JPH0848603A - 無臭化製剤 - Google Patents

無臭化製剤

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JPH0848603A
JPH0848603A JP24128694A JP24128694A JPH0848603A JP H0848603 A JPH0848603 A JP H0848603A JP 24128694 A JP24128694 A JP 24128694A JP 24128694 A JP24128694 A JP 24128694A JP H0848603 A JPH0848603 A JP H0848603A
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暁 岩森
Isao Naruse
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Shohei Nozaki
正平 野崎
Nobuhiro Fukuda
信弘 福田
Tamotsu Asano
保 浅野
Hitoshi Shimotori
均 下鳥
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 水溶性有機物、生分解性有機物、及び/また
は肥料にクロルピクリンを混合せしめた後、その生成混
合物をガスバリア性を有する水溶性及び/または生分解
性フィルムで密封、包装してなる無臭化クロルピクリン
製剤。 【効果】 本発明のクロルピクリン製剤は全て土壌散布
前においてはその揮発性、刺激性、催涙性が抑えられ、
散布後においては速やかにクロルピクリンが土壌中に放
出される。また、本発明は、低コストで製造プロセスも
簡易であり、かつ自然環境にとって無害な副原料を使用
しているので、環境保護の面でも有効なクロルピクリン
製剤を提供するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、クロルピクリンの無臭
化、無刺激化製剤に関するものである。更に詳細には、
本発明は、生物にとって無害、或いは栄養源として資化
できるような水溶性物質、生分解性物質、或いは肥料の
組成物を用いた自然環境の保護の面でも有効なクロルピ
クリンの無臭化、無刺激化製剤を提供するものである。
【0002】
【従来の技術】クロルピクリンは古くから土壌殺菌剤、
殺線虫剤として優れた効果を発揮する農薬として使用さ
れてきているが、常温で液体である本剤は液体のままで
使用すると殺菌性、殺線虫性が高いが故にその揮散性、
刺激性、催涙性のため、人体にとって悪影響を及ぼす。
【0003】こうしたクロルピクリンの散布時における
揮散性、刺激性、催涙性を抑制させることは勿論、製剤
の運搬時における安全性の観点からもクロルピクリンを
固形化させた製剤が必要であり、そのような検討が数多
くなされてきた。例えば、クロルピクリンにジベンジリ
デンソルビトール及びゲル化調製剤とを有機溶媒中で混
合、ゲル化させ、ガス不透過性フィルムによって真空包
装する方法(特開昭62−192301号公報)、或い
はクロルピクリン1重量部に対し、1〜5重量部のジ
(2−クロロイソプロピル)エーテルを混合する方法
(特開昭61−249906号公報)が提案されてい
る。しかしながら、これらクロルピクリン製剤は高価な
副原料を使用しており、製造コスト、プロセス等に問題
があった。また、こうした副原料は必ずしも土壌中で分
解を受けず、環境保護の面で必ずしも無害なものではな
かった。
【0004】また、クロルピクリンを水の存在下に環状
デキストリンと接触させることによりクロルピクリンを
環状デキストリンへ包接させ、その揮発性を抑えた製剤
が提案されているが(特開昭50−89306号公
報)、この方法では包接されるクロルピクリンの量が少
ないため製剤の有効濃度が充分に上がらず、実用的では
ない。更に、クロルピクリンを担体に包接させる場合、
担体にクロルピクリンを吸着させるのに時間がかかる。
逆に、このような方法で製剤を作成した場合、クロルピ
クリンが土壌中に揮散、放出されるのにも時間を要し、
製剤の速攻性の面でも問題がある。
【0005】次に、液体クロルピクリンを多孔性粒状体
に吸収させ、水溶性高分子で被覆する方法が提案されて
いるが(特開平01−172302号公報)、この方法
だと、クロルピクリンの吸着にかなりの時間を要するこ
とに加え、吸収、ろ過、吸水性有機物によるコーティン
グ、乾燥といった複雑で長い製剤化工程であるといった
欠点も有している。また、吸水性有機物にジルコニウム
化合物を用いており、必ずしも環境に優しい製剤である
とは言えない。更にまた、2〜10mm程度の大きな多
孔性粒状体に吸収させているため、特開昭50−893
06号公報に記載された製剤と同様、クロルピクリンが
土壌中に揮散、放出されるのにも時間を要し、製剤の速
攻性の問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題点
を解決した、即ち製剤としての有効成分含量を高くし、
製造コストを低くおさえ、製造工程が簡略で、かつクロ
ルピクリン製剤の散布時における揮散性、刺激性、催涙
性を抑えた自然環境の保護の面でも有効なクロルピクリ
ン製剤を提供するものである。更に詳しくは、クロルピ
クリン溶液を固形化させるための担体に水溶性有機物、
或いは生分解性有機物、或いは肥料組成物を用いてお
り、特にクロルピクリン吸収量の高い、人畜無害な安価
な担体を用いており、土壌の殺菌・殺線虫と同時に土壌
の富栄養化を図った製剤を提供するものである。
【0007】
【問題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決すべく検討、研究を重ねた結果、水溶性有機物、
生分解性有機物、及び/または肥料にクロルピクリン溶
液を添加し混合させた後、その表面をガスバリア性を有
する水溶性、或いは生分解性フィルムで密封、包装す
る、といった方法で解決できることを見いだした。
【0008】すなわち、本発明は、(1)水溶性有機
物、生分解性有機物、及び/または肥料にクロルピクリ
ンを混合せしめた後、その生成混合物をガスバリア性を
有する水溶性及び/または生分解性フィルムで密封、包
装してなる無臭化クロルピクリン製剤、(2)水溶性有
機物及び/または生分解性有機物が単糖、二糖、多糖等
の糖類、アミノ酸またはその誘導体類、ポリ乳酸、ポリ
ビニルアルコールである(1)記載の無臭化クロルピク
リン製剤、(3)水溶性有機物及び/または生分解性有
機物が、クロルピクリン吸収能が高い多糖類である
(1)または(2)記載の無臭化クロルピクリン製剤、
(4)多糖類がとうもろこし澱粉から成る(3)記載の
無臭化クロルピクリン製剤、(5)多糖類が可溶性澱粉
から成る(3)記載の無臭化クロルピクリン製剤、
(6)多糖類がα−グルコースが直線状に連なった構造
を有する澱粉分解物から成る(3)記載の無臭化クロル
ピクリン製剤、(7)肥料が尿素、硫安の内少なくとも
一つを含む(1)記載の無臭化クロルピクリン製剤、に
関するものである。
【0009】ここで言う水溶性及び/または生分解性有
機物とクロルピクリンの混合とは環状の有機物の中心に
クロルピクリンを担持させること(包接)とは異なり、
クロルピクリンと水溶性及び/または生分解性有機物を
容器中で軽く撹拌して混合する程度のものを言う。従っ
て、通常の包接とは異なり、撹拌後直ちに密封、包装で
きる形態のものであり、このようなクロルピクリン製剤
は散布されると製剤の有効成分が土壌中で速やかに揮
散、放出され、クロルピクリン残留性の少ない速攻性の
ものである。
【0010】以下、本発明を詳細に説明する。クロルピ
クリンは融点−64℃、沸点112℃、比重1.65
1、の水にほとんど溶解しない無色透明の液体である。
本発明においては、この様な性質を持つクロルピクリン
と水溶性有機物、生分解性有機物及び/または肥料とを
混合させた後、その生成混合物をガスバリア性を有する
水溶性、或いは生分解性フィルムで密封、包装する。
【0011】本発明で用いられる水溶性有機物或いは生
分解性有機物としては、でんぷん及びその誘導体、デキ
ストリン、セルロース及びその誘導体、マンナン、プル
ラン、キチン、キトサン、グアーガム、キサンタンガ
ム、アラビアガム、グルコース、スクロース、等の単
糖、二糖、多糖類及び、グリシン、セリン等のアミノ酸
またはその誘導体類、ポリ乳酸、ポリビニルアルコー
ル、等をあげることができるがこれに限られるものでは
ない。上記のもののうち、特にクロルピクリン吸収能が
高く、特にこれが50%以上程度の多糖類が好ましい。
製剤の有効成分が高いと、製剤の形状が小さくなり、製
剤化コストが少なくなる、或いは製剤の運搬コストも低
くなる等といった効果を示すのである。我々は、中で
も、一部の澱粉、デキストリンは吸収量が高く、残留性
も少ないことがわかった。即ち、とうもろこし澱粉、可
溶性澱粉は吸収量が高くクロルピクリン無臭化、無刺激
化製剤の工業的製法に適していることを見いだした。ま
た、澱粉分解物であるデキストリンに於いても環状デキ
ストリンはクロルピクリン吸収量が少なく、残留性が低
くないため、無臭化、無刺激化製剤に用いるには好まし
くない一方、α−グルコースが直鎖状に連なったデキス
トリンはクロルピクリン吸収量が高く、かつ土壌中での
残留性も少なく、クロルピクリン無臭化、無刺激化製剤
の工業的製法に適していることがわかった。
【0012】ここで言うα−グルコースが直鎖状に連な
ったデキストリンは特に限定されるものではないが、好
ましくはDE値が2〜40程度がよい。分解度の大きな
デキストリン、例えば単糖(α−グルコース)、二糖に
まで分解されてしまうとクロルピクリン吸収量が低くな
り、あまり好ましくない。また、用いられる肥料として
は、尿素、硫安等があげられるが、これらに限られるも
のではない。
【0013】本発明において用いられる水溶性有機物、
生分解性有機物、あるいは肥料は、単独或いは混合して
使用され、これらについては特に量の制限はないが、好
ましくはクロルピクリンの液体が、見掛け上残存しない
程度の量比で、できるだけ担体の量を少なくクロルピク
リン溶液と混合させるのがよい。大略、クロルピクリン
1重量部に対し、0.01〜100重量部、好ましくは
0.1〜10重量部程度である。この最適な混合量比は
クロルピクリンと混合させる水溶性有機物、生分解性有
機物あるいは肥料の種類によって異なる。例えば、デキ
ストリンを用いた場合、デキストリンの種類によって異
なるが、クロルピクリン8重量部に対しデキストリン5
重量部程度の比で混合するのが好ましい。とうもろこし
澱粉を用いた場合、クロルピクリン6重量部に対しとう
もろこし澱粉5重量部程度の比で混合するのが好まし
い。また、尿素を用いた場合、クロルピクリン1重量部
に対して尿素2重量部程度の比で混合させるのが望まし
い。
【0014】本発明においては、クロルピクリンを上記
のごときデキストリン等と数秒〜数十秒程度撹拌して均
一に混合させた後、クロルピクリンの揮発をできるだけ
抑える為に直ちにその混合物を水溶性、或いは生分解性
でガスバリア性の高いフィルムによって包み込み、密
封、包装する。密封、包装する方法としては、例えば、
クロルピクリンを含む混合物をフィルムで包み込み、そ
のフィルムの周囲を加熱密封装置にて加熱融着させて密
封、包装する方法が採用できる。この様なクロルピクリ
ン製剤に関して、特に大きさの制限はないが、散布時の
容易性、有効性などから、20〜1g、好ましくは10
〜2g、より好ましくは5g程度のクロルピクリンを含
んだ製剤が好ましい。
【0015】用いられるガスバリア性を有する水溶性及
び/または生分解性フィルムとして、そのガスバリア性
については、酸素ガス透過率が4000cc/atm・
2・24hr以下のものであれば、クロルピクリンの
刺激臭はほとんど感じられない。更に好ましくはポリビ
ニールアルコール(PVA)フィルムなど酸素ガス透過
率が10cc/atm・m2・24hr程度以下のもの
であればクロルピクリンの刺激臭は完全に抑えられる。
この様なガスバリア性を有する水溶性及び/または生分
解性フィルムの厚みは特に制限はないが、製剤時の包装
性から12.5〜100μm、好ましくは25〜50μ
mの厚みが好ましい。かかるフィルムとしてはPVAフ
ィルム(具体的にはハイセロンC、日合フィルム株式会
社製)、プルランフィルム(株式会社林原商事社製)等
があげられるが、これに限られるものではない。
【0016】こうしてできた製剤を長期間保存させてお
くためや、輸送するためには、これら密封、包装した製
剤をまとめて、実際に使用するまでさらに、ガスバリア
性が高く、耐湿性のシートやフィルムで被覆、もしくは
密封、包装しておくのが好ましい。このようなフィルム
としては、例えば、酸素ガス透過率が20cc/atm
・m2・24hr以下であるバレックスフィルム(三井
東圧化学株式会社製)等が好まれる。
【0017】この様にして製造された本発明の製剤は、
土壌に施用された後、土壌中の水分や微生物によってフ
ィルムが分解し、例えば水分によってPVAフィルムが
分解され、フィルム中のクロルピクリンが放出されるこ
とによって土壌が殺菌されるのと同時にフィルム内のデ
キストリン等の水溶性有機物、生分解性有機物、或いは
尿素等の肥料の各種組成物も放出され、土壌の富栄養化
をもたらす。本発明におけるクロルピクリン製剤の使用
方法は、通常これらクロルピクリン製剤が使用されてい
る慣例に従い、耕起整地した後に20×20cm〜50
×50cmごとに深さ約10〜20cm程度の穴をあ
け、クロルピクリン5g程度を含んだ製剤を投入後、直
ちに穴を塞ぎ使用する。また、この様な製剤は、クロル
ピクリンに限らず、常温で液体である他の催涙性、刺激
性、揮発性を有する農薬の製剤化にも使用できる。
【0018】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに具体的に
説明する。 〔実施例1〕肥料の一種である尿素(三井東圧化学株式
会社製)2重量部に対し、クロルピクリン1重量部を混
ぜた。この混合物をPVAフィルムであるハイセロンC
(日合フィルム株式会社製)の袋に入れ、加熱融着し、
クロルピクリン製剤を作製した。本製剤からはクロルピ
クリンの刺激臭がほとんど認められなかった。本製剤を
更にガスバリア性の高いフィルムであるバレックスフィ
ルム(三井東圧化学株式会社製)により包むことで、室
温で1年間、保存、放置しても外観上の変化は認められ
ず、安定であった。また、本製剤の土壌中での放出性を
調べた。土壌表面から15cmの深さの穴を掘り、本製
剤を入れ、その上から土壌をかぶせた。24時間経過し
たときに土壌を掘り起こして本製剤の形態変化を調べた
ところ、表面のPVAフィルムが溶解し、中のクロルピ
クリンが土壌中に放出されていた。
【0019】〔実施例2〕グルコース3重量部に対し、
クロルピクリン1重量部を混ぜた。この混合物をPVA
フィルムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社
製)の袋に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作
製した。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとん
ど認められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高い
フィルムであるバレックスフィルム(三井東圧化学株式
会社製)により包装、密封することで、室温で1年間、
保存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であ
った。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と
同様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルム
が溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0020】〔実施例3〕スクロース3重量部に対し、
クロルピクリン2重量部を混ぜた。この混合物をPVA
フィルムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社
製)の袋に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作
製した。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとん
ど認められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高い
フィルムであるバレックスフィルム(三井東圧化学株式
会社製)により包装、密封することで、室温で1年間、
保存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であ
った。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と
同様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルム
が溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0021】〔実施例4〕グリシン5重量部に対し、ク
ロルピクリン2重量部を混ぜた。この混合物をPVAフ
ィルムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社製)
の袋に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作製し
た。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとんど認
められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィ
ルムであるバレックスフィルム(三井東圧化学株式会社
製)により包装、密封することで、室温で1年間、保
存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であっ
た。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と同
様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルムが
溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0022】〔実施例5〕ポリ乳酸7重量部に対し、ク
ロルピクリン2重量部を混ぜた。この混合物をPVAフ
ィルムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社製)
の袋に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作製し
た。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとんど認
められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィ
ルムであるバレックスフィルム(三井東圧化学株式会社
製)により包装、密封することで、室温で1年間、保
存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であっ
た。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と同
様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルムが
溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0023】〔実施例6〕PVA粉末7重量部に対し、
クロルピクリン3重量部を混ぜた。この混合物をPVA
フィルムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社
製)の袋に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作
製した。本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとん
ど認められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高い
フィルムであるバレックスフィルム(三井東圧化学株式
会社製)により包装、密封することで、室温で1年間、
保存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であ
った。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と
同様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルム
が溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0024】〔実施例7〕硫安7重量部に対し、クロル
ピクリン4重量部を混ぜた。この混合物をPVAフィル
ムであるハイセロンC(日合フィルム株式会社製)の袋
に入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作製した。
本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとんど認めら
れなかった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィルム
であるバレックスフィルム(三井東圧化学株式会社製)
により包装、密封することで、室温で1年間、保存、放
置しても外観上の変化は認められず、安定であった。ま
た、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と同様の方
法で調べた。24時間経過後、PVAフィルムが溶解
し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されていた。
【0025】〔実施例8〕デキストリン3重量部、及び
尿素3重量部に対し、クロルピクリン5重量部を混ぜ
た。この混合物をPVAフィルムであるハイセロンC
(日合フィルム株式会社製)の袋に入れ、加熱融着し、
クロルピクリン製剤を作製した。本製剤からはクロルピ
クリンの刺激臭がほとんど認められなかった。本製剤を
更にガスバリア性の高いフィルムであるバレックスフィ
ルム(三井東圧化学株式会社製)により包装、密封する
ことで、室温で1年間、保存、放置しても外観上の変化
は認められず、安定であった。また、本製剤の土壌中で
の放出性を、実施例1と同様の方法で調べた。24時間
経過後、PVAフィルムが溶解し、中のクロルピクリン
が土壌中に放出されていた。
【0026】〔実施例9〕とうもろこし澱粉5重量部を
ガラス製容器に計り取り、クロルピクリン6重量部を添
加し、薬さじを用いて直ちに撹拌を開始し、15秒間行
った後、直ちにこの混合物をPVAフィルムであるハイ
セロンC(日合フィルム株式会社製)の袋に入れ、加熱
融着し、クロルピクリン製剤を作製した。本製剤の有効
成分は52%であった。ここに言う有効成分とは、全製
剤重量に対するクロルピクリン重量を意味する。また、
本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとんど認めら
れなかった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィルム
であるゼクロンフィルム(三井東圧化学株式会社製)に
より包装、密封することで、室温で1年間、保存、放置
しても外観上の変化は認められず、安定であった。ま
た、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と同様の方
法で調べた。24時間経過後、PVAフィルムが溶解
し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されていた。
【0027】〔実施例10〕可溶性澱粉2重量部をガラ
ス製容器に計り取り、クロルピクリン3重量部を添加
し、薬さじを用いて直ちに撹拌を開始し、15秒間行っ
た後、直ちにこの混合物をPVAフィルムであるハイセ
ロンC(日合フィルム株式会社製)の袋に入れ、加熱融
着し、クロルピクリン製剤を作製した。本製剤の有効成
分は58%であった。ここに言う有効成分とは、全製剤
重量に対するクロルピクリン重量を意味する。また、本
製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほとんど認められ
なかった。本製剤を更にガスバリア性の高いフィルムで
あるゼクロンフィルム(三井東圧化学株式会社製)によ
り包装、密封することで、室温で1年間、保存、放置し
ても外観上の変化は認められず、安定であった。また、
本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と同様の方法で
調べた。24時間経過後、PVAフィルムが溶解し、中
のクロルピクリンが土壌中に放出されていた。
【0028】〔実施例11〕デキストリン(パインデッ
クス#100、DE値=4、松谷化学工業株式会社製)
5重量部をガラス製容器に計り取り、クロルピクリン8
重量部を添加し、薬さじを用いて直ちに撹拌を開始し、
15秒間行った後、直ちにこの混合物をPVAフィルム
であるハイセロンC(日合フィルム株式会社製)の袋に
入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作製した。本
製剤の有効成分は59%であった。ここに言う有効成分
とは、全製剤重量に対するクロルピクリン重量を意味す
る。また、本製剤からはクロルピクリンの刺激臭がほと
んど認められなかった。本製剤を更にガスバリア性の高
いフィルムであるゼクロンフィルム(三井東圧化学株式
会社製)により包装、密封することで、室温で1年間、
保存、放置しても外観上の変化は認められず、安定であ
った。また、本製剤の土壌中での放出性を、実施例1と
同様の方法で調べた。24時間経過後、PVAフィルム
が溶解し、中のクロルピクリンが土壌中に放出されてい
た。
【0029】〔比較例1〕馬鈴薯澱粉5重量部をガラス
製容器に計り取り、クロルピクリン3重量部を添加し、
薬さじを用いて直ちに撹拌を開始し、15秒間行った
後、直ちにこの混合物をPVAフィルムであるハイセロ
ンC(日合フィルム株式会社製)の袋に入れ、加熱融着
し、クロルピクリン製剤を作製した。本製剤の有効成分
は35%であり、これ以上有効成分含量を上げることは
困難であった。これは、馬鈴薯澱粉の吸収能が充分でな
いためである。
【0030】〔比較例2〕β−サイクロデキストリン1
0重量部をガラス製容器に計り取り、クロルピクリン7
重量部を添加し、薬さじを用いて直ちに撹拌を開始し、
15秒間行った後、直ちにこの混合物をPVAフィルム
であるハイセロンC(日合フィルム株式会社製)の袋に
入れ、加熱融着し、クロルピクリン製剤を作製した。本
製剤の有効成分は40%であり、これ以上有効成分含量
を上げることは困難であった。これは、β−サイクロデ
キストリンの吸収能が充分でないためである。
【0031】〔試験例1〕予めキュウリつる割れ病菌
(Fusarium oxysporum f.sp.cucumerinum)で汚染され
た畑地を耕起し、30cm間隔の千鳥格子状に深さ15
cmの穴をあけ、実施例11に記載したクロルピクリン
製剤を1個ずつ埋め、穴を塞いだ後、下記対照例と同様
に塩化ビニルフィルムで被覆した。対照としてクロルピ
クリン液剤をそのまま3mlずつ上記と同様にあけた穴
の中に注入し、穴を塞いだ後塩化ビニルフィルムで被覆
した。21日後に被覆していた塩化ビニルフィルムを取
り除いた後、2葉期のキュウリ(品種:相模半白)を移
植し、更に30日後キュウリの地際部の導管のキュウリ
つる割病菌による褐変程度を観察することにより被害程
度を判定した。結果を表1に示した。
【0032】
【表1】
【0033】〔試験例2〕予めネコブセンチュウで汚染
された畑地を耕起し、30cm間隔の千鳥格子状に深さ
15cmの穴をあけ、実施例11に記載したクロルピク
リン製剤を1個ずつ埋め、穴を塞いだ後、塩化ビニルフ
ィルムで被覆した。対照としてクロルピクリン液剤をそ
のまま3mlずつ上記と同様にあけた穴の中に注入し、
穴を塞いだ後塩化ビニルフィルムで被覆した。21日後
に被覆を取り除いた後4葉期のトマト(品種:世界一)
を移植し、更に45日後に土壌を採取した後、ベールマ
ン法(20gの土壌供試、24時間後に分離)により検
出されるネコブセンチュウ数を調査した。結果を表2に
示した。
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】本発明により製造されたクロルピクリン
製剤は全て土壌散布前においてはその揮発性、刺激性、
催涙性が抑えられ、散布後においては速やかにクロルピ
クリンが土壌中に放出される。また、本発明は、低コス
トで製造プロセスも簡易であり、かつ自然環境にとって
無害な副原料を使用しているので、環境保護の面でも有
効なクロルピクリン製剤を提供するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福田 信弘 神奈川県横浜市栄区笠間町1190番地 三井 東圧化学株式会社内 (72)発明者 浅野 保 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内 (72)発明者 下鳥 均 千葉県茂原市東郷1144番地 三井東圧化学 株式会社内

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水溶性有機物、生分解性有機物、及び/
    または肥料にクロルピクリンを混合せしめた後、その生
    成混合物をガスバリア性を有する水溶性及び/または生
    分解性フィルムで密封、包装してなる無臭化クロルピク
    リン製剤。
  2. 【請求項2】 水溶性有機物及び/または生分解性有機
    物が、単糖、二糖、多糖から選択される糖類、アミノ酸
    またはその誘導体類、ポリ乳酸、ポリビニルアルコール
    である請求項1または2記載の無臭化クロルピクリン製
    剤。
  3. 【請求項3】 水溶性有機物及び/または生分解性有機
    物が、クロルピクリン吸収能が高い多糖類である請求項
    1記載の無臭化クロルピクリン製剤。
  4. 【請求項4】 多糖類がとうもろこし澱粉から成る請求
    項3記載の無臭化クロルピクリン製剤。
  5. 【請求項5】 多糖類が可溶性澱粉から成る請求項3記
    載の無臭化クロルピクリン製剤。
  6. 【請求項6】 多糖類がα−グルコースが直線状に連な
    った構造を有する澱粉分解物から成る請求項3記載の無
    臭化クロルピクリン製剤。
  7. 【請求項7】 肥料が尿素、硫安の内少なくとも一つを
    含む請求項1記載の無臭化クロルピクリン製剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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EP1714553A3 (en) * 2005-04-20 2010-09-29 Giuseppe Dr. Votta System and plant for producing hard granules holding absorbed gaseous chloropicrin
CN109588079A (zh) * 2019-01-28 2019-04-09 潍坊中美食品与农业创新中心 一种利用生物质源厌氧发酵液防治温室土壤内根结线虫的方法

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CN109588079B (zh) * 2019-01-28 2022-04-19 潍坊中美食品与农业创新中心 一种利用生物质源厌氧发酵液防治温室土壤内根结线虫的方法

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