JP3800434B2 - 擬似糖脂質 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、糖脂質の糖部を人工的に改変した擬似糖脂質に関し、特にスフィンゴ糖脂質の糖部を改変した擬似糖脂質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
生体細胞膜上に広く存在する糖脂質は、近年その生理活性が注目されている化合物群である。一方、糖ピラノースの環内酸素原子をメチレン基にて置き換えた擬似糖質は、その真糖との類似性により多様な生理活性が期待され、これまでにも擬似糖質を含む糖質類似化合物は、糖質加水分解酵素に対する阻害活性を中心とし、いくつか生理活性が報告されている{a)G.Hanozet,H.P.Pircher,P.Vanni,B.Oesch,and G.Semenza,J.Biol.Chem.,256(1981)3703;b)T.Iwasawa,H.Yamamoto,and M.Shibata,J.Antibiot.,23(1970)595;c)S.Ogawa,Y.Shibata,Y.Kosuge,K.Yasuda,T.Mizukoshi,and C.Uchida,J.Chem.Soc.Chem.Comm.,(1990)1387}。
【0003】
また、本発明者は糖脂質の糖部分に着目し、擬似糖質を、酸素、窒素、硫黄原子などを介して脂質部分と結合させた、一般式(a)で表される種々の擬似糖脂質を合成した(1993年6月3日〜4日、第63回有機合成シンポジウム講演論文「擬似糖質を含む糖脂質類似体の合成研究」)。
【0004】
【化8】
Figure 0003800434
【0005】
〔式中、Xは、NH、O、またはSを表す。〕
一般式(a)で表される擬似糖脂質は、一般式(b)で表されるスフィンゴ糖脂質の擬似糖脂質である。
【0006】
【化9】
Figure 0003800434
【0007】
〔式中、Xは、NH、O、またはSを表す。〕
このスフィンゴ糖脂質は、生理活性物質の受容体機能や細胞間相互認識、細胞間相互作用を介して発生、増殖、分化、免疫反応などの重要な細胞機能と密接に関係していることが知られている。また、細菌やウイルスの感染における宿主側のレセプターとして機能していることも知られている。
【0008】
一方、一般式(a)の化合物は、糖質加水分解酵素活性阻害剤、特にグルコセレブロシダーゼ阻害剤あるいは免疫アジュバント活性等が期待された。
しかしながら、一般式(a)の化合物のグルコセレブロシダーゼ阻害剤としての阻害活性は十分でなく、より阻害活性の高い化合物が望まれていた。
また、一方、β−グルコセレブロシダーゼの阻害作用を示すものとして、すでにN−n−アルキル−β−D−グルコシルアミン(Biochim. Biophys. Acta Vol.1039,12−20,1990)が強力な阻害効果を示すことが報告されているが、本物質は水溶液中での安定性が極めて低く(半減期10〜30分)有用性に乏しい。また、N−n−アルキルデオキシノジリマイシン(Biochim.Biophys.Acta Vol.915,87−100,1987)は、β−グルコセレブロシダーゼを強く阻害するが、グルコシルセラミド合成酵素も同時に阻害することが報告(J.Biol.Chem.Vol.269,No.11,8362−8365,1994)され、特異性が低いことが判明している。
【0009】
また、擬似糖脂質としてガラクトセレブロシダーゼ等のグルコース以外の種々の糖セレブロシダーゼ阻害活性を有する擬似糖脂質も望まれていた。
更に、擬似糖脂質として、例えば、抗ウイルス活性、神経機能改善作用等の種々の生理活性を示す可能性の高い新規構造の化合物が望まれている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、新規構造の擬似糖脂質であって、水溶液としての安定性に優れ、阻害に対する特異性が良好で、高いグリコシダーゼ阻害活性を示し、かつ抗ウイルス活性、神経機能改善作用等の生理活性を示す可能性のある化合物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下に記載のものであり、これにより上記課題を解決できる。
1)下記一般式(1)で表される擬似糖脂質。
【0012】
【化10】
Figure 0003800434
【0013】
〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示す。〕
2)前記一般式(1)で表される擬似糖脂質において、Zはイミノ基を示し、nは4〜16の整数を示すことを特徴とする前記1)記載の擬似糖脂質。
3)下記一般式(1a)または(1b)で表される前記1)記載の擬似糖脂質。
【0014】
【化11】
Figure 0003800434
【0015】
【化12】
Figure 0003800434
【0016】
〔式中、Zはイミノ基を示し、XおよびYは互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜16の整数を示す。〕
4)前記一般式(1)で表される擬似糖脂質が、(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、および(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オールからなる群から選択される前記1)記載の擬似糖脂質。
5)前記1)記載の擬似糖脂質を有効成分として含有するグリコシダーゼ阻害剤。
6)前記グリコシダーゼ阻害剤が、グリコセレブロシダーゼ阻害剤である前記5)記載のグリコシダーゼ阻害剤。
7)前記グリコシダーゼ阻害剤が、グルコセレブロシダーゼ阻害活性およびガラクトセレブロシダーゼ阻害活性のうちの少なくとも一方を示す前記6)記載のグリコシダーゼ阻害剤。
8)グルコセレブロシダーゼ阻害活性が、β−グルコセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下記一般式(1a)または(1b)で表される前記7)記載のグリコシダーゼ阻害剤。
【0017】
【化13】
Figure 0003800434
【0018】
【化14】
Figure 0003800434
【0019】
〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示し、Xは水素原子を示し、YはOH基を示す。〕
9)ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性が、β−ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下記一般式(1a)または(1b)で表される前記7)記載のグリコシダーゼ阻害剤。
10)前記1)〜4)のいずれか一項記載の擬似糖脂質を含むことを特徴とする抗ウイルス剤。
【0020】
【化15】
Figure 0003800434
【0021】
【化16】
Figure 0003800434
【0022】
〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示し、XはOH基を示し、Yは水素原子を示す。〕
【0023】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明は、一般式(1)で表される新規な構造を有する擬似糖脂質に関するものである。本発明において、上記定義を満足するならば、本発明は全ての立体異性体を包含する。
本発明の擬似糖脂質は、糖部分が6炭糖のピラノースである糖脂質の該ピラノースの環内酸素をメチン基で置き換え、C5−C5aの結合を二重結合とした構造であれば、あらゆる6炭糖と同一の立体配置を有する擬似糖および脂質部分の幾何異性構造および立体異性構造を包含する。また、擬似糖と脂質部分との結合(グリコシド結合に相当)に関与する上記Zの擬似糖6位水酸基との立体配置がトランスまたはシスであるかの選択、すなわちα−アノマーまたはβ−アノマーの選択は任意であるが、天然のグリコセラミドとの類似性という点ではβ−アノマーが好ましい。
【0024】
本発明の擬似糖脂質は、上記構造を有するから、その立体構造を制御することにより種々の用途に使用しえる。例えば、本発明の擬似糖脂質は、グリコシダーゼ阻害剤の有効成分として有用である。そして、そのグリコシダーゼ阻害剤は、任意のグリコシド結合を切断するグリコシダーゼに適用可能であるが、特に、グルコセレブロシダーゼ阻害剤および/またはガラクトセレブロシダーゼ阻害剤として有用である。本発明の擬似糖脂質の立体構造を制御することにより、種々のグリコシダーゼに対する阻害活性を制御することができる。
【0025】
特に、本発明は、次の一般式(1a)または(1b)で表される擬似糖脂質に関するものである。しかし、本発明は前述したようにこれら化合物に限定されるものではない。
【0026】
【化17】
Figure 0003800434
【0027】
(XおよびYは、互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を表す。Z、mおよびnは前記と同義である。)
【0028】
【化18】
Figure 0003800434
【0029】
(XおよびYは、互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を表す。Z、mおよびnは前記と同義である。)
前記一般式(1a)および(1b)で表される擬似糖脂質は、一般式(c)
【0030】
【化19】
Figure 0003800434
【0031】
(XおよびYは、互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を表す。)
で表される天然型の糖脂質(脂質部分は一般式(1a)または(1b)と同じであるので、省略した)の糖部分(グルコースまたはガラクトース)を二重結合を有するカルボサイクリック型の疑似糖で置き換えた構造(O−グリコシド構造)、あるいはO−グリコシドをさらにN−グリコシド(Z=NH)もしくはS−グリコシド(Z=S)に置き換えた構造に相当する。
【0032】
すなわち、一般式(c)において、X=HおよびY=OHの場合、この糖脂質は、グルコシルセラミド化合物であり、また、X=OHおよびY=Hの場合は、ガラクトシルセラミド化合物である。
一般式(1a)および(1b)において、X=HおよびY=OHの場合、この化合物は、グルコシルセラミド化合物の擬似糖脂質であり、また、X=OHおよびY=Hの場合は、ガラクトシルセラミド化合物の擬似糖脂質である。一般式(1a)と(1b)の擬似糖脂質は、その脂質部位の二重結合部位が前者ではトランス配位で後者ではシス配位である。
【0033】
一般式(1a)および(1b)の化合物が、グルコシルセラミド化合物の擬似糖脂質である場合は、特異的にかつ強力にβ−グルコセレブロシダーゼを阻害し、ガラクトシルセラミド化合物の擬似糖脂質である場合は、特異的にかつ強力にβ−ガラクトセレブロシダーゼを阻害する。
一般式(1)、(1a)および(1b)において、好ましくは、Zは、NH
、mは3〜12、nは4〜22の範囲であり、より好ましくは、nは4〜16の範囲である。
【0034】
本発明の擬似糖脂質の製造法としては、特に制限はないが、好ましくは以下の方法により合成できる。
基本的には、水酸基を適宜保護化した擬似糖部分と、アミノ基および水酸基を適宜保護化したスフィンゴシン部分をそれぞれ合成し、それらをZを介して結合し、得られた化合物を脱保護し、脂質部分のアミノ基に脂肪酸をアミド結合することにより得られる。以下、擬似糖脂質の合成を詳細に説明する。
【0035】
1.式(2)において、R1 =保護基、R2 =Hである化合物およびR1 =H、R2 =保護基である化合物の合成
【0036】
【化20】
Figure 0003800434
【0037】
(式中、R1 は、水素原子または水酸基の保護基(例えば、ベンゾイル基(Bz)、p−ニトロベンゾイル基、ナフトイル基等)、R2 は水素原子または水酸基の保護基(例えば、シリル基(例、t−ブチルジメチルシリル基(t−BDMS)、ジエチルトリメチルシリル、t−ブチルジフェニルシリル基)を表す。)
式(2)において、R1 =R2 =Hの化合物をピリジン、α−ピコリン、γ−ピコリン、ピペリジン等の塩基性溶媒に溶解し、−20〜20℃にて保護基R1を有する反応性誘導体、例えば、塩化ベンゾイル、塩化p−ニトロベンゾイル、塩化ナフトイル等のハロゲン化物等を当量以上(望ましくは1当量〜2当量、更に望ましくは1当量〜1.2当量)加え、1時間〜24時間攪拌、反応させて水素原子を保護基R1と置換し、得られた生成物をクロマトグラフィーで分離する。次いで、得られた生成物をN,N’−ジメチルホルムアミド(DMF)等の有機溶媒に溶解し、保護基R2を有する反応性誘導体、例えば、t−ブチルジメチルクロロシラン等を当量以上加え、6時間〜48時間攪拌、反応させ、R1 の脱保護とR2 の保護化を行い、この反応液を濃縮、精製し、標記の化合物を得る。
【0038】
2.式(3)の合成
【0039】
【化21】
Figure 0003800434
【0040】
(式中、R2 は、前記保護基、R3 は、アミノ基の保護基(例えば、ジニトロフェニル基(DNP)、アセチル基、トリフルオロアセチル基、ベンゾイル基、p−ニトロベンゾイル基、メチルスルホニル基、p−トルエンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基等)を表す。)
前記1項で得られた式(2)の化合物(R1 =H、R2 =保護基)を有機溶媒に溶解し、不活化ガス雰囲気下、トリフェニルホスフィン等の還元剤を当量以上(望ましくは1当量〜1.5当量)加え、40〜80℃で10分〜4時間攪拌し、次いで、減圧濃縮し、残渣を溶解後、保護基R3を有する反応性誘導体(例えば、2,4−ジニトロフルオロベンゼン、塩化アセチル等)を1当量〜3当量(望ましくは1当量〜1.5当量)加え、攪拌後、クロマトグラフィーで精製し、式(3)の化合物および下記式(4)の化合物を得る。
【0041】
【化22】
Figure 0003800434
【0042】
(式中、R2 およびR3 は式(3)と同義)
式(4)の化合物の末端水酸基を沃素に置換し、更に例えば、フッ化銀、亜鉛末等を当量以上(望ましくは1当量〜2当量)用いて0℃〜室温にて1時間〜12時間攪拌を行って反応させることにより、式(3)の化合物を得ることができる。
【0043】
3.式(6)の合成
【0044】
【化23】
Figure 0003800434
【0045】
(式中、R2 およびR3 は、式(3)と同義、R4 、R5 、R6 およびR7 は、単一の水酸基の保護基もしくは任意の2種、好ましくは隣接する2種のものが一緒になって水酸基を保護する保護基または水素原子、Zは前記と同義である。)
式(5):
【0046】
【化24】
Figure 0003800434
【0047】
(式中、R4 、R5 、R6 およびR7 は、前記と同義であり、R8 はN、O、またはS原子含有官能基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、水酸基、チオアセチル基、スルホンアミド基)で表される化合物と式(3)で表される化合物を有機溶媒、例えば、2−プロパノール、メタノール、エタノール、n−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、tert−ブタノール、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)等に溶解し、50〜180℃、好ましくは、100〜130℃にて、1〜10日間、好ましくは、2〜6日間攪拌、反応させ、反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をクロマトグラフィー、好ましくはシリカゲルクロマトグラフィー(例えば、シリカゲル:Silica Gel 40,60(メルク社製)、Wacogel C−200,C−300(和光純薬(株)製)、K−60(片山化学(株)製)等、溶出液としては、例えば、酢酸エチルとトルエンの混合溶媒が挙げられる)に付して精製し、式(6)の化合物を得ることができる。
【0048】
式(5)の保護基(R4〜R7)としては、t−BDMS、メトキシメチル(MOM)基、2−メトキシエトキシメチル基、メシル基、トシル基、ベンゾイル基、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等が挙げられる。ここで、ベンジリデン基、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基等の二価基は、R4 〜R7 から選択される任意の2種が一緒になって形成した基の場合である。好ましくは、R4 とR5 、あるいはR6 とR7 が一緒になった保護基、例えば、イソプロピリデン基、シクロヘキシリデン基、シクロペンチリデン基、ベンジリデン基等が挙げられ、R5 Oに相当する部位の置換基がエクアトリアル結合の場合に好適である。また、R4 とR5 が一緒になってベンジリデン基、シクロヘキシリデン基等であり、R6 はMOM、2−メトキシエトキシメチル基等で、R7 はMOM、2−メトキシエトキシメチル基等であってもよい。一方、R5 Oがアキシアル結合の場合、で、R4はt−BDMSであり、R5は水素原子またはアセチル基であり、R6 はMOM、2−メトキシエトキシメチル基等であり、R7 はMOM、2−メトキシエトキシメチル基等である場合が好適である。
【0049】
5 Oが水酸基(R5は水素原子)でアキシアル結合を形成する手段としては、R5 Oが水酸基でエクアトリアル結合であって、R4 、R6 、およびR7 が保護基で、R8 が、アジド基の如きZ基を誘導する基である化合物を塩化メチレン、ジクロロエタン、クロロホルム等の有機溶媒に溶解し、モレキュラーシーブス(素材:結晶ゼオライト(ケイ酸塩)、孔径:3〜10)パウダー存在下、ピリジニウムクロロクロメイト(PCC)、三酸化クロムのような酸化剤を1当量〜5当量(望ましくは2当量〜4当量)を加え、室温にて30〜120時間攪拌し、生成物を例えば、シリカゲルカラム(溶出液、エーテル)により精製し、下記式(7)で表されるケトン体を得る。
【0050】
【化25】
Figure 0003800434
【0051】
得られた式(7)で表されるケトン体を、例えば、トルエンに溶解し、−78〜20℃にて例えば、1M−ジイソプロピルアルミニウムハイドライド(DIBAL−H)等の還元剤のトルエン溶液を加え、5分間〜1時間(望ましくは10分間〜30分間)攪拌して、還元反応に付し、R5 Oの立体配座を反転する。反応液にアルカリ溶液、例えば、5%水酸化ナトリウム溶液を加え、酢酸エチル等の有機溶媒にて抽出した後、洗浄、乾燥、クロマトグラフィー等の精製法で精製することにより、R4 、R6 、R7 およびR8 が、反応前と同じで、R5 Oが水酸基でアキシアル結合の化合物を得ることができる。更に、必要によりR8 を他の官能基、例えば、アミノ基、水酸基等に変換することもできる。
【0052】
4.式(8)の化合物の合成
【0053】
【化26】
Figure 0003800434
【0054】
(式中、R3 、Zおよびmは前記と同義)
式(6)で表される化合物の水酸基の保護基(R3以外の保護基)を脱保護することにより式(8)の化合物が得られるが、Zの種類により、脱保護条件を種々、選定することができる。
【0055】
具体的には、式(6)で表される化合物をテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒に溶解し、テトラブチルアンモニウムフルオロライド(nBu4 NF)、ボロントリフルオライドエテレイト等の脱保護剤を当量以上(望ましくは1当量〜2当量)加え、5分間〜1時間(望ましくは10分間〜30分間)反応させ、反応液を酢酸エチル等の有機溶媒にて希釈し、水洗する。有機層を芒硝、無水硫酸マグネシウム等で乾燥した後、減圧濃縮し、得られた生成物を好ましくは、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液:エタノール:トルエン=1:7,メタノール:クロロホルム=1:5等)で精製し、式(8)の化合物を得ることができる。
【0056】
5.式(1)で表される化合物の合成
式(8)で表される化合物を有機溶媒、好ましくは、アセトン:メタノール:水(3:5:2)の混合溶媒に溶解し、室温にて塩基性樹脂、好ましくは、アンバーライト(Amberlite) IRA−400(OH- )を加え、攪拌、反応液を濾過し、ろ液を減圧濃縮し、残渣を有機溶媒にて溶解し、室温にて式(1)の化合物における脂肪酸部分(nは前記の所定の値)に対応する脂肪酸のハロゲン化物(好ましくは、塩化物)1当量〜2当量および酢酸ナトリウム水溶液を加え、5分間〜1時間(望ましくは10分間〜30分間)攪拌、保護基R3 を脱保護すると共に該脂肪酸ハロゲン化物を該アミノ基にアミド結合させる。反応液を好ましくは、THF等の有機溶媒で希釈、飽和食塩水にて洗浄し、有機層を無水硫酸マグネシウム等の脱水剤にて乾燥し、必要に応じて減圧濃縮した後、精製し、式(1)で表される本発明の擬似糖脂質を得る。
【0057】
本発明の一般式(1)で表される化合物は、任意の立体異性体を包含するものであり、所望の立体構造を有する同化合物を基本的には上記合成法を適用して合成可能である。
例えば、式(1a)および(1b)で表される化合物は、上記式(5)として式(5−1)または式(5−2)の立体構造を有する化合物を、上記式(4)として式(4−1)または式(4−2)(式(4)と同一構造部位は省略)の立体構造を有する化合物を使用し、さらに式(1a)または(1b)におけるn=4〜22のアシル基に対応する脂肪酸のハロゲン化物を使用することにより、合成可能である。
【0058】
【化27】
Figure 0003800434
【0059】
(R4 〜R8 は式(5)と同義、好ましくは、R4 とR5 、あるいはR6 とR7 が一緒になった水酸基の保護基、例えば、イソプロピリデン基)
【0060】
【化28】
Figure 0003800434
【0061】
(R4 〜R8 は式(5)と同義、好ましくは、R4 はt−BDMS、R5 は水素原子、R6 とR7 はそれぞれMOM)
【0062】
【化29】
Figure 0003800434
【0063】
(R2 およびmは前記と同義)
【0064】
【化30】
Figure 0003800434
【0065】
(R2 およびmは前記と同義)
本発明の擬似糖脂質は、担体、賦形剤、その他の添加物と共に、経口又は非経口的に投与する製剤とすることができる。
経口製剤としては、散剤、顆粒剤、カプセル剤、錠剤等の固形製剤;シロップ剤、エリキシル剤、乳剤等の液状製剤を挙げることができる。散剤は、例えば、乳糖、デンプン、結晶セルロース、乳酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム、無水ケイ酸等の賦形剤と混合して得ることができる。顆粒剤は、上記賦形剤のほか、必要に応じ、例えば白糖、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン等の結合剤や、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム等の崩壊剤をさらに加え、湿式又は乾式で造粒して得ることができる。錠剤は、上記散剤又は顆粒剤をそのまま、或いはステアリン酸マグネシウム、タルク等の滑沢剤を加えて打錠して得ることができる。また、上記錠剤又は顆粒剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタアクリル酸メチルコポリマー等の腸溶性基剤で被覆し、或いはエチルセルロース、カルナウバロウ、硬化油等で被覆し、これらを腸溶性或いは持続性製剤にすることができる。硬カプセル剤は、上記散剤又は顆粒剤を硬カプセルに充填して得ることができる。また軟カプセル剤は、本発明の擬似糖脂質を、グリセリン、ポリエチレングリコール、ゴマ油、オリーブ油等に溶解し、これをゼラチン膜で被覆して得ることができる。シロップ剤は、白糖、ソルビトール、グリセリン等の甘味料と本発明の擬似糖脂質を、水に溶解して得ることができる。また、甘味剤及び水のほかに、精油、エタノール等を加えてエリキシル剤とするか、或いはアラビアゴム、トラガント、ポリソルベート80、カルボキシメチルセルロースナトリウム等を加えて乳剤又は懸濁剤にすることもできる。またこれらの液状製剤には必要に応じ、矯味剤、着色剤、保存剤等を加えることができる。
【0066】
非経口製剤としては、注射剤、直腸投与剤、ペッサリー、皮膚外用剤、吸入剤、エアゾール剤、点眼剤等を挙げることができる。注射剤は、本発明の擬似糖脂質に塩酸、水酸化ナトリウム、乳酸、乳酸ナトリウム、リン酸−水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のpH調整剤;塩化ナトリウム、ブドウ糖等の等張化剤;及び注射用蒸留水を加え、滅菌濾過した後、アンプルに充填して得ることができる。またさらにマンニトール、デキストリン、シクロデキストリン、ゼラチン等を加えて真空凍結乾燥し、用時溶解型の注射剤とすることができる。また本発明の擬似糖脂質に、レシチン、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等の乳化剤を加えた後、水中で乳化させた注射用乳剤にすることもできる。直腸投与剤は、本発明の擬似糖脂質に、カカオ脂肪酸のモノ、ジ又はトリグリセリド、ポリエチレングリコール等の坐剤用基剤を加えた後、加温して溶解し、これを型に流し込んで冷却するか、或いは本発明の擬似糖脂質を、ポリエチレングリコール、大豆油等に溶解した後、ゼラチン膜で被覆して得ることができる。皮膚外用剤は、本発明の擬似糖脂質に、白色ワセリン、ミツロウ、流動パラフィン、ポリエチレングリコール等を加え、必要に応じ加温し、混練して得ることができる。テープ剤は、本発明の擬似糖脂質に、ロジン、アクリル酸アルキルエステル重合体等の粘着剤と混練し、これを不織布等に展延して得ることができる。吸入剤は、例えば薬学的に許容される不活性ガス等の噴射剤に、本発明の擬似糖脂質を溶解又は分散し、これを耐圧容器に充填して得ることができる。
【0067】
投与量は、患者の年齢、健康状態、体重等に応じて適宜決定でき、後述の酵素活性に対するIC50値や抗HIV活性を示す濃度から当業者が容易に決定できる。
〔産業上の利用分野〕
本発明の擬似糖脂質はグリコシダーゼ阻害剤として有用である。特に後述の実験例に示されるように、擬似糖部分の水酸基の立体配置を選択することにより、その真糖を構成糖とする糖脂質である各セレブロシドの分解酵素(グリコセレブロシダーゼ;すなわち、グルコセレブロシダーゼ、ガラクトセレブロシダーゼ等)を特異的に阻害する。従って、これらのグリコセレブロシダーゼについての生化学的研究に使用することができる。
【0068】
さらに、生体内においてグリコセレブロシダーゼを特異的に阻害することにより、糖脂質(ガングリオシド等)の生体内での代謝を抑制し、糖脂質に基づく生理活性の発現を人工的に改変できる可能性がある。すなわち、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)、オルソミクソウイルス、パラミクソウイルス等のウイルスは宿主細胞膜上の糖脂質(ガラクトセレブロシド、グルコセレブロシド等)と結合することが知られているが、本発明の擬似糖脂質は、ウイルスと宿主細胞膜上の上記糖脂質との結合を特異的に阻害することにより、抗ウイルス活性を示すことが期待される。実際、インビトロにおいて、抗HIV活性を有することが確認されたので、本発明の擬似糖脂質は抗HIV剤として有用である。また、アルツハイマー病等の神経疾患では神経機能の維持に重要な役割を果たすガングリオシドの脳内での含量が低下することが判明しているが、本発明の擬似糖脂質は、生体内におけるガングリオシドの低下を防止することにより、種々の神経疾患の新しい治療手段を提供できる可能性がある。
【0069】
なお、本発明の擬似糖脂質の擬似糖部分は、糖尿病の治療薬として市販されているアカルボース(acarbose)の構成擬似糖であって、天然にもその存在が知られており、毒性を示さないと予想される。
【0070】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
実施例1:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物1E)の合成
【0071】
【化31】
Figure 0003800434
【0072】
1−1:(2S,3R,4E)−2−アジド−1−ベンゾイルオキシ−4−オクタデセン−3−オール(化合物4E:式(3〜5E)において、R1 =ベンゾイル(Bz)オキシ、R2 =H)の合成
【0073】
【化32】
Figure 0003800434
【0074】
(2S,3R,4E)−2−アジド−1,3−ジハイドロキシ−4−オクタデセン(化合物3E:式(3〜5E)において、R1 =R2 =H))(479mg、1.47mmol)をピリジン(15ml)に溶解し、−15℃にて塩化ベンゾイル(188μl、1.62mmol)を加え、そのまま1時間攪拌の後、室温にて8時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学 K−60、20g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:10)にて精製し、化合物4E(409mg、収率65%)を得た。化合物4Eの特性は以下の通りである。
【0075】
[α]D 25=−35°(C=1.0、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3 )(データの表記法は、LiebigsAnnalen der Chemieの方法に従った。以下、同様)。
δ:8.07−8.04(m,2H,Ph)、7.58−7.42(m,3H,Ph)、5.70(dt,1H,J4,5 =15.4Hz、J5,6a=J5,6b=7.0Hz,H−5)、5.45(dd,1H,J3,4 =7.3Hz,H−4)、4.52(dd,1H,J1a,2=4.0Hz,J1gem=11.7Hz,H−1a)、4.31(dd,1H,J1b,2=2.1Hz、H−1b)、4.22(dd,1H,J2,3 =5.1Hz,H−3)、3.45(ddd,1H,H−2)、2.05(q,2H,J=7.0Hz,H−6a,6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.88(t,1H,J=7.0Hz,メチル)
分子式 C253933 {分子量(計算値)429.608}
Figure 0003800434
1−2:(2S,3R,4E)−2−アジド−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物5E:式(3〜5E)において、R1 =H、R2 =t−BDMS)の合成
化合物4E(409mg、0.952mmol)をDMF(10ml)に溶解し、t−ブチルジメチルクロロシラン(431mg、2.86mmol)およびイミダゾール(389mg、5.71mmol)を加え60℃にて20時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水洗の後、減圧濃縮した。残渣をメタノール(4ml)および塩化メチレン(5ml)の混合溶媒に溶解し、1M−メタノール性ナトリウムメトキシド(1ml)を加え、室温にて2時間処理した。反応液を酸性樹脂、アンバーライト(Amberlite)IR−120B(H+ )にて中和の後、樹脂をろ別した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学 K−60、20g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:10)にて精製し、化合物5E(304mg、収率73%)を得た。化合物5Eの特性は以下の通りである。
【0076】
[α]D 25=−42°(C=0.92、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.70(dt,1H,J4,5 =15.4Hz,J5,6a=J5,6b=7.0Hz,H−5)、5.45(dd,1H,J3,4 =7.3Hz,H−4)、4.22(dd,1H,J2,3 =5.1Hz、H−3)、3.73(dd,1H,J1a,2=4.4Hz、J1gem=11.7Hz,H−1a)、3.66(dd,1H,J1b,2=6.2Hz,H−1b)、3.40(ddd,1H,H−2)、2.19(bs,1H,O)、2.05(q,2H,J=7.0Hz,H−6a,6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.90(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,メチル)、0.09および0.05(2s,各3H,メチル)
分子式 C244932 Si{分子量(計算値)439.762}
Figure 0003800434
1−3:(2S,3R,4E)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,2−[(2,4−ジニトロフェニル)イミノ]−4−オクタデセン(化合物6E)および(2S,3R,4E)−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物7E:式(7〜8E)においてR3 =OH)の合成
【0077】
【化33】
Figure 0003800434
【0078】
【化34】
Figure 0003800434
【0079】
化合物5E(304mg、0.691mmol)をトルエン(6ml)に溶解し、アルゴン雰囲気下、トリフェニルホスフィン(200mg、0.760mmol)を加え、40℃にて20分間攪拌の後、80℃にて1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮の後、残渣をメタノール(6ml)に溶解し、0℃にて2,4−ジニトロフルオロベンゼン(130μl、1.04mmol)およびトリエチルアミン(193μl、1.38mmol)を加え、そのまま30分間攪拌の後、室温にて12時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:20)にて精製し、化合物6E(137mg、収率35%)および化合物7E(182mg、収率45%)を得た。化合物6Eの特性は以下の通りである。
【0080】
[α]D 26=−162°(C=1.2、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:8.86(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、8.27(dd,1H,J=9.2Hz,Ph)、7.31(d,1H,Ph)、5.75(dt,1H,J4,5 =15.4Hz,J5,6a=J5,6b=7.0Hz,H−5)、5.48(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,H−4)、4.38(dd,1H,J2,3 =3.6Hz,H−3)、2.72(d,1H,J1a,2=4.0Hz,H−1a)、2.61(ddd,1H,J1b,2=6.2Hz,H−2)、2.14(d,1H,H−1b)、2.07(q,2H,J=7.0Hz,H−6a,6b)、1.25(s,22H,メチレン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,1H,J=7.0Hz,メチル)、0.06(s,6H,メチル)
分子式 C305135 Si{分子量(計算値)561.844}
Figure 0003800434
化合物7Eの特性は以下の通りである。
【0081】
[α]D 26=−28°(C=1.0、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.16(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、9.12(d,1H,J2,NH=8.8Hz,NH)、8.25(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.95(d,1H,Ph)、5.79(dt,1H,J4,5 =15.7Hz,J5,6a=J5,6b=6.6Hz,H−5)、5.51(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,H−4)、4.47(dd,1H,J2,3 =3.6Hz,H−3)、4.12(dt,1H,J1a,2=J1a,OH =3.3Hz,J1gem=11.7Hz,H−1a)、3.83(dddd,1H,J1b,2=8.0Hz,H−2)、3.70(ddd,1H,J1b,OH =4.8Hz,H−1b)、2.57(dd,1H,OH)、2.06(q,2H,J=6.6Hz,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)、0.02(s,6H,メチル)
分子式 C305336 Si{分子量(計算値)579.860}
Figure 0003800434
1−4:(2S,3R,4E)−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−ヨード−4−オクタデセン(化合物8E:式(7〜8E)においてR3 =I)の合成
化合物7E(232mg,0.400mmol)をトルエン(10ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン(210mg、0.800mmol)、ヨウ素(203mg、0.800mmol)およびイミダゾール(109mg、1.60mmol)を加え、室温にて30分間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:30)にて精製し、化合物8E(269mg、収率97%)を得た。化合物8Eの特性は以下の通りである。
【0082】
[α]D 26=−35°(C=0.82、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.15(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、8.71(d,1H,J2,NH=9.1Hz,NH)、8.26(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.97(d,1H,Ph)、5.79(dt,1H,J4,5 =15.7Hz,J5,6a=J5,6b=6.6Hz,H−5)、5.42(dd,1H,J3,4 =8.0Hz,H−4)、4.32(dd,1H,J2,3 =5.5Hz,H−3)、3.72(dddd,1H,J1a,2=5.1Hz,J1b,2=6.2Hz,H−2)、3.49(dd,1H,J1gem=11.0Hz,H−1a)、3.43(dd,1H,H−1b)、2.05−1.97(m,2H,H−6aおよび6b)、1.25(s,22H,メチレン)、0.88(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=6.6Hz,メチル)、0.07および0.04(2s,各3H,メチル)
分子式 C3052IN35Si{分子量(計算値)689.756}
Figure 0003800434
1−5:化合物6E(化合物8Eより)の合成
化合物8E(269mg,0.390mmol)をピリジン(8ml)に溶解し、遮光下にてフッ化銀(64mg、0.507mmol)を0℃にて加え、そのまま2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水にて洗浄した。生成物は、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製) 15g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:20)にて精製し、化合物6E(188mg,収率86%)を得た。
【0083】
1−6:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−2,3;4,6−ジ−O−イソプロピリデン−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン(化合物10E)の合成
【0084】
【化35】
Figure 0003800434
【0085】
化合物9
【0086】
【化36】
Figure 0003800434
【0087】
(35mg、0.139mmol)および化合物6E(65mg、0.116mmol)を2−プロパノール(0.5ml)に溶解し、120℃にて5日間加温した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学 K−60、8g、溶出液;酢酸エチル:トルエン=1:15)にて精製し、化合物10E(57mg、収率60%)を得た。化合物10Eの特性は以下の通りである。
【0088】
[α]D 26=−3°(C=1.0、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.14(d,1H,J=2.9Hz,Ph)、9.08(d,1H,J=7.3Hz,NH)、8.21(dd,1H,J=9.4Hz,Ph)、7.03(d,1H,Ph)、5.72(dt,1H,J4,5 =15.4Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz、H−5)、5.44(dd,1H,J3,4 =6.8Hz,H−4)、5.30(bs,1H,H−5′a)、4.62(d,1H,J3,4′=7.8Hz、H−4′)、4.49および4.14(2d,各1H,J6gem =14.2Hz,H−6′aおよび6′b)、4.33(dd,1H,J2,3 =4.4Hz、H−3)、3.88−3.78(m,1H,H−2)、3.71(dd,1H,J2,3′=9.0Hz、H−3′)、3.57(bd,1H,J1,2′=9.0Hz,H−1′)、3.45(t,1H,H−2′)、3.16(dd,1H,J1a,2=4.9Hz,J1gem=12.7Hz,H−1a)、3.03(dd,1H,J1b,2=4.4Hz,H−1b)、2.07−1.98(m,2H,H−6aおよび6b)、1.57,1.44,1.42および1.40(4s,各3H,メチル)、1.25(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)、0.86(s,9H,t−ブチル)、−0.02および−0.05(2s,各3H,メチル)
分子式 C437249 Si{分子量(計算値)817.162}
Figure 0003800434
1−7:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物11E)の合成
【0089】
【化37】
Figure 0003800434
【0090】
化合物10E(40mg、0.0489mmol)をテトラヒドロフラン(THF)(3ml)に溶解し、1M−テトラブチルアンモニウムフルオロライド(nBu4 NF)−THF溶液(73μl、0.0730mmol)を加え、室温にて15分間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水洗した。有機層を芒硝乾燥の後、減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸(1.6ml)および水(0.4ml)に溶解し、70℃にて30分間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株))製、1g、溶出液;エタノール:トルエン=1:7)より精製し、化合物11E(23mg、収率75%)を得た。化合物11Eの特性は以下の通りである。
【0091】
[α]D 27=−50°(C=1.2、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:9.11(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、8.25(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、7.14(d,1H,Ph)、5.81(dt,1H,J4,5 =15.4Hz、J5,6a=J5,6b=6.7Hz、H−5)、5.58(bs,1H,H−5′a)、5.49(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,H−4)、4.31−4.06(m,4H,H−3,4′,6′aおよび6′b)、3.85(q,1H,J1a,2=J1b,2=J2,3 =6.0Hz,H−2)、3.54(dd,1H,J2,3′=9.9Hz、J3,4′=8.0Hz、H−3′)、3.45(dd,1H,J1,2′=8.0Hz,H−2′)、3.27(bd,1H,H−1′)、3.18(dd,1H,J1gem=12.5Hz,H−1a)、2.87(dd,1H,H−1b)、2.06−2.00(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)
分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769}
Figure 0003800434
1−8:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物1E)の合成
化合物11E(23mg、0.0369mmol)をアセトン:メタノール:水(3:5:2)(2ml)に溶解し、室温にて塩基性樹脂アンバーライトIRA−400(OH- )(0.5ml)を加え、2時間攪拌した。反応液をセライト濾過し、ろ液を減圧濃縮し、得られた残渣をTHF(2ml)に溶解した。これに室温にてパルミトイルクロライド(11μl、0.0369mmol)および30%酢酸ナトリウム水溶液(1ml)を加え、15分間攪拌した。反応液をTHF(20ml)にて希釈、飽和食塩水(10ml)にて洗浄した。有機層を無水硫酸マグネシウムにて乾燥し、減圧濃縮した。得られた残渣をn−ブタノール(1.8ml)に溶解、1M−水酸化カリウム水溶液(0.2ml)を加え、50℃にて18時間攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、2g、溶出液;メタノール:クロロホルム=1:7)により精製し、化合物1E(15mg、収率58%)を得た。化合物1Eの特性は以下の通りである。
【0092】
[α]D 27=−21°(C=0.35、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:5.73(dt,1H,J4,5 =15.3Hz、J5,6a=J5,6b=6.4Hz、H−5)、5.58(bs,1H,H−5′a)、5.44(dd,1H,J3,4 =6.9Hz,H−4)、4.25−4.10(m,3H,H−4′,6′aおよび6′b)、4.08(dd,1H,J2,3 =5.9Hz,H−3)、3.89(q,1H,J1a,2=J1b,2=5.9Hz,H−2)、3.55(dd,1H,J2,3′=9.9Hz, 3,4′=7.4Hz、H−3′)、3.43(dd,1H,J1,2′=8.4Hz,H−2′)、3.27(bd,1H,H−1′)、2.98および2.81(2dd,各1H,J1gem=12.6Hz,H−1aおよび1b)、2.20(t,2H,J=7.5Hz,COC 2 )、2.04(q,1H,J=6.5Hz,H−6aおよび6b)、1.27(s,48H,メチレン)、0.89(t,6H,J=6.5Hz,メチル)
分子式 C417826 {分子量(計算値)695.089}
Figure 0003800434
実施例2:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物1Z)の合成
【0093】
【化38】
Figure 0003800434
【0094】
2−1:(2S,3R,4Z)−2−アジド−1−ベンゾイルオキシ−4−オクタデセン−3−オール(化合物4Z:式(3〜5Z)において、R1 =ベンゾイル(Bz)オキシ、R2 =H)の合成
【0095】
【化39】
Figure 0003800434
【0096】
(2S,3R,4Z)−2−アジド−1,3−ジハイドロキシ−4−オクタデセン(化合物3Z:式(3〜5Z)において、R1 =R2 =H))(1.76g、5.41mmol)を化合物4Eの合成と同様に処理し、化合物4Z(1.65g、71%)を得た。化合物4Zの特性は以下の通りである。
【0097】
[α]D 24=−28°(C=1.1、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:8.07−8.04(m,2H,Ph)、7.58−7.42(m,3H,Ph)、5.59(dt,1H,J4,5 =11.0Hz、J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H−5)、5.43(dd,1H,J3,4 =8.8Hz,H−4)、4.65(dd,1H,J2,3 =5.2Hz,H−3)、4.52(dd,1H,J1a,2=4.0Hz,J1gem=11.7Hz、H−1a)、4.31(dd,1H,J1b,2=2.1Hz、H−1b)、3.69(ddd、1H,H−2)、2.15−2.10(m,2H,H−6a,6b)、1.25(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)
分子式 C253933 {分子量(計算値)429.608}
Figure 0003800434
2−2:(2S,3R,4Z)−2−アジド−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物5Z:式(3〜5Z)において、R1 =H、R2 =t−BDMS)の合成
化合物4Z(1.65g、3.84mmol)を化合物5Eの合成と同様に処理し、化合物5Z(2.03mg、収率84%)を得た。化合物5Zの特性は以下の通りである。
【0098】
[α]D 26=−40°(C=1.0、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.55(dt,1H,J4,5 =11.0Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H−5)、5.40(dd,1H,J3,4 =8.8Hz,H−4)、4.59(dd,1H,J2,3 =5.5Hz、H−3)、3.77(dd,1H,J1a,2=5.1Hz、J1gem=11.0Hz,H−1a)、3.69(dd,1H,J1b,2=5.1Hz,H−1b)、3.37(dt,1H,H−2)、2.18(t,1H,J=6.0Hz,O)、2.10−2.00(m,2H,H−6a,6b)、1.25(s,22H,メチレン)、0.88(s,9H,t−ブチル)、0.89(t,3H,J=7.0Hz,メチル)、0.09および0.05(2s,各3H,メチル)
分子式 C244932 Si{分子量(計算値)439.762}
Figure 0003800434
2−3:(2S,3R,4Z)−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−1,2−[(2,4−ジニトロフェニル)イミノ]−4−オクタデセン(化合物6Z)および(2S,3R,4Z)−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン−1−オール(化合物7Z:式(7〜8Z)においてR3 =OH)の合成
【0099】
【化40】
Figure 0003800434
【0100】
【化41】
Figure 0003800434
【0101】
化合物5Z(1.01g、2.30mmol)を化合物6Eの合成と同様に処理し、化合物6Z(537mg、収率42%)および化合物7Z(431mg、33%)を得た。化合物6Zの特性は以下の通りである。
[α]D 25=−140°(C=0.93、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:8.85(d,1H,J=2.4Hz,Ph)、8.27(dd,1H,J=9.3Hz,Ph)、7.33(d,1H,Ph)、5.57(dt,1H,J4,5 =10.7Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H−5)、5.40(dd,1H,J3,4 =8.3Hz,H−4)、4.78(dd,1H,J2,3 =3.4Hz,H−3)、2.72(d,1H,J1a,2=3.4Hz,H−1a)、2.61(dt,1H,J1b,2=5.9Hz,H−2)、2.15(d,1H,H−1b)、2.15−2.00(m,2H,H−6a,6b)、1.24(s,22H,メチレン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)、0.063および0.056(2s,各3H,メチル)
分子式 C305135 Si{分子量(計算値)561.844}
Figure 0003800434
化合物7Zの特性は以下の通りである。
【0102】
[α]D 25=−18°(C=0.95、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.17(d,1H,J2,NH=8.4Hz,NH)、9.16(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、8.24(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、6.96(d,1H,Ph)、5.57(dt,1H,J4,5 =11.3Hz,J5,6a=J5,6b=7.3Hz,H−5)、5.49(dd,1H,J3,4 =8.1Hz,H−4)、4.81(dd,1H,J2,3 =4.0Hz,H−3),4.14(dt,1H,J1a,2=J1a,OH =3.3Hz,J1gem=11.5Hz,H−1a)、3.86(ddd,1H,J1b,2=4.0Hz,J1b,OH =8.4Hz,H−1b)、3.67(ddt,1H,H−2)、2.57(dd,1H,O)、2.17−1.96(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,3H,J=7.0Hz,メチル)、0.03(s,6H,メチル)
分子式 C305336 Si{分子量(計算値)579.860}
Figure 0003800434
2−4:(2S,3R,4Z)−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−1−ヨード−4−オクタデセン(化合物8Z:式(7〜8Z)においてR3 =I)の合成
化合物7Z(158mg,0.272mmol)を化合物8Eの合成と同様に処理し、化合物8Z(172mg、収率91%)を得た。化合物8Zの特性は以下の通りである。
【0103】
[α]D 26=−30°(C=0.75、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.15(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、8.77(d,1H,J2,NH=9.5Hz,NH)、8.24(dd,1H,J=9.5Hz,Ph)、6.98(d,1H,Ph)、5.55(dt,1H,J4,5 =11.0Hz,J5,6a=J5,6b=6.7Hz,H−5)、5.36(dd,1H,J3,4 =8.8Hz,H−4)、4.64(dd,1H,J2,3 =5.9Hz,H−3)、3.70(ddt,1H,J1a,2=J1b,2=5.1Hz,H−2)、5.52(d,2H,H−1aおよび1b)、2.17−1.96(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.89(s,9H,t−ブチル)、0.88(t,1H,J=6.9Hz,メチル)、0.09および0.05(2s,各3H,メチル)
分子式 C3052IN35Si{分子量(計算値)689.756}
Figure 0003800434
2−5:化合物6Z(化合物8Zより)の合成
化合物8Z(172mg,0.249mmol)を化合物6Eの合成(化合物8Eより)と同様に処理し、化合物6Z(126mg,収率90%)を得た。
【0104】
2−6:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−2,3;4,6−ジ−O−イソプロピリデン−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン(化合物10Z)の合成
【0105】
【化42】
Figure 0003800434
【0106】
(省略部分は化合物10Eと同じである。)
化合物9(51mg、0.200mmol)および化合物6Z(89mg、0.158mmol)を化合物10Eの合成と同様に処理し、化合物10Z(65mg、収率50%)を得た。化合物10Zの特性は以下の通りである。
【0107】
[α]D 27=−13°(C=0.72、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.15(d,1H,J2,NH=9.5Hz,NH)、9.14(d,1H,J=2.9Hz,Ph)、8.19(dd,1H,J=9.9,Ph)、7.03(d,1H,Ph)、5.51(dt,1H,J4,5 =11.0Hz,J5,6a=J5,6b=7.0Hz、H−5)、5.41(dd,1H,J3,4 =8.1Hz,H−4)、5.29(bs,1H,H−5′a)、4.65(dd,1H,J2,3 =4.4Hz,H−3)、4.62(bd,1H,J3,4′=8.1Hz、H−4′)、4.49および4.14(2bd,各1H,J6 gem =13.5Hz,H−6′aおよび6′b)、3.81(ddt,1H,J1a,2=5.5Hz、J1b,2=4.4Hz,H−2)、3.70(dd,1H,J2,3′=9.5Hz、H−3)、3.55(bd,1H,J1,2′=8.4Hz,H−1′)、3.44(dd,1H,H−2′)、3.19(dd,1H,J1gem=12.8Hz,H−1a)、3.04(dd,1H,H−1b)、2.12−1.94(m,2H,H−6aおよび6b)、1.56,1.43,1.42および1.40(4s,各3H,メチル)、1.26(s,22H,メチル)、0.88(t,3H,J=6.6Hz,メチル)、0.87(s,9H,t−ブチル)、−0.01および−0.02(2s,各3H,メチル)
分子式 C437249 Si{分子量(計算値)817.162}
Figure 0003800434
2−7:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物11Z)の合成
【0108】
【化43】
Figure 0003800434
【0109】
(省略部分は化合物11Eと同じである)
化合物10Z(51mg、0.0624mmol)を化合物11Eの合成と同様に処理し、化合物11Z(36mg、収率93%)を得た。化合物11Zの特性は以下の通りである。
【0110】
[α]D 26=−83°(C=0.93、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:9.10(d,1H,J=2.5Hz,Ph)、8.24(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、7.14(d,1H,Ph)、5.59(s,1H,H−5′a)、5.58(dt,1H,J4,5 =11.0Hz、J5,6a=J5,6b=7.0Hz、H−5)、5.45(dd,1H,J3,4 =8.4Hz,H−4)、4.64(dd,1H,J2,3 =6.6Hz,H−3)、4.30−4.05(m,3H,H−4′,6′aおよび6′b)、3.88(ddd,1H,J1a,2=4.4Hz,J1b,2=5.1Hz,H−2)、3.54(t,1H,J2,3′=J3,4′=9.9Hz、H−3′)、3.48(t,1H,J1,2 =9.9Hz,H−2′)、3.82(bd,1H,H−1′)、3.24(dd,1H,J1gem=12.6Hz,H−1a)、2.93(dd,1H,H−1b)、2.18−1.95(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=6.6Hz,メチル)
分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769}
Figure 0003800434
2−8:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物1Z)の合成
化合物11Z(19mg、0.0305mmol)を化合物1Eの合成と同様に処理し、化合物1Z(12mg,収率57%)を得た。化合物1Zの特性は以下の通りである。
【0111】
[α]D 26=−38°(C=0.29、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 −CD3 OD 2:1)
δ:5.59(bs,1H,H−5′a)、5.57(dt,1H,J4.5 =11.0Hz、J5,6a=J5,6b=7.3Hz、H−5)、5.39(dd,1H,J3,4 =8.4Hz,H−4)、4.45(dd,1H,J2,3 =6.6Hz,H−3)、4.18および4.12(2d,各1H,J6gem =14.3Hz,H−6′aおよび6′b)、4.20−4.10(m,1H,H−4′)、3.91(dt,1H,J1a,2=6.6Hz,J1b,2=5.1Hz,H−2)、3.55(dd,1H,J2,3′=9.9Hz、J3,4′=7.0Hz、H−3′)、3.47(dd,1H,J1,2′=8.1Hz,H−2′)、3.38(bd,1H,H−1′)、3.05(dd,1H,J1gem=12.8Hz,H−1a)、2.88(dd,1H,H−1b)、2.20(t,2H,J=7.0Hz,H−1a′′および1b′′)、2.15−2.00(m,2H,H−6aおよび6b)、1.67−1.52(m,2H,H−2′′aおよび2′′b)、1.26(s,46H,メチレン)、0.89(t,6H,J=7.0Hz,メチル)
分子式 C417826 ・H2O{分子量(計算値)713.1}
Figure 0003800434
実施例3:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物2E)の合成
【0112】
【化44】
Figure 0003800434
【0113】
3−1:1−アジド−4,6−O−ベンジリデン−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノース(化合物13)の合成
【0114】
【化45】
Figure 0003800434
【0115】
1−アジド−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3;4,6−ジ−O−イソプロピリデン−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノース(化合物12)
【0116】
【化46】
Figure 0003800434
【0117】
(103mg、0.366mmol)を80%含水酢酸(3ml)に溶解し、70℃にて40時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をN,N−ジメチルホルムアミド(DMF)(4ml)に溶解し、α,α−ジメトキシトルエン(137μl、0.915mmol)およびp−トルエンスルホン酸−水和物(14mg、0.0732mmol)を加え、アスピレーター減圧下(〜50mmHg)55℃にて2時間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈、飽和重曹水、水で順次洗浄の後、芒硝乾燥した。有機層を減圧濃縮し、残渣を塩化メチレン(5ml)に溶解、クロロメチルメチルエーテル(111μl、1.46mmol)およびジイソプロピルエチルアミン(510μl、2.93mmol)を加え、加熱環流下、12時間処理した。生成物をシリカゲルカラム(K−60(片山化学(株)製)、10g、溶出液;酢酸エチル:ヘキサン=1:8)にて分離精製し、化合物13(73mg、収率53%)を得た。化合物13の特性は以下の通りである。
【0118】
[α]D 23=−120°(C=1.2、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.65(s,1H,PhC=)、5.51(bs,1H,H−5a)、4.99および4.81(2d,各1H,J=6.6Hz,メチレン)、4.89および4.83(2d,各1H,J=6.3Hz,メチレン)、4.53(bd,1H,J3,4 =7.7Hz,H−4)、4.47(bs,2H,H−6aおよびH−6b)、4.08(bd,1H,J1,2 =8.4Hz,H−1)、3.98(dd,1H,J2,3 =10.6Hz,H−3)、3.67(dd,1H,H−2)、3.64および3.51(2s,各3H,メチル)
分子式 C182336 {分子量(計算値)377.403}
Figure 0003800434
3−2:1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノース(化合物14)(式(14〜15)のR4 は水素原子)の合成
【0119】
【化47】
Figure 0003800434
【0120】
化合物13(269mg、0.713mmol)を80%含水酢酸(6ml)に溶解、60℃にて1時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、残渣をDMF(6ml)に溶解し、t−ブチルジメチルクロロシラン(216mg、1.43mmol)およびイミダゾール(194mg、2.85mmol)を加え、室温にて1時間攪拌した。反応液を酢酸エチルで希釈、水洗した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(片山化学社製、K−60、20g、溶出液 酢酸エチル:トルエン=1:10)により精製し、化合物14(211mg、収率73%)を得た。化合物14の特性は以下の通りである。
【0121】
[α]D 25=−109°(C=0.90、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.64(bs,1H,H−5a)、4.90,4.82,4.78および4.77(4d,各1H,J=6.7Hz,メチレン)、4.33および4.23(2bd,各1H,J6gem=13.6Hz,H−6aおよびH−6b)、4.22−4.16(m,1H,H−4)、4.10(d,1H,J4,OH=2.6Hz,O)、4.00(bd,1H,J1,2 =8.0Hz,H−1)、3.68(dd,1H,J2,3 =9.9Hz,H−2)、3.54(dd,1H,J3,4 =7.0Hz,H−3)、3.48および3.47(2s,各3H,メチル)、0.92(s,9H,t−ブチル)、0.09(s,6H,メチル)
分子式 C173336 Si{分子量(計算値)403.557}
Figure 0003800434
3−3:4−O−アセチル−1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノース(化合物15)(式(14〜15)のR5 はアセチル(Ac))の合成
化合物14(6.0mg、0.0149mmol)を、ピリジンと無水酢酸にて一晩室温処理することによってアセチル化し、生成物を単離して化合物15(8.0mg、100%)を得た。
【0122】
化合物15の特性は以下の通りである。
[α]D 25=−32°(C=0.40、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.78(bs,1H,H−5a)、5.61(bd,1H,J3,4 =7.3Hz,H−4)、4.90,4.80,4.78および4.70(4d,各1H,J=6.6Hz,メチレン)、4.06−3.97(m,3H,H−1,6aおよび6b)、3.82(dd,1H,J2,3 =9.5Hz,H−3)、3.72(dd,1H,J1,2 =7.4Hz,H−2)、3.48および3.35(2s,各3H,メチル)、2.10(s,3H,アセチル)、0.90(s,9H,t−ブチル)、0.06(s,6H,メチル)
分子式 C193537Si{分子量(計算値)445.595}
Figure 0003800434
3−4:1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノース(化合物16)(式(16〜17)のR5 は水素原子、R6 はアジド基)の合成
【0123】
【化48】
Figure 0003800434
【0124】
化合物14(223mg、0.553mmol)を塩化メチレン(5ml)に溶解し、モレキュラーシーブス4Åパウダー存在下(220mg)、ピリジニウムクロロクロメイト(PCC)(358mg、1.66mmol)を加え、室温にて1時間半攪拌した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(エーテル)により精製し、得られたケトン体をトルエン(6ml)に溶解、−78℃にて1M−ジイソプロピルアルミニウムハイドライド(DIBAL−H)のトルエン溶液(0.737mmol、1.11mmol)を加え、20分間攪拌した。反応液に5%水酸化ナトリウム水溶液を加え、酢酸エチルにて抽出した後、飽和食塩水にて洗浄、有機層を芒硝にて乾燥した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、10g、溶出液;酢酸エチル:トルエン=1:8)にて分離精製し、化合物16(119mg、収率53%)および化合物14(71mg、収率32%)を得た。
【0125】
化合物16の特性は以下の通りである。
[α]D 23=−107°(C=1.3、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.70(bs,1H,H−5a)、4.89,4.85,4.79および4.78(4d,各1H,J=6.6Hz,メチレン)、4.30−4.27(m,2H,H−4および6a)、4.20(bd,1H,J6gem=13.6Hz,H−6b)、4.00(dd,1H,J1,2 =7.7Hz,J2,3 =9.9Hz,H−2)、3.86(bd,1H,H−1)、3.67(dd,1H,J3,4 =3.8Hz,H−3)、3.48および3.44(2s,各3H,メチル)、2.75(d,1H,J4,OH=2.6Hz,O)、0.92(s,9H,t−ブチル)、0.10(s,6H,メチル)
分子式 C173336 Si{分子量(計算値)403.557}
Figure 0003800434
3−5:4−O−アセチル−1−アジド−6−O−(t−ブチルジメチルシリル)−5a−カルバ−1−デオキシ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノース(化合物17)(式(16〜17)のR5 はアセチル、R6 はアジド基)の合成
化合物16(35mg、0.0867mmol)を前記と同様にアセチル化し、化合物17(34mg、収率89%)を得た。化合物17の特性は以下の通りである。
【0126】
[α]D 25=−23°(C=1.1、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:5.85(bs,1H,H−5a)、5.57(d,1H,J3,4 =3.7Hz,H−4)、4.94,4.77,4.73および4.63(4d,各1H,J=6.8Hz,メチレン)、4.08−4.06(m,2H,H−6aおよび6b)、3.97(dd,1H,J1,2 =7.7Hz,J2.3 =9.9Hz,H−2)、3.89(d,1H,H−1),3.79(dd,1H,H−3)、3.50および3.38(2s,各3H,メチル)、2.09(s,3H,アセチル)、0.91(s,9H,t−ブチル)、0.06(s,6H,メチル)
分子式 C193537Si{分子量(計算値)445.595}
Figure 0003800434
3−6:(2S,3R,4E)−1−[6−O−t−ブチルジメチルシリル−5a−カルバ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン(化合物18E)
【0127】
【化49】
Figure 0003800434
【0128】
化合物16(66mg、0.165mmol)をTHF(3ml)に溶解し、トリフェニルホスフィン(51mg、0.196mmol)および水(150μl)を加え、60℃にて、5時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、2g、溶出液;エタノール:トルエン=1:8)に付してトリフェニルホスフィンオキサイドを除去し、アミン体16a(式(16〜17)のR5は水素原子、R6はアミノ基)を得た。これを実施例1の化合物6E(125mg、0.222mmol)と共に2−プロパノールに溶解、封管中120℃にて5日間加熱した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、10g、溶出液;酢酸エチル:トルエン 1:8)にて分離精製し、化合物18E(82mg、収率55%)を得た。化合物18Eの特性は以下の通りである。
【0129】
[α]D 26=−30°(C=1.1、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.30(d,1H,J2,NH=8.8Hz,NH)、9.15(d,1H,J=2.4Hz,Ph)、8.21(dd,1H,J=9.8Hz,Ph)、7.01(d,1H,Ph)、5.73(dt,1H,J4,5 =15.6Hz,J5,6a=J5,6b=6.9Hz、H−5)、5.66(d,1H,J1,5a =1.8Hz,H−5′a)、5.48(dd,1H,J3,4 =6.8Hz,H−4)、4.86,4.83,4.77および4.75(4d,各1H,J=6.8Hz,メチレン)、4.36(dd,1H,J2,3 =3.3Hz,H−3)、4.28(d,1H,J3,4′=3.9Hz,H−4′)、4.22および4.14(2bd,各1H,J6gem =13.2Hz,H−6′aおよび6′b)、3.92(dd,1H,J1,2 =8.0Hz,J2,3 =10.0Hz,H−2′)、3.76(ddt,1H,J1a,2=J1b,2=4.9Hz,H−2)、3.61(dd,1H,H−3′)、3.43および3.39(2s,各3H,メチル)、3.15および2.69(2dd,各1H,J1gem=12.7Hz,H−1aおよび1b)、2.05−2.00(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=7.3Hz,メチル)、0.86および0.84(2s,各9H,t−ブチル)、0.05,0.04,−0.05および−0.07(4s,各3H,メチル)
分子式 C4776411 Si2 {分子量(計算値)929.323}
Figure 0003800434
3−7:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物19E)の合成
【0130】
【化50】
Figure 0003800434
【0131】
化合物18E(23mg、0.0245mmol)をTHF(2ml)に溶解し、室温にて1M−nBu4 NF−THF溶液(60μl、0.060mmol)を加え、30分間攪拌した。反応液を酢酸エチルにて希釈し、水洗した。有機層を芒硝乾燥の後、減圧濃縮し、得られた残渣をTHF(2.3ml)に溶解し、12M−塩酸(100μl)を加えた。反応液を室温にて1時間攪拌した後、炭酸水素ナトリウムにて中和した。濃縮後、残渣をエタノール−クロロホルム(1:5)に溶解し、塩をろ別した。生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(K−60(片山化学(株)製)、2g、溶出液;メタノール:クロロホルム=1:5)より精製し、化合物19E(15mg、収率99%)を得た。化合物19Eの特性は以下の通りである。
【0132】
[α]D 26=+31°(C=0.75、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:9.10(d,1H,J=3.1Hz,Ph)、8.47(d,1H,J2,NH=7.9Hz,NH)、8.27(dd,1H,J=9.8Hz,Ph)、7.13(d,1H,Ph)、5.86(dt,1H,J4,5 =15.5Hz、J5,6a=J5,6b=6.7Hz、H−5)、5.69(d,1H,J1,5 a =1.8Hz,H−5′a)、5.47(dd,1H,J3,4 =7.6Hz,H−3)、4.69および4.52(2d,各1H,J7gem=10.1Hz,H−6′aおよび6′b)、4.22(d,1H,J3,4′=4.3Hz,H−4′)、4.97(t,1H,J2,3 =7.6Hz,H−3)、3.90(dd,1H,J1,2′=8.5Hz,J2,3′=10.4Hz,H−2′)、3.78(dddd,1H,J1a,2=3.7Hz,J1b,2=10.4Hz,H−2)、3.52(dd,1H,H−3′)、3.49(dd,1H,J1gem=13.4Hz,H−1a)、3.48(dd,1H,H−1′)、2.92(dd,1H,H−1b)、2.07−1.90(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.88(t,3H,J=6.5Hz,メチル)
分子式 C315049 {分子量(計算値)622.769}
Figure 0003800434
3−8:(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物2E)の合成
化合物19E(15mg、0.0241mmol)を化合物1Eの合成と同様に処理し、化合物2E(8.2mg、49%)を得た。化合物2Eの特性は、以下の通りである。
【0133】
[α]D 24=+12°(C=0.25、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:5.73(dt,1H,J4,5 =15.4Hz、J5,6a=J5,6b=6.6Hz、H−5)、5.68(d,1H,J1,5 a =1.7Hz,H−5′a)、5.44(dd,1H,J3,4 =6.6Hz,H−4)、4.18(d,1H,J3,4′=4.4Hz,H−4′)、4.15(s,2H,H−6aおよび6b),4.08(dd,1H,J2,3 =5.8Hz,H−3)、3.89(q,1H,J1a,2=J1b,2=5.8Hz,H−2)、3.65(dd,1H,J1,2′=8.0Hz,J2,3′=9.5Hz,H−2′)、3.48(dd,1H,H−3′)、3.13(dd,1H,H−1′)、3.00および2.79(2dd,各1H,J1gem=12.4Hz,H−1aおよび1b)、2.19(t,2H,J=6.6Hz,H−1′′aおよび1′′b)、2.04(q,1H,J=6.6Hz,H−6aおよび6b)、1.27(s,48H,メチレン)、0.86(t,6H,J=7.3Hz,メチル)
分子式 C417826 {分子量(計算値)695.089}
Figure 0003800434
実施例4:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物2Z)の合成
【0134】
【化51】
Figure 0003800434
【0135】
4−1:(2S,3R,4Z)−1−[(6−O−t−ブチルジメチルシリル−5a−カルバ−2,3−ジ−O−メトキシメチル−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−3−(t−ブチルジメチルシリルオキシ)−4−オクタデセン(化合物18Z)の合成
【0136】
【化52】
Figure 0003800434
【0137】
(省略部分は18Eと同じである。)
実施例3(3−6)で合成した化合物16a(52mg、0.129mmol)および実施例2(2−3)記載の化合物6Z(88mg、0.157mmol)を化合物18Eの合成と同様に処理し、化合物18Z(46mg、収率41%)を得た。化合物18Zの特性は以下の通りである。
【0138】
[α]D 23=−18°(C=1.2、CHCl3
1H-NMR(270MHz、CDCl3
δ:9.41(d,1H,J2,NH=8.8Hz,NH)、9.16(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、8.21(dd,1H,J=9.9Hz,Ph)、6.99(d,1H,Ph)、5.66(d,1H,J1,5a =2.2Hz,H−5′a)、5.50(dt,1H,J4,5 =11.4Hz,J5,6a=J5,6b=5.7Hz、H−5)、5.44(dd,1H,J3,4 =7.1Hz,H−4)、4.86,4.82,4.77および4.74(4d,各1H,J=6.6Hz,メチレン)、4.68(dd,1H,J2.3 =3.8Hz,H−3)、4.28(d,1H,J3,4′=3.7Hz,H−4′)、4.22および4.14(2bd,各1H,J6gem =13.1Hz,H−6′aおよび6′b)、3.92(dd,1H,J1,2′=7.9Hz,J2,3′=9.7Hz,H−2)、3.71(ddt,1H,J1a,2=J1b,2=4.6Hz,H−2)、3.62(dd,1H,H−3′)、3.43および3.38(2s,各3H,メチル)、3.36(dd,1H,H−1′)、3.22および2.72(2dd,各1H,J1gem=12.6Hz,H−1aおよび1b)、2.15−1.95(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチル)、0.88(t,3H,J=7.3Hz,メチル)、0.86および0.84(2s,各9H,t−ブチル)、0.05,0.04,−0.06および−0.07(4s,各3H,メチル)
分子式 C4776411 Si2 {分子量(計算値)929.323}
Figure 0003800434
4−2:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−[(2,4−ジニトロフェニル)アミノ]−4−オクタデセン−3−オール(化合物19Z)の合成
【0139】
【化53】
Figure 0003800434
【0140】
(省略部分は19Eと同じである。)
化合物18Z(23mg、0.0245mmol)を化合物19Eの合成と同様に処理し、化合物19Z(14mg、収率92%)を得た。化合物19Zの特性は以下の通りである。
【0141】
[α]D 25=−86°(C=0.76、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:9.10(d,1H,J=2.6Hz,Ph)、8.48(d,1H,J2,NH=9.5Hz,NH)、8.26(dd,1H,J=9.4Hz,Ph)、7.15(d,1H,Ph)、5.70(s,1H,H−5a′)、5.67(dt,1H,J4.5 =11.2Hz、J5,6a=J5,6b=7.7Hz、H−5)、5.43(dd,1H,J2,3 =8.6Hz,H−4)、4.69および4.53(2d,各1H,J6gem =10.2Hz,H−6′aおよび6′b)、4.35(t,1H,J2,3 =8.6Hz,H−3)、4.23(d,1H,J3,4′=3.4Hz,H−4′)、3.89(dd,1H,J1,2′=8.5Hz,J2,3′=10.3Hz,H−2′)、3.82(dddd,1H,J1a,2=5.1Hz,J1b,2=10.3Hz,H−2)、3.52(dd,1H,H−3′)、3.48(dd,1H,J1gem=12.8Hz,H−1a)、3.38(bd,1H,H−1′)、2.95(dd,1H,H−1b)、2.20−2.00(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,22H,メチレン)、0.89(t,3H,J=6.4Hz,メチル)
分子式 C315049 ・H2 O{分子量(計算値)640.785}
Figure 0003800434
4−3:(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール(化合物2Z)の合成
化合物19Z(15mg、0.0241mmol)を化合物1Eの合成と同様に処理し、化合物2Z(9.2mg、収率59%)を得た。
【0142】
[α]D 26=−7°(C=0.36、MeOH)
1H-NMR(270MHz、CDCl3 +CD3 OD 2:1)
δ:5.70(d,1H,J1,5 a =1.0Hz,H−5′a)、5.56(dt,1H,J4,5 =11.1Hz、J5,6a=J5,6b=7.5Hz,H−5)、5.39(dd,1H,J3,4 =8.2Hz,H−4)、4.45(dd,1H,J2,3 =6.0Hz,H−3)、4.18(d,1H,J3,4′=4.3Hz,H−4′)、4.18および4.13(2d,各1H,J6gem =13.8Hz,H−6′aおよび6′b)、3.90(dt,1H,J1a,2=6.0Hz,J1b,2=5.1Hz,H−2)、3.66(dd,1H,J1,2 =8.5Hz,J2,3′=10.2Hz,H−2′)、3.48(dd,1H,H−3′)、3.16(dd,1H,H−1′)、3.04(dd,1H,J1gem=12.0Hz,H−1a)、2.83(dd,1H,H−1b)、2.20(t,1H,J=7.7Hz,H−1′′aおよび1′′b)、2.20−1.98(m,2H,H−6aおよび6b)、1.26(s,48H,メチレン)、0.88(t,6H,J=7.0Hz,メチル)
分子式 C417826 ・H2 O{分子量(計算値)713.105}
Figure 0003800434
実験例1
▲1▼ 実施例1〜4で合成した化合物1E、1Z、2E、2Zの各々のβ−グルコセレブロシダーゼおよびβ−ガラクトセレブロシダーゼに対する阻害効果を蛍光標識した天然基質{12−〔N−メチル−N−(7−ニトロ−2−オキサ−1,3−ジアキソール−4−イル)〕アミノドデカン酸(NBD)−グルコセレブロシドおよびNBD−ガラクトセレブロシド}を用いて測定した。即ち、β−グルコセレブロシダーゼ活性の測定は、Grabowskiらの方法(Clin.Chim.Acta vol.1241,123−135,1982)に従い、マウス肝のミクロゾームを酵素源として用いた。また、β−ガラクトセレブロシダーゼ活性は、Raghavanらの方法(Biochim,Biophys.Acta,vol.877,1−8,1986)に従い、マウス脳のミクロゾームを酵素源として用いた。表1にその結果を示した。基質は各阻害実験において、該酵素に対し大過剰一定とした。擬似セレブロシドの不飽和擬似糖質がグルコース型である1E、1Zは、10μMの濃度でβ−グルコセレブロシダーゼ活性のみを強力かつ特異的に阻害し、IC50値(酵素活性を50%阻害するために要する濃度)はそれぞれ0.3μMおよび0.1μMであった。一方、擬似セレブロシドの不飽和擬似糖質がガラクトース型である2E、2Zは、10μMの濃度でβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性を強力かつ特異的に阻害し、IC50値はそれぞれ1.6μMおよび2.3μMであった。阻害(%)は以下により求めた。
阻害(%)
=(1−阻害剤存在下での酵素活性/阻害剤非存在下での酵素活性)×100
また、上記実施例と同じ条件で、本発明の擬似糖脂質と類似する以下に示す化合物C−1(前記一般式(a)において、X=NH、擬似糖がグルコース型)および下記式C−2〜C−4で示される擬似糖質(前記C−1と同様の方法で合成した)の阻害効果を調べ、比較した。結果を表1に示す。
【0143】
【化54】
Figure 0003800434
【0144】
【化55】
Figure 0003800434
【0145】
【化56】
Figure 0003800434
【0146】
【化57】
Figure 0003800434
【0147】
【表1】
Figure 0003800434
【0148】
表1から、本発明のグルコースタイプの不飽和型擬似糖脂質1E、1Zは、10μMにおいていずれもほぼ完全にβ−グルコセレブロシダーゼ阻害活性を示し、かつグルコースタイプの飽和型擬似糖脂質である比較化合物C−1、C−3より著しく阻害活性が増大している。
【0149】
一方、本発明のガラクトースタイプの不飽和型擬似糖脂質2E、2Zは、いずれも特異的かつ強力にβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性を阻害した。
さらに、ガラクトースタイプの飽和型擬似糖脂質である比較化合物C−2、C−4はβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性をごくわずかしか阻害しなかった。
これらの結果から、酵素反応の遷移状態を模倣した本発明の不飽和型擬似糖脂質の有効性が示された。
【0150】
▲2▼ 実施例1〜4で合成した化合物1E、1Z、2E、2Zと前記化合物C−1および下記化合物C−5、C−6の各々のβ−グルコセレブロシダーゼ阻害活性およびβ−ガラクトセレブロシダーゼに対する阻害活性を以下の方法で比較した。すなわち、上記▲1▼と同じ酵素源を用い、基質は4−メチルウンベリフェリルグルコシドを使用し、Peterらの方法(Clin.Chim.Acta 60,391−396(1975))に従って阻害(%)およびIC50値を求めた。基質は各阻害実験において、該酵素に対し大過剰一定とした。
【0151】
結果を表2に示す。
【0152】
【化58】
Figure 0003800434
【0153】
【化59】
Figure 0003800434
【0154】
【表2】
Figure 0003800434
【0155】
表2から、本発明の擬似糖脂質は、比較例に比べ▲1▼と基質を変えても▲1▼と同様に阻害効果が極めて大きいことが分かる。
従って、表1および2から構造の類似した疑似セレブロシドであっても擬似糖の部分の構造を本発明の不飽和型に変えることによって、上記阻害活性が大きく上昇した。
【0156】
実験例2
HIV産生における擬似糖脂質の阻害効果(インビトロにおけるHIV−1の中和アッセイ)
本発明の化合物のインビトロにおけるHIVの中和活性を末梢血単核細胞(PBMC)を用いたウイルス中和アッセイにより求めた。該化合物(2Z、1Z、2Eおよび1E)10μMをHIVMN(H9/HTLV−IIIMN、AIDS Research and Reference Reagent Program,NIH,Rockville,MD)の100TCID50単位と37℃、60分インキュベートした。この混合物を5μg植物凝集素(PHA)で活性化されたヒト正常末梢血単核細胞(PBMC)1×106 個を含むエペンドルフチューブに移し、37℃の水浴中60分間振盪した。PBSにて3回洗浄した後、該細胞をRPMI1640培地1mlで懸濁した。該培地は組換えヒトIL−2(40単位/ml、塩野義製薬社製)の存在下、ペニシリン(50単位/ml)、ストレプトマイシン(50mg/ml)、およびL−グルタミン(2mM)で補完された熱不活化された10%FCSを含むものであり、該細胞は7日間培養チューブ(A−S Nunc,Roskilde,デンマーク)にて培養された。HIVの上清への産生をHIV−1 p24抗原ELISA(Dinabot社製)により測定した(J.Immunol.,142,4248−4255(1989)、J.Immunol.,148,2175−2180(1992))。
【0157】
該HIVMNの貯蔵ウイルスは、5μg/mlPHAで7日間活性化したヒト正常PBMCと共にHIVMNの100TCID50量を7日間培養することにより調製した。該HIVを含む培養上清から細胞を除いた上清は、ウイルス源としての使用まで−130℃に貯蔵した。中和アッセイのために貯蔵ウイルスは、PHA活性化正常PBMCで滴定し、各ウイルスの1ml当たりのTCID50を定義した。アジドチミジン(AZT)をコントロールとして使用した。これらの化合物の阻害の程度は、AZTの阻害を100%とした阻害(%)で表した。
【0158】
図1にこの結果を示した。図1に示す通り、本発明の化合物は、抗HIV活性を有する。
実験例3 シンシチウム形成における擬似糖脂質の阻害効果
本発明の擬似糖脂質のシンシチウム形成阻害効果を以下により評価した。
104 個のMolt−4/c18細胞含有培地0.2mlを平底の96ウェル細胞培養プラスチックプレートに各々移し、該細胞を37℃に保持した。4時間後、培地を吸引し、図2の試験化合物(2Z、1Z、2Eおよび1E)(10μM)を含む培地に各々置き換えた。一晩経過後、培地を吸引し、104 個のMolt−4/IIIB細胞含有培地を各々のウェルに添加した。5%CO2 下37℃でインキュベーションを行った。4日後、各々のウェルの細胞懸濁液を二つに分け、その各々を新たなウェルに加え、新たな試験化合物含有培地0.2mlを添加した。その操作を7日目に繰り返した。10日目に細胞を顕微鏡で観察した。AZTをコントロールとして使用した。これらの化合物のシンシチウムの阻害の程度は、AZTの阻害を100%とした阻害(%)で表した。
【0159】
図2にこの結果を示した。図2に示したように本発明の化合物は、抗HIV活性を有することがわかる。
【0160】
【発明の効果】
本発明は、新規構造の擬似糖脂質であって、その立体構造を所望に制御、形成することにより、種々のグリコシダーゼの阻害活性を制御可能であり、特定のグリコシダーゼに対する阻害活性の程度を制御可能である。特に、本発明の擬似糖脂質は、β−グルコセレブロシダーゼおよびβ−ガラクトセレブロシダーゼ活性を構造特異的に強力に阻害し、かつ水溶液中でも安定であり、有用性に優れている。さらに、これらの擬似糖脂質は、グルコセレブロシド合成酵素やガラクトセレブロシド合成酵素等の糖転移酵素活性を全く阻害しないことが判明しており、従来報告されているβ−グルコセレブロシダーゼ阻害剤に比較し、高い特異性を有する阻害剤である。
【0161】
さらに、本発明の擬似糖脂質は、グリコシダーゼ阻害活性と関連する種々の生化学的相互作用に影響を及ぼすと考えられる系の研究に寄与することができ、新規薬剤の開発、例えば、抗ウイルス剤、神経機能改善剤(抗痴呆剤等)、糖尿病等の糖代謝関連の疾病治療剤、免疫アジュバント等の免疫系を制御する薬剤等に応用され得る。そして、本発明の擬似糖脂質は抗HIV活性を示すことから抗HIV剤として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】HIVを感染させたPHA活性化PBMCによるHIV産生に対する阻害効果を示すグラフである。
【図2】HIV感染Molt−4/c18細胞とMolt−4/IIIB細胞との共培養によるシンシチウム形成に対する阻害効果を示すグラフである。

Claims (10)

  1. 下記一般式(1)で表される擬似糖脂質。
    Figure 0003800434
    〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示す。〕
  2. 前記一般式(1)で表される擬似糖脂質において、Zはイミノ基を示し、nは4〜16の整数を示すことを特徴とする請求項1記載の擬似糖脂質。
  3. 下記一般式(1a)または(1b)で表される請求項1記載の擬似糖脂質。
    Figure 0003800434
    Figure 0003800434
    (式中、Zはイミノ基を示し、XおよびYは互いに異なり、各々、水素原子またはOH基を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜16の整数を示す。)
  4. 前記一般式(1)で表される擬似糖脂質が、(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−β−D−xylo−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、(2S,3R,4E)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オール、および(2S,3R,4Z)−1−[(5a−カルバ−α−L−arabino−ヘキス−5−エノピラノシル)アミノ]−2−(ヘキサデカノイルアミノ)−4−オクタデセン−3−オールからなる群から選択される請求項1記載の擬似糖脂質。
  5. 請求項1記載の擬似糖脂質を有効成分として含有するグリコシダーゼ阻害剤。
  6. 前記グリコシダーゼ阻害剤が、グリコセレブロシダーゼ阻害剤である請求項5記載のグリコシダーゼ阻害剤。
  7. 前記グリコシダーゼ阻害剤が、グルコセレブロシダーゼ阻害活性およびガラクトセレブロシダーゼ阻害活性のうちの少なくとも一方を示す請求項6記載のグリコシダーゼ阻害剤。
  8. グルコセレブロシダーゼ阻害活性が、β−グルコセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下記一般式(1a)または(1b)で表される請求項7記載のグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 0003800434
    Figure 0003800434
    〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示し、Xは水素原子を示し、YはOH基を示す。〕
  9. ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性が、β−ガラクトセレブロシダーゼ阻害活性であり、その有効成分が下記一般式(1a)または(1b)で表される請求項7記載のグリコシダーゼ阻害剤。
    Figure 0003800434
    Figure 0003800434
    〔式中、Zはイミノ基、酸素原子またはイオウ原子を示し、mは3〜12の整数を示し、nは4〜22の整数を示し、XはOH基を示し、Yは水素原子を示す。〕
  10. 請求項1〜4のいずれか一項記載の擬似糖脂質を含むことを特徴とする抗ウイルス剤。
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