JP2000239104A - 徐放性製剤 - Google Patents

徐放性製剤

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JP2000239104A
JP2000239104A JP11037026A JP3702699A JP2000239104A JP 2000239104 A JP2000239104 A JP 2000239104A JP 11037026 A JP11037026 A JP 11037026A JP 3702699 A JP3702699 A JP 3702699A JP 2000239104 A JP2000239104 A JP 2000239104A
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Mitsuru Sadamoto
満 貞本
Masatsugu Nakayama
雅嗣 中山
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Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【解決手段】 生物に対して誘引効果、忌避効果または
殺傷効果を有する揮発性有機化合物と、ポリ乳酸と添加
物とから構成される基材とからなる徐放性製剤におい
て、該揮発性有機化合物の拡散係数が1×10-6〜1×
10-3[cm2/Hr]の範囲にある基材内側部分と、該基材内
側部分を覆う一定の厚みを有する、該揮発性有機化合物
の拡散係数が該基材内側部分の拡散係数に対して1/5
以下、1/10000以上である基材外側部分とからな
ることを特徴とする徐放性製剤。 【効果】 本発明の徐放性製剤は、揮発性有機化合物の
放出速度を長期間一定にすることが可能であり、また、
生分解性物質を用いているため、使用期間経過後は分解
され、回収する必要がない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、農作物に害を与え
る生物に対し、誘引作用による繁殖の阻害、忌避作用、
殺傷作用による農作物の保護を図ることのできる揮発性
有機化合物を含有した農薬製剤に関するものであって、
該揮発性有機化合物の放出速度が一定であり、かつその
使用後において相当の期間をおいて、土中、あるいは水
中の微生物を主体とした働きによって、環境に対して加
害作用のない化学物質に分解するとともに、その形状を
消失させてしまう機能を有した農薬製剤に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】近年、農薬の揮発性物質を目的の場所で
長期間、安定して連続的に徐々に放出、揮散せしめるこ
とが実用面や機能面において重要な課題となっている。
【0003】農薬は、対象とする生物を殺傷しようとす
る意図のもとで開発されたものが一般的であるが、その
他に、農作物を生物による捕食から保護するために、単
に生物を寄せつけない作用(忌避作用)を有するものも
ある。後者は、特定の生物に対する忌避作用を有するも
のであり、他の生物系に対する影響が小さく、環境に配
慮した農薬であるといえる。
【0004】また、逆に生物を誘引する機能(誘引作
用)を有する物質を放出することにより、該生物が農作
物に対して与える影響から保護しようとする農薬もあ
る。例えば、生物の交尾を阻害する目的で性フェロモン
を放出する農薬であれば、該フェロモンの効果によっ
て、生物の雌雄が互いに位置の存在を確認することがで
きず、その結果として交尾による繁殖を抑制することが
できるのである。
【0005】このような殺傷、忌避、誘引作用を有する
物質を、基材とする固形物に含侵させたものであって、
それらを農作物が存在する近辺に、放置、散布、固定す
ることにより、結果としてその農作物を生物による損傷
から保護することができるのである。
【0006】その中で生物を誘引する物質として用いら
れているのがフェロモンであるが、揮発性薬剤であるフ
ェロモンを、基材とする物質に固定化して製剤として形
づくる方法がいくつか開示されている。
【0007】中でも、フェロモンをポリエチレンやエチ
レン−酢酸ビニル共重合体などの細管に封入したもの
が、多く開示されている。例えば、特開昭56−142
202号公報、特開昭57−9705号公報、特開昭5
7−72904号公報、特開昭57−45101号公
報、特開昭57−156403号公報、特開昭59−2
16802号公報、特開昭60−215637号公報、
特開昭61−202643号公報等があり、これらは、
フェロモンが徐々に放出される機能を有したものであ
る。しかし、これら開示された手法は、一般には安定し
た放出ができない、また放出量を増加させたい場合に
は、細管であるために長くする必要があるなどの問題が
あり、実用性に欠けていた。
【0008】また、特開平7−231743号公報に
は、フェロモンと相容性のある合成樹脂を基材としたフ
ェロモン製剤が開示されている。該公報には、フェロモ
ンの蒸発エネルギーが、21,000cal/mole〜27,000cal/mo
leの範囲にあるものを用いることが記載されている。し
かし、このように揮発性薬剤の一種である揮発性フェロ
モン製剤は、散布あるいは土壌上に放置して用いること
がほとんどであり、その結果、これらの農薬製剤は土壌
中に残存することになり、環境に対する配慮が乏しいと
いえる。
【0009】このように使用後において製剤成分が残存
する問題を解決すべく、生分解性機能を有する高分子材
料を基材としたフェロモン製剤が開発されている。特開
昭61−41321号公報には、生分解性高分子材料を
中空の基材としたフェロモン製剤が開示されている。こ
の生分解性高分子材料には、ポリ乳酸などのポリヒドロ
キシ酸、ポリグルタミン酸などのポリ(α−アミノ酸)
を用いられ、フェロモンなどの活性物質をその中空の筒
の中に充填して用いる方法が開示されている。しかし、
このようなフェロモン製剤からは、フェロモン放出速度
の制御の具体的な指針を得ることはできない。
【0010】特開平4−230602号公報は生分解性
または光分解性の、あるいはそれらの混合系からなる分
解性機能を有した高分子素材を基材の1〜40%含んで
いる製剤を開示している。しかし、このフェロモン製剤
は、分解性高分子の分解後も、非分解性成分が残存する
ことになり、厳密な意味で分解型フェロモン製剤とは言
えない。
【0011】特開平5−163110号公報には、生分
解性を有した3−ヒドロキシ酪酸と他のヒドロキシ脂肪
族との縮重合物を用いたもので、かつその生分解性高分
子をシートとする徐放性フェロモン製剤が開示されてい
る。この製剤は、放出速度の低さをその厚みを薄くする
ことにより対処したものであって、フェロモン製剤の加
工および形状が限定されるという欠点があった。そこ
で、生分解性の高分子材料に、フェロモンの放出特性を
改良させるための工夫が行われるようになった。
【0012】特開平6−116103号公報には、生分
解性高分子材料を基材としたフェロモン製剤が開示され
ている。該公報に開示されている生分解性高分子材料
は、セルロース、キチン、キトサン、ブルランなどの天
然高分子、或いはポリビニルアルコール、ポリエチレン
グリコール、ポリウレタン、ポリアミド(ポリ−α−ア
ミノ酸など)、脂肪族ポリエステルなどの合成高分子が
挙げられている。
【0013】また、特開平9−137049号公報に
は、ポリ乳酸、可塑剤、および必要に応じて熱安定剤、
離型剤を含むポリ乳酸組成物を用いた、性フェロモンを
含有した徐放性製剤が開示されている。可塑剤を含ませ
たのは、徐放性製剤の材料として、必要な機械的強度や
柔軟性を持たせるためであり、それらの可塑剤として、
脂肪族二塩基酸エステル、フタル酸エステル、ヒドロキ
シ多価カルボン酸エステル、ポリエステル系可塑剤、脂
肪酸エステル、エポキシ系可塑剤、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリカプロラクトン、マ
ロン酸や琥珀酸、アジピン酸、フマル酸などのジカルボ
ン酸とエチレングリコールや、プロピレングリコール、
ブタンジオール、ヘキサンジオールなどのジオール体と
の縮重合体、ヒドロキシ酪酸やヒドロキシ吉草酸などの
ヒドロキシ酸の縮重合物が好ましいとしており、さらに
これらの可塑剤は単独で用いても二種以上の混合物とし
て用いてもよいとしている。さらに、二種以上の混合物
として用いるもののうち、好ましいものはアゼライン酸
ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘ
キシル、エチレン含有量が20〜95%かつ酢酸ビニル
含有量が5〜80重量%のエチレン−酢酸ビニル共重合
体(EVA)、ポリカプロラクトン、ジカルボン酸とジ
オール体との縮重合物、ヒドロキシ酸等のものを用いら
れるとしている。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、これら
の先願の公開特許公報においては、揮発性薬剤であるフ
ェロモンの放散特性を制御するための具体的な方法につ
いては触れられていない。これは特開平9−13704
9号公報においても例外ではなく、いかに揮発性薬剤の
放散速度を制御するかということについては、何らの方
法も開示されていない。
【0015】このことは、農薬として用いられるフェロ
モンについてだけでなく、農薬全般の問題であり、フェ
ロモンを含む揮発性薬剤の徐放性製剤の放出を制御する
技術の指針が明確になっていないということである。
【0016】特に、生分解性高分子素材に関しては、単
にそれらを基材とした場合は、その放出速度を制御する
ことは困難である。例えば、ポリ乳酸を用い、かつポリ
乳酸にフェロモンを含有させただけ、あるいは可塑剤を
単に混入させただけでは、その放出特性を制御すること
は困難である。なぜならば、ポリ乳酸は比較的剛直な構
造を有しているが故に、紐状に加工することなどにより
成形保持性能に優れていることから、取扱いが容易であ
るが、逆に剛直であるがために、フェロモン自体がポリ
マー中を拡散放出しにくいためである。また、柔軟性を
もたせるために、可塑剤を導入したとしても、そこに何
らかの具体策が見えてこなければ、放出速度を制御する
という目的を達成することができない。それゆえに、明
確な指針なしに、放出制御特性を有した材料を設計する
ことは困難であると言わざるを得ないのである。さら
に、この難拡散放出特性を回避するためには、その製法
および成形した内部構造までをも考慮した構成であるこ
とが必要である。しかし、これらの方法については一切
知られておらず、先に述べたような徐放期間を限定した
フェロモン製剤の作製には、これらの方法を用いたとし
ても試行錯誤せざるを得ない状態である。そればかりで
はなく、対象とする可塑剤、軟化剤等の範囲が広く、か
つそれらの化学的性質、物理的性質についての配慮がな
ければ、もはやその選択を行うことは不可能と言わざる
を得ない。
【0017】以上より、本発明の目的は、生物に対し
て、誘引、忌避または殺傷作用を有する揮発性有機化合
物を、生分解性高分子材料からなる基材に混合させ成形
した農薬製剤において、環境に影響のない生分解性材
料のみで構成されていることを特徴とし、その放出速
度が制御された徐放性製剤を提供することにある。
【0018】
【課題を発明するための手段】本発明者らは、揮発性有
機化合物の放出速度を一定たらしめる方法を、また、揮
発性有機化合物に対する拡散係数が異なる基材を組み合
わせて配置することができることを、見出したのであ
る。
【0019】本発明は、(1)室温大気中にて揮発性を
有しかつ生物に対して誘引効果、忌避効果または殺傷効
果を有する揮発性有機化合物と、ポリ乳酸と添加物とか
ら構成される基材とからなる徐放性製剤において、該揮
発性有機化合物の拡散係数が1×10-6〜1×10-3[c
m2/Hr]の範囲にある基材内側部分と、該基材内側部分を
覆う一定の厚みを有する、該揮発性有機化合物の拡散係
数が該基材内側部分の拡散係数に対して1/5以下、1
/10000以上である基材外側部分とからなることを
特徴とする徐放性製剤、(2)製剤が、基材内側部分を
基材外側部分が取り巻く紐状の形状を有し、該紐状の製
剤の長さが、該紐状の製剤の平均直径の10倍以上であ
り、かつ、該基材外側部分の厚みが、該平均直径の1/
100以上、1/4以下であることを特徴とする(1)
記載の徐放性製剤、(3)紐状の製剤の平均直径が、
0.01cm以上、3cm以下であることを特徴とする
(2)記載の徐放性製剤、(4)製剤が、基材内側部分
を基材外側部分で完全に被覆する形状を有し、該基材外
側部分の厚みが、該製剤の平均外径の1/100以上、
1/4以下であることを特徴とする(1)記載の徐放性
製剤、(5)製剤の平均外径が、0.01cm以上、10
cm以下であることを特徴とする(4)記載の徐放性製
剤、(6)製剤が、シート状の基材内側部分の両面を、
シート状の基材外側部分で覆う形状を有し、該シート状
製剤の平面部分の縦方向および横方向の短い方の長さ
が、シート状の製剤の平均厚みの20倍以上であり、か
つ、該基材外側部分の平均厚みが、該製剤の平均厚みの
1/100以上、1/4以下であることを特徴とする
(1)記載の徐放性製剤、(7)シート状製剤の平均厚
みが、0.01cm以上、1cm以下であることを特徴とす
る(6)記載の徐放性製剤、(8)添加物が、リン酸エ
ステル類、フタル酸エステル類、脂肪族カルボン酸エス
テル類、脂肪族アルコールエステル類、ヒドロキシ多塩
基酸エステル類、エポキシ系動植物油、ポリアルキレン
グリコール類、ポリカプロラクトンあるいはポリブチレ
ンサクシネートの中から選ばれた1種あるいは2種以上
であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記
載の徐放性製剤に関するものである。
【0020】
【発明の実施の形態】本発明は、揮発性有機化合物と、
ポリ乳酸と添加物とから構成される基材とからなる徐放
性製剤において、該揮発性有機化合物の拡散係数が1×
10-6〜1×10-3[cm2/Hr]の範囲にある基材内側部分
と、該基材内側部分を覆う一定の厚みを有する、該揮発
性有機化合物の拡散係数が該基材内側部分の拡散係数に
対して1/5以下、1/10000以上である基材外側
部分とからなることを特徴とする徐放性製剤である。
【0021】本発明に用いられる揮発性有機化合物(以
下、揮発性化合物と略記する)としては、林檎や栗、
柿、葡萄、桃、蜜柑等の果樹類、茶、桜、ツバキ、バラ
等の樹類、大豆、サツマイモ、落花生、サトイモ、また
は米、麦、とうもろこし等の穀類に関するもの、さとう
きび、わさび等の嗜好品作物関連、いちご、はくさい、
ほうれん草、トマト、きゅうり等の野菜類に対して、そ
れらの葉や根、あるいは実や果実をに対して害を与える
生物類に対して、効果あるいは作用を有する揮発性のも
のである。
【0022】その作用は、生物に対して殺傷作用、忌避
作用、あるいは誘引作用を与えるものが選択される。殺
傷作用を有するものとしては、トレボン、DDPV剤、
PHC剤、DEP剤、MPP剤、MEP剤、PHC剤、
あるいは、ダイアノジン、イソキサチオン、プロチオホ
ス、フェノトリン、ペルメトリン等の物質が挙げられ
る。
【0023】また、忌避作用を有するものとしては、例
えば、タバコシバンムシに対する産卵忌避剤として2,
3−ジヒドロ−3、5−ジメチル−2−エチル−6−
(1−メチル−2−オキソブチル)−4H−ビラン−4
−オンが特開平1−132501に開示されているが、
これらを用いてもよい。その他、ジメチルジクロルビニ
ルホスフェート等が用いられる。また、トレボンも忌避
作用を有する。
【0024】さらに誘引剤としては、代表的なものは性
フェロモンを用いたものであり、これについては近年、
多くのフェロモン成分が同定されるとともに、製造され
ている。対象となるものは昆虫が多く、ガ、チョウ、コ
ガネムシ、カミキリムシ等である。たとえば、イソペン
チルアミン−β−メチルブタン等が挙げられる。
【0025】かつこれらの揮発性化合物の効果は1cm3
に分子1個であってもその作用を発揮するとも言われ、
極めて少量にて有効である。そのため、これらの揮発有
機化合物の製剤に含まれる割合は、0.1重量%以上、
10重量%以内であることが好ましく、さらに好ましく
は0.3重量%以上、4重量%以内である。
【0026】本発明におけるポリ乳酸は、その原料とし
て乳酸が用いられ、L−乳酸、D−乳酸、D,L乳酸ま
たはそれらの混合物さらには乳酸の環状2量体であるラ
クタノイドを使用することができる。
【0027】本発明において使用されるポリ乳酸は、例
えばL−乳酸含有率が75重量%以上の乳酸を原料とし
て直接脱水縮合する方法、または上記乳酸の環状2量体
であるラクタイドを用いて開環重合させる方法により得
られる。直接脱水縮合する場合には乳酸を好ましくは有
機溶媒、より好ましくはフェニルエーテル系溶媒の存在
下で共沸により留出した溶媒から水を抜いて実質的に無
水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合す
ることにより、本発明に適した強度を持つ高分子量のポ
リ乳酸が得られる。
【0028】ポリ乳酸の重量平均分子量(Mw)や分子
量分布は、実質的に、成形加工が可能であれば特に制限
されない。本発明で使用するポリ乳酸の分子量は、実質
的に充分な機械物性を示す重量平均分子量4万以上であ
れば特に制限されないが、一般的には、重量平均分子量
(Mw)で4〜20万が好ましく、6〜15万がより好
ましい。
【0029】一般的には重量平均分子量(Mw)が4万
より小さい場合、機械物性が充分でなかったり、逆に分
子量が20万を越える場合、溶融した状態での粘度が高
くなる等して、取扱い困難となったり、製造時間が長く
なったり、また製造コストが高くなったりして不経済と
なる場合がある。市販のポリ乳酸としてはLACEA
(三井東圧化学社製)、ラクティ(島津製作所社製)、
ECOPLA(カーギル社製)などが挙げられる。
【0030】ポリ乳酸に混合される添加物は、ポリ乳酸
のガラス転移点を50℃以下にすることができるもので
あり、生分解性を有するものであれば特に制限はない。
このような添加物としては、例えば、リン酸エステル
類、フタル酸エステル類、脂肪族カルボン酸エステル
類、脂肪族アルコールエステル類、ヒドロキシ多塩基酸
エステル類、エポキシ系動植物油、ポリアルキレングリ
コール類、生分解性を有する高分子材料(ポリカプロラ
クトン、ポリブチレンサクシネート)などが挙げられ
る。これら添加物の含有量は、製剤全体に対して3重量
%以上、50重量%以下であることが好ましい。より好
ましくは5重量%以上、50重量%以下である。さらに
好ましくは10重量%以上、50重量%以下である。添
加物を含有させる目的は、ポリ乳酸と添加物とからなる
基材中における揮発性化合物の拡散を促進させるためで
ある。すなわち、添加物を含有させることによって、揮
発性化合物の拡散係数を増大させることができるのであ
る。ポリ乳酸のみの場合であれば、揮発性化合物の拡散
係数は10-9[cm2/Hr]〜10-11 [cm2/Hr]の範囲にな
る。これに対し、添加物を3%以上加えることにより、
添加物の種類によっては拡散係数を10-6[cm2/Hr]〜1
-5[cm2/Hr]の範囲にすることができる。さらに、添加
物を10%含有させることにより、多くの添加物におい
ては大略10-6[cm2/Hr]〜10-5[cm2/Hr]の範囲に、3
0%以上含有させることにより、大略10-5[cm2/Hr]〜
10-3[cm2/Hr]の範囲にすることができる。しかし、添
加物を50%を超えて加えても、拡散係数を増加させる
ことにはあまり効果を与えない。逆に、製剤としての形
状を維持することが困難になってしまう場合があるので
ある。
【0031】本発明で用いるリン酸エステルとしては、
リン酸トリブチル、リン酸−2−エチルヘキシル、リン
酸トリフェニル、リン酸トリクシル等が挙げられる。本
発明で用いるフタル酸エステル類としては、フタル酸ジ
メチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジブチル、フタル
酸ジヘプチル、フタル酸ジオクチル、フタル酸−2−エ
チルヘキシル、フタル酸ジイソノイル、フタル酸オクチ
ルデシル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ブチルベン
ジル等が挙げられる。
【0032】本発明で用いる脂肪族カルボン酸エステル
としては、オレイン酸ブチル、ジメチルアジペート、ジ
イソブチルアジペート、ジブチルアジペート、ジイソブ
チルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジブチルジ
グリコールアジペート、ジ−n−ヒキシルアジペート、
ジ−2−エチルヘキシルアジペート、ジブチルセバケー
ト、ジ−2−エチルヘキスルセバケート等が挙げられ
る。
【0033】本発明で用いる脂肪族アルコールエステル
類としては、ジエチレングリコールジベンドエート、ジ
エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノ
エチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチ
レングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノヘキシルブチルエーテル、ジエチレングリコール
ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシ
ルブチルエーテル、ポリジエチレングリコールモノオレ
イルエーテル、トリエチレングリコールジアセテート
(以下「TEDA」と略す。)、トリエチレングリコー
ルモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブ
チルエーテル、トリエチレングリコール−ジーエチルブ
チラート、トリアセチレン、ギリセリントリアセテー
ト、グリセリントリプロピオネート、グルセリンモノオ
レイン酸エステル等が挙げられる。
【0034】本発明で用いるヒドロキシ多塩基酸エステ
ル類としては、アセチルリシノール酸メチル、アセチル
リシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレー
ト、アセチレンクエン酸トリブチル(以下「ATBC」
と略す。)等が挙げられる。本発明で用いるエポキシ系
動植物油としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマ
ニ油等があげられる。
【0035】本発明で用いるポリアルキレングリコール
酸としては、ポリエチレングリコール(以下「PEG」
と略す。)、ポリプロピレングリコール、ポリブチレン
グリコール等が挙げられる。なお、これらの添加物は、
一種あるいは二種以上の混合物であってもよい。
【0036】また、基材の結晶化速度の向上、耐熱性の
向上、機械物性の向上、耐ブロッキング性の向上等の諸
物性を改善するために、無機物を本発明の効果を損なわ
ない範囲で用いることもできる。
【0037】さらに、放出成分の劣化を防止するための
安定剤、各種エラストマー(SBR、NBR、SBS型
3元ブロック共重合体熱可塑性エラストマー等)や顔
料、染料、帯電防止剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、難
燃剤、離型剤、滑剤、増粘剤や希釈剤を目的に応じて、
かつ本発明の効果を損なわない範囲で適宣使用すること
ができる。
【0038】無機物の具体例としては、例えば、タル
ク、カオリナイト、SiO2 、クレー等が挙げられる
が、より具体的には、耐ブロッキング性の物性改良を目
的とした場合、粒径が小さく、樹脂と溶融混練した場合
に凝集することなく良好に分散するものが好適に用いら
れる。添加量は特に制限はないが、製剤全体に対して0
〜10重量%が好適である。
【0039】本発明の徐放性製剤は、揮発性化合物の拡
散係数が1×10-6〜1×10-3[cm2/Hr]である基材内
側部分と、内側部分を覆う一定の厚みを有する、揮発性
化合物の拡散係数が内側部分の拡散係数の1/5以下、
1/10000以上である外側部分からなることが特徴
である。以下、本発明の特徴について詳述する。
【0040】本発明の製剤の揮発性化合物を効率良く放
出せしめるために、従来の製剤の放出特性を充分に把握
する必要がある。例えば、直径2.6mmのエチレン−ビ
ニル−アセテート共重合体(EVA)に揮発性化合物を
含有させて紐状に成形した製剤の場合の放出特性の測定
結果を図1に示す。縦軸は製剤内に残る揮発性化合物の
残存濃度を示し、横軸は時間を示している。時間の経過
とともに残存揮発性化合物濃度が減少している様子を確
認することができる。そして、その濃度の減少速度は時
間の経過とともに、低下していることを確認することが
できる。
【0041】濃度の減少速度は、揮発性化合物の放出速
度に等しい。従って、この放出速度を例えば、図1のよ
うな残存揮発性化合物濃度の変化から読み取ることも可
能である。しかし、これは実測のデータであるので、製
剤自体の大きさやまた形状、あるいは揮発性化合物の含
有量が異なる場合については、新たに測定する必要が生
じてしまう。この放出特性を何らかの形にて表現するこ
とによって、製剤自体の大きさやまた形状、あるいは揮
発性化合物の含有量が異なる場合についてもシミュレー
ションすることができれば、放出特性の挙動の予測が可
能になると考えられる。さらに、この場合、製剤の設計
も行うことができると考えられる。
【0042】そこで本発明者らは、紐状に成形された製
剤を用いて、下記式(1) ∂C/∂t=D(∂2 C/∂r2 +1/r*∂C/∂r)・・・(1) C :揮発性化合物濃度 t :経過時間 r :製剤の中心からの距離 に示す円柱座標系に基づく拡散方程式を導出した。この
拡散方程式は、揮発性化合物の製剤内における移動の挙
動を拡散係数を用いて表現したものである。拡散係数
は、D[cm2/Hr]によって表現されている。
【0043】初期条件として、揮発性化合物が製剤の製
造時に与えられた初期濃度によって均一に分散している
ものとする。これは実情に則しており、揮発性化合物を
含侵された製剤は、使用前において揮発性化合物を外部
に逃がすことのないようなアルミ箔のラミシートにて被
覆されており、製剤中においては均一に分散していると
する仮定は十分に整合性があるものと考えられるからで
ある。
【0044】境界条件は、下記式(2) ∂C/∂r=−F(C−Catm )・・・(2) Catm :外界濃度 によって与えるものとする。この表面放散速度係数F[1
/cm]は、紐状あるいは糸状における形状を表現すること
に適した円柱型を有する製剤表面からの蒸発あるいは離
脱に関する放散速度を記述するものである。
【0045】このようにして得られた方程式、初期条
件、境界条件におけるモデルを図示したものを図2に示
す。図2は円柱型座標モデルであり、それぞれにおける
係数やパラメーターを図示している。
【0046】さらに、与えられた式をまとめると、次式
のような方程式群が与えられる。すなわち、 拡散方程式 ∂C/∂t=D(∂2 C/∂r2 +1/r*∂C/∂r)・・(1) 初期条件 C=Cinit 境界条件 ∂C/∂r=−F(C−Catm )・・・(2) Cinit :初期における揮発性化合物濃度 となる。
【0047】この方程式群を用いて、計算機によるシミ
ュレーションを実施した結果を、図3に示す。同時に図
3には、図1において示した実測結果を○によって表示
しており、拡散係数D、表面放散速度係数Fおよび半径
Rを与えることシミュレーションを行った結果と合わせ
て比較表示している。このシミュレーションにおいて、
拡散係数Dと表面放散速度係数Fを適宣、選択すること
により、実測結果を表現することが可能な拡散係数Dと
表面放散速度係数Fの組み合わせを見いだすことができ
る。図3のシミュレーション結果は実測結果を見事に表
現している。なお、この結果を表現するのに最適な拡散
係数Dは、4×10-5[cm2/Hr]であり、表面放散速度係
数Fは0.003[1/cm]であった。
【0048】さらに、得られたシミュレーション結果を
用いて、1日の放出量を求めることもできる。図4はそ
の結果を示したものである。この場合、最初の日におけ
る揮発性化合物の放出量が最も多く、日数の経過ととも
に指数関数的に減少していることが認められる。これ
は、式(1)および式(2)によって表現したモデルを
用いなければできない結果である。
【0049】図4のように、従来のEVAを基材として
用いた製剤では、その揮発性化合物の放出速度を制御で
きているとは言えない。また、25日程度までは揮発性
化合物の放出が持続するが、さらに長期の放出を持続さ
せるためには、その製剤の形状を大きくすることなどに
よる対処が考えられる。しかし、その放出速度の変化の
様子はほぼ一定であることがシミュレーション結果より
予想できる。
【0050】図5は、ポリ乳酸に約3%の添加物を加え
たものを基材として用いた紐状の製剤における揮発性化
合物の残存揮発性化合物の濃度と、1日の揮発性化合物
の放出量をプロットしたものである。この場合の揮発性
化合物の拡散係数Dは、4×10-7[cm2/Hr]という低い
値を有しており、揮発性化合物の減少速度は小さく、そ
れゆえ、1日の揮発性化合物の放出量も十分に小さいも
のとなっている。そして、この場合も、初期において、
その放出量は大きく、日数の経過とともにその放出量
は、指数関数的に減少している傾向を確認することがで
きる。
【0051】そこで、本発明者らは、1日の揮発性化合
物の放出量を一定とするために、拡散係数の異なる基材
を用いて構成した製剤を設計した。その具体的な構成
は、異なる拡散係数を有する基材となるべき材料を用
い、拡散係数の大きな値を有する基材を、拡散係数の小
さな基材を用いて取り巻いたものである。
【0052】図7に、製剤からの残存濃度の変化の理想
的な減少速度および理想的な1日の放出量の一例を示し
た。この製剤の大きさは、紐状の形状であり代表径すな
わち平均直径が2.6mmであり、長さは20cm、そして
揮発性化合物の含有濃度は5.4%とした。この結果、
揮発性化合物の含有量は75mgである。
【0053】本発明の製剤の基材内側部分は、揮発性化
合物の拡散係数が、1×10-6[cm2/Hr]〜1×10-3[c
m2/Hr]である。拡散係数が1×10-6[cm2/Hr]より小さ
い場合には、十分な揮発性化合物の拡散速度を得ること
ができなくなり、所望の放出速度を得ることができなく
なる。さらに、拡散係数が1×10-3[cm2/Hr]より大き
い場合には、その拡散速度の大きさを抑制するために基
材外側部分の厚みを相当に厚くする必要がある。その結
果、得られる製剤の放出速度は、外側部分の拡散速度に
よって決定づけられてしまい、目的とする一定の放出速
度を与えることができなくなってしまう。
【0054】基材内側部分の拡散係数の好ましい範囲
は、2×10-6[cm2/Hr]〜2×10-4[cm2/Hr]の範囲で
あり、さらに好ましい範囲は、5×10-6[cm2/Hr]〜1
×10 -4[cm2/Hr]の範囲である。
【0055】また、本発明の製剤の基材外側部分は、揮
発性化合物の拡散係数が、基材内側部分の拡散係数に対
して1/5以下、1/10000以上である。外側部分
の拡散係数が1/5よりも大きい場合には、基材の内側
部分と外側部分との間で揮発性化合物に対する拡散速度
に大きな差が生じず、その結果、目的とする長期にわた
る一定の放出速度を得ることができなくなってしまう。
また、逆に、外側部分の拡散係数が、1/10000よ
り小さい場合には、外側部分における拡散によって揮発
性化合物の放出が大きく制限を受け、極めて小さな放出
速度しか得られず、所望の長期に渡る一定の放出速度が
得られない結果となってしまう。
【0056】基材外側部分の拡散係数の好ましい範囲
は、内側部分の拡散係数に対しての1/8以下、1/1
000以上、さらに好ましくは、1/10以下、1/1
00以上である。
【0057】内側部分の径と外側部分の厚みの比につい
ては、揮発性化合物の種類や外部環境、製剤の形状等に
応じて適宣決定することができる。その傾向について
は、内側部分の拡散係数と外側部分の拡散係数との差が
大きい場合には、外側部分の厚みは薄くてもよく、内側
部分の拡散係数と外側部分の拡散係数との差が小さい場
合には、外側部分の厚みは厚い方が放出制御の観点から
は好ましい結果となる。内側部分と外側部分の拡散係数
が異なるものを試行錯誤しながら良好な系を見いだすこ
とは大変に難しい。そこで、本発明における方程式群を
用いたシミュレーションが大きな効果を発揮するのであ
る。
【0058】本発明の徐放性製剤の形状は、大きくわけ
て3つに分類することができる。1つは、内側の基材が
外側の基材によって取り巻くように被覆されている紐状
の形状を有しているものである。この場合には、紐状製
剤の末端、いわゆる紐の端においては被覆されていな
い。2つ目のものは、内側の基材が外側の基材によって
完全に被覆されているものである。そして3つ目のもの
は、内側の基材が外側の基材によって被覆されているシ
ート状の製剤であり、この場合にはシート状の端部にお
いて被覆されていない。
【0059】内側の基材が外側の基材によって取り巻く
ように被覆されている紐状の形状を有しているものの一
例を図6に示す。このような系においても、式(1)お
よび式(2)を用いて表現することができる。これを、
内側部分の大きな拡散係数をD1 とし、外側部分の小さ
な拡散係数をD2 とすると、次のように表現することが
できる。すなわち、 拡散方程式 ∂C/∂t=D1 (∂2 C/∂r2 +1/r*∂C/∂r) 内側部分 ∂C/∂t=D2 (∂2 C/∂r2 +1/r*∂C/∂r) 外側部分 初期条件 C=Cinit 境界条件 ∂C/∂r=−F(C−Catm ) : r=R Cinit :初期における揮発性化合物濃度 D1 :内側部分の大きな拡散係数 D2 :外側部分の小さな拡散係数 となる。
【0060】紐状の形状を有している製剤について、そ
の末端部分(紐の端)は基材外側部分で被覆されていな
いので、拡散係数の大きな内側部分の基材からの揮発性
化合物の放出が著しく速くなってしまうが、紐状の製剤
の平均直径に対して、紐の長さを十分に長くとれば、そ
の末端からの揮発性化合物の放出は、製剤全体の放出量
からすればほとんど無視できる程度とすることができ
る。
【0061】従って、紐状製剤の平均直径に対して、長
さを10倍以上とることにより、紐状製剤の末端からの
放出量は全体の放出量に比較してわずかなものであると
して無視することができるようになる。この結果、本発
明の目的とする長期に渡る一定の放出速度を得ることが
可能になるのである。長さについては、長い分について
はその放出速度の観点からみて何の問題もない。しか
し、この長さの直径に対する比が10倍よりも小さい場
合においては、紐状製剤の末端からの放出速度が無視で
きないほどに大きくなり、長期に渡る一定の放出速度を
得ることが困難になってしまう。紐状製剤の長さは、好
ましくは紐状製剤の平均直径に対して50倍以上であ
り、さらに好ましくは100倍以上である。
【0062】さらに、外側部分の基材の厚みが、製剤自
身の平均直径の1/100以上、1/4以下であること
が好ましい。そして、より好ましくは基材の厚みが、製
剤自身の平均直径の1/70以上、1/7以下であり、
さらに好ましくは、1/50以上、1/10以下であ
る。外側部分の厚みが、製剤自身の平均直径の1/10
0より小さい場合においては、内側基材に含有される揮
発性化合物の放出速度を十分に抑制することが困難にな
り、従って、目的とする長期に渡る一定の放出速度を得
ることが困難になってしまう。さらに、外側部分の厚み
が、製剤自身の平均直径の1/4より大きい場合におい
ては、製剤からの放出速度が、外側部分の基材の拡散係
数によって制限を受ける結果となってしまい、この場合
においても目的とする長期に渡る一定の放出速度を得る
ことができない。
【0063】なお、紐状製剤の平均直径は、0.01cm
以上、3cm以下であることが好ましい。より好ましく
は、紐状製剤の平均直径が0.03cm以上、1.0cm以
下であり、さらに好ましくは、紐状製剤の平均直径が
0.05cm以上、0.5cm以下である。
【0064】平均直径が0.01cmよりも短い場合に
は、その製造において均一に揮発性化合物を含有させる
ことが困難になってしまう。さらに、平均直径が3cmよ
りも大きい場合には、紐状として扱うことが困難にな
り、実用的でない。さらに、このように大きな半径を有
する場合においては、末端からの放出が、たとえその長
さを長くしても無視することが難しくなってしまう。
【0065】さらに、紐状製剤の形状については、円柱
形状でなく、直方体形状のものであって、三角柱形状の
ものであってもよい。
【0066】次に、内側部分の基材が、外側部分の基材
によって完全に覆われた構造を有している場合において
は、その形状についての制限は特にない。しかし、その
代表的なものは球体である。さらに、ペレットなどでも
良い。
【0067】球形のものについては、下記に示す方程式
群を用いることにより、容易にシミュレーションするこ
とができる。図8は球形座標モデルであり、先に述べた
円柱型座標モデルとほぼ同様であり、拡散係数や表面放
散速度係数およびパラメーターも同様である。すなわ
ち、 拡散方程式 ∂C/∂t=D1 (∂2 C/∂r2 +2/r*∂C/∂r) 内側部分 ∂C/∂t=D2 (∂2 C/∂r2 +2/r*∂C/∂r) 外側部分 初期条件 C=Cinit 境界条件 ∂C/∂r=−F(C−Catm ) : r=R Cinit :初期における揮発性化合物濃度 D1 :内側部分の大きな拡散係数 D2 :外側部分の小さな拡散係数 となる。
【0068】しかし、本発明における目的とする、長期
に渡る一定の放出速度を得るためには、機材の外側部分
の厚みが、製剤自身の平均外径の1/100以上、1/
4以下であることが好ましい。より好ましくは、製剤自
身の平均外径の1/70以上、1/7以下であり、さら
に好ましくは、1/50以上、1/10以下である。
【0069】外側部分の厚みが、製剤自身の平均外径の
1/100より小さい場合においては、また、製剤自身
の平均外径の1/4より大きい場合においては、紐状の
製剤と同様に目的とする長期に渡る一定の放出速度を得
ることができない。なお、完全に被覆された製剤におけ
る平均外径は、0.01cm以上、10cm以下であること
が好ましい。より好ましい製剤の平均外径は、0.03
cm以上、7cm以下であり、さらに好ましくは、0.05
cm以上、5cm以下である。
【0070】また、シート状の基材内側部分を、その平
面部分の両面から基材外側部分によって覆われた構造を
有しているシート状の製剤においては、下記に示す方程
式群を用いることにより、同様にシミュレーションする
ことができる。図9は平板型座標モデルであり、先に述
べた円柱型座標モデルとほぼ同様であり、拡散係数や表
面放散速度係数およびパラメーターも同様である。すな
わち、 拡散方程式 ∂C/∂t=D1 (∂2 C/∂r2 ) 内側部分 ∂C/∂t=D2 (∂2 C/∂r2 ) 外側部分 (r=0は、シート内側部分の中心点である) 初期条件 C=Cinit 境界条件 ∂C/∂r=−F(C−Catm ) : r=R ∂C/∂r=−F(C−Catm ) : r=−R Cinit :初期における揮発性化合物濃度 D1 :内側部分の大きな拡散係数 D2 :端部分の小さな拡散係数 となる。
【0071】また、シート状の製剤は、シート状の基材
内側平面部分の上下を、同じく基材外側部分のシートに
てサンドイッチした構造になっているのである。このと
き、シート状製剤の平面部分の縦方向および横方向の短
い方の長さが、シート状の製剤の平均厚みの20倍以上
であることが好ましい。より好ましくは、50倍以上で
あり、さらに好ましくは100倍以上である。但し、上
限については、特に制限はない。
【0072】さらに、シート状製剤において、長期に渡
る一定の放出速度を得るためには、該基材内側部分を覆
う該基材外側部分の平均厚みが、製剤自身の平均厚みの
1/100以上、1/4以下であることが好ましい。よ
り好ましくは、基材厚みが製剤自身の平均厚みの1/7
0以上、1/7以下であり、さらに好ましくは、1/5
0以上、1/10以下である。
【0073】シート状製剤の平均厚みは、0.01cm以
上、1cm以下であることが好ましい。より好ましくは、
0.03cm以上、0.7cm以下であり、さらに好ましく
は、0.05cm以上、0.5cm以下である。
【0074】本発明の徐放性製剤は、ポリ乳酸、揮発性
化合物、添加物、必要に応じて無機物を添加し、混合、
混練、製剤としての適当な形状に成形することにより得
られる。かかる徐放性製剤は例えば以下の成形加工法に
より製造することができる。 混合、混練 基材を製造する方法は、公知公用の混練技術、例えば、
ヘンシェルミキサー、リゴンブレンダー等で各原料を固
体状で混合させたり、また押し出し機等を用いてポリマ
ーを溶融させながら混練させる方法を採用することがで
きる。 成形 本発明の徐放性製剤の形状は、前記したように紐状、球
形、ペレット状、シート状のものが用いられる。これら
の形状を有する製剤の製造に関しては、その形状の応じ
た製造方法を用いることができる。本発明の徐放性製剤
は、基材の内側部分と外側部分の拡散係数が異なること
が特徴である。そのため、まず内側部分を製造し、外側
部分を被覆する要領にて製造することが可能である。
【0075】紐状の製剤については、すなわち、拡散係
数の大きな値を有する紐状の内側部分をまず形成する。
この方法は、通常の押し出し成形法によるものである。
この紐状の内側部分を巻き取り、内側部分材料とする。
この内側部分材料を送り出し装置と巻き取り装置にはさ
んで使用するが、その途中に外側部分を形成するための
押し出し機とクロスヘッドダイを設け、内側部分材料が
このクロスヘッドダイを通過する際に外側部分を形成す
るのである。この外側部分は、拡散係数がより小さい構
成となっている。このようにして、紐状の拡散係数の異
なる2種の材料からなる製剤を作製することができるの
である。
【0076】拡散係数の異なる球状の製剤についても、
同様に作製することが可能である。この場合、いくつか
の作製方法があり得る。その代表的なものとしては、球
型の内側部分を作製後、流動層を用いてのコーティング
である。まず、拡散係数の大きな球型の内側部分を作製
する。内側部分の作製は、押し出し成形によりダイ面で
紐状に加工されたものを、冷却カットすることにより得
られる。ついで、この内側部分を流動層中にホッパーな
どを介して投入し、コーティングを行う。流動層内部で
は、窒素ガスもしくは空気等を用いた下からのガス流に
よって上昇気流が形成されており、この上昇気流によっ
て内側部分が流動状態になっている。また上昇気流とは
別に、被覆部(外側部分に相当する)となる材料を溶剤
に溶かしたものも下から吹き上げられている状態となっ
ており、被覆部となる材料が基材に付着するとともに溶
剤が気化することにより、被覆部を形成していくのであ
る。但し、この方法の場合には、揮発性化合物と溶剤と
の揮発性能に留意する必要がある。また、この方法はペ
レット状の製剤を製造する時にも用いることができる。
【0077】また、球状の製剤を製造するにあたり、転
動コーティング法を用いることも可能である。この場合
にも基材として用いるのは、拡散係数の大きな材料であ
る内側部分を転動コーティング装置内で転動させている
状態において、被覆部にあたる外側部分の材料を溶剤に
溶かしたものを吹きつけていくことによりコーティング
を行うものである。
【0078】シート状の製剤を製造する方法としては、
ラミネートフィルムを形成することにより行うことがで
きる。例えば、Tダイから出たフィルムがまだ熱いうち
に、加圧ロールにより貼り合わせることにより行うこと
が可能である。さらに詳しく述べると、一枚の内側部分
に位置するシートに、それぞれ別に成形した外側部分の
2枚のシートを上下に貼り合わせることにより行うこと
が可能となるのである。
【0079】本発明の徐放性製剤においては、揮発性化
合物は、内側部分の製造の際に内側部分の基材に混合さ
せておくことが好ましい。また、外側部分の基材に混合
させておいてもよい。さらに、その両側に混合させてお
くことがさらに好ましい。以上のようにして、それぞれ
の形状に応じた製造方法を用いることができる。
【0080】
【実施例】以下、本発明の実施例を詳細に説明する。 (実施例1)揮発性化合物としてイソペンチルアミン−
β−メチルブタンを用いた。このイソペンチルアミン−
β−メチルブタンはある種の昆虫の雄のみを誘引するア
ミド化合物系の揮発性化合物である。さらに、基材とし
て生分解性高分子化合物として、三井化学株式会社製ポ
リ乳酸ホモポリマー商品名レイシア(分子量13万、以
下、PLAと略す)を使用した。さらに、ブロッキング
防止剤として、二酸化珪素を8.6 %含有させることにし
た。これが全体として基材としての主要部分になる。
【0081】また添加物として加えたものは、三井化学
株式会社製ポリエチレングリコール分子量4000(以
下PEG4000と略す)と、協和醗酵工業株式会社製
アセチルクエン酸トリブチル(以下ATBCと略す)を
使用した。
【0082】これらの物質を、PLA/二酸化珪素/P
EG4000/ATBC/揮発性化合物=60.2/8.6 /
17.2/8.6 /5.4 の割合で混合したものを、ボール数1
00個のボールミルによる混合を30分間実施した。次
いで、均一になった放出制御体の原料粉体を押し出し成
形機ラボプラストミル(2軸(25mmφ)、ダイス1穴
(4.0mmφ)で押し出し成形し、紡糸用巻き取り機で
巻き取った。
【0083】できあがった農薬製剤は直径2.8mmであ
った。この農薬製剤を長さ20cmに切り取り放出量の測
定用サンプルとした。さらに、この製剤を設定温度を3
0℃、平均風速を0.3m/sec に設定した送風乾燥機に
設置し、経時的に揮発性化合物残存量を測定して得た残
存率の経時変化結果を図10に示す。
【0084】日数経過に応じて順当に揮発性化合物が減
少していることが分かる。そして80日経過後におい
て、残存揮発性化合物濃度は初期値の39%であった。
この結果、実施例1で用いた製剤は相当量の揮発性化合
物を残有させるものであり、揮発性化合物に対する拡散
係数が小さい物質であることが予想された。
【0085】さらに、以下に与えられた方程式群を用い
て、シミュレーションを行うことにより、図10に示す
実測値の変化を十分に満足する拡散係数Dと表面放散速
度係数Fを求めた。 拡散方程式 ∂C/∂t=D(∂2 C/∂r2 +1/r*
∂C/∂r) 初期条件 C=Cinit 境界条件 ∂C/∂r=−F(C−Catm ) Cinit :初期における揮発性化合物濃度
【0086】その結果、図11に示す実測値を満足する
拡散係数と表面移動係数の組み合わせは、拡散係数D=
1×10-6[cm2/Hr]、表面放散速度係数F=0.003
[1/cm]であった。さらに、このようにして得られた拡散
係数と表面放散速度係数の組み合わせから計算される1
日の揮発性化合物の放出速度をシミュレーションにより
示した結果が、図12である。得られた結果を基に最初
の1日目の放出量は、4.27 [mg/day] であり、10日目
の放出量は、0.92 [mg/day] であり、さらに80日目の
放出量は、0.24 [mg/day] であった。
【0087】(実施例2)揮発性化合物として、N−2
−メチルブチル−1−メチルプロピルアミドを実施例1
と同じく用いた。さらに、基材として生分解性高分子化
合物として、実施例1と同じく、PLA(分子量13
万)を用い、同様にブロッキング防止剤として、SLC
を8.6 %含有させた。添加物として実施例1と同様のも
のを用いた。これらの物質を、PLA/二酸化珪素/P
EG4000/ATBC/揮発性化合物=56.8/8.6 /
17.2/12.0/5.4 の割合で混合したものを、ボール数1
00個のボールミルによる混合を30分間実施した。こ
の場合においても、実施例1と同じように、30℃の雰
囲気にて揮発性化合物の放散特性を確認するための残存
率の測定を行った。結果を図13に示す。
【0088】日数経過に応じて揮発性化合物が減少して
いるがその減少速度は実施例1に比較して極めて早いも
のであることが分かる。そして80日経過後において、
残存揮発性化合物濃度はほとんど0%であった。
【0089】この場合についても、実施例1と同様に、
与えられた方程式群を用いて、拡散係数Dと表面放散速
度係数Fの組み合わせを求めると、得られた値として、
拡散係数D=1×10-5[cm2/Hr]、表面放散速度係数F
=0.003[1/cm]が与えられた。このシミュレーショ
ン結果は同じく図13に示している。
【0090】以上の結果を基に、1日の放出量を求める
と、図14のようになった。得られた結果を基に最初の
1日目の放出量は、7.19 [mg/day] であり、10日目の
放出量は、2.22 [mg/day] であり、さらに80日目の放
出量は、0.04 [mg/day] であった。
【0091】(実施例3)実施例1および実施例2によ
って与えられたそれぞれの基材を用いるものとし、それ
ぞれの基材を用いて得られた拡散係数と表面放散速度係
数を用いて、同じ揮発性化合物を用いた製剤のモデルを
作製し、与えられた条件におけるシミュレーションを実
施した。製剤として選んだ構成は、図15に示してい
る。
【0092】製剤には、実施例2において示された直径
1.6[mm]の内側部分と、内側部分を取り巻く外側部分
として、実施例1において示されたものを用い、製剤の
直径は2.6[mm]とした。その形状を図15に示す。内
側部分における基材の拡散係数はD=1×10-5[cm2/H
r]であり、外側部分における基材の拡散係数はD=1×
10-6[cm2/Hr]である。この設計した製剤の揮発性化合
物の残存濃度の時間変化および1日あたりの放出量をシ
ミュレーションにより求めた結果を図16に示してい
る。
【0093】この場合、その放出量は、極めて安定して
おり、その放出特性は、図6に示したものに近く、理想
的な放出特性を有しているということができる。初日に
おける放出量は、0.94 [mg/day] であり、10日目にお
ける放出量は0.67 [mg/day]である。さらに80日目に
おける放出量は0.37 [mg/day] となっており、放出試験
開始直後における放出量の抑制により、初期における揮
発性化合物の放出を抑制し、かつ長期に持続できること
を示したものである。
【0094】この製剤は、外側部における基材の拡散係
数が小さいために、製剤の表面とその内部における残存
揮発性化合物濃度に大きな勾配が生じている。しかし、
内部の基材は大きな拡散係数を有しているために、内部
における残存揮発性化合物の濃度勾配はほとんどない状
態となっている。
【0095】つまり、揮発性化合物は、製剤の被覆部分
が外部に放出するための抵抗層となって存在し、その結
果、放出速度が一定となるように制御されているのであ
る。この製剤は、長期にわたり極めて安定して、ほぼ等
量の揮発性化合物を放出し続けることが可能であること
が確認できた。本例では、内側部分の基材の拡散係数を
D=1×10-5[cm2/Hr]とし、外側部分の基材の拡散係
数をその1/10とすることにより、放出速度を一定に
できることをシミュレーションにより確認した。
【0096】
【発明の効果】本発明の放出制御製剤は、ポリ乳酸と添
加物とから構成される基材と、誘引作用、忌避作用また
は殺傷作用を有する揮発性化合物とからなり、揮発性化
合物の放出速度を制御する機能を有したものであり、農
業従事者の作業の効率化、簡素化に極めて優れた性能を
発揮するものである。
【0097】また、本発明の製剤は、生分解性高分子を
基材とし、生分解性を有するものを添加物としたもので
あるため、使用期間を過ぎた後に微生物などに分解さ
れ、製剤としての形状を残さず回収する必要がないた
め、経済的であり、環境を汚染しないものである。
【0098】さらに、本発明の製剤は、揮発性化合物の
放出速度を一定にすることが可能であり、従来のものに
比較して、初期における放出速度を抑制する結果、無駄
な揮発性化合物の放出を極力低下させることが可能とな
る。これらの揮発性化合物は高価なものが多く、揮発性
化合物の含有量を低下させることができれば、大幅なコ
ストダウンが可能になる。
【0099】このように、本発明の製剤は、その持続
性、地球環境に与える影響を極力小さくすることができ
ると同時に、製剤自身の大幅なコストダウンを可能にす
ることができ、工業的にも極めて価値の高いものであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】EVAを基材として用いた製剤の揮発性化合物
の残存濃度変化を示す図
【図2】本発明でシミュレーションに用いた円柱座標の
モデル図
【図3】図1に示した系の残存濃度変化の実測値(〇
印)と円柱座標モデルを用いて、シミュレーションを行
った結果(実線)を示す図
【図4】図1に示した系の1日の放出量を示す図
【図5】(a)PLAを主体とした基材を用いた製剤の
揮発性化合物の残存濃度変化の実測値(×印)と円柱座
標モデルを用いてシミュレーションを行った結果(実
線)を示す図 (b)揮発性化合物の1日の放出量を示す図
【図6】本発明でシミュレーションに用いた円柱型座標
のモデル図
【図7】(a)放出速度を一定に保つ、揮発性化合物の
理想的な残存濃度変化を示す図 (b)揮発性化合物の理想的な1日の放出量の変化を示
す図
【図8】本発明でシミュレーションに用いた球体座標の
モデル図
【図9】本発明でシミュレーションに用いた平板座標の
モデル図
【図10】実施例1におけるPLAを主体とした製剤の
残存濃度変化の実測値を示す図
【図11】実施例1における製剤の残存濃度変化の実測
値(□印)と、実施例1における結果をもとに、揮発性
化合物の残存濃度変化のシミュレーションを行った結果
を示す図
【図12】実施例1における結果をもとに、拡散係数D
=1×10-6[cm2/Hr]、表面物質移動係数F=0.00
3[1/cm]の条件で、揮発性化合物の1日の放出量の変化
のシミュレーションを行った結果を示す図
【図13】実施例2における製剤の残存濃度変化の実測
値(□印)と、実施例2における結果をもとに、揮発性
化合物の残存濃度変化のシミュレーションを行った結果
を示す図
【図14】実施例2における結果をもとに、拡散係数D
=1×10-5[cm2/Hr]、表面放散速度係数F=0.00
3[1/cm]の条件で、揮発性化合物の1日の放出量の変化
のシミュレーションを行った結果を示す図
【図15】実施例3において設計した揮発性化合物を含
有する製剤の形状を示す図
【図16】(a)基材の内側部分が拡散係数D=1×1
-5[cm2/Hr]、表面放散速度係数F=0.003[1/cm]
の条件で、外側部分が拡散係数D=1×10-6[cm2/H
r]、表面放散速度係数F=0.003[1/cm]の条件で、
揮発性化合物の残存濃度変化のシミュレーションを行っ
た結果を示す図 (b)揮発性化合物の1日の放出量の変化のシミュレー
ションを行った結果を示す図

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 室温大気中にて揮発性を有しかつ生物に
    対して誘引効果、忌避効果または殺傷効果を有する揮発
    性有機化合物と、ポリ乳酸と添加物とから構成される基
    材とからなる徐放性製剤において、該揮発性有機化合物
    の拡散係数が1×10-6〜1×10-3[cm2/Hr]の範囲に
    ある基材内側部分と、該基材内側部分を覆う一定の厚み
    を有する、該揮発性有機化合物の拡散係数が該基材内側
    部分の拡散係数に対して1/5以下、1/10000以
    上である基材外側部分とからなることを特徴とする徐放
    性製剤。
  2. 【請求項2】 製剤が、基材内側部分を基材外側部分が
    取り巻く紐状の形状を有し、該紐状の製剤の長さが、該
    紐状の製剤の平均直径の10倍以上であり、かつ、該基
    材外側部分の厚みが、該平均直径の1/100以上、1
    /4以下であることを特徴とする請求項1に記載の徐放
    性製剤。
  3. 【請求項3】 紐状の製剤の平均直径が、0.01cm以
    上、3cm以下であることを特徴とする請求項2に記載の
    徐放性製剤。
  4. 【請求項4】 製剤が、基材内側部分を基材外側部分で
    完全に被覆する形状を有し、該基材外側部分の厚みが、
    該製剤の平均外径の1/100以上、1/4以下である
    ことを特徴とする請求項1に記載の徐放性製剤。
  5. 【請求項5】 製剤の平均外径が、0.01cm以上、1
    0cm以下であることを特徴とする請求項4に記載の徐放
    性製剤。
  6. 【請求項6】 製剤が、シート状の基材内側部分の両面
    を、シート状の基材外側部分で覆う形状を有し、該シー
    ト状製剤の平面部分の縦方向および横方向の短い方の長
    さが、シート状の製剤の平均厚みの20倍以上であり、
    かつ、該基材外側部分の平均厚みが、該製剤の平均厚み
    の1/100以上、1/4以下であることを特徴とする
    請求項1に記載の徐放性製剤。
  7. 【請求項7】 シート状製剤の平均厚みが、0.01cm
    以上、1cm以下であることを特徴とする請求項6に記載
    の徐放性製剤。
  8. 【請求項8】 添加物が、リン酸エステル類、フタル酸
    エステル類、脂肪族カルボン酸エステル類、脂肪族アル
    コールエステル類、ヒドロキシ多塩基酸エステル類、エ
    ポキシ系動植物油、ポリアルキレングリコール類、ポリ
    カプロラクトンあるいはポリブチレンサクシネートの中
    から選ばれた1種あるいは2種以上であることを特徴と
    する請求項1〜7のいずれかに記載の徐放性製剤。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2003051112A1 (en) * 2001-12-19 2003-06-26 Exosect Limited Pest control device comprising a degradable material incorporating a pest control material
US7378394B2 (en) 2003-06-18 2008-05-27 Galenisearch, Laboratories Sustained-release microparticle preparation of human growth hormone and process for producing thereof
US8313767B2 (en) 2003-06-18 2012-11-20 Independent Administrative Institution, National Institute For Materials Science Drug-containing sustained release microparticle, process for producing the same and preparation containing the microparticle
CN108477293A (zh) * 2018-03-30 2018-09-04 山东省农药检定所 一种蒜薹保鲜烟剂

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