JPH05163110A - 徐放性フェロモン製剤 - Google Patents
徐放性フェロモン製剤Info
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- JPH05163110A JPH05163110A JP3351437A JP35143791A JPH05163110A JP H05163110 A JPH05163110 A JP H05163110A JP 3351437 A JP3351437 A JP 3351437A JP 35143791 A JP35143791 A JP 35143791A JP H05163110 A JPH05163110 A JP H05163110A
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- pheromone
- hydroxybutyric acid
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Abstract
(57)【要約】 (修正有)
【目的】本発明はフェロモンを長期にわたり均一な速度
で放出できる放出制御性を有すると共に、製剤としての
加工性と機械的強度を有し、しかも土中で分解すること
のできる交信撹乱用徐放性フェロモン製剤を提供する。 【構成】この徐放性フェロモン製剤は、3−ヒドロキシ
酪酸と他のヒドロキシ脂肪酸との縮重合物であって、3
−ヒドロキシ酪酸に起因する成分を70〜98モル%含有す
る3−ヒドロキシ酪酸共重合体からなる厚さ15μm以上
の均質膜を、内蔵する性フェロモン物質の放出制御層と
して有するものである。
で放出できる放出制御性を有すると共に、製剤としての
加工性と機械的強度を有し、しかも土中で分解すること
のできる交信撹乱用徐放性フェロモン製剤を提供する。 【構成】この徐放性フェロモン製剤は、3−ヒドロキシ
酪酸と他のヒドロキシ脂肪酸との縮重合物であって、3
−ヒドロキシ酪酸に起因する成分を70〜98モル%含有す
る3−ヒドロキシ酪酸共重合体からなる厚さ15μm以上
の均質膜を、内蔵する性フェロモン物質の放出制御層と
して有するものである。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は徐放性フェロモン製剤、
とくには害虫防除に使用される性フェロモン物質(以
下、単にフェロモンとする)を長期間一定の速度で徐々
に放出して大気中に漂わせ、害虫の交尾行動を阻害して
害虫を防除する、交信撹乱用のフェロモン製剤に関する
ものである。
とくには害虫防除に使用される性フェロモン物質(以
下、単にフェロモンとする)を長期間一定の速度で徐々
に放出して大気中に漂わせ、害虫の交尾行動を阻害して
害虫を防除する、交信撹乱用のフェロモン製剤に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、害虫防除に有効なフェロモンを容
器中に封入し、その放出速度を経時的に一定に保持する
工夫が数多く提案され実施されている。これらの提案の
一つの方法として、フェロモンを吸着剤に担持したり、
またこれをポリマ−担持層に混合して保持させたものが
知られている。
器中に封入し、その放出速度を経時的に一定に保持する
工夫が数多く提案され実施されている。これらの提案の
一つの方法として、フェロモンを吸着剤に担持したり、
またこれをポリマ−担持層に混合して保持させたものが
知られている。
【0003】しかしながら、これらの方法には初期のフ
ェロモンの放出速度が過大で、その後は経時的に低下す
ること、また、これらの製剤はいずれも放出の後半にお
いて担持層に吸着されたまま放出されずに残留するフェ
ロモン量が多いという欠点がある。
ェロモンの放出速度が過大で、その後は経時的に低下す
ること、また、これらの製剤はいずれも放出の後半にお
いて担持層に吸着されたまま放出されずに残留するフェ
ロモン量が多いという欠点がある。
【0004】このようにフェロモン製剤として求められ
る重要な特性は、フェロモンを長期にわたり均一な速度
で放出すると共に、吸着されたままで残留するフェロモ
ンの量をできるだけ減らすことである。この要求を満た
す製剤形態は液状のフェロモンを、これに対して適度の
透過性を有するバリヤー層を備えた容器中に封入したも
のが提案されている。
る重要な特性は、フェロモンを長期にわたり均一な速度
で放出すると共に、吸着されたままで残留するフェロモ
ンの量をできるだけ減らすことである。この要求を満た
す製剤形態は液状のフェロモンを、これに対して適度の
透過性を有するバリヤー層を備えた容器中に封入したも
のが提案されている。
【0005】例えば、製剤壁として、ポリアミド、ポリ
スルフォンアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、
ポリウレア、ポリエステルなどのフェロモンの透過速度
の小さい素材を用いて放出制御を行う方法としてマイク
ロカプセル化したものがある(米国特許第 2800457号、
第 2800458号、第 3577515号各明細書など) 。
スルフォンアミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、
ポリウレア、ポリエステルなどのフェロモンの透過速度
の小さい素材を用いて放出制御を行う方法としてマイク
ロカプセル化したものがある(米国特許第 2800457号、
第 2800458号、第 3577515号各明細書など) 。
【0006】また、より長期間にわたり均一にフェロモ
ンを放出するために、フェロモンをポリエチレンやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体などの細管に封入したもの
(特開昭56- 142202号、同57 -9705号、-72904号、-451
01号、 -156403号、同59 -216802号、同60 -215367号各
公報など) や、バリヤー層として塩化ビニリデンまたは
その共重合体の薄膜を用い、これにポリオレフィンなど
の膜をラミネートしたフィルムからなる袋に封入したも
の(特開平2-49702号公報)がある。
ンを放出するために、フェロモンをポリエチレンやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体などの細管に封入したもの
(特開昭56- 142202号、同57 -9705号、-72904号、-451
01号、 -156403号、同59 -216802号、同60 -215367号各
公報など) や、バリヤー層として塩化ビニリデンまたは
その共重合体の薄膜を用い、これにポリオレフィンなど
の膜をラミネートしたフィルムからなる袋に封入したも
の(特開平2-49702号公報)がある。
【0007】このように徐放性フェロモン製剤には、長
期間にわたり均一にフェロモンを放出できる特性のほか
に、使用後土中に埋没した際に分解することが望まれ
る。しかし、これらの製剤は化学合成高分子からなって
いるため、使用後に土中に埋没しても分解することがな
く、環境破壊につながる欠点がある。
期間にわたり均一にフェロモンを放出できる特性のほか
に、使用後土中に埋没した際に分解することが望まれ
る。しかし、これらの製剤は化学合成高分子からなって
いるため、使用後に土中に埋没しても分解することがな
く、環境破壊につながる欠点がある。
【0008】一方、特開昭61-41321号公報には、ポリ乳
酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸などの
ポリヒドロキシ酸またはこれらの重合性成分に基づく共
重合体などの生物分解性重合体より、凝固法によって得
られる厚さ方向に不均斉な構造の壁を有する中空繊維
に、フェロモン、薬剤、忌避剤、殺虫剤等の活性物質を
充填し、両端を封止したものが示されている。しかし、
これは製造上の制約が多く高価なほか、活性物質の充填
量が少ない上に、不均斉な膜構造を有することから放出
速度が大きく、フェロモン製剤の特性として必要な長期
間の使用には適さない。
酸、ポリヒドロキシ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸などの
ポリヒドロキシ酸またはこれらの重合性成分に基づく共
重合体などの生物分解性重合体より、凝固法によって得
られる厚さ方向に不均斉な構造の壁を有する中空繊維
に、フェロモン、薬剤、忌避剤、殺虫剤等の活性物質を
充填し、両端を封止したものが示されている。しかし、
これは製造上の制約が多く高価なほか、活性物質の充填
量が少ない上に、不均斉な膜構造を有することから放出
速度が大きく、フェロモン製剤の特性として必要な長期
間の使用には適さない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、フェロモンを長期にわたり均一な速度で放出す
る放出制御性を有すると共に、製剤としての加工性と機
械的強度を有し、しかも土中で分解することのできる交
信撹乱用徐放性フェロモン製剤を提供するものである。
目的は、フェロモンを長期にわたり均一な速度で放出す
る放出制御性を有すると共に、製剤としての加工性と機
械的強度を有し、しかも土中で分解することのできる交
信撹乱用徐放性フェロモン製剤を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、加工が容
易で製剤としての機械的強度があり柔軟性を呈する程度
の膜厚において充分なフェロモン放出制御性を持つ素材
について種々検討の結果、生物分解性を併せ持つ、3−
ヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシ脂肪酸との縮重合物
で、3−ヒドロキシ酪酸に起因する成分を70〜98モル%
含有する3−ヒドロキシ酪酸共重合体からなる厚さ15μ
m以上の均質膜を、内蔵するフェロモンの放出制御層と
して用いると、上記目的の達成できることを見出し、本
発明を完成した。
易で製剤としての機械的強度があり柔軟性を呈する程度
の膜厚において充分なフェロモン放出制御性を持つ素材
について種々検討の結果、生物分解性を併せ持つ、3−
ヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシ脂肪酸との縮重合物
で、3−ヒドロキシ酪酸に起因する成分を70〜98モル%
含有する3−ヒドロキシ酪酸共重合体からなる厚さ15μ
m以上の均質膜を、内蔵するフェロモンの放出制御層と
して用いると、上記目的の達成できることを見出し、本
発明を完成した。
【0011】これを説明すると、本発明で用いられるフ
ェロモンの制御層は、フェロモン製剤として必要とされ
る放出速度や機械的強度、加工性により、3−ヒドロキ
シ酪酸に起因する成分を70〜98モル%含有する共重合
体、とくには3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草
酸または4−ヒドロキシ酪酸とからなる共重合体が用い
られる。
ェロモンの制御層は、フェロモン製剤として必要とされ
る放出速度や機械的強度、加工性により、3−ヒドロキ
シ酪酸に起因する成分を70〜98モル%含有する共重合
体、とくには3−ヒドロキシ酪酸と3−ヒドロキシ吉草
酸または4−ヒドロキシ酪酸とからなる共重合体が用い
られる。
【0012】3−ヒドロキシ酪酸の単独重合体、すなわ
ちポリヒドロキシ酪酸は結晶性が高く、比較的硬く、か
つ脆いもののため機械的強度が劣り、製剤としての長期
使用に耐えないが、3−ヒドロキシ酪酸を3−ヒドロキ
シ吉草酸などと共重合体化すると結晶性が下がって柔軟
になり製剤用素材として利用可能になる。
ちポリヒドロキシ酪酸は結晶性が高く、比較的硬く、か
つ脆いもののため機械的強度が劣り、製剤としての長期
使用に耐えないが、3−ヒドロキシ酪酸を3−ヒドロキ
シ吉草酸などと共重合体化すると結晶性が下がって柔軟
になり製剤用素材として利用可能になる。
【0013】本発明のフェロモン製剤では放出制御層と
して上記共重合体からなる厚さ15μm以上の均質膜を使
用しているため、様々な気象条件下でも安定して長時間
均一な放出制御ができるほか、実用性のある機械的強度
を保持することができる。
して上記共重合体からなる厚さ15μm以上の均質膜を使
用しているため、様々な気象条件下でも安定して長時間
均一な放出制御ができるほか、実用性のある機械的強度
を保持することができる。
【0014】本発明による徐放性フェロモン製剤は3−
ヒドロキシ酪酸の共重合体を熱により溶融するか溶剤に
より溶解するなどした後、任意の方法でフェロモン製剤
として必要な形状に成形し、厚さ15μm以上の均質膜を
持たせたものにフェロモンを充填したものである。
ヒドロキシ酪酸の共重合体を熱により溶融するか溶剤に
より溶解するなどした後、任意の方法でフェロモン製剤
として必要な形状に成形し、厚さ15μm以上の均質膜を
持たせたものにフェロモンを充填したものである。
【0015】長期間にわたって放出制御を行うのに適し
たフェロモン製剤の形状には、袋状、チューブ状、ボト
ル状、スティック状、マイクロカプセル状などが挙げら
れるが、より均一に放出を行うためには袋状のものが望
ましい。また、これらの形状により必要な放出速度や機
械的強度が異なり、それにより必要とする膜厚、共重合
体の組成比、可塑剤や核形成剤などの充填剤の添加量も
変化する。
たフェロモン製剤の形状には、袋状、チューブ状、ボト
ル状、スティック状、マイクロカプセル状などが挙げら
れるが、より均一に放出を行うためには袋状のものが望
ましい。また、これらの形状により必要な放出速度や機
械的強度が異なり、それにより必要とする膜厚、共重合
体の組成比、可塑剤や核形成剤などの充填剤の添加量も
変化する。
【0016】本発明の徐放性フェロモン製剤における放
出制御層の厚さは、15μm未満では機械的強度が不足す
るほか放出速度が速くなりすぎて十分な放出制御ができ
なくなり、また 300μmを超えると放出速度が低下して
放出面積を大きくしなければならなくなるので、15μm
以上、とくには15〜 300μmが適当である。しかし、ア
セテート系フェロモンなど3−ヒドロキシ酪酸の共重合
体と親和性の高いものでは放出速度が速くなり過ぎるた
め厚さを20μm以上とするのが望ましい。
出制御層の厚さは、15μm未満では機械的強度が不足す
るほか放出速度が速くなりすぎて十分な放出制御ができ
なくなり、また 300μmを超えると放出速度が低下して
放出面積を大きくしなければならなくなるので、15μm
以上、とくには15〜 300μmが適当である。しかし、ア
セテート系フェロモンなど3−ヒドロキシ酪酸の共重合
体と親和性の高いものでは放出速度が速くなり過ぎるた
め厚さを20μm以上とするのが望ましい。
【0017】上記共重合体の組成比は3−ヒドロキシ酪
酸の含有量を70〜98モル%とする必要がある。この含有
量が98モル%を超えると共重合体の結晶性が強過ぎて硬
くて脆いものとなり、70モル%未満では柔軟性が強過ぎ
て機械的強度が低下し、いずれの場合もフェロモン製剤
として実用的な機械的強度のものでなくなる。
酸の含有量を70〜98モル%とする必要がある。この含有
量が98モル%を超えると共重合体の結晶性が強過ぎて硬
くて脆いものとなり、70モル%未満では柔軟性が強過ぎ
て機械的強度が低下し、いずれの場合もフェロモン製剤
として実用的な機械的強度のものでなくなる。
【0018】しかし、フェロモン製剤として袋状のもの
を使用するときはとくに柔軟性を付与する必要があるの
で、この含有量を70〜95モル%とするのが望ましく、こ
れが95モル%を超えると得られるポリマーは剛性が強過
ぎて袋状にするのが困難になる。また、チューブ状製剤
やボトル状製剤などでは機械的強度を保持するためにこ
の含有量を80〜98モル%とするのが望ましい。
を使用するときはとくに柔軟性を付与する必要があるの
で、この含有量を70〜95モル%とするのが望ましく、こ
れが95モル%を超えると得られるポリマーは剛性が強過
ぎて袋状にするのが困難になる。また、チューブ状製剤
やボトル状製剤などでは機械的強度を保持するためにこ
の含有量を80〜98モル%とするのが望ましい。
【0019】本発明の製剤に内蔵するフェロモンは、リ
ンシ目害虫のフェロモンとして知られている炭素原子数
12〜20の不飽和脂肪族の、炭化水素、アセテ−ト、アル
デヒド、アルコールまたはケトン化合物で、これらの1
種または2種以上の混合物として使用されるが、これに
はさらに必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色
剤などを添加混合してもよい。
ンシ目害虫のフェロモンとして知られている炭素原子数
12〜20の不飽和脂肪族の、炭化水素、アセテ−ト、アル
デヒド、アルコールまたはケトン化合物で、これらの1
種または2種以上の混合物として使用されるが、これに
はさらに必要に応じて酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色
剤などを添加混合してもよい。
【0020】
【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例および比
較例により説明するが、本発明はこの実施例に限定され
るものではない。 実施例1.Tダイ押出成形により、3−ヒドロキシ酪酸
に起因する成分の含有量が84モル%である3−ヒドロキ
シ酪酸/3−ヒドロキシ吉草酸共重合体からなる厚み50
μmの均質なフィルムを作製した。得られたフィルムを
用いて、内のりが 2.5×4cmの大きさになるように四辺
をシールし、フェロモンの放出表面積を20cm2 とした袋
の中に、ワタアカムシのフェロモンであるZ,Z/E-7,11-
ヘキサデカジエニルアセテートを80mg封入した。この徐
放性製剤を気温30℃、風速0.5m/秒の条件下に放置して
上記フェロモンの放出速度の経時変化を測定したとこ
ろ、この徐放性製剤は0.5mg/日の均一な放出を 120日以
上維持し、この間フェロモンの袋表面への浸出も見られ
ず、良好な結果が得られた。
較例により説明するが、本発明はこの実施例に限定され
るものではない。 実施例1.Tダイ押出成形により、3−ヒドロキシ酪酸
に起因する成分の含有量が84モル%である3−ヒドロキ
シ酪酸/3−ヒドロキシ吉草酸共重合体からなる厚み50
μmの均質なフィルムを作製した。得られたフィルムを
用いて、内のりが 2.5×4cmの大きさになるように四辺
をシールし、フェロモンの放出表面積を20cm2 とした袋
の中に、ワタアカムシのフェロモンであるZ,Z/E-7,11-
ヘキサデカジエニルアセテートを80mg封入した。この徐
放性製剤を気温30℃、風速0.5m/秒の条件下に放置して
上記フェロモンの放出速度の経時変化を測定したとこ
ろ、この徐放性製剤は0.5mg/日の均一な放出を 120日以
上維持し、この間フェロモンの袋表面への浸出も見られ
ず、良好な結果が得られた。
【0021】比較例1.3−ヒドロキシ酪酸に起因する
成分の含有量が84モル%である3−ヒドロキシ酪酸/3
−ヒドロキシ吉草酸共重合体をクロロホルムに溶解して
2重量%の溶液を調製した。これを平滑なガラス板に流
延し、5分間風乾した後、静かに石油エーテル中に浸漬
し凝固させることにより総厚60μmの不斉膜を得た。得
られた膜の均質な面が外側になるようにして実施例1と
同様に製袋しフェロモンを封入し、同一の条件下に放置
して放出速度を測定したところ、フェロモンの表面滲出
が速く製剤の表面に液相を形成し、液垂れを起こすなど
徐放性製剤として好ましくなかった。
成分の含有量が84モル%である3−ヒドロキシ酪酸/3
−ヒドロキシ吉草酸共重合体をクロロホルムに溶解して
2重量%の溶液を調製した。これを平滑なガラス板に流
延し、5分間風乾した後、静かに石油エーテル中に浸漬
し凝固させることにより総厚60μmの不斉膜を得た。得
られた膜の均質な面が外側になるようにして実施例1と
同様に製袋しフェロモンを封入し、同一の条件下に放置
して放出速度を測定したところ、フェロモンの表面滲出
が速く製剤の表面に液相を形成し、液垂れを起こすなど
徐放性製剤として好ましくなかった。
【0022】比較例2.フィルムの素材として、厚さ50
μmの均質な高密度ポリエチレンフィルムを用いたほか
は、比較例1と同様にして徐放性製剤を作成し放出速度
を測定したところ、比較例1と同様の結果が得られた。
μmの均質な高密度ポリエチレンフィルムを用いたほか
は、比較例1と同様にして徐放性製剤を作成し放出速度
を測定したところ、比較例1と同様の結果が得られた。
【0023】実施例2.3−ヒドロキシ酪酸に起因する
成分の含有量が76モル%であり、核形成剤としてチッ化
ホウソ1重量%を含む、3−ヒドロキシ酪酸/3−ヒド
ロキシ吉草酸共重合体を用いて、Tダイ押出成形により
厚み 300μmの均質なシートを作製した。このシートを
用いて、内のりが5×80cmの大きさになるように四辺を
シールし、放出表面積を800cm2とした袋の中にニカメイ
ガのフェロモンであるZ-11−ヘキサデセナールを 100mg
封入した。この徐放性製剤を直径約25cmの丸太に巻付け
て固定し、実施例1と同様の条件下に放置して上記フェ
ロモンの放出速度の経時変化を測定したところ、実施例
1と同様の結果が得られた。
成分の含有量が76モル%であり、核形成剤としてチッ化
ホウソ1重量%を含む、3−ヒドロキシ酪酸/3−ヒド
ロキシ吉草酸共重合体を用いて、Tダイ押出成形により
厚み 300μmの均質なシートを作製した。このシートを
用いて、内のりが5×80cmの大きさになるように四辺を
シールし、放出表面積を800cm2とした袋の中にニカメイ
ガのフェロモンであるZ-11−ヘキサデセナールを 100mg
封入した。この徐放性製剤を直径約25cmの丸太に巻付け
て固定し、実施例1と同様の条件下に放置して上記フェ
ロモンの放出速度の経時変化を測定したところ、実施例
1と同様の結果が得られた。
【0024】比較例3.袋の材料として3−ヒドロキシ
酪酸に起因する成分の含有量が66モル%のものを用いた
ほかは、実施例2と同様にして均質膜を有する徐放性製
剤を作成し放出速度を測定したところ、この製剤は0.6m
g/日の均一な放出を維持したものの、柔軟性が強く製剤
としての強度が低かったため取扱時に伸びを生じてシー
ル部より漏れが発生するなど実用的ではなかった。
酪酸に起因する成分の含有量が66モル%のものを用いた
ほかは、実施例2と同様にして均質膜を有する徐放性製
剤を作成し放出速度を測定したところ、この製剤は0.6m
g/日の均一な放出を維持したものの、柔軟性が強く製剤
としての強度が低かったため取扱時に伸びを生じてシー
ル部より漏れが発生するなど実用的ではなかった。
【0025】実施例3.3−ヒドロキシ酪酸に起因する
成分の含有量が95モル%であり、可塑剤としてトリアセ
チン10重量%を含む、3−ヒドロキシ酪酸/3−ヒドロ
キシ吉草酸共重合体をTダイ押出成形することにより厚
み20μmの均質なフィルムを作製した。このフィルムを
用いて、内のりが 2.5×3cmの大きさになるように四辺
をシールし、放出表面積を 15cm2とした袋の中にチャハ
マキのフェロモンであるZ-11−テトラデセニルアセテー
トを 110mg封入した。この徐放性製剤を実施例1と同様
の条件下に放置して上記フェロモンの放出速度の経時変
化を測定したところ、この徐放性製剤は0.7mg/日の均一
な放出を 120日以上維持し、良好な結果が得られた。
成分の含有量が95モル%であり、可塑剤としてトリアセ
チン10重量%を含む、3−ヒドロキシ酪酸/3−ヒドロ
キシ吉草酸共重合体をTダイ押出成形することにより厚
み20μmの均質なフィルムを作製した。このフィルムを
用いて、内のりが 2.5×3cmの大きさになるように四辺
をシールし、放出表面積を 15cm2とした袋の中にチャハ
マキのフェロモンであるZ-11−テトラデセニルアセテー
トを 110mg封入した。この徐放性製剤を実施例1と同様
の条件下に放置して上記フェロモンの放出速度の経時変
化を測定したところ、この徐放性製剤は0.7mg/日の均一
な放出を 120日以上維持し、良好な結果が得られた。
【0026】比較例4.3−ヒドロキシ酪酸の単独重合
体をTダイ押出成形することにより厚み10μmの均質な
フィルムを作製した。材料としてこのフィルムを用いた
ほかは実施例3と同様にして徐放性製剤を作製し放出速
度を測定したところ、この製剤は比較的均一な放出を維
持したものの、表面に液層を生じた上、柔軟性を持たな
いことから取扱時に割れるなどして実用に適さないもの
であった。
体をTダイ押出成形することにより厚み10μmの均質な
フィルムを作製した。材料としてこのフィルムを用いた
ほかは実施例3と同様にして徐放性製剤を作製し放出速
度を測定したところ、この製剤は比較的均一な放出を維
持したものの、表面に液層を生じた上、柔軟性を持たな
いことから取扱時に割れるなどして実用に適さないもの
であった。
【0027】実施例4.3−ヒドロキシ酪酸に起因する
成分の含有量が98モル%である、3−ヒドロキシ酪酸/
3−ヒドロキシ吉草酸共重合体を押出成形することによ
り内径 0.8mm、外径 1.2mmの均質膜からなるチューブを
作製した。このチューブを20cmの長さに切断し、この中
にワタアカミムシのフェロモンであるZ,Z/E-7,11-ヘキ
サデカジエニルアセテートを80mg注入し、両端を溶封し
た。この徐放性製剤を実施例1と同様の条件下に放置し
て上記フェロモンの放出速度を測定したところ、この製
剤は0.1mg/日の均一な放出を 120日以上維持し、良好な
結果が得られた。
成分の含有量が98モル%である、3−ヒドロキシ酪酸/
3−ヒドロキシ吉草酸共重合体を押出成形することによ
り内径 0.8mm、外径 1.2mmの均質膜からなるチューブを
作製した。このチューブを20cmの長さに切断し、この中
にワタアカミムシのフェロモンであるZ,Z/E-7,11-ヘキ
サデカジエニルアセテートを80mg注入し、両端を溶封し
た。この徐放性製剤を実施例1と同様の条件下に放置し
て上記フェロモンの放出速度を測定したところ、この製
剤は0.1mg/日の均一な放出を 120日以上維持し、良好な
結果が得られた。
【0028】実施例1〜4で作製した3−ヒドロキシ酪
酸を主成分とする共重合体の各成形品と、比較例2で用
いた高密度ポリエチレンのフィルムとを、それぞれ7月
から3か月間土中に埋蔵したところ、下記の結果が得ら
れた。 記 実施例1のフィルム:殆ど消失し回収不能。 実施例2のシート :周辺は消失し、虫食いがひどく、
かなりぼろぼろになる。 実施例3のフィルム:完全に消失。 実施例4のチューブ:かなりぼろぼろで、所々切れてい
た。 比較例2のフィルム:変化は見られなかった。
酸を主成分とする共重合体の各成形品と、比較例2で用
いた高密度ポリエチレンのフィルムとを、それぞれ7月
から3か月間土中に埋蔵したところ、下記の結果が得ら
れた。 記 実施例1のフィルム:殆ど消失し回収不能。 実施例2のシート :周辺は消失し、虫食いがひどく、
かなりぼろぼろになる。 実施例3のフィルム:完全に消失。 実施例4のチューブ:かなりぼろぼろで、所々切れてい
た。 比較例2のフィルム:変化は見られなかった。
【0029】
【発明の効果】本発明の徐放性フェロモン製剤は長期間
均一に放出制御させることができると共に、製剤として
必要な柔軟性や機械的強度を容易に持たせることができ
る。また、素材として使用する3−ヒドロキシ酪酸共重
合体は生物分解性を持っているので、フェロモン製剤と
して使用後、土中に埋没してもバクテリヤ等により容易
に分解されるので、環境保護の点でも有効である。
均一に放出制御させることができると共に、製剤として
必要な柔軟性や機械的強度を容易に持たせることができ
る。また、素材として使用する3−ヒドロキシ酪酸共重
合体は生物分解性を持っているので、フェロモン製剤と
して使用後、土中に埋没してもバクテリヤ等により容易
に分解されるので、環境保護の点でも有効である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 山本 昭 新潟県中頸城郡頸城村大字西福島28番地の 1 信越化学工業株式会社合成技術研究所 内
Claims (2)
- 【請求項1】3−ヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシ脂肪
酸との縮重合物であって、3−ヒドロキシ酪酸に起因す
る成分を70〜98モル%含有する3−ヒドロキシ酪酸共重
合体からなる厚さ15μm以上の均質膜を、内蔵する性フ
ェロモン物質の放出制御層として有する徐放性フェロモ
ン製剤。 - 【請求項2】他のヒドロキシ脂肪酸が3−ヒドロキシ吉
草酸または4−ヒドロキシ酪酸である請求項1記載の徐
放性フェロモン製剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3351437A JP2957788B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 徐放性フェロモン製剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3351437A JP2957788B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 徐放性フェロモン製剤 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05163110A true JPH05163110A (ja) | 1993-06-29 |
JP2957788B2 JP2957788B2 (ja) | 1999-10-06 |
Family
ID=18417285
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3351437A Expired - Fee Related JP2957788B2 (ja) | 1991-12-12 | 1991-12-12 | 徐放性フェロモン製剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2957788B2 (ja) |
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5993843A (en) * | 1996-06-28 | 1999-11-30 | Research Association For Biotechnology Of Agricultural | Biodegradable sustained-release preparation |
WO2001093678A3 (en) * | 2000-06-09 | 2002-06-13 | Procter & Gamble | Agricultural items and methods comprising biodegradable copolymers |
US6903053B2 (en) | 2000-06-09 | 2005-06-07 | The Procter & Gamble Company | Agricultural items and agricultural methods comprising biodegradable copolymers |
CN105432610A (zh) * | 2015-12-16 | 2016-03-30 | 中国林业科学研究院森林生态环境与保护研究所 | 一种马尾松毛虫性信息素微胶囊及其制备方法 |
-
1991
- 1991-12-12 JP JP3351437A patent/JP2957788B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5993843A (en) * | 1996-06-28 | 1999-11-30 | Research Association For Biotechnology Of Agricultural | Biodegradable sustained-release preparation |
US6159489A (en) * | 1996-06-28 | 2000-12-12 | Research Association For Biotechnology Of Agricultural Chemicals | Biodegradable sustained-release preparation, biodegradable pheromone dispenser and biodegradable pest controlling agent |
EP0816430A3 (en) * | 1996-06-28 | 2001-03-07 | Research Association For Biotechnology Of Agricultural Chemicals | Biodegradable sustained-release preparation, biodegradable pheromone dispenser and biodegradable pest controlling agent |
US6419943B1 (en) | 1996-06-28 | 2002-07-16 | Research Association For Biotechnology Of Agricultural Chemicals | Biodegradable sustained-release preparation, biodegradable pheromone dispenser and biodegradable pest controlling agent |
WO2001093678A3 (en) * | 2000-06-09 | 2002-06-13 | Procter & Gamble | Agricultural items and methods comprising biodegradable copolymers |
US6903053B2 (en) | 2000-06-09 | 2005-06-07 | The Procter & Gamble Company | Agricultural items and agricultural methods comprising biodegradable copolymers |
CN105432610A (zh) * | 2015-12-16 | 2016-03-30 | 中国林业科学研究院森林生态环境与保护研究所 | 一种马尾松毛虫性信息素微胶囊及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2957788B2 (ja) | 1999-10-06 |
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