JPH08336514A - 移動型ｘ線装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】移動型Ｘ線装置の台車を停止させたままでのＸ
線管装置の移動範囲を大きくするとともに、再撮影時の
撮影位置へのＸ線管装置の復帰を容易にする。 【構成】移動台車１の固定車輪２の近傍に台車の停止時
旋回機構２０を設け、旋回機構２０と自在車輪３とで台
車を停止したまま旋回可能とする。旋回機構２０は台車
１に固定したガイド部材２１と、それに嵌合した支点軸
２２と、レバーＡ２４，レバーＢ２６，支点ピン２３，
２５，２７、引張コイルばね２８とから成る第一のリン
ク機構と、レバーＣ２９，レバーＤ３２，支点ピン３
０，３１，３３から成る第二のリンク機構で構成し、前
者で台車１を浮上させ、後者で浮上している台車１を降
下させる。 【効果】支点軸を中心として台車毎旋回するので、台車
が倒れる心配もなくＸ線管を大きな範囲で移動でき、元
の位置への復帰も容易に行える。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は医用Ｘ線装置に係り、特
に病院内での回診のために、移動台車にＸ線装置を搭載
して成る移動型Ｘ線装置に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】医用Ｘ線装置としての移動型Ｘ線装置
は、病院内での回診用として、また外科手術用として有
用であり、広く普及している。移動型Ｘ線装置は、自在
車輪と固定車輪とを有した移動台車へＸ線装置を搭載し
た物で、手動又は電動によって台車を駆動することで病
院内を移動し、病院内の患者用ベッドサイドや手術室の
ベッドサイドでのＸ線撮影に供される。Ｘ線撮影のため
には、Ｘ線管と被検体の撮影部位に対し位置決めをする
必要がある。このＸ線管の位置決めのためにＸ線装置
は、支柱とパンタアームと支柱の旋回機構の組合せ、ま
たは、支柱とＣアームと支柱の旋回機構の組合せ等の位
置決め機構を備えている。そして、位置決めは台車移動
による粗い位置決めと前記位置決め機構による微小の位
置決めとを組み合せて行われる。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところで、前記位置決
め時に移動台車の位置決めが完了すると、移動台車のブ
レーキ機構を作動させ、移動台車が動かないようにした
後、支柱やアームの旋回や伸縮による位置決めが行われ
ている。移動型Ｘ線装置は、病院内の狭い廊下での移動
や病室内の狭いベッド間隙での使用目的のため、進行方
向に対しての装置の幅は大きくできないという制約を受
ける。このため、移動台車の車輪間隔も狭く、進行方向
に直角な方向への台車の安定性は大きいとは言えない。
したがって、支柱やアームの旋回や伸縮によるＸ線管の
位置決めも、台車の進行方向に直角な方向への移動範囲
は大きくできない。特に、外科用Ｃアーム形移動型Ｘ線
装置では、台車からＣアーム部が大きくオーバハングし
ているため、図５に示すように、Ｃアームの台車進行方
向に直角な方向への旋回は左右に12.5°程度しかとれな
い。このため手術前のＸ線撮影が終了すると、手術時に
はＣアームの旋回だけでは手術の邪魔になるため、台車
毎装置を移動退避しなければならず、手術の途中や手術
後に再度Ｘ線撮影をしようとすると、元の位置に戻すの
にかなりの時間と労力を費やすものであった。

【０００４】本発明は上記従来技術の問題点に鑑みて成
されたものであり、その目的は、移動台車の進行方向と
直角な方向へのＸ線管の移動量を大きくでき、また、一
度Ｘ線撮影を行ってＸ線管を退避した後、再度Ｘ線撮影
をする際に容易にＸ線管を撮影位置へ復帰することがで
きる移動型Ｘ線装置を提供することにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に本発明は、自在車輪と固定車輪とを有した移動台車へ
Ｘ線装置を搭載した移動型Ｘ線装置において、前記移動
台車の固定車輪の近傍に、単一の支点軸と、この支点軸
であって少くともその一部が回転可能となっている支点
軸と、前記支点軸を床面に対し押し付けて前記移動台車
の固定車輪を床面から浮上させる支点移動機構とから成
る停止時旋回装置を備えたものである。

【０００６】

【作用】上記構成の移動型Ｘ線装置は、台車を停止させ
支点軸移動機構を作用させると、支点軸が床面に向って
移動し、その先端が床面に当接した後も移動を続ける。
これによって、移動台車は固定車輪と共に浮上させら
れ、自在車輪と支点軸の先端とで床面に支持固定され
る。支点軸は回転はするが、床面と支貯軸との間の摩擦
により、台車の進行方向に対してのブレーキとしての機
能を有している。この状態で支点軸回りにモーメントを
作用させると、台車は支点軸を中心として、自在車輪の
回転により旋回する。

【０００７】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面を参照しなが
ら説明する。図３はＣアーム形の移動型Ｘ線装置の全体
構成を示す図である。図３において、１は移動台車で、
紙面に直交する方向に配置された２個の固定車輪２と単
一の自在車輪３とを有している。固定車輪２は台車１に
対し取付方向が変化せず、一方、自在車輪３は車輪の方
向が可変となっている。

【０００８】移動台車１の上では、Ｘ線装置が搭載され
ている。４はＸ線高電圧装置、５は支柱、６はアーム支
持部、７はＣ形アーム、８はＸ線管装置、９はＸ線イメ
ージ・インテンシファイアで、これらの各ユニットによ
り構成されたＸ線装置は移動台車１を手動又は電動によ
り、被検体のいる病院内の場所へ移動させられ、そこで
Ｘ線撮影が行い得るようになっている。なお、図３にお
いて、１０はステアリングハンドルで、台車１の移動及
び進行方向変更用のハンドルである。

【０００９】次に、本発明の特徴部を説明する。図３に
おいて、２０は台車の停止時に移動台車１を旋回させ得
るようにした停止時旋回装置で、この停止時旋回装置２
０についての詳細な説明を以下行う。図１は停止時旋回
装置２０の詳細説明図である。図１に示すように、移動
台車１の固定車輪２の近傍であって、自在車輪３とを反
対側に円筒状のガイド部材２１が垂直方向に固着されて
いる。このガイド部材２１の内部に支点軸２２が挿入さ
れている。支点軸２２はガイド部材２１の軸心方向へス
ライド可能に支持されている。

【００１０】支点軸２２と移動台車１との間に第一のリ
ンク機構及び第二のリンク機構が設けられている。第一
のリンク機構は、支点軸２２へ設けられた支点ピンＡ２
３に回転可能に支持されたレバーＡ２４と、移動台車１
に設けられた支点ピンＢ２５に回転可能に支持されたレ
バーＢ２６とをそれらの一端同志を連結ピン２７で連結
して構成されている。このリンク機構のレバーＡ２４の
一端には足踏み部24ａが設けられ、また、レバーＢ２６
の長さ方向中間部と移動台車１との間に引張コイルばね
２８が設けられている。以上説明した第一のリンク機構
は足踏み部24ａを操作者が踏み付けると、レバーＡ２４
とレバーＢ２６との回転と、支点軸２２の移動とによ
り、後に詳述するが移動台車を持ち上げる作用をする。

【００１１】第一のリンク機構に対し第二のリンク機構
が設けられている。第二のリンク機構は、移動台車１に
設けられた支点ピンＣ３３に回転可能に支持されたレバ
ーＣ２９と、このレバーＣ２９の一端とレバーＡ２４と
に設けられた支点ピンＤ30，支点ピン３１とでレバーＡ
２４とレバーＣとを連結したレバーＤ３２とから成る。
この第二のリンク機構は第一のリンクの逆作動をさせる
もので、持ち上げられた移動台車を降下させ際に使用す
るものである。

【００１２】以上で移動台車１の固定車輪２を床面から
浮上させる機構について説明したので、次に台車１の旋
回機構について説明する。浮上機構（第一のリンク機
構）のレバーＡ２４を踏み付けると、先ず支点軸２２が
降下し床面に接し、次いで移動台車１が持ち上げられ
る。したがって、台車に支点軸２２回りのモーメントを
与えれば、支点軸２２の他には自在車輪３が床面に接し
ているだけであるので、台車１は旋回できる状態にあ
る。本発明では支点軸２２の床面接触部との間に旋回時
の摩擦力減少のため軸受機構を設けるとともに、支点位
置ずれ防止のためにブレーキパッドを設けている。これ
を図２により説明する。支点軸２２の下方には段差が形
成され、そこにスラスト玉軸受３４が内輪，玉，外輪の
順に挿入され、スナップリング又はＣリング３５で抜け
止めが施される。スラスト玉軸受３４の外輪には、支点
軸２２の断面積より大きな受金具３６が嵌め込まれ、外
輪の外周へ止めねじ３７にて固定されている。そして、
受金具３５の下面にはブレーキパッド３８が貼り付けら
れている。

【００１３】次に、上記の如く構成された本実施例の装
置の動作を、本実施例の外科用Ｃアーム形移動型Ｘ線装
置の使用方法に基づいて説明する。操作者はＸ線撮影を
行う手術室へ装置を移動させ、ベッドに横たわった被検
者の撮影部位に対し、装置が最も邪魔にならない位置を
選定しながら、Ｘ線管装置８とＸ線イメージ・インテン
シファイア９の位置決めを行う。この撮影の位置決めが
完了したところで、装置の移動防止のため、操作者はレ
バーＡ２４の足踏み部２４ａを踏み付ける。すると、レ
バーＡ２４は図１の実線位置から反時計回りに二点鎖線
位置へ回転しつつ、支点軸２２を下方に押し下げる。支
点軸２２の下部に設けられたブレーキパッド３６が床面
に当たると、レバーＡ２４の足踏み部２４ａに加えられ
た力によるモーメントはレバーＡ２４の他端の連結ピン
２７を介してレバーＢ２６に伝達される。連結ピン２７
からレバーＢ２６へ伝達される力は、レバーＡ２４の足
踏み部２４ａと支点ピンＡ２３の間の距離と、支点ピン
Ａ２３と連結ピン２７との間の距離の比で決まり、後者
を短かくすれば連結ピン２７を介してレバーＢ２６へ踏
付力以上の力を作用させ得る。

【００１４】レバーＢ２６へ伝達された力は、移動台車
１に取の付けられたガイド部材２１が支点軸２２に沿っ
てしか移動できないので、支点ピンＢ２５を上方へ持ち
上げるように作用し、結局、移動台車１が支点軸２２の
軸心に沿って上昇する。レバーＡ２４は支点軸２２の軸
心と連結ピン２７の中心が一致する角度まで回転し、図
示を省略したストッパに当り停止させられる。そして、
このとき引張りコイルばね２８はレバーＡ２４が逆転す
るのを阻止する。この状態になると、移動台車１は自在
車輪３と支点軸２２のブレーキパッド３６とで支えら
れ、固定車輪２は床面から所定距離だけ浮上している。
浮上する距離は、レバーＡ２４とレバーＢ２６との長さ
と、支点軸の降下距離とから適宜設定できる。

【００１５】ブレーキが作動している状態でＸ線撮影を
行い、そのＸ線画像によって医師は手術等の診断治療行
為を行う。手術等の治療行為に際してはＸ線装置のＸ線
管装置８，Ｘ線イメージ・インテンシファイア９，Ｃア
ーム７及び移動台車１の自在車輪部が邪魔になる。そこ
で、操作者は支点軸２２回りにモーメントを与える。す
ると、台車は旋回退避することができる。これは、支点
軸２２に設けられたスラスト玉軸受３３と自在車輪３と
でなされる。本実施例では図４に示すように、旋回退避
は任意の角度が可能で、この旋回をＸ線撮影の位置決め
の際にも用いることができる。そして、この旋回量は従
来のＣアーム支持部による左右への１２.５°程度の旋
回に比較して格段の差が生じていることは明らかであ
る。

【００１６】手術が終了後、確認のため再度Ｘ線撮影を
行う場合は、台車１を逆方向に旋回する。そして手術前
の撮影位置に戻してＸ線撮影を行う。この時の位置決め
は回転方向の角度決めのみで良く、従来装置のように台
車を全く異った位置へ退避させるしかないものと比較
し、復帰の位置決めが非常に容易となる。

【００１７】Ｘ線撮影が終了したら、第二のリンク機構
のレバーＣ２９を踏み付ける。すると、レバーＣ２９は
反時計方向に回転し、レバーＣ２９に連結されたレバー
Ｄ32が、第一のリンク機構のレバーＡ２４を引き上げ
る。これにより、支点軸２２が上昇し、台車１の固定車
輪２が床面に当たる。支点軸２２は固定車輪２が床面に
当った後も、所定距離だけ上昇し、床面とブレーキパッ
ド３６との間に隙間をつくる。このようにして、ブレー
キが解除されたら、Ｘ線装置を保管場所へ移動させる。

【００１８】以上、本発明の一実施例を図面により詳細
に説明したが、本発明は上記実施例に限定されることな
く、要旨を逸脱しない範囲で変形することが可能であ
る。例えば、上記実施例では対象となる装置を外科用Ｃ
アーム形移動型Ｘ線装置として説明したが、Ｘ線管支持
部を支柱とパンタアームで行う移動型Ｘ線装置へも本発
明は適用し得る。また、停止時旋回機構はリンク機構で
説明したが、モータとネジ機構により移動台車を持ち上
げるようにする変形例も容易に可能である。

【００１９】

【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、停
止時旋回機構を移動台車に設け、台車を支点軸と自在車
輪とで支え得るようにしたので、支点軸回りに台車を任
意の角度で旋回させることができる。したがって、従来
の装置よりもＸ線管の移動範囲が大きくできる。また、
移動台車の旋回により、再撮影時の撮影位置へのＸ線管
の復帰ができるので、操作性の向上が計れる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例の移動台車の停止時旋回機構
の構成図。

【図２】図１に示す支点軸の回転機構部の断面図。

【図３】移動型Ｘ線装置の全体構成を示す図。

【図４】本実施例での移動台車の停止時のＸ線管の移動
範囲を示す図。

【図５】従来の装置の移動台車の停止時のＸ線管の移動
範囲を示す図。

【符号の説明】

１ 移動台車 ２ 固定車輪 ３ 自在車輪 ２２ 支点軸 ２４ レバーＡ ２６ レバーＢ ２９ レバーＣ ３２ レバーＤ ３４ スラスト玉軸受 ３６ 受金具 ３８ ブレーキパッド

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】自在車輪と固定車輪とを有した移動台車へ
   Ｘ線装置を搭載した移動型Ｘ線装置において、前記移動
   台車の固定車輪の近傍に、単一の支点軸であって少くと
   もその一部が回転可能となっている支点軸と、この支点
   軸を床面に押し付けて前記移動台車の固定輪を床面から
   浮上させる支点軸移動機構とから成る停止時旋回装置を
   備えたことを特徴とする移動型Ｘ線装置。