JPH0840673A - エレベータ用乗りかご - Google Patents

エレベータ用乗りかご

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JPH0840673A
JPH0840673A JP17663994A JP17663994A JPH0840673A JP H0840673 A JPH0840673 A JP H0840673A JP 17663994 A JP17663994 A JP 17663994A JP 17663994 A JP17663994 A JP 17663994A JP H0840673 A JPH0840673 A JP H0840673A
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JP
Japan
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car
car frame
frame
elevator
vibration
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Application number
JP17663994A
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English (en)
Inventor
Kenji Okuna
健二 奥名
Hiroshi Miyoshi
寛 三好
Ichiro Nakamura
一朗 中村
Masayuki Shigeta
政之 重田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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Publication date
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  • Cage And Drive Apparatuses For Elevators (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 乗りかごをかご枠に対して水平方向にに変位
自在に支持するとともに、乗りかごの水平方向の振動を
抑制して、乗り心地と安全性の向上を図る。 【構成】 乗りかご14とかご枠5とは連結部材2で連
結されている。連結部材2の上下両端には球面部21,
22が形成され、これら球面部21,22は乗りかご1
4及びかご枠5にそれぞれ形成された球面孔21A,2
2Aに嵌合され、連結部材2は任意の方向に傾斜可能で
ある。連結部材2の近傍には弾性部材20が配置され、
この弾性部材20によって乗りかご14は常に上方に付
勢されている。また、乗りかご14とかご枠5との間に
は、乗りかごの水平方向の振動を減衰させるための粘性
減衰部材30が設けられている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はエレベータ用乗りかごに
係り、特に乗りかごの横揺れ及び横振動を低減するのに
好適なエレベータ用乗りかごに関する。
【0002】
【従来の技術】エレベータの高速化に伴い乗りかごに
は、ガイドレールを建物に据え付けるときの曲がりやガ
イドレールのつなぎ目に発生する段差等による横揺れや
横振動(水平方向の揺れや振動)が増加する。一般にエ
レベータの乗心地は他の交通機関に比べて良好ではある
が、エレベータの閉じられた空間においては、横揺れや
横振動は乗客に不安感や不快感を感じさせ好ましいもの
ではない。
【0003】従来よりエレベータ乗りかごの横振動を低
減する制振装置としては、ブロック状の防振ゴムを乗り
かご床下の四方に配置し、これらの防振ゴム上に乗りか
ごを支持することにより、乗りかごの横方向の振動を抑
制するものが一般的に広く用いられている。
【0004】上記の制振装置の他に、特公昭52−12
980号公報に示されるように、かご枠と乗りかごの間
に球を設けて、乗りかごがかご枠上で横方向に自由に変
位可能にとするとともに、乗りかごの横方向の振動を防
振ゴムによって抑制するものがある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記の従来技術のう
ち、ブロック状の防振ゴムによって乗りかごをかご枠上
に支持して乗りかごの横方向の振動を抑制する装置で
は、防振ゴムのばね定数はできるだけ低く設定するよう
にするが、防振ゴムは乗りかごを上下方向にも支えるた
めにその値には限度があり、結局、防振ゴムのばね定数
をあまり低くは設定できない。このため、ガイドレール
の精度が悪い場合には、乗り心地は良好とならないとい
った問題がある。
【0006】また、特公昭52−12980号公報に示
されるような乗りかごがかご枠上で横方向に自由に変位
可能にするものは、横方向のばね定数を低くできるので
走行時の乗り心地は良好となる。しかしながら、乗客が
乗り込む時には横方向のばね定数が低いために乗りかご
が横方向に変位して、乗客に不安感を感じさせるという
問題がある。これを防止するために乗りかごの床下に電
磁石を備え、停止時には乗りかごをかご枠に対して変位
しないように電磁石を励磁する複雑な機構を備える必要
がある。
【0007】近年、エレベ−タの高速化や長行程化がさ
らに進められている。長行程のエレベータの行程は、エ
レベータが数100mから200mの範囲から特に近年
については4〜500mの行程について、その速度も8
10m/分の高速度のものまでが実用化されつつある。
エレベ−タの高速化や長行程化に伴い乗りかごには、ガ
イドレールを建物に据え付けるときの曲がりやガイドレ
ールのつなぎ目に発生する段差等による横揺れや横振動
が増加する。特に長行程エレベータではその長い行程を
上下動すると、かご枠を吊るロープの重量や、かご枠の
下部に設けられているコンペンセーティング・ロープや
テール・コード等のかご枠に作用する重量が変化する。
すなわち、かご枠に作用する外力は、かごの昇降路の上
下方向の位置によって変化することになる。さらにこれ
らの力が、かご枠の重心位置に一致して取り付けられて
おれば、かご枠に作用するモーメントは小さいものにな
るが、限られた実装スペースの中で重心位置に一致する
ように設計することは難しく、したがって、これらの外
力は、かご枠を転倒させようとするモーメントとしてか
ご枠には作用し、エレベータが長行程になればなるほ
ど、この転倒モーメントの値自体も大きくなり、しかも
かごの昇降路の上下方向の位置に依存して大きく変化す
るようになる。この転倒モーメントがかご枠に作用する
とかご枠に備えられたガイドローラは、ガイドローラの
ストッパに近い位置に変位して動作マージンが減少する
ことになる。
【0008】前記乗りかごをかご枠に対して横方向に自
由に柔軟に変位可能に支持する構造を用いた従来のエレ
ベータは、1Hz前後と低く設定された固有振動数でか
ご枠と乗りかごとの間に振動が発生する。乗客が体感す
る横揺れ感は、振動の加速度で評価できる。上記の低周
波数の振動は、乗客が体感する横揺れ感では問題のない
小さい加速度レベルであるが、1Hz前後の低い周波数
であるので、その変位は大きなものになる。乗りかごを
かご枠に対して横方向に自由に柔軟に変位可能に支持す
る従来のエレベータを長行程エレベータとして用い、前
記の転倒モーメントが作用した場合は、転倒モーメント
によるガイドローラの変位がさらに上記の低周波数振動
による変位に加わるので、ガイドレールの曲がりや転倒
モーメントが大きいと、かご枠の変位が過大になってロ
ーラがストッパに衝突するという好ましくないという新
たな問題が発生する。
【0009】ローラがストッパに衝突すると、これによ
って乗りかごの乗り心地を著しく悪化させるとともに、
かご枠や乗りかごに大きな加速度を発生させ著しいとき
は乗りかご下部に備えられた非常止め装置を動作させ
て、エレベータを緊急停止させるという安全上の大きな
問題にまで派生するおそれがある。
【0010】本発明の目的は、乗りかごをかご枠に対し
て横方向に変位自在に支持するとともに、乗りかごの横
方向の振動を抑制して、良好な乗り心地で且つ安全なエ
レベータ用乗りかごを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに、本発明のエレベータ用乗りかごは、昇降路のガイ
ドレールに沿って上下動可能なかご枠と、前記かご枠内
に設置された乗りかごと、前記乗りかごと前記かご枠が
相互に変位する振動モードが2次以下となるよう、かご
枠内に乗りかごを支持する支持手段と、前記乗りかごと
前記かご枠との間に設けられ、乗りかごの水平方向の振
動を減衰させる振動減衰手段と、を備えたものである。
【0012】そして前記支持手段は、前記乗りかご床下
と前記かご枠底部とを連結し、かつ乗りかごを水平方向
に振動自在に支持する連結部材と、前記乗りかご床下と
前記かご枠底部との間に設けられ、常に乗りかごに上方
向の付勢力を付与する弾性部材と、からなっている。
【0013】また、前記支持手段は、前記かご枠底部と
前記乗りかご床下間に設けられ、乗りかごを水平方向に
振動自在に支持する積層ゴムまたは球体であっても良
い。
【0014】さらに、前記支持手段は、前記かご枠から
吊るされ、乗りかごを水平方向に振動自在に支持する吊
り具であっても良い。
【0015】
【作用】上記構成によれば、振動モードが2次以下とな
るよう、乗りかごは支持手段によってかご枠内に支持さ
れているので、乗りかごはかご枠に対して水平方向に自
由に柔軟に変位可能となり、乗りかごの固有振動数を低
く設定することが可能となる。
【0016】また、振動減衰手段を設けたので、乗りか
ごが水平方向に振動してもその振動を抑制することがで
きる。すなわち、乗りかごとかご枠の水平方向のばね定
数が低くても、振動減衰手段は乗りかごが水平方向に移
動する速度に比例した抵抗力を発生するために、乗りか
ごの移動量を微小にすることができ、例えば乗客が乗り
込む時に乗客に不安感を感じさせることがない。
【0017】そして、かご枠がガイドレールに沿って上
下動しているときは、上記支持手段と振動減衰手段によ
って、かご枠と乗りかごには大きな振動が発生しなくな
り、かご枠の変位も小さく抑えることができる。その結
果、長行程のエレベータとして用いても、転倒モーメン
トによってかご枠の変位が過大になってしまうことが防
止され、ローラがストッパに衝突するという事態を回避
できる。
【0018】これによって、乗り心地を著しく悪化させ
ることや非常止め装置を動作させるという安全上の問題
が発生せず、良好な乗り心地の快適なエレベータを実現
することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を用いて説明す
る。 (第1実施例)図1は本発明の第1実施例によるエレベ
ータ用乗りかごの正面図である。この図において、主索
用のワイヤーロープ3は、ばね4を介してかご枠5に連
結されている。かご枠5は、ガイドレール6上を4組の
ガイドローラ7により上下方向に案内される。ガイドロ
ーラ7は、かご枠5の左右方向を案内する左右ローラ8
と、左右ローラ8を支持するアーム10およびばね11
と、アーム10とばね11を固定する案内台12と、案
内台12の先端に固着されたストッパ用ゴム13とから
なっている。そして、案内台12がかご枠5に取り付け
られ、これによってガイドローラ7はかご枠5底部に固
定されている。
【0020】通常、ストッパ用ゴム13とアーム10と
の間には所定のギャップが形成されているが、かご枠5
が傾斜したとき、ストッパ用ゴム13がアーム10に突
き当たって、かご枠5がそれ以上傾斜するのが阻止され
る。これによって、かご枠5がガイドレール6に接触す
るのを防止することができる。
【0021】かご枠5と乗りかご14とは、乗りかご1
4の床下側に設けられた連結部材2により連結されてい
る。連結部材2の上下両端には球面部21,22が形成
され、球面部21は乗りかご14床下底面の球面孔21
Aに、球面部22はかご枠5下部の球面孔22Aにそれ
ぞれ嵌合されている。球面部21,22はそれぞれ球面
孔21A,22A内で任意の方向に回動自在であり、連
結部材2は任意の方向に傾斜可能である。通常時におい
ては、球面部21,22はそれぞれ球面孔21A,22
Aから抜け出ないようになっている。なお、連結部材2
によって球面部21と球面部22間の距離は常に一定に
規制されている。
【0022】また、連結部材2の近傍には弾性部材20
が設置されている。この弾性部材20は乗りかご14と
かご枠5との間に設けられ、連結部材2と同数配置され
ている。弾性部材20は乗りかご14を上方に持ち上げ
る垂直方向の力を作用するようになっており、連結部材
2のリンクの動作によって乗りかご14をかご枠5に対
して力学的に安定した位置に復元させる水平方向の力を
発生する。
【0023】上記連結部材2は乗りかご14の床下の四
隅に配置されており、乗りかご14がかご枠5に対して
相対的に運動できるように支持している。乗りかご1
4、かご枠5および連結部材2はリンクを構成してい
る。すなわち、図の左右の連結部材2と、左右の連結部
材2の球面部21同士を結んだ線分と、左右の連結部材
2の球面部22同士を結んだ線分と、が少なくとも四節
以上のリンクを構成している。
【0024】また、乗りかご14の床下側には粘性減衰
部材30が設置されている。粘性減衰部材30の一端は
取付け金具31を介して乗りかご14の床下に、他端は
取付け金具32を介してかご枠5下部にそれぞれ取り付
けられている。そして、粘性減衰部材30は、乗りかご
14とかご枠5との間で、乗りかご14とかご枠5の水
平方向の相対速度に比例した水平方向の減衰力を付与す
るようになっている。
【0025】乗りかご14のドア15はローラ17をも
つ支持体18で案内されている。ローラ17はかご枠5
に取り付けられたレール19と乗りかご14の床に設け
られた敷居(図示せず)で案内される。そして、ドア1
5は一般にかご枠5に取り付けられた原動機(図示せ
ず)によって開閉される。
【0026】テールコード40はその一端がかご枠5の
底部に接続され、乗りかご14で必要な電力や乗りかご
14からの着床階の指令信号を、建物側に設けられた制
御装置に伝送するのに用いられる。なお、図面には示さ
れていないが、乗りかご14の加速度が大きくなるとガ
イドレール6を挟持し、かご枠5を緊急停止させる非常
止め装置がかご枠5の下部に設けられている。
【0027】以上のように構成されたエレベータ用乗り
かごにおいて、その動作を以下に説明する。乗りかご1
4は、弾性部材20の力によって上方に押し上げられて
いる。弾性部材20の押し上げ力は、乗りかご14にだ
れも乗っていないときは勿論、搭載量が定格値になった
ときでも、その値以上の力で乗りかご14を上部に押し
上げられるような値に設定されている。
【0028】ここで、ガイドレール6の曲がりによっ
て、乗りかご14が振動しかご枠5に対して相対的に横
方向に変位したとき、連結部材2は回動し、乗りかご1
4とかご枠5の垂直方向の空隙が狭くなる。このような
とき、弾性部材20には乗りかご14を重力に逆らって
初期位置に戻す上向きの力が発生し、これによって乗り
かご14は初期の位置に戻る。
【0029】乗りかごの横方向の総合的なばね定数は、
リンク機構の非線形性を無視して考えると、弾性部材2
0のバネ定数から重力によって生じる落下力のリンク機
構で横方向に置換されたバネ定数を減じたものとなる。
この横方向のばね定数は、他の拘束を受けずに比較的自
由に設定でき、低い値にも高い値にもできる。したがっ
て、横方向のばね定数を低く設定し、ガイドレールから
強く加振される周波数よりも乗りかごの横方向の固有周
波数を2Hz以下、より好ましくは1Hz以下に低く設
定して、乗りかごの2Hz以上における振動レベルを低
く抑えることにより、エレベータの乗り心地を著しく改
善できる。
【0030】また、粘性減衰部材30は、上記の乗りか
ご14とかご枠5の相対変位に比例する水平方向の力は
ほとんど発生せずに、相対速度に比例する減衰力のみを
増加させることができる。これによって、問題となる偏
荷重時の諸問題を解決することができる。
【0031】次に、図2を参照しながらエレベータにお
ける偏荷重の発生要因について説明する。図2はエレベ
ータと昇降路を図示したもので正面図で示してある。昇
降路100は建物に設置され、かご枠5は昇降路100
内を図示されていないロープによって牽引されて上下動
する。図ではかご枠5が下降した位置にあるときを破線
で、上昇した位置にいるときを実線で示している。かご
枠5の底部にはテールコード40が取り付けられてい
る。テールコード40の取付け位置は、水平方向ではか
ご枠5の重心位置に一致せず、且つかご枠5の重心位置
よりも図において左側となっている。テールコード40
の他の一点は建物の中間に固定されており、このためか
ご枠5が上に行くほどテールコード40の重量が重くな
ってかご枠に作用する。テールコード40は、乗りかご
の左側に取り付けられているため、かご枠5が上に行く
ほどかご枠5に加わるテールコード40の重量は重くな
り、かご枠に作用するモーメントMによってかご枠5は
傾斜する。この時、図1に示したストッパ用ゴム13が
アーム10に接近し、ガイドローラの動作範囲が狭くな
る。
【0032】ここで図3から図6を参照しながらエレベ
ータにおける低次の横振動モードについて説明する。図
3から図6に示した振動モードは、乗りかご14とかご
枠5を模式的に図示した側面図である。図で実線で示し
た乗りかご14とかご枠5は、振動がない状態を示して
おり、破線で示した乗りかご14とかご枠5は、振動モ
ードを示している。
【0033】図3に示す振動モードは、乗りかご14と
かご枠5が一体的に横方向に振動するモードで、このと
きガイドローラは大きく変位する。図4に示す振動モー
ドは、乗りかご14とかご枠5が一体的に揺動する回転
の振動モードで、このときもガイドローラは大きく変位
する。一般に図4の回転運動の固有振動数は、図3に示
す並進運動の固有振動数よりも高くなるのが普通であ
る。図5に示す振動モードは、乗りかご14とかご枠5
が別々に横方向に水平に振動するモードを示している。
図6に示す振動モードは、乗りかご14とかご枠5が別
々に揺動する回転する振動モードを示している。
【0034】以上の振動モードがエレベータの横振動に
占める低次の振動モードである。一般に固有振動数の低
い方から一次、二次、三次、四次…の振動モードと呼ぶ
ので、ここでもそのようにする。
【0035】本実施例においては、上記の振動モードに
おいて図5または図6の乗りかご14とかご枠5が別々
に振動する振動モードのいずれかの固有振動数が、図4
に示す乗りかご14とかご枠5が一体的に揺動する回転
の振動モードの固有振動数より低く、より好ましくは図
3に示す乗りかご14とかご枠5が一体的に横方向に振
動する振動モードの固有振動数より低く設定するのが望
ましい。
【0036】すなわち、上記の振動モードにおいて、図
5または図6の乗りかご14とかご枠5が別々に振動す
る振動モードのいずれかが、二次の振動モードであるこ
とが望ましく、より好ましくは一次の振動モードである
ことが望ましい。したがって、図1に示したエレベータ
用乗りかごにおいても、乗りかご14とかご枠5が相互
に変位する振動モードが2次以下となるよう乗りかご1
4がかご枠5に支持されている。
【0037】次に本実施例の効果を表1を用いて説明す
る。
【0038】
【表1】
【0039】No.1は、かご枠と乗りかごとを直接ブ
ロック状の防振ゴムで結合したもので、図3および図4
に示した乗りかご14とかご枠5が一体的に振動し、ガ
イドローラが大きく変位する振動モードの固有振動数
は、並進運動で1.3Hz、回転運動で2.6Hzであ
り、これらがそれぞれ一次および、二次の振動モードで
ある。
【0040】No.2は、かご枠と乗りかごを図1に示
した乗りかご支持機構(連結部材2と弾性部材20)を
用いて、かご枠と乗りかごを結合したものであるが、図
1に示した粘性減衰ダンパ(粘性減衰部材30)は用い
てないものである。一次の振動モードは図5に示す乗り
かご14とかご枠5が別々に横方向に水平に振動するモ
ードであり、固有振動数はおよそ0.9Hzである。
【0041】No.3は、かご枠と乗りかごを図1に示
した支持機構を用いて、かご枠と乗りかごを結合したも
のであり、図1に示した粘性減衰ダンパも用いている。
一次の振動モードは図5に示す乗りかご14とかご枠5
が別々に横方向に水平に振動するモードであり、固有振
動数はおよそ0.9Hzである。
【0042】実験に用いたかご枠と乗りかごの質量はそ
れぞれ1300kg、4500kg、慣性モーメントは
2600kgm2、22000kgm2であり、No.2
およびNo.3の横方向のばね定数は49kN/mに設
定してある。No.2は水平方向の減衰を図1には示し
ていない防振ゴムを設置した場合である。この粘性減衰
係数は、摩擦抵抗をも含めて横方向のばね定数の約5%
に相当し、2.5kNs/m程度の値である。これ以上
に粘性減衰係数を上げようとしたが、同時に横方向のば
ね定数も上がってしまい、ゴムを用いる限りではこの粘
性減衰係数は、横方向のばね定数の約5%が上限である
ことがわかった。No.3は水平方向の減衰を図1に示
した粘性減衰ダンパを設置した場合である。このダンパ
の粘性減衰係数は摩擦抵抗をも含めて横方向のばね定数
の約20%に相当し、10kNs/m程度の値に設定し
た。
【0043】実験はロープで吊った静止したかご枠の上
下にあるローラに加振機により加振するべく変位を与え
た。周波数0.9Hzで上下のガイドローラに810m
/分の走行速度に相当する位相差を与えて加振し、乗り
かごの固有振動数におけるかご枠の振動変位を測定し
た。次に実際にレールの曲がりのデータを加振機に与
え、昇降路を走行した状態を模擬して乗りかごの振動加
速度を測定した。したがって本実験では図2で説明した
テールコードによる偏荷重の乗り心地に対する影響は、
直接は観測されない。さらに、乗客が数人乗り込み、乗
り込み時の感覚を評価した。
【0044】実験結果から、かご枠は上部よりも下部の
方が振動しやすいことが分かった。そこで表1に示す実
験結果では、かご枠の変位はNo.1のかご枠の下部を
基準としてそれに対する変位の増減を百分率で記述して
ある。この結果よりNo.2のものがかご枠下部の変位
が30%大きく、かご枠に偏荷重が作用したときにガイ
ドローラがストッパに当たりやすく、特性としては悪
い。No.3の水平方向に粘性減衰ダンパを設置したも
のは、No.1と同等の変位であり、偏荷重に対してま
ったく問題のないレベルで良好である。なお、かご枠の
上部については何れも問題のないレベルであった。
【0045】次に、乗り心地については、No.1の防
振ゴムでかご枠と乗りかごとを直接結合したものが両振
幅で15cm/s2 とやや悪く、次は、No.2で12
cm/s2 と良好なレベルであり、粘性減衰ダンパを用
いてかご枠と乗りかごを柔軟な支持機構で支持したN
o.3は、10cm/s2 と非常に良好なレベルに達し
た。また、乗り込み時の感覚は、No.2では乗りかご
の床の移動感が若干あり、No.1とNo.3は普通の感
覚であった。
【0046】この実験値ではNo.2の乗り心地も決し
て悪いものでないが、実際に高階床の建物でかご枠に偏
荷重が作用したときに、ガイドローラがストッパに当た
る可能性が最も高く、このとき乗り心地は相当に悪化す
る。
【0047】以上述べたように本実施例によれば、乗り
かごをかご枠に対して柔軟に支持し、かご枠と乗りかご
間に、水平方向に大きな減衰力を付与する粘性減衰ダン
パを設けたので、かご枠の低周波数における振動を少な
く、安全で快適なエレベータ用乗りかごを提供できる。
【0048】(第2実施例)図7および図8は本発明の
第2実施例を示すもので、図7はエレベータ用乗りかご
の正面図であり、図8は乗りかご支持用の積層ゴムの断
面斜視図である。図7に示すように、本実施例ではかご
枠5の底部に積層ゴム51が固定され、この積層ゴム5
1の上に乗りかご14が設置されている。また、乗りか
ご14の上部には取付け金具31が、かご枠5の上部梁
には取付け金具32がそれぞれ設けられ、これらの取付
け金具31,32間に粘性減衰部材30が取り付けられ
ている。そして、粘性減衰部材30は、乗りかご14と
かご枠5との間で、乗りかご14とかご枠5の水平方向
の相対速度に比例した水平方向の減衰力を付与するよう
になっている。その他の構成は第1実施例の場合と同様
である。
【0049】積層ゴム51は、図8に示すように円柱状
の形状をしていて、円板53と防振ゴム54が交互に重
ねられた積層構造をなしている。そして、その上端部と
下端部には円板55が固着されている。積層ゴム51
は、乗りかご14の隅部4箇所に配置され、乗りかご1
4がかご枠5に対して相対的に運動できるように支持し
ている。
【0050】以上のように構成されたエレベータ用乗り
かごにおいて、その動作を以下に説明する。乗りかご1
4の隅部に配置された積層ゴム51は、防振ゴム54と
円板53とが積層状に構成されているために上下方向は
硬く、水平方向は柔らかい特性が可能である。通常のブ
ロック状の防振ゴムでは、水平方向のバネ定数は鉛直方
向のバネ定数に対して3分の1程度の比率であるが、本
実施例で用いた一つの積層ゴム51のバネ定数は、鉛直
方向が39MN/m、水平方向が47kN/mであり、
水平方向のバネ定数が鉛直方向に比べ1000分の1と
非常に低く設定できる特徴を有している。
【0051】本実施例ではエレベータの一次の振動モー
ドは、図3に示した乗りかご14とかご枠5が全体的に
振動する並進運動によるもので、固有振動数は、1.3
Hzである。4箇所に配置された積層ゴム51全体で、
水平方向のバネ定数は188kN/mの値になり、これ
によって乗りかご14とかご枠5が別々に横方向に水平
に振動する図5に示す振動モードの固有周波数はおよそ
2Hzになり、これが二次の振動モードとなる。この積
層ゴム51の減衰は、固有振動数におけるかご枠5の変
位を抑えるには実質的に0に近く、複数の粘性減衰部材
30で水平方向の粘性減衰係数を19kNs/mに設定
した。
【0052】本実施例でもレールから加振される3Hz
前後の振動が大幅に低減し、両振幅で12.5cm/s2
と良好な振動レベルになった。本実施例においても、
従来のものに比べて振動レベルが小さく乗り心地が向上
しており、機械的な遊びやガタが支持系にないためにス
ムーズな乗り心地が実現できる。また固有振動数でのか
ご枠の変位が大きくなる現象も観察されずに実際に長行
程の建物で偏荷重が作用したときに、異常な振動が発生
することもなかった。
【0053】(第3実施例)図9は本発明の第3実施例
を示すもので、エレベータ用乗りかごの正面図である。
本実施例では、図に示すように第2実施例に比較して積
層ゴム51が上下に2個重ねられている点が異なり、他
の点は第2実施例と同様の構成となっている。本実施例
ではエレベータの一次の振動モードは、図3に示した乗
りかご14とかご枠5が全体的に振動する並進運動によ
るもので、固有振動数は、およそ1.3Hzで、4箇所
に配置された積層ゴム51全体で、水平方向のバネ定数
は94kN/mと第2実施例の場合よりも低くできる。
これによって乗りかご14とかご枠5が別々に横方向に
水平に振動する図5に示す振動モードの固有周波数もお
よそ1.4Hzと第2実施例の場合よりも低くでき、こ
れが二次の振動モードとなる。積層ゴム51の減衰は、
固有振動数におけるかご枠5の変位を抑えるには実質的
に0に近く、複数の粘性減衰部材30で水平方向の粘性
減衰係数を9kNs/mに設定した。
【0054】本実施例でもガイドレールから加振される
3Hz前後の振動が大幅に低減し、両振幅で11.5c
m/s2 と良好な振動レベルになった。さらに、本実施
例においても従来のものに比べて振動レベルが小さく乗
り心地が向上しており、機械的な遊びやガタが支持系に
ないためにスムーズな乗り心地が実現できる。また固有
振動数でのかご枠の変位が大きくなる現象も観察されず
に実際に長行程の建物で偏荷重が作用したときに、異常
な振動が発生することもなかった。
【0055】本実施例のように積層ゴム51を上下方向
に積層化することによって横方向のバネ定数を低くでき
るが、あまり数多く重ねると不安定になる傾向がある。
図10は、これを改良した積層ゴムを示すもので、その
積層ゴムの斜視図である。積層ゴム51Aは、円板53
Aと防振ゴム54Aが積層に重ねられ円柱状の形状をし
ていて、その上端部と下端部にさらに円板55Aが固着
されているが、その中心部は打ち抜かれており、これに
よって横方向のバネ定数を低く設定している。この積層
ゴム51Aは、第2実施例と同様に乗りかご14床下の
隅部4箇所に配置され、乗りかご14がかご枠5に対し
て相対的に運動できるように支持している。図10にお
ける積層ゴム51は、固有振動数を中空部を設けること
によって低くできると同時に、上下方向に制振ゴムを数
多く重ねる必要がなくなり、構造が簡単であるという特
徴を有する。
【0056】本実施例によれば、乗りかご14をかご枠
5に対して柔軟に支持し、かご枠5と乗りかご14間
に、水平方向に大きな減衰力を付与する粘性減衰部材3
0を設けたので、かご枠5の低周波数における振動が少
なく、安全で快適なエレベータ用乗りかごを提供でき
る。
【0057】(第4実施例)図11は本発明の第4実施
例を示すもので、エレベータ用乗りかごの正面図であ
る。図7に示すように、本実施例では、乗りかご14の
床下に設けられた積層ゴム支持構造50に特徴がある。
すなわち、積層ゴム支持構造50は、複数枚の平板52
Bと平板52B間の積層ゴム51Bとからなり、積層ゴ
ム51Bは平板52Bの間に複数個並べて設けられてい
る。積層ゴム51Bは図8または図10に示したのと同
じように構成されている。積層ゴム支持構造50は乗り
かご14床下の隅部4箇所に設けられ、乗りかご14が
かご枠5に対して相対的に運動できるように支持してい
る。なお、その他の構成は第2または第3実施例と同様
である。
【0058】以上のように構成されたエレベータ用乗り
かごにおいて、その動作を以下に説明する。乗りかご1
4床下の隅部4箇所に配置された積層ゴム支持構造50
は、積層ゴム51Bと平板52Bとが積層状に構成され
ているために上下方向は硬く、水平方向は柔らかい特性
が可能である。通常のブロック状の防振ゴムでは、水平
方向のバネ定数は鉛直方向のバネ定数に対て3分の1程
度の比率であるが、本実施例で用いた一つの積層ゴム支
持構造50のバネ定数は、鉛直方向が15.7MN/m
で、水平方向が14.7kN/mとなり、水平方向のバ
ネ定数が鉛直方向に比べ1000分の1と非常に低く設
定できる特徴を有している。
【0059】また、4箇所に設置された積層ゴム支持構
造50は、全体で水平方向のバネ定数は58.8kN/
mの値になり、これによって乗りかご14とかご枠5が
別々に横方向に水平に振動する、図5に示す振動モード
の固有周波数もおよそ1Hzと低くでき、これが一次の
振動モードとなる。この積層ゴム支持構造50の減衰
は、固有振動数におけるかご枠5の変位を抑えるには実
質的に0に近く、複数の粘性減衰部材30で水平方向の
粘性減衰係数を12kNs/mに設定した。
【0060】本実施例でも従来のものに比べて振動レベ
ルが小さく大幅に乗り心地が向上しており、機械的な遊
びやガタが支持系にないためにすこぶるスムーズな乗り
心地となり、その振動レベルも10cm/s2以下とな
る。また固有振動数でのかご枠の変位が大きくなる現象
も観察されずに実際に長行程の建物で偏荷重が作用した
ときに、異常な振動が発生することもない。また、積層
ゴム支持構造は、水平方向の固有振動数を低くできると
同時に上下方向の制振もこれ単体で可能であり、構造が
簡単である特徴を有する。
【0061】以上述べたように本実施例によれば、乗り
かご14をかご枠5に対して柔軟に支持し、かご枠5と
乗りかご14間に、水平方向に大きな減衰力を付与する
粘性減衰部材30を設けたので、かご枠5の低周波数に
おける振動が少なく、安全で快適なエレベータ用乗りか
ごを提供できる。
【0062】(第5実施例)図12は本発明の第5実施
例を示すもので、エレベータ用乗りかごの構成図であ
る。図に示すように、本実施例では、乗りかご14の上
下方向の制振を行うために、乗りかご14の床下とかご
枠5下部との間にボール支持系60を設置している。ボ
ール支持系60は、かご枠5に固着されたブロック状の
防振ゴム61と、防振ゴム61上に取り付けられた受け
座64と、乗りかご14の床下に取り付けられた受け座
65と、受け座64,65間で当該受け座64,65に
接触し、回転しながら自在に移動可能な鋼製のボール6
2と、ボール62の移動範囲を規制する枠63とから構
成されている。このボール支持系60は乗りかご14の
床下隅部4箇所に配置されており、乗りかご14がかご
枠5に対して相対的に運動できるように支持している。
【0063】また、乗りかご14の床下には取付け金具
31が、かご枠5の下部には取付け金具32がそれぞれ
取り付けられ、取付け金具31,32間に弾性部材20
Aと粘性減衰部材30が設けられている。これら弾性部
材20Aと粘性減衰部材30は、乗りかご14とかご枠
5との間で、それぞれ乗りかご14をかご枠5に対し
て、力学的に安定した位置に復元させる水平方向の復元
力と減衰力を付与している。なお、その他の構成は第1
実施例の場合と同様である また、上記構成のボール支持系60では、乗りかご14
とかご枠5が相互に変位する振動モードを2次以下とす
るよう、かご枠5に対して乗りかご14を支持してい
る。
【0064】本実施例では、弾性部材20全体で水平方
向のバネ定数は58.8kN/mの値に設定してある。
これによって乗りかご14の固有周波数はおよそ1Hz
と所望の周波数に設定できる。複数の粘性減衰部材30
で水平方向の粘性減衰係数を12kNs/mに設定し
た。
【0065】本実施例でも従来のものに比べて振動レベ
ルが小さく大幅に乗り心地が向上しており、小型な装置
でスムーズな乗り心地が実現できる。また固有振動数で
のかご枠の変位が大きくなる現象も観察されずに実際に
長行程の建物で偏荷重が作用したときに、かご枠や乗り
かごに異常な振動が発生することもない。
【0066】以上述べたように本実施例によれば、乗り
かごをかご枠に対して柔軟に支持し、かご枠と乗りかご
間に、水平方向に大きな減衰力を付与する粘性減衰ダン
パを設けたので、かご枠の低周波数における振動を少な
く、安全で快適なエレベータ用乗りかごを提供できる。
【0067】(第6実施例)図13は本発明の第6実施
例を示すもので、エレベータ用乗りかごの構成図であ
る。本実施例では、第1実施例と比較して連結部材2が
乗りかご14の重心または重心の上部の点を通過するよ
うに斜めに設定されている。その他の構成は第1実施例
と同様の構成になっている。すなわち、連結部材2の上
端部には球面部21が、下端部には球面部22がそれぞ
れ形成され、球面部21は乗りかご14の球面孔21A
に、球面部22はかご枠5の球面部22Aにそれぞれ嵌
合されている。そして、球面孔21Aの位置は、球面孔
22Aの位置よりも乗りかご14の中央よりに配置さ
れ、複数の連結部材2の軸心は、それぞれ乗りかごの重
心、または重心より上部に位置する点に向かうように設
定されている。
【0068】以上の構成によって、乗りかご14は、か
ご枠5に対して回転する自由度が与えられ、回転モード
の振動と並進モードの振動の両者について振動が低減で
き、乗り心地を著しく良好にすることができる。
【0069】(第7実施例)次に、粘性減衰部材30の
取付け位置について図14から図17を用いて説明す
る。図14はエレベータ用乗りかごの平面図である。こ
の図において、かご枠5とドア15だけを示してある。
かご枠5の運動は、図に矢印で示したように左右方向、
前後方向、ねじれの3自由度有している。従って粘性減
衰部材30もこの自由度に対応して設置する必要があ
る。
【0070】図15から図17は一例を示したもので、
かご枠5に設置される粘性減衰部材30の設置場所を示
した平面図である。粘性減衰部材30の両端は、ボール
ジョイントになっており、取付け金具31、32と係合
して、かご枠5と乗りかご14との上記の運動の自由度
を妨げない構造となっている。
【0071】図15における本実施例では、粘性減衰部
材30aと30bは、その長手方向を乗りかごの左右方
向と一致するようにかご枠5の中央に線対称に配置され
ている。粘性減衰部材30cは、その長手方向を乗りか
ごの前後方向と一致するようにかご枠5の中央に配置さ
れている。この例の場合は、かご枠5と乗りかご14の
前後方向の運動は粘性減衰部材30cによって、左右方
向とねじれの運動は粘性減衰部材30aと30bによっ
て、かご枠5と乗りかご14の相対的な運動をすばやく
停止させる。本実施例に示したように粘性減衰部材30
をかご枠5の中央に対称的に配置しているので、ランダ
ムなレールからの外乱によってもかご枠5と乗りかご1
4の振動のそれぞれの成分の対称性が保たれ、乗り心地
が良好となる利点を有している。
【0072】粘性減衰部材30cの代わりに、破線で示
す粘性減衰部材30dと30eをその長手方向が乗りか
ごの前後方向と一致するようにかご枠5の中央に線対称
に配置しても良い。この場合に、かご枠5と乗りかご1
4の前後方向の運動は粘性減衰部材30dと30eによ
って、左右方向の運動は粘性減衰部材30aと30bに
よって、ねじれの運動は粘性減衰部材30a,30b,
30d,30eによって、かご枠5と乗りかご14の相
対的な運動に作用する。本実施例においても粘性減衰部
材30をかご枠5の中央に対称的に配置しているので、
ランダムなレールからの外乱によってもかご枠5と乗り
かご14の振動のそれぞれの成分の対称性が保たれ、乗
り心地が良好となる利点を有している。
【0073】図16における例では、粘性減衰部材30
aは、その長手方向を乗りかごの左右方向と一致するよ
うにかご枠5の中央に配置されている。粘性減衰部材3
0dと30eは、その長手方向を乗りかごの前後方向と
一致するようにかご枠5の中央に対称的に配置されてい
る。本実施例の場合は、かご枠5と乗りかご14の前後
方向とねじれの運動は粘性減衰部材30dと30eによ
って、左右方向の運動は粘性減衰部材30aによって、
かご枠5と乗りかご14の相対的な運動をすばやく停止
させる。本実施例に示したように粘性減衰部材30をか
ご枠5の中央に対称的に配置しているので、ランダムな
レールからの外乱によってもかご枠5と乗りかご14の
振動のそれぞれの成分の対称性が保たれ、乗り心地が良
好となる利点を有しており、粘性減衰部材30の数も3
個と少なくできる。
【0074】図17における例では、図16とほぼ同様
であり、粘性減衰部材30dと30eは、その長手方向
を乗りかごの前後方向と一致するようにかご枠5の中央
に点対称に配置されている。本実施例の場合は、かご枠
5と乗りかご14の前後方向とねじれの運動は粘性減衰
部材30dと30eによって、左右方向の運動は粘性減
衰部材30aによって、かご枠5と乗りかご14の相対
的な運動をすばやく停止させる。本実施例に示したよう
に粘性減衰部材30をかご枠5の中央に対称的に配置し
ているので、ランダムなレールからの外乱によってもか
ご枠5と乗りかご14の振動のそれぞれの成分の対称性
が保たれ、乗り心地が良好となる利点を有しており、粘
性減衰部材30の数も3個と少なくできる。
【0075】(第8実施例)図18は発明の第8実施例
を示すもので、エレベータ用乗りかごの構成図である。
本実施例では、図11の実施例に比較して粘性減衰部材
30を用いずに摩擦減衰部材を用いている点が異なって
いる。摩擦減衰部材39は、乗りかご14とかご枠5の
間に設けられ、乗りかご14とかご枠5に水平方向に摩
擦力を付与するものである。そして、摩擦粘性減衰部材
39は、かご枠5底部に設けらればね35によって、表
面にポリアセタール樹脂からなる摺動部材37を有する
基板36を乗りかご14に設けられた被摺動部材38に
圧接し、所定の摩擦力を発生するように設定されてい
る。
【0076】本実施例によれば、摩擦減衰部材39は水
平方向の復元力を有していないので、乗りかご14の固
有振動数を変化させず、減衰を大きくできる特徴を有し
ている。その結果、従来のものに比べて固有振動数を低
くできるので、振動レベルが小さく乗り心地を大幅に向
上でき、小型な装置でスムーズな乗り心地が実現できる
利点を有している。
【0077】(第9実施例)図19は本発明の第9実施
例を示すもので、エレベータ用乗りかごの構成図であ
る。本実施例では、乗りかご14がかご枠5に対して吊
り具によって水平方向に柔軟に移動できるように構成さ
れている。図において、図1に示したものとほぼ同様な
構成となっているが、乗りかご14は、連結部材や積層
ゴムによる支持装置ではなく、かご枠5に取り付けられ
た吊り具によって水平方向に柔軟に移動自在に吊るされ
ている。
【0078】すなわち、吊り具の係合部140は乗りか
ご14の下方の隅部4箇所に突起して設けられており、
上下に貫通する貫通穴を有している。一方、かご枠5に
固定されている梁19は、上記の吊り具の係合部140
の貫通穴に対面する位置に同様の貫通穴を有している。
吊り具70は、鋼製のロッドであり、上記の対面する貫
通穴を通り、その両端はストッパ71と73が固着され
ている。これによってかご枠5に対して水平方向に柔軟
に移動できる吊り具による支持系を構成している。この
支持系は、乗りかご14をかご枠5に対して相対的に運
動できるように支持し、乗りかご14の横方向の固有振
動数は吊り具70の長さによって決定する振子の運動と
同一であるので、本実施例では吊り具70の長さが十分
長いので1Hz以下に設定でき、これが一次の振動モー
ドとなる。
【0079】上記のように構成すれば、乗りかご14の
低い固有周波数に対応して複数の粘性減衰部材30で水
平方向の粘性減衰係数を所望の周波数に設定できるの
で、従来のものに比べて振動レベルが小さく大幅に乗り
心地が向上しており、小型な装置でスムーズな乗り心地
が実現できる。また固有振動数でのかご枠の変位が大き
くなる現象も観察されずに実際に長行程の建物で偏荷重
が作用したときに、かご枠や乗りかごに異常な振動が発
生することもない。
【0080】以上のように本実施例によれば、乗りかご
をかご枠に対して柔軟に支持し、かご枠と乗りかご間
で、水平方向に大きな減衰力を付与する粘性減衰ダンパ
を設けたので、かご枠の低周波数における振動を少なく
し、安全で快適なエレベータ用乗りかごを提供できる。
【0081】以上、第1から第9実施例を具体的に説明
してきたが、多くの変形が可能である。すなわち、乗り
かご14とかご枠5を柔軟に支持する機構としてリンク
機構、ボールによる支持する機構、積層ゴムによって支
持する機構やさらに吊り具によって支持する機構につい
て説明してきた。乗りかご14とかご枠5を柔軟に支持
する機構は、これに限定することなく、乗りかごとかご
枠の固有振動数を望ましくは2Hz以下、さらに好まし
くは1Hz以下に設定する支持機構を意味している。
【0082】乗りかごとかご枠とを連結する連結部材に
ついても種々のものを説明してきたが、これらも弾性部
材との組合せによって数多くの変形が考えられるが、こ
れらは本発明の範囲内のものである。また、連結部材は
その乗りかご側端がかご枠側端よりも外側に位置するよ
うに構成することも可能である。
【0083】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
乗りかごとかご枠が相互に変位する振動モードが2次以
下となるよう、かご枠内に乗りかごが支持された構造の
エレベータ用乗りかごにおいて、振動減衰手段を設けた
ことにより、乗りかごの横揺れを大幅に抑制できるの
で、乗り心地が良くかつ安全なエレベータを実現するこ
とが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例によるエレベータ用乗りか
ごの構成図である。
【図2】エレベータの基本動作を示す図である。
【図3】エレベータの振動モードを示す図である。
【図4】エレベータの振動モードを示す図である。
【図5】エレベータの振動モードを示す図である。
【図6】エレベータの振動モードを示す図である。
【図7】本発明の第2実施例によるエレベータ用乗りか
ごの構成図である。
【図8】積層ゴムの断面斜視図である。
【図9】本発明の第3実施例によるエレベータ用乗りか
ごの構成図である。
【図10】積層ゴムの断面斜視図である。
【図11】本発明の第4実施例によるエレベータ用乗り
かごの構成図である。
【図12】本発明の第5実施例によるエレベータ用乗り
かごの構成図である。
【図13】本発明の第6実施例によるエレベータ用乗り
かごの構成図である。
【図14】エレベータの運動方向を示す図である。
【図15】本発明の第7実施例による制振装置の配置を
示した図である。
【図16】制振装置の配置の他の例を示した図である。
【図17】制振装置の配置の更に他の例を示した図であ
る。
【図18】本発明の第8実施例によるエレベータ用乗り
かごの構成図である。
【図19】本発明の第9実施例によるエレベータ用乗り
かごの構成図である。
【符号の説明】
2 連結部材 3 ワイヤーロープ 4 ばね 5 かご枠 6 ガイドレール 7 ガイドローラ 13 ストッパ用ゴム 14 乗りかご 15 ドア 20,20A 弾性部材 21,22 球面部 21A,22A 球面孔 30 粘性減衰部材 31,32 取付け金具 35 ばね 36 基板 37 摺動部材 38 被摺動部材 39 摩擦減衰部材 40 テールコード 50 積層ゴム支持構造 51,51B 積層ゴム 52B 平板 60 ボール支持系 61 防振ゴム 62 ボール 63 枠 64,65 受け座 70 吊り具 71,73 ストッパ 140 係合部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 重田 政之 茨城県勝田市市毛1070番地 株式会社日立 製作所水戸工場内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 昇降路のガイドレールに沿って上下動可
    能なかご枠と、前記かご枠内に設置された乗りかごと、
    前記乗りかごと前記かご枠が相互に変位する振動モード
    が2次以下となるよう、かご枠内に乗りかごを支持する
    支持手段と、前記乗りかごと前記かご枠との間に設けら
    れ、乗りかごの水平方向の振動を減衰させる振動減衰手
    段と、を備えたエレベータ用乗りかご。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のエレベータ用乗りかご
    において、前記支持手段は、前記乗りかご床下と前記か
    ご枠底部とを連結し、かつ乗りかごを水平方向に振動自
    在に支持する連結部材と、前記乗りかご床下と前記かご
    枠底部との間に設けられ、常に乗りかごに上方向の付勢
    力を付与する弾性部材と、からなることを特徴とするエ
    レベータ用乗りかご。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のエレベータ用乗りかご
    において、前記支持手段は、前記かご枠底部と前記乗り
    かご床下間に設けられ、乗りかごを水平方向に振動自在
    に支持する積層ゴムであることを特徴とするエレベータ
    用乗りかご。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載のエレベータ用乗りかご
    において、 前記積層ゴムは、中心部が軸方向に沿って打ち抜かれて
    いることを特徴とするエレベータ用乗りかご。
  5. 【請求項5】 請求項3又は4に記載のエレベータ用乗
    りかごにおいて、 前記積層ゴムは、複数個積み重ねられて使用されること
    を特徴とするエレベータ用乗りかご。
  6. 【請求項6】 請求項5に記載のエレベータ用乗りかご
    において、 前記複数個積み重ねられた積層ゴムの間には平板が設け
    られていることを特徴とするエレベータ用乗りかご。
  7. 【請求項7】 請求項1に記載のエレベータ用乗りかご
    において、前記支持手段は、前記かご枠底部と前記乗り
    かご床下間に設けられ、乗りかごを水平方向に振動自在
    に支持する球体であることを特徴とするエレベータ用乗
    りかご。
  8. 【請求項8】 請求項1に記載のエレベータ用乗りかご
    において、前記支持手段は、前記かご枠から吊るされ、
    乗りかごを水平方向に振動自在に支持する吊り具である
    ことを特徴とするエレベータ用乗りかご。
  9. 【請求項9】 請求項1に記載のエレベータ用乗りかご
    において、 前記振動減衰手段は、粘性によって減衰することを特徴
    とするエレベータ用乗りかご。
  10. 【請求項10】 請求項1に記載のエレベータ用乗りか
    ごにおいて、 前記振動減衰手段は、摩擦によって減衰することを特徴
    とするエレベータ用乗りかご。
JP17663994A 1993-12-28 1994-07-28 エレベータ用乗りかご Pending JPH0840673A (ja)

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