JPH0849013A - Ｒｈ真空脱ガス設備性能管理方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 二次精錬における設備異常によるＲＨ真空脱
ガス設備性能を管理することにより、品質管理及び操業
設備の安定化を図る管理方法を提供すること。 【構成】 ＲＨ真空脱ガス設備性能を管理する方法にお
いて、ＲＨ起動排気時間、溶鋼中窒素の真空処理前後の
変動分△Ｎ及びＲＨ真空脱ガス設備の到達真空度データ
を収拾すると共に、それぞれのある一定の管理基準点を
設け、該基準異常に達したときは自動的に検知し、その
組合せにより設備異常の有無と場所を早期判定するＲＨ
真空脱ガス設備性能管理方法。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、二次精錬における設備
異常の早期検知、特にＲＨ真空脱ガス設備性能を管理す
ることにより、品質管理及び操業設備の安定化を図る管
理方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】一般に、転炉や電気炉などの大気中で溶
解精錬を行う製鋼炉で溶製した溶鋼には酸素、水素、窒
素などのガス成分が多量に含有されており、これらのガ
ス成分が溶鋼の凝固時あるいは凝固後に析出し、そのた
めに製品に種々の欠陥が発生することがある。従って、
かかる溶鋼中のガス成分を減少させ、これらの欠陥を解
消すると共に非金属介在物を減少させ濃度および成分を
均一化し、内質および機械的性質を向上するため、真空
脱ガス設備が用いられている。このような真空脱ガス設
備の一つに、ＲＨ真空脱ガス設備がある。

【０００３】図４は通常使用されているＲＨ真空脱ガス
設備の概要説明図である。溶鋼１が充満された溶鋼鍋２
の上方に真空槽３を配し、真空槽３の底部に設けた上昇
管５ａおよび下降管５ｂを溶鋼１中に浸漬させる。その
後図示しない真空ポンプ等により真空槽３内に吸い上げ
られ、この吸い上げられた溶鋼１の量する圧力と大気圧
と等しくなった液位で溶鋼の吸い上げが停止する。次
に、ガス吹込管４よりアルゴンガス等の不活性ガス６を
上昇管５ａに吹き込むとガスリフトポンプの原理によっ
て溶鋼が上昇管５ａを通って上昇し、真空槽３内に通過
しながら脱ガス処理等が行われた後、下降管５ｂを経て
溶鋼鍋２に戻され、以後連続的に溶鋼が環流される。こ
の時に脱ガス反応の進行は溶鋼が槽内に入ると爆発的に
飛散し、有効な脱ガスが行われるため、脱ガス処理とし
て極めて優れた方法である。このようにＲＨ真空脱ガス
処理を利用して溶鋼中の、例えばＮを除いた低Ｎ高純度
鋼を製造している。このようなＲＨ真空脱ガス設備の操
業においては、従来はオペレーターが成分変動や真空到
達時間などにより、設備の異常を検知し、設備点検等の
対応を行っているのが実状である。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかも、ＲＨ真空脱ガ
ス設備での従来の設備管理では、例えばＲＨ起動排気時
間のように、真空度をある一定の値までに低下させる場
合に、通常の時間よりも長い時間を要する場合に異常と
判断し、下部槽や浸漬管接合部からのリーク、コンデン
サー目詰まりや冷却水不足等想定されるところを手当た
り次第にチェックする。また、急激にある値以上になれ
ばブースター孔空きの可能性が大である等と判断するも
のである。しかし、この異常と判断して補修を行うとき
は既に次のチャージが出鋼済のように進んでいる場合が
通常である。このために既に処理した溶鋼は成分規定と
は外れたものとなり、鋼種振替えによる降格や屑化しな
ければならない事態が発生する。従って、このようなＲ
Ｈ起動排気時間による処理では対応が遅れて品質トラブ
ルを招くことになるという問題がある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上述したような問題を解
消するべき、発明者らは鋭意開発を進めた結果、異常箇
所早期発見と場所の特定による早期補修による成分外れ
の減少を図るために、操業実績データをもとに、設備が
本来の機能を発揮していることの確認と、ある一定の管
理基準の変動による設備異常を自動的に検知し、オペレ
ーターに警報として伝えるようなＲＨ真空脱ガス設備性
能管理方法を提供することにある。その発明の要旨とす
るところは、ＲＨ真空脱ガス設備性能を管理する方法に
おいて、ＲＨ起動排気時間、溶鋼中窒素の真空処理前後
の変動分△Ｎ及びＲＨ真空脱ガス設備の到達真空度デー
タを収拾すると共に、それぞれにある一定の理基準点を
設け、該基準以上に達したときは自動的に検知し、その
組合せにより設備異常の有無と場所を早期判定すること
を特徴とするＲＨ真空脱ガス設備性能管理方法にある。

【０００６】

【作用】以下、本発明について図面に従って詳細に説明
する。図１は時間と排気性能管理項目との関係を示す概
略図である。図１に示すように、ある上限値及び警戒値
を定め、もし、実績値が警戒値あるいは上限値を越した
ときはアラームを出すと共に、その組合せにより不良箇
所の特定を行うものである。そこで、排気性能管理項目
の組合せと不良箇所の特定方法の例を表１に示す。この
表１に示すように、例えば、起動排気時間、到達真空度
は基準値内でも△Ｎが大の時は下部槽より下方の浸漬管
接合部あるいは浸漬管耐火物からのエアー侵入の可能性
大と言ったように場所を特定した予測をし、浸漬管増締
め、耐火物の異常有無チェックのガイダンスを行う。こ
れとともに、品質トラブル発生前に、設備補修完了まで
溶鋼中窒素の真空処理前後の変動分△Ｎの変動をも考慮
して、低Ｎ鋼の予定変更を行うと言うものである。

【０００７】

【表１】

【０００８】図２はチャージ数と起動排気時間との関係
を示す図である。図２に示すように、例えば、真空度１
０ｔｏｒｒ以下になるまでの時間の基準値上限を５分、
警戒値を４分としたとき、チャージ毎の実績値がもし仮
に警戒値である４分以上を経過したときは、アラーム表
示をし、不良箇所チェックを行うのであるが、チェック
のための不良箇所の探索と特定化のために、（１）蒸気
圧力が５．０ｋｇより大きいか否か、（２）蒸気流量が
基準量より多いか否か、（３）コンデンサー冷却水量は
どうか、（４）コンデンサー温度、（５）蒸気洩れ、
（６）配管洩れ、（７）エジェクター内ダスト付着、
（８）コンデンサーめずまり、などの項目を選択し表示
出来るようにする。このような不良原因と変動状況を把
握して、何の原因によるか否かを適切に判断を行うもの
である。

【０００９】図３はチャージ数と溶鋼中窒素の真空処理
前後の変動分△Ｎとの関係を示す図である。この図に示
すように、ＲＨ真空排気性能による△Ｎ管理として、例
えば成品窒素２０ｐｐｍ以下の極低炭鋼を得る場合に窒
素８ｐｐｍを管理値上限、６ｐｐｍを警戒値とした場合
にチャージ毎の実績値が警戒値である６ｐｐｍ以上とな
ったときは、アラーム表示を行い、品質異常防止或いは
生産増及びスケジュール円滑化を図るために極低Ｎ鋼の
予定変更を行うと言うものである。このように、設備の
経時性能を把握してアクションの迅速化を図ることによ
り、成分外れのために屑化や予定外の突発工事による生
産性の低減を防止し、操業及び設備の安定化を図るもの
である。

【００１０】

【発明の効果】以上述べたように、本発明による操業実
績データをもとに、設備が本来の機能を発揮しているこ
との確認と設備異常の早期発見、品質トラブルの防止を
図り操業及び設備の安定化を図ると共に鋼中Ｎのピック
アップ量を低減出来、低Ｎ鋼の溶製に大なる効果を奏す
るものである。

【図面の簡単な説明】

【図１】時間と排気性能管理項目との関係を示す概略
図、

【図２】チャージ数と起動排気時間との関係を示す図、

【図３】チャージ数と溶鋼中窒素の真空処理前後の変動
分△Ｎとの関係を示す図、

【図４】通常使用されているＲＨ真空脱ガス設備の概要
説明図である。

【符号の説明】

１ 溶鋼 ２ 溶鋼鍋 ３ 真空槽 ４ ガス吹込管 ５ａ 上昇管 ５ｂ 下降管 ６ 不活性ガス

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ＲＨ真空脱ガス設備性能を管理する方法
   において、ＲＨ起動排気時間、溶鋼中窒素の真空処理前
   後の変動分△Ｎ及びＲＨ真空脱ガス設備の到達真空度デ
   ータを収拾すると共に、それぞれにある一定の管理基準
   点を設け、該基準以上に達したときは自動的に検知し、
   その組合せにより設備異常の有無と場所を早期判定する
   ことを特徴とするＲＨ真空脱ガス設備性能管理方法。