JPH0843244A - リークテスター - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 含浸材が正規の接着力であれば剥がれない限
界である空気圧力を含浸材の充填の逆方向から動的圧力
として加えることにより、不完全な接着状態となってい
る含浸材を除去した後、正規のリークテストを行うこと
で良否の判定を確実に実施できる。 【構成】 含浸処理を施した被検物ＷとマスターＭとの
空間部Ｗａ，Ｍａに所定のテスト圧力の圧縮空気を供給
してその差圧により洩れ判定を行うエアリークテスト回
路Ｒt を備えたリークテスター１において、このリーク
テストの予備段階にリークテスター１のテスト圧力より
高圧に昇圧して前記被検物Ｗの空間部Ｗａの壁面に含浸
処理した含浸材に動的圧力を付与する動的空気回路４０
を並設する構成とした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、流体機器、例えばシ
リンダヘッド，インテークマニホールドの鋳物製品の欠
陥部を含浸処理したものを洩れテストするリークテスタ
ーに関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、この種のリークテスター１として
は図２に示すものがある。このリークテスター１は、被
検物Ｗ（例えば鋳鉄，アルミニウム合金の鋳物製品の粗
晶組織や砂かみ等による微小な孔にけい酸ナトリウム，
合成樹脂等の含浸材を含浸処理したもの）と、この被検
物Ｗと同材質，同容積のマスターＭとの相互に圧縮空気
を送り込んで洩れをテストするもので、この図２は空圧
配管を示すもので、検査台２にはマスターＭが設定され
ており、同マスターＭの空間部Ｍａには密封状に封止し
て圧縮空気を給送する治具棒１２が設置され、また、同
検査台２のアーム２ａには被検物Ｗを着脱可能の検査治
具棒２３を有するシリンダ２４が設けられている。

【０００３】空圧源に接続された管路３にはストップバ
ルブ４，フィルタ５および圧力計を備えたエアレギュレ
ータ６（これらを含めてエアコントロールユニットとい
う）が配設され、同管路３はテスト配管７とシリンダ配
管３０とに分岐形成されている。

【０００４】このテスト配管７には圧力計を備えたエア
レギュレータ８，圧力スイッチ９および三方口電磁弁１
０が配設され、また、このテスト配管７はマスター配管
１１とワーク配管２２とに分岐されている。このマスタ
ー配管１１はマスターＭに設定された治具棒１２に接続
されるもので、この治具棒１２は、本体１３と先端部に
外嵌される押圧体１４とがばね部材１５を介して弾着さ
れ、本体１３の中心部には空気孔１６が穿設され、この
空気孔１６の所定の位置にはマスター配管１１を接続す
る接続孔１７が開設され、また、同空気孔１６の先端に
は押圧体１４と整合し、マスターＭの空間部Ｍａに連通
して圧縮空気を給送する給気孔１８が貫設されている。
また、この押圧体１４の先端にはマスターＭの孔Ｍｂを
密封状に閉止するパッキン材１９が取付けられ、また、
本体１３と押圧体１４との間には空間部Ｍａの開口部Ｍ
ｃを密封するＯリング２０が取付けられている。このよ
うにマスターＭに付設された治具棒１２の接続孔１７に
はマスター配管１１が接続され、同配管１１にはストッ
プバルブ２１が配設されている。

【０００５】また、ワーク配管２２はシリンダ２４に取
付けられた検査治具棒２３の接続孔１７に接続され、こ
の検査治具棒２３はマスターＭに取付けた治具棒１２と
同様に構成されているので同位の部材に同符号を付して
その説明は省略する。また、この検査治具棒２３は検査
台２のアーム２ａに垂下状に取付けたシリンダ２４のピ
ストンロッド２５の先端側に取付けられて昇降可能に設
けられている。また、このワーク配管２２にはストップ
バルブ２６がマスター配管１１のストップバルブ２１と
対応して配設されるとともに、この両ストップバルブ２
１，２６の上流側の配管１１，２２間には差圧計２７が
配設され、また、この差圧計２７の上流側には二方口電
磁弁２８，２９がそれぞれ配設されて、図示のようにレ
ギュレータ８とストップバルブ２１，２６間においてエ
アリークテスト回路Ｒt が形成されている。

【０００６】また、シリンダ配管３０にはソレノイドSO
La，SOLbを有する方向切換電磁弁３１が配設されて同ポ
ートＰに接続されており、この電磁弁３１のポートＡに
はシリンダ２４のピストン室２４ａに接続する管路３２
が設けられ、同管路３２にはスピードコントローラ３３
が配設されている。また、電磁弁３１のポートＢにはシ
リンダ２４のロッド室２４ｂに接続する管路３４が設け
られ、同管路３４にはスピードコントローラ３５が配設
されている。また、ポートＲ1 ，Ｒ2 にはそれぞれ消音
器３６ａ，３６ｂが接続されている。

【０００７】このように設けられたリークテスター１に
おいて、先ず、被検物Ｗを検査台２の所定の位置に載置
する。そしてシリンダ配管３０の方向切換電磁弁３１の
ソレノイドSOLbを励磁すると圧縮空気はポートＰ−Ａを
経てピストン室２４ａへ充填されていき、これによりピ
ストンロッド２５は伸長され、同先端に取付けられた検
査治具棒２３は被検物Ｗの空間部Ｗａに挿入されてい
き、パッキン材１９およびＯリング２０により孔Ｗｂお
よび開口部Ｗｃが密封閉止される。

【０００８】この状態で、テスト配管７の三方口電磁弁
１０のソレノイドSOL が励磁されて圧縮空気はエアレギ
ュレータ８に設定された洩れ試験圧力（0.5MPa) に調整
され、同調整圧縮空気は同テスト配管７より分岐された
一方のワーク配管２２より検査治具棒２３へ供給され、
同空気は空気孔１６を通り給気孔１８より空気室Ｗａに
充填されていく。また、一方、マスター配管１１側にお
いても同様にして空気室Ｍａに圧縮空気が充填され、各
空気室Ｗａ，Ｍａに圧縮空気が充満し、空気の圧力振動
がなくなり、圧力が安定状態（静圧状態）となった後、
マスター配管１１とワーク配管２２の二方口電磁弁２
８，２９のソレノイドSOL を励磁して管路１１，２２を
遮断する。

【０００９】そして、この状態で被検物ＷとマスターＭ
の間において、被検物Ｗに空気の洩れがあれば、マスタ
ーＭの圧力を基準としてその差圧力を差圧計２７で計測
して差圧を計測することで、不良品が判別される。ま
た、差圧が生じないことにより良品と判定する。

【００１０】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ように構成されたリークテスター１においては検査媒体
に使用する空気の圧力が低く、かつ静圧力であるため、
含浸処理の不完全なワークを全て選別できないのが現状
であって、このため、洩れ不良品とすべき含浸不良のワ
ークが良品と判定され、良品として組立ラインへ流さ
れ、その結果、組立完成後の最終検査で発見されるか、
市場クレームとなる恐れがあるという問題点があった。

【００１１】本発明は、上記従来の問題点を解決すべく
なされたもので、含浸材が正規の接着力であれば剥がれ
ない限界である空気圧力を、含浸材の充填の逆方向から
動的圧力（空気の衝撃圧力）として加えることにより、
不完全な接着状態となっている含浸材を除去した後、正
規のリークテストを行うことで良否の判定を確実に実施
できるリークテスターを提供することを目的とするもの
である。

【００１２】

【課題を解決するための手段】本発明は、上記技術課題
を解決するため、含浸処理を施した被検物とマスターと
の空間部に所定のテスト圧力の圧縮空気を供給してその
差圧により洩れ判定を行うエアリークテスト回路を備え
たリークテスターにおいて、このリークテスターの予備
段階において、リークテスターのテスト圧力より高圧に
昇圧して前記被検物の空間部の壁面に含浸処理した含浸
材に動的圧力を付与する動的空気回路を並設する構成と
したリークテスターである。

【００１３】

【作用】上記構成としたことにより、含浸処理製品のリ
ークテストの良否の判定を正確に実施できる。

【００１４】

【実施例】次に、本発明の一実施例を図面にしたがって
説明すると、図１は上記リークテスター１のエアリーク
テスト回路Ｒｔのワーク配管２２側に動的空気回路４０
を並列配設したもので、従来のリークテストの前準備段
階として被検物Ｗの空気室Ｗａに空気の動的圧力を断続
的に給送する構成としたもので、この動的空気回路４０
の配管４１は、シリンダ配管３０の方向切換電磁弁３１
の上流側よりエアリークテスト回路Ｒt のワーク配管２
２のストップバルブ２６の下流側にシャトルバルブ４２
を介して接続配設したものである。

【００１５】この配管４１には順次、圧縮空気（0.5MP
a) を増圧（0.8MPa) するサージタンク付き増圧弁４
３，エアフィルタ４４，二方口電磁弁４５および被検物
Ｗの空気室Ｗａの圧力を確認する圧力計４６がそれぞれ
配設され、また、この二方口電磁弁４５と圧力計４６の
間には、被検物Ｗの空気室Ｗａの高圧空気の有無を電気
信号に変換する圧力スイッチ４７と、高圧空気を大気中
に放出する消音器４９を備えた二方口電磁弁４８が配設
されている。

【００１６】このように動的空気回路４０を並設したリ
ークテスター１による被検物Ｗのリークテストについて
説明する。先ず、被検物Ｗを検査台２の所定の位置に載
置する。そしてシリンダ配管３０の方向切換電磁弁３１
のソレノイドSOLbを励磁すると、圧縮空気はポートＰ−
Ａを経てピストン室２４ａへ充填されていき、これによ
りピストンロッド２５は伸長され、同先端に取付けられ
た検査治具棒２３は被検物Ｗの空間部Ｗａに挿入されて
いき、パッキン材１９およびＯリング２０により孔Ｗｂ
および開口部Ｗｃが密封閉止される。この状態で正規の
リークテストの前準備段階として動的空気回路４０によ
り被検物Ｗの含浸処理が十分に行われているか否かのテ
スト動作を行う。

【００１７】以下、このテスト動作による被検物Ｗのリ
ークテストについて説明する。先ず、空圧源からの圧縮
空気はストップバルブ４，フィルタ５を経て圧力計付き
エアレギュレータ６で圧力調整され（0.5MPa) 、同圧縮
空気はシリンダ配管３０より動的空気回路４０の配管４
１のサージタンク付き増圧弁４３に供給される。そし
て、圧縮空気はこの増圧弁４３で高圧（0.8MPa) に昇圧
される。この昇圧された圧縮空気はエアフィルタ４４に
より水分が除去され、二方電磁弁４５のソレノイドSOL
の励磁により同昇圧空気はシャトルバルブ４２を経て検
査治具棒２３に供給される。

【００１８】この検査治具棒２３に供給された昇圧空気
は空気孔１６の先端側に設けられた給気孔１８より空間
部Ｗａに噴出される。この昇圧空気の噴出作用は通常の
洩れテスト圧力０．５MPa より高圧の０．８MPa である
ことから噴出時間は極めて微小な時間で空間部Ｗａに充
満されることから、空間部Ｗａの壁面に衝撃（動的）空
気圧として作用する。この昇圧空気は所定の時間（ほぼ
１．５秒程度）した後、二方口電磁弁４５のソレノイド
SOL の励磁を解き、同時に排出側の二方口電磁弁４８の
ソレノイドSOL を励磁して空気室Ｗａ内の空気を消音器
４９を介して大気中に放出する。この空間部Ｗａへの昇
圧空気の供給と排出を数回（好ましくは３回ないし４回
程度）繰り返し行う。この昇圧空気の供給・排出の繰り
返し作用により不完全な状態で含浸接着されている含浸
材は空間部Ｗａの壁面より脱落除去される。

【００１９】この動的空気回路４０による昇圧空気によ
る動的作用により、不完全に含浸接着された含浸材を除
去した後、上記したテスト圧力０．５MPa の圧縮空気に
よる洩れテストが行われる。この状態で被検物Ｗから空
気洩れがあれば、マスターＭとの相互の空気室Ｗａ，Ｍ
ａとの圧力差が差圧計２７に表示され、所定範囲の圧力
差を生ずると不良品としての差圧計２７より電気信号を
発して不良品として判定し、圧力差が生じないと電気信
号が発せられないので良品として判定される。この被検
物Ｗの良否の判定後、二方口電磁弁２８，２９および三
方口電磁弁１０の励磁を解いてマスターＭおよび被検物
Ｗの空間室Ｍａ，Ｗａの空気を排出する。そしてシリン
ダ配管３０の方向切換電磁弁３１のソレノイドSOLaを励
磁することでシリンダ２４のロッド室２４に空気が流入
してピストンを上動し、これにより検査治具棒２３は被
検物Ｗより離脱されてリークテストを完了する。以下、
上記操作を繰り返して被検物Ｗのリークテストが行われ
る。

【００２０】

【発明の効果】このように、含浸処理を行った被検物に
対して通常のリークテストを行う前の準備段階で、含浸
処理を施した空間部の壁面に対して通常のテスト圧力よ
り昇圧した空気を動的に複数回作用することにより、同
空間部の壁面に不完全に含浸された含浸材がこの動的空
気の作用により離脱されて、良否の判定を正確になし得
ることができる。したがって、組立てのロスを解消した
コストの低減を図ることができるとともに、市場でのク
レームを低減することができ、信頼性を向上することが
できる。

【図面の簡単な説明】

【図１】予備段階に動的作用を被検物の空間部に作用さ
せる空気回路を並設したリークテスターの配管図であ
る。

【図２】従来のリークテスターの配管図である。

【符号の説明】

１ リークテスター ４０ 動的空気回路 Ｗ 被検物 Ｗａ 空間部

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 含浸処理を施した被検物とマスターとの
   空間部に所定のテスト圧力の圧縮空気を供給してその差
   圧により洩れ判定を行うエアリークテスト回路を備えた
   リークテスターにおいて、このリークテスターの予備段
   階において、リークテスターのテスト圧力より高圧に昇
   圧して前記被検物の空間部の壁面に含浸処理した含浸材
   に動的圧力を付与する動的空気回路を並設する構成とし
   たリークテスター。