型的には、ScFvライブラリーの構築は2つのステップを含む。第1のステップは、前述したように関心対象の対象より単離されたRNA試料からVH遺伝子およびVL遺伝子を別々に単離およびクローニングするステップを含む。当技術分野において周知の方法を用いた適切なプライマー設計によって、所望の適合性制限部位を組み入れることができる。複数回のPCR反応を用いて、VH遺伝子およびVL遺伝子を増幅するか、または所望の制限部位を導入することができる。適切な制限部位を用いて、VH遺伝子およびVL遺伝子を各自のダミーベクター中にクローニングして、VH遺伝子またはVL遺伝子のみのコレクションを構築することができる。第2のステップは、適合性制限酵素を用いた消化によりVL遺伝子のコレクションを単離するステップ、およびそのVLコレクションをVH遺伝子のみのコレクション中に移送してScFvライブラリーを構築するステップを含む。
いくつかの実施形態において、本発明の単鎖Fv(ScFv)ライブラリーを構築するための方法は、(1)VH遺伝子のコレクションの5’末端にXhoI制限部位を、3’末端にSfiI制限部位またはBstEII制限部位を導入するステップと、(2)XhoIと適合性がある第1の制限部位およびSfi1またはBstEIIと適合性がある第2の制限部位を用いて、複数のベクター中にVH遺伝子のコレクションをクローニングするステップと、(3)VL遺伝子のコレクションの5’末端にSacI制限部位を、3’末端にApaLI制限部位を導入するステップと、(4)ApaL1およびSac1と適合性がある制限部位を用いて、複数のベクター中にVL遺伝子のコレクションをクローニングするステップとを含む。
いくつかの実施形態において、ステップ(1)は、単離された全RNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、XhoI制限部位を含有するフォワードプライマーおよびSfiI制限部位またはBstEII制限部位を含有するリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVH遺伝子を増幅するステップとを含む。
いくつかの実施形態において、ステップ(3)は、単離された全RNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、ApaL1制限部位を含有するフォワードプライマーおよびSac1制限部位を含有するリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVL遺伝子を増幅するステップとを含む。
ScFvライブラリーを構築するための例示的なプライマーおよび方法は、実施例のセクションにおいて説明する。
標的
標的は、コレクションの1つまたは複数の特異的結合メンバーがそれに対して同定され得るリガンドである。コレクションのメンバーが抗体分子である場合、標的は、抗原またはエピトープでよく、コレクションのメンバーが酵素である場合、標的は基質でよい。
選択
選択プロセスは、手動で、または自動化方法を用いて実施することができる。一部の場合において、非特異的結合および他の理想的ではない特性は、複数回の選択サイクルを必要とする。選択サイクルを追加することにより、候補ライブラリーメンバーが豊富になる。選択ステップを繰り返すために、溶出されたライブラリーメンバーを増幅し、次いで、標的に再度加える。実施に応じて、異なる回数の選択サイクルが、膨大な多様性を有するライブラリーから候補ライブラリーメンバーのプールを同定するために十分となり得る。例えば、1回または2回の選択が十分である場合がある。
いくつかの例示的な選択プロセスは、以下のとおりである。
パンニング法。標的分子が、マイクロタイターウェル、基材、粒子、またはビーズの表面などの固体支持体に固定される。ディスプレイライブラリーが、この支持体に接触させられる。標的に対する親和性を有するライブラリーメンバーは、結合することが可能である。非特異的にまたは弱く結合したメンバーは、支持体から洗い流される。次いで、結合されたライブラリーメンバーが、(例えば溶出によって)支持体から回収される。回収されたライブラリーメンバーは、さらなる解析(例えば、スクリーニング)のために集められるか、またはさらにもう1回選択するためにプールされる。
磁性粒子プロセッサ。自動選択の1つの例では、磁性粒子および磁性粒子プロセッサを使用する。この場合、標的は磁性粒子上に固定される。KingFisher(商標)システム、すなわち、Thermo LabSystems(ヘルシンキ、フィンランド)社製の磁性粒子プロセッサが、標的に対してディスプレイライブラリーメンバーを選択するために使用される。ディスプレイライブラリーは、試験管中で磁性粒子と接触させられる。ビーズおよびライブラリーは混合される。次いで、使い捨ての鞘に覆われた磁性ピンが磁性粒子を回収し、洗浄液を含む別の試験管にそれらを移送する。粒子は、洗浄液と混合される。この様式により、磁性粒子プロセッサを用いて、磁性粒子を複数の試験管に順次移送して、非特異的にまたは弱く結合したライブラリーメンバーを粒子から洗い流すことができる。洗浄後、溶離緩衝液を含む試験管にこれらの粒子を移送して、特異的にかつ/または強く結合したライブラリーメンバーを粒子から除去する。次いで、溶離されたこれらのライブラリーメンバーは、解析のために個別に単離されるか、またはさらにもう1回選択するためにプールされる。詳細な磁性粒子プロセッサ選択プロセスは、米国特許出願公開第20030224408号に記載されている。
細胞ベースの選択。この選択は、ディスプレイライブラリーを標的細胞に結合させ、次いで、それらの細胞が結合したライブラリーメンバーを選択することによって、実施することができる。細胞ベースの選択により、例えば、翻訳後修飾を含む天然環境においてディスプレイされる標的分子、関連するタンパク質および因子、ならびに競合因子を認識するリガンドを同定することが可能になる。さらに、細胞ベースの選択は、特定の唯一の標的分子を対象としないため、標的に関する前もっての情報は必要とされない。もっと正確に言えば、細胞それ自体が決定因子である。その後のステップ、すなわち特定の機能アッセイを用いて、同定されたリガンドが、エフェクター機能を細胞に向ける際に活性であるかを確認することができる。詳細な細胞ベースの選択プロセスは、米国特許出願公開第20030224408号に記載されている。
インビボでの選択。例えば、Koloninら(2001)Current Opinion in Chemical Biology 5:308〜313、PasqualiniおよびRuoslahti(1996)Nature 380:364〜366、ならびにPaqualiniら(2000)「In vivo Selection of Phage−Display Libraries」、Phage Display:A Laboratory Manual Barbasら編、Cold Spring Harbor Press 22.1〜22.24において説明されているように、この選択をインビボで実施して、標的組織または標的器官に結合するライブラリーメンバーを同定することができる。例えば、ファージディスプレイライブラリーは、対象(例えば、ヒトまたは他の哺乳動物)中に注入される。適切な間隔をあけた後、対象から標的組織または標的器官が摘出され、標的部位に結合するディスプレイライブラリーメンバーが回収され、特徴付けられる。
親和性成熟/最適化
いくつかの実施形態において、第1のライブラリーを用いた最初の選択の後、ライブラリーメンバーの選択された集団を変異誘発して、選択されたメンバーの結合親和性または他の任意の特性を改善することができる。例えば、第1のディスプレイライブラリーは、標的に対する1つまたは複数のリガンドを同定するために使用される(リード同定としても公知である)。次いで、これらの同定されたリガンドを変異させて、第2のディスプレイライブラリーを形成させる。さらなる多様性が、変異誘発によって導入される。次いで、例えば、厳密性がより高いまたはより競合的な結合条件および洗浄条件を用いることによって、親和性が高いリガンドが第2のライブラリーから選択される。このプロセスは、親和性成熟または最適化として公知である。
いくつかの実施形態において、本発明のファージディスプレイライブラリーは、標的に結合するポリペプチドの最初の同定のために使用される。標的に結合するポリペプチドをコードする核酸断片の選択されたプールは、1つまたは複数の適合性制限部位を切断する制限酵素を用いた消化によって、回収され得る。次いで、回収された断片は、1つまたは複数の適合性制限部位を利用して、本発明のリボソームディスプレイベクター中に「まとめて」クローニングされ得る。ファージディスプレイライブラリーから移送された選択された核酸を含有するリボソームディスプレイベクターをさらに変異誘発して、第2のライブラリー、例えば、リボソームディスプレイライブラリーを形成させることができる。リボソームディスプレイライブラリーの多様性は、最高で1012を超えることができる。
同定された最初のリガンドを変異させてさらなる多様性を導入するために、多数の技術が使用され得る。これらの技術としては、エラープローンPCR(Leungら(1989)Technique 1:11〜15)、組換え、ランダム切断を用いたDNAシャッフリング(Stemmer(1994)Nature 389〜391)、RACHITT(商標)(Cocoら(2001)Nature Biotech.19:354)、部位特異的変異誘発(Zollerら(1987)Methods Enzymol.1987、154:329〜50、Zollerら(1982)Nucl.Acids Res.10:6487〜6504)、カセット変異誘発(Reidhaar−Olson(1991)Methods Enzymol.208:564〜586)、および縮重オリゴヌクレオチドの組入れ(Griffithsら(1994)EMBO J 13:3245)が挙げられるが、それらに限定されるわけではない。
抗原の場合、変異誘発は、重鎖または軽鎖のCDR領域を対象としてよい。いくつかの実施形態において、変異誘発は、CDRの近くまたはCDRに隣接したフレームワーク領域を対象としてよい。
望ましい結合親和性または他の特性を有するリボソームディスプレイライブラリーのメンバーを同定するための方法、および選択されたポリペプチドをコードする核酸配列を回収するための方法は、当技術分野において周知である。例えば、例示的な方法は、米国特許第5,643,768号、第5,658,754号、および第7,074,557号に記載されている。
再編成(reformatting)
望ましい特性を有するディスプレイされるポリペプチドをコードする核酸配列を含有するライブラリーメンバーを選択および同定した後、核酸をディスプレイベクターから回収し、産生またはさらなる解析のために発現ベクターに移送することができる。このプロセスは、典型的には、再編成として公知である。したがって、再編成プロセスは、例えば、核酸をディスプレイベクターから細菌細胞または哺乳動物細胞における産生に適したベクターに移送するために使用される。1つの実施形態において、選択された各ライブラリーメンバーは、個別に再編成される。別の実施形態において、ライブラリーメンバーは集められ、まとめて再編成される。
再編成プロセスは、ディスプレイのために最初に使用される発現系および第2の発現系に合わせて仕立てることができる。典型的なリボソームベクターは細菌発現系または哺乳動物発現系に適合性ではないのに対し、同じファージディスプレイベクターは、細菌発現系において、選択されたディスプレイされるポリペプチドを発現させるために使用され得るため、例えば、再編成プロセスは、リボソームディスプレイ産物の解析のために特に重要である。
いくつかの実施形態において、選択されたScFvポリペプチドは、限定されるわけではないが、IgG、ScFv−Fc融合物、F(ab’)2、F(ab)2、Fab’、Fab、ダイアボディ、トリアボディまたはテトラボディを含めて、他の免疫グロブリン形態に再編成され得る。まとめて再編成する1つの例において、ScFvの再編成は、二段階のプロセスを伴う。第1のサイクルは、例えば、適合性制限部位を用いてディスプレイベクターを消化して、軽鎖可変コード領域および重鎖可変コード領域を最小限含む核酸断片を放出させるステップを含む。これらの断片は、哺乳動物において発現させるためのベクター中にクローニングされる。このステップの間、VH遺伝子およびVL遺伝子の双方をコードする核酸断片の移送により、ディスプレイベクター中に存在する重鎖および軽鎖の組合せが発現ベクターにおいて維持されることが確実になる。さらに、移送プロセスを用いて、コード鎖の5’末端において原核生物プロモーターを哺乳動物プロモーターに切り替え、また、コード鎖の3’末端においてバクテリオファージコートタンパク質(またはその断片)をコードする配列をFcドメインをコードする配列に切り替えることができる。クローニングのための一般的方法は、標準的な実験室マニュアル、例えば、Sambrookら(2001)Molecular Cloning:A Laboratory Manual(第3版)、Cold Spring Harbor Laboratory Pressにおいて説明されている。
第2のステップにおいて、軽鎖コード領域と重鎖コード領域の間に介在する領域が、置換される。例えば、VH遺伝子とVL遺伝子の間のリンカー領域は、原核生物リボソーム結合部位(RBS)を含む配列、または配列内リボソーム進入部位(IRES)を有する配列もしくは真核生物プロモーターを含む配列で置換され得る。また、このプロセスにおいて、分泌のためのシグナル(例えば、原核生物または真核生物の分泌シグナル)および免疫グロブリン分子の定常領域に由来する配列(例えば、Ck、CH1)も挿入され得る。いくつかの実施において、介在領域は、細胞において組換えによって置換される。さらに他の実施において、介在領域は置換されず、もっと正確に言えば(例えば、部位特異的組換えによって)例えば原核生物発現のために設計された配列を切除することなく、配列が挿入される。
原核細胞および真核細胞の双方において機能的であるハイブリッドシグナル配列は、シグナル配列の一部(例えば、シグナル配列の少なくとも3’領域、例えば、−3、−2、および−1位置)またはすべての再編成を回避するために使用され得る。一部の場合において、シグナル配列は、複数の発現系(例えば、原核生物系および真核生物系の双方)において機能的である。例えば、いくつかの細菌β−ラクタマーゼのシグナル配列は、真核細胞および原核細胞において機能的である。例えば、Kronenbergら、1983、J.Cell Biol.96、1117〜9、Al−Qahtaniら、1998、Biochem.J.331、521〜529を参照されたい。また、複数の宿主において機能するシグナル配列は、各発現宿主におけるそのようなシグナル配列の要件(共通規則)に基づいて選択することができ、または経験に基づいて選択することができる。
いくつかの実施形態において、本発明の選択されたScFvポリペプチドは、同様のクローニング戦略を用いて、小モジュール免疫薬剤(SMIP(商標))の薬形態(Trubion Pharmaceuticals、シアトル、ワシントン州)に再編成することができる。SMIPは、抗原または対抗受容体などの同族構造体に対する結合ドメイン、1つのシステイン残基を有するかまたは1つもシステイン残基を有さないヒンジ領域ポリペプチド、ならびに免疫グロブリンのCH2ドメインおよびCH3ドメインから構成される単鎖ポリペプチドである(www.trubion.comも参照されたい)。SMIP薬物設計は、例えば、米国特許出願公開第2003/0118592号、第2003/0133939号、第2004/0058445号、第2005/0136049号、第2005/0175614号、第2005/0180970号、第2005/0186216号、第2005/0202012号、第2005/0202023号、第2005/0202028号、第2005/0202534号、および第2005/0238646号、ならびにその関連する特許ファミリーメンバーにおいて開示されており、これらの文献はすべて、その全体が参照により本明細書に組み入れられる。
コード核酸は、再編成されたものであれ再編成されてないものであれ、組換え発現のための当技術分野において利用可能な任意の技術を用いてコードされたポリペプチドまたはペプチドを産生させる際に使用され得る。
様々な異なる宿主細胞においてポリペプチドをクローニングおよび発現させるための系は周知である。適切な宿主細胞としては、細菌、哺乳動物細胞、酵母系、およびバキュロウイルス系が挙げられる。異種ポリペプチドを発現させるために当技術分野において利用可能な哺乳動物細胞株としては、チャイニーズハムスター卵巣細胞、HeLa細胞、仔ハムスター腎臓細胞、NSOマウス黒色腫細胞、および他多数が挙げられる。一般的な好ましい細菌宿主は大腸菌(E.coli)である。
大腸菌(E.coli)のような原核細胞における抗体および抗体断片の発現は、当技術分野において十分に確立されている。概説については、例えば、Pluckthun,A.Bio/Technology 9:545 551(1991)を参照されたい。また、培養状態の真核細胞における発現も、特異的結合メンバーを産生させるための選択肢として当業者は利用可能である。最近の概説については、例えば、Ref,M.E.(1993)Curr.Opinion Biotech.4:573 576、Trill J.J.ら(1995)Curr.Opinion Biotech.6:553 560を参照されたい。
必要に応じて、プロモーター配列、ターミネーター配列、ポリアデニル化配列、エンハンサー配列、マーカー遺伝子、および他の配列を含めて、適切な調節配列を含有する適切なベクターを選択または構築することができる。ベクターは、必要に応じて、プラスミド、ウイルス、例えば、ファージ、またはファージミドでよい。さらなる詳細については、例えば、Molecular Cloning:a Laboratory Manual:第2版、Sambrookら、1989、Cold Spring Harbor Laboratory Pressを参照されたい。例えば、核酸構築物の調製、変異誘発、配列決定、細胞中へのDNAの導入および遺伝子発現における核酸の操作ならびにタンパク質の解析のための多くの公知の技術およびプロトコルは、Current Protocols in Molecular Biology、第2版、Ausubelら編、John Wiley&Sons、1992に詳細に記載されている。SambrookらおよびAusubelらの開示内容は、参照により本明細書に組み入れられる。
したがって、本発明の方法を用いて選択された特異的ポリペプチド、またはそのような特異的ポリペプチドの構成要素(例えば、VHドメインおよび/もしくはVLドメイン)をコードする核酸が、産生用の発現系において提供され得る。これは、そのような核酸を宿主細胞中に導入するステップを含んでもよい。この導入には、任意の利用可能な技術を使用してよい。真核細胞の場合、適切な技術としては、リン酸カルシウムトランスフェクション、DEAE−デキストラン、エレクトロポレーション、リポソームを介したトランスフェクション、およびレトロウイルスまたは他のウイルス、例えば、ワクシニア、または昆虫細胞の場合、バキュロウイルスを使用する形質導入を挙げることができる。細菌細胞の場合、適切な技術としては、塩化カルシウム形質転換、エレクトロポレーション、およびバクテリオファージを用いたトランスフェクションを挙げることができる。
導入に続いて、例えば、コードされる産生物を産生させるための条件下で宿主細胞を培養することによって、核酸からの発現を引き起こすか、または可能にさせることができる。本発明はまた、前述の特異的結合メンバーまたはポリペプチドを発現させるために、発現系において前述の構築物を使用するステップを含む方法も提供する。
発現による産生に続いて、産生物を単離および/または精製してよく、また、少なくとも1つの付加的な成分を含む組成物に調製してよい。このような組成物は、薬学的に許容できる賦形剤、ビヒクル、または担体を含んでよい。
本発明の別の態様および実施形態は、本発明の開示に照らして、当業者に明らかになると考えられる。本明細書において任意の箇所で言及される文書はすべて、参照により組み入れられることにさらに留意すべきである。
以下の実験的な実施例を参照して、本発明を以下にさらに例示する。
(実施例1)
ScFvライブラリー設計
他の免疫グロブリン形態、例えば、IgG、Fab、ScFv−Fc融合物、小モジュール免疫薬剤(SMIP(商標))、ならびに他の短鎖抗体、例えば、ナノボディおよびサメ抗体など(それぞれ、参照により本明細書に組み入れられる米国特許出願公開第20080107601号および国際特許出願公開WO03/014161を参照されたい)へのScFv抗体の「大量」再編成を容易にする一般的制限部位を用いて、ScFvライブラリーを設計した。
他の免疫グロブリン形態、例えば、IgG、Fab、ScFv−Fc融合物、小モジュール免疫薬剤(SMIP(商標))などへのScFv抗体の「大量」再編成を容易にする一般的制限部位を用いて、ScFvライブラリーを設計した。
この実験において、ベクター設計および再編成手順は、以下の因子を考慮に入れた:
(1)選択されたVLおよびVHの対形成の保持を可能にすること、
(2)V遺伝子配列を改変せずに再編成を可能にすること、
(3)生殖系列V遺伝子中でまれな制限部位を使用すること、
(4)配列情報に依存しない再編成を可能にすること、
(5)様々なエレメントを独立に交換できるように、モジュラー式設計を有すること。
ScFv形態に適し、Fab、IgG、SMIP(商標)、および他の哺乳動物発現/ディスプレイベクターと適合性があるベクターを設計した。ScFvベクターの重要な特徴を下記に考察する。
第1に、VL−VH形態がScFv−Fc融合物またはSMIPにとって好ましい形態であるため、VL−VH形態でScFv抗体を発現するようにベクターを設計した。このようなScFv設計により、ハイスループットなタンパク質発現のためのSMIPへの直接的再編成が可能になる(すなわち、ScFvを適合性SMIPベクターに直接移送することができる)。
第2に、生殖系列V遺伝子において切断しないか、またはめったに切断しない制限部位を、VH遺伝子およびVL遺伝子の5’末端および3’末端に導入した。例えば、Xho1は、いかなるヒト生殖系列VH遺伝子も切断せず、生殖系列Vk遺伝子40個の内の3個(すなわち、7.5%)において切断するため、Xho1制限部位をVH遺伝子の5’末端に導入した。Xho1部位は、柔軟なリンカー(DGGGSGGGGSGGGGSS[配列番号3])の3’末端に組み入れることができる。リンカー設計を以下に説明する。Sac1部位は、VL遺伝子の3’末端(すなわち、Jkセグメント)に組み入れることができる。Sac1部位は、生殖系列Vk遺伝子40個の内の1個のみ(すなわち、2.5%)に存在する。
VL遺伝子とVH遺伝子の間の柔軟なリンカーを下記に示すようにして設計した:
Figure 2012503490
示したように、このリンカーは、3’末端の2つのセリンを含めて16個のアミノ酸(DGGGSGGGGSGGGGSS[配列番号3])をコードし、Xho1部位を組み入れている。このリンカーは、SMIPと適合性がある。
(実施例2)
V遺伝子増幅戦略
V遺伝子増幅戦略を図1に例示する。VH遺伝子およびVL遺伝子の5’末端および3’末端に普遍的制限部位を導入するために、所望の制限部位を組み入れたプライマーセットを用いたPCR増幅を使用した。典型的には、複数回のPCR反応を行った。例えば、VHコレクションは、一次PCRおよび二次PCRによって増幅することができる。一次PCRでは、Xho1部位を含有するVHフォワードプライマーおよびIgM特異的リバースプライマーを使用する。二次PCRでは、Xho1部位を含有するVHフォワードプライマーならびにSfi1部位および/またはBstEII部位を含有するJHリバースプライマーを使用する。
上述したように、Xho1は、いかなるヒト生殖系列VH遺伝子も切断せず、生殖系列Vk遺伝子40個の内の3個において切断するだけである。3’末端にXhoI部位を組み入れたリンカー配列の例示的な設計は、上記に示した。
BstEIIは、生殖系列VH遺伝子51個の内の4個(すなわち、7.8%)において、また、生殖系列Vk遺伝子40個の内の0個において切断する。VH遺伝子のFW4領域におけるBstEII部位の例示的な設計を下記に例示する:
Figure 2012503490
JH1〜5領域を網羅するために、少なくとも5個の異なるプライマーを設計した。
同様に、VLコレクションも、一次PCRおよび二次PCRによって増幅することができる。一次PCRでは、ApaL1部位を含有するVkフォワードプライマーおよびCk特異的リバースプライマーを使用し、二次PCRでは、ApaL1部位を含有するVkフォワードプライマーおよびSac1部位を組み入れたJkリバースプライマーを使用する。リンカー配列は、二次PCR用のリバースプライマー中に組み入れることができる。
ApaL1は、生殖系列Vk遺伝子において切断せず、生殖系列VH遺伝子51個の内の2個(すなわち、3.9%)において切断するだけである。どのようにして5’ApaL1部位をVL遺伝子の5’に導入できるかを示すために、VL遺伝子の5’の例示的な設計を下記に示す。
Figure 2012503490
すべてのVk遺伝子ファミリーを網羅するために、少なくとも6個の異なるプライマーを設計した(表2を参照されたい)。
SacIは、生殖系列Vk遺伝子40個の内の1個において(すなわち、2.5%)、また、生殖系列VH遺伝子51個の内の11個において(すなわち、21.6%)切断する。下記に示すように、SacI部位は、FW4領域において生殖系列Jk配列TKVEIKR(配列番号18)をTKVELKR(配列番号19)に変換することによって導入することができる。
変換前:TKVEIKR(配列番号18:生殖系列Jk配列)
変換後:TKVELKR(配列番号19:IからLへの保存的変更)
Figure 2012503490
Jk1〜5領域を網羅するために、少なくとも5個の異なるプライマーを設計した。
VH遺伝子およびVL遺伝子の増幅に適したその他の例示的なプライマーを表2に示す。
表2
一次PCRのプライマー
HuIgM-Rev
(配列番号21)
5' TGG AAG AGG CAC GTT CTT TTC TTT

HuCk-Rev
(配列番号22)
5' ACA CTC TCC CCT GTT GAA GCT CTT
VHフォワードプライマー(Xho1部位に下線を引いている)
HuVH1b/7A-For (配列番号23)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC CAG
RTG CAG CTG GTG CAR TCT GG

HuVH1C-For
(配列番号24)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC SAG
GTC CAG CTG GTR CAG TCT GG

HuVH2-For
(配列番号25)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC CAG
RTC ACC TTG AAG GAG TCT GG

HuVH3B-For
(配列番号26)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC SAG
GTG CAG CTG GTG GAG TCT GG

HuVH3C-For
(配列番号27)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC GAG
GTG CAG CTG GTG GAG WCY GG

HuVH4B-For
(配列番号28)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC CAG
GTG CAG CTA CAG CAG TGG GG

HuVH4C-For
(配列番号29)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC CAG
STG CAG CTG CAG GAG TCS GG

HuVH5B-For
(配列番号30)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC GAR
GTG CAG CTG GTG CAG TCT GG

HuVH6A-For
(配列番号31)
5' ggc tat ggt tgc GGC TCG AGC CAG
GTA CAG CTG CAG CAG TCA GG
Vkフォワードプライマー(ApaL1部位に下線を引いている)
HuVK1-For
(配列番号32)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAC ATC
CAG WTG ACC CAG TCT CC

HuVK2-For
(配列番号33)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAT GTT
GTG ATG ACT CAG TCT CC

HuVK3-For
(配列番号34)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAA ATT
GTG WTG ACR CAG TCT CC

HuVK4-For
(配列番号35)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAT ATT
GTG ATG ACC CAC ACT CC

HuVK5-For
(配列番号36)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAA ACG
ACA CTC ACG CAG TCT CC

HuVK6-For
(配列番号37)
ggc tat ggt tgc AGT GCA CTT GAA ATT
GTG CTG ACT CAG TCT CC
二次PCRのプライマー
JHリバースプライマー(Sfi部位およびBstEII部位に下線を引いている)
Hu JH1/2-Sfi1 (配列番号38)
ggc tat ggt tgc ggcccctgaggcc
tgatca TGA GGA GAC GGT GAC CAG GGT GCC

Hu JH3-Sfi1 (配列番号39)
ggc tat ggt tgc ggcccctgaggcc
tgatca TGA AGA GAC GGT GAC CAT TGT CCC

Hu JH4/5-Sfi1 (配列番号40)
ggc tat ggt tgc ggcccctgaggcc
tgatca TGA GGA GAC GGT GAC CAG GGT TCC

Hu JH6 -Sfi1 (配列番号41)
ggc tat ggt tgc ggcccctgaggcc
tgatca TGA GGA GAC GGT GAC CGT GGT CCC
Jkリバースプライマー(Fw4にSac1部位を追加する)(Sac1部位に下線を引いている)
Hu Jk1/4-Sac1 (配列番号42)
ggc tat ggt tgc ACG TTT GAG CTC CAC
CTT GGT CCC

Hu Jk2-Sac1
(配列番号43)
ggc tat ggt tgc ACG TTT GAG CTC CAG
CTT GGT CCC

Hu Jk3-Sac1
(配列番号44)
ggc tat ggt tgc ACG TTT GAG CTC CAC
TTT GGT CCC

Hu Jk5-Sac1
(配列番号45)
ggc tat ggt tgc ACG TTT GAG CTC CAG
TCG TGT CCC
PCRに基づいたクローニングのためのJHフォワードプライマー(Xho1部位に下線を引いている)
HuVH1b/7A-For +リンカー
(配列番号46)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC CAG RTG CAG CTG GTG CAR TCT GG

HuVH1C-For +リンカー
(配列番号47)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC SAG GTC CAG CTG GTR CAG TCT GG

HuVH2B-For +リンカー
(配列番号48)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC CAG RTC ACC TTG AAG GAG TCT GG

HuVH3B-For +リンカー
(配列番号49)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC SAG GTG CAG CTG GTG GAG TCT GG

HuVH3C-For +リンカー
(配列番号50)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC GAG GTG CAG CTG GTG GAG WCY GG

HuVH4B-For +リンカー
(配列番号51)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC CAG GTG CAG CTA CAG CAG TGG GG

HuVH4C-For +リンカー
(配列番号52)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC CAG STG CAG CTG CAG GAG TCS GG

HuVH5B-For +リンカー
(配列番号53)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC GAR GTG CAG CTG GTG CAG TCT GG

HuVH6A-For +リンカー
(配列番号54)
5' gat ggc ggt gga tcg ggc ggt ggt gga tct
gga gga ggt GGC TCG AGC CAG GTA CAG CTG CAG CAG TCA GG
PCRに基づいたクローニングのためのJkリバースプライマー(Sac1部位に下線を引いている)
Hu Jk1-リンカー
(配列番号55)
5' gct cga gcc acc tcc tcc aga tcc
acc acc gcc cga tcc acc gcc atc ACG TTT GAG CTC CAC CTT GGT CCC 3'

Hu Jk2-リンカー
(配列番号56)
5' gct cga gcc acc tcc tcc aga tcc
acc acc gcc cga tcc acc gcc atc ACG TTT GAG CTC CAG CTT GGT CCC 3'

Hu Jk3-リンカー
(配列番号57)
5' gct cga gcc acc tcc tcc aga tcc
acc acc gcc cga tcc acc gcc atc ACG TTT GAG CTC CAC TTT GGT CCC 3'

Hu Jk4-リンカー
(配列番号58)
5' gct cga gcc acc tcc tcc aga tcc
acc acc gcc cga tcc acc gcc atc ACG TTT GAG CTC CAC CTT GGT CCC 3'

Hu Jk5-リンカー
(配列番号59)
5' gct cga gcc acc tcc tcc aga tcc
acc acc gcc cga tcc acc gcc atc ACG TTT GAG CTC CAC TCG TGT CCC 3'
(実施例3)
pWRIL−5ファージディスプレイベクターの構築
VL−VH形態の抗RAGE ScFv抗体を含有するXT−H2 ScFv構築物を以下のようにして改変して、ダミーScFv構築物(配列番号61)を有するpWRIL−5ファージディスプレイポリヌクレオチドベクターを構築した。
第1に、前述したようにXho1部位をリンカー中に組み入れた。第2に、前述したようにSacI部位をJk配列中に組み入れた。第3に、標準的な変異誘発によって5’のSfi1部位をApaL1部位に変更した。さらに、2つのApaL1部位をpWRIL−1ベクターバックボーンから除去し、標準的な組換え技術によってXT−H2抗RAGE ScFv配列のVL遺伝子およびVH遺伝子の3つのフレーム中に停止コドンを組み入れて、クローニングステップの間に、機能的に発現されるが重要ではないv領域配列が持ち越されるのを防止した。ダミーScFv構築物(配列番号61)を加えたpWRIL−5ファージディスプレイポリヌクレオチドベクターを図2に示す。ダミーScFv構築物を含有する、pWRIL−5の設計されたリンカー配列を配列番号1に示す。
このリンカー配列をファージディスプレイベクターpWRIL−1中にPci1/Sfi1断片としてクローニングすることによって、pWRIL−5を構築した。pWRIL−1のリーディング鎖の完全なヌクレオチド配列を配列番号60に示す。プロモーター配列は、配列番号60のヌクレオチド番号2361〜2706を含む。
(実施例4)
ScFvライブラリー構築
ScFvライブラリー構築は、2ステップのクローニング手順である。第1のステップは、実施例2で説明した増幅戦略を用いて、VHコレクションおよびVLコレクションを別々に単離およびクローニングするステップを含む。第2のステップは、制限に基づいたクローニングを用いて、VLコレクションをVHコレクションに移送するステップを含む(図3)。
VHコレクションをクローニングするために、正常な末梢血リンパ球(PBL)(約10個のB細胞)から全RNAを単離した。オリゴdTプライミングによるcDNA合成によって、第1の鎖cDNAを合成した。Xho1部位を含有するVHフォワードプライマーおよびIgM特異的リバースプライマーを用いた一次PCR、ならびにXho1部位を含有するVHフォワードプライマーならびにSfi1部位および/またはBstEII部位を組み入れたJHリバースプライマーを用いた二次PCRによって、VHコレクションを増幅した。図3に示すように、VH遺伝子プールをXho1/Sfi1制限酵素またはXho1/BstE11制限酵素で消化し、ダミーベクター中にクローニングして、VH遺伝子のみのコレクションを構築した。
ApaL1部位を含有するVkフォワードプライマーおよびCk特異的リバースプライマーを用いた一次PCR、ならびにApaL1部位を含有するVkフォワードプライマーならびにリンカー配列およびSac1部位を組み入れたJkリバースプライマーを用いた二次PCRによって、VLコレクションを増幅した。図3に示すように、VL遺伝子プールをApaL1/Sac1酵素で消化し、ダミーベクター中にクローニングして、Vkのみのコレクションを構築した。
ScFvライブラリーを構築するために、VkライブラリーをApaL1/Sac1酵素で消化することによって、Vk遺伝子を含有する断片を単離した。VHのみのライブラリーをApaL1/Sac1酵素で消化してVLダミー鎖を除去し、適合性制限部位を用いて、VHのみのライブラリー中にVk断片をクローニングした(図3)。この方法を用いて構築したScFvライブラリーのサイズは、典型的には10個である。
(実施例5)
Fabファージディスプレイ/発現ベクターへの再編成
適合性制限部位を含有するFab発現/ファージディスプレイポリヌクレオチドベクターpWRIL−6(配列番号62)を、ScFvをFabに再編成するために使用する。Ck、CH1、およびリボソーム結合部位を含有する設計されたリンカー配列(配列番号2)をPci1/SfiI断片としてベクターpWRIL−1中にクローニングすることによって、ベクターpWRIL−6を構築した(実施例3を参照されたい)。設計されたリンカー配列は、配列番号2に示す。
図4に示すように、本発明によって構築されたScFvライブラリーは、配列情報に依存しない2ステップのクローニング手順においてFab発現系に再編成することができ、再編成する間、選択されたVL−VH対形成を保持し、これにより、Fabのハイスループットな発現およびスクリーニングが可能になる。第1のステップは、ApaL1/BstEII酵素消化を用いて、連結されたVL−VH断片をScFvライブラリーから回収するステップを含み、適合性制限部位を用いて、ApaL1/BstEII断片をpWRIL−6中にクローニングする(図4)。第2のステップにおいて、Ck−rbs−PelBリーダー配列を含有するSac1/Xho1断片で、VL遺伝子とVH遺伝子の間のリンカーを置き換える(図4)。合成VH遺伝子を使用する場合、Xho1の代わりにMfe1部位を使用することができる。結果として得られるFabプールを発現させ、(例えば、BIAcoreアッセイを用いることによって)力価を指標にしてスクリーニングしてよく、または、ファージディスプレイを用いて特異的結合に関してさらに選択してもよい。
(実施例6)
IgG発現系への再編成
適合性制限部位を含有するIgG発現/ファージディスプレイを、ScFvをIgG抗体に再編成するために使用する。IgG発現ベクターは、典型的には、Fcに加えてCk−IRESシグナル配列を含有する。図5に示すように、ScFvライブラリーは、配列情報に依存しない2ステップのクローニング手順においてIgGライブラリーに再編成することができ、再編成する間、VL−VH対形成を保持し、これにより、一過性発現によるIgGのハイスループットな産生が可能になる。
実施例5で考察したように、第1のステップにおいて、ScFvライブラリーはApaL1/BstE11断片としてIgG発現ベクター中に移送される。第2のステップにおいて、Ck−IRES−シグナル配列を含有するSac1/Xho1断片で、VL遺伝子とVH遺伝子の間のリンカーを置き換える(図5)。合成VH遺伝子を使用する場合、Xho1の代わりにMfe1部位を使用することができる。結果として得られるIgGプールを発現させ、(例えば、BIAcoreアッセイを用いることによって)力価を指標にしてスクリーニングしてよく、または、ファージディスプレイを用いて特異的結合に関してさらに選択してもよい。
前述の内容は、本発明のいくつかの非限定的な実施形態の説明であった。当業者は、ごく普通の実験法だけを用いて、本明細書において説明した本発明の個々の実施形態に対する多くの等価物を認識するか、または確認することができる。当業者は、以下の特許請求の範囲において定義する本発明の精神および範囲から逸脱することなく、本明細書に対する様々な変更および修正を加え得ることを理解するであろう。
特許請求の範囲において、「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」などの冠詞は、反対の記載がない限り、またはそうでなければ文脈から明らかではない限り、1つまたは複数を意味してよい。あるグループの1つまたは複数のメンバーの間に「または(or)」を含む特許請求の範囲または記載は、反対の記載がない限り、またはそうでなければ文脈から明らかではない限り、1つ、複数、またはすべてのグループメンバーが所与の産生物またはプロセス中に存在するか、それらにおいて使用されるか、またはそうでなければそれらに関連している場合に満たされるとみなされる。
本出願において引用する刊行物および特許文書はすべて、その全体が参照により組み入れられる。

Claims (54)

  1. 5’から3’に向かって少なくとも4つの制限部位を含む単離されたポリヌクレオチドであって、一番5’側の制限部位(「部位1」)がSfiI、BssHII、ApaLI、またはMfeIを含み、部位1の3’側に位置する制限部位(「部位2」)がXhoI、SalI、BclI、BstEII、MluI、SmaI、またはXbaIを含み、部位2の3’側に位置する制限部位(「部位3」)がXhoI、SalI、BspEI、ApaLI、BssHII、またはEcoRVを含み、一番3’側の制限部位(「部位4」)がSfiI、BclI、AvrII、BsiWI、またはBamHIを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  2. 部位1がBssHIIを含み、部位2がXhoIを含み、部位3がBspEIを含み、部位4がAvrIIまたはBsiWIを含む、請求項1に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  3. 部位1と部位2の間に挿入されたVHポリヌクレオチドおよび部位3と部位4の間に挿入されたVLポリヌクレオチドを含む、請求項1または2に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  4. 5’から3’に向かって少なくとも4つの制限部位を含む単離されたポリヌクレオチドであって、一番5’側の制限部位(「部位1」)がSfiI、BssHII、またはApaLIを含み、部位1の3’側に位置する制限部位(「部位2」)がXhoI、SalI、BclI、SacI、AvrII、BsiWI、またはMluIを含み、部位2の3’側に位置する制限部位(「部位3」)がMfeI、BspEI、ApaLI、BssHII、XhoI、またはSalIを含み、一番3’側の制限部位(「部位4」)がSfiI、BclI、XhoI、SalI、またはBstEIIを含む、単離されたポリヌクレオチド。
  5. 部位1がBssHIIを含み、部位2がAvrIIまたはBsiWIを含み、部位3がBspEIを含み、部位4がXhoIを含む、請求項4に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  6. 部位1と部位2の間に挿入されたVLポリヌクレオチドおよび部位3と部位4の間に挿入されたVHポリヌクレオチドを含む、請求項4または5に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  7. 部位2と部位3の間に位置するリンカーをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  8. 5’から3’に向かって、ApaLI部位、SacI部位、XhoI部位、およびSfi1部位を含む制限酵素認識部位を含むヌクレオチド配列を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  9. 前記制限酵素認識部位が、XhoI部位の3’側かつSfiI部位の5’側に位置するBstEII部位をさらに含む、請求項8に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  10. 前記制限酵素認識部位が、5’から3’に向かって、(a)ApaLI部位の5’側に位置するAscI部位、PciI部位、およびHindIII部位、(b)SacI部位の3’側かつXhoI部位の5’側に位置するAvaI部位、(c)BstEII部位の5’側に位置するMfeI部位、XmaI部位、およびSmaI部位、ならびに(d)BstEII部位の3’側かつSfiI部位の5’側に位置するBclI部位をさらに含む、請求項9に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  11. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1またはその相補物と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項8から10のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  12. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号1またはその相補物を含む、請求項8から11のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  13. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号61またはその相補物と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項8から12のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  14. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号61またはその相補物を含む、請求項8から13のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  15. 前記制限酵素認識部位が、5’から3’に向かって、(a)ApaLI部位の5’側に位置するPciI部位およびHindIII部位、(b)SacI部位の3’側かつXhoI部位の5’側に位置するAscI部位、(c)XhoI部位の3’側かつBstEII部位の5’側に位置するAvaI部位およびMfeI部位をさらに含む、請求項9に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  16. 前記ヌクレオチド配列が、配列番号2またはその相補物と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項15に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  17. ポリヌクレオチド配列が、配列番号2またはその相補物を含む、請求項15または16に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  18. 前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号62またはその相補物と少なくとも95%同一の配列を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  19. 前記ポリヌクレオチド配列が、配列番号62またはその相補物を含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  20. VH遺伝子、VL遺伝子、前記VH遺伝子の5’末端に配置されたXhoI制限部位、前記VH遺伝子の3’末端に配置されたSfiI制限部位またはBstEII制限部位、前記VL遺伝子の5’末端に配置されたApaL1制限部位、および前記VL遺伝子の3’末端に配置されたSac1制限部位を含む、単離されたポリヌクレオチド。
  21. 前記VH遺伝子と前記VL遺伝子の間のリンカーをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項20に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  22. 前記リンカーが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項7または21に記載の単離されたポリヌクレオチド。
  23. 複数の単離されたポリヌクレオチドを含み、各ポリヌクレオチドが、請求項1から22にのいずれか一項に記載のポリヌクレオチドである、単鎖Fv(ScFv)ポリヌクレオチドライブラリー。
  24. 単鎖Fv(ScFv)ポリヌクレオチドライブラリーを構築するための方法であって、
    (a)VH遺伝子のコレクションの5’末端に第1の制限部位を、3’末端に第2の制限部位を導入するステップと、
    (b)前記第1の制限部位と適合性がある制限部位および前記第2の制限部位と適合性がある制限部位を用いて、複数のポリヌクレオチドベクター中に前記VH遺伝子のコレクションをクローニングするステップと、
    (c)VL遺伝子のコレクションの5’末端に第3の制限部位を、3’末端に第4の制限部位を導入するステップと、
    (d)前記第3の制限部位および前記第4の制限部位と適合性がある制限部位を用いて、複数のポリヌクレオチドベクター中に前記VL遺伝子のコレクションをクローニングするステップとを含み、
    (i)前記第1、第2、第3、および第4の制限部位は互いに適合性ではなく、
    (ii)前記第1の制限部位は、XhoI、SfiI、BssHII、ApaLI、MfeI、BspEI、およびSalIからなる群から選択され、
    (iii)前記第2の制限部位は、BstEII、SfiI、XhoI、SalI、BclI、MluI、SmaI、およびXbaIからなる群から選択され、
    (iv)前記第3の制限部位は、ApaLI、XhoI、SalI、BspEI、BssHII、EcoRV、およびSfiIからなる群から選択され、
    (v)前記第4の制限部位は、SacI、SfiI、BclI、AvrII、BsiWI、BamHI、XhoI、SalI、およびMluIからなる群から選択される、
    方法。
  25. ステップ(a)が、単離された全RNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、前記第1の制限部位を含むフォワードプライマーおよび前記第2の制限部位を含むリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVH遺伝子を増幅するステップとを含む、請求項24に記載の方法。
  26. ステップ(c)が、単離されたRNAから第1の鎖cDNAを合成するステップと、前記第3の制限部位を含むフォワードプライマーおよび前記第4の制限部位を含むリバースプライマーを含む1つまたは複数のプライマーセットを用いたPCR増幅によってVL遺伝子を増幅するステップとを含む、請求項24に記載の方法。
  27. 前記複数のベクターの各ポリヌクレオチドベクターが、配列番号1と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項24から26のいずれか一項に記載の方法。
  28. 前記複数のベクターの各ポリヌクレオチドベクターが、配列番号1のヌクレオチド配列を含む、請求項24から27のいずれか一項に記載の方法。
  29. 前記複数のベクターの各ポリヌクレオチドベクターが、配列番号61と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項24から28のいずれか一項に記載の方法。
  30. 前記複数のベクターの各ポリヌクレオチドベクターが、配列番号61のヌクレオチド配列を含む、請求項24から29のいずれか一項に記載の方法。
  31. 請求項24から30のいずれか一項に記載の方法を用いて構築した単鎖Fv(ScFv)ポリヌクレオチドライブラリー。
  32. 単鎖Fv(ScFv)ポリヌクレオチドライブラリーをFabポリヌクレオチドベクター発現系に再編成するための方法であって、
    (a)請求項23または31に記載のScFvポリヌクレオチドライブラリーを提供するステップと、
    (b)1つまたは複数の制限酵素を用いて前記ScFvポリヌクレオチドライブラリーを消化することによって、VH遺伝子およびVL遺伝子をそれぞれが含む複数のポリヌクレオチド断片を作製するステップと、
    (c)ステップ(b)で作製した前記複数のポリヌクレオチド断片の各ポリヌクレオチド断片を、適合性制限部位を含むFabポリヌクレオチド発現ベクター中にクローニングするステップと
    を含む、方法。
  33. 前記1つまたは複数の制限酵素が、請求項24に記載の1つまたは複数の第1、第2、第3、および第4の制限部位を含む、請求項32に記載の方法。
  34. 前記複数の断片のそれぞれが、前記VH遺伝子と前記VL遺伝子の間のリンカーをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項32に記載の方法。
  35. 前記リンカーが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項34に記載の方法。
  36. リンカーをコードする前記ポリヌクレオチドの少なくとも一部分を、Ck配列、リボソーム結合部位(rbs)、およびシグナルペプチド配列を含むヌクレオチド配列で置き換えるステップをさらに含む、請求項34または35に記載の方法。
  37. 前記シグナルペプチド配列がPelBリーダー配列を含む、請求項36に記載の方法。
  38. 前記複数のFabポリヌクレオチド発現ベクターの各Fabポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号2と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項32から37のいずれか一項に記載の方法。
  39. 前記複数のFabポリヌクレオチド発現ベクターの各Fabポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項32から38のいずれか一項に記載の方法。
  40. 前記複数のFabポリヌクレオチド発現ベクターの各Fabポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号62と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項32から39のいずれか一項に記載の方法。
  41. 前記複数のFabポリヌクレオチド発現ベクターの各Fabポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号62のヌクレオチド配列を含む、請求項32から40のいずれか一項に記載の方法。
  42. 複数のFabポリヌクレオチド発現ベクター中に複数のScFvポリヌクレオチドを含む、請求項32から41のいずれか一項に従って構築したポリヌクレオチドライブラリー。
  43. 単鎖Fv(ScFv)ポリヌクレオチドライブラリーをIgG発現系に再編成するための方法であって、
    (a)請求項23または31に記載のScFvポリヌクレオチドライブラリーを提供するステップと、
    (b)1つまたは複数の制限酵素を用いて前記ScFvライブラリーを消化することによって、VH遺伝子およびVL遺伝子をそれぞれが含む複数のポリヌクレオチド断片を作製するステップと、
    (c)ステップ(b)で作製した前記複数のポリヌクレオチド断片の各ポリヌクレオチド断片を、適合性制限部位を含むIgGポリヌクレオチド発現ベクターにクローニングするステップと
    を含む、方法。
  44. 前記1つまたは複数の制限酵素が、請求項24に記載の1つまたは複数の第1、第2、第3、および第4の制限部位を含む、請求項43に記載の方法。
  45. 前記複数のポリヌクレオチド断片の各ポリヌクレオチドが、前記VH遺伝子と前記VL遺伝子の間のリンカーをコードするポリヌクレオチドをさらに含む、請求項43または44に記載の方法。
  46. 前記リンカーが、配列番号3のアミノ酸配列を含む、請求項45に記載の方法。
  47. リンカーをコードする前記ポリヌクレオチドの少なくとも一部分を、Ck配列、配列内リボソーム進入部位(IRES)、およびシグナルペプチド配列を含む配列で置き換えるステップをさらに含む、請求項45または46に記載の方法。
  48. 前記IgGポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号2と少なくとも95%同一のヌクレオチド配列を含む、請求項43から47のいずれか一項に記載の方法。
  49. 前記IgGポリヌクレオチド発現ベクターが、配列番号2のヌクレオチド配列を含む、請求項43から48のいずれか一項に記載の方法。
  50. 複数のIgGポリヌクレオチド発現ベクター中に複数のScFvポリヌクレオチドを含む、請求項43から49のいずれか一項に従って構築したポリヌクレオチドライブラリー。
  51. VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを作製するための方法であって、
    (a)前記第2の制限部位を認識する第2の制限酵素および前記第3の制限部位を認識する第3の制限酵素を用いて、請求項42または50に記載のポリペプチドライブラリーを消化するステップであって、前記ポリペプチドライブラリーの各ポリヌクレオチドが、前記第2の制限部位と前記第3の制限部位の間に位置するリンカーをコードするポリヌクレオチドを含み、その結果、前記リンカーをコードするポリヌクレオチドが、前記Fab発現ベクターまたは前記IgG発現ベクターから遊離され、それによって、(i)VHポリペプチドをコードするポリヌクレオチドおよびVLポリペプチドをコードするポリヌクレオチドを含む直線状ベクターポリヌクレオチド断片(「直線状ベクターポリヌクレオチド」)ならびに(ii)前記リンカーをコードする直線状ポリヌクレオチド断片(「直線状リンカーポリヌクレオチド」)を作り出すステップと、
    (b)前記直線状ベクターポリヌクレオチドを単離するステップと、
    (c)調節配列を含むポリヌクレオチドを、前記直線状ベクターポリヌクレオチドの前記第2の制限部位と前記第3の制限部位にライゲーションして、VHポリペプチドおよびVLポリペプチドを別々にコードするポリヌクレオチド(「VHおよびVL発現ベクターポリヌクレオチド」)を形成させるステップと、
    (d)前記VHおよびVL発現ベクターポリヌクレオチドからのVHポリペプチドおよびVLポリペプチドの発現を誘導するステップと
    を含み、
    VHポリペプチドおよびVLポリペプチドが作製される、方法。
  52. 前記VHポリペプチドが重鎖定常領域1に融合され、前記VLポリペプチドがκ鎖定常領域またはλ鎖定常領域に融合される、請求項51に記載の方法。
  53. 前記VHポリペプチドが重鎖定常領域1、2、および3に融合され、前記VLポリペプチドがκ鎖定常領域またはλ鎖定常領域に融合される、請求項51または52に記載の方法。
  54. ハイスループットなスクリーニングにおける、請求項50に記載のポリヌクレオチドライブラリーの使用。
JP2011529240A 2008-09-26 2009-09-25 単鎖抗体ライブラリー設計 Withdrawn JP2012503490A (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US10035008P 2008-09-26 2008-09-26
US61/100,350 2008-09-26
PCT/US2009/058302 WO2010036851A2 (en) 2008-09-26 2009-09-25 Single chain antibody library design

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2012503490A true JP2012503490A (ja) 2012-02-09

Family

ID=42026694

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2011529240A Withdrawn JP2012503490A (ja) 2008-09-26 2009-09-25 単鎖抗体ライブラリー設計

Country Status (5)

Country Link
US (1) US20100124764A1 (ja)
EP (1) EP2352758A2 (ja)
JP (1) JP2012503490A (ja)
CA (1) CA2737351A1 (ja)
WO (1) WO2010036851A2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011182645A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Kyushu Univ 動物細胞ディスプレイ法およびそれを利用した完全ヒトモノクローナル抗体の体外成熟法

Families Citing this family (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CA2462113C (en) 2001-10-01 2013-01-29 Dyax Corp. Multi-chain eukaryotic display vectors and uses thereof
LT2864531T (lt) 2012-06-25 2019-03-12 Gen9, Inc. Nukleorūgšties konstravimo ir aukšto produktyvumo sekvenavimo būdai
CA3221995C (en) 2017-02-08 2024-05-28 Dragonfly Therapeutics, Inc. Multi-specific binding proteins for activation of natural killer cells and therapeutic uses thereof to treat cancer
KR20240060739A (ko) 2017-02-20 2024-05-08 드래곤플라이 쎄라퓨틱스, 인크. Her2, nkg2d 및 cd16에 결합하는 단백질
MX2020008336A (es) 2018-02-08 2020-09-21 Dragonfly Therapeutics Inc Dominios variables de anticuerpos que se dirigen al receptor nkg2d.

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
AU668374B2 (en) * 1991-12-10 1996-05-02 Dana-Farber Cancer Institute Reactive neutralizing human anti-GP120 recombinant antibody, DNA coding the same and use thereof
US5876950A (en) * 1995-01-26 1999-03-02 Bristol-Myers Squibb Company Monoclonal antibodies specific for different epitopes of human GP39 and methods for their use in diagnosis and therapy
US20050196755A1 (en) * 2000-11-17 2005-09-08 Maurice Zauderer In vitro methods of producing and identifying immunoglobulin molecules in eukaryotic cells
AR037756A1 (es) * 2001-12-17 2004-12-01 Bayer Corp Anticuerpo que inhibe la actividad del factor de las celulas precursoras y su uso para el tratamiento del asma.
US7244592B2 (en) * 2002-03-07 2007-07-17 Dyax Corp. Ligand screening and discovery
NZ573646A (en) * 2006-06-12 2012-04-27 Wyeth Llc Single-chain multivalent binding proteins with effector function
EA200900037A1 (ru) * 2006-08-03 2009-10-30 Ваксинекс, Инк. Моноклональные антитела против интерлейкина-6 (il-6) и их применение

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011182645A (ja) * 2010-03-04 2011-09-22 Kyushu Univ 動物細胞ディスプレイ法およびそれを利用した完全ヒトモノクローナル抗体の体外成熟法

Also Published As

Publication number Publication date
EP2352758A2 (en) 2011-08-10
US20100124764A1 (en) 2010-05-20
WO2010036851A3 (en) 2010-11-04
CA2737351A1 (en) 2010-04-01
WO2010036851A2 (en) 2010-04-01

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US10829541B2 (en) Methods of constructing libraries comprising displayed and/or expressed members of a diverse family of peptides, polypeptides or proteins and the novel libraries
US9562902B2 (en) Ligand screening and discovery
ørum et al. Efficient method for construction comprehensive murine Fab antibody libraries displayed on phage
AU673515B2 (en) Methods for producing members of specific binding pairs
EP1144616B2 (en) Method for producing antibody fragments
Carmen et al. Concepts in antibody phage display
EP0656941B1 (en) Methods for producing members of specific binding pairs
JP4651619B2 (ja) 目的とする配列を連結するための方法
AU2007211861B2 (en) Methods of Constructing Display Libraries of Genetic Packages for Members of a Diverse Family of Peptides
WO1991017271A1 (en) Recombinant library screening methods
Tikunova et al. Phage display on the base of filamentous bacteriophages: application for recombinant antibodies selection
JP2012503490A (ja) 単鎖抗体ライブラリー設計
US9523092B2 (en) Compatible display vector systems
JP2012503983A (ja) 適合性ディスプレイベクター系
Burmester et al. Construction of scFv fragments from hybridoma or spleen cells by PCR assembly
Pasello et al. Design and construction of a new human naive single-chain fragment variable antibody library, IORISS1
ES2375952T5 (es) Nuevos métodos para construir bibliotecas que comprenden miembros presentados y/o expresados de una familia diversa de péptidos, polipéptidos o proteínas y las nuevas bibliotecas
Jones Display of antibody chains on filamentous bacteriophage
Piran et al. In vitro evolution of catalytic antibodies and other proteins via combinatorial libraries
WO2004013328A1 (en) Method for generating molecules with specific properties by recombination and selection
Sblattero The Development of a Single Vector Recombination System to Make Large Phage Antibody Libraries

Legal Events

Date Code Title Description
A300 Application deemed to be withdrawn because no request for examination was validly filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300

Effective date: 20121204