JPH0846330A - プリント配線板の製造方法 - Google Patents

プリント配線板の製造方法

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JPH0846330A
JPH0846330A JP17504194A JP17504194A JPH0846330A JP H0846330 A JPH0846330 A JP H0846330A JP 17504194 A JP17504194 A JP 17504194A JP 17504194 A JP17504194 A JP 17504194A JP H0846330 A JPH0846330 A JP H0846330A
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metal
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建二 兵頭
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 再現性の良いプリント配線板の製造方法を提
供する。 【構成】 絶縁性基板の少なくとも片面に金属導電層を
設けた積層板の金属導電層の少なくとも一部に光導電層
を形成させた後、電子写真法により帯電、露光、および
現像処理を経て光導電層上にトナー画像を形成させ、次
いでトナー画像部以外の光導電層及び金属導電層を順次
除去してプリント配線板を作製するプリント配線板の製
造方法において、帯電および現像処理を施す光導電層側
の金属導電層表面で接地することを特徴とするプリント
配線板の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子写真法を用いたプ
リント配線板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】電子機器の軽薄短小化に伴って、プリン
ト配線板には高密度化、特性向上の要求が高まってい
る。このプリント配線板の製造方法としては、絶縁性基
板に金属導電層を設けた積層板から不要金属導電層を取
り除くサブトラクティブ法が一般的である。この場合、
感光材料を用いて回路部の金属導電層を保護する。感光
材料としては、一般にフォトポリマーが用いられている
が、より光感度が高く、高い解像度が得られ、レーザー
光による走査露光に対応でき、かつ薄膜で充分な耐エッ
チング性があることから電子写真感光体の利用が提案さ
れている(西独特許第1117391号、同第2526
720号、同第3210577号、特開昭52−243
7号、同57−48736号、同59−168462
号、同63−129689号公報等)。
【0003】この電子写真法によるプリント配線板の製
造方法では、まず積層板の金属導電層上に光導電層を形
成し、暗中で光導電層表面を一様に帯電した後、露光、
トナー現像を経て回路部に相当するトナー画像を形成
し、その後トナー画像で被覆されていない部分の光導電
層を溶出除去し、露出した金属導電層をエッチング除去
する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】上記工程において、帯
電および現像処理では、積層板の金属導電層を接地する
必要がある。従来、電子写真法は平版印刷版の製造に使
用されているが、この場合は光導電層を設けている支持
体として電気良導体であるアルミニウム板などの金属板
であるので、接地を印刷等に使用しない金属板裏面で行
うことができる。しかしながら、絶縁性基板の片面に金
属導電層を設けた片面積層板の場合、裏面が絶縁層とな
るために、この裏面接地法では接地を行うことができな
かった。また、絶縁性基板の両面に金属導電層を設けた
両面積層板の場合、主に両面に金属配線パターンを形成
する等の理由から印刷版と同様の方法では接地すること
が不可能であった。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するために鋭意検討した結果、絶縁性基板の少なく
とも片面に金属導電層を設けた積層板の金属導電層の少
なくとも一部に光導電層を形成させた後、電子写真法に
より帯電、露光、および現像処理を経て光導電層上にト
ナー画像を形成させ、次いでトナー画像部以外の光導電
層及び金属導電層を順次除去してプリント配線板を作製
するプリント配線板の製造方法において、帯電および現
像処理を施す光導電層側の金属導電層表面で接地すれば
良いことを見い出した。本発明によれば、帯電および現
像処理において、光導電層側の金属導電層表面で接地す
ることで、金属配線パターンを形成するのに必要なトナ
ー画像、光導電層、金属導電層を傷つけることなく、高
解像度を有するプリント配線板を製造することができ
る。また、積層板としてフレキシブル積層板を使用する
場合にも、その可撓性から生ずる側端部の折れや曲が
り、積層板の波打ち等による接地不良が原因の画像欠落
等を生じることなく、高品位のプリント配線板を製造す
ることができる。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。本発明の
プリント配線板の製造方法では、絶縁性基板の少なくと
も片面に金属導電層を設けた積層板の金属導電層の少な
くとも一部に光導電層を形成し、この光導電層表面を暗
中で一様に帯電した後、露光、現像処理を経て、光導電
層上にトナー画像を形成させ、次いでトナー画像部以外
の光導電層を溶出除去してレジスト画像を作製し、レジ
スト画像部以外の金属導電層をエッチング除去する。
【0007】本発明の帯電および現像処理では、光導電
層の形成してある金属導電層と、帯電体対または現像電
極との間に電圧を印加する。この場合、金属導電層の表
面部で接地を行う。このため、帯電および現像装置に
は、接地機構が必要となる。
【0008】図1に本発明を優位に実現できる接地機構
の一例の概略図を示す。これは金属部1、2を有する軸
3に、弾性体4を巻き付けたロール状の構造になってい
る。このロール状接地機構を搬送ロール対として使用
し、このロール対を加圧することで金属部1、2が搬送
中に積層版上の光導電層を削りとり、露出した金属導電
層と接地する。本発明で用いられる金属部1、2の材質
としては、鉄、銅、ステンレス、アルミニウム等の電気
良導電性の金属を優位に用いることができる。
【0009】本発明に用いられる、軸3は、鉄製、SU
S製等電気良導体であるものでなければならない。ま
た、金属部1、2はこの軸3と一体化もしくは接触して
いなければならない。金属部1、2の幅は大きすぎると
積層板の回路形成部を損傷することがあり、また小さす
ぎるとそれ自身が破損しやすく、長期間の使用に耐えら
れないことがある。金属部1、2の幅は0.5mm〜
5.0cmが好ましい。また、金属部1、2が積層板の
金属導電層と接触する端部は、金属導電層上に設けられ
ている光導電層が削り取れるように鋭角であることが好
ましい。また、この鋭角上の端部が複数個設けられてい
ても良い。また、図1のような円盤状の金属部ではな
く、図2に示した金属ブラシを用いても良い。
【0010】本発明で用いられる弾性体4としては、ニ
トリルブチルゴム、ブチルゴム等を使用できる。また、
そのビツカース硬度は10〜60度の範囲であることが
好ましい。
【0011】本発明に用いられる、図1および2に示し
た接地機構の弾性体4を巻き付けた部分のロール径は金
属部1、2部分の径と同径か、または5.0mm以下の
範囲で大きい方が好ましい。ロール状接地機構を加圧す
ることで弾性体4が圧縮されてロール径が小さくなり、
金属部1、2が積層板と接触することができる。この加
圧時のニップ圧は1〜10kg/cm2が好ましく、ニ
ップ圧が1kg/cm2より小さいと金属部のフレキシ
ブル基板への接触が不完全になり、またニップ圧が10
kg/cm2を超えると積層板の搬送が困難になる。
【0012】上記の例の他に、針状または円盤状等の先
尖型の接地機構を使用することができる。この接地機構
としては、鉄、アルミニウム、銅、合金等の電気良導体
を使用することができる。この接地機構の先端形状は、
円錐型、多角錐型、楕円錐型、へら型等、光導電層を研
磨できるものであれば何でも良い。
【0013】本発明に用いられる接地機構は、帯電装置
における帯電体対、現像装置における現像液吐出部、現
像電極板からなる現像部の上流側、下流側の両方に設け
られ、積層板の全面が帯電または露光されるまで接地が
はずれないようにしなければならない。
【0014】本発明において、帯電および現像処理にお
いて、積層板に上記の金属部が接触する位置は、積層板
の側端部から5cm以内の回路形成部ではない部分が好
ましい。
【0015】図3に、ロール状接地機構を有する本発明
を優位に実現できる帯電装置の概略断面図を示す。光導
電層を金属導電層上に形成した積層板31は、図示しな
い側板によって支持され、かつ図示しない駆動装置によ
って駆動力が伝達されているロール状接地機構5によっ
て帯電体対11の間に搬送される。該積層板31は帯電
体対11によって、一様に帯電され、図示しない側板に
支持され、かつ図示しない駆動装置により駆動力が伝達
されているロール状接地機構6によって下流側に搬送さ
れる。
【0016】本発明に用いられる帯電体対11として
は、図3に例示したコロナ放電体対の他に、ロール帯電
体対、ブラシ帯電体対等の接触帯電体等の公知の帯電体
対を用いることができる。
【0017】図4に、本発明を優位に実現できる現像装
置の概略断面図を示す。帯電、露光処理を経た光導電層
を有する積層板31は、図示しない側板に支持され、か
つ図示しない駆動装置により駆動力が伝達されている搬
送ロール対21で挟持され、略水平に搬送し現像部に送
られる。現像部では、液体現像剤41をポンプ42によ
り汲み上げ、液体現像剤送液管43、流量調整弁44、
45を経て液体現像剤吐出部46、47から該積層板3
1に吐出する。このときの接地は、針状の接地機構7、
8、9、10で行われる。現像後の積層板31は、図示
しない側板に支持され、かつ図示しない駆動装置により
駆動力が伝達されている搬送ロール対22から現像部外
に搬送される。
【0018】本発明で行われるトナー現像では、図示し
ない電源から供給されたバイアス電圧が上部電極板4
8、下部電極板49から印加される。形成されたトナー
画像は、例えば加熱定着、圧力定着、溶剤定着等の方法
により定着できる。
【0019】本発明で行うことができる現像処理では、
トナー粒子を安定的に小粒径にできるために、より微細
なトナー画像を形成できることから、液体現像法を用い
ることが好ましい。また、現像方法としては、静電潜像
と同じ極性を有するトナーを用いて露光部を現像する反
転現像法と、静電潜像と反対の極性を有するトナーを用
いて非露光部を現像する正現像法の両方を用いることが
できる。どちらの方法でも、非画像部へのトナーの付
着、ベタ部のピンホール等を防ぐためにバイアス電圧を
印加する。
【0020】本発明に係わる絶縁性基板の少なくとも片
面に金属導電層を設けた積層板としては、例えば「プリ
ント回路技術便覧−第二版−」((社)プリント回路学
会編、1993年発行、日刊工業新聞社刊行)記載の、
ガラス基材エポキシ樹脂板、紙基材フェノール樹脂板、
紙基材エポキシ樹脂板、ポリエステルフィルム、ポリイ
ミドフィルム、ポリアミドフィルム、ふっ化ビニルフィ
ルム等に銅箔、ステンレス箔、ニクロム箔、タングステ
ン箔等を設けたものを用いることができる。金属導電層
としては種々の厚さのものが使用でき、一般には5μm
〜35μmのものが使われているが、それよりも厚いも
のや薄いものも使用することができる。
【0021】本発明に係わる光導電層は、少なくとも光
導電性化合物と結着樹脂とを含有する。光導電性化合物
としては、公知の有機または無機の光導電性化合物を使
用できる。有機光導電性化合物としては、無金属あるい
は金属(酸化物)フタロシアニンおよびナフタロシアニ
ン、およびその誘導体等がある。無機光導電性化合物と
しては、酸化亜鉛、酸化チタン、硫化カドミウム等が挙
げられる。これらの光導電性化合物は単独または2種類
以上混合して用いることができる。
【0022】本発明に係わる光導電層に用いられる結着
樹脂の具体例としては、スチレン/マレイン酸モノエス
テル共重合体、メタクリル酸/メタクリル酸エステル共
重合体、スチレン/メタクリル酸/メタクリル酸エステ
ル共重合体、アクリル酸/メタクリル酸エステル共重合
体、スチレン/アクリル酸/メタクリル酸エステル共重
合体、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体、および酢酸ビ
ニル/クロトン酸/メタクリル酸エステル共重合体等
の、スチレン、(メタ)アクリル酸エステル、酢酸ビニ
ル、および安息香酸ビニル単量体等と(メタ)アクリル
酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸等、もしくは
無水マレイン酸およびフマル酸のモノエステル等のカル
ボキシル基含有単量体との共重合体、フェノール樹脂等
が挙げられる。
【0023】上記光導電性化合物の結着樹脂に対する混
合比は、光導電層の電子写真特性によって異なるが、概
ね該樹脂量の1〜100重量%程度の範囲が好ましく、
より好ましくは5〜40重量%が良い。
【0024】本発明に係わる光導電層の作製は、浸漬
法、バーコート法、スプレーコート法、ロールコート
法、カーテンコート法、電着法等により行う。塗布液は
光導電層を構成する成分を適当な溶媒に溶解または分散
して作製する。光導電性化合物がフタロシアニン等の様
に溶媒に不溶な成分を用いる場合は、分散機により平均
粒径0.4μm以下、より好ましくは0.2μm以下に
分散して用いる。また、塗布液には必要に応じ、光導電
性化合物および結着樹脂のほかに光導電層の膜物性、塗
布液の粘度、分散性等を改良する目的で、可塑剤、界面
活性剤、その他の添加剤を加えることができる。
【0025】塗布液の固形分(光導電性化合物および結
着樹脂)濃度および使用する溶媒は塗布方法および乾燥
条件等によって適当なものを選択する。特に、電着法に
より光導電層を作製する場合には、溶媒として少なくと
も水を併用する。また、結着樹脂を水溶性にするため、
塩基で中和して用いても良い。この塩基としては例えば
トリエチルアミン、ジエチルアミン、モノエタノールア
ミン等の有機塩基、水酸化ナトリウム、水酸化カリウ
ム、アンモニア水等の無機塩基を使用することができ
る。
【0026】光導電層は、厚いと後工程のトナー画像部
以外の光導電層の溶出除去において溶出液の劣化を促進
し、逆に薄いと電子写真トナー現像で必要な電荷が帯電
できない。光導電層は厚さ0.5〜10μmが好まし
く、さらには1〜7μmが好適である。また、金属導電
層の接地機構が接触する部分には光導電層を予め塗布し
ないか、または塗布後削除しても良い。
【0027】本発明のプリント配線板の製造方法におけ
る露光方法としては、キセノンランプ、タングステンラ
ンプ、蛍光灯等を光源として反射画像露光、透明陽画フ
ィルムを通した密着露光や、レーザー光、発光ダイオー
ド等による走査露光が挙げられる。解像度の点から走査
露光が好ましい。
【0028】本発明で用いられるトナーは、電子写真印
刷版に使用する湿式トナーを使用することができるが、
後工程である回路部の光導電層の溶出除去に対してレジ
スト性を有したものでなければならない。このためにト
ナーのポリマー粒子成分としては、例えばメタクリル
酸、メタクリル酸エステル等から成るアクリル樹脂、酢
酸ビニル樹脂、酢酸ビニルとエチレンまたは塩化ビニル
等との共重合体、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹
脂、ポリビニルブチラールの様なビニルアセタール樹
脂、ポリスチレン、スチレンとブタジエン、メタクリル
酸エステル等との共重合物、ポリエチレン、ポリプロピ
レンおよびその塩化物、ポリエチレンテレフタレートや
ポリエチレンイソフタレート等のポリエステル樹脂、ポ
リカプラミドやポリヘキサメチレンアジポアミド等のポ
リアミド樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキ
ッド樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、ゼラチン、カル
ボキシメチルセルロース等のセルロースエステル誘導
体、その他ワックス、蝋等を含有することが好ましい。
また、トナーには現像あるいは定着等に悪影響を及ぼさ
ない範囲で、色素や電荷制御剤を含有させることもでき
る。さらに、その荷電は使用する光導電性化合物および
帯電極性に応じて正、負を使い分ける必要がある。
【0029】トナー画像部以外の光導電層を溶出除去す
るための方法としては、基本的には溶出液を使用した非
画像部溶出型印刷版用の溶出処理器を使用することがで
きる。本発明で用いられる溶出液は塩基性化合物を含有
する。塩基性化合物としては、例えばけい酸アルカリ金
属塩、アルカリ金属水酸化物、リン酸および炭酸アルカ
リ金属およびアンモニウム塩等の無機塩基性化合物、エ
タノールアミン類、エチレンジアミン、プロパンジアミ
ン類、トリエチレンテトラミン、モルホリン等の有機塩
基性化合物等を用いることができる。上記塩基性化合物
は単独または混合物として使用できる。また、溶出液の
溶媒としては水を有利に用いることができる。
【0030】本発明のプリント配線板の製造方法では、
回路部レジスト画像部以外の露出した金属導電層をエッ
チングにより除去する。エッチング工程では、「プリン
ト回路技術便覧−第二版−」((社)日本プリント回路
工業会編、1993年刊行、日刊工業新聞社発行)記載
の方法等を使用することができる。エッチング液は金属
導電層を溶解除去できるもので、また光導電層およびト
ナーが耐性を有しているものであれば良い。一般に金属
導電層に銅層を使用する場合には塩化第二鉄液、塩化第
二銅液等を使用することができる。
【0031】回路部レジスト画像はエッチング工程後、
レジストインク、液状レジストおよびドライフィルムフ
ォトレジスト等の一般のレジストを利用したプリント配
線板製造時と同様に、回路部の溶出除去で使用した溶出
液よりもさらにアルカリ性の強い溶液で処理することに
より除去することができる。また、必要に応じてメチル
エチルケトン、ジオキサン、メタノール、エタノール、
プロパノール、ブタノール等、光導電層の結着樹脂を溶
解する有機溶剤を使用することもできる。
【0032】
【作用】本発明のプリント配線板の製造方法によれば、
帯電および現像処理でプリント配線板の光導電層を設け
た側の金属導電層の表面側部で接地することで、従来の
印刷版で行っていた裏面接地法では、接地が行えないプ
リント配線板でも明瞭なレジスト画像を作製することが
できる。また、フレキシブル配線板を製造する場合に、
フレキシブル基板の折れ等が原因で起きていた帯電不
良、現像不良が無くなり、再現性が良くかつ解像性が高
いプリント配線板を製造することができる。
【0033】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明する
が、本発明はその主旨を逸脱しない限り、下記の実施例
に限定されるものではない。
【0034】実施例1積層板への光導電層の作製 両面フレキシブル銅張積層板(ポリイミドフィルム基材
銅張積層板F−30VC2、 200mm×300mm、
フィルム厚50μm、銅厚18μm;ニッカン工業
(株))の両面に、表1に示した組成の塗液を用いてス
プレー塗布法により光導電層を形成し、90℃で20分
間乾燥させた。得られた光導電層の膜厚は5μmで、基
板表面の凹凸への追従性および接着性が良好であった。
【0035】
【表1】
【0036】トナー画像の形成 上記の光導電層を形成した積層板31の表面を暗中で、
搬送ロール対としてロール状接地機構5、6を有する帯
電装置(図3)を用いて帯電した。帯電体対11には、
接触帯電体対(ロール帯電体対)を用い、金属芯剤(直
径8mm)にカーボンブラックを分散したポリブタジエ
ンゴム(厚さ5mm)を設け、保護層としてウレタン層
で被覆したものを使用した。ロール状接地機構5および
6の軸およびその金属部には鉄製心棒(直径1.0c
m)を、弾性体としてはニトリルブチルゴム樹脂(厚さ
1.5cm)を用いた。+100Vの電圧を印加して、
光導電層を表面を+270Vに帯電した後、半導体レー
ザー(波長780nm)を有するレーザープロッターで
露光を行った。
【0037】この積層板31を図4のような現像装置を
用いて現像した。接地機構としては、ステンレス製の針
を使用し、搬送方向上流に対して45度の角度で設置し
た。搬送ロール対21、22には、鉄製の軸(直径1.
0cm)の周囲にニトリルブチルゴム(厚さ1.0c
m)を設けたものを使用した。トナーには三菱OPCプ
リンティングシステム用正電荷トナー(三菱製紙(株)
製、「ODP−TW」)を用いて、バイアス電圧+12
0Vを印加して反転現像を行い、70℃で1分間乾燥し
てトナー画像を定着させた。得られたトナー画像は線幅
50±2μmで、途中画像欠落等は見られなかった。
【0038】金属配線パターンの作製 上記トナー画像を形成した積層板31に、30℃の炭酸
ナトリウム溶液をスプレー圧力1.5kg/cm2 で2
0秒間スプレーした後水洗し、トナー画像部以外の光導
電層を除去した。これに45℃に加熱された市販の塩化
第二鉄溶液をスプレー圧力2.5kg/cm2 で1分間
スプレーすることにより露出した銅層をエッチング除去
した後、30℃の3.0%水酸化ナトリウム溶液で残存
するトナー画像と光導電層を溶出除去し、線幅50±μ
mの銅配線パターンを得た。得られた銅配線パターンを
顕微鏡で観察したところ、途中回路の欠落等は無かっ
た。
【0039】比較例1光導電層とトナー画像の作製 実施例1と同様の方法で両面銅張積層板に光導電層を形
成した。この光導電層の表面を図5のような、接地用に
金属支持板61、62を有する電子写真平版印刷版用の
帯電装置によって帯電した。搬送ロール対21、22に
は、SUS製軸(直径1.0cm)の周囲をニトリルゴ
ム(厚さ1.5cm)で被覆したものを使用した。実施
例1と同様の方法で露光を行った後、図4のトナー現像
装置を使って、トナー画像を形成した。得られたトナー
画像は不鮮明で、半分以上の画像が消失していた。
【0040】金属配線パターンの作製 実施例1と同様の方法で、上記トナー画像を形成した積
層板31を、炭酸ナトリウム溶液、塩化第二鉄溶液、水
酸化ナトリウム溶液で処理し、銅配線パターンを作製し
た。得られた銅配線パターンにはトナー画像が欠落した
部分が欠除していた。
【0041】比較例2光導電層とトナー画像の作製 実施例1と同様の方法で両面銅張積層板に光導電層を形
成した。この光導電層の表面を図3のような電子写真平
版印刷版用の帯電装置によって帯電した。実施例1と同
様の方法で露光を行った後、図6の接地用金属支持板6
1、62およびガイド板63を有する平版印刷版用現像
装置を使って実施例1と同様にして、トナー画像を形成
した。得られたトナー画像は不鮮明で、ほとんど全ての
画像が消失していた。
【0042】金属配線パターンの作製 実施例1と同様の方法で、上記トナー画像を形成した積
層板31を、炭酸ナトリウム溶液で処理したところ、積
層板上には何等画像は残っていなかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したごとく、本発明により電子
写真法を用いてプリント配線板を製造することで、帯
電、現像時の接地不良による画像損傷が無くなり、容易
かつ正確に、高い解像度を有する金属配線パターンを作
製することができる秀逸な効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明を優位に実現できる接地機構の概略図
【図2】 本発明を優位に実現できる接地機構の概略図
【図3】 本発明を優位に実現できる帯電装置の概略断
面図
【図4】 本発明を優位に実現できる現像装置の概略断
面図
【図5】 従来の帯電装置の概略断面図
【図6】 従来の帯電装置の概略断面図
【符号の説明】
1、2 金属部 3 軸 4 弾性体 5、6 ロール状接地機構 7、8、9、10 接地機構 11 帯電体対 21、22 搬送ロール対 31 光導電層を形成した積層板 41 液体現像剤 42 ポンプ 43 送液管 44、45 流量調整弁 46、47 吐出部 48 上部電極板 49 下部電極板 50 タンク 61、62 金属支持板 63 ガイド板

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁性基板の少なくとも片面に金属導電
    層を設けた積層板の金属導電層の少なくとも一部に光導
    電層を形成させた後、電子写真法により帯電、露光、お
    よび現像処理を経て光導電層上にトナー画像を形成さ
    せ、次いでトナー画像部以外の光導電層及び金属導電層
    を順次除去してプリント配線板を作製するプリント配線
    板の製造方法において、帯電および現像処理を施す光導
    電層側の金属導電層表面で接地することを特徴とするプ
    リント配線板の製造方法。
  2. 【請求項2】 接地用金属部を有する軸に弾性体を巻き
    付けたロール状接地機構によって、帯電および現像処理
    を施す光導電層側の金属導電層表面で接地することを特
    徴とする請求項1記載のプリント配線板の製造方法。
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