JPH08500739A - 挿入プロモーター含有の組換え乳酸菌とその構築方法 - Google Patents

挿入プロモーター含有の組換え乳酸菌とその構築方法

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Abstract

(57)【要約】 プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝子からなる転位因子を含むDNA分子を乳酸菌の集団中に導入することからなる、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法、上記方法を用いることによる調節可能なプロモーターからなる組換え乳酸菌の構築方法、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と、それらに作動的に結合された、その遺伝子に天然では関連していない調節可能な乳酸菌プロモーターからなる組換え乳酸菌、そのような組換え乳酸菌の用途、および調節可能な乳酸菌プロモーターからなる組換えプラスミド。

Description

【発明の詳細な説明】 挿入プロモーター含有の組換え乳酸菌とその構築方法 <発明の分野> この発明は遺伝子的に改良された食品グレードの乳酸菌の分野に関する。特に 、有用な乳酸菌プロモーターの単離方法と組換え乳酸菌の構築方法を提供し、そ のプロモーターは、食品、動物用飼料や原生物的に(probiotically)活性な組 成物の製造に有用である改良乳酸菌を得るのに利用される。 <技術的背景と従来技術> 古くから、乳酸菌培養物は、糖を、発酵により保存性の有機酸、主に乳酸およ び望ましい味とフレーバーを有する発酵食品の開発に関連した各種の代謝物へ変 換する能力があるため、食品生産に用いられてきた。いくつかの乳酸菌は、ペプ チダーゼ、プロテアーゼ、脂肪分解酵素を含む加水分解酵素を産生し、その産生 は、例えばチーズで望みのフレーバーを与えるのに寄与することができる。 しかし、ヨーグルト、アシドフィルス乳(acidphilus milk)、バターおよび チーズを含む公知の伝統的な乳製品、発酵野菜、発酵肉製品および動物用飼料の ような幅広い発酵食品を工業的に生産するには、各々が特定タイプの食品に適合 する広い範囲の乳酸菌スターター培養物が必要とされる。このような培養物は、 乳酸菌の天然種から、発酵される食品に存在する糖を発酵する能力、特異的な生 育温度要件、所望のフレーバー物質の産生のような特性に基づき現在選択されて いる が、その特性の特異的な組合せにより、特別の食品の産生に有用ではあるが他の 産生には通常あまり有用でない特異的に選択された野生型培養物が与えられる。 天然種を選択することによる、有用な乳酸菌培養物を開発するための現在用い られている手法が、面倒で高価であることは明白である。その上、最適レベルで 所望の特性を全て有するスターター培養種を提供することが難しいことが判明し ている。現在、この問題は、各々が特別の食品に望まれる特性の1つまたはいく つかを有する複数の選択された乳酸菌種からなるスターター培養物を用いること によって、通常解決されている。このような混合培養物を使用することの必要性 が、乳酸菌スターター培養物の製造コストを上げることは当然であろう。 乳酸菌が食品製造において伝統的に長期間応用され、かつ非病原性と考えられ ている事実から、乳酸菌は、発酵食品中に生菌として非常に多数、例えば108 〜109/g含まれていても、一般に安全(GRAS)な食品成分として認めら れている。 最近、経済的かつ技術的にスターター培養物の開発をより可能にする方法を見 出すことが重要な産業上の必要として広く認められている。遺伝子工学がこのニ ーズに合致する手段を与えることは明らかである。これに関連して、遺伝子工学 を用いて所望の遺伝子を導入することによって開発される食品製造用乳酸菌が、 なおかつ消費上安全なものとして認められることが重要である。従って、組換え 乳酸菌が、スターター培養物菌株によく見出される野生型の染色体外プラスミド からのDNAを含む乳酸菌源のDNAのみか、または組換え菌株に有害な発現型 特徴を与えない非乳酸菌DNAを含むことが必須であると産業上 考えられる。 遺伝子的に改良した乳酸菌を提供するいくつかの試みがなされている。この試 みの殆どは、所望の遺伝子産物をコードし、かつ乳酸菌中で複製しうる組換え発 現ベクターの構築に向けられている。しかし、これらの試みの中でごく少数が、 乳酸菌DNAのみからなるベクターを得ている。 乳酸菌を改良する他のアプローチは、有用な遺伝子を細菌の染色体に挿入する か、または所望の遺伝子産物をコードする染色体遺伝子の発現を増強することで ある。もし、この試みが成功すれば、新しい遺伝子がプラスミドに導入された際 によくみられる問題、すなわちプラスミドの固有の不安定性のため、または異な る不和合性グループに属する他のプラスミドの存在の結果としてのプラスミドの 損失をさけることができる。それに対して、染色体に組込まれたことになる導入 遺伝子は、一般的に娘細胞に安定に遺伝する。 しかし、この最後の試みは、乳酸菌の染色体の詳細な知見がなく、かつ異種D NAの染色体組込みを得る安定な方法がないために、乳酸菌ではまだ十分に研究 されていない。なお、最近の刊行物では、いわゆる組込みベクターによりラクト コッカス ラクチスssp.ラクチスでこのような染色体組込みが報告されている (文献46)。 相同または異種遺伝子の発現は、例えばその遺伝子と天然で(naturally)関 連したプロモーター配列を、転写レベルで遺伝子の増強した発現に導くより強い プロモーター配列で置換することにより増強することができることが知られてい る。かくして、DD228564は、イー.コリおよび/またはビー.ズブチリス中で 複製することができる発現ベクターの製法を開示し、その方法は、構造遺伝子か らなるプ ロモーターレスの基本イー.コリおよび/またはビー.ズブチリスプラスミドの ユニーク制限部位に、基本プラスミドのユニーク制限部位に対応する制限酵素で の制限によりストレプトコッカス種から単離されたプロモーター担持DNAフラ グメントを挿入し、ベクターで形質転換されかつ構造遺伝子を発現するイー.コ リおよび/またはビーズブチリスから組換えベクターを単離することからなる。 ヤングマンら{Youngman et al(1987)}は、トランスポゾンTn917を用い て、バシラス種(spp.)のプロモーターを単離する方法を開示している。しかし ながら、この方法は、バシラス種の37℃以上の温度で生育する能力によるもの であり、さらに、このバシラス種における転位方法により、トラスポゾンが優性 のホットスポットに組込まれ、それによって単一の優性組込み体(dominant int egrant)が生ずる結果になることが見出されている。 最近、乳酸菌のラクトコッカス ラクチスにおいて、イー.コリ遺伝子産物即 ちβ−ラクタマーゼのより効果的な発現と分泌を得るために、乳酸菌プロモータ ーからなる配列および/またはプロモーターシグナルペプチド配列が、プラスミ ド中の弱い天然のプロモーターおよび/またはプロモーターシグナルペプチド配 列を置換するのに用いることができることが示唆されている(文献28)。これら の著者らは、イー.コリおよび/またはビー.ズブチリス(B.subtilis)中で複 製でき、かつプロモーターレスcat遺伝子と適切な制限部位とからなるプロモー タープローブベクターを用いて、ラクトコッカス染色体のフラグメントを挿入し 、イー.コリまたはビー.ズブチリスから単離されかつcat遺伝子を発現する組 換えプラスミドをスクリーニングすることによって、ラクトコッカスプロモータ ー配列を同定した。 しかしながら、乳酸菌源のものではなく非乳酸菌中で複製されるベクターにお ける乳酸菌プロモーターの挿入を、非乳酸菌においてスクリーニングすることに 関しているこのような方法では、源である乳酸菌中で機能する、有用な乳酸菌プ ロモーターの直接的な原位置(insitu)の同定はできない。そのような直接的な 方法は、この発明によって提供される。 <発明の要約> 1つの観点において、この発明は、 i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス(promoterless )構造遺伝子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および (c)乳酸菌中で機能的である複製起点からなる、乳酸菌中で複製するDNA分 子を選択し、 ii)そのDNA分子を乳酸菌の集団に導入し、その集団を転位因子の転位を起こ させる条件下に置き、 iii)プロモーターレス遺伝子が発現される乳酸菌集団の細胞を選択し、 iv)その細胞をクローニングし、そのクローンから、原プロモーターレス遺伝子 (originally promoterless gene)に作動的に結合した乳酸菌プロモーターと、 おそらくそのプロモーターの機能を制御する配列とからなるDNAフラグメント を単離する 工程からなる、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法に関 する。 さらなる観点において、この発明は、 i.)上記方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNAフラグ メントを単離し、 ii)そのプロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物をコ ードする遺伝子の上流で乳酸菌中に挿入し、それによって挿入したプロモーター を前記遺伝子と作動的に結合させる工程からなる組換え乳酸菌の構築方法、また は i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNAフ ラグメントを単離し、 ii)所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を乳酸菌中に挿入し、 iii)前記プロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物を コードする遺伝子の上流で工程ii)で得られる乳酸菌中に挿入し、それによって 挿入したプロモーターを前記遺伝子と作動的に結合させる 工程からなる組換え乳酸菌の構築方法を提供する。 さらに、さらなる観点によれば、この発明は、 i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝子から なる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸菌中で 機能的である複製起点からなる、乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、 ii)転位因子の転位を起こさせる条件下で、工程i)のDNA分子を乳酸菌の集 団中に導入し、 iii)プロモーターレス構造遺伝子が、乳酸菌細胞の天然の調節可能なプロモー ターに作動的に結合した結果として調節可能に発現されている乳酸菌集団の細胞 を選択し、 iv)工程iii)の乳酸菌細胞のレプリコンにおける、転位因子が組込まれること が可能な部位を同定し、 v)工程iv)で同定した部位または機能的に同等の部位で、乳酸菌集団 の非組込み細胞中に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を挿入し、それによ ってその遺伝子を前記天然の乳酸菌プロモーターに作動的に結合させる 工程からなり、ここで挿入した遺伝子の発現が、天然プロモーターに作動的に結 合したときの遺伝子の発現と比較すると変化している組換え乳酸菌の構築方法に 関する。 他のさらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝 子と、それらに作動的に結合された、その遺伝子に天然では関連していない調節 可能な乳酸菌プロモーターからなり、前記プロモーターの存在によって、その遺 伝子の発現が、その天然のプロモーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現 に比べると変化されている組換え乳酸菌、および乳酸菌中で機能的である乳酸菌 プロモーターと、それらに作動的に結合された所望の遺伝子産物をコードする遺 伝子からなり、そのプロモーターが、前記遺伝子と天然では関連していないもの である単離DNAフラグメントに関する。 この発明はまた、食品の製造、動物用飼料の保存および原生物的に活性な組成 物の製造における、ここで定義した組換え乳酸菌の使用に関する。 さらに他の観点によれば、この発明は、調節可能な乳酸菌プロモーターからな るDNA配列、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子、乳酸菌中で機能的である 乳酸菌レプリコン、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動 的に結合され、それによってプラスミドが乳酸菌中に存在するときにその遺伝子 が転写されうるようにDNA配列を挿入させる挿入部位からなる組換えプラスミ ドを提供する。 なおさらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコー ドするプロモーターレス遺伝子からなるベクター、乳酸菌中で機能的であるシー タ(θ)複製乳酸菌レプリコンおよびDNA配列を挿入させる挿入部位からなり 、その挿入部位に調節可能な乳酸菌プロモーターからなるDNA配列が挿入され ており、その挿入によって所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモーター に作動的に結合されて、その遺伝子が転写されるようになる組換えプラスミドに 関する。かくして、このようなプラスミドは、ベクターとしてのプラスミドpA K80からなる。 <発明の詳細な説明> この発明の主な目的は、改良乳酸菌が乳酸菌種由来のDNAまたは非乳酸菌種 からのDNAのみを含有する意味で食品グレードであり、その存在が一般に安全 と認められうる改良乳酸菌を構築する手段を提供することである。ここで用いた 用語“乳酸菌(lactic acidbacterium)は、糖を発酵して、主に産生される酸と しての乳酸、酢酸およびプロピオン酸を含む酸類を産生する、グラム陽性、微好 気性または嫌気性細菌を示す。工業的に最も有用な乳酸菌は、ラクトコッカス種 (Lactococcus spp.)、ストレプトコツカス種(Streptococcusspp.)、ラクト バシラス種(Lactobacillus spp.)、ロイコノストック種(Leuconostoc spp.) 、ペデイオコッカス種(Pediococcus spp.)、ブレビバクテリウム種(Brevibac terium spp.)、プロピオニバクテリウム種(Propionibacterium spp.)および ビフィドバクテリウム種(Bifidobacterium spp.)のなかに見出される。 上記のように、この発明は、1つの観点において、プロモーターからなる乳酸 菌DNAフラグメントの単離方法を提供する。この方法の 第1工程では、乳酸菌中で複製することができ、転位因子、プロモータープロー ブ遺伝子としてのプロモーターレス構造遺伝子、検出可能な選択マーカー遺伝子 および乳酸菌中で機能的である複製起点からなるDNA分子が提供される。この ようなフラグメントを乳酸菌中に導入し、続いて転位イベントの結果として宿主 細胞レプリコン(宿主によって担持された染色体および/またはプラスミドを含 む)に組み込むことができると、宿主細胞プロモーターは、組込まれたDNAフ ラグメントのプロモーターレス構造遺伝子の宿主細胞における発現を検出するこ とによって同定することができる。これは、分裂レプリコン分子に存在するプロ モーター領域が遺伝子に作動的に結合するようになるレプリコンの部位で転位因 子の挿入が起こらないかぎり、プロモーター領域を欠く構造遺伝子は発現できな いからである。 この明細書において、用語「転位因子(transposable element)」は、それ自 体を他のDNA分子に挿入できる能力を有する二本鎖DNA分子を示すために用 いられる。転位因子自体を挿入する方法は、「転位(transposition)」と命名 され、この方法は、「トランスポザーゼ(transposase)」として知られる蛋白 を必要とする(詳細な説明については文献3参照)。転位方法は、転位因子を第 2DNA分子の特定部位に挿入することに起因する。この挿入は、いくつかの意 味のある結果を有する。第1に、第2(レシピエント) DNA分子の原DNA 配列が、物理的かつ機能的に分解される。第2に、転位は、新しいDNAを第2 DNA分子に導入することに起因するので、相同または異種DNAを特定のDN A配列に導入する手段が提供される。第3は、転位因子のDNA配列への挿入が 、挿入部位の側面に位置するDNA配列の発現と体制に関する情報を与えうるよ うに転位因子を処理する ことができる。例えば、転位因子の末端近くに、非発現または非分泌遺伝子産物 をエンコードする遺伝子を挿入することができ、従ってこのような転位因子は、 プロモーターおよび分泌シグナルペプチドのプローブを与える。 この発明に従って使用できる転位因子は、サイズと機能体制の両者が多様であ る。かくして、「挿入配列」と称する簡単な転位因子は、因子自身の動きに無関 係な機能をエンコードせず、一般に2kbより短い。全ての転位因子と同様に、挿 入配列は、互いに逆向きの繰返しである相補的配列を含む特殊化された末端を有 する。このような逆向きの繰返し配列の存在が、転位に必須とみられる。トラン スポザーゼ酵素は、転位因子の両端でDNA配列に結合することによって転位を 媒介すると考えられる。 有用な転位因子には、トランスポゾンが含まれる。用語「トランスポゾン(tr ansposons)」は、挿入配列より大きく、かつトランスポザーゼ系に加えて抗生 物質または他の選択可能な決定因子に対する細胞耐性を与える蛋白のようないく つかの遺伝子産物をエンコードする転位因子を意味する。 遺伝子工学の道具としての転位因子の開発に関する殆どの研究は、グラム陰性 菌種でなされているが、グラム陽性菌種中で機能的であるいくつかのトランスポ ゾンが単離され、主にバシラス(Bacillus)種、リステリア(Listeria)種およ びコリネバクテリウム(Corynebacterium)種において、また少ないけれども乳 酸菌においても研究されている。乳酸菌で使用できるトランスポゾンの例には、 ストレプトコッカスから単離され、ことにリステリア(Listeria)種、マイコプ ラズマ(Mycoplasma)種、スタフィロコッカス (Staphylococcus)種において機能的なTn916;ストレプトコッカス サング イス(Streptococcus sanguis)から単離され、乳酸菌種であるラクトバシラス プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ロイコノストツク クレモリス (Leuconostoc cremoris)およびラクトコツカス ラクチス(Lactococcus lact is)において転位することが示されているTn919、バシラス種とリステリア種 において転位することが知られているストレプトコツカス ファエカリス(Stre ptococcusfaecalis)から単離されたTn917がある。 この発明の目的に関して、有用な転位因子は、オペロン融合と転写融合を媒介 するものである。従って、上記のグラム陽性トランスポゾンの誘導体を含む、標 的として乳酸菌DNA分子を有するそのようなトランポゾンの融合発生誘導体を 、この発明の方法に使用することができる。例えば、融合発生トランスポゾン誘 導体(fusion-generatingtransposon derivatives)は、その発現を容易に検出 することができるプロモーターレス構造遺伝子からなる。このようなプロモータ ーレス構造遺伝子は、例えば、抗生物質耐性を与える遺伝子産物をコードする遺 伝子、栄養要求性欠失を補足する遺伝子産物をコードする遺伝子、または適当な 固体もしくは液体培地で着色反応する物質のような容易に検出することができる 最終産物を有する酵素をコードする遺伝子から選択することができる。 例えば、プロモーターレスlacZ遺伝子を、転位媒介融合を得るのに適切な配向 でトランスポゾンからなるプラスミドに挿入することにより、それを含有する細 菌を5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド( x-gal)を含むプレートで増殖させると、β−ガラクトシダーゼの発現の結果と して青色に変わるプラス ミドベクターが得られる。このようなベクターで生じた染色体またはプラスミド への転位挿入は、その挿入が機能性プロモーターの下流でかつ転写融合をもたら す右配向に起こらなければ、白色コロニーを産生する。このように、プロモータ ーレス遺伝子は、プロモーターおよび/またはオペロンプローブ遺伝子として働 く。別の例として、適切な融合発生トランスポゾン誘導体は、プロモーターレス 遺伝子cat-86遺伝子からなり、その遺伝子産物はフロラムフェニコール耐性を媒 介する。 この明細書において、適切な転位因子の本質的な特徴は、高度のランダムさで 転位する能力があることである。転位因子は、標的特異性において大きく変化し 、その挿入部位は、因子配列に殆どもしくは全く類似性を示さない。完全にラン ダムに挿入する因子は見出されていないけれども、ある因子は、何れかの遺伝子 において、2〜3から何百もの標的部位を有しているであろう。他の因子は、単 一の染色体部位のみに挿入する高い部位特異性を示している。なお他の因子は、 ある種において擬似ランダムに挿入するとみられるが、DNAの特定領域または DNA分子のある領域を好む。この発明の目的のためには、ランダムかまたは少 なくとも擬似ランダムに組込まれる転位因子が好ましい。用語「擬似ランダム( quasi-randomly)」は、このDNAフラグメントにおいて予想される挿入割合に 対する公知サイズの標的DNAフラグメントにおいて観察される挿入イベントの 総数の割合に関して、組込みランダムの程度としてここで定義され、最大5、好 ましくは最大4、より好ましくは最大3、特に最大2.5である。有用な具体例で は、染色体DNA対する優先性を有する転位因子が好ましい。 ある好ましい具体例では、乳酸菌中で複製することができかつ Tn917トランスポゾンの融合発生誘導体からなるDNA分子を、この発明の方 法のために選択することができる。このような誘導体には、PTV32、pLTV 1、pLTV3、pTV51、pTV52およびpTV53を含むpTVシリーズのプラ スミドが包含される。これらの中で、pTV32およびpLTV1が特に有用であ る。 その上、この発明の方法の工程(i)で得られるようなDNA分子は、DNA フラグメントが導入された細胞を選択させる検出可能な選択マーカー遺伝子から なる。これに関連して、便利なマーカー遺伝子には、例えばエリスロマイシンや リンコマイシンのようなマクロライド抗生物質、テトラサイクリン、β−ラクタ ム抗生物質およびクロラムフエニコールのような抗生物質に耐性を与える遺伝子 産物をコードするものがある。他の例として、マーカー遺伝子は、DNAフラグ メントが導入される宿主細胞における栄養要求の相補性をコードしていてもよく 、または上記のLacZ遺伝子のような容易に検出することができる最終産物を発生 しうる酵素をコードする遺伝子であってもよい。 この方法の第2工程では、上記定義のDNA分子が、乳酸菌の細胞集団中に導 入される。このような導入は、DNAを宿主細胞に導入する公知技術に従って行 うことができ、それには、プロトプラスト細胞の形質転換、エレクトロポレーシ ヨンによる形質転換、またはDNAフラグメントが接合性因子の場合には接合に よる形質転換が含まれる。選択した方法は、少なくともDNAのμg当り5×1 04、例えばDNAのμg当り少なくとも105のようなDNAμg当り少なくと も104組換え細胞のDNA導入頻度になるのが好ましい。 転位因子の宿主細胞DNAへの高い確立での組込みを得るのを確実 にするためには、DNA分子が宿主細胞中で複製できるものであることが必須で ある。従って、工程(ii)は、導入したレプリコンを複製させるサブ工程を含め 、どの程度の複製が、形質転換細胞または接合完了体に起ったかを調べる方法を 伴うことができる。この明細書において、複製の適切な程度は、細胞当り5〜20 の範囲のコピー数と考えられる。この範囲を実質的に越えるコピー数は、次の転 位が起こるための本質的前提条件であるレプリコンのキュアリングをより達成困 難にするであろう。 さらなるサブ工程では、工程(ii)は、形質転換細胞または接合完了体細胞を 、転位を生じさせる条件下に付すことからなる。非乳酸菌での転位は、細胞の環 境条件下で1以上のシフトによって誘発することができる。その例として、ビー .ズブチリスにおけるpTV−ベースのTn917突然変異誘発の方法には、温度 アップシフトと組合せた抗生物質スイッチを含む工程が含まれる。Tn917erm遺 伝子発現と転位は、共に、ビー.ズブチリス中でエリスロマイシンにより誘発さ れる(文献57)。ビー.ズブチリス中では、pE194Ts-repの複製活性が、37℃ 以上の温度でブロックされる(文献56)。結果として、pTVプラスミドのキュ アリング、転位の誘発および選択は、エリスロマイシンの存在下、42℃を越える 温度で、ビー.ズブチリスを増殖させることによって行われる。 しかしながら、この発明に至る実験中、ビー.ズブチリスで用いた上記手順は 、例示したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614およびMG1363のよ うな乳酸菌に適用できないことを見出した。しかし、pTV32もpLTV1も、 エリスロマイシンの存在下30℃で生育させたとき、これらのプラスミドで形質転 換したラクトコッ カス細胞から抽出することができないことを意外にも見出した。このことは、プ ラスミドの不随した損失をともなうTn917誘導体の染色体への転位(組込み) が、これらの条件下で起こったことを示した。 従って、この発明の1つの有用な具体例では、この方法の工程(ii)は、フリ ーの転位因子含有DNA分子の形質転換乳酸菌における転位が、転位因子が耐性 を与える抗生物質の存在下20〜35℃の範囲、例えば30℃の温度で形質転換細胞を 増殖させることによって、このようなフリー分子の付随するキュアリングをとも なって誘発されるサブ工程を含んでいる。 この方法の次の工程(iii)では、組込み体細胞がクローン化され、転位因子 のプロモーターレス遺伝子を発現することができる組込み体細胞を検出する選択 手順に付される。この選択手順は、ブロモーターレス遺伝子のタイプに依存する であろう。例えば、プロモーターレスlacZ遺伝子が用いられるとき、選択は、ク ローン化された組込み体を、色の展開をともなうβ−ガラクトシダーゼによって 分解しうる物質を含有する培地で培養することによって行うことができるか、ま たは抗生物質耐性遺伝子が用いられるときには、その組込み体を、対応する抗生 物質を補った培地で選択することができる。 この方法の工程(iv)では、プロモーターレス構造遺伝子を発現する選択組込 み体がクローン化され、原プロモーターレス遺伝子と作動的に結合されるプロモ ーターと、おそらくプロモーター機能を調整する配列とを含む乳酸菌レプリコン 領域が、適当な制限酵素を用いてクローン化細胞から単離される。得られる一次 プロモーター含有DNA配列は、選択した酵素(酵素類)に関する制限部位の位 置に依存して変動するサイズを有することができる。 単離されたプロモーター含有DNA配列/フラグメントのさらなる応用として 、単離したプロモーターとおそらくプロモーターの機能を調節する配列とからな るより小さなフラグメントを得るために、これらの一次配列のサブ配列を作るの が有利であろう。一次プロモーター含有フラグメントは、例えば40〜600kbの範 囲のサイズを有することができるため、プロモーターとおそらくその調整に必要 とされる他の配列とからなるサブ配列は、50〜10,000塩基対の範囲内にあるサイ ズを有するのがより適切であろう。 この発明によれば、上記定義の工程(ii)において転位因子からなるDNAフ ラグメントが導入されている乳酸菌の細胞の集団は、ラクトコッカス種、ストレ プトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種 、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウ ム種から選択するのが好ましい。1つの特に好ましい具体例では、乳酸菌は、ラ クトコッカスラクチス亜種ラクチス種MG1614およびMG1363のようなラクトコ ツカス ラクチス亜種ラクチス(Lactoccus lactis snbspecies lactis)から選 択される。ここで定義したような遺伝子的に改良した乳酸菌の食品製造への工業 的使用の中で、乳酸菌スターター培養物の特異的発現型形質が表われるかもしく は失うか(turn on or switch off)、またはその形質の発現率が成熟工程を含 む製造工程の特定期間中に増強もしくは減少するように、細菌の機能を調節でき ることが有利であろう。例えば、チーズ製造においては、凝固工程中高度に蛋白 分解的もしくは脂肪分解的に活性ではないが、チーズの成熟中はそうである培養 物を使用することが望ましいであろう。 従って、1つの有利な具体例では、この方法は、単離されかつ選択 されたDNAフラグメント中に含まれたプロモーターが、調節可能なプロモータ ーである方法であろう。このような方法は、調節配列をおそらく含む単離プロモ ーター含有配列が、調節の様式でスクリーニングされる工程を含むものである。 この明細書において、調節可能なプロモーターは、pHおよび/または環境中の アルギニン含量、生育温度、熱ショック遺伝子の発現を引き出す温度シフト、イ オン強度/NaCl含量を含む増殖培地組成、およびプロモーターからなるDN A分子が導入されている乳酸菌の発育相/成長速度から選択される因子によって 調節することができる。プロモーターの調節の様式の1例は、緊縮調節の現象で あり、それによって、ある細胞のRNA合成が、その細胞がアミノ酸のような必 須栄養素を渇望する場合に中断されることが理解される。従って、この発明によ る適切な調節可能なプロモーターは、緊縮調節下にあるものである。 プロモーターを調節する有用な様式の他の例は、その前駆体から、プリンヌク レオチドの新規合成(de novo合成)に関連する酵素をコードする遺伝子を調節 するプロモーターを選択することである。プリン化合物の存在下で抑制されるこ とにより調節されるそのようなプロモーターを、発現が調節されるべき遺伝子の 前で乳酸菌中に挿入することにより、この遺伝子は、その細菌がプリン化合物前 駆体を含まない培地で生育するときのみ発現されるであろう。このような調節プ ロモーターの例は、以下に記載するようなラクトコッカルpurDプロモーターで ある。 プロモーター調節の様式をスクリーニングする1つの例として、遺伝子産物を コードする遺伝子に作動的に結合しており、その発現が容易に検出できるプロモ ーターが転位によって導入されている細胞を、 適切な培地上で培養し、このプレートを10〜30℃の範囲内の異なる温度のような 温度変化でインキュベートし、温度依存遺伝子発現を観察することにより、単離 プロモーターを、温度/発育相調節に関してスクリーニングすることができる。 しかしながら、組込み体細胞(integrants cells)の成長速度は生育温度に依存 するので、観察された明らかな温度依存発現が直接的な温度調節の結果であるの か、またはその依存が発育相調節によるのかどうかを決定することはできない。 同様に、遺伝子発現の可能なpHおよび/またはアルギニン依存調節を、上記 の組込み体細胞をその組込み体細胞培養物の増殖後にpH値が変動する結果とな る異なる組成を有する培地で培養することによってスクリーニングすることがで きる。その例として、細胞は、最終pHが約5である修飾GM17培地および通常 のグルコース含量の1/5を有し、0.5%アルギニンを補った修飾GM17培地で 生育することができる。上記のようなラクトコッカス ラクチス組込み体細胞の 培養物の増殖後のこのような培地のpHは、約9であろう。単離遺伝子の制御下 での遺伝子の発現が、2つのpH値の1つでのみ観察されるとき、pHおよび/ またはアルギニン依存調節が論証される。 この発明の1つの目的は、所望の遺伝子産物をコードする乳酸菌遺伝子の発現 を増強させるプロモーター含有配列を挿入することによって、改良した組換え乳 酸菌を構築する手段を提供することであるので、プロモーター配列の強さをスク リーニングすることは、この発明の1部である。このスクリーニングは、それ自 体公知の方法に従って行われる。 上記したように、さらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコ ードする乳酸菌遺伝子を含有する組換え乳酸菌の構築方法 に関し、その方法は、第1工程として、適当な場合に追加の調節配列を含む乳酸 菌プロモーターからなるDNA配列を上記方法に従って単離することからなって いる。この方法は、第2工程では、こうして単離したDNA配列を、所望の遺伝 子産物をコードする乳酸菌遺伝子の上流で乳酸菌に挿入することからなり、それ によって、挿入プロモーターとおそらく上記の調節配列が、所望の遺伝子産物を コードする遺伝子と作動的に結合されるようになる。 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、この発明によれば、相同遺伝子であ るか、または乳酸菌由来の遺伝子を含む挿入された異種遺伝子であろう。遺伝子 が挿入遺伝子のとき、プロモーター配列からなるものと同じDNA配列に挿入す ることができるか、または異なるDNA配列に挿入することができる。 1つの有用な具体例では、上記の単離プロモーター含有配列の挿入は、乳酸菌 の染色体に行うことができ、他の有用な具体例では、その配列は、染色体外的に 、例えばその細菌が保有するプラスミドに挿入することができる。上記したよう に、プロモーター含有配列を染色体に組込むのが有利であろう。これは、その配 列と染色体に作動的に結合される遺伝子が、染色体外成分の位置と比べてより安 定に含まれるからである。プロモーター含有配列の挿入は、それ自体公知の遺伝 子工学の方法、例えば、通常の制限および連結法によるプラスミドへの挿入、ま たはトランスホゾンもしくはバクテリオファージを用いるかまたは通常の組換え 技術による染色体への組込みに従って行われる。 1つの興味ある具体例によれば、単離したプロモーター含有配列は、さらなる 配列からなり、それによって、単離したプロモーターは、確立事象によって調節 されるようになる。このような調節は、例えば、 挿入したプロモーター含有配列の制御下で、徐々に減少する遺伝子活性を持たす のが有利な、乳酸培養に有用である。このようなさらなる配列は、例えば、プロ モーターまたはプロモーター機能に実際的に必要とされる物質をコードする遺伝 子を組換え除去させる配列であることができる。 プロモーター機能の確率調節は、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組 換え除去する形態でもあり、それによつて、徐々に増加するプロモーター活性を 、組換え細胞集団レベルで得ることができる。 上記のように、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、 その発現が、天然プロモーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現に比較し て変更されている、組換え乳酸菌を構築するさらなる方法を提供する。この方法 では、上記で定義されかつプロモータープローブ遺伝子を有する転位因子からな るDNA分子は、乳酸菌レプリコン(染色体またはプラスミド)における部位ま たは複数の部位を同定するのに利用され、そこでは、転位因子が組込まれ、プロ モーターレスプローブ遺伝子がレプリコンに存在するプロモーター配列に作動的 に結合されるようになり、次いで所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、その 部位もしくはそれらの部位、またはそれらに機能的に等価である部位もしくは複 数の部位で非組込み乳酸菌細胞に挿入され、それによってこの遺伝子が同定され たプロモーター配列に作動的に結合するようになる。 転位因子は2つの塩基対の間に挿入されるので、所望の遺伝子産物をコードす る遺伝子は、それらの2つの塩基対間に挿入する外に、同定プロモーター配列に 挿入遺伝子の転写を調節させる特異的な挿入(組込み)部位から距離を置いて位 置する近傍部位にも挿入すること ができることが理解されよう。この明細書で、このような近傍部位を機能的な等 価部位として言及する。このような機能的に等価な部位が見出される特異的なト ランスポゾン組込み部位からの距離は、1〜2000塩基対の範囲内であると考えら れる。 この発明によれば、上記定義の部位に挿入される所望の遺伝子産物をコードす る遺伝子は、乳酸菌由来の遺伝子を含む相同もしくは異種遺伝子である。 さらなる観点によれば、この発明は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と 、それらに作動的に結合された、その遺伝子とは天然では関連していない乳酸菌 プロモーターからなり、そのプロモーターの存在によって、その遺伝子の発現が 、その天然のプロモーターに作動的に結合されたときの遺伝子の発現と比較して 変化されている、組換え乳酸菌を提供する。 ここで使用されるとき、用語「変えられた発現(alteredexpression)」は、 遺伝子の発現の調節が、その天然のプロモーターに作動的に結合されたときの遺 伝子の調節とは量的または質的に異なることを示すために用いられる。量的に異 なる発現は、遺伝子産物の発現の増加レベル、例えば少なくとも10%増加した発 現として認識することができる。例えば、発現は、少なくとも25%、例えば少 なくとも50%まで増加されるのが有利である。ある具体例では、所望の遺伝子産 物をコードする遺伝子の発現が、天然のプロモーターの制御下にあるときの遺伝 子の発現より低い組換え乳酸菌を提供するのが有利である。従って、有用な組換 え細菌は、少なくとも10%減少、好ましくは少なくとも25%、またはより好まし くは少なくとも50%減少した発現レベルを有するであろう。 質的には、その天然のプロモーターが本質的なプロモーターである所望の遺伝 子産物をコードする遺伝子の発現は、それを調節可能なプロモーターに作動的に 結合することによって変えることができ、また天然の調節可能なプロモーターを 有する遺伝子の発現は、それを本質的なプロモーターに結合することによって変 えることができる。さらなる具体例では、天然の調節可能なプロモーターを有す る遺伝子の発現は、それを異なる様式の調節を有する調節可能なプロモーターに 結合することによって、質的に変えることができる。 1つの有用な具体例では、この発明は、上記で定義したような挿入された乳酸 プロモーターを含むDNA配列からなるものとして、組換え乳酸菌を提供し、そ の乳酸菌プロモーターは、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子に作動的に結合 されている。この発明による所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、染色体遺 伝子または染色体外に位置した遺伝子である。 ある好ましい具体例では、上記の所望の遺伝子産物をコードする遺伝子は、染 色体または特定の乳酸菌において天然に生じるプラスミド上の天然の位置に存在 する相同遺伝子としてこの明細書において定義される天然の遺伝子であるか、ま たは天然の位置から単離され、同じ乳酸菌菌株の他の位置に再挿入された相同遺 伝子である。さらに他の有用な具体例では、所望の遺伝子産物をコードする遺伝 子は、非乳酸菌種または他の乳酸菌種から単離される異種遺伝子である。 ある具体例においては、挿入プロモーターが調節可能なプロモーターであるの が好ましいけれども、他の有用な具体例では、また、挿入プロモーターが本質的 なプロモーターである組換え乳酸菌を提供するのが有利である。挿入される選択 プロモーターが調節可能なプロモ ーターであるとき、調節の様式は、確立事象による調節を含む、上記定義の要因 から選択することができる。 この発明による乳酸菌は、乳酸菌プロモーターからなる挿入DNA配列がプラ スミドに挿入されているものとして提供されるのが有利であろう。ある好ましい 具体例では、そのようなプラスミドは、さらに、ここで定義した所望の遺伝子産 物をコードする遺伝子、乳酸菌中で機能的である乳酸菌レプリコン、所望の遺伝 子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されてそのプラスミド が乳酸菌中に存在するとき遺伝子の転写が可能となるようにDNA配列を挿入さ せる挿入部位からなるものである。 プラスミドに挿入されるプロモーターは、ここで記載したように調節可能であ るプロモーターが好ましい。 これに関連して、適切な乳酸菌は、以下に記載されているプラスミドpAK80 またはpAK80:SB、pAK80:143、pAK80:162、pAK80:163、pA K80:170、pAK80:224およびpAK80:242を含むこれらの誘導体を保有す るものである。 興味深い具体例では、この発明により組換えられる乳酸菌は、条件的複製挙動 を有するプラスミド上に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を担持すること ができ、それによって、ある条件下でプラスミドコピー数は、例えば数百もしく は数千まで実質的に増加される。そのような複製挙動を有するプラスミドは、ラ ンナウエイプラスミドとも称される。 ここで定義した組換え乳酸菌は、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス、ラ クトコッカス ラクチス亜種ディアセチラクチス(diacetylactis)およびラク トコッカス ラクチス亜種クレモリス (cremoris)を含むラクトコッカス種、ストレプトコッカス サリバリウス(St reptococcus salivarius)亜種サーモフィラス(thermophilus)を含むストレプ トコッカス種、ラクトバシラス アシドフィラス(Lactobacillus acidophilus )、ラクトバシラス プランタルム(Lactobacillus plantarum)、ラクトバシ ラス デルブラキイ(Lactobacillus dclbruckii)亜種ブルガリクス(bulgaric us)、ラクトバシラス ヘルベティクス(Lactobacillus helveticus)を含むラ クトバシラス種、ロイコノストック オエノス(Leuconostoc oenos)を含むロ イコノストック種、ペデイオコッカス(Pediococcus)種、ブレビバクテリウム (Brevibacterium)種、プロピオニバクテリウム(Propionibacterium)種、お よびビフィドバクテリウム ビフィダム(Bifidobacterium bifidum)を含むビ フィドバクテリウム種から選択されるものであることができる。 好ましい具体例では、組換え乳酸菌は、ここで定義したような挿入プロモータ ー含有配列が、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスのようなラクトコッカス 種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオ コッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種、およびビフィ ドバクテリウム種から由来するものである。ある特別な具体例では、挿入プロモ ーターは、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株MG1614、MG1363また はCHCC285 (Chr.Hansens Laboratorium A/S)から単離することができる 。挿入するプロモーターは、PIおよびPIIプロモーターを含むtRNAおよびr RNAプロモーター、および以下に記載するようなラクトコッカス ラクチス亜 種ラクチスからのpurDプローターである。特に興味深いプロモーターは、保存 配列(モティーフ)AGTT からなるtRNAまたはrRNAプロモーターのような強力なプロモーターであ る。 この組換え乳酸菌は、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコ ードする遺伝子、ヌクレアーゼをコードする遺伝子、アミノペプチダーゼのよう なペプチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化 物代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝 子産物をコードする遺伝子、バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコ ードする遺伝子、リゾチームのような溶菌酵素またはファージ溶菌酵素をコード する遺伝子、およびナイシンを含むバクテリオシンをコードする遺伝子から選択 されるものであるのが好ましい。興味深い観点では、所望の遺伝子産物をコード する遺伝子は、その遺伝子産物がナイシンのようなバクテリオシン、またはペデ ィオシン(pediocin)に対する耐性を付与するものであろう。 所望の遺伝子産物をコードする上記遺伝子は、乳酸菌由来の遺伝子であるか、 またはそれらは、非乳酸菌微生物種または植物細胞およびヒトもしくは動物細胞 を含む真核細胞由来の遺伝子であるのが適切であろう。真核細胞由来の有用な遺 伝子の1つの例として、プラスミノーゲンが述べられるであろう。 この発明の1つの特に好ましい具体例では、遺伝子は、ロイコノストック種の lacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチダーゼ のようなペプチダーゼをコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝 子から選択される。 この発明によれば、ここで定義した組換え乳酸菌は、所望の遺伝子産物をコー ドする遺伝子が、レプリコンに存在するプロモーターの制 御下にあるレプリコンの部位に挿入され、その部位での遺伝子の挿入により、そ の遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合されるようになる ものであるのが適切であり、その部位は、プロモーターレス構造遺伝子からなる 転位因子を用いてプロモーターレス構造遺伝子を挿入し、それにより原プロモー ターレス遺伝子が、上記レプリコンに存在するプロモーターに作動的に結合され ることによって発現可能になることにより同定可能である。 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が挿入される部位は、転位因子の挿入に よって同定されるような2つの塩基対間の特定の部位に限定されず、転位因子の プロモーターレス遺伝子が作動的に結合するようになる乳酸菌プロモーターが、 挿入遺伝子の発現を制御することができる、この特定部位からの距離以内のいず れの部位であってもよい。この明細書において、特別に同定された部位からこの ような距離にある挿入部位を、機能的に等価な挿入部位と言及する。 この発明によれば、上記定義のような所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と ともに上記定義のようなプロモーターからなる配列が挿入された組換え乳酸菌も 提供される。 上述のように、なおさらなる観点によれば、この発明は、(i)乳酸菌中で機 能的である調節可能な乳酸菌プロモーターと、(ii)それらに作動的に結合され た所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、そのプロモーターが、遺伝子 と天然では関連がなく、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子に上で定義したよ うな変えられた発現を付与するものである、単離DNAフラグメントを提供する 。 このようなDNAフラグメントは、ここで定義した方法に従って単離すること ができる。1つの有用な具体例では、DNAフラグメント は、さらに少なくとも1つの転写ターミネーターを含むものである。このDNA フラグメントは、100〜10000塩基対の範囲の大きさ、例えば200〜5000塩基対の 範囲の大きさを有するフラグメントであるのが好ましい。この発明によれば、D NAフラグメントは、さらにプロモーターの調節に関連した遺伝子産物をコード する配列を含むものであってもよい。 有用な具体例では、DNAフラグメントは、所望の遺伝子産物をコードする遺 伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペプチダーゼをコードする遺伝子、プロ テアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代謝に関連した遺伝子産物をコードする 遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、バクテリオフ ァージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素をコードする遺 伝子、およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択されるものである。そ の遺伝子は、抗生物質または例えばナイシンもしくはペディオシンのようなバク テリオシンに対する耐性を付与する遺伝子産物をコードするものであってもよい 。 上記定義のようなDNAフラグメントは、乳酸菌由来の遺伝子を含む相同もし くは異種遺伝子である、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなっていても よい。従って、ある好ましい具体例では、遺伝子は、ロイコノストック種のlacL 遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチダーゼをコ ードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択されるものであ る。 DNAフラグメント中に含まれる乳酸菌プロモーターは、ここで述べたような あらゆる乳酸菌種から単離することができ、上記定義のような本質的なまたは調 節可能なプロモーターであることができる。こ の発明の特別な具体例では、プロモーターは、受託番号DSM7360として寄託さ れたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363組込み体クローンP139-170 に含まれる調節可能なプロモーター、および受託番号DSM7361として寄託され たラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614組込み体クローン63bに含ま れるプロモーターから選択される。 この発明によれば、組換え細菌は、調節可能な乳酸菌プロモーターからなる挿 入DNA配列が、所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子、細菌 中で機能的であるθ複製する乳酸菌レプリコン、所望の遺伝子産物をコードする 遺伝子がプロモーターに作動的に結合されて遺伝子が転写されるようにDNA配 列を挿入させる挿入部位からなるベクター中に挿入されているものであることが できる。1つの具体例では、そのような細菌は、挿入DNA配列が挿入されてい るベクターとして、プラスミドpAK80を含むであろう。 ここで提供される組換え乳酸菌は、乳製品、肉製品および野菜製品を含む食品 製造用のスターター培養物、および動物用飼料の保存に有用である。後者に関連 して、この組換え細菌は、サイロに貯蔵される農作物の接種物として特に興味深 いものである。細菌がこれらの目的に用いられるとき、それらは、例えば濃縮物 のグラム(g)当たり1010〜1012コロニー形成単位(CFUs)を含む、乾燥も しくは凍結細菌濃縮物の形態で便利に提供することができる。 ここで定義したような組換え乳酸菌の興味深い用途は、原生物的に(probioti cally)活性な組成物の製造におけるものである。用語「原生物的に活性」 と は、この目的のために選択される細菌が、胃腸管に コロニーを作ることができ、その結果この環境における微生物叢(microbial fl ora)に対する正の調節作用を発揮する特徴を有していることを示している。こ のような作用は、細菌が投与されるヒトもしくは動物における改良食品もしくは 飼料転換として、または侵入する病原性微生物に対する増加した耐性として認め ることができる。 さらに、この組換え乳酸菌は、抗原決定基をコードする1以上の遺伝子が挿入 される組換えワクチン菌株の製造に有用であることが予測される。 この発明による組換えプラスミドは、乳酸菌プロモーターが上記に定義したよ うな方法で調節可能なプロモーターであるものが好ましい。これに関連して、有 用なプラスミドは、プラスミドpAK80、またはpAK80:SB、pAK80:143 、pAK80:162、pAK80:163、pAK80:170、pAK80:224およびpAK80:2 42を含むこれらの誘導体から選択することができる。 この発明を、以下の実施例および図面でさらに例証する。 図1は、pTV32の地図である。以下の略語は、制限酵素部位SalIEcoRI、Pst I、XbaI、KnpIおよびSmaIを示している。Tn917はトランスポゾン部分を示し、 ermはエリスロマイシン耐性をコードする遺伝子を示し、blaはβ−ラクタマーゼ をコードする遺伝子を示し、ColEI repはColEIプラスミドの複製起点を示し、ca tはクロラムフェニコールに対する耐性を仲介するクロラムフェニコールアセチ ルトランスフェラーゼをコードする遺伝子を示し、lacZはイー.コリのプロモー ターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を示し、tetはテトラサイクリン耐性をコ ードする遺伝子を示し、pE194 Ts repはプラスミドpE194由来の温度感受性 の複製起点を示す。 図2は、pLTV1の地図である(略語は図1の記号参照)。 図3は、12の独立したエル.ラクチス亜種ラクチスTV32組込み体のサザンハ イブリダイゼーション分析(Southern hybridizationanalysls)を例証している 。各々のレーンの頂上に示されている組込み体からのDNAは、EcoRIで消化さ れ、アガロースゲルを通して電気泳動にかけられ、ナイロン膜に移され、かつA: 32Pで標識化されたpLTV1、B:32Pで標識化されたpE194レプリコン特異的プ ローブを用いてハイブリッド形成されたものである。サイズマーカーは、キロベ ースペアーで与えられている。 図4は、エル.ラクチス亜種ラクチスTV32組込み体からのSmal消化DNA のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を示している。組込み体番号は、レー ンの頂上に示されている。A:48.5kb、97.0kb、145.5kb等で下から始まるラムダラ ダー(lambda ladder)(Promega,Madison,USA)である。B:39.0kb、78.0kb、117k b等で下から始まるデルタ39ラムダラダー(Promega)である。Mは、エル.ラク チス亜種ラクチスMG1614からのSmaI消化DNAである。 図5は、優性のTV32組込み体からなるラクトコッカス ラクチス亜種ラク チスMG1614の培養物から採取された19のクローン(E1ーE19)のパルスフィール ドゲル電気泳動(PFGE)を例証している。A、BおよびMで示されているレーン は、上記図5で示されたとおりである。クローンE5の消化により、分離したバン ドとして明視化することができないフラグメントが得られた。 図6は、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614 TV32 組込み体のプールされた培養物からランダムに採取された18のクローン(K1-K2, K4-K14,K16-K20)のパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)を例証している。A 、BおよびMで示されているレーンは、上記図5で示されたとおりである。 図7は、プロモーター融合クローンコレクション番号1における調節されたIa cZ発現の調査のためのストリークパターンを示している。各々のクローンは、約 0.5cmの直線で、1μg/mlのエリスロマイシンおよびX-galの320μg/ml を含むプレート上にストリークされた。 図8は、実施6に記載したようなpAK67.7の構築を例証している。Pは、ロ イコノストック メセンテロイデス(Leuconostocmcsenteroides)亜種クレモリ ス(cremorjs)のβ−ガラクトシダーゼプロモーターを示し、rbsは、リボソー ム結合部位を示す。プライマーlac-1およびlac-2に相同の部位は、小さい矢印で 示されている。リボソーム結合部位は、pAK67.7にも存在している。 図9は、pH5.5および7.0で生育するLTV1組込み体170の成長とβ−ガラクト シダーゼ活性を例証している。 図10は、pH5.5および7.0で生育するLTV1組込み体SBの成長とβ−ガラクト シダーゼ活性を例証している。 図11は、2つのプロモーターと2つの推定の転写ターミネーターを含む単一 オペロン中に配列された7つのtRNA遺伝子と1つの5SrRNA遺伝子を含む ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株CHCC285からのDNAフラグメ ントを例証している。 図12は、trnAの遺伝子体制およびヌクレオチド配列を示している。'tmaの導 き出されたアミノ酸配列は、以下の1文字コードで示されて いる。停止コドンは星印で示されている。推定の−35および−10プロモータ ー配列(PI,PII)、−44領域における保存モティーフ(motif)および緊縮調 節に関連すると思われる保存配列(Chiaruttini&Milet,1993;Ogasawara et al.,1983)は、二重下線がひかれている。tRNA遺伝子およびrrfUの解読領 域は下線がひかれている。推定の転写ターミネーターは、配列の上の矢印で示さ れている。クローニングおよびプロモータークローニングに用いられるScaIおよ びSpeIの制限酵素部位の位置は、配列の上に示されている。 図13は、ラクトコッカス ラクチス及びラクトコッカス クレモリスからの tRNAおよびrRNAプロモーター配列の比較を示している。保存−44領域 、−35領域、ダブレットTG(文献19参照)、−10およびバシラス ズブ チリス(Bacillus subtilis)の緊縮応答中の発現の調節に関連すると示唆され ている保存配列(Ogasawara etal.,1983)は、下線がひかれている。A:trnA のPI; B:trnAのPII;C:ラクトコッカス クレモリスtRNAleu遺伝子 からのP21(van der Vossen etal.,1987;この研究);D:ラクトコツカス ラ クチスからのP2(Koivula et al.,1991);E:ラクトコッカス ラグチスオー カーサプレッサー遺伝子の前のプロモーター領域(F.Dickely &E.Bech Hansen, personal communication);F:ラクトコッカス ラクチスtRNAarg遺伝子か らのP10(Koivula et al.,1991;この研究);G:ラクトコッカス ラクチスrR NAオペロンのプロモーター(Chiaruttlni&Milet,1993) ;H:ラクトコッカ ス ラクチスrRNAオペロンからのP2(Beresford & Condon,1993);I :ラクトコッカス ラクチスアンバーサプレッサー遺伝子 の前の推定プロモ-ター(E.Johansen,未公開の結果);J:ラクトコッカス ラクチスからのP21(Koivula et al.,1991)。Con.は、整列された配列A〜Hに おける同一のヌクレオチドを示している。 図14は、逆方向に転写を開始する近接したプロモーターとともに全purDプロ モーター領域を含むラクトコッカス ラクチスからの846 bp DNAフラグメン トである。 図15は、調節された条件下での液体培地におけるpSMA344/MG-1363の発酵 槽成長中の、時間に対するOD600およびβ−ガラクトシダーゼ活性を例証して いる。 図16は、p170からの9.7 kbラクトコッカル(lactococcal)EcoRI-ClaIラ グメントおよび欠失誘導体の制限地図である。 図17は、p170の4.0 kbラクトコッカル(lactococcal) NdeI-ClaIフラグ メントおよび欠失誘導体の制限地図である。 図18は、乳酸菌染色体中への非複製プラスミドのキャンベル様組込み(Camp bell-like integration)を例証している。Pはプロモーターを示し、Ermはエリ スロマイシン耐性遺伝子を示している。リポーター遺伝子は、ロイコノストック メセンテロイデスからのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子であり、イー.コリレプ リコンは、pVA891からのpACYCレプリコンである。黒領域は、プラスミ ドと染色体の間のDNA相同の領域を例証し、矢印は、プロモーターPからの転 写の方向を示している。 実施例1ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614のpTV32およびpLTV1で の形質転換と、これらのプラスミドの複製の論証 乳酸菌種ストレプトコッカス フアェカリス(Streptococcusfaecalis)から のトランスポゾンTn917の誘導体を含むいくつかのベクター(pTVプラスミ ド)を、バシラス ズブチリスおよび他のグラム陽性細菌(文献10、55およ び57)に用いるために構築した。pTVプラスミドシリーズの2つの誘導体、 pTV32 (文献57)およびpLTV1 (文献55)を、このためおよび以下 の実験のために選択した。 pTV32 (15.6 kb)およびpLTV1 (20.6 kb)は、(i)プラスミドE19 4からの温度感受性レプリコン(pE194Ts-rep)、 (ii)そのプラスミドのレプ リコン部分上の、クロラムフェニコール耐性(Cmr)を付与するcat遺伝子(p TV32)またはテトラサイクリン耐性(Tcr)遺伝子(pLTV1)、 ((iii)エ リスロマイシン耐性(Emr)を付与するerm遺伝子を保有するTn917、および(i v)ermに近接する末端で非必須のTn917DNAに挿入されたバシラス ズブチ リスからのリボソーム結合部位を有するプロモーターレスイー.コリlacZ遺伝子 (図1および2)を含んでいる。pTV32およびpLTV1は、各々イー.コリ PY1173およびバシラス ズブチリスPY258から単離された。これらの菌株は 、ペンシルバニアの大学のP.Youngmanから得られた。 菌株NCDO 712のプロファージフリーで、プラスミドフリーで、ストレプト マイシンおよびリファンピシン耐性の誘導体であるラクトコッカス ラクチス亜 種ラクチスMG1614を、HoloおよびNessによって記載されたエレクトロポレーシ ョン法を用いて、pTV32またはpLTV1で形質転換し(文献20)、一次形 質転換細胞を、0.5M スクロース、2mM CaCl2(SGM17,Ca培地)および適当な選択抗生物質(エ リスロマイシンまたはクロラムフェニコール)が補われた0.5%グルコース(G M17培地)を含むM17培地(Sigma ChemicalCo.)にプレーティングし、30℃で インキュベートすることによって選択した。抗生物質は、シグマから購入し、以 下の濃度で用いられた:エリスロマイシン,1.0μg/ml;クロラムフェニコ ール,5.0μg/ml。 どちらのプラスミドでも、形質転換効率は、CmrまたはEmrに関して選択す るとき、DNAのμg当たり104〜5×104形質転換細胞であった。 選択した一次形質転換細胞コロニーを、5.0μg/mlのクロラムフェニコー ルが補われたGM17液体培地に移し、形質転換細胞を、多くの世代が10 〜 50の 範囲になるまで増殖させた。次いで、プラスミドDNAを、以下に示すような変 形を行い実質的にはBirnboimらによって記載された方法(文献6)に従って細胞 のアルカリ溶解を行うことによって、これらの形質転換細胞から抽出した。細胞 を、0.3のA600まで指数関数的に増殖させ、5mlの培養物を、4000×gで遠心 分離することによって採取した。ペレットを、TSバッファー(25%スクロース 、50mMトリス塩酸塩、pH8.0)で洗浄し、10mg/mlのリゾチームを含む0 .25mlS1溶液(5mMEDTA、50mM NaCl、25%スクロース、50mM トリス塩酸塩、pH8.0)中に再懸濁し、30℃で30分間インキュベートした。0 .5mlのS2溶液(0.2MNaOH、1%SDS)を静かに加え、懸濁液を5分 間氷上に保持した。次いで、0.4mlの3M酢酸ナトリウムpH4.8を加え、懸濁 液を5分間氷上に 保持した。懸濁液を10000×gで遠心分離した後、Birnboimら記載の方法(文献 6)に従ってプラスミドを上清から抽出した。 こうして抽出したプラスミドDNAの部分と各々イー.コリPY1173およびバ シラス ズブチリスPY258から単離されたプラスミドpTV32およびpLTV1 を、標準条件下で制限酵素EcoRI、 SalIおよびHindIIIでの処理に付した。次いで 、制限酵素で処理されたプラスミドDNAととともに、ラクトコッカス ラクチ ス亜種ラクチスMG1616、およびイー.コリPY1173およびバシラス ズブチリ スPY258から単離した未消化の抽出プラスミドDNAを、アガロースゲル電気 泳動分析に付した。制限酵素部位EcoRI、 SalIおよびHindIII と同様に形質転換 されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614から抽出されたpTV32 とpLTV1のサイズが、最初のプラスミドと比較して保持されていることがわ かった。上記プラスミド製造手順における回収レベルが100%であると想定する ことによって、形質転換されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614 における両プラスミドの平均コピー数は、HindIIIで消化された公知濃度の標準 ファージラムダ(phage lambda)DNAを用いて、アガロースゲル上での比較を 行うことによって、細胞当たり6〜12コピーであると評価された。従って、乳酸 菌が高い効率でpTV32およびpLTV1で形質転換されること、およびこれらのプ ラスミドが乳酸菌中で複製できることを、この実験から結論づけることができた 。 実施例2ラクトコッカス ラタチス亜種ラクチスおけるTn917転位の誘発、およびpT V−プラスミドのためのキュアリング ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614は、37℃を越える温度で、0. 5%グルコースを含むM17肉汁(broth)(SigmaChemicalCo.)中で増殖を終える 。pTV32またはpLTV1は、これらのプラスミドで形質転換されかつCm に関する選択下37℃で生育するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614 から抽出することができる。ビー.ズブチリスに関して行われた温度キュアリン グ手順は、ラクトコッカス菌株に用いることはできない。 しかしながら、pTV32DNAもpLTV1DNAも、Emrに関する選択で30 ℃で生育するラクトコッカス形質転換細胞からは抽出することができないことが 論証された。このことは、プラスミドの付随したロスをともなうTn917の染色 体への転位(組込み)を示した。 個々の培養物からの独立したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスTn917 組込み体の製造は、以下の手順に従って行われた。 実施例1に記載されたように作成された初代形質転換細胞を、エリスロマイシ ンを含むSGM17,Caアガーにプレーティングし、30℃で約40時間インキュベー トした。12の単一コロニーを、Emrを選択するM17肉汁培地で2回継代培養し た。単一のコロニーを得るために、各々の培養物を、エリスロマイシンを含むG M17アガー上に線状に塗り(ストリークし)、各々の培養物からの単一のコロニ ーを、一回再ストリークした。全てのインキュベーションは、30℃で行われた。 これらの推定独立組込み体が、フリー分子としてプラスミドを損失しており、 染色体に挿入されたTn917を有していることを証明するために、最初にpTV3 2で形質転換してEmrを選択する液体培地で2回 継代培養した12の独立したEmMG1614からのDNAに関して、サザンハイブ リダイゼーションを行った。単離物から、総DNA内容を、7000rpmで10分間の 遠心分離によって細胞を収集することにより、100mlの培養物から抽出した。細 胞を、TEバッファー(10mトリス塩酸塩、1mM EDTApH 7.5)で洗浄 し、収集した。ペレットを−20℃で凍結し、次いで3mlのSTETバッファー{8 w/v%スクロース、5v/v%トリトンX-100、50mM EDTA(pH 8.0)、5 0 mMトリス塩酸塩(pH8.0)}に溶解した。750μlのリゾチーム(10 mg/ml)を 加え、溶液を37℃で1時間インキュベートした。750μlの10%SDSを加え、37 ℃で0.5時間インキュートを続け、次いで65℃で0.5時間インキュベートした。2 mlのTEバッファーを加え、水溶液を、5 mlのフェノール:クロロホルム(1: 1)で3回抽出した。懸濁液に、1/10容量の5MNaClおよび1容量のイソプ ロパノールを加えた。溶液を、DNAが長い白色の糸として沈澱するまで非常に 注意深く混合した。DNAを接種針で傷つけ、エッペンドルフチューブに移し、 70%エタノールで3回洗浄した。DNAを、500mlのTEバッファーに溶解した 。 こうして調製された各々の単離物からのDNA1μgを、EcoRIで消化し、1.0 %アガロースゲルを通して電気泳動によって分離し、ハイボンド−N膜(Hybond -Nmembranes)(Amersham,UK)に移し、2つの32pでラベル化されたDNA プローブ、即ちpLTV1およびpE194レプリコンを含むpLTV1の4kb E coRIフラグメントを用いてハイブリッド形成に付した。4kbフラグメントを、 透析バッグ中への電気溶出によってアガロースゲルから単離した。プローブは、 [α−32P]dCTPで翻訳されたニック(nick)であった(Amersham,UK)。 制限酵素消化、電気泳動、DNA転移、ニックトランスレーションおよびハイブ リッド形成は、Maniatisらによって記載されたように行った(文献34)。 組込み体(integrant)クローンは、図3に例証されるような32pでラベル化 されたpLTV1および/またはpTVレプリコン特異的プローブでハイブリッ ド形成した。pTV32は15.6kbであり、プラスミドのレプリコン部分に位置する ユニークEcoRI部位を有している。pTV32のTn917部分は、8kbである。12 のTV32組込み体のうち8つから、単一のシグナルが、プローブとしてpLTV 1を用いて検出され(図3A)、一方pTVレプリコン特異的プローブではシグ ナルは見られなかった(図3B)。これらの8つの組込み体は、TV32が染色体 に転位し、pTV32が失われたとき予測されるように、EmおよびCmSであ った。残りの4つの組込み体(番号27、33および39)から、2つのシグナルが、プ ローブとしてpLTV1を用いて検出された(図3A)。同じ2つのバンドがレ プリコン特異的プローブとハイブリッド形成し、フリーに複製するpTV32にお いて予測されるサイズのシグナルは観察されなかった(図3B)。従って、これ らの4つの菌株は、トランスポゾンTV32とともに染色体に組込まれたpTV32 のレプリコン部分からのDNAを有している。4つの組込み体の各々において、 4つ全てがCmrであったので、レプリコン部分からのDNAは、cat遺伝子を含 んでいた。 実施例3ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614染色体へのTn917挿入の疑似 ランダムさの論証 Tn917がラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスにおける有効な突然変異誘 発手段として用いられるために、トランスポゾンの挿入は、ランダムであるべき である。転位ランダムさの分析は、実施例2に記載したような方法に従って作成 された61の独立したMG1614TV32組込み体の染色体SmaIフラグメント上のTV 32の物理的(physical)な位置の決定によって行われた。ゲノムDNAの作成およ びSmaI原位置(in situ)制限酵素消化は、Tanskanenらによって記載されたように 行われた(文献52)。これらの組込み体の中で、10個が、X-galの160μg/ mlが補われたGMアガーにプレーティングすることによって示されるように、 β−ガラクトシダーゼを発現した。 SmaI制限フラグメントを、モデルCHEF-DRII装置(Bio RadLaboratori es,Richmond,California)を用いてパルスフィールドゲル電気泳動(PFGE)によっ て分離した。ゲルは、0.5×TBE{89mMほう酸中の1×TBE、2mMED TAおよび89mMトリスほう酸塩(pH8.3)}中の1.5%アガロースゲルであっ た。電気泳動パラメーターは以下のようであった:1〜70秒間勾配したパルス時 間で175V、14℃20時間。ゲルを、0.5×TBE中のエチジウムブロマイド溶液(1 mg/ml)で30分間染色し、0.5×TBE中で4時間脱色し、UVトランスイルミ ネーター(transilluminator)を用いて写真に写した。 SmaIで消化したMG1614染色体は、45kbより大きい以下の10個のフラグメン トを生じた(図4、レーン3):600、310、280、200、 175、175、140、120、105および65kb。 TV32は、ユニークSmaI部位を含んで いる。従って、TV32の10個の大きいSmaIフラグメントのいずれかへの挿入は、 その挿入がフラグメントの末端近くに位置しないならば、パルスフィールドゲル 電気泳動(PFGE)で検出することができる。 61の組込み体のSmaIフラグメント上のTV32位置は、表1に与えられている。表1:染色体SmaIフラグメント上のTV32の物理的な位置に基づくグループに分 類されたランダムなラクトコッカス ラクチス亜種ラクMチスTV32組み込み体 a xはPFGEゲル上で検出することができないフラを示す b 名称がbで終わっているクローンは、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドル −β−D−ガラクトピラノシドを含むプレート上 で青色である。 c 二重組み込み体 d ND 検出されない SmaIフラグメント上のTV32の物理的位置に基づいて、61の組込 み体を38 のグループに分類することができた。図4は、表1に列挙されている各々のグル ープに相当する組込み体のPFGEを示している。 1つのグループ(30番)は4つの組込み体を含み、5つのグループ(3、8、10、16お よび29番)は3つの組込み体を含み、10のグループ(2、4、 6、 9、 12、 15、 18、 120、 28および33番)は2つの組込み体を含んでいた。しかしながら、同 じ組込み体グループのメンバーは、必ずしもフラグメントの同じ位置にTV32を 有していない。フラグメント上の対称的に位置した挿入は、PFGEゲル上で区別が つかず、分析の限界は、フラグメントの長さに依存して2〜10kbまで変化する。 600、 310、 200、 175、 140および120kb染色体SmaIフラグメントは、全て TV32によって標的にされた(表1および図4)。明らかに、どの組込み体も、 280、105および65kbフラグメントにおける挿入物を有していなかった。しかし、 組込み体46におけるTV32が、サイズで45 kbより大きいフラグメントの末端あ るいは65 kbより小さいフラグメントのいずれかの位置において存在したかどう か、PFGEデータから立証することはできなかった。組込み体19は、二重挿入を含 んでいた(図4)。2つのTV32コピーが、各々200 kbお よび600kbフラグメントに保有されている。これらの二重挿入は、この研究にお ける挿入事象の総数を62にする。 ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス染色体における62のTV32の挿入は、 染色体にそって一様に配置されなかった。このことは、カイ二乗検定によって示 され、それによって、SmaIフラグメントへの挿入の確立がフラグメントの長さに のみ依存するかどうか試験された(表2)。 表2は、フラグメントへの挿入の確立がフラグメントの長さにのみ依存すると 仮定して予測される組込み体の数とともに、各々のフラグメントにおいて得られ た組込み体の数を示している。カイ二乗検定は、この仮定を試験するために用い られた。カイ二乗検定は、得られる挿入が、染色体上に絶対的にランダムに分配 されないことを示した(P<0.005)。この不均一への主な貢献は、600kbフラグ メントへの挿入物の2.5倍の過度の代表(2.5-fold overrepresentation)と280k bフラグメントへの挿入物の欠如から生じた。600kbフラグメントへの37の挿入物 は、同じ位置でのわずか3つの挿入物を含めて少なくとも21の異なる位置に配置 された。これらの結果は、上記過度の代表が、単一の優性ホットスポットによる ものではないことを示している。280kbフラグメントは、TV32挿入物に対して 全く不応ではない。それは、このような組込み体が、平行実験において得られた からである。従って、この明細書では、ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス 菌株MG1614において得られるようなTV32挿入物分配パターンを、疑似ランダ ムと称す。 以下の要因が観察された挿入物の不均一分配に貢献しているであろう:(1) 染色体の複製起点近くのフラグメントが、末端近くのフラ グメントより高いコピー数を有している;(2)必須遺伝子が、不均一に分配さ れている;(3)Tn917が、特別な特徴を有する領域に優先的に挿入されるよ うになった。表2染色体のラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスSmaIフラグメントにおける TV32の配分 a)染色体SmaIフラグメントのトータルサイズは、2500kbであった。 b)観察された挿入の総数は、62であった。 c)挿入の確立つは、染色体サイズに対するフラグメントサイズに等しいと仮定 された。予測さえる挿入の総数は、62.1であった。 d)値は、位下のようにして計算された:(観察された挿入の数−予測された挿 入の数 2/予測された挿入の数。カイ二乗検定は、各核々のクラスの予測された 数が5を越えるかまたは5に等しいことが必要である;従って、205kbより小さ いフラグメントにおける挿入は、1として処理された。総カイ二乗値は、49.5で あった。自由度5を有するカイ二乗検定において、16.7を越える確立は、仮設が 正しいならば0.005(0.5%)である。 e)菌株MG1614は、PEGEゲル上で区別することができない2つの175kbフラ グメントを有していた。従ってこれらのフラグメントへの挿入は、1クラスとし て処理された。 ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614染色体へのTV32挿入物のや や不均一な分配にもかかわらず、Tn917誘導体は、乳酸菌の遺伝学的分析の非 常に有用な手段であると結論づけられた。それは、上述のものに加えて多くの数 の挿入部位を、これらのトランスポゾン誘導体で見いだすことができることが、 さらなる実験においてわかったからである。 63bで示される上記ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614クローン は、DSM-Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg lb,D-38124 Braun schweig,Germanyに、受託番号DSM7361として、1992年12月21日に寄託された 。 実施例4ラクトコッカス ラクチスにおける1コレクシヨンのTn917挿入物の製造 ラクトコッカス ラクチスにおける1コレクシヨンのTn917挿入物を製造す るために、以下の手順が行われた。 pTV32含有のラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス菌株MG1614の単一コ ロニーを、GM17培地に接種し、Cmrに関する選択で8〜10世代まで増殖さ せた。これらの細胞の1パーセントを、Emrに関する選択を有するGM17培地 で8〜10世代まで増殖させた。温度を30℃に維持した。得られた細胞を、Emr に関する選択を有するGM17寒天平板上にプレーティングした。19のコロニーを ランダムに選択し、アガロースブロックでのゲノムDNAのin situにおける作 成および消化を、実施例3に記載したように行った。図5および表3は、18 ( 1クローンの消化は、分離したバンドとして明視化することができるフラグメン トを生じた)のクローンのうち12が、染色体の同じ位置に挿入されたトランスポ ゾンを有しており、このことは、その培養物が、単一の組込み体によって優先的 に占められたことを示している。表3 優性組込み体を含む培養物からのラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス MG1614YV32組込み体 a)は、PFGEゲル上で検出することができないフラグメントを示す。 b)二重組込み体 培養物における優性組込み体を回避するために、以下の手順が選択された。 菌株MG1614を実施例1に記載したようにpTV32で形質転換した。形質転換 細胞を1μg/mlのエリスロマイシンを含むSGM17寒天平板にプレーティン グした。30℃で48時間インキュベートした後、 各々およそ100コロニーを含む20のプレートを、Emrに関する選択を有するG M17寒天のプレート上に再プレーテイングした。複製(replicated)プレートを、 30℃で30時間インキュベートした。複製工程を繰返し、コロニーを洗浄してプー ルした。プールした培養物から、18の組込み体がランダムに選択され、上記のよ うにPFGEによって分析された。染色体SmaIフラグメント上のTn917挿入物 の位置に基づいて、18の組込み体を13のグループに分類し、そのどれもが、2よ り多い挿入物を含んでいなかった(図6および表4)。従って、プールされた培 養物は、菌株MG1614中に1コレクシヨンのトランスポゾンTV32−挿入物を疑 似ランダムに含んでいたと結論づけられた。表4 疑以ランダムなTV32挿入物を含む培養物からのラクトコッカス ラクチ ス亜種ラクチスMG1614TV32組込み体 a)は、PFGEゲル上で検出することができないフラグメントを示す。 滅菌したグリセロールを、25%までの濃度でプールした培養物に加え、この混 合物を−80℃で保存した。 ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363に1コレクション の疑似ランダムなLTV1挿入物を含むプールされた培養物を、本質的に上記の ようにして作成した。しかしながら、コロニーを洗浄してプールする前に、以下 のことが行われた。 320μg/mlのX-galを第2の複製に使用したプレートに加えた。種々の 青色強度を有する242のコロニーが、第2の複製プレート上で見られた。対照的 に、これらのコロニーの5%より少ないものが、48時間より長くインキュベート された40μg/mlのX-galを含むGM17寒天平板上で青色であった。(X- galの40μg/mlは、イー.コリにおけるlacZ発現を同定するための標準 濃度である。)320μg/mlのX-galを含むプレート上に現れる242の青色コロ ニーの各々を、1μg/mlのエリスロマイシンと320μg/mlのX-galを含 むGM17上で単一コロニーを得るために再ストリークし、次いで同じ培地で一回 再ストリークした。これらの継代培養物の各々からの単一コロニーを、1μg/ mlのエリスロマイシンが補われたGM17液体培地に接種し、30℃で一晩インキ ュベートし、滅菌したグリセロールを−80℃で保存するためにこれらの継代培養 物の各々に25%の濃度で加えた。これらの242のコロニーを、以下プロモーター 融合コレクシヨンナンバー1(PFC-1)と称す。 名称P139-170を有するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363 PF C-1クローンの1つは、DSM-Deutsche Sammlung vonMikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg lb,D-38124 Braunschweig,Germanyに、 受託番号DSM 7360として、1992年12月21日に寄託された。 実施例5ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス染色体からの調節可能なプロモーターの 同定およびクローニング 実施例4に記載されたように作成されたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチ スMG1363染色体における疑似ランダムなTn917挿入物のコレクション(PFC-1) を、この実験に用いた。この実験は、これらのフラグメントにおける調節可能な プローターの存在のスクリーニングとして設計された。温度/発育相調節1acZ発現 PFC-1からの各々のクローンを、1μg/mlのエリスロマイシンと320μ g/mlのX-galを含む2セットのGM17プレート上にストリークした。ストリ ークパターンを図7に示す。1セットのプレート上に、クローンをストリークし 、15℃で1日インキュベートした。第2セットのプレート上に、クローンをスト リークし、30℃で4日インキュベートした。5日めに、両セットのプレトートを 検査した。3つの主要なタイプの1acZ発現が、 PFC-1クローンにおいて観察さ れた: (i)30℃で高い1acZ発現を示し(暗い青色ストリーク)、15℃で低い1acZ発 現を示すかまたは1acZ発現を示さない(うすい青色もしくは白色ストリーク) タイプ1T、 (ii) 2つの温度で同程度の1acZ発現を示すタイプ2T、 (iii)30℃で低い1acZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さず、15℃で高い1acZ 発現を示すタイプ3T。 試験された全242クローンのうち、23がITタイプであり、215が2-Tタイプ であり、4クローンが3Tタイプであった。15℃で延長された成長期のために、 調節されたlacZ発現が、発育相/発育速度お よび/または温度の作用であるかどうか決定することはできない。アルギニン/pH調節lacZ発現 PFC-1の各々のクローンを、上記と同じストリークパターンを用いて、0.1 %のグルコース、0.5%のアルギニン、1μg/mlのエリスロマイシンおよび3 20μg/mlのX-galを含む1セットのM17プレート上、および1μg/mlの エリスロマイシンと320μg/mlのX-galを含む1セットのGM17プレート上 にストリークした。両セットのプレートを、30℃で約30時間インキュベートした 。3つの主要なタイプの1acZ発現が、インキュベートしたプレート上で観察さ れた: (i)アルギニンが補われていないプレート上で高いlacZ発現を示し、アルギ ニンが補われているプレート上で低いlacZ発現を示すかまたは1acZ発現を示さ ないタイプ1A、 (ii)アルギニンの補足にかかわらず、同様の1acZ発現を示すタイプ2A、 (iii)アルギニンのないプレート上で低い1acZ発現を示すかまたは1acZ発現を 示さず、アルギニンが補われているプレート上で高いlacZ発現を示すタイプ3 A。 試験された242クローンのうち、21が1Aタイプであり、219が2Aタイプであ り、2クローンが3Aタイプであった。滅菌したGM17のpHは、約6.8である 。ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスが接種されかつ一晩インキュベートさ れたGM17培地のpHは、約5.0である。しかしながら、ラクトコッカス ラク チス亜種ラクチスが接種されかつ一晩増殖させた、0.1%グルコースと0.5%アル ギニンが補われているM17のpHは、9.0を越えている。従って、観察された 調節lacZ発現は、培地のアルギニン濃度および/またはpHの作用である。 lacZ発現のNaCl/イオン強度調節 PFC-1コレクシヨンの各々のクローンを、上記と同じストリークパターン を用いて、1μg/mlのエリスロマイシン、320μg/mlのX-galおよび2 %のNaClが補われている1セットのGM17プレート上、およびNaClのない同 じ培地を含む1セットのプレート上にストリークした。両セットのプレートを、 30℃で約30時間インキュベートした。2つの主要なタイプのlacZ発現が観察さ れた: (i)NaClのないプレート上で高いlacZ発現を示し、NaClが補われている プレート上で低いlacZ発現を示すかまたはlacZ発現を示さないタイプIS、 (ii)両タイプのプレートで同様のlacZ発現を示すタイプ2S。 試験された242クローンのうち、87がISタイプであり、155が2Sタイプであ った。 PFC-1からのクローンが調節されたlacZ発現を有することが示されたとき 、ラクトコッカス染色体上の挿入点または挿入範囲は、挿入遺伝子がラクトコッ カスにおいて調節可能に発現される場所であると定義される。例えば、PFC- 1のP139-170と称するクローンは、タイプ3T、タイプ1Aおよびタイプ2S であり、lacZ遺伝子が、挿入遺伝子の発現が30℃かつアルギニンが補われてい るM17プレート上で部分的にまたは全体的に抑制される部位に存在していること を示している。しかしながら、この部位での遺伝子の発現は、GM17プレート上 15℃で高い。GM17プレー卜上での遺伝子発現レベルは、試験されたNaCl濃度 によって影響を受けない。P139-170クローンの調節可能なlacZ発現の生理学的研究 P139-170は、タイプ1Aであることが示された。このクローンにおけるlacZ 発現のpH依存を研究するために、以下の実験を行った。 各々1μg/mlのエリスロマイシンが補われている1リットルのGM17培地 を含む6つの発酵槽を、30℃で操作するためにセットした。 二倍(duplicate)の発酵槽を、5M硫酸または5M水酸化ナトリウムを用いて 、各々pH5.5、6.5および7.5で操作するためにセットした。二倍の発酵槽のう ちの一つに、H25A (染色体上にLTV1挿入物を含み、添加するアルギニン もしくはNaClにかかわらずGM17寒天上でβ−ガラクトシダーゼを発現するこ とができる菌株MG1614)の1%オーバーナイト培養物を接種し、二倍発酵槽の 他方に、P139-170の1%オーバーナイト培養物を接種した。 発酵槽でクローンを増殖させ、OD600を測定し、GM17プレート+/−1μ g/mlエリスロマイシン上にプレーティングした。成長曲線{log(OD600) 対時間}は、6つの発酵槽の全てのクローンでほとんど同じであった。2.0のO D600で、各々の発酵槽からの40mlの培養物を、10倍濃縮し、フレンチプレスで 2回処理した。溶解させた溶液を、Miller,1972,Experiments in Molecula r Genetics,ColdSpring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,N. Y.によって記載されたβ−ガラクトシダーゼ活性測定手順に付した。残念なが ら、β−ガラクトシダーゼ活性を失うことなく溶液を保存する手順は、失敗した 。従って、β−ガラクトシダーゼ活性測定において着色を目で見る検査からの結 果のみ得ることができた。 この実験に基づいて、P139-170におけるlacZ発現は、増殖培地のpHの作用 であると結論づけられた。しかしながら、培地のアルギニン濃度も、プロモータ ー機能に対する調節作用を有するかもしれないことを、除外することはできない 。 調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現が同定された選択組込み体PFC-1ク ローンから、erm(またはlacZ)近位末端に近接するDNAを、以下の手順を用 いてクローン化した: 実施例2に記載の方法に従って、総DNAをクローンから抽出した。約1μg DNAを50単位のEcoRIで消化し、37℃で2時間インキュベートした。フェノー ルおよびクロロホルム抽出と、50単位のリガーゼを含む連鎖反応用バッフアーで の連鎖反応を、Maniatis(文献34)によって記載されたように行った。DN Aを、3容量の氷冷エタノールと1/10容量の酢酸ナトリウムを加えることによ って沈澱させ、10000Xgで30分間遠心分離した。DNAを、20μlのTE{1m MEDTA,10mMトリス塩酸塩(pH8.0)}中に再懸濁した。10μlの結合 したDNA溶液を、イー.コリDH5aにおける、文献17に記載されているよ うなCaCl2形質転換に用いた{F-,endA1,hsdR17 (rk-,mk +),supE44,thi-1,lac△U169,recA1,gyrA96,relA1,φ80dlacZ△M1 5)}。DNAμg当たり約1.5×103形質転換細胞が観察された。 実施例6乳酸菌用のプロモータープローブベタターの 構築 遺伝子を表現する条件を分析し、かつ発現のレベルを測定する有用な手段は、 プロモータープローブである。ラクトコッカスについて、クロラムフェニコール アセチルトランスフェラーゼに基づき、かつpWV01レプリコンによって動因( driven)されるpGKV210プロモータープローブベクターが構築された(van d er Vossen et al.,1985)。 残念ながら、このベクターは、プロモーターがその中にクローン化されたとき、 わずかに増強されたクロラムフェニコール耐性を与えるだけである(van der V ossen et al.,1987)。cat-86遺伝子を含むmRNAの翻訳は、クロラムフェニ コールによって活性化され(Alexievaet al.,1988)、測定した酵素のレベルは 、2つの因子、即ちプロモーター強度と活性化効率に依存する。また、pWV01 レプリコンは、ローリングサークル複製によって複製し、従って、サイズ依存分 離不安定性(size-dependent segregational instability)(Kiewiet et al., 1993)に影響されやすい。 ラクトコッカスおよび他の乳酸菌用のプロモータープローブベクターを、ロイ コノストック メセンテロイデス亜種クレモリス、ラクトコッカス ラクチス亜 種ラクチス次亜種ジアセチルアクティス(diacetylactis)クエン酸プラスミド レプリコンおよびエリスロマイ シン耐性マーカーに基づいて、構築した。このベクターを、pAK80と命名する 。CHCC285のtma遺伝子に近接するtRNAクラスター用のプロモーターのク ローニングは、このベクターが機能することを示した。得られた構築物pAK90 は、MG1363中で非常に高レベルのβ−ガラクトシダーゼを産生する。 ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスからのβ−ガラクトシダ ーゼ遺伝子をクローン化し、それが、ロイコノストックラクチスからのβ−ガラ クトシダーゼ遺伝子にほとんど同一であることが見い出された(David et al., 1992)。両遺伝子は、エシエリヒア コリおよびラクトコッカス ラクチス菌株 MG1363において発現することが示された。β−ガラクトシダーゼ遺伝子のプロ モーターを、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)によって除去し、ポリリンカーで 置換した。これは、種々のDNAフラグメントのクローニングと、プロモーター 活性の試験を可能にする。この構築物を、ラクトコッカスラクチス亜種ラクチス 次亜種ジアセチルアクティスクエン酸プラスミドレプリコン、イー.コリのpA CYC184レプリコンおよび両微生物の選択マーカー(エリスロマイシン耐性) を含むシャトルベクター中にクローン化した。ポリリンカー中へのtRNAプロ モーターのクローニングは、MG1363において高レベルのβ−ガラクトシダーゼ を与えた。このことは、そのベクターが計画したように作用することを証明して いる。A材料および方法 1.細菌菌株、プラスミドおよび培地 プラスミドフリーのラクトコッカス ラクチス菌株(Gasson,1983)、エシエ リヒア コリDH5a(supE44 lac△U169 hsdR17 recA1 endA1 gyrA96 thi-1 rclA1 φ80 lacZ△M15)(Hanahan,1983)を、クロ ーニングに使用した。 使用したクローニングベクターおよび関連するマーカーは: pVA891 (エリスロマイシン耐性;Em)(Macrina et al., 1983)、お よびpIC19H(アンピシリン耐性;Amp)(Msrsh et al., 1983)。プ ロモータープローブベクターの構築の間に構築された種々のプラスミドは、以下 に記載されている。 ラクトコッカス菌株を、GM17培地で30℃で増殖させた。イー.コリ菌株は、 LB培地で37℃で増殖させた。抗生物質を以下の濃度で使用した。イー.コリに 対して;エリスロマイシン250μg/ml;およびアンピシリン50μg/ml; ラクトコッカスに対して;エリスロマイシン1μg/ml。2.プラスミドの作成と形質 転換 配列決定およびエレクトロポレーション用のプラスミドDNAを、キアゲンプ ラスミドキット(Qiagen plasmid kit)(Diagen,Dusseldorf,Germany)を 用いて作成した。 ラクトコッカスからの小スケールのプラスミド作成は、本質的にIsraelsen ら、1993に従って行われた。 プラスミドを、本質的にHoloおよびNes,1989に従って、グリシンによって生 育する感応細胞のエレクトロポレーションによってMG1363 中に導入した。3.β−ガラクトシダーゼ分析 プロモーター活性を、G1.5M17 培地で生育するオーバーナイト培養物に関す るβ−ガラクトシダーゼ分析を行うことによって決定した。 1ml の培養物を、10000×gで10分間遠心分離した。ペレットを、500μlのZ バッファー(Miller,1972)中に再懸濁した。ボルテックスミキサーを用いて、 100μlの細胞懸濁液を、400μlのZバッファー、12.5 μlの0.1%SDSおよ び25 μlのCHClと10秒間混合した。ボルテックスにより混合した後、懸 濁液を実施例7に記載したように処理した。結果を表7に示す。 分析結果は、ミラー単位(Miller units)で示されている。1ミラー単位= (1000×A420)/(時間×容量×A600)(時間は分で、容量はmlである。)B.pAK66の構築 クエン酸プラスミドの全複製領域の増幅をする2つのPCRプライマーを得た 。これらは、以下の配列を有している: プライマー1は、ヌクレオチド610−621に対応し、プライマー4は、クエン酸 プラスミド複製領域のヌクレオチド2340−2361に相補的である(Jahns et al., 1991)。両方ともが、クローニングを促進するために、その5’末端にEcoRI 部位を含んでいる。1.7 kbの増幅産物を、pIC19H中にEcoRIフラグメント としてクローン化し、pKR41を製造した。次いで、このEcoRIフラグメント を、pVA891のユニークEcoRI部位中に移動させて、イー.コリ及びエル. ラクチスMG1363中で複製するシャトルベクターpAK66を製造した。pKR41 の構築は、発表するために提出された原稿に記載されている(Pedersen et al., 1993)。C.ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガラクトシダー ゼ遺伝子のクローニング ロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリス菌株DB1165からIS11 65をクローニングしかつ配列決定する過程中に、pSB1と称するクローンを得 た(JohansenおよびKibenich,1992)。このクローンは、pIC19Hのポリリ ンカー中に5.8 kbの挿入物を含んでいた。通常、pIC19Hにおけるクローニン グは、β−ガラクトシダーゼ活性を破壊し、挿入物を有するコロニーは、X-gal 上で白色である。pSB1は、X-gal上で青色のコロニーを与えた点で予想外で あった。DNA配列分析は、pSB1における挿入物がロイコノストック メセ ンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含んでいること、 およびそれがロイコノストック ラクチスのものとほとんど同一であること(D avid et al.,1992)を示した。3つの違いのみが、配列決定された830 bpにおい て検出された。 D.B.pAK67.7の構築 この構築は、ポリリンカーでのβ−ガラクトシダーゼプロモーターの置換と、 全3つの前進読み枠(forward reading frames)における停止コドンの挿入を含 むもので、図8に例証されている。プロモーターを、2つのプライマーを用いて PCRによって除去した: lac-1の下線部分は、β−ガラクトシダーゼ遺伝子の始めと同一であり、リボ ソーム結合部位を含んでいる。残りの配列は、BglIIを含む種々の制限部位を含 んでいる。lac-2プライマーは、ユニークNcoI 部位の20bp下流のβ−ガラクト シダーゼ遺伝子にアニールする。これ らのプライマーを用いてのPCR増幅は、リボソーム結合部位からNcoI 部位を 越えるまで増幅し、1末端にいくつかの制限部位を、他の末端にNcoI 部位を含 み、かつβ−ガラクトシダーゼ遺伝子からのプロモーターまたは他の調節配列を 含まない360 bpフラグメントを産生するであろう。この360 bpフラグメントを精 製し、BglIIおよびNcoIで消化し、BglII /NcoI消化pSB1中にクローン 化した。得られたプラスミドを、pAK67と命名した。このプラスミドは、β− ガラクトシダーゼ遺伝子に先行する以下のポリリンカーを有している: DNA配列分析は、このポリリンカーが存在すること、およびPC R中のエ ラーによる変更がβ−ガラクトシダーゼ遺伝子中に導入されなかったことを示し た。 上記からみることができるように、ポリリンカーを横切ってβ−ガラクトシダ ーゼ遺伝子中にいく、2つのオープンリーディングフレームがある。これらは、 ポリリンカーに挿入されたプロモーターからのβ−ガラクトシダーゼの発現を潜 在的に干渉するので、全3つの前進 読み枠に停止コドンを導入することを決心した。これは、以下の配列を有する2 つのオリゴヌクレオチドを得ることによってなされた: これらのオリゴヌクレオチドは、相補的であり、XbaI 制限部位を含む一組の 12 bpの二本鎖DNAを得るためにアニールするであろう。この小さいフラグメ ントをpAK67のSmaI 部位にクローン化した。これらのオリゴヌクレオチドを 、SmaI 部位が保持され、新しいXbaI 部位がこの小さな挿入物を含むプラスミ ドに存在し、かつ停止コドンが2つのオープンリーディングフレーム中に導入さ れるような方法で消化した。クローニングは、pAK67をSmaI で消化し、フォ スファターゼ処理し、キナーゼで処理されかつ互いにアニールさせる2つのオリ ゴヌクレオチドの混合物と結合させることによって、行われた。形質転換細胞を 精製し、プラスミドがXbaI 部位を獲得したものについて、さらに分析を行った 。DNA配列分析は、1つのクローン、pAK67.7が所望の構造を有しているこ とを示した: E.pAK80 の構築 プロモータープローブベクターの作成における最終工程は、操作したβ−ガラ クトシダーゼ遺伝子をラクトコッカスのレプリコンおよび選択マーカーと結合さ せることであった。これは、pAK67.7をHindIIIおよびSalI で消化し、pA K66 中に結合させ、またHindIIIおよびSalI で消化することによって達成さ れた。産生されたプラスミドの中で、pAK80 は、まさに最初に設計されたプ ロモータープローブベクターであった。 ラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363 によって保有されているプ ラスミドpAK80 は、DSM-Deutsche Sammlung vonMikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig,Ger manyに、受託番号DSM 8496として、1993年 8 月 27 日に寄託された。F.調節可能なtRNAプロモーターを用いるpAK80 の試験 CHCC285のtma 遺伝子に近接するラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス からのDNAフラグメントを単離し、それが、2つの潜在的なプロモーター(PI 、ヌクレオチド107−134 ;PII、ヌクレオチド215−242)からなるプロモーター 領域(図11および12)によって先行されるtRNA遺伝子のクラスターを含 んでいることを見い出した。クローンpLN39から単離された501 bp HindlII −Scal フラグメント上に含まれているPIおよびPIIプロモーターは、それを、 プロモーターレスロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリスのβ−ガ ラクトシダーゼ遺伝子の前で、HindIII およびSmaI で消化ざれたpAK80 中 に挿入することによってクローン化された。リゲーション後、MG1363 を電気 さく孔(electroporated)し、細胞を、エ リスロマイシンとX-gal を含む再生培地(HoloおよびNes,1989)上にプレー ティングした。全部で7つの青色コロニーが得られた。プラスミド分析は、7つ 全てが同一のプラスミドを有すること、および各々がpAK80 中に所望の挿入 物含んでいることを示した。1つのプラスミドを単離し、pAK90 と称した。 β−ガラクトシダーゼ分析は、MG1363 /pAK90 が5000 ミラー単位の酵素 を産生し、一方MG1363 /pAK80 が1ミラー単位の酵素を産生することを示 した。従って、tRNA遺伝子に先行する領域は、非常に強いプロモーターを含 んでいる。 上記プロモーター領域の配列に類似する配列の検索(図13)は、先に記載さ れていない保存配列(モティーフ)、AGTTを含むラクトコッカス種からのr RNAオペロンおよびtRNAオペロンに先行するプロモーターの共通配列を示 した。この配列は、−35領域の5bp上流で終わり、エシエリヒア コリまたはバ シラス ズブチリスのtRNAおよびrRNAプロモーターに保存されない。こ のAGTTモティーフが潜在的なrRNAまたはtRNAプロモーターに先行す ることが見いだされた全ラクトコッカス種において、これらのプロモーターはす べて、そのプロモーターがクロラムフェニコールアセチルトランスフエラーゼを コードするcat-86遺伝子の前に挿入されたプラスミドから単離された。この酵素 は、ラクトコッカス ラクチスにおいて不十分に発現されるので、クロラムフェ ニコールに対する耐性は、cat-86遺伝子の前に強力なプロモーターをクローニン グすることによって、この生物において得ることができるだけである。従って、 このモティーフAGTTがラクトコッカス ラクチスの強力なプロモーターにお いてのみ見られることは明白である。 上記プロモーターPIおよびPIIの両方は、おそらく緊縮調節に関 連する保存 配列を含み(図13)、従って、これらのプロモーターは、調節可能なプロモー ターであると思われる。 pLN39からの1.0 kb HindIII−EcoRIフラグメントを、HindIIIおよびE coRI で消化されたプラスミドpCI3340中に挿入し、得られたプラスミドpL N40を、ラクトコッカス ラクチスMG1363 中に導入した。pLN40/MG136 3 は、DSM-Deutsche Sammlung vonMikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124 Braunschweig,Germanyに、受託番 号DSM 8858として、1993年12月22日に寄託された。G.結論 この実施例は、ラクトコッカスとおそらく他の乳酸菌用の新規なプロモーター プローブベクターの構築を記載している。このベクターは、先に記載したベクタ ーに対していくつかの利点を有している。それは、ラクトコッカス ラクチス亜 種ラクチス次亜種ジアセチルアクティスクエン酸プラスミドレプリコン、θ複製 プラスミドに基づき、より安定なことである。選択したリポーター遺伝子は、ポ スト転写調節を受けないので、いずれかの誘導物質の存在なしで酵素レベルを測 定することはできない。このことは、クロラムフェニコールが実際にmRNAの 翻訳を活性化するcat-86遺伝子に基づくプラスミドとは対照的である(Alexiev a et al.,1988)。リポーター遺伝子についての酵素アッセイとプレートアッセ イは、単純で、かつたいていの実験室での標準手順である。 実施例7制御された条件下液体培地で増殖させたPFC-1絹込み体におけるβ−ガラク トシダーゼ発現の測定 実施例4で定義したラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1363 PFC- 1クローン(LTV1組込み体)は、通常P139-とその後に続く番号表示、例え ばP139-170で示される。しかしながら以下においては、PFC-1組込み体は、 それらの番号、例えば170のみによって呼ばれる。この研究には、実施例5で表 示H25Aとして述べられたラクトコッカス ラクチス亜種ラクチスMG1614にお けるLTV1組込み体も含まれる。しかしながら以下においては、この組込み体 は、SBと称した。 以下の実験は、2つの組込み体170とSBにおけるlacZ発現のpH依存を研究 する目的で行われた。 組込み体170は、タイプ1Aであることが示されており、一方組込み体SBは 、明らかにこのグループに属さなかった。両組込み体は、GM17プレト卜上での β−ガラクトシダーゼの発現が2%NaCl によって影響を受けないことを意味 するタイプ2Sである。 各々1リットルのG1.5M17培地、即ち0.5%グルコースを含みかつ1mg/l エリスロマイシンが補われている1.5×M17肉汁(Sigma Chemical Co.)を含 む4つの発酵槽を、30℃で操作するためにセットした。撹拌を、空気/酸素の活 性供給なしで150 rpmで続けた。二倍の発酵槽を、5M塩酸塩と5M水酸化ナト リウムを用いて、各々pH 5.2 と 7.0 で操作するためにセットした。二倍の発 酵槽のうちの一つに、組込み体SBの1%のオーバーナイト培養物を接種し、二 倍発酵槽の他方に、組込み体170の1%のオーバーナイト培養物を接種した。 発酵槽を45時間作動させ、増殖させ、OD600を測定した。選択したOD600値 と時間間隔で、β−ガラクトシダーゼ活性を以下のようにして測定した:各々の 発酵槽からの10 mlのアリコー卜を10000×gで4℃で5分間遠心分離した。ペ レットを、1mlのZバッファー(Miller,1972)に再懸濁し、ボルテックスミ キサーを用いて、0.4mlの細菌懸濁液および0.1mlのZバッファーを、12.5μl の0.1%SDSおよび25μlのCHClと10秒間混合した。ボルテックスにより 混合した懸濁液を、30℃の水浴中に5分間置き、A−培地(Miller,1972)中 に 4 mg/mlのo−ニトロフェニルーβ−D−ガラクトピラノシド(ONPG )を含む100μlの溶液を加えた。懸濁液を2秒間ボルテックスにより混合し、3 0℃の水浴中に置いた。 時間は、ONPGを添加した時点と、250μlの1MNaCOを添加し、ボ ルテックスを用いて混合し、懸濁液を氷上に置くことによって酵素反応を停止し たときに再び書き留められた。10000×gで4℃で10分間遠心分離した後、上清 のOD420とOD550を測定した。OD550値が0.050を越えたとき、懸濁液を再び 遠心分離し、この上清のOD420とOD550を測定した。β−ガラクトシダーゼ活 性は、以下の式を用いて評価された: 図9には、pH 5.2とpH 7.0での組込み体170についての時間に対するOD6 00 とβ−ガラクトシダーゼ活性が示されている。図10には、組込み体SBにつ いての対応するデータが示されている。これらの2つの図におけるデータによっ て、組込み体170とSBにおけるβ−ガラクトシダーゼの発現がpHによって逆 に調節されることが明らかに論証される。組込み体170は、pH 7.0でβ−ガラ クトシダーゼの発現を止める。両組込み体において、β−ガラクトシダーゼの発 現は、発育相によっても影響される。この実験は、培地のアルギニン濃度も、研 究した2つの組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼの発現に対する調節作用を 有するかもしれないことを除外するものではない。 実施例8乳酸菌プロモーターを含有するDNAフラグメントのクローニングお上びラクト コッカス ラクチスにおけるプロモーター活性の評価A.ラクトコッカス ラク チスDNAと Tn917-LTV1組込み体からのColE1 レプリコンを含むEcoR I フラグメントのイー.コリにおるクローニン ラクトコッカルDNA、lacZ、cat、blaおよびColE1 レプリコンを含む染 色体EcoRI フラグメントを、以下の表5に列挙されたTn917-LTV1 組込み 体から実施例5に記載の方法に従って作成した。フラグメントを連続的に再結合 し、Maniatis 1982に記載の形質転換によってイー.コリ DH5a 中に導入し た。 得られたTn917-LTV1 組込み体フラグメントプラスミドを、p(組込み体 番号)、例えばp86、p143およびpSBと称した。フラグメントが単離された 全Tn917-LTV1 組込み体は、ラクトコッカス ラク チスMG1614におけるTn917-LTVIであるSBを除いて、ラクトコッカ ス ラクチスMG1363 に存在する。表5 選択した組込み体におけるβ−ガラクトシダーゼ発現の調節パラメータ。 パラメータは、プレートアッセイから導き出される。 組込み体番号 パラメーター 86 アルギニン/pH 143 温度/成長速度 159 温度/成長速度 162 アルギニン/pH 163 アルギニン/pH;pO2 170 温度/成長速度;アルギニン/pH 172 温度/成長速度 179 アルギニン/pH;NaCl/イオン強度 187 温度/成長速度 188 温度/成長速度 189 NaCl/イオン強度 192 温度/成長速度;アルギニン/pH 199 NaCl/イオン強度;アルギニン/pH 201 温度/成長速度 202 温度/成長速度 222 アルギニン/pH 224 アルギニン/pH 241 NaCl/イオン強度 242 アルギニン/pH SB 温度/成長速度;アルギニン/pHB.プロモーター選択ベクターpGKV210中へのTn917-LTV1組込み 体フラグメントプラスミドのサブクローニング pGKV210は、選択マーカーとしての erm遺伝子、およびポリリンカーによ って先行されるプロモーターレスcat-86遺伝子を含むプロモーター選択ベクター である(van der Vossen et al., 1987)。 cat-86遺伝子は、プロモーターを有 するDNAフラグメントがポリリンカー中に右方向に挿入される場合に発現され る。宿主に与えられるクロラムフェニコール耐性の程度は、プロモーターの強度 に依存する。 組込み体フラグメントプラスミドは全て、Tn917-LTV1のlacZ部分から生じるD NAに位置したClaI部位を有している。プラスミドからEcoRI−ClaIフラグメン トをクローン化するために、ClaI部位を、以下の方法でpGKV210のポリリン カー中にまず導入した:ClaI部位を含む合成DNAリンカー を、Maniatis,1982によって記載されたようにしてpGKV210のユニークBamHI 部位中にクローン化した。得られたプラスミドを、pGKV210 (ClaI)と称し た。ClaIとEcoRIで消化された50ngのpGKV210 (ClaI)を混合し、上記のよ うに200ngの精製したClaI−EcoRIフラグメントで結合した。これは、以下の組込 み体フラグメントプラスミド:p143、p162、p163、p170、p172、p224、p237、p2 42およびpSBからのClaI−EcoRIフラグメントでなされた。 p162は、ラクトコッカルDNAに位置した追加のClaI部位を含んでいる。この プラスミドのEcoRI部位から追加のClaI部位までのフラグメントを、pGKV21 0(ClaI)中に挿入した。この実施例における全てのDNA組換え操作は、Mania tis,1982に従って行われた。 得られたpGKV210誘導体構築物を、pGKV210:(組込み体番号)、例え ばpGKV210 :143、pGKV210 :162およびpGKV210 :SBと称し た。pGKV210誘導体を、実施例5に記載の方法に従って、イー.コリ MC1 000{F-,araD139(△ara-leu)7679,galU,galK(△lac)×74,rpsL(Strr ),thi}中に導入した。pGKV210誘導体を、形質転換された宿主菌株から、 Maniatis,1982に記載されたようにして抽出した。各々の抽出されたpGKV誘 導体について、1μgのDNAを、実施例1に記載の方法に従ってラクトコッカ ス ラクチスMG1363中に導入した。得られた形質転換細胞(pGKV/MG13 63誘導体)を、pGKV210:(組込み体番号)/MG1363、例えばpGKV210 :143/MG1363と称した。 上記クローン化したフラグメントおよび先に発表されたラクトコッカス ラク チスIL1403におけるpGKV210誘導体(van derVossen et al.,1987)のプロ モーター活性を、pGKV/MG1363誘導体のオーバーナイト培養物を5mg/1 エリスロマイシンと増加する濃度のクロラムフェニコールが補われているGM17 プレート上にプレーティングすることによって測定した。クロラムフェニコール の濃度は、各々4、6、8、12、16および20mg/1であった。0.9%NaCl水 性懸濁液中に104倍希釈された培養物の50μlを、4〜8mg/lのクロラムフェニ コールを含むプレート上にプレーティングした。0.9%NaCl中に10倍希釈され た培養物の100μlを、12〜20 mg/lのクロラムフエニコールを含むプレート上 にプレーティングした。そのプートを、30℃で約80時間インキュベートし、増殖 させることができるクロラムフェニコールの最大濃度を決定した。 結果を以下の表6に示す。 2つのpGKV/MG1363誘導体のみが、4mg/l以上のクロラムフェニコー ルに対して耐性であった。しかしながら、結果の解釈は、例えば小さいコロニー の出現のために、困難性になった。この分析は、培地のプロモーターまたは弱い 強度のプロモーターに関して不適当であるように思われる。pGKV244/IL1 403およびpGKV259/IL1403は、クロラムフェニコールアセチルトランスフ ェラーゼ活性を測定するとき、各々0.2および5.1単位を産生する(van derVosse n et al.,1987)。表6 pGKV210およびpGKV210誘導体を保有する菌株MG1363 を増殖させる最大クロラムフェニコール(Cm)レベル C.Tn917-LTV1組み込み体フラグメントプラスミドのプロモーター選択ベクターpAK80中へのサブクローニング pAK80は、選択マーカーとしてのerm遺伝子、およびポリリンカーによって 先行されるプロモーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を含むプロモーター選 択ベクターである。pAK80の構築は、実施例6に記載されている。 以下のDNA操作および形質転換は、Maniatis,1982に従って行われた。上記 の組込み体フラグメントプラスミドを、pAK80における適当な制限部位の欠如 のために、クローニングベクターpGEM-7Zf(+)(プロメガ)中にまずサ ブクローン化した。ClaIとEcoRIで消化された50ngの pGEM-7Zf(+)を、 連鎖反応条件下で、組込み体フラグメントプラスミドからのラクトコッカルDN Aを含む200ngの精製したClaI−EcoRIフラグメントと混合した。これは、各々以 下のプラスミド:p143、p162、p163、p224、p242およびpSBからのClaI−EcoR Iフラグメントでなされた。 p170は、ラクトコッカルDNAに位置したSalI部位を含んでいる。ClaI部位か らこのSalI部位までのフラグメントを、ClaIおよびSalIで消化されたクローニン グベクター pBluescript II KS(Strategene)中に挿入した。この構築物を、p Bluescript :170と称した。この構築物からの抽出プラスミドDNAを、XhoIお よびClaIで消化し、XhoIおよびClaIで消化されたpGEM-7Zf(+)に結合さ せた。pGEM-7Zf(+)構築物を、pGEM:(組込み体番号)、例えばp GEM:143およびpGEM:170と称し、集合的にpGEM誘導体と称した。p GEM誘導体を、実施例5に記載したようにしてイー.コリ菌株DH5α中に導 入した。DH5α形質転換細胞を、pGEM/ DH5α誘導体と称した。 pGEM/DH5α誘導体からのプラスミドDNAを抽出し、XhoIおよびBamH Iで消化し、XhoIおよびBamHIで消化されたpAK80に結合させた。得られた構築 物を、pAK80:(組込み体番号)、例えばpAK80:143およびpAK80:170 と称し、集合的にpAK80誘導体と称した。pAK80誘導体を、実施例5に記載 したようにしてイー.コリM1000中に導入した。 MC1000形質転換細胞を、pAK80/MC1000誘導体と称した。pAK80誘導 体を、pAK80/MC1000誘導体から抽出した。各々の抽出されたpAK80誘導 体について、1μgのDNAを、実施例5に記載したようにしてラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。得られた形質転換細胞を、pAK80:(組込 み体番号)/MG1363、例えばpAK80:143/MG1363およびpAK80:170/ MG1363と称し、集合的にpAK80/MG1363誘導体と称した。 クローン化したフラグメントのプロモーター活性を、G1.5M17培地で増殖さ せたpAK80/MG1363誘導体ののオーバーナイト培養物に関するβ−ガラクト シダーゼ分析を行うことによって決定した。1mlの培養物を、10000×gで10 分間遠心分離した。ペレットを500μlのZバッファー(Miller,1972)中に再懸 濁した。ボルテックスミキサーを用いて、100μlの細胞懸濁液を、400μlのZ バッファー、12.5μlの0.1%SDSおよび25μlのCHCl3と10秒間混合した。ボ ルテックスにより混合した後、懸濁液を実施例7に記載したように処理した。結 果を表7に示す。表7 pAK80およびpAK80誘導体を保有する菌株MG1363のβ− ガラクトシダーゼ活性 上記結果から、プロモーター選択ベクターpAK80が、弱いプロモーターでさ えも識別することができることが明らかに論証される。それは、pAK80 :163 /MG1363、 pAK80 :170/MG1363、pAK80:224/MG1363およびpA K80 :242/MG1363が、クロラムフェニコール耐性に関して分析するときプ ロモーター活性がないように思われるが、β−ガラクトシダーゼ活性に関して分 析するとき、3つの他のpAK80/MG1363誘導体とは対照的にpAK80 :170 /MG1363が、プロモーター活性を有していることが明白であるからである。 以下のpAK80/MG1363誘導体:pAK80:SB/MG1363、pAK80 :14 3/MG1363、pAK80 :162/MG1363、pAK80:163/ MG1363、pAK80:170/MG1363の各々は、DSM-DeutscheSammlung von Mikr oorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg lb,D-38124 Braunschwei g,Germanyに、各々受託番号DSM 8495、DSM 8497、DSM 8498、DSM 8499および DSM 8500として、1993年8月27日に寄託された。 ラクトコッカルDNAを含む各々p172およびp215からのClaI−EcoRIフラグメ ントを、pGEM-7Zf(+)中にクローン化した。pGEM-7Zf(+)構築物 を、この実施例で上記のように称した。 pGEM-7Zf(+)構築物を、BamHIおよびXhoIで消化し、BamHIおよびXhoI で消化されたpAK80に結合した。クローニング実験の詳細は、上記のとおりで ある。pGEM:172をXhoIおよびBamHIで消化した。連鎖反応混合物を、イー. コリDH5α中に導入し、得られたプラスミドpAK80:172をラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。pAK80:172/GM1363は、X-galを含む GM17上で青色であり、このことは、p172の4.5kb ClaI−EcoRIフラグメント上 のプロモーターの存在を論証している。 pGEM:215のラクトコッカルDNAセグメントは、内部BamHI部位を含んで いる。pGEM:215の末端のBamHI−Xholフラグメントを、BamHIおよびXhoIで 消化されたpAK80に結合し、ラクトコッカルBamHI−BamHIフラグメントを、Ba mHIで消化されたpAK80に結合した。各々の連鎖反応混合物を、イー.コリD H5α中に導入した。得られたプラスミドを、各々pAK80:215AおよびpA K80:215Bと称した。pAK80:215BにおけるBamHIフラグメントの正確な方 向は、制限地図分析によって証明された。pAK80: 215AおよびpAK80:215Bの各々のラクトコツカス ラクチス中ヘ の連続的な導入は、プラスミドのどれもがプロモーターを保有していないことを 示した。この結果は、p125からのClaI−EcoRIフラグメント上の潜在的なプロモ ーターが、2つのサブフラグメントのクローニング中に不活性化されたこと、ま たは組込み体215におけるβ−ガラクトシダーゼ発現を行うプロモーターが、Eco RI部位の上流に位置していることを示唆している。 各々プラスミドpAK80:SB、pAK80:143、pAK80:162、pAK80: 170およびpAK80:172を含むラクトコッカス ラクチスMG1363のオーバーナ イト培養物に関する測定は、以下の実施例13に記載されている。しかしながら 、実施例13においては、これらのプラスミドは、各々pSMA332、pSMA3 37、pSMA338、pSMA339およびpSMA345と称されている。 実施例9外部プリン化合物によって調節されるラクトコッカス ラクチスプロモーターの 特徴 小さい前駆体からのプリンヌクレオチドの新規合成は、一般的に、イノシンフ ォスファターゼ(IMP)に導く10の酵素反応を必要とする。IMPは、AMP およびGMPの両方の合成に用いられる。細胞内に生じるかまたは外因性の源か ら生じるプリン塩基とヌクレオチドは、異なる生物の間で異なることが示されて いるサルベージ経路を介してヌクレオチドに変換する(レビューのためにNygaar d 1983参照)。実際には、記載されたこと以外は、嫌気性グラム陽性細菌である ラクトコッカス ラクチスにおけるプリン代謝については何も知られていない( NilssonおよびLauridsen,1992)。 乳酸菌の生育に使用する培地は、プリン化合物を含むことができる。このよう な培地は、プリンヌクレオチドの形成に使用される酵素の合成を抑制する。牛乳 をプリンフリーミルクの培養物に接種するとき、この抑制は、軽減される。この プリンde novo経路に用いる酵素の合成の調節パターンは、商業的に用いること ができる。ミルク中で高く発現することが望まれる酵素をエンコードするいくつ かの遺伝子があるかもしれない。しかし、そのような酵素は、高い発現によって 引き起こされる生育を阻害する二次作用のために、主としてそのような遺伝子か らなる牛乳スターター培養物の製造中には望まれない。従って、プリン調節プロ モーターをラクトコッカス ラクチスにおいて検索し、purDの発現が開始される プロモーター領域を単離した。purD遺伝子は、プリンde novo経路の酵素をエン コードしている。細菌菌株および増殖培地 ラクトコッカス ラクチス菌株MG1363をM17培地{オキソイド(Oxoid)} もしくは定義した培地、即ちDN−培地中で増殖させた。この培地は、以下のよ うに構成されている(リットル当たり):以下の組成を有する100mlの10%塩バ ッファー:(NH42SO4 10 g,Na2HPO4・2H2O 33.2g,KH2PO4 15g,NaCl5g,酢酸ナトリウム3水和物10g,イオン交換水で500mlに 調製したもの;1.0MMgCl210ml,0.5 M CaCl2 1.0ml,0.01 M FeCl3 1.5 ml,イオン交換水で4500mlに調製したものと、1リットル 当たり15gの寒天を含む900mlの基本培地;25mlの20%炭素源; 25mlのカザ アミノ酸20%(ディフコ):10mlのビタミン溶液および10mlの0.8%アスパラギ ン溶液。 グルコースを、M17培地およびDN−培地の炭素源として用いた。ラクトコッ カス ラクチス用に用いた抗生物質:エリスロマイシン1mg/l。必要な場合 、補足物としてプリン化合物を加えた;1当たり:アデニンおよびヒポキサンチ ン15mg;グアノシン30mg。DNA操作 ラクトコッカス ラクチスプラスミドDNAを、JohansenおよびKibenich(199 2)に従って単離した。ラクトコッカス ラクチスを、HoloおよびNes (1989)によ って勧められたように、エレクトロポレーションによって形質転換した。ラクト コッカス ラクチスプロモータープローブプラスミドpAK80の使用は、実施例6 に記載されている。結果 846bpDNAフラグメント(図14)は、逆方向に転写を開始する隣接したプロモ ーターとともに全purDプロモーター領域を含んでいる。この領域を、pLN71 (purDプロモーター発現)およびpLN72(逆方向のプロモーター発現)を 与えるプロモータープローブプラスミドpAK80中の(β−ガラクトシダーゼを エンコードする)リポーター遺伝子に融合させた。ラクトコッカス ラクチス菌 株MG1363中に形質転換するpLN71は、purDプロモーターから開始されるリ ポーター遺伝子の発現を測定する可能性を我々に与える。結果を表8に示す。 ラクトコッカス ラクチス菌株MG1363中のプラスミドpLN71は、DSM− Deutsche Sammlung von ikroorganismen und CellkulturenGmbH,Mascherod er Weg lb,D-38124 Braunschweig,Germanyに、受託番号DSM8859として、1993 年12月22日に寄託された。表8 pLN71のおけるβ−ガラクトシダーゼの発現 a:細胞を、プリンを含むDN−倍地で30℃で指数関数的に増殖させ、収穫し、 洗浄し、プリンフリーのDN−培地に再懸濁させ、さらに1.5時間インキュベー トした。各々のプロモーターから発現されるβ−ガラクトシダーゼ活性を測定し た。 b:細胞を、プリンを含む定義した培地で指数関数的に増殖された。各々のプロ モーターから発現されるβ−ガラクトシダーゼ活性を測定した。 c:A、アデニン;Hx、ヒポキサンチン;GR、グアノシン。 これらの結果は、β−ガラクトシダーゼをエンコードするリポーター遺伝子の 発現が、培地のプリン化合物によって調節されること、およびその違いが、この 実験では60倍くらい大きいことを示している。 実施例10制御された条件下、液体培地で増殖させたSMA344/MG1363にお けるβ−ガラクトシダーゼ遺伝子発現の測定 プラスミドpSMA344は、プロモータークローニングベクターpAK80中に 挿入されたp170(実施例8参照)からの9.7kbEcoRI−ClaIフラグメントからな っている。組込み体170において、挿入したβ−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現 は、pHおよび発育相によって調節されることが論証されている(実施例7)。 クローン化したDNAフラグメントが下流の遺伝子のpH調節発現に必要とされ る配列を含むかどうかを調査するために、以下の実験をおこなった。 プラスミドpSMA344を保有するラクトコッカス ラクチスMG1363を、各 々1リットルの培地を含む2つの発酵槽で培養した。発酵槽は、自動的に5Mの 水酸化ナトリウムおよび5Mの塩酸を加えることによって、それぞれpH7.0お よび5.2で操作するためにセットされた。他の全てのパラメーター(培地組成、 接種物のサイズ、撹拌速度、温度等)は、実施例7に記載のとおりであった。発 酵を45時間行い、増殖させ、培養物サンプルのOD600を測定した。培養物アリ コートのサンプリングおよび収穫並びにβ−ガラクトシダーゼ活性の測定は、収 穫した培養物の容量および分析に加えた細胞懸濁液の容量を細胞密度および予測 されるβ−ガラクトシダーゼ活性に応じて変化させたことを除いて、実施例5に 記載のとおり行った。図15は、発酵中の時間に対するOD600およびβ−ガラ クトシダーゼ活性を示している。その結果から、pSMA344上に保有されたプ ロモーターからの発現が、組込み体170で観察された様式と同じ様式で制御され ることが明らかである。pH7.0で増殖させた培養物において、OD600当たりの β−ガラクトシダーゼ活性は、いくらかの活性が前培養物か ら残存することが予測される最初のサンプルを除いて、発酵中1.0 ミラー単位 より低かった。pH5.2で増殖させた培養物においては、OD600当たりのβ− ガラクトシダーゼ活性は、対数成長中増加し、定常期の最初の14〜20時間の 間増加し続けた。誘発されたレベルおよび抑制されたレベルとも、同じ培養条件 下で組込み体170で観察された値より5〜10倍高かった。このことは、プラスミ ドによって担持された遺伝子が、より高いコピー数で存在しているので、および (Tn917−LTV1中の)lacZ遺伝子および(pAK80中の)1acL−1acM.遺 伝子によってエンコードされた2つのβ−ガラクトシダーゼ酵素が、異なる特異 活性を有しているかもしれないので、予測された。 実施例11標準化された手順による、液体培地で増殖させた撰択PFC-1組込み体におけるβ −ガラクトシダーゼ活性の測定 実施例5に記載したように、いくらかの組込み体が、種々の増殖条件および培 地組成下でプレートで増殖させたとき、β−ガラクトシダーゼの調節された発現 を示すことが見い出された。 液体培養で一晩増殖させた25の選択した組込み体におけるβ−ガラクトシダー ゼ遺伝子発現の調節を分析するために、以下の実験を行った。分析した調節パラ メーターには、pHおよび/またはアルギニン濃度、塩化ナトリウム濃度、およ び生育温度が含まれる。増殖培地および方法 液体培養に用いた培地は、以下の表に列挙されている。全実験用の基本培地は 、lmg/lのエリスロマイシンを含む1.5×M17肉汁(Oxoid,Unipath Ltd. ,UK)あった。表9 組込み体の液体培養二用いた培地 全培養物を、β−ガラクトシダーゼ発現に関する温度効果の研究のための実験 (1セットの培養物を15℃でインキュベートした)を除いて、30℃でインキュベ ートした。β−ガラクトシダーゼ発現に関する温度効果の研究においては、より 低い成長速度を補償するために、インキュベーションを延長した。 全培養物における均一な開始条件を確保するために、液体G1.5M17中の各々 の組込み体の5〜10mlの前培養物に、GM17寒天からの単一のコロニーを接種 し(以下の実施例15参照)、30℃で12〜18時 間インキュベートすることによって、定常期まで増殖させた。前培養物から、各 々の菌株の10μlを、10mlの各々の培地に接種し、培養物を、30℃で20時間ま たは15℃で165時間インキュベートした。OD600測定用のサンプルを、収穫前直 ちに各々の培養物から採取した。細胞を、遠心分離(10000×g、4℃で10分間 )することによって収穫し、1mlの氷冷した0.15MNaClで一回洗浄した。培養 上清のpHを測定した。培養物を異なる日に収穫した、異なる温度で増殖させた 二倍の培養物(duplicate cultures)、の場合には、細胞ペレットを−20℃で凍 結し、β−ガラクトシダーゼ活性を分析するために後ほど解凍した。細胞を、1. 0mlのZ−バッファー(Miller,1972)中に再懸濁し、次いで細胞懸濁液を、 妥当な限界内の反応速度を維持するために細胞懸濁液と分析に用いるZ−バッフ ァーとの間の割合を酵素活性に応じて調製したことを除いて、実施例7に記載の ようにして、β−ガラクトシダーゼ活性の分析に用いた。液体培養で増殖させた選択組込み体に関するβ−ガラクトシダーゼ分析の結果 異なる日に同じ菌株で見られた活性は、ある程度変化していた。組込み体SB における10の独立したG1.5M17培養物において、測定された活性は、3.9〜8.0 で、平均6.3および標準偏差1.4であった。同じ培地における170の5つの独立し た培養物は、0.9〜2.8で、平均1.7および標準偏差0.7の結果を与えた。観察され た偏差は、遺伝子発現または培地のバッチ間の検出されない違いによる酵素安定 性に関するなんらかの影響によって引き起こされるであろう。しかしながら、こ れらの場合の各々において、低いpHでの活性と高いpHでの活性間の違いは、 明らかに有意であった(表10)。0.1以下の活性 は、実際に用いた方法では測定されなかった。 表10は、アルギニンを含む培地およびアルギニンを含まない培地における17の 異なる組込み体菌株の培養物で測定されたβ−ガラクトシダーゼ活性を示してい る。pHおよび/またはアルギニンによって調節されるβ−ガラクトシダーゼ発 現を示すほとんどの組込み体は、プレート分析によって同定された。組込み体23 7、241およびSBでは、明らかに、このような発現の制御は、プレートの検査に よって観察されなかった。可能性のある理由としては、ある活性レベルを越える と、プレート分析によって異なる活性間の区別をすることは困難であることが挙 げられる。表10 1:1000接種物から30℃で20時間増殖させた選択PFC-組み込みの液 体培養からの細胞活性として、アルギニンおよび/または培地のpHによって制 御されたβ−ガラクトシダーゼの発現 ブランクスペースは、菌株と培地のこの特別な組合せが試験されなかったこと を示している。 GM17寒天平板上で増殖中のβ−ガラクトシダーゼ活性が温度で変化した10の 菌株を、30℃および15℃でG1.5M17の二倍培養で定常期まで増殖させた。細胞 で測定した活性を、表11に示す。表11 1:1000接種物からG1.5M17中でそれぞれ30℃で20時間および15℃で1 65時間増殖させた後測定した、液体培養で増殖させた選択PFC-1組み込み体 において発現されたβ−ガラクトシダーゼ活性の温度依存 組込み体170および192は、プレートでも見られたβ−ガラクトシダーゼ遺伝子 発現の調節を示し、両方とも低温でより高い活性を与えた。組込み体SB、143 および159に関しては、β−ガラクトシダー ゼ発現に対する温度の効果は、プレート分析の結果から予測されるものとは逆で あった。組込み体172、187、188および201に関しては、その効果は予想より弱かっ た。液体培養からの細胞は定常期で収穫され、一方プレート分析で検出されたβ −ガラクトシダーゼ活性は、発育相と定常期の両方から累積されていることを考 慮しなければならない。 PFC-1組込み体のプレート分析は、減少する遺伝子発現かまたは増殖培地へのN aClの添加に対する応答で変化しないことを示した。1%または2%NaClを含む 液体培地で増殖させた培養物における活性測定の結果を、表12に示す。組込み 体179、199、230および241に関しては、NaClがβ−ガラクトシダーゼ活性を減少さ せることが、プレート分析から予測された。プレート分析においてβ−ガラクト シダーゼ活性に対するNaClのなんの影響も示さなかったいくつかの組込み体が、 これらの実験に含まれており、これらの3つ、即ち224、229およびSBからの結 果も表に表されている。 全菌株において、試験された活性は、余分のNaClを含む培地で3〜30のファク ターで減少し、明らかに最も強い効果はSBにおける活性に対するものであった 。ずっと先に述べたように、NaClを含む培地における培養物の最終pHは、追加 のNaClなしで増殖させた培養物におけるものよりわずかに低かった。しかしなが ら、このpHの違いは、SBの遺伝子発現に対する明らかな効果を説明するには 十分大きいものではなく、また試験された全菌株に対する効果の類似性を説明す るのに適当でもない。プレート分析の結果とオーバーナイト液体培養で測定した 活性との間の明らかな矛盾を解明するために、より制御された実験が必要である 。表12 1:1000接種物から30℃20時間増殖させた選択PFC-1組み込み体の 培養物においてβガラクトシダーゼ活性に対する培地のNaClの効果 以下の組込み体(宿主生物:ラクトコッカス ラクチス MG1363):SB、P139-86、P139-142、P139-143、P139-159、 P139-162、P139-163、P139-168、P139-172、P139-179、P139-187、 P139-188、P139-192、P139-193、P139-199、P139-201, P139-203、P139-222、P139-224、 P139-229、P139-230、P139-237、P139-241 およびP139-242は、DSM−Deutsche Sammlung von Mikroorganismen und Cellkulturen GmbH,Mascheroder Weg 1b,D−38124 Braunschweig,Germa
n yに、各々受託番号DSM8834、DSM8835、DSM8836、DSM 8837、DSM88 38、DSM8839、 DSM8840、DSM8841、DSM8842、DSM8843、DSM8844、 DSM8845、DSM8846、DSM8847、DSM8848、DSM8849、 DSM8850、DSM8851、DSM8852、DSM8853、DSM8854、 DSM8855、DSM8856およびDSM8857として、1993年12月22日に寄託された 。 実施例12選択したTn917-LTVIプロモーター融合組込み体におけるTn917挿入物の上流 および下流のラクトコッカス ラクチス染色体DNAの配列決定 6つの選択したTn917-LTV1ラクトコッカス ラクチスプロモーター融合組 込み体において、Tn917挿入物の約200bp〜1500bp上流の染色体配列を決定し た。1つの選択組込み体では、トランスポゾン挿入物の下流の配列も決定した。 配列決定は、挿入プロモーターレス遺伝子(複数の遺伝子)の調節された発現を 示すラクトコッカスラクチスの染色体上のこの例の部位および領域に対してなさ れた。配列決定は、鋳型としての組込み体フラグメントプラスミド(実施例8参 照)pSB、p170、p143、p242、p224およびp163と以下に記載のプライマ ーを用いて、本質的にUSB,クリーブランド、オハイオ、アメリカからのシー クエナーゼ バージョン2.0DNA配列決定キット用のマニュアルに記載のよう にして、両方の鎖に対して行われた。我々は、Tn917-LTV1の1acZ近位末端 の隣に位置したラクトコッカスDNAを、トランスポゾン挿入物の上流にあると 定義した。どちらの鎖が述べられたとしてもとにかく、1acZ末端から遠く動か すことは、ラクトコッカスDNA上の上流に動かすことである。各々の鋳型に関 する上流の配列決定の戦略は、以下のようである。 1.第一の配列反応を、プライマーppl(5’GTTAAATGTACAAAA TAACAGCG’3)(DNAテクノロジー,Arhus,Denmark)を用いて行 った。pplは、Tn917-LTV1のlacZ近位末端の配列に相同である。Tn917-LT V1の上流の最初のbpを1番と称すならば、pplに相補的な配列は、bp番号−58 〜−80に位置している。ppl配列と称せられる得られた配列は、Tn917-LTV1 の1acZ近位末端の約20bpとそれに続く200〜300bpの隣接した上流のラクトコッ カス ラクチスDNA配列からなっている。 2.ppl配列に基づいて、プライマーplを合成した(DNAテクノロジー)。pl は、ppl配列の3’末端から約60bpに位置する20〜24bp配列に相同である。第2 の配列反応を、プライマーplを用いて行った。p1配列と称せられる得られた配列 は、ppl配列の3’末端の約20bpと重複しており、ラクトコッカス ラクチスD NA上の200〜300bpさらに上流に延びていた。 3.pl配列に基づいて、2つのプライマーp2およびplrを合成した(DNAテク ノロジー)。p2は、pl配列の3’末端から約60bpに位置する20〜24bp配列に相同 であり、plrは、トランスポゾン挿入物の約250bp上流に位置する相補的なラクト コッカス ラクチスDNA配列に相同である。第3および第4の配列反応を、そ れぞれプライマーp2およびplrを用いて行った。プライマーp2を用いて得られたp 2配列と称せられる配列は、p1配列の3’末端の約20bpおよびラクトコッカス ラクチスDNA上のさらに上流の200〜300bpと重複していた。プライマーplrを 用いて得られたplr配列と称せられる配列は、ppl配列に相補的である。 4.追加の配列反応を、プライマーp3、p4等を用いて行った。各々のプライマー は、先に用いたプライマーの約300bp上流に位置する配列に相同であった。また 、プライマーp2r、p3r等を用いて、配列反応を行った。その各々は、先に用いた プライマーの約300bp上流に位置する配列に相同である。 5.組込み体SBにおけるTn917-LTV1挿入物から下流に位置する配列のクロ ーニング:Tn917誘導体Tn917-LTV1をトランスポゾン突然変異誘発に用いる とき、挿入点の上流に位置するDNAは、実施例5に記載したようにイー.コリ 中に容易にクローン化することができる。しかしながら、このクローニング方法 は、Tn917-LTV1挿入物の下流に位置するDNAをクローン化するのに用いる ことはできない。しかしながら、インバースポリメラーゼチェンリアクション( InversePolymerase Chain Reaction)戦略(Ochman et al.,1988)を用いて 、組込み体SBにおけるトランスポゾンの下流に位置するDNAは、増幅され、 かつ以下の方法でイー.コリ中にクローン化された: 60ngの染色体ラクトコッカス ラクチスMG1614DNAを、EcoRIで完全に 消化した。消化したDNAを、フェノール/クロロホルム抽出し、酢酸ナトリウ ムとエタノールで沈澱させた。次いで、DNAを、総容量20μl中で結合させ た。この希釈された濃度は、単量体の円を形成するのに有利である。この連鎖反 応混合物から5μlのサンプルを採取し、総容量100μl中でPCR増幅を行 った。2つのプライマー BA24:(5’CCAGTCAACTTTAAAACATAACC3’) および BA21:(5’CTCACTGGTCACCTTTATCC3’) をPCR増幅に用いた。Perkin Elmer Cetus,761 Main Ave.,Norwalk,CT 06859からのGeneAmp DNA増幅試薬キットを用いた。反応バッフアー、dNTPs およびTsqポリメラーゼの濃度は、製造業者からのプロトコールに記載のとおり である。反応混合物中のプライマーの終濃度は、10ng/μlであった。以下の 温度プロファイルを用いた:変性、94℃、1分;アニーリング、53℃、1分;伸 長、72℃、2分。PCRサイクルの総数は、40であった。 10μlのPCR反応産物を、アガロースゲル上で分析したとき、約1400bpの特 異的な1つのバンドが観察された。このことは、組込み体SBにおけるTn917挿 入物の下流の約1100bpのクローニングを示している。 PCR反応からの1400bpフラグメントを、Manlatis et al.,1982によって記載 されたような標準連鎖反応条件下で、pT7Blue(R)ベクター(Novagen,Madison ,Wisconsin,USA)に結合させた。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中 に導入した。得られたプラスミドをpSBC1と称した。 次の配列反応を、上記パラグラフ2、3および4で述べた同じ戦略を用いて行 った。 以下に、それぞれ組込み体SB、170、143、242、224および163におけるTn917-L TV1挿入物の上流のDNA配列を示す{(i)(vi)}。組込み体SBについて は、組込み体SBにおけるTn917ーLTV1挿入物の下流のDNA配列も与えられ ている。トランスポゾン挿入物の部位とTn917-LTV1の方向は、配列中に挿入 された(lacZ−−Tn917-LTV1−)によって示されている。(i)Tn917-LTV1のlacZ近位末端の上流の117ヌクレオチドのDNA配列およ び組込み体SBにおけるTn917-LTV1の1acZ遠位末端から下流の1.083ヌクレ オチドのDNA配列 推定の転写ターミネーターは、小さいケース番号で示されており、プロモータ ー PSBの−35および−10共通配列は、下線が引かれている。 (ii)組込み体143におけるTn917−LTV1のlacZ近位末端の上流 の1.430ヌクレオチドのDNA配列 (iii)組込み体163におけるTn917-LTV1の1acZ近位末端の上流の994ヌクレオ チドのDNA配列 (iV)組込み体170におけるTn917-LTV1の1acZ近位末端の上流の1.120ヌタレ オチドのDNA配列 (v)組込み体224におけるるTn917-LTV1の1acZ近位末端の上流の 480ヌタレ オチドのDNA配列 (vi)組込み体における242Tn917-LTVIの1acZ近位末端の上流の853ヌクレ オチドのDNA配列 実施例13p170からの9.7kbEcoRI−ClaiIDNAフラグメント上のプロモーターP170 のマッピン p170の9.7kbClaI−EcoRIフラグメント上のpH/発育相調節プローターP1 70の位置を位置づけるために、以下の実験を行った。 p170の9.7kbClaI−EcoRIフラグメントをサブフラグメントに開裂し、制限 地図を作った(図16参照)。次いで、適当なサブフラグメントを、プローター プローブベクターpAK80中にクローン化した。しかしながら、まず、サブフラ グメントおよびpAK80上の和合性制限部位を作ることが必要であった。(i)pSMA344の構築 p170からの大きい9.7kbClaI−EcoRIフラグメントのpGEMー7Zf(+)中 へのクローニングを、ClaIおよびEcoRIでp170を消化し、ClaIおよびEcoRI で消化されたpGEM-7Zf(+)に9.7kbフラグメントを結合させることによっ て行った。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入し、得られたプラス ミドを、pSMA212と称した。pSMA212を、XhoIおよびBamHIで消化し 、XhoIおよびBamHI消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物を、 イー.コリDH5α中に導入した。次いで、得られたプラスミドpSMA344を 、ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。(ii)p170からの9.7kbClaI−EcoRIフラグメントの欠失誘導体の構築およびク ローニング プラスミドpSMA342を以下の方法で構築した: pSMA212を、ClaIおよびNdelで消化し、スティッキーエンド(付着末端) を、Maniatis et al.,1982によって記載されたように、クレ ノウポリメラーゼを用いて満たした。大きい8.7kbフラグメント(pGEM−7 Zf(+)からの3 kbおよびラクトコッカス染色体からの5.7kb)を精製し、再 結合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA213 をXhoIおよびBamHIで消化し、精製した5.7kbフラグメントを、XhoIおよびBamHI で消化されたpAK80に結合させた。連鎖反応混合物をイー.コリDH5α中に 導入し、次いで、得られたプラスミドpSMA342を、ラクトコッカス ラクチ スMG1363中に導入した。 プラスミドpSMA343を以下の方法で構築した: pSMA212を、ClaIおよびSalIで消化し、スティッキーエンド(付着末端)を 、クレノウポリメラーゼによって満たした。6.2kbフラグメント(pGEM−7 Zf(+)からの3kbおよびラクトコッカス染色体からの3.2kb)を精製し、再結 合させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA214をX hoIおよびBamHIで消化し、3.2kbラクトコッカルフラグメントを、XhoIおよびBam HIで消化されたpAK80に結合させた。得られたプラスミドpSMA343をイー .コリDH5α中に導入し、次いでラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入 した。 実施例8に記載したようなプラスミドpAK80:170(DSM8500)を、以下 ではpSMA339と称す。 プラスミドpSMA340を以下の方法で構築した: p170からの6.5kb ClaI−SalIラクトコッカルフラグメントのクローニングベク ターpBluescript II KSへのクローニングは、実施例8に記載されている。実施 例8においてpBluescript :170と呼ばれたこの構築物を、以下ではpSMA201 と称す。pSMA201をNdeIおよび SalIで消化し、スティッキーエンドを満たすために、クレノウポリメラーゼで処 理した。大きい7kbフラグメント(pGEM−7Zf(+)からの3kbおよびラク トコッカス染色体からの4kb)を精製し、再結合させ、イー.コリDH5α中に 導入した。得られたプラスミドを、pSMA202と称す。 pSMA202をXhoIおよびBamHIで消化し、4kbラクトコッカルフラグメントを 精製し、XhoIおよびBamHIで消化されたpAK80に結合させた。速鎖反応混合物 をイー.コリDH5α中に導入し、次いで得られたプラスミドpSMA340を、 ラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入した。 プラスミドpSMA341を以下の方法で構築した: pSMA202をNdeIおよびBcoRIで消化し、スティッキーエンドを満たすために、 クレノウポリメラーゼで処理した。大きい5.5kbフラグメント(pGEM−7Z f(+)からの3kbおよびラクトコッカス染色体からの2.5kb)を精製し、再結合 させ、イー.コリDH5α中に導入した。得られたプラスミドpSMA208をXho IおよびBamHIで消化し、2.5kbラクトコッカルフラグメントを、XhoIおよびBamHI で消化されたpAK80に結合させた。得られたプラスミドpSMA341をイー. コリDH5α中に導入し、次いでラクトコッカス ラクチスMG1363中に導入し た。(iii)p170からの9.7kbフラグメントのサブフラグメントに関するプロモータ ー活性のラクトコッカス ラクチスにおける評価 クローン化されたラクトコッカルフラグメントのプロモーター活性を測定する ためのプレート分析を、1μg/mlのEmおよび160μg/mlのX-galが補わ れたGM17上に、それぞれプラスミド pSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA343およびp SMA344を含むラクトコッカス ラクチスのオーバーナイト培養物をプレーテ ィングすることによって行った。驚くべきことに、全培養物がこれらのプレート 上で青く現れ、このことは、全プラスミド上に少なくとも1つの機能的なプロモ ーターが存在していることを示している。これらの結果から、少なくとも3つの プロモーターがp170からの9.7kbラクトコッカルフラグメント内に位置している ことが明白である。 それぞれpSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA34 3およびpSMA344を含むラクトコッカス ラクチスMG1363菌株を、各々GM 17プレートおよびArgM17プレート上にストリークした。両タイプのプレートは、 1μg/mlのEmと160μg/mlのX-galを含んでいた。3つのプロモーター のなかで、pH調節プロモーターを同定するために、プレーティングを行った。 これらの分析に基づいて、それぞれpSMA399、pSMA340およびpSMA34 4から生じるβ−ガラクトシダーゼ発現が、pH/アルギニンによって調節され ることが見い出された。pSMA342から生じるβ−ガラクトシダーゼ発現は、 pH/アルギニンによって弱く調節され、一方pSMA341およびpSMA343か らの発現は、これらの要因によって影響されなかった。 その結果は、β−ガラクトシダーゼリポーター遺伝子に近位の4kbClaI−NdeI フラグメント上に位置するプロモーターが、pH調節されることを論証している 。このプロモーターを、以下P170と称す。NdeI部位からEcoRI部位に延びる5.7kb ラクトコッカルフラグメントを含むプラスミドpSMA342は、おそらく2つの プロモーターを 含み、リポーター遺伝子に隣接して位置する一方も、pH調節されるように思わ れる。しかしながら、この調節は、上流に位置する3.2kbEcoRI−SalIフラグメン トに依存するように思われる。この結諭は、3.2kb EcoRI−SalIフラグメントを 欠くpSMA341に保有されたプロモーターが、pH/アルギニンによって調節 されないという観察に基づいている。 それぞれpSMA399、pSMA340、pSMA341、pSMA342、pSMA34 3およびpSMA344を含む菌株MG1363のオーバーナイト培養物におけるβ−ガ ラクトシダーゼ発現の測定を、実施例7に記載したようにして行った。全培養物 を、各々GM17培地およびArgM17培地で増殖させた。両培地は、1μg/mlの Emが補われている。調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現の対照として、組込 み体170を実験に含めた。結果を表13に示す。表13 p170の9.7ClaI−EcoRIフラグメントの欠失誘導体におけるβ −ガラクトシダーゼ発現 pSMA399、pSMA340またはpSMA344を含むラクトコッカスラクチス は、組込み体170と同じ調節されたβ−ガラクトシダーゼ発現を示す。このこと は、プロモーターP170が、マルチコピープラスミド様pAK80上に位置するとき も調節されることを示している。対照的に、pSMA342に担持されたプロモー ターは、調節発現を示さない。、pSMA343に保有されたプロモーターは、p Hまたはアルギニンによって調節される。この調節は、プレート分析で検出され なかった。このことは、プレートと液体培地での生育の違いによるのであろう。 pSMA343に保有されたプロモーターで観察された調節は、P170の調節ほどき びしいものではない。p170の4kb ClaI−NdeIフラグメント上に位置したプロモーターP170の高精度マッ ピング p170の4kb ClaI−NdeIフラグメント上に位置したP170の高精度マッピングの前 に、4kb ClaI−NdeIフラグメントのより詳細な制限地図を製造した(図17)。 p170の4kb ClaI−NdeIエラクトコッカルフラグメントは、pSMA202に保有 されている。pSMA202は、3つのHindIII部位を含み、そのなかの2つはラク トコッカルDNA内に位置し、1つはポリリンカー領域に位置している。ポリリ ンカーのHindIII部位からラクトコッカスDNAのHindIII部位に延びる、1.3kb HindIIIフラグメントをpAK80中に挿入することにより、プラスミドpSMA3 57が得られる。pSMA357における挿入物は、ラクトコッカス ラクチスMG1 363中に導入されたとき、プロモーター活性を含んでいなかった。 4kb ClaI−NdeIフラグメント上の2.3kb HindIIIフラグメントを、HindIIIで消 化されたpAK80にクローン化した。得られたプラスミドpSMA348をラクト コッカス ラクチスMG1363中に導入した。このプラスミドから、β−ガラクト シダーゼが発現され、このことは、このHindIIIフラグメント内の機能的なプロ モーターの存在を例証している。1.5kb HincIIフラグメントをpAK80のSmaI部 位に挿入し、得られたプラスミドpSMA358を、ラクトコッカス ラクチスM G1363中に導入した。pSMA358から、β−ガラクトシダーゼが発現された。1 .5kb HincIIフラグメントは、1.3kb HindIIIフラグメントのほとんどをカバーし 、隣接した2.3kb HindIIIフラグメントと400bpの重複を有している。プラスミド pSMA348、pSMA357 およびpSMA358における挿入物に関するプロモーター活性評価に基づいて、 プロモーターP170を、組込み体170におけるTn917−LTV1挿入物の約1.3kb上流に 位置する400bp HincII−HindIIIフラグメントに位置づけた。(iv)プロモーターPSBのマッピング SBの上流に位置したDNAの配列決定から、共通プロモーターを190bp HpaI −ClaIフラグメント内に同定した{実施例12(i)参照}。pSBをHpaIおよびC laIで消化し、フラグメントを、HpaIおよびClaIで消化されたpNZ336 (Simo ns et al.,1990)に結合させた。得られたプラスミドpNZ336:SBを、SalI およびBamHIで消化した。190bpフラグメントを、XhoIおよびBamHIで消化された pAK80に結合させた。連鎖反応混合物を、イー.コリDH5α中に導入した。 次いで、得られたプラスミドpSMA347を、ラクトコッカス ラクチスMG136 3中に導入した。菌株MG1363/pSMA347は、β−ガラクトシダーゼを発現し 、このことは、190bpフラグメント上の機能的なプロモーターの存在を例証して いる。(v)プロモーターを保有するpAK80誘導体を含有するラクトコッカス ラク チスMG1363の誘発および非誘発オーバーナイト培養物に関する測定 表14には、各々誘発および非誘発条件下で増殖させたオーバーナイト培養物 に関するβ−ガラクトシダーゼ活性が与えられている。異なる増殖条件は、それ ぞれ温度の多様化と増殖培地のpH/アルギニン濃度の多様化である。分析した 菌株は、レスキュープラスミド(rescue plasmids)からのEcoRI−ClaIフラグメ ントを含むpAK80誘導体と、上記マッピング分析に基づいて、EcoRI−ClaIフ ラグメントの欠失を含むpAK80誘導体の両方を含んでいる。培養物の増殖並び にβ−ガラクトシダーゼの分析を、実施例11に記載したようにして行った。こ の実施例では、5Arg1.5M17を5ArgM17と称す。表14a 誘導体および非誘発条件で増殖させたオーバーナイト培養物における β−ガラクトシダーゼ活性。アルギニンおよび/または培地pH(30℃)によっ て制御される発現。 表14b 誘発および非誘発条件で増殖されたオーバーナイト培養物におけるβ −ガラクシダーゼ活性。温度(G1.5M17培地)によって制御去れる発現。 結果は、pSBからのプロモーターがpAK80に保有されるときpH調節され ないことを示している。この結果は、pSMA332およびpSMA347の両方で見 られる。pSBからのプロモーターの温度調節は、pAK80上に位置するとき逆 転される。p162からのプロモーターは、pAK80上に位置するとき、まだ調節 される。しかしながら、プラスミド保有プロモーターからのβ−ガラクトシダー ゼの全発現は、pAK80の高いコピー数から予測されるほど高くない。P170のp H調節は、上記されている。P170の温度調節は、pAK80上に位置するとき、よ り小さい程度ではあるけれども保存される。p143からのプロモーターは、pA K80上に位置するとき調節される。しかしながら、この調節は、 プロモーターが染色体に位置するとき観察される調節とは逆である。p143上のプ ロモーターの強さは、プラスミドに位置するとき劇的に増加する。p172上のプロ モーターからのβ−ガラクトシダーゼ発現は、染色体に位置するとき温度によっ てわずかに影響される。この調節は、プロモーターがプラスミドに位置するとき 非常に明白となる。 結果は明らかに、染色体プロモーターの調節が、一般的に位置、即ちそれが染 色体に位置するかまたはマルチコピー染色体外に位置するかどうかに依存するこ とを論証している。プロモータークローニングベクターでのシヨットガンクロー ニングを含む従来のプロモータークローニング戦略が用いられたならば、調節に 関する結果は、たいていの場合、直接的に染色体に位置するプロモーターに関す る調節についての研究を含む上記戦略を用いて得られた結果と全く異なったであ ろうと予想される。 実施例14ラクトコッカス ラクチス中で複製しないべクターpSMA500の構築 ラクトコッカスを含むいくつかの微生物に関して、非複製ベクターは、相同D NAを有するならば、染色体中に組込むことができることが示されている(Leen houts et al.,1989)。関連する組込みのメカニズムは、ベクターおよび染色体 に含まれる相同DNA間のシングルクロスオーバーイベント(single cross-ove r event)(キヤンベル様組込み)である。このキャンベル様組込みの結果は、 染色体上のうりふたつの1セットの相同DNAであり、うりふたつの1セットの 相同DNA間に、非複製ベクターは位置する。 Tn917挿入物とは対照的に、このキャンベル様組込みは、適当な 組込み可能なベクターが用いられるならば、非分解挿入となる。 非複製ベクターpSMA500を、エリスロマイシン耐性マーカーと、リポータ ー遺伝子としてロイコノストック メセンテロイデス亜種クレモリス由来のプロ モーターレスβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を担持するイー.コリプラスミドpV A891(Macrina et al.,1983)に基づいて構築した。 ポリリンカーとプラスミドpAK80からのプロモーターレスβ−ガラクトシダ ーゼ遺伝子を、乳酸菌中で複製することができないプラスミドpVA891中にク ローン化した。pAK80をHindIIIおよびSalIで消化した。ポリリンカーとβ− ガラクトシダーゼ遺伝子を含む4.1kbフラグメントを精製し、HindIIIおよびSalI で消化されたpVA891に結合させた。連鎖反応混合物を、エリスロマイシン耐 性(Emr)(250μg/ml)を選択するイー.コリMC1000中に導入した。得 られたプラスミドをpSMA500と称した。このベクターは、乳酸菌中で複製す ることができない。しかしながら、そのプラスミドが細菌の染色体中に挿入され るならば、エリスロマイシン耐性遺伝子が、ほとんどの乳酸菌で発現される。機 能的なプロモーターがpSMA500のポリリンカー中にクローン化されるとき、 宿主細菌は、付加的にβ−ガラクトシダーゼ遺伝子を発現するであろう。 実施例15 調節プロモーターのpSMA500中への挿入およびラクトコッカス染色体中への 組込み (i)プロモーターのpSMA500中への挿入 p170およびpSBからのプロモーターの調節は、実施例8に記載されている。 この実施例では、調節プロモーターP170を含むp170からのラクトコッカスDNA を、pSMA500中に挿入し、次いでこの構築時をラクトコッカス ラクチスM G1363の染色体中に組込んだ。同時に、調節プロモーターPSBを含むpSBか らのラクトコッカスDNAを、pSMA500中に挿入し、次いでこの構築物をラ クトコッカスラクチスMG1614の染色体中に組込んだ。 この実験は、キャンベル様組込みを通して染色体中に挿入された調節可能なプ ロモーターとβ−ガラクトシダーゼ遺伝子が、なおβ−ガラクトシダーゼの調節 発現を示すかどうか試験するために行われた。(ii)組込み可能ベクターpSMA501およびDSMA502の構築 実施例13に記載のpSMA212は、9.7kb XhoI−BamHIフラグメントを含んで いる。このフラグメントは、調節プロモーターP170を保有するp170の9.7kbラク トコッカスDNAセグメントと本質的に同じである。pSMA212からの9.7kbフ ラグメントをXhoIおよびBamHIで消化されたpSMA500中にクローン化した。得 られたプラスミドpSMA501をイー.コリMC1000中に導入し、形質転換細胞 を、Emr(250μg/ml)に関して選択した。 同時に、調節プロモーターPSBを保有するpGEM:SB(実施例8参照) からの1.8kb XhoI−BamHIラクトコッカスDNAフラグメントを、pSMA500中 にクローン化した。得られたプラスミドpSMA502をイー.コリMC1000中に 導入し、形質転換細胞を、Emr(250μg/ml)に関して選択した。標準DN A操作および形質転換は、Maniatis et al.,1982に従った。 (iii)pSMA501およびpSMA502のラクトコッカス染色体中への組込み 約2μgのpSMA501のキアゲン(Qiagen)(Qiagen PlasmidKit,Diagen,Du sseldorf,Germany)精製DNAをラクトコッカスラクチスMG1363中に導入した 。同時に、約2μgのpSMA502のキアゲン精製DNAをラクトコッカス ラ クチスMG1614中に導入した。ラクトコッカス ラクチスの形質転換は、実施例 1に記載のとおりであった。形質転換細胞を、1μg/mlのEmと160μg /mlのX-galを含むSGM17プレート上にプレーティングした。30℃で48時間 増殖させた後、青色の形質転換細胞のみが両方の同時セットのプレート上に現れ た。これらの結果は、pSMA501が菌株MG1363の染色体中に組込まれたこと 、およびpSMA502が菌株MG1614の染色体中に組込まれたことを示した。ま た、その結果は、各々pSMA501およびpSMA502上のプロモーターが、染色 体中に組込まれたとき機能的であることを示した。約5000コロニー形成単位(C FU)/μgDNAがpSMA501構築物を用いて得られ、約500CFU/μgD NAがpSMA502を用いて得られた。複製プラスミドpAK80を用いて、形質 転換効率は、両方の菌株で1×10EE7CFU/μgであった。菌株MG1363お よび菌株MG1614のpSMA500での形質転換は、5CFU/μgDNAより低 く、このことから、pSMA501およびpSMA502の組込みが、これらのベクタ ー上の染色体ラクトコッカス挿入物によって媒介されることが明らかに論証され た。それぞれの同時セットのプレートからの10の初代のランダムに採取された形 質転換細胞を、1μg/mlのEmと160μg/mlのX-galを含むGM17プレー ト上にストリークした。このストリーク後 に現れる全コロニーは、均一でかつ青色であった。形質転換細胞からのプラスミ ドDNA抽出は、細菌細胞中に染色体外的に検出可能なプラスミドDNAがない ことを示した。このことは、プラスミドpSMA501およびpSMA502が、受容 株の染色体中に組込まれたことを強く示した。図18は、非複製プラスミドのキ ャンベル様組込み(Campbell-like integration)を例証している。 組込まれたプラスミドの安定性を研究するために、両タイプの組込み体を、約 20世代の間Em選択なしで増殖させた。得られた培養物の適槻な希釈物を、X-ga lを含むMG17プレート上にプレーティングし、次いで選択プレートGM17+X-g al+1μg/mlエリスロマイシンに複製した。このプレート分析では、β−ガ ラクトシダーゼ活性の損失は検出されず、Em耐性が検出された。(iv)染色体上に組込み可能なベクターを保有するラクトコッカス菌株に関する 調節されたB−ガラクトシダーゼ発現の分折 β−ガラクトシダーゼの発現が、染色体に組込まれたpSMA501を保有する 菌株MG1363(菌株MG1363::pSMA501)および染色体に組込まれたpS MA502を保有する菌株MG1614(菌株MG1614::pSMA502)において調節 されるかどうか分析するために、以下の実験を行った。 6つのランダムに採取された菌株MG1363::pSMA501の再単離物を、G M17プレート上(1.2×M17寒天および0.5%グルコース)およびArgM17プレート (1.2×M17寒天、0.1%グルコースおよび0.1%アルギニン)上にストリークし た。両タイプのプレートは、1μg/mlのEmと160μg/mlのX-galを含ん でいた。単離物番号6、9、10、14および21は全て、GM17プレート上で青色であ り、ArgM17プレート上で白色であった。この結果は、これらの単離物におけるβ −ガラクトシダーゼ発現が、組込み体170(実施例7参照)におけるように、な おpH依存様式で調節されることを示している。単離物番号3は、GM17プレー ト上で青色であり、ArgM17プレート上で淡青色であった。両タイプのプレート上 でのこの単離物のより高レベルのβ−ガラクトシダーゼ発現は、おそらく、染色 体中への組込み可能なベクターの数コピーの組込みの結果か、または縦一列に並 んでいない(non-tandem)反復染色体DNA配列の増幅の結果である。 8つのランダムに採取された菌株MG1614::pSMA502の再単離物を、G M17プレート上およびArgM17プレート上にストリークした。両タイプのプレート は、1μg/mlのEmと160μg/mlのX-galを含んでいた。菌株MG1614: :pSMA502の全単離物、即ち単離物番号7、8、10、13、14、17、18および22 は全て、GM17プレート上で青色であり、ArgM17プレート上でわずかにより青色 であった。この結果は、菌株MG1614::pSMA502における少なくともある レベルのpH依存β−ガラクトシダーゼ発現を示している。しかしながら、この プレート分析では、β−ガラクトシダーゼ発現のレべル、従って菌株MG1614: :pSMA502と組込み体SBにおける調節の強さを比較することはできない。 実施例7および11では、0.5%グルコースが補われた1.5×M17および0.1% グルコースと0.1%アルギニンが補われた1.5×M17からなる培地は、それぞれG 1.5M17およびArg1.5M17と言及された。以下では、これらの培地を、それぞれG M17およびArgM17と称す。β−ガラクトシダーゼの活性を、それぞれGM17培地 (増殖後の pH5.6)およびArgM17培地(増殖後のpH6.7)で30℃17〜18時間増殖させた培 養物で測定した。GM17培地およびArgM17培地の両方とも、1μg/mlのエリ スロマイシンを含んでいた。菌株MG1363::pSMA501の3つの再単離物お よび菌株MG1614::pSMA502の2つの再単離物(reisolates)を、それぞ れβ−ガラクトシダーゼ活性に関して分析した。調節されたβ−ガラクトシダー ゼ発現の対照として、それぞれ組込み体170およびSBを実験に含めた。結果を 以下の表15aおよび15bに示す。表15a mg1316::pSMA501のβ−ガラクトシダーゼ活性 表15a mg1614::pSMA502のβ−ガラクトシダーゼ活性 β−ガラクトシダーゼ遺伝子の発現が菌株MG1363::pSMA501の全3つ の単離物で調節されることが、明らかに論証される。各々の単離物における調節 は、組込み体170で観察される調節と同様である。 β−ガラクトシダーゼ活性 レベルの違いは、おそらく、染色体上のpSMA501のコピー数の違いによる。 しかしながら、表15bに示された結果から、MG1614::pSMA502の2つ の単離物において調節もしくは非調節β−ガラクトシダーゼ発現があるかどうか 結論づけることは困難である。 実施例16pTV32およびpLTV1でのラクトバシラス ヘルベティクス(Lactobacillu s helveticus)の形質転換 転位ベクターpTV32およびpLTV1の各々を、Bhowmik et al.,1993によ って記載された方法に従って、ラクトバシラス ヘルベティ クスCNRZ32中に電気さく孔(electroporated)した。宿主にCm耐性を付与 するベクタ−pNZ18(NIZO,BA Ede,オランダ)も、形質転換効率 の対照として菌株CNRZ32中に導入した。 エレクトロポレーション後、形質転換した細胞を、10mMCaCl2と形質転 換に用いたベクターに依存する抗生物質を含むMRS寒天(Oxoid)上にプレー ティングした。形質転換細胞の選択に用いた抗生物質とその濃度は、以下の表1 6に与えられている。表16には、形質転換からの結果も与えられている。表中 の空白スペースは、この実験が行われなかったことを示す。表16 ラクトバシラス ヘルベティクスCNRZ32中へのpTV32およびpL TV1の形質転換 10のpTV32形質転換細胞と10のpLTV1形質転換細胞を、10μg/mlの Emを含むMRS寒天上にストリークした。20の形質転換細胞の各々からの再単 離したコロニーを、5μg/mlのEmを含むMRS肉汁(Oxoid)に接種し、O 'Sullivan et al.,1993に従って、プラスミド抽出を行った。プラスミド抽出調 製物を、EcoRIで消化し、次いでアガロースゲル電気泳動分析に付した。 プラスミドDNAは、これらのプラスミド抽出物のいずれにおいても検出され なかった。上記表から、プラスミドDNAのμg当たり、それぞれエリスロマイ シン耐性を発現する130および140の形質転換細胞が得られたことが明らかである ので、エリスロマイシン耐性を発現する試験された形質転換細胞のいずれにおい てもプラスミドDNAが検出されなかったという事実から導き出せる唯一の結論 は、形質転換細胞中に導入されたDNAが、ラクトバシラス ヘルベティクスの 染色体に組込まれたということである。 従って、上記結果は、上記Tn917誘導体が、この発明に従ってラクトバシラス 種においても用いることができるという強い指示を提供する。 参考文献 寄託された微生物に関する表示 (PCT Rule 12bis) 追加のシート 明細書の129頁に示した微生物に加えて、以下の微生物が、DSM-Deutsche Sammlu ng von Mikroorganismen und CellkulturenGmbH,Mascheroder Weg 1b,D-38124 B raunschweig,Germanyに、以下に記載の日および受託番号で寄託されている。 上記寄託された全微生物に関して、以下の追加の表示を与える。 各々の指定国の各々の特許庁に関して、出願人は、上記寄託された微生物のサ ンプルを、特許が許可される日または出願が拒絶もしくは 取り下げもしくは取り下げとみなされた日まで、要求者によって指名された専門 家に対して入手可能にすることを要求する。
【手続補正書】特許法第184条の8 【提出日】1995年2月20日 【補正内容】 請求の範囲 1.(i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてブロモーターレス構造遺伝 子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸 菌中で機能的である複製起点からなる乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、 (ii)そのDNA分子を乳酸菌の集団に導入し、その集団を転位因子の転位を起 こさせる条件下に置き、 (iii)プロモーターレス遺伝子が発現される乳酸菌集団の細胞を選択し、 (iv)その細胞をクローニングし、そのクローンから、原プロモーターレス遺伝 子に作動的に結合した乳酸菌プロモーターからなるDNAフラグメントを単離す る 工程からなる、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法。 2.工程(iv)において単離されるDNAフラグメントから、さらにプロモータ ーからなる乳酸菌DNAサブフラグメントを単離する請求項1記載の方法。 3.転位因子が、少なくとも擬似ランダムに乳酸菌レプリコン中に組込まれるよ うになるものである請求項1記載の方法。 4.乳酸菌レプリコンが、染色体である請求項3記載の方法。 5.転位因子が、トランスポゾンTn917である請求項1記載の方法。 6.工程(i)のDNA分子が、pTVプラスミドである請求項1記載の方法。 7.DNA分子が、pTV32およびpLTV1から選択される請求項6記 載の方法。 8.プロモーターレス構造遺伝子が、抗生物質耐性を与える遺伝子産物をコード する遺伝子、栄養要求性欠失を補足する遺伝子産物をコードする遺伝子および検 出可能な最終産物を有する酵素をコードする遺伝子から選択される請求項1記載 の方法。 9.プロモーターレス構造遺伝子が、β−ガラクトシダーゼをエンコードする遺 伝子である請求項8記載の方法。 10.DNA分子が導入される乳酸菌の集団が、ラクトコッカス種、ストレプトコ ッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペデイオコッカス種、ブレ ビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種か ら選択される請求項1記載の方法。 11.集団が、ラクトコッカス ラクチスから選択される乳酸菌である請求項10記 載の方法。 12.乳酸菌が、菌株MG1614およびMG1363から選択されるラクトコッカス ラ クチス亜種ラクチス菌株である請求項11記載の方法。 13.単離プロモーターが、調節可能なプロモーターである請求項1記載の方法。 14.単離調節可能プロモーターが、pH、生育温度、熱ショック遺伝子の発現を 引き出す温度シフト、イオン強度/NaCl含量を含む増殖培地組成およびプリ ンヌクレオチド前駆体の存在/欠如、およびプロモーターからなるDNA分子が 導入されている乳酸菌の発育相/成長速度から選択される因子によって調節可能 である請求項13記載の方法。 15.(i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるD NAフラグメントを単離し、 (ii)そのプロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物を コードする遺伝子の上流で乳酸菌中に挿入し、それによって挿入したプロモータ ーを前記遺伝子と作動的に結合させる工程からなる組換え乳酸菌の構築方法。 16.(i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるD NAフラグメントを単離し、 (ii)所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を乳酸菌中に挿入し、 (iii)プロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物をコ ードする遺伝子の上流で工程(ii)から得られる乳酸菌中に挿入し、それによっ て挿入したプロモーターを前記遺伝子と作動的に結合させる 工程からなる組換え乳酸菌の構築方法。 17.所望の遺伝子産物をコードする挿入遺伝子が、異種遺伝子である請求項16記 載の方法。 18.挿入遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項16記載の方法。 19.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、プロモーターからなる単離フラグ メントと同じDNAフラグメント上に挿入される請求項16記載の方法。 20.プロモーターからなる単離フラグメントが、乳酸菌の染色体中に挿入される 請求項15または16記載の方法。 21.プロモーターからなる単離フラグメントが、染色体外的に挿入される請求項 15または16記載の方法。 22.プロモーターからなる単離フラグメントが、さらなるDNAフラグメントか らなり、それによって単離プロモーターが、プロモーターの組換え除去、プロモ ーター機能に実際的に必要とされる物質をコー ドする遺伝子の組換え除去、およびプロモーターの機能を阻害する調節DNAフ ラグメントの組換え除去から選択される確率事象によって調節されるようになる 請求項15または16記載の方法。 23.さらなるフラグメントが、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え 除去するものである請求項22記載の方法。 24.(i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝 子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸 菌中で機能的である複製起点からなる乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、 (ii)転位因子の転位を起こさせる条件下で、工程(i)のDNA分子を乳酸菌 の集団中に導入し、 (iii)プロモーターレス構造遺伝子が、乳酸菌細胞の天然の調節可能なプロモ ーターに作動的に結合した結果として調節可能に発現されている乳酸菌集団の細 胞を選択し、 (iv)工程(iii)の乳酸菌細胞のレプリコンにおける、転位因子の組込みが可 能な部位を同定し、 (v)工程(iv)で同定したレプリコンの部位または機能的に同等の部位で、乳 酸菌集団の非組込み細胞中に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を挿入し、 それによってその遺伝子を前記天然の乳酸菌プロモーターに作動的に結合させる 工程からなり、ここで挿入した遺伝子の発現が、その天然のプロモーターに作動 的に結合したときの遺伝子の発現と比較すると変化している組換え乳酸菌の構築 方法。 25.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項24記載の 方法。 26.遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項25記載の方法。 27.工程(i)のDNA分子が、乳酸菌の染色体中に転位する請求項24記載の方 法。 28.工程(i)のDNA分子が、染色体外レプリコン中に転位する請求項24記載 の方法。 29.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と、それらに作動的に結合された、そ の遺伝子に天然では関連していない乳酸菌種に由来する調節プロモーターからな り、前記プロモーターの存在によって、その遺伝子の発現が、その天然のプロモ ーターに作動的に結合したときの遺伝子の発現に比べると変化されている組換え 乳酸菌。 30.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然で発現されるレベルとは少な くとも10%異なるレベルで発現される請求項29記載の細菌。 31.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然で発現されるレベルとは少な くとも25%異なるレベルで発現される請求項30記載の細菌。 32.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体遺伝子である請求項29記載 の細菌。 33.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体外遺伝子である請求項29記 載の細菌。 34.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然の遺伝子である請求項29記載 の細菌。 35.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項29記載の 細菌。 36.異種遺伝子でが、乳酸菌由来のものである請求項35記載の細菌。 37.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と天然では関連していないプロモータ ーが 、pH、生育温度、熱シヨック遺伝子の発現を引き出す温度シフト、イオン 強度/NaCl含量を含む増殖培地組成およびプリンヌクレオチド前駆体の存在 /欠如、および細菌の発育相/成長速度から選択される因子によって調節可能で ある請求項29記載の細菌。 38.さらなるDNA配列からなり、それによってプロモーターが確率事象により 調節されるようになる請求項29記載の細菌。 39.さらなる配列が、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え除去する ものである請求項38記載の細菌。 40.プロモーターが、ランナウェイ挙動を有するプラスミド上に位置する請求項 29記載の細菌。 41.ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノス トック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウ ム種およびビフィドバクテリウム種から選択されるものである請求項29記載の細 菌。 42.プロモーターが、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラ ス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、ブロ ピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種由来のものである請求項32 記載の細菌。 43.プロモーターが、ラクトコッカス ラクチス由来のものである請求項42記載 の細菌。 44.プロモーターが、菌株MG1614および菌株MG1363から単離されるプロモー ターから選択されるプロモーターである請求項43記載の細菌。 45.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、レプリコンに存在するプロモータ ーの制御下にあるレプリコンの部位に挿入され、その部位は、プロモーターレス 構造遺伝子からなる転位因子を用いてプロモーターレス構造遺伝子を挿入しそれ によって原プロモーターレス遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動 的に結合されることにより発現可能になることによって同定可能であり、前記遺 伝子の前記部位での挿入により、前記遺伝子がレプリコンに存在するプロモータ ーに作動的に結合されるようになる請求項29記載の細菌。 46.挿入遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項45記載の細菌。 47.遺伝子が、乳酸菌の染色体中に挿入される請求項45記載の細菌。 48.遺伝子が、染色体外レプリコン中に挿入される請求項45記載の細菌。 49.挿入遺伝子が、相同遺伝子である請求項45記載の細菌。 50.挿入遺伝子が、異種遺伝子である請求項45記載の細菌。 51.挿入異種遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項50記載の細菌。 52.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペ プチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代 謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産 物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、 バクテリオフアージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素を コードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求 項29または45記載の細菌。 53.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種の lacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼ をコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択される請求 項52記載の細菌。 54.乳酸菌中で機能的である乳酸菌種由来の調節プロモーターと、それらに作動 的に結合された所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、前記プロモータ ーが、前記遺伝子と天然では関連していないものである単離DNAフラグメント 。 55.さらに少なくとも1つの転写ターミネーターからなる請求項54記載のDNA フラグメント。 56.100〜10000塩基対の範囲内のサイズを有するDNAフラグメントである請求 項54記載のDNAフラグメント。 57.200〜5000塩基対の範囲のサイズを有するフラグメントである請求項56記載 のDNAフラグメント。 58.さらに、プロモーターの調節に関連した遺伝子産物をコードする配列からな る請求項54記載のDNAフラグメント。 59.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペ プチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代 謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産 物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、 バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素を コードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求 項54記載のDNAフラグメント。 60.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項54記載の DNAフラグメント。 61.遺伝子が、乳酸菌に由来する遺伝子である請求項54記載のDNAフラグメン ト。 62.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種のlacL遺伝子 、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼをコードす るラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択されるものである請求 項61記載のDNAフラグメント。 63.乳酸菌プロモーターが、受託番号DSM 7360として寄託されたラクトコッ カス ラクチス亜種ラクチスMG1363組込み体クローンP139-170に作動的に結合 した調節プロモーターである 請求項54記載のDNAフラグメント。 64.乳酸菌プロモーターが、受託番号DSM 7361として寄託されたラクトコッ カス ラクチス亜種ラクチスMG1614組込み体クローン63bに作動的に結合した プロモーターである 請求項54記載のDNAフラグメント。 65.食品製造における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用途。 66.動物飼料の保存における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用途。 67.原生物的に活性な組成物の製造における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用 途。 68.調節プロモーターが、乳酸菌のtRNAプロモーター、rRNAプロモータ ー、purDプロモーターおよびモティーフAGTTからなるプロモーターから選択 されるプロモーターである請求項29記載の細菌。 69.調節プロモーターが、所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝 子、細菌中で機能的であるθ複製乳酸菌レプリコン、DNA配列を所望の遺伝子 産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動 的に結合されて遺伝子が転写されるように挿入させる挿入部位からなるベクター に挿入されている請求項29記載の細菌。 70.ベクターが、受託番号DSM8496として寄託されたプラスミドpAK80であ る請求項69記載の細菌。 71.(i)所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子からなるベク ター、(ii)乳酸菌中で機能的であるθ複製乳酸菌レプリコンおよび(iii)D NA配列を挿入させる挿入部位からなり、その挿入部位に乳酸菌種由来の調簡プ ロモーターからなる DNA配列が挿入されており、その挿入によって所望の遺伝 子産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されてその遺伝子が転 写されるようになる組換えプラスミド。 72.ベクターが、pAK80である請求項71記載のプラスミド。 73.挿入されている調節プロモーターが、乳酸菌のtRNAプロモーター、rR NAプロモーター、purDプロモーター、およびモティーフAGTTからなるプ ロモーターから選択される強力なプロモーターである請求項71記載のプラスミド 。 【手続補正書】 【提出日】1995年6月27日 【補正内容】 補正の内容 1.明細書第98頁のDNA配列の左側の塩基番号「751」、「801」、「 851」、「901」、「951」、 「1001」、「1051」及び「11 01」を、それぞれ『701』、『751』、『801』、『851』、『90 1』、『951』、『1001』及び『1051』に補正する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI //(C12N 15/09 ZNA C12R 1:21) (C12N 1/21 C12R 1:01) C12R 1:21) (81)指定国 EP(AT,BE,CH,DE, DK,ES,FR,GB,GR,IE,IT,LU,M C,NL,PT,SE),OA(BF,BJ,CF,CG ,CI,CM,GA,GN,ML,MR,NE,SN, TD,TG),AU,BB,BG,BR,BY,CA, CN,CZ,CZ,DE,DE,DK,DK,FI,F I,HU,JP,KP,KR,KZ,LK,LV,MG ,MN,MW,NO,NZ,PL,RO,RU,SD, SK,SK,UA,US,UZ,VN (72)発明者 ハンセン,エゴン,ベク デンマーク、ディケィ―2700 ブロンショ イ、ダルバンゲン 22 (72)発明者 ヨハンセン,エリック デンマーク、ディケィ―2970 ホルショル ム、ゴゲバング 8 (72)発明者 マドセン,ショレン,ミカエル デンマーク、ディケィ―2100 コペンハー ゲン ファイ、アルボルガード 32、5 (72)発明者 ニルソン,ダン デンマーク、ディケィ―2100 コペンハー ゲン ファイ、ヘルムスガード 7、3 (72)発明者 ブラング,アストリド デンマーク、ディケィ―2800 リングビ ィ、ラングス ヘグネト 76

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 1.(i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝 子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸 菌中で機能的である複製起点からなる乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、 (ii)そのDNA分子を乳酸菌の集団に導入し、その集団を転位因子の転位を起 こさせる条件下に置き、 (iii)プロモーターレス遺伝子が発現される乳酸菌集団の細胞を選択し、 (iv)その細胞をクローニングし、そのクローンから、原プロモーターレス遺伝 子に作動的に結合した乳酸菌プロモーターからなるDNAフラグメントを単離す る 工程からなる、プロモーターからなる乳酸菌DNAフラグメントの単離方法。 2.工程(iv)において単離されるDNAフラグメントから、さらにプロモータ ーからなる乳酸菌DNAサブフラグメントを単離する請求項1記載の方法。 3.転位因子が、少なくとも擬似ランダムに乳酸菌レプリコン中に組込まれるよ うになるものである請求項1記載の方法。 4.乳酸菌レプリコンが、染色体である請求項3記載の方法。 5.転位因子が、トランスポゾンTn917である請求項1記載の方法。 6.工程(i)のDNA分子が、pTVプラスミドである請求項1記載の方法。 7.DNA分子が、pTV32およびpLTV1から選択される請求項6記 載の方法。 8.プロモーターレス構造遺伝子が、抗生物質耐性を与える遺伝子産物をコード する遺伝子、栄養要求性欠失を補足する遺伝子産物をコードする遺伝子および検 出可能な最終産物を有する酵素をコードする遺伝子から選択される請求項1記載 の方法。 9.プロモーターレス構造遺伝子が、β−ガラクトシダーゼをエンコードする遺 伝子である請求項8記載の方法。 10.DNA分子が導入される乳酸菌の集団が、ラクトコッカス種、ストレプトコ ッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレ ビバクテリウム種、プロピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種か ら選択される請求項1記載の方法。 11.集団が、ラクトコッカス ラクチスから選択される乳酸菌である請求項10記 載の方法。 12.乳酸菌が、菌株MG1614およびMG1363から選択されるラクトコツカス ラ クチス亜種ラクチス菌株である請求項11記載の方法。 13.単離プロモーターが、調節可能なプロモーターである請求項1記載の方法。 14.単離調節可能プロモーターが、pH、生育温度、熱ショック遺伝子の発現を 引き出す温度シフト、イオン強度/NaCl含量を含む増殖培地組成およびプリ ンヌクレオチド前駆体の存在/欠如、およびプロモーターからなるDNA分子が 導入されている乳酸菌の発育相/成長速度から選択される因子によって調節可能 である請求項13記載の方法。 15.(i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるD NAフラグメントを単離し、 (ii)そのプロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物を コードする遺伝子の上流で乳酸菌中に挿入し、それによって挿入したプロモータ ーを前記遺伝子と作動的に結合させる工程からなる組換え乳酸菌の構築方法。 16.(i)請求項1の方法に従って、調節可能な乳酸菌プロモーターからなるD NAフラグメントを単離し、 (ii)所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を乳酸菌中に挿入し、 (iii)プロモーターからなる単離したフラグメントを、所望の遺伝子産物をコ ードする遺伝子の上流で工程(ii)から得られる乳酸菌中に挿入し、それによっ て挿入したプロモーターを前記遺伝子と作動的に結合させる 工程からなる組換え乳酸菌の構築方法。 17.所望の遺伝子産物をコードする挿入遺伝子が、異種遺伝子である請求項16記 載の方法。 18.挿入遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項16記載の方法。 19.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、プロモーターからなる単離フラグ メントと同じDNAフラグメント上に挿入される請求項16記載の方法。 20.プロモーターからなる単離フラグメントが、乳酸菌の染色体中に挿入される 請求項15または16記載の方法。 21.プロモーターからなる単離フラグメントが、染色体外的に挿入される請求項 15または16載の方法。 22.プロモーターからなる単離フラグメントが、さらなるDNAフラグメントか らなり、それによって単離プロモーターが、プロモーターの組換え除去、プロモ ーター機能に実際的に必要とされる物質をコー ドする遺伝子の組換え除去、およびプロモーターの機能を阻害する調節DNAフ ラグメントの組換え除去から選択される確率事象によって調節されるようになる 請求項15または16記載の方法。 23.さらなるフラグメントが、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え 除去するものである請求項22記載の方法。 24.(i)(a)プロモータープローブ遺伝子としてプロモーターレス構造遺伝 子からなる転位因子、(b)検出可能な選択マーカー遺伝子、および(c)乳酸 菌中で機能的である複製起点からなる乳酸菌中で複製するDNA分子を選択し、 (ii)転位因子の転位を起こさせる条件下で、工程(i)のDNA分子を乳酸菌 の集団中に導入し、 (iii)プロモーターレス構造遺伝子が、乳酸菌細胞の天然の調節可能なプロモ ーターに作動的に結合した結果として調節可能に発現されている乳酸菌集団の細 胞を選択し、 (iv)工程(iii)の乳酸菌細胞のレプリコンにおける、転位因子の組込みが可 能な部位を同定し、 (v)工程(iv)で同定したレプリコンの部位または機能的に同等の部位で、乳 酸菌集団の非組込み細胞中に、所望の遺伝子産物をコードする遺伝子を挿入し、 それによってその遺伝子を前記天然の乳酸菌プロモーターに作動的に結合させる 工程からなり、ここで挿入した遺伝子の発現が、その天然のプロモーターに作動 的に結合したときの遺伝子の発現と比較すると変化している組換え乳酸菌の構築 方法。 25.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項24記載の 方法。 26.遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項25記載の方法。 27.工程(i)のDNA分子が、乳酸菌の染色体中に転位する請求項24記載の方 法。 28.工程(i)のDNA分子が、染色体外レプリコン中に転位する請求項24記載 の方法。 29.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子と、それらに作動的に結合された、そ の遺伝子に天然では関連していない調節可能な乳酸菌プロモーターからなり、前 記プロモーターの存在によって、その遺伝子の発現が、その天然のプロモーター に作動的に結合したときの遺伝子の発現に比べると変化されている組換え乳酸菌 。 30.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然で発現されるレベルとは少な くとも10%異なるレベルで発現される請求項29記載の細菌。 31.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然で発現されるレベルとは少な くとも25%異なるレベルで発現される請求項30記載の細菌。 32.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体遺伝子である請求項29記載 の細菌。 33.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、染色体外遺伝子である請求項29記 載の細菌。 34.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、天然の遺伝子である請求項29記載 の細菌。 35.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項29記載の 細菌。 36.異種遺伝子でが、乳酸菌由来のものである請求項35記載の細菌。 37.挿入される調節可能なプロモーターが、pH、生育温度、熱ショック遺伝子 の発現を引き出す温度シフト、イオン強度/NaCl含量を含む増殖培地組成お よびプリンヌクレオチド前駆体の存在/欠如、および細菌の発育相/成長速度か ら選択される因子によって調節可能である請求項29記載の細菌。 38.プロモーターからなる単離配列が、さらなる配列からなり、それによってプ ロモーターが確率事象により調節されるようになる請求項29記載の細菌。 39.さらなる配列が、プロモーターの機能を阻害する調節配列を組換え除去する ものである請求項38記載の細菌。 40.プロモーターが、ランナウェイ挙動を有するプラスミド上に位置する請求項 29記載の細菌。 41.ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラス種、ロイコノス トック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロピオニバクテリウ ム種およびビフィドバクテリウム種から選択されるものである請求項29記載の細 菌。 42.プロモーターが、ラクトコッカス種、ストレプトコッカス種、ラクトバシラ ス種、ロイコノストック種、ペディオコッカス種、ブレビバクテリウム種、プロ ピオニバクテリウム種およびビフィドバクテリウム種由来のものである請求項32 記載の細菌。 43.プロモーターが、ラクトコッカス ラクチス由来のものである請求項42記載 の細菌。 44.プロモーターが、菌株MG1614および菌株MG1363から単離されるプロモー ターから選択されるプロモーターである請求項43記載の細菌。 45.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、レプリコンに存在するプロモータ ーの制御下にあるレプリコンの部位に挿入され、その部位は、プロモーターレス 構造遺伝子からなる転位因子を用いてプロモーターレス構造遺伝子を挿入しそれ によって原プロモーターレス遺伝子がレプリコンに存在するプロモーターに作動 的に結合されることにより発現可能になることによって同定可能であり、前記遺 伝子の前記部位での挿入により、前記遺伝子がレプリコンに存在するプロモータ ーに作動的に結合されるようになる請求項29記載の細菌。 46.挿入遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項45記載の細菌。 47.遺伝子が、乳酸菌の染色体中に挿入される請求項45記載の細菌。 48.遺伝子が、染色体外レプリコン中に挿入される請求項45記載の細菌。 49.挿入遺伝子が、相同遺伝子である請求項45記載の細菌。 50.挿入遺伝子が、異種遺伝子である請求項45記載の細菌。 51.挿入異種遺伝子が、乳酸菌由来のものである請求項50記載の細菌。 52.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペ プチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代 謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産 物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、 バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素を コードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求 項29または45記載の細菌。 53.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種の lacL遺伝子、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼ をコードするラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択される請求 項52記載の細菌。 54.乳酸菌中で機能的である乳酸菌プロモーターと、それらに作動的に結合され た所望の遺伝子産物をコードする遺伝子からなり、前記プロモーターが、前記遺 伝子と天然では関連していないものである単離DNAフラグメント。 55.さらに少なくとも1つの転写ターミネーターからなる請求項54記載のDNA フラグメント。 56.100〜10000塩基対の範囲内のサイズを有するDNAフラグメントである請求 項54記載のDNAフラグメント。 57.200〜5000塩基対の範囲のサイズを有するフラグメントである請求項56記載 のDNAフラグメント。 58.さらに、プロモーターの調節に関連した遺伝子産物をコードする配列からな る請求項54記載のDNAフラグメント。 59.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、リパーゼをコードする遺伝子、ペ プチダーゼをコードする遺伝子、プロテアーゼをコードする遺伝子、炭水化物代 謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、クエン酸代謝に関連した遺伝子産 物をコードする遺伝子、プリン代謝に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、 バクテリオファージ耐性に関連した遺伝子産物をコードする遺伝子、溶菌酵素を コードする遺伝子およびバクテリオシンをコードする遺伝子から選択される請求 項54記載のDNAフラグメント。 60.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、異種遺伝子である請求項54記載の DNAフラグメント。 61.遺伝子が、乳酸菌に由来する遺伝子である請求項54記載のDNAフラグメン ト。 62.所望の遺伝子産物をコードする遺伝子が、ロイコノストック種のlacL遺伝子 、ロイコノストック種のlacM遺伝子およびリジンアミノペプチターゼをコードす るラクトコッカス ラクチス亜種ラクチス遺伝子から選択されるものである請求 項61記載のDNAフラグメント。 63.乳酸菌プロモーターが、受託番号DSM7360として寄託されたラクトコツカ ス ラクチス亜種ラクチスMG1363組込み体クローンP139−170中に含まれる調 節可能なプロモーターである請求項54記載のDNAフラグメント。 64.乳酸菌プロモーターが、受託番号DSM7361として寄託されたラクトコッカ ス ラクチス亜種ラクチスMG1614組込み体クローン63b中に含まれるプロモー ターである請求項54記載のDNAフラグメント。 65.食品製造における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用途。 66.動物飼料の保存における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用途。 67.原生物的に活性な組成物の製造における請求項29に定義の組換え乳酸菌の用 途。 68.調節可能なプロモーターが、乳酸菌のtRNAプロモーター、rRNAプロ モーター、purDプロモーターおよびモティーフAGTTからなるプロモーター から選択されるプロモーターである請求項29記載の細菌。 69.調節可能な乳酸菌プロモーターが、所望の遺伝子産物をコードするプロモー ターレス遺伝子、細菌中で機能的であるθ複製乳酸菌レプリコン、DNA配列を 所望の遺伝子産物をコードする遺伝子がプロモ ーターに作動的に結合されて遺伝子が転写されるように挿入させる挿入部位から なるベクター中に挿入されている請求項29記載の細菌。 70.ベクターが、受託番号DSM8496として寄託されたプラスミドpAK80であ る請求項69記載の細菌。 71.(i)所望の遺伝子産物をコードするプロモーターレス遺伝子からなるベク ター、(ii)乳酸菌中で機能的であるθ複製乳酸菌レプリコンおよび(iii)D NA配列を挿入させる挿入部位からなり、その挿入部位に調節可能な乳酸菌プロ モーターからなるDNA配列が挿入されており、その挿入によって所望の遺伝子 産物をコードする遺伝子がプロモーターに作動的に結合されてその遺伝子が転写 されるようになる組換えプラスミド。 72.ベクターが、pAK80である請求項71記載のプラスミド。 73.挿入されている調節可能なプロモーターが、乳酸菌のtRNAプロモーター 、rRNAプロモーター、purDプロモーター、およびモティーフAGTTから なるプロモーターから選択される強力なプロモーターである請求項71記載のプラ スミド。
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