JPH084779B2 - グラブ・ポンプ浚渫船の浚渫土砂中障害物除去装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はグラブ・ポンプ浚渫船において、浚渫土砂の
ポンプ輸送に支障をきたさないように、グラブバケット
によって浚渫した土砂中から夾雑物や岩石等の障害物を
除去するための装置に関する。

（従来の技術） 従来、ダムの水底に堆積した土砂の浚渫において、浚
渫した土砂をポンプ輸送する方法が採用されており、そ
の際にはポンプ輸送に支障を来たす障害物を除去する必
要があり、その際の障害物を選別し、移動させる方法に
は次の如き方法がある。

まず選別方法としては、水平或いは傾斜をもたせた
固定グリズリを使用する方法、グリズリに振動を与え
る振動グリズリを使用する方法、網状の回転体による
トロンメルを使用する方法、小塊を対象にした振動ふ
るいを使用する方法等がある。

また、残った障害物を移動させる方法としては、グ
リズリ等に傾斜をつけておき、これに振動を与えて移動
させる方法、フィーダー自体を移動させる方法等があ
る。

（発明が解決しようとする問題点） しかし、ダムの堆積土砂中には、木根、幹、小枝等の
様々な形状及び重さの沈木が混在しており、選別機のグ
リズリバーや網目に複雑かつ、不規則に嵌り込み、この
ため、その排除作業が困難となり障害物の除去に多大の
労力を要し、浚渫の作業能率を低下させるという問題が
あった。

また、仮に、グリズリバー或いは網目の透過間隙を大
きくすると、嵌り込だ沈木の除去はある程度容易である
が、透過した土砂中に中小の沈木が混ざることとなり、
ポンプ輸送に弊害をもたらすという問題がある。

本発明は、このような従来の問題に鑑み、沈木や岩石
等の障害物を、自動的にしかも、的確に除去することの
できるグラブ・ポンプ浚渫船の浚渫土砂中障害物除去装
置の提供を目的としたものである。

（問題点を解決するための手段） このような従来の問題を解決し、所期の目的を達成す
るための本発明の特徴とするところは、グラブバケット
によって浚渫した土砂を水とともにポンプ輸送するグラ
ブ・ポンプ浚渫船の浚渫土砂投入ホッパー上に、選別格
子が設けられ、前記選別格子上にはその上面に沿って移
動しつつ格子表面を掻き取るロータリースクレーパが設
けられ、前記選別格子は前記ロータリースクレーパの移
動方向に対し直交する向きにスプリングを介してワイヤ
ーロープを複数本平行に張って形成されたワイヤースク
リーンと、前記ワイヤースクリーン上に前記ロータリー
スクレーパの移動方向に対し平行する向きにグリッドバ
ーを複数本平行に架設して形成されたグリッドバースク
リーンとからなるグラブ・ポンプ浚渫船の浚渫土砂中障
害物除去装置に存する。

（作 用） この装置は、グラブバケットによって浚渫した土砂
を、選別格子上に投下すると、該選別格子の間隙より小
さい土砂は落下され、これより大きい岩石や沈木等の障
害物は該選別格子上に残される。

また、選別格子上の障害物は、ロータリースクレーパ
を回転させつつグリッドバースクリーン上でグリッドバ
ーの長手方向に沿って移動させることにより掻き取られ
て排除される。このとき、グリッドバースクリーンとワ
イヤースクリーンとがなす格子の目に突き差さっている
障害物は、ロータリースクレーパの回転ではね上げるこ
とにより抜き出され、ロータリースクレーパの移動で排
除される。ロータリースクレーパが障害物をはね上げる
とき、まず障害物はロータリースクレーパの移動でワイ
ヤーロープに押し付けられ、この状態で更にロータリー
スクレーパが移動を続けることによりワイヤーロープは
スプリングの作用で伸長すると同時に反力が生じ、障害
物の落下を防止しながら該障害物の水平移動を許容し、
その間にロータリースクレーパの回転により障害物は押
し上げられ、抜き出される。

（実施例） 次に、本発明の実施の一例を図面について説明する。

第１図に示すように、グラブ・ポンプ浚渫船の船体１
上にはクローラークレーン２が搭載され、このクローラ
ークレーン２にウインチ３を介してグラブバケット４が
吊り下げられ、このグラブバケット４を降下させて水底
の土砂を掘削し、船上に吊り上げて船体１の中央底部の
土砂投入ホッパー５上に投下するようにしている。

土砂投入ホッパー５内には土砂を水とともに撹拌し、
スラリー状にして吸引する吸引ヘッド６が挿入され、こ
の吸引ヘッド６により吸引したスラリーをポンプ７によ
って遠方に圧送するようにしている。

このように構成されるグラブ・ポンプ浚渫船の土砂投
入ホッパー５上にポンプ７による圧送に支障を来たす障
害物を除去するための障害物除去装置Ａが備えられてい
る。

以下に、この障害物除去装置Ａを第２図以下の図面に
ついて説明する。

この障害物除去装置Ａは上下配置に第１選別格子11と
第２選別格子12と第２の選別格子12上で移動しつつ障害
物13を掻き取るロータリースクレーパ14とを有してい
る。

第１選別格子11は第２図、第３図に示すように船体１
に立設した架台15上に支持させた方形状の転回枠16を有
しており、この転回枠16内に縦格子状にローラー状の多
数のグリッドバー17が互いに平行配置に一定間隔を隔
て、それぞれが回転自在に横架されている。このグリッ
ドバー17間の間隔は、大中の沈木や岩石が透過できない
が、ポンプ圧送に障害となる小塊は透過できる間隔にし
ている。また、転回枠16上にはバイブレータ18が固定さ
れている。尚、このバイブレータ18はなくても良い。

転回枠16は、その一方側の側縁が支軸19に固定されて
いる。支軸19は架台15上に軸受20により回転自在に支持
されており、両端に備えたギヤードモータ21によって回
転駆動されるようにしており、これによって転回枠16が
第３図に実線で示す位置から架線で示すように側方に転
回されるようにしている。

尚、転回枠16の駆動手段にはこの他、油圧シリンダー
を使用してもよい。

また、図示してないが、第１選別格子11は前述したロ
ーラー状のグリッドバー17の代りに角形又は丸形をした
グリッドバーを使用し、これを転回枠16内に格子状に、
或いは回転枠16の転回半径方向に向けてその両端を転回
枠16に堅牢な固定方法で取り付けてもよい。

第２選別格子12は、第１選別格子11下に配置されてい
るものであり、やや傾斜させた１対のガイドレール22間
にロータリースクレーパ14の移動方向に対し直交する向
きにスプリング23を介してワイヤーロープ24を複数本平
行に張って形成されたワイヤースクリーン25と、該ワイ
ヤースクリーン25上にロータリースクレーパ14の移動方
向に対し平行する向きにグリッドバー26を複数本平行に
架設して形成されたグリッドバースクリーン27とからな
っている。グリッドバー26はガイドレール22と一体の図
示しない支持体に支持されている。グリッドバー26とワ
イヤーロープ24のそれぞれの透過間隙は、第１選別格子
11を透過した小塊をも透過不能とし、下部にはポンプ圧
送に支障を来さない大きさの土砂のみが透過される間隔
としている。

グリッドバー26の上端側延長部には平板状のシュート
28がガイドレール22間に固定されている。

グリッドバー26の下端部からシュート28の上端部にか
けて前述したロータリースクレーパ14が往復移動するよ
うになっている。このロータリースクレーパ14は、各ガ
イドレール22上を走行する１対の台車29を、該台車29間
に掛け渡されて回転するロータリースクレーパ本体30と
から構成されている。ロータリースクレーパ本体30は、
軸31の外周に放射状に複数枚の回転翼32が突設された構
造になっている。

台車29は両ガイドレール22の外側に配置された１対の
チェーン33の駆動によって往復動作されるようになって
いる。また、ロータリースクレーパ本体30もチェーン33
の駆動により回転駆動されるようになっている。

チェーン33はスプロケット34a,34b間に掛け廻され、
スプロケット駆動軸35を速度調節可能な油圧モータ36に
より回転駆動させることによって動作されるようにして
いる。

尚、台車29とロータリースクレーパ14の移動及び回転
駆動手段はこの他油圧シリンダーを使用してもよい。

尚、図中37は洗浄水噴射ノズルであり、これより高圧
で大量の水を噴射させ、第１及び第２選別格子11,12上
に堆積した土砂の格子間通過を促進させるようにしてい
る。

このように構成される障害物除去装置Ａにおいて、グ
ラブバケット４から投下された浚渫土砂は、第１選別格
子11のグリッドバー17上にてバイブレータ18によって振
動が与えられ、大中塊の障害物がグリッドバー17上に残
され、小塊を含む土砂が下方に投下される。

第２選別格子12では、グリッドバースクリーン27及び
ワイヤースクリーン25上に小塊や木片等の障害物13が残
され、ポンプ圧送に障害とならない大きさの土砂のみ
が、下方の土砂投入ホッパー５内に投入される。

一方、第１選別格子11のグリッドバー17上に残った沈
木等の夾雑物や大中の岩石等の障害物は、第１選別格子
11を支軸19を中心にして転回させることにより、シュー
ト28上に投下される。このとき、各グリッドバー17は回
転自在なロールにて構成されているためグリッドバー17
間に詰ることなくスムーズに落下される。

また、第２選別格子12上に残った障害物13は、ロータ
リースクレーパ14の移動により掻き取られてシュート28
上から別の運搬船（図示せず）に積み込まれて輸送され
る。

このとき、ワイヤースクリーン25とグリッドバースク
リーン27とがなす格子の目に突き差されている障害物13
は、ロータリースクレーパ本体30の回転ではね上げるこ
とにより抜き出され、ロータリースクレーパ14の移動で
排除される。ロータリースクレーパ本体30が障害物13を
はね上げるとき、まず障害物13は第５図に示すようにロ
ータリースクレーパ14の移動でワイヤーロープ24に押し
付けられ、この状態で更にロータリースクレーパ14が第
６図に示すように移動を続けることによりワイヤーロー
プ24はスプリング23の作用で寸法Ｌだけ伸長すると同時
に反力が生じ、障害物13の落下を防止しながら該障害物
13の水平移動を許容し、その間にロータリースクレーパ
本体30の回転により障害物13は押し上げられ、抜き出さ
れる。

なお、上記実施例では、第１選別格子11と第２選別格
子12とを共に用いたが、第２選別格子12のみを用いても
よい。

（発明の効果） 以上説明したように本発明に係るグラブ・ポンプ浚渫
船の浚渫土砂中障害物除去装置は、ワイヤースクリーン
とその上に配置したグリッドバースクリーンとを組み合
せた選別格子を用い、該選別格子上にはロータリースク
レーパが回転しつつ移動するようにし、且つワイヤース
クリーはロータリースクレーパの移動方向に対し直交す
る向きにスプリングを介しワイヤーロープを複数本平行
に張った構成としたので、障害物をこの選別格子により
土砂から分離でき、該選別格子上に残った障害物はロー
タリースクレーパ14の回転しつつの移動で掻き取って排
除することができる。また、該選別格子の目に突き差さ
っている障害物は、ロータリースクレーパの回転ではね
上げることにより抜き出し、ロータリースクレーパの移
動で排除することができる。特に選別格子は、それぞれ
スプリングを介して平行に張った複数のワイヤーロープ
よりなるワイヤースクリーンを用い、該ワイヤーロープ
はロータリースクリーンの移動方向に対し直交する方向
に張られているので、ロータリースクレーパが格子の目
に突き差さった障害物を抜き出すとき、まず障害物はロ
ータリースクレーパの移動でワイヤーロープに押し付け
られ、この状態で更にロータリースクレーパが移動を続
けることによりワイヤーロープはスプリングの作用で伸
長すると同時に反力が生じ、障害物の落下を防止しなが
ら該障害物の水平移動を許容し、その間にロータリース
クレーパの回転により障害物を押し上げて抜き出すこと
ができ、選別格子やロータリースクレーパを損傷させず
に、該選別格子の目に突き差さっている障害物の除去を
容易に行える利点がある。従って、本発明によれば、障
害物の形状や選別格子の目にはまり込んだ状態等に関係
なく、障害物の分類及び排除が的確かつ人手を要するこ
となく迅速になされることとなり、その作業性を著しく
向上させることができる。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施の一例を示すものであり、第１図は
グラブ・ポンプ浚渫船を示す側面図、第２図は障害物除
去装置の平面図、第３図は第２図中のIII−III線断面
図、第４図は第２選別格子の部分斜視図、第５図及び第
６図は第２選別格子の目に突き差さった障害物をロータ
リースクレーパで抜く過程を示す説明図である。 Ａ……障害物除去装置、１……グラブ・ポンプ浚渫船、
４……グラブバケット、５……土砂投入ホッパー、６…
…吸引ヘッド、７……ポンプ、11……第１選別格子、12
……第２選別格子、22……ガイドレール、23……スプリ
ング、24……ワイヤーロープ、25……ワイヤースクリー
ン、26……グリッドバー、27……グリッドバースクリー
ン、29……台車、30……ロータリースクレーパ本体、33
……チェーン、36……油圧モータ。

フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−97082（ＪＰ，Ａ) 実開 昭63−25179（ＪＰ，Ｕ) 特公 平６−54020（ＪＰ，Ｂ２)

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】グラブバケットによって浚渫した土砂を水
   とともにポンプ輸送するグラブ・ポンプ浚渫船の浚渫土
   砂投入ホッパー上に、選別格子が設けられ、前記選別格
   子上にはその上面に沿って移動しつつ格子表面を掻き取
   るロータリースクレーパが設けられ、前記選別格子は前
   記ロータリースクレーパの移動方向に対し直交する向き
   にスプリングを介してワイヤーロープを複数本平行に張
   って形成されたワイヤースクリーンと、前記ワイヤース
   クリーン上に前記ロータリースクレーパの移動方向に対
   し平行する向きにグリッドバーを複数本平行に架設して
   形成されたグリッドバースクリーンとからなるグラブ・
   ポンプ浚渫船の浚渫土砂中障害物除去装置。