JP2018076413A - 透湿フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
[1]ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる透湿フィルム。
[2]上記アミド系共重合体(A)中、上記ポリアミド成分(a)が40〜80質量%、ポリエーテル成分(b)が60〜20質量%であることを特徴とする[1]に記載の透湿フィルム。
[3]上記エチレン系共重合体(B)がエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・アクリル酸エステル共重合体である[1]または[2]に記載の透湿フィルム。
[4]JIS K7129B法に基づき雰囲気温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定される50μmフィルムの水蒸気透過度が300g/(m2・24hr)以上、5,000g/(m2・24hr)未満であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれか1項に記載の透湿フィルム。
[5]ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる食肉エイジング用フィルム。
[6]ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる食品燻製用フィルム。
本発明に用いるアミド系共重合体(A)は、ハードセグメントであるポリアミド成分(a)(ポリアミドブロック)と、ソフトセグメントであるポリエーテル成分(b)(ポリエーテルブロック)とを含むブロック重合体である。ポリアミド成分(a)としては特に限定されないが、PA6、またはPA12であることが好ましい。
(1)ジアミン末端を有するポリアミド単位とジカルボキシル末端を有するポリオキシアルキレン単位
(2)ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位とジアミン末端を有するポリオキシアルキレン単位(ポリエーテルジオールとよばれるα位とω位に2つの水酸基を有する脂肪族ポリオキシアルキレンのシアノエチル化および水素化によって得られる)
(3)ジカルボキシル末端を有するポリアミド単位とポリエーテルジオール(この場合に得られるポリマーがポリエーテルエステルアミドである)
アミド系共重合体(A)中、ポリアミド成分(a)は好ましくは40〜80質量%であり、より好ましくは45〜80質量%である。一方、ポリエーテル成分(b)は好ましくは60〜20質量%であり、より好ましくは55〜20質量%である。この範囲にあることで、水蒸気透過性、機械特性、耐熱性のバランスに優れる。市販品のアミド系共重合体(A)としては、アルケマ社製PEBAX MVグレードや、MHグレードなどが挙げられる。また2種類以上のアミド系共重合体の混合物を使用することもできる。
本発明に用いるエチレン系共重合体(B)は、融点が60℃以上130℃未満であるものが好ましい。融点はパーキンエルマー社製の示差走査熱量測定計(商品名「Pyris1DSC」)を用いて、JIS 7121に準じて測定したものである。
エチレン系共重合体(B)がこのDSC規定を満たすことにより、耐熱性が良く、成形性やフィルム外観にも優れたフィルムを得ることができる。上記のDSCの規定を満たせば、いずれのエチレン系共重合体も採用することが可能だが、入手のし易さ、重合のし易さの点より、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、超低密度ポリエチレン(ULDPE)等のエチレン・α−オレフィン共重合体、または、アクリル酸エステルとの共重合体であるエチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)、エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)などのエチレン・アクリル酸エステル共重合体が好ましい。
特に直鎖状低密度ポリエチレンの製造方法には、前述の正常を満足する限り制限はないが、重量平均分子量と数平均分子量の比が比較的小さいものが得られやすい、メタロセン触媒を用いて製造することが好ましい。
成形加工性や諸物性のさらなる向上・調整を目的として、本発明に用いるポリアミド系樹脂組成物を構成するアミド系共重合体(A)、エチレン系共重合体(B)に対して、その他の樹脂や、樹脂以外の添加剤を配合し、本発明のフィルムを構成する樹脂組成物とすることも出来る。例えば、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル、ポリカーボネート、ポリオレフィン、ポリメチルメタクリレート等の樹脂やコア−シェル型、グラフト型または線状のランダムおよびブロック共重合体のようなゴム状改質剤などが挙げられる。アミド系共重合体(A)またはエチレン系共重合体(B)が樹脂組成物である場合、該樹脂組成物に添加される、アミド系共重合体(A)もしくはエチレン系共重合体(B)以外の樹脂、または、添加剤の配合量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、該樹脂組成物に対して配合することができる。
本発明に用いるポリアミド系樹脂組成物は、上記アミド系共重合体(A)50〜95質量%と、上記エチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有し、より好ましくは上記アミド系共重合体(A)50〜90質量%と、上記エチレン系共重合体(B)10〜50質量%と、を含有し、さらに好ましくは上記アミド系共重合体(A)55〜85質量%と、上記エチレン系共重合体(B)15〜45質量%と、を含有する。
ポリアミド系樹脂組成物には、成形時における分子量の低下や色相の悪化を防止するために熱安定剤を配合することができる。かかる熱安定剤としては、亜リン酸、リン酸、亜ホスホン酸、ホスホン酸およびこれらのエステル等が挙げられ、具体的には、トリフェニルホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、トリデシルホスファイト、トリオクチルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、ジデシルモノフェニルホスファイト、ジオクチルモノフェニルホスファイト、ジイソプロピルモノフェニルホスファイト、モノブチルジフェニルホスファイト、モノデシルジフェニルホスファイト、モノオクチルジフェニルホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、ビス(ノニルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ジステアリルペンタエリスリトールジホスファイト、トリブチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリメチルホスフェート、トリフェニルホスフェート、ジフェニルモノオルソキセニルホスフェート、ジブチルホスフェート、ジオクチルホスフェート、ジイソプロピルホスフェート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、ベンゼンホスホン酸ジメチル、ベンゼンホスホン酸ジエチル、ベンゼンホスホン酸ジプロピル等が挙げられる。なかでも、トリスノニルフェニルホスファイト、トリメチルホスフェート、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト、およびベンゼンホスホン酸ジメチルが好ましく使用される。これらの熱安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。上記熱安定剤の配合量は、ポリアミド系樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で熱安定剤を配合することにより、添加剤のブリード等を生じることなく本樹脂組成物の分子量低下や変色を防止することができる。
ポリアミド系樹脂組成物には、酸化防止の目的で通常知られた酸化防止剤を配合することができる。かかる酸化防止剤としては、例えばペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、グリセロール−3−ステアリルチオプロピオネート、トリエチレングリコール−ビス[3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6−ヘキサンジオール−ビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、ペンタエリスリトール−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、N,N−ヘキサメチレンビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマイド)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスホネート−ジエチルエステル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’−ビフェニレンジホスフィン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン等の1種または2種以上が挙げられる。上記酸化防止剤の配合量は、ポリアミド系樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で酸化防止剤を配合することにより、酸化防止剤のブリード、樹脂組成物の機械特性低下を生じることなく、樹脂の酸化劣化を防止することができる。
ポリアミド系樹脂組成物に対して、表面滑性の付与を目的として滑剤を配合することができる。上記滑剤としては、一価または多価アルコールの高級脂肪酸エステル、高級脂肪酸、パラフィンワックス、蜜蝋、オレフィン系ワックス、カルボキシ基および/またはカルボン酸無水物基を含有するオレフィン系ワックス、シリコーンオイル、オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
ポリアミド系樹脂組成物の耐候性をさらに向上する目的で、紫外線吸収剤、光安定剤を配合することができる。かかる紫外線吸収剤、光安定剤としては、例えば2−(2’−ヒドロキシ−5’−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(3−tert−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−[2−ヒドロキシ−3,5−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェニル]−2H−ベンゾトリアゾール、2,2’−メチレンビス(4−クミル−6−ベンゾトリアゾールフェニル)、2,2’−p−フェニレンビス(1,3−ベンゾオキサジン−4−オン)等が挙げられる。
これらの紫外線吸収剤、光安定剤は、1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。上記紫外線吸収剤、光安定剤の配合量は、ポリアミド系樹脂組成物に対して、0.0001質量%以上、1質量%以下の割合で配合することが好ましく、0.0005質量%以上、0.5質量%以下の割合で配合することがより好ましく、0.001質量%以上、0.2質量%以下の割合で配合することがさらに好ましい。かかる範囲で紫外線吸収剤、光安定剤を配合することにより、紫外線吸収剤、光安定剤のブリードや、樹脂組成物の機械特性低下を生じることなく、耐候性を向上することができる。
本発明の透湿フィルム、食肉エイジング用フィルムおよび食品燻製用フィルム(以下、これらを総称して、単に「本発明のフィルム」ということがある。)は、上記ポリアミド系樹脂組成物からなる。
(1)水蒸気透過性
本発明のフィルムは適度な水蒸気透過性に優れるものであり、JIS K7129B法に基づき、40℃、90%RHの条件下で測定される厚み50μmフィルムの水蒸気透過度が、300g/(m2・24hr)以上、5,000g/(m2・24hr)未満であることが望ましい。係る範囲の水蒸気透過度であれば、包装した内容物が乾燥による重量減少を生じることなく、またフィルム内に過剰な水分が溜まることないため、腐敗を抑制し、長期保存が可能となる。
本発明のフィルムは透明性に優れるものであり、意匠性、内容物の視認性等の観点から、JIS K7361−1(1997年)に基づき測定される厚み50μmフィルムの全光線透過率が85%以上であることが好ましく、88%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることが特に好ましい。全光線透過率が係る範囲であれば、透明性に優れたフィルムとなる。
本発明のフィルムは耐ブロッキング性に優れるものであり、ロール状にして保管した際に、良好な滑り性を維持し、ブロッキングが生じることがない。また、本発明のフィルムはロール状にして保管した際にブリードが生じることもない。
(4−1)破壊エネルギー
本発明のフィルムは耐衝撃性に優れるものであり、ASTM D3763に基づき測定されるハイドロショット高速試験機による破壊エネルギーが150kgf・mm以上であることが好ましく、300kgf・mm以上であることがより好ましい。係る範囲の破壊エネルギーを有するフィルムであれば、内容物を包装し、例えば輸送の際に生じる衝撃によっても破断やピンホールが生じにくく、耐破断性、耐ピンホール性に優れる。
本発明のフィルムは耐衝撃性に優れるものであり、JIS K7127−2に基づき測定される試験速度200mm/minで測定される厚み50μmのフィルムのTD方向への引張破断伸びが400%以上であることが好ましい。係る範囲の引張破断伸びのフィルムであれば、内容物を包装した際に破断やピンホールが生じにくく、耐破断性、耐ピンホール性に優れる。
(5−1)フィルム滑り性
本発明のフィルムは滑り性に優れるものであり、JIS K7125に基づき、雰囲気温度23℃、相対湿度50%RHで測定されるフィルムの静摩擦係数が1.0未満であることが好ましく、0.8未満であることがさらに好ましく、0.5以下であることが特に好ましい。フィルムの静摩擦係数が1.0未満であれば製膜時やスリット、巻き替え時などにフィルム同士のブロッキングが生じることがなく、安定して製膜することができる。
本発明のフィルムは、アミド系共重合体がエチレン系共重合体を含んでいるため、吸水性が低く、吸水による製膜性の低下が生じない。
本発明のフィルムは、中でも食品包装分野において乾燥による重量減少を抑制しつつ、フィルム内に水滴を溜めない適度な水蒸気透過性を有していることから、以下に記載する方法によるエイジング用のフィルムとして用いることができる。
以下に実施例を示すが、これらにより本発明は何ら制限を受けるものではない。なお、実施例中に示す結果は以下の方法で評価を行った。
JIS7121に準じて、パーキンエルマー社製の示差走査熱量測定計(商品名「Pyris1DSC」)を用いて測定した。試料約10mgを加熱速度10℃/分で−40℃から200℃まで昇温し、200℃で1分間保持した後、冷却速度10℃/分で−40℃まで降温し、再度加熱速度10℃/分で200℃まで昇温したときに測定されたサーモグラフから結晶融解ピーク(Tm)℃より融点を求めた。
JIS K7129B法に基づき、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製「PERMATRAN W 3/31」)を用いて、40℃、90%RHの雰囲気下において厚み50μmのサンプルについて水蒸気透過度を測定した。水蒸気透過度が300g/(m2・24hr)以上、5,000g/(m2・24hr)未満の範囲にあるものを合格とした。
JIS K7361−1に基づき、厚み50μmフィルムにおける全光線透過率の値を測定した。全光線透過率が85%以上であるものを合格とした。
耐ブロッキング性は、ロール状のフィルムを、23℃の室内にて7日間静置した際の滑り性を確認した。滑り性良好であるものを合格、それ以外のものを不合格とした。
(破壊エネルギー)
耐衝撃性はASTM D3763に基づき測定される雰囲気温度が23℃におけるハイドロショット高速衝撃試験による破壊エネルギーの値を測定した。破壊エネルギーの値が150kgf・mm以上のものを合格とした。
JIS K7127−2に基づき、引張試験を行った。試験速度200mm/minで測定される厚み50μmのフィルムのTD方向への引張破断伸びが400%以上であるものを合格とした。
(フィルム滑り性)
フィルムの滑り性はJIS K7125に基づき、雰囲気温度23℃、相対湿度50%RHの条件により行い、フィルムのMD方向における静摩擦係数を測定した。静摩擦係数の値が1.0未満のものを合格とした。
押出機により製膜したフィルムを引取機にて紙管に巻き取った際のフィルム外観を評価した。フィルムに皺が入らず、またフィルムロールとして巻き取った際の端面が均一であるものを合格、それ以外のものを不合格とした。
本評価で用いた原料肉は牛肉のストリップロインであるが、熟成に用いる原料肉の起源、部位はそれに限定されるものではない。
衛生的な状態を保ったまま約1000gから1500gの塊にカットした原料牛肉(ストリップロイン)を各種試験用フィルムで作製した袋に入れ真空パックした。パックした肉塊は十分に通気性を確保した状態で4℃設定の冷蔵庫内の網棚の上に静置し、3週間熟成(21日間)させた。熟成期間は原料肉の起源、部位によって適宜調整され得る。
熟成前後で肉塊の重量、遊離アミノ酸量、菌数(一般生菌数、大腸菌群数)の測定と味覚センサーによる食味評価、官能試験による食味評価をもって評価を行った。
熟成開始時点と終了時点の肉塊の重量を測定し、その値から歩留りを算出した。
歩留り84.0%未満を◎、84.0%以上88.0%未満を○、88.0%以上92.0%未満を△、92.0%以上を×と評価した。
本試験での遊離アミノ酸量とはニンヒドリン発色法で2%のスルホサリチル酸可溶性窒素量を測定し、ロイシン等量として換算した値とした。
L−ロイシン0.1000gを100mlのメスフラスコに正確に計り取り、イオン交換水で100mlに定容し、アミノ酸標準溶液とした。
アミノ酸標準溶液0、2.0、5.0、10、20mlを50mlのメスフラスコに正確に計り取り、酢酸緩衝液(pH5.5)で50mlに定容し、さらにその1.0mlを試験管に計り取り、2%スルホサリチルサン溶液5.0mlを加えて、終濃度0、6.6、16.7、33.3、66.7μg/mlのニンヒドリン発色法用の検量線溶液を調製した。
各濃度の検量線用液1.0mlをスクリューキャップ付試験管に計り取り、そこにニンヒドリン溶液(ニンヒドリン1.0g、ヒドリンダンチン・2水和物0.15g、2−メトキシエタノール38mlを酢酸緩衝液(pH5.5)で50mlに定容)1.0mlを加え撹拌、95℃で15分間加熱後、50%エタノール10.0ml加えて混合したものの570nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(島津製作所:UV−2450)で測定し、その値を基に検量線を作成した。
肉塊を厚さ約1cmにスライスし、脂身を除いた赤身部分をさらに1cm角程度のサイコロ状に細断した。そこからランダムに10gを計り取り検体とした。10gの検体に2%スルホサリチルサン溶液40mlを加え、ホモジナイザー(株式会社日本精機製作所:エースホモジナイザー AM−3)で3000rpm、10分間粉砕し、しばらく静置した上澄みを定量濾紙No.5C(アドバンテック東洋株式会社)で自然濾過した。そのろ液1mlを2%スルホサリチルサン溶液で50mlに定容したものをニンヒドリン発色法用のサンプルとした。
ニンヒドリン発色法用のサンプル1.0mlをスクリューキャップ付試験管に計り取り、そこにニンヒドリン溶液(ニンヒドリン1.0g、ヒドリンダンチン・2水和物0.15g、2−メトキシエタノール38mlを酢酸緩衝液(pH5.5)で50mlに定容)を加え撹拌、95℃で15分間加熱後、50%エタノール10.0ml加えて混合したものの570nmにおける吸光度を紫外可視分光光度計(島津製作所:UV−2450)で測定し、検量線から遊離アミノ酸量を算出した。
肉塊を厚さ約1cmにスライスし、脂身を除いた赤身部分10gを計り取り検体とした。
一般生菌数は公益社団法人日本食品衛生協会発行の「食品衛生検査指針 微生物編 2015、第二章 2 衛生指標菌 2.細菌数」に記載されている公定法に沿って標準寒天培地を用いて35℃±1℃で48時間培養し、平板上に表れた集落の個数をカウントして求めた。
大腸菌群数は公益社団法人日本食品衛生協会発行の「食品衛生検査指針 微生物編 2015、第二章 2 衛生指標菌 3.大腸菌群, 糞便系大腸菌群, 大腸菌」に記載されている公定法に沿って重層したデソキシコレート寒天培地を用いて35℃±1℃で20±2時間培養し、中性紅を吸着した赤色集落をカウントして求めた。
一般生菌数は1×106未満のものを○、1×106以上のものを×と評価した。一方、大腸菌群数は不検出を○、検出を×と評価した。
・サンプル調製法
肉塊を厚さ約1cmにスライスし、脂身を除いた赤身部分をさらに1cm角程度のサイコロ状に細断した。そこからランダムに50gを計り取り検体とした。二倍量のイオン交換水を加え100℃、1時間ボイルし、定性濾紙No.2(アドバンテック東洋株式会社)で自然濾過したろ液を100gに定容し、味覚センサー測定用検液とした。
味覚センサーは、株式会社インテリジェントセンサーテクノロジーの味認識装置TS−5000Zを使用した。
評価項目は、酸味、塩味、旨味、苦味雑味、渋味刺激、苦味、渋味および旨味コクとした。測定により得られたデータは同社の専用の解析ソフトウェアにより解析した。
何れかの評価項目の味覚強度の差が1.5以上のものを◎、1.2以上1.5未満のものを○、0.8以上1.0未満のものを△、0.8未満のものを×と評価した。
肉塊を厚さ約1cmにスライスし、そのスライスを非通気性のプラスチックフィルムに真空パックして、4℃で数日間保存した。そのスライス肉をホットプレートで焼き、官能試験用サンプルとした。
官能評価は8人のパネラーで旨味、酸味、臭み、かたさの評価項目を1〜5点の5段階で評価した。
評価項目の何れかで8人のパネラーの点数の平均が3.50以上のものを◎、3.25以上3.50未満のものを○、3.00以上3.25未満のものを△、3.00未満のものを×と評価した。
各種フィルムで折径60mmの袋を作製し、ソーセージ肉約200gを充填後、スモークハウス(株式会社ヒガシモトキカイ:NS−1−1−HEB)を使用して、表1に示す条件にて、工程(1)〜(6)の順にクッキングを行った。
(3)のスモーク工程ではブナのチップを使用し、(i)ドライスモーク、(ii)スチームスモークの両条件でクッキングを行った。(i)ドライスモークとは電熱ヒーターの熱でチップを燻してスモークを発生させる方法であり、(ii)スチームモークとは高熱(450℃)の蒸気をチップに充てることでチップを燻してスモークを発生させることである。
クッキング後のソーセージは一晩冷蔵庫内で冷却後、翌日剥離を行いスモークの色の付着度合いを目視で確認し、よく通っているものを◎、通常程度に通っているものを○、わずかに通っているものを△、通っていないものを×と評価した。
<アミド系共重合体(A)>
PA−1:PA12とPEGとの共重合体
PA12:PEG=75:25wt%
密度:1.04g/cm3、融点:170℃
PA−2:PA12とPEGとの共重合体
PA12:PEG=50:50wt%
密度:1.07g/cm3、融点:158℃
PA−3:PA12とPTMGとの共重合体
PA12:PTMG=82:18wt%
密度:1.01g/cm3、融点:169℃
PA−4:PA12の重合体
密度:1.02g/cm3、融点:178℃、
PE−1:メタロセン触媒LLDPE
MFR:4g/10min
密度:0.904g/cm3、融点:112.1℃
PE−2:LDPE
MFR:0.5g/10min
密度:0.922g/cm3、融点:110.4℃
PE−3:エチレン・アクリル酸メチル共重合体(EMA)
MFR:6.0g/10min
MA含有量:20wt%、密度:0.942g/cm3、融点:77℃
PE−4:エチレン・メタクリル酸メチル共重合体(EMMA)
MFR:2g/10min
MMA含有量:20wt%、密度:0.940g/cm3、融点:86℃
(実施例1)
PA−1、およびPE−1を混合質量比80:20の割合でドライブレンドした後、25mmφ同方向二軸押出機を用いて210℃で混練し、Tダイ(口金)よりフィルム状に押出し、次いで約50℃のキャスティングロールにて急冷し、厚み50μmのフィルムを作製した。得られたフィルムについて、各種評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1、およびPE−1を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1、およびPE−2を混合質量比80:20の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1、およびPE−2を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1、およびPE−3を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1、およびPE−4を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−2、およびPE−1を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−2、およびPE−2を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−2、およびPE−3を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−2、およびPE−4を混合質量比60:40の割合でドライブレンドした以外、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−1を単独で用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−2を単独で用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−3を単独で用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
PA−4を単独で用い、実施例1と同様の方法でフィルムの作製、および評価を行った。結果を表2に示す。
また実施例1〜10に係るフィルムはエイジング評価、燻製評価で良好な結果が得られており、エイジング用フィルム、燻製用のケーシングフィルムとして好適に用いることができることが示された。一方、比較例3、4に係るフィルムは、エイジング評価、燻製評価において不良な結果である「×」の項目が見られ、エイジング用フィルム、燻製用のケーシングフィルム(比較例3に係るフィルムについては、スチームスモークによる燻製用のケーシングフィルム)として適さないことが示された。
Claims (6)
- ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる透湿フィルム。
- 前記アミド系共重合体(A)中、前記ポリアミド成分(a)が40〜80質量%、前記ポリエーテル成分(b)が60〜20質量%であることを特徴とする請求項1に記載の透湿フィルム。
- 前記エチレン系共重合体(B)がエチレン・α−オレフィン共重合体またはエチレン・アクリル酸エステル共重合体である請求項1または2に記載の透湿フィルム。
- JIS K7129B法に基づき雰囲気温度40℃、相対湿度90%の条件下で測定される厚み50μmフィルムの水蒸気透過度が300g/(m2・24hr)以上、5,000g/(m2・24hr)未満であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透湿フィルム。
- ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる食肉エイジング用フィルム。
- ポリアミド成分(a)とポリエーテル成分(b)とを含むアミド系共重合体(A)50〜95質量%と、JIS K7121に基づき測定される示差走査熱量測定(DSC)の再昇温過程において、加熱速度10℃/minで測定される融点が60℃以上、130℃未満であるエチレン系共重合体(B)5〜50質量%と、を含有するポリアミド系樹脂組成物からなる食品燻製用フィルム。
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