JPH0849061A - 誘電体薄膜の製造方法及びその製造装置 - Google Patents

誘電体薄膜の製造方法及びその製造装置

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JPH0849061A
JPH0849061A JP7131565A JP13156595A JPH0849061A JP H0849061 A JPH0849061 A JP H0849061A JP 7131565 A JP7131565 A JP 7131565A JP 13156595 A JP13156595 A JP 13156595A JP H0849061 A JPH0849061 A JP H0849061A
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JP
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thin film
film
heater
dielectric thin
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JP7131565A
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English (en)
Inventor
Kazuki Komaki
一樹 小牧
Shigenori Hayashi
重徳 林
Takeshi Kamata
健 鎌田
Masatoshi Kitagawa
雅俊 北川
Hideo Torii
秀雄 鳥井
Ryoichi Takayama
良一 高山
Takashi Hirao
孝 平尾
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 多量の基板を設置できる大型スパッタリング
装置において、安定でかつ均質性良く薄膜を得る。 【構成】 基板加熱ヒーター1として、カーボンヒータ
ーに窒化ホウ素薄膜をコーティングしたP−BNヒータ
ーを用いる。P−BNヒーター1から下方5mmの位置
に、厚さ2mmの黒体ステンレス板を均熱板4として設
置し、この均熱板(基板支持ホルダー)4にMgO基板
2を装着する。基板支持ホルダー4は20mm×20m
mのMgO基板2を21枚設置可能な構造にする。真空
槽内におけるMgO基板2と原料ターゲット3との間の
距離を100mmにする。MgO基板2と原料ターゲッ
ト3との間に付加加熱板5を設置する。付加加熱板5と
しては、幅2cm、厚さ5mmの物を用い、基板支持ホ
ルダー4の下方2cmの位置に配置する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、薄膜の製造方法及びそ
の製造装置に関し、特に、誘電体薄膜の製造方法及びそ
の製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】薄膜化技術は、エレクトロニクス分野、
特に、半導体製造プロセスを中心に発展し、新材料の開
発と共に進歩してきた。これらの薄膜は、単体元素の場
合はごくまれで、一般に合金あるいは化合物である場合
が多く、形成方法によって特性が著しく変化する。これ
ら新材料の創成及びそのデバイス化は、人工格子材料な
どに代表されるように、薄膜化技術の向上によるところ
が多い。
【0003】近年注目されている薄膜材料に、ABO3
で構成されるペロブスカイト型構造を有する誘電体材料
がある。ここで、Aサイトは、Pb、Ba、Sr及びL
aから選ばれる少なくとも1種の元素を含み、Bサイト
は、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を
含む。(Pb1-x Lax )(Zry Ti1-y 1-x/4
3 系、BaTiO3 系に代表される強誘電体は、優れた
強誘電性、圧電性、焦電性、電気光学特性等を示し、こ
れを利用した種々の機能デバイスが検討されている。特
に、半導体ICの分野においては、新しいデバイス、不
揮発性メモリーへの応用が期待されている。また、Sr
TiO3 系は強誘電性こそ示さないものの、高誘電率材
料として超高密度DRAMのキャパシタ絶縁膜への応用
が期待されている。
【0004】これらの材料の特性の向上あるいは集積化
のためには、その薄膜化が非常に重要である。その高性
能化を考えた場合、単結晶薄膜あるいは配向膜であるこ
とが望ましい。これらに関する研究は、様々な薄膜堆積
法に基づいて、多くの研究機関で行われてきた。また、
これらの誘電体薄膜に限らず、同時に大量の膜を得るた
めの薄膜堆積法についても様々な研究がなされてきてお
り、大型スパッタリング装置を用いた成膜も行われてい
る。しかし、組成、結晶構造等を制御して所望の特性を
持った薄膜を常に安定して、かつ大量に得ることは、一
般には容易ではなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】薄膜の結晶性は、基本
的に基板材料・化学組成・形成温度で制御される。酸化
物誘電体の薄膜化において従来最も一般的に用いられて
いたスパッタリング法では、ターゲット材料である酸化
物焼結体と形成された被膜との間で、化学組成にずれが
生じ易く、しかもスパッタリング条件に大きく左右され
ていた。また、真空槽内におけるターゲット−基板ホル
ダー間でのプラズマ密度には大きな分布があり、大型の
スパッタリング装置を用いる際には、いかに均一に安定
な被膜を得るかということが問題となる。この問題は、
基板を設置する面積が大きい程、影響が大きくなり、同
時に多くの基板上に薄膜を堆積する際、組成や構造のば
らつきの原因となる。さらに、量産段階ではスループッ
トを上げる上で堆積速度の向上が望まれるが、非平衡状
態において高速で形成された薄膜は、結晶粒の大きさが
小さいなど、モフォロジーが悪くなり、安定性を欠くな
どの問題が生じ易い。これらのことから、従来は、同様
の膜特性を有する薄膜を同時にかつ大量に得ることは容
易でなかった。
【0006】本発明は、従来技術における前記課題を解
決するため、多量の基板を設置できる大型スパッタリン
グ装置において、安定でかつ均質性良く薄膜を得ること
のできる誘電体薄膜の製造方法及びその製造装置を提供
することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明に係る誘電体薄膜の製造方法は、基板上にA
BO3 で構成されるペロブスカイト型複合化合物被膜を
堆積させて製造する方法であって、基板上に被膜を堆積
させる際に、基板加熱ヒーターとは別に設置した熱源に
よって周期的に被膜の表面側から加熱を行うことを特徴
とする。ここで、Aサイトは、Pb、Ba、Sr及びL
aから選ばれる少なくとも1種の元素を含み、Bサイト
は、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を
含む。
【0008】また、本発明に係る誘電体薄膜の製造装置
は、基板上にABO3 で構成されるペロブスカイト型複
合化合物被膜を堆積させて製造する装置であって、基板
加熱ヒーターとは別に、周期的に被膜の表面側から加熱
を行う手段を備えたことを特徴とする。ここで、Aサイ
トは、Pb、Ba、Sr及びLaから選ばれる少なくと
も1種の元素を含み、Bサイトは、Ti及びZrから選
ばれる少なくとも1種の元素を含む。
【0009】また、前記本発明装置の構成においては、
周期的に被膜の表面側から加熱を行う手段として、基板
と蒸着源との間に加熱ヒーター板を設置するのが好まし
い。この場合にはさらに、加熱ヒーター板が、スパッタ
粒子を透過させる部分と、ヒーター部分とからなるのが
好ましい。また、この場合には、加熱ヒーター板の材料
に絶縁物を用いるのが好ましい。
【0010】
【作用】前記本発明方法の構成によれば、基板上に被膜
を堆積させる際に、基板加熱ヒーターとは別に設置した
熱源によって周期的に被膜の表面側から加熱を行うこと
により、多量の基板を設置できる大型スパッタリング装
置において、安定でかつ均質性良く薄膜を得ることがで
きる。すなわち、大型のスパッタリング装置を用いる場
合には、いかに均一性良く多量の被膜を得るかというこ
とが問題となる。これらの問題は、基板を設置する面積
が大きい程影響が大きくなり、同時に多くの基板上に薄
膜を堆積する場合には、組成や構造のばらつきはある程
度避けられない。このことから、従来においては、同様
の膜特性を有する薄膜を同時にかつ大量に得ることは容
易でなかった。本発明方法の構成においては、基板上に
ペロブスカイト型複合化合物被膜を堆積させる際に、基
板加熱ヒーターとは別に設置した熱源によって周期的に
被膜の表面側から加熱を行うようにしたので、堆積した
薄膜を逐次安定化させ、誘電体薄膜の高品質化を図るこ
とができる。
【0011】また、前記本発明装置の構成によれば、多
量の基板を設置できる大型スパッタリング装置におい
て、安定でかつ均質性良く薄膜を得ることのできる誘電
体薄膜の製造装置を実現することができる。
【0012】また、前記本発明装置の構成において、周
期的に被膜の表面側から加熱を行う手段として、基板と
蒸着源との間に加熱ヒーター板を設置するという好まし
い構成によれば、別途スペースを確保することなく付加
加熱機構を設けることができるので、装置が大型化して
しまうことはない。この場合、さらに、加熱ヒーター板
が、スパッタ粒子を透過させる部分と、ヒーター部分と
からなるという好ましい構成によれば、基板支持ホルダ
ーを回転させることにより、原料ターゲットから直接ス
パッタ粒子が基板に飛来する堆積工程と、堆積とともに
被膜を付加加熱板によってその表面側から付加加熱を行
い、被膜の結晶性を向上、安定化させる安定化工程との
2つの工程を周期的に繰り返すことができるので、平均
堆積速度をそれ程下げることなく被膜の高品質化を図る
ことができる。また、この場合、加熱ヒーター板の材料
に絶縁物を用いるという好ましい構成によれば、加熱ヒ
ーター板の存在による放電の乱れを防止することができ
るので、薄膜堆積の初期過程から安定した放電を維持す
ることができる。
【0013】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的
に説明する。 (実施例1)図1に、本発明の強誘電体薄膜の一実施例
であるPb0.9 La0.1 Ti0.9753 膜(PLT薄
膜)の成膜に用いた薄膜製造装置の基本構成断面図を示
す。本装置は、ペロブスカイト型酸化物誘電体薄膜を作
製する際に最も一般的に用いられるマグネトロンスパッ
タ装置である。ここで、基板加熱ヒーター1としては、
基板ホルダー内における均熱化を図るために、従来最も
よく用いられているシースヒーターに代えて、カーボン
ヒーターに窒化ホウ素薄膜をコーティングしたP−BN
ヒーターが用いられている。また、このP−BNヒータ
ー1から下方5mmの位置には、厚さ2mmの黒体ステ
ンレス板が均熱板4として設置されており、この均熱板
(基板支持ホルダー)4にはMgO基板2が装着されて
いる。
【0014】本装置をこのように構成したことにより、
本実施例1における基板加熱機構は、ヒーター1からの
輻射によって均熱板4を加熱し、さらに熱伝導によって
MgO基板2を加熱するという機構になっている。基板
支持ホルダー4の上には、同一半径上に4枚と、ホルダ
ーの中心部分に1枚の計5枚のMgO基板(20mm×
20mm)2が設置されている。本実施例1におけるM
gO基板2の設置位置はr=50mmとし、10インチ
ターゲット3のエロージョン部分より中心側に位置する
ようにセットされている。尚、MgO基板2とターゲッ
ト3との距離は10cmである。
【0015】以上のように構成された薄膜製造装置を用
いて、RF電力=800W、基板温度=590℃、ガス
圧=0.1Pa、Ar/O2 ガス流量比=25/1sc
cm/sccmの成膜条件で、660分間PLT薄膜を
堆積した。この場合の、PLT薄膜のX線回折(XR
D)のPLT(001)ピークの半値幅(Δθ)及び電
子線マイクロアナライザ(EPMA)によって測定した
Pb/Ti比を下記(表1)に示す。
【0016】
【表1】
【0017】X線回折法によって分析した結果、被膜の
結晶性はペロブスカイト構造を有し、回折ピーク(00
1)、(100)、(002)及び(200)から見積
られる格子定数はa=3.97オングストローム、b=
4.10オングストロームと文献値とよく一致している
ことが確認された。この場合、回折ピーク(001)及
び(002)が特に強く、分極軸であるc軸方向に強く
配向していることが分かる。電気的特性は、結晶性に優
れc軸配向性の高いものほど、大きな焦電係数γと適度
に小さい誘電率εを有し、赤外線センサーとして高い感
度(ほぼγ/ε)を期待することができ、さらに、不揮
発性メモリー媒体としても優れた特性を期待することが
できる。ここで、MgO基板2は、図2に示すような基
板支持ホルダー4の上のA、B、C、D、Eの各5点の
位置に設置した。MgO基板2の上に堆積した薄膜のΔ
θ及びPb/Tiを上記(表1)に示したが、各MgO
基板2の設置位置の違いによって膜特性にばらつきが生
じている。例えば、A点に設置したMgO基板2の上の
被膜とE点に設置したMgO基板2の上の被膜とではΔ
θで0.04°、Pb/Tiで0.12の差が生じ、基
板支持ホルダー4内で組成や構造にばらつきがあること
が分かる。このようなPLT薄膜に限らず、薄膜の実用
化には面内の均一性が重要となり、同一面積で、均一な
特性を有する薄膜がいかに多く得られるかという意味
で、このような基板設置位置の各点で膜特性にばらつき
があるのは望ましくない。
【0018】次に、MgO基板2をエッチングして被膜
を遊離させ、その表裏に電極を付けて膜厚方向の電気的
性質、主に焦電特性を評価した。ここで、本実施例1の
被膜の堆積速度は2.1〜2.3オングストローム/s
であったが、この場合の各電気的特性はε〜400、γ
〜4×10-8C/cm2 ・Kであり、あまり高いセンサ
ー感度は得られなかった。これに対し、被膜の堆積速度
を1.8オングストローム/s以下の低堆積速度にした
場合には、ε〜240、γ〜5.7×10-8C/cm2
・Kとなり、高いセンサー感度を期待できるような値を
とるが、堆積速度が低下した分、スループットの面で問
題となる。これらのような量産性を要求される大型の薄
膜形成装置において、従来は、スループットの向上と基
板設置位置間での均一性あるいは被膜のセンサー感度等
の膜特性との両方を満たすことは容易でなかった。
【0019】この問題を解決すべく、本発明者らは、堆
積速度が大きい状態でも結晶粒の十分な成長と安定化を
確保するために、基板加熱ヒーターとは別のヒーターを
設置し、被膜を周期的にその表面側から付加加熱するこ
とによって、被膜の安定化工程を導入することを検討し
た。
【0020】(実施例2)図3に、本発明の強誘電体薄
膜の一実施例であるPb0.9 La0.1 Ti0.9753
(PLT薄膜)の成膜に用いた薄膜製造装置の基本構成
断面図を示す。本装置は、ペロブスカイト型酸化物誘電
体薄膜を作製する際に最も一般的に用いられるマグネト
ロンスパッタ装置において、基板2と原料ターゲット3
との間に付加加熱板5を設置した構造となっている。こ
こで、真空槽内における基板2とターゲット3との間の
距離は100mmとした。ターゲット3としては、その
寸法が10インチの物を用いており、基板支持ホルダー
4は20mm×20mmのMgO基板2を21枚設置可
能な構造となっている。尚、基板加熱ヒーター1として
は、前記した窒化ホウ素コーティングのカーボンヒータ
ーを用いている。また、付加加熱板5は、基板支持ホル
ダー4の下方2cmの位置に配置されている。
【0021】図4に、付加加熱板の概略図を示す。付加
加熱板5は、直径が6インチ、厚みが5mmの円板を加
工して形成されている。すなわち、図4に示すように、
円板の3/4の部分は完全に貫通されており、円板の1
/4の部分にはヒーター(斜線部分)6が埋める込まれ
ている。付加加熱板5をこのような構造としたことによ
り、スパッタ粒子の透過度は3/4になる。尚、付加加
熱板5としては、スパッタ粒子の透過度が3/4のもの
に限定されるものではなく、スパッタ粒子の透過度が0
より大きいものであればよい。
【0022】以上のように構成された薄膜製造装置を用
いて被膜を堆積させる際に、基板支持ホルダー4を円板
の中心を軸として5〜10rpmの回転数で回転させ
た。この場合、付加加熱板5は一定の場所に固定されて
いることから、この装置構造における被膜堆積時間のう
ちMgO基板2が付加加熱板5のヒーター6の上にある
時間帯だけ、被膜が付加加熱される。このように、原料
ターゲット3から直接スパッタ粒子がMgO基板2に飛
来する堆積工程と、堆積とともに被膜を基板加熱ヒータ
ー1以外のヒーター(付加加熱板5)によってその表面
側から付加加熱を行い、被膜の結晶性を向上、安定化さ
せる安定化工程との2つの工程を周期的に繰り返すこと
により、平均堆積速度をそれ程下げることなく(ターゲ
ット3上での堆積速度の約4/5程度)被膜の高品質化
を図ることができる。
【0023】ここで、ターゲット3上での堆積速度を、
前記実施例1のように基板支持ホルダー4を回転させず
低いセンサー感度しか得られなかった、2.3オングス
トローム/s程度に設定して、基板支持ホルダーを5r
pmで回転させ、被膜付加加熱工程を周期的に取り入れ
ることの効果を検討した。
【0024】形成した被膜のΔθ及びPb/Tiを下記
(表2)に示す。
【0025】
【表2】
【0026】前記実施例1と同様にMgO基板2はA、
B、C、D、Eの各5点に設置したが(図2参照)、各
点で形成された被膜の膜特性は、Δθで0.03°、P
b/Tiで0.06の差が最大であった。このことか
ら、基板支持ホルダー4内で均一性良く被膜を形成する
ことができたと言える。大きなターゲット3を使用する
装置構成の場合には、均一性を確保することができる基
板設置範囲はむしろ狭いとされていたが、本発明に係る
方法は、均一性の点においても優れている。また、焦電
特性もε〜220、γ〜5.0×10-8C/cm2 ・K
程度と、低堆積速度で成膜した被膜と同等の高いセンサ
ー感度を期待できる結果が得られた。この結果は、基板
加熱とは別に被膜の表面側から付加加熱を行う安定化工
程を周期的に導入することにより、結晶粒の十分な成長
と安定化が確保されたことを反映しているものと考えら
れる。
【0027】さらに、本実施例2の誘電体薄膜の堆積方
法は、1サイクルに要する時間からみると、高速で堆積
した場合に比べて堆積時間を要するが、MgO基板2の
取り付け・昇温・高温等に要する時間を大幅に削減する
ことができるため、スループットの点でも優れていると
言える。
【0028】付加加熱板5としては、タンタル線ヒータ
ーをステンレスの金属材料で被覆したものを用いた。こ
の場合、装置使用開始後数回に限られるが、プラズマ中
に付加加熱板5が存在するために、不規則に放電の乱れ
が見られた。本実施例2のように絶縁被膜を成膜する場
合については数時間の成膜で付加加熱板5そのものもコ
ーティングされるためにプラズマに影響を与えにくくな
るが、堆積初期過程ではこのようなプラズマのちらつき
が観測される。特に被膜自体に及ぼす影響は今のところ
出ていないが、このような放電の乱れによって基板加熱
用の温度コントローラーの制御に影響が数回生じた。こ
れは、温度測定用の熱電対にプラズマが影響を与えたた
めであろうと考えられる。
【0029】ここで、付加加熱板5をアルミナ(Al2
3 )の絶縁物に加工し、付加加熱板5のパッケージ化
を行った。この場合、前記したような放電の乱れは全く
見られず、薄膜堆積の初期過程から安定した放電を維持
することができた。
【0030】尚、上記実施例1、2においては、誘電体
薄膜としてPb0.9 La0.1 Ti0. 975 3 膜(PLT
薄膜)を例に挙げて説明したが、必ずしもこれに限定さ
れるものではなく、本発明は(Pb1-x Lax )(Zr
y Ti1-y 1-x/4 3 膜、BaTiO3 膜、SrTi
3 膜等、ABO3 で構成される他のペロブスカイト型
複合化合物被膜の製造にも適用することができる。
【0031】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る誘電
体薄膜の製造方法によれば、基板上に被膜を堆積させる
際に、基板加熱ヒーターとは別に設置した熱源によって
周期的に被膜の表面側から加熱を行うことにより、多量
の基板を設置できる大型スパッタリング装置において、
安定でかつ均質性良く薄膜を得ることができる。すなわ
ち、大型のスパッタリング装置を用いる場合には、いか
に均一性良く多量の被膜を得るかということが問題とな
る。これらの問題は、基板を設置する面積が大きい程影
響が大きくなり、同時に多くの基板上に薄膜を堆積する
場合には、組成や構造のばらつきはある程度避けられな
い。このことから、従来においては、同様の膜特性を有
する薄膜を同時にかつ大量に得ることは容易でなかっ
た。本発明方法の構成においては、基板上にペロブスカ
イト型複合化合物被膜を堆積させる際に、基板加熱ヒー
ターとは別に設置した熱源によって周期的に被膜の表面
側から加熱を行うようにしたので、堆積した薄膜を逐次
安定化させ、誘電体薄膜の高品質化を図ることができ
る。
【0032】また、本発明に係る誘電体薄膜の製造装置
によれば、多量の基板を設置できる大型スパッタリング
装置において、安定でかつ均質性良く薄膜を得ることの
できる誘電体薄膜の製造装置を実現することができる。
【0033】また、前記本発明装置の構成において、周
期的に被膜の表面側から加熱を行う手段として、基板と
蒸着源との間に加熱ヒーター板を設置するという好まし
い構成によれば、別途スペースを確保することなく付加
加熱機構を設けることができるので、装置が大型化して
しまうことはない。この場合、さらに、加熱ヒーター板
が、スパッタ粒子を透過させる部分と、ヒーター部分と
からなるという好ましい構成によれば、基板支持ホルダ
ーを回転させることにより、原料ターゲットから直接ス
パッタ粒子が基板に飛来する堆積工程と、堆積とともに
被膜を付加加熱板によってその表面側から付加加熱を行
い、被膜の結晶性を向上、安定化させる安定化工程との
2つの工程を周期的に繰り返すことができるので、平均
堆積速度をそれ程下げることなく被膜の高品質化を図る
ことができる。また、この場合、加熱ヒーター板の材料
に絶縁物を用いるという好ましい構成によれば、加熱ヒ
ーター板の存在による放電の乱れを防止することができ
るので、薄膜堆積の初期過程から安定した放電を維持す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】誘電体薄膜の作製に一般的に用いられている薄
膜製造装置の一実施例を示す基本構成図である。
【図2】本発明の一実施例において、Pb0.9 La0.1
Ti0.975 3 膜(PLT薄膜)の成膜に用いた基板支
持ホルダーの基本構成図である。
【図3】本発明の一実施例において、Pb0.9 La0.1
Ti0.975 3 膜(PLT薄膜)の成膜に用いた薄膜製
造装置の基本構成図である。
【図4】本発明の一実施例で導入した被膜の付加加熱機
構の基本構成図である。
【符号の説明】
1 基板加熱ヒーター 2 MgO基板 3 原料ターゲット 4 均熱板(基板支持ホルダー) 5 付加加熱板 6 ヒーター部分
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 H01L 21/314 A 27/108 21/8242 (72)発明者 北川 雅俊 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 鳥井 秀雄 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 高山 良一 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 平尾 孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板上にABO3 で構成されるペロブス
    カイト型複合化合物被膜を堆積させて製造する方法であ
    って、基板上に被膜を堆積させる際に、基板加熱ヒータ
    ーとは別に設置した熱源によって周期的に被膜の表面側
    から加熱を行うことを特徴とする誘電体薄膜の製造方
    法。ここで、Aサイトは、Pb、Ba、Sr及びLaか
    ら選ばれる少なくとも1種の元素を含み、Bサイトは、
    Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種の元素を含
    む。
  2. 【請求項2】 基板上にABO3 で構成されるペロブス
    カイト型複合化合物被膜を堆積させて製造する装置であ
    って、基板加熱ヒーターとは別に、周期的に被膜の表面
    側から加熱を行う手段を備えたことを特徴とする誘電体
    薄膜の製造装置。ここで、Aサイトは、Pb、Ba、S
    r及びLaから選ばれる少なくとも1種の元素を含み、
    Bサイトは、Ti及びZrから選ばれる少なくとも1種
    の元素を含む。
  3. 【請求項3】 周期的に被膜の表面側から加熱を行う手
    段として、基板と蒸着源との間に加熱ヒーター板を設置
    した請求項2に記載の誘電体薄膜の製造装置。
  4. 【請求項4】 加熱ヒーター板が、スパッタ粒子を透過
    させる部分と、ヒーター部分とからなる請求項3に記載
    の誘電体薄膜の製造装置。
  5. 【請求項5】 加熱ヒーター板の材料に絶縁物を用いる
    請求項3に記載の誘電体薄膜の製造装置。
JP7131565A 1994-06-02 1995-05-30 誘電体薄膜の製造方法及びその製造装置 Pending JPH0849061A (ja)

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Application Number Priority Date Filing Date Title
JP7131565A JPH0849061A (ja) 1994-06-02 1995-05-30 誘電体薄膜の製造方法及びその製造装置

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Application Number Priority Date Filing Date Title
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