JPH0841217A - 塩化ビニリデン系樹脂フィルム - Google Patents

塩化ビニリデン系樹脂フィルム

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JPH0841217A
JPH0841217A JP19387594A JP19387594A JPH0841217A JP H0841217 A JPH0841217 A JP H0841217A JP 19387594 A JP19387594 A JP 19387594A JP 19387594 A JP19387594 A JP 19387594A JP H0841217 A JPH0841217 A JP H0841217A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 高度なバリアー性と自動包装機での高周波シ
ール適性の両方を合わせ持つ、添加剤移行性が少ない塩
化ビニリデン系樹脂フィルムの提供。 【構成】 塩化ビニリデン含有量が85重量%〜95重
量%で重量平均分子量が10万〜15万の塩化ビニリデ
ン系樹脂に、塩化ビニリデン含有量が85重量%〜95
重量%で重量平均分子量が2万〜6万の塩化ビニリデン
系樹脂を5重量%〜15重量%添加した樹脂組成物から
なる、酸素透過率が1cc/m2 ・24時間・atm〜
40cc/m2 ・24時間・atmである塩化ビニリデ
ン系樹脂フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポークソーセージ等の
加工食品の包装用フィルムとして使用され、加工食品の
長期間の流通保存に適した塩化ビニリデン系樹脂フィル
ムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】塩化ビニリデン系樹脂フィルムはバリア
ー性に優れるとともに自動包装機での食品の大量生産性
に優れた包装材料として日本や欧米諸国等先進国で使用
されてきた。近年、塩化ビニリデン系樹脂フィルムに添
加されている可塑剤の食品への移行に関する規制が厳し
くなっており、可塑剤の添加量がより少ない塩化ビニリ
デンフィルムが望まれている。また、食品の味の保存性
の改善などのために、よりバリアー性に優れた塩化ビニ
リデン系樹脂フィルムが望まれており、この点からも、
可塑剤の添加量がより少ない塩化ビニリデン系樹脂フィ
ルムの開発が望まれている。
【0003】一方、開発途上国においては国民所得の伸
びと共にソーセージやハム等の加工食品の消費量が大き
く増加している。しかし、食品の流通が常温で行われて
いる開発途上国では、従来の塩化ビニリデン系樹脂フィ
ルムでは食品の味や色などを保持するには、バリアー性
が不足する場合が多く、従来の塩化ビニリデン系樹脂フ
ィルムよりもバリアー性の高いフィルムが望まれてい
る。この点からも、可塑剤の添加量が少ない塩化ビニリ
デン系樹脂フィルムが望まれている。
【0004】従来、可塑剤の添加量を少なくした塩化ビ
ニリデン系樹脂フィルムとしては、可塑剤の代わりに分
子量が500〜7,500のエチレン−酢酸ビニル共重
合体を添加する方法(特公平2−33739号公報)や
分子量が1,000〜8,500のポリエステルを添加
する方法(特開昭53−33250号公報)が知られて
いる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記低
分子量のエチレン−酢酸ビニル共重合体を添加した塩化
ビニリデン系フィルムでは、エチレン−酢酸ビニル共重
合体が食品に含まれる油脂分に溶解するため、添加剤の
食品への移行は大きいものとなる。又、上記の低分子量
のポリエステルを添加した塩化ビニリデン系フィルムで
も食品への移行は大きく、また、誘電損失率が小さいポ
リエステルが高周波電流による誘電発熱の障害となり、
自動包装機での高周波シールが容易にできるという塩化
ビニリデン系樹脂フィルムの特徴が失われてしまう。本
発明の目的は、高度なバリアー性と自動包装機での高周
波シール適性の両方を合わせ持つ、添加剤移行が少ない
塩化ビニリデン系樹脂フィルムを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の目的を達
成するためのものであり、塩化ビニリデン系樹脂フィル
ムとしての構成は、下記の塩化ビニリデン系樹脂Aと塩
化ビニリデン系樹脂Bの混合組成物であって、塩化ビニ
リデン系樹脂Aの含有量が5重量%以上15量%以下で
ある塩化ビニリデン系樹脂組成物からなる、温度が23
℃、相対湿度が65%のときの酸素透過率が1cc/m
2 ・24時間・atm以上40cc/m2 ・24時間・
atm以下である塩化ビニリデン系樹脂フィルムである
ことを特徴とする。
【0007】ここで、塩化ビニリデン系樹脂Aは、塩化
ビニリデン含有量が85重量%以上95重量%以下であ
って、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によ
る重量平均分子量が2万以上6万以下である塩化ビニリ
デン系樹脂である。塩化ビニリデン系樹脂Bは、塩化ビ
ニリデン含有量が85重量%以上95重量%以下であっ
て、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法による
重量平均分子量が10万以上15万以下である塩化ビニ
リデン系樹脂である。以下に、本発明の内容を詳細に説
明する。
【0008】
【作用】本発明が従来技術と異なるところは、可塑剤の
代わりに添加する樹脂が、特定分子量の塩化ビニリデン
系樹脂である事にある。上記相違点の重要性は、特定分
子量の塩化ビニリデン系樹脂Aを添加しても、食品への
添加剤の移行量の増加はなく、また、バリアー性の低下
がないために、塩化ビニリデン系樹脂の溶融押出時に生
じる熱分解を抑制するために必要な量を添加できる事に
ある。そのことで、添加剤の移行が少なくてバリアー性
の良い塩化ビニリデン系樹脂フィルムの押出成形を可能
にする。
【0009】また、特定分子量の塩化ビニリデン系樹脂
Aを添加することにより、加熱溶融された塩化ビニリデ
ン系樹脂フィルムの再結晶化温度が高まることで、塩化
ビニリデン系樹脂フィルムの高周波シールを用いた自動
包装機での高速包装適正を高める効果を持つ事にある。
図1は、塩化ビニリデン系樹脂フィルムのオリーブ油に
よる添加剤の移行量をグラフで示した実験図である。
【0010】本発明の塩化ビニリデン系樹脂用の可塑剤
(特定分子量の塩化ビニリデン系樹脂A)と、その代わ
りに用いた樹脂の添加量(重量%)とそのフィルムから
オリーブ油に移行する添加樹脂の移行量(mg/d
2 )の関係を示すものである。即ち、横軸には重量平
均分子量が12万の塩化ビニリデン系樹脂に可塑剤の代
わりに用いた樹脂の添加量(重量%)を目盛り、縦軸に
は塩化ビニリデン系樹脂フィルムを121℃のオリーブ
油に30分間浸漬したときの移行量(mg/dm2)を
目盛った。
【0011】図1は、実験例1に基づくもので、黒丸印
(●)は分子量7,000のエチレン−酢酸ビニル共重
合体を、黒三角印(▲)は分子量8,000のポリエス
テルを、白丸印(○)は本発明に係わる分子量4万の塩
化ビニリデン系樹脂の場合を各々示した。エチレン−酢
酸ビニル共重合体やポリエステルを可塑剤の代わりに使
用する場合に、塩化ビニリデン系樹脂の溶融押出での熱
分解物を抑制するためには、少なくとも5重量%を必要
とすることが知られている。
【0012】図1の結果によると、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体(分子量7,000)(黒丸印●)並びにポ
リエステル(分子量8000)(黒三角印▲)を塩化ビ
ニリデン系樹脂に添加した場合は、5重量%以上の添加
量ではオリーブ油への移行量がEC欧州共同体の移行量
規制値である10mg/dm2 を越えてしまう。従っ
て、エチレン−酢酸ビニル共重合体やポリエステルで
は、溶融押出が可能となる5重量%以上の添加量では、
添加剤の移行量が規制値を越えてしまう事が判る。
【0013】これに対して、本発明でいう塩化ビニリデ
ン系樹脂(分子量4万)を添加したものでは、その添加
量を20%にしてもオリーブ油への移行量は10mg/
dm2 未満にとどまり、添加剤の移行が低く抑制されて
いることが判る。この移行の抑制効果は、添加する塩化
ビニリデン系樹脂の分子量の大きさと油脂に対する溶解
性の低さに由来するものと推察される。即ち、本発明
は、図1を用いて上述した通りの、特定分子量の塩化ビ
ニリデン系樹脂の油脂への移行が少ない効果を利用し
て、高分子量の塩化ビニリデン系樹脂に可塑剤の代わり
として該特定分子量の塩化ビニリデン系樹脂を添加し、
溶融押出における熱分解の抑制を図るものである。
【0014】また、可塑剤の代わりに用いる樹脂が塩化
ビニリデン系樹脂であることが、樹脂相互の相溶性を高
めて可塑剤効果を与えている事や溶融した後に再結晶す
る速度を早めて高周波シール性を高める作用効果が加わ
っている事は言うまでもない。上記作用効果が期待でき
る塩化ビニリデン系樹脂Aは、その分子量が2万以上6
万以下、好ましくは3万以上5万以下の範囲のものであ
る。2万未満の分子量のものは油脂への移行量が大きす
ぎ、逆に6万を超えて大きな分子量のものでは溶融押出
での可塑剤効果が小さすぎ、共に可塑剤の代わりとして
は不都合である。
【0015】さらに、自動充填包装機での包装適正レン
ジの点からは3万以上5万以下の範囲のものが望まし
い。塩化ビニリデン系樹脂Bは通常公知のもので、その
分子量が10万以上15万以下の範囲のものである。1
0万未満の分子量のものでは押出成形れたフィルムの強
度が低すぎ、逆に15万を超える分子量のものでは塩化
ビニリデン系樹脂Aが可塑剤としての効果を果たさなく
なる。一方、塩化ビニリデン系樹脂Aの添加量は5重量
%以上15重量%以下、好ましくは7重量%以上13重
量%以下の範囲のものである。
【0016】5重量%未満の添加量では、塩化ビニリデ
ン系樹脂Bの溶融押出における可塑剤効果が期待できな
い。逆に15重量%を超える添加量では低分子量分の増
加により押出成形されたフィルムの強度が低下し、自動
包装機で発生するピンホールの発生率が高まるので、塩
化ビニリデン系樹脂Aの添加量は15重量%以下にとど
めておかねばならないことになる。さらに、高速シール
性の点からは7重量%以上13重量%以下の添加量が望
ましい。
【0017】本発明で言う塩化ビニリデン系樹脂Aは塩
化ビニリデン含有量が85重量%以上95重量%以下
で、塩化ビニリデンと重合可能なモノマーが5重量%以
上15重量%以下の共重合樹脂である。一方、塩化ビニ
リデン系樹脂Bは、塩化ビニリデン含有量が85重量%
以上95重量%以下で、塩化ビニリデンと重合可能なモ
ノマーが5重量%以上15重量%以下の共重合樹脂であ
る。
【0018】押出成形されたフィルムの溶融後の再結晶
化温度を高めて高周波シール性を向上させる点から、低
分子量の塩化ビニリデン系樹脂Aの塩化ビニリデン含有
量は、高分子量の塩化ビニリデン系樹脂Bの塩化ビニリ
デン含有量よりも、2重量%以上大きくする事が望まし
い。本発明で言う塩化ビニリデン系樹脂フィルムの酸素
透過率は、ASTMのD−3985に記載の方法に準じ
て測定した、温度23℃、相対湿度65%の場合の酸素
透過率である。
【0019】本発明の塩化ビニリデン系樹脂フィルムで
は、可塑剤の代わりに特定分子量の塩化ビニリデン系樹
脂を使うことにより酸素透過率が小さいものとしている
が、塩化ビニリデン系樹脂の塩化ビニリデン含有量を小
さくしたり低分子可塑剤を添加することにより、酸素透
過率を大きくすることの調整は可能である。40cc/
2 ・24時間・atmを超えた酸素透過率では、ソー
セージ、ハムなどの味や肉色の保存性が劣るものとな
り、食品の長期間の保存に適さないものとなる。1cc
/m2 ・24時間・atm未満の酸素透過率では、フィ
ルムの強度が小さいものとなり、自動充填包装機で発生
するピンホールの発生率が高まる。
【0020】上述した公知の重量平均分子量が10万以
上15万以下の塩化ビニリデン系樹脂Bは次の製造法で
作製できる。まず、重合機の中にイオン交換水と懸濁剤
としてメチルセルロース等のセルロース誘導体、重合開
始剤としてジイソプロピルパーオキシジカーボネート等
の有機過酸化物を入れ、その中に塩化ビニリデンモノマ
ーが70〜95重量%と塩化ビニリデンと共重合するモ
ノマーが5〜30重量%であるモノマー混合物をイオン
交換水と同重量入れて撹拌する。撹拌される混合液の温
度を40〜80℃の温度に加熱しながら、約40〜70
時間かけて重合を行う。重合が終了した後、未反応モノ
マーを回収してスラリーを取り出し脱水する。この重合
体を熱風乾燥機で乾燥し、完全に水分を除去した。
【0021】一方、上述した重量平均分子量が2万以上
6万以下の塩化ビニリデン系樹脂Aでは、分子量を小さ
くして作製するために、上述の塩化ビニリデン系樹脂B
とは異なる作製方法となる。主な相違点は、重合開始剤
としてt−ブチルパーオキシ−ピバレートのような高温
分解型の開始剤を多量に使用し、高温で重合することで
ある。これにより重合開始点を多くして分子量を低く
し、また重合熱の除熱を容易にできて、重合を約5〜2
0時間の短時間で行うことができるようになる。この作
製方法を採用ことにより、従来工業的生産が困難であっ
た分子量が2万〜6万の塩化ビニリデン系樹脂の重合が
可能となるのである。本発明で用いる評価方法を以下に
示す。
【0022】<重量平均分子量>本発明でいう塩化ビニ
リデン系樹脂A及び塩化ビニリデン系樹脂Bの重量平均
分子量は、ポリスチレンを標準としたゲルパーミエーシ
ョンクロマトグラフィー法により求めたものである。使
用機器類は以下の通りである。 機種:高速液体クロマトグラフィー(東ソー社製) カラム:GMH6(東ソー社製) 溶媒:テトラヒドロフラン(和光純薬社製、液体クロマ
トグラフィー用)
【0023】<測定方法>測定方法は以下の通りであ
る。テトラヒドロフランに0.5重量%濃度に溶解させ
た測定対象試料を、溶媒と共に20℃に保温したカラム
に注入し、試料注入後からの示差屈折計の出力電流値の
時間経過に伴う変化を、記録計のチャートに描かせる。
【0024】分子量の校正は以下の通りである。分子量
が3,600、35,600、110,000、65
0,000、1,460,000である5種の単分散ポ
リスチレンの各々について、本測定機による測定を前も
って完了させておき、このデータを検量線として塩化ビ
ニリデン系樹脂の計算基礎とする。即ち、分子量既知の
単分散ポリスチレンが示す示差屈折計の出力電流のピー
ク値が生じるまでのゲルパーミエーションクロマトグラ
フィーカウント数(試料注入時を起点0とする秒数)と
そのものの分子量の対数値との関係を座標点とし、この
5種の座標点を結ぶグラフを作り、これを分子量算定の
検量線とする。
【0025】測定と計算は以下の通りである。対象とす
る樹脂試料で描かれたゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィーカウント数と示差屈折計の出力電流値との関係
チャートから、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ーカウント数900〜1,440の間を20カウント毎
に区切った位置に示されている出力電流値(Pi)を、
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーカウント数に
対応する分子量(検量線による)Miの度数として求
め、各々次のように計算する。 分子量Miの重量分率:Wi=Pi/ΣPi ・・・(1) 本発明でいう塩化ビニリデン系樹脂の重量平均分子量
は、このようにして計算した分子量Miの重量分率Wi
と分子量Miとを使って、次のように計算する。 重量平均分子量=Σ(Wi×Mi) ・・・・(2)
【0026】<塩化ビニリデン系樹脂フィルムの実用性
評価> 1.[評価に供する塩化ビニリデン系樹脂フィルムの作
成] 所定の塩化ビニリデン系樹脂に所定の可塑剤を所定の重
量比率で予め混合したものを500kg用意し、それに
安定剤としてエポキシ化大豆油を3重量%、滑剤として
ステアリン酸アミド0.1重量%と二酸化ケイ素0.1
重量%を添加してコニカルブレンダーで30分間混合し
た後、40℃で24時間熟成した。
【0027】熟成された塩化ビニリデン系樹脂組成物
を、スリット間隔が1.5mm、口径300mmの円形
押出ダイを先端に取り付けた口径100mm、シリンダ
ー長さと口径の比率が25の押出機に供給し、管状に押
出した。この管状体を過冷却後、インフレーション2軸
延伸法で流れ方向に4倍、巾方向に4倍の延伸を行って
管状フィルムとした。この管状フィルムを折り畳んで巻
取り、目標厚み40μmの巾が約2mの平坦長尺状のダ
ブルプライフィルムを作成した。
【0028】4.[各評価項目とその評価尺度] 押出成形の安定性評価 上記方法で塩化ビニリデン系樹脂フィルムを連続して押
出成形を行うに当たり、フィルムに混入する塩化ビニリ
デン系樹脂の熱分解物をイメージセンサー方式の異物検
査機を用いて検出した。押出成形を開始してから外径が
1mm以上の熱分解物が検出されるまでの時間を押出機
安定時間とした。
【0029】 <評価尺度> [外径1mm以上の熱分解物が 流出するまでの時間] 評価記号 備 考 48時間以上 ○ 安定な連続生産が可能 8時間以上48時間未満 △ 生産性は悪いが連続生産可能 8時間未満 × 連続生産は不可能
【0030】 添加剤の移行性評価 上記[評価に供する塩化ビニリデン系樹脂フィルムの作
成]で得られた塩化ビニリデン系樹脂フィルムについ
て、EC(ヨーロッパ共同体)指令93/8に記載の試
験方法に準じて、添加剤の移行量の測定を行った。重量
を秤量したフィルムを、その片面がオリーブ油50gと
接触面積100cm2 で接するようにし、フィルムとオ
リーブ油が接触したままの状態で121℃の雰囲気中に
30分間おいた。フィルム表面とフィルム内部のオリー
ブ油を分離除去した後、フィルムの重量を秤量し、オリ
ーブ油と接触する前の重量からの減少量を計算した。こ
の減少量にEC指令85/572に記載の換算係数1/
4をかけた値を添加剤の移行量とした。
【0031】 <評価尺度> 添加剤の移行量 評価記号 備 考 7mg未満 ○ 食品安全性に優れる 7mg以上10mg未満 △ 食品安全性はある 10mg以上 × 食品安全性に問題がある
【0032】 包装適正レンジの評価 上記[評価に供する塩化ビニリデン系樹脂フィルムの作
成]で得られた巾2mの塩化ビニリデン系樹脂フィルム
を巻取ったものから、フィルムを巻きほどきながら巾8
cmに細断して再度巻取り原反を作った。この原反を使
用し、旭化成工業(株)製自動充填包装機ADPでポー
クソーセージを作って、包装機適性レンジを評価した。
即ち、図2は上記自動充填包装機ADPの主要工程を示
す模式図である。図2において、原反Aから引き出され
る塩化ビニリデン系樹脂フィルムの平坦帯状フィルムF
1は、連続してフォルダー1を通過する間で帯状フィル
ムの両側縁部が重ね合わされて筒状をなし、続いて高周
波電極である2(印加側)と3(アース側)の間で、上
記フィルムの重ね合わせ部が溶接され、完全な筒状フィ
ルムF2となる。
【0033】一方、計量ポンプMで定量化されたポーク
ソーセージの原料肉4が、フォルダー1の内部を通る流
路を経てノズル5の先から筒状フィルムF2中に充填さ
れる。更に、フィードローラー6によって送り出された
筒状フィルムF2は一対のしごきローラー7によって被
包装物5が一定周期でしごき寄せられ、しごいた部分に
結紮予定部F3が形成される。その結紮予定部F3は結
紮装置8において金属クリップで2カ所同時に結紮さ
れ、2個の結紮の間が切断されて個々の包装体F4とな
りシュート9を経て搬出される。
【0034】この際の主要条件は電極2の面圧が500
g、包装体F4の製品長(両端の結紮用金属クリップ間
の長さ)の設定が20cm、包装体F4が毎分100個
作られる速度にフィードローラー6等の速度を調整し
た。電極2と3の間に流れる電流の値をシール電流値と
し、シール電流値を徐々に大きくして筒状フィルムF2
が完全に溶接される最小のシール電流値をA1とした。
シール電流値を過度に大きく設定した場合に、電極2と
3の間でスパークが生じてフィルムにピンホールが開く
が、スパークが生じない最大のシール電流値をA2とし
た。シール電流値A2とA1の差を包装適正レンジとし
た。包装適正レンジは、その値が大きいほど自動充填包
装機の操作が容易なことを示す指標である。
【0035】 <評価尺度> 包装適正レンジ 評価記号 備 考 10mA以上 ○ 自動充填包装機適性に優れる 3mA以上10mA未満 △ 自動充填包装機適性はある 3mA未満 × 自動充填包装機に適さない
【0036】 レトルト適正レンジの評価 上記の実験で得られた最小シール電流値A1で包装体
F4を20個作った。シール電流値を1mA大きくして
包装体F4を20個作ることを、最大シール電流値A2
まで繰り返した。作った包装体F4について、加圧加熱
殺菌を加熱缶内ゲージ圧が3kg/cm2 、温度120
℃、20分の条件で行った。
【0037】加圧加熱殺菌後の包装体F4を加熱缶内圧
力を維持したまま温度25℃まで冷却し、圧力を大気圧
まで下げた後加熱缶から取り出し、ポークソーセージと
した。各々のシール電流値でシールされた20個のポー
クソーセージについて、全てのフィルムの高周波シール
部分の溶着状況を調査し、剥離していないか調べた。
【0038】シール電流値が過小の場合には、高周波シ
ールで一旦溶着したフィルム界面が、ポークソーセージ
の原料肉に含まれる脂肪分によって、加熱後に剥離する
場合がある。20個のポークソーセージの全ての高周波
シール部が剥離せずに溶着している最小のシール電流値
をA3とした。 包装適正レンジの評価で得られた最大シール電流値A
2と上記電流値A3との差をレトルト適正レンジとし
た。レトルト適正レンジは、その値が大きいほど加圧加
熱殺菌が容易であることを示す指標である。
【0039】 <評価尺度> レトルト適正レンジ 評価記号 備 考 10mA以上 ○ 加圧加熱殺菌適性に優れる 3mA以上10mA未満 △ 加圧加熱殺菌適性はある 3mA未満 × 加圧加熱殺菌に適さない
【0040】 高速シール性の評価 上記のレトルト適正レンジの評価の結果が10mA以
上であった塩化ビニリデン系樹脂フィルムについて、実
用可能な高周波シールの最高速度を調査した。上記の
包装適正レンジの評価とレトルト適正レンジの評価と
を、包装体F4が作られる速度を毎分110個で行い、
レトルト適正レンジを求めた。レトルト適正レンジが1
0mA以上である場合には、更に速度を毎分10本大き
くして包装適正レンジの評価とレトルト適正レンジ
の評価を行うことを、レトルト適正レンジが9mA以下
になるまで繰り返した。レトルト適正レンジが10mA
以上を維持した最高速度を最高高周波シール速度とし
た。
【0041】 <評価尺度> 最高高周波シール速度(個/分) 評価記号 備 考 150以上 ○ 高速シール性に優れる 100以上150未満 △ 高速シール性はある 100未満 × 高速シール性がない
【0042】 ソーセージ肉色保存性の評価 上記の高速シール性の評価で得られた最高高周波シー
ル速度で、シール電流値を最大シール電流値A2にし
て、ポークソーセージを20本作った。ポークソーセー
ジを温度30℃のエアーオーブン中に30日間保管し
た。保管後のポークソーセージのフィルムをはぎとり、
ソーセージの肉の表面の色調a値を日本電色工業(株)
製測色色差計Z−300Aにより測定し評価した。色調
a値は、その値が大きいほど赤みがつよい色であること
を示す値である。
【0043】ソーセージの肉の赤い色は、肉に含まれる
ミオグロビンの色である。ミオグロビンは元来鮮やかな
赤色であるが、酸素により変成すると褐色に変わる。ソ
ーセージの加熱殺菌の過程や殺菌後の保管の過程で、ソ
ーセージを包装するフィルムを透過する酸素が多いと、
ソーセージの肉の色は赤みがなくなり商品価値が失われ
る。肉の色調a値は、その値が大きいほどポークソーセ
ージを包装するフィルムの保存性が大きい事を示す指標
である。
【0044】<評価尺度> 肉の色調a値 評価記号 備 考 3以上 ○ 長期保存性に優れる 1以上3未満 △ 保存性はある 1未満 × 保存性に劣る
【0045】 ソーセージピンホール率の評価 上記ソーセージ肉色保存性の評価と同じ速度、シール
電流値で、1,000本のポークソーセージを作り、メ
チレンブルーの稀薄溶液に24時間浸した。ポークソー
セージのフィルムにピンホールがあれば、メチレンブル
ー溶液が進入してポークソーセージが青く染まるため、
青く染まったソーセージの個数を調査した。そのソーセ
ージの個数より次式を使ってピンホール発生率を計算し
評価した。
【0046】 <評価尺度> ピンホール発生率 評価記号 備 考 0% ○ 高生産速度での強度に優れる 0.1%以上0.5%未満 △ 高生産速度での強度はある 0.5%以上 × 高生産速度での強度がない
【0047】(実験例)この実験は、図1に示す塩化ビ
ニリデン系樹脂フィルムからの添加剤の移行性の程度を
示すためのものである。即ち、本文記載の方法で測定し
た重量平均分子量が12万である塩化ビニリデン系樹脂
(塩化ビニリデ含有量が88重量%、塩化ビニル含有量
が12重量%)500kgに、可塑剤として本文記載の
ゲルパーミエーション法で測定した重量平均分子量が4
万である塩化ビニリデン系樹脂(塩化ビニリデン含有量
が88重量%、塩化ビニル含有量が12重量%)を5重
量%添加し、コニカルブレンダーで30分間混合して樹
脂組成物を得た。この樹脂組成物を用いて本文記載の
[評価に供する塩化ビニリデン系樹脂フィルムの作成]
の方法で塩化ビニリデン系樹脂フィルムを作成した。
【0048】次に、上記の分子量4万の塩化ビニリデン
系樹脂の添加量を10重量%、20重量%に変える事の
他は、上記と同じ実験を繰り返し塩化ビニリデン系樹脂
フィルムを作成した。更に、可塑剤として用いる低分子
量樹脂を、本文記載のゲルパーミエーション法で測定し
た重量平均分子量が7,000であるエチレン−酢酸ビ
ニル共重合体(エチレン含有量が60重量%、酢酸ビニ
ル含有量が40重量%)に変更する事と、その添加量を
1重量%、3重量%、5重量%と変える事の他は、上記
と同じ実験を繰り返し塩化ビニリデン系樹脂フィルムを
作成した。
【0049】更に、可塑剤として用いる低分子量樹脂
を、本文記載のゲルパーミエーション法で測定した重量
平均分子量が8,000であるアジピン酸ブタンジオー
ルポリエステルに変更し、添加量をを1重量%、3重量
%、5重量%と変えて、上記と同じ実験を繰り返し塩化
ビニリデン系樹脂フィルムを作成した。これらのフィル
ムについて本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、
添加剤の移行性評価、バリヤー性の評価を行った。それ
らをまとめて表1に示し、更に低分子量樹脂の添加量と
添加剤移行量の関係をまとめて図1に示す。
【0050】
【表1】
【0051】表1と図1の結果によると、可塑剤として
添加する低分子量樹脂に本発明に係わる重量平均分子量
4万の塩化ビニリデン系樹脂を用いたフィルムの場合
は、添加剤の移行は3mg/dm2 と少なく、また添加
量を20重量%まで増やしても添加剤の移行量や酸素ガ
ス透過率が悪くならないことが判る。これに対して、可
塑剤としてエチレン−酢酸ビニル共重合体やポリエステ
ルを用いたフィルムでは、上記の塩化ビニリデン系樹脂
の場合よりも添加剤の移行量が大きく且つ添加量を増や
すと共に添加剤の移行性が悪くなり、またバリヤー性も
悪くなることが判る。従って、可塑剤としてエチレン−
酢酸ビニル共重合体やポリエステルを用いた場合では、
安定した押出成形が可能で且つ添加剤移行性も良い塩化
ビニリデン系樹脂フィルムを得ることは困難である。
【0052】
【実施例】以下に本発明を実施例により詳細に説明する
が、これらは本発明の範囲を制限しない。 (実施例1及び比較例1、2)本文記載の方法で測定し
た重量平均分子量が12万である塩化ビニリデン系樹脂
B(塩化ビニリデン含有量が88重量%、塩化ビニル含
有量が12重量%)500kgに、可塑剤として本文記
載のゲルパーミエーション法で測定した重量平均分子量
が4万である塩化ビニリデン系樹脂A(塩化ビニリデン
含有量が88重量%、塩化ビニル含有量が12重量%)
を10重量%とアセチルトリブチルサイトレートを2重
量%とをコニカルブレンダーで30分間混合して樹脂組
成物を得た。
【0053】この樹脂組成物を用いて本文記載の[評価
に供する塩化ビニリデン系樹脂フィルムの作成]の方法
で塩化ビニリデン系樹脂フィルムを作成した(フィルム
No.1とする)。次に、上記フィルムNo.1におい
て可塑剤として用いた塩化ビニリデン系樹脂Aの重量平
均分子量を1万、2万、3万、5万、6万、7万に変更
して、下記表2の[塩化ビニリデン系樹脂混合組成物の
内容]に示すように変更する事の他は、上記フィルムN
o.1と同じ実験を繰り返し行った(各々、フィルムN
o.2、3、4、5、6、7とする)。
【0054】
【表2】
【0055】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、添
加剤の移行性評価、包装適正レンジの評価、レトルト適
正レンジの評価、高速シール性の評価、ソーセージ肉色
保存性の評価、ソーセージピンホール率の評価を行っ
た。それらをまとめて表3に示す。
【0056】
【表3】
【0057】上記表3の結果によると、塩化ビニリデン
系樹脂Aの重量平均分子量が2万〜6万のものは、押出
成形の安定性は良好で、包装適正レンジ、レトルト適正
レンジ、高速シール性、ソーセージピンホール率の評価
も、全ての評価項目で良好であることが判る(フィルム
No.1、3、4、5、6参照)。これに比べ、塩化ビ
ニリデン系樹脂Aの重量平均分子量が2万を下まわるも
のでは、添加剤移行性が悪く使用は困難である(フィル
ムNo.12参照)。一方、塩化ビニリデン系樹脂Aの
重量平均分子量が6万を超えるものでは、押出成形の安
定性が悪く、また高速シール性が悪く、自動充填包装機
での使用は困難である(フィルムNo.7参照)。
【0058】(実施例2及び比較例3、4)上記フィル
ムNo.1において塩化ビニリデン系樹脂Aの添加量を
3、5、7、13、15、17重量%に変更し、下記表
4の[塩化ビニリデン系樹脂混合組成物の内容]に示す
ように変更する事の他は、上記フィルムNo.1と同じ
実験を繰り返し行った(各々、フィルムNo.8、9、
10、11、12、13とする)。
【0059】
【表4】
【0060】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、添
加剤の移行性評価、包装適正レンジの評価、レトルト適
正レンジの評価、高速シール性の評価、ソーセージ肉色
保存性の評価、ソーセージピンホール率の評価を行っ
た。それらをまとめて表5に示す。
【0061】
【表5】
【0062】上記表5の結果によると、塩化ビニリデン
系樹脂Aの添加量が、5重量%〜15重量%のものは押
出成形の安定性は良好で、包装適正レンジ、レトルト適
正レンジ、高速シール性、ソーセージピンホール率の評
価も、全ての評価項目で良好であることが判る(フィル
ムNo.9、10、11、12参照)。これに比べ、塩
化ビニリデン系樹脂Aの添加量が5重量%を下まわるも
のでは、押出成形の安定性が悪く、また、包装機適正レ
ンジ、レトルト適正レンジ、高速シール性が悪く、自動
充填包装機での使用は困難である(フィルムNo.8参
照)。一方、塩化ビニリデン系樹脂Aの添加量が15重
量%を超えるものでは、ソーセージピンホール率が悪く
ソーセージの腐敗の危険が大きくなり使用は困難である
(フィルムNo.13参照)。
【0063】(実施例3及び比較例5、6)上記フィル
ムN0.1において塩化ビニリデン系樹脂Aの塩化ビニ
リデン含有量を83、85、90、95、97重量%に
変更して、下記表6の[塩化ビニリデン系樹脂混合組成
物の内容]に示すように変更する事の他は、上記フィル
ムNo.1と同じ実験を繰り返し行った(各々、フィル
ムNo.14、15、16、17、18とする)。
【0064】
【表6】
【0065】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、添
加剤の移行性評価、包装適正レンジの評価、レトルト適
正レンジの評価、高速シール性の評価、ソーセージ肉色
保存性の評価、ソーセージピンホール率の評価を行っ
た。それらをまとめて表7に示す。
【0066】
【表7】
【0067】上記表7の結果によると、塩化ビニリデン
系樹脂Aの塩化ビニリデン含有量が85重量%〜95重
量%のものは押出成形の安定性は良好で、包装適正レン
ジ、レトルト適正レンジ、高速シール性、ソーセージピ
ンホール率の評価も、全ての評価項目で良好であること
が判る(フィルムNo.15、16、17参照)。これ
に比べ、塩化ビニリデン系樹脂Aの塩化ビニリデン含有
量が85重量%を下まわるものでは、包装機適正レン
ジ、レトルト適正レンジが悪く、自動充填包装機での使
用は困難である(フィルムNo.14参照)。一方、塩
化ビニリデン系樹脂Aの塩化ビニリデン含有量が95重
量%を超えるものでは、押出成形の安定性が悪く、また
ソーセージピンホール率が悪くソーセージの腐敗の危険
が大きくなり使用は困難である(フィルムNo.18参
照)。
【0068】(実施例4及び比較例7、8)上記フィル
ムN0.1において用いた塩化ビニリデン系樹脂Bの重
量平均分子量を9万、10万、15万、6万に変更し
て、下記表8の[塩化ビニリデン系樹脂混合組成物の内
容]に示すように変更する事の他は、上記フィルムN
o.1と同じ実験を繰り返し行った(各々、フィルムN
o.19、20、21、22とする)。
【0069】
【表8】
【0070】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、添
加剤の移行性評価、包装適正レンジの評価、レトルト適
正レンジの評価、高速シール性の評価、ソーセージ肉色
保存性の評価、ソーセージピンホール率の評価を行っ
た。それらをまとめて表9に示す。
【0071】
【表9】
【0072】上記表9の結果によると、塩化ビニリデン
系樹脂Bの重量平均分子量が10万から15万のもの
は、押出成形の安定性は良好で、包装適正レンジ、レト
ルト適正レンジ、高速シール性、ソーセージピンホール
率の評価も、全ての評価項目で良好であることが判る
(フィルムNo.20、21参照)。これに比べ、塩化
ビニリデン系樹脂Bの重量平均分子量が10万を下まわ
るものでは、包装機適正レンジ、レトルト適正レンジ、
高速シール性が悪く使用は困難である(フィルムNo.
19参照)。一方、塩化ビニリデン系樹脂Bの重量平均
分子量が15万を超えるものでは、押出成形の安定性が
悪く使用は困難である(フィルムNo.22参照)。
【0073】(実施例5及び比較例9、10)上記フィ
ルムN0.1において用いた塩化ビニリデン系樹脂Bの
塩化ビニリデン含有量を83、85、95、97重量%
に変更して、下記表10の[塩化ビニリデン系樹脂混合
組成物の内容]に示すように変更する事の他は、上記フ
ィルムNo.1と同じ実験を繰り返し行った(各々、フ
ィルムNo.23、24、25、26とする)。
【0074】
【表10】
【0075】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、押出成形の安定性評価、添
加剤の移行性評価、包装適正レンジの評価、レトルト適
正レンジの評価、高速シール性の評価、ソーセージ肉色
保存性の評価、ソーセージピンホール率の評価を行っ
た。それらをまとめて表11に示す。
【0076】
【表11】
【0077】上記表11の結果によると、塩化ビニリデ
ン系樹脂Bの塩化ビニリデン含有量が85重量%から9
5重量%のものは、押出成形の安定性は良好で、包装適
正レンジ、レトルト適正レンジ、高速シール性、ソーセ
ージピンホール率の評価も、全ての評価項目で良好であ
ることが判る(フィルムNo.24、25参照)。これ
に比べ、塩化ビニリデン系樹脂Bの塩化ビニリデン含有
量が85重量%を下まわるものでは、レトルト適正レン
ジ、高速シール性が悪く、使用は困難である(フィルム
NO.23参照)。一方、塩化ビニリデン系樹脂Bの塩
化ビニリデン含有量が95重量%を超えるものでは、押
出成形の安定性が悪く、包装機適正レンジ、レトルト適
正レンジが悪く、使用は困難であり、塩化ビニリデン系
樹脂Aの効果を発揮することができない(フィルムN
o.26参照)。
【0078】(実施例6及び比較例11、12)上記フ
ィルムN0.1において用いた低分子可塑剤と安定剤を
変更して、下記表12の[塩化ビニリデン系樹脂混合組
成物の内容]に示すように変更する事の他は、上記フィ
ルムNo.1と同じ実験を繰り返し行った(各々、フィ
ルムNo.27、28、29、30、31とする)。
【0079】
【表12】
【0080】これらの塩化ビニリデン系樹脂フィルムに
ついて、本文記載の方法で、酸素透過率を測定するとと
もに、押出成形の安定性評価、添加剤の移行性評価、包
装適正レンジの評価、レトルト適正レンジの評価、高速
シール性の評価、ソーセージ肉色保存性の評価、ソーセ
ージピンホール率の評価を行った。それらをまとめて表
13に示す。
【0081】
【表13】
【0082】上記表13の結果によると、酸素透過率が
1cc/m2 ・24時間・atm〜40cc/m2 ・2
4時間・atmのものは、押出成形の安定性は良好で、
包装適正レンジ、レトルト適正レンジ、高速シール性、
ソーセージピンホール率の評価も、全ての評価項目で良
好であることが判る(フィルムNo.28、29、30
参照)。これに比べ、酸素透過率が1cc/m2 ・24
時間・atmを下回るものは、ソーセージピンホール率
が悪く使用は困難である(フィルムNo.27参照)。
一方、酸素ガス透過率が40cc/m2 ・24時間・a
tmを上回るものは、ソーセージ肉色保存性が悪く使用
は困難である(フィルムNo.31参照)。
【0083】
【発明の効果】上述の構成をもつことにより、高度なバ
リアー性と低い添加剤移行性を有する塩化ビニリデン系
樹脂フィルムの場合であっても、安定な押出成形性を保
証し、且つ自動充填包装機適性に優れるフィル塩化ビニ
リデン系樹脂フィルムである。
【図面の簡単な説明】
【図1】塩化ビニリデン系樹脂フィルムからの添加剤の
移行の状況をグラフで示す実験図である。
【図2】本発明の評価に用いた自動充填包装機の模式図
である。
【符号の説明】
1 フォルダー 2 高周波の電極(印加側) 3 高周波の電極(アース側) 4 被包装物 5 ノズル 6 フィードローラー 7 しごきローラー 8 結紮装置 9 シュート 10 原反 M 計量ポンプ F1 平坦帯状の長尺フィルム F2 筒状フィルム F3 結紮予定部 F4 包装体

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記の塩化ビニリデン系樹脂Aと塩化ビ
    ニリデン系樹脂Bの混合組成物であって、塩化ビニリデ
    ン系樹脂Aの含有量が5重量%以上15重量%以下であ
    る塩化ビニリデン系樹脂組成物からなる、温度が23
    ℃、相対湿度が65%のときの酸素透過率が1cc/m
    2 ・24時間・atm以上40cc/m2 ・24時間・
    atm以下であることを特徴とする塩化ビニリデン系樹
    脂フィルム。
  2. 【請求項2】 塩化ビニリデン系樹脂A:塩化ビニリデ
    ン含有量が85重量%以上95重量%以下であって、ゲ
    ルパーミエーションクロマトグラフィー法による重量平
    均分子量が2万以上6万以下である塩化ビニリデン系樹
    脂。
  3. 【請求項3】 塩化ビニリデン系樹脂B:塩化ビニリデ
    ン含有量が85重量%以上95重量%以下であって、ゲ
    ルパーミエーションクロマトグラフィー法による重量平
    均分子量が10万以上15万以下である塩化ビニリデン
    系樹脂。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007238910A (ja) * 2006-02-07 2007-09-20 Asahi Kasei Chemicals Corp 塩化ビニリデン系共重合体フィルム及びその製造方法
JP2008074942A (ja) * 2006-09-21 2008-04-03 Asahi Kasei Chemicals Corp 塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物
WO2014054413A1 (ja) * 2012-10-01 2014-04-10 株式会社クレハ 塩化ビニリデン系共重合体樹脂組成物及びその成形品
WO2015141361A1 (ja) * 2014-03-17 2015-09-24 株式会社クレハ 包装用フィルム

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