JP2005048251A - 取鍋精錬用漏鋼ピット - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、取鍋から漏鋼し、凝固した地金の切断作業を従来より容易、且つ迅速に行える取鍋精錬用漏鋼ピットを提供することを目的としている。
【解決手段】内部に保持した溶鋼を撹拌するガスの底吹き機能を備えた取鍋の下方に配設され、該取鍋からの漏鋼を収容、凝固させる耐火物製仕切り壁で分割した複数室からなる取鍋精錬用漏鋼ピットの構造を改造した。その概要は、前記仕切り壁に溢流堰を設けることである。そして、溢流堰の幅が仕切り壁幅の1/10〜1/3で、その深さを仕切り壁高さの1/20〜1/5とするのを好ましいとした。
【選択図】 図1
【解決手段】内部に保持した溶鋼を撹拌するガスの底吹き機能を備えた取鍋の下方に配設され、該取鍋からの漏鋼を収容、凝固させる耐火物製仕切り壁で分割した複数室からなる取鍋精錬用漏鋼ピットの構造を改造した。その概要は、前記仕切り壁に溢流堰を設けることである。そして、溢流堰の幅が仕切り壁幅の1/10〜1/3で、その深さを仕切り壁高さの1/20〜1/5とするのを好ましいとした。
【選択図】 図1
Description
本発明は、取鍋精錬用漏鋼ピットに係わり、特に、漏鋼凝固塊の溶断、除去作業を容易にするようなピットの構造に関するものである。
近年、鋼材に要求される品質の厳格化、多様化に伴い、不純物元素の低減、品質特性の改善が目覚しい。それらは、溶銑を転炉で酸素吹錬(一次精錬という)して溶製された溶鋼を取鍋に受け、その中でさらに脱ガス、脱炭、脱硫、成分調整のための合金添加等を行う取鍋精錬とか炉外精錬と称される所謂「二次精錬」によって達成される。例えば、ステンレス鋼の溶製では、転炉、AOD炉等で粗脱炭された後の溶湯を底部にガス吹込口(羽口ともいう)を設けた取鍋に受け、Arガス等の不活性ガスを該溶湯中に吹き込み、上昇する不活性ガスの流れによって溶湯を撹拌することで、さらなる脱炭や脱硫を行なっている。なお、取鍋は、所謂「VOD」を行う場合には、真空雰囲気であり、所謂「LF」を行う場合には、大気雰囲気である。
ところで、この取鍋の底部に設けたガス吹込口の周辺は溶湯の撹拌が最も強く、損耗が激しいので、操業中にガス吹込口が破損し、漏鋼事故と称しているが、その破損部を介して取鍋に保持されている溶湯がほとんど全量流出することがある。そのため、取鍋精錬を行うには、図4に示すように、流出した溶湯を溜めるピット(以下、漏鋼ピット1という)を設け、その上方に取鍋2を配置して、溶湯流出に伴って生じる被害を最小限に抑えるようにしていた。
一般に、そのような漏鋼ピット1は、流出した溶湯の凝固塊を該ピット1より取り出して除去する作業を行い易くするため、処理能力100〜250トンの取鍋で、図3(a)〜(c)に示すように、耐火物製仕切り壁3の一室あたりのサイズがほぼ縦1500mm×横1500mm×深さ2000mm程度の複数の室に分割され、前記取鍋2から流出した溶湯が複数個の塊に分割された状態で凝固するように設計されている。しかしながら、流出した溶湯が一室の漏鋼ピット1に入りきらないことが多く、そのような場合には、流出した溶湯が一室の仕切り壁3の上端を超えて隣接する別室に流れ込み、複数の室で凝固塊になる。そして、流出量が多い時には、複数個の凝固塊の上部は互いに繋がって一体化している。そのような上部が一体化した凝固塊(以下、地金ともいう)を漏鋼ピット1から取り出すには、繋がっている部分を酸素ガス等で溶断しなければならず、所謂「地金の切断作業」に100時間と非常に長い時間を要していた。つまり、漏鋼事故の復旧工程は、(1)流出した溶湯の散水冷却、(2)地金の切断、(3)地金のクレーンによる吊り上げ及び(4)漏鋼ピットの破損箇所補修の4工程に大きく分けられるが、そのうち、地金の切断が平均すると全体工程(126時間)の約79%を占めている。そのため、地金の切断作業が従来より短くして、漏鋼事故の復旧に要する時間を短縮することが熱望されていた。
本発明は、かかる事情に鑑み、取鍋から漏鋼し、凝固した地金の切断作業を従来より容易、且つ迅速に行える取鍋精錬用漏鋼ピットを提供することを目的としている。
発明者は、上記目的を達成するため、酸素ガスによる溶断部分の小型化に着眼して鋭意研究を重ね、その成果を本発明に具現化した。
すなわち、本発明は、溶鋼を撹拌するガスの底吹き機能を備えた取鍋の下方に配設され、該取鍋からの漏鋼を収容、凝固させる耐火物製仕切り壁で分割した複数室からなる取鍋精錬用漏鋼ピットであって、前記仕切り壁に溢流堰を設けたことを特徴とする取鍋精錬用漏鋼ピットである。この場合、前記溢流堰の幅が前記仕切り壁幅の1/10〜1/3で、該溢流堰の深さを該仕切り壁高さの1/20〜1/5とするのが好ましい。また、前記取鍋が、その雰囲気を減圧する真空容器で囲われていても良い。
本発明によれば、取鍋精錬で使用する漏鋼ピットにおいて、漏鋼時に存在する複数個の凝固塊が互いに繋がって一体化している部分、つまり酸素ガス等での溶断の必要な部分が小さくなり、地金の切断作業が従来より容易、且つ迅速に行えるようになる。その結果、取鍋からの漏鋼事故があっても、その復旧に要する時間が短縮され、操業が円滑に行えるようになるばかりでなく、生産性も向上した。
以下、発明をなすに至った経緯をまじえ、本発明の実施の形態を説明する。
まず、発明者は、複数個の凝固塊が互いに繋がって一体化する原因が、漏鋼ピット間を仕切る壁の構造にあると判断した。その仕切り壁3の構造は、既に図3(a)〜(c)で示したように、通常、Al2O3系耐火レンガで、壁厚は100mm程度であり、幅全体にわたり高さをすべて同一にしてある。そのため、各漏鋼ピット1間の溶鋼移動は、該仕切り壁3を自然に越えて溢れ出るにまかされ、各漏鋼ピット1の凝固塊を繋ぐ部分は、仕切り壁3の全体幅にほぼ近いサイズになり、非常に大きいものになっていた。
そこで、発明者は、各漏鋼ピット1で固まった複数個の凝固塊が互いに繋がって一体化する部分を従来より小型化すれば、前記地金の切断作業が迅速になると考え、仕切り壁を超える溶鋼流をできるだけ細く、あるいは薄くすることにした。その部分が凝固しても酸素ガスによる溶断が容易になるからである。そして、具体的な手段としては、図1(a)〜(c)に示すように、仕切り壁3の上端に、縦断面視でU字形状の凹溝、つまり溢流堰4を設けるようにしたのである。
なお、本発明では、隣り合う漏鋼ピット間の仕切り壁3に設ける溢流堰4の数は、限定しない。取鍋の大きさによって漏鋼ピット1の大きさが異なるし、溢流堰4のサイズが小さければ、複数個設けても、その部分で凝固した部分の酸素ガスによる溶断は容易に行えるからである。しかしながら、1仕切り壁当たりの溢流堰4の数が増えると、その分だけ溶断箇所が増加し、作業準備等で余計な時間を費やすことになるので、できるだけ1個所が望ましい。
また、溢流堰4のサイズは、幅(図1での記号:w)が前記仕切り壁3の幅(図1での記号:W)の1/10〜1/3で、該溢流堰4の深さ(図1での記号:h)を該仕切り壁3の高さ(図1での記号:H)の1/20〜1/5とするのが好ましい。溢流堰の幅wが前記仕切り壁幅Wの1/10未満では、溢流する溶鋼が少なく、1/3超えでは、通過する溶鋼流が太くなり、その凝固部分の酸素ガスによる溶断時間は従来と変わらなくなるからである。また、該溢流堰4の深さhが該仕切り壁3の高さHの1/20未満では、溢流堰4を設けたことにならないし、1/5超えでは、仕切り壁3がないのと同じ状態になり、不都合だからである。
さらに、本発明の適用対象である取鍋2は、その雰囲気を減圧する真空容器で囲われていても良いし、大気圧下にあっても良い。本発明に係る漏鋼ピット1の上方に配置される取鍋2の周囲もピット構造になっており、該ピット構造を覆う蓋(図示せず)を設け、該蓋に排気装置(図示せず)を接続することで所謂「VOD」のごとき真空容器を形成できるからである。
溶鋼処理能力160トンの取鍋を用い、本発明に係る漏鋼ピットを用いて所謂「二次精錬」を多数チャージ行い、極低炭素ステンレス鋼を溶製した。なお、その取鍋は、ガスを底吹きするAl2O3−MgO製羽口及び配管を備えたものである。
まず、転炉でCr含有溶鉄を炭素濃度が1500ppmまで粗脱炭し、前記取鍋に出鋼した。引き続き、その取鍋を本発明に係る漏鋼ピットの上方のピットに配置すると共に、該ピットを蓋ってVOD方式の真空容器とした。そして、取鍋の雰囲気を1キロパスカルに減圧した後、底吹き羽口よりアルゴン・ガスを流量:1m3(標準状態)/minで吹き込み、溶鋼を90分間にわたり撹拌した。その操業中に取鍋底部の羽口を介して溶湯が全量流出するトラブルが起きた。しかしながら、本発明に係る漏鋼ピットを利用していたので、そのトラブル復旧作業は、図2に示すように、従来に比べて迅速に行うことができた。つまり、地金切断箇所が小型化し、地金の切断時間が従来に比べて87%短縮したのである。その結果、トラブル復旧の全体時間は従来の28%にまで短縮でき、生産性の向上も達成された。なお、図2の縦軸は、全復旧時間で指数化した値である。
1 漏鋼ピット
2 取鍋
3 仕切り壁
4 溢流堰
2 取鍋
3 仕切り壁
4 溢流堰
Claims (3)
- 溶鋼を撹拌するガスの底吹き機能を備えた取鍋の下方に配設され、該取鍋からの漏鋼を収容、凝固させる耐火物製仕切り壁で分割した複数室からなる取鍋精錬用漏鋼ピットであって、
前記仕切り壁に溢流堰を設けたことを特徴とする取鍋精錬用漏鋼ピット。 - 前記溢流堰の幅が前記仕切り壁幅の1/10〜1/3で、該溢流堰の深さを該仕切り壁高さの1/20〜1/5とすることを特徴とする請求項1記載の取鍋精錬用漏鋼ピット。
- 前記取鍋が、その雰囲気を減圧する真空容器で囲われてなることを特徴とする請求項1又は2記載の取鍋精錬用漏鋼ピット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003282737A JP2005048251A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 取鍋精錬用漏鋼ピット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003282737A JP2005048251A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 取鍋精錬用漏鋼ピット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2005048251A true JP2005048251A (ja) | 2005-02-24 |
Family
ID=34267855
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003282737A Pending JP2005048251A (ja) | 2003-07-30 | 2003-07-30 | 取鍋精錬用漏鋼ピット |
Country Status (1)
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JP (1) | JP2005048251A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN112743068A (zh) * | 2021-01-14 | 2021-05-04 | 广西钢铁集团有限公司 | 一种炼钢应急用钢包的内衬结构及其砌筑方法 |
CN113500187A (zh) * | 2021-07-12 | 2021-10-15 | 含山县大颉机械有限公司 | 一种便于金属铸件浇灌的保护装置 |
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2003
- 2003-07-30 JP JP2003282737A patent/JP2005048251A/ja active Pending
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