JPH083347A - 希土類元素含有ガラス微粒子を含む皮膜を有するシート及び該シートの製造に用いる塗料及び該シートの製造方法 - Google Patents

希土類元素含有ガラス微粒子を含む皮膜を有するシート及び該シートの製造に用いる塗料及び該シートの製造方法

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JPH083347A
JPH083347A JP6137361A JP13736194A JPH083347A JP H083347 A JPH083347 A JP H083347A JP 6137361 A JP6137361 A JP 6137361A JP 13736194 A JP13736194 A JP 13736194A JP H083347 A JPH083347 A JP H083347A
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sheet
rare earth
earth element
coating
fine particles
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JP6137361A
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English (en)
Inventor
Kunio Nakazato
州男 中里
Kazuyuki Hirao
一之 平尾
Satoshi Ishizuka
聡 石塚
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Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
Original Assignee
Tsutsunaka Plastic Industry Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【目的】常温動作が可能であるとともに、薄肉化が可能
であり、かつ化学的耐久性や取扱い性にも優れたものと
なしうるホールバーニング材料等に適したシート、及び
該シートの製造に用いる塗料、及び該シートの製造方法
を提供する。 【構成】3価の希土類元素を還元して得られた2価の希
土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒子を分散状
態に含有する透光性の皮膜が、シート基材の表面に被覆
形成されてなる。このようなシートは、3価の希土類元
素を還元して得られた2価の希土類元素イオンを含有す
る光学ガラスの微粒子と、透光性の有機バインダーとを
混合状態に含有する塗料を用い、この塗料をシート基材
の表面に塗布する工程と、塗布された塗料を硬化させる
工程とを実施することにより、簡易に製造できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、光化学ホールバーニ
ング(PHB)現象を利用した超高密度光メモリーやホ
ログラム等の材料(以下「ホールバーニング材料」と記
す)として好適に用いられるシート及び該シートの製造
に用いる塗料及び該シートの製造方法に関する。
【0002】なお、この明細書において、「シート」の
語はシート及びフィルムの両方を含む意味で用いられ
る。
【0003】
【従来の技術】ホールバーニング材料は、レーザ光の波
長を変えて多重化させて記憶させることにより記憶密度
を格段に向上できるため、近時脚光を浴びている。
【0004】このようなホールバーニング材料として
は、従来、ポルフィリン類やキニザリン類等の有機系色
素を合成樹脂に添加したものが知られている(例えば特
開平2−168248号)。
【0005】この有機系色素を合成樹脂中に含有させた
ものは、ホールバーニング材料の光ディスク等への実際
の適用形状であるシートへの加工性に優れるとともに、
波長を変えての重ね書きの度合いを示す多重度の比較的
大きいものを製作できる利点がある。
【0006】反面、ホール形成が起こる動作温度が極め
て低いため、使用環境温度が上昇すると分子の熱運動が
活発となり、形成されたホールが消えてしまうことか
ら、少なくとも液体窒素温度まで冷却して使用しなけれ
ばならないという問題があった。しかも、レーザ光によ
る動作波長が短いため、実用化に対して有利な小型、安
価な半導体レーザを使用することが困難であるという欠
点もあった。
【0007】そこで、常温動作が可能でかつ赤色半導体
レーザを使用可能なホールバーニング材料として、最近
では、Sm等の3価の希土類元素を還元して得られたS
2+等の2価の希土類元素イオンを含有するフッ化物ガ
ラスからなるものが提供されている(例えば特開平6−
56464号)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Sm2+
等を含む上記のフッ化物ガラスからなるものは、薄いシ
ートに製造することが技術的、コスト的な面から容易で
はなく、いわゆる光ディスクのように薄いシートで使用
される光メモリー等への適用には限界があった。しか
も、ガラスがハロゲン元素を主成分とすることから、化
学的耐久性に乏しく、耐水性等の点で不安定であった。
また、フッ化物ガラスが使用時や取扱い時に割れやすい
という問題もあった。
【0009】この発明は、このような技術的背景に鑑み
てなされたものであって、常温動作が可能であるととも
に、薄肉化が可能であり、かつ化学的耐久性や取扱い性
にも優れたものとなしうるホールバーニング材料等に適
したシート、及び該シートの製造に用いる塗料、及び該
シートの製造方法の提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、発明者は鋭意実験と研究を行った結果、上記のよう
な常温でPHB特性を示すガラスを微粒子とし、この微
粒子を透光性の皮膜中に分散させた場合にもPHB特性
を示すことを知見し、この発明を完成し得たものであ
る。
【0011】即ち、この発明は、図面の符号を参照して
示すと、3価の希土類元素を還元して得られた2価の希
土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒子(1)を
分散状態に含有する透光性の皮膜(2)が、シート基材
(3)の表面に被覆形成されてなることを特徴とするシ
ートを要旨とする。
【0012】希土類元素は、スカンジウム(Sm)、イ
ットリウム(Y)、ランタン(La)、セリウム(C
e)、プラセオジム(Pr)、ネオジム(Nd)、プロ
メチウム(Pm)、サマリウム(Sm)、ユーロピウム
(Eu)、ガドリニウム(Gd)、テルビウム(T
b)、ジスプロシウム(Dy)、ホルミウム(Ho)、
エルビウム(Er)、ツリウム(Tm)、イッテルビウ
ム(Yb)、ルテチウム(Lu)の17元素をいう。こ
れら3価の希土類元素を還元して得られた2価の希土類
元素イオンを含有する光学ガラスは、光イオン化の活性
化エネルギーが高く、ホール形成後3価に変化した時に
安定して存在し、常温にて優れたPHB特性を発揮す
る。なかでも、特にサマリウム(Sm)を用いるのが望
ましい。
【0013】光学ガラスの種類は特に限定されることは
なく、フッ化物ガラスでも良いし、酸化物ガラスでも良
いが、フッ化物ガラスよりも化学的耐久性に優れると共
に、2価の希土類元素をより安定的に存在させることが
でき、かつ多重度を大きくできる点で酸化物ガラスの方
が好ましい。フッ化物ガラスの一例としては、Sm2+
0.1〜1.5cat%含むフッ化アルミニウム塩ガラ
スやSm2+を0.1〜3.0cat%含むフッ化ハフニ
ウム塩ガラスを挙げ得る。酸化物ガラスの中では多重度
をより大きくできる点で、特にホウ酸塩ガラスが好まし
い。
【0014】而して、この発明では、上記のような3価
の希土類元素を還元して得られた2価の希土類元素イオ
ンを含有する光学ガラスをそのままシートに成形するの
ではなく、図1に示されるように、光学ガラスを微粒子
化し、この微粒子(1)を分散状態に含有する透光性の
皮膜(2)を、別に用意したシート基材(3)の表面に
被覆形成してシートとする。この理由は、シートにPH
B特性を付与する皮膜(2)と、シートに機械的特性を
付与するシート基材(3)とを別部材とすることによっ
て、シート基材(3)の材料の選択自由度を増大し、シ
ート基材(3)の薄肉化や強度向上を図り、ひいてはシ
ート全体としての薄肉化や強度向上を可能とするためで
ある。
【0015】前記シート基材(3)の材質は、特に限定
されることはなく、要求される用途、強度、成形性等を
考慮して、合成樹脂、ガラス、金属等を適宜用いれば良
い。例えば、光ディスク用として用いる場合には、強度
に優れ薄肉成形が容易な合成樹脂を用いるのが望まし
く、特にポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、
エポキシ、Am−ポリオレフィン等の樹脂を用いるのが
好ましい。また、光透過型の光ディスク等に適用する場
合、シート基材は透光性のものを用いる必要がある。
【0016】皮膜(2)中に分散状態に存在する光学ガ
ラス微粒子(1)の粒子径は平均で3μm以下とするの
が良い。平均粒子径が3μmを超えると、照射レーザー
のビーム径をそれだけ大きくする必要があり、ひいては
記録密度が小さくなるという欠点を派生する。好ましく
は、0.1〜2.0μmの範囲とするのが良い。また、
粒子径10μm以上の微粒子は粒度分布として0.1%
以下に抑制するのが良い。10μm以上の微粒子が粒度
分布として0.1%を超えて存在すると、微粒子中を光
ビームが通過しない場合が発生し、良好なPHB特性を
発揮させることができなくなるおそれがある。好ましく
は、粒子径10μm以上の微粒子の粒度分布を0.05
%以下に抑制するのが良い。
【0017】皮膜(2)は、それに含まれる光学ガラス
微粒子(1)へのレーザ光の通過を許容するため透光性
でなければならない。皮膜(2)は光学ガラス微粒子を
固定するバインダーとして機能するものであり、一般的
には後述するような樹脂により形成される。
【0018】皮膜(2)の厚さは、10〜100μmに
設定するのが良い。皮膜厚さが10μm未満では、光学
ガラスの粒子径10μm以上の微粒子が0.1%以下で
あっても良好なPHB特性を発揮させることができなく
なるおそれがある。一方、皮膜厚さが100μmを超え
ると、光学ガラス微粒子、樹脂いずれも使用量が増加し
て材料の無駄となる。好ましくは20〜80μmの厚さ
とするのが良い。
【0019】次に、上記のようなシート(3)の好まし
い製造方法について説明すると、まず、3価の希土類元
素を還元して得られた2価の希土類元素イオンを含有す
る光学ガラスを製造する。該光学ガラスの製造方法その
ものについては限定されることはなく、任意の方法を用
いれば良い。例えば、SmF3 を添加したフッ化アルミ
ニウム塩系原料又はフッ化ハフニウム塩系原料や、Sm
2 3 を添加したホウ酸塩系原料を、炭素ルツボ中で、
水素、窒素、アルゴンまたはこれらの混合雰囲気等から
なる還元性雰囲気中で加熱溶融し、該雰囲気中で冷却凝
固させる。この操作により、Sm3+がSm2+に還元され
て、Sm2+含有光学ガラスを得ることができる。
【0020】次に、得られた光学ガラスを微粒子化す
る。微粒子化の方法は限定されることはないが、最も簡
便な方法として機械的に粉砕する方法を挙げることがで
きる。粉砕方法は、湿式粉砕でも良いし、乾式粉砕でも
良い。具体的には、ボールミル粉砕、振動ミル粉砕、ジ
ェットミル粉砕等の方法を挙げ得るが、後述の溶媒中等
での湿式粉砕を行うと、未乾燥のまま光学ガラス微粒子
と溶媒等とを混合できると共に分散が容易となることか
ら、湿式粉砕が好ましい。なお、粉砕後は、粗粒子除去
のため分級することが好ましい。
【0021】次に、得られた希土類元素含有光学ガラス
の微粒子と、透光性の有機バインダーを均一に混合し、
さらに必要に応じて溶媒やその他の添加剤を配合して、
希土類元素含有ガラス微粒子を含む塗料を作製する。有
機バインダーの具体例を挙げると、油性のものとしては
アルキッド、アクリル、ビニル、エポキシ、ウレタン、
ポリエステル等の樹脂を挙げることができる。また、エ
マルジョンタイプのものとしては、塩化ビニル、アクリ
ル−酢酸ビニル共重合体、アクリル等の樹脂を挙げるこ
とができる。また、水溶性のものとしては、ポリビニー
ルアルコール、水溶性アクリル樹脂等を挙げることがで
きる。これらの樹脂の内の1種または2種以上を選択し
て使用すれば良い。
【0022】光学ガラス微粒子と有機バインダーとの混
合物に任意的に添加される溶媒の種類としては、例えば
メタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコ
ール類、トルエン、キシレン等の芳香族類、メチルエチ
ルケトン(MEK)、メチルイソブチルケトン(MIB
K)等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステ
ル類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルセ
ロソルブアセテート等のグリコールエーテル、グリコー
ルエステル類、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエ
ーテル類等を挙げることができる。
【0023】また、その他の添加剤としては、酸化防止
剤(例えば2,6−ジ−tert−ブチル−P−クレゾ
ール)や重合禁止剤(例えばP−メトキシフェノール)
等の安定剤、レベリング剤(例えばポリエーテル変性ジ
メチルポリシロキサン共重合物)、消泡剤、増粘剤、沈
降防止剤(例えばポリカルボン酸類)、顔料分散剤(例
えばポリカルボン酸類)、帯電防止剤(例えばポリオキ
シエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアル
キルアミド類)等を挙げることができる。また、光学ガ
ラス微粒子と有機バインダーとのなじみを良くするため
に、チタネート系カップリング剤(例えばテトライソプ
ロポキシチタン)やシランカップリング剤を塗料に混合
しても良いし、あるいは光学ガラス微粒子の表面をこれ
らカップリング剤で予め処理しておいても良い。
【0024】上記の塗料において、希土類元素含有光学
ガラス微粒子と有機バインダーとの混合比率は、重量比
で1:9〜3:1の範囲に設定するのが良い。光学ガラ
ス微粒子が重量比率で3:1を上回って多くなると、バ
インダー量が少なくなり、皮膜(2)のシート基材
(1)に対する密着性が低下する恐れがある。一方、光
学ガラス微粒子が重量比率で1:9を下回って少なくな
ると、ガラス微粒子の濃度が低下し、皮膜平面内におい
てガラス微粒子の存在しない微細スポットが生じ易くな
る。このような微細スポットが生じると、皮膜(2)の
厚さ方向に照射された光が該微細スポットにおいて透過
してしまうことから、この部分で欠陥となり、ひいては
ホールバーニング材料としての適用に際して品質不良と
なる。希土類元素含有光学ガラス微粒子と有機バインダ
ーとの特に好ましい混合比率は、重量比で2:8〜2:
1の範囲である。
【0025】次に、上記の塗料をシート基材(3)の表
面に塗布する。塗布方法は、ディップ法、ロール法、フ
ロー法、スプレー法、ドクターブレード法等の通常の塗
布方法の中から任意のものを採択使用すれば良い。塗布
厚さは、前述のとおり、10〜100μmに設定するの
が良い。
【0026】次に、塗布した塗料を硬化させる。硬化は
使用した有機バインダーやさらには溶媒等の種類に応じ
て、適当な方法により行えば良い。例えば、自然乾燥で
も良いし、加熱しても良いし、紫外線、可視光線、赤外
線、電子線を照射して硬化させても良い。
【0027】
【作用】シート基材(3)の表面に、希土類元素含有ガ
ラス微粒子を分散状態に含む皮膜(2)を形成したか
ら、シートの全体を希土類元素含有ガラスで構成する必
要はなくなり、シート基材(3)の材料を自由に選択で
きる。このため、シート基材(3)として薄肉成形が可
能な材料や、強度、耐衝撃性に優れた材料をも選択する
ことができる。
【0028】また、光学ガラスは微粒子(1)として皮
膜(2)に分散されているのみであるから、光学ガラス
のシート表面ヘの露出面積を格段に少なくでき、従って
光学ガラスの種類によっては生じていた化学的耐久性の
欠乏を抑制でき、耐水性等に優れたものとなる。
【0029】また、ホールバーニング材料としての特性
は、皮膜(2)内に微粒子として存在する、3価の希土
類元素を還元して得られた2価の希土類元素イオンを含
有するフッ化物ガラスや酸化物ガラス等の光学ガラス
(1)によって付与されるから、従来の光学ガラスその
ものからなるものと同等の常温動作可能な優れたPHB
特性を発揮させることができる。
【0030】
【実施例】
(実施例1)希土類元素としてSmF3 を選択し、Al
3 、HfF4 、YF3 、MgF2、CaF2 、SrF
2 、BaF2 、NaFとともに混合した。そしてこの混
合物を炭素ルツボに入れ、2%H2 を含むAr還元雰囲
気炉で950℃に加熱して溶融したのち、冷却固化させ
ることによってSmイオンを2価に還元した状態で含む
フッ化物ガラスを得た。
【0031】次に、得られたフッ化物ガラスを微粉砕し
て微粒子を得た。微粉砕は、振動ミルによる湿式粉砕の
方法により行った。なお媒液としては、酢酸ブチルとM
IBKとエチルセロソルブを重量比で20:20:60
の割合で配合したものを用いた。また、フッ化物ガラス
は平均粒子径2.0μmに微粉砕した。粒子径10μm
以上の微粒子の粒度分布は0.05%以下であった。な
お、フッ化物ガラスは溶媒を含んだまま以下の試験に使
用した。
【0032】次に、上記フッ化物ガラスの微粒子150
重量部と有機バインダーとしてのセルロースアセテート
ブチレート100重量部を混合した。ガラス微粒子と有
機バインダーとの混合比率は重量比で1.5:1であっ
た。さらに、溶媒として、湿式粉砕に用いたものと同じ
く酢酸ブチルとMIBKとエチルセロソルブを重量比で
20:20:60の割合で配合したものを、湿式粉砕に
用いた残留溶媒も含めて合計で1000重量部混合する
とともに、カップリング剤として3−アミノプロピルト
リエトキシシラン3重量部を混合して塗料を作製した。
【0033】一方、シート基材として、厚さ1200μ
mのポリカーボネート樹脂基板を用意した。そして、該
シート基材の表面に、上記塗料をドクターブレード法に
より塗布した。
【0034】次いで、上記塗布により形成した塗膜を6
0℃×20分加熱して硬化させ、Sm2+含有ガラス微粒
子を分散状態に含む皮膜を有するシートを得た。皮膜厚
さは50μmであった。
【0035】(実施例2)希土類元素としてSm2 3
を用い、B2 3 とNa2 CO3 (富山薬品製)及び前
記Sm2 3 (三津和化学薬品製)を混合した。そして
この混合物を白金ルツボに入れて1000℃の電気炉で
溶融したのち、冷却してガラスを得た。
【0036】次に、得られたガラスを炭素ルツボに入
れ、2%H2 を含むAr還元雰囲気炉で1400℃に加
熱して再溶融し、冷却固化させることによってSmイオ
ンを2価に還元した状態で含むホウ酸塩ガラスを得た。
【0037】次に、得られたホウ酸塩ガラスを微粉砕し
て微粒子を得た。微粉砕は、振動ミルによる湿式粉砕の
方法により行った。なお媒液としては水を用いた。ま
た、ホウ酸塩ガラスは平均粒子径1.0μmに微粉砕し
た。粒子径10μm以上の微粒子の粒度分布は0.05
%以下であった。そして、ホウ酸塩ガラスを加熱して溶
媒を除去し、乾燥粉として以下の試験に使用した。
【0038】次に、上記ホウ酸塩ガラスの微粒子150
重量部と有機バインダーとしてのアロニックスUV37
00(商品名、東亜合成化学工業製)100重量部を混
合した。ガラスの微粒子と有機バインダーとの混合比は
重量比で1.5:1であった。なお、前記アロニックス
UV3700は、ウレタンアクリレートオリゴマー、多
官能(メタ)アクリレート、単官能(メタ)アクリレー
ト、光重合開始剤を成分とするものである。さらに、溶
媒として、エチルセロソルブ200重量部を混合すると
ともに、カップリング剤として3−メタクリロキシプロ
ピルトリメチキシシラン3重量部を混合して塗料を作製
した。
【0039】一方、シート基材として、厚さ1200μ
mのポリカーボネート樹脂基板を用意した。そして、該
シート基材の表面に、上記塗料をドクターブレード法に
より塗布した。
【0040】次いで、上記塗布により形成した塗膜を6
0℃×20分加熱するとともに、高圧水銀灯下において
波長360nmの紫外線を積算光量が2000mJ/c
2となるように照射して硬化させ、Sm2+含有ガラス
微粒子を分散状態に含む皮膜を有するシートを得た。皮
膜厚さは50μmであった。
【0041】(実施例3)希土類元素としてSm2 3
を用い、B2 3 とNa2 CO3 (富山薬品製)及び前
記Sm2 3 (三津和化学薬品製)を混合した。そして
この混合物を白金ルツボに入れて1000℃の電気炉で
溶融したのち、冷却してガラスを得た。
【0042】次に、得られたガラスを炭素ルツボに入
れ、2%H2 を含むAr還元雰囲気炉で1400℃に加
熱して再溶融し、冷却固化させることによってSmイオ
ンを2価に還元した状態で含むホウ酸塩ガラスを得た。
【0043】次に、得られたホウ酸塩ガラスを微粉砕し
て微粒子を得た。微粉砕は、振動ミルによる湿式粉砕の
方法により行った。なお媒液としては水を用いた。ま
た、ホウ酸塩ガラスは平均粒子径0.5μmに微粉砕し
た。粒子径10μm以上の微粒子の粒度分布は0.05
%以下であった。そして、ホウ酸塩ガラスを加熱して溶
媒を除去し、乾燥粉として以下の試験に使用した。
【0044】次に、上記ホウ酸塩ガラスの微粒子100
重量部と有機バインダーとしてのパラロイドB82(商
品名、ローム&ハース・ジャパン製)100重量部を混
合した。ガラスの微粒子と有機バインダーとの混合比は
重量比で1:1であった。なお、前記パラロイドB82
は、ポリメチルメタクリレートコポリマーを成分とする
ものである。さらに、溶媒として、トルエンと酢酸ブチ
ルとエチルセロソルブを重量比で20:20:10の割
合で配合したもの500重量部を混合するとともに、カ
ップリング剤として3−アミノプロピルトリエトキシシ
ラン3重量部を混合して塗料を作製した。
【0045】一方、シート基材として、厚さ1200μ
mのポリメタクリル酸メチルからなる樹脂基板を用意し
た。そして、該シート基材の表面に、上記塗料をドクタ
ーブレード法により塗布した。
【0046】次いで、上記塗布により形成した塗膜を6
0℃×20分加熱して硬化させ、Sm2+含有ガラス微粒
子を分散状態に含む皮膜を有するシートを得た。皮膜厚
さは20μmであった。
【0047】こうして得た合計3種類のシートにつき、
PHBの測定を以下のようにして行った。
【0048】即ち、各シートから25mm×25mmの
サンプルを切り出し、室温(293K)にて、Arレー
ザ励起のDCM色素レーザを用い、波長682nm前後
のレーザ光を数秒間照射し、励起スペクトルを測定した
ところ、どのシートでもホールの形成が観察された。そ
して、ホールの幅を測定したところ、実施例1のフッ化
物ガラス微粒子の分散された皮膜を有するシートにおけ
るホール幅は約10cm-1、実施例2、3のホウ酸塩ガ
ラス微粒子の分散された皮膜を有するシートにおけるホ
ール幅は約5cm-1であった。
【0049】一方、実施例1〜3に供したSm2+含有光
学ガラスを微粒子化することなく、ガラスシートに成形
して、上記と同様にホール幅を測定したところ、フッ化
物ガラスシートの場合には約10cm-1、ホウ酸塩ガラ
スシートの場合には約5cm-1であり、実施例1〜3の
シートの場合と同じであった。
【0050】また、実施例1〜3のシートについて、シ
ート基材に対する皮膜の密着性を調べた。密着性は、サ
ンプルを剃刀の刃で1mm間隔にて縦横11本ずつ切目
を入れて100個のゴバン目を作り、市販のセロテープ
をよく密着させた後、急激に剥したとき、皮膜が剥離せ
ずに残存したます目数(X)をX/100で表示するこ
とにより評価した。実施例1〜3のシートはいずれも1
00/100であった。
【0051】以上の結果より、本発明に係るシートは、
ホールバーニング材料として問題なく使用できることを
確認し得た。また、光学ガラスとしてフッ化物ガラスよ
りもホウ酸塩ガラスを用いた方がホール幅が小さく、従
って記録密度を増大できることがわかる。また、シート
基材に対する皮膜の密着性も良好であることがわかる。
【0052】
【発明の効果】この発明は、上述の次第で、シート基材
表面に、希土類元素含有ガラス微粒子を分散状態に有す
る皮膜を形成したから、シートの全体を希土類元素含有
ガラスで構成する必要はなくなり、シート基材の材料を
自由に選択できる。その結果、薄肉成形が可能な材料
や、強度、耐衝撃性に優れた材料をシート基材の材料と
して選択することができ、シート基材の薄肉化や強度向
上を図ることができ、ひいてはシートの薄肉化や強度向
上を図ることができ、取り扱い性にも優れたものとなし
得る。
【0053】しかも、光学ガラスは微粒子として皮膜内
に分散状態に存在しているのみであるから、光学ガラス
のシート表面ヘの露出面積を格段に少なくでき、従って
光学ガラスの種類によっては生じていた化学的耐久性の
欠乏を抑制することができ、耐水性等に優れたものとな
し得る。
【0054】また、ホールバーニング材料としての特性
は、皮膜に微粒子として分散された、3価の希土類元素
を還元して得られた2価の希土類元素イオンを含有する
フッ化物ガラスや酸化物ガラス等の光学ガラスによって
付与されるから、従来の光学ガラスそのものからなるも
のと同等の常温動作可能な優れたPHB特性を発揮させ
ることができ、ホールバーニング材料等に好適なものと
なしうる。
【0055】また、3価の希土類元素を還元して得られ
た2価の希土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒
子と、透光性の有機バインダーとを混合状態に含有する
塗料によれば、該塗料をシート基材の表面に塗布する工
程と、塗布された塗料を硬化させる工程とを実施するこ
とにより、簡易な操作で上記の希土類元素含有ガラス微
粒子を含む皮膜を有するシートを製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例に係るシートの断面図であ
る。
【符号の説明】
1…光学ガラス微粒子 2…皮膜 3…シート基材

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 3価の希土類元素を還元して得られた2
    価の希土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒子を
    分散状態に含有する透光性の皮膜が、シート基材の表面
    に被覆形成されてなることを特徴とするシート。
  2. 【請求項2】 3価の希土類元素を還元して得られた2
    価の希土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒子
    と、透光性の有機バインダーとを混合状態に含有する塗
    料。
  3. 【請求項3】 3価の希土類元素を還元して得られた2
    価の希土類元素イオンを含有する光学ガラスの微粒子
    と、透光性の有機バインダーとを混合して塗料を作製す
    る工程と、得られた塗料をシート基材の表面に塗布する
    工程と、塗布された塗料を硬化させる工程とを実施する
    ことを特徴とするシートの製造方法。
JP6137361A 1994-06-20 1994-06-20 希土類元素含有ガラス微粒子を含む皮膜を有するシート及び該シートの製造に用いる塗料及び該シートの製造方法 Pending JPH083347A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6728154B2 (en) * 2000-01-31 2004-04-27 Central Glass Company, Limited Three-dimensional optical memory medium and process for producing same

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