JPH0834701A - 生物組織保存方法 - Google Patents

生物組織保存方法

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JPH0834701A
JPH0834701A JP32365194A JP32365194A JPH0834701A JP H0834701 A JPH0834701 A JP H0834701A JP 32365194 A JP32365194 A JP 32365194A JP 32365194 A JP32365194 A JP 32365194A JP H0834701 A JPH0834701 A JP H0834701A
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JP
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temperature
organ
sugar
biological tissue
preserving
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JP32365194A
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English (en)
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Akiyo Shigematsu
昭世 重松
Satoshi Suzuki
聡 鈴木
Takayuki Kaburagi
隆幸 鏑木
Toru Sueyoshi
徹 末吉
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Seitai Kagaku Kenkyusho KK
Original Assignee
Seitai Kagaku Kenkyusho KK
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 生物の器官を構成する組織を、その特性や機
能が細胞レベルで維持されるように保存する方法の提
供。 【構成】 器官内の血液を、溶血を生じない第一糖質液
で置換し、さらに有機溶媒を含む第二糖質液で置換する
ことにより、組織中での氷や溶質の結晶の発生を防止し
て、液体窒素温度まで冷却し、組織を保存する。組織試
料を金属針集合体に刺し通すことにより、冷却が均一
に、解凍が均一かつ速やかに行なわれる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は生物組織保存方法、特に
組織を構成する細胞の特性および機能を維持することの
できる生物組織の低温保存方法および保存再生方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】バクテリア等の微生物や、卵子、精子、
培養細胞等の細胞を、活性が50%以上維持されるよう
に保存するため、細胞を毎分1℃前後の速さで徐々に冷
却し、−200℃前後で保存し、保存終了時には急速に
融解(解凍)する方法が知られている。この際細胞の凍
結による破壊を防ぐために、細胞を10%グリセリンま
たは5〜10%ジメチルスルホキシド水溶液中に置く。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】微生物、卵子、精子等
の個別の細胞は上記の方法により比較的長期間保存する
ことができる。しかし動物の器官、例えば肝臓、腎臓等
の器官にこのような液を注入すると、保存された組織の
細胞の特性や機能の損失が著しかった。
【0004】本発明の目的は、生物の器官を構成する組
織を、その特性や機能が細胞レベルで維持されるように
保存する方法を提供することである。また本発明の目的
は、生物の器官を構成する組織を、その特性や機能が細
胞レベルで維持されるように保存した後、生物活性を回
復させる方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の生物組織保存方
法は、この目的を達成するために、動物の所定の器官に
通ずる血管に実質的に溶血を生じない第一の糖質液を注
入して、器官中の血液を第一の糖質液で置換し、水溶液
が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結晶を
生じない糖質と、水との混合液が液体窒素温度において
相分離せずかつ実質的に結晶を生じない有機溶媒とを含
む第二の糖質液を血管に注入して、血管内にある第一の
糖質液を第二の糖質液で置換し、器官の全部または所定
の部分を切除し、平行に固定された多数の金属針から成
る針集合体にこの切除された器官の試料を刺し通し、所
定の速度で徐々に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度
を低下させて、針集合体に刺し通した試料を液体窒素温
度で保存し、保存を終了する際には針集合体の少なくと
も一部の温度を急速に20℃以上にして、試料の温度を
第二の糖質液の氷点以上まで速やかに上昇させ、試料を
針集合体から引き抜くことから成る。この発明は動物の
臓器等の器官のみならず、筋肉等の結合組織にも適用で
きる。
【0006】血液の第一および第二の糖質液による置換
(以下、潅流と言う)後に組織試料を切除する代わり
に、潅流前あるいは潅流の間に動物から器官の全部又は
所定の部分を切除してもよい。所定の部分とは、例えば
肝臓における肝葉の一つ又は二つである。潅流又は切除
を行なうには、動物の手術を行なう必要がある。切除後
潅流を行なう場合、潅流後にさらに組織の一部を試料と
して切除してもよい。
【0007】手術を施す前に動物の、特に対象となる器
官付近の、末梢神経を遮断しておくことが組織機能の保
持のために好ましい。対象器官付近の末梢神経の遮断
は、モノアミンオキシダーゼ(以下、MAOと略記)阻
害作用を有する物質を血管内または腹腔内に注入するこ
とにより達成できる。本発明に適用できるMAO阻害物
質には、例えばN-アミノアルキルフェノチアジン系化合
物、N-アミノアルキルジベンゾアザシクロヘプタジエン
系化合物、イソニコチン酸ヒドラジド系化合物、プロパ
ルギルアミン誘導体がある。例えば、クロルプロマジ
ン、プロメタジン、イミプラミン、イプロニアジド、パ
ルジリン等である。潅流液中にもMAO阻害物質を添加
してもよい。
【0008】潅流は、通常、器官に通ずる血管に留置針
(中空)を刺し込んで行なう。流量は、器官の種類、血
管の種類、太さに応じて選ばれる。第一および第二の糖
質液による置換は、それぞれ血液及び第一の糖質液が実
質的に残らないように、十分行なう。
【0009】第二の糖質液に含まれる糖質は、例えばマ
ンニット(mannitol)やイヌリンのように、液体窒素温度
において相分離せずかつ実質的に結晶を生じないような
糖質でなければならない。実質的に結晶を生じないと
は、保存後の組織の構造および生物活性に損傷を与える
程度の結晶を生じないことを意味する。この糖質は、細
胞内に浸透する必要はなく、むしろ細胞内に浸透しにく
いものが好ましい。
【0010】第一の糖質液は、組織の生物活性の維持に
役立つような糖質、例えばグルコースを含むことが好ま
しい。グルコースの濃度は、組織中のグルコース濃度と
等しい、又はできるだけ近い濃度とすることが好まし
い。第一の糖質液は、組織中への血球成分の残留の原因
となる溶血を起こさない組成とすることが必要である。
実質的に溶血を生じないとは、溶血による組織の構造お
よび生物活性の損傷がないことを意味する。
【0011】第一及び第二の糖質液は実質的に組織に対
し等張(isotonic)であることが好ましいが、血液やリン
パ液の1/2ないし2倍の範囲の浸透圧であればよい。
第一および第二の糖質液はそれぞれ、糖のほか塩類、
酸、塩基、緩衝剤、界面活性剤、増粘剤等を含んでもよ
い。潅流に用いる第一及び第二の糖質液の温度は、組織
の変化を防ぐため、液の氷点以上のなるべく低い温度
(通常、−10℃ないし+5℃)に保つことが好まし
い。
【0012】第二の糖質液に用いる有機溶媒は、水との
混合液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に
結晶を生じないものでなければならない。実質的に結晶
を生じないとは、保存後の組織の構造および生物活性に
損傷を与える程度の結晶を生じないことを意味する。こ
のような性質を具える有機溶媒は、例えば、グリセリ
ン、ジメチルスルホキシドである。第二の糖質液中の有
機溶媒の濃度は5〜10%が適当であるが、これより若
干低く(例えば3%)あるいは若干高く(例えば15
%)てもよい。
【0013】針集合体に用いる金属針および金属台座
は、少なくとも表面が、組織、糖液に影響を与えず、ま
たそれらによって錆や腐蝕を生じない金属から成るもの
が好ましい。例えば、ステンレス鋼、金、白金、金めっ
き、クロムめっき(鉄、黄銅など)等を用いる。
【0014】金属針の太さは、組織試料を刺し通すのに
十分な機械的強度を与える太さとする必要がある。金属
針が太いほど、また間隔がせまいほど、熱伝導が速やか
で、低温での保存を終了する際に組織試料の温度を速く
上昇させることができるが、組織試料全体の機械的損傷
は大きくなる。金属針の太さは0.2 ないし1.6 mm、間
隔(中心間)は0.5 ないし4mmが適当である。
【0015】金属針に刺し通した組織試料の冷却は、少
なくとも−80℃までを徐々に行なうことが望ましく、
例えば温度低下を−80℃まで平均毎分1.3℃以内とす
るのが望ましい。このような温度低下は、例えば試料を
適当な大きさの保冷箱に収めて、−80℃の冷凍庫中に
置けば実現できる。プログラム制御された冷凍庫を用い
てもよい。
【0016】保存を終了する際には、針集合体の少なく
とも一部の温度を急速に(例えば2分以内で)20℃以上
にすることにより、試料の温度を第二の糖質液の融点以
上の温度(通常−5℃ないし+5℃、例えば4℃)まで
急速に上昇させ、解凍する。具体的には例えば、金属台
座の周りに適当量の20℃ないし40℃の微温水(水以外の
液体でもよい)を流す。あるいは金属針集合体に刺し通
された試料の回りに適当な温度の潅流液(糖質液)を流
す。このような方法で、組織試料の温度を、好ましくは
4分以内に、第二の糖質液の氷点以上に上昇させ、解凍
する。
【0017】試料が融解した後、適当な手段で、例えば
金属針の基部に刺し通した布や合成紙を引き抜くことに
より、組織試料を針集合体から引き抜く。引き抜いた組
織試料は適当な温度、例えば4℃の生理食塩水、糖質
液、組織培養液、その他で潅流し、少なくとも必要とす
る生物活性を回復させて、それ以後の用に供される。
【0018】生物活性を回復させるためには、適当な組
成の液(例えば、第一の糖質液と同じ液)で潅流しなが
ら、組織の解凍に必要な温度から約25℃まで最小限度
以上の時間をかけて温度を上昇させ、さらに37℃付近
まで上昇させる。最小限度の時間は5分であり、10分
以上かけて25℃まで温度を上げることが好ましい。温
度25℃から37℃付近への上昇には特に時間の制限は
ない。この段階で用いる潅流液には、dibutyryl cyclic
AMPを含んでもよく、低酸素濃度下での細胞膜損傷の
防止に有用である。潅流液にはまたhydrocortizoneを含
んでもよい。
【0019】本発明は、特に哺乳動物の、肝臓、腎臓、
すい臓、脾臓、精巣、卵巣、副腎、脳、甲状腺等の低温
保存に有用である。肝臓の低温保存に特に効果的であ
る。
【0020】
【作用】動物の器官に通ずる血管に第一の糖質液を注入
して、血液を第一の糖質液で置換することにより、器官
中の血液は排除される。さらに第二の糖質液を血管に注
入して、第一の糖質液を第二の糖質液で置換することに
より、第一の糖質液は排除され、血管内は第二の糖質液
で満たされる。このとき、洞様血管、細胞間隙も第二の
糖質液で満たされる。
【0021】切除(潅流前又は潅流中に切除してもよ
い)された組織試料を、金属台座に平行に固定された多
数の金属針から成る針集合体に刺し通し、徐々に冷却す
ると、刺し通された金属針を介する熱伝導により、組織
試料全体の温度は比較的均一に保たれる。液体窒素温度
までさらに温度を低下させ、この温度に保つことによ
り、針集合体に刺し通された組織試料は液体窒素温度で
保存される。
【0022】血管から組織に導入された第二の糖質液
は、水溶液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質
的に結晶を生じない糖質を含むので、液体窒素温度でも
糖質自体及び氷の結晶が、少なくとも組織の細胞の外
(血管内、洞様血管、細胞間隙を含む)には生じない。
また第二の糖質液は、水とよく混和し、水との混合液が
液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結晶を生
じない有機溶媒を含む。この有機溶媒は細胞内にも浸透
する。細胞内外ともにこの有機溶媒が存在するために、
液体窒素温度において組織中に氷も溶媒(あるいは共融
体)結晶も生じない。それ故、氷および溶媒結晶の生成
による細胞の破壊が防がれる。
【0023】保存を終了する際に、針集合体の少なくと
も一部の温度を急速に20℃以上にすると、組織試料の
温度が第二の糖質液の融点以上まで上昇し、金属針と接
する部分が融解すると、試料は針集合体から引き抜くこ
とができる。さらに組織の温度を25℃以上に上昇させ
ると、組織はその生物活性を回復する。刺し通された金
属針集合体を介した熱伝導により、金属針集合体を用い
ない場合に比べて、組織試料全体の温度が速やかにかつ
比較的均一に上昇する。試料全体のこの急速かつ均一な
温度上昇のために、組織細胞の特性および機能は損なわ
れることがなく、その後の環境(温度等)の調整により
回復することができる。
【0024】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明のさらに具体的
な説明とする。 [実施例1] (1) 金属針集合体の製作 外径0.3mm長さ15mmのステンレス鋼注射針(注
射筒への連結部を省いたもの)を、低融点合金の台座に
1mm間隔で縦10列、横12列直立(先端を上向き
に)させた。挿入した組織試料を取り出すため、太さ
0.6mmのガラス棒を台座に沿って針の間に格子状に
挿入した。
【0025】(2) 肝臓潅流 健康なラットに開腹手術を施し、肝門脈に留置針を挿入
した。肝潅流の常法に従い、留置針に連結したポリエチ
レン細管から、温度4℃とした下記組成の第一潅流液を
毎分4ミリリットルの流量で肝門脈に注入し、5分間潅流し
た。 D−マンニット 1g Krebs-Ringer緩衝液 20ミリリットル 次いで、温度4℃とした下記組成の第二潅流液を毎分4
ミリリットルの流量で肝門脈に注入し、5分間潅流した。 ジメチルスルホキシド 2g D−マンニット 1g Krebs-Ringer緩衝液 20ミリリットル
【0026】(3) 低温保存 潅流直後、肝臓を摘出し、金属針集合体に刺し通した。
これを発泡ポリスチレン保冷箱に収めた上で、−80℃
の冷凍庫中に収めた(毎分1℃以内でゆっくり冷却され
る)。3時間以上経過後、保冷箱に適量の液体窒素を注
いで、更に冷却した。液体窒素を補充しながら、肝臓試
料を3週間保存した。
【0027】(4) 組織の解凍 温度25℃の恒温水槽の深さ2ミリメートルの位置に網板を固
定した。金属針に通した肝臓試料をそのまま保冷箱から
取り出し、この網板の上にのせた。金属台座が周りに流
れる25℃の恒温水で加熱される。2分後に取り出し、
金属針の台座側に挿入されたガラス棒の格子を用いて、
肝臓試料を押し出して、針から取り外した。取り外した
肝臓に門脈から温度4℃の第一潅流液を毎分4ミリリットルの
流量で注入して、5分間潅流し、肝臓中の第二潅流液を
第一潅流液で置換した。
【0028】(5) 組織保存の確認 肝臓試料をホルマリン固定した後、厚さ5ミクロンの切片に
して染色した。顕微鏡観察の結果、肝臓の細胞がよく保
存されており、特にグリコーゲン顆粒が明瞭に認められ
た。
【0029】[実施例2] (1) 組織採取および潅流 健康なラットの腹腔にクロロブロマジン1%水溶液0.
1ml/体重100gを注射して腹部の末梢神経を遮断し、体
重100g当たり0.04mgのソムノペンチルを注射して麻酔し
た後、開腹手術を施し、ポリエチレン細管と連結された
留置針を肝門脈に挿入した。肝潅流の常法に従い、留置
針に連結したポリエチレン細管から、温度を−5℃とし
た下記組成の第一潅流液を毎分 0.9ミリリットルの流量で肝門
脈に注入し、4分間潅流した。潅流しつつ肝臓をラット
から定法により切除した。 D−グルコース 2 g BSA 4.5 g 酵素阻害剤Pefabloc(Merck) 1 mM相当 p-APMSF 0.1 mM相当 (p-amidinophenylmethanesulfonylfluoride hydrochlor
ide) Krebs-Henseleit 緩衝液 100 ミリリットル (pH 7.4) クロロブロマジン 1 g ヘパリン 0.5 ミリリットル
【0030】摘出した肝臓を直ちに、温度−5℃とした
下記組成の液(第二潅流液)中に浸漬するとともに、第
二潅流液を毎分 0.9ミリリットルの流量で肝門脈に注入し、4
分間潅流した。 ジメチルスルホキシド 10g D−マンニット 5g D−グルコース 2 g BSA 4.5g 酵素阻害剤Pefabloc(Merck) 1 mM相当 p-APMSF 0.1mM相当 Krebs-Henseleit 緩衝液 100 ミリリットル (pH 7.4)
【0031】(2) 低温保存 潅流直後、肝臓を金属針集合体(金めっき黄銅針、針の
直径 0.8mm、中心間隔3mm、針の高さ20mm、金属台座の
厚さ5mm)に刺し通した。予め金属針の基部には合成紙
を刺しておく。これを耐寒ポリエチレン袋に封入し、毎
分−1℃に設定したプログラム制御冷凍庫中で−80℃
まで冷却した。3時間以上経過後、保冷箱中で適量の液
体窒素を注いで更に冷却した。液体窒素を補充しなが
ら、肝臓試料を3週間保存した。
【0032】(3) 組織の解凍 液体窒素中から試料の容器を取り出し、−80℃の冷凍
庫中にしばらく置いた後、第一潅流液と同じ組成の解凍
液中で、液を循環させることにより組織重量50ク゛ラムの場
合に2分未満の短時間で試料全体の温度を−4℃まで上
昇させた。
【0033】解凍液中で試料を金属針集合体から抜き取
り、留置針から門脈へ温度−4℃の第一潅流液を毎分1
ミリリットルの流量で注入して、4分間潅流し、肝臓中の第二
潅流液を第一潅流液で置換した。
【0034】組織の一部を常法により固定、染色し、光
学顕微鏡観察したところ、切除直後(第一潅流液による
潅流のみ)の組織と比較して、組織の変化はほとんど見
られなかった。
【0035】[実施例3] (1) 潅流の準備 健康なラットの腹腔に体重100g当たり0.1mlのクロル
プロマジン1%水溶液を注射して腹部の末梢神経を遮断
し、1ml当たり1000IUのヘパリン液を、体重100g当た
り50マイクロリットル注射した後、常法によりハロセン麻酔し
て、開腹手術を行ない、ポリエチレン細管と連結された
留置針を肝門脈に挿入した(門脈カニュレーション)。
同様な方法で下大動脈にもカニュレーションを施し(下
大動脈カニュレーション)、下大動脈と下大静脈をまと
めて結紮した。大動脈をクレンメルで止めておき、胸郭
を開いて大動脈および大静脈を切断した。
【0036】(2) 潅流 下大静脈の結紮部を切断し、温度を−5℃とした下記組
成の第一潅流液を、下大動脈カニュレーションを通じて
毎分 1.5ミリリットルの流量で下大動脈に、門脈カニュレーシ
ョンを通じて毎分 1.0ミリリットルの流量で肝門脈に、それぞ
れ注入し、10分間潅流した。肝臓から血液が充分排除
されたことを確認した上で、肝臓をラットから摘出し
た。このとき門脈および下大動脈は、肝臓側に各カニュ
レーションを確保して切断される。 第一潅流液: D−グルコース 2 g BSA 3 g Krebs-Henseleit 緩衝液 100 ミリリットル (pH 7.4) クロルプロマジン 0.01g
【0037】摘出した肝臓を直ちに、温度−5℃とした
下記組成の液(第二潅流液)中に浸漬するとともに、こ
の第二潅流液を下大動脈カニュレーションを通じて毎分
1.5ミリリットルの流量で下大動脈に、門脈カニュレーション
を通じて毎分 1.0ミリリットルの流量で肝門脈に、それぞれ注
入し、10分間潅流した。 ジメチルスルホキシド 10 g D−マンニット 5 g BSA 3 g Krebs-Henseleit 緩衝液 100 ミリリットル (pH 7.4)
【0038】(2) 低温保存 潅流直後、肝臓を金属針集合体(金めっき黄銅針、針の
直径 0.8mm、中心間隔3mm、針の高さ20mm、金属台座の
厚さ5mm)に刺し通した。予め金属針の基部には合成紙
を刺しておく。これを耐寒ポリエチレン袋に封入し、毎
分−1℃に設定したプログラム制御冷凍庫中で−80℃
まで冷却した。3時間以上経過後、保冷箱中で適量の液
体窒素を注いで更に冷却した。液体窒素を補充しなが
ら、肝臓試料を3週間保存した。
【0039】(3) 組織の解凍 液体窒素中から試料の容器を取り出し、−80℃の冷凍
庫中にしばらく置いた後、組織試料を第一潅流液と同じ
組成の解凍液(温度約30℃)に浸し、液を循環させる
ことにより組織重量50ク゛ラムの場合に2分未満の短時間で
試料全体の温度を4℃まで上昇させた。
【0033】解凍液中で試料を金属針集合体から抜き取
り、下記組成の第三潅流液を、下大動脈カニュレーショ
ンを通じて毎分 1.5ミリリットルの流量で下大動脈に、門脈カ
ニュレーションを通じて毎分 1.0ミリリットルの流量で肝門脈
に、それぞれ注入し、10分間潅流し、肝臓中の第二潅
流液を第三潅流液で置換した。第三潅流液の温度は最初
4℃とし、潅流中に1分当たり約2.5℃の割合で温度
を25℃まで上昇させた。 第三潅流液: D−マンニット 1 g D−グルコース 1 g ラクトビオン酸 50 mM BSA 3 g アスコルビン酸 0.1g Krebs-Henseleit 緩衝液 100 ミリリットル (pH 7.4)
【0040】組織の一部を常法により固定、染色し、光
学顕微鏡観察したところ、切除直後(第一潅流液による
潅流のみ)の組織と比較して、組織の変化はほとんど見
られなかった。
【0041】実施例3において第三潅流液で潅流を終え
た肝臓を温度37℃、相対湿度 100%の箱の中に収め、18
5kBqの[2−14C] Diazepamを門脈カニュレーションか
ら注入し、その直後定量ポンプを用いて下記組成の代謝
実験用潅流液を1ml/minの流量で供給した。同時に動脈
カニュレーションを通じて同液を1.5ml/minの流量で供
給した。20分間潅流を続け、このとき肝臓より流出す
る潅流液をロウトに受け、2分毎に試験管に採取した。
【0042】採取した潅流液は3000回転で10分間
遠心分離し、その上清中の放射性代謝物を、薄層クロマ
トグラフィにより分離し、ラジオルミノグラフィにより
検出解析を行なった。その結果、流出液中には、親化合
物であるDiazepamのほかにその代謝物である4'-hydroxy
diazepam,Nordazepam, Temazepam, Oxazepam が検出さ
れた。これらは、凍結保存しない肝臓を用いて同じ実験
を行なった場合に認められる代謝物であり、本方法によ
り保存された肝臓組織が代謝活性を有することを示して
いる。
【0043】また、乳酸脱水素酵素(LDH)を定量し
たところ、いずれの流出液も約 100IU/リットルであり、2
0分間の潅流を通じて正常値を示した。これは、凍結、
解凍の過程を経ても肝臓組織が損傷を受けていないこと
を示す。
【0044】
【発明の効果】本発明によって保存された器官、筋肉等
の生物組織は、その細胞の特性及び機能がよく維持され
る。本発明の方法は特に肝臓及び腎臓の組織の保存に有
効である。

Claims (66)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 動物の器官に通ずる血管に潅流液を注入
    して、前記器官中の血液を前記潅流液で置換し、前記動
    物から切除された前記器官の少なくとも一部を冷却し、
    液体窒素温度まで温度を低下させて前記器官の組織を保
    存する生物組織保存方法において、 前記血管に第一の潅流液として実質的に溶血を生じない
    第一の糖質液を注入して、前記器官中の血管内の血液を
    この第一の糖質液で置換し、 ついで前記器官に通ずる血管に第二の潅流液として、水
    溶液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結
    晶を生じない糖質と、水との混合液が液体窒素温度にお
    いて相分離せずかつ実質的に結晶を生じない有機溶媒と
    を含む第二の糖質液を注入して、前記器官中の前記第一
    の糖質液を前記第二の糖質液で置換し、その後液体窒素
    温度まで冷却することを特徴とする、生物組織保存方
    法。
  2. 【請求項2】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマン
    ニットを含む、請求項1の生物組織保存方法。
  3. 【請求項3】 前記第二の糖質液が前記糖質としてイヌ
    リンを含む、請求項1の生物組織保存方法。
  4. 【請求項4】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド又
    はグリセリンである、請求項1、2または3の生物組織
    保存方法。
  5. 【請求項5】 前記第二の糖質液の温度が0℃以下であ
    る、請求項1ないし4いずれかの生物組織保存方法。
  6. 【請求項6】 前記第一の糖質液による前記血液置換よ
    り後に前記器官の全部または所定の部分を前記動物から
    切除する、請求項1ないし5いずれかの生物組織保存方
    法。
  7. 【請求項7】 前記第一の糖質液がグルコースを含む、
    請求項1ないし6いずれかの生物組織保存方法。
  8. 【請求項8】 前記第一の糖質液がモノアミンオキシダ
    ーゼ阻害作用を有する物質を含む、請求項1ないし7い
    ずれかの生物組織保存方法。
  9. 【請求項9】 前記動物が哺乳動物である、請求項1な
    いし8いずれかの生物組織保存方法。
  10. 【請求項10】 動物の器官に通ずる血管に潅流液を注
    入して、前記器官中の血液を前記潅流液で置換し、前記
    動物から切除された前記器官の少なくとも一部を冷却
    し、液体窒素温度まで温度を低下させて前記器官の組織
    を保存する生物組織保存方法において、 前記器官を含む領域の末梢神経を遮断し、 前記血管に第一の潅流液として実質的に溶血を生じない
    第一の等張糖質液を注入して、前記器官中の血管内の血
    液をこの第一の糖質液で置換し、 ついで前記器官に通ずる血管に第二の潅流液として、水
    溶液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結
    晶を生じない糖質と、水との混合液が液体窒素温度にお
    いて相分離せずかつ実質的に結晶を生じない有機溶媒と
    を含む第二の糖質液を注入して、前記器官中の前記第一
    の糖質液を前記第二の糖質液で置換し、その後液体窒素
    温度まで冷却することを特徴とする、生物組織保存方
    法。
  11. 【請求項11】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項10の生物組織保存方法。
  12. 【請求項12】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    又はグリセリンである、請求項10または11の生物組
    織保存方法。
  13. 【請求項13】 前記第二の糖質液の温度が0℃以下で
    ある、請求項10ないし12いずれかの生物組織保存方
    法。
  14. 【請求項14】 前記第一の糖質液による前記血液置換
    より後に前記器官の全部または所定の部分を前記動物か
    ら切除する、請求項10ないし13いずれかの生物組織
    保存方法。
  15. 【請求項15】 前記第一の糖質液がグルコースを含
    む、請求項10ないし14いずれかの生物組織保存方
    法。
  16. 【請求項16】 前記動物の血管内または腹腔内に末梢
    神経遮断剤を導入することにより末梢神経を遮断する、
    請求項10ないし15いずれかの生物組織保存方法。
  17. 【請求項17】 前記末梢神経遮断剤がモノアミンオキ
    シダーゼ阻害作用を有する物質である、請求項10ない
    し16いずれかの生物組織保存方法。
  18. 【請求項18】 前記動物が哺乳動物である、請求項1
    0ないし17いずれかの生物組織保存方法。
  19. 【請求項19】 動物から切除された器官の少なくとも
    一部を冷却し、液体窒素温度まで温度を低下させて保存
    する生物組織保存方法において、 前記切除された器官の少なくとも一部を、組織試料とし
    て、金属台座に平行に固定された多数の金属針から成る
    針集合体に刺し通し、 この針集合体に刺し通した前記試料を所定の速度で徐々
    に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、液
    体窒素温度で保存することを特徴とする、生物組織保存
    方法。
  20. 【請求項20】 前記所定の速度は−80℃まで平均毎分
    1.3℃以内である、請求項19の生物組織保存方法。
  21. 【請求項21】 動物から切除された器官の少なくとも
    一部を冷却し、液体窒素温度まで温度を低下させて保存
    する生物組織保存方法において、 前記切除された器官の少なくとも一部を、組織試料とし
    て、金属台座に平行に固定された多数の金属針から成る
    針集合体に刺し通し、 この針集合体に刺し通した前記試料を所定の速度で徐々
    に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させて、
    液体窒素温度で保存し、 保存を終了する際に、前記組織試料の生物活性を復活さ
    せるため、前記針集合体の台座の温度を4分を超えない
    時間内に20℃以上とすることを特徴とする、生物組織
    保存方法。
  22. 【請求項22】 保存を終了する際に前記台座の温度を
    3分以内に20℃以上とする、請求項21の生物組織保
    存方法。
  23. 【請求項23】 動物の器官に通ずる血管に潅流液を注
    入して、前記器官中の血液を前記潅流液で置換し、前記
    動物から切除された前記器官の少なくとも一部を冷却
    し、液体窒素温度まで温度を低下させて保存する生物組
    織保存方法において、 前記血管に第一の潅流液として実質的に溶血を生じない
    第一の糖質液を注入して、前記器官中の血管内の血液を
    この第一の糖質液で置換し、 ついで前記器官に通ずる血管に第二の潅流液として、水
    溶液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結
    晶を生じない糖質と、水との混合液が液体窒素温度にお
    いて相分離せずかつ実質的に結晶を生じない有機溶媒と
    を含む第二の糖質液を注入して、前記器官中の前記第一
    の糖質液を前記第二の糖質液で置換し、 前記動物から切除された前記器官の少なくとも一部を組
    織試料として、金属台座に平行に固定された多数の金属
    針から成る針集合体に刺し通し、 この針集合体に刺し通した組織試料を、所定の速度で徐
    々に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、
    液体窒素温度で保存することを特徴とする、生物組織保
    存方法。
  24. 【請求項24】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    またはグリセリンである、請求項23の生物組織保存方
    法。
  25. 【請求項25】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項23または24の生物組織保存
    方法。
  26. 【請求項26】 前記第二の糖質液が前記糖質としてイ
    ヌリンを含む、請求項23または24の生物組織保存方
    法。
  27. 【請求項27】 前記第一の糖質液が主たる糖質として
    マンニットを含む請求項23ないし26いずれかの生物
    組織保存方法。
  28. 【請求項28】 前記第一の糖質液がグルコースを含む
    請求項23ないし26いずれかの生物組織保存方法。
  29. 【請求項29】 前記所定の速度が−80℃まで平均毎
    分1.3℃以内である請求項23ないし28いずれかの
    生物組織保存方法。
  30. 【請求項30】 前記第一の糖質液による前記血液置換
    より後に前記器官の全部または所定の部分を前記動物か
    ら切除する、請求項23ないし29いずれかの生物組織
    保存方法。
  31. 【請求項31】 動物の器官に通ずる血管に実質的に溶
    血を生じない第一の糖質液を注入して、前記器官中の血
    液を前記第一の糖質液で置換し、 この置換の間または置換の後に前記器官の全部または所
    定の部分を切除し、 次いで前記血管に、水溶液が液体窒素温度において相分
    離せずかつ実質的に結晶を生じない糖質と、水との混合
    液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結晶
    を生じない有機溶媒とを含む第二の糖質液を注入して、
    前記器官中の前記第一の糖質液を前記第二の糖質液で置
    換し、 この第二の糖質液で置換された前記器官の少なくとも一
    部を、組織試料として、金属台座に平行に固定された多
    数の金属針から成る針集合体に刺し通し、 前記針集合
    体に刺し通した前記試料を、所定の速度で徐々に冷却
    し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、液体窒素
    温度で保存し、 保存を終了する際には前記針集合体の少なくとも一部の
    温度を4分を超えない時間内に20℃以上として、前記
    試料の温度を前記第二の糖質液の氷点以上に上昇させ、 前記試料を前記針集合体から引き抜くことから成る、生
    物組織保存方法。
  32. 【請求項32】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    またはグリセリンである、請求項31の生物組織保存方
    法。
  33. 【請求項33】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項31または32の生物組織保存
    方法。
  34. 【請求項34】 前記第二の糖質液が前記糖質としてイ
    ヌリンを含む、請求項31または32の生物組織保存方
    法。
  35. 【請求項35】 前記冷却の所定の速度が−80℃まで
    平均毎分1.3℃以内である、請求項31ないし34い
    ずれかの生物組織保存方法。
  36. 【請求項36】 前記第一の糖質液が主たる糖質として
    マンニットを含む請求項31ないし35いずれかの生物
    組織保存方法。
  37. 【請求項37】 前記第一の糖質液がグルコースを含む
    請求項31ないし35いずれかの生物組織保存方法。
  38. 【請求項38】 前記4分を超えない時間が3分以内で
    ある、請求項31ないし37いずれかの生物組織保存方
    法。
  39. 【請求項39】 保存を終了する際に前記針集合体の台
    座の温度を3分以内に20℃以上とする、請求項38の
    生物組織保存方法。
  40. 【請求項40】 動物の器官に通ずる血管に実質的に溶
    血を生じない第一の糖質液を注入して、前記器官中の血
    液を前記第一の糖質液で置換し、 次いで前記血管に、水溶液が液体窒素温度において相分
    離せずかつ実質的に結晶を生じない糖質と、水との混合
    液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結晶
    を生じない有機溶媒とを含む第二の糖質液を注入して、
    前記器官中の前記第一の糖質液を前記第二の糖質液で置
    換し、 この第二の糖質液で置換された前記器官の全部または所
    定の部分を前記動物から切除し、 これを組織試料として、金属台座に平行に固定された多
    数の金属針から成る針集合体に刺し通し、 前記針集合体に刺し通した前記試料を、所定の速度で徐
    々に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、
    液体窒素温度で保存し、 保存を終了する際には前記針集合体の少なくとも一部の
    温度を所定の時間内に20℃以上として、前記試料の温
    度を前記第二の糖質液の氷点以上に上昇させ、 前記試料を前記針集合体から引き抜くことから成る、生
    物組織保存方法。
  41. 【請求項41】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    またはグリセリンである、請求項40の生物組織保存方
    法。
  42. 【請求項42】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項40または41の生物組織保存
    方法。
  43. 【請求項43】 前記第二の糖質液の温度を0℃以下と
    する、請求項40または41の生物組織保存方法。
  44. 【請求項44】 前記第一の糖質液が液体窒素温度にお
    いて実質的に結晶を生じないものである、請求項40な
    いし43いずれかの生物組織保存方法。
  45. 【請求項45】 前記第一の糖質液が主たる糖質として
    マンニットを含む請求項44の生物組織保存方法。
  46. 【請求項46】 前記第一の糖質液がグルコースを含む
    請求項44の生物組織保存方法。
  47. 【請求項47】 前記冷却の所定の速度は−80℃まで
    平均毎分1.3℃以内である、請求項40ないし46の
    生物組織保存方法。
  48. 【請求項48】 保存を終了する際に前記針集合体の台
    座の温度を3分以内に20℃以上とする、請求項40な
    いし47いずれかの生物組織保存方法。
  49. 【請求項49】 動物の器官に通ずる血管に、実質的に
    溶血を生じない第一の糖質液を注入して、前記器官中の
    血液を前記第一の糖質液で置換し、 次いで前記血管に、水溶液が液体窒素温度において相分
    離せずかつ実質的に結晶を生じない糖質と、水との混合
    液が液体窒素温度において相分離せずかつ実質的に結晶
    を生じない有機溶媒とを含む第二の糖質液を注入して、
    前記器官中の前記第一の糖質液を前記第二の糖質液で置
    換し、 この第二の糖質液で置換された前記器官の全部又は所定
    の部分を、組織試料として、金属台座に平行に固定され
    た多数の金属針から成る針集合体に刺し通し、 前記針集合体に刺し通した前記試料を、所定の速度で徐
    々に冷却し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、
    液体窒素温度で保存し、 保存を終了する際には所定の時間内に前記試料の温度を
    前記第二の糖質液の氷点以上に上昇させ、 前記試料を前記針集合体から引き抜くことから成る、生
    物組織保存方法。
  50. 【請求項50】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    またはグリセリンである、請求項49の生物組織保存方
    法。
  51. 【請求項51】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項49または50の生物組織保存
    方法。
  52. 【請求項52】 前記冷却の所定の速度は−80℃まで
    平均毎分1.3℃以内である、請求項49ないし51い
    ずれかの生物組織保存方法。
  53. 【請求項53】 前記第一の糖質液がグルコースを含む
    請求項49ないし52いずれかの生物組織保存方法。
  54. 【請求項54】 保存を終了する際に4分以内に前記試
    料の温度を−5℃以上5℃以下に上昇させる、請求項4
    9ないし53いずれかの生物組織保存方法。
  55. 【請求項55】 保存を終了する際に前記試料の温度
    を、4分以内に−5℃以上5℃以下に上昇させ、平均毎
    分4℃以下の割合で25℃以上に上昇させる、請求項5
    4の生物組織保存方法。
  56. 【請求項56】 動物の器官に通ずる血管に潅流液を注
    入して、前記器官中の血液を前記潅流液で置換し、前記
    動物から切除された前記器官の少なくとも一部を冷却
    し、液体窒素温度まで温度を低下させて前記器官の組織
    の少なくとも一部を保存する生物組織保存方法におい
    て、 前記潅流液を注入する前に、予め前記動物の前記器官を
    含む領域の末梢神経を遮断し、 前記器官に通ずる血管に実質的に溶血を生じない第一の
    糖質液を注入して、前記器官中の血液を前記第一の糖質
    液で置換し、この置換中またはその後に前記動物から前
    記器官を切除し、 次いで前記器官に通ずる血管に、水溶液が液体窒素温度
    において相分離せずかつ実質的に結晶を生じない糖質
    と、水との混合液が液体窒素温度において相分離せずか
    つ実質的に結晶を生じない有機溶媒とを含む第二の糖質
    液を注入して、前記器官中の前記第一の糖質液を前記第
    二の糖質液で置換し、 この第二の糖質液で置換された前記器官の少なくとも一
    部を、組織試料として、金属台座に平行に固定された多
    数の金属針から成る針集合体に刺し通し、 前記針集合
    体に刺し通した前記試料を、所定の速度で徐々に冷却
    し、さらに液体窒素温度まで温度を低下させ、液体窒素
    温度で保存し、 保存を終了する際には4分を超えない時間内に前記試料
    の温度を前記第二の糖質液の氷点以上に上昇させ、 前記試料を前記針集合体から引き抜くことから成る、生
    物組織保存方法。
  57. 【請求項57】 前記有機溶媒がジメチルスルホキシド
    またはグリセリンである、請求項56の生物組織保存方
    法。
  58. 【請求項58】 前記第二の糖質液が前記糖質としてマ
    ンニットを含む、請求項56または57の生物組織保存
    方法。
  59. 【請求項59】 前記第一の糖質液がグルコースを含む
    請求項56ないし58いずれかの生物組織保存方法。
  60. 【請求項60】 前記冷却の所定の速度は−80℃まで
    平均毎分1.3℃以内である、請求項56ないし59い
    ずれかの生物組織保存方法。
  61. 【請求項61】 保存を終了する際には4分以内に前記
    試料の温度を−5℃以上5℃以下に上昇させる、請求項
    56ないし60いずれかの生物組織保存方法。
  62. 【請求項62】 保存を終了する際に前記試料の温度
    を、4分以内に−5℃以上5℃以下に上昇させ、平均毎
    分4℃以下の割合で25℃以上に上昇させる、請求項6
    1の生物組織保存方法。
  63. 【請求項63】 動物から切除された器官の少なくとも
    一部を冷却し、液体窒素温度まで温度を低下させて保存
    した後、前記組織試料を解凍して生物活性を回復させる
    生物組織保存再生方法において、 前記切除された器官の全部または所定の部分を、金属台
    座に平行に固定された複数の金属針から成る針集合体に
    刺し通して冷却し、液体窒素温度で組織試料として保存
    し、 保存を終了する際に、前記組織試料の生物活性を復活さ
    せるため、前記金属針の少なくとも一端を加温して、4
    分以内に前記組織試料の温度を−5℃以上5℃以下とし
    て前記組織試料を解凍し、 前記針集合体から前記組織試料を抜き取り、 解凍後前記組織試料の温度を平均毎分4℃以下の割合で
    25℃以上に上昇させて、前記組織試料の生物活性を回
    復させることを特徴とする、生物組織保存再生方法。
  64. 【請求項64】 動物の器官に通ずる血管に潅流液を注
    入して、前記器官中の血液を前記潅流液で置換し、前記
    動物から切除された前記器官の少なくとも一部を冷却
    し、液体窒素温度まで温度を低下させて前記器官の組織
    を保存した後、前記組織試料を解凍して生物活性を回復
    させる生物組織保存再生方法において、 前記切除された器官の全部または所定の部分を、金属台
    座に平行に固定された複数の金属針から成る針集合体に
    刺し通して冷却し、液体窒素温度で組織試料として保存
    し、 保存を終了する際に、前記金属針の少なくとも一端を加
    温して、4分以内に前記組織試料の温度を−5℃以上5
    ℃以下として前記組織試料を解凍し、 前記針集合体から前記組織試料を抜き取り、 解凍後少なくとも5分経過した後に前記組織試料の温度
    を25℃以上に上昇させて、前記組織試料の生物活性を
    回復させることを特徴とする、生物組織保存再生方法。
  65. 【請求項65】 解凍後温度を25℃まで上昇させる間
    に、前記組織試料に通ずる血管に糖質および血清蛋白を
    含む緩衝液を潅流させることにより、前記組織試料の生
    物活性を回復させる、請求項64の生物組織保存再生方
    法。
  66. 【請求項66】 前記緩衝液がジブチリルサイクリック
    AMPを含む、請求項65の生物組織保存再生方法。
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