JPH0847617A - 有害成分吸収除去方法および有害成分吸収除去装置 - Google Patents

有害成分吸収除去方法および有害成分吸収除去装置

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JPH0847617A
JPH0847617A JP6186023A JP18602394A JPH0847617A JP H0847617 A JPH0847617 A JP H0847617A JP 6186023 A JP6186023 A JP 6186023A JP 18602394 A JP18602394 A JP 18602394A JP H0847617 A JPH0847617 A JP H0847617A
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JP
Japan
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exhaust gas
calcium carbonate
incinerator
harmful components
carbonate particles
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JP6186023A
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Kazuteru Shinohara
一照 篠原
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MARUKOSHI ENG KK
Original Assignee
MARUKOSHI ENG KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 とくに小型の焼却炉等にも適した簡単な設備
で実施可能で、しかも排気中の有害成分を、二次公害を
おこすことなく確実に吸収除去できる有害成分吸収除去
方法と、その実施に適した有害成分吸収除去装置とを提
供する。 【構成】 方法は、炭酸カルシウム粒子に、燃焼炉から
排出される高温の排気を接触させて酸化カルシウムを生
成し、この酸化カルシウムを、排気中に含まれる有害成
分と反応させて吸収、除去する。装置は、燃焼炉の排気
部に接続される本体10内に、燃焼炉から排出される高
温の排気と接触可能な状態で、炭酸カルシウム粒子Tを
収容する反応室12を設けた。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、燃焼炉、とくに焼却
炉からでる排気中に含まれる有害成分を吸収し、除去す
る有害成分吸収除去方法と、その実施のための有害成分
吸収除去装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】焼却炉等から排出される排気中には、H
Cl等の塩素化合物、HF等のふっ素化合物、あるいは
SO2 、SO3 等のイオウ酸化物などの有害成分が含ま
れるが、これら有害成分は、大気汚染防止法によって大
気中への排出量が規制されており、この法律を遵守する
ためには、これら有害成分を排気中から除去しなければ
ならない。
【0003】排気中から上記各有害成分を除去する方法
としては、従来、排気を水酸化ナトリウム水溶液で洗浄
して中和する方法や、あるいは消石灰との反応を利用し
た方法が一般的である。このうち後者の、消石灰との反
応を利用した方法は、具体的には、上記各有害成分が、
消石灰の主成分である水酸化カルシウムCa(OH)2
と反応をし、それによって無害化されるとともに、排気
中から除去されることを利用したものである。この消石
灰との反応を利用した除去方法には、消石灰の微粉末を
排気ダクト内に吹き込んで混合しながら反応させる乾式
の方法と、消石灰を水に溶かした水溶液やスラリーを、
排気と接触させつつ反応させる湿式の方法とがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところが、排気を水酸
化ナトリウム水溶液で洗浄して中和する方法では、 燃焼炉からの高温の排気(600〜900℃程度)
を、上記水酸化ナトリウム水溶液と接触させるために1
00℃以下まで冷却する必要があり、そのために大量の
冷却水を必要とする、 大量の洗浄水を必要とし、それが反応生成物を含む
汚濁水となるため、この汚濁水を水質汚濁防止法に適合
するまで浄化するには、大掛かりな水処理設備が必要と
なる、 反応生成物は、二次公害の原因となる汚泥として取
り扱われるものであり、その処理が容易でない、等の問
題がある。
【0005】また、消石灰を利用した方法のうち前者の
乾式の方法の場合、 消石灰の微粉末の1粒ずつは、ごく僅かな量の有害
成分としか反応できず、しかも一度反応した微粉末は再
使用不可能であるため、消石灰の微粉末を多量に必要と
する、 微粉末状の消石灰を多量に貯留するには、外気を遮
断し、かつ吸湿防止対策を施したタンクを必要とするた
め、設備が大掛かりになる、 消石灰の微粉末は、上記のように再使用不可能であ
るため、排気中の有害成分の濃度および量に釣り合うだ
けの消石灰の微粉末を排気中に供給するには高度の技術
が必要であり、設備が大掛かりになる上、たとえ高度な
技術を利用しても、微粉末の供給量を完全にコントロー
ルするのは困難であり、その供給量が不足して、有害成
分が大気中に放出されるおそれがあって信頼性に欠け
る、 有害成分と反応した消石灰の微粉末自体が、大気汚
染等の二次公害のもとになる粉塵として扱われるもので
あり、これを排気中から確実に除去するには、有害成分
除去のための装置より大掛かりな、電気集塵機やバグフ
ィルター等が必要となる上、回収した粉塵の処理も容易
でない、 上記電気集塵機やバグフィルターは、300℃以上
の高温には耐えられないので、燃焼炉からの高温の排気
を、300℃以下に冷却する冷却機器が必要となり、さ
らに設備が大掛かりになる、等の問題がある。
【0006】さらに、消石灰を利用した方法のうち後者
の湿式の方法の場合は、基本的に、前記〜と同様の
問題を有する上、 反応生成物であるカルシウム塩が、たとえば排気ダ
クト内等に析出し、ダクトを詰まらせて焼却炉等の運転
を停止させるというトラブルを発生するおそれもある。
【0007】このため従来の除去方法はいずれも、比較
的小型のものが多い焼却炉には適しておらず、とくに小
型の焼却炉の排気は、大気汚染防止法の規制にも拘ら
ず、有害成分を含んだままで大気中に放出されているの
が現状である。この発明の目的は、排気中の有害成分
を、二次公害をおこすことなく、簡単かつ確実に吸収除
去できる有害成分吸収除去方法と、その実施のための有
害成分吸収除去装置とを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するための、この発明の有害成分吸収除去方法は、炭
酸カルシウム粒子に、燃焼炉から排出される高温の排気
を接触させて酸化カルシウムを生成させ、この酸化カル
シウムを、排気中に含まれる有害成分と反応させて、吸
収、除去することを特徴とするものである。
【0009】また、この発明の有害成分吸収除去装置
は、燃焼炉の排気部に接続される本体内に、燃焼炉から
排出される高温の排気と接触可能な状態で、酸化カルシ
ウム粒子を収容する反応室が設けられていることを特徴
とするものである。上記構成からなる、この発明の有害
成分吸収除去方法においては、炭酸カルシウム粒子が高
温の排気(600〜900℃程度)と接触すると、酸化
カルシウムCaOと炭酸ガスCO2 とを生成する。
【0010】CaCO3 →CaO+CO2 そして、上記反応により生成した酸化カルシウムCaO
が、前記各有害成分と、それぞれ下記反応式に示す反応
をして、これらの有害成分を無害化し、排気中から除去
する。 2HCl+CaO→CaCl2 +H2 O 2HF+CaO→CaF2 +H2 O SO2 +CaO→CaSO3 SO3 +CaO→CaSO4 しかも上記各反応生成物はいずれも、無害であるだけで
なく、種々の用途に使用される有用な物質である。たと
えば塩化カルシウムCaCl2 は、融雪剤として使用で
きる。したがってこの発明によれば、大気汚染等の原因
となる有害な成分から、有用な有価物を製造することが
できる。
【0011】また炭酸カルシウム粒子は、前記のように
酸化カルシウムCaOと炭酸ガスCO2 とを生成する際
に、多数の気泡による空隙が形成されて多孔質体とな
る。このため、酸化カルシウムの有害成分との接触面
積、すなわち反応表面積が、原料である炭酸カルシウム
粒子の数百倍以上になる。また多孔質体ゆえに、たとえ
ば活性炭のように、有害成分分子を内部に取り込む作用
を有する。
【0012】酸化カルシウムの反応は、600〜900
℃程度の高温域では、もはや化学反応率でなく、その表
面積の大小によって反応速度が支配されるため、上記の
ように反応表面積が大きい炭酸カルシウム粒子はきわめ
て反応性にすぐれ、活性度が高く、かつ反応速度が速
い。このため、消石灰の微粉末等に比べて比表面積の小
さい酸化カルシウムの粒子を使用しているにも拘らず、
有害成分を効率よく吸収し、排気中から除去することが
できる。
【0013】また炭酸カルシウムは、水酸化ナトリウム
の水溶液や消石灰の水溶液、あるいは消石灰の微粉末の
ように、二次公害のもとになる汚泥や粉塵を発生しな
い。したがって、それらの処理装置が不要であるととも
に、冷却機器も不要であり、有害成分除去のための設備
を簡略化できる。また、消石灰の水溶液や微粉末は1回
の処理で多量に消費されるのに対し、炭酸カルシウム粒
子は、上記のように所定の形状を有する粒子からなり、
しかも多孔質で、有害成分を内部まで行き渡らせる効果
にすぐれ、内部まで十分に反応できるため、長期間に亘
って繰り返し使用することが可能となる。このため、炭
酸カルシウムの粒子が、微粉末等の特殊な形態のものよ
り安価であることや、あるいは上記のように汚泥、粉塵
の処理装置、冷却機器等が不要であることと相まって、
ランニングコストが少なくてすむという利点もある。
【0014】一方、この発明の有害成分吸収除去装置
は、上記炭酸カルシウム粒子を、燃焼炉から排出される
高温の排気と直接に接触できる反応室を有しており、こ
の発明の有害成分吸収除去方法を実施するのに適してい
る。
【0015】
【実施例】以下にこの発明を、有害成分吸収除去装置の
一実施例を示す図面を参照しつつ説明する。図1(a)(b)
および図2に示すように、この実施例の有害成分吸収除
去装置1は、焼却炉Fの上面の排気口F1に直結された
下本体10と、この下本体10の上に接続された上本体
11とを備えている。また、上本体11の上には煙突C
が接続されている。
【0016】下本体10は、途中に大径部10aを備え
た略筒状に形成されており、この大径部10aの側面に
形成した開口10bから、炭酸カルシウム粒子Tを収容
した反応室12が、大径部10a内に挿入、配置されて
いる。反応室12は、その底板12aが、焼却炉Fから
の排気は通過させるが、炭酸カルシウム粒子Tは通過さ
せない網状になっているとともに、天板のない浅い箱状
に形成されており、その箱の側面の1つが、上記開口1
0bを閉じる蓋体12bになっている。
【0017】そして上記蓋体12bと、開口10bの縁
10cとをボルトbで固定することで、開口10bが閉
じられるとともに、反応室12が、下本体10の大径部
10a内に固定されている。上記反応室12は、ボルト
bを外すだけで、下本体10の大径部10aから引き出
すことができるので、炭酸カルシウム粒子Tを簡単に交
換できるという利点がある。
【0018】なお図中符号12cは、反応室12を下本
体10の大径部10aから引き出す際、あるいは挿入す
る際の把手である。反応室12に収容する炭酸カルシウ
ム粒子Tのサイズはとくに限定されないが、5〜20m
m程度であるのが好ましい。炭酸カルシウム粒子Tのサ
イズが5mm未満では、反応室12に収容した際に、各
消石灰粒子間の隙間が小さくなりすぎて、排気の通過を
妨げるおそれがある。逆に、炭酸カルシウム粒子Tのサ
イズが20mmを超えた場合には、比表面積が小さくな
りすぎて、とくに炭酸カルシウム粒子Tが十分に多孔質
化する以前の段階で、排気中の有害成分を十分に除去で
きなくなるおそれがある。
【0019】上本体11は、途中に径の小さいオリフィ
ス部11aを備えた筒状に形成されているとともに、そ
の下方に、略L字状のエアノズル13を、その先端が上
方、すなわちオリフィス部11aの方に向くように配置
したもので、図2に示すように、エアノズル13には送
風機Bが接続されている。上記上本体11は、送風機B
を運転して、エアノズル13の先端から、図1(a) 中に
一点鎖線の矢印で示すように、空気をオリフィス部11
aの方向に噴射し、それによって上下両本体10,11
内に上昇気流を発生させて、同図中に黒矢印で示すよう
に、焼却炉Fから、有害成分を含んだ高温の排気を排出
させるためのものである。
【0020】この上本体11においては、送風機Bから
の送風量を調整することで、焼却炉Fからの排気の排気
量、すなわち炭酸カルシウム粒子Tを通過する排気の質
量速度を制御することができる。上記各部からなる、こ
の実施例の有害成分吸収除去装置1を用いて、この発明
の有害成分吸収除去方法を実施して焼却炉Fからの排気
を処理するには、まず、送風機Bを運転するとともに、
焼却炉Fに点火する。
【0021】そうすると、上下両本体10,11内に上
昇気流が生じて、図1(a) 中に黒矢印で示すように、焼
却炉Fから、有害成分を含んだ高温の排気(600〜9
00℃程度)が排出される。そして、排出された高温の
排気は、反応室12において、炭酸カルシウム粒子Tと
接触し、前記反応式にしたがって炭酸カルシウム粒子T
が酸化カルシウムと炭酸ガスを生成して多孔質化すると
ともに、生成した酸化カルシウムによって各種有害成分
が吸収、除去された後、同図中に白矢印で示すように、
上本体11および煙突Cを通って大気中に放散される。
【0022】なお、この発明の構成は、以上で説明した
実施例には限定されない。たとえばこの発明の有害成分
吸収除去方法は、図の実施例の装置以外の装置を用いて
も実施可能である。要するにこの発明の方法は、炭酸カ
ルシウム粒子に、燃焼炉から排出される高温の排気を接
触させることができる、種々の構造の装置によって実施
することができる。具体的には、炭酸カルシウム粒子を
詰めた籠を燃焼炉の煙突に吊り下げるだけでも、この発
明の方法を実施することは可能である。
【0023】一方、この発明の有害成分吸収除去装置
は、焼却炉以外の燃焼炉に接続することができる。この
発明の装置は、燃焼炉の排気部に接続されていればよ
く、上記排気部としては、燃焼炉の排気口や、あるいは
排気口に接続された排気の経路等があげられる。つまり
この発明の有害成分吸収除去装置は、図の実施例のよう
に、焼却炉F(燃焼炉)の排気口F1に直結してもよい
が、排気口に接続されたダクトの途中に配置しても構わ
ない。
【0024】また図の実施例の装置では、下本体10に
対して引き出し、挿入可能な箱状の反応室12内に炭酸
カルシウム粒子Tを収容していたが、炭酸カルシウム粒
子Tの反応室12への収容方法は、これには限定されな
い。さらに図の実施例の装置は、上記反応室12を備え
た下本体10と、排気のための送風機Bが接続された上
本体11とで構成されていたが、たとえば排気のシステ
ムを備えた燃焼炉に、この発明の装置を組み込む場合に
は、上記上本体11は省略することができる。
【0025】その他、この発明の要旨を変更しない範囲
で、種々の変更を施すことができる。 〈燃焼実験〉焼却炉Fの排気口F1に直結した、図1
(a)(b)に示す有害成分吸収除去装置1の反応室12内
に、粒径10mm程度の炭酸カルシウム粒子44.6k
g(CaOに換算して25kg相当)を収容した。
【0026】そして焼却炉に、以下の内訳の廃プラスチ
ック合計32.5kgと、金属部品(主に鉄製)とを含
む廃材を投入して着火し、90分間かけて燃焼させた。 (成 分) (kg) ポリプロピレン(PP) 16 ポリエチレン(PE) 6 ポリ塩化ビニル(PVC) 10.5 なおPVCは、Cl2 を56.0重量%含む樹脂100
重量部に対して、Cl 2 を含まない添加剤を18.6重
量部配合したもので、PVC全体でのCl2 の含有率は
47.2重量%、含有量は4.96kg(PVC1kg
あたりのCl2の含有量0.47kg)であった。
【0027】有害成分吸収除去装置1の入口である焼却
炉Fの排気口F1付近、ならびに有害成分吸収除去装置
1の出口である煙突Cの付け根付近を通過する排気中
の、塩化水素の濃度(ppm)を、燃焼開始から終了ま
での90分間にわたって測定した。結果を表1ならびに
図3に示す。
【0028】
【表1】
【0029】なお図において破線の折れ線は、焼却炉F
の排気口F1付近の塩化水素濃度(O2 12%換算濃
度)の推移を示し、実線の折れ線は、煙突Cの付け根付
近の塩化水素濃度(O2 12%換算濃度)の推移を示し
ている。また、上記O2 12%換算の塩化水素濃度C
HCl 〔ppm〕は、表1に示す塩化水素濃度の実測値c
HCl と酸素濃度の実測値cO2とから、下記式(1) によっ
て求めた値である。
【0030】
【数1】
【0031】さらに、図において二点鎖線の直線は、法
律で定められた規制基準濃度の340ppmを示し、一
点鎖線の直線は、下記の計算によって求められた、塩化
水素濃度の理論上の最高値3565ppmを示してい
る。すなわち、上記廃プラスチック1kgを燃焼させた
際に発生する理論ガス量G O 〔Nm3 /kg〕は、P
P、PE等の一般高分子1kgあたりの理論ガス量であ
る12.2Nm3 /kgと、PVC1kgあたりの理論
ガス量である4.842Nm3 /kgとから、 12.2×(1−10.5/32.5)=8.26 4.842×10.5/32.5=1.56 ∴GO =8.26+1.56=9.82〔Nm3 /k
g〕 となる。
【0032】一方、PVC1kgを燃焼させた際に発生
する塩化水素ガス量GCl〔Nm3 /kg〕は、PVC1
kgあたりのCl2 の含有量0.47kgと、Cl2
分子量70と、HCl1モルの体積44.8Nm3 とか
ら、 GCl=0.47×44.8/70=0.30〔Nm3
kg〕 となる。
【0033】したがって、塩化水素濃度の理論上の最高
値は、
【0034】
【数2】
【0035】すなわち8319ppmとなる。この値
は、酸素濃度が0%のときの値であるから、前記式(1)
に当てはめてO2 12%換算の濃度に直すと、O2 12
%換算の塩化水素濃度の理論上の最高値は、 8319×9/21=3565ppm となる。
【0036】表1ならびに図3の結果より、図1(a)(b)
の装置を用いた、この発明の方法によれば、PVCを含
む廃プラスチックを燃焼させた際に発生する排気中か
ら、有害な塩化水素を確実に吸収、除去できることがわ
かる。 〈吸収効率の考察〉 CaOに吸収されたCl2 の重量算出 上記燃焼実験終了後、反応室12内から反応残渣を取り
出し、そのうち、焼却炉Fの排気口F1に最も近い最下
層の黄色の塊と、上記排気口F1に最も遠い最上層の白
色の塊とをサンプルとして、その成分を分析したとこ
ろ、表2に示す結果が得られた。
【0037】
【表2】
【0038】反応残渣中のCaおよびCl2 の含有率
が、その最下層から最上層へかけて直線的に変化すると
仮定すると、上記の結果より、反応残渣中のCaの平均
含有率は、 (50.7+51.4)/2=51.05重量% となり、同様に、Cl2 の平均含有率は、 (4.6+15.5)/2=10.05重量% となる。
【0039】CaOとHClの反応過程を再度検討する
と下記のとおりであり、式中に破線で囲んだ部分が、上
記分析に供した反応残渣に相当する。
【0040】
【化1】
【0041】ただし、前記分析結果の表中の「その他」
の成分が全てOであるとすると、反応式から逆算してC
a量が合わないことになる。つまりその他の部分には、
O以外の不純物も含まれていることがわかる。そこで、
反応残渣中のCaおよびCl2 の平均含有率を基準とし
て、各成分の割合を考えると、まず反応残渣に含まれる
CaCl2 中のCaの割合は、Cl2の平均含有率を1
0.05重量%、Caの原子量を40、Cl2 の分子量
を70として、 10.05×40/70=5.74重量% となり、反応残渣に含まれるCaCl2 の割合は、 5.74+10.05=15.79重量% となる。
【0042】一方、反応残渣に含まれる、未反応分のC
aO中のCaの割合は、Caの平均含有率が51.05
重量%で、そのうちCaCl2 中のCaの割合が上記
5.74重量%であるから、両者を減算して、 51.05−5.74=45.31重量% となる。また、上記未反応分のCaO中のOの割合は、 45.31×16/40=18.12重量% となり、反応残渣に含まれる未反応分のCaOの割合
は、 45.31+18.12=63.43重量% となる。
【0043】また、HClと反応したCaO中のOの割
合は、このCaO中のCaの割合が、前記CaCl2
のCaの割合である5.74重量%に相当するので、 5.74×16/40=2.30重量% となり、HClと反応したCaOの割合は、 5.74+2.30=8.04重量% となる。
【0044】したがって、上記の結果から導き出される
CaOの合計の割合は、 63.43+8.04=71.47重量% となる。装置の反応室内に収容した炭酸カルシウムの全
量がCaOに変化したとすると、前記のようにその重量
は25kgであるから、反応残渣に含まれるCaCl2
の重量は、その割合15.79重量%と、原料であるC
aOの割合71.47重量%とから、 25×15.79/71.47=5.52kg となり、そのうちCl2 の重量は、Cl2 の分子量70
と、CaCl2 の分子量110とから、 5.52×70/110=3.51kg となる。つまり、CaOによって吸収されて、反応残渣
中に残ったCl2 の重量は3.51kgである。 燃焼残渣中のCl2 の重量算出 燃焼実験終了後の焼却炉内の燃焼残渣は1.6kgあ
り、分析の結果、燃焼残渣中のCl2 の含有率は20.
7重量%、含有量は、 1.6×0.207=0.33kg であった。 排気中のCl2 の重量算出 CaOに吸収されずに通過した排気中のHClの量は、
1時間あたりの排気量を350Nm3 /H、運転時間を
1.5時間として、前記燃焼実験で測定したHClの平
均濃度を40ppmとして、 350×1.5×40×10-6=0.021Nm3 となり、これをCl2 量に換算すると、Cl2 の分子量
70、HCl1モルの体積44.8Nm3 として、 0.021×70/44.8=0.03kg となった。
【0045】以上の結果をまとめると下記のようにな
る。
【0046】
【表3】
【0047】上記表3の結果より、CaOによる、排気
中からのCl2 の吸収効率は、 3.51/(3.51+0.03)×100=99.2
% となる。なお、反応残渣中、燃焼残渣中および排気中の
Cl2 量の総計は3.87kgであって、元のPVC中
に含まれるCl2 量(4.96kg)との間に約1kg
強の差があるが、この差の分のCl2 は、おそらく鉄製
の焼却炉Fの内壁面や、同じく鉄製の有害成分吸収除去
装置1の内壁面、あるいは廃材中に含まれる金属部品等
に、吸着あるいは化合したものと推測される。
【0048】
【発明の効果】以上、詳述したようにこの発明の有害成
分吸収除去方法よび有害成分吸収除去装置によれば、排
気中の有害成分を、二次公害をおこすことなく確実に吸
収、除去できる。また有害成分除去のための設備を、従
来のものよりも簡単にできる。したがってこの発明の有
害成分除去方法および有害成分吸収除去装置は、とくに
小型の焼却炉等、種々の燃焼炉に適しており、これら燃
焼炉の排気から有害成分を除去して、大気汚染を防止す
るためにきわめて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a) はこの発明の有害成分吸収除去方法を
実施するための、この発明の有害成分吸収除去装置の一
実施例の内部構造を示す断面図、同図(b) は上記実施例
の装置の外観を示す正面図である。
【図2】上記実施例の装置を、燃焼炉としての焼却炉に
取付けた状態を示す概略図である。
【図3】実施例の装置を用いて行った燃焼実験時の、装
置の入口および出口での、排気中のHClの濃度の測定
結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 有害成分吸収除去装置 10 下本体 11 上本体 12 反応室 T 炭酸カルシウム粒子
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 F23J 15/00 ZAB B01D 53/34 134 C F23J 15/00 ZAB B ZAB J

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】炭酸カルシウム粒子に、燃焼炉から排出さ
    れる高温の排気を接触させて酸化カルシウムを生成さ
    せ、この酸化カルシウムを、排気中に含まれる有害成分
    と反応させて、吸収、除去することを特徴とする有害成
    分吸収除去方法。
  2. 【請求項2】燃焼炉の排気部に接続される本体内に、燃
    焼炉から排出される高温の排気と接触可能な状態で、炭
    酸カルシウム粒子を収容する反応室が設けられているこ
    とを特徴とする有害成分吸収除去装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009274893A (ja) * 2008-05-13 2009-11-26 Hideki Yamamoto HFC−134aの無害化処理方法および炭酸カルシウムの製造方法

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