JP6683590B2 - ヴァインミーリーバグの徐放性フェロモン製剤及びこれを用いた防除方法 - Google Patents
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Description
中でもポリエチレンに代表されるポリオレフィン系プラスチックは、性状の異なるグレードが多種多様に存在するため材料としての選択の幅が広く、且つ汎用性があるため価格も低い。また、成形性も優れており、押出成形、フィルム成形、延伸成形、射出成形等、幅広い成形が可能で、機械的強度、特に低温時の機械的強度が優れているため気温の低い時期や地域での使用に適している。
また、本発明者らは、特許文献3の知見を元に、三置換二重結合やイソプロペニル基の分岐を有するモノテルペン型アルコールであるが、構造が類似し、且つ官能基を含めた炭素数が15のLVSNにおいても、当然、同様の効果が得られると考えた。しかし、同じエステル化合物であってもポリエチレン膜の透過性が異なり、その違いは、アセテート化合物がポリエチレン膜と相溶性や親和性が良く、LVSNがポリエチレン膜との相溶性や親和性が極めて悪いことに起因することを見出した。
本発明は、フェロモン物質としてLVSNを有するVMBに対して、防除期間を通じて、高いフェロモン放出量が得られる徐放性フェロモン製剤とこれを用いた防除方法を提供することを目的とするものである。
本発明の1つの態様では、第1フェロモン物質と、前記第1フェロモン物質を内部に封入し、酢酸ビニルユニットの含有量が0.5〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体の第1高分子膜を有する第1容器とを備える徐放性フェロモン製剤であって、前記第1フェロモン物質がVMBのフェロモン物質であるLVSNであり、前記LSVNが150日以上にわたり前記第1高分子膜を透過して大気中に放出可能な徐放性フェロモン製剤が提供される。
また、本発明の別の態様では、この徐放性フェロモン製剤からLSVNを圃場に放出するステップを少なくとも含むVMBの防除方法が提供される。
この徐放性フェロモン製剤は、具体的な実施形態の一例として、更に、第2フェロモン物質と、前記第2フェロモン物質を内部に封入し、第2高分子膜を有する第2容器とを少なくとも一つ以上備えてもよく、例えば、前記第2フェロモン物質として、ヨーロピアングレープヴァインモスのフェロモン物質である(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテートを用いると、前記徐放性フェロモン製剤からLVSN及び(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテートを圃場に放出するステップを少なくとも含むVMB及びヨーロピアングレープヴァインモスの同時防除方法を提供できる。
LVSNは、防除の対象となる害虫のフェロモン物質である。フェロモン物質は、実際に害虫から抽出された化合物に限らず、工業的に合成された同一の化合物を含むが、経済的見地から合成された化合物が好ましい。また、LVSNには立体異性体が存在するが、特に限定されるものではない。例えば、S体、R体又はラセミ体を含むS体とR体の混合物等である。LVSNには、製造上不可避な不純物を含んでいても良い。
重合防止剤としては、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン、2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2,5'−ジ−t−ブチルハイドロキノン等が挙げられる。
EVAにおける酢酸ビニル由来の繰り返し単位である酢酸ビニルユニットの含有量は、0.5〜10重量%、好ましくは0.5〜6重量%、より好ましくは0.5〜3重量%である。酢酸ビニルユニットの含有量が0.5重量%より少ない場合は、EVAの膜厚を薄くしても、フェロモン物質の膜中の透過速度が遅く、適当な放出速度が得られない。一方、酢酸ビニル含有量が10重量%を超えると高分子自体の剛性が小さくなり、製剤への加工が出来ない。
EVAの分子量は、特に限定されないが、放出性能及び加工性を考慮して、ポリスチレン換算のゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)に基づく重量平均分子量(Mw)は、好ましくは50,000〜500,000である。
第2容器に封入する第2フェロモン物質を有する害虫としては、例えば、半翅目、鱗翅目、甲虫目、膜翅目等に属する害虫が挙げられる。
半翅目に属する害虫としては、VMBの他、Halyomorpha halys等のHalyomorpha属やErythroneura ziczac等のCicadellidae科等が挙げられる。
鱗翅目に属する害虫としては、ヨーロピアングレープヴァインモス(European Grapevine Moth、Lobesia botrana)(以下、「EGVM」とも記載する。)、ヨーロピアングレープベリーモス(European Grape Berry Moth、Eupoecilia ambiguella)(以下、「EGBM」とも記載する。)、Argyrotaenia ljungiana、Argyrotaenia citrana、Argyrotaenia politana、Argyrotaenia pulchellana、Argyrotaenia sphaleropa、Argyrotaenia tabulana、Argyrotaenia velutinana等のアルジロタエニア(Argyrotaenia)属、ハニーデューモス(Honeydew Moth、Cryptoblabes gnidiella)等が挙げられる。
甲虫目に属する害虫としては、Pelidnota punctata等のScarabaeidae科や、Typhaeus typhoeus等のGlaphyridae科等が挙げられる。
膜翅目に挙げられる害虫としては、Dolichogenidae tasmanica等のBraconidae科、Aphis illinoisensis等のAlphelinidae科やAnagyrus dactylopii等のEncyrtidae科等が挙げられる。
性フェロモンとしては、上述のLVSNの他に、官能基を含む炭素数が12〜20の脂肪族アセテート、又は官能基を含む炭素数が12〜20の脂肪族アルデヒド等が挙げられる。
官能基を含む炭素数が12〜20の脂肪族アセテートとしては、EGVMのフェロモン物質である(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテート(以下、「(E,Z)−7,9−DDDA」とも記載する。)、EGBMのフェロモン物質である(Z)−9−ドデセニル=アセテート、(E)−9−ドデセニル=アセテート、(Z)−9−テトラデセニル=アセテート、Argyrotaenia pulchellanaのフェロモン物質である(Z)−11−テトラデセニル=アセテート等が挙げられる。
官能基を含む炭素数が12〜20の脂肪族アルデヒドとしては、ハニーデューモスのフェロモン物質である(Z)−11−ヘキサデセナール、(E)−11−ヘキサデセナール、(Z)−13−オクタデセナール、(E)−13−オクタデセナール等が挙げられる。
道標フェロモンとしては、(Z)−9−ヘキサデセナール等が、集合フェロモンとしては、2,3−ヘキサンジオール等が、警報フェロモンとしては、2−ヘプタノンやイソペンチルアセテート等が挙げられる。
これらフェロモン物質は、実際に害虫から抽出された化合物に限らず、工業的に合成された同一の化合物を含むが、経済的見地から合成された化合物が好ましい。
また、これらのフェロモン物質は幾何異性体が含まれても良い。例えば、(E,Z)−7,9−DDDAであれば、(E,E)体、(Z,E)体、(Z,Z)体又はその混合物等である。
更に、これらのフェロモン物質は混合して用いてもよい。
例えば、第2容器に封入される第2フェロモン物質が、LVSNの場合においては、上述した所定のエチレン−酢酸ビニル共重合体が好ましく、150日以上にわたる放出が期待できる。また、第2フェロモン物質が、(E,Z)−7,9−DDDAの場合においては、ポリエチレンが好ましく、150日以上にわたる放出が期待できる。
第1及び第2容器の形状は、それぞれの形状が異なっても良いが、加工性の点で、好ましくは同じ形状である。
第1及び第2容器のそれぞれにおけるフェロモン物質の担持量としては、好ましくは20〜2000mg、より好ましくは50〜500mgである。
酸化防止剤としては、エチレレビス(オキシエチレン)ビス(3−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−m−トリル)プロピオネート)、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート等のフェノール系酸化防止剤、ジドデシル3,3’−チオジプロピオネート等の硫黄系酸化防止剤、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)フォスファイ等のリン系酸化防止剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、2−(2’−ヒドロキシ−3’−tert−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系、2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
酸化防止剤及び紫外線吸収剤は、高分子材料の重量に対して、それぞれ好ましくは0重量%を超えて3重量%以下、より好ましくは0重量%を超えて1重量%以下含有しても良い。
更に、加工性向上のために、高級脂肪酸の金属塩や無機粉末等のブロッキング防止剤や、炭化水素、アルコール類、高級脂肪酸、エステル類、多価アルコール部分エステル、高級脂肪酸金属塩、天然ワックス、脂肪酸アミド等の滑剤を、高分子材料の重量に対して、それぞれ好ましくは0重量%を超えて3重量%以下、より好ましくは0重量%を超えて1重量%以下含有しても良い。
徐放性フェロモン製剤は、第1及び第2容器と同種又は異種の第3容器以上を備えても構わない。
また、テープや針金等を用いて物理的に連結してもよい。その際、第1容器1と第2容器2は、図1(a)に示すように独立していても、図1(b)に示すように接合部3により平行に一体化してもよい。また、図1(c)に示すように第1及び第2容器の先端をヒートシール装置4を用いて化学的又は物理的に接合して連結させることで、最終的に図1(d)の断面図に示すようにフェロモン物質A1とA2を有する徐放性フェロモン製剤としてもよい。但し、この形状に限られるものではない。
前述の二色押出方法では、例えば、有芯孔21と22の各芯部に、各フェロモン物質を注入しながら押出せばよい。各フェロモン物質の沸点等に応じて押出温度を選択できる。
単一の害虫を対象とした徐放性フェロモン製剤であれば、フェロモン物質も1種類か、もしくは化学構造的に類似の化合物同士の混合物であるから比較的容易に放出制御できる場合が多い。しかし、一般的には、ある種の作物での害虫相が単一であるケースは極めて稀であり、化学構造的に異なる化合物をフェロモン物質としてもつ複数の害虫を、同時に防除しなければならない場合がほとんどである。そのため、VMBと他の害虫を同時防除する場合においては、第2容器には、他の害虫を対象とするLVSN以外のフェロモン物質を封入することが好ましい。例えば、VMBとEGVMを同時防除する場合においては、第2容器に封入するフェロモン物質は、(E,Z)−7,9−DDDAが好ましいが、第2容器に封入する(E,Z)−7,9−DDDAの一部を、第1容器にLVSNとともに封入しても良い。
放散箇所としては、交信撹乱を行う圃場内に均一に、好ましくは1〜2000箇所/ha、より好ましくは1〜1000箇所/haである。
一つの放散箇所からの放散量は、圃場環境や気象条件等によって一概には言えないが、圃場に均一に漂わせることが出来る量であれば特に制限はないが、好ましくは0.5〜4000mg/日/箇所、より好ましくは0.5〜1000mg/日/箇所である。
実施例1
酢酸ビニルユニットを0.5重量%含有するEVAからなる内径1.2mm、肉厚(膜厚)0.3mmを持つ第1容器であるチューブを加工温度150〜200℃にて押出成型により作成した。
LVSN200mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第1容器であるチューブの一端より注入し、両端を高周波加熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤を作製した。
徐放性フェロモン製剤を風速1.0m/秒、温度25℃を保った恒温槽に設置し、180日間各製剤からの放出速度を測定した。結果を表1に示す。
酢酸ビニルを3重量%(実施例2)、6重量%(実施例3)及び10重量%(実施例4)含有するEVAを用いて押出成型した内径1.2mm、膜厚0.3mmを持つチューブ(実施例2、3及び4)を用いた以外は、実施例1と同様に徐放性フェロモン製剤を作製し、放出速度を測定した。結果を表1に示す。
酢酸ビニルを3重量%含有するEVAを用いて押出成型した内径1.2mm、膜厚0.5mmを持つ第1容器であるチューブ(実施例5)と、3重量%含有するEVAを用いて押出成型した内径1.2mm、膜厚0.8mmを持つ第1容器であるチューブ(実施例6)を用いた以外は、実施例1と同様に徐放性フェロモン製剤を作製し、放出速度を測定した。結果を表1に示す。
高密度ポリエチレン(HDPE)を用いて加工温度250℃にて押出成型した内径1.2mm、膜厚0.3mmを持つ第1容器であるチューブを用いて、実施例1と同様に徐放性フェロモン製剤を作製し、放出速度を測定した。結果を表1に示す。
レンでは、ほとんどLVSNは放出されなかったが、含有率が上がるに従って放出速度が増加した。これは、LVSNはポリエチレンを透過しにくいために、製剤からの放出量が少ないのに対して、樹脂に酢酸ビニルを混合したEVAでは、製剤膜を透過しやすくなるために放出量が多くなったためと考えられる。
酢酸ビニルを3重量%含有するEVAからなる内径1.2mm、肉厚(膜厚)0.5mmを持つ第1容器であるチューブを加工温度150〜200℃にて押出成型により作成した。
LVSN200mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第1容器であるチューブの一端より注入し、両端を高周波加熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤を作製した。
イタリアのトスカーナ州のブドウ園に、VMBの性フェロモン物質を添加した上記徐放性フェロモン製剤を4月18日に500本/ha設置した(実施例7)。徐放性フェロモン製剤は害虫を防除する圃場1に、必要量の性フェロモン物質が放出されるように割り振って等間隔に点在して配置した。9月3日に測定した第3世代の被害房率の結果を表2に記す。また、徐放性フェロモン製剤を設置しない圃場2(比較例2)についても同様の被害房率を測定した。なお、被害房率とは、交信撹乱効果の推定方法であり、特にブドウでは、{(被害房数)/(調査房数)}×100で表される被害房率が効果の判定基準の一つとなっている。
直径5mmの2つの有芯孔(図2中の21と22)を長さ10mmの線状細孔(図2中の23)で連結した形状の孔をもつ押出ダイ(図2中の25)を取り付けたチューブの製造装置を用いて、一方の有芯孔から180℃で溶融したEVA樹脂を押出し、他方の有芯孔から250℃で溶解したポリエチレン樹脂を押出す二色押出成形により、酢酸ビニルユニットを0.5重量%含有するEVAからなる内径1.2mm、肉厚(膜厚)0.3mmを持つ第1容器である第1チューブと、ポリエチレンからなる内径1.4mm、肉厚(膜厚)0.4mmを持つ第2容器である第2チューブが連結した連結チューブを作製した。
LVSN200mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第1チューブの一端より注入し、また、(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテート260mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第2チューブの一端より注入し、第1チューブと第2チューブの連結チューブの両端を高周波過熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤を作製した。
徐放性フェロモン製剤を風速1.0m/秒、温度25℃を保った恒温槽に設置し、180日間各製剤からの放出速度を測定した。結果を表3に示す。
第1チューブを、酢酸ビニルユニットを3重量%(実施例9)及び10重量%(実施例10)含有するEVAを用いてそれぞれ二色押出成形した内径1.2mm、膜厚0.3mmを持つチューブとした以外は、実施例8と同様に徐放性フェロモン製剤を作製し、放出速度を測定した。結果を表3に示す。
第1チューブを、酢酸ビニルユニットを3重量%含有するEVAを用いて二色押出成形した内径1.2mm、膜厚0.5mmを持つチューブ(実施例11)と、3重量%含有するEVAを用いて押出成型した内径1.2mm、膜厚0.8mmを持つチューブ(実施例12)とした以外は、実施例8と同様に徐放性フェロモン製剤を作製し、放出速度を測定した。結果を表3に示す。
ポリエチレンからなる内径1.4mm、肉厚(膜厚)0.4mmを持つ第1チューブと、同じくポリエチレンからなる内径1.2mm、膜厚0.3mmを持つ第2チューブとの連結チューブを押出成形し、徐放性フェロモン製剤を作製した以外は、実施例8と同様にして放出速度を測定した。結果を表3に示す。
直径5mmの2つの有芯孔(図2中の21と22)を長さ10mmの線状細孔(図2中の23)で連結した形状の孔をもつ押出ダイ(図2中の25)を取り付けたチューブの製造装置を用いて、一方の有芯孔から180℃で溶融したEVA樹脂を押出し、他方の有芯孔から250℃で溶解したポリエチレン樹脂を押出す二色押出成形により、酢酸ビニルユニットを1重量%含有するEVAからなる内径1.2mm、肉厚(膜厚)0.5mmを持つ第1容器である第1チューブと、ポリエチレンからなる内径1.4mm、肉厚(膜厚)0.4mmを持つ第2容器である第2チューブとの連結チューブを二色押出成形により作製した。
LVSN200mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第1容器であるチューブ1の一端より注入し、また、(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテート260mgに、安定剤としてBHT(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール)及びHBMCBT(2−(2'−ヒドロキシ−3'−tert−ブチル−5'−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール)を、得られる混合物全体中にそれぞれ2重量%となるように含有させた混合物を第2チューブの一端より注入し、第1チューブと第2チューブの連結チューブの両端を高周波過熱しながら加圧して液体を封じ、溶接部分を切断して長さ20cmの徐放性フェロモン製剤を作製した。
イタリアのシシリー州のブドウ園に、EGVMとVMBのフェロモン物質を添加した上記徐放性フェロモン製剤を3月5日に500本/ha設置した(実施例13)。徐放性フェロモン製剤は害虫を防除する圃場1に、必要量のフェロモン物質が放出されるように割り振って等間隔に点在して配置した。8月26日に測定した第3世代の被害房率の結果を表4に示す。また、徐放性フェロモン製剤を設置しない圃場2(比較例4)についても同様の被害房率を測定した。なお、被害房率とは、交信撹乱効果の推定方法であり、特にブドウでは、{(被害房数)/(調査房数)}×100で表される被害房率が効果の判定基準の一つとなっている。
2,12b 第2容器
3 接合部
4 ヒートシール装置
A1,A2 フェロモン物質
14 切り込み
15 ウェッブ
21,22 有芯孔
23 線状細孔
24 刃
25 押出ダイ
27 シリンダー
Claims (8)
- 第1フェロモン物質と、前記第1フェロモン物質を内部に封入し、酢酸ビニルユニットの含有量が0.5〜10重量%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体の第1高分子膜を有する第1容器とを備える徐放性フェロモン製剤であって、前記第1フェロモン物質がヴァインミーリーバグのフェロモン物質であるラバンジュリル=セネシオエートであり、前記ラバンジュリル=セネシオエートが150日以上にわたり前記第1高分子膜を透過して大気中に放出可能な徐放性フェロモン製剤。
- 更に、第2フェロモン物質と、前記第2フェロモン物質を内部に封入し、第2高分子膜を有する第2容器とを少なくとも一つ以上備える請求項1に記載の徐放性フェロモン製剤。
- 前記第2フェロモン物質が、ラバンジュリル=セネシオエート、官能基を含む炭素数12〜20の脂肪族アセテート及び官能基を含む炭素数12〜20の脂肪族アルデヒドからなる群から選ばれる請求項2に記載の徐放性フェロモン製剤。
- 前記第2フェロモン物質が、(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテートである請求項3に記載の徐放性フェロモン製剤。
- 前記第2高分子膜が、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリオレフィン、ビニル系ポリマー、ポリエステル及び生分解性ポリマーからなる群から選ばれる請求項2〜4のいずれか一項に記載の徐放性フェロモン製剤。
- 前記第1容器の形状及び存在する場合は前記第2容器の形状が、チューブ、カプセル、アンプル又はボトル状である請求項1〜5のいずれか一項に記載の徐放性フェロモン製剤。
- 請求項1〜6のいずれか一項に記載の徐放性フェロモン製剤からラバンジュリル=セネシオエートを圃場に放出するステップを少なくとも含むヴァインミーリーバグの防除方法。
- 請求項4に記載の徐放性フェロモン製剤からラバンジュリル=セネシオエート及び(E,Z)−7,9−ドデカジエニル=アセテートを圃場に放出するステップを少なくとも含むヴァインミーリーバグ及びヨーロピアングレープヴァインモスの同時防除方法。
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