JP3694073B2 - 可変動弁制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁を機関の運転状態に応じたタイミングで開閉制御可能に構成した動弁機構に用いて好適の、可変動弁制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば往復動式内燃機関(以下、エンジンという)にそなえられた吸気弁や排気弁(以下、これらを総称して機関弁とも言う)のように、カムによって開閉駆動される往復動バルブがある。このようなバルブはカムの形状や回転位相に応じたバルブリフト状態で駆動される。したがって、このようなバルブの開放や閉鎖のタイミング及び開放期間(バルブを開放している期間をカムシャフトの回転角度の単位で示した量)も、カムの形状や回転位相に応じることになる。
【0003】
ところで、エンジンにそなえられた吸気弁や排気弁の場合には、エンジンの負荷状態や速度状態に応じて最適な開閉タイミングや開放期間が異なる。そこで、このようなバルブの開閉タイミングや開放期間を変更できるようにした装置が各種提案されている。
例えば高速用のカムプロフィルを有するカムと低速用のカムプロフィルを有するカムとを選択して用いるようにして、高速時と低速時とでそれぞれに適合したバルブ開閉タイミング及び開放期間でバルブを開閉するようにした装置も開発されており実用化されている。
【0004】
また、カムとカムシャフトとの間に不等速継手を介装して、この不等速継手を通じて、カムをカムシャフトに対して相対回転させながらカムをカムシャフトとは異なる速度で回転させるようにして、バルブ開閉タイミング及び開放期間を調整できるようにした装置も開発されている。
このような不等速継手を用いた可変バルブタイミングカムシャフト機構(又は可変動弁制御機構)としては、例えば特開平7−34826号公報に開示されたような技術も開発されている。この技術は、内燃機関の吸気弁駆動制御装置であり、以下のように構成されている。
【0005】
基本構成として、駆動軸,カムシャフトをそなえ、カムシャフトは駆動軸の外周に駆動軸と同心(回転中心X)上に且つ駆動軸と相対回転しうるように設けられている。このカムシャフトにはカムが設けられている。そして、駆動軸とカムシャフトとの間には、カムシャフトを不等速回転させるための不等速継手が設けられている。また、吸気弁,バルブスプリング,バルブリフターをそなえ、吸気弁はバルブスプリングで閉じ側へ付勢され、バルブリフターを介してカムにより押圧されることでバルブスプリングに抗して開放駆動される。
【0006】
不等速継手は、カムシャフトの端部に形成された第1フランジ部と、駆動軸と一体回転するスリーブと、スリーブの端部に形成された第2フランジ部と、両フランジ部間に介設された環状ディスクとをそなえ、この環状ディスクの回転中心Yが駆動軸の回転中心Xに対して偏心するようになっている。
【0007】
環状ディスクの両面には2つのピン(第1のピン,第2のピン)が突設され、それぞれ第1,第2フランジ部に形成された第1,第2係合溝に係合しており、駆動軸の回転は、スリーブの第2フランジ部から第2係合溝,第2ピン,環状ディスク,第1ピン,第1係合溝を経て第1フランジ部からカムシャフトに伝達される。この際、環状ディスクの回転中心Yが駆動軸の回転中心Xに対して偏心していると、環状ディスクの回転速度が、駆動軸に対して速くなったり遅くなったりする。この際、第1,第2のンは第1,第2係合溝内を摺動する。
【0008】
この構成では、環状ディスクの中心が制御ンを中心に揺動できるようになっている。つまり、環状ディスクの外周には、環状ディスクを回転自在に支持する制御環が設けられており、この制御環は制御ンを中心に揺動できるようになっていて、制御ンの反対側にはレバー部が突設され、このレバー部が駆動機構により駆動されて環状ディスクの中心Yが位置調整されるようになっている。したがって、この装置では、偏心量を変えることで、駆動軸に対するカムの速度変化の状態が調整されるのである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような不等速継手を利用した従来の内燃機関の可変動弁機構では、次のような課題がある。すなわち、このような可変動弁機構においては、環状ディスクの偏心量を変更することで、バルブ開閉タイミングを変更するようにしているが、環状ディスクの偏心量を連続的に変更した場合に、エンジンの回転数によってはエンジン性能が極端に低下する場合がある。
【0010】
これは、エンジンの回転数によって、吸気を効率良く吸入するバルブタイミングが変化するためであり、環状ディスクの偏心量を連続的に変更することで、吸気慣性により吸気の充填効率が向上する慣性過給効果が十分に得られない領域が存在し、環状ディスクが、吸気の体積効率が低くなるような偏心位置(慣性過給効果が十分に得られない領域)に調整されることが考えられるからである。
【0011】
換言すれば、上述したような可変動弁制御機構では、エンジン回転数と環状ディスクの偏心量とによりエンジンの体積効率が大きく異なるために、エンジンの回転数に対して環状ディスクの偏心量が不適切に調整されると、エンジンの体積効率が減少し、却ってエンジンの出力性能を損なってしまうという課題を有しているのである。
【0012】
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、エンジンの回転数に対応して、吸気の体積効率が高まるようなタイミングで吸気弁を開閉させるようにした、可変動弁制御装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の可変動弁制御装置は、吸気弁を駆動するカムのカムシャフトに対する作動タイミングを制御することにより内燃機関の回転数に対応して吸気弁の開弁期間を含む開閉タイミングを連続的に変更可能に構成された可変動弁制御装置において、該内燃機関の特定回転数域では、吸気干渉により十分な吸気慣性が得られない開閉タイミングを除外するように、開閉タイミングを連続的な変更とはせずに、切り換え前の体積効率と切り換え後の体積効率とが一致する回転数で該吸気弁の開閉タイミングを急激に変更するように構成され、該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲内では、同一の開閉タイミングに設定されていることを特徴としている。
【0014】
また、請求項2記載の本発明の可変動弁制御装置は、上記請求項1記載の構成に加えて、該内燃機関の回転数の上昇にともない該吸気流入期間、すなわち、吸気流入が得られるクランク期間が徐々に長くなるように該吸気弁の開閉タイミングを変更するように構成されていることを特徴としている
【0015】
また、請求項3記載の本発明の可変動弁制御装置は、上記請求項1又は2記載の構成に加えて、該可変動弁制御装置は、クランク軸から回転力が伝達される第1回転部材と、該第1回転部材の第1回転中心軸線と異なり、該第1回転中心軸線と平行な第2回転中心軸線を有する軸支部が設けられた軸支部材と、該軸支部に軸支されるとともに、該第1回転部材に連結されて該第1回転部材の回転に伴って該第2回転中心軸線を中心に回転する中間回転部材と、該中間回転部材に連結されるとともに、該第1回転部材と共通の第1回転中心軸線を中心として該中間回転部材の回転にともなって回転する第2回転部材と、該第2回転部材と一体又は別体に設けられ、該第2回転部材の回転位相に対応して内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は該燃焼室からの排気放出期間を設定する弁部材と、該軸支部材と係合して該内燃機関の回転数に応じて該軸支部材を変位させ、少なくとも該吸気流入期間を可変とする制御用回転軸部材とを有する可変動弁機構をそなえていることを特徴としている。
さらに、請求項4記載の本発明の可変動弁制御装置は、上記請求項3記載の構成に加えて、該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲毎にそれぞれ異なるタイミングが設定されていることを特徴としている
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の実施形態について説明すると、図1〜図11は本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置を示す図、図12〜図16は本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置を示す図である。
(1)第1実施形態の説明
(1.1) 本装置が適用される可変動弁制御機構の説明
まず、第1実施形態について説明すると、この実施形態にかかる内燃機関は、レシプロ式の内燃機関であり、可変動弁機構は、気筒上方に設置された吸気弁又は排気弁(これらを総称して、以下、バルブという)を駆動するようにそなえられている。
【0017】
また、本可変動弁制御装置は、吸排気弁の開閉タイミングを変更可能にした可変動弁制御機構に適用されるものであり、ここでは、最初に、本装置の適用される可変動弁制御機構について説明する。
【0018】
図1は可変動弁機構をそなえたシリンダヘッド1の要部を示す断面図であり、図1に示すように、シリンダヘッド1には、図示しない吸気ポート又は排気ポートを開閉すべくバルブ2が装備されており、このバルブ2のステム端部2Aには、バルブ2を閉鎖側に付勢するバルブスプリング3が設置されている。さらに、バルブ2のステム端部2Aには、タペット4が冠装され、このタペット4上のシム5にカム6が当接していて、カム6の凸部6Aによってバルブスプリング3の付勢力に抗するようにしてバルブ2が開方向へ駆動される。本可変動弁機構は、このカム6を回動させるためにそなえられている。
【0019】
本可変動弁機構は、図1に示すように、エンジンのクランク軸(図示略)に連動して回転駆動される第1回転部材としてのカムシャフト11と、このカムシャフト11の外周に設けられた第2回転部材としてのカムローブ12とをそなえ、カム6はこのカムローブ12の外周に突設されている。カムローブ12の外周はシリンダヘッド1側の軸受部7によって回転自在に軸支されている。そして、カムシャフト11とカムローブ12との間に不等速継手13が設けられている。
【0020】
この不等速継手13は、カムシャフト11の外周に回動可能に支持された軸支部材としてのコントロールディスク(制御部材)14と、このコントロールディスク14に一体的に設けられた軸支部としての偏心部15と、この偏心部15の外周に設けられた中間回転部材としての係合ディスク16と、係合ディスク16に接続された第1スライダ部材17及び第2スライダ部材18とをそなえている。
【0021】
偏心部15は、図1,図3に示すように、カムシャフト11の回転中心(回転軸心)O1 から偏心した位置に回転中心(回転軸心)O2 を有しており、係合ディスク16はこの偏心部15の回転中心O2 の回りに回転するようになっている。
また、係合ディスク16の一面には、図1〜図3に示すように、半径方向(ラジアル方向)に、スライダ用溝16A,16Bが形成されている。ここでは、2つのスライダ用溝16A,16Bが互いに180°だけ回転位相をずらせるように同一直径上に配置されている。そして、カムシャフト11には第1スライダ部材17に係合する第1接続部としてのドライブアーム19が設けられ、また、カムローブ12には第2スライダ部材18に係合する第2接続部としてのアーム部20が設けられている。
【0022】
このうち、ドライブアーム19は、カムシャフト11から半径方向(ラジアル方向)に突出するように設けられ、ロックピン25によりカムシャフト11と一体回転するように結合されている。一方、アーム部20はカムローブ12の端部を半径方向(ラジアル方向)へ突出させるようにカムローブと一体形成されている。
【0023】
そして、第1スライダ部材17及び第2スライダ部材18は、係合ディスク16のスライダ用溝16A,16B内を半径方向(ラジアル方向)に摺動自在に装備されたスライダ本体21,22と、ドライブアーム19及びアーム部20の穴部19A,20Aに一端部を内装され他端部をスライダ本体21,22の穴部21A,22Aに内装されたピン部材としてのドライブピン23,24とをそなえている。これらのドライブピン23,24は、ドライブアーム19,アーム部20の穴部19A,20Aと、スライダ本体21,22の穴部21A,22Aとのいずれか又は両方に対して、自転しうるように結合されている。
【0024】
したがって、不等速継手13では、カムシャフト11の回転は、ドライブアーム19から、穴部19A,ドライブピン23,穴部21A,スライダ本体21,溝16Aを経て係合ディスク16に伝達して、さらに、溝16B,スライダ本体22,穴部22A,ドライブピン24,穴部20Aを経て、アーム部20からカムローブ12へと伝達するようになっている。
【0025】
なお、スライダ本体21と溝16Aとの間では、スライダ本体21の外側面21B,21Cと溝16Aの内壁面28A,28Bとの間で回転力の伝達が行なわれ、溝16Bとスライダ本体22との間では、溝16Bの内壁面28C,28Dとスライダ本体22の外側面22B,22Cとの間で、回転力の伝達が行なわれる。
【0026】
このように回転を伝達する際に、係合ディスク16が偏心していることにより、係合ディスク16がカムシャフト11に対して先行したり遅延したりすることを繰り返し、また、カムローブ12は係合ディスク16に対して先行したり遅延したりすることを繰り返しながら、カムローブ12がカムシャフト11とは不等速で回転するようになっている。
【0027】
つまり、図5(A)に示すように、カムシャフト11の回転中心O1 と係合ディスク16の回転中心O2 とを結んだ直線(実際上は平面)BL上の上方にドライブピン23の軸心線が位置して、直線(平面)BL上の下方にドライブピン24の軸心線が位置する状態を基準(カムシャフト角度=0deg)として、この状態から、カムシャフト11が図5(A)中に矢印で示すように時計回りに回転した場合を考える。
【0028】
上述のように、カムシャフト11の回転は、ドライブアーム19から、穴部19A,ドライブピン23,穴部21A,スライダ本体21,溝16Aを経て係合ディスク16に伝達していくので、例えばカムシャフト11がその回転中心O1 の回りに90deg(=直角分)だけ回転して、カムシャフト角度が90°(以下、角度を表す「deg」を「°」を用いて示す)となると、ドライブピン23は、図5(B)に示すような位置になる。
【0029】
係合ディスク16の回転中心O2 はカムシャフト11がその回転中心O1 に対して偏心している(ここでは、図中下方に偏心している)ので、このときのドライブピン23及びスライダ本体21の中心はカムシャフト11の回転中心O1 に対しては90°回転しているが、係合ディスク16の回転中心O2 に対しては90°よりも角度θ2 分だけ少ない回転量θ1 (=90°−θ2 )となる。
【0030】
このとき同時に、係合ディスク16の回転は、さらに、溝16B,スライダ本体22,穴部22A,ドライブピン24,穴部20Aを経て、アーム部20からカムローブ12へと伝達していく。ドライブピン24及びスライダ本体22の係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量はドライブピン23及びスライダ本体21の回転中心O2 に対する回転量と等しいので、ドライブピン24及びスライダ本体22の係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量はθ1 となる。さらに、このドライブピン24及びスライダ本体22のカムローブ12の回転中心O1 に対する回転量θ3 を考えると、この回転量θ3 は、次式のように示すことができ、係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量θ1 よりもさらに小さくなる。
【0031】
θ3 =90°−θ4 ,ただし、θ4 ≒2θ2
したがって、カムシャフト11がその回転中心O1 の回りに、カムシャフト角度0°から90°まで、90°だけ回転する間に、カムローブ12は回転中心O1 の回りに90°よりも小さい回転量θ3 だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも低速回転することになる。
【0032】
そして、さらに、カムシャフト11が回転中心O1 の回りに、カムシャフト角度90°から180°まで、90°だけ回転すると、ドライブピン23は、図5(C)に示すような位置になる。
ドライブピン23が図5(C)に示す位置にくると、直線BL上の上方にドライブピン24の軸心線が位置し、直線BL上の下方にドライブピン23の軸心線が位置するようになり、カムシャフト11の回転位相とカムローブ12の回転位相とが一致するようになる。
【0033】
したがって、この間、即ち図5(B)に示すカムシャフト角度90°の状態から図5(C)に示すカムシャフト角度180°に至るまで、カムシャフト11が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は次式で示される回転量θ5 だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも高速回転することになる。
【0034】
θ5 =180°−θ3 =90°+θ4
そして、さらに、カムシャフト11が回転中心O1 の回りに、カムシャフト角度180°から270°まで、90°だけ回転すると、ドライブピン23は、図5(D)に示すような位置になる。
ドライブピン23が図5(D)に示す位置にくると、図5(B)に示す場合とは反対に、ドライブピン23及びスライダ本体21は、カムシャフト11の回転中心O1 に対しては90°回転しているが係合ディスク16の回転中心O2 に対しては90°よりも角度θ2 分だけ多い回転量θ6 (=90°+θ2 )となり、,ドライブピン24及びスライダ本体22の係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量はθ6 、さらに、このドライブピン24及びスライダ本体22のカムローブ12の回転中心O1 に対する回転量はθ7 となる。この回転量θ7 は、次式のように示すことができ、係合ディスク16の回転中心O2 に対する回転量θ6 よりもさらに大きくなる。
【0035】
θ7 =90°+θ4 =θ5
したがって、この間、即ち図5(C)から図5(D)に至る間に、カムシャフト11が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は次式で示される回転量θ7 だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも高速回転することになる。
【0036】
そして、さらに、カムシャフト11が回転中心O1 の回りに、カムシャフト角度270°から360°(=0°)まで、90°だけ回転すると、ドライブピン23は、再び図5(A)に示すような位置になる。
ドライブピン23が図5(A)に示す位置にくると、直線BL上の上方にドライブピン23の軸心線が位置し、直線BL上の下方にドライブピン24の軸心線が位置するようになり、カムシャフト11の回転位相とカムローブ12の回転位相とが一致するようになる。
【0037】
したがって、この間、即ち図5(D)から図5(A)に至る間に、カムシャフト11が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は次式で示される回転量θ8 (図示略)だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも低速回転することになる。
θ8 =180°−θ7 =90°−θ4 =θ3
【0038】
また、例えば図5(A)に示す状態におけるカムシャフト11の回転速度とカムローブ12の回転速度との関係は、図8に示すように、この時のカムシャフト11側(ドライブ側)のドライブピン23とカムシャフト11の回転中心O1 との距離をr1 、カムローブ12側(ドリブン側)のドライブピン24とカムシャフト11の回転中心O1 との距離をr2 として、カムシャフト11の回転中心O1 と係合ディスク16の回転中心O2 との距離をe、カムシャフト11の回転速度(=ドライブピン23の角速度)をω1 とすると、次のようになる。
【0039】
つまり、
ドライブピン23の中心A点の接線速度=r1 ・ω1
A点での偏心軸心O2 回りの角速度=〔r1 /(r1 +e)〕・ω1
ドライブピン24の中心B点の接線速度
=〔r1 /(r1 +e)〕・ω1 ・(r2 −e)
となって、カムローブ12の角速度(=カム6の角速度)ω2 は以下のようになる。
Figure 0003694073
したがって、r1 =r2 =rとすると、カムローブ12の角速度ω2 は、
ω2 =〔(r2 −e)/(r1 +e)〕・ω1 となり、e>0〔図5(A)に示す状態〕ならば、ω2 <ω1 となって、カムローブ12がカムシャフト11よりも低速回転することがわかる。
【0040】
このようにして、カムローブ12はカムシャフト11に対して先行したり遅延したりしてカムシャフト11の回転速度とは不等速で回転するが、このカムローブ12のカムシャフト11に対する位相の変化は、例えば図6に示すように正弦波状になる。なお、図6中、横軸は図5の説明と対応するカムシャフト角度であり、縦軸はカムローブ12のカムシャフト11に対する位相差であり、カムシャフト11に対して先行する場合を正方向に設定している。
【0041】
そして、このようにカムローブ12がカムシャフト11に対して先行したり遅延したりする特性を利用して、バルブの開閉タイミングを調整することができる。例えば、バルブ2の閉鎖タイミングの近傍で、カムローブ12をカムシャフト11に対して先行させればバルブ2の開放タイミングを速めることができるようになる。
【0042】
これにより、カムローブ12をカムシャフト11に対して遅延させればバルブ2の開放タイミングを遅らせることができる。また、バルブ2の閉鎖タイミングの近傍で、カムローブ12をカムシャフト11に対して先行させれば閉鎖タイミングを速めることができ、カムローブ12をカムシャフト11に対して遅延させればバルブ2の閉鎖タイミングを遅らせることができる。
【0043】
このようなカムローブ12のカムシャフト11に対する位相のずれ方は、コントロールディスク14に一体的に設けられた偏心部15の偏心中心O2 の位置を変えることで調整することができる。そこで、本装置には、この偏心部15の位相調整を行なうために、図1,図4に示すように、コントロールディスク(制御部材)14を回転させて偏心位置を調整する偏心位置調整機構30が設けられている。
【0044】
この偏心位置調整機構30は、コントロールディスク14の外周に形成された第1ギヤ31を通じてコントロールディスク14を回動するギヤ機構32と、このギヤ機構32を駆動する駆動手段としての電動モータ33とをそなえている。ギヤ機構32は、カムシャフト11と平行に設置された制御用回転軸部材としてのギヤ軸32Aと、このギヤ軸32Aに設置されて第1ギヤ31と噛合する第2ギヤ(コントロールギヤ)32Bと、モータ33の回転軸に設けられたギヤ33Aと噛合する第3ギヤ32Cとから構成される。なお、モータ33の回転軸はギヤ軸32Aとは捩れの関係にあり、第3ギヤ32C,モータ側ギヤ33Aは、第3ギヤ32Cをウォームホイールに、モータ側ギヤ33Aをウォームギヤとする、ウォームギヤ機構として構成される。
【0045】
また、モータ33は、制御手段としての電子制御ユニット(ECU)34により制御されるようになっている。すなわち、ECU34では、ポジションセンサ35の検出信号に基づいて、コントロールディスク14の回転位相が所要の状態になるようにモータ33の作動を制御するようになっている。なお、ここでは、ポジションセンサ35を設置の容易なギヤ軸32Aの端部に設けており、このギヤ軸32Aの回転位相の状態からコントロールディスク14の回転位相を検出するように構成されている。
【0046】
このように、コントロールディスク14の回転位相(位置)を変更すると、カムシャフト角度に対するカムローブの位相差の状態が変化する。例えば、図6中の上方に、0°,45°,90°,135°,180°を示しているが、これらは、図5に示すような偏心状態を基準(コントロールディスク14の回転位相=0°)とした場合のコントロールディスク14の位置(回転位相)であり、各角度を記載した位置は、カムシャフト角度180°の位置を示している。
【0047】
即ち、コントロールディスク14の位置が0°であれば、カムシャフト角度180°の横軸目盛は図6に示すようになるが、コントロールディスク14の位置が45°になると、カムシャフト角度180°の横軸目盛は、この「45°」を示す位置(図6中の「225°」の位置)に変位する。また、コントロールディスク14の位置が90°になると、カムシャフト角度180°の横軸目盛はこの「90°」を示す位置(図6中の「270°」の位置)に変位する。
【0048】
さらに、コントロールディスク14の位置が135°になると、カムシャフト角度180°の横軸目盛はこの「135°」を示す位置(図6中の「315°」の位置)に、コントロールディスク14の位置が180°になると、カムシャフト角度180°の横軸目盛はこの「180°」を示す位置(図6中の「360°」の位置)に、それぞれ変位する。
【0049】
このように、コントロールディスク14の位置を調整すると、バルブのリフト状態も変化する。つまり、図5(A)に示すようなカムシャフト角度が0°の時にカム6の凸部6Aの頂部がバルブ2に作用するように設定して、図5(A)〜(D),図6に示すようにカムローブ12のカムシャフト11に対する位相変化の特性を設定した場合には、バルブのリフト状態は図7の曲線L1のような特性になる。
【0050】
つまり、コントロールディスク14の回転位相が0°であって、図5(A)〜(D)に示すようにカムローブ12が作動すると、カムシャフト角度が90°で最も位相の遅れた状態になり、カムシャフト角度が0°から180°までは、カムローブ12がカムシャフト11に対して位相遅れを生じる。また、カムシャフト角度が270°で最も位相の進んだ状態になる。
【0051】
カムシャフト角度が180°から360°までは、カムローブ12がカムシャフト11に対して位相進みを生じる。すなわち、バルブリフトが最大となるカムシャフト角度0°を中心に、これよりも前(カムシャフト角度が負)ではカムローブ12の位相が進み、これよりも後(カムシャフト角度が正)ではカムローブ12の位相が遅れるので、バルブのリフト状態は図7の曲線L1に示すような特性になる。
【0052】
そして、コントロールディスク14の回転位相が45°に調整されると、カムローブ位相差の特性が変化し、カムシャフト角度が45°で最も位相の遅れた状態になり、コントロールディスク14の回転位相が0°の場合に比べて、カムシャフト角度が0°よりも前(カムシャフト角度が負)でのカムローブ12の位相進みは減少し、これよりも後(カムシャフト角度が正)でのカムローブ12の位相遅れも減少する。したがって、バルブのリフト状態は図7の曲線L2に示すような特性になる。
【0053】
さらに、コントロールディスク14の回転位相が90°に調整されると、カムローブ位相差の特性がさらに変化し、カムシャフト角度が0°で最も位相の遅れた状態になり、コントロールディスク14の回転位相が45°の場合に比べて、カムシャフト角度が0°よりも前(カムシャフト角度が負)でのカムローブ12の位相進みは減少し、これよりも後(カムシャフト角度が正)でのカムローブ12の位相遅れも減少する。したがって、バルブのリフト状態は図7の曲線L3に示すような特性になる。
【0054】
同様に、コントロールディスク14の回転位相が135°や180°に調整された場合には、バルブのリフト状態は図7の曲線L4やL5に示すような特性になる。
また、バルブリフト特性L1〜L5に対応するバルブの加速度特性は、それぞれ図7中に示す曲線A1〜A5のようになる。
【0055】
特に、本可変動弁機構では、ECU34に、エンジン回転数センサ(図示略)からの検出情報(エンジン回転数情報)やエアフローセンサ(図示略)からの検出情報(AFS情報)等が入力されるようになっており、偏心位置調整機構30におけるモータ33の制御は、これらの情報に基づいて、エンジンの回転速度や負荷状態に応じて行なうようになっている。
【0056】
(1.2) 本装置の要部の説明
さて、次に本装置の要部について説明すると、上述のコントロールディスク14のうち、エンジンの吸気側に設けられたコントロールディスク14の回転位相(位置)は、図9(a)に示すように、エンジンの回転数に応じてステップ状に変更されるようになっている。
【0057】
これは、上述したような可変動弁制御機構では、エンジン回転数とコントロールディスク14の位相(即ち吸気弁の開閉タイミング)とによりエンジンに吸入される吸気の体積効率ηv が大きく異なるからであり、エンジンの回転数に対してコントロールディスク14の位相角が不適切に調整されると、体積効率ηv が低下し、却ってエンジンの出力性能を損なってしまうことが考えられるからである。
【0058】
例えば図10はエンジン回転数Neに応じた吸気効率ηV の特性をコントロールディスク14の位相角ψi 毎に算出して示したものである。なお、これらの位相角ψ1 〜ψ9 は、ψ7 ,ψ8 を除いて次式(1)で示すように等差関係にあり、また、各位相角ψ1 〜ψ9 は番号順に大きな値になっており、次式(2)で示すような大小関係になっている。
【0059】
ψ2 =ψ1 +3α,ψ3 =ψ2 +3α,
ψ4 =ψ3 +3α,ψ5 =ψ4 +3α,
ψ6 =ψ5 +3α,ψ9 =ψ6 +3α,
ψ7 =ψ6 +α, ψ8 =ψ7 +α ・・・・・・(1)
ψ1 <ψ2 <ψ3 <ψ4 <ψ5 <ψ6 <ψ7 <ψ8 <ψ9 ・・・(2)
図10に示すように、エンジン回転数Neの小さな低速域では、コントロールディスク14の位相角ψi が小さくバルブの開放期間が短いほど吸気効率ηV が高くなり、エンジン回転数Neの大きな高速域では、コントロールディスク14の位相角ψi が大きくバルブの開放期間が長いほど吸気効率ηV が高くなることがわかる。
【0060】
このような特性は極めて一般的なものであるが、この特性に基づけば、エンジン回転数Neの小さな低速域ではコントロールディスク14の位相角ψi を小さくして、エンジン回転数Neの増加に応じてコントロールディスク14の位相角ψi を増大させていけばよいことになる。
しかしながら、位相角がψ5 〜ψ9 へ増加する過程の位相角ψ6 ,ψ7 ,ψ8 では、エンジン回転数Neの中速域を中心として吸気効率ηV が大幅に低下している。これは吸気脈動を利用した慣性過給等により発生する疎密波が影響しているものと考えられるが、このような位相角領域ψ6 〜ψ8 を使用すると吸気効率ηV が低いためエンジンの出力性能を悪化させてしまうことになる。
【0061】
そこで、エンジン回転数Neの増加に応じてコントロールディスク14の位相角ψi を増大させながらも、途中で吸気効率ηV の極めて低下する位相角領域があればこれを回避するようにコントロールディスク14の位相角ψi を制御すればよい。
また、この例では、コントロールディスク14の位相角ψi を9段階にステップ状に調整することを前提としているが、9段階に限らず位相角ψi をステップ状に調整することで制御を単純化できる。
【0062】
すなわち、コントロールディスク14の位相角を例えばψ1 〜ψ9 の9段階に分割するなどして、図10に示すように、予め各位相毎に体積効率ηv とエンジン回転数との関係を調べておき、体積効率ηv が一番高くなる位相角を回転数範囲毎に設定しておくようにするのである。ここでは、図9(a),(b)に示すように、常に良好な体積効率ηv が得られるようにコントロールディスク14の位相角をエンジン回転数範囲毎にステップ状に切り換えるようにしている。なお、図9(b)に示すように、エンジン回転数範囲毎にコントロールディスク14の位相をステップ状に切り換えるのは、体積効率ηv の劣る位相角をなるべく用いないようにするためである。特に、ここでは、体積効率ηv の極めて低下する位相角ψ5 〜ψ8 は使用せず、上述した9つの位相角ψ1 〜ψ9 のうち体積効率ηv の高いψ1 〜ψ4 ,ψ9 の5段階の位相角のみを用いるように設定している。
【0063】
このように、本装置では、エンジンのアイドリングから回転数N1 の間では、コントロールディスク14の位相は、ψ1 に設定されるようになっており、エンジンが回転数N1 を越えるとコントロールディスク14の位相をψ2 (>ψ1 )にステップ状に変更させるようになっているのである。そして、エンジン回転数がN1 以上N2 未満では、コントロールディスク14の位相はψ2 に保たれ、エンジン回転数がN2 以上になるとコントロールディスク14の位相角がψ3 (>ψ2 )にステップ状に変更されるようになっている。そして、エンジン回転数がN2 以上であってN3 未満の回転数範囲では位相はψ3 に保持されるようになっている。
【0064】
同様に、エンジン回転数がN3 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ4 (>ψ3 )にステップ状に変更され、エンジン回転数がN3 以上でN4 未満の回転数範囲では位相はψ4 に保持されるようになっており、エンジン回転数がN4 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ9 (>ψ4 )にステップ状に変更されるのである。
【0065】
なお、上述ではエンジン回転数の上昇時におけるコントロールディスク14の位相角の変化について説明したが、エンジン回転数の下降時についても、コントロールディスク14の位相角はステップ状に変更されるようになっている。
さて、本装置では、基本的には上述のようにコントロールディスク14の位相角を調整してバルブタイミングの制御を行なうようになっているが、エンジンの回転が急激に上昇した場合、例えばエンジンの空吹かしや全開発進等により、エンジン回転数が僅かな時間で燃料カットを行なうような回転数に達した場合は、コントロールディスク14の位相角制御を行なわないようになっている。
【0066】
これは、このような急激なエンジン回転数の変化に対してバルブタイミング制御が追いつかないことが考えられるためである。特に本装置では、コントロールディスク14の位相角をステップ状に急激に変化させるため、エンジン回転数の変化が大きすぎるとコントロールディスク14の位相角調整が難しくなる。そこで、可変動弁制御機構の保護を図るためにも、エンジン回転数が急激に変化した場合には制御を行なわないようになっているのである。
【0067】
このため、本装置では、エンジンの回転加速度をモニタしており、エンジン回転数の変化に対応しうる範囲で制御を行なうようになっている。また、エンジンの回転加速度の検出は、例えばクランク角センサからの信号に基づいて行なわれるようになっている。
なお、エンジンの回転が急激に下降した場合、例えばアクセルの全閉操作等により急激にエンジン回転が落ちた場合等についても、上述と同様に、エンジン回転数の変化に対応しうる範囲で制御を行ない、この範囲を越えてエンジン回転が急激に変化した場合は、制御を行なわないようになっている。
【0068】
本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置は、上述のように構成されているので、偏心位置調整機構30を通じて、コントロールディスク14の回転位相を調整しながら、バルブの開度特性が制御される。
つまり、ECU34では、エンジン回転数情報やAFS情報等に基づいて、エンジンの回転速度や負荷状態に応じたコントロールディスク14の回転位相を設定して、ポジションセンサ35の検出信号に基づいて、コントロールディスク14の実際の回転位相が設定された状態になるように、モータ33の作動制御を通じてコントロールディスク14を駆動する。
【0069】
例えば、コントロールディスク14の回転位相が図5(A)〜(D)に示す状態(即ち、0 °)であれば、カムシャフト11が一回転する際に、カム6をそなえたカムローブ12は、カムシャフト角度が0°〜90°の間では、図5(A),(B)及び図6に示すように、カムシャフト11に対して位相遅れを生じるようになる。
【0070】
そして、カムシャフト角度が90°〜180°の間では、図5(B),(C)及び図6に示すように、カムシャフト11に対して位相進みを生じ、カムシャフト角度が180°〜270°の間でも、図5(C),(D)及び図6に示すように、カムシャフト11に対して位相進みを生じるようになる。また、カムシャフト角度が270°〜360°の間では、図5(D),(A)及び図6に示すように、カムシャフト11に対して位相遅れを生じる。
【0071】
これにより、バルブのリフト特性は、図7の曲線L1に示すように、開放タイミングは遅く且つ閉鎖タイミングは速く、バルブ開放時間の短いものになる。
そして、コントロールディスク14の回転位相を例えば0°から次第に進めていくことで、図7の曲線L2,L3,L4,L5のように、バルブの開放タイミングは次第に速まり又閉鎖タイミングは次第に遅くなって、バルブ開放時間が次第に長くなる。
【0072】
ところで、このようなコントロールディスク14のうち、エンジンの吸気側に設けられたコントロールディスク14の回転位相は、図9(a)に示すように、エンジンの回転数範囲に応じてステップ状に変更され、これにより吸気弁の開閉タイミングが急激に変化する。そして、このように、エンジンの回転数範囲毎に最適な位相角にコントロールディスク14を制御することで、エンジンの回転数全域において体積効率ηv を高めることができ、高出力を得ることができるようになる。
【0073】
ここで、この位相角の変更は、例えば図11に示すフローチャートにしたがって実行される。すなわち、まずステップS1で、現在の位相角ψi 及びエンジン回転数Neを求め、ステップS2では、エンジン回転数Neが、現在の位相角ψi に対応する回転数範囲内にあるかどうかを判定する。すなわち、位相角ψi のときの対応するエンジン回転数範囲を規定するエンジン最大回転数をNei(max) ,最小回転数をNei(min) とすると、Nei(min) ≦Ne<Nei(max) を満たしているかどうかを判定するのである。
【0074】
そして、YESの場合、つまりエンジン回転数Neが最小回転数Nei(min) 以上で最大回転数Nei(max) 未満であればそのままリターンする。
また、ステップS2において、NOの場合は次にステップS3に進み、現在の回転数Neが最大回転数Nei(max) 以上かどうかを判定する。そして、最大回転数Nei(max) 以上であれば、ステップS4に進んでiをi+1としてコントロールディスク14の位相角をψi+1 に変更して、その後リターンする。また、現在の回転数Neが最大回転数Nei(max) 以上でなければ、必然的に最小回転数Nei(min) 未満であることになる。この場合ステップS5に進んで、コントロールディスク14の位相角をψi-1 に変更した後、リターンする。
【0075】
このような制御により、具体的には、図9(a),(b)に示すように、エンジンのアイドリングから回転数N1 の間では、コントロールディスク14の回転位相は、ψ1 に設定される。
また、エンジンが回転数N1 を越えると位相がψ2 にステップ状に変更され、エンジン回転数がN1 以上N2 未満では、位相角はψ2 に保持される。また、エンジン回転数がN2 以上になるとコントロールディスク14の位相がψ3 にステップ状に変更され、エンジン回転数がN2 以上であってN3 未満の回転数範囲では位相はψ3 に保持されるのである。
【0076】
同様に、エンジン回転数がN3 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ4 にステップ状に変更され、エンジン回転数がN3 以上でN4 未満の回転数範囲では位相はψ4 に保持される。また、エンジン回転数がN4 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ5 にステップ状に変更されるのである。
【0077】
このようにして、本発明の可変動弁制御装置では、エンジンの運転状態に応じてコントロールディスク14の回転位相(位置)を制御しながら、エンジンの運転状態に適したバルブ駆動を行なえるようになる。特に、エンジンの回転数の上昇に応じて、コントロールディスク14の位相角を大きくしていくことで、吸気弁の開閉タイミングが吸気流入期間を徐々に長くなるように変更される。したがって吸気慣性を十分に得ることができ、吸気の体積効率ηv を向上させることができるのである。
【0078】
また、エンジンの回転数範囲に応じてバルブのリフト特性をステップ状に調整することで、体積効率の劣る位相角を用いることがなくなり、常に体積効率ηv を高めることができるようになるのである。また、これによりエンジン回転数全域で高出力を得ることができるようになるのである。
【0079】
さらに、本可変動弁機構では、不等速継手13における偏心状態を調整する部材、即ち、偏心部15が、不等速継手13の内側に設けられているので、不等速継手全体の外径を縮小できて、システム全体を小型化しうる利点がある。
つまり、不等速継手13におけるトルク伝達部材、即ち、ドライブピン23,24を回転中心に近づけるのには限度があり、偏心状態を調整する部材(偏心部)15を不等速継手13の外側に設けるとこの分だけどうしても不等速継手13の外径が拡大してしまう。これに対して、本機構では、偏心部15がドライブピン23,24よりも内側に設けられているので、不等速継手全体の外径を縮小でき、システム全体を小型化しうるのである。
【0080】
また、本機構では、カムシャフト11の外側にカムローブ12をそなえた2重軸構造であり、これらのカムシャフト11とカムローブ12とが軸方向へ長くそして大きな面積に亘って摺接している構造ではあるが、カムシャフト11とカムローブ12との相対回転は、図6に示すように、カムローブ12のカムシャフト11に対する位相変化分だけであって、カムシャフト11やカムローブ12の回転速度に比べて極めて僅かなものである。
【0081】
したがって、これらのカムシャフト11とカムローブ12との摺接部の磨耗は極めて僅かなものになる。
また、偏心部15の偏心位置の調整は、電動モータ33から、モータ側ギヤ33A,第3ギヤ32C,ギヤ軸32A,第2ギヤ32Bを通じて、第1ギヤ31からコントロールディスク14の偏心部15へと伝達され、第3ギヤ32Cと第2ギヤ32Bとの間の距離やギヤ軸32Aの剛性の設定等に比較的自由度があるので、偏心位置の調整に際して、シャフト類の捩れ等の影響を防止し易く、バルブ駆動を適切なタイミングで行なえるようになる。
【0082】
また、本可変動弁機構では、不等速継手13を各気筒毎に設置することができるので、エンジンの形状や形式に限定されることなく、4気筒エンジン等の各種の直列多気筒エンジンをはじめとして、あらゆるタイプのエンジンに対して、本機構を適用することができる。
なお、本実施形態では、第1スライダ部材17について、ドライブピン23をカムシャフト11側に設けスライダ本体21を係合ディスク16側に設けているが、これとは逆に、ドライブピン23を係合ディスク16側に設けスライダ本体21をカムシャフト11側に設けるようにしてもよい。第2スライダ部材18についても、ドライブピン24を係合ディスク16側に設けスライダ本体22をカムローブ12側に設けるようにしてもよい。
【0083】
また、この実施形態では、コントロールディスク14の位相をψ1 〜ψ9 の9段階に分割して、エンジン回転数範囲毎に体積効率ηv の最も高くなる位相に切り換えるようにしているいるが、コントロールディスク14の位相を更に細かく設定して、位相を切り換えるようにしてもよい。
【0084】
(2)第2実施形態の説明
(2.1) 本装置が適用される可変動弁制御機構の説明
次に、第2実施形態について説明すると、この実施形態の可変動弁機構は、第1実施形態のものと、不等速継手13の一部の構成、即ち、第1スライダ部材17及びこの第1スライダ部材17とカムシャフト11との接続部分が異なっている。
【0085】
つまり、図12〜図15に示すように、第1スライダ部材17は、カムシャフト11に突設された第1接続部としての突設ピン部材26と、この突設ピン部材26に対して摺動しうるように係合ディスク16に装備されたコマ部材27とをそなえて構成される。
【0086】
突設ピン部材26は、第1実施形態のドライブアーム19に対応するものであり、カムシャフト11にラジアル方向へ向けて突設されている。コマ部材27には、円柱状の突設ピン部材26を滑らかに摺動させうる円形断面を有する円形穴部27Aが形成されており、コマ部材27は、この突設ピン部材26の外周面に円形穴部27Aの内周面を摺動させながら、突設ピン部材26に沿ってラジアル方向へスライドできるようになっている。
【0087】
また、コマ部材27は、図16に示すように、外周に円筒外周面27Bをそなえている。また、係合ディスク16には、図15に示すように、この円筒外周面27Bと対応するように円筒内周面16Cを有する穴部16Dが形成され、この穴部16D内にコマ部材27が装着されている。円筒外周面27B,円筒内周面16Cは、カムシャフト11やカムローブ12の回転軸心O2 と平行な軸心線O2 を有しており、カムシャフト11とカムローブ12との相対回転時(カムシャフト11と係合ディスク16との相対回転時)には、円筒外周面27Bと円筒内周面16Cとが摺動しながら、コマ部材27が係合ディスク16内でこの軸心線O3 回りに自転しうるようになっている。
【0088】
また、カムシャフト11とカムローブ12との相対回転時(カムシャフト11と係合ディスク16との相対回転時)には、係合ディスク16の偏心に基づいて、コマ部材27はカムシャフト11側の突設ピン部材26に対してラジアル方向へ摺動するようになっている。
一方、第2スライダ部材18は、第1実施形態とは逆に構成されている。つまり、カムローブ12側のアーム部20において、第1スライダ部材17のコマ部材27と位相をずらせるようにして(ここでは180°位相がずらされている)、スライダ用溝20Bが形成されている。
【0089】
また、係合ディスク16側の対応箇所には穴部16Eが形成されている。そして、第2スライダ部材18は、スライダ用溝20B内を半径方向(ラジアル方向)に摺動自在のスライダ本体22と、係合ディスク16側の穴部16Eに一端部を内装され他端部をスライダ本体22の穴部22Aに内装されたピン部材としてのドライブピン24とをそなえて構成されている。
【0090】
したがって、係合ディスク16が回転すると、ドライブピン24及びスライダ本体22が係合ディスク16と一体に回転して、この回転力がスライダ本体22からスライダ用溝20Bを通じてアーム部20からカムローブ12側へ伝わるようになっている。また、カムシャフト11とカムローブ12との相対回転時(係合ディスク16とカムローブ12との相対回転時)には、スライダ本体22がスライダ用溝20B内で半径方向へ摺動しながら回転力を伝達する。
【0091】
また、第2実施形態では、図12,図13に示すように、バルブ2のステム端部2Aに、ロッカアーム8が装備され、カム6はこのロッカアーム8を揺動させながら、バルブ2を駆動するようになっている。なお、3Aはバルブスプリング3を保持するスプリングリテーナである。
また、電動モータ33は、カムシャフト11と平行に設置されたギヤ軸32Aに直結されており、電動モータ33が回動すると、ギヤ機構32、即ちギヤ軸32A側の第2ギヤ(コントロールギヤ)32B及びコントロールディスク14側の第1ギヤ31を通じて、コントロールディスク14の位相調整が行なわれるようになっている。また、モータ33にはポジションセンサ35が付設され、コントロールディスク14の回転位相を検出しうるようになっている。
【0092】
さらに、40はカムシャフト11に結合されたプーリ,41はプーリベルトであり、クランクシャフトの回動がプーリベルト41からプーリ40を通じてカムシャフト11に伝達されるようになっている。
(2.2) 本装置の要部の説明
さて、次に本装置の要部について説明すると、この第2実施形態においても、上述の第1実施形態と同様に、エンジンの吸気側に設けられたコントロールディスク14の回転位相(位置)は、図9(a)に示すように、エンジンの回転数に応じてステップ状に変更されるようになっている。このコントロールディスク14の回転位相の制御は第1実施形態と同様のものであるが、ここでは、あえて繰り返し説明する。
【0093】
すなわち、上述したような可変動弁制御機構では、エンジン回転数とコントロールディスク14の位相(即ち吸気弁の開閉タイミング)とによりエンジンに吸入される吸気の体積効率ηv が大きく異なり、エンジンの回転数に対してコントロールディスク14の位相角が不適切に調整されると、体積効率ηv が低下し、却ってエンジンの出力性能を損なってしまうことが考えられる。
【0094】
例えば図10はエンジン回転数Neに応じた吸気効率ηV の特性をコントロールディスク14の位相角ψi 毎に算出して示したものである。これらの位相角ψ1 〜ψ9 は、ψ7 ,ψ8 を除いて第1実施形態で式(1),式(2)を用いて説明したように等差関係にあり、また、各位相角ψ1 〜ψ9 は番号順に大きな値になっている。
【0095】
図10に示すように、エンジン回転数Neの小さな低速域では、コントロールディスク14の位相角ψi が小さくバルブの開放期間が短いほど吸気効率ηV が高くなり、エンジン回転数Neの大きな高速域では、コントロールディスク14の位相角ψi が大きくバルブの開放期間が長いほど吸気効率ηV が高くなる。
このような特性は極めて一般的なものであるが、この特性に基づけば、エンジン回転数Neの小さな低速域ではコントロールディスク14の位相角ψi を小さくして、エンジン回転数Neの増加に応じてコントロールディスク14の位相角ψi を増大させていけばよいことになる。
【0096】
しかしながら、位相角がψ5 〜ψ9 へ増加する過程の位相角ψ6 ,ψ7 ,ψ8 では、エンジン回転数Neの中速域を中心として吸気効率ηV が大幅に低下している。これは吸気脈動を利用した慣性過給等により発生する疎密波が影響しているものと考えられるが、このような位相角領域ψ6 〜ψ8 を使用すると吸気効率ηV が低いためエンジンの出力性能を悪化させてしまうことになる。
【0097】
そこで、エンジン回転数Neの増加に応じてコントロールディスク14の位相角ψi を増大させながらも、途中で吸気効率ηV の極めて低下する位相角領域があればこれを回避するようにコントロールディスク14の位相角ψi を制御すればよい。
また、この例では、コントロールディスク14の位相角ψi を9段階にステップ状に調整することを前提としているが、9段階に限らず位相角ψi をステップ状に調整することで制御を単純化できる。
【0098】
すなわち、コントロールディスク14の位相角を例えばψ1 〜ψ9 の9段階に分割するなどして、図10に示すように、予め各位相毎に体積効率ηv とエンジン回転数との関係を調べておき、体積効率ηv が一番高くなる位相角を回転数範囲毎に設定しておくようにするのである。ここでは、図9(a),(b)に示すように、常に良好な体積効率ηv が得られるようにコントロールディスク14の位相角をエンジン回転数範囲毎にステップ状に切り換えるようにしている。なお、図9(b)に示すように、エンジン回転数範囲毎にコントロールディスク14の位相をステップ状に切り換えるのは、体積効率ηv の劣る位相角をなるべく用いないようにするためである。特に、ここでは、体積効率ηv の極めて低下する位相角ψ5 〜ψ8 は使用せず、上述した9つの位相角ψ1 〜ψ9 のうち体積効率ηv の高いψ1 〜ψ4 ,ψ9 の5段階の位相角のみを用いるように設定している。
【0099】
このように、本装置では、エンジンのアイドリングから回転数N1 の間では、コントロールディスク14の位相は、ψ1 に設定されるようになっており、エンジンが回転数N1 を越えるとコントロールディスク14の位相をψ2 にステップ状に変更させるようになっているのである。そして、エンジン回転数がN1 以上N2 未満では、コントロールディスク14の位相はψ2 に保たれ、エンジン回転数がN2 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ3 にステップ状に変更されるようになっている。そして、エンジン回転数がN2 以上であってN3 未満の回転数範囲では位相はψ3 に保持されるのである。
【0100】
同様に、エンジン回転数がN3 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ4 にステップ状に変更され、エンジン回転数がN3 以上でN4 未満の回転数範囲では位相はψ4 に保持されるようになっており、エンジン回転数がN4 以上になるとコントロールディスク14の位相はψ9 にステップ状に変更されるのである。
【0101】
なお、上述ではエンジン回転数の上昇時におけるコントロールディスク14の位相角の変化について説明したが、エンジン回転数の下降時についてもやはりコントロールディスク14の位相はステップ状に変更されるようになっている。
また、この第2実施形態についても、上述の第1実施形態と同様に、コントロールディスク14の位相をψ1 〜ψ9 の9段階に分割して、エンジン回転数範囲毎に体積効率ηv の最も高くなる位相に切り換えるようにしているいるが、コントロールディスク14の位相を更に細かく設定して、位相を切り換えるようにしてもよい。
【0102】
また、本実施形態においても、上述の第2実施形態と同様に、エンジンの回転が急激に上昇した場合は、コントロールディスク14の位相角制御を行なわないようになっている。また、エンジンの回転が急激に下降した場合についても、上述と同様に、エンジン回転数の変化に対応しうる範囲で制御を行ない、この範囲を越えてエンジン回転が急激に変化した場合は、制御を行なわないようになっている。
【0103】
この他の構成は、第1実施形態とほぼ同様であるので説明を省略するが、本実施形態でも、カムローブ12のカムシャフト11に対する位相差特性は、例えば図6に示すようなものにでき、また、バルブリフト特性は、例えば図7に示すようになる。
【0104】
本発明の第2実施形態の可変動弁制御装置は、上述のように構成されるので、例えば図16に示すように、カムローブ12がカムシャフト11に対して相対回転を行ないながら、カム6の駆動が行なわれる。なお、図16は第1実施形態の図5と対応する。
つまり、図16(A)に示すように、カムシャフト角度が0°、即ち、回転中心O1 と回転中心O2 とを結んだ直線(実際上は平面)BL上の上方にドライブピン23の軸心線が位置し、直線(平面)BL上の下方にドライブピン24の軸心線が位置する基準状態から、カムシャフト11が、矢印で示すように時計回りに回転してカムシャフト角度が90°になると、係合ディスク16やカムローブ12は、図16(B)に示すように変位する。
【0105】
すなわち、第5図(B)の場合と同様に、係合ディスク16の偏心により、係合ディスク16の回転量θ1 は、カムシャフト11の回転量(=90°)よりも小さくなり、カムローブ12の回転量θ3 は、この係合ディスク16の回転量θ1 よりもさら小さくなる。したがって、カムシャフトが角度0°から90°まで90°だけ回転する間には、カムローブ12はカムシャフト11よりも低速回転する。
【0106】
次に、カムシャフト11が角度90°から180°まで90°だけ回転すると、ドライブピン23は、図16(C)に示すような位置になり、図5(C)の場合と同様に、カムシャフト11が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は次式で示される回転量θ5 だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも高速回転する。
【0107】
そして、さらに、カムシャフト11が角度180°から270°まで90°だけ回転すると、ドライブピン23は、図16(D)に示すような位置になり、図5(D)の場合と同様に、係合ディスク16はカムシャフト11の回転量(=90°)よりも角度θ2 分だけ多い回転量θ6 となり、さらに、カムローブ12の回転量θ7 はこの係合ディスク16の回転量θ6 よりもさらに大きくなる。したがって、カムシャフト11が角度180°から270°まで90°だけ回転する間には、カムローブ12はカムシャフト11よりも高速回転する。
【0108】
そして、さらに、カムシャフト11が角度270°から360°(=0°)まで、90°だけ回転すると、ドライブピン23は、再び図16(A)に示すような位置になり、図5(A)に示す場合と同様に、カムシャフト11が90°だけ回転するのに対して、カムローブ12は回転量θ8 (=90°−θ4 )だけ回転することになり、この間は、カムローブ12はカムシャフト11よりも低速回転する。
【0109】
このようにして、カムローブ12はカムシャフト11に対して先行したり遅延したりしてカムシャフト11の回転速度とは不等速で回転しうるので、偏心位置調整機構30を通じてコントロールディスク(制御部材)14を回転させ係合ディスク16の偏心位置(偏心中心の位相)を適宜調整しながら、カムシャフト11を回動させることで、第1実施形態と同様な作用および効果を得ることができる。
【0110】
すなわち、第1実施形態と同様に、上述したコントロールディスク14のうち、エンジンの吸気側に設けられたコントロールディスク14の回転位相は、図9(a)に示すように、エンジンの回転数範囲に応じてステップ状に変更される。そして、これにより吸気弁の開閉タイミングが急激に変化する。
そして、このように、エンジンの回転数範囲毎に最適な位相角にコントロールディスク14を制御することで、エンジンの回転数全域において体積効率ηv を高めることができ、高出力を得ることができるようになる。
【0111】
なお、この位相角の変更は、第1実施形態のものと同様に例えば図11に示すフローチャートにしたがって実行される。
さらに本第2実施形態では、第1実施形態の作用及び効果に加えて、以下のような効果もある。
【0112】
つまり、第1実施形態のように、係合ディスク16のスライダ用溝16A,16B内をスライダ本体21,22がラジアル方向へスライドする構造では、スライダ用溝16A,16Bの各両内壁面28A,28B,28C,28Dを加工性を考慮して平面で構成するのが一般的であり、スライダ本体21,22の各両外側面21B,21C,22B,22Cについても、加工性やトルク伝達性を考慮して内壁面28A,28B,28C,28Dと面当たりするような平面で構成するのが一般的である。
【0113】
ところが、溝16A,16Bやスライダ本体21,22の精密な加工が困難であるため、溝16A,16Bの幅(即ち、内壁面28Aと28Bとの間、又は、内壁面28Cと28Dとの間の距離)を、スライダ本体21,22の幅(即ち、外側面21Aと21Bとの間、又は、外側面22Aと22Bとの間の距離)よりもやや大きくなるようにクリアランスを設けるようにして、加工精度の不足を補っている。
【0114】
しかしながら、このように、溝16A,16Bとスライダ本体21,22との間にクリアランスを設けると、カム6を駆動する際に、正負のトルク変動によってクリアランス方向が変わるため、打音が発生する不具合が生じやすい。
これに対して、本実施形態では、打音の発生がより課題となりやすいカムシャフト11側(入力側)の第1スライダ部材17において、カムシャフト11から突設した突設ピン部材26に対して、係合ディスク16側のコマ部材27をラジアル方向へ摺動させながらスライドさせる構造になっている。即ち、円柱状の軸(突設ピン部材26)を軸穴(円形断面の円形穴部27A)内に挿入させて、軸方向へ相対動させるようになっている。
【0115】
このように、円柱状の軸(突設ピン部材26)や軸穴(円形断面の穴)の加工は容易であるため、これらの寸法管理も容易となり、これらの部材26,27Aとの間で打音が発生しない程度に、両部材(即ち、突設ピン部材26と円形穴部27A)のクリアランスを縮小させることができる。したがって、打音が発生する不具合を回避することができるのである。
【0116】
また、コマ部材27はスライダ本体に相当するが、コマ部材27は係合ディスク16に対してラジアル方向へのスライドは行なわないで回転(自転)のみを行なう。そして、この回転に伴うコマ部材27と係合ディスク16との間の摺接は、コマ部材27に形成された円筒外周面27Bと係合ディスク16に形成された円筒内周面16Cとの間で行なわれるので、極めて滑らかな相対回転が実現し、また、円筒外周面27Bや円筒内周面16Cは加工も比較的容易であり、この間での寸法管理も容易となり、これらの部材16,27との間での打音の発生も勿論防止することができる。
【0117】
さらに、この第2実施形態では、第1実施形態のドライブアーム19とロックピン25とを兼用するように突設ピン部材26が設けられ、スライダ本体21とドライブピン23とを兼用するようにコマ部材27が設けられるので、部品点数を削減しうる利点もある。
また、突設ピン部材26をカムシャフト11側に設けコマ部材27を係合ディスク16側に設けているが、これとは逆に、突設ピン部材26を係合ディスク16側に設けコマ部材27をカムシャフト11側に設けることも考えられる。
【0118】
さらに、この実施形態では、第1スライダ部材17のみを、突設ピン部材26とコマ部材27とから構成しているが、第2スライダ部材18についても同様に構成してもよい。
この場合も、突設ピン部材26をカムローブ12側に設けコマ部材27を係合ディスク16側に設ける構成の他、突設ピン部材26を係合ディスク16側に設けコマ部材27をカムローブ12側に設ける構成も考えられる。
【0119】
また、各実施形態で、バルブステムとカムとの間のバルブ駆動形態が異なっているが、本可変動弁制御装置は、このようなバルブ駆動形態については何ら限定するものでも又限定されるものもなく、従来の技術で説明したような装置,電磁ソレノイドにより弁を直接駆動する装置,及びヘリカルギアの回動でカムシャフトにねじり角を付与しシャフトとプーリとに相対位相を生じさせる装置等、各種のバルブ駆動形態に適用しうるものである。
【0120】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の可変動弁制御装置によれば、吸気弁を駆動するカムのカムシャフトに対する作動タイミングを制御することにより内燃機関の回転数に対応して吸気弁の開弁期間を含む開閉タイミングを連続的に変更可能に構成された可変動弁制御装置において、該内燃機関の特定回転数域では、吸気干渉により十分な吸気慣性が得られない開閉タイミングを除外するように、開閉タイミングを連続的な変更とはせずに、切り換え前の体積効率と切り換え後の体積効率とが一致する回転数で該吸気弁の開閉タイミングを急激に変更するように構成され、該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲内では、同一の開閉タイミングに設定されることにより、吸気の体積効率の劣る吸気弁の開閉タイミング除外することができ、内燃機関の回転数全域で体積効率を高めることができるのである。これにより、高出力を得ることができるようになるとともに内燃機関の応答性も向上するという利点を有している。また、上記の開閉タイミングを、予め定められた回転数範囲内では同一の開閉タイミングに設定することにより、本装置に緻密な制御が不要となり、低コストで且つ信頼性の高い装置を提供することができるという利点がある。
【0121】
また、請求項2記載の本発明の可変動弁制御装置によれば、上記請求項1記載の構成に加えて、該内燃機関の回転数の上昇にともない該吸気流入期間が徐々に長くなるように該吸気弁の開閉タイミングを変更するように構成されることにより、吸気慣性を十分に利用することができ、吸気の体積効率を向上させることができるのである。したがって、やはり内燃機関の出力や応答性が向上するという利点を有しているのである。
【0122】
また、請求項3記載の本発明の可変動弁制御装置によれば、上記請求項1又は2記載の構成に加えて、該可変動弁制御装置は、クランク軸から回転力が伝達される第1回転部材と、該第1回転部材の第1回転中心軸線と異なり、該第1回転中心軸線と平行な第2回転中心軸線を有する軸支部が設けられた軸支部材と、該軸支部に軸支されるとともに、該第1回転部材に連結されて該第1回転部材の回転に伴って該第2回転中心軸線を中心に回転する中間回転部材と、該中間回転部材に連結されるとともに、該第1回転部材と共通の第 1 回転中心軸線を中心として該中間回転部材の回転にともなって回転する第2回転部材と、該第2回転部材の回転位相に対応して内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は該燃焼室からの排気放出期間を設定する弁部材と、該軸支部材と係合して該内燃機関の回転数に応じて該軸支部材を変位させ、少なくとも該吸気流入期間を可変とする制御用回転軸部材とを有する可変動弁機構をそなえているという構成により、上述の効果に加えて中間回転部材の偏心位置を調整しながら、第2回転部材の第1回転部材に対する位相差状態を調整し、弁の駆動タイミングを制御することができるという利点がある。
また、特に、偏心部の近傍の外周を縮小できて、他の可変バルブタイミング機構と比較して装置全体を小型化しうるという利点がある。
【0125】
さらに、請求項4記載の本発明の可変動弁制御装置によれば、上記請求項3記載の構成に加えて、該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲毎にそれぞれ異なるタイミングが設定されることにより、内燃機関の回転数範囲に適したタイミングで吸気弁が開閉されようになり、やはり、吸気の体積効率が向上するという利点を有している。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置を示す内燃機関の模式的な断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置を示す断面図であり、図1のA−A矢視断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置を示す断面図であり、図1のB−B矢視断面図である。
【図4】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置における偏心位置調整機構(制御手段)を主体として模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置における不等速機構の作動について示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置の不等速機構について説明する特性図である。
【図7】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置による偏心位置調整に応じたバルブリフト特性を示す図である。
【図8】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置の不等速機構について説明するための模式図である。
【図9】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置の吸気弁の開放期間の変化を説明するための特性図である。
【図10】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置における各吸気弁の開放期間における内燃機関の回転数と吸気の体積効率との関係を示す特性図である。
【図11】本発明の第1実施形態としての可変動弁制御装置の動作について説明するためのフローチャートである。
【図12】本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置を示す内燃機関の模式的な断面図である。
【図13】本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置を模式的に示す斜視図である。
【図14】本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置を示す断面図であり、図1のC−C矢視断面図である。
【図15】本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置における要部(突設ピン部材及びコマ部材)を示す斜視図である。
【図16】本発明の第2実施形態としての可変動弁制御装置における不等速機構の作動について示す断面図である。
【符号の説明】
1 シリンダヘッド
2 バルブ(弁部材)
2A バルブ2のステム端部
3 バルブスプリング
4 タペット
5 シム
6 カム
6A カム6の凸部
7 シリンダヘッド1側の軸受部
11 第1回転部材としてのカムシャフト
12 第2回転部材としてのカムローブ
13 不等速継手
14 軸支部材としてのコントロールディスク(制御部材)
15 偏心部(軸支部)
16 中間回転部材としての係合ディスク
16A,16B スライダ用溝
16C 円筒内周面
16D 穴部
17 第1スライダ部材
18 第2スライダ部材
19 第1接続部としてのドライブアーム
20 第2接続部としてのアーム部
21,22 スライダ本体
19A,20A,21A,22A 穴部
21B,21C スライダ本体21の外側面
22B,22C スライダ本体22の外側面
23,24 ピン部材としてのドライブピン
25 ロックピン
26 第1接続部としての突設ピン部材
27 コマ部材
27A 円形穴部
27B 円筒外周面
28A,28B 溝16Aの内壁面
28C,28D 溝16Bの内壁面
30 偏心位置調整機構
31 第1ギヤ
32 ギヤ機構
32A ギヤ軸(制御用回転軸部材)
32B 第2ギヤ(コントロールギヤ)
32C 第3ギヤ
33 駆動手段としての電動モータ
33A モータ側ギヤ
34 制御手段としての電子制御ユニット(ECU)
35 ポジションセンサ

Claims (4)

  1. 吸気弁を駆動するカムのカムシャフトに対する作動タイミングを制御することにより内燃機関の回転数に対応して吸気弁の開弁期間を含む開閉タイミングを連続的に変更可能に構成された可変動弁制御装置において、
    該内燃機関の特定回転数域では、吸気干渉により十分な吸気慣性が得られない開閉タイミングを除外するように、開閉タイミングを連続的な変更とはせずに、切り換え前の体積効率と切り換え後の体積効率とが一致する回転数で該吸気弁の開閉タイミングを急激に変更させるように構成され
    該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲内では、同一の開閉タイミングに設定されている
    ことを特徴とする、可変動弁制御装置。
  2. 該内燃機関の回転数の上昇にともない該吸気流入期間が徐々に長くなるように該吸気弁の開閉タイミングを変更するように構成されている
    ことを特徴とする、請求項1記載の可変動弁制御装置。
  3. 該可変動弁制御装置は、
    クランク軸から回転力が伝達される第1回転部材と、
    該第1回転部材の第1回転中心軸線と異なり、該第1回転中心軸線と平行な第2回転中心軸線を有する軸支部が設けられた軸支部材と、
    該軸支部に軸支されるとともに、該第1回転部材に連結されて該第1回転部材の回転に伴って該第2回転中心軸線を中心に回転する中間回転部材と、
    該中間回転部材に連結されるとともに、該第1回転部材と共通の第1回転中心軸線を中心として該中間回転部材の回転にともなって回転する第2回転部材と、
    該第2回転部材の回転位相に対応して内燃機関の燃焼室への吸気流入期間又は該燃焼室からの排気放出期間を設定する弁部材と、
    該軸支部材と係合して該内燃機関の回転数に応じて該軸支部材を変位させ、少なくとも該吸気流入期間を可変とする制御用回転軸部材と
    を有する可変動弁機構をそなえていることを特徴とする、請求項1又は2記載の可変動弁制御装置。
  4. 該開閉タイミングは、予め定められた回転数範囲毎にそれぞれ異なるタイミングが設定されている
    ことを特徴とする、請求項3記載の可変動弁制御装置。
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