JPH08337896A - アルマイト処理方法及びそれに使用できる局部的圧縮加工装置 - Google Patents

アルマイト処理方法及びそれに使用できる局部的圧縮加工装置

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JPH08337896A
JPH08337896A JP14362095A JP14362095A JPH08337896A JP H08337896 A JPH08337896 A JP H08337896A JP 14362095 A JP14362095 A JP 14362095A JP 14362095 A JP14362095 A JP 14362095A JP H08337896 A JPH08337896 A JP H08337896A
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健児 井尾
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Abstract

(57)【要約】 【目的】陽極酸化膜の表面粗さを小さくし表面粗度を向
上させたアルマイト処理方法及びそれに使用できる装置
を提供すること。 【構成】バニッシュ加工装置5のバニッシュ筒体50を
陰極とし、Siを含むアルミ系の被処理部材4を陽極と
してアルマイト処理し、被処理部材4の円筒体45の内
周面に陽極酸化膜を形成する。次に被処理部材4をアル
マイト処理液に浸漬させたままの状態で、強圧ローラ5
2をバニッシュ筒体50の半径方向外方に突出させ、バ
ニッシュ加工装置5を回転させて強圧ローラ52で陽極
酸化膜を強圧してバニッシュ加工する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はアルミ系の被処理部材に
陽極酸化膜を形成するアルマイト処理方法、及び、それ
に使用できる局部的圧縮加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】アルマイト処理方法としては、従来よ
り、被処理面をもつアルミ系合金で形成された被処理部
材と、アルマイト処理液を収容する容器とを用い、そし
て被処理部材をアルマイト処理液に浸漬させた状態で、
被処理部材を陽極とし、更に陽極に対する陰極を設け、
陽極と陰極との間で通電して被処理部材の被処理面に陽
極酸化膜を形成することにしている。更にこのアルマイ
ト処理方法としては、電流密度を高くして高速処理する
高速アルマイト処理が知られている。
【0003】この様なアルマイト処理で形成した陽極酸
化膜は、硬くて耐摩耗性に優れていることが知られてい
る。このアルマイト処理した陽極酸化膜は、Al2 3
を主要成分とし、多孔質なポア層をもつとされている
(改訂4版 金属便覧、社団法人日本金属学会、昭和5
7年12月20日発行;1313頁)。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところでアルマイト処
理した場合には、特に高速アルマイト処理した場合に
は、陽極酸化膜の不均一化、面粗度の悪化を招くことが
ある。殊に被処理部材を構成するアルミ母材にSi粒子
が含まれている場合には、陽極酸化膜の不均一化、面粗
度の悪化を招き易いと一般的には考えられている。Si
粒子が電流密度の不均一を誘発するためと推察されてい
る。
【0005】陽極酸化膜の表面粗さを小さくするため、
近年、本出願人は被処理部材に形成した陽極酸化膜を砥
石で研摩して表面粗さを向上させる方法を開発した。こ
の方法によれば、研摩前に比較して陽極酸化膜の表面粗
さを小さくできる。しかしながら充分なる表面粗さの向
上を目指すには、仕上研摩をする必要がある。更には、
高価な研摩用の砥石を使用するのでコスト高となり易
い。また砥石の目詰まりが頻繁に生じるため、砥石を頻
繁に交換しなければならない。更に砥石による研摩の場
合には、砥石による加工速度の増大に限度があり、加工
が低速になりがちである。よって砥石で陽極酸化膜を研
摩する方法によれば、価格や生産性は必ずしも充分では
ない。
【0006】本発明は上記した実情に鑑みなされたもの
であり、請求項1及び2の課題は、高速アルマイト処理
する場合であっても、また被処理部材がSiを含む場合
であっても、勿論、通常のアルマイト処理する場合であ
っても、また被処理部材がSiを含まない場合であって
も、陽極酸化膜の均一化、面粗度の均一化に有利なアル
マイト処理方法を提供することにある。
【0007】請求項3の課題は、陽極酸化膜の均一化、
面粗度の均一化に有利なアルマイト処理方法の実施に使
用できる装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者はアルミ系の被
処理部材の被処理面に陽極酸化膜を形成するアルマイト
処理について鋭意開発を進め、そして陽極酸化膜を形成
後または形成中に、被処理面の陽極酸化膜に局部的圧縮
加工手段の強圧体により局部的圧縮加工を加えれば、陽
極酸化膜の均一化、面粗度の均一化を図り得ることを知
見し、試験で確認し、本発明方法及び本発明装置を完成
したものである。
【0009】請求項1のアルマイト処理方法は、被処理
面をもつアルミ系の被処理部材と、アルマイト処理液を
収容する容器と、被処理部材の被処理面に局部的圧縮加
工を加える強圧体をもつ局部的圧縮加工手段とを用い、
被処理部材の被処理面とアルマイト処理液とを接触させ
た状態で、被処理部材に通電して被処理部材の被処理面
に陽極酸化膜を形成するアルマイト処理工程を実施し、
陽極酸化膜を形成後または形成中に、被処理面の陽極酸
化膜に局部的圧縮加工手段の強圧体により局部的圧縮加
工を加えることを特徴とするものである。
【0010】請求項2のアルマイト処理方法は、被処理
面をもつアルミ系の被処理部材と、アルマイト処理液を
収容する容器と、被処理部材の被処理面に局部的圧縮加
工を加える強圧体をもつ局部的圧縮加工手段とを用い、
被処理部材の被処理面とアルマイト処理液とを接触させ
た状態で、被処理部材に通電して被処理部材の被処理面
に陽極酸化膜を形成するアルマイト処理工程を実施し、
陽極酸化膜を形成後または形成中に、局部的圧縮加工手
段の強圧体を回転させつつ、被処理面の陽極酸化膜に局
部的圧縮加工を加え、陽極酸化膜のポア層の少なくとも
表層部分を曲成することを特徴とするものである。
【0011】請求項3の局部的圧縮加工装置は、上記し
た方法の実施に直接使用できるものであり、アルマイト
処理液に浸漬される円筒形状の周壁をもつ基体と、基体
の周壁に半径方向外方に突出可能に保持され被処理部材
の被処理面の陽極酸化膜を強圧可能な強圧ローラと、強
圧ローラを周壁から半径方向外方に突出させる付勢部材
とを具備することを特徴とするものである。
【0012】
【作用】請求項1、2の方法によれば、被処理部材に通
電して被処理部材の被処理面に陽極酸化膜を形成するア
ルマイト処理工程を実施する。陽極酸化膜を形成後また
は形成中に、局部的圧縮加工手段の強圧体により被処理
面の陽極酸化膜に局部的圧縮加工を加える。
【0013】請求項1の方法によれば、局部的圧縮加工
の如何によって、陽極酸化膜のポア層の少なくとも表層
部分が圧縮加工を受けて曲成される形態、及び、圧縮加
工を受けつつもポア層の表層部分が実質的に曲成されな
い形態が含まれる。請求項2の方法によれば、局部的圧
縮加工手段の強圧体を回転させるので、陽極酸化膜のポ
ア層の少なくとも表層部分を曲成し易い。
【0014】請求項3の装置によれば、局部的圧縮加工
の際に、付勢部材により強圧ローラは基体の周壁に半径
方向外方に突出される。そして突出した強圧ローラは、
被処理部材の被処理面の陽極酸化膜に強圧される。
【0015】
【実施例】以下、本発明の実施例を説明する。この実施
例は、Siを含む被処理部材を高速アルマイト処理する
場合である。 (実施例の構成) (装置)まず装置から説明する。図1に示す様にアルマ
イト処理液1を収容する収容室20をもつ容器2が設け
られている。更にアルマイト処理液1がタンク室30に
貯溜されたタンク3が配置されている。タンク3にはア
ルマイト処理液1を低温(例えば5℃)に維持するため
の冷却装置33が設けられている。
【0016】容器2の保持部21には、アルミ系合金の
ダイカスト材からなる被処理部材4が保持されている。
本実施例では被処理部材4は、油圧部品であるブレーキ
マスターシリンダとして使用される。被処理部材4は、
周壁42に適数個の孔43をもつ円筒体45と、円筒体
45の下端開口を閉じる底壁46と、円筒体45から一
体的に半径方向外方に延設された鍔部47とをもつ。円
筒体45は中空室41を区画している。孔43は、被処
理部材4の使用の際に油路として機能する。被処理部材
4を形成するアルミ系合金には、例えば、重量%でSi
が5.0〜15.0%、Mgが0.25〜0.6%、C
uが0.2%以下が含まれている。なおアルミ系合金に
は、硬質粒子として機能して耐摩耗性を確保する等のた
めに初晶Si粒子が含まれている形態でも、初晶Si粒
子が含まれていない形態でも良い。初晶Si粒子はSi
含有量に基づき晶出するからである。
【0017】被処理部材4の中空室41には、バニッシ
ュ加工装置5のバニッシュ筒体50がリング状の隙間4
9を存して略同軸的に挿入されている。更にタンク3と
バニッシュ加工装置5とをつなぐ供給路37が設けら
れ、供給路37にはポンプ38が配置されている。タン
ク3と容器2の排出口2iとをつなぐ排出路39が設け
られている。ここでポンプ38が作動すると、タンク3
のアルマイト処理液1は供給通路37を通り、供給通路
37のノズル37hからバニッシュ加工装置5のバニッ
シュ筒体50の内部に供給され、バニッシュ筒体50の
孔50dから隙間49に供給され、更に被処理部材4の
孔43を通って容器2の収容室20に至り、更に排出路
39を経てタンク3に戻る。この様にしてアルマイト処
理液1は循環する。
【0018】図2及び図3に示す様にバニッシュ加工装
置5は、局部的圧縮加工の一つであるバニッシュ加工を
行う装置である。このバニッシュ加工装置5は、アルマ
イト処理液に対する耐食性及び導電性を備えた金属(例
えばステンレス鋼)で形成された基体として機能するバ
ニッシュ筒体50と、バニッシュ筒体50に回転可能に
保持され硬質材料(例えばJIS SK材やSKD材、
セラミックス材など)で形成された強圧体としての強圧
ローラ52と、強圧ローラ52をバニッシュ筒体50の
周壁の開口51から半径方向外方つまりX1方向に突出
させる付勢部材53とを備えている。バニッシュ筒体5
0は、図略の駆動源によりその軸芯回りに回転可能及び
上下方向に移動可能とされている。
【0019】強圧ローラ52の一部は、バニッシュ筒体
50の開口51から突出している。強圧ローラ52は円
錐面状をなすテーパ面52cをもち、付勢部材53はテ
ーパ面52cに相応するテーパ角を備えた円錐面状のテ
ーパ面53cをもつ。付勢部材53が軸長方向つまり矢
印Y1方向に移動すると、付勢部材53のテーパ面53
cが強圧ローラ52のテーパ面52cを押圧し、これに
より強圧ローラ52は半径方向外方つまり矢印X1方向
に所定量突出する。
【0020】図1に示す様に、給電装置として機能する
整流器6が設けられている。整流器6の陽極端子60に
は給電線61を介して被処理部材4が電気的に接続され
ている。従ってアルマイト処理の際に被処理部材4が陽
極として機能する。整流器6の陰極端子64には給電線
65を介してバニッシュ加工装置5のバニッシュ筒体5
0が電気的に接続されている。従ってアルマイト処理の
際にバニッシュ筒体50は陰極として機能する。
【0021】(方法)次に本実施例に係る方法を説明す
る。図1に示す様に被処理部材4を容器2の保持部21
に保持して被処理部材4を容器2内のアルマイト処理液
1に浸漬させる。これにより被処理部材4の円筒体45
とアルマイト処理液1とを接触させる。この状態ではバ
ニッシュ加工装置5のバニッシュ筒体50と被処理部材
4の円筒体45の内周面とはアルマイト処理液を存して
対面している。
【0022】またこの状態では、強圧ローラ52は退避
して強圧ローラ52の突出量は抑えられており、強圧ロ
ーラ52と被処理部材4の円筒体45とは非接触状態に
維持されている。その状態で、陰極と陽極との間に通電
して所定時間アルマイト処理を行う。これにより被処理
部材4の円筒体45のうち被処理面である内周面に陽極
酸化膜を形成する。この場合には、陰極として機能する
バニッシュ加工装置5のバニッシュ筒体50を適宜矢印
Y1、Y2方向に移動させる。
【0023】本実施例では陰極と陽極とに通電する電流
密度を増大させて高速アルマイト処理を行う。そして陽
極酸化膜が形成された被処理部材4の円筒体45の内径
が所定寸法になったら、アルマイト処理を停止する。な
お本実施例におけるアルマイト処理の条件は次の様であ
る。即ち、電流密度は50〜300A/dm2 であり、
時間は5〜30秒であり、アルマイト処理液1は硫酸溶
液(10〜30vol%程度)であり、アルマイト処理
液1の処理温度は−10〜+22°Cである。
【0024】この様にアルマイト処理の結果、被処理部
材4の円筒体45の内周面には陽極酸化膜(膜厚1〜1
5μm、硬度Hv300以下、表面粗さRz3.0μm
以下)が形成される。次に、バニッシュ加工装置5のバ
ニッシュ筒体50を矢印C1方向に一方向回転させつ
つ、強圧ローラ52を半径方向外方つまり矢印X1方向
に拡張して、陽極酸化膜を局部的圧縮加工する。局部的
圧縮加工は、図2に示す強圧ローラ52のうち。外径が
大きな径大端部52fで達成される。一般的には強圧ロ
ーラ52の拡張量は10〜50μm、膜圧縮率は5〜1
5%である。膜圧縮率は、〔(加工前の厚み−加工後の
厚み)/(加工前の厚み)〕×100%を意味する。
【0025】これにより局部的圧縮加工の一例であるバ
ニッシュ加工が被処理部材4の陽極酸化膜に施される。
この様なバニッシュ加工の際には、強圧ローラ52を備
えたバニッシュ筒体50の軸長方向にそってつまり矢印
Y1、Y2方向にそって適宜移動させる。これによりバ
ニッシュ筒体50の軸長方向におけるバニッシュ加工の
むらを軽減または回避する。バニッシュ加工は所定時間
行う。そして陽極酸化膜をもつ被処理部材4の円筒体4
5の内径が所定寸法になったら、バニッシュ加工を停止
する。 (実施例の効果)この様な工程を実施した本実施例によ
れば、被処理部材4の円筒体45の内周面の陽極酸化膜
が均一化し、表面粗さもRz1.6〜0.5μmと小さ
く、面粗度も良好な値となった。更にバニッシュ加工を
施した陽極酸化膜の硬度も高くなり、耐摩耗性が向上
し、摺動材料として一層適する様になった。
【0026】本実施例によれば、転動する強圧ローラ5
2により陽極酸化膜のポア層の表層側を押し潰す方式と
なるため、陽極酸化膜の表面粗さを表面粗さ計で測定し
たとき、表面粗さを示す粗さ線の山や谷が平坦化し易
く、面粗度の向上に貢献できる。この様に本実施例によ
ればバニッシュ加工により陽極酸化膜の表面粗さを小さ
くし、面粗度を向上できるため、高速処理が達成し得る
ものの面粗度が低下しがちであった高速アルマイト処理
を実行することができる。
【0027】また本実施例によれば、陽極酸化膜を砥石
で削って研摩加工する方式に比較して、転動する強圧ロ
ーラ52により押し潰す方式となるため、砥石方式に比
較して陽極酸化膜の表面粗さも良好となり、砥石の目詰
まり、砥石の摩滅等の砥石に起因する不具合がない。従
って砥石を頻繁に交換しなければならないといった砥石
研摩方式で生じていた不具合を解消できる。
【0028】バニッシュ加工を施した陽極酸化膜を電子
顕微鏡(SEM)で観察したところ、陽極酸化膜のポア
層の表層側は曲成されていた。この写真を図4に示す。
図4の写真の下部には倍率として50000倍、100
nmの基準寸法が記されている。この写真によれば、陽
極酸化膜のポア層が、ポア層の細孔の孔芯に対して軸直
角方向に曲成されていることがわかる。
【0029】更にまた本実施例の様に陽極酸化膜の形成
に際して高速アルマイト処理した場合には、電流密度が
高いためジュール熱に伴い被処理部材4の温度が高温と
なり易い。この場合『焼け』等の不具合が生じる。この
点本実施例では強圧ローラ52を退避させたバニッシュ
加工装置5を用い、バニッシュ加工装置5のバニッシュ
筒体50を回転させつつつアルマイト処理を行うため、
アルマイト処理液には遠心力も作用し、特に隙間49の
アルマイト処理液に遠心力も作用し、従ってアルマイト
処理液はポンプ38の駆動力の他に遠心力によっても流
動することになり、アルマイト処理液の流速の増大に有
利である。よってアルマイト処理液の循環性が向上し、
被処理部材4の高温化の低減に有利であり、『焼け』の
軽減または回避に有利である。
【0030】更にアルマイト処理の際に強圧ローラ52
が攪拌羽根として機能することも期待できるので、被処
理部材4内に収容されているアルマイト処理液を攪拌で
き、アルマイト処理液の局部的溜まりを回避するのに有
利であり、この意味においてもアルマイト処理液の循環
性が向上し、『焼け』の軽減または回避に有利である。
【0031】本実施例によれば、バニッシュ加工装置5
のバニッシュ筒体50は強圧ローラ52を保持するばか
りか、アルマイト処理の際の陰極としても機能する。即
ち、はバニッシュ加工装置5は、アルマイト処理及びバ
ニッシュ加工の双方を達成できる。そのため本実施例に
よれば、被処理部材4を容器2の保持部21に一体保持
したら、被処理部材4を取り外すことなく、アルマイト
処理及びバニッシュ加工の双方を達成でき、作業性も良
い。
【0032】また本実施例によれば、強圧ローラ52が
被処理部材4の円筒体45の内周面を圧接しつつ加工す
るものであり、いわば局部的圧縮の繰り返しで加工する
方式である。従って陽極酸化膜の全体を一度に加工する
形態に比較して、加工力も小さくて済み、陽極酸化膜の
割れの回避に有利である。しかもバニッシュ加工装置5
の小型化にも有利である。
【0033】更に本実施例によれば、前述の様に陽極酸
化膜のポア層の表層側を曲成できるので、面粗度の向上
ばかりか、バニッシュ加工をポア層の封孔処理として利
用することも期待できる。従って被処理部材4の使用の
際に、腐食の要因となり得る侵入物がポア層の細孔に侵
入することを軽減または回避でき、陽極酸化膜の耐腐食
性の向上に貢献できる。
【0034】また本実施例によれば、着色物質等の他の
物質をポア層の細孔に付着させた場合には、陽極酸化膜
にバニッシュ加工を施すことにより、封孔処理すること
も期待できる。なおポア層の細孔に着色物質を付着させ
た場合には、バニッシュ加工に伴う封孔作用により、ポ
ア層の細孔に付着された着色物質の脱離の軽減または回
避に有利であり、この意味において陽極酸化膜における
退色防止に貢献できる。
【0035】加えて本実施例によれば、液体であるアル
マイト処理液の内で被処理部材4の陽極酸化膜に対して
バニッシュ加工を行うので、バニッシュ加工の際におけ
る摩擦熱の低減、潤滑性の確保に有利であり、従ってバ
ニッシュ加工を良好に実施するのに有利である。 (他の例)上記した実施例によれば、アルマイト処理で
陽極酸化膜を被処理部材4に形成した後に、その陽極酸
化膜にバニッシュ加工を施しているが、これに限定され
るものではなく、アルマイト処理で被処理部材4に陽極
酸化膜を形成し、その後にアルマイト処理を中止してバ
ニッシュ加工を施し、更にその後にバニッシュ加工を中
止して再びアルマイト処理で被処理部材4に陽極酸化膜
を積層することにしても良い。あるいは、アルマイト処
理で被処理部材4に陽極酸化膜を形成しつつ、その形成
中の陽極酸化膜にバニッシュ加工を施すことにしても良
い。
【0036】上記した例では、アルマイト処理液に浸漬
している陽極酸化膜にバニッシュ加工を施しているが、
これに限らず、バニッシュ加工の際には容器2から被処
理部材4を外気中に取り出し、外気中で陽極酸化膜にバ
ニッシュ加工することにしても良いものである。上記し
た実施例によれば、高速アルマイト処理することにして
いるが、これに限らず通常のアルマイト処理でも良い。
更にアルマイト処理液として硫酸溶液を使用している
が、これに限らずシュウ酸溶液でもクロム酸溶液等の公
知のアルマイト処理液を採用しても良いものである。
【0037】また上記した例では被処理部材4の円筒体
45の内周面に陽極酸化膜を形成しているが、円筒体4
5の外周面に陽極酸化膜を形成し、その外周面に形成し
た陽極酸化膜を強圧ローラ52で強圧しても良いもので
ある。この場合には被処理部材4の円筒体45の径より
もバニッシュ加工装置5のバニッシュ筒体50を径大と
し、被処理部材4の円筒体45の外周面をバニッシュ加
工装置5のバニッシュ筒体50で包囲する。更に被処理
部材4の円筒体45の内周面及び外周面の双方に陽極酸
化膜を形成しても良いものである。
【0038】更に強圧体として、テーパをもつ略円筒形
状の強圧ローラ52を使用しているが、これに限定され
るものではなく、球体状の強圧体でも良いものである。
図5及び図6はバニッシュ加工装置の変形例を示す。図
5に示すバニッシュ加工装置80は、バニッシュ筒体8
1と、バニッシュ筒体81に保持された強圧ローラ82
と、バニッシュ筒体81に内設された回転体83と、回
転体83に保持されたハンマ84とを備えている。そし
て回転体83の回転に伴いハンマ84が強圧ローラ82
を叩いてバニッシュ筒体81の半径方向外方に突出させ
るので、被処理部材4の円筒体45の内周面の陽極酸化
膜は局部的圧縮加工を繰り返して受ける。
【0039】図6に例によれば、被処理部材4の円筒体
45の内周面には陽極酸化膜が形成されており、そし
て、被処理部材4の円筒体45の内径よりも微小量大き
な外径をもつ硬質材料からなる球体88を用いる。そし
て球体88を被処理部材4の円筒体45の内部に強制的
に圧入するので、被処理部材4の円筒体45の内周面の
陽極酸化膜は圧縮加工を受ける。
【0040】上記した各例では局部的圧縮加工手段とし
てバニッシュ加工を行うバニッシュ加工装置を採用して
いるが、これに限定されるものではなく、場合によって
は、強圧体を回転させつつ鍛造する回転鍛造装置、ロー
タリースエージ加工装置を採用することもできる。上記
した例では被処理部材4の基本的形状は円筒形状である
が、これに限定されるものではなく、平板状、盤状、塊
状でも良い。
【0041】その他、本発明は上記しかつ図面に示した
実施例のみに限定されるものではなく、要旨を逸脱しな
い範囲内で必要に応じて適宜選択できるものである。 (付記)上記した実施例から次の技術的思想も把握でき
る。 ○局部的圧縮加工をアルマイト処理液などの液体中で行
うことを特徴とする請求項1、2に記載の方法。 ○被処理部材は初晶Si粒子を含むことを特徴とする請
求項1に記載の方法。 ○局部的圧縮加工手段は、アルマイト処理液に浸漬され
る導電性材料からなる基体をもち、基体は、被処理部材
の被処理面に対面し、アルマイト処理の際の陰極として
機能することを特徴とする請求項3に記載の装置。 ○陽極酸化膜を備え、陽極酸化膜のポア層がポア層の細
孔の孔芯に対して軸直角方向に曲成されているアルミ系
合金からなる部材。 ○少なくとも表層部が局部的圧縮加工されたポア層をも
つ陽極酸化膜を備えたアルミ系合金からなる部材。 ○被摺動面をもつアルミ系の被処理部材と、アルマイト
処理液を収容する容器と、被処理部材の被摺動面に局部
的圧縮加工を加える強圧体をもつ局部的圧縮加工手段と
を用い、被処理部材の被摺動面とアルマイト処理液とを
接触させた状態で、被処理部材に通電して被処理部材の
被摺動面に陽極酸化膜を形成するアルマイト処理工程を
実施し、陽極酸化膜を形成後または形成中に、局部的圧
縮加工手段の強圧体により被摺動面の陽極酸化膜に局部
的圧縮加工を加えることを特徴とする摺動部材の製造方
法。
【0042】
【発明の効果】請求項1、2の方法によれば、高速アル
マイト処理する場合であっても、また被処理部材がSi
を含む場合であっても、勿論、通常のアルマイト処理す
る場合であっても、また被処理部材がSiを含まない場
合であっても、陽極酸化膜が均一化し、陽極酸化膜の表
面粗さも小さくなり、面粗度も良好な値となる。
【0043】また請求項1、2の方法によれば、強圧ロ
ーラ体が被処理部材の被処理面を圧接しつつ加工するも
のであり、いわば局部的圧縮の繰り返しで加工する方式
である。従って陽極酸化膜の全体を一度に加工する形態
に比較して、加工力も小さくて済み、陽極酸化膜の割れ
の回避に有利であり、更に局部的圧縮加工手段の小型化
にも有利である。
【0044】請求項2の方法によれば、局部的圧縮加工
手段の強圧体を回転させつつ局部的圧縮加工を施すの
で、陽極酸化膜のポア層の表層側を曲成するのに有利で
あり、封孔処理としての機能も期待できる。従って他の
物質をポア層に付着させた場合には、その物質がポア層
の細孔から脱落することを軽減または回避するのに有利
である。
【0045】請求項3の装置によれば、陽極酸化膜に効
果的に局部的圧縮加工を施すことができる。従って、陽
極酸化膜が均一化し、陽極酸化膜の表面粗さも小さくな
り、面粗度も良好な値となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に使用する装置を模式的に示す構成図で
ある。
【図2】バニッシュ装置の要部の縦断面図である。
【図3】バニッシュ装置の要部の横断面図である。
【図4】陽極酸化膜のポア層における金属組織を示す顕
微鏡写真図である。
【図5】他の例に係るバニッシュ装置で被処理部材をバ
ニッシュ加工している状態を模式的に示す横断面図であ
る。
【図6】他の例に係るバニッシュ装置で被処理部材をバ
ニッシュ加工している状態を模式的に示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
図中、1はアルマイト処理液、2は容器、38はポン
プ、4は被処理部材、45は円筒体、5はバニッシュ加
工装置(局部的圧縮加工手段)、52は強圧ローラ(強
圧体)、53は付勢部材を示す。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成7年6月15日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図4
【補正方法】変更
【補正内容】
【図4】

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】被処理面をもつアルミ系の被処理部材と、
    アルマイト処理液を収容する容器と、該被処理部材の被
    処理面に局部的圧縮加工を加える強圧体をもつ局部的圧
    縮加工手段とを用い、 該被処理部材の被処理面と該アルマイト処理液とを接触
    させた状態で、該被処理部材に通電して該被処理部材の
    被処理面に陽極酸化膜を形成するアルマイト処理工程を
    実施し、 該陽極酸化膜を形成後または形成中に、該被処理面の陽
    極酸化膜に該局部的圧縮加工手段の強圧体により局部的
    圧縮加工を加えることを特徴とするアルマイト処理方
    法。
  2. 【請求項2】被処理面をもつアルミ系の被処理部材と、
    アルマイト処理液を収容する容器と、該被処理部材の被
    処理面に局部的圧縮加工を加える強圧体をもつ局部的圧
    縮加工手段とを用い、 該被処理部材の被処理面と該アルマイト処理液とを接触
    させた状態で、該被処理部材に通電して該被処理部材の
    被処理面に陽極酸化膜を形成するアルマイト処理工程を
    実施し、 該陽極酸化膜を形成後または形成中に、該局部的圧縮加
    工手段の強圧体を回転させつつ、該被処理面の陽極酸化
    膜に局部的圧縮加工を加え、該陽極酸化膜のポア層の少
    なくとも表層部分を曲成することを特徴とするアルマイ
    ト処理方法。
  3. 【請求項3】アルマイト処理液に浸漬される円筒形状の
    周壁をもつ基体と、 該基体の周壁に半径方向外方に突出可能に保持され被処
    理部材の被処理面の陽極酸化膜を強圧可能な強圧ローラ
    と、 該強圧ローラを該周壁から半径方向外方に突出させる付
    勢部材とを具備することを特徴とする局部的圧縮加工装
    置。
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