JPH08442Y2 - ユニットルーム - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本考案は、ユニットルームに関す
るものである。

【０００２】

【従来背景】ユニットルームは、浴室、シャワー室、洗
面室等を問わず床基材の縁部に側壁用の壁パネルを立設
すると共に隣設する壁パネル同士を接続して側周壁を組
立て、その側周壁で囲繞された上部の開口を天井パネル
で被蓋する構造が一般的な構築手順である。そして、各
壁パネル間は漏水を考慮したジョイナーを使用したり、
シール材やコーキング材等を介在する等して接続され、
また天井パネルと側周壁との間も廻し縁を使用する等し
て漏水を考慮した接続構造にしてある。

【０００３】

【考案が解決しようとする課題】このように側壁用の壁
パネルを多数枚に分割した構造にすると、多くの接続作
業が非常に複雑化するはかりでなく、漏水を考慮した仕
上げ処理（シール材の嵌着やコーキング材の充填等）箇
所も多くなり組立施工が細かく、煩雑化する問題があ
る。また天井パネルに至っては裏補強した比較的重量化
した大きな面積のものを側周壁の上部の開放部を閉口す
るように上方から落とし込んで冠着する必要から、その
作業が非常に大がかりで厄介なものとなる。ところで、
図４に示すように接続箇所を減少させるべく床基材１上
の上半部を構成する上ユニット部５を合成樹脂材料で一
体成形する技術も現存するが、成形型からの抜き勾配を
必要とする。その結果、上ユニット部５が下端（床基
材）側へ行くに従って建築躯体に確保された据え付けス
ペースとユニットルームとの間の背後スペースを占有す
る方向に膨れて裏配管の施工スペースが確保できなくな
り、その分内部スペースの縮減を招き、しかも末広がり
なテーパーによってより一層の窮屈感を利用者に受感さ
せ、使用感が悪い問題を惹き起こしている。

【０００４】本考案は、上記従来事情に鑑みてなされた
もので、技術的課題は、天井、側周壁構成用の壁パネル
の内、抜き勾配を必要としない方向に脱型できるものを
一括して同一体に形成して構築に必要なパネル数の激減
を図ると共に、その成型時に天井壁を構成する壁部及び
天井壁の補強部を形成することである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に講じた技術的手段は、床基材、その床基材コーナーを
挟んで横断面視Ｌ型に連設する側壁コーナー用パネル部
とその側壁コーナー用パネル部上端に連設され且つ同側
壁コーナー用パネル部とで縦断面視逆Ｌ型を形設する天
井コーナー用パネル部とを同一体に形成したコーナー用
壁構成体、上記コーナー用壁構成体間に必要に応じて組
み込まれ側壁中間用パネル部と天井中間用パネル部とを
縦断面視逆Ｌ型を呈して同一体に連設した中間用壁構成
体、各壁構成体の各縁から室外方向に起設され隣設する
壁構成体とで相互に接続されるフランジ接合部を備えて
いることを要旨とする。

【０００６】

【作用】上記技術的手段によれば、下記の作用を奏す
る。・床基材のコーナー近傍部位に立設する側壁部とそ
の側壁部に隣設する天井壁部とを成形面（成形型の成形
面）から直接離間する方向に脱型する同一体な壁体で構
成して、ユニットルーム構築に必要なパネルの組み込み
枚数を減少させ且つ成形型からの抜き勾配による内部ス
ペースへの影響を皆無にする。・ユニットルームの容積
の関係で中間部材を組み込む場合でも中間に立設する側
壁部とその側壁部に隣設する天井壁部とを成形面（成形
型の成形面）から直接離間する方向に脱型する同一体な
壁体で構成して、ユニットルーム構築に必要なパネルの
組み込み枚数を減少させる。・フランジ接合部が接続時
に十字状や格子状の補強用梁構造を天井壁に構成する。

【０００７】

【考案の効果】本考案は以上のように、床基材のコーナ
ー域上に立設する横断面視Ｌ型な側壁コーナー用パネル
部とその側壁コーナー用パネル部に隣設する天井コーナ
ー用パネル部とで構成された所謂抜き勾配を必要としな
い方向に脱型できる壁パネル類を一括して同一体に形成
したユニットルームであるから、側周壁のコーナー部
や、側周壁と天井壁との接続部が無くなり、抜き勾配に
よる内部スペースの狭小化も招かない。従って、組立作
業の大幅な簡略化を図るユニットルームを内部スペース
の縮減を招かずに構築できる。しかも、コーナー用壁構
成体は縁に接続時に十字状や格子状の補強用梁部を天井
壁に突設するフランジ接合部を起設していることから、
業々側周壁の上部から複数人の作業者の手を煩わせて天
井パネルを落とし込むような冠着作業を強要させたり裏
補強することなく、所望の付帯設備（照明、換気設備
等）への十分な耐強度を有する耐久性に優れた天井壁を
構成することができる。更に、中間用壁構成体も側壁中
間用パネル部と天井中間用パネル部とを連設した縦断面
視逆Ｌ型に同一体に形成されている為、ユニットルーム
の容積の関係でコーナー用壁構成体間にその中間用壁構
成体が組み込まれる場合でも、側周壁と天井壁との接続
部を不要とし、簡素な組立作業で済む。故に、構築に携
わる人件費、各接続部の激減による単価の大幅な低廉化
の確約及び漏水の危険性を回避し、しかも天井壁を効果
的に補強する等多々な利点を有するユニットルームを提
供することができる。

【０００８】

【実施例】次に、本考案の実施例を図面に基づいて説明
する。図１乃至図３は本考案ユニットルームの実施例を
示し、図１、２は第１実施例、図３は第２実施例であ
り、符号Ａがそのユニットルームである。

【０００９】ユニットルームＡは、浴室、シャワー室、
洗面室等を対象とする。本実施例では、浴室の場合を示
し、一半部を浴槽載置部11、他半部を洗い場部21とする
浴槽載置型の床基材１周縁の壁載せ面31に側周壁２を立
設し、その側周壁２の上部開口を天井壁３で閉塞してお
り、多数枚分割タイプの従来ユニットとは内観的には差
異はない。

【００１０】側周壁２と天井壁３は、コーナー用壁構成
体100 、中間用壁構成体200 の２種類を用いて組立形成
される。

【００１１】コーナー用壁構成体100 は、ＦＲＰ、ＨＩ
ＰＳ等の合成樹脂材で成型され、前記床基材１のコーナ
ーを挟んで横断面視Ｌ型に連設する側壁コーナー用パネ
ル部101 とその側壁コーナー用パネル部101 の上端に連
設され同側壁コーナー用パネル部101 とで縦断面視逆Ｌ
型を呈する天井コーナー用パネル部102 とを同一体に形
成している。

【００１２】この側壁コーナー用パネル部101 は、本実
施例では両半部とも幅を800 ｍｍ程度とし、ドアの取付
口300 を有する特殊なものにおいては一半部を上記と同
等とし且つ他半部をドアの取付口300 の幅寸法を除いて
一半部から僅かの寸法をもって折曲した寸足らずな横断
面視Ｌ型を呈している。

【００１３】天井コーナー用パネル部102 は、上記側壁
コーナー用パネル部101 の上端に連設する上向きな傾斜
板部102 ａとその傾斜板部102 ａから水平状に延設する
平板部102 ｂとを有し、上記側壁コーナー用パネル部10
1 の上端両半部から平面視矩形状に連設されている。即
ち、図１に示すように後述する中間用壁構成体200 で形
成される部分を除いた天井壁３部分の丁度１／４の面積
にしてある。

【００１４】このコーナー用壁構成体100 は、その周縁
から室外方向に直角状に起設するフランジ接合部103 を
同一体に周設してなり、側壁コーナー用パネル部101 の
両半部を成型する成形面（図示せず）と天井コーナー用
パネル部102 を成型する成形面（図示せず）と周縁のフ
ランジ接合部103 を成型する成型面（図示せず）とを有
する成形型（図示せず）を用いて一体成型される。その
成形方法は、ハンドレイアップ法、プレス成形法等手段
は問わない。

【００１５】上記するコーナー用壁構成体100 は、側壁
コーナー用パネル部101 の両半部と天井コーナー用パネ
ル部102 ３者の各々の成形面（図示せず）に対して摺接
する方向ではなく直接離れる方向、各成形面（図示せ
ず）に共通して臨む方向に脱型することができる。言い
替えれば成形型（図示せず）に脱型時の抜き勾配を形成
することなく脱型できるようになっている。

【００１６】また、中間用壁構成体200 は、構築される
ユニットルームの容積の関係で前記するコーナー用壁構
成体100 、100 間に２枚介設されている。

【００１７】この中間用壁構成体200 は、所望幅寸法を
有する側壁中間用パネル部201 の上端に上向きな傾斜板
部202 ａと平板部202 ｂとからなる天井中間用パネル部
202とを縦断面視逆Ｌ型をもって同一体に連設され、前
記するコーナー用壁構成部100 と同様に周縁にフランジ
接合部203 を同一体に周設し且つＦＲＰ、ＨＩＰＳ等の
合成樹脂材で成型されている。この中間用壁構成体200
の天井中間用パネル部202 は、図１においては前記する
コーナー用壁構成体100 の天井コーナー用パネル部102
…で賄えない天井壁３部分の丁度１／２の面積にしてあ
る。

【００１８】この中間用壁構成体200 は、側壁中間用パ
ネル部201 を成型する成形面（図示せず）と天井中間用
パネル部202 を成型する成型面（図示せず）と周縁のフ
ランジ接合部203 を成型する成形面（図示せず）とを有
する成形型（図示せず）を用いて一体成型される。その
成形方法は前記するコーナー用壁構成体100 と同様に問
わないし、成形型（図示せず）からは側壁中間用パネル
部201 と天井中間用パネル202 の成形面（図示せず）に
対して摺接する方向ではなく直接離れる方向、即ち各成
形面（図示せず）に共通して臨む方向に脱型することが
できること前記コーナー用壁構成体100 の場合と同様で
ある。

【００１９】ユニットルームＡを構築するに際しては、
前記する床基材１周縁の壁載せ面31にコーナー用壁構成
体100 を下端のフランジ接合部103 を利用して自立さ
せ、時計回りや反時計回り等の方向性をもって中間用壁
構成体200 を立設しながら各壁構成体100 、200 をフラ
ンジ接合部103 、203 をボルト・ナット等の連結部材40
0 を用いて適宜間隔をおいて緊結する。各フランジ接合
部103 、103 間、203 、203 間、更には103 、203 間に
は帯状のシール材500 を介在し封水性を具備させる（図
２）。

【００２０】このユニットルームＡの構築によって図１
で明かなように天井壁３に平面視格子状の補強用梁部４
が突出形成される。

【００２１】次に、図３の示すユニットルームＡを説明
すれば、このユニットルームＡは、中間用壁構成体200
を使用せずに側周壁２と天井壁３を構成した例を示して
おり、比較的容積が小さな室（例えばシャワー室等）を
構築する場合に適している。他の構成については前記す
る第１実施例と同様であるため、同一符号を付け、具体
的な説明は省略する。

【００２２】また、図１に示すユニットルームＡにおい
て、中間用壁構成体200 の必要性或いはその組込枚数は
構築されるユニットルームＡの容積やコーナー用壁構成
体100 広さ等によって自由に選択されることは言うまで
もなく、中間用壁構成体200を使用しない場合には、構
築に必要なパネルとして単にコーナー用壁構成体100を
４枚だけを用意し、それを接続するだけで良い。

【００２３】このように中間用壁構成体200 を必要に応
じて組込む図１のタイプと中間用壁構成体200 を組込ま
ない図３のタイプは、構築されるユニットルームの容積
及び各成形型の大きさ等の諸事情や諸条件によって選択
使用する。

【００２４】更に、図示しないが、本考案の構成部材で
あるコーナー用壁構成体100 の側壁コーナー用パネル部
101 は、両半部の外半部を構成する帯板状部と、その帯
板状部間を連設する斜板状部とで形成されているものを
包含する。この場合のメリットは、その斜板状部が例え
ば洗い場部や浴槽部の中央方向に正対するため、斜板状
部にシャワー吐水具を掛合させた場合、そのシャワー水
吐水具が自ずと利用者方向に向き、洗身、洗髪が楽な動
作で行えることであり、シャワー室や浴室の洗い場部側
のコーナー部を構成するものとして好都合である。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例の斜視図。

【図２】フランジ接合部での接続状態を示す部分拡大断
面図。

【図３】第２実施例の斜視図。

【図４】従来のユニットルームの斜視図。

【符号の説明】

Ａ：ユニットルーム １：床基材 100：コーナー用壁構成体 200：中間用壁構
成体 101：側壁コーナー用パネル部 102：天井コーナ
ー用パネル部 201：側壁中間用パネル部 202：天井中間用
パネル部 103、203 ：フランジ接合部 ２：側周壁 ３：天井壁

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 床基材、その床基材コーナーを挟んで横
   断面視Ｌ型に連設する側壁コーナー用パネル部とその側
   壁コーナー用パネル部上端に連設され且つ同側壁コーナ
   ー用パネル部とで縦断面視逆Ｌ型を形設する天井コーナ
   ー用パネル部とを同一体に形成したコーナー用壁構成
   体、上記コーナー用壁構成体間に必要に応じて組み込ま
   れ側壁中間用パネル部と天井中間用パネル部とを縦断面
   視逆Ｌ型を呈して同一体に連設した中間用壁構成体、各
   壁構成体の各縁から室外方向に起設され隣設する壁構成
   体とで相互に接続されるフランジ接合部を備えているこ
   とを特徴とするユニットルーム。