JP2017187584A - 反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置 - Google Patents

反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】反射防止性能に優れ、かつ耐擦傷性に優れる反射防止フィルムの製造方法、上記反射防止フィルム、上記反射防止フィルムを含む偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置を提供すること。【解決手段】重量平均分子量600以上の架橋性化合物を含むハードコート層形成用組成物と、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物とを用い、明細書に記載の工程(1)〜(5)を含む反射防止フィルムの製造方法、上記方法により得られた反射防止フィルム、上記反射防止フィルムを含む偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置。【選択図】なし

Description

本発明は、反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置に関する。
陰極線管(CRT)を利用した表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶ディスプレイ(LCD)のような画像表示装置では、表示面での外光の反射によるコントラスト低下及び像の映り込みを防止するために反射防止フィルムを設けることがある。また、ショールームのガラス表面など、画像表示装置以外でも反射防止フィルムにより反射防止機能を付与する場合がある。
反射防止フィルムとして、基材表面に周期が可視光の波長以下の微細な凹凸形状を有する反射防止フィルム、いわゆるモスアイ(moth eye)構造を有する反射防止フィルムが知られている。モスアイ構造により、擬似的に空気から基材の内部のバルク材料に向かって屈折率が連続的に変化する屈折率傾斜層を作り出し、光の反射を防止することができる。
特許文献1には、プラスチック基材上に、平均一次粒子径が50nm以上700nm以下の粒子、バインダー樹脂形成用重合性化合物、及びプラスチック基材に対する浸透性を有する溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布し、バインダー樹脂形成用重合性化合物をプラスチック基材中に浸透させ、その後、硬化させることで、粒子が表面から突出することにより形成されたモスアイ構造を有する反射防止層を形成する方法が記載されている。
また、特許文献1には、プラスチック基材は、反射防止層を積層したときに浸透層を形成することが出来る場合には、表面に別の樹脂層、たとえばハードコート性を付与するためのハードコート層を備えてもよいことが記載されている。
特開2014−240956号公報
特許文献1に記載された反射防止フィルムは、反射防止性能及び面状の均一性に優れたものである。
しかしながら、特に近年では反射防止フィルムの使用環境及び使用形態が多様化しており、本発明者らは新たな観点の課題として、フィルム表面の耐擦傷性を向上させることを検討した。
すなわち、本発明の課題は、反射防止性能に優れ、かつ耐擦傷性に優れる反射防止フィルムの製造方法、上記反射防止フィルム、上記反射防止フィルムを含む偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置を提供することにある。
塗布法によりモスアイ構造を有する反射防止フィルムを作製する際に、粒子を一旦バインダー樹脂形成用化合物を含む層(反射防止層形成用塗膜)中に埋没させ、その後、バインダー樹脂形成用化合物の一部を基材に浸透させて反射防止層形成用塗膜と空気との界面を下げ、粒子を突出させる方法が知られているが、本発明者らの検討により以下の問題があることが分かった。
(1)反射防止フィルムの耐擦傷性を向上させるために、反射防止層の下層としてハードコート層を設けた場合、ハードコート層形成用塗膜を完全に硬化させた後では、ハードコート層の密度が高くなり、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物を浸透させることが難しい。その結果、耐擦傷性を十分に向上できない場合がある。
(2)ハードコート層形成用塗膜を半硬化状態にして密度を低くすると、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物は浸透しやすくなるが、ハードコート層形成用塗膜から反射防止層形成用塗膜へモノマーが溶け出してしまい、反射防止層形成用塗膜と空気との界面が下がりにくく、良好な凹凸形状が形成できない。
本発明者らは鋭意検討し、ハードコート層形成用組成物に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物を含有させることで、上記問題を解決できることを見出した。
すなわち、下記手段により上記課題を解決できる。
<1>
基材上に、ハードコート層と、上記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層形成用塗膜を設ける工程(1)、
上記ハードコート層形成用塗膜を半硬化する工程(2)、
上記半硬化されたハードコート層形成用塗膜の上に、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布して、反射防止層形成用塗膜を設ける工程(3)、
上記バインダー樹脂形成用化合物の一部を、上記ハードコート層形成用塗膜に浸透させ、上記反射防止層形成用塗膜の上記ハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面から上記粒子を突出させて凹凸形状を形成する工程(4)、
上記ハードコート層形成用塗膜及び上記反射防止層形成用塗膜を完全硬化して、ハードコート層及び反射防止層を形成する工程(5)
を含む、反射防止フィルムの製造方法。
<2>
上記架橋性化合物の重量平均分子量が500000以下である、<1>に記載の反射防止フィルムの製造方法。
<3>
上記架橋性化合物の下記式(1)で表される架橋性基当量が200以上である、<1>又は<2>に記載の反射防止フィルムの製造方法。
式(1):
架橋性基当量=架橋性化合物の重量平均分子量/架橋性化合物1分子中に含まれる架橋性基の数
<4>
上記架橋性化合物が有する架橋性基が(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、又はオキセタニル基である、<1>〜<3>のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
<5>
上記架橋性化合物が、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
<6>
上記ハードコート層形成用組成物における上記架橋性化合物と上記光重合性基を有し、分子量600未満の化合物の含有質量比が、5/95以上95/5以下である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
<7>
基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物と、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物とが反応した化合物を含むハードコート層と、上記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、
上記凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.5以上であり、
上記反射防止フィルムは、波長450〜650nmの積分反射率の平均が2%以下であり、
上記反射防止層の上記基材側の界面とは反対側の表面を、スチールウールを用いて荷重400gで5回往復させる耐擦傷性試験の前後の反射率変化量が2.5%以下である、反射防止フィルム。
<8>
偏光子と、上記偏光子を保護する少なくとも1枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、上記保護フィルムの少なくとも1枚が<7>に記載の反射防止フィルムである偏光板。
<9>
<7>に記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有するカバーガラス。
<10>
<7>に記載の反射防止フィルム、又は<8>に記載の偏光板を有する画像表示装置。
本発明によれば、反射防止性能に優れ、かつ耐擦傷性に優れる反射防止フィルムの製造方法、上記反射防止フィルム、上記反射防止フィルムを含む偏光板、カバーガラス、及び画像表示装置を提供することができる。
本発明の反射防止フィルムの製造方法の一例を説明するための模式図である。 本発明の反射防止フィルムの一例を示す断面模式図である。
以下、本発明に係る好ましい実施の形態について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
また、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートの少なくとも一方を表し、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルの少なくとも一種を表し、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの少なくとも一種を表す。
本明細書において、数値範囲を「(数値1)〜(数値2)」という記載で表す場合、この記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
[反射防止フィルムの製造方法]
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、
基材上に、ハードコート層と、上記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層形成用塗膜を設ける工程(1)、
上記ハードコート層形成用塗膜を半硬化する工程(2)、
上記半硬化されたハードコート層形成用塗膜の上に、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布して、反射防止層形成用塗膜を設ける工程(3)、
上記バインダー樹脂形成用化合物の一部を、上記ハードコート層形成用塗膜に浸透させ、上記反射防止層形成用塗膜の上記ハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面から上記粒子を突出させて凹凸形状を形成する工程(4)、
上記ハードコート層形成用塗膜及び上記反射防止層形成用塗膜を完全硬化して、ハードコート層及び反射防止層を形成する工程(5)
を含む、反射防止フィルムの製造方法である。
本発明の反射防止フィルムの製造方法の好ましい実施形態の一例を図1に示す。
図1の(1)は、工程(1)において、基材1上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層形成用塗膜2を設けた状態を模式的に表している。
図1の(2)は、工程(2)において、紫外線を照射して、ハードコート層形成用塗膜を半硬化している状態を模式的に表している。
図1の(3)は、工程(3)において、半硬化されたハードコート層形成用塗膜の上に、粒子3、バインダー樹脂形成用化合物4、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布して、反射防止層形成用塗膜を設けた状態を模式的に表している。
図1の(4)は、工程(4)において、バインダー樹脂形成用化合物の一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させ、反射防止層形成用塗膜のハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面から粒子3を突出させて凹凸形状を形成した状態を模式的に表している。
図1の(5)は、工程(5)において、ハードコート層形成用塗膜及び反射防止層形成用塗膜を完全硬化して、ハードコート層及び反射防止層を形成している状態を模式的に表している。
[工程(1)]
工程(1)は、基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層形成用塗膜を設ける工程である。
工程(1)において、基材上にハードコート層形成用組成物を塗布する方法としては特に限定されず公知の方法を用いることができる。例えば、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、及びダイコート法等が挙げられる。
(基材)
基材は、反射防止フィルムの基材として一般的に使用される透光性を有する基材であれは特に制限はないが、プラスチック基材又はガラス基材が好ましい。
プラスチック基材としては、種々用いることができ、例えば、セルロース系樹脂;セルロースアシレート(トリアセテートセルロース、ジアセチルセルロース、アセテートブチレートセルロース)等、ポリエステル樹脂;ポリエチレンテレフタレート等、(メタ)アクリル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリスチレン、オレフィン系樹脂等を含有する基材が挙げられ、セルロースアシレート、ポリエチレンテレフタレート、又は(メタ)アクリル系樹脂を含有する基材が好ましく、セルロースアシレートを含有する基材がより好ましく、セルロースアシレートフィルムであることが特に好ましい。セルロースアシレートとしては、特開2012−093723号公報に記載の基材等を好ましく用いることが出来る。
プラスチック基材の厚さは、通常、10μm〜1000μm程度であるが、取り扱い性が良好で、透光性が高く、かつ十分な強度が得られるという観点から20μm〜200μmが好ましく、25μm〜100μmがより好ましい。プラスチック基材の透光性としては、可視光の透過率が90%以上のものが好ましい。
(ハードコート層形成用組成物)
ハードコート層形成用組成物は、少なくとも、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含む。
(重量平均分子量600以上の架橋性化合物)
ハードコート層形成用組成物に含まれる重量平均分子量600以上の架橋性化合物(以下、「架橋性化合物(A)」ともいう)について説明する。
架橋性化合物(A)の重量平均分子量が600以上であることにより、自由体積が大きく、密度が低いため、後述する工程(2)である程度ハードコート層形成用塗膜を硬化させても、後述する工程(4)で反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物がハードコート層形成用塗膜中に十分に浸透することができ、それにより反射防止層形成用塗膜のハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面の位置を基材に近づくように下げることができ、粒子を上記表面から突出させて凹凸形状を形成することができると考えられる。
また、架橋性化合物(A)の重量平均分子量が600以上であることにより、後述する工程(3)で反射防止層形成用塗膜を設けた場合であっても、架橋性化合物(A)自身は反射防止層形成用塗膜中に溶け出さないため、後述する工程(4)で効率的に反射防止層形成用塗膜のハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面の位置を基材に近づくように下げることができると考えられる。
更に、架橋性化合物(A)は、後述する工程(5)で完全硬化させることで、架橋性化合物(A)同士又は周囲の成分と十分に架橋するため、反射防止フィルムに耐擦傷性を付与することができると考えられる。
架橋性化合物(A)の重量平均分子量は、600以上であり、1000以上であることが好ましく、2000以上であることが更に好ましい。架橋性化合物(A)の重量平均分子量が600以上であることにより、バインダー樹脂形成用化合物のハードコート層形成用塗膜中への浸透性が向上する。また、耐擦傷性の観点から、架橋性化合物(A)の重量平均分子量は500000以下であることが好ましく、100000以下であることがより好ましく、50000以下であることが更に好ましい。
重量平均分子量は、下記装置、及びカラムを使用し、下記条件で測定したゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、Corona CAD検出によるポリスチレン換算で表した値である。
[装置名] 島津製LC−20AD + ESA Biosciences製 Corona CAD検出器
[カラム] TOSOH TSKgel GMHHR−H(7.8mm×30cm)とGMHHR−M(7.8mm×30cm)を2本接続して使用。
[カラム温度] 40℃
[試料濃度] 0.01質量%
[流速] 1.0ml/min
[校正曲線] TOSOH製TSK標準ポリスチレン Mw(重量平均分子量)=1090000〜495までの8サンプルによる校正曲線を使用。
架橋性化合物(A)が有する架橋性基としては、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、又はオキセタニル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基又はエポキシ基がより好ましく、(メタ)アクリロイル基が最も好ましい。
架橋性化合物(A)が有する架橋性基について、下記式(1)で表される架橋性基当量は200以上が好ましい。また、架橋性基当量は20000以下であることが好ましく、2000以下であることがより好ましく、800以下であることが更に好ましく、400以下が最も好ましい。
式(1):
架橋性基当量=架橋性化合物(A)の重量平均分子量/架橋性化合物(A)1分子中に含まれる架橋性基の数
架橋性基当量が200以上であることにより、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物がハードコート層形成用塗膜中に浸透し易くなる。また、架橋性基当量が20000以下であることにより、後述する工程(5)で完全硬化した際に、架橋性化合物(A)同士又は周囲の成分と十分に架橋するため、反射防止フィルムに耐擦傷性を付与することができると考えられる。
架橋性化合物(A)は、架橋性基として(メタ)アクリロイル基を有し、かつ、式(1)で表される架橋性基当量が前述の範囲であることが特に好ましい。
架橋性化合物(A)は、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂であることが好ましく、ウレタン樹脂であることがより好ましい。
ハードコート層形成用組成物中の架橋性化合物(A)の含有率は、反射防止層形成用組成物中のバインダー樹脂形成用化合物のハードコート層形成用塗膜への浸透性の観点から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、5〜91質量%であることが好ましく、14〜81質量%であることがより好ましく、68〜71質量%であることが更に好ましい。なお、固形分とは溶媒以外の成分を示す。
(光重合性基を有し、分子量600未満の化合物)
ハードコート層形成用組成物に含まれる、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物(以下、「光重合性基を有する化合物」と称する場合がある。)について説明する。
光重合性基を有する化合物が有する光重合性基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性不飽和基(炭素−炭素不飽和二重結合性基)等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
光重合性基を有する化合物の具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性基を有する化合物として、好ましく用いられる。
光重合性基を有する化合物としては、中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物が好ましい。
例えば、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3−クロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート、カプロラクトン変性トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
光重合性基を有する化合物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。光重合性基を有する化合物の重合は、光重合開始剤の存在下、光の照射により行うことができる。光としては、活性エネルギー線が挙げられ、具体的には、X線、電子線、紫外線、可視光、又は赤外線などが挙げられるが、紫外線が好ましい。
ハードコート層形成用組成物中の光重合性基を有する化合物の含有率は、耐擦傷性の観点から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、5〜91質量%であることが好ましく、14〜81質量%であることがより好ましく、68〜71質量%であることが更に好ましい。
ハードコート層形成用組成物における架橋性化合物(A)と光重合性基を有する化合物の含有質量比(架橋性化合物(A)/光重合性基を有する化合物)は、反射防止層形成用組成物中のバインダー樹脂形成用化合物のハードコート層形成用塗膜への浸透性と、優れた耐擦傷性との両立の観点から、5/95以上95/5以下であることが好ましく、15/85以上85/15以下であることがより好ましく、25/75以上75/25以下であることが更に好ましい。
光重合性基を有する化合物の分子量は、その構造式から求めたものである。
(光重合開始剤)
ハードコート層形成用組成物に含まれる光重合開始剤について説明する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。光重合開始剤の具体例、及び好ましい態様、市販品などは、特開2009−098658号公報の段落[0133]〜[0151]に記載されており、本発明においても同様に好適に用いることができる。
「最新UV硬化技術」{(株)技術情報協会}(1991年)、p.159、及び、「紫外線硬化システム」加藤清視著(平成元年、総合技術センター発行)、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
ハードコート層形成用組成物中の光重合開始剤の含有量は、ハードコート層形成用組成物に含まれる光重合可能な化合物を重合させるのに十分な量であり、かつ開始点が増えすぎないように設定するという理由から、ハードコート層形成用組成物中の全固形分に対して、0.5〜8質量%が好ましく、1〜5質量%がより好ましい。
ハードコート層形成用組成物には、上記以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、溶媒、帯電防止剤、防眩剤、レベリング剤、増感剤等を挙げることができる。溶媒としては、後述する反射防止層形成用組成物に含まれる溶媒と同様のものが挙げられる。重量平均分子量600以上の架橋性化合物と光重合性基を有する化合物の溶解性に優れる溶媒を用いるのが好ましく、この2つの成分の極性が異なる場合には、それぞれの成分に対して溶解性が高い溶媒を併用するのがより好ましい。
ハードコート層形成用組成物の固形分濃度は、10質量%以上80質量%以下であることが好ましく、20質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
ハードコート層形成用組成物が溶媒を含む場合、工程(1)と工程(2)の間に溶媒を乾燥する工程を有するのが好ましい。乾燥温度は、30℃以上が好ましく、40℃以上がより好ましく、50℃以上がさらに好ましい。また、150℃以下が好ましく、100℃以下がより好ましい。乾燥時間は30秒以上が好ましく、60秒以上がより好ましい。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)で設けられたハードコート層形成用塗膜を半硬化する工程である。
ここで、「半硬化」とは、基材とは反対側のハードコート層形成用塗膜表面の架橋性基と光重合性基の反応率の合計が15%以上70%未満であることを言う。反応率は、光照射による架橋性基と光重合性基の消費率の合計(下記式(2))で表される。
式(2)
反応率=1−{光照射後の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積と炭素−酸素結合のピーク面積の合計量}/{光照射前の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積と炭素−酸素結合のピーク面積の合計量}×100%
ピーク面積は、Thermo electron corporationのNICOLET6700 FT−IR(Fourier Transform Infrared Spectroscopy)を使用し、次の条件で半硬化前後のハードコート層形成用塗膜の一回反射測定を行って求める。
[測定範囲]400〜4000cm−1
[スキャン回数]32回
[クリスタル]Ge
[入射角度]45°
炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積は、808cm−1のピークから、炭素−酸素結合のピーク面積は、1000〜900cm−1のピークから、それぞれ求める。
反応率を15%以上とすることにより、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物がハードコート層形成用塗膜中に浸透し易くなる。これはハードコート層形成用塗膜中の光重合性を有する化合物が反射防止層形成用塗膜に逆浸透し難くなるためと考えられる。また、反応率を70%未満にすることにより、ハードコート層形成用塗膜の密度が高くなり過ぎることを防げるため、バインダー樹脂形成用化合物がハードコート層形成用塗膜に浸透し易くなる。
工程(2)では、工程(1)で設けられたハードコート層形成用塗膜に光を照射することで、半硬化することが好ましい。光としては、活性エネルギー線が挙げられ、具体的には、X線、電子線、紫外線、可視光、又は赤外線などが挙げられるが、紫外線が好ましい。光照射における照射量が0.1〜100mJ/cmであることが好ましく、1〜50mJ/cmであることがより好ましく、3〜30mJ/cmであることが更に好ましい。
酸素濃度0.01〜10体積%(より好ましくは0.05〜5体積%、さらに好ましくは0.1〜2.5体積%)の環境下で工程(2)を行うことが好ましい。
[工程(3)]
工程(3)は、工程(2)で半硬化されたハードコート層形成用塗膜の上に、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布して、反射防止層形成用塗膜を設ける工程である。
(反射防止層形成用組成物)
反射防止層形成用組成物は、少なくとも、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む。
(粒子)
反射防止層形成用組成物に含まれる粒子について説明する。
粒子としては、金属酸化物粒子、樹脂粒子、金属酸化物粒子のコアと樹脂のシェルを有する有機無機ハイブリッド粒子などが挙げられるが、膜強度に優れる観点から金属酸化物粒子が好ましい。
金属酸化物粒子としては、シリカ粒子、チタニア粒子、ジルコニア粒子、五酸化アンチモン粒子などが挙げられるが、多くのバインダーと屈折率が近いためヘイズを発生しにくく、かつモスアイ構造が形成し易い観点からシリカ粒子が好ましい。
樹脂粒子としては、ポリメタクリル酸メチル粒子、ポリスチレン粒子、メラミン粒子などが挙げられる。
粒子の平均一次粒子径は、反射防止層の表面の凹凸形状が望ましいモスアイ構造になりやすいという観点から50〜380nmであることが好ましく、100〜320nmであることが好ましく、120〜250nmであることがより好ましい。
粒子は、1種のみ使用してもよいし、平均一次粒子径の異なる2種以上の粒子を用いてもよい。
粒子の押し込み硬度は400MPa以上であることが好ましく、450MPa以上であることがより好ましく、550MPa以上であることが更に好ましい。粒子の押し込み硬度が400MPa以上であるとモスアイ構造の厚み方向の圧力に対する耐久性が高くなるため好ましい。また、脆くて割れやすくならないようにするために粒子の押し込み硬度は1000MPa以下であることが好ましい。
粒子の押し込み硬度は、ナノインデンター等によって測定することが出来る。具体的な測定手法としては、粒子をそれ自身より硬い基板(ガラス板、石英板等)の表面に直交する方向に粒子が複数重ならないように並べてダイヤモンド圧子で押し込んで測定することができる。この際、粒子が動かないように、樹脂などで固定することが好ましい。ただし、樹脂で固定する場合には粒子の一部が露出するように調節して行う。また、トライボインデンターにより押し込み位置を特定することが好ましい。
本態様においても、基板上に粒子を並べ、測定値に影響を及ぼさない様に微量の硬化性樹脂を用いて粒子同士を結着及び固定させた試料を作製し、その試料を圧子による測定方法を用いて粒子の押し込み硬度を求めた。
粒子の平均一次粒径は、体積累積の50%粒径を指す。粒径の測定には走査型電子顕微鏡(SEM)を用いる事ができる。粉体粒子(分散液の場合は乾燥させて溶剤を揮発させたもの)をSEM観察により適切な倍率(5000倍程度)で観察し、一次粒子100個のそれぞれの直径を測長してその体積を算出し、累積の50%粒径を平均一次粒径とすることができる。粒子が球形でない場合には、長径と短径の平均値をその一次粒子の直径とみなす。反射防止フィルム中に含まれる粒子を測定する場合は、反射防止フィルムを表面側から上記同様SEMで観察して算出する。この際、観察し易いように、試料にはカーボン蒸着、エッチング処理などを適宜施してよい。
粒子の形状は、球形が最も好ましいが、不定形等の球形以外であっても問題無い。
また、シリカ粒子については、結晶質でも、アモルファスのいずれでもよい。
粒子は塗布液中での分散性向上、膜強度向上、凝集防止のために表面処理された無機微粒子を使用することが好ましい。表面処理方法の具体例及びその好ましい例は、特開2007−298974号公報の[0119]〜[0147]に記載のものと同様である。
特に、バインダー樹脂形成用化合物との結着性を付与し、膜強度を向上させる観点から、粒子表面を不飽和二重結合および粒子表面と反応性を有する官能基を有する化合物で表面修飾し、粒子表面に不飽和二重結合を付与することが好ましい。表面修飾に用いる化合物としては、重合性官能基を有するシランカップリング剤を好適に用いることができる。重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の重合性不飽和基(炭素−炭素不飽和二重結合性基)等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
タクリレ−ト、ポリスチレン粒子)などを好ましく用いることができる。
粒子としては、表面のヒドロキシル基量が適度に多く、かつ硬い粒子であるという理由から、焼成シリカ粒子であることが特に好ましい。
焼成シリカ粒子は、加水分解が可能なシリコン化合物を水と触媒とを含む有機溶媒中で加水分解、縮合させることによってシリカ粒子を得た後、シリカ粒子を焼成するという公知の技術により製造することができ、たとえば特開2003−176121号公報、特開2008−137854号公報などを参照することができる。
焼成シリカ粒子を製造する原料のシリコン化合物としては特に限定されないが、テトラクロロシラン、メチルトリクロロシラン、フェニルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルビニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルジフェニルクロロシラン等のクロロシラン化合物;テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトライソプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン等のアルコキシシラン化合物;テトラアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、ジメチルジアセトキシシラン、ジフェニルジアセトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン等のアシロキシシラン化合物;ジメチルシランジオール、ジフェニルシランジオール、トリメチルシラノール等のシラノール化合物;等が挙げられる。上記例示のシラン化合物のうち、アルコキシシラン化合物が、より入手し易く、かつ、得られる焼成シリカ粒子に不純物としてハロゲン原子が含まれることが無いので特に好ましい。本発明にかかる焼成シリカ粒子の好ましい形態としては、ハロゲン原子の含有量が実質的に0%であり、ハロゲン原子が検出されないことが好ましい。
焼成温度は特に限定されないが、800〜1300℃が好ましく、1000℃〜1200℃がより好ましい。
反射防止層形成用組成物中の粒子の含有率は、反射防止層形成用組成物中の全固形分に対して、10〜95質量%であることが好ましく、35〜90質量%であることがより好ましく、65〜85質量%であることが更に好ましい。
粒子の平均一次粒径が50〜380nmで、かつCV値(分散度)が5%未満の単分散シリカ微粒子を一種類のみ含有することが反射防止層表面の凹凸の高さが均一になり、反射率がより低下するため好ましい。CV値は通常レーザー回折型粒径測定装置を用いて測定されるが、他の粒径測定方式でも良いし、本発明の反射防止層の表面SEM像から、画像解析によって粒径分布を求め算出することもできる。CV値は4%未満であることがより好ましい。
(バインダー樹脂形成用化合物)
反射防止層形成用組成物に含まれるバインダー樹脂形成用化合物について説明する。
バインダー樹脂形成用化合物は、後述する工程(5)で反射防止層形成用塗膜を完全硬化させた場合にバインダー樹脂を形成する化合物であることが好ましい。
バインダー樹脂形成用化合物としては、ラジカル反応性基を有する化合物であることが好ましい。ラジカル反応性基としては、付加重合可能な不飽和結合(例えば(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリルアミド基、(メタ)アクリロニトリル基、アリル基、ビニル基、スチレン構造、ビニルエーテル構造や、アセチレン構造等)、−SH、−PH、SiH、−GeH、ジスルフィド構造等が挙げられる。
バインダー樹脂形成用化合物は1種の化合物を単独で用いてもよいし、2種以上の化合物を併用してもよい。
特に、バインダー樹脂形成用化合物として、少なくとも2種の化合物を用い、そのうち少なくとも1種が、工程(4)で基材に浸透する化合物であり、好ましくは、少なくとも一個のラジカル反応性基と少なくとも一個のラジカル反応性基以外の反応性基とを有する化合物である。
ラジカル反応性基を有する化合物の具体例としては、アルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、ポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類、エチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類、エポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類等を挙げることができる。
バインダー樹脂形成用化合物としては、下記硬化性化合物(a1−1)〜(a1−3)が挙げられ、これらのうち2種以上を併用することが好ましく、3種すべてを併用することがより好ましい。
硬化性化合物(a1−1):分子量が400以上であり、ラジカル反応性基を有する化合物
硬化性化合物(a1−2):ラジカル反応性基を有するシランカップリング剤
硬化性化合物(a1−3):分子量が400未満であり、少なくとも一個のラジカル反応性基と少なくとも一個のラジカル反応性基以外の反応性基とを有する化合物、又は、分子量が300未満であり、加熱時に揮発する化合物
硬化性化合物の分子量は、硬化性化合物の構造式から一義的に求められる場合は構造式から求めたものであり、高分子化合物のように分布を有するなど構造式から一義的に求められない場合はゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定した重量平均分子量とする。
硬化性化合物の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により下記の条件で測定された値である。
[溶媒] テトラヒドロフラン
[装置名] TOSOH HLC−8220GPC
[カラム] TOSOH TSKgel Super HZM−H
(4.6mm×15cm)を3本接続して使用。
[カラム温度] 25℃
[試料濃度] 0.1質量%
[流速] 0.35ml/min
[校正曲線] TOSOH製TSK標準ポリスチレン 重量平均分子量(Mw)=2800000〜1050までの7サンプルによる校正曲線を使用。
硬化性化合物(a1−1)は、分子量が400以上であり、ラジカル反応性基を有する化合物である。
硬化性化合物(a1−1)は基材に浸透しにくい化合物であることが好ましい。
硬化性化合物(a1−1)の分子量は400〜100000が好ましく、1000〜50000がより好ましい。
硬化性化合物(a1−1)は、(分子量/ラジカル反応性基量)で表される官能基当量が、1000以下であることが好ましく、500以下であることがより好ましく、200以下であることが更に好ましい。
硬化性化合物(a1−1)の具体例としては、KAYARAD DPHA、同DPHA−2C、同PET−30、同TMPTA、同TPA−320、同TPA−330、同RP−1040、同T−1420、同D−310、同DPCA−20、同DPCA−30、同DPCA−60、同GPO−303(日本化薬(株)製)、NKエステルA−TMPT、A−TMMT、A−TMM3、A−TMM3L、A−9550(新中村化学工業(株)製)、ビスコート#3PA、ビスコート#400、ビスコート#36095D、ビスコート#1000、ビスコート#1080、ビスコート#802(大阪有機化学工業(株)製)等のポリオールと(メタ)アクリル酸のエステル化物、Sirius−501、SUBARU−501(大阪有機化学工業(株)製)等のデンドリマー型多官能アクリレートを挙げることができる。
硬化性化合物(a1−2)は、ラジカル反応性基を有するシランカップリング剤である。
硬化性化合物(a1−2)の分子量は100〜5000が好ましく、200〜2000がより好ましい。
硬化性化合物(a1−2)は、基材に浸透しにくい化合物であることが好ましい。
硬化性化合物(a1−2)は、(分子量/ラジカル反応性基量)で表される官能基当量が、1000以下であることが好ましく、800以下であることがより好ましく、400以下であることが更に好ましい。
硬化性化合物(a1−2)の具体例としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリメトキシシラン、2−(メタ)アクリロキシエチルトリエトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリメトキシシラン、4−(メタ)アクリロキシブチルトリエトキシシラン等を挙げることが出来る。具体的には、KBM−503、KBM−5103(信越化学工業(株)製)や、特開2014−123091記載のシランカップリング剤X−12−1048、X−12−1049、X−12−1050(信越化学工業(株)製)等を用いることが出来る。
硬化性化合物(a1−3)は、分子量が400未満であり、少なくとも1個のラジカル反応性基と少なくとも1個のラジカル反応性基以外の反応性基とを有する化合物である。
硬化性化合物(a1−3)は、25℃では基材に浸透しにくく、加熱時に基材に浸透しやすい化合物であることが好ましい。
硬化性化合物(a1−3)が有するラジカル反応性基以外の反応性基としては、基材(基材がハードコート層等の機能層を有する場合は機能層)を構成する化合物と反応する基であることが好ましく、エポキシ基、アミノ基、ボロン酸基、ボロン酸エステル基、オキシラニル基、オキセタニル基、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基等が挙げられる。
硬化性化合物(a1−3)の分子量は100以上400未満が好ましく、200以上300以下がより好ましい。
硬化性化合物(a1−3)はラジカル反応性基以外の反応性基を2個以上有することが好ましい。
硬化性化合物(a1−3)の具体例としては、セロキサイド2021P、セロキサイド2081、エポリードGT−301、エポリードGT−401、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)、OXT−121、OXT−221、OX−SQ、PNOX−1009(以上、東亞合成(株)製)、KBM−303、KBM−402、KBM−403、KBE−402、KBE−403、KBM−4803(以上、信越化学工業(株)製)が挙げられる。
硬化性化合物(a1−3)は、加熱時に揮発する化合物であっても良い。この場合、分子量50以上300未満が、室温で揮発しにくく加熱時に揮発する為好ましい。100以上200未満が更に好ましい。
具体例としては、ブレンマーGMR、ブレンマーGML、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル(HEMA)が挙げられる。
バインダー樹脂形成用化合物の含有量は、反射防止層形成用組成物中の全固形分に対して、50質量以上80質量%以下が好ましく、55質量%以上65質量%以下がより好ましい。
バインダー樹脂形成用化合物が硬化性化合物(a1−1)〜(a1−3)を全て含む場合は、バインダー樹脂形成用化合物中、硬化性化合物(a1−1)の含有量は1.0質量%以上30質量%以下が好ましく、5質量%以上20質量%以下がより好ましい。また、硬化性化合物(a1−2)の含有量は1.0質量%以上60質量%以下が好ましく、1.0質量%以上30質量%以下がより好ましい。また、硬化性化合物(a1−3)の含有量は5.0質量%以上60質量%以下が好ましく、20質量%以上50質量%以下がより好ましい。
(溶媒)
反射防止層形成用組成物に含まれる溶媒について説明する。
溶媒としては、粒子と極性が近い物を選ぶのが分散性を向上させる観点で好ましい。具体的には、例えば粒子が金属酸化物粒子の場合にはアルコール系の溶剤が好ましく、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、ブタノールなどが挙げられる。また、例えば粒子が疎水化表面修飾がされた金属樹脂粒子の場合には、ケトン系、エステル系、カーボネート系、アルカン、芳香族系等の溶媒が好ましく、メチルエチルケトン(MEK)、炭酸ジメチル、酢酸メチル、アセトン、メチレンクロライド、シクロヘキサノンなどが挙げられる。これらの溶媒は、分散性を著しく悪化させない範囲で複数種混ぜて用いてもよい。
均一に塗布しやすい観点から、反射防止層形成用組成物の固形分濃度は、3質量%以上80質量%以下であることが好ましく、5質量%以上60質量%以下であることがより好ましい。
反射防止層形成用組成物は、上記以外のその他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、重合開始剤、金属錯体化合物、粒子の分散剤、レベリング剤、防汚剤等が挙げられる。重合開始剤としては前述のハードコート層形成用組成物中の光重合開始剤と同様のものが挙げられる。粒子の分散剤、レベリング剤、及び金属錯体化合物については、国際公開第2015/152308号の[0068]に記載されたものが本発明においても参照できる。
工程(3)において、反射防止層形成用組成物を塗布する方法としては、前述の工程(1)におけるハードコート層形成用組成物の塗布方法と同様である。
工程(3)と工程(4)の間に溶媒を乾燥する工程があるのが好ましい。乾燥温度は、バインダー樹脂形成用化合物がハードコート層形成用塗膜に浸透しない温度であれば特に限定されないが、40℃以下が好ましく、30℃以下がより好ましい。40℃以下で乾燥することにより、反射防止層形成用塗膜中の溶媒が揮発して、粒子同士が寄り難くなり、反射率の低下に寄与するため好ましい。
本発明の反射防止フィルムの製造方法は、工程(3)の後、工程(4)を行う前に、反射防止層形成用塗膜に光(好ましくは紫外線)を照射する工程(A1)を含んでもよい。
工程(A1)における条件は、反射防止層形成用組成物から粒子を除いたものを基材に2μmの厚みで塗布し、硬化させた場合に、下記式で求められる硬化率が2〜20%となる条件であるのが好ましい。これにより、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物の一部を硬化して、粒子同士が寄るのを防ぐことができる。
硬化率:
1−{光照射後のカルボニル基のピーク面積と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積の合計}/{光照射前のカルボニル基のピーク面積と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積の合計}×100%
より具体的には、Thermo electron corporationのNICOLET6700 FT−IRを使用して、光照射前の反射防止層形成用組成物(粒子を除く)の硬化前の塗膜をKBr−IR測定し、カルボニル基のピーク(1660−1800cm−1)面積と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積(808cm−1)を求める。また、光照射後の一回反射のIR測定から、カルボニル基のピーク面積と重合性の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積を求め、光照射前後でのピーク面積の変化率を求めることにより硬化率を算出する。
工程(A1)において、紫外線を1〜90mJ/cmの照射量で照射することが好ましく、1.2〜40mJ/cmの照射量で照射することがより好ましく、1.5〜10mJ/cmの照射量で照射することが更に好ましい。
工程(A1)において、基材の反射防止層形成用塗膜を有する側とは反対側から紫外線を照射してバインダー樹脂形成用化合物の一部を硬化させることが好ましい。これにより、特に反射防止層形成用塗膜の基材側の領域を硬化させることができ、粒子を動かないようしたまま、その後の工程で粒子による凹凸形状を形成しやすい。
酸素濃度0.1〜5.0体積%の環境下で工程(A1)を行うことが好ましく、酸素濃度0.5〜1.0体積%の環境下で工程(A1)を行うことがより好ましい。酸素濃度を上記範囲とすることで、特に反射防止層形成用塗膜の基材側の領域を硬化させることができる。
[工程(B1)及び工程(B2)]
本発明においては、工程(3)と工程(4)の間、又は、工程(4)と工程(5)の間に、
反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物と相溶しない化合物(b1)を含む層(b)を、反射防止層形成用塗膜の基材側の界面とは反対の面に設ける工程(B1)を有し、
工程(B1)の後に、層(b)を除去する工程(B2)を有することが好ましい。
工程(B1)は、工程(3)と工程(4)の間に有することがより好ましい。
工程(B2)は、工程(5)の後に有することが好ましい。
(層(b))
層(b)は、バインダー樹脂形成用化合物と相溶しない化合物(b1)(「化合物(b1)」ともいう)を含む。
層(b)は、反射防止層形成用塗膜の粒子が凝集しないようにするために設けられることが好ましく、最終的には除去されることが好ましい。
化合物(b1)がバインダー樹脂形成用化合物と相溶しないとは、25℃において化合物(b1)をバインダー樹脂形成用化合物に対して5質量%混合、撹拌した際に不溶解物が残る事である。
また、化合物(b1)は熱により硬化しない化合物であることが好ましい。化合物(b1)を熱により硬化しない化合物とすることで、本発明の製造方法において化合物(b1)の除去前に加熱プロセスを含んでいても、粒子によるモスアイ構造を形成しやすいため好ましい。
化合物(b1)として、塗布によって層(b)を設ける場合は、50℃において液状の油性成分であることが好ましく、シリコーン系油性成分、炭化水素系油性成分、エステル系油性成分、天然動植物油脂類、半合成油脂類、高級脂肪酸、高級アルコール、又はフッ素系油性成分であることがより好ましい。
[シリコーン系油性成分]
シリコーン系油性成分は、固体状、半固体状および液状のいずれであってもよい。シリコーン系油性成分としては、例えば、シリコーン油、シリコーン系界面活性剤、シリコーン樹脂、シリコーンワックス、および、シリコーン系ゲル化剤を使用することができる。
シリコーン油としては、例えば、ジメチルポリシロキサン(例えば、信越化学工業製KF96シリーズ)、トリストリメチルシロキシメチルシラン、カプリリルメチコン、フェニルトリメチコン、テトラキストリメチルシロキシシラン、メチルフェニルポリシロキサン,メチルヘキシルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等の低粘度から高粘度の直鎖又は分岐状のオルガノポリシロキサン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン,テトラメチルテトラハイドロジェンシクロテトラシロキサン、テトラメチルテトラフェニルシクロテトラシロキサン等の環状オルガノポリシロキサン;アミノ変性オルガノポリシロキサン;ピロリドン変性オルガノポリシロキサン;ピロリドンカルボン酸変性オルガノポリシロキサン;高重合度のガム状ジメチルポリシロキサン、ガム状アミノ変性オルガノポリシロキサン、ガム状のジメチルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体等のシリコーンゴム;及びシリコーンガムまたはゴムの環状オルガノポリシロキサン溶液;トリメチルシロキシケイ酸、トリメチルシロキシケイ酸の環状シロキサン溶液(例えば、信越化学工業製:KF−7312J等);ステアロキシリコーン等の高級アルコキシ変性シリコーン;高級脂肪酸変性シリコーン;アルキル変性シリコーン;長鎖アルキル変性シリコーン;アミノ酸変性シリコーン;フッ素変性シリコーン;シリコーン樹脂の溶解物等が挙げられる。
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン・アルキル共変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン変性オルガノポリシロキサン、直鎖又は分岐状ポリグリセリン・アルキル共変性オルガノポリシロキサンが挙げられる(具体例としては、信越化学工業性シリコーン系乳化剤:KF−6011、6043、6028、6038、6100,6104、6105等が挙げられる)。また、ポリオキシエチレン変性部分架橋型オルガノポリシロキサン、ポリグリセリン変性部分架橋型ポルガノポリシロキサン等を他の油性成分と共存させた状態(例えば、信越化学工業製:KSGシリーズ;KSG−210、710、310、320、330、340、320Z、350Z、810、820、830、840、820Z、850Z等)で用いてもよい。
シリコーン樹脂としては、例えば、アクリル/シリコーングラフト共重合体、アクリル/シリコーンブロック共重合体等からなるアクリルシリコーン樹脂が挙げられる(具体例としては、信越化学工業製:アクリル/シリコーングラフト共重合体の環状オルガノポリシロキサン溶液:KP−545等が挙げられる)。また、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸等のアニオン部分の中から選択される少なくとも1種を分子中に含有するアクリルシリコーン樹脂を使用することもできる。さらにこのシリコーン樹脂は、R8 3SiO0.5単位とSiO2単位とから構成される樹脂、R8 3SiO0.5単位とR8 2SiO単位とSiO2単位とから構成される樹脂、R8 3SiO0.5単位とR8SiO1.5単位とから構成される樹脂、R8 3SiO0.5単位とR8 2SiO単位とR8SiO1.5単位とから構成される樹脂、並びに、R8 3SiO0.5単位、R8 2SiO単位、R8SiO1.5単位及びSiO2単位から構成される樹脂の少なくとも1種からなるシリコーン網状化合物であることが好ましい。式中のR8は、置換又は非置換の炭素原子数1〜30の1価炭化水素基である。また、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分、ポリグリセリン部分、フルオロアルキル部分、アミノ部分の中から選択される少なくとも1種を分子中に含有するシリコーン網状化合物を使用することもできる。
シリコーンワックスとしては、例えば、アクリル/シリコーングラフト共重合体、アクリル/シリコーンブロック共重合体等からなるアクリルシリコーンワックスが挙げられる(具体例としては、信越化学工業製:アクリル/シリコーングラフト共重合体の環状オルガノポリシロキサン溶液:KP−561P、562P等が挙げられる)。また、ピロリドン部分、長鎖アルキル部分、ポリオキシアルキレン部分及びフルオロアルキル部分、カルボン酸等のアニオン部分の中から選択される少なくとも1種を分子中に含有するアクリルシリコーンワックスを使用することもできる。また、このシリコーンワックスは、5員環以上のラクトン化合物の開環重合物であるポリラクトンを結合させたポリラクトン変性ポリシロキサンであることが好ましい。さらに、このシリコーンワックスは、α−オレフィンとジエンとからなる不飽和基を有するオレフィンワックスと1分子中1個以上のSiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとを付加反応させることによって得られるシリコーン変性オレフィンワックスである。上記α―オレフィンとしてはエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、4−メチル1−ペンテン等の炭素原子数2〜12のα―オレフィンが好ましく、上記ジエンとしてはブタジエン、イソプレン、1,4−ヘキサジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン、ジシクロペンタジエン等が好ましい。SiH結合を有するオルガノハイドロジェンポリシロキサンとしては直鎖状構造のもの、シロキサン分岐型構造のもの等が使用できる。
シリコーン系ゲル化剤としては、例えば、非変性の部分架橋型オルガノポリシロキサン、アルキル変性部分架橋型オリガノポリシロキサン、シリコーン分岐型アルキル変性部分架橋型オリガノポリシロキサン等の非変性または変性の部分架橋型オリガノポリシロキサン等のゲル化成分と、シクロペンタシロキサン、ジメチコン、ミネラルオイル、イソドデカン、トリオクタノイン、スクワラン等の種々のオイル成分とを含むゲル混合物等が挙げられる。上記ゲル混合物には、上記ゲル化成分と上記オイル成分とが共存した状態で含まれる。上記ゲル混合物としては、例えば、信越化学工業製のKSGシリーズ(商品名)、特に、KSG−15、16、41、42、43、44、042Z、045Z(いずれも商品名)等が挙げられる。
炭化水素系油性成分としては、流動パラフィン,軽質流動イソパラフィン、重質流動イソパラフィン,ワセリン,n−パラフィン,イソパラフィン,イソドデカン、イソヘキサデカン、ポリイソブチレン、水素化ポリイソブチレン、ポリブテン,オゾケライト,セレシン,マイクロクリスタリンワックス,パラフィンワックス、ポリエチレンワックス、ポリエチレン・ポリピロピレンワックス、スクワラン,スクワレン、プリスタン,ポリイソプレン、ロウ等が例示される。
エステル系油性成分としては、オクタン酸ヘキシルデシル、オクタン酸セチル,ミリスチン酸イソプロピル,パルミチン酸イソプロピル,ステアリン酸ブチル,ラウリン酸ヘキシル,ミリスチン酸ミリスチル,オレイン酸オレイル,オレイン酸デシル,ミリスチン酸オクチルドデシル,ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル,乳酸セチル,乳酸ミリスチル,フタル酸ジエチル,フタル酸ジブチル,酢酸ラノリン,モノステアリン酸エチレングリコール,モノステアリン酸プロピレングリコール,ジオイレイン酸プロピレングリコール,モノステアリン酸グリセリル,モノオレイン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸グリセリル,トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジイソブチル、アジピン酸2−ヘキシルデシル、アジピン酸ジ−2−ヘプチルウンデシル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油、モノイソステアリン酸N−アルキルグリコール、イソステアリン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソセチル、ジ−2−エチルヘキサン酸エチレングリコール、2−エチルヘキサン酸セチル、テトラ−2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、オクチルドデシルガムエステル、オレイン酸エチル、オレイン酸オクチルドデシル、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、クエン酸トリエチル、コハク酸2−エチルヘキシル、コハク酸ジオクチル、ステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチルオクチル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、パルミチン酸2−ヘキシルデシル、パルミチン酸2−ヘプチルウンデシル、12−ヒドロキシステアリル酸コレステリル、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ミリスチン酸2−ヘキシルデシル、ラウリン酸エチル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸−2−オクチルドデシルエステル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル、リンゴ酸ジイソステアリル、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ジネオペンタン酸ジエチルペンタンジオール、ジネオペンタン酸メチルペンタンジオール、ネオデカン酸オクチルドデシル、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル、トリイソオクタン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、ジ−2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、ミリスチン酸イソステアリン酸ジグリセリル、酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、アボカド油脂肪酸エチル、ラノリン脂肪酸イソプロピル等が例示される。
天然動植物油脂類及び半合成油脂類として、アボガド油、アマニ油、アーモンド油、イボタロウ、エノ油、オリーブ油、カカオ脂、カポックロウ、カヤ油、カルナウバロウ、肝油、キャンデリラロウ、牛脂、牛脚脂、牛骨脂、硬化牛脂、キョウニン油、鯨ロウ、硬化油、小麦胚芽油、ゴマ油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サトウキビロウ、サザンカ油、サフラワー油、シアバター、シナギリ油、シナモン油、ジョジョバロウ、オリーブスクワラン、セラックロウ、タートル油、大豆油、茶実油、ツバキ油、月見草油、トウモロコシ油、豚脂、ナタネ油、日本キリ油、ヌカロウ、胚芽油、馬脂、パーシック油、パーム油、パーム核油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、ヒマワリ油、ブドウ油、ベイベリーロウ、ホホバ油、水添ホホバエステル、マカデミアナッツ油、ミツロウ、ミンク油、綿実油、綿ロウ、モクロウ、モクロウ核油、モンタンロウ、ヤシ油、硬化ヤシ油、トリヤシ油脂肪酸グリセライド、羊脂、落花生油、ラノリン、液状ラノリン、還元ラノリン、ラノリンアルコール、硬質ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、POE(ポリオキシエチレン)ラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、卵黄油等が挙げられる。
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、例えば、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オレイルアルコール、イソステアリルアルコール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール、セトステアリルアルコール、2−デシルテトラデシノール、コレステロール、シトステロール、フィトステロール、ラノステロール、POEコレステロールエーテル、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、モノオレイルグリセリルエーテル(セラキルアルコール)等が挙げられる。
フッ素系油性成分としては、パーフルオロポリエーテル、パーフルオロデカリン、パーフルオロオクタン等が挙げられる。
モスアイ構造を形成する粒子の凝集を抑制し、反射防止フィルムの白濁感を小さくする観点から、化合物(b1)は50℃において液体である事が好ましく、25℃において液体である事がさらに好ましい。また、化合物(b1)の少なくとも1種は沸点が110℃以上であることが好ましい。沸点が110℃以上であれば、常温で揮散しにくくなり、反射防止層形成用塗膜の硬化が完了するまで層(b)として存在していることができ、好ましい。
また、上記観点から沸点が110℃以上である化合物(b1)の25℃における動粘度は0.1mm/s〜100000mm/sであることが好ましく、0.1mm/s〜10000mm/sがより好ましく、0.1mm/s〜100mm/sである事が最も好ましい。
化合物(b1)は1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
層(b)における化合物(b1)の含有量は、層(b)の全固形分に対して50〜100質量%が好ましく、70〜100質量%がより好ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
工程(B2)において、層(b)の除去方法は特に限定されないが、基材は溶解せずに、化合物(b1)は溶解する溶剤で洗浄する方法、化合物(b1)の沸点より高い温度で加熱して化合物(b1)を揮発させる方法などが好ましい。
層(b)の除去方法は特に限定されないが、基材および反射防止層は溶解せずに、化合物(b1)は溶解する溶剤を用いる方法(たとえば上記溶剤で洗浄する方法)、化合物(b1)の沸点より高い温度で加熱して化合物(b1)を揮発させる方法、アルカリ溶液で化合物(b1)を溶解させる方法などが好ましい。
基材および反射防止層は溶解せずに、化合物(b1)は溶解する溶剤としては特に限定されないが、基材がトリアセチルセルロースである場合、メタノール、エタノール、2−プロパノール、1−プロパノール、n−ブタノール、イソブタノール、ジアセトンアルコール、メトキシプロパノールなどのアルコール系溶剤やメチルイソブチルケトン、メチルブチルケトン等のケトン系溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤、シクロヘキサン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が好ましい。これらの溶剤は複数種混ぜて用いてもよい。
化合物(b1)を揮発させる場合の加熱温度としては、基材のガラス転移温度よりも低くかつ化合物(b1)の沸点より高い温度であることが好ましく、具体的には、60〜180℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
アルカリ溶液で溶解させる場合の溶液としては、水酸化ナトリウム、あるいは水酸化カリウムの水溶液を用いることが好ましい。
[工程(4)]
工程(4)は、バインダー樹脂形成用化合物の一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させ、反射防止層形成用塗膜のハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面から粒子を突出させて凹凸形状を形成する工程である。
工程(4)では、反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物の一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させ、反射防止層形成用塗膜のハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面の位置を基材に近づくように下げることができ、粒子を上記表面から突出させて凹凸形状を形成する。
反射防止層形成用塗膜中のバインダー樹脂形成用化合物の一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させる方法としては、基材、ハードコート層形成用塗膜、及び反射防止層形成用塗膜からなる積層体を加熱する方法が好ましい。加熱により、効果的にバインダー樹脂形成用化合物の一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させることができる。加熱における温度は、基材のガラス転移温度より小さいことが好ましく、具体的には、60〜180℃であることが好ましく、80〜130℃であることがより好ましい。
[工程(5)]
工程(5)は、ハードコート層形成用塗膜及び反射防止層形成用塗膜を完全硬化して、ハードコート層及び反射防止層を形成する工程である。
ここで、「完全硬化」とは、反射防止フィルムの反射防止層側の反応性基の反応率が70%以上であることを言う。反応率の算出方法は、「半硬化」の反応率の算出方法と同様である。なお、反応率を求める上記式(2)中、「光照射前の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積と炭素−酸素結合のピーク面積の合計量」は、工程(2)の前の(すなわち、半硬化前の)ハードコート層形成用塗布膜から求める。また「光照射後の炭素−炭素不飽和二重結合のピーク面積と炭素−酸素結合のピーク面積の合計量」は、工程(5)の後の(すなわち、完全硬化後の)反射防止フィルムから求める。
工程(5)では、工程(4)の後のハードコート層形成用塗膜と反射防止層形成用塗膜に光を照射することで、完全硬化することが好ましい。光としては、活性エネルギー線が挙げられ、具体的には、X線、電子線、紫外線、可視光、又は赤外線などが挙げられるが、紫外線が好ましい。光照射における照射量が150〜1000mJ/cmであることが好ましく、200〜800mJ/cmであることがより好ましい。
工程(5)は、酸素濃度が低い環境下で行うことが好ましく、酸素濃度は001体積%以下が好ましい。
工程(5)が完了すると、基材上に、ハードコート層と、上記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムが得られる。
ハードコート層の膜厚は0.6〜50μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。
ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましい。さらに、日本工業規格(JIS) K 5600−5−4(1999)に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
反射防止フィルムの反射防止層の凹凸形状は、モスアイ構造であることが好ましい。
(モスアイ構造)
モスアイ構造とは、光の反射を抑制するための物質(材料)の加工された表面であって、周期的な微細構造パターンをもった構造のことを指す。特に、可視光の反射を抑制する目的の場合には、780nm未満の周期の微細構造パターンをもった構造のことを指す。微細構造パターンの周期が380nm未満であると、反射光の色味が小さくなり好ましい。また、モスアイ構造の凹凸形状の周期が100nm以上であると波長380nmの光が微細構造パターンを認識でき、反射防止性に優れるため好ましい。モスアイ構造の有無は、走査型電子顕微鏡(SEM)、及び原子間力顕微鏡(AFM)等により表面形状を観察し、上記微細構造パターンが出来ているかどうか調べることによって確認することができる。
本発明の製造方法により製造される反射防止フィルムの好ましい実施形態の一例を図2に示す。
図2の反射防止フィルム10は、基材1とハードコート層2と反射防止層5とを有する。反射防止層5は、粒子3とバインダー樹脂4とを含み、ハードコート層2側の界面とは反対側の表面に、粒子3によって形成された凹凸形状を有する。
本発明の製造方法により製造された反射防止フィルムの反射防止層の凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.5以上であることが好ましい。B/Aが0.5以上であると、凸部同士の距離に対して凹部の深さが大きくなり、空気から反射防止層内部にかけてより緩やかに屈折率が変化する屈折率傾斜層を作ることができるため、反射率をより低減できる。
B/Aは、硬化後の反射防止層におけるバインダー樹脂と粒子の体積比により制御することができる。そのため、バインダー樹脂と粒子の配合比を適切に設計することが重要である。また、バインダー樹脂がモスアイ構造を作製する工程の中で基材に浸透したり、揮発したりすることにより反射防止層におけるバインダー樹脂と粒子の体積比が反射防止層形成用組成物中の配合比と異なる場合もあるため、基材とのマッチングを適切に設定することも重要である。
更に、反射率を低下させるためには凸部を形成する粒子は均一に、適度な充填率で敷き詰められていることが好ましい。上記観点から、凸部を形成する粒子の含有量は、反射防止層全体で均一になるように調整されるのが好ましい。充填率は、SEMなどにより表面の法線方向から凸部を形成する粒子を観察したときの最も表面側に位置した粒子の面積占有率(粒子占有率)として測定することができ、30%〜95%であることが好ましく、40〜90%であることがより好ましく、50〜85%であることが更に好ましい。
隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aの測定方法について、以下に、より具体的に説明する。
B/Aは、反射防止フィルムの断面SEM観察により測定することができる。反射防止フィルム試料をミクロトームで切削して断面を出し、適切な倍率(5000倍程度)でSEM観察する。観察し易いように、試料にはカーボン蒸着、エッチング等適切な処理を施してもよい。B/Aは、空気と試料が作る界面において、隣り合う凸部の頂点間の距離をA、隣り合う凸部の頂点を含み基材面と垂直な面内にて、隣り合う凸部の頂点を結ぶ直線とその垂直二等分線が粒子又はバインダー樹脂に到達する点である凹部との距離をBとして、100点測長したとき、B/Aの平均値として算出する。
SEM写真においては、写っているすべての凹凸について、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとを正確に測長できない場合もあるが、その場合はSEM画像で手前側に写っている凸部と凹部に着目して測長すればよい。
なお、凹部は、SEM画像で測長する2つの隣り合う凸部を形成する粒子と同じ深度において測長することが必要である。より手前側に写っている粒子などまでの距離をBとして測長してしまうと、Bを小さく見積もってしまう場合があるからである。
B/Aは、0.6以上であることが好ましく、0.7以上であることがより好ましく、0.8以上であることが更に好ましい。また、モスアイ構造が強固に固定化でき、耐擦傷性に優れるという観点からは、0.9以下であることが好ましい。
本発明の製造方法により製造された反射防止フィルムは、波長450〜650nmの積分反射率の平均が2%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1%以下であることが更に好ましい。
本発明の製造方法により製造された反射防止フィルムは、反射防止層の表面に対して耐擦傷性試験を行う前と行った後の反射率の変化量が2.5%以下であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることが更に好ましく、0.5%以下であることがより更に好ましい。
[反射防止フィルム]
本発明の反射防止フィルムは、
基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物と、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物とが反応した化合物を含むハードコート層と、上記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、
上記凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.5以上であり、
上記反射防止フィルムは、波長450〜650nmの積分反射率の平均が2%以下であり、
上記反射防止層の上記基材側の界面とは反対側の表面を、スチールウールを用いて荷重400gで5回往復させる耐擦傷性試験の前後の反射率変化量が2.5%以下である、反射防止フィルムである。
本発明の反射防止フィルムの各構成要件については、前述の本発明の反射防止フィルムの製造方法により製造された反射防止フィルムにおいて説明したとおりである。
[偏光板]
偏光板は、偏光子と、偏光子を保護する少なくとも1枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、保護フィルムの少なくとも1枚が本発明の反射防止フィルムの製造方法により製造された反射防止フィルムであることが好ましい。
偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子又はポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子及び染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造することができる。
[カバーガラス]
本発明の反射防止フィルムの製造方法により製造された反射防止フィルムをカバーガラスに適用することもできる。
[画像表示装置]
本発明の反射防止フィルムの製造方法により製造された反射防止フィルムを画像表示装置に適用することもできる。
画像表示装置としては、陰極線管(CRT)を利用した表示装置、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、蛍光表示ディスプレイ(VFD)、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、及び液晶ディスプレイ(LCD)を挙げることができ、特に液晶表示装置が好ましい。
一般的に、液晶表示装置は、液晶セル及びその両側に配置された2枚の偏光板を有し、液晶セルは、2枚の電極基板の間に液晶を担持している。更に、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、又は液晶セルと双方の偏光板との間に2枚配置されることもある。液晶セルは、TN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、OCB(Optically Compensatory Bend)モード、IPS(In−Plane Switching)モードなど様々な駆動方式の液晶セルが適用できる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、物質量とその割合、操作等は本発明の趣旨から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下の具体例に制限されるものではない。
[シリカ粒子a−1の合成]
撹拌機、滴下装置および温度計を備えた容量200Lの反応器に、メチルアルコール67.54kgと、28質量%アンモニア水(水および触媒)26.33kgとを仕込み、撹拌しながら液温を33℃に調節した。一方、滴下装置に、テトラメトキシシラン12.70kgをメチルアルコール5.59kgに溶解させた溶液(a)を仕込んだ。反応器中の液温を33℃に保持しながら、滴下装置から溶液(a)を1時間かけて滴下し、滴下終了後、さらに1時間、液温を33℃に保持しながら撹拌することにより、テトラメトキシシランの加水分解および縮合を行い、シリカ粒子前駆体を含有する分散液を得た。この分散液を、瞬間真空蒸発装置((ホソカワミクロン(株)社製クラックス・システムCVX−8B型)を用いて加熱管温度175℃、減圧度200torr(27kPa)の条件で気流乾燥させることにより、シリカ粒子a−1を得た。平均一次粒径は200nm、粒子径の分散度(CV値):3.5%であった。
[焼成シリカ粒子b−2の作製]
5kgのシリカ粒子a−1をルツボに入れ、電気炉を用いて900℃で2時間焼成した後、冷却して、次いで粉砕機を用いて粉砕し、分級前焼成シリカ粒子を得た。さらにジェット粉砕分級機(日本ニューマ社製IDS−2型)を用いて解砕および分級を行うことにより焼成シリカ粒子b−2を得た。得られたシリカ粒子の平均一次粒径は200nm、粒径の分散度(CV値):3.5%であった。
[シランカップリング剤処理焼成シリカ粒子c−1の作製]
5kgの焼成シリカ粒子b−2を、加熱ジャケットを備えた容量20Lのヘンシェルミキサ(三井鉱山株式会社製FM20J型)に仕込んだ。焼成シリカ粒子b−2を撹拌しているところに、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製KBM5103)45gを、メチルアルコール90gに溶解させた溶液を滴下して混合した。その後、混合撹拌しながら150℃まで約1時間かけて昇温し、150℃で12時間保持して加熱処理を行った。加熱処理では、掻き落とし装置を撹拌羽根とは逆方向に常時回転させながら、壁面付着物の掻き落としを行った。また、適宜、へらを用いて壁面付着物を掻き落とすことも行った。加熱後、冷却し、ジェット粉砕分級機を用いて解砕および分級を行い、シランカップリング剤処理焼成シリカ粒子c−1を得た。平均一次粒径は210nm、粒径の分散度(CV値):3.7%であった。押し込み硬度は、450MPaであった。
(ハードコート層形成用組成物の調製)
下記表1に記載のハードコート層形成用組成物HC−1の組成となるように各成分をミキシングタンクに投入、攪拌し、孔径0.4μmのポリプロピレン製フィルターで濾過してハードコート層形成用組成物HC−1とした。
ハードコート層形成用組成物HC−1と同様の方法で、各成分を下記表1の組成になるように混合して、塗布液濃度(固形分濃度)40〜50質量%の反射防止層形成用組成物HC−2〜HC−10を作製した。
Figure 2017187584
それぞれ使用した化合物を以下に示す。
・アクリット8KX−012C:紫外線(UV)硬化型ウレタンアクリルポリマーの40質量%酢酸エチル/イソプロピルアルコール溶液、重量平均分子量(Mw)25000、架橋性基当量473、大成ファインケム(株)製
・ポリエチレングリコールグリシジルラウリルエーテル:分子量900〜1000、架橋性基当量900〜1000、東京化成品工業(株)製
・アクリット8BR−600:UV硬化型ウレタンアクリルポリマーの36質量%メチルイソブチルケトン(MiBK)溶液、重量平均分子量200000、架橋性基当量1700、大成ファインケム(株)製
・アートキュアMAP―4000:反応性アクリルポリマーのプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)/プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタート(PGMEA)40質量%溶液、重量平均分子量25000、架橋性基当量10000、根上工業(株)製
・ユニディック17−806:重量平均分子量600〜10000のウレタンアクリレート60質量%とペンタエリスリトールトリアクリレート等分子量600未満のアクリレート化合物40質量%の混合物の酢酸ブチル80質量%溶液(重量平均分子量600〜10000のウレタンアクリレートの重量平均分子量は1300)、架橋性基当量230〜300、DIC(株)製
・アクリット8UA−017:ウレタン変性アクリルポリマーの酢酸エチル/イソプロピルアルコール50質量%溶液、重量平均分子量40000、架橋性基なし、大成ファインケム(株)製
・VF−096:2,2’−アゾビス[N―(2−プロペニル)−2―メチルプロピオンアミド];熱重合開始剤
・イルガキュア127:光重合開始剤、BASFジャパン(株)製
・A−TMMT:ペンタエリスリトールテトラアクリレート、新中村化学(株)製、分子量352
・ウレタンモノマー:下記式U1で表されるウレタンモノマー、分子量568
式U1
Figure 2017187584
(反射防止層形成用組成物の調製)
下記表2に記載の反射防止層形成用組成物L−1の組成となるように各成分を添加し、得られた組成物をミキシングタンクに投入、攪拌し、孔径5μmのポリプロピレン製フィルターで濾過して反射防止層形成用組成物L−1とした。
Figure 2017187584
・X−12−1048:特開2014―123091号公報に記載の(メタ)アクリロキシ基を1つ又は2つ以上有するシランカップリング剤、信越化学工業(株)製
・KBM−4803:グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製
・含フッ素ポリマーP: 特開2004−163610号公報に記載のフッ素系ポリマーP−10
・ビスコート♯1080:下記式B1のオリゴマー型アクリレート 大阪有機化学工業(株)製
式B1
Figure 2017187584
(半硬化されたハードコート層形成用塗膜の形成)
基材として、セルローストリアセテートフィルム(TG40UL、富士フイルム(株)製)を用い、この基材上に、グラビアコーターを用いてハードコート層形成用組成物HC−1を塗布した。60℃で1分間乾燥した後、酸素濃度が1.5体積%の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、照度60mW/cm、照射量15mJ/cmの紫外線を照射して半硬化させ、ハードコート層形成用塗膜HC―1を設けた。なお、ハードコート層形成用組成物の塗布量は、ガラス基板上に同様の方法で塗布、紫外線照射した場合に膜厚が7μmになる量に設定した。また、半硬化後の架橋性基と光重合性基の反応率の合計が表3に記載した値になるようにした。
同様の方法で、ハードコート層形成用組成物HC−2〜HC−10を用いて半硬化させたハードコート層形成用塗膜HC−2〜HC−10を作製した。それぞれ、半硬化後の架橋性基と光重合性基の反応率の合計が表3に記載した値になるようにした。
(反射防止フィルムA−1の作製)
半硬化させたハードコート層形成用塗膜HC―1上に、グラビアコーターを用いて反射防止層形成用組成物L−1をウェット塗布量2.8ml/mで塗布し、30℃で5分間乾燥させた後、120℃で15分間加熱してバインダー樹脂形成用化合物であるモノマーの一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させた。次に、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプで照射量600mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、ハードコート層及び反射防止層を形成して、反射防止フィルムA−1を作製した。このとき、ウェット塗布量は微調整して粒子占有率を測定し、最も高くなったものを反射防止フィルムA−1として採用した。
(反射防止フィルムB−1の作製)
反射防止フィルムA−1の作製と同様にして、半硬化させたハードコート層形成用塗膜HC―1上に、反射防止層形成用組成物L−1を塗布し、30℃で5分間乾燥させた。
[反射防止層形成用塗膜の一部を事前に硬化させる工程(プレ露光工程)]
次に、酸素濃度が1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、高圧水銀ランプ(Dr.honle AG社製 型式:33351N 部品番号:LAMP−HOZ 200 D24 U 450 E)を用いて反射防止層形成用塗膜側から照射量2.0mJで光照射し、反射防止層形成用塗膜を事前に一部硬化させた。なお、照射量の測定は、アイグラフィック社製 アイ紫外線積算照度計 UV METER UVPF−A1にHEAD SENSER PD−365を取り付け、測定レンジ0.0にて測定した。
[オイル塗布工程]
下記組成のオイル液(いずれも信越化学工業製のシリコーンオイル)を、一部硬化させた反射防止層形成用塗膜の上に、ダイコーターを用いて600nmの厚さになるように塗布した。
オイル液の組成
KF96−10cs 30.0質量部
KF96−0.65cs 70.0質量部
[モノマーの一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させる工程]
120℃で15分間加熱して、バインダー樹脂形成用化合物であるモノマーの一部をハードコート層形成用塗膜HC−1に浸透させた。次に、酸素濃度が0.1体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら空冷メタルハライドランプで照射量600mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、ハードコート層及び反射防止層を形成した。
[オイル除去工程]
メチルイソブチルケトンに浸漬後、メチルイソブチルケトンを掛け流して、オイルを除去し、反射防止フィルムB−1を作製した。
表3に示すように、ハードコート層形成用塗膜HC−1の代わりにHC−2〜HC−10を用いたこと、モノマーの一部をハードコート層形成用塗膜に浸透させるときの温度を変更したこと、紫外線照射量を変更して半硬化後のハードコート層形成用塗膜の表面の反応率を変更したこと、下記後処理加熱を行ったこと以外は、反射防止フィルムB−1の作製と同様の方法で、反射防止フィルムB−2〜B−16を作製した。
(後加熱処理)
さらに、試料B−11については、照射量600mJ/cmの紫外線を照射して硬化し、ハードコート層及び反射防止層を形成した後に、150℃で5分間熱処理し、ハードコート層をさらに硬化させた。
Figure 2017187584

(反射防止フィルムの評価)
以下の方法により反射防止フィルムの評価を行った。結果を表4に示す。
(積分反射率)
反射防止フィルムの裏面(基材側)をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、裏面反射をなくしたフィルム試料を作製した。
分光光度計V−550(日本分光(株)製)にユニットIRV−471を装着して、450〜650nmの波長領域において反射率を測定し、平均したものを積分反射率とした。
積分反射率は低いほど好ましく、1.0%未満の時、低反射で映り込みが少なく非常に良いと感じられる。1.0%以上〜1.5%以下の時、映り込みは少し見えるが気にならない。1.5%超〜2.0%以下の時、映り込みは見えるが標準レベルである。2.0%を超える時、映り込みが気になり、問題である。
(耐擦傷性)
反射防止フィルムの反射防止層表面をラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とした。こすりテストを行う前の試料と行った後の試料の裏面をサンドペーパーで粗面化した後に黒色インクで処理し、それぞれの積分反射率を測定し、差を算出して耐擦傷性の評価とした。
評価環境条件:25℃、相対湿度60%
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:400g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:5往復
こすりテスト前後の積分反射率の差が0.5%以下だと、傷がほぼ気にならない。1.0%以下だと、傷は少し見えるが気にならない。2.5%より大きいと、傷が目立って気になる。
(モスアイ構造のB/A、Aの分布の半値幅)
反射防止フィルム試料をミクロトームで切削して断面を出し、断面にカーボン蒸着後10分間エッチング処理した。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて5000倍で20視野観察、撮影した。得られた画像で、空気と試料が作る界面において、隣り合う凸部の頂点間の距離A、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bを100点測長し、B/Aの平均値として算出した。またAの分布の半値幅も算出した。
Figure 2017187584


1 基材
2 ハードコート層形成用塗膜又はハードコート層
3 粒子
4 バインダー樹脂形成用化合物又はバインダー樹脂を含む層
5 反射防止層
10 反射防止フィルム
A 隣り合う凸部の頂点間の距離
B 隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離

Claims (10)

  1. 基材上に、ハードコート層と、前記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムの製造方法であって、
    基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物、及び光重合開始剤を含むハードコート層形成用組成物を塗布して、ハードコート層形成用塗膜を設ける工程(1)、
    前記ハードコート層形成用塗膜を半硬化する工程(2)、
    前記半硬化されたハードコート層形成用塗膜の上に、粒子、バインダー樹脂形成用化合物、及び溶媒を含む反射防止層形成用組成物を塗布して、反射防止層形成用塗膜を設ける工程(3)、
    前記バインダー樹脂形成用化合物の一部を、前記ハードコート層形成用塗膜に浸透させ、前記反射防止層形成用塗膜の前記ハードコート層形成用塗膜側の界面とは反対側の表面から前記粒子を突出させて凹凸形状を形成する工程(4)、
    前記ハードコート層形成用塗膜及び前記反射防止層形成用塗膜を完全硬化して、ハードコート層及び反射防止層を形成する工程(5)
    を含む、反射防止フィルムの製造方法。
  2. 前記架橋性化合物の重量平均分子量が500000以下である、請求項1に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  3. 前記架橋性化合物の下記式(1)で表される架橋性基当量が200以上である、請求項1又は2に記載の反射防止フィルムの製造方法。
    式(1):
    架橋性基当量=架橋性化合物の重量平均分子量/架橋性化合物1分子中に含まれる架橋性基の数
  4. 前記架橋性化合物が有する架橋性基が(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、又はオキセタニル基である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  5. 前記架橋性化合物が、ウレタン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、又はエポキシ樹脂である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  6. 前記ハードコート層形成用組成物における前記架橋性化合物と前記光重合性基を有し、分子量600未満の化合物の含有質量比が、5/95以上95/5以下である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の反射防止フィルムの製造方法。
  7. 基材上に、重量平均分子量600以上の架橋性化合物と、光重合性基を有し、分子量600未満の化合物とが反応した化合物を含むハードコート層と、前記ハードコート層側の界面とは反対側の表面に凹凸形状を有する反射防止層とを有する反射防止フィルムであって、
    前記凹凸形状は、隣り合う凸部の頂点間の距離Aと、隣り合う凸部の頂点間の中心と凹部との距離Bとの比であるB/Aが0.5以上であり、
    前記反射防止フィルムは、波長450〜650nmの積分反射率の平均が2%以下であり、
    前記反射防止層の前記基材側の界面とは反対側の表面を、スチールウールを用いて荷重400gで5回往復させる耐擦傷性試験の前後の反射率変化量が2.5%以下である、反射防止フィルム。
  8. 偏光子と、前記偏光子を保護する少なくとも1枚の保護フィルムとを有する偏光板であって、前記保護フィルムの少なくとも1枚が請求項7に記載の反射防止フィルムである偏光板。
  9. 請求項7に記載の反射防止フィルムを保護フィルムとして有するカバーガラス。
  10. 請求項7に記載の反射防止フィルム、又は請求項8に記載の偏光板を有する画像表示装置。
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