JPH0840921A - 人体過剰対応抑制剤 - Google Patents

人体過剰対応抑制剤

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JPH0840921A
JPH0840921A JP6180240A JP18024094A JPH0840921A JP H0840921 A JPH0840921 A JP H0840921A JP 6180240 A JP6180240 A JP 6180240A JP 18024094 A JP18024094 A JP 18024094A JP H0840921 A JPH0840921 A JP H0840921A
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 アレルギー性疾患や自己免疫疾患の原因とな
る生体の過剰対応反応を十分に抑制する薬剤を提供する
と共に、これを用いた、安全性が高く、十分な薬効を有
するアレルギー性疾患治療薬、並びに自己免疫疾患治療
薬を提供する。 【構成】 人体過剰対応抑制剤に有効成分としてヌクレ
オチド及び/又は生理的に許容されるその塩と活血薬を
配合する。またこの人体過剰対応抑制剤を、アレルギー
性疾患治療薬、又は自己免疫疾患治療薬とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、人体過剰対応抑制剤、
アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬に関
し、詳しくは、ヌクレオチド及び/又は生理的に許容さ
れるその塩と活血薬を有効成分とする人体過剰対応抑制
剤、アレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬に
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、食生活を中心とするライフスタイ
ルの変化に伴い、全身性エリテマトーデス、結節性動脈
周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、慢性関節リューマチ等の自
己免疫疾患、あるいは、花粉症、枯草熱、アトピー性皮
膚炎、遅延型接触皮膚炎等のアレルギー性疾患の罹患者
が急増している。特に、花粉症については、3人に1人
が罹患しているといわれる程、患者数は増大している。
また、花粉症の原因となる植物についても、春の杉に留
まらず、椚、楢、ブタクサ、セイタカアワダチソウと種
類も増え、従って、季節も通年に亘るようになってき
た。
【0003】これらのアレルギー性疾患や自己免疫疾患
は、抗体産生細胞が過剰に活発化する等による人体の外
部刺激に対する過剰対応がその原因であるとされてい
る。例えば、自己免疫疾患には、多彩な自己抗体、自己
抗原感作リンパ球の存在が確認されており、自己抗体単
独、補体依存性、食細胞抗体性、キラー細胞依存性の反
応のもとに組織障害を起こしていることも実験的に確か
められている。また、アレルギー性疾患も外部抗原に対
する生体側の過剰防衛反応であり、抗体産生細胞等の過
剰対応が原因であるとされている。
【0004】この様なアレルギー性疾患や自己免疫疾患
の治療には、従来より抗ヒスタミン剤やステロイド剤等
の投与が対症療法的に行われてきた。しかしながら、こ
れらの薬剤を用いても十分な効果は得られず、副作用が
強いため、又、長期連続投与できないため、その使用に
は大きな制限があった。そこで、アレルギー性疾患や自
己免疫疾患に対する根本的治療の手段として、生体側の
過剰対応を抑制する、例えば、抗体産生細胞の増殖を抑
制する薬剤やそれを用いた治療方法の開発が強く望まれ
ていた。
【0005】また、花粉症など発症のタイミングが明か
な疾患に対しては、生体の過剰対応を予防的に抑制する
ことで発症を防ぐことも可能であり、このための有効な
予防的治療手段の開発も望まれていた。
【0006】一方、イノシン酸の様なヌクレオチドやそ
の塩と活血薬の組み合わせが人体の過剰対応を著しく抑
制することは全く知られていなかった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記観点か
らなされたものであり、アレルギー性疾患や自己免疫疾
患の原因となる生体の過剰対応反応を十分に抑制する薬
剤を提供すると共に、これを用いた、安全性が高く、十
分な薬効を有するアレルギー性疾患治療薬、並びに自己
免疫疾患治療薬を提供することを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するために、過剰対応反応を抑制する物質を求め
て、種々の物質を対象として抗体産生細胞抑制作用を指
標にスクリーニングを重ねた結果、イノシン酸等のヌク
レオチド類や漢方で活血作用を有する薬剤がその作用を
有することを見出した。更に、この様な抗体産生細胞抑
制作用を有する物質の効果的運用の検討を重ねた結果、
前記ヌクレオチド類と活血薬を組み合わせることによ
り、抗体産生細胞抑制作用が相乗的に増大することを見
出し本発明を完成させた。
【0009】すなわち本発明は、ヌクレオチド及び/又
は生理的に許容されるその塩と活血薬を有効成分として
含有する人体過剰対応抑制剤、及びこの人体過剰対応抑
制剤からなるアレルギー性疾患治療薬、自己免疫疾患治
療薬である。
【0010】ここで、本明細書に用いるアレルギー性疾
患治療薬、自己免疫疾患治療薬中の「治療」とは、症状
を抑制もしくは低減させるための治療の他に、症状の発
症を防ぐいわゆる予防的治療を含む概念として用いられ
る。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。
【0012】<1>ヌクレオチド及び/又は生理的に許
容されるその塩 本発明の人体過剰対応抑制剤は、ヌクレオチド及び/又
はその塩(以下、総称してヌクレオチド類という)と活
血薬とを有効成分として含有する。
【0013】上記ヌクレオチドは、核酸を構成する成分
のひとつであり、具体的には、アデニル酸、イノシン
酸、チミジル酸、シチジル酸、ウリジル酸、グアニル酸
等が好ましく挙げられるが、本発明では、これらのうち
でもイノシン酸がより好ましく用いられる。
【0014】これらのヌクレオチドは、例えば、アデノ
シン、イノシン、チミジン、シチジン、ウリジン、グア
ノシン等のヌクレオシドの糖鎖の水酸基がリン酸とエス
テル結合したものであるが、これらヌクレオシドにおい
てリン酸化される水酸基は、2’位、3’位、5’位の
3箇所にあるので、上述のそれぞれのヌクレオチドにつ
いて3種類の異性体が存在する。イノシン酸を例に挙げ
れば、これらは、2’−イノシン酸、3’−イノシン
酸、5’−イノシン酸の3種である。
【0015】また、ヌクレオチドには、上記エステル結
合したリン酸に更にリン酸が結合したものもありヌクレ
オシドに結合したリン酸の数により、一リン酸化物、二
リン酸化物、三リン酸化物等のヌクレオチドがある。例
えば、上記イノシン酸とは、イノシン一リン酸のことで
あるが、そのイノシン酸のひとつイノシン−5’−一リ
ン酸(5’−イノシン酸)に更にリン酸が結合したイノ
シン−5’−二リン酸、イノシン−5’−三リン酸等が
ある。
【0016】本発明に用いるヌクレオチドとして、これ
らの何れの化合物をも用いることができるが、入手のし
やすさとコストの低さの点からイノシン−5’−一リン
酸が最も好ましい。なお、上記ヌクレオチドは、生体内
に広く存在する化合物であると共に、何れも古くより食
品添加物として市販されており、その入手及び安全性に
ついては全く問題がない。
【0017】また、ヌクレオチドの塩としては生理的に
許容されるものであれば特に限定はされないが、例え
ば、ヌクレオチドとナトリウム、カリウム等のアルカリ
金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土
類金属との塩、アンモニウム、トリエチルアミン等のア
ミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸と
の塩等が例示できる。
【0018】上記ヌクレオチド及び/又はヌクレオチド
の塩は、抗体産生細胞抑制作用を有しており、本発明の
人体過剰対応抑制剤に以下の活血薬と共に用いられる
が、本発明においては、これらの1種を単独で用いても
よいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0019】<2>活血薬 本発明の人体過剰対応抑制剤には、上記ヌクレオチド類
の他に活血薬が有効成分として配合される。
【0020】ここで、活血とは漢方の概念であり、血の
流れの停滞で起こるとされている鬱血性疼痛、狭心症や
心筋梗塞などの際に現れる真心痛等を血流を改善して治
療する作用のことをいう。具体的には、以下の漢方薬に
その作用があることが知られており、本発明において
は、この様な漢方薬を活血薬として用いることができ
る。
【0021】セリ科センキュウ(Ligusticum wallichi
i)の根茎の乾燥物であるセンキュウ、シソ科タンジン
(Salvia miltiorrhiza)の根の乾燥物であるタンジ
ン、マメ科コンメイケイケットウ(Millettia reticula
ta)又は白花油麻藤(Mucuna birdwoodiana Tutcher)
の茎の乾燥物であるケイケットウ、モチノキ科モウヒジ
ュ(Irex pubescens Hook. et Arn)の根の乾燥物であ
るモウトウセイ、ケシ科エンゴサク(Corydalis bulbos
a DC.)の塊茎を乾燥させたエンゴサク、ショウガ科キ
ョウオウ(Curcuma longa L.)又はウコン(Curcuma ar
omatica Salisb.)の塊根を乾燥させたウコン、ショウ
ガ科キョウオウ(Curcuma longa L.)の塊根を乾燥させ
たキョウオウ、シソ科ヤクモソウ(Leonurus heterophi
llus Sweet)の全草を乾燥させたヤクモソウ、シソ科ヤ
クモソウ(Leonurus heterophillus Sweet)の果実を乾
燥させたジュウイシ、シソ科シロネ(Lycopus lucidus
Turcz)の茎根を乾燥させたタクラン、ノウゼンカズラ
科リョウショウ(Camsis gradiflora(Thunb.)Loisel)
の花の乾燥物であるリョウショウカ、バラ科ゲッキ(Ro
sa chinensis Jacq.)の花ライ又は花びらの乾燥物であ
るゲッキカ、ロウバイ科ロウバイ(Chimonanthus praec
ox(L.)Link.)のガク付きの花の乾燥物であるサクバイ
カ、ウリ科ヘチマ(Luffa cylindria(L.)Roem)の網状
繊維束の乾燥物であるシカラク、ボタン科シャクヤク
(Paeonia latiflora Pall)の根の乾燥物であるセキシ
ャク、バラ科モモ(Prunus persica(L.)Batsch.)の種
子中の仁の乾燥物であるトウニン、キク科紅花(Carthu
mus tinctorius L.)の花冠の乾燥物であるコウカ、ア
ヤメ科サフラン(Crocus sativus L.)の柱頭又は花柱
の上部を乾燥させたバンコウカ、ショウガ科ガジュツ
(Curcuma zedoria Rosc.)の根茎の乾燥物であるガジ
ュツ、カヤツリグサ科ウキヤガラ(Scirpus yagara Ohw
i.)の塊根の乾燥物であるサンリョウ、カンラン科ニュ
ウコウジュ(Boswellia carterii Birdwood)の膠質物
質であるニュウコウ、カンラン科モツヤクジュ(CVommi
phora myrrha Engl.(C. molmol Engl.))の油膠質物質
であるモツヤク、ヒユ科ゴシツ(Achyranthes bidentat
a Blume)又はカワゴシツ(Cyathula capitataMiq.)の
根の乾燥物であるゴシツ、ナデシコ科ドウカンソウ(Va
ccaria pyramidata Medic.)の種子又はクワ科オオイタ
ビ(Ficus pumila L.)の果殻の乾燥物であるオウフル
ギョウ、マンサク科フウ(Liquidambar Taiwaniana Han
ce)の果実の乾燥物であるロロツウ、キク科キコウ(Ar
temisia anomala S Moore)又はゴマノハグサ科ヒキヨ
モギ(Sinphonostegia chnensis Benth.)の全草の乾燥
物であるリュウキド、スイカズラ科のリクエイ(Sambuc
us javanica Rein.)の全草の乾燥物であるラクトク
ダ、黄鉄鉱の硫化鉄鉱石である自然銅、ヤシ科キリンケ
ツ(Daemonorops draco Bl.)の樹脂であるケッケツ、
マメ科スオウ(Caesalpinia sappan L.)の茎木の乾燥
物であるソボク、ツリフネソウ科ホウセンカ(Impatien
s balsamina L.)の種子の乾燥物であるキュウセイシ、
オオコウモリ科オオコウモリ(Petaurista xanthotis M
ilne-Edwards)の糞の乾燥物であるゴレイシ、ビヨウブ
ガイ科ハイガイ(Arca granosa L.)の貝殻の粉砕物で
あるガリョウシ、センザンコウ科センザンコウ(Manis
pentadactyla L.)の甲羅片の粉砕物であるセンザンコ
ウ、ヒルド科ウマビル(Whitmania pigra Whitman)の
乾燥物であるスイテツ、ゴキブリ科シナゴキブリ(Eupo
lyphaga sinensis Walk.)の雄の乾燥物であるシャチュ
ウ、ウシ科ハイイロヒマラヤカモシカ(Naemorhedusgor
al Hardwicke)の血の乾燥物であるサンヨウケツ、ウシ
科黄牛(Bas taurusdomesticus Gmelin)の胆石の乾燥
物であるゴオウ、クマ等の動物の胆嚢の乾燥物であるユ
ウタン等である。
【0022】この様な活血作用を有する漢方薬を活血薬
として、本発明の人体過剰対応抑制剤に有効成分として
配合するが、その場合、上記漢方薬をそのまま活血薬と
して用いることも可能であるが、これらを適宜水や有機
溶媒など適当な抽出溶媒で抽出し、溶媒除去等したもの
を活血薬として用いてもよい。また、抽出物等を更に液
液抽出やカラムクロマトグラフィーによって分画するこ
とで、上記漢方薬から活性の高い画分のみを取り出して
活血薬としてもよい。また、上記漢方薬が生薬由来のも
のである場合には、その生薬が由来する植物等を原料と
して得られる抽出物、濃縮物、分画物等を同様にして活
血薬として用いることもできる。
【0023】上記抽出に用いる抽出溶媒としては、水や
アルコール、アセトン等の極性溶媒が好ましい。更に、
上記漢方薬類は何れも熱安定性がよいため、抽出に際し
て加熱操作を加えてもよい。また、この様にして得られ
る活血薬のうちでも、上記漢方薬類の水抽出物を凍結乾
燥したものが本発明には好ましく用いられる。
【0024】上記活血薬は、抗体産生細胞抑制作用を有
しており、本発明の人体過剰対応抑制剤の構成成分とし
て、上記ヌクレオチド類と共に用いられるが、これら活
血薬の1種を単独で用いても、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。
【0025】一方、これらの漢方薬は古くから用いられ
ているので、安全性に関しての懸念は極めて少ない。
【0026】<3>本発明の人体過剰対応抑制剤、アレ
ルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治療薬 本発明の人体過剰対応抑制剤は、上記ヌクレオチド及び
/又はその塩と活血薬を有効成分として含有する。ここ
でヌクレオチド類及び活血薬は、それぞれに抗体産生細
胞抑制作用を有するが、これらの物質を組み合わせて用
いることにより、その作用は、相乗的に大きくなる。
【0027】本発明の人体過剰対応抑制剤におけるヌク
レオチド類の配合量は、薬剤全量に対して1〜50重量
%であることが好ましく、更に好ましい配合量は5〜3
0重量%である。また、活血薬の好ましい配合量も同様
に、薬剤全量に対して1〜50重量%であり、更に好ま
しくは5〜30重量%である。更に、人体過剰対応抑制
剤中のヌクレオチド類と活血薬の配合比は、重量比で1
0:1〜1:100が好ましい。
【0028】本発明の人体過剰対応抑制剤の剤型は、特
に限定されないが、一般に製剤上許容される無害の一
種、あるいは数種のベヒクル、担体、賦形剤、結合剤、
防腐剤、安定剤、矯味矯臭剤、コーティング剤、着色
剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、滑沢剤等と共に混和し
て、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、水薬等の経口投
与剤、軟膏剤、クリーム、ローション剤等の経皮投与
剤、無菌溶液剤、懸濁液剤等の注射剤とすることができ
る。これらは、上記ヌクレオチド類及び活血薬を配合す
る以外は、従来公知の技術を用いて製造することができ
る。
【0029】例えば、上記ヌクレオチド類及び活血薬と
コーンスターチ、ゼラチン等の結合剤、微晶性セルロー
ス等の賦形剤、馬鈴薯デンプン、アルギン酸ナトリウム
等の膨化剤、乳糖、ショ糖等の甘味剤等を、配剤して散
剤、錠剤、顆粒剤、カプセル剤等の経口投与剤とするこ
とができる。また、注射剤とする場合は、溶媒として注
射用蒸留水、又はポリエチレングリコール等が使用さ
れ、あるいはこれに分散剤、緩衝剤、溶解補助剤、等張
剤、安定剤、防腐剤、抗酸化剤等を必要に応じて添加し
てもよい。
【0030】経皮投与剤とする場合には、ワセリン、流
動パラフィン等の炭化水素類、ホホバ油、ミツロウ等の
エステル類、オリーブ油、牛脂等のトリグリセライド
類、セタノール、ベヘニルアルコール等の高級アルコー
ル類、ステアリン酸、ベヘン酸等の脂肪酸類、POE硬
化ヒマシ油、ステアリン酸モノグリセライド等のノニオ
ン界面活性剤類、石鹸、ラウリル硫酸ナトリウム等のア
ニオン性界面活性剤、ステアリルアンモニウムクロライ
ド等のカチオン性界面活性剤、グリセリン、1,3−ブ
タンジオール等の多価アルコール類、ポリエチレングリ
コール、ヒアルロン酸等の保湿剤、パラベン類、グルコ
ン酸クロルヘキシジン等の防腐剤、紫外線吸収剤、抗酸
化剤等の安定剤等の任意成分と共にヌクレオチド類及び
活血薬を配剤すれば、軟膏、クリーム、ローション剤等
を得ることができる。
【0031】また、同様にして上記ヌクレオチド類及び
活血薬を、通常、化粧料、医薬部外品等に配合される任
意成分と共に配合して、過剰対応抑制作用を有する化粧
料、医薬部外品等として用いることも可能である。
【0032】更に、これらの薬剤には、生体過剰対応反
応に併発しがちな炎症、発赤を抑える消炎鎮痛剤等、他
の薬効成分を各種目的に合わせて加えることも可能であ
る。本発明の人体過剰対応抑制剤は、アレルギー性疾
患、例えば、花粉症、枯草熱、アトピー性皮膚炎、遅延
型接触皮膚炎等及び自己免疫疾患、例えば、全身性エリ
テマトーデス、結節性動脈周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、
慢性関節リューマチ等の治療及び予防的治療に有効であ
り、これをアレルギー性疾患治療薬及び自己免疫疾患治
療薬として用いることもできる。
【0033】この様な本発明のアレルギー性疾患治療薬
あるいは自己免疫疾患治療薬の好適な適用量は、疾患の
種類、症状、患者の年令、性別、体重等により異なる
が、成人1人1日当たり、皮膚外用剤ではヌクレオチド
類を1〜300mg、活血薬を1〜5000mg、注射
剤ではヌクレオチド類を1〜200mg、活血薬を1〜
2500mg、経口投与剤ではヌクレオチドを1〜10
00mg、活血薬を1〜5000mg投与するのが適当
である。注射剤の投与方法としては、静脈内投与、動脈
内投与、門脈内投与、腹腔内投与、筋肉内投与、皮下投
与等が例示できる。また、経皮投与剤の適応部位につい
ては、顔、手、足の露出部分にとどまらず、頭皮等の全
身の皮膚に適用可能である。
【0034】
【作用】本発明においては、ヌクレオチド類と活血薬を
組み合わせることで、これを含む人体過剰対応抑制剤
に、抗体産生細胞の増殖を十分に抑制して、生体の過剰
対応反応を抑制する作用を十分に持たせたものである。
以下に、各種活血薬とイノシン−5’−一リン酸ナトリ
ウムを用いて抗体産生細胞抑制作用を評価した実験につ
いて述べる。
【0035】なお、評価に用いた活血薬は、表1に示す
各種漢方薬に水を10倍量加え3時間煮沸させて冷却
し、濾過により不溶物を取り除いた後、凍結乾燥したも
のである。但し、ゴオウとユウタンについては原料粉末
をそのまま活血薬とした。表1に、漢方薬名と共に、上
記抽出に用いた仕込み量及び収量を示す。
【0036】
【表1】
【0037】<抗体産生細胞抑制作用の評価>抗体産生
細胞抑制作用の評価は、ジェルン(Jern)らが開発
した溶血プラーク法(Science,140,405,1963)に従っ
て、脾細胞の抗体産生細胞数を計数する方法を用いた。
【0038】1群6匹づつ60週齢の老齢ddy系雄性
マウスの各2群に、上記で得られた各活血薬を1g/m
Lの濃度で含有する生理食塩水溶液を0.5mLづつ腹
腔内投与した。これらのマウスの他に、2群のマウスに
は、活血薬を含有しない生理食塩水を0.5mLづつ腹
腔内投与した。その後、更に、各活血薬投与群の1群と
上記で生理食塩水のみを投与された群の1群には、イノ
シン−5’−一リン酸ナトリウムを1g/mLの濃度で
含有する生理食塩水溶液を0.5mLづつ腹腔内投与
し、残りの各群にはイノシン−5’−一リン酸ナトリウ
ムを含有しない生理食塩水溶液を0.5mLづつ腹腔内
投与した。ここで、活血薬とイノシン−5’−一リン酸
ナトリウムの両方の投与を受けなかったマウス群をコン
トロール群とした。
【0039】その後、全マウスに4×108個/mLの
羊赤血球(SRBC)を0.25mLづつ投与し、感作
させた。感作後1日目、2日目、3日目の計3回、全マ
ウスに、感作前に投与したものと同じ試験液を、感作前
の投与と同様にして腹腔内投与した。
【0040】各試験液の腹腔内投与終了の翌日、各群の
マウスの脾臓を摘出し、脾細胞中の抗体産生細胞をジェ
ルンらの方法に準じて検出し、その細胞数を計測した。
この計測結果を用いて、コントロール群の抗体産生細胞
数から、それぞれ活血薬+ヌクレオチド類投与群、活血
薬投与群、ヌクレオチド類投与群の抗体産生細胞数を引
いた値をコントロール群の抗体産性細胞数で除した値に
100をかけた値を求め、これを抗体産生細胞抑制率と
して評価に用いた。尚、抗体産生細胞抑制率の計算に用
いた各群の抗体産性細胞数は、各群6匹のマウスの平均
値であった。結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
【0042】この結果より、ヌクレオチド類のみ、活血
薬のみを投与した群においては、ある程度抗体産生細胞
の増殖が抑制されているが、この両者を組み合わせて投
与した群では、抗体産生細胞の増殖が著しく抑制されて
いることがわかり、これにより、本発明の人体過剰対応
抑制剤が生体の過剰対応反応を抑制する作用に優れると
いえる。
【0043】更に、上記実験では、マウス1匹当たり
の、ヌクレオチド類及び活血薬の投与量が極めて多かっ
たにもかかわらず、異常を起こしたマウスは全くなく、
これらの安全性が高いことがわかる。
【0044】また、この様な人体過剰対応抑制剤からな
るアレルギー性疾患治療薬や自己免疫疾患治療薬は、そ
の有効成分である上記ヌクレオチド及び/又はその塩と
活血薬の組合せによる優れた抗体産性細胞増殖抑制作用
により、生体の過剰対応反応を抑制し、上述のような生
体の過剰対応反応が原因とされる様々なアレルギー性疾
患や自己免疫疾患の治療に対して有効に働くものであ
る。
【0045】更に、アレルギー性疾患や自己免疫疾患の
うちでも、特に花粉症など発症のタイミングが明かな疾
患に対しては、上記薬剤の投与により、予め抗体産性細
胞の増殖を抑制しておくことで、アレルギー原に対する
生体の過剰対応を抑制することができ、結果としてその
発症を防ぐという予防的治療の効果を持たせることも可
能である。
【0046】
【実施例】以下に、ヌクレオチド類、活血薬を含有する
本発明の人体過剰対応抑制剤、アレルギー性疾患治療薬
及び自己免疫疾患治療薬の実施例を説明する。尚、実施
例に用いた活血薬は上記作用の実験に用いたものと同様
の方法で得られた活血薬である。また、以下に用いる配
合量は全て重量部とする。
【0047】
【実施例1】 クリーム 表3に示すA成分、B成分をそれぞれ80℃に加熱し溶
解させ、A成分にB成分を徐々に加え乳化し冷却してク
リームを得た。
【0048】
【表3】
【0049】
【実施例2】 顆粒剤 表4に示す成分をグラッド造粒器に入れ水を加えて加湿
しながら造粒し、その後40℃で24時間送風乾燥し、
整粒して顆粒剤を得た。
【0050】
【表4】
【0051】<本発明のアレルギー性疾患治療薬の評価
>上記実施例で得られた各種薬剤について、アトピー性
皮膚炎の罹患者及び花粉症の罹患者にそれぞれ実使用テ
ストをしてもらい、また、モルモットを用いて遅延型ア
レルギー反応に対する実験を行い、アレルギー性疾患治
療薬としての効果を評価した。
【0052】(1)アトピー性皮膚炎に対する効果 アトピー性皮膚炎の患者5名に、上記実施例1で得られ
たクリームを2週間、朝夕2回毎日連続して使用しても
らい、使用開始から2週間後に皮膚炎の改善度を、改善
した、無変化、悪化の3段階評価で評価してもらった。
結果は全員が改善と答えており、これより、本発明のア
レルギー性疾患治療薬がアトピー性皮膚炎に有効である
ことがわかる。
【0053】(2)花粉症に対する効果 杉花粉症の羅患者7名に、上記実施例2で得られた顆粒
剤を杉花粉の飛散が始まる前に1回1g、1日3回の割
合で14日間連続して飲んでもらった。杉花粉症の季節
が終了した後、前年との比較で花粉症の症状が改善した
かどうかを、改善した、無変化、悪化の3段階で評価し
てもらった。結果は改善が3名、無変化が4名であっ
た。これより本発明のアレルギー性疾患治療薬が花粉症
の予防的治療にも有効であることがわかる。
【0054】(3)遅延型アレルギー反応に対する効果 ハートレー系雄性モルモットを用いたマキシマイゼーシ
ョンテスト法によるホルマリンに対する遅延型接触皮膚
炎の発現を指標に、本発明のアレルギー性疾患治療薬の
遅延型アレルギー反応に対する抑制作用を見た。
【0055】50匹のモルモットを10匹づつ第1群か
ら第5群の5群に分けた。第1群には、実施例1のクリ
ームを0.05mL/日、5日間背部に投与し、第2群
には実施例2の顆粒剤を1gづつ5日間経口投与した。
他の3群にはこの5日間は何も投与しなかった。その
後、全てのモルモットにフロイントの完全アジュバント
(FCA)存在下、1重量%のホルマリンの生理食塩水
溶液を経皮及び皮内投与によりインダクションした。
【0056】インダクション後、第3群には実施例1の
クリームを0.05mL/日、5日間背部に投与し、第
4群には実施例2の顆粒剤を1gづつ5日間経口投与し
た。第1群、第2群、第5群にはこの5日間何も投与し
なかった。
【0057】インダクション終了後14日目に、全ての
モルモットに0.01重量%のホルマリン水溶液をクロ
ーズドパッチにより経皮投与して、陽性率を調べた。陽
性率の判定基準はドレーズの基準を用いた。結果を表5
に示す。
【0058】
【表5】
【0059】この結果から、本発明のアレルギー性疾患
治療薬は、遅延型アレルギー反応を予防的に治療する効
果(第1群、第2群)及び、治療する効果(第3群、第
4群)に優れていることがわかる。
【0060】
【発明の効果】本発明の人体過剰対応抑制剤は、抗体産
生細胞の増殖を抑制する作用に優れ、生体過剰対応反応
をよく抑制する上、安全性も高い。また、これを用いた
アレルギー性疾患治療薬、自己免疫疾患治療薬は、これ
らの疾患を治療する効果、あるいは、これらの疾患を予
防的に治療する効果に優れると共に、長期連続使用が可
能である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 A61K 35/407 7431−4C 35/56 7431−4C

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ヌクレオチド及び/又は生理的に許容さ
    れるその塩と活血薬を有効成分として含有する人体過剰
    対応抑制剤。
  2. 【請求項2】 前記ヌクレオチドがイノシン酸、アデニ
    ル酸、チミジル酸、シチジル酸、ウリジル酸、グアニル
    酸から選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とす
    る請求項1記載の人体過剰対応抑制剤。
  3. 【請求項3】 前記活血薬が、センキュウ、タンジン、
    ケイケットウ、モウトウセイ、エンゴサク、ウコン、キ
    ョウオウ、ヤクモソウ、ジュウイシ、タクラン、リョウ
    ショウカ、ゲッキカ、サクバイカ、シカラク、セキシャ
    ク、トウニン、コウカ、バンコウカ、ガジュツ、サンリ
    ョウ、ニュウコウ、モツヤク、ゴシツ、オウフルギョ
    ウ、ロロツウ、リュウキド、ラクトクダ、自然銅、ケッ
    ケツ、ソボク、キュウセイシ、ゴレイシ、ガリョウシ、
    センザンコウ、スイテツ、シャチュウ、サンヨウケツ、
    ゴオウ、ユウタンから選ばれる1種又は2種以上である
    ことを特徴とする請求項1又は2記載の人体過剰対応抑
    制剤。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人
    体過剰対応抑制剤からなるアレルギー性疾患治療薬。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3のいずれか1項に記載の人
    体過剰対応抑制剤からなる自己免疫疾患治療薬。
  6. 【請求項6】 前記アレルギー性疾患が、花粉症、枯草
    熱、アトピー性皮膚炎、遅延型接触皮膚炎の何れかであ
    ることを特徴とする請求項4記載のアレルギー性疾患治
    療薬。
  7. 【請求項7】 前記自己免疫疾患が、全身性エリテマト
    ーデス、結節性動脈周囲炎、強皮症、皮膚筋炎、慢性関
    節リューマチの何れかであることを特徴とする請求項5
    記載の自己免疫疾患治療薬。
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