JPH08339922A - ガス絶縁変圧器 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】タンク間を接続する接続タンク内部に３相分の
リード線を通す作業効率を向上させ信頼性の高いガス絶
縁変圧器を提供すること。 【構成】電圧調整用タップ巻線をもつ変圧器巻線を単相
ごとにタンクに分割して収納し、切換開閉器を前記タン
クとは分離して他のタンクに収納したガス絶縁変圧器に
おいて、タップ巻線のタップ選択器と切換開閉器を接続
する接続タンク内に、当該タップ選択器と切換開閉器を
接続するリード線を収納した接続筒を取り付けているの
で、リード線を接続タンクに固定する必要がなくなる。
このように、リード線を接続タンクに固定する必要がな
いと、接続タンクをリード線を通す際必要としていた絶
縁物支えによる固定作業が無くなり、短時間で信頼性の
高いガス絶縁変圧器を得ることができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、変圧器巻線を相ごとに
分割してタンク内に収納し、かつ電圧調整用タップ巻線
をもつガス絶縁変圧器に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、防災上の理由から油絶縁変圧器に
代わる変圧器として、不燃性絶縁ガスを絶縁媒体とした
ガス絶縁変圧器が注目されている。ガス絶縁変圧器の巻
線には種々の構成のものが提案され実施されているが、
その一つに絶縁ガスで冷却と絶縁の両方を行なわせるド
ライタイプのものがある。このドライタイプのガス絶縁
変圧器は、液体の冷却媒体と組み合わせて構成するセミ
プールタイプやスプレータイプ並びに冷却と絶縁を別々
に行なうセパレートタイプのガス絶縁変圧器に比べ、高
価な液体の冷却媒体を使用しないため構成が簡単にな
り、安価で信頼性の高い変圧器が作製できるので高電圧
大容量の変圧器にも適用できる、という利点がある。

【０００３】このドライタイプのガス冷却式ガス絶縁変
圧器は、従来の油絶縁変圧器とほぼ同じ構成であり、銅
製のワイヤに高分子フィルムを重ねて巻いた素線を用
い、冷却および絶縁を絶縁油から絶縁ガスに代えたもの
である。

【０００４】しかし、絶縁ガスは絶縁油に比べ熱容量が
小さいため、同じ電圧電流容量の変圧器の場合には、絶
縁油に比べ単位時間当たり大量のガスを循環させなけれ
ば巻線で発生する損失による熱を冷却できない。そのた
め、油絶縁変圧器に比べ大型化し重量が増加し、その結
果、３相の巻線を１つのタンクに収納すると非常に重量
が重くなってしまうため、図１４に示すように巻線１を
各相ごとにそれぞれタンク２に収納する特別３相の電力
用変圧器構成がとられる。

【０００５】通常、この種特別３相の電力用変圧器は、
負荷の変動で電圧が変化するのを防止するために、図１
５に示すようにタップ巻線８を高圧巻線７の低圧側に接
続して電圧を調整している。切換開閉器６は長寿命化の
ために真空遮断器を用いている場合、巻線７を収納する
タンク２が高圧力のガスを用いているため、このタンク
２とは別の低圧力のタンク１０に収納する必要がある。
電圧の調整をするタップ巻線８は接続タンク領域９を介
してタップ選択器５と切換開閉器６を設けているが、タ
ップ選択器５と切換開閉器６は関連性が高いため、さら
に各々を収納するタンクを隣合わせに配置している。

【０００６】

【発明が解決しようとする問題点】上記したように、特
別３相の電力用変圧器構成とした場合、電圧の調整をす
るタップ巻線８のタップ選択器５と切換開閉器６の３相
分を収納したタンク１０と、各相の変圧器巻線１が収納
されているタンク２間を接続するリードが必要になる。
このリードの数は変圧器の調整電圧のステップ数の増加
と共に増え、図１５に示すような極性切換方式の場合、
調整電圧のステップ数が１５の時、接続タンク９の領域
を通るリード線４の数は各相ごとに最低９本必要にな
る。したがって、タンク２相互間を接続する接続タンク
３内部を３相分として最低２７本のリード線４を通す必
要がある。

【０００７】さらに、変圧器の試験電圧を加えると、リ
ード線４相互間に電圧が印加される。特に、相が異なる
リード線４には比較的高い電圧が加わるため、他の相の
リード線間同士が接触しないように、図１４のＡ−Ａ部
分では図１６に示すように、各相のリード線４は接続タ
ンク３から突き出した絶縁物支え１２ａ，１２ｂに固定
されている。

【０００８】このように、接続タンク３内部には非常に
多くのリード線４が通る上に、接続タンク３の直径は必
要最小限に小さくしてあるため、リード線４の固定方法
が非常に困難となる。特に、図１４のＢ−Ｂ部分のよう
な接続タンク３の中央部分では、作業者が接続タンク３
内部に潜り込んだ上に無理な姿勢による作業となり、作
業効率が非常に悪いので、その改善が要望されていた。

【０００９】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
で、その目的は、タンク間を接続する接続タンク内部に
３相分のリード線を通す作業効率を向上させ、短時間で
信頼性の高いリードが得られるガス絶縁変圧器を提供す
ることにある。

【００１０】

【問題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の請求項１は、電圧調整用タップ巻線をもつ
変圧器巻線を単相ごとにタンクに分割して収納し、切換
開閉器を前記タンクとは分離して他のタンクに収納した
ガス絶縁変圧器において、前記タップ巻線のタップ選択
器と前記切換開閉器を接続する接続タンク内に、当該タ
ップ選択器と切換開閉器を接続するリード線を収納した
接続筒を取り付けたことを特徴とする。

【００１１】本発明の請求項２は、電圧調整用タップ巻
線をもつ変圧器巻線を単相ごとにタンクに分割して収納
し、切換開閉器を前記タンクとは分離して他のタンクに
収納したガス絶縁変圧器において、それぞれの前記タン
ク内に各相の変圧器巻線とタップ選択器をそれぞれ収納
し、前記変圧器巻線と前記他のタンク内の切替開閉器と
を接続タンクを介して接続したことを特徴とする。

【００１２】

【作用】本発明の請求項１によると、各相の変圧器巻線
のタップ巻線とタップ選択器を接続するリード線を絶縁
筒内部に通すことで、リード線の絶縁耐力が確保される
ため、リード線を接続タンクに固定する必要がなくな
る。このように、リード線を接続タンクに固定する必要
がないと、接続タンクをリード線を通す際必要としてい
た絶縁物支えによる固定作業が無くなり、短時間で信頼
性の高いガス絶縁変圧器を得ることができる。

【００１３】本発明の請求項２によれば、タップ選択器
を各相のタンクごとに分割して収納することにより、変
圧器巻線のタンクと切換開閉器を接続する接続タンクの
中のリード線を減少させることができ作業性を向上させ
ると共に、信頼性が高くコストの低いガス絶縁変圧器を
得ることができる。

【００１４】

【実施例】以下、本発明の実施例を図を参照して説明す
る。図１は本発明の第１実施例（請求項１対応）の断面
図であり、同図に示すように、各相の変圧器巻線１のタ
ップ巻線８とタップ選択器５を接続する接続タンク３内
には、接続タンク３内部のリード線４を図２に示す断面
が凹凸１４ａを持つ絶縁円筒１３ａの内部を通してい
る。

【００１５】次に、本実施例の作用について説明する。
試験電圧の印加時には相が異なるリード線４間には高い
電圧が発生する。通常、リード線４を被覆している絶縁
物では、このような相間に加わる電圧に対する絶縁耐力
を持っていない。異なる相のリード線４を相別に凹凸の
突起１４ａを持つ絶縁筒１３ａの内部を通すと、相間の
リード線４の絶縁距離が充分確保されるので、リード線
４に加わる電圧に対し十分な絶縁耐力を持たせることが
できる。したがって、リード線４を接続タンク３に固定
する必要が無いため作業効率が格段に向上する。

【００１６】なお、リード線４を通す絶縁円筒１３ａと
して本実施例では、図２に示すように断面が凹凸の突起
１４ａの絶縁円筒１３ａを用いているが、本実施例の変
形例としてこれ以外に図３に示すごとく表面にスパイラ
ル状の突起１４ｂをもつ絶縁筒１３ｂや、図４に示すご
とく表面に半球状の突起１４ｃをもつ絶縁筒１３ｃや、
あるいは図示しいないが各種形状の突起を持つ絶縁筒を
用いて、各相間のリード線４の絶縁距離を十分確保する
ようにすることもできる。

【００１７】また、同一絶縁筒１３内部に通すリード線
４は、同じ相のものを全て通す必要はなく、同じ相のリ
ード線４でも高い電圧が発生する組み合わせのものを別
の絶縁筒１３に通すなど、適当なグループを纏めて１つ
の絶縁筒１３に通すようにしても本実施例と同様な効果
作用が得られる。さらに、絶縁筒１３ごとに色を変える
ことで、絶縁筒１３の両端部分でのリード線４の接続間
違いの可能性を減らすことができるので、信頼性は一層
高くなる。

【００１８】図５は図１の絶縁筒内に収納される絶縁ス
ペーサの斜視図である。同図に示すように、複数のリー
ド線４を束ねた断面形状にくりぬいた円筒形状の絶縁物
をスペーサ１５として取り付け、スペーサ１５によりリ
ード線４を中央部分に保持することで十分な絶縁距離の
確保が可能となる。また図６に示すように絶縁筒１３ａ
の両端部分でスペーサ１５を用いてリード線４を支持す
ると、リード線４が絶縁筒１３ａの両端部分で接触する
ことを防止することもできる。

【００１９】なお、絶縁スペーサの形状は本実施例の形
状に限定するものではなく、例えば、図７に示すよう
に、絶縁スペーサ１８を半分に分割して，その中央部に
複数のリード線４が収納可能な凹部１７を形成し、この
凹部１７にリード線４を通しポリエチレンテレフタレー
ト等の絶縁物フィルム１６で巻いたものに他の半分の絶
縁スペーサ１８を重ねた後、さらに絶縁物フィルム１６
で固定するとか、また図８に示すように、リード線４の
回りに肉厚のＥＰ（エチレンプロピレン）ゴム等の弾力
性がある絶縁物の帯を巻いたスペーサ１９とするとか、
あるいは図９に示すように複数のリード線４をポリエチ
レンテレフタレート等の絶縁物フィルム１６で巻いたも
のを、半円柱の中央部に切り欠き１７を入れた木材等の
絶縁物の切り欠き１７上に乗せた後、ポリエチレンテレ
フタレートの絶縁フィルム１６で巻いて固定したスペー
サ２０等を用いることもでき、その作用効果も上記実施
例と同様である。

【００２０】図１０は本発明の第２実施例（請求項１対
応）の模式図である。同図に示すように、本実施例では
絶縁筒１３を可とう性のある絶縁物で作製したものであ
る。このような可とう性のある絶縁筒１３を用いると、
接続タンク３から巻線を収納するタンク２にリード線４
を通す部分で、絶縁筒１３同士をねじりながら固定する
ことができるので、巻線のタンク２に繋がる方向に絶縁
筒１３の端を配置することができ、リード線４が絶縁筒
１３からでて最短距離でタンク２内に通すことができ
る。したがって、後記する図１１に示すようにタップ選
択器５を各相のタンク２内に収納することが可能とな
り、従来のガス絶縁変圧器の配置構成と比べてコンパク
トとなる。

【００２１】図１１は本発明の第３実施例（請求項２対
応）の模式図である。同図に示すようにタップ選択器５
を巻線１が収納された各相のタンク２ごとに収納する。
切換開閉器６は巻線を収納するタンク２とは別のタンク
に収納する。各相のタンク２に収納されたタップ選択器
５の駆動装置をモータで同期して作動させることで同期
させて選択できるようになる。切換開閉器６は３相分を
機械的に同期させて切り換える。

【００２２】本実施例によると、タップ選択器５と切換
開閉器６間のリード線４は各相２本ずつのため、調整電
圧のステップ数が１５の時、リードの数は各相合わせて
最低２７本必要であったものが、接続タンク３を通過す
る必要のある本数は中性点リード線を含め３相で７本一
定となり作業数が非常に短くなる。このため電圧調整数
が多くなるほど作業数の低減効果が大きい。

【００２３】このように構成して接続タンク３内を通す
リード線４を減少させた上に、リード線４を絶縁筒１４
内部に通すことでリード線４の絶縁耐力が確保されるた
め、リード線４を接続タンク３に固定する必要がなくな
ることは言うまでも無い。そして、絶縁筒１４の断面に
凹凸を付けたり、表面にスパイラル状の突起や、半球状
の突起など各種形状の突起を持つ絶縁筒１４にすると、
リード線４の絶縁距離を確保する効果作用は向上する。
さらに、同じ絶縁筒１４内部に通すリード線４は同じ相
のものを全て通す必要もなく、同じ相のリード線４でも
高い電圧が発生する組み合わせのものを別の絶縁筒１４
に通すなど、適当なグループをまとめて１つの絶縁筒１
４に通すことも可能となる。

【００２４】また絶縁筒１４ごとに色を変えることで、
絶縁筒１４の両端部分でのリード線４の接続で、接続間
違いの可能性を減らすことができ信頼性が高くなる。そ
して、絶縁物のスペーサを用い、リード線４を中央部分
に保持して絶縁筒１４の両端部分でリード線４同士が接
触することを防止できる。

【００２５】さらに絶縁筒１４を可撓性のある絶縁物で
作製することで、接続タンク３から巻線を収納するタン
ク２にリード線４を通す部分において、絶縁筒１４同士
をねじりながら固定することで、巻線のタンク２につな
がる方向に絶縁筒１４の端を配置することができ、リー
ド線４が絶縁筒１４から出て最短距離でタンク２内に通
すことができる。

【００２６】図１２は図１１のリード線の接続配置図で
あり、本配置図は既に説明した図１５の負荷タップ切換
器において、タップ選択器５と切換開閉器６を区別して
表示した接続配置図である。

【００２７】同図において、巻線のタップ巻線８とタッ
プ選択器５を接続するリード線４は既に説明したように
非常に本数が多いが、タップ選択器５と切換開閉器６の
間のリード線は中性点リード線を含め３本である。タッ
プ選択器５を巻線タンク２に収納することによりタップ
巻線８とタップ選択器５間の非常に本数の多いリード線
４は巻線タンク２内部のみの接続になり、タップ選択器
５と切換開閉器６の間のリード線４である中性点が共通
のため７本のみが、接続タンク３を通るのみですむ。

【００２８】従って、タップのステップ数が非常に多い
場合であっても、タップ選択器５と切換開閉器６の間の
リード線４は３相で７本と一定となり、リード線４の本
数が減るだけでなく、リード線４の本数が一定のため標
準化が可能となり、短時間で信頼性の高いリードの接続
作業が可能となる。

【００２９】図１３は本発明の第３実施例の変形例の模
式図である。同図に示すように、本実施例では、分割し
て収納したタップ選択器５を持つ各相の変圧器タンク２
に、それぞれ対応する切換開閉器６を収納したタンクを
直接接続した構成としている。この場合、電気信号によ
る同期でタップ選択器５のタップを切換えるようにする
と、接続タンク内の作業が省略できるので作業時間の大
幅な節約になる。

【００３０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明の請求項１
によれば、電圧調整するタップ巻線を持つ変圧器の巻線
を単相ごとにタンクに分割して収納し、３相分のタップ
選択器を分離して他のタンクに収納したガス絶縁変圧器
において、変圧器巻線のタップ巻線とタップ選択器を接
続する接続タンクの中のリード線を絶縁内部に収納する
ことで、作業性を著しく向上させると共に、信頼性が高
くコストの低いガス絶縁変圧器を得ることができる。

【００３１】さらに、本発明の請求項２によれば、タッ
プ選択器を各相のタンクごとに分割して収納することに
より、変圧器巻線のタンクと切換開閉器を接続する接続
タンクの中のリード線を減少させることができ作業性を
向上させると共に、信頼性が高くコストの低いガス絶縁
変圧器を得ることができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の第１実施例の断面図。

【図２】図１の絶縁筒の側断面図。

【図３】図１の絶縁筒の変形例の斜視図。

【図４】図１の絶縁筒の他の変形例の斜視図。

【図５】図１の絶縁筒内に収納される絶縁スペーサ取付
け部分の斜視図。

【図６】図５の絶縁スペーサを用いた絶縁筒の断面図。

【図７】図５の絶縁スペーサの変形例の断面図。

【図８】図５の絶縁スペーサの他の変形例の断面図。

【図９】図５の絶縁スペーサのさらに他の変形例の断面
図。

【図１０】本発明の第２実施例の可とう性絶縁筒を用い
た模式図。

【図１１】本発明のガス絶縁変圧器の第３実施例の模式
図。

【図１２】図１１のリード接続の接続配置図。

【図１３】図１１の変形例の模式図。

【図１４】従来のガス絶縁変圧器のリード接続の模式
図。

【図１５】図１４のリード接続の接続配置図。

【図１６】図１４のガス絶縁変圧器のリード線を収納す
る接続タンクの断面図。

【符号の説明】

１…変圧器巻線、２…変圧器巻線タンク、３…接続タン
ク、４…リード線、５…タップ選択器、６…切換開閉
器、７…変圧器主巻線、８…タップ巻線、９…接続タン
ク領域、１１…限流抵抗器、１２ａ，１２ｂ…絶縁物支
え、１３，１３ａ，１３ｂ，１３ｃ…絶縁筒、１４，１
４ａ，１４ｂ，１４ｃ…突起、１５…絶縁スペーサ、１
６…絶縁フィルム、１９…ゴム状絶縁物。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 電圧調整用タップ巻線をもつ変圧器巻線
   を単相ごとにタンクに分割して収納し、切換開閉器を前
   記タンクとは分離して他のタンクに収納したガス絶縁変
   圧器において、前記タップ巻線のタップ選択器と前記切
   換開閉器を接続する接続タンク内に、当該タップ選択器
   と切換開閉器を接続するリード線を収納した接続筒を取
   り付けたことを特徴とするガス絶縁変圧器。
2. 【請求項２】 電圧調整用タップ巻線をもつ変圧器巻線
   を単相ごとにタンクに分割して収納し、切換開閉器を前
   記タンクとは分離して他のタンクに収納したガス絶縁変
   圧器において、それぞれの前記タンク内に各相の変圧器
   巻線とタップ選択器をそれぞれ収納し、前記変圧器巻線
   と前記他のタンク内の切替開閉器とを接続タンクを介し
   て接続したことを特徴とするガス絶縁変圧器。