JPH0848658A - 擬似糖脂質 - Google Patents

擬似糖脂質

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JPH0848658A
JPH0848658A JP15564895A JP15564895A JPH0848658A JP H0848658 A JPH0848658 A JP H0848658A JP 15564895 A JP15564895 A JP 15564895A JP 15564895 A JP15564895 A JP 15564895A JP H0848658 A JPH0848658 A JP H0848658A
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Seiichiro Ogawa
誠一郎 小川
Hidetoshi Tsunoda
角田  秀俊
Jinichi Inokuchi
仁一 井ノ口
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 新規構造の擬似糖脂質であって、高いグリコ
シダーゼ阻害活性を示し、かつ抗ウイルス活性を示し、
さらに抗痴呆活性等の生理活性を示す可能性のある化合
物を提供すること。 【構成】 1)下記一般式(1)で表される擬似糖脂質
〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示
し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を
示す。〕、および前記擬似糖脂質を有効成分として含有
するグリコシダーゼ阻害剤。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、糖脂質の糖部を人工的
に改変した擬似糖脂質に関し、特にスフィンゴ糖脂質の
糖部を改変した擬似糖脂質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】生体細胞膜上に広く存在する糖脂質は、
近年その生理活性が注目されている化合物群である。一
方、糖ピラノースの環内酸素原子をメチレン基にて置き
換えた擬似糖質は、その真糖との類似性により多様な生
理活性が期待され、これまでにも擬似糖質を含む糖質類
似化合物は、糖質加水分解酵素に対する阻害活性を中心
とし、いくつか生理活性が報告されている{a)G.H
anozet,H.P.Pircher,P.Vann
i,B.Oesch,and G.Semenza,
J.Biol.Chem.,256(1981)370
3;b)T.Iwasawa,H.Yamamoto,
and M.Shibata,J.Antibio
t.,23(1970)595;c)S.Ogawa,
Y.Shibata,Y.Kosuge,K.Yasu
da,T.Mizukoshi,andC.Uchid
a,J.Chem.Soc.Chem.Comm.,
(1990)1387}。
【0003】また、本発明者は糖脂質の糖部分に着目
し、擬似糖質を、酸素、窒素、硫黄原子などを介して脂
質部分と結合させた、一般式(a)で表される種々の擬
似糖脂質を合成した(1993年6月3日〜4日、第6
3回有機合成シンポジウム講演論文「擬似糖質を含む糖
脂質類似体の合成研究」)。
【0004】
【化8】
【0005】〔式中、Xは、NH、O、またはSを表
す。〕 一般式(a)で表される擬似糖脂質は、一般式(b)で
表されるスフィンゴ糖脂質の擬似糖脂質である。
【0006】
【化9】
【0007】〔式中、Xは、NH、O、またはSを表
す。〕 このスフィンゴ糖脂質は、生理活性物質の受容体機能や
細胞間相互認識、細胞間相互作用を介して発生、増殖、
分化、免疫反応などの重要な細胞機能と密接に関係して
いることが知られている。また、細菌やウイルスの感染
における宿主側のレセプターとして機能していることも
知られている。
【0008】一方、一般式(a)の化合物は、糖質加水
分解酵素活性阻害剤、特にグルコセレブロシダーゼ阻害
剤あるいは免疫アジュバント活性等が期待された。しか
しながら、一般式(a)の化合物のグルコセレブロシダ
ーゼ阻害剤としての阻害活性は十分でなく、より阻害活
性の高い化合物が望まれていた。また、一方、β−グル
コセレブロシダーゼの阻害作用を示すものとして、すで
にN−n−アルキル−β−D−グルコシルアミン(Bi
ochim. Biophys. Acta Vol.
1039,12−20,1990)が強力な阻害効果を
示すことが報告されているが、本物質は水溶液中での安
定性が極めて低く(半減期10〜30分)有用性に乏し
い。また、N−n−アルキルデオキシノジリマイシン
(Biochim.Biophys.Acta Vo
l.915,87−100,1987)は、β−グルコ
セレブロシダーゼを強く阻害するが、グルコシルセラミ
ド合成酵素も同時に阻害することが報告(J.Bio
l.Chem.Vol.269,No.11,8362
−8365,1994)され、特異性が低いことが判明
している。
【0009】また、擬似糖脂質としてガラクトセレブロ
シダーゼ等のグルコース以外の種々の糖セレブロシダー
ゼ阻害活性を有する擬似糖脂質も望まれていた。更に、
擬似糖脂質として、例えば、抗ウイルス活性、神経機能
改善作用等の種々の生理活性を示す可能性の高い新規構
造の化合物が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、新規構造の
擬似糖脂質であって、水溶液としての安定性に優れ、阻
害に対する特異性が良好で、高いグリコシダーゼ阻害活
性を示し、かつ抗ウイルス活性、神経機能改善作用等の
生理活性を示す可能性のある化合物を提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、以下に記載の
ものであり、これにより上記課題を解決できる。 1)下記一般式(1)で表される擬似糖脂質。
【0012】
【化10】
【0013】〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイ
オウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜
22の整数を示す。〕 2)前記一般式(1)で表される擬似糖脂質において、
Zはイミノ基を示し、nは4〜16の整数を示すことを
特徴とする前記1)記載の擬似糖脂質。 3)下記一般式(1a)または(1b)で表される前記
1)記載の擬似糖脂質。
【0014】
【化11】
【0015】
【化12】
【0016】〔式中、Zはイミノ基を示し、XおよびY
は互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を示し、
mは3〜12の整数を示し、nは4〜16の整数を示
す。〕 4)前記一般式(1)で表される擬似糖脂質が、(2
S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−x
ylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−
(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−
オール、(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ
−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)ア
ミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタ
デセン−3−オール、(2S,3R,4E)−1−
[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−
5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイ
ルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、および
(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L
−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミ
ノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデ
セン−3−オールからなる群から選択される前記1)記
載の擬似糖脂質。 5)前記1)記載の擬似糖脂質を有効成分として含有す
るグリコシダーゼ阻害剤。 6)前記グリコシダーゼ阻害剤が、グリコセレブロシダ
ーゼ阻害剤である前記5)記載のグリコシダーゼ阻害
剤。 7)前記グリコシダーゼ阻害剤が、グルコセレブロシダ
ーゼ阻害活性およびガラクトセレブロシダーゼ阻害活性
のうちの少なくとも一方を示す前記6)記載のグリコシ
ダーゼ阻害剤。 8)グルコセレブロシダーゼ阻害活性が、β−グルコセ
レブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下記一
般式(1a)または(1b)で表される前記7)記載の
グリコシダーゼ阻害剤。
【0017】
【化13】
【0018】
【化14】
【0019】〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイ
オウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜
22の整数を示し、Xは水素原子を示し、YはOH基を
示す。〕 9)ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性が、β−ガラク
トセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下
記一般式(1a)または(1b)で表される前記7)記
載のグリコシダーゼ阻害剤。
【0020】
【化15】
【0021】
【化16】
【0022】〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイ
オウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜
22の整数を示し、XはOH基を示し、Yは水素原子を
示す。〕
【0023】以下、本発明について詳細に説明する。本
発明は、一般式(1)で表される新規な構造を有する擬
似糖脂質に関するものである。本発明において、上記定
義を満足するならば、本発明は全ての立体異性体を包含
する。本発明の擬似糖脂質は、糖部分が6炭糖のピラノ
ースである糖脂質の該ピラノースの環内酸素をメチン基
で置き換え、C5−C5aの結合を二重結合とした構造
であれば、あらゆる6炭糖と同一の立体配置を有する擬
似糖および脂質部分の幾何異性構造および立体異性構造
を包含する。また、擬似糖と脂質部分との結合(グリコ
シド結合に相当)に関与する上記Zの擬似糖6位水酸基
との立体配置がトランスまたはシスであるかの選択、す
なわちα−アノマーまたはβ−アノマーの選択は任意で
あるが、天然のグリコセラミドとの類似性という点では
β−アノマーが好ましい。
【0024】本発明の擬似糖脂質は、上記構造を有する
から、その立体構造を制御することにより種々の用途に
使用しえる。例えば、本発明の擬似糖脂質は、グリコシ
ダーゼ阻害剤の有効成分として有用である。そして、そ
のグリコシダーゼ阻害剤は、任意のグリコシド結合を切
断するグリコシダーゼに適用可能であるが、特に、グル
コセレブロシダーゼ阻害剤および/またはガラクトセレ
ブロシダーゼ阻害剤として有用である。本発明の擬似糖
脂質の立体構造を制御することにより、種々のグリコシ
ダーゼに対する阻害活性を制御することができる。
【0025】特に、本発明は、次の一般式(1a)また
は(1b)で表される擬似糖脂質に関するものである。
しかし、本発明は前述したようにこれら化合物に限定さ
れるものではない。
【0026】
【化17】
【0027】(XおよびYは、互いに異なり、各々、水
素原子またはOH基を表す。Z、mおよびnは前記と同
義である。)
【0028】
【化18】
【0029】(XおよびYは、互いに異なり、各々、水
素原子またはOH基を表す。Z、mおよびnは前記と同
義である。) 前記一般式(1a)および(1b)で表される擬似糖脂
質は、一般式(c)
【0030】
【化19】
【0031】(XおよびYは、互いに異なり、各々、水
素原子またはOH基を表す。)で表される天然型の糖脂
質(脂質部分は一般式(1a)または(1b)と同じで
あるので、省略した)の糖部分(グルコースまたはガラ
クトース)を二重結合を有するカルボサイクリック型の
疑似糖で置き換えた構造(O−グリコシド構造)、ある
いはO−グリコシドをさらにN−グリコシド(Z=N
H)もしくはS−グリコシド(Z=S)に置き換えた構
造に相当する。
【0032】すなわち、一般式(c)において、X=H
およびY=OHの場合、この糖脂質は、グルコシルセラ
ミド化合物であり、また、X=OHおよびY=Hの場合
は、ガラクトシルセラミド化合物である。一般式(1
a)および(1b)において、X=HおよびY=OHの
場合、この化合物は、グルコシルセラミド化合物の擬似
糖脂質であり、また、X=OHおよびY=Hの場合は、
ガラクトシルセラミド化合物の擬似糖脂質である。一般
式(1a)と(1b)の擬似糖脂質は、その脂質部位の
二重結合部位が前者ではトランス配位で後者ではシス配
位である。
【0033】一般式(1a)および(1b)の化合物
が、グルコシルセラミド化合物の擬似糖脂質である場合
は、特異的にかつ強力にβ−グルコセレブロシダーゼを
阻害し、ガラクトシルセラミド化合物の擬似糖脂質であ
る場合は、特異的にかつ強力にβ−ガラクトセレブロシ
ダーゼを阻害する。一般式(1)、(1a)および(1
b)において、好ましくは、Zは、NH、mは3〜1
2、nは4〜22の範囲であり、より好ましくは、nは
4〜16の範囲である。
【0034】本発明の擬似糖脂質の製造法としては、特
に制限はないが、好ましくは以下の方法により合成でき
る。基本的には、水酸基を適宜保護化した擬似糖部分
と、アミノ基および水酸基を適宜保護化したスフィンゴ
シン部分をそれぞれ合成し、それらをZを介して結合
し、得られた化合物を脱保護し、脂質部分のアミノ基に
脂肪酸をアミド結合することにより得られる。以下、擬
似糖脂質の合成を詳細に説明する。
【0035】1.式(2)において、R1 =保護基、R
2 =Hである化合物およびR1 =H、R2 =保護基であ
る化合物の合成
【0036】
【化20】
【0037】(式中、R1 は、水素原子または水酸基の
保護基(例えば、ベンゾイル基(Bz)、p−ニトロベ
ンゾイル基、ナフトイル基等)、R2 は水素原子または
水酸基の保護基(例えば、シリル基(例、t−ブチルジ
メチルシリル基(t−BDMS)、ジエチルトリメチル
シリル、t−ブチルジフェニルシリル基)を表す。) 式(2)において、R1 =R2 =Hの化合物をピリジ
ン、α−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等の塩基
性溶媒に溶解し、−20〜20℃にて保護基R1を有す
る反応性誘導体、例えば、塩化ベンゾイル、塩化p−ニ
トロベンゾイル、塩化ナフトイル等のハロゲン化物等を
当量以上(望ましくは1当量〜2当量、更に望ましくは
1当量〜1.2当量)加え、1時間〜24時間攪拌、反
応させて水素原子を保護基R1と置換し、得られた生成
物をクロマトグラフィーで分離する。次いで、得られた
生成物をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)等
の有機溶媒に溶解し、保護基R2を有する反応性誘導
体、例えば、t−ブチルジメチルクロロシラン等を当量
以上加え、6時間〜48時間攪拌、反応させ、R1 の脱
保護とR2 の保護化を行い、この反応液を濃縮、精製
し、標記の化合物を得る。
【0038】2.式(3)の合成
【0039】
【化21】
【0040】(式中、R2 は、前記保護基、R3 は、ア
ミノ基の保護基(例えば、ジニトロフェニル基(DN
P)、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイ
ル基、p−ニトロベンゾイル基、メチルスルホニル基、
p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホ
ニル基等)を表す。) 前記1項で得られた式(2)の化合物(R1 =H、R2
=保護基)を有機溶媒に溶解し、不活化ガス雰囲気下、
トリフェニルホスフィン等の還元剤を当量以上(望まし
くは1当量〜1.5当量)加え、40〜80℃で10分
〜4時間攪拌し、次いで、減圧濃縮し、残渣を溶解後、
保護基R3を有する反応性誘導体(例えば、2,4−ジ
ニトロフルオロベンゼン、塩化アセチル等)を1当量〜
3当量(望ましくは1当量〜1.5当量)加え、攪拌
後、クロマトグラフィーで精製し、式(3)の化合物お
よび下記式(4)の化合物を得る。
【0041】
【化22】
【0042】(式中、R2 およびR3 は式(3)と同
義) 式(4)の化合物の末端水酸基を沃素に置換し、更に例
えば、フッ化銀、亜鉛末等を当量以上(望ましくは1当
量〜2当量)用いて0℃〜室温にて1時間〜12時間攪
拌を行って反応させることにより、式(3)の化合物を
得ることができる。
【0043】3.式(6)の合成
【0044】
【化23】
【0045】(式中、R2 およびR3 は、式(3)と同
義、R4 、R5 、R6 およびR7 は、単一の水酸基の保
護基もしくは任意の2種、好ましくは隣接する2種のも
のが一緒になって水酸基を保護する保護基または水素原
子、Zは前記と同義である。) 式(5):
【0046】
【化24】
【0047】(式中、R4 、R5 、R6 およびR7 は、
前記と同義であり、R8 はN、O、またはS原子含有官
能基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、
チオアセチル基、スルホンアミド基)で表される化合物
と式(3)で表される化合物を有機溶媒、例えば、2−
プロパノール、メタノール、エタノール、n−プロパノ
ール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert
−ブタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメ
チルスルホキシド(DMSO)等に溶解し、50〜18
0℃、好ましくは、100〜130℃にて、1〜10日
間、好ましくは、2〜6日間攪拌、反応させ、反応液を
減圧濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィー、好ま
しくはシリカゲルクロマトグラフィー(例えば、シリカ
ゲル:Silica Gel 40,60(メルク社
製)、Wacogel C−200,C−300(和光
純薬(株)製)、K−60(片山化学(株)製)等、溶
出液としては、例えば、酢酸エチルとトルエンの混合溶
媒が挙げられる)に付して精製し、式(6)の化合物を
得ることができる。
【0048】式(5)の保護基(R4〜R7)としては、
t−BDMS、メトキシメチル(MOM)基、2−メト
キシエトキシメチル基、メシル基、トシル基、ベンゾイ
ル基、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、シクロヘ
キシリデン基、シクロペンチリデン基等が挙げられる。
ここで、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、シクロ
ヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の二価基は、
4 〜R7 から選択される任意の2種が一緒になって形
成した基の場合である。好ましくは、R4 とR 5 、ある
いはR6 とR7 が一緒になった保護基、例えば、イソプ
ロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリ
デン基、ベンジリデン基等が挙げられ、R5 Oに相当す
る部位の置換基がエクアトリアル結合の場合に好適であ
る。また、R4 とR5 が一緒になってベンジリデン基、
シクロヘキシリデン基等であり、R6 はMOM、2−メ
トキシエトキシメチル基等で、R7 はMOM、2−メト
キシエトキシメチル基等であってもよい。一方、R5
がアキシアル結合の場合、で、R4はt−BDMSであ
り、R5は水素原子またはアセチル基であり、R6 はM
OM、2−メトキシエトキシメチル基等であり、R7
MOM、2−メトキシエトキシメチル基等である場合が
好適である。
【0049】R5 Oが水酸基(R5は水素原子)でアキ
シアル結合を形成する手段としては、R5 Oが水酸基で
エクアトリアル結合であって、R4 、R6 、およびR7
が保護基で、R8 が、アジド基の如きZ基を誘導する基
である化合物を塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロ
ホルム等の有機溶媒に溶解し、モレキュラーシーブス
(素材:結晶ゼオライト(ケイ酸塩)、孔径:3〜1
0)パウダー存在下、ピリジニウムクロロクロメイト
(PCC)、三酸化クロムのような酸化剤を1当量〜5
当量(望ましくは2当量〜4当量)を加え、室温にて3
0〜120時間攪拌し、生成物を例えば、シリカゲルカ
ラム(溶出液、エーテル)により精製し、下記式(7)
で表されるケトン体を得る。
【0050】
【化25】
【0051】得られた式(7)で表されるケトン体を、
例えば、トルエンに溶解し、−78〜20℃にて例え
ば、1M−ジイソプロピルアルミニウムハイドライド
(DIBAL−H)等の還元剤のトルエン溶液を加え、
5分間〜1時間(望ましくは10分間〜30分間)攪拌
して、還元反応に付し、R5 Oの立体配座を反転する。
反応液にアルカリ溶液、例えば、5%水酸化ナトリウム
溶液を加え、酢酸エチル等の有機溶媒にて抽出した後、
洗浄、乾燥、クロマトグラフィー等の精製法で精製する
ことにより、R4 、R6 、R7 およびR8 が、反応前と
同じで、R5 Oが水酸基でアキシアル結合の化合物を得
ることができる。更に、必要によりR8 を他の官能基、
例えば、アミノ基、水酸基等に変換することもできる。
【0052】4.式(8)の化合物の合成
【0053】
【化26】
【0054】(式中、R3 、Zおよびmは前記と同義) 式(6)で表される化合物の水酸基の保護基(R3以外
の保護基)を脱保護することにより式(8)の化合物が
得られるが、Zの種類により、脱保護条件を種々、選定
することができる。
【0055】具体的には、式(6)で表される化合物を
テトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解し、
テトラブチルアンモニウムフルオロライド(nBu4
F)、ボロントリフルオライドエテレイト等の脱保護剤
を当量以上(望ましくは1当量〜2当量)加え、5分間
〜1時間(望ましくは10分間〜30分間)反応させ、
反応液を酢酸エチル等の有機溶媒にて希釈し、水洗す
る。有機層を芒硝、無水硫酸マグネシウム等で乾燥した
後、減圧濃縮し、得られた生成物を好ましくは、シリカ
ゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:エタノール:
トルエン=1:7,メタノール:クロロホルム=1:5
等)で精製し、式(8)の化合物を得ることができる。
【0056】5.式(1)で表される化合物の合成 式(8)で表される化合物を有機溶媒、好ましくは、ア
セトン:メタノール:水(3:5:2)の混合溶媒に溶
解し、室温にて塩基性樹脂、好ましくは、アンバーライ
ト(Amberlite) IRA−400(OH-
を加え、攪拌、反応液を濾過し、ろ液を減圧濃縮し、残
渣を有機溶媒にて溶解し、室温にて式(1)の化合物に
おける脂肪酸部分(nは前記の所定の値)に対応する脂
肪酸のハロゲン化物(好ましくは、塩化物)1当量〜2
当量および酢酸ナトリウム水溶液を加え、5分間〜1時
間(望ましくは10分間〜30分間)攪拌、保護基R3
を脱保護すると共に該脂肪酸ハロゲン化物を該アミノ基
にアミド結合させる。反応液を好ましくは、THF等の
有機溶媒で希釈、飽和食塩水にて洗浄し、有機層を無水
硫酸マグネシウム等の脱水剤にて乾燥し、必要に応じて
減圧濃縮した後、精製し、式(1)で表される本発明の
擬似糖脂質を得る。
【0057】本発明の一般式(1)で表される化合物
は、任意の立体異性体を包含するものであり、所望の立
体構造を有する同化合物を基本的には上記合成法を適用
して合成可能である。例えば、式(1a)および(1
b)で表される化合物は、上記式(5)として式(5−
1)または式(5−2)の立体構造を有する化合物を、
上記式(4)として式(4−1)または式(4−2)
(式(4)と同一構造部位は省略)の立体構造を有する
化合物を使用し、さらに式(1a)または(1b)にお
けるn=4〜22のアシル基に対応する脂肪酸のハロゲ
ン化物を使用することにより、合成可能である。
【0058】
【化27】
【0059】(R4 〜R8 は式(5)と同義、好ましく
は、R4 とR5 、あるいはR6 とR7が一緒になった水
酸基の保護基、例えば、イソプロピリデン基)
【0060】
【化28】
【0061】(R4 〜R8 は式(5)と同義、好ましく
は、R4 はt−BDMS、R5 は水素原子、R6 とR7
はそれぞれMOM)
【0062】
【化29】
【0063】(R2 およびmは前記と同義)
【0064】
【化30】
【0065】(R2 およびmは前記と同義) 本発明の擬似糖脂質は、担体、賦形剤、その他の添加物
と共に、経口又は非経口的に投与する製剤とすることが
できる。経口製剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル
剤、錠剤等の固形製剤;シロップ剤、エリキシル剤、乳
剤等の液状製剤を挙げることができる。散剤は、例え
ば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳酸カルシウ
ム、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグ
ネシウム、無水ケイ酸等の賦形剤と混合して得ることが
できる。顆粒剤は、上記賦形剤のほか、必要に応じ、例
えば白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニル
ピロリドン等の結合剤や、カルボキシメチルセルロー
ス、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤
をさらに加え、湿式又は乾式で造粒して得ることができ
る。錠剤は、上記散剤又は顆粒剤をそのまま、或いはス
テアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤を加えて打
錠して得ることができる。また、上記錠剤又は顆粒剤
は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、
メタアクリル酸メチルコポリマー等の腸溶性基剤で被覆
し、或いはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油
等で被覆し、これらを腸溶性或いは持続性製剤にするこ
とができる。硬カプセル剤は、上記散剤又は顆粒剤を硬
カプセルに充填して得ることができる。また軟カプセル
剤は、本発明の擬似糖脂質を、グリセリン、ポリエチレ
ングリコール、ゴマ油、オリーブ油等に溶解し、これを
ゼラチン膜で被覆して得ることができる。シロップ剤
は、白糖、ソルビトール、グリセリン等の甘味料と本発
明の擬似糖脂質を、水に溶解して得ることができる。ま
た、甘味剤及び水のほかに、精油、エタノール等を加え
てエリキシル剤とするか、或いはアラビアゴム、トラガ
ント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム等を加えて乳剤又は懸濁剤にすることもで
きる。またこれらの液状製剤には必要に応じ、矯味剤、
着色剤、保存剤等を加えることができる。
【0066】非経口製剤としては、注射剤、直腸投与
剤、ペッサリー、皮膚外用剤、吸入剤、エアゾール剤、
点眼剤等を挙げることができる。注射剤は、本発明の擬
似糖脂質に塩酸、水酸化ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリ
ウム、リン酸−水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウ
ム等のpH調整剤;塩化ナトリウム、ブドウ糖等の等張
化剤;及び注射用蒸留水を加え、滅菌濾過した後、アン
プルに充填して得ることができる。またさらにマンニト
ール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチン等
を加えて真空凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤とするこ
とができる。また本発明の擬似糖脂質に、レシチン、ポ
リソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等
の乳化剤を加えた後、水中で乳化させた注射用乳剤にす
ることもできる。直腸投与剤は、本発明の擬似糖脂質
に、カカオ脂肪酸のモノ、ジ又はトリグリセリド、ポリ
エチレングリコール等の坐剤用基剤を加えた後、加温し
て溶解し、これを型に流し込んで冷却するか、或いは本
発明の擬似糖脂質を、ポリエチレングリコール、大豆油
等に溶解した後、ゼラチン膜で被覆して得ることができ
る。皮膚外用剤は、本発明の擬似糖脂質に、白色ワセリ
ン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコー
ル等を加え、必要に応じ加温し、混練して得ることがで
きる。テープ剤は、本発明の擬似糖脂質に、ロジン、ア
クリル酸アルキルエステル重合体等の粘着剤と混練し、
これを不織布等に展延して得ることができる。吸入剤
は、例えば薬学的に許容される不活性ガス等の噴射剤
に、本発明の擬似糖脂質を溶解又は分散し、これを耐圧
容器に充填して得ることができる。
【0067】投与量は、患者の年齢、健康状態、体重等
に応じて適宜決定でき、後述の酵素活性に対するIC50
値や抗HIV活性を示す濃度から当業者が容易に決定で
きる。 〔産業上の利用分野〕本発明の擬似糖脂質はグリコシダ
ーゼ阻害剤として有用である。特に後述の実験例に示さ
れるように、擬似糖部分の水酸基の立体配置を選択する
ことにより、その真糖を構成糖とする糖脂質である各セ
レブロシドの分解酵素(グリコセレブロシダーゼ;すな
わち、グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシダ
ーゼ等)を特異的に阻害する。従って、これらのグリコ
セレブロシダーゼについての生化学的研究に使用するこ
とができる。
【0068】さらに、生体内においてグリコセレブロシ
ダーゼを特異的に阻害することにより、糖脂質(ガング
リオシド等)の生体内での代謝を抑制し、糖脂質に基づ
く生理活性の発現を人工的に改変できる可能性がある。
すなわち、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルソミ
クソウイルス、パラミクソウイルス等のウイルスは宿主
細胞膜上の糖脂質(ガラクトセレブロシド、グルコセレ
ブロシド等)と結合することが知られているが、本発明
の擬似糖脂質は、ウイルスと宿主細胞膜上の上記糖脂質
との結合を特異的に阻害することにより、抗ウイルス活
性を示すことが期待される。実際、インビトロにおい
て、抗HIV活性を有することが確認されたので、本発
明の擬似糖脂質は抗HIV剤として有用である。また、
アルツハイマー病等の神経疾患では神経機能の維持に重
要な役割を果たすガングリオシドの脳内での含量が低下
することが判明しているが、本発明の擬似糖脂質は、生
体内におけるガングリオシドの低下を防止することによ
り、種々の神経疾患の新しい治療手段を提供できる可能
性がある。
【0069】なお、本発明の擬似糖脂質の擬似糖部分
は、糖尿病の治療薬として市販されているアカルボース
(acarbose)の構成擬似糖であって、天然にもその存在
が知られており、毒性を示さないと予想される。
【0070】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例について説明す
るが、本発明はこれに限定されるものではない。 実施例1:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カル
バ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)
アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オク
タデセン−3−オール(化合物1E)の合成
【0071】
【化31】
【0072】1−1:(2S,3R,4E)−2−アジ
ド−1−ベンゾイルオキシ−4−オクタデセン−3−オ
ール(化合物4E:式(3〜5E)において、R1 =ベ
ンゾイル(Bz)オキシ、R2 =H)の合成
【0073】
【化32】
【0074】(2S,3R,4E)−2−アジド−1,
3−ジハイドロキシ−4−オクタデセン(化合物3E:
式(3〜5E)において、R1 =R2 =H))(479
mg、1.47mmol)をピリジン(15ml)に溶
解し、−15℃にて塩化ベンゾイル(188μl、1.
62mmol)を加え、そのまま1時間攪拌の後、室温
にて8時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(片山化学 K−60、20g、溶出液;
酢酸エチル:ヘキサン=1:10)にて精製し、化合物
4E(409mg、収率65%)を得た。化合物4Eの
特性は以下の通りである。
【0075】 [α]D 25=−35°(C=1.0、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 )(データの表記法
は、LiebigsAnnalen der Chem
ieの方法に従った。以下、同様)。 δ:8.07−8.04(m,2H,Ph)、7.58
−7.42(m,3H,Ph)、5.70(dt,1
H,J4,5 =15.4Hz、J5,6a=J5,6b=7.0H
z,H−5)、5.45(dd,1H,J3,4 =7.3
Hz,H−4)、4.52(dd,1H,J1a,2=4.
0Hz,J1gem=11.7Hz,H−1a)、4.31
(dd,1H,J1b,2=2.1Hz、H−1b)、4.
22(dd,1H,J2,3 =5.1Hz,H−3)、
3.45(ddd,1H,H−2)、2.05(q,2
H,J=7.0Hz,H−6a,6b)、1.26
(s,22H,メチレン)、0.88(t,1H,J=
7.0Hz,メチル) 分子式 C253933 {分子量(計算値)429.608} 元素分析 計算値:C,69.90;H,9.15;N,9.78 実験値:C,70.05;H,9.25;N,9.60 1−2:(2S,3R,4E)−2−アジド−3−(t
−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−
1−オール(化合物5E:式(3〜5E)において、R
1 =H、R2 =t−BDMS)の合成 化合物4E(409mg、0.952mmol)をDM
F(10ml)に溶解し、t−ブチルジメチルクロロシ
ラン(431mg、2.86mmol)およびイミダゾ
ール(389mg、5.71mmol)を加え60℃に
て20時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、
水洗の後、減圧濃縮した。残渣をメタノール(4ml)
および塩化メチレン(5ml)の混合溶媒に溶解し、1
M−メタノール性ナトリウムメトキシド(1ml)を加
え、室温にて2時間処理した。反応液を酸性樹脂、アン
バーライト(Amberlite)IR−120B(H
+)にて中和の後、樹脂をろ別した。生成物をシリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(片山化学 K−60、2
0g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:10)にて
精製し、化合物5E(304mg、収率73%)を得
た。化合物5Eの特性は以下の通りである。
【0076】 [α]D 25=−42°(C=0.92、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.70(dt,1H,J4,5 =15.4Hz,J
5,6a=J5,6b=7.0Hz,H−5)、5.45(d
d,1H,J3,4 =7.3Hz,H−4)、4.22
(dd,1H,J2,3 =5.1Hz、H−3)、3.7
3(dd,1H,J1a,2=4.4Hz、J1gem=11.
7Hz,H−1a)、3.66(dd,1H,J1b,2
6.2Hz,H−1b)、3.40(ddd,1H,H
−2)、2.19(bs,1H,O)、2.05
(q,2H,J=7.0Hz,H−6a,6b)、1.
26(s,22H,メチレン)、0.90(s,9H,
t−ブチル)、0.88(t,3H,メチル)、0.0
9および0.05(2s,各3H,メチル) 分子式 C244932 Si{分子量(計算値)439.762} 元素分析 計算値:C,65.56;H,11.23;N,9.56 実験値:C,65.25;H,11.50;N,9.42 1−3:(2S,3R,4E)−3−(t−ブチルジメ
チルシリルオキシ)−1,2−[(2,4−ジニトロフ
ェニル)イミノ]−4−オクタデセン(化合物6E)お
よび(2S,3R,4E)−2−[(2,4−ジニトロ
フェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリル
オキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物7
E:式(7〜8E)においてR3 =OH)の合成
【0077】
【化33】
【0078】
【化34】
【0079】化合物5E(304mg、0.691mm
ol)をトルエン(6ml)に溶解し、アルゴン雰囲気
下、トリフェニルホスフィン(200mg、0.760
mmol)を加え、40℃にて20分間攪拌の後、80
℃にて1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮の後、残渣を
メタノール(6ml)に溶解し、0℃にて2,4−ジニ
トロフルオロベンゼン(130μl、1.04mmo
l)およびトリエチルアミン(193μl、1.38m
mol)を加え、そのまま30分間攪拌の後、室温にて
12時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマト
グラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:2
0)にて精製し、化合物6E(137mg、収率35
%)および化合物7E(182mg、収率45%)を得
た。化合物6Eの特性は以下の通りである。
【0080】 [α]D 26=−162°(C=1.2、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:8.86(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、
8.27(dd,1H,J=9.2Hz,Ph)、7.
31(d,1H,Ph)、5.75(dt,1H,J
4,5 =15.4Hz,J5,6a=J5,6b=7.0Hz,H
−5)、5.48(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,
H−4)、4.38(dd,1H,J2,3 =3.6H
z,H−3)、2.72(d,1H,J1a,2=4.0H
z,H−1a)、2.61(ddd,1H,J1b,2
6.2Hz,H−2)、2.14(d,1H,H−1
b)、2.07(q,2H,J=7.0Hz,H−6
a,6b)、1.25(s,22H,メチレン)、0.
89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,1H,
J=7.0Hz,メチル)、0.06(s,6H,メチ
ル) 分子式 C305135 Si{分子量(計算値)561.844} 元素分析 計算値:C,64.13;H,9.15;N,7.48 実験値:C,63.87;H,9.20;N,7.10 化合物7Eの特性は以下の通りである。
【0081】 [α]D 26=−28°(C=1.0、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.16(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、
9.12(d,1H,J2,NH=8.8Hz,NH)、
8.25(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.
95(d,1H,Ph)、5.79(dt,1H,J
4,5 =15.7Hz,J5,6a=J5,6b=6.6Hz,H
−5)、5.51(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,
H−4)、4.47(dd,1H,J2,3 =3.6H
z,H−3)、4.12(dt,1H,J1a,2=J
1a,OH =3.3Hz,J1gem=11.7Hz,H−1
a)、3.83(dddd,1H,J1b,2=8.0H
z,H−2)、3.70(ddd,1H,J1b,OH
4.8Hz,H−1b)、2.57(dd,1H,O
H)、2.06(q,2H,J=6.6Hz,H−6a
および6b)、1.26(s,22H,メチレン)、
0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3
H,J=7.0Hz,メチル)、0.02(s,6H,
メチル) 分子式 C305336 Si{分子量(計算値)579.860} 元素分析 計算値:C,62.14;H,9.21;N,7.25 実験値:C,61.95;H,9.51;N,7.30 1−4:(2S,3R,4E)−2−[(2,4−ジニ
トロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシ
リルオキシ)−1−ヨード−4−オクタデセン(化合物
8E:式(7〜8E)においてR3 =I)の合成 化合物7E(232mg,0.400mmol)をトル
エン(10ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン
(210mg、0.800mmol)、ヨウ素(203
mg、0.800mmol)およびイミダゾール(10
9mg、1.60mmol)を加え、室温にて30分間
攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィ
ー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:30)にて精
製し、化合物8E(269mg、収率97%)を得た。
化合物8Eの特性は以下の通りである。
【0082】 [α]D 26=−35°(C=0.82、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.15(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、
8.71(d,1H,J2,NH=9.1Hz,NH)、
8.26(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.
97(d,1H,Ph)、5.79(dt,1H,J
4,5 =15.7Hz,J5,6a=J5,6b=6.6Hz,H
−5)、5.42(dd,1H,J3,4 =8.0Hz,
H−4)、4.32(dd,1H,J2,3 =5.5H
z,H−3)、3.72(dddd,1H,J1a,2
5.1Hz,J1b,2=6.2Hz,H−2)、3.49
(dd,1H,J1gem=11.0Hz,H−1a)、
3.43(dd,1H,H−1b)、2.05−1.9
7(m,2H,H−6aおよび6b)、1.25(s,
22H,メチレン)、0.88(s,9H,t−ブチ
ル)、0.88(t,3H,J=6.6Hz,メチ
ル)、0.07および0.04(2s,各3H,メチ
ル) 分子式 C3052IN35Si{分子量(計算値)689.756} 元素分析 計算値:C,52.24;H,7.60;N,6.09 実験値:C,52.01;H,7.85;N,6.01 1−5:化合物6E(化合物8Eより)の合成 化合物8E(269mg,0.390mmol)をピリ
ジン(8ml)に溶解し、遮光下にてフッ化銀(64m
g、0.507mmol)を0℃にて加え、そのまま2
時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水にて
洗浄した。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(K−60(片山化学(株)製)15g、溶出液;
酢酸エチル:ヘキサン=1:20)にて精製し、化合物
6E(188mg,収率86%)を得た。
【0083】1−6:(2S,3R,4E)−1−
[(5a−カルバ−2,3;4,6−ジ−O−イソプロ
ピリデン−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノ
シル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)
アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−
4−オクタデセン(化合物10E)の合成
【0084】
【化35】
【0085】化合物9
【0086】
【化36】
【0087】(35mg、0.139mmol)および
化合物6E(65mg、0.116mmol)を2−プ
ロパノール(0.5ml)に溶解し、120℃にて5日
間加温した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学 K−6
0、8g、溶出液;酢酸エチル:トルエン=1:15)
にて精製し、化合物10E(57mg、収率60%)を
得た。化合物10Eの特性は以下の通りである。
【0088】 [α]D 26=−3°(C=1.0、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.14(d,1H,J=2.9Hz,Ph)、
9.08(d,1H,J=7.3Hz,NH)、8.2
1(dd,1H,J=9.4Hz,Ph)、7.03
(d,1H,Ph)、5.72(dt,1H,J4,5
15.4Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz、H−
5)、5.44(dd,1H,J3,4 =6.8Hz,H
−4)、5.30(bs,1H,H−5′a)、4.6
2(d,1H,J3,4′=7.8Hz、H−4′)、
4.49および4.14(2d,各1H,J6gem
14.2Hz,H−6′aおよび6′b)、4.33
(dd,1H,J2,3 =4.4Hz、H−3)、3.8
8−3.78(m,1H,H−2)、3.71(dd,
1H,J2,3′=9.0Hz、H−3′)、3.57
(bd,1H,J1,2′=9.0Hz,H−1′)、
3.45(t,1H,H−2′)、3.16(dd,1
H,J1a,2=4.9Hz,J1gem=12.7Hz,H−
1a)、3.03(dd,1H,J1b,2=4.4Hz,
H−1b)、2.07−1.98(m,2H,H−6a
および6b)、1.57,1.44,1.42および
1.40(4s,各3H,メチル)、1.25(s,2
2H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.0H
z,メチル)、0.86(s,9H,t−ブチル)、−
0.02および−0.05(2s,各3H,メチル) 分子式 C437249 Si{分子量(計算値)817.162} 元素分析 計算値:C,63.20;H,8.88;N,6.86 実験値:C,62.85;H,9.15;N,6.72 1−7:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ
−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)ア
ミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]
−4−オクタデセン−3−オール(化合物11E)の合
【0089】
【化37】
【0090】化合物10E(40mg、0.0489m
mol)をテトラヒドロフラン(THF)(3ml)に
溶解し、1M−テトラブチルアンモニウムフルオロライ
ド(nBu4 NF)−THF溶液(73μl、0.07
30mmol)を加え、室温にて15分間攪拌した。反
応液を酢酸エチルにて希釈し、水洗した。有機層を芒硝
乾燥の後、減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸(1.6m
l)および水(0.4ml)に溶解し、70℃にて30
分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた生成物を
シリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山
化学(株))製、1g、溶出液;エタノール:トルエン
=1:7)より精製し、化合物11E(23mg、収率
75%)を得た。化合物11Eの特性は以下の通りであ
る。
【0091】 [α]D 27=−50°(C=1.2、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:9.11(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、
8.25(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、7.
14(d,1H,Ph)、5.81(dt,1H,J
4,5 =15.4Hz、J5,6a=J5,6b=6.7Hz、H
−5)、5.58(bs,1H,H−5′a)、5.4
9(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,H−4)、4.
31−4.06(m,4H,H−3,4′,6′aおよ
び6′b)、3.85(q,1H,J1a,2=J1b,2=J
2,3 =6.0Hz,H−2)、3.54(dd,1H,
2,3′=9.9Hz、J3,4′=8.0Hz、H−
3′)、3.45(dd,1H,J1,2′=8.0H
z,H−2′)、3.27(bd,1H,H−1′)、
3.18(dd,1H,J1gem=12.5Hz,H−1
a)、2.87(dd,1H,H−1b)、2.06−
2.00(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26
(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=
7.0Hz,メチル) 分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769} 元素分析 計算値:C,59.79;H,8.09;N,9.00 実験値:C,59.41;H,8.42;N,8.63 1−8:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ
−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)ア
ミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタ
デセン−3−オール(化合物1E)の合成 化合物11E(23mg、0.0369mmol)をア
セトン:メタノール:水(3:5:2)(2ml)に溶
解し、室温にて塩基性樹脂アンバーライトIRA−40
0(OH- )(0.5ml)を加え、2時間攪拌した。
反応液をセライト濾過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた
残渣をTHF(2ml)に溶解した。これに室温にてパ
ルミトイルクロライド(11μl、0.0369mmo
l)および30%酢酸ナトリウム水溶液(1ml)を加
え、15分間攪拌した。反応液をTHF(20ml)に
て希釈、飽和食塩水(10ml)にて洗浄した。有機層
を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得
られた残渣をn−ブタノール(1.8ml)に溶解、1
M−水酸化カリウム水溶液(0.2ml)を加え、50
℃にて18時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムク
ロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、2
g、溶出液;メタノール:クロロホルム=1:7)によ
り精製し、化合物1E(15mg、収率58%)を得
た。化合物1Eの特性は以下の通りである。
【0092】 [α]D 27=−21°(C=0.35、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:5.73(dt,1H,J4,5 =15.3Hz、J
5,6a=J5,6b=6.4Hz、H−5)、5.58(b
s,1H,H−5′a)、5.44(dd,1H,J
3,4 =6.9Hz,H−4)、4.25−4.10
(m,3H,H−4′,6′aおよび6′b)、4.0
8(dd,1H,J2,3 =5.9Hz,H−3)、3.
89(q,1H,J1a,2=J1b,2=5.9Hz,H−
2)、3.55(dd,1H,J2,3′=9.9Hz
, 3,4′=7.4Hz、H−3′)、3.43(d
d,1H,J1,2′=8.4Hz,H−2′)、3.
27(bd,1H,H−1′)、2.98および2.8
1(2dd,各1H,J1gem=12.6Hz,H−1a
および1b)、2.20(t,2H,J=7.5Hz,
COC 2)、2.04(q,1H,J=6.5Hz,
H−6aおよび6b)、1.27(s,48H,メチレ
ン)、0.89(t,6H,J=6.5Hz,メチル) 分子式 C417826 {分子量(計算値)695.089} 元素分析 計算値:C,70.85;H,11.31;N,4.03 実験値:C,70.34;H,11.75;N,3.88 実施例2:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カル
バ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)
アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オク
タデセン−3−オール(化合物1Z)の合成
【0093】
【化38】
【0094】2−1:(2S,3R,4Z)−2−アジ
ド−1−ベンゾイルオキシ−4−オクタデセン−3−オ
ール(化合物4Z:式(3〜5Z)において、R1 =ベ
ンゾイル(Bz)オキシ、R2 =H)の合成
【0095】
【化39】
【0096】(2S,3R,4Z)−2−アジド−1,
3−ジハイドロキシ−4−オクタデセン(化合物3Z:
式(3〜5Z)において、R1 =R2 =H))(1.7
6g、5.41mmol)を化合物4Eの合成と同様に
処理し、化合物4Z(1.65g、71%)を得た。化
合物4Zの特性は以下の通りである。
【0097】 [α]D 24=−28°(C=1.1、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:8.07−8.04(m,2H,Ph)、7.58
−7.42(m,3H,Ph)、5.59(dt,1
H,J4,5 =11.0Hz、J5,6a=J5,6b=7.3H
z,H−5)、5.43(dd,1H,J3,4 =8.8
Hz,H−4)、4.65(dd,1H,J2,3 =5.
2Hz,H−3)、4.52(dd,1H,J1a,2
4.0Hz,J1gem=11.7Hz、H−1a)、4.
31(dd,1H,J1b,2=2.1Hz、H−1b)、
3.69(ddd、1H,H−2)、2.15−2.1
0(m,2H,H−6a,6b)、1.25(s,22
H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.0H
z,メチル) 分子式 C253933 {分子量(計算値)429.608} 元素分析 計算値:C,69.90;H,9.15;N,9.78 実験値:C,69.72;H,9.40;N,9.61 2−2:(2S,3R,4Z)−2−アジド−3−(t
−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−
1−オール(化合物5Z:式(3〜5Z)において、R
1 =H、R2 =t−BDMS)の合成 化合物4Z(1.65g、3.84mmol)を化合物
5Eの合成と同様に処理し、化合物5Z(2.03m
g、収率84%)を得た。化合物5Zの特性は以下の通
りである。
【0098】 [α]D 26=−40°(C=1.0、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.55(dt,1H,J4,5 =11.0Hz,J
5,6a=J5,6b=7.3Hz,H−5)、5.40(d
d,1H,J3,4 =8.8Hz,H−4)、4.59
(dd,1H,J2,3 =5.5Hz、H−3)、3.7
7(dd,1H,J1a,2=5.1Hz、J1gem=11.
0Hz,H−1a)、3.69(dd,1H,J1b,2
5.1Hz,H−1b)、3.37(dt,1H,H−
2)、2.18(t,1H,J=6.0Hz,O)、
2.10−2.00(m,2H,H−6a,6b)、
1.25(s,22H,メチレン)、0.88(s,9
H,t−ブチル)、0.89(t,3H,J=7.0H
z,メチル)、0.09および0.05(2s,各3
H,メチル) 分子式 C244932 Si{分子量(計算値)439.762} 元素分析 計算値:C,65.56;H,11.23;N,9.56 実験値:C,65.35;H,11.63;N,9.61 2−3:(2S,3R,4Z)−3−(t−ブチルジメ
チルシリルオキシ)−1,2−[(2,4−ジニトロフ
ェニル)イミノ]−4−オクタデセン(化合物6Z)お
よび(2S,3R,4Z)−2−[(2,4−ジニトロ
フェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリル
オキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物7
Z:式(7〜8Z)においてR3 =OH)の合成
【0099】
【化40】
【0100】
【化41】
【0101】化合物5Z(1.01g、2.30mmo
l)を化合物6Eの合成と同様に処理し、化合物6Z
(537mg、収率42%)および化合物7Z(431
mg、33%)を得た。化合物6Zの特性は以下の通り
である。 [α]D 25=−140°(C=0.93、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:8.85(d,1H,J=2.4Hz,Ph)、
8.27(dd,1H,J=9.3Hz,Ph)、7.
33(d,1H,Ph)、5.57(dt,1H,J
4,5 =10.7Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H
−5)、5.40(dd,1H,J3,4 =8.3Hz,
H−4)、4.78(dd,1H,J2,3 =3.4H
z,H−3)、2.72(d,1H,J1a,2=3.4H
z,H−1a)、2.61(dt,1H,J1b,2=5.
9Hz,H−2)、2.15(d,1H,H−1b)、
2.15−2.00(m,2H,H−6a,6b)、
1.24(s,22H,メチレン)、0.89(s,9
H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=7.0H
z,メチル)、0.063および0.056(2s,各
3H,メチル) 分子式 C305135 Si{分子量(計算値)561.844} 元素分析 計算値:C,64.13;H,9.15;N,7.48 実験値:C,63.78;H,9.51;N,7.21 化合物7Zの特性は以下の通りである。
【0102】 [α]D 25=−18°(C=0.95、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.17(d,1H,J2,NH=8.4Hz,N
H)、9.16(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、
8.24(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、6.
96(d,1H,Ph)、5.57(dt,1H,J
4,5 =11.3Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H
−5)、5.49(dd,1H,J3,4 =8.1Hz,
H−4)、4.81(dd,1H,J2,3 =4.0H
z,H−3),4.14(dt,1H,J1a,2=J
1a,OH =3.3Hz,J1gem=11.5Hz,H−1
a)、3.86(ddd,1H,J1b,2=4.0Hz,
1b,OH =8.4Hz,H−1b)、3.67(dd
t,1H,H−2)、2.57(dd,1H,O)、
2.17−1.96(m,2H,H−6aおよび6
b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.89
(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=
7.0Hz,メチル)、0.03(s,6H,メチル) 分子式 C305336 Si{分子量(計算値)579.860} 元素分析 計算値:C,62.14;H,9.21;N,7.25 実験値:C,62.20;H,9.31;N,7.41 2−4:(2S,3R,4Z)−2−[(2,4−ジニ
トロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシ
リルオキシ)−1−ヨード−4−オクタデセン(化合物
8Z:式(7〜8Z)においてR3 =I)の合成 化合物7Z(158mg,0.272mmol)を化合
物8Eの合成と同様に処理し、化合物8Z(172m
g、収率91%)を得た。化合物8Zの特性は以下の通
りである。
【0103】 [α]D 26=−30°(C=0.75、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.15(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、
8.77(d,1H,J2,NH=9.5Hz,NH)、
8.24(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.
98(d,1H,Ph)、5.55(dt,1H,J
4,5 =11.0Hz,J5,6a=J5,6b=6.7Hz,H
−5)、5.36(dd,1H,J3,4 =8.8Hz,
H−4)、4.64(dd,1H,J2,3 =5.9H
z,H−3)、3.70(ddt,1H,J1a,2=J
1b,2=5.1Hz,H−2)、5.52(d,2H,H
−1aおよび1b)、2.17−1.96(m,2H,
H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレ
ン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88
(t,1H,J=6.9Hz,メチル)、0.09およ
び0.05(2s,各3H,メチル) 分子式 C3052IN35Si{分子量(計算値)689.756} 元素分析 計算値:C,52.24;H,7.60;N,6.09 実験値:C,51.89;H,7.95;N,5.78 2−5:化合物6Z(化合物8Zより)の合成 化合物8Z(172mg,0.249mmol)を化合
物6Eの合成(化合物8Eより)と同様に処理し、化合
物6Z(126mg,収率90%)を得た。
【0104】2−6:(2S,3R,4Z)−1−
[(5a−カルバ−2,3;4,6−ジ−O−イソプロ
ピリデン−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノ
シル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)
アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−
4−オクタデセン(化合物10Z)の合成
【0105】
【化42】
【0106】(省略部分は化合物10Eと同じであ
る。) 化合物9(51mg、0.200mmol)および化合
物6Z(89mg、0.158mmol)を化合物10
Eの合成と同様に処理し、化合物10Z(65mg、収
率50%)を得た。化合物10Zの特性は以下の通りで
ある。
【0107】 [α]D 27=−13°(C=0.72、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.15(d,1H,J2,NH=9.5Hz,N
H)、9.14(d,1H,J=2.9Hz,Ph)、
8.19(dd,1H,J=9.9,Ph)、7.03
(d,1H,Ph)、5.51(dt,1H,J4,5
11.0Hz,J5,6a=J5,6b=7.0Hz、H−
5)、5.41(dd,1H,J3,4 =8.1Hz,H
−4)、5.29(bs,1H,H−5′a)、4.6
5(dd,1H,J2,3 =4.4Hz,H−3)、4.
62(bd,1H,J3,4′=8.1Hz、H−
4′)、4.49および4.14(2bd,各1H,J
6 gem =13.5Hz,H−6′aおよび6′b)、
3.81(ddt,1H,J1a,2=5.5Hz、J1b,2
=4.4Hz,H−2)、3.70(dd,1H,
2,3′=9.5Hz、H−3)、3.55(bd,
1H,J1,2′=8.4Hz,H−1′)、3.44
(dd,1H,H−2′)、3.19(dd,1H,J
1gem=12.8Hz,H−1a)、3.04(dd,1
H,H−1b)、2.12−1.94(m,2H,H−
6aおよび6b)、1.56,1.43,1.42およ
び1.40(4s,各3H,メチル)、1.26(s,
22H,メチル)、0.88(t,3H,J=6.6H
z,メチル)、0.87(s,9H,t−ブチル)、−
0.01および−0.02(2s,各3H,メチル) 分子式 C437249 Si{分子量(計算値)817.162} 元素分析 計算値:C,63.20;H,8.88;N,6.86 実験値:C,62.91;H,9.10;N,7.01 2−7:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ
−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)ア
ミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]
−4−オクタデセン−3−オール(化合物11Z)の合
【0108】
【化43】
【0109】(省略部分は化合物11Eと同じである) 化合物10Z(51mg、0.0624mmol)を化
合物11Eの合成と同様に処理し、化合物11Z(36
mg、収率93%)を得た。化合物11Zの特性は以下
の通りである。
【0110】 [α]D 26=−83°(C=0.93、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:9.10(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、
8.24(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、7.
14(d,1H,Ph)、5.59(s,1H,H−
5′a)、5.58(dt,1H,J4,5 =11.0H
z、J5,6a=J5,6b=7.0Hz、H−5)、5.45
(dd,1H,J3,4 =8.4Hz,H−4)、4.6
4(dd,1H,J2,3 =6.6Hz,H−3)、4.
30−4.05(m,3H,H−4′,6′aおよび
6′b)、3.88(ddd,1H,J1a,2=4.4H
z,J1b,2=5.1Hz,H−2)、3.54(t,1
H,J2,3′=J3,4′=9.9Hz、H−3′)、
3.48(t,1H,J1,2 =9.9Hz,H−
2′)、3.82(bd,1H,H−1′)、3.24
(dd,1H,J1gem=12.6Hz,H−1a)、
2.93(dd,1H,H−1b)、2.18−1.9
5(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,
22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=6.6
Hz,メチル) 分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769} 元素分析 計算値:C,59.79;H,8.09;N,9.00 実験値:C,59.38;H,8.45;N,8.70 2−8:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ
−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)ア
ミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタ
デセン−3−オール(化合物1Z)の合成 化合物11Z(19mg、0.0305mmol)を化
合物1Eの合成と同様に処理し、化合物1Z(12m
g,収率57%)を得た。化合物1Zの特性は以下の通
りである。
【0111】 [α]D 26=−38°(C=0.29、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 −CD3 OD 2:
1) δ:5.59(bs,1H,H−5′a)、5.57
(dt,1H,J4.5 =11.0Hz、J5,6a=J5,6b
=7.3Hz、H−5)、5.39(dd,1H,J
3,4 =8.4Hz,H−4)、4.45(dd,1H,
2,3 =6.6Hz,H−3)、4.18および4.1
2(2d,各1H,J6gem =14.3Hz,H−
6′aおよび6′b)、4.20−4.10(m,1
H,H−4′)、3.91(dt,1H,J1a,2=6.
6Hz,J1b,2=5.1Hz,H−2)、3.55(d
d,1H,J2,3′=9.9Hz、J3,4′=7.0
Hz、H−3′)、3.47(dd,1H,J1,2
=8.1Hz,H−2′)、3.38(bd,1H,H
−1′)、3.05(dd,1H,J1gem=12.8H
z,H−1a)、2.88(dd,1H,H−1b)、
2.20(t,2H,J=7.0Hz,H−1a′′お
よび1b′′)、2.15−2.00(m,2H,H−
6aおよび6b)、1.67−1.52(m,2H,H
−2′′aおよび2′′b)、1.26(s,46H,
メチレン)、0.89(t,6H,J=7.0Hz,メ
チル) 分子式 C417826 ・H2O{分子量(計算値)713.1} 元素分析 計算値:C,69.06;H,11.32;N,3.93 実験値:C,68.84;H,11.64;N,3.62 実施例3:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カル
バ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノ
シル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4
−オクタデセン−3−オール(化合物2E)の合成
【0112】
【化44】
【0113】3−1:1−アジド−4,6−O−ベンジ
リデン−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O
−メトキシメチル−β−D−xylo−ヘキス−5−エ
ノピラノース(化合物13)の合成
【0114】
【化45】
【0115】1−アジド−5a−カルバ−1−デオキシ
−2,3;4,6−ジ−O−イソプロピリデン−β−D
−xylo−ヘキス−5−エノピラノース(化合物1
2)
【0116】
【化46】
【0117】(103mg、0.366mmol)を8
0%含水酢酸(3ml)に溶解し、70℃にて40時間
攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をN,N
−ジメチルホルムアミド(DMF)(4ml)に溶解
し、α,α−ジメトキシトルエン(137μl、0.9
15mmol)およびp−トルエンスルホン酸−水和物
(14mg、0.0732mmol)を加え、アスピレ
ーター減圧下(〜50mmHg)55℃にて2時間攪拌
した。反応液を酢酸エチルにて希釈、飽和重曹水、水で
順次洗浄の後、芒硝乾燥した。有機層を減圧濃縮し、残
渣を塩化メチレン(5ml)に溶解、クロロメチルメチ
ルエーテル(111μl、1.46mmol)およびジ
イソプロピルエチルアミン(510μl、2.93mm
ol)を加え、加熱環流下、12時間処理した。生成物
をシリカゲルカラム(K−60(片山化学(株)製)、
10g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:8)にて
分離精製し、化合物13(73mg、収率53%)を得
た。化合物13の特性は以下の通りである。
【0118】 [α]D 23=−120°(C=1.2、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.65(s,1H,PhC=)、5.51(b
s,1H,H−5a)、4.99および4.81(2
d,各1H,J=6.6Hz,メチレン)、4.89お
よび4.83(2d,各1H,J=6.3Hz,メチレ
ン)、4.53(bd,1H,J3,4 =7.7Hz,H
−4)、4.47(bs,2H,H−6aおよびH−6
b)、4.08(bd,1H,J1,2 =8.4Hz,H
−1)、3.98(dd,1H,J2,3 =10.6H
z,H−3)、3.67(dd,1H,H−2)、3.
64および3.51(2s,各3H,メチル) 分子式 C182336 {分子量(計算値)377.403} 元素分析 計算値:C,57.29;H,6.14;N,11.13 実験値:C,56.97;H,6.39;N,10.88 3−2:1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシ
リル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O
−メトキシメチル−β−D−xylo−ヘキス−5−エ
ノピラノース(化合物14)(式(14〜15)のR4
は水素原子)の合成
【0119】
【化47】
【0120】化合物13(269mg、0.713mm
ol)を80%含水酢酸(6ml)に溶解、60℃にて
1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をDMF
(6ml)に溶解し、t−ブチルジメチルクロロシラン
(216mg、1.43mmol)およびイミダゾール
(194mg、2.85mmol)を加え、室温にて1
時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈、水洗した。
生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化
学社製、K−60、20g、溶出液 酢酸エチル:トル
エン=1:10)により精製し、化合物14(211m
g、収率73%)を得た。化合物14の特性は以下の通
りである。
【0121】 [α]D 25=−109°(C=0.90、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.64(bs,1H,H−5a)、4.90,
4.82,4.78および4.77(4d,各1H,J
=6.7Hz,メチレン)、4.33および4.23
(2bd,各1H,J6gem=13.6Hz,H−6aお
よびH−6b)、4.22−4.16(m,1H,H−
4)、4.10(d,1H,J4,OH=2.6Hz,O
)、4.00(bd,1H,J1,2 =8.0Hz,H
−1)、3.68(dd,1H,J2,3 =9.9Hz,
H−2)、3.54(dd,1H,J3,4=7.0H
z,H−3)、3.48および3.47(2s,各3
H,メチル)、0.92(s,9H,t−ブチル)、
0.09(s,6H,メチル) 分子式 C173336 Si{分子量(計算値)403.557} 元素分析 計算値:C,50.60;H,8.24;N,10.41 実験値:C,50.25;H,8.42;N,10.31 3−3:4−O−アセチル−1−アジド−6−O−(t
−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキ
シ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−β−D−xyl
o−ヘキス−5−エノピラノース(化合物15)(式
(14〜15)のR5 はアセチル(Ac))の合成 化合物14(6.0mg、0.0149mmol)を、
ピリジンと無水酢酸にて一晩室温処理することによって
アセチル化し、生成物を単離して化合物15(8.0m
g、100%)を得た。
【0122】化合物15の特性は以下の通りである。 [α]D 25=−32°(C=0.40、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.78(bs,1H,H−5a)、5.61(b
d,1H,J3,4 =7.3Hz,H−4)、4.90,
4.80,4.78および4.70(4d,各1H,J
=6.6Hz,メチレン)、4.06−3.97(m,
3H,H−1,6aおよび6b)、3.82(dd,1
H,J2,3 =9.5Hz,H−3)、3.72(dd,
1H,J1,2 =7.4Hz,H−2)、3.48および
3.35(2s,各3H,メチル)、2.10(s,3
H,アセチル)、0.90(s,9H,t−ブチル)、
0.06(s,6H,メチル) 分子式 C193537Si{分子量(計算値)445.595} 元素分析 計算値:C,51.21;H,7.92;N,9.43 実験値:C,50.90;H,8.21;N,9.51 3−4:1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシ
リル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O
−メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−
5−エノピラノース(化合物16)(式(16〜17)
のR5 は水素原子、R6 はアジド基)の合成
【0123】
【化48】
【0124】化合物14(223mg、0.553mm
ol)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、モレキュラ
ーシーブス4Åパウダー存在下(220mg)、ピリジ
ニウムクロロクロメイト(PCC)(358mg、1.
66mmol)を加え、室温にて1時間半攪拌した。生
成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテ
ル)により精製し、得られたケトン体をトルエン(6m
l)に溶解、−78℃にて1M−ジイソプロピルアルミ
ニウムハイドライド(DIBAL−H)のトルエン溶液
(0.737mmol、1.11mmol)を加え、2
0分間攪拌した。反応液に5%水酸化ナトリウム水溶液
を加え、酢酸エチルにて抽出した後、飽和食塩水にて洗
浄、有機層を芒硝にて乾燥した。シリカゲルカラムクロ
マトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、10
g、溶出液;酢酸エチル:トルエン=1:8)にて分離
精製し、化合物16(119mg、収率53%)および
化合物14(71mg、収率32%)を得た。
【0125】化合物16の特性は以下の通りである。 [α]D 23=−107°(C=1.3、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.70(bs,1H,H−5a)、4.89,
4.85,4.79および4.78(4d,各1H,J
=6.6Hz,メチレン)、4.30−4.27(m,
2H,H−4および6a)、4.20(bd,1H,J
6gem=13.6Hz,H−6b)、4.00(dd,1
H,J1,2 =7.7Hz,J2,3 =9.9Hz,H−
2)、3.86(bd,1H,H−1)、3.67(d
d,1H,J3,4 =3.8Hz,H−3)、3.48お
よび3.44(2s,各3H,メチル)、2.75
(d,1H,J4,OH=2.6Hz,O)、0.92
(s,9H,t−ブチル)、0.10(s,6H,メチ
ル) 分子式 C173336 Si{分子量(計算値)403.557} 元素分析 計算値:C,50.60;H,8.24;N,10.41 実験値:C,50.31;H,8.51;N,10.15 3−5:4−O−アセチル−1−アジド−6−O−(t
−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキ
シ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−ara
bino−ヘキス−5−エノピラノース(化合物17)
(式(16〜17)のR5 はアセチル、R6 はアジド
基)の合成 化合物16(35mg、0.0867mmol)を前記
と同様にアセチル化し、化合物17(34mg、収率8
9%)を得た。化合物17の特性は以下の通りである。
【0126】 [α]D 25=−23°(C=1.1、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:5.85(bs,1H,H−5a)、5.57
(d,1H,J3,4 =3.7Hz,H−4)、4.9
4,4.77,4.73および4.63(4d,各1
H,J=6.8Hz,メチレン)、4.08−4.06
(m,2H,H−6aおよび6b)、3.97(dd,
1H,J1,2 =7.7Hz,J2.3 =9.9Hz,H−
2)、3.89(d,1H,H−1),3.79(d
d,1H,H−3)、3.50および3.38(2s,
各3H,メチル)、2.09(s,3H,アセチル)、
0.91(s,9H,t−ブチル)、0.06(s,6
H,メチル) 分子式 C193537Si{分子量(計算値)445.595} 元素分析 計算値:C,51.21;H,7.92;N,9.43 実験値:C,51.02;H,8.25;N,9.69 3−6:(2S,3R,4E)−1−[6−O−t−ブ
チルジメチルシリル−5a−カルバ−2,3−ジ−O−
メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−エ
ノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフ
ェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオ
キシ)−4−オクタデセン(化合物18E)
【0127】
【化49】
【0128】化合物16(66mg、0.165mmo
l)をTHF(3ml)に溶解し、トリフェニルホスフ
ィン(51mg、0.196mmol)および水(15
0μl)を加え、60℃にて、5時間攪拌した。反応液
を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、2g、
溶出液;エタノール:トルエン=1:8)に付してトリ
フェニルホスフィンオキサイドを除去し、アミン体16
a(式(16〜17)のR5は水素原子、R6はアミノ
基)を得た。これを実施例1の化合物6E(125m
g、0.222mmol)と共に2−プロパノールに溶
解、封管中120℃にて5日間加熱した。反応液を減圧
濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラ
フィー(K−60(片山化学(株)製)、10g、溶出
液;酢酸エチル:トルエン 1:8)にて分離精製し、
化合物18E(82mg、収率55%)を得た。化合物
18Eの特性は以下の通りである。
【0129】 [α]D 26=−30°(C=1.1、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.30(d,1H,J2,NH=8.8Hz,N
H)、9.15(d,1H,J=2.4Hz,Ph)、
8.21(dd,1H,J=9.8Hz,Ph)、7.
01(d,1H,Ph)、5.73(dt,1H,J
4,5 =15.6Hz,J5,6a=J5,6b=6.9Hz、H
−5)、5.66(d,1H,J1,5a =1.8H
z,H−5′a)、5.48(dd,1H,J3,4
6.8Hz,H−4)、4.86,4.83,4.77
および4.75(4d,各1H,J=6.8Hz,メチ
レン)、4.36(dd,1H,J2,3 =3.3Hz,
H−3)、4.28(d,1H,J3,4′=3.9H
z,H−4′)、4.22および4.14(2bd,各
1H,J6gem =13.2Hz,H−6′aおよび
6′b)、3.92(dd,1H,J1,2 =8.0H
z,J2,3 =10.0Hz,H−2′)、3.76(d
dt,1H,J1a,2=J1b,2=4.9Hz,H−2)、
3.61(dd,1H,H−3′)、3.43および
3.39(2s,各3H,メチル)、3.15および
2.69(2dd,各1H,J1gem=12.7Hz,H
−1aおよび1b)、2.05−2.00(m,2H,
H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレ
ン)、0.88(t,3H,J=7.3Hz,メチ
ル)、0.86および0.84(2s,各9H,t−ブ
チル)、0.05,0.04,−0.05および−0.
07(4s,各3H,メチル) 分子式 C4776411 Si2 {分子量(計算値)929.323} 元素分析 計算値:C,60.74;H,8.24;N,6.03 実験値:C,60.42;H,8.61;N,6.25 3−7:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ
−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシ
ル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)ア
ミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物19
E)の合成
【0130】
【化50】
【0131】化合物18E(23mg、0.0245m
mol)をTHF(2ml)に溶解し、室温にて1M−
nBu4 NF−THF溶液(60μl、0.060mm
ol)を加え、30分間攪拌した。反応液を酢酸エチル
にて希釈し、水洗した。有機層を芒硝乾燥の後、減圧濃
縮し、得られた残渣をTHF(2.3ml)に溶解し、
12M−塩酸(100μl)を加えた。反応液を室温に
て1時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウムにて中和し
た。濃縮後、残渣をエタノール−クロロホルム(1:
5)に溶解し、塩をろ別した。生成物をシリカゲルカラ
ムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)
製)、2g、溶出液;メタノール:クロロホルム=1:
5)より精製し、化合物19E(15mg、収率99
%)を得た。化合物19Eの特性は以下の通りである。
【0132】 [α]D 26=+31°(C=0.75、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:9.10(d,1H,J=3.1Hz,Ph)、
8.47(d,1H,J2,NH=7.9Hz,NH)、
8.27(dd,1H,J=9.8Hz,Ph)、7.
13(d,1H,Ph)、5.86(dt,1H,J
4,5 =15.5Hz、J5,6a=J5,6b=6.7Hz、H
−5)、5.69(d,1H,J1,5 a =1.8H
z,H−5′a)、5.47(dd,1H,J3,4
7.6Hz,H−3)、4.69および4.52(2
d,各1H,J7gem=10.1Hz,H−6′aおよび
6′b)、4.22(d,1H,J3,4′=4.3H
z,H−4′)、4.97(t,1H,J2,3 =7.6
Hz,H−3)、3.90(dd,1H,J1,2′=
8.5Hz,J2,3′=10.4Hz,H−2′)、
3.78(dddd,1H,J1a,2=3.7Hz,J
1b,2=10.4Hz,H−2)、3.52(dd,1
H,H−3′)、3.49(dd,1H,J1gem=1
3.4Hz,H−1a)、3.48(dd,1H,H−
1′)、2.92(dd,1H,H−1b)、2.07
−1.90(m,2H,H−6aおよび6b)、1.2
6(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J
=6.5Hz,メチル) 分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769} 元素分析 計算値:C,59.79;H,8.09;N,9.00 実験値:C,59.61;H,8.25;N,8.79 3−8:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ
−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシ
ル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−
オクタデセン−3−オール(化合物2E)の合成 化合物19E(15mg、0.0241mmol)を化
合物1Eの合成と同様に処理し、化合物2E(8.2m
g、49%)を得た。化合物2Eの特性は、以下の通り
である。
【0133】 [α]D 24=+12°(C=0.25、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:5.73(dt,1H,J4,5 =15.4Hz、J
5,6a=J5,6b=6.6Hz、H−5)、5.68(d,
1H,J1,5 a =1.7Hz,H−5′a)、5.
44(dd,1H,J3,4 =6.6Hz,H−4)、
4.18(d,1H,J3,4′=4.4Hz,H−
4′)、4.15(s,2H,H−6aおよび6b),
4.08(dd,1H,J2,3 =5.8Hz,H−
3)、3.89(q,1H,J1a,2=J1b,2=5.8H
z,H−2)、3.65(dd,1H,J1,2′=
8.0Hz,J2,3′=9.5Hz,H−2′)、
3.48(dd,1H,H−3′)、3.13(dd,
1H,H−1′)、3.00および2.79(2dd,
各1H,J1gem=12.4Hz,H−1aおよび1
b)、2.19(t,2H,J=6.6Hz,H−
1′′aおよび1′′b)、2.04(q,1H,J=
6.6Hz,H−6aおよび6b)、1.27(s,4
8H,メチレン)、0.86(t,6H,J=7.3H
z,メチル) 分子式 C417826 {分子量(計算値)695.089} 元素分析 計算値:C,70.85;H,11.31;N,4.03 実験値 C,70.55;H,11.72;N,3.72 実施例4:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カル
バ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノ
シル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4
−オクタデセン−3−オール(化合物2Z)の合成
【0134】
【化51】
【0135】4−1:(2S,3R,4Z)−1−
[(6−O−t−ブチルジメチルシリル−5a−カルバ
−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−arab
ino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−
[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−
ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン(化
合物18Z)の合成
【0136】
【化52】
【0137】(省略部分は18Eと同じである。) 実施例3(3−6)で合成した化合物16a(52m
g、0.129mmol)および実施例2(2−3)記
載の化合物6Z(88mg、0.157mmol)を化
合物18Eの合成と同様に処理し、化合物18Z(46
mg、収率41%)を得た。化合物18Zの特性は以下
の通りである。
【0138】 [α]D 23=−18°(C=1.2、CHCl31 H-NMR(270MHz、CDCl3 ) δ:9.41(d,1H,J2,NH=8.8Hz,N
H)、9.16(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、
8.21(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、6.
99(d,1H,Ph)、5.66(d,1H,J1
,5a =2.2Hz,H−5′a)、5.50(dt,
1H,J4,5 =11.4Hz,J5,6a=J5,6b=5.7
Hz、H−5)、5.44(dd,1H,J3,4 =7.
1Hz,H−4)、4.86,4.82,4.77およ
び4.74(4d,各1H,J=6.6Hz,メチレ
ン)、4.68(dd,1H,J2.3 =3.8Hz,H
−3)、4.28(d,1H,J3,4′=3.7H
z,H−4′)、4.22および4.14(2bd,各
1H,J6gem =13.1Hz,H−6′aおよび6′
b)、3.92(dd,1H,J1,2′=7.9H
z,J2,3′=9.7Hz,H−2)、3.71(d
dt,1H,J1a,2=J1b,2=4.6Hz,H−2)、
3.62(dd,1H,H−3′)、3.43および
3.38(2s,各3H,メチル)、3.36(dd,
1H,H−1′)、3.22および2.72(2dd,
各1H,J1gem=12.6Hz,H−1aおよび1
b)、2.15−1.95(m,2H,H−6aおよび
6b)、1.26(s,22H,メチル)、0.88
(t,3H,J=7.3Hz,メチル)、0.86およ
び0.84(2s,各9H,t−ブチル)、0.05,
0.04,−0.06および−0.07(4s,各3
H,メチル) 分子式 C4776411 Si2 {分子量(計算値)929.323} 元素分析 計算値:C,60.74;H,8.24;N,6.03 実験値:C,60.39;H,8.16;N,5.79 4−2:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ
−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシ
ル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)ア
ミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物19
Z)の合成
【0139】
【化53】
【0140】(省略部分は19Eと同じである。) 化合物18Z(23mg、0.0245mmol)を化
合物19Eの合成と同様に処理し、化合物19Z(14
mg、収率92%)を得た。化合物19Zの特性は以下
の通りである。
【0141】 [α]D 25=−86°(C=0.76、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:9.10(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、
8.48(d,1H,J2,NH=9.5Hz,NH)、
8.26(dd,1H,J=9.4Hz,Ph)、7.
15(d,1H,Ph)、5.70(s,1H,H−5
a′)、5.67(dt,1H,J4.5 =11.2H
z、J5,6a=J5,6b=7.7Hz、H−5)、5.43
(dd,1H,J2,3 =8.6Hz,H−4)、4.6
9および4.53(2d,各1H,J6gem =10.
2Hz,H−6′aおよび6′b)、4.35(t,1
H,J2,3 =8.6Hz,H−3)、4.23(d,1
H,J3,4′=3.4Hz,H−4′)、3.89
(dd,1H,J1,2′=8.5Hz,J2,3′=1
0.3Hz,H−2′)、3.82(dddd,1H,
1a,2=5.1Hz,J1b,2=10.3Hz,H−
2)、3.52(dd,1H,H−3′)、3.48
(dd,1H,J1gem=12.8Hz,H−1a)、
3.38(bd,1H,H−1′)、2.95(dd,
1H,H−1b)、2.20−2.00(m,2H,H
−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレ
ン)、0.89(t,3H,J=6.4Hz,メチル) 分子式 C315049 ・H2 O{分子量(計算値)640.785} 元素分析 計算値:C,58.11;H,8.18;N,8.74 実験値:C,58.45;H,8.50;N,8.35 4−3:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ
−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシ
ル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−
オクタデセン−3−オール(化合物2Z)の合成 化合物19Z(15mg、0.0241mmol)を化
合物1Eの合成と同様に処理し、化合物2Z(9.2m
g、収率59%)を得た。
【0142】 [α]D 26=−7°(C=0.36、MeOH)1 H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:
1) δ:5.70(d,1H,J1,5 a =1.0Hz,
H−5′a)、5.56(dt,1H,J4,5 =11.
1Hz、J5,6a=J5,6b=7.5Hz,H−5)、5.
39(dd,1H,J3,4 =8.2Hz,H−4)、
4.45(dd,1H,J2,3 =6.0Hz,H−
3)、4.18(d,1H,J3,4′=4.3Hz,
H−4′)、4.18および4.13(2d,各1H,
6gem =13.8Hz,H−6′aおよび6′
b)、3.90(dt,1H,J1a,2=6.0Hz,J
1b,2=5.1Hz,H−2)、3.66(dd,1H,
1,2 =8.5Hz,J2,3′=10.2Hz,H−
2′)、3.48(dd,1H,H−3′)、3.16
(dd,1H,H−1′)、3.04(dd,1H,J
1gem=12.0Hz,H−1a)、2.83(dd,1
H,H−1b)、2.20(t,1H,J=7.7H
z,H−1′′aおよび1′′b)、2.20−1.9
8(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,
48H,メチレン)、0.88(t,6H,J=7.0
Hz,メチル) 分子式 C417826 ・H2 O{分子量(計算値)713.105} 元素分析 計算値:C,69.06;H,11.31;N,3.93 実験値:C,69.07;H,11.62;N,3.89 実験例1 実施例1〜4で合成した化合物1E、1Z、2E、
2Zの各々のβ−グルコセレブロシダーゼおよびβ−ガ
ラクトセレブロシダーゼに対する阻害効果を蛍光標識し
た天然基質{12−〔N−メチル−N−(7−ニトロ−
2−オキサ−1,3−ジアキソール−4−イル)〕アミ
ノドデカン酸(NBD)−グルコセレブロシドおよびN
BD−ガラクトセレブロシド}を用いて測定した。即
ち、β−グルコセレブロシダーゼ活性の測定は、Gra
bowskiらの方法(Clin.Chim.Acta
vol.1241,123−135,1982)に従
い、マウス肝のミクロゾームを酵素源として用いた。ま
た、β−ガラクトセレブロシダーゼ活性は、Ragha
vanらの方法(Biochim,Biophys.A
cta,vol.877,1−8,1986)に従い、
マウス脳のミクロゾームを酵素源として用いた。表1に
その結果を示した。基質は各阻害実験において、該酵素
に対し大過剰一定とした。擬似セレブロシドの不飽和擬
似糖質がグルコース型である1E、1Zは、10μMの
濃度でβ−グルコセレブロシダーゼ活性のみを強力かつ
特異的に阻害し、IC50値(酵素活性を50%阻害する
ために要する濃度)はそれぞれ0.3μMおよび0.1
μMであった。一方、擬似セレブロシドの不飽和擬似糖
質がガラクトース型である2E、2Zは、10μMの濃
度でβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性を強力かつ特異
的に阻害し、IC50値はそれぞれ1.6μMおよび2.
3μMであった。阻害(%)は以下により求めた。 阻害(%)=(1−阻害剤存在下での酵素活性/阻害剤
非存在下での酵素活性)×100 また、上記実施例と同じ条件で、本発明の擬似糖脂質と
類似する以下に示す化合物C−1(前記一般式(a)に
おいて、X=NH、擬似糖がグルコース型)および下記
式C−2〜C−4で示される擬似糖質(前記C−1と同
様の方法で合成した)の阻害効果を調べ、比較した。結
果を表1に示す。
【0143】
【化54】
【0144】
【化55】
【0145】
【化56】
【0146】
【化57】
【0147】
【表1】
【0148】表1から、本発明のグルコースタイプの不
飽和型擬似糖脂質1E、1Zは、10μMにおいていず
れもほぼ完全にβ−グルコセレブロシダーゼ阻害活性を
示し、かつグルコースタイプの飽和型擬似糖脂質である
比較化合物C−1、C−3より著しく阻害活性が増大し
ている。
【0149】一方、本発明のガラクトースタイプの不飽
和型擬似糖脂質2E、2Zは、いずれも特異的かつ強力
にβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性を阻害した。さら
に、ガラクトースタイプの飽和型擬似糖脂質である比較
化合物C−2、C−4はβ−ガラクトセレブロシダーゼ
活性をごくわずかしか阻害しなかった。これらの結果か
ら、酵素反応の遷移状態を模倣した本発明の不飽和型擬
似糖脂質の有効性が示された。
【0150】 実施例1〜4で合成した化合物1E、
1Z、2E、2Zと前記化合物C−1および下記化合物
C−5、C−6の各々のβ−グルコセレブロシダーゼ阻
害活性およびβ−ガラクトセレブロシダーゼに対する阻
害活性を以下の方法で比較した。すなわち、上記と同
じ酵素源を用い、基質は4−メチルウンベリフェリルグ
ルコシドを使用し、Peterらの方法(Clin.C
him.Acta 60,391−396(197
5))に従って阻害(%)およびIC50値を求めた。基
質は各阻害実験において、該酵素に対し大過剰一定とし
た。
【0151】結果を表2に示す。
【0152】
【化58】
【0153】
【化59】
【0154】
【表2】
【0155】表2から、本発明の擬似糖脂質は、比較例
に比べと基質を変えてもと同様に阻害効果が極めて
大きいことが分かる。従って、表1および2から構造の
類似した疑似セレブロシドであっても擬似糖の部分の構
造を本発明の不飽和型に変えることによって、上記阻害
活性が大きく上昇した。
【0156】実験例2 HIV産生における擬似糖脂質の阻害効果(インビトロ
におけるHIV−1の中和アッセイ) 本発明の化合物のインビトロにおけるHIVの中和活性
を末梢血単核細胞(PBMC)を用いたウイルス中和ア
ッセイにより求めた。該化合物(2Z、1Z、2Eおよ
び1E)10μMをHIVMN(H9/HTLV−III
MN、AIDSResearch and Refere
nce Reagent Program,NIH,R
ockville,MD)の100TCID50単位と3
7℃、60分インキュベートした。この混合物を5μg
植物凝集素(PHA)で活性化されたヒト正常末梢血単
核細胞(PBMC)1×106 個を含むエペンドルフチ
ューブに移し、37℃の水浴中60分間振盪した。PB
Sにて3回洗浄した後、該細胞をRPMI1640培地
1mlで懸濁した。該培地は組換えヒトIL−2(40
単位/ml、塩野義製薬社製)の存在下、ペニシリン
(50単位/ml)、ストレプトマイシン(50mg/
ml)、およびL−グルタミン(2mM)で補完された
熱不活化された10%FCSを含むものであり、該細胞
は7日間培養チューブ(A−S Nunc,Roski
lde,デンマーク)にて培養された。HIVの上清へ
の産生をHIV−1 p24抗原ELISA(Dina
bot社製)により測定した(J.Immunol.,
142,4248−4255(1989)、J.Imm
unol.,148,2175−2180(199
2))。
【0157】該HIVMNの貯蔵ウイルスは、5μg/m
lPHAで7日間活性化したヒト正常PBMCと共にH
IVMNの100TCID50量を7日間培養することによ
り調製した。該HIVを含む培養上清から細胞を除いた
上清は、ウイルス源としての使用まで−130℃に貯蔵
した。中和アッセイのために貯蔵ウイルスは、PHA活
性化正常PBMCで滴定し、各ウイルスの1ml当たり
のTCID50を定義した。アジドチミジン(AZT)を
コントロールとして使用した。これらの化合物の阻害の
程度は、AZTの阻害を100%とした阻害(%)で表
した。
【0158】図1にこの結果を示した。図1に示す通
り、本発明の化合物は、抗HIV活性を有する。 実験例3 シンシチウム形成における擬似糖脂質の阻害
効果 本発明の擬似糖脂質のシンシチウム形成阻害効果を以下
により評価した。104 個のMolt−4/c18細胞
含有培地0.2mlを平底の96ウェル細胞培養プラス
チックプレートに各々移し、該細胞を37℃に保持し
た。4時間後、培地を吸引し、図2の試験化合物(2
Z、1Z、2Eおよび1E)(10μM)を含む培地に
各々置き換えた。一晩経過後、培地を吸引し、104
のMolt−4/IIIB細胞含有培地を各々のウェル
に添加した。5%CO2 下37℃でインキュベーション
を行った。4日後、各々のウェルの細胞懸濁液を二つに
分け、その各々を新たなウェルに加え、新たな試験化合
物含有培地0.2mlを添加した。その操作を7日目に
繰り返した。10日目に細胞を顕微鏡で観察した。AZ
Tをコントロールとして使用した。これらの化合物のシ
ンシチウムの阻害の程度は、AZTの阻害を100%と
した阻害(%)で表した。
【0159】図2にこの結果を示した。図2に示したよ
うに本発明の化合物は、抗HIV活性を有することがわ
かる。
【0160】
【発明の効果】本発明は、新規構造の擬似糖脂質であっ
て、その立体構造を所望に制御、形成することにより、
種々のグリコシダーゼの阻害活性を制御可能であり、特
定のグリコシダーゼに対する阻害活性の程度を制御可能
である。特に、本発明の擬似糖脂質は、β−グルコセレ
ブロシダーゼおよびβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性
を構造特異的に強力に阻害し、かつ水溶液中でも安定で
あり、有用性に優れている。さらに、これらの擬似糖脂
質は、グルコセレブロシド合成酵素やガラクトセレブロ
シド合成酵素等の糖転移酵素活性を全く阻害しないこと
が判明しており、従来報告されているβ−グルコセレブ
ロシダーゼ阻害剤に比較し、高い特異性を有する阻害剤
である。
【0161】さらに、本発明の擬似糖脂質は、グリコシ
ダーゼ阻害活性と関連する種々の生化学的相互作用に影
響を及ぼすと考えられる系の研究に寄与することがで
き、新規薬剤の開発、例えば、抗ウイルス剤、神経機能
改善剤(抗痴呆剤等)、糖尿病等の糖代謝関連の疾病治
療剤、免疫アジュバント等の免疫系を制御する薬剤等に
応用され得る。そして、本発明の擬似糖脂質は抗HIV
活性を示すことから抗HIV剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HIVを感染させたPHA活性化PBMCによ
るHIV産生に対する阻害効果を示すグラフである。
【図2】HIV感染Molt−4/c18細胞とMol
t−4/IIIB細胞との共培養によるシンシチウム形
成に対する阻害効果を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C07C 233/36 9547−4H 323/41 7419−4H

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で表される擬似糖脂
    質。 【化1】 〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示
    し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を
    示す。〕
  2. 【請求項2】 前記一般式(1)で表される擬似糖脂質
    において、Zはイミノ基を示し、nは4〜16の整数を
    示すことを特徴とする請求項1記載の擬似糖脂質。
  3. 【請求項3】 下記一般式(1a)または(1b)で表
    される請求項1記載の擬似糖脂質。 【化2】 【化3】 (式中、Zはイミノ基を示し、XおよびYは互いに異な
    り、各々、水素原子またはOH基を示し、mは3〜12
    の整数を示し、nは4〜16の整数を示す。)
  4. 【請求項4】 前記一般式(1)で表される擬似糖脂質
    が、(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β
    −D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミ
    ノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデ
    セン−3−オール、(2S,3R,4Z)−1−[(5
    a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラ
    ノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−
    4−オクタデセン−3−オール、(2S,3R,4E)
    −1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘ
    キス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデ
    カノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、お
    よび(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α
    −L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)
    アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オク
    タデセン−3−オールからなる群から選択される請求項
    1記載の擬似糖脂質。
  5. 【請求項5】 請求項1記載の擬似糖脂質を有効成分と
    して含有するグリコシダーゼ阻害剤。
  6. 【請求項6】 前記グリコシダーゼ阻害剤が、グリコセ
    レブロシダーゼ阻害剤である請求項5記載のグリコシダ
    ーゼ阻害剤。
  7. 【請求項7】 前記グリコシダーゼ阻害剤が、グルコセ
    レブロシダーゼ阻害活性およびガラクトセレブロシダー
    ゼ阻害活性のうちの少なくとも一方を示す請求項6記載
    のグリコシダーゼ阻害剤。
  8. 【請求項8】 グルコセレブロシダーゼ阻害活性が、β
    −グルコセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成
    分が下記一般式(1a)または(1b)で表される請求
    項7記載のグリコシダーゼ阻害剤。 【化4】 【化5】 〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示
    し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を
    示し、Xは水素原子を示し、YはOH基を示す。〕
  9. 【請求項9】 ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性が、
    β−ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有
    効成分が下記一般式(1a)または(1b)で表される
    請求項7記載のグリコシダーゼ阻害剤。 【化6】 【化7】 〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示
    し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を
    示し、XはOH基を示し、Yは水素原子を示す。〕
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