JPH08338212A - 内燃機関の可変動弁機構 - Google Patents

内燃機関の可変動弁機構

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Publication number
JPH08338212A
JPH08338212A JP14785995A JP14785995A JPH08338212A JP H08338212 A JPH08338212 A JP H08338212A JP 14785995 A JP14785995 A JP 14785995A JP 14785995 A JP14785995 A JP 14785995A JP H08338212 A JPH08338212 A JP H08338212A
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JP
Japan
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slider
rotating member
rotation
eccentric
connecting portion
Prior art date
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Withdrawn
Application number
JP14785995A
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English (en)
Inventor
Shinichi Murata
真一 村田
Masahiko Kubo
雅彦 久保
Atsushi Isomoto
淳 磯本
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Mitsubishi Motors Corp
Original Assignee
Mitsubishi Motors Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 本発明は、内燃機関の吸気弁や排気弁を機関
の運転状態に応じたタイミングで開閉制御するのに用い
る、内燃機関の可変動弁機構に関し、カムの回転時にト
ルク変動が生じても打音が発生しないようにすることを
目的とする。 【構成】 クランク軸と連動する第1回転部材11と、
第1回転部材11の外周に設けられ弁駆動カム6を有す
る第2回転部材12と、第1回転部材11に対して偏心
した係合部材16と、係合部材16にラジアル方向へ摺
動自在に装着されて第1回転部材11から係合部材16
へ回転を伝達する第1スライダ部材17及び係合部材1
6から第2回転部材12へ回転を伝達する第2スライダ
部材18と、機関の運転状態に応じて係合部材16の偏
心状態を調整する偏心位置調整機構30とをそなえ、各
スライダ部材17,18の係合部材16との摺動面を係
合部材16から離隔しないように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、内燃機関の吸気弁や排
気弁を機関の運転状態に応じたタイミングで開閉制御す
るのに用いる、内燃機関の可変動弁機構に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば往復動式内燃機関(以下、エンジ
ンという)にそなえられた吸気弁や排気弁(以下、これ
らを総称して機関弁ともいう)のように、カムによって
開閉駆動される往復動バルブがある。このようなバルブ
はカムの形状や回転位相に応じたバルブリフト状態で駆
動される。したがって、このようなバルブの開放や閉鎖
のタイミング及び開放期間(バルブを開放している期間
をカムシャフトの回転角度の単位で示した量)も、カム
の形状や回転位相に応じることになる。
【0003】ところで、エンジンにそなえられた吸気弁
や排気弁の場合には、エンジンの負荷状態や速度状態に
応じて最適な開閉タイミングや開放期間が異なる。そこ
で、このようなバルブの開閉タイミングや開放期間を変
更できるようにした装置が各種提案されている。例えば
高速用のカムプロフィルを有するカムと低速用のカムプ
ロフィルを有するカムとを選択して用いるようにして、
高速時と低速時とでそれぞれに適合したバルブ開閉タイ
ミング及び開放期間でバルブを開閉するようにした装置
も開発されており実用化されている。
【0004】また、カムとカムシャフトとの間に不等速
継手を介装して、この不等速継手を通じて、カムをカム
シャフトに対して相対回転させながらカムをカムシャフ
トとは異なる速度で回転させるようにして、バルブ開閉
タイミング及び開放期間を調整できるようにした装置も
開発されている。例えば、図12,図13はSEA88
0387に開示された米国特許3633555号にかか
る可変バルブタイミングカムシャフト機構(以下、第1
従来例という)を示すものである。この機構は、不等速
継手を利用してバルブタイミングを変更できるようにし
たものであり、図12,図13において、101はカム
シャフト、102はカムであり、カム102はカムシャ
フト101と同様な軸心上にカムシャフト101と相対
回転しうるように設置されている。そして、これらのカ
ムシャフト101とカム102との間に、不等速継手1
03が介装されている。
【0005】不等速継手103は、カムシャフト101
と一体回転するようにロッキングスクリュー104を介
してカムシャフト101に結合されたカラー105と、
カム102と一体回転するようにドライブピン106及
びスライダ107を介してカム102に結合された中間
部材108と、カラー105から中間部材108へ回転
を伝達するドライブピン109及びスライダ110とを
そなえ、さらに、カラー105及び中間部材108を収
容する回転制御スリーブ111と、この回転制御スリー
ブ111の回転位相を調整するコントロールシャフト1
12とをそなえて構成されている。
【0006】そして、各スライダ107,110は中間
部材108の長溝108A,108B内に直径方向へス
ライド自在に内装されており、カムシャフト101の回
転は、不等速継手103のカラー105からドライブピ
ン109,スライダ110を介して中間部材108に伝
達され、更に、スライダ107,ドライブピン106を
介してカム102へと伝達されるようになっている。
【0007】ところで、カラー105及び中間部材10
8の各外周面105A,108Cは、回転制御スリーブ
111の内周面111Aに摺接して、回転制御スリーブ
111内を自在に回転できるように軸支されているが、
これらのカラー105及び中間部材108の各外周面1
05A,108Cと回転制御スリーブ111の内周面1
11Aの回転中心O2 は、いずれもカムシャフト101
の軸心(回転中心)O 1 に対して偏心している。
【0008】このため、カムシャフト101の回転が、
ドライブピン109及びスライダ110を介して中間部
材108に伝達される際には、ドライブピン109及び
スライダ110はカラー105と一体に回転中心O1
回りを回転するのに対して、これらのドライブピン10
9及びスライダ110を通じて回転駆動される中間部材
108は、回転中心O2 の回りを回転するので、中間部
材108から回転を伝達されるスライダ107及びドラ
イブピン106はカムシャフト101の回転と一致せ
ず、不等速に回転するようになる。
【0009】例えば図13に示す状態を模式化すると図
14に示すように、ドライブピン109が点P1 ,ドラ
イブピン106が点P3 にそれぞれ位置する状態とな
る。この状態から、ドライブピン109(即ち、点
1 )が時計回り(矢印A参照)に回転していくと、ド
ライブピン109が中心O1 の回りを90°分回転して
点P 2 に到達したところで中間部材108は中心O2
回りをθ1 (=90°−θ2,θ2 >0)だけ回転する
ことになる。
【0010】したがって、ドライブピン106は中心O
1 の回りをθ3 (=90°−θ4 ,θ4 =2θ2 )だけ
回転して点P4 に達する。このように、ドライブピン1
06の回転角度θ3 は、90°よりも小さいので、この
間のドライブピン106の回転速度はドライブピン10
9の回転速度よりも遅いことになる。さらに、ドライブ
ピン109が点P2 から点P3 まで中心O1 の回りを更
に90°分回転する間には、中間部材108は中心O2
の回りをθ5 (=90°+θ 2 )だけ回転することにな
る。したがって、ドライブピン106は中心O1 の回り
をθ5 (=90°+θ4 )だけ回転して点P1 に達する
ことになり、この間のドライブピン106の回転角度は
90°よりも大きいので、ドライブピン106の回転速
度はドライブピン109の回転速度よりも速いことにな
る。
【0011】さらに、ドライブピン109が点P3 から
点P5 まで中心O1 の回りを90°分回転する間には中
間部材108は中心O2 の回りをθ5 (=90°+
θ2 )だけ回転することになる。したがって、ドライブ
ピン106は中心O1 の回りをθ 5 (=90°+θ4
だけ回転して点P6 に達することになり、この間のドラ
イブピン107の回転角度は90°よりも大きいので、
ドライブピン106の回転速度はドライブピン109の
回転速度よりも速いことになる。
【0012】さらに、ドライブピン109が点P5 から
点P1 まで中心O1 の回りを90°分回転する間には中
間部材108は中心O2 の回りをθ1 (=90°−
θ2 )だけ回転することになる。したがって、ドライブ
ピン106は中心O1 の回りをθ 3 (=90°−θ4
だけ回転して点P3 に達することになり、この間のドラ
イブピン106の回転角度θ3 は90°よりも小さいの
で、ドライブピン106の回転速度はドライブピン10
9の回転速度よりも遅いことになる。
【0013】このようにして、カム102と一体回転す
るドライブピン106の回転速度は、カムシャフト10
1と一体回転するドライブピン109よりも先行したり
遅延したりしてドライブピン109の回転速度とは不等
速で回転し、カムシャフト101が等速回転してもカム
102は等速回転しない。カムシャフト101の回転位
相に対するカム102の速度変化は、カムシャフト10
1の中心O1 に対する中間部材108の中心O2 の相対
位置に対応するが、コントロールシャフト112は、ギ
ヤ機構113を介して回転制御スリーブ111を駆動し
うるように結合されており、コントロールシャフト11
2が回転することで、回転制御スリーブ111が回動
し、その内周面111Aの回転中心O 2 (即ち、中間部
材108の中心)の位置が移動するようになっている。
【0014】このように構成された不等速継手による可
変動弁機構によると、例えば吸気弁が開放する付近では
カム102がカムシャフト101よりも遅くなり、吸気
弁が閉鎖する付近ではカム102がカムシャフト101
よりも速くなるように設定すると、吸気弁の開放タイミ
ングが遅くなって開弁時間も短かくなるため、内燃機関
の低速時に適した弁駆動制御を実現できる。
【0015】また、例えば吸気弁が開放する付近ではカ
ム102がカムシャフト101よりも速くなり、吸気弁
が閉鎖する付近ではカム102がカムシャフト101よ
りも遅くなるように設定すると、吸気弁の開放タイミン
グが速くなって開弁時間も長くなるため、内燃機関の高
速時に適した弁駆動制御を実現できる。不等速継手方式
の可変バルブタイミングカムシャフト機構として、この
他に特開平5−202718号の技術(以下、第2従来
例という)も開発されている。この技術は、内燃機関の
給気弁駆動制御装置であり、図15,図16に示すよう
に構成されている。
【0016】図15,図16において、221は駆動
軸,222はカムシャフトであり、カムシャフト222
は駆動軸221の外周に駆動軸221と同心(回転中心
X)上に且つ駆動軸221と相対回転しうるように設け
られている。このカムシャフト222にはカム226が
設けられている。そして、駆動軸221とカムシャフト
222との間には、カムシャフト222を不等速回転さ
せるための不等速継手220が設けられている。また、
223は吸気弁、224はバルブスプリング,225は
バルブリフターであり、吸気弁223はバルブスプリン
グ224で閉じ側へ付勢され、バルブリフター225を
介してカム226により押圧されることでバルブスプリ
ング224に抗して開放駆動される。
【0017】不等速継手220は、カムシャフト222
の端部に形成されたフランジ部227と、駆動軸221
と一体回転するスリーブ228と、スリーブ228の端
部に形成されたフランジ部232と、両フランジ部22
7,232間に介設された環状ディスク229とをそな
え、この環状ディスク229の回転中心Yが駆動軸22
1の回転中心Xに対して偏心するようになっている。
【0018】環状ディスク229の両面にはピン23
6,237が突設され、それぞれフランジ部227,2
32に形成された係合溝230,233に係合してお
り、駆動軸221の回転は、スリーブ228のフランジ
部232から係合溝233,ピン237,環状ディスク
229,ピン236,係合溝230を経てフランジ部2
27からカムシャフト222に伝達される。この際、環
状ディスク229の回転中心Yが駆動軸221の回転中
心Xに対して偏心していると、図14を参照して説明し
たように、図12,図13に示す機構と同様に、環状デ
ィスク229の回転速度が、駆動軸221に対して速く
なったり遅くなったりする。この際、ピン236,23
7は係合溝230,233内を摺接する。
【0019】この構成では、環状ディスク229の中心
がピン238を中心に揺動できるようになっている。つ
まり、環状ディスク229の外周には、環状ディスク2
29を回転自在に支持する制御環235が設けられてお
り、この制御環235はピン238を中心に揺動できる
ようになっていて、ピン238の反対側にはレバー部2
35bが突設され、このレバー部235bが駆動機構2
39により駆動されて環状ディスク229の中心Yが位
置調整されるようになっている。したがって、この装置
では、偏心量を変えることで、駆動軸221に対するカ
ム226の速度変化の状態を調整できる。
【0020】なお、この駆動機構239は、レバー部2
35bを油圧ピストン242で駆動するように構成され
ている。245は油圧ピストン242に対抗するリター
ンスプリングである。また、この機構では、ピン23
6,237の係合溝230,233と摺接する両側部分
236a,236b,237a,237bを平面状に形
成して、摺動に伴うピン236,237の磨耗を低減で
きるようになっている。
【0021】この他の従来技術(以下、第3従来例とい
う)としては、図17,図18に示すような米国特許3
633555号の不等速継手方式の可変カムシャフト機
構も開発されている。つまり、図17,図18に示すよ
うに、この機構は、カムシャフト301の外周に中空の
カムローブ302をそなえ、カムローブ302はカムシ
ャフト301と同一の回転中心回りにカムシャフト30
1と相対回転しうるようになっている。そして、カム3
03はこのカムローブ302の外周に突設されている。
【0022】また、カムシャフト301には、カムシャ
フト301と一体回転する回転部材304が装着されて
いる。この例では、回転部材304の両側にカムローブ
302がそなえられている。そして、回転部材304の
端面とカムローブ302の端面との間に、偏心円形プレ
ート305が介装されている。この偏心円形プレート3
05は、カムシャフト301やカムローブ302の回転
中心に対して偏心しており、位相調整部材312,31
3によって、偏心位置(位相)を調整されるようになっ
ている。
【0023】さらに、偏心円形プレート305は、図1
8に示すように、半径方向へ延びる溝306,307を
そなえている。一方、回転部材304の端面及びカムロ
ーブ302の端面にはそれぞれ溝306,307に向け
てピン308,309が突設されており、これらのピン
308,309にスライダ310,311が装備されて
いる。
【0024】これにより、カムシャフト301が回転す
ると、回転部材304からピン308,スライダ31
0,溝306,偏心円形プレート305,溝307,ス
ライダ311,ピン309を介してカムローブ302が
回転駆動される。このとき、偏心円形プレート305の
偏心によって、前述の従来例と同様にして、スライダ3
10,311を半径方向へ移動させながら、カムローブ
302はカムシャフト301に対して偏心量に応じて相
対回転する。これにより、カムを不等速回転させること
ができ、偏心部材305の偏心状態を調整することで吸
気弁の開放タイミングを調整することができる。
【0025】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のよう
な不等速継手を利用した従来の内燃機関の可変動弁機構
では、次のような課題がある。すなわち、いずれの従来
例でも、入力軸(即ち、カムシャフト101や駆動軸2
21やカムシャフト301)及びカムの回転中心に対し
て偏心した回転中心を有する偏心部材を通じて、入力軸
からカムへの駆動力伝達を行なうことで、入力軸に対す
るカムの相対回転を発生させ、吸気弁の開放タイミング
の調整に利用している。そして、この相対回転時には、
スライダ107,110やピン236,237やスライ
ダ310,311(以下、これらを総称してスライダと
いう)が溝108A,108B,230,233,30
6,307(以下、これらを総称して係合溝という)内
を半径方向へ摺動することになる。
【0026】このようなスライダの係合溝内での摺動を
確実に行なうには、スライダの摺動面と係合溝の摺動面
とに適当なクリアランスを設ける必要がある。もちろ
ん、係合溝内の互いに対向する摺動面は等間隔を保ち且
つ半径方向に直線上に形成する必要もある。しかしなが
ら、スライダと係合溝との間のクリアランスは、スライ
ダと係合溝との間潤滑油膜が形成できる最小範囲に近く
なるように小さく設定できれば、スライダの係合溝内で
の摺動は円滑に行なえるが、製造誤差等もあるためスラ
イダと係合溝との間のクリアランスは、一定量確保する
必要がある。このため、カムの回転に伴う正負のトルク
変動によってクリヤランス方向が変わると、この都度、
打音が発生してしまうという不具合がある。
【0027】本発明は、上述の課題に鑑み創案されたも
ので、カムの回転に伴ってトルク変動が生じても打音が
発生しないようににした、内燃機関の可変動弁機構を提
供することを目的とする。
【0028】
【課題を解決するための手段】このため、請求項1記載
の本発明の内燃機関の可変動弁機構は、エンジンのクラ
ンク軸に連動して回転駆動される第1回転部材と、該第
1回転部材の外周に該第1回転部材と同心上に該第1回
転部材と相対回転可能に設けられた第2回転部材と、該
第2回転部材に設けられて弁を駆動するカムと、該第1
回転部材及び該第2回転部材の回転中心から偏心した位
置に回転中心を有し該第1回転部材及び該第2回転部材
に対して相対回転しうる係合部材と、該第1回転部材に
設けられた第1接続部と、該第2回転部材に設けられた
第2接続部と、該係合部材と該第1接続部とのうちの一
方にラジアル方向へ摺動自在に装着されて該第1接続部
から該係合部材へ回転を伝達する第1スライダ部材と、
該係合部材と該第2接続部とのうちの一方にラジアル方
向へ摺動自在に装着されて該係合部材から該第2接続部
へ回転を伝達する第2スライダ部材と、該係合部材の偏
心状態を機関の運転状態に応じて調整するための偏心位
置調整機構とをそなえ、該係合部材と該第1接続部との
うちの一方,又は該係合部材と該第2接続部とのうちの
一方に回転を伝達しうるように一対の対向する内壁面を
有する溝部が形成されて、該第1スライダ部材又は該第
2スライダ部材が、上記の一対の対向する内壁面にそれ
ぞれ摺接しうる両端面部を有し該溝部にラジアル方向へ
摺動自在に係合したスライダ本体と、該係合部材と該第
1接続部とのうちの他方、又は該係合部材と該第2接続
部とのうちの他方に、該第1回転部材及び該第2回転部
材の回転中心と平行に突設されて該スライダ本体を回転
しうるように軸支するピン部材とをそなえて構成され、
該スライダ本体に、上記の両端面部が、上記の一対の対
向する内壁面にそれぞれ当接するように該両端面部間を
弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設けられている
ことを特徴としている。
【0029】請求項2記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構は、エンジンのクランク軸に連動して回転駆動さ
れる第1回転部材と、該第1回転部材の外周に該第1回
転部材と同心上に該第1回転部材と相対回転可能に設け
られた第2回転部材と、該第2回転部材に設けられて弁
を駆動するカムと、該第1回転部材の外周に回動可能に
支持され該第1回転部材及び該第2回転部材の回転中心
から偏心した位置に中心を有する環状の偏心部と、該偏
心部の外周に該偏心部の中心回りに回動可能に支持され
た係合部材と、該第1回転部材に設けられた第1接続部
と、該第2回転部材に設けられた第2接続部と、該係合
部材と該第1接続部とのうちの一方にラジアル方向へ摺
動自在に装着されて該第1接続部から該係合部材へ回転
を伝達する第1スライダ部材と、該係合部材と該第2接
続部とのうちの一方にラジアル方向へ摺動自在に装着さ
れて該係合部材から該第2接続部へ回転を伝達する第2
スライダ部材と、該偏心部を機関の運転状態に応じた位
置に回転させて該偏心部の偏心状態を調整するための偏
心位置調整機構とをそなえ、該係合部材と該第1接続部
とのうちの一方,又は該係合部材と該第2接続部とのう
ちの一方に回転を伝達しうるように一対の対向する内壁
面を有する溝部が形成されて、該第1スライダ部材又は
該第2スライダ部材が、上記の一対の対向する内壁面に
それぞれ摺接しうる両端面部を有し該溝部にラジアル方
向へ摺動自在に係合したスライダ本体と、該係合部材と
該第1接続部とのうちの他方、又は該係合部材と該第2
接続部とのうちの他方に該第1回転部材及び該第2回転
部材の回転中心と平行に突設されて該スライダ本体を回
転しうるように軸支するピン部材とをそなえて構成さ
れ、該スライダ本体に、上記の両端面部が、上記の一対
の対向する内壁面にそれぞれ当接するように該両端面部
間を弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設けられて
いることを特徴としている。
【0030】請求項3記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構は、請求項1又は2記載の構成において、上記の
一対の対向する内壁面が、第1の内壁面と第2の内壁面
とからなり、該スライダ本体が、該ピン部材の軸心線の
直交面に対して傾斜した平面で互いに分割された第1分
割スライダと第2分割スライダとからなり、該第1分割
スライダが、該第1の内壁面に摺接しうる第1の端面部
と、該第2分割スライダとの分割面である第1の傾斜面
と、該ピン部材を遊嵌される第1の穴部とを有するとと
もに、該第2分割スライダが、該第2の内壁面に摺接し
うる第2の端面部と、該第1分割スライダとの分割面で
あって該第1の傾斜面と摺接する第2の傾斜面と、該ピ
ン部材を遊嵌される第2の穴部とを有し、該第1の傾斜
面と該第2の傾斜面とが、該ピン部材の軸心線方向への
圧縮力を加えられると互いの反力によって該第1分割ス
ライダは該第1の内壁面側へ押圧されるとともに該第2
分割スライダは該第2の内壁面側へ押圧されるように設
定されて、該スライダ拡張手段が、上記の第1分割スラ
イダ及び第2分割スライダと、これらの第1分割スライ
ダ及び第2分割スライダに上記の圧縮力を与える弾性部
材とから構成されていることを特徴としている。
【0031】請求項4記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構は、請求項2又は3記載の構成において、該偏心
部に該係合部材よりも外部に張り出した被駆動部を有す
る制御部材が設けられ、該偏心位置調整機構に該被駆動
部を駆動する駆動手段が設けられていることを特徴とし
ている。請求項5記載の本発明の内燃機関の可変動弁機
構は、請求項4記載の構成において、該偏心位置調整機
構に、該機関の運転状態に応じて該駆動手段の作動を制
御する制御手段が設けられていることを特徴としてい
る。
【0032】
【作用】上述の請求項1記載の本発明の内燃機関の可変
動弁機構では、第1回転部材がエンジンのクランク軸に
連動して回転駆動されると、この第1回転部材の回転
は、第1回転部材に設けられた第1接続部から第1スラ
イダ部材を通じて係合部材に伝達され、さらに、係合部
材から第2スライダ部材を通じて第2接続部から第2回
転部材に伝達されて、第2回転部材に設けられてカムが
回動して、弁を駆動する。
【0033】係合部材は、該第1回転部材及び該第2回
転部材の回転中心から偏心した位置に回転中心を有して
いるので、第1回転部材の回転が係合部材に伝達される
際には、この偏心に対応するようにして、第1スライダ
部材が、係合部材又は第1接続部に対してラジアル方向
へ摺動しながら、第1回転部材の回転に対して係合部材
の回転を速くさせたり遅くされたりする。
【0034】また、係合部材の回転が第2回転部材に伝
達される際にも、上記の偏心に対応するようにして、第
2スライダ部材が、係合部材又は第2接続部に対してラ
ジアル方向へ摺動しながら、係合部材の回転に対して第
2回転部材の回転を速くさせたり遅くされたりする。こ
のようにして、第1スライダ部材,係合部材,第2スラ
イダ部材を通じて、偏心部の偏心状態に応じて、第2回
転部材が第1回転部材に対して先行したり遅延したりし
ながら回動する。このため、第1回転部材が等速回転し
ても第2回転部材の回転は不等速となる。
【0035】したがって、第2回転部材に設けられたカ
ムの開閉タイミングも、係合部材の偏心状態に応じて速
くなったり遅くなったりする。そして、係合部材の偏心
状態は、偏心位置調整機構により、運転状態に応じた位
置に回転させることで調整されるので、この偏心位置調
整機構を通じて、カムの作動タイミングを速くさせたり
遅くさせたりすることができる。これにより、弁の駆動
タイミングを制御することができる。
【0036】ところで、上述の回転の第1回転部材から
第2回転部材への回転の伝達時に、該第1スライダ部材
又は該第2スライダ部材では、係合部材と第1接続部と
のうちの他方、又は係合部材と第2接続部とのうちの他
方に突設されたピン部材と、該係合部材と該第1接続部
とのうちの一方,又は該係合部材と該第2接続部とのう
ちの一方に形成された溝部内をラジアル方向へ摺動しう
るスライダ本体とを通じて回転を伝達する。
【0037】特に、溝部内では、一対の対向する内壁面
のうちの一方と、スライダ本体の両端面部のうちの一方
との摺接部を通じて回転の伝達が行なわれ、伝達される
回転トルクの正負変動によって、回転伝達にかかる端面
部が切り替わるが、スライダ本体の両端面部間は、スラ
イダ拡張手段により弾性的に拡張されて、各端面部が上
記の一対の対向する内壁面にそれぞれ常に当接していて
クリアランスがないので、回転伝達にかかる端面部が切
り替わっても打音は発生しなくなる。また、端面部の内
壁面への当接は弾性的な力によるので、この弾性力の調
整で、スライダ本体のラジアル方向への摺動を妨げない
ように設定しうる。
【0038】上述の請求項2記載の本発明の内燃機関の
可変動弁機構では、第1回転部材がエンジンのクランク
軸に連動して回転駆動されると、この第1回転部材の回
転は、第1回転部材に設けられた第1接続部から第1ス
ライダ部材を通じて係合部材に伝達され、さらに、係合
部材から第2スライダ部材を通じて第2接続部から第2
回転部材に伝達されて、第2回転部材に設けられてカム
が回動して、弁を駆動する。
【0039】係合部材は、環状の偏心部の外周に偏心部
の中心回りに回動可能に支持されており、この偏心部の
中心は第1回転部材の回転中心から偏心しているので、
第1回転部材の回転が係合部材に伝達される際には、こ
の偏心に対応するようにして、第1スライダ部材が、係
合部材又は第1接続部に対してラジアル方向へ摺動しな
がら、第1回転部材の回転に対して係合部材の回転を速
くさせたり遅くされたりする。
【0040】また、係合部材の回転が第2回転部材に伝
達される際にも、上記の偏心に対応するようにして、第
2スライダ部材が、係合部材又は第2接続部に対してラ
ジアル方向へ摺動しながら、係合部材の回転に対して第
2回転部材の回転を速くさせたり遅くされたりする。こ
のようにして、第1スライダ部材,係合部材,第2スラ
イダ部材を通じて、偏心部の偏心状態に応じて、第2回
転部材が第1回転部材に対して先行したり遅延したりし
ながら回動する。このため、第1回転部材が等速回転し
ても第2回転部材の回転は不等速となる。
【0041】したがって、第2回転部材に設けられたカ
ムの開閉タイミングも、偏心部の偏心状態に応じて速く
なったり遅くなったりする。そして、偏心部の偏心状態
は、偏心位置調整機構により、運転状態に応じた位置に
回転させることで調整されるので、この偏心位置調整機
構を通じて、カムの作動タイミングを速くさせたり遅く
させたりすることができる。これにより、弁の駆動タイ
ミングを制御することができる。
【0042】ところで、上述の回転の第1回転部材から
第2回転部材への回転の伝達時に、該第1スライダ部材
又は該第2スライダ部材では、係合部材と第1接続部と
のうちの他方、又は係合部材と第2接続部とのうちの他
方に突設されたピン部材と、該係合部材と該第1接続部
とのうちの一方,又は該係合部材と該第2接続部とのう
ちの一方に形成された溝部内をラジアル方向へ摺動しう
るスライダ本体とを通じて回転を伝達する。
【0043】特に、溝部内では、一対の対向する内壁面
のうちの一方と、スライダ本体の両端面部のうちの一方
との摺接部を通じて回転の伝達が行なわれ、伝達される
回転トルクの正負変動によって、回転伝達にかかる端面
部が切り替わるが、スライダ本体の両端面部間は、スラ
イダ拡張手段により弾性的に拡張されて、各端面部が上
記の一対の対向する内壁面にそれぞれ常に当接していて
クリアランスがないので、回転伝達にかかる端面部が切
り替わっても打音は発生しなくなる。また、端面部の内
壁面への当接は弾性的な力によるので、この弾性力の調
整で、スライダ本体のラジアル方向への摺動を妨げない
ように設定しうる。
【0044】上述の請求項3記載の本発明の内燃機関の
可変動弁機構では、スライダ拡張手段において、弾性部
材が、第1分割スライダ及び第2分割スライダに対して
ピン部材の軸心線方向へ向かう圧縮力を与えるので、第
1分割スライダの第1の傾斜面と第2分割スライダの第
2の傾斜面との反力によって、第1分割スライダは第1
の内壁面側へ押圧され、第2分割スライダは第2の内壁
面側へ押圧される。
【0045】これにより、第1分割スライダの第1の端
面部が第1の内壁面に摺接し、第2分割スライダの第2
の端面部が第2の内壁面に摺接するようになって、スラ
イダ本体の両端面部が、溝部内一対の対向する内壁面と
それぞれ隙間を開けないように拡張する。また、各端面
部の各内壁面への押圧力は弾性部材に応じるので、弾性
部材の弾性力の設定により、この押圧力を調整して、ス
ライダ本体のスライドを円滑に行なえるようにすること
もできる。
【0046】上述の請求項4記載の本発明の内燃機関の
可変動弁機構では、駆動手段が、該偏心位置調整機構に
より制御されながら該制御部材に設けられた被駆動部を
駆動することで、偏心部の偏心状態が調整される。ま
た、被駆動部は該係合部材よりも外部に張り出している
ので、駆動手段側と係合部材とを干渉させないように構
成することができる。
【0047】上述の請求項5記載の本発明の内燃機関の
可変動弁機構では、該駆動手段の作動は、制御手段によ
って、該機関の運転状態に応じて制御される。
【0048】
【実施例】以下、図面により、本発明の実施例について
説明すると、図1〜図11は本発明の一実施例としての
内燃機関の可変動弁機構を示すものである。この実施例
にかかる内燃機関は、レシプロ式の内燃機関であり、可
変動弁機構は、気筒上方に設置された吸気弁又は排気弁
(これらを総称して、以下、バルブという)を駆動する
ようにそなえられている。
【0049】図1は本可変動弁機構をそなえたシリンダ
ヘッド1の要部を示す断面図であり、図1に示すよう
に、シリンダヘッド1には、図示しない給気ポート又は
排気ポートを開閉すべくバルブ2が装備されており、こ
のバルブ2のステム端部2Aには、バルブ2を閉鎖側に
付勢するバルブスプリング3が設置されている。さら
に、バルブ2のステム端部2Aには、タペット4が冠装
され、このタペット4上のシム5にカム6が当接してい
て、カム6の凸部6Aによってバルブスプリング3の付
勢力に抗するようにしてバルブ2が開方向へ駆動され
る。本可変動弁機構は、このカム6を回動させるために
そなえられている。
【0050】本可変動弁機構は、図1に示すように、エ
ンジンのクランク軸(図示略)に連動して回転駆動され
る第1回転部材としてのカムシャフト11と、このカム
シャフト11の外周に設けられた第2回転部材としての
カムローブ12とをそなえ、カム6はこのカムローブ1
2の外周に突設されている。カムローブ12の外周はシ
リンダヘッド1側の軸受部7によって回転自在に軸支さ
れている。そして、カムシャフト11とカムローブ12
との間に不等速継手13が設けられている。
【0051】この不等速継手13は、カムシャフト11
の外周に回動可能に支持されたコントロールディスク
(制御部材)14と、このコントロールディスク14に
一体的に設けられた偏心部15と、この偏心部15の外
周に設けられた係合部材としての係合ディスク16と、
係合ディスク16に接続された第1スライダ部材17及
び第2スライダ部材18とをそなえている。
【0052】偏心部15は、図1,図3に示すように、
カムシャフト11の回転中心(回転軸心)O1 から偏心
した位置に回転中心(回転軸心)O2 を有しており、係
合ディスク16はこの偏心部15の回転中心O2 の回り
に回転するようになっている。また、係合ディスク16
の一面には、図1〜図3に示すように、半径方向(ラジ
アル方向)に、スライダ用溝16A,16Bが形成され
ている。ここでは、2つのスライダ用溝16A,16B
が互いに180°だけ回転位相をずらせるように同一直
径上に配置されている。そして、カムシャフト11には
第1スライダ部材17に係合する第1接続部としてのド
ライブアーム19が設けられ、また、カムローブ12に
は第2スライダ部材18に係合する第2接続部としての
アーム部20が設けられている。
【0053】このうち、ドライブアーム19は、カムシ
ャフト11から半径方向(ラジアル方向)に突出するよ
うに設けられ、ロックピン25によりカムシャフト11
と一体回転するように結合されている。一方、アーム部
20はカムローブ12の端部を半径方向(ラジアル方
向)へ突出させるように一体形成されている。そして、
第1スライダ部材17及び第2スライダ部材18は、係
合ディスク16のスライダ用溝16A,16B内を半径
方向(ラジアル方向)に摺動自在に装備されたスライダ
本体21,22と、ドライブアーム19及びアーム部2
0の穴部19A,20Aに一端部を内装され他端部をス
ライダ本体21,22の穴部21A,22Aに内装され
たピン部材としてのドライブピン23,24とをそなえ
ている。これらのドライブピン23,24は、ドライブ
アーム19,アーム部20の穴部19A,20Aと、ス
ライダ本体21,22の穴部21A,22Aとのいずれ
か又は両方に対して、自転しうるように結合されてい
る。
【0054】したがって、不等速継手13では、カムシ
ャフト11の回転は、ドライブアーム19から、穴部1
9A,ドライブピン23,穴部21A,スライダ本体2
1,溝16Aを経て係合ディスク16に伝達して、さら
に、溝16B,スライダ本体22,穴部22A,ドライ
ブピン24,穴部20Aを経て、アーム部20からカム
ローブ12へと伝達するようになっている。
【0055】ところで、スライダ用溝16A,16B
は、それぞれ一対の対向する内壁面、即ち第1の内壁面
28A,28C及び第2の内壁面28B,28Dをそな
え、スライダ本体21の両端面21B,21Cは溝16
Aの内壁面28A,28Bにそれぞれ当接し、スライダ
本体22の両端面22B,22Cは溝16Bの内壁面2
8C,28Dにそれぞれ当接している。
【0056】そして、この可変動弁機構では、図2に示
すように、スライダ本体21(又は22)の両端面21
B,21C(又は22B,22C)が、一対の対向する
内壁面28A,28B(又は22C,22D)にそれぞ
れ同時に当接するように両端面21B,21C(又は2
2B,22C)間を弾性的に拡張させるスライダ拡張手
段40が設けられている。
【0057】つまり、図2に示すように、各スライダ本
体21,22は、第1分割スライダ36と第2分割スラ
イダ37との2つに分割されており、第1分割スライダ
36は第1の内壁面28A,28Cに摺接しうる第1の
端面21B,22Bを有し、第2分割スライダ37は第
2の内壁面28B,28Dに摺接しうる第2の端面21
C,22Cを有している。
【0058】また、第1及び第2分割スライダ36,3
7の分割は、ドライブピン(ピン部材)23,24の軸
心線の直交面に対して傾斜したテーパ平面により行なわ
れている。そして、第1及び第2分割スライダ36,3
7には、この分割により、傾斜面(ドライブピン23,
24の軸心線の直交面に傾斜した面)36A,37Aが
それぞれ形成されている。
【0059】さらに、第1及び第2分割スライダ36,
37をドライブピン23,24の軸心線方向へ付勢する
ばね(弾性部材)38が設けられている。この実施例で
は、ばね38は、ドライブアーム19又はアーム部20
と、スライダ本体21又は22の第2分割スライダ37
との間の、ドライブピン23,24の外周に圧縮状態で
配設されている。
【0060】さらに、第1及び第2分割スライダ36,
37の各穴部36B,37Bは、これらが直列に並ぶこ
とで第1スライダ本体21又は第2スライダ本体22の
穴部21A又は22Aを構成するが、これらの穴部36
B,37Bの内径Dは、ピン部材としてのドライブピン
23,24の外径dよりも所要量だけ大きく形成されて
いる。即ち、第1及び第2分割スライダ36,37はド
ライブピン23,24に対してそれぞれ所要範囲(D−
dの距離範囲)で側方へ自由に移動しうるように遊嵌し
ているのである。
【0061】そして、各分割スライダ36,37の傾斜
面36A,37Aは、互いに摺動可能に接合しており、
ばね38の付勢力を受けると、傾斜面36A,37Aを
相互に摺動させながら、第1分割スライダ36の端面
(第1の端面)21B,21Cは第1の内壁面28A,
28Cに接合し、第2分割スライダ37の端面(第2の
端面)22B,22Cは第2の内壁面28B,28Dに
接合するように、各傾斜面36A,37Aの方向を設定
されている。
【0062】スライダ拡張手段40は、このよう形成さ
れた各分割スライダ36,37及びばね(弾性部材)3
8から構成されている。したがって、スライダ拡張手段
40を通じて、分割スライダ36,37の両端面21
B,21C及び22B,22Cは、両内壁面28A,2
8B又は28C,28D間の距離(幅)W(2L+d≦
W≦2L+2D−d)に応じた距離だけ離隔して、各端
面21B,21C及び22B,22Cと各内壁面28
A,28B又は28C,28Dは、互いに離隔すること
がなく常に当接する。
【0063】各スライダ部材17,18はこのように構
成されるが、スライダ本体21と溝16Aとの間では、
スライダ本体21の端面21B,21Cと溝16Aの内
壁面28A,28Bとの間で、溝16Bとスライダ本体
22との間では、溝16Bの内壁面28C,28Dとス
ライダ本体22の端面22B,22Cとの間で、それぞ
れ回転力の伝達が行なわれる。
【0064】このように回転を伝達する際に、係合ディ
スク16が偏心していることにより、係合ディスク16
がカムシャフト11に対して先行したり遅延したりする
ことを繰り返し、また、カムローブ12は係合ディスク
16に対して先行したり遅延したりすることを繰り返し
ながら、カムローブ12がカムシャフト11とは不等速
で回転するようになっている。
【0065】この回転原理は、図12を参照して従来技
術の欄で既に説明したものとほぼ同様であり、ここで
は、図5に基づいて、カムシャフトの各回転位相(カム
シャフト角度)に対するようにして、係合ディスク16
やカムローブ12の回転位相について説明する。つま
り、図5(A)に示すように、カムシャフト11の回転
中心O1 と係合ディスク16の回転中心O2 とを結んだ
直線(実際上は平面)BL上の上方にドライブピン23
の軸心線が位置して、直線(平面)BL上の下方にドラ
イブピン24の軸心線が位置する状態を基準(カムシャ
フト角度=0deg)として、この状態から、カムシャ
フト11が図5(A)中に矢印で示すように時計回りに
回転した場合を考える。
【0066】上述のように、カムシャフト11の回転
は、ドライブアーム19から、穴部19A,ドライブピ
ン23,穴部21A,スライダ本体21,溝16Aを経
て係合ディスク16に伝達していくので、例えばカムシ
ャフト11がその回転中心O1の回りに90deg(=
直角分)だけ回転して、カムシャフト角度が90°(以
下、角度を表す「deg」を「°」を用いて示す)とな
ると、ドライブピン23は、図5(B)に示すような位
置になる。
【0067】係合ディスク16の回転中心O2 はカムシ
ャフト11がその回転中心O1 に対して偏心している
(ここでは、図中下方に偏心している)ので、このとき
のドライブピン23及びスライダ本体21の中心はカム
シャフト11の回転中心O1 に対しては90°回転して
いるが、係合ディスク16の回転中心O2 に対しては9
0°よりも角度θ2 分だけ少ない回転量θ1 (=90°
−θ2 )となる。
【0068】このとき同時に、係合ディスク16の回転
は、さらに、溝16B,スライダ本体22,穴部22
A,ドライブピン24,穴部20Aを経て、アーム部2
0からカムローブ12へと伝達していく。ドライブピン
24及びスライダ本体22の係合ディスク16の回転中
心O2 に対する回転量はドライブピン23及びスライダ
本体21の回転中心O2 に対する回転量と等しいので、
ドライブピン24及びスライダ本体22の係合ディスク
16の回転中心O2 に対する回転量はθ1 となる。さら
に、このドライブピン24及びスライダ本体22のカム
ローブ12の回転中心O1 に対する回転量θ3 を考える
と、この回転量θ3 は、次式のように示すことができ、
係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量θ1
りもさらに小さくなる。
【0069】 θ3 =90°−θ4 ,ただし、θ4 ≒2θ2 したがって、カムシャフト11がその回転中心O1 の回
りに、カムシャフト角度0°から90°まで、90°だ
け回転する間に、カムローブ12は回転中心O 1 の回り
に90°よりも小さい回転量θ3 だけ回転することにな
り、この間は、カムローブ12はカムシャフト11より
も低速回転することになる。
【0070】そして、さらに、カムシャフト11が回転
中心O1 の回りに、カムシャフト角度90°から180
°まで、90°だけ回転すると、ドライブピン23は、
図5(C)に示すような位置になる。ドライブピン23
が図5(C)に示す位置にくると、直線BL上の上方に
ドライブピン24の軸心線が位置し、直線BL上の下方
にドライブピン23の軸心線が位置するようになり、カ
ムシャフト11の回転位相とカムローブ12の回転位相
とが一致するようになる。
【0071】したがって、この間、即ち図5(B)に示
すカムシャフト角度90°の状態から図5(C)に示す
カムシャフト角度180°に至るまで、カムシャフト1
1が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は
次式で示される回転量θ5 だけ回転することになり、こ
の間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも高速
回転することになる。
【0072】θ5 =180°−θ3 =90°+θ4 そして、さらに、カムシャフト11が回転中心O1 の回
りに、カムシャフト角度180°から270°まで、9
0°だけ回転すると、ドライブピン23は、図5(D)
に示すような位置になる。ドライブピン23が図5
(D)に示す位置にくると、図5(B)に示す場合とは
反対に、ドライブピン23及びスライダ本体21は、カ
ムシャフト11の回転中心O1 に対しては90°回転し
ているが係合ディスク16の回転中心O2 に対しては9
0°よりも角度θ2 分だけ多い回転量θ6 (=90°+
θ2 )となり、,ドライブピン24及びスライダ本体2
2の係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量は
θ6 、さらに、このドライブピン24及びスライダ本体
22のカムローブ12の回転中心O1 に対する回転量は
θ7 となる。この回転量θ7 は、次式のように示すこと
ができ、係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転
量θ6 よりもさらに大きくなる。
【0073】θ7 =90°+θ4 =θ5 したがって、この間、即ち図5(C)から図5(D)に
至る間に、カムシャフト11が90°だけ回転するのに
対して、カムローブ12は次式で示される回転量θ7
け回転することになり、この間は、カムローブ12はカ
ムシャフト11よりも高速回転することになる。
【0074】そして、さらに、カムシャフト11が回転
中心O1 の回りに、カムシャフト角度270°から36
0°(=0°)まで、90°だけ回転すると、ドライブ
ピン23は、再び図5(A)に示すような位置になる。
ドライブピン23が図5(A)に示す位置にくると、直
線BL上の上方にドライブピン23の軸心線が位置し、
直線BL上の下方にドライブピン24の軸心線が位置す
るようになり、カムシャフト11の回転位相とカムロー
ブ12の回転位相とが一致するようになる。
【0075】したがって、この間、即ち図5(D)から
図5(A)に至る間に、カムシャフト11が90°だけ
回転するのに対して、カムローブ12は次式で示される
回転量θ8 (図示略)だけ回転することになり、この間
は、カムローブ12はカムシャフト11よりも低速回転
することになる。 θ8 =180°−θ7 =90°−θ4 =θ3 また、例えば図5(A)に示す状態におけるカムシャフ
ト11の回転速度とカムローブ12の回転速度との関係
は、図8に示すように、この時のカムシャフト11側
(ドライブ側)のドライブピン23とカムシャフト11
の回転中心O1 との距離をr1 、カムローブ12側(ド
リブン側)のドライブピン24とカムシャフト11の回
転中心O1 との距離をr2 として、カムシャフト11の
回転中心O 1 と係合ディスク16の回転中心O2 との距
離をe、カムシャフト11の回転速度(=ドライブピン
23の角速度)をω1 とすると、次のようになる。
【0076】つまり、 ドライブピン23の中心A点の接線速度=r1 ・ω1 A点での偏心軸心O2 回りの角速度=〔r1 /(r1
e)〕・ω1 ドライブピン24の中心B点の接線速度=〔r1 /(r
1 +e)〕・ω1 ・(r2 −e) となって、カムロー
ブ12の角速度(=カム6の角速度)ω2 は以下のよう
になる。 ω2 =〔r1 /(r1 +e)〕・ω1 ・(r2 −e)・(1/r2 ) =(r1 /r2 )・〔(r2 −e)/(r1 +e)〕・ω1 したがって、r1 =r2 =rとすると、カムローブ12
の角速度ω2 は、ω2 =〔(r−e)/(r+e)〕・
ω1 となり、e>0〔図5(A)に示す状態〕ならば、
ω2 <ω1 となって、カムローブ12がカムシャフト1
1よりも低速回転することがわかる。
【0077】このようにして、カムローブ12はカムシ
ャフト11に対して先行したり遅延したりしてカムシャ
フト11の回転速度とは不等速で回転するが、このカム
ローブ12はカムシャフト11に対する位相の変化は、
例えば図6に示すように正弦波状になる。なお、図6
中、横軸は図5の説明と対応するカムシャフト角度であ
り、縦軸はカムローブ12のカムシャフト11に対する
位相差であり、カムシャフト11に対して先行する場合
を正方向に設定している。
【0078】そして、このようにカムローブ12がカム
シャフト11に対して先行したり遅延したりする特性を
利用して、バルブの開閉タイミングを調整することがで
きる。例えば、バルブ2の閉鎖タイミングの近傍で、カ
ムローブ12をカムシャフト11に対して先行させれば
バルブ2の開放タイミングを速めることができ、カムロ
ーブ12をカムシャフト11に対して遅延させればバル
ブ2の開放タイミングを遅らせることができる。また、
バルブ2の閉鎖タイミングの近傍で、カムローブ12を
カムシャフト11に対して先行させれば閉鎖タイミング
を速めることができ、カムローブ12をカムシャフト1
1に対して遅延させればバルブ2の閉鎖タイミングを遅
らせることができる。
【0079】このようなカムローブ12のカムシャフト
11に対する位相のずれ方は、コントロールディスク1
4に一体的に設けられた偏心部15の偏心中心O2 の位
置を変えることで調整することができる。そこで、本装
置には、この偏心部15の位相調整を行なうために、図
1,図4に示すように、コントロールディスク(制御部
材)14を回転させて偏心位置を調整する偏心位置調整
機構30が設けられている。
【0080】この偏心位置調整機構30は、コントロー
ルディスク14の外周に形成された第1ギヤ31を通じ
てコントロールディスク14を回動するギヤ機構32
と、このギヤ機構32を駆動する駆動手段としての電動
モータ33とをそなえている。ギヤ機構32は、カムシ
ャフト11と平行に設置されたギヤ軸32Aと、このギ
ヤ軸32Aに設置されて第1ギヤ31と噛合する第2ギ
ヤ(コントロールギヤ)32Bと、モータ33の回転軸
に設けられたギヤ33Aと噛合する第3ギヤ32Cとか
ら構成される。なお、モータ33の回転軸はギヤ軸32
Aとは捩れの関係にあり、第3ギヤ32C,モータ側ギ
ヤ33Aは、第3ギヤ32Cをウォームホイールに、モ
ータ側ギヤ33Aをウォームギヤとする、ウォームギヤ
機構として構成される。
【0081】また、モータ33は、制御手段としての電
子制御ユニット(ECU)34により制御されるように
なっている。すなわち、ECU34では、ポジションセ
ンサ35の検出信号に基づいて、コントロールディスク
14の回転位相が所要の状態になるようにモータ33の
作動を制御するようになっている。なお、ここでは、ポ
ジションセンサ35を設置の容易なギヤ軸32Aの端部
に設けており、このギヤ軸32Aの回転位相の状態から
コントロールディスク14の回転位相を検出するように
構成されている。
【0082】このように、コントロールディスク14の
回転位相(位置)を変更すると、カムシャフト角度に対
するカムローブの位相差の状態が変化する。例えば、図
6中の上方に、0°,45°,90°,135°,18
0°を示しているが、これらは、図6に示すような偏心
状態を基準(コントロールディスク14の回転位相=0
°)とした場合のコントロールディスク14の位置(回
転位相)であり、各角度を記載した位置は、カムシャフ
ト角度180°の位置を示している。
【0083】即ち、コントロールディスク14の位置が
0°であれば、カムシャフト角度180°の横軸目盛は
図6に示すようになるが、コントロールディスク14の
位置が45°になると、カムシャフト角度180°の横
軸目盛は、この「45°」を示す位置(図6中の「22
5°」の位置)に変位する。また、コントロールディス
ク14の位置が90°になると、カムシャフト角度18
0°の横軸目盛はこの「90°」を示す位置(図6中の
「270°」の位置)に変位する。
【0084】さらに、コントロールディスク14の位置
が135°になると、カムシャフト角度180°の横軸
目盛はこの「135°」を示す位置(図6中の「315
°」の位置)に、コントロールディスク14の位置が1
80°になると、カムシャフト角度180°の横軸目盛
はこの「180°」を示す位置(図6中の「360°」
の位置)に、それぞれ変位する。
【0085】このように、コントロールディスク14の
位置を調整すると、バルブのリフト状態も変化する。つ
まり、図5(A)に示すようなカムシャフト角度が0°
の時にカム6の凸部6Aの頂部がバルブ2に作用するよ
うに設定して、図5(A)〜(D),図6に示すように
カムローブ12のカムシャフト11に対する位相変化の
特性を設定した場合には、バルブのリフト状態は図7の
曲線L1のような特性になる。
【0086】つまり、コントロールディスク14の回転
位相が0°であって、図5(A)〜(D)に示すように
カムローブ12が作動すると、カムシャフト角度が90
°で最も位相の遅れた状態になり、カムシャフト角度が
0°から180°までは、カムローブ12がカムシャフ
ト11に対して位相遅れを生じる。また、カムシャフト
角度が270°で最も位相の進んだ状態になり、カムシ
ャフト角度が180°から360°までは、カムローブ
12がカムシャフト11に対して位相進みを生じる。す
なわち、バルブリフトが最大となるカムシャフト角度0
°を中心に、これよりも前(カムシャフト角度が負)で
はカムローブ12の位相が進み、これよりも後(カムシ
ャフト角度が正)ではカムローブ12の位相が遅れるの
で、バルブのリフト状態は図7の曲線L1に示すような
特性になる。
【0087】そして、コントロールディスク14の回転
位相が45°に調整されると、カムローブ位相差の特性
が変化し、カムシャフト角度が45°で最も位相の遅れ
た状態になり、コントロールディスク14の回転位相が
0°の場合に比べて、カムシャフト角度が0°よりも前
(カムシャフト角度が負)でのカムローブ12の位相進
みは減少し、これよりも後(カムシャフト角度が正)で
のカムローブ12の位相遅れも減少する。したがって、
バルブのリフト状態は図7の曲線L2に示すような特性
になる。
【0088】さらに、コントロールディスク14の回転
位相が90°に調整されると、カムローブ位相差の特性
がさらに変化し、カムシャフト角度が0°で最も位相の
遅れた状態になり、コントロールディスク14の回転位
相が45°の場合に比べて、カムシャフト角度が0°よ
りも前(カムシャフト角度が負)でのカムローブ12の
位相進みは減少し、これよりも後(カムシャフト角度が
正)でのカムローブ12の位相遅れも減少する。したが
って、バルブのリフト状態は図7の曲線L3に示すよう
な特性になる。
【0089】同様に、コントロールディスク14の回転
位相が135°や180°に調整された場合には、バル
ブのリフト状態は図7の曲線L4やL5に示すような特
性になる。また、バルブリフト特性L1〜L5に対応す
るバルブの加速度特性は、それぞれ図7中に示す曲線A
1〜A5のようになる。
【0090】特に、本可変動弁機構では、ECU34
に、エンジン回転数センサ(図示略)からの検出情報
(エンジン回転数情報)やエアフローセンサ(図示略)
からの検出情報(AFS情報)等が入力されるようにな
っており、偏心位置調整機構30におけるモータ33の
制御は、これらの情報に基づいて、エンジンの回転速度
や負荷状態に応じて行なうようになっている。
【0091】すなわち、エンジンの高速時や高負荷時に
は、例えば図7の曲線L4やL5のようなバルブリフト
特性になるようにコントロールディスク14の回転位相
を調整して、バルブの開放時間を長時間にするように制
御する。また、エンジンの低速時や低負荷時には、例え
ば図7の曲線L1やL2のようなバルブリフト特性にな
るようにコントロールディスク14の回転位相を調整し
て、バルブの開放時間を短時間にするように制御する。
【0092】本発明の一実施例としての内燃機関の可変
動弁機構は、上述のように構成されているので、偏心位
置調整機構30を通じて、コントロールディスク14の
回転位相を調整しながら、バルブの開度特性が制御され
る。つまり、ECU34では、エンジン回転数情報やA
FS情報等に基づいて、エンジンの回転速度や負荷状態
に応じたコントロールディスク14の回転位相を設定し
て、ポジションセンサ35の検出信号に基づいて、コン
トロールディスク14の実際の回転位相が設定された状
態になるように、モータ33の作動制御を通じてコント
ロールディスク14を駆動する。
【0093】例えば、コントロールディスク14の回転
位相が図5(A)〜(D)に示す状態(即ち、0 °)で
あれば、カムシャフト11が一回転する際に、カム6を
そなえたカムローブ12は、カムシャフト角度が0°〜
90°の間では、図5(A),(B)及び図6に示すよ
うに、カムシャフト11に対して位相遅れを生じ、カム
シャフト角度が90°〜180°の間では、図5
(B),(C)及び図6に示すように、カムシャフト1
1に対して位相進みを生じ、カムシャフト角度が180
°〜270°の間でも、図5(C),(D)及び図6に
示すように、カムシャフト11に対して位相進みを生
じ、カムシャフト角度が270°〜360°の間では、
図5(D),(A)及び図6に示すように、カムシャフ
ト11に対して位相遅れを生じる。
【0094】これにより、バルブのリフト特性は、図7
の曲線L1に示すように、開放タイミングは遅く且つ閉
鎖タイミングは速い、バルブ開放時間の短いものにな
る。そして、コントロールディスク14の回転位相を例
えば0°から次第に進めていくことで、図7の曲線L
2,L3,L4,L5のように、バルブの開放タイミン
グは次第に速まり又閉鎖タイミングは次第に遅くなっ
て、バルブ開放時間が次第に長くなる。
【0095】本可変動弁機構では、ECU34によるモ
ータ33の作動制御を通じて、例えば図7に示す曲線L
3を中心に、エンジンの回転速度やエンジンの負荷が高
くなるほど、図7の曲線L4やL5のようにバルブ開放
時間を長くしていき、逆に、エンジンの回転速度やエン
ジンの負荷が低くなるほど、図7の曲線L2やL1のよ
うにバルブ開放時間を短くしていく。
【0096】このようにして、エンジンの運転状態に応
じてコントロールディスク14の回転位相(位置)を制
御しながら、エンジンの運転状態に適したバルブ駆動を
行なえるようになる。特に、バルブのリフト特性は、連
続的に調整することができるので、常にエンジンの運転
状態に最適の特性でバルブ駆動を行なえるようになるの
である。
【0097】そして、スライダ拡張手段40を通じて、
分割スライダ36,37の両端面21B,21C及び2
2B,22Cが対応する各内壁面28A,28B,28
C,28Dに対して離隔することがなく常に当接してい
るので、特に、伝達される回転トルクの正負変動があっ
て回転トルク伝達にかかる端面が切り替わっても打音は
発生しなくなり、機関の静粛性が向上する。
【0098】また、スライダ本体21,22の幅は、図
9(A)に示す最小幅から図9(B)に示す最大幅まで
にわたってばね38によって自動的に調整されるので、
スライダ用溝16A,16Bの幅(第1の内壁面28
A,28Cと第2の内壁面28B,28Dとの距離)W
の製品誤差や分割スライダ36,37やドライブピン2
3,24等の製品誤差等を吸収できる利点もある。
【0099】また、端面21B,21C,22B,22
Cの内壁面28A〜28Dへの当接はばね38による弾
性的な力によるので、この弾性力の調整で、スライダ本
体のラジアル方向への摺動を妨げないようにしながら、
打音の発生を防止することもできる。さらに、例えば図
10に示すように、第1の内壁面28A,28Cと第2
の内壁面28B,28Dとが互いに平行でないような形
状誤差が生じていても、各分割スライダ36,37がこ
れに応じたように変形しながら、その両端面21B,2
1C及び22B,22Cを第1の内壁面28A,28C
及び第2の内壁面28B,28Dに当接させるようにな
り、回転トルクの伝達を確実に行なうことができ、打音
の発生も防止することができる。
【0100】また、本可変動弁機構では、不等速継手1
3における偏心状態を調整する部材、即ち、偏心部15
が、不等速継手13の内側に設けられているので、不等
速継手全体の外径を縮小できて、システム全体を小型化
しうる利点がある。つまり、不等速継手13におけるト
ルク伝達部材、即ち、ドライブピン23,24を回転中
心に近づけるのには限度があり、偏心状態を調整する部
材(偏心部)15を不等速継手13の外側に設けるとこ
の分だけどどうしても不等速継手13の外径が拡大して
しまう。これに対して、本機構では、偏心部15がドラ
イブピン23,24よりも内側に設けられているので、
不等速継手全体の外径を縮小でき、システム全体を小型
化しうるのである。
【0101】また、本機構では、カムシャフト11の外
側にカムローブ12をそなえた2重軸構造であり、これ
らのカムシャフト11とカムローブ12とが軸方向へ長
くそして大きな面積に亘って摺接している構造ではある
が、カムシャフト11とカムローブ12との相対回転
は、図6に示すように、カムローブ12のカムシャフト
11に対する位相変化分だけであって、カムシャフト1
1やカムローブ12の回転速度に比べて極めて僅かなも
のである。
【0102】したがって、これらのカムシャフト11と
カムローブ12との摺接部の磨耗は極めて僅かなものに
なる。また、偏心部15の偏心位置の調整は、電動モー
タ33から、モータ側ギヤ33A,第3ギヤ32C,ギ
ヤ軸32A,第2ギヤ32Bを通じて、第1ギヤ31か
らコントロールディスク14の偏心部15へと伝達さ
れ、第3ギヤ32Cと第2ギヤ32Bとの間の距離やギ
ヤ軸32Aの剛性の設定等に比較的自由度があるので、
偏心位置の調整に際して、シャフト類の捩れ等の影響を
防止し易く、バルブ駆動を適切なタイミングで行なえる
ようになる。
【0103】また、本可変動弁機構では、不等速継手1
3を各気筒毎に設置することができるので、エンジンの
形状や形式に限定されることなく、4気筒エンジン等の
各種の直列多気筒エンジンをはじめとして、あらゆるタ
イプのエンジンに対して、本機構を適用することができ
る。なお、本実施例では、第1スライダ部材17につい
て、ドライブピン23をカムシャフト11側に設けスラ
イダ本体21を係合ディスク16側に設けているが、こ
れとは逆に、ドライブピン23を係合ディスク16側に
設けスライダ本体21をカムシャフト11側に設けるよ
うにしてもよい。第2スライダ部材18についても、ド
ライブピン24を係合ディスク16側に設けスライダ本
体22をカムローブ12側に設けるようにしてもよい。
【0104】また、各実施例で、バルブステムとカムと
の間のバルブ駆動形態が異なっているが、本内燃機関の
可変動弁機構は、このようなバルブ駆動形態については
何ら限定するものでも又限定されるものもなく、各種の
バルブ駆動形態に適用しうるものである。なお、分割ス
ライダ36,37の穴部36B,37Bは、断面形状が
円形のものに限定されず、例えば図11に示すように、
断面形状が両内壁面28A,28B又は28C,28D
に向かう方向に延びた長円のもの36B′,37B′で
もよい。
【0105】また、本発明の可変動弁機構におけるスラ
イダ拡張手段は、スライダ本体の幅をスライダ本体が係
合する溝幅に応じて拡幅させうるものであればよく、上
述の実施例のものに限定されない。そして、このような
スライダ拡張手段の技術は、本実施例のような構成の可
変動弁機構に限定されることなく、例えば第1〜第3の
従来例のような他の各種の可変動弁機構等にも適用しう
るものである。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように、請求項1記載の本
発明の内燃機関の可変動弁機構によれば、エンジンのク
ランク軸に連動して回転駆動される第1回転部材と、該
第1回転部材の外周に該第1回転部材と同心上に該第1
回転部材と相対回転可能に設けられた第2回転部材と、
該第2回転部材に設けられて弁を駆動するカムと、該第
1回転部材及び該第2回転部材の回転中心から偏心した
位置に回転中心を有し該第1回転部材及び該第2回転部
材に対して相対回転しうる係合部材と、該第1回転部材
に設けられた第1接続部と、該第2回転部材に設けられ
た第2接続部と、該係合部材と該第1接続部とのうちの
一方にラジアル方向へ摺動自在に装着されて該第1接続
部から該係合部材へ回転を伝達する第1スライダ部材
と、該係合部材と該第2接続部とのうちの一方にラジア
ル方向へ摺動自在に装着されて該係合部材から該第2接
続部へ回転を伝達する第2スライダ部材と、該係合部材
の偏心状態を機関の運転状態に応じて調整するための偏
心位置調整機構とをそなえ、該係合部材と該第1接続部
とのうちの一方,又は該係合部材と該第2接続部とのう
ちの一方に回転を伝達しうるように一対の対向する内壁
面を有する溝部が形成されて、該第1スライダ部材又は
該第2スライダ部材が、上記の一対の対向する内壁面に
それぞれ摺接しうる両端面部を有し該溝部にラジアル方
向へ摺動自在に係合したスライダ本体と、該係合部材と
該第1接続部とのうちの他方、又は該係合部材と該第2
接続部とのうちの他方に、該第1回転部材及び該第2回
転部材の回転中心と平行に突設されて該スライダ本体を
回転しうるように軸支するピン部材とをそなえて構成さ
れ、該スライダ本体に、上記の両端面部が、上記の一対
の対向する内壁面にそれぞれ当接するように該両端面部
間を弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設けられる
という構成により、スライダ本体の端面と溝部の内壁面
とのクリアランスが解消されて、回転トルクの正負変動
が生じても、スライダ本体と溝部との打音が発生しなく
なり、機関の静粛性が向上する。
【0107】請求項2記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構によれば、エンジンのクランク軸に連動して回転
駆動される第1回転部材と、該第1回転部材の外周に該
第1回転部材と同心上に該第1回転部材と相対回転可能
に設けられた第2回転部材と、該第2回転部材に設けら
れて弁を駆動するカムと、該第1回転部材の外周に回動
可能に支持され該第1回転部材及び該第2回転部材の回
転中心から偏心した位置に中心を有する環状の偏心部
と、該偏心部の外周に該偏心部の中心回りに回動可能に
支持された係合部材と、該第1回転部材に設けられた第
1接続部と、該第2回転部材に設けられた第2接続部
と、該係合部材と該第1接続部とのうちの一方にラジア
ル方向へ摺動自在に装着されて該第1接続部から該係合
部材へ回転を伝達する第1スライダ部材と、該係合部材
と該第2接続部とのうちの一方にラジアル方向へ摺動自
在に装着されて該係合部材から該第2接続部へ回転を伝
達する第2スライダ部材と、該偏心部を機関の運転状態
に応じた位置に回転させて該偏心部の偏心状態を調整す
るための偏心位置調整機構とをそなえ、該係合部材と該
第1接続部とのうちの一方,又は該係合部材と該第2接
続部とのうちの一方に回転を伝達しうるように一対の対
向する内壁面を有する溝部が形成されて、該第1スライ
ダ部材又は該第2スライダ部材が、上記の一対の対向す
る内壁面にそれぞれ摺接しうる両端面部を有し該溝部に
ラジアル方向へ摺動自在に係合したスライダ本体と、該
係合部材と該第1接続部とのうちの他方、又は該係合部
材と該第2接続部とのうちの他方に該第1回転部材及び
該第2回転部材の回転中心と平行に突設されて該スライ
ダ本体を回転しうるように軸支するピン部材とをそなえ
て構成され、該スライダ本体に、上記の両端面部が、上
記の一対の対向する内壁面にそれぞれ当接するように該
両端面部間を弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設
けられるという構成により、スライダ本体の端面と溝部
の内壁面とのクリアランスが解消されて、回転トルクの
正負変動が生じても、スライダ本体と溝部との打音が発
生しなくなり、機関の静粛性が向上する。
【0108】また、係合部材の偏心位置を調整しなが
ら、第2回転部材の第1回転部材に対する位相差状態を
調整しながら、弁の駆動タイミングを制御することがで
きる利点もある。また、特に、偏心部の近傍の外周を縮
小できて、システム全体を小型化しうる利点もある。
【0109】さらに、第1回転部材の外周に第2回転部
材が設けられてこれらの第1回転部材と第2回転部材と
が相対回転するが、この相対回転は、係合部材の偏心に
より生じる第2回転部材の第1回転部材に対する位相変
化分だけであり、これらの第1,第2回転部材の回転速
度に比べて極めて僅かなものなので、第1回転部材と第
2回転部材との摺接部の磨耗は極めて僅かなものに抑制
することができる。
【0110】また、偏心位置の調整は、該第1回転部材
の外周に回動可能に支持された偏心部を通じて行なうこ
とができるので、該第1回転部材の長手方向に多数の気
筒を有する内燃機関であっても、各気筒毎に該偏心部を
装備することができるようになる。したがって、各種の
直列多気筒エンジンをはじめとして、あらゆるタイプの
エンジンに対して、本機構を適用することができる利点
がある。
【0111】請求項3記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構によれば、請求項1又は2記載の構成において、
上記の一対の対向する内壁面が、第1の内壁面と第2の
内壁面とからなり、該スライダ本体が、該ピン部材の軸
心線の直交面に対して傾斜した平面で互いに分割された
第1分割スライダと第2分割スライダとからなり、該第
1分割スライダが、該第1の内壁面に摺接しうる第1の
端面部と、該第2分割スライダとの分割面である第1の
傾斜面と、該ピン部材を遊嵌される第1の穴部とを有す
るとともに、該第2分割スライダが、該第2の内壁面に
摺接しうる第2の端面部と、該第1分割スライダとの分
割面であって該第1の傾斜面と摺接する第2の傾斜面
と、該ピン部材を遊嵌される第2の穴部とを有し、該第
1の傾斜面と該第2の傾斜面とが、該ピン部材の軸心線
方向への圧縮力を加えられると互いの反力によって該第
1分割スライダは該第1の内壁面側へ押圧されるととも
に該第2分割スライダは該第2の内壁面側へ押圧される
ように設定されて、該スライダ拡張手段が、上記の第1
分割スライダ及び第2分割スライダと、これらの第1分
割スライダ及び第2分割スライダに上記の圧縮力を与え
る弾性部材とから構成されるという構成により、スライ
ダ本体の端面と溝部の内壁面とのクリアランスを確実に
解消することができて、回転トルクの正負変動に起因す
るスライダ本体と溝部との打音を確実にぺうしすること
ができて、機関の静粛性を向上することができる。
【0112】請求項4記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構によれば、請求項2又は3記載の構成において、
該偏心部に該係合部材よりも外部に張り出した被駆動部
を有する制御部材が設けられ、該偏心位置調整機構に該
被駆動部を駆動する駆動手段が設けられるという構成に
より、偏心位置の調整を、該第1回転部材の外周に回動
可能に支持された制御部材の被駆動部を回動させること
で、該第1回転部材の外周から行なうことができるの
で、該第1回転部材の長手方向に多数の気筒を有する内
燃機関であっても、各気筒毎に該制御部材を装備するこ
とができ、各種の直列多気筒エンジンをはじめとして、
あらゆるタイプのエンジンに対して、本機構を適用する
ことができる利点がある。
【0113】請求項5記載の本発明の内燃機関の可変動
弁機構によれば、請求項4記載の構成において、該偏心
位置調整機構に、該機関の運転状態に応じて該駆動手段
の作動を制御する制御手段が設けられるという構成によ
り、機関の運転状態に適した状態に偏心位置の調整を行
なうことで、弁の駆動タイミングを機関の運転状態に適
したものにすることができ、機関の性能向上に寄与しう
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構を示す内燃機関の模式的な断面図である。
【図2】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構のスライダ部材を示す図であり、(A)は図1のA
−A矢視断面図であり、(B)は図2(A)のC矢視図
である。
【図3】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構の要部を示す断面図であり、図1のB−B矢視断面
図である。
【図4】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構における偏心位置調整機構(制御手段)を主体とし
て模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構における不等速機構の作動について示す断面図であ
る。
【図6】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構の不等速機構について説明する特性図である。
【図7】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構による偏心位置調整に応じたバルブリフト特性を示
す図である。
【図8】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構の不等速機構について説明するための模式図であ
る。
【図9】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動弁
機構のスライダ部材におけるスライダ拡張手段を説明す
る図であり、(A)は最大拡張状態を示し、(B)は最
大縮小状態を示す。
【図10】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動
弁機構のスライダ部材におけるスライダ拡張手段の効果
を説明する図である。
【図11】本発明の一実施例としての内燃機関の可変動
弁機構のスライダ部材の変形例を示す図である。
【図12】従来の内燃機関の可変動弁機構としての可変
バルブタイミングカムシャフト機構(第1従来例)を示
す斜視図である。
【図13】第1従来例を示す断面図である。
【図14】第1従来例の不等速継手の作動原理を説明す
る図である。
【図15】従来の内燃機関の可変動弁機構としての内燃
機関の給気弁駆動制御装置(第2従来例)を示す要部縦
断面図である。
【図16】第2従来例を示す要部横断面図である。
【図17】従来の内燃機関の可変動弁機構としての可変
カムシャフト機構(第3従来例)を示す要部縦断面図で
ある。
【図18】第3従来例を示す要部横断面図(図17のD
−D矢視断面図)である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド 2 バルブ 2A バルブ2のステム端部 3 バルブスプリング 4 タペット 5 シム 6 カム 6A カム6の凸部 7 シリンダヘッド1側の軸受部 11 第1回転部材としてのカムシャフト 12 第2回転部材としてのカムローブ 13 不等速継手 14 コントロールディスク(制御部材) 15 偏心部 16 係合部材としての係合ディスク 16A,16B スライダ用溝 16C 円筒内周面 16D 穴部 17 第1スライダ部材 18 第2スライダ部材 19 第1接続部としてのドライブアーム 20 第2接続部としてのアーム部 21,22 スライダ本体 19A,20A,21A,22A 穴部 21B スライダ本体21の第1の端面 21C スライダ本体21の第2の端面 22B スライダ本体22の第1の端面 22C スライダ本体22の第2の端面 23,24 ドライブピン 25 ロックピン 26 第1接続部としての突設ピン部材 27 コマ部材 27A 円形穴部 27B 円筒外周面 28A 溝16Aの第1の内壁面 28B 溝16Aの第2の内壁面 28C 溝16Bの第1の内壁面 28D 溝16Bの第2の内壁面 30 偏心位置調整機構 31 第1ギヤ 32 ギヤ機構 32A ギヤ軸 32B 第2ギヤ(コントロールギヤ) 32C 第3ギヤ 33 駆動手段としての電動モータ 33A モータ側ギヤ 34 制御手段としての電子制御ユニット(ECU) 35 ポジションセンサ 36 第1分割スライダ 37 第2分割スライダ 36A,37A 傾斜面 36B,37B 穴部 38 ばね(弾性部材) 40 スライダ拡張手段

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エンジンのクランク軸に連動して回転駆
    動される第1回転部材と、 該第1回転部材の外周に該第1回転部材と同心上に該第
    1回転部材と相対回転可能に設けられた第2回転部材
    と、 該第2回転部材に設けられて弁を駆動するカムと、 該第1回転部材及び該第2回転部材の回転中心から偏心
    した位置に回転中心を有し該第1回転部材及び該第2回
    転部材に対して相対回転しうる係合部材と、該第1回転
    部材に設けられた第1接続部と、 該第2回転部材に設けられた第2接続部と、 該係合部材と該第1接続部とのうちの一方にラジアル方
    向へ摺動自在に装着されて該第1接続部から該係合部材
    へ回転を伝達する第1スライダ部材と、 該係合部材と該第2接続部とのうちの一方にラジアル方
    向へ摺動自在に装着されて該係合部材から該第2接続部
    へ回転を伝達する第2スライダ部材と、 該係合部材の偏心状態を機関の運転状態に応じて調整す
    るための偏心位置調整機構とをそなえ、 該係合部材と該第1接続部とのうちの一方,又は該係合
    部材と該第2接続部とのうちの一方に回転を伝達しうる
    ように一対の対向する内壁面を有する溝部が形成され
    て、 該第1スライダ部材又は該第2スライダ部材が、 上記の一対の対向する内壁面にそれぞれ摺接しうる両端
    面部を有し該溝部にラジアル方向へ摺動自在に係合した
    スライダ本体と、 該係合部材と該第1接続部とのうちの他方、又は該係合
    部材と該第2接続部とのうちの他方に、該第1回転部材
    及び該第2回転部材の回転中心と平行に突設されて該ス
    ライダ本体を回転しうるように軸支するピン部材とをそ
    なえて構成され、 該スライダ本体に、上記の両端面部が、上記の一対の対
    向する内壁面にそれぞれ当接するように該両端面部間を
    弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設けられている
    ことを特徴とする、内燃機関の可変動弁機構。
  2. 【請求項2】 エンジンのクランク軸に連動して回転駆
    動される第1回転部材と、 該第1回転部材の外周に該第1回転部材と同心上に該第
    1回転部材と相対回転可能に設けられた第2回転部材
    と、 該第2回転部材に設けられて弁を駆動するカムと、 該第1回転部材の外周に回動可能に支持され該第1回転
    部材及び該第2回転部材の回転中心から偏心した位置に
    中心を有する環状の偏心部と、 該偏心部の外周に該偏心部の中心回りに回動可能に支持
    された係合部材と、 該第1回転部材に設けられた第1接続部と、 該第2回転部材に設けられた第2接続部と、 該係合部材と該第1接続部とのうちの一方にラジアル方
    向へ摺動自在に装着されて該第1接続部から該係合部材
    へ回転を伝達する第1スライダ部材と、 該係合部材と該第2接続部とのうちの一方にラジアル方
    向へ摺動自在に装着されて該係合部材から該第2接続部
    へ回転を伝達する第2スライダ部材と、 該偏心部を機関の運転状態に応じた位置に回転させて該
    偏心部の偏心状態を調整するための偏心位置調整機構と
    をそなえ、 該係合部材と該第1接続部とのうちの一方,又は該係合
    部材と該第2接続部とのうちの一方に回転を伝達しうる
    ように一対の対向する内壁面を有する溝部が形成され
    て、 該第1スライダ部材又は該第2スライダ部材が、 上記の一対の対向する内壁面にそれぞれ摺接しうる両端
    面部を有し該溝部にラジアル方向へ摺動自在に係合した
    スライダ本体と、 該係合部材と該第1接続部とのうちの他方、又は該係合
    部材と該第2接続部とのうちの他方に、該第1回転部材
    及び該第2回転部材の回転中心と平行に突設されて該ス
    ライダ本体を回転しうるように軸支するピン部材とをそ
    なえて構成され、 該スライダ本体に、上記の両端面部が、上記の一対の対
    向する内壁面にそれぞれ当接するように該両端面部間を
    弾性的に拡張させるスライダ拡張手段が設けられている
    ことを特徴とする、内燃機関の可変動弁機構。
  3. 【請求項3】 上記の一対の対向する内壁面が、第1の
    内壁面と第2の内壁面とからなり、 該スライダ本体が、該ピン部材の軸心線の直交面に対し
    て傾斜した平面で互いに分割された第1分割スライダと
    第2分割スライダとからなり、 該第1分割スライダが、該第1の内壁面に摺接しうる第
    1の端面部と、該第2分割スライダとの分割面である第
    1の傾斜面と、該ピン部材を遊嵌される第1の穴部とを
    有するとともに、 該第2分割スライダが、該第2の内壁面に摺接しうる第
    2の端面部と、該第1分割スライダとの分割面であって
    該第1の傾斜面と摺接する第2の傾斜面と、該ピン部材
    を遊嵌される第2の穴部とを有し、 該第1の傾斜面と該第2の傾斜面とが、該ピン部材の軸
    心線方向への圧縮力を加えられると該第1分割スライダ
    は該第1の内壁面側へ押圧されるとともに該第2分割ス
    ライダは該第2の内壁面側へ押圧されるように設定され
    て、 該スライダ拡張手段が、上記の第1分割スライダ及び第
    2分割スライダと、これらの第1分割スライダ及び第2
    分割スライダに上記の圧縮力を与える弾性部材とから構
    成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の
    内燃機関の可変動弁機構。
  4. 【請求項4】 該偏心部に該係合部材よりも外部に張り
    出した被駆動部を有する制御部材が設けられ、 該偏心位置調整機構に該被駆動部を駆動する駆動手段が
    設けられていることを特徴とする、請求項2又は3記載
    の内燃機関の可変動弁機構。
  5. 【請求項5】 該偏心位置調整機構に、該機関の運転状
    態に応じて該駆動手段の作動を制御する制御手段が設け
    られていることを特徴とする、請求項4記載の内燃機関
    の可変動弁機構。
JP14785995A 1995-06-14 1995-06-14 内燃機関の可変動弁機構 Withdrawn JPH08338212A (ja)

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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2006025174A1 (ja) * 2004-08-31 2006-03-09 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha 可変バルブ駆動装置、エンジン及び自動二輪車
WO2006030587A1 (ja) * 2004-09-15 2006-03-23 Yamaha Hatsudoki Kabushiki Kaisha 可変バルブ駆動装置、エンジン及び自動二輪車
DE19804575B4 (de) * 1997-02-07 2008-04-10 Mitsubishi Jidosha Kogyo K.K. Verfahren zur Steuerung eines variablen Ventilmechanismus sowie Verfahren zur Steuerung eines mit dem Ventilmechanismus versehenen Verbrennungsmotors
JP2018096366A (ja) * 2016-12-15 2018-06-21 現代自動車株式会社Hyundai Motor Company 連続可変バルブデュレーション装置およびこれを含むエンジン

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