JPH0834792A - 新規化合物wf14861a、その製造方法およびその用途 - Google Patents

新規化合物wf14861a、その製造方法およびその用途

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JPH0834792A
JPH0834792A JP15595495A JP15595495A JPH0834792A JP H0834792 A JPH0834792 A JP H0834792A JP 15595495 A JP15595495 A JP 15595495A JP 15595495 A JP15595495 A JP 15595495A JP H0834792 A JPH0834792 A JP H0834792A
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JP
Japan
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reaction
wf14861a
cathepsin
new compound
culture
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Application number
JP15595495A
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English (en)
Inventor
Takanao Otsuka
隆尚 大塚
Tomoko Sato
智子 佐藤
Hiroshi Hatanaka
洋 畑中
Shigehiro Takase
茂弘 高瀬
Sumio Kiyoto
純夫 清遠
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
Original Assignee
Fujisawa Pharmaceutical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【構成】 カテプシンBおよび/またはLに対する阻害
活性を有する新規化合物WF14861A、かびに属す
るWF14861A生産菌を栄養培地中で培養すること
によるWF14861Aの製造方法、およびWF148
61Aおよび医薬上許容される担体を含有する医薬組成
物である。 【効果】 WF14861Aは、強いカテプシンBおよ
び/またはLに対する阻害活性を示し、哺乳動物に対し
て、経口又は非経口投与により、強いカテプシンBおよ
び/またはL活性に起因する疾患を治療および予防し得
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規化合物WF148
61Aに関する。より詳しくは、本発明は、カテプシン
Bおよび/またはL活性を阻害する役割を果たす新規化
合物WF14861A、栄養培地中でかび(fungu
s)に属するWF14861A生産菌を培養することに
よるWF14861Aの製造方法、およびこのWF14
861Aと医薬上許容される担体とを含有する医薬組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術および発明が解決しようとする課題】最
近、リソソームシステインプロテアーゼである、カテプ
シンBおよび/またはLが、慢性関節リウマチ、変形性
関節炎等の炎症性の関節疾患に起因する関節破壊に関与
していることが示唆されている[Biochemical Pharmaco
logy, 44, 1201 (1992)]。またカテプシンBおよびL
が、筋ジストロフィー、空胞状末梢性筋障害(vacuolar
distal myopathy)のような難治性の筋肉虚脱疾患を引き
起こすと考えられている。カテプシンBおよびLはまた
アルツハイマー病患者の脳内での老人斑形成に関与する
酵素の1種である。
【0003】それゆえ、カテプシンBおよび/またはL
阻害剤は、これらの疾患に対して有用であると期待され
る。従来より、例えば、微生物の産物であるアンチパイ
ンおよびロイペプチンは有効であるが、システインプロ
テアーゼの可逆阻害剤であり(McConnell et al., 33 J.
Med. Chem. 86-93; Sutherland et al. 110 Biochem.
Biophys. Res. Commun. 332-38)、またある種のセリン
プロテアーゼを阻害する (Umezawa, 45 Meth. Enzymol.
678-95)。化合物E64およびその合成類縁体は、より
選択的な阻害剤である(Barret et al., 201 Biochem.
J. 189-98; Grinde, 701 Biochim. Biophys. Acta. 328
-33)が、生体内で使用された時の循環からの消失が早す
ぎる(Hashida et al. 91 J. Biochem. 1373-80) 。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、カテプシ
ンBおよび/またはL阻害作用を示す新規物質を得るべ
く、微生物の産物からスクリーニングを行った。スクリ
ーニングの結果、本発明者らは、かびに属する菌株の培
養物から新規化合物WF14861Aを分離した。
【0005】本発明は、カテプシンBおよび/またはL
に対して阻害活性を有し、後記の物理化学的性質を有す
る新規化合物WF14861Aを提供する。また本発明
は、栄養培地中でかびに属するWF14861A生産菌
を培養し、得られた培養物からWF14861Aを採取
することを特徴とする上記の化合物WF14861Aの
製造方法を提供する。さらに本発明は、有効成分として
上記の化合物WF14861Aと、医薬上許容される担
体とを含有し、カテプシンBおよび/またはL活性に起
因する上述した種々の疾患を治療および予防するための
哺乳動物用の医薬として有用な医薬組成物を提供する。
【0006】新規化合物WF14861Aは、以下の物
理化学的性質を有する: a)形状: 無色粉末 b)分子式: C20304 6 c)分子量:422.49 [FAB-MS : m/z 423 (M + H)] d)HR FAB−MS(高分解高速原子衝撃質量分析
法):423.2249 (C20H30N4O6 + H = 423.2244) e)紫外線吸収スペクトル: λmax nm (ε) (CH3OH) :280nm (ε=1.330) f)赤外線吸収スペクトル: 図1に示す 3400, 3260, 3030, 2960, 1680, 1630, 1520, 1460, 13
80, 1200,1130, 900, 840 cm -1 g)溶解性: 易溶: メタノール、水 難溶: アセトン 不溶: クロロホルム h)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン反応、塩化第二鉄反応、硫酸セリウ
ム反応、ヨウ素蒸気との反応 陰性:エールリッヒ反応、モーリッシュ反応、ジアセチ
ル反応 i) 1H核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, CD3OD) : 図
2に示す j)13C核磁気共鳴スペクトル (100 MHz, CD3OD) : 図
3に示す k)比旋光度: [α]D 25 = +43.6゜(c=0.5, CH
3OH) l)アミノ酸分析: チロシン 上記物性および別途研究の結果に基づくWF14861
Aの推定構造式は次の通りである。
【0007】
【化1】
【0008】WF14861Aは、栄養培地中でかびN
o.14861株等のようなかびに属するWF1486
1A生産菌を培養し、その培養物からWF14861A
を採取することにより調製され得る。かびに属するWF
14861A生産菌のうち、かびNo.14861株
は、本発明者らにより鹿児島県鹿屋市で採集された土壌
試料から新たに分離された。かびNo.14861株の
凍結乾燥試料は、ブダペスト条約の国際寄託当局であ
る、通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(茨
城県つくば市東1丁目1番3号)に1994年6月6日
付で寄託番号FERM BP−4688として寄託され
た。
【0009】新規化合物WF14861Aの生産は、こ
こに記載の特定の微生物の使用によるものに限定され
ず、ここに記載の特定の微生物は例示の目的で挙げたに
すぎない。また本発明は、WF14861Aを生産でき
るいかなる変異体の使用も包含するものであり、天然の
変異体、およびX線照射、紫外線照射、N−メチル−
N’−ニトロ−N−ニトロソグアジニン、2−アミノプ
リン等を用いた処理のような慣用の方法により上述の微
生物から生産され得る人為的な変異体も含まれる。
【0010】かびNo.14861株は以下の生態学
上、培養上および生理学上の特性を有する。 [1]生産菌No.14861株の特徴 かびNo.14861株は、鹿児島県鹿屋市で採集され
た土壌試料から初めて分離された。この菌株は、各種の
培養培地上で非常に急速に生育し、黒色から茶色のコロ
ニーを形成した。そのかびNo.14861株は幾つか
の培地上でアナモルフを形成したが、テレオモルフを形
成しなかった。その形成方法は、フィアロ型(内生出芽
型)であった。その菌学的特徴は以下のとおりである。
各種の寒天培地上の培養上の特徴を表1に示す。麦芽エ
キス寒天上の培養菌は広く拡大的に生育し、25℃、2
週間で直径7.5cm以上に達した。そのコロニーの表
面は、平坦で、薄く、中央部は黒色、その外周は黄色味
灰色、コロニー周辺は淡黄色であった。そのコロニーの
裏面は、中央部は黒色、その外周は鈍緑色、コロニー周
辺は緑色味灰色であった。分生子構造は豊富に形成され
た。同様の条件で、ツァペック培地上のコロニーは広く
拡大的に生育し、直径7.5cm以上に達した。その表
面は平坦で、フェルト状で灰色であった。その裏面は灰
色であった。分生子構造が認められた。
【0011】形態学的特徴は、LCA寒天上の生育をもと
にして決定した(三浦宏一郎、工藤光代著 日本菌学会
報、11巻、 116-118頁、1970年)。No.14861株
は剛毛を持つ分生子層のような分生子構造を形成した。
分生子形成細胞は、円筒形からこん棒状で、無色でかつ
15〜25×3〜5μmであり、分生子の集塊を頂点に
有していた。分生子は、丸い頂点と裁断状の基部を持つ
細い円筒形で、無色で、1細胞で、16〜18×2.5
〜3.5μmであった。剛毛は、真っ直ぐであるが頻繁
に曲がっており、錐状で、基部でわずかに膨張してお
り、茶色で、厚い壁があり、1〜5の隔壁を持ち、基部
では3〜6μm、頂点では1〜3μmの幅であり、20
0μmまで達していた。栄養菌糸は平滑であり、隔壁を
有し、無色で、枝分かれしていた。菌糸細胞は、円筒形
で、直径1〜9μmであった。かびNo.14861株
は、4〜35℃の温度範囲で生育可能であり、最適生育
条件は25〜31℃であった。これらの温度データは、
ポテト・デキストロース寒天(日水社製)上で測定され
た。かびNo.14861株は、通商産業省工業技術院
生命工学工業技術研究所にFERM BP−4688と
して寄託された(寄託日:1994年6月6日)。
【0012】
【表1】
【0013】これらの特徴は、25℃で14日間培養後
に観察した。色調の記載は、メチューン・ハンドブック
・オブ・カラー(Kornerup, A. and J. H. Wanscher,
「 Methuen Handbook of Colour」 3rd ed., 525p., Meth
uen, London, 1978 )をもとにした。
【0014】一般に、WF14861Aは、WF148
61A生産菌を同化し得る炭素源や窒素源を含む栄養培
地中で、好ましくは好気性の条件下で培養することによ
り製造され得る(例えば、振とう培養、液内培養等)。
栄養培地中の炭素源としては、好ましくはグルコース、
フルクトース、グリセリン、スターチのような炭水化物
である。またラクトース、アラビノース、キシロース、
デキストリン、糖密等の他の炭素源を含有してもよい。
窒素源としては、好ましくは酵母抽出物、ペプトン、グ
ルテン粉、綿実粉、大豆粉、コーンスティープリカー、
乾燥酵母等、およびアンモニウム塩(例えば、硝酸アン
モニウム、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム
等)、尿素、アミノ酸等のような無機および有機窒素化
合物である。炭素源および窒素源は、組み合わせて使用
することが有利であるが、それらが純粋な形態で使用さ
れる必要はない。なぜなら、微量の成長因子と大量の無
機質の栄養素を含む純度の低い材料も、また使用には適
しているからである。所望により、炭酸カルシウム、リ
ン酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、ヨウ化ナトリウ
ムまたはヨウ化カリウム、マグネシウム塩、塩化コバル
ト等のような無機塩が培地に添加され得る。必要によ
り、培養培地が非常に泡立つときは、流動パラフィン、
高級アルコール、植物油、鉱物油またはシリコーンのよ
うな消泡剤が添加され得る。
【0015】WF14861Aの大量生産の条件とし
て、液内好気性培養条件が好ましい。少量生産には、フ
ラスコまたは瓶中での振とうまたは表面培養が採用され
る。さらに大きいタンクで増殖を行うときには、WF1
4861Aの製造工程での増殖の遅れを避けるために、
増殖型の微生物を製造タンク中への接種に使用すること
が好ましい。よって、望ましくは、胞子または菌糸を有
する微生物を比較的少量の培養培地に接種し、その接種
した培地を培養することにより、微生物の増殖型の接種
物を製造し、そしてその培養した増殖型の接種物を無菌
的に大きなタンクに移す。増殖型の接種物を製造する培
地としては、WF14861Aの主培養に利用される培
地と実質的に同一かまたは若干異なった培地が使用され
得る。
【0016】培地混合物の攪拌および通気は、種々の方
法で行われ得る。攪拌は、プロペラまたは同様の機械的
な攪拌装置の使用、培養器の回転または振とう、種々の
ポンプ装置の使用、または滅菌エアーを培地に通すこと
により行われ得る。通気は滅菌エアーを培養混合物に通
すことにより行われ得る。培養は、通常約4℃〜約40
℃、好ましくは約20℃〜約30℃の温度で、50時間
〜100時間行われ、培養条件およびスケールに従って
変え得る。このように製造されたWF14861Aは、
抗生物質のような他の培養生産物の採取に一般に使用さ
れる慣用の方法により培養培地から採取され得る。一般
に、製造されたWF14861Aの大部分は培養菌糸ケ
ーク中に見出されるので、WF14861Aはブイヨン
を濾過または遠心分離することにより、得られる菌糸ケ
ークの抽出物から、通常の溶媒を用いた抽出、減圧下で
の濃縮、凍結乾燥、pH調整、通常の樹脂を用いた処理
(例えば、陰イオン又は陽イオン交換樹脂、非イオン性
吸着樹脂)、通常の吸着剤を用いた処理(例えば、活性
炭、珪酸、シリカゲル、セルロース、アルミナ)、結晶
化、再結晶等のような方法により分離される。
【0017】WF14861Aの生物学的特徴は、以下
の試験で詳細に説明される。 試験例1(WF14861Aによる生体外でのカテプシ
ンB活性の阻害) カテプシンBの活性は、けい光産生性ペプチドであるN-
カルボベンゾキシ-L-Arg-L-Arg-AMC(Z-Arg-Arg-AMC) か
らの7−アミノ−4−メチルクマリン(AMC)の放出
を360nmでの励起および460nmでの発光で検出
することにより測定した。全ての反応は、マイクロタイ
タープレートで行われた。50μlの阻害剤を、10μ
MのZ-Arg-Arg-AMC 、5mMのジチオトレイトールおよ
び4mMのEDTAを含有する100mMのリン酸ナト
リウム緩衝液(pH6.0)で系列希釈した。反応は、
75ng/mlのヒト肝臓カテプシンB(Athens Resea
rch & Technology, アメリカ合衆国)の添加により開始
させた。37℃で60分間、混合物をインキュベート
し、30mMの酢酸ナトリウムおよび70mMの酢酸を
含有する緩衝液(pH4.3)に溶解した100mMモ
ノクロロアセテートナトリウム溶液100μlの添加に
より反応を終了させた。チターテックフルオロスキャン
II分光光度計(Flow Laboratories, オーストラリア)
を用いてけい光を測定した。試験記録から試薬ブランク
(酵素を含まない)のけい光を差し引いた。種々の濃度
のフリーAMCで換算を行った。その結果を表2に示
す。
【0018】
【表2】
【0019】試験例2(WF14861Aによる生体外
でのカテプシンL活性の阻害) カテプシンLの活性は、ヒト肝臓カテプシンL(最終濃
度50ng/ml、 Calbiochem アメリカ合衆国)およ
び基質としてのZ-Arg-Arg-AMC を用いてカテプシンB活
性と同様にして測定した。その結果を表3に示す。
【0020】
【表3】
【0021】試験例3(急性毒性) WF14861Aを5匹のICR系マウス(雌、5週
齢)に腹腔内投与した(投与量:300mg/kg)。
1週間の観察で異常な症状は認められなかった。
【0022】本発明のWF14861Aは、強いカテプ
シンBおよび/またはL阻害作用を示すので、哺乳動物
(例えば、ヒト、マウス、ラット、猫、犬、ウサギ、ウ
シ、ブタ)用の医薬として使用され、慢性関節リウマ
チ、変形性関節炎、マラリア、歯肉炎、代謝性骨疾患
(骨粗しょう症)、筋ジストロフィー、空胞状末梢性筋
障害(vacuolar distal myopathy)およびアルツハイマー
病のような強いカテプシンBおよび/またはL活性に起
因する疾患を治療および予防し得る。
【0023】本発明のWF14861Aは、医薬上許容
できる担体との混合物として、哺乳動物(例えば、ヒ
ト、マウス、ラット、猫、犬、ウサギ、ウシ、ブタ)
に、カプセル、錠剤、顆粒剤、散剤、バッカル錠、舌下
錠および液剤のような医薬組成物の形態で経口または非
経口投与され得る。医薬上許容できる担体は、薬学的な
目的のために通常使用される種々の有機または無機の担
体物質を含有し得、具体的には賦形剤(例えば、ショ
糖、スターチ、マンニット、ソルビット、ラクトース、
グルコース、セルロース、タルク、リン酸カルシウム、
炭酸カルシウム等)、結合剤(例えば、セルロース、メ
チルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリ
プロピルピロリドン、ゼラチン、アラビアゴム、ポリエ
チレングリコール、ショ糖、スターチ等)、崩壊剤(例
えば、スターチ、カルボキシメチルセルロース、カルボ
キシメチルセルロースのカルシウム塩、ヒドロキシプロ
ピル−スターチ、グリコール−スターチのナトリウム
塩、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム、クエン酸
カルシウム等)、潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネ
シウム、エアロジル、タルク、ラウリル硫酸ナトリウム
等)、着香剤(例えば、クエン酸、メントール、グリシ
ン、オレンジパウダー等)、防腐剤(例えば、安息香酸
ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メチルパラベン、プ
ロピルパラベン等)、安定化剤(クエン酸、クエン酸ナ
トリウム、酢酸等)、沈殿防止剤(例えば、メチルセル
ロース、ポリビニルピロリドン、ステアリン酸アルミニ
ウム等)、分散剤(例えば、表面活性化剤等)、水性の
希釈剤(例えば、水)、油(例えば、ゴマ油)、基剤ワ
ックス(例えば、カカオバター、ポリエチレングリコー
ル、白色ワセリン等)が挙げられる。
【0024】WF14861Aの投与量は、疾患の種
類、患者の体重および/または年齢、さらには投与経路
の種類のような種々の要因に依存して変り得る。WF1
4861Aは、1日に約0.1〜100mg/kg、好
ましくは1〜50mg/kgを非経口的に投与され、特
に皮下、静脈、筋肉または直腸に投与される。経口剤と
して使用するには、WF14861Aは1日に約0.1
〜500mg/kg、好ましくは10〜300mg/k
gを投与することが望ましい。
【0025】
【実施例】以下、本発明を説明するために実施例を挙げ
実施例1 (1)かびNo.14861株の培養 4.0%のショ糖、2.0%の綿実粕、1.0%の乾燥
酵母、1.0%のポリペプトン、0.2%のKH2 PO
4 、0.2%のCaCO3 および0.1%のポリソルベ
ート80を含有する水性のシード培地(120ml)を
3つの500ml容のエルレンマイヤーフラスコにそれ
ぞれに注ぎ、120℃、30分間滅菌した。25℃で2
週間YpSs寒天上で生育させた、成熟斜面培養物から
1白金耳のNo.14861株をシードフラスコにそれ
ぞれ接種した。接種されたフラスコを回転振とう機(2
20rpm、振幅5.1cm)上で25℃、4日間振と
うした。得られたシード培養菌を20リットルの滅菌し
た培養培地に接種した。2.0%のコーンスターチ、
1.0%のグリセリン、1.0%のピーナッツパウダ
ー、0.5%のコーンスティープリカーおよび0.2%
のCaCO3 を含有する水性の培地を30リットル容の
ステンレススチールジャーファメンターに注いだ。12
0℃、30分間の滅菌前に、培地のpHをNaOH溶液
を用いて6.0に調整した。培養は20ml/分で通気
し、180rpmで攪拌しながら、25℃で6日間行っ
た。培養中のWF14861Aの生産は、逆相カラム
(YMC AM303 ODS 250×4.6mm
(内径)、ワイエムシィ社、日本)を使用したHPLC
によりモニターした。溶媒系は、0.05%トリフルオ
ロ酢酸(TFA)を含有する10%水性メタノールであ
り、検出波長は210nmであった。
【0026】(2)WF14861Aの分離および精製 培養終了後、培養液(25リットル)を濾過し、攪拌し
ながら25リットルのメタノールを菌糸ケークに加え
た。混合物を5時間放置し、濾過した。抽出物を減圧下
で2.5リットルの水溶液まで濃縮し、そしてn−ブタ
ノール(2.5リットル)で洗浄した。水層を陽イオン
交換樹脂、アンバーライトIRC−50 (Rhom & Haas
Limited, H+ タイプ 2.5リットル) に通し、そして
水(5リットル)および0.6NのNH4 OH (7.5
リットル)で洗浄した。所望する物質を1.0NのNH
4 OH (9リットル)を用いてカラムから溶出し、6N
のHClで中和した。次に、溶出物を、ポリマー性の吸
着剤Diaion SP−207 (三菱化成(株)
0.4リットル) に吸着させ、水(1リットル)、50
%水性メタノール(1.3リットル)、90%水性メタ
ノール(1.1リットル)および20%水性メタノール
(0.4リットル)で洗浄した。そして、所望する物質
を0.05%TFAを含有する20%水性メタノール
(4リットル)で溶出した。溶出物を濃縮乾固して44
5mgの残渣を得た。50mgの残渣を少量の水に溶解
し、そして逆相カラムYMC−ODS−AM(YMS充
填カラム、SH−343−5AM、ワイエムシィ社、日
本)に付した。カラムを0.1%TFAを含有する10
%水性メタノールで溶出した。クロマトグラフィーを1
0回繰り返し、そして活性溶出物を合わせて、減圧下で
濃縮し、凍結乾燥して、120mgの純粋粉末のWF1
4861Aを得た。
【0027】
【発明の効果】以上の説明で明らかなように、本発明の
WF14861Aは、強いカテプシンBおよび/または
L阻害活性を示す新規化合物であり、哺乳動物に対し
て、経口または非経口投与することにより、強いカテプ
シンBおよび/またはL活性に起因する疾患を治療およ
び予防し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】KBr法により測定されたWF14861Aの
赤外線吸収スペクトルを示すチャートである。
【図2】WF14861Aの 1H核磁気共鳴スペクトル
を示すチャートである。
【図3】WF14861Aの13C核磁気共鳴スペクトル
を示すチャートである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/14 A C12R 1:645) (C12P 17/02 C12R 1:645)

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 以下の性質を有する新規化合物WF14
    861A。 a)形状: 無色粉末 b)分子式: C20304 6 c)分子量:422.49 [FAB-MS : m/z 423 (M + H)] d)HR FAB−MS(高分解高速原子衝撃質量分析
    法):423.2249 (C20H30N4O6 + H = 423.2244) e)紫外線吸収スペクトル: λmax nm (ε) (CH3OH) :280nm (ε=1.330) f)赤外線吸収スペクトル: 図1に示す 3400, 3260, 3030, 2960, 1680, 1630, 1520, 1460, 13
    80, 1200,1130, 900, 840 cm -1 g)溶解性: 易溶: メタノール、水 難溶: アセトン 不溶: クロロホルム h)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン反応、塩化第二鉄反応、硫酸セリウ
    ム反応、ヨウ素蒸気との反応 陰性:エールリッヒ反応、モーリッシュ反応、ジアセチ
    ル反応 i) 1H核磁気共鳴スペクトル (400 MHz, CD3OD) : 図
    2に示す j)13C核磁気共鳴スペクトル (100 MHz, CD3OD) : 図
    3に示す k)比旋光度: [α]D 25 = +43.6゜(c=0.5, CH
    3OH) l)アミノ酸分析: チロシン
  2. 【請求項2】 栄養培地中でかびに属するWF1486
    1A生産菌を培養し、得られた培養物からWF1486
    1Aを採取することを特徴とする請求項1に記載の化合
    物WF14861Aの製造方法。
  3. 【請求項3】 有効成分として請求項1に記載のWF1
    4861Aと、医薬上許容される担体とを含有する医薬
    組成物。
  4. 【請求項4】 カテプシンBおよび/またはL活性亢進
    に起因する病気を治療および/または予防するための薬
    剤である請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 【請求項5】 請求項1に記載のWF14861Aまた
    はその塩を含有するカテプシンBおよび/またはL阻害
    剤。
  6. 【請求項6】 かびNo.14861株の生物学的に純
    粋な培養物。
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