JPH08337852A - ワイヤー用オーステナイトステンレス鋼 - Google Patents

ワイヤー用オーステナイトステンレス鋼

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JPH08337852A
JPH08337852A JP8124092A JP12409296A JPH08337852A JP H08337852 A JPH08337852 A JP H08337852A JP 8124092 A JP8124092 A JP 8124092A JP 12409296 A JP12409296 A JP 12409296A JP H08337852 A JPH08337852 A JP H08337852A
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JP
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Withdrawn
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JP8124092A
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English (en)
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Frederic Descaves
デカーヴ フレデリック
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Ugine Savoie SA
Original Assignee
Ugine Savoie SA
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C21METALLURGY OF IRON
    • C21DMODIFYING THE PHYSICAL STRUCTURE OF FERROUS METALS; GENERAL DEVICES FOR HEAT TREATMENT OF FERROUS OR NON-FERROUS METALS OR ALLOYS; MAKING METAL MALLEABLE, e.g. BY DECARBURISATION OR TEMPERING
    • C21D8/00Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment
    • C21D8/06Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of rods or wires
    • C21D8/065Modifying the physical properties by deformation combined with, or followed by, heat treatment during manufacturing of rods or wires of ferrous alloys
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C22METALLURGY; FERROUS OR NON-FERROUS ALLOYS; TREATMENT OF ALLOYS OR NON-FERROUS METALS
    • C22CALLOYS
    • C22C38/00Ferrous alloys, e.g. steel alloys
    • C22C38/18Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium
    • C22C38/40Ferrous alloys, e.g. steel alloys containing chromium with nickel

Abstract

(57)【要約】 【課題】 直径が 0.3mm以下の製線および疲労部品の製
造で使用可能なワイヤー製造用オーステナイトステンレ
ス鋼。 【解決手段】 %重量組成:C≦200 ×10-3、N≦200
×10-3、0.3 ≦Mn≦4、14≦Cr≦23、5≦Ni≦17、0.3
≦Si≦2、S≦10×10-3、5 ×10-4≦Al≦20×10-4、Mg
≦ 2×10-4、 0.1×10-4≦Ca≦ 5×10-4、Ti≦ 5×1
0-3、50×10-4≦全酸素≦120 ×10-4、残部は鉄と不可
避不純物を有し且つ酸化物介在物を%重量組成:40≦Si
O2≦60、5≦MnO ≦50、1≦CaO ≦30、 0.1≦MgO ≦2
0、3≦AL2O3 ≦25、0.1 ≦Cr2O3 ≦10でガラス状混合
物の形で含む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はオーステナイトのス
テンレス鋼に関するものであり、特に直径が 0.3mm以下
のワイヤの製線および疲労部品の製造に適した介在物(i
nclusion) 特性を有するワイヤを製造するためのステン
レス鋼に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ステンレス鋼とは少なくとも10.5%のク
ロムを含有する鉄合金を意味する。この組成には構造お
よび特性を変化させるための他の元素も含まれる。オー
ステナイト系ステンレス鋼は所定組成を有し、このオー
ステナイトの構造は過急冷型の熱処理による変態で得ら
れる。
【0003】金属組織学的に体心立方構造を有するフェ
ライト相にするには、鋼組成にある種の合金元素を入れ
るのがよいということは冶金学的では知られている。こ
の元素はアルファゲン (α-genes) とよばれ、クロム、
モリブデンおよび珪素が含まれる。また、金属組織学的
に面心立方構造を有するオーステナイト相にするにはガ
ンマゲン (γ-genes) とよばれる他の元素、炭素、窒
素、マンガン、銅およびニッケルを入れるのがよいとい
うことも知られている。
【0004】製線(trefilage) で直径が 0.3 mm 以下の
いわゆる細線の製造に通常用いられるステンレス鋼は、
伸線加工中にワイヤ破断の原因となる寸法の介在物を含
んでいてはならない。
【0005】オーステナイト系ステンレス鋼の製造で
は、酸化物型または硫化物の形の介在物は必ず存在し、
不可避であり、これは大量生産に適した経済的な通常の
方法で製造される他の全ての鋼の場合と同じである。す
なわち、ステンレス鋼は、液体状態で、その製造プロセ
スに起因する酸素および硫黄を 100×10-4%以下の溶液
の形で含んでいる。液体または固体状態の鋼を冷却する
間に、この酸素と硫黄の溶解度が下り、酸化物または硫
化物の生成エネルギーが低下する。その結果、介在物が
生じる。この介在物は酸素原子と、酸素と反応し易い合
金元素、例えばカルシウム、マグネシウム、アルミニウ
ム、珪素、マンガンおよびクロムとを含む酸化物形の化
合物か、硫黄原子と、硫黄と反応し易い合金元素、例え
ばマンガン、クロム、カルシウムおよびマグネシウムと
を含む硫化物形の化合物で形成され、酸化硫化物形の混
合化合物から成る介在物が生じることもある。
【0006】欧州特許第 0,567,365号に記載のオーステ
ナイト系ステンレス鋼は酸素と結合した銅およびカルシ
ウムを含み、可鍛性酸化物を形成するためにCa/O比を高
くしている。この酸化物の組成は Al2O3-SiO2-CaO グラ
フ上で灰長石 (anorthite)、ゲーレン石(gehlenite) お
よび擬似珪灰石(pseudowollastonite)の三重点の近くに
ある。この特許は加工性が改良された鋼に関するもので
あり、酸化物は意図的に導入されている。
【0007】強力な還元剤、例えばマグネシウム、アル
ミニウム、カルシウム、チタンまたはこれらを組合せた
ものを用いてステンレス鋼に含まれる酸素の量を減らす
こともできるが、こうした還元剤はステンレス鋼の圧延
条件では変形不可能な硬い結晶性耐火物である MgO、 A
l2O3、CaO またはTiO2を多く含む介在物を生じる原因と
なる。これら介在物の存在は伸線加工でのトラブルの原
因となり、また、ステンレス鋼を用いて作った製品の疲
労破損の原因となる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、直径
が 0.3 mm 以下の製線加工および疲労部品の製造で使用
される選択的な介在物純度を有するオーステナイト系ス
テンレス鋼を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明は下記重量%組
成: 0.3 ≦マンガン≦ 4 14 ≦クロム ≦ 23 5 ≦ニッケル≦ 17 0.3 ≦珪素 ≦ 2 50 ×10-4≦全酸素 ≦ 120×10-4 5 ×10-4≦アルミニウム≦ 20×10-4 0.1 ×10-4≦カルシウム ≦ 5×10-4 炭素 ≦ 200×10-3 窒素 ≦ 200×10-3 硫黄 ≦ 10×10-3 マグネシウム≦ 2×10-4 チタン≦ 5×10-3 残部は鉄と不可避不純物を有し且つ下記重量%組成: 40 ≦SiO2 ≦60 5 ≦MnO ≦50 1 ≦CaO ≦30 0.1 ≦MgO ≦20 3 ≦AL2O3 ≦25 0.1 ≦Cr2O3 ≦10 を有する酸化物介在物をガラス状混合物の形で含むこと
を特徴とする直径が 0.3mm以下の製線および疲労部品の
製造で使用可能なワイヤー製造用オーステナイトステン
レス鋼を提供する。
【0010】本発明の他の特徴は下記の点にある:本発
明鋼組成の硫黄含有率は5×10-3%以下である。本発明
鋼組成のモリブデン含有率は3%以下である。本発明鋼
組成の銅含有率は3%以下である。本発明鋼は熱間圧延
で直径5mm以上にした時に表面積1,000mm2当り厚さ10μ
m以上の酸化介在物の数が5個以下である。本発明鋼は
熱間圧延で直径5mm以上にした時に表面積1,000mm2当り
厚さ5μm以上の酸化介在物の数が10個以下である。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明鋼は重量%組成で 200×10
-3以下の炭素、 200×10-3以下の窒素、0.3〜4のマン
ガン、14〜23のクロム、5〜17のニッケル、 0.3〜2の
珪素、10×10-3以下の硫黄、50×10-4〜 120×10-4の全
酸素、 5×10-4〜20×10-4のアルミニウム、2×10-4
下のマグネシウム、 0.1×10-4〜5×10-4のカルシウム
および5×10-3以下のチタンを含む。
【0012】炭素、窒素、クロム、ニッケル、マンガン
および珪素はオーステナイトステンレス鋼を製造するた
めの一般的な元素である。マンガン、クロムおよび硫黄
含有率の割合は所定組成を有する変形可能な硫化物が得
られるように選択する。珪素元素およびマンガン元素の
比率は、SiO2 の含有率が高く且つ無視できない量のMn
Oを含むケイ酸塩形の介在物が確実に生成するようなも
のにする。モリブデンは、オーステナイト系ステンレス
鋼の耐腐蝕性を改良するために組成に加えることができ
る。銅は、冷間変形特性を向上させ、それによってオー
ステナイトを安定化させるために本発明鋼組成に加える
ことができる。しかし、銅は圧延前の鋼の再加熱温度の
上限を大幅に引き下げるので、熱間加工を困難にしない
ために銅の含有率は3%以下にする。
【0013】全酸素、アルミニウムおよびカルシウムが
存在することによって Al2O3およびCaO の成分がゼロで
ないマンガン珪酸塩の形の介在物が得られる。特に、1
%以上のCaO と3%以上のAl2O3 とを含む所望の介在物
が得られるようにするためにアルミニウムおよびカルシ
ウムの含有率は 0.1×10-4重量%以上にする。全酸素量
は 50 〜120 ppm である。全酸素量が 50 ppm 以下の場
合には、酸素がマグネシウム、カルシウムおよびアルミ
ニウム元素を固定し、SiO2とMnO とを多く含む酸化物介
在物を形成することはできない。全酸素量が 120 ppm以
上の場合には、酸化物組成中に10%以上のCr2O3 が存在
することになり、本発明で回避するのが望ましい結晶化
が進むことになる。カルシウムの含有率は、所望の介在
物が30%以上のCaOを含まないようにするために、5×
10-4重量%以下にする。アルミニウムの含有率は、所望
の介在物が25%以上のAl2O3 をまないようにするため
に、20×10-4重量%以下にする。25%以上のAl2O3 も同
様に結晶化を促進する。
【0014】酸化物/硫化物の形の介在物を含む鋼を通
常の経済的な方法で製造した後に、経済的には実行不可
能な低速の再溶融法、例えば真空再溶融 (真空アルゴン
再融解) またはスラグ下での再溶融 (電気スラグ再溶
融) で精製(raffiner)してこれらの介在物を無くす方法
が考えられるが、こうした再融解プロセスでは既に存在
している介在物の全てを性質および組成を維持した状態
で液体槽で沈澱で無くすことができない。
【0015】本発明は、鋼の熱間加工時の変形がし易く
なるような選択的な組成を鋼全体の組成との関連で決定
して、介在物の物理特性によって変形がし易くなるよう
にしたオーステナイトステンレス鋼に関するものであ
る。すなわち、本発明のオーステナイト系ステンレス鋼
に含まれる所定組成を有する介在物は、鋼の圧延温度に
近い軟化点を有し、鋼よりも硬い結晶が圧延温度で生成
するのを防ぐ役目をする。特にトリジマイト(tridymit
e) 、クリストバライト(christobalite) または石英の
形のSiO2;3CaO-SiO2 ; CaO; MgO; Cr2O3;灰長石(a
northite) 、ムライト、ゲーレン石(gehlenite) 、コラ
ンダム、Al2O3-MgO 型または Al2O3-Cr2O3-MnO-MgO型の
スピネル; CaO-Al2O3; CaO-6Al2O3;CaO-2Al2O3、Ti
O2等の化合物が圧延温度で生成するのを防ぐ。
【0016】本発明鋼は、後の一連の鋼の変形加工操作
においてガラスまたは非晶質の混合物を形成するような
組成の酸化物の介在物を主として含んでいる。本発明で
選択した介在物は結晶化した酸化物粒子が介在物中で成
長するのを完全に阻害するのに十分な粘度を有してい
る。すなわち、酸化物介在物中では短距離の拡散がほと
んどなく、対流による置換も著しく制限される。本発明
の介在物は、鋼の加熱処理温度でガラス状態を維持し、
その硬さおよび弾性モジュラスが対応組成の結晶化した
介在物よりも低い。従って、本発明介在物は加工時、例
えば伸線時でも変形、圧縮および伸長ができ、介在物の
近傍への応力の集中が大幅に軽減されるので、例えば疲
労による裂けや伸線時の破断の危険が大きく低下する。
【0017】本発明のオーステナイト系ステンレス鋼に
含まれる酸化物介在物は、鋼の熱間圧延温度範囲におけ
る粘度が大きくなり過ぎないような組成を有している。
従って、介在物の降伏点応力は、一般に 800〜1350℃で
ある熱間圧延温度での鋼の降伏点応力に比べてはるかに
低い。従って、酸化物介在物は熱間圧延時に鋼と同時に
変形し、圧延後には介在物は完全に伸長されて極めて薄
くなり、従って、例えば伸線加工時の破断の問題は無く
なる。本発明の介在物は、生産性が極めて高い従来のス
テンレス鋼用電気製鋼手段、例えば電気炉、AOD、V
OD転炉、鋳造、連続式鋳造設備で作られる。
【0018】従来の製造法および鋳造法では、粗鋳造製
品での介在物の寸法分布は組成に影響されない。従っ
て、熱間圧延前の鋼に同じ寸法および分布の介在物が見
出される。上記のような好ましい特性を有する本発明の
酸化物介在物は、SiO2 、MnO、CaO、 Al2O3、MgOお
よび Cr2O3を下記重量%比で含むガラス質の混合物で構
成され、必要に応じて微量のFeOおよび/またはTiO2
を含んでいる: 40 ≦SiO2 ≦60 5 ≦MnO ≦50 1 ≦CaO ≦30 0.1 ≦MgO ≦20 3 ≦AL2O3 ≦25 0.1 ≦Cr2O3 ≦10
【0019】SiO2 の含有率が40%以下になると、酸化
物介在物の粘度が低くなり過ぎ、酸化物結晶の成長機構
が阻害される。SiO2 が60%を越えるとトリジマイト、
クリストバライトまたは石英の形の極めて硬い有害シリ
カの粒子ができる。MnO含有率を5〜50%にすることに
よって、SiO2 、CaOおよびAl2 3 を含む酸化物混合
物の軟化点を大幅に引下げることが可能になり、鋼の圧
延条件下でガラス状態を維持する介在物の生成が容易に
なる。CaO含有率が1%以下の場合には、MnO-Al23
またはムライトの結晶が生成する。CaO含有率が30%以
上の場合には、CaO-SiO2 または(Ca,Mn)O-SiO2 が生成
する。
【0020】MgO含有率が20%以上の場合には、非常に
硬い相である MgO;2MgO-SiO2;MgO-SiO2; Al2O3-Mg
Oが生成する。Al2O3 が3%以下の場合には、珪灰石の
結晶が生成し、Al2O3 が25%以上の場合にはムライト、
灰長石、コランダム、スピネル、特にAl2O3-MgOまたは
Al2O3-Cr2O3-MgO-MnO型の結晶あるいは CaO -6Al2O3
たは CaO -2Al2O3または CaO-Al2O3 型のアルミン酸塩
またはゲーレン石の結晶が生成する。Cr2O3 が10%以上
の場合には、さらに、Cr2O3 またはAl2O3-Cr2O3-MgO-Mn
O 、CaO-Cr2O3 、MgO-Cr2O3 の硬い結晶が生成する。
【0021】本発明の1つの形態では圧延製品中に硫黄
介在物の厚さが5μm以上にならないように、硫黄含有
率は 0.010%以下でなければならない。すなわち、硫化
マンガンおよび硫化クロム型の介在物は下記条件下で完
全に変形可能である: 5%<Cr<30% 30%<Mn<60% 35%<S<45%。 一般に、酸化物および硫化物の形の介在物は細い線の伸
線加工および疲労強度が必要な分野での使用特性、特に
屈曲および/またな捩じりに対して致命的であると考え
られている。酸化物または硫化物の形の介在物の濃度
は、熱間圧延された直径5〜10mmの機械ワイヤでの圧延
方向に沿った研磨断面を観察することによって一般には
特徴付けられる。この特徴付けの結果から最終用途に応
じた各基準に従って作られたものを介在物純度とよんで
いる。
【0022】圧延ワイヤの研磨断面の観察によって介在
物の長さと厚さを測定し、それから長さと厚さの比から
なる形状因子を決定する。この形状因子は圧延中に大き
く変形する介在物の場合には一般に非常に大きく、約10
〜20になる。従って、介在物は極端に薄い。これに対し
て、ほとんどあるいは全く変形しない介在物の特徴は形
状因子が小さく、約1程度で、従って、介在物の厚さは
厚いままで、未処理の鋳造製品中の元の介在物の寸法と
同程度の大きさである。従って、下記の説明では、圧延
ワイヤで観察される各介在物の厚さを圧延ワイヤの使用
特性に対する簡単かつ効果的な特徴付けの基準として採
用することにする。以下、添付図を参照して本発明を説
明するが、本発明が下記実施例に限定されるものではな
い。
【0023】〔図1〕〔図2〕は直径 5.5 mm の圧延ワ
イヤの研磨断面を表しており、それぞれ変形されていな
い極めて厚い介在物の例と (図1) と、本発明鋼に含ま
れる大きく変形した薄い介在物の例 (図2) とを示して
いる。〔図1〕は、変形不可能な結晶化したAl2O3-MgO
型の中央部分(図ではAlMgと表示) と、SiO2、Al2O3
よび MgOを多く含む変形の少ない相からなる両端部分
(図ではSiAlMgと表示) とで構成されるいわゆる二相混
合介在物を示している。この介在物の厚さは11μm、長
さは40μmで、この値は製線および疲労部品の製造の用
途では特に致命的な値である。
【0024】〔図2〕は、本発明鋼に含まれる種々の長
さを有する厚さが2μm以下の4つの介在物の例を示し
ている。これらの介在物は直径 0.3 mm 以下の細い線の
伸線加工や疲労部品、例えばバネ、タイヤ補強材等の用
途に致命的な影響を与えることはない。介在物特性は、
所定寸法以上の厚さの介在物の数を試料の表面積1,000m
m2当たりで数えて決定される。〔表1〕〔表2〕〔表
3〕〔表4〕は鋼組成および酸化物介在物の組成が所定
厚さの介在物の数に与える影響を示している。
【0025】
【表1】
【0026】
【表2】
【0027】
【表3】
【0028】
【表4】
【0029】〔表1〕〔表2〕は品質的に不十分な鋼の
組成を表し、〔表3〕〔表4〕は優れた介在物純度を有
する本発明の鋼組成物を表す。本発明の介在物特性は、
サンプリングの表面積1000mm2 当りに存在する厚さ10μ
m以上の酸化物介在物の数が5以下という事実によって
表されている。硫化物介在物の数は面積1000mm2 当たり
厚さ5μm以上のものが10以下である。
【0030】鋼Aは全酸素含有率(tO)は低く、アルミニ
ウム含有率が高い。そのため鋼に見られる介在物はSiO2
とMnO が少なく、結晶化したAl2O3-MgOスピネル型の A
l2O3およびMgO の含有率が非常に高い。これは熱間圧延
されたワイア中に厚さ10μm以上の介在物が多数存在す
ることを表している。事実、1000mm2 当り約14個の介在
物が存在する。鋼Bは全酸素含有率が低く、カルシウム
含有率が高い。アルミニウム含有率は許容可能である
が、観察された介在物のAl2O3 の含有量は余りも多く、
これは熱間圧延されたワイヤに厚い介在物が存在するこ
とを意味している。
【0031】鋼Cは酸素含有率がかなり低く、他の元
素、例えばアルミニウム、カルシウムおよびマグネシウ
ムは許容可能な含有率である。その結果、SiO2 の含有
率が十分でない介在物が観察される。さらにAl2O3 の量
が25%程度であることに注意されたい。観察された介在
物は圧延の条件下で完全に変形可能ではないため、圧延
されたワイヤには相当数の変形されていない介在物が観
察される。鋼Dは、鋼Cと同様に全酸素含有率が低い
が、アルミニウムおよびマグネシウム含有率は高い。鋼
中にはSiO2 およびMgOを多く含む介在物が観察され、
これらの介在物は十分に変形可能ではない。
【0032】鋼Eは硫黄含有率が高く、そのため変形さ
れていない硫化物が大量に生じる。この鋼はさらに酸
素、アルミニウムおよびカルシウム含有率が高い。その
結果、ごくわずかのSiO2 、大量CaOおよびごく微量の
MnOを含有する介在物が生成する。これらの介在物はそ
れほど変形可能ではなく、多数存在する。鋼Fも硫黄お
よび酸素含有率が高いが、アルミニウムおよびカルシウ
ム含有率はかなり低い。この鋼では、介在物はSiO2
よびCr2O3 を多く含み、その結果非常に硬質のCr2O3
晶および粘性のSiO2 相が生成する。鋼Gは硫黄含有率
が高い。これは多数の硫化物の生成となって表れる。組
成中の他の含有物は許容可能な範囲であって、得られる
酸化介在物はワイヤー内でガラス質であり、本発明の鋼
の場合と同様に変形可能である。
【0033】〔表3〕〔表4〕に記載の本発明の実施例
ではアルミニウム含有率が15×10-4%以下の場合と、カ
ルシウム含有率が4×10-4%以下の場合に厚さ10μm以
上の粗い酸化介在物の数が著しく低下する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 変形の少ない厚い介在物の例を示す写真。
【図2】 本発明の鋼に含まれる介在物の例を示す写
真。
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成8年7月11日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】図面の簡単な説明
【補正方法】変更
【補正内容】
【図面の簡単な説明】
【図1】 従来の鋼の金属組織の顕微鏡写真。
【図2】 本発明の鋼の金属組織の顕微鏡写真。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記重量%組成: 0.3 ≦マンガン≦ 4 14 ≦クロム ≦ 23 5 ≦ニッケル≦ 17 0.3 ≦珪素 ≦ 2 50 ×10-4≦全酸素 ≦ 120×10-4 5 ×10-4≦アルミニウム≦ 20×10-4 0.1 ×10-4≦カルシウム ≦ 5×10-4 炭素 ≦ 200×10-3 窒素 ≦ 200×10-3 硫黄 ≦ 10×10-3 マグネシウム≦ 2×10-4 チタン≦ 5×10-3 残部は鉄と不可避不純物を有し且つ下記重量%組成: 40 ≦SiO2 ≦60 5 ≦MnO ≦50 1 ≦CaO ≦30 0.1 ≦MgO ≦20 3 ≦AL2O3 ≦25 0.1 ≦Cr2O3 ≦10 を有する酸化物介在物をガラス状混合物の形で含むこと
    を特徴とする直径が 0.3mm以下の製線および疲労部品の
    製造で使用可能なワイヤー製造用オーステナイトステン
    レス鋼。
  2. 【請求項2】 硫黄含有率が5×10-3%以下である請求
    項1に記載の鋼。
  3. 【請求項3】 モリブデン含有率が3%以下である請求
    項1に記載の鋼。
  4. 【請求項4】 銅含有率が3%以下である請求項1に記
    載の鋼。
  5. 【請求項5】 熱間圧延で直径5mm以上にした時に表面
    積1,000mm2当り厚さ10μm以上の酸化介在物の数が5個
    以下である請求項1に記載の鋼。
  6. 【請求項6】 熱間圧延で直径5mm以上にした時に表面
    積1,000mm2当り厚さ5μm以上の酸化介在物の数が10個
    以下である請求項1に記載の鋼。
JP8124092A 1995-04-21 1996-04-22 ワイヤー用オーステナイトステンレス鋼 Withdrawn JPH08337852A (ja)

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FR9504782 1995-04-21
FR9504782A FR2733252B1 (fr) 1995-04-21 1995-04-21 Acier inoxydable austenitique pour l'elaboration notamment de fil

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JPH08337852A true JPH08337852A (ja) 1996-12-24

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