JP3829915B2 - Al含有溶鋼の真空精錬方法 - Google Patents
Al含有溶鋼の真空精錬方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP3829915B2 JP3829915B2 JP2000323804A JP2000323804A JP3829915B2 JP 3829915 B2 JP3829915 B2 JP 3829915B2 JP 2000323804 A JP2000323804 A JP 2000323804A JP 2000323804 A JP2000323804 A JP 2000323804A JP 3829915 B2 JP3829915 B2 JP 3829915B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- vacuum
- molten steel
- ton
- vacuum chamber
- added
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Images
Landscapes
- Treatment Of Steel In Its Molten State (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶鋼にAlを添加し、次いでAl添加量に応じて真空槽の減圧速度を設定して減圧する真空精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、Al含有鋼を溶製する場合、転炉,電気炉あるいはAOD炉等の1次精錬炉で溶鋼の脱炭処理を行ない、得られた溶鋼を取鍋に出鋼した後、Alを添加し、次いでRH法,DH法,VAD法あるいはASEA−SKF法等の真空槽を有する2次精錬設備で脱ガス処理や脱酸処理等の真空精錬を行なう。あるいは真空精錬中に、Alを溶鋼に添加する場合もある。
【0003】
Alを添加した溶鋼の真空精錬を行なう際には、取鍋を真空槽内に収容したり、あるいは真空槽の下部に配設された吸上管を溶鋼中に浸漬した状態で、真空槽内を排気して、あらかじめ設定された所定の真空度(以下、目標真空度という)に到達するまで減圧し、真空槽を目標真空度に維持して真空精錬を行なう。
真空精錬を行なうにあたって、真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で減圧速度が大きい場合は、真空槽内が急激に減圧されることによって、溶鋼表面が盛り上がって取鍋から溢れたり、あるいは溶鋼中に不可避的に含有されるCOやN2 がガスとなって溶鋼表面に浮上して溶鋼が真空槽内に飛散する。
【0004】
このような溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散が発生すると、操業に支障をきたすばかりか、設備の故障等の原因になる。そこで真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で発生する溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を防止するために、種々の技術が提案されている。
たとえば特開平3-281722号公報には、真空排気装置の制御方法が開示されている。この方法は、真空槽を排気して減圧する過程において自動制御モードで真空排気装置を運転し、溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散が発生すると作業者が手動制御モードに切替えて真空排気装置を運転することによって、溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を防止しようとするものである。しかしこの方法では、作業者が手動制御モードに切替える時期が遅れる可能性があり、溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を十分に防止できず、しかも手動制御モードで真空排気装置を運転する間は真空槽の減圧速度が安定しないという問題があった。
【0005】
特開平11-280700 号公報には、真空排気装置の運転方法が開示されている。この方法は、真空槽を排気して減圧する過程においてスチームエジェクタの蒸気弁を間欠的に複数回閉じることによって、急激な真空度の上昇を抑えようとするものである。しかしこの方法では、Alを含有する鋼種の真空精錬を行なうにあたって真空槽を排気して減圧する過程で発生するAl蒸気に起因する溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を防止できないという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題を解消し、Al含有溶鋼の真空精錬を行なうにあたって真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程において、取鍋内の溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を防止できる排気方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、Alを添加された溶鋼の真空精錬を行なうにあたって、真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で発生する取鍋内の溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散の発生状況と真空槽の減圧速度との関係を鋭意検討した。その結果、Al添加量に応じて真空槽の減圧速度を設定することによって、溶鋼表面の盛り上がりや溶鋼の飛散を防止できることを見出した。
【0008】
本発明は、Alを添加された溶鋼の真空精錬方法において、真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で溶鋼1ton あたりのAl添加量をW( kg / ton )とし、前記真空槽の減圧速度をM( Pa / min )として、下記の (1) 式を満足する範囲内で前記真空槽を減圧する真空精錬方法である。
【0009】
0<M≦(1.50/W)+2.25 ・・・ (1)
M:真空槽の減圧速度(Pa/min )
W:溶鋼1ton あたりのAl添加量(kg/ton )
【0010】
【発明の実施の形態】
Al含有鋼を溶製する場合は、1次精錬炉で脱炭処理した溶鋼を取鍋に出鋼し、取鍋内の溶鋼にAlを添加する。次いで2次精錬炉で真空精錬を行なう。あるいは真空精錬中に、Alを溶鋼に添加することもある。2次精錬炉で真空精錬を行なうにあたって真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程において、減圧速度が大きい場合は、真空槽内が急激に減圧されることによって、溶鋼中に不可避的に含有されるCOやN2 がガスとなって溶鋼表面に浮上する。その結果、溶鋼が飛散したり溶鋼表面が盛り上がる現象(以下、突沸現象という)が現れる。
【0011】
本発明者らが見出したところによれば、Al含有鋼の場合は、溶鋼に添加されたAlまでもが、Al蒸気となって、CO,N2 と同様に溶鋼表面に浮上するので、突沸現象は一層顕著になる。
Al含有鋼の真空精錬を行なうにあたって真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で発生する突沸現象は、真空槽の減圧速度M(Pa/min )と溶鋼1ton あたりのAl添加量W(kg/ton )とに密接な関係があるので、溶鋼1ton あたりのAl添加量W(kg/ton )に応じて真空槽の減圧速度M(Pa/min )を設定する必要がある。
【0012】
図1は、Alを 0.1〜6質量%含有する種々のAl含有鋼の真空精錬を行なうにあたって真空槽を減圧して目標真空度まで減圧する過程において、真空槽の減圧速度M(Pa/min )と溶鋼1ton あたりのAl添加量W(kg/ton )とを種々変更して、突沸現象の有無を調査した結果を示すグラフである。図1から明らかなように、M≦(1.50/W)+2.25を満足する範囲では突沸現象は発生しない。一方、M=0は真空槽内の気圧が一定である(すなわち減圧しない)ことを意味する。またM<0は真空槽内を加圧すること意味する。つまり減圧速度Mは、M>0 である。したがって、溶鋼1ton あたりのAl添加量W(kg/ton )と真空槽の排気速度M(Pa/min )が、下記の (1)式を満足する必要がある。
【0013】
0<M≦(1.50/W)+2.25 ・・・ (1)
M:真空槽の減圧速度(Pa/min )
W:溶鋼1ton あたりのAl添加量(kg/ton )
【0014】
【実施例】
転炉で脱炭処理したCr含有溶鋼を取鍋に出鋼し、次いでVOD法を用いて真空脱酸を行なった後、溶鋼1ton あたりAlを60kg/ton 添加して、20Cr−5Al鋼を溶製した。Al添加後の真空精錬を行なうにあたって真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程において、真空槽の減圧速度Mは2.25Pa/min に設定した。この減圧速度Mの値は (1)式を満足する。これを発明例とする。
【0015】
また、比較例として、真空槽の減圧速度Mを2.30Pa/min に設定して排気を行ない、目標真空度まで減圧した。この減圧速度Mの値は (1)式の範囲を外れる。その他の操業条件は発明例と同一として、20Cr−5Al鋼を溶製した。
発明例と比較例について、それぞれ2回ずつ真空精錬を行ない、真空槽を目標真空度まで減圧する過程において突沸現象が発生する回数を調査した。その結果、発明例では突沸現象が発生しなかったのに対して、比較例では突沸現象が2回発生した。
【0016】
【発明の効果】
本発明では、Al含有鋼の真空精錬を行なう際に、真空槽を目標真空度まで減圧する過程において、取鍋内の溶鋼が飛散したり、溶鋼表面が盛り上がるのを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】真空槽の減圧速度、溶鋼1ton あたりのAl添加量および突沸現象の有無の関係を示すグラフである。
Claims (1)
- Alを添加された溶鋼の真空精錬方法において、真空槽を排気して目標真空度まで減圧する過程で前記溶鋼1ton あたりのAl添加量をW( kg / ton )とし、前記真空槽の減圧速度をM( Pa / min )として、下記の (1) 式を満足する範囲内で前記真空槽を減圧することを特徴とする真空精錬方法。
0<M≦( 1.50 /W)+ 2.25 ・・・ (1)
M:真空槽の減圧速度( Pa / min )
W:溶鋼1 ton あたりの Al 添加量( kg / ton )
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000323804A JP3829915B2 (ja) | 2000-10-24 | 2000-10-24 | Al含有溶鋼の真空精錬方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000323804A JP3829915B2 (ja) | 2000-10-24 | 2000-10-24 | Al含有溶鋼の真空精錬方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002129227A JP2002129227A (ja) | 2002-05-09 |
JP3829915B2 true JP3829915B2 (ja) | 2006-10-04 |
Family
ID=18801425
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000323804A Expired - Fee Related JP3829915B2 (ja) | 2000-10-24 | 2000-10-24 | Al含有溶鋼の真空精錬方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3829915B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP6020414B2 (ja) * | 2013-11-01 | 2016-11-02 | Jfeスチール株式会社 | アルミニウム含有ステンレス鋼の精錬方法 |
-
2000
- 2000-10-24 JP JP2000323804A patent/JP3829915B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002129227A (ja) | 2002-05-09 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5904237B2 (ja) | 高窒素鋼の溶製方法 | |
WO1996017093A1 (fr) | Procede d'affinage de metal en fusion | |
JP3829915B2 (ja) | Al含有溶鋼の真空精錬方法 | |
JP4207820B2 (ja) | 真空脱ガス装置の利用方法 | |
JP5217478B2 (ja) | 極低炭素鋼の溶製方法 | |
TW201331377A (zh) | 高清淨度鋼的熔製方法 | |
KR101104799B1 (ko) | 고 티타늄 고 질소를 함유한 법랑강의 정련 방법 | |
JP6020414B2 (ja) | アルミニウム含有ステンレス鋼の精錬方法 | |
KR102454518B1 (ko) | Ti 함유 극저탄소강의 제조 방법 | |
KR100388239B1 (ko) | 전기로-진공탱크탈가스법에 의한 저황, 저탄소강 제조방법 | |
JP3658984B2 (ja) | 真空排気装置の運転方法 | |
JP2017128751A (ja) | 高清浄鋼の製造方法 | |
JPH10317049A (ja) | 高清浄鋼の溶製方法 | |
JP5349074B2 (ja) | 高清浄アルミキルド鋼の製造方法 | |
JP4811018B2 (ja) | 溶鋼の脱酸方法 | |
RU2294383C2 (ru) | Способ струйно-вакуумного рафинирования стали | |
KR101018245B1 (ko) | 진공 탈가스 장치(vtd)에서의 슬래그 포밍 억제 방법 | |
KR100340573B1 (ko) | 고 청정강의 제조방법 | |
SU1535897A1 (ru) | Устройство дл обработки жидкого металла шлаком под вакуумом | |
KR101008087B1 (ko) | 진공 탈가스 장치에서의 용강 탈류방법 | |
JP2022525051A (ja) | 鋼インゴットの製造方法 | |
JP2005048251A (ja) | 取鍋精錬用漏鋼ピット | |
JPH08143944A (ja) | 溶湯の精錬方法 | |
JPH08143943A (ja) | 溶湯の精錬方法 | |
JP2005068488A (ja) | Rh脱ガス装置における溶鋼の成分調整方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20050330 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20060328 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060525 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20060621 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20060704 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Ref document number: 3829915 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100721 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110721 Year of fee payment: 5 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120721 Year of fee payment: 6 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130721 Year of fee payment: 7 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |